第51話  私なりのゴーストスイープの仕方 +名古屋奇譚そのB+語り手: 十叶 夕海さん
タイトルのスイープは、掃除するですが、あまり好きな表現ではありません。
バスター・・・退治するよりもいいかなとこっちの表現にしました。


今回も、名古屋の私のアパートで起こったお話です。
正確に言うならば、起こしたお話です。

本筋に入る前に、皆様に質問。
お経とか使うのと、言霊だけで。
淨霊除霊どちら方法が簡単?

正解;お経とか使う方ですね。
『本当にあった怖い話』などとかのかたは普通に使ってますが。
私は、一切使ってません。
んなもん、信じれませんから。
仏教は、それなりにという感じですが、十字教や回教は、一切信じてません。
ま、今までして来た体験で、信じれたら、それこそ阿呆でしょう。
それに、お経の方は、覚えきれません。
般若真経ですら。
十字教のほうは、聖書を読み物として読んでいますので、それなりに、唱えれますが。。

・・・・・とまあ、そんな訳で、私の淨霊方法は、基本的に対話です、
・・・?ああと、除霊は、私の性格的に、よっぽど切羽づまらないとしません。
最近、しているのは、それの進化系に当たると思います。

怖い体験でこそ無いですが、私の元には、成仏したい幽霊さんが、結構来ます。
もちろん、就寝後は、お断りするのですが。
ところで、名古屋というのは、日本的に見て、それなりに演劇が盛んな街になるのでしょうか。
世界的となると、我が故郷の方の利賀村が有名ですが。
『まだ、演劇がしたい』
『演じ足りない』と幽霊が、たまに団体で来ます。


ちょうどそのころ、小説のあるシーンで詰まっていました。
数人のシーンなのですが、あるキャラが、少し違う動きをするだけで、全くシーンの性格が違ってくるんです。
彼女が、怒れば、戦闘系のノリに。
泣けば、しんみりと。
そんな感じです。


利害が一致した・・・そう言う訳ではありませんが。
『演劇がしたい』そんな幽霊達に、場面設定と登場人物設定を口頭で伝え、エチュード形式で演じてもらいました。
エチュードとは、本来場面設定とごくごく簡単な人物設定だけで、アドリブで、進めて行く、台本製作技法&演技練習なんです。
幸い、私は、演出と舞台監督経験者。

それで、そう言うのを何度か繰り返せば。
『演劇をしたい』という幽霊のほぼ十割は、成仏します。
これが、私のゴーストスイープ法なのです。
この方法だと、まとめて三人前後成仏させれるので、らくちんなのです。
『演劇したい』と言う幽霊さんが、結構居るから成立する淨霊方法ですが。

第52話  とある子どもとアヤカシのお話語り手: 十叶 夕海さん

私は、視えて、話せて聞けて、祓えて滅ぼせる。
俗にいう霊感だとか、言う類いのモノを持っている。
本当にそう言う者かは不明だけれど。
今はもう、そういうもので、こっちからちょっかいをかけなければ、特に何にもならない。
人間が想像するモノで、人でも動物でもないモノに、幽霊がある。
それ以外に、妖怪というのもあるが、私にとってすこし違うが、ある意味身近なモノだ。
何々の妖怪と言うモノは、ほとんど知らないが、幽霊でもなく、また精霊と言うほど、キレイじゃないのが存在している。
とあることが、キッカケで交流を持ち始めたのだが、それまではそういうのがいるなぁというだけな感想だった。
そのとある事と言うのが・・・・・・・・・・・。

話は、変わるが、皆さんは一人で寝ているだろうか?
また、何歳ぐらいから、一人で寝始めただろうか?
ベッドで?それとも、布団で?

だいたい、遅くても、小学校中学年ぐらいから、一人で寝始めたのではないだろうか?
私は、小学校三年の終わり、書類上小学校四年になる春休みから、一人で寝始めた。
それまで、一人で寝た事なんかない。
妹を生む為に、お母さんが病院にいる時に、仕事が入ってお父さんがいなかった時ぐらいである。
小四になれば、宿泊学習もあるが、小3ではそれもない。
そんなわけで、寂しくて泣いて、良く寝ていたモノだ。

