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Re: ドラスレ! 14
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元記事
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>第十四話
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>魚が岸へ上がるのを見たゼルガディスは、イラついたように舌打ちする。
>ぺたり、と一歩前に進み出た魚は、ふとゼルガディスを見やる。
>そしてゆっくりと口を開いた。
>
>
>「ゼル……ガディス、ここで…何してる?」
>
>「何でお前が……っ!」
>
>「おい、この魚はお前の仲間なのか?」
>
>「魚…などと呼ぶな。俺の名は……ヌンサ。お前が持つものを……
> 取り返しにきた……刺客……だ」
>
>
>俺が顔をしかめて立ち尽くすゼルガディスに問うと、
>のっぺりとした感じで答えた魚こと、ヌンサ。
>
>ふむ……?
>ゼルガディスとヌンサの様子からすると、お互いこの場所に
>いるはずじゃなかったってことか?
>
>今まで明確な意思を持つ刺客たちで考えてみると、ディルギアとこいつは
>何だかゼルガディスの配下っていう感じには見えないな。
>
>
>「ゼルガ…ディス……お前やること…違う……お前の…命令は……」
>
>「黙れ、ヌンサ!」
>
>
>――命令?
>俺は二人の会話にどこか違和感を覚えつつ、気づかれないように
>戦闘体制を作る。
>それにガウリイお嬢ちゃんとアメリアも、俺がそれを言わなくても
>自分でちゃんと気がついたらしい。
>お嬢ちゃんは俺の斜め前へ、アメリアは俺の横に並んで背後を警戒する。
>
>ゼルガディスは誰かの命令を受けていた。
>そう考えるとすると、ラスボスはゼルガディスじゃないってことか?
>さっきも “その方がいいかもしれない” なんて言ってたしな。
>
>
>「まあいい……おとな…しく例のものを……渡せ……」
>
>
>ヌンサは溜息のようなものをついて、すっと前かがみになった。
>刹那、背筋に嫌なものが走り、俺はその場を飛びのく。
>
>
>
>ギィンッ!
>
>ガキン!
>
>
>
>同じく、鋼のぶつかる音が二つ。
>目を向けてみると、お嬢ちゃんとゼルガディスが剣を抜いている。
>だが、両者の剣がぶつかっているのではなく、
>二人とも何かを払い落としたような構え方をしていた。
>
>俺が先ほどまで立っていた場所には、何かが刺さっていた。
>それは薄い楕円の形をしていて、掌ほどの大きさ。
>おまけにぬらりとしている。
>
>ガウリイお嬢ちゃんが、驚いたように顔を上げた。
>
>
>「何、今のは!?」
>
>「それは……俺のウロコだ……仕方、ない……こうなれば」
>
>
>ヌンサはそう言うとポイっと手にしていた剣を捨てる。
>そしてぐっと力をこめて――やばい!
>
>
>
>ドドドドドドドドドッ!!
>
>
>
>「うわわわわわわ!!」
>
>「うわきゃーっ!!」
>
>
>思った通り、ヌンサはミサイルのように間髪いれずに
>己のウロコをこっちに向かって飛ばしてきた。
>
>魚のウロコとはいえ、かなり硬い。
>これで防がずにいようものなら、人間の肌などすっぱり切れるだろう。
>かくいう俺も短剣で飛ばされるウロコを弾くのが精一杯で、
>術に集中するのは無理がある。
>
>
>「耐えろ!」
>
>
>ウロコ攻撃の中、ゼルガディスが叫ぶ。
>
>
>「もうすぐあいつは――」
>
>
>ぴたりと。
>ふいにウロコ攻撃が止まり、その場に沈黙が流れる。
>眉をひそめてヌンサを見やれば、何故か冷や汗を流して
>川の方へとゆっくり後ずさりしている。
>するとゼルガディスがさっと一歩前に進み出て、剣を構えた。
>
>
>「前にも言っただろう。そのウロコで攻撃と防御はできるが、
> 失くなってしまえばただの魚だと」
>
>「ま……待て……ゼルガ…ディス……お前は……その体を」
>
>
>その言葉の先を、ゼルガディスはヌンサに言わせなかった。
>お嬢ちゃんにこそ及ばないものの、俺よりは上だろう太刀筋で
>ヌンサを一刀両断したのだ。
>
>剣を振り払ってから静かに鞘に納めたゼルガディスは、
>これで邪魔者はいなくなったというように、清々とした態度で
>俺たちの方をゆっくりと振り返る。
>そして――がくりと膝をついた。
>
>
>「?」
>
>「く……っ」
>
>
>さっきまではマントに隠れて分からなかったが、
>よく見れば脇腹の辺りが赤く染まっていて、心なしか呼吸も荒い。
>
>
>「ぬ、ヌンサにやられたんですか?」
>
>
>おそるおそるアメリアが問いかけるが、ゼルガディスは何も答えない。
>ゆっくりと立ち上がろうとして、そのまま地面に崩れ落ちた。
>
>
>「リナさん……」
>
>「ったく」
>
>
>困ったようなアメリアの視線を受けて、ゼルガディスに近寄ってみる。
>一体全体、何がどうなってんだか……?
>
>
>
>
>
>NEXT.

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