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Re: 白魔術都市狂想曲 115
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ここの『投稿小説』は小学生の方も来てるので、アダルト向けの小説はご遠慮下さい。
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元記事
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>地下牢でアレンはあたしに言った。
>
>「俺は明日。王宮の思惑に沿った行動を起こします。
>ですが、彼等の望む思惑通りには動きませんよ」
>
>そりゃそうだろう。
>
>あたしは内心、つぶやいた。
>
>もし断れば、アレンだけじゃなく、その周囲が今まで以上に巻き込まれるのは明白だ。
>
>すでにじゅうぶん、彼やその周辺に対し、様々な圧力がかけられている。
>
>アレン当人には、表向きに出ていた話し。
>
>すなわち、アメリアのことに対する事情聴取という名目での、誘導尋問や拷問。
>
>彼は、アメリアを手にかけようとした事実を認めてはいるが、動機や背後関係には一切口に出さなかった。
>
>想像を絶する拷問に、口を割らないアレンに業を煮やした連中が仕掛けたのが、アレン周辺への揺さぶりである。
>
>彼の身近な同僚たちに嫌疑をかけ、神殿にいる友人たちにプレッシャーを与え、追い詰めた。
>
>「王宮があんたを利用しているように、あんたもこの状況を利用しようとしているんでしょ?」
>
>あたしは口を開いた。
>
>「あんたがさっきいってた、火竜王に他の竜王の力をあわせ、スィーフィードの力を導こうとするなんて発想。
>実は前々から練ってた策なんじゃないの?」
>
>「何故・・・・・・そうおもうんですか」
>
>「あんたが後生大事そうにしている、首のマジック・アイテムよ。
>前にあんたいってたでしょ。商人のオリヴァーさんと、魔道士協会の一部でそのマジック・アイテムを作ったって。
>魔道士協会内部にも、ポイズン・ダガーに精通していた連中をごまかすため、表向きジュエルズ・アミュレットの製作と称して」
>
>「・・・・・・ええ。
>ポイズン・ダガーから気取られないように製作するのに、数年の月日を費やしました」
>
>レイスン・シティでの騒動の際、このマジック・アイテムは実に多様な働きを見せた。
>
>攻撃呪文や補助呪文のストックは言うに及ばず。
>       ヴィジョン  メギド・フレア
>各場所に 隔 幻 話 と 浄 化 炎 をストックしたそれを設置し、映像を中継して、組織の存在を知らしめ、壊滅の橋渡しをつないだことなど。
>
>あたしが以前もらったストック・ジュエルは、呪文を一気に放出するタイプのものだった。
>
>そのため、奇襲や相手の意表をつくといった戦術には優れているが、一旦呪文を放出してしまえば、次に術をかけてやるまで何の効果もない。
>
>相手が放った小技を吸い取らせ、防御することはできるが。
>
>ただ術のチョイスが威力の大きいやつだと、術の一部をストックするならまだしも。
>
>そのままためて使用しようものなら、術の負荷に耐えられず砕け散ってしまう。
>
>アレンの首にあるのは逆。
>
>長期間微弱に放出し続けるタイプ。これはあたしがもらったものよりあと、魔道士協会で創られたものである。
>
>たとえば足がもげたり深い切り傷など、大怪我をしての長期にわたる治療を余儀なくされたとき。
>                    デュラハン
>ポピュラーなもので言えば、 死 霊 騎 士 など、指差しでかけられた死の宣告の呪いの解呪。
>
>ようするに、長期的な治療に向いているのである。
>
>あたしがばかすか呪文ぶちかますには、この長期間熟成な治療オンリーなストック・ジュエルものよりも。
>
>一斉放出のストック・ジュエルのほうが、ミもフタもないがはるかに相性がいいわけであるが。
>
>「あんたまえに、そっちのほうを完成したっていってたわよね。
>あんたはオリヴァーさんのように、それを復讐に使おうとはしていない」
>
>もっとも、アレンはオリヴァーさんのように、くわせものでもキレ者でもないのだから、ああいった凄絶な復讐劇はどう考えてもできそうにない。
>
>「・・・・・・交換条件だったんですよ。俺とオリヴァーとの。
>便宜を計るから、長い茶番劇に付き合えと」
>
>「あの人のことだから、飴と鞭を使い分けたんでしょうね」
>
>「実際それに見合うだけのものでしたよ。オリヴァーには感謝しています」
>
>アレンは、静かな口調で言葉を続けた。
>
>「もう・・・・・・それほど時間があるわけではありません。
>他の所有者たちの思いに翻弄され我を失う前に、自我が保てている今のうちに、火竜王を中心に他の竜王の力を束ねスィーフィードの力を導く」
>
>「呪いを解く勝算は? ・・・・・・っていうまでもないか。
>こればっかりは、いくら理論で実証したとしてもでたとこ勝負だものね」
>
>スィーフィードとシャブラニグドゥの力はほぼ互角。七つに分かたれたといっても闇の王の二つ名は伊達ではない。
>
>たいするスィーフィードもまたしかり。
>
>導けたとしても一瞬。
>
>火竜王のほうが人間よりも力は上だから、他の竜王の力を合わせてもかき消される可能性が高い。
>
>だが短くても、たとえそれが一瞬であったとしても、かける価値はたしかにあるのだ。
>
>「俺は・・・・・・王宮を尊重していても、身近な人たちに危害を加えた以上、決して服従はしません」
>
>彼は、穏やかながらも苛烈な意志を秘めた声で言った。
>
>マジック・アイテム複数に呪文をかけて導くよりも、はるかに高い可能性。
>
>アレンはそれにかけたのだ。
>
>
>
>
>
>
>
>暁の光が収まり、ヴラは悠然と佇む。
>
>視線の先にいたのは、ダークブラウンの髪を白銀に染め上げ、かろうじてその場に立っているアレンの姿。
>
>「まさか、王宮だけでなくこの俺までも利用するとはな。
>豪胆でずるいが、嫌いじゃねぇぜ。そういう青臭くて必死なやつってのは」
>
>アレンは、うつろなまなざしで虚空を見つめた。
>
>「・・・・・・俺は」
>
>伸ばした腕は空をかき、ちからなく勢いを落とす。
>
>焦点の定まらない手を、彼は他人事のように眺め。
>
>その場にへたりこむ。
>
>数人の兵士たちが、彼を取り囲む。
>
>その顔に浮かぶのは疑惑と――畏怖。
>
>「俺は・・・・・・やれるだけの事はやりました。
>後悔はありません・・・・・・ですが、ただ一つの心残り・・・・・・」
>
>憔悴した様子で、アレンは細くつぶやいた。
>
>「ただ・・・・・・もう一度だけ・・・・・・もう一度だけ、あの人に会いたかったです・・・ね」
>
>アレンは、ゆっくりと前のめりに倒れた。
>
>しばし流れる静寂。
>
>異変に真っ先に気づいたのは、アメリアの護衛に立っていたガウリイだった。
>
>「おいっ!」
>
>取り囲む兵士たちを押しのけ、抱き起こす。
>
>「おい!」
>
>「貴様何をっ!?」
>
>兵士たちの垂加の声には取り合わず、上体を揺さぶる。
>
>表情を変え、胸倉を掴む。
>
>もどかしそうに上体を揺らし。
>
>ばしぃっ!
>
>遠慮会釈のない張り手が飛んだ。
>
>尋常でないその様子に、ざわめきが起きる。
>
>ガウリイはアレンの胸倉を掴み、吠えた。
>
>「おいっ! 息をしろっ!」
>
>マーシュ卿は、反射的に顔を上げ――
>
>弾かれたように声を出した。
>
>「魔法医か医者をよべっ!」
>
>にわかにあわただしく、その場は喧騒に包まれた。
>

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