・・・・・半分は、怖くて泣いていたと言うのも否定はしない。
というか、七割は怖くてないていたの思う。
障子ばりの窓から入ってくる薄暗い光に、ぼんやりと書棚や着物入れが、浮かび上がる。
それに、まとわりついたり、腰掛けて存在しているのだ。
『それ』は、人間の幽霊ではないと解っていたが、少なくとも、妖怪と言う言葉は思いつかなかった。
当時の私に取って、『妖怪』といえば、ゲゲゲの鬼太郎のような愛嬌のあるそんざいだったのだ。

そんな日が一週間以上続き、学校も始まっていた。
その日は、春の嵐と言うヤツで、時折、雷なんかもなっていた。
布団をひっかぶっていても、鳴るたびに『ひゃぁ』など、騒いでいた。
『お嬢さん、どうしたの?
 寝れないですか?』

ここ一週間、周りで見ているだけだった『アヤカシ』の一人が、そう話しかけて来たと直感的に、解った。
《道化師》は、絶対にこう言う時は面白がって何も言わないだろう、というのも在った。
「・・・・だれ?」
布団から、頭だけだすと、左の方に、座っている存在がいた。
唐紅のような渋めの紅い髪を幾本かの簪とひもで結わえ、髪で顔を半分覆ったような『人』だった。
極彩色で、変わった着物・・・・・花魁だとかああ言う感じのを着ていた。
キセルとそれの灰皿が、妙に様になっていた。見た目は、二十歳後半ほどだろうか?


『私は、そうですねぇ。
 あの道化姿のお兄さんがいうところの『妖怪』というのに、近いでしょうか?』
「・・・・・・・・・妖怪って、鬼太郎みたいなのじゃないの?」
『あれも、私達ですよ。』
「なんのよう?」
『・・・人間の子供が、震えていたら、声ぐらい掛けますよ。
 ・・・・・・・・・鳴る神が、怖いですか?』
その人の髪の間から見える表情は、ずっと少し困ったような顔だった。
「うん。」
『・・・・・眠るまで、歌歌ってあげましょうか?』
「・・・・・・どうして、そこまでするの?」
『私達をここまで視る存在は、希有ですから。』
そういって、彼は私に歌を歌ってくれた。
静かで、少しなんだか寂しい歌だった。
眠っていくそんな間に思ったのは、
(笑えば、綺麗なのにな・・・・・・)とこんなことだった。

それから、彼と同じ『アヤカシ』が、やってくるようになった。
私は、彼の事をユキちゃんと言うようになっていた。
本名の頭一文字をとってのことだ。
たいていは、半年とか一年に一回、私に名前を呼ばれに来る存在だった。
牛鬼みたいに、でかいのから、ネズミみたいに小さなのまで色々な存在だった。
でも、ユキちゃんの他に、篠(しー)ちゃんと、朴(ほお)ちゃんというのが、良く来ていた。
篠ちゃんは、木賊色の髪をおかっぱにして、若竹色の瞳で、ちょっぴりむひょうじょうで、現代的な服を好む外見だった。
朴ちゃんは、柿渋色の短い髪と栗色の瞳の当時の私とそう変わらない年齢の外見で、丈の短い着物を着ていた。
彼らが、いうには、『自分たちは、人間がこう言うのがいるだろうという想像から生まれた存在で、少しでも信じているから、存在できるのだ』ということだ。
一昔前、私の祖母の私ぐらいの頃は、まだ視える人がいたらしいが、それもいなくなって、『名前』を呼ばれる事が無くなって久しいと言う事らしい。

だから、視えて話しかけれる私に、『名前』を呼ばれたいとの事だ。
『名前と言うのは、呼ばれる為にあるんです。』
『それに、夕海の声は、気持ちいい』
『そーだよね、なんか夕焼けの海とか、木陰にいる気分。』
彼らや、たまに訪れる彼らには、数えきれない恩がある。
寂しい時や心細い時には、家族よりも、彼らが傍にいた回数の方が多いかもしれない。
それでも、彼らが要求するのは、「『名前』を呼んで」としか、いわない。
私の後ろの人になれば、消える事も無いのに、それすら要求しない。

・・・・・・・・と、そんなノリなことを月詠乾氏に、電話で愚痴ったと言うか、話して泣いてしまった事がある。
それが、六月である。
七月に入って、すぐに、ユキちゃんと篠ちゃんが、こっちに来た。
そして、私の後ろの人になった。
『・・・・夕海ちゃんは、私にとって、子供と言うかそんな感じですし。
 泣かれるのが、一番キツいんですよ。』
『そういうことだ。』
とのことだ。
そして、彼らも、今も一緒にいる。
ちなみに、たまに、ユキちゃんと仲良く話していると、篠ちゃんが、ぽつりとこういうことがある。
『・・・・・そこまで、仲いいと、嫉妬しそうだな。』と。
病弱お母さんなユキちゃんと素直クールな篠ちゃんと、とある子供こと、夕海のそんな日常。

                               + 終幕 +
第53話  シノブさん語り手: 羅城 朱琉さん
私の会社の職員玄関脇には、いつも塩が盛ってある。清めの塩、という奴だ。
古い会社なら、わからないでもない。しかし、私の務める会社(というか、支社)は、出来てまだ半年程度しか経っていないのだ。
それを不思議に思ったのが、始まりだった。

ある日のこと。同じ職場に勤めるパートのAさんが、唐突に寒気を覚えたのが本当の始まり。
そう、霊感の強いAさんにはわかったのだ。
「ここには、何かがいる」・・・・と。

その日から、1週間と間をおかず、様々な異変が起こり続けた。
特に数度起こったのが、謎の機械トラブル大量発生。
最悪な時は、20以上ある機械のうち、一度に半数以上が壊れた。
そして、体調不良者の続出。
健康であったはずの正社員Nさんは、ミーティング最中に倒れ。
元から体の弱いOさんは、高熱を出し。
最期には、血を吐いて長期入院する人まで現れた。


その頃には、特に霊感のない人にも感じ取れるほど『それ』の存在は大きくなってた。
名前のない『それ』に、名前が付いてしまうほどに、それは身近になっていったのだ。
 『シノブさん』。
私たちは、姿の見えない『それ』をそう呼んでいる。
そう。『得体の知れない何か』を、理解の及ぶ存在にするかのように。

しかし・・・・。
『言霊』、というものがあることを、私たちはすっかり忘れていたのだ。
名は、存在を規定する。既に強力であったはずの『それ』が名を持ち。そして・・・・
他の雑多な霊より、更に強く、はっきりとした存在になるまでに、そう時間はかからなかった。

覚えているだろうか?私の会社は医療系だということを。
営業部の者は、病院へ出向いていって、検体を受け取り、それを持って帰ってくるのだ。
病院・・・・それは、生と死の現場。
霊が群れていて・・・・それが、営業部のものに取り付いて帰ってきて、何の不思議があろうか?
そして、人間と共にやってくる霊たちが、清めの塩に弾かれることは・・・・ない。

しかし、そうして霊たちがやってきた先にいるのは、名によって存在を規定された『シノブさん』。
弱肉強食の理は、霊の世界にも有効なのだろうか?
霊感のある人は言う。
「ここにいる霊は1体だけ。」
「そいつは、日増しに強くなっている。」
・・・・・・・・と。

昨日も、機械が壊れた。
一昨日は、同僚が貧血で倒れた。
今日は、何が起こったのだろう・・・・?

 存在を規定された霊、『シノブさん』。
 私たちは、アナタの存在に気付いています。あなたは何故、存在を誇示するのですか?これ以上を望んでいるのですか?

 ホラ、また何かが起こった。
 もう、私でも感じている。
 背後にひやりとした空気。


 シノブさん・・・・・・・・
  ・・・・・・・・あなたは、そこにいますね。


  追記
現在、総務を通して、御祓いをしてもらうよう上層部に働きかけています。
早く、快適な職場になってほしいものです。えぇ、本当に。
でないと、私たち・・・・・・・・『シノブさん』の存在に、慣れちゃいますよ?


    これにて終幕。

第54話  赤いクレヨン語り手: みつやさん
ある夫婦が中古の家を買った。
値段も安いし周囲の環境も良く、日当たりも良好。
中古とはいえ何もかも申し分のない家だった。
ところがある日のこと、夫が廊下を歩いていると
そこに一本の赤いクレヨンが落ちている。
彼ら夫婦に子供はいない。
だから、家の中にクレヨンなどあるはずがない。
変だなと思った彼だが、おそらくは前の住人の忘れ物だろうと判断し、
深く考えずにそのクレヨンを拾うとゴミ箱に投げ込んだ。

数日後の朝、彼が新聞を取りに行こうと廊下に出ると、
あの日と同じ場所にまた赤いクレヨンが落ちていた。



さすがに不思議に思ってそのことを妻に話すと、彼女の顔がさっと青ざめる。
「実は私も昨日掃除をしている時に廊下に、赤いクレヨンが落ちていたので
 拾ったのよ。あなたが言っているのと全く同じ場所で」
もしかして、知らない間に近所の子供でも入り込んできたのだろうか。
しかし、そうだとすれば家の中のどこかに落書きがあってもいいはずだ。
クレヨンだけが落ちているとなると、これはなんとも不気味な話じゃないか・・・
恐くなった二人はいつもクレヨンが落ちている場所の周囲を調べてみることにした。
あらためて廊下を調べた二人は奇妙なことに気づく。
この家は間取りがおかしいのだ。
家の図面を見てみても、外から見た感じでも、この家には本来ならばもう一部屋あるはず。
その部屋があるべき場所というのが、例のクレヨンが落ちている廊下のすぐ前なのだ。
二人が問題の場所の壁を叩くと、そこだけあきらかに周囲と音が違う。
夫が壁紙を剥がしてみると、

そこには念入りに釘で打ちつけられた引き戸が隠されていた。
彼は釘を全て引きぬくと引き戸を開き、閉ざされた部屋の中へと足を踏み入れる。
するとそこはガランとしたなにもない部屋。


そして、その部屋の真っ白な壁は、赤いクレヨンで書き殴られたこんな文字でびっしりと埋め尽くされていた。
             *終*
第55話  安い宿には・・・語り手: 薫さん
これは以前同じ会社に勤めていた人から聞いたお話です
その人は昔、ぶらりと旅をするのが趣味で計画もなく旅にでてたそうです
あるとき、どの宿も一杯でどこも飛び込みのその人は止めてもらえませんでした
そして・・・数件目のある宿にて
「○○の部屋があいてるんじゃない?」「でもあそこは・・・」などと宿の人がはなしています
結局、夜泊まるだけ、というのでその部屋に泊めてもらえることになりました
そこは値段的には信じられないくらいにかなり広い部屋で数畳はあるような部屋でした
それでも値段は他の部屋よりも少し割安になっています
でも泊まれてラッキー。という感覚でそういうのを信じてないその人はそのままその部屋に泊まることに
そして、ねるとき。お布団に入ろうとしたら、何かがみえます
キラッ・・・

何かが光ったような気がして布団をめくってみてみると、そこには何か魚のうろこか何かのようなものが・・・
不思議におもいながらも、そのままそれをのけて再び布団を少しなおそうと、ばさっとすると・・・
バラバラバラ・・・
ちょっとまて。何でこんなものが?それがまず先に感じた感想。なぜか布団から無数のウロコのようなものが・・・
そのまま、電話で宿の人に連絡すると、すぐさまに新しい布団に取り替えてくれて、部屋も掃除されました
何かおかしくは感じながらも掃除が済んで、そのまままた再び部屋へ
今度は布団をめくってもそのようなものは当然ありません。そのまま布団の中にはいり、その夜はそのまま眠りました
そして・・・・・・・・・・
「・・・?」
何か布団の手の先に違和感を感じます
目がさめるとすでに夜はあけて朝です。そして、そのまま布団から起き上がると・・・
寝る前までは確かになかったはずなのに、体の周囲といわず体の下にまでびっしりと、ウロコが・・・
さらに、違和感をかんじ、ふと足元というか足のほうをみてみれば・・・
足にまるで生えたような感じでびっしりとウロコがはりついています・・・
汗でついたにしてはおかしすぎますけど、このままにはしておけません
かるく手ではらってみれば、ぱらばらとすぐさまにのきます。それゆえにすべてを手で払いのけました
さすがにこれはおかしい。とおもい、すぐさま宿の人を呼んだのですが・・・
誤られて、逆に宿泊料はすべてかえしてくれて、内密に・・と口止めされたそうです
そして・・・宿の人がいうには、その部屋にとまった人は必ず蛇などをみる・・ということです
その人は蛇はみませんでしたけど、その人のときにはうろこの形で現れたようですが
その旅館がどんな場所にあったのかは、あまりよく覚えてないそうですけど。あの無数のウロコの感覚は数十年たった今でも忘れられないそうです・・・
いったい、その旅館のその部屋で何があったのでしょう?そしてまだ・・その部屋はあるのでしょうか?
もしかしたら・・・あなたがとまる宿屋は・・・・
終わりです
第56話  夜行列車語り手: テリアさん
昔々、自分自身と家族に起こった不思議な体験です
私が小学4年生か5年生のころです。うちは関東なので、金沢旅行
するために金沢行きの夜行列車に乗ることにしました。
当時、ブルートレインブームだったし。
で、私も父親も弟も霊感なんてないんですが、母親だけはちょっと
霊感があったように思います。
そもそも、旅行の計画のときは母親も旅行を楽しみにしておりました。

しかし・・・
旅行直前で母親は「今回の旅行はパスするわ。あんたたちで行ってきなさい」
というのです。
何故と尋ねると、
「なんとなくのる気じゃなくなったのよ」
なんて言ってました
まぁ、母は留守番で、3人で旅行に出かけました
でも、その日の夜行列車は無事に金沢に到着して
ホテルでチェックインしてふつーに兼六園とか
観光して楽しい旅行だったので、何故母親は
来ないのか疑問でした。

金沢はいい場所でした。

後から聞いた話しになるのですが、私達が旅行に
行っている間、母は3人分の陰膳を作り無事を
祈っていた様子です。

(旅行自体キャンセルする話しもあったのですが、
父が行きたがっていたので...)
帰りも夜行だったのですが、なんとなく、
自分もいや〜な予感がしていたのでした。
その列車に乗車して、なんとなく寝つけないまま、列車は
走り続けました。

真夜中ですが、なんとなく外の車窓でも見ようかと
通路に出たら、ちょっと離れた窓に人の顔みたいなのが
見えました。
「あれれ、人の顔でも反射して見えるのかな」と
思っていたのですが、不気味に感じたので近寄ることは
しませんでした。

ふと消えてしまいました。
気のせいかと思ってトイレに行き、通路側の
折り畳み椅子に座りました。
列車は真夜中にNという町に到着しました。
Nで2分くらい停車して、走り出したので
流れ行くプラットホームを見つめていました。

降りる客なんていません。運転士の交代みたいな場所です。

でも・・・
真冬の真夜中にロングヘアの若い女の子を
見ました。
小学生の私でも、女の子がこんな寒いホームに
突っ立っているのが不思議でした。
景色は流れて、女の子の姿は見えなくなりました。

多分、年齢は19歳くらいかな・・。
しばらくして、列車がごんごんごんと異常な音をたてたんです。
でも、ブレーキとかしないので、変だな〜と
思っていたら、通路前方の窓にまた顔が出てきました。

はっきりとは判りません。ぼやけていたような感じでした。
「えぇ!」と声を出してしまいましたが。

その顔みたいなのは消えない。
よーくみるとさっきの女の子の顔に似ている気もしました。
なんとなく顔が崩れているのか、暗いので
よくわからないのですが、雰囲気がさっきの
女の子の感じなんですね。
そうしたら、いきなり私は両方の鼻の穴から
出血してしまいました。

鼻血ダラダラ状態。
私は霊感はありませんが、さすがに怖くなりました。

父を起こし、テッシュで応急処置しました。

父に出来事を語っても信じてくれませんでした。
関東に戻り、地元の駅で降りて帰宅したら母親が
早朝で暗いのに起きて待っていました。
母は「なんとなくイヤな予感がするから」と
清めの塩と酒をパッパッと私達に振りかけました。
それから、特になにもなく過ごし、母の杞憂だったんだろう
程度に父はいうのですが、まぁ、確かに10年くらい
平穏でした。


しかし・・
大学生になって、私は寮生活をはじめたのですが、
久しぶりに自宅にもどったんです。お盆の頃ですね。
父とビールを飲んだり、従兄弟達と
花火してお墓に行って帰ってきたのですが、

真夜中、多分、2時頃かな・・・
窓に顔が映っていて、最初、自分の顔かと
思っていましたが、なんと、あの女の子の
顔っぽかったのです。
最初は酔いもありよく分からなかった・・。

だけど、あの女の子を思いだして慄然と
しました。
一応、翌日、その事を話すと、従兄弟たちが
「んなら、うちの母さんを今度、連れてくる」
と言いました。霊感が強いらしいです。
その従兄弟のお母様が言うには
「なにか憑いている。多分、あんただよ」
と、私を指すのです。
その人が言うには、よくない霊なので
返してきなさいというので、一緒に
N市までいき、祈祷しました。

列車はこわいトラウマになっていたので
くるまでいきました。
で、線路際でうろうろして、N駅の近くで
叔母が止まるので、その場所で祈祷です。

お酒と塩と、あとよく分からない小さな棒をくるくる
振って、念仏とか唱えていました。
それから地元の人が通りがかって
「あんたらなにしんよ」というので
経緯を話したら、その地元のおっさんは
怪訝な顔が更に怖い顔になりました。
その地元のおっさんがしばらくