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Re: 白魔術都市狂想曲 114
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ここの『投稿小説』は小学生の方も来てるので、アダルト向けの小説はご遠慮下さい。
場合によっては承諾なしに削除します。
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元記事
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>「いったいどうしたというのだ。一点ばかりを見て」
>
>「聞こえなかったのですか?」
>
>マーシュ卿が一人の神官に声をかける。
>
>「なにがだ」
>
>「あの声です」
>
>「声? なにもきこえないが」
>
>その声が聞こえない人間のほうが多いらしく、しきりに怪訝そうな顔をする。
>
>「空耳ではないのか」
>
>「たしかに・・・声なんぞ」
>
>アレンは小さく息を吐く。
>
>「・・・・・・世俗の流れを見つめ、始まりと終焉を見届ける。
>理念や思想の違いによる同族同士のいさかいほど、あなたはくだらないことだと思ってるんでしょうね。特に人間同士の価値観の違いによる対立は」
>
>独り言のように、スィーフィードの像に向かってつぶやく。
>
>「ですがね。火竜王。
>誰だって妥協したくない部分があるからこそ、ぶつかるものなんですよ」
>
>『わからねぇな。俺らがやってる、世界の生存をかけての争いというならわからなくはねぇが』
>
>「あのひとがいえなかった遺言を言います・・・・・・・『そう思うなら、もう少し後先考えて動け』だそうです」
>
>初代・・・・・・俺はあの世のメッセンジャーですかと、小声で突っ込むアレン。
>
>『生を受けた存在は、いつか滅びを迎えるのは摂理であって理だ。俺たちの力をめぐって争う先にあるのが破滅なら、滅んでしまえばいい』
>
>「・・・・・・そうさせたくないんですよ。俺は」
>
>マジック・アイテムの首飾りに手をかけ、アレンは言った。
>
>『ならこのまま、不当な死を受け入れるのか?』
>
>どこか、面白そうな声色のヴラ。
>
>アレンは静かに、首を横に振る。
>
>「僅かにある可能性にかけて、限られた時間の中、できることをやるだけです。
>受け売りですが。この言葉がなかったら、出会わなければ俺は死を受け入れていたでしょうね」
>
>彼は、一瞬こちらに視線を向けた。
>
>あたしは、しっかりと視線を受け止めた。
>
>・・・・・・彼の決意を、後押しするように。
>
>アレンはなぞるように、首飾りに手を添える。
>
>慈しむように。どこか懐かしむように、祈るように。
>
>「・・・・・・力を貸してください」
>
>周囲の雑音を静まらせ、聞きほれさせるような旋律。
>
>
>
>―― 悠久を吹き荒ぶ
>    天翔ける竜よ  ――
>
>
>今まであったどれよりも、深く。
>
>喧騒が、波を打つかのように徐々に静まってゆく。
>
>それが、彼から紡がれ始めた。
>
>
>
>
>
>―― 汝の息吹 ――
>
>
>
>
>アレンは目を閉じ、祈りを捧げるように詩を歌う。
>
>王宮の数人は、ひそかにほくそ笑む。
>
>あたしは見守る。
>
>地下牢でアレンが言った言葉を信じ。
>
>
>
>―― 闇を切り刻む ――
>
>
>
>上座にいるアメリアは、アレンから紡がれる言葉を、一句も聞き逃さないように耳を澄まし。
>
>数人の神官に支えられながら、マーシュ卿は旋律を紡ぐアレンを見て。
>
>「・・・・・・変わらないな。根底のところは」
>
>
>
>
>―― 旋風の刃と成せ ――
>
>
>
>
>詠唱を終えたアレンは、閉じていた目を開ける。
>
>そして、『力ある言葉』を紡いだ。
>
>「・・・・・・ウィン・ディスカッター」
>
>刹那――
>
>ごぉうっ!
>
>突風を思わせる、激しい螺旋状の風が神殿を突き抜けた!
>
>風の抵抗に成すすべなく吹き飛ばされるもの。
>
>防御結界を展開し、なんとか事なきを得ているもの。
>
>悲鳴を上げようにも、轟風の音のみが吹き荒ぶ。
>
>アレンは力ある言葉と同時、地竜王ランゴートの力が込められたマジック・アイテムを首から外し。
>
>赤の竜神スィーフィードの像――火竜王がいる場所に投げ入れた。
>
>スローモーションのよう・・・・・・まるで風が意思を持っているかのように吸い込まれる。
>
>
>
>
>
>
>
>――閃光がほとばしった。
>
>あまりの眩さに、ほとんどの人間が思わず目を閉じる。
>
>太陽に匹敵するほどの、眩いばかりの閃光。
>
>光が収まり、あたしは目を開ける。
>
>当たりに注ぎ込む光は、不思議な暖かさを宿していた。
>
>浴びているだけで、心が洗われるような光の洪水。
>
>他の人たちも、めをしばたかせたりなんとか目を開ける。
>
>さすがにすこしこたえたが、視力の回復はさほどかからないだろう。
>
>あたしは、あたりをみわたした。
>
>多少しぱしぱするが。
>
>あたし、そして神官たちの視線がマーシュ卿に向けられた。
>
>蛇のように、とぐろをまいた濃い闇の残滓が、光に追い出されていく感じで霧散した。
>
>そして、次に現れたのは人の顔。
>
>『彼』は、腕を伸ばすようにマーシュ卿に手を伸ばす。
>
>声無き叫びを上げるように。
>
>親を・・・・・・無償の愛を求める子供のように。
>
>マーシュ卿は『彼』の名を呼んだ。
>
>「・・・・・・カイル?」
>
>重ねるように、手を伸ばす。
>
>カイルは、安心したかのように笑った。
>
>そしてそのまま、光に包まれ安らかに消えていった。
>
>朝日を思わせる暁の光が、スィーフィードの像を中心にまばゆく照らす。
>
>まるで、スィーフィードの像自身が、輝いているみたいである。
>
>ひときわ濃い闇と、無数の人の顔がスィーフィードの像から湧き出した。
>
>おおおぉぉ・・・ぉぉん・・・
>
>死霊がうめきあうような不気味な声に、数人が怖気だつ。
>
>『眠れ。行き場をなくした魂たちよ。
>そして安らかに、輪廻に入り来世を生きろ』
>
>声に導かれるように、無数の顔は天に昇ってゆく。
>
>あるものは緩やかに。
>
>またあるものは、どこか名残惜しそうに。
>
>スィーフィードの像のまえに、ぽつんと残された淀んだような闇。
>
>暁の光をまとい、ヴラは闇に手をかざし。
>
>「消えろ」
>
>暁が、淀んだ闇を吹き飛ばした。
>
>なお残ろうとする闇に、光が容赦なく焼き尽くし、霧散させる。
>
>暁をまとったヴラは、神々しいまでの存在感を放って闇を追い払う。
>
>ひときわ強烈な閃光が、再度神殿を覆った。
>
>鮮烈な光が収まったあと。
>
>そこには、いつものヴラがいた。
>

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