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    タイトル : Going under 1
    投稿者  : CANARU
    URL    : http://canaru.hp.infoseek.co.jp/alpolt.html
    投稿時間 : 2010年3月31日11時44分54秒

お久しぶりの連載です(汗)
「トリスタン・イズー」伝説のガウリナパロディ小説です♪
・・・多分ノリは軽いながらも所々シリアス・・という感じで進んでいく話になると思います。
原版伝説読みながら・・なのでゆっくりな進行になるとは思いますが。
お時間が有りましたらよろしくお願い致しますね〜〜〜!



昔々、ゼフィーリアに栗色の髪の立派な君主がおりました。
「彼」は遠い国・・・・サイラーグがカタート王国に侵略されているのを見るにいたり。
見事単騎、馳せ参じてカタートの軍勢よりかの国を救い出し・・・。
国王から友情の証とし、彼の妹でもある王女、ブランシュを妻として賜り・・・。
2人はゼフィールアに帰国し・・幸せに暮らしました。

そのて、その数年後。


我が子よ、私はどのような女子とて抱いたことの無いような貴方をいま抱いている。
このときをどれほど待ちわびたことでしょう?

貴方はこれほどにない悲しみを私に与え生まれ出でた。

貴方の名前は・・・「トリスティナ」と致しましょう。

そっと・・夫と同じ栗色の髪の赤ん坊を彼女は抱き寄せました。


「彼」のコレほどまでの説得も・・今は敵軍の謀略によって処刑された・・賢明なる君主の奥方の
生命を一日永らえただけの話でありました。


「まずいな・・・」

このゼフィーリア城とて、いつまで敵の攻略に持ちこたえられるか分かったものではありません。

ましてや。

このままこの国が陥落したそのときには、生まれたばかりのこの小さな君主の遺子の生命は保証されるものではありません。

「ブランシュ様の産み落とされた子供のはオレの次女として国中に伝達しろ!!!このお子はオレの長女の
ルナと一緒に娘として育てることとする!!」

・・・生まれたばかりのトリスティナ(哀しみの出生)の名を背負った赤ん坊。
あまりにも不憫すぎるその名前。

「リナと呼ぶことにしよう」

火のついていないタバコを捨て去り、このゼフィーリアの有力人物、インバース卿は呟いたのでした。

その後・・・インバース家に引き取られたトリスティナ姫、改め「リナ」は・・と申しますれば。


「ぎゃああああああああ〜〜〜!ね・・・姉ちゃん・・・勘弁・・がんべんぢてぇぇぇぇぇぇ!」

「のぐぁぁぁぁぁぁぁぁぁっぎゃあああああああうgちょおおおおおおおおお〜〜〜(絶叫)!」

「とーー・・とーーーちゃん・・・かーーちゃん・・・だ・・・だぢげてえええええええ!!」


いずれはこの国を背負うことになる(かもしれない)「リナ」は。

自身の出生の秘密、これからなさねばならないことを知らぬまま・・。

インバース卿夫妻の愛情と、「姉」であるルナの躾で・・・・。


「さっさとお宝を渡しなさい〜〜〜!ファイアー・ボール!!フレア・アロー!オマケにバースト・フレアー!!!!!」

「ひいいいいい!盗賊キラーのドラまたリナかあ!何で海賊いびりなんかしてやがるんだよおお!!!」

「やかましい!最近盗賊が居ないからこーして海にまで遠征してやってるのよ!さっさとお宝を渡しなさい〜〜〜!!」


小柄ながら男装の凛々しい、騎士兼魔法使いとし、立派に成長を遂げていたのでした。

「って・・・お宝ザックザックは嬉しいんだけど・・・・」
気がついたら深追いをしすぎた為か、何処か知らない土地に来てしまったようです。

さて・・どうしモノかな・・とリナが考えていたその時でした。

バキ、バキ・・・ボロボロ・・ボロボロ・・・。
どうやらリナと同じ「魔道」を扱う人間らしいのですが・・・。
どうやらリナのお得意の「ジュエルズ・アミュレット」を作ろうとしているらしいのですが・・。
その手つきの覚束ないこと。

「駄目駄目、そんなんじゃマトモなジュエルズ・アミュレットは作れないわよ?あんた、何処の魔道師?」
サっと自分の持っていた自作アミュレットを見せ付けながら伝えるリナ。

「私はここ、サイラーグのシルフィール姫にお仕える魔道師です。貴方様のアミュレットは素晴らしいお品のようですが・・。
よろしかったら姫君にお会いなさっては如何でしょうか?」

確かに。暫く(姉であるルナから逃げる意味合いも含め)知らない土地に滞在するのは楽しいかもしれない。

「それもいいかもしれないわね」

そう決心し、リナは魔道商人と一緒に歩き出すのでした。

そして、暫しのこと。

「立派なお城ね〜〜。名をなんと言うのかしら?」

「フラグーン城と申します」

嗚呼、なんと言う運命の皮肉でしょう?
かのゼフィーリアの勇者であるかの君主がこのサイラーグをカタートより救出し。
喜びの中でリナの母、ブランシュを娶ったのはこの城だったのですから。



「まあ、何と素晴らしいアミュレット!ゼフィーリアの皆様はこのような品を扱っていらっしゃるのですか?」
商人より差し出されたアミュレットを交互の眺め。
この地の女性君主にして・・今は亡きブランシュの兄である先代サイラーグ王の娘・・シルフィールは嘆息いたしました。

しかし、それ以上に。
このアミュレットを作ったという、その他にも歌声に秀で、魔法、剣術もつかえるという清々しい姿をした男装の少女から彼女は目を離すことが出来ません。
何故なのでしょう?

元々慈悲深い性格ながら、この孤独な立場の女性のうちから湧き出してくる温かなこの感情。
それこそ血縁のなせる業。

かつて、サイラーグの国王が。美しい妹・・ブランシュに注いだ温かな感情そのものなのでした。

「トリスティーナさんと申しましたわね?この国に留まり、私の友人となっていただけないでしょうか?」

「仰せのままに。シルフィールさま。そしてどうか、私をリナとおよびください!」

そして、リナがこのサイラーグ王国に留まるその間。

彼女の出生を唯一知るインバース氏の親友である隣国のフィリオネル国王の命令により。

「分かりました!私がリナさんの場所を命にかえても探し当ててみせましょう!!!」

彼の娘であるアメリア姫が、従者のゼルガディス卿とともにリナ探索の旅に出たのでした。

その間、彼らは紆余曲折を経たことはいうまでもありませんが。


「私はリナさんの友人でセイルーンの王女、アメリアと申します!そして・・このサイラーグの王家の紋章入りの柘榴石の
指輪こそシルフィール陛下。貴方様の叔母上に当る、リナさんの本当のお母様。ブランシュ様がゼフィーリアに嫁いだ際に。
貴方様のお父上である先代の国王がお渡しになられたものなのです!!!」

フィリオネル国王より、リナ出生の秘密を聞かされていたアメリアは高らかに(シャンデリアから飛び降り、そして着地に失敗しつつも)
そう女王の前に宣言をしたのでした!


「まあ、私とリナさんは従姉妹どうしでしたのね!!」

ひとしきりリナとシルフィールは血族同士の再会を喜んだのでした。

やがて。
シルフィールよりサイラーグの軍勢を借り受けたリナは。

「ドラグスレイブーーーーーー!!!!!!」

と・・アッサリ前ゼフィーリア領主を謀殺した敵を(軍勢の力を借りる必要も無く)一撃でぶち倒したのでした。
まあ・・これで(あんまりにもあっさりとしすぎている印象は拭えませんがね)敵討ちは終わったことですし。

「・・・・ゼフィーリアは育ててくれたインバースのとーちゃんとかーちゃんに任せるわ。で、後継者はルナねーちゃんって事で!!」

これでインバースの家の恩義にも報いることができました。

そんなわけで。
リナは再びシルフィールに仕えるべく。「社会勉強」と称して一緒することになったアメリアとゼルと一緒にサイラーグに戻るのでした。



そして・・サイラーグに戻ったリナを待ち受けていたことといえば。
困り顔を、シルフィールを取り囲んでいる家臣の一団の姿でした。

「エルメキア帝国が・・貢物の要求をしやがったですって!!?」
超大国エルメキア。
そんなものににらまれたら、豊かでこそあるものの小国であるサイラーグは一溜まりもありません。

「ええ。ですが・・エルメキアの戦士に勝利することが出来たら・・。私達に対する理不尽な要求は撤回すると彼らはいっているのです」

苦悶に満ちた表情でそっと状況をリナたちにシルフィールは伝えました。

「ならば!!私がそんなモノはやっつけてやります!!!」
「何を言っているのです!相手は歴戦の勇者、魔竜王の異名をもつガーヴなのですよ!!!?」

シルフィールや家臣一同が止めるのも聞き入れず。
リナは魔竜王が待ち受ける決戦の場所へ船を漕がせるのでした。

人々は己の不甲斐なさを罵りながらも・・尚もリナに対して僅かな希望を抱いたのでした。

そして・・・・・・・・・・・。

暫し、お互いの決戦の様子が遠巻きながらも聞こえてきました。
やがて。


「ラグナ・ブレーーード!!!!!!!!!!!!!」


ずしゃあああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!

リナが勝利した事は疑いの無い事実でした。

「このリナ・ド・インバースが勝利をしたわよ!実際にガーヴの脳天にはアタシが放ったこの「ラグナ・ブレード」の欠片が残されているわ!
さっさとガーヴを連れて、国に帰ることね!!」
高らかに宣言をし、リナは人々の歓声に包まれ・・・そしてフラグーン城への帰路へとつくのでした。

が・・その直後・・・・・・・・・。

「リナさん!!!!!!!!!!!!!??」

肩口から血を流し、リナはシルフィールの腕の中で倒れこんでしまったのでした。

「これは・・この血の色は・・恐らく魔竜王の使った槍に毒が仕込まれていたのだろう!!」

ゼルガディスはそう判断して告げるのでした。
その毒には、シルフィールの献身もゼルガディスの知識も、アメリアの治療も訳には立ちませんでした。

そして・・その頃。


「ニャラニャラ♪ニャラニャラ♪ニャーーラニャラ♪」
黄金の髪の毛をピョコピョコっと震わせて。
一人の青年が楽しそうに歌っていました。
確かにその歌声は人々をひきつけるものがありましたが・・・・・。
今ひとつ、洗練された様子は見受けられません・・・(さもあらん・・ですね)・・・。

「今日はガーヴがサイラーグから帰ってくるな♪」
彼こそはこの国の王子、ガーヴの妹にしてこの国の妃であるダルフィンの息子・・。
「黄金の髪のガウリイ」でした。

彼の野性の直感にかかればどんな傷でも簡単に癒す薬草を見つけられるという特殊な能力をもち。
もしも叔父に怪我でもあればまた薬になる草を持ってきてあげよう。

何はさて置き、お土産のニャラニャラは楽しみだなーー♪
そんな事を考えながらガウリイが歌っていたその時でした。

「ガウリイ様!大変です!ガーヴ殿が!サイラーグの騎士に倒されてしまいました!!」
不意に家臣のであるミリーナが何時に無い慌てた様子でガウリイに捲くし立てる。

「な・・なんだって!!それじゃ・・・それじゃ・・・」

「ああ。名は・・・リナ・ド・インバースとか言いやがったかな?まだ年端もいかないガキだったそうだ!」
今度は別の家臣ルークが告げます。

「・・・そ・・それじゃ!!お土産は!!ニャラニャラは〜〜〜!!?オレの大好きなお菓子はあああ!!??」

「阿呆かああああ!!!ンなモンあっかーーーー!兎に角、俺たちは忙しいんだ!てめぇには付き合っていられるか!!」

バタンっと吐き棄てながらルークはミリーナを伴い去っていきます。

「お土産・・楽しみにしてた・・・・叔父のお土産・・・・・!
うおおおおおおおおおーーーーーーーー!許さないぞ!リナ・ド・インバース!!!!!!!!」

かくして。
この「黄金の髪のガウリイ」は激しく「リナ・ド・インバース」を憎むのでした。

そして、その頃。
「お願い・・アタシをドレス姿で海に流してくれないかしら・・?出来れば・・竪琴ももたせて欲しいの・・」
もしかしたら。
誰かアタシを治せる人物に出会えるかもしれない。

かすかな希望を抱き、リナは海に自分自身を小船に乗せて流して欲しいと訴えるのでした、

やがて・・・それは波に揺られ・・・・・・・・・・・。

瀕死の中、リナは美しい竪琴を奏でながらエルメキアの海岸へと流れついたのでした。

「怪我人だ!!深手を負った若い娘だ!!!!」
「早く・・ガウリイ殿にお見せすれば助かるかもしれないぞ!!!!」

ガーヴを倒した「リナ・ド・インバース」。
その名はエルメキア中に知れ渡っていましたが・・・。

あくまでソレは「凛々しい姿の年端の行かない少年騎士」としての姿であり。

今の深紅のドレスをまとったリナを誰がそうであったと気づいたでしょうか?

「何て酷いことをするヤツがいるんだ!!!」
リナの傷を見るに至り。明らかに怒りの顔を見せるガウリイ。
元々本来は慈悲深い人物なのです。

「アタシは旅の楽師で、船でセイルーンへ行こうとしていたんだけど・・。海賊に出会って・・・
咄嗟に逃げてここに辿り着いたのよ・・・・」

ガウリイによって探し出された薬草で回復したリナは、自身が敵地に居ることを悟りそうとだけ答え。

傷が治ると同時にそっとその土地を逃げ出したのでした。


ガウリイに忘れ得ない印象をのこしたそのままに・・・・。




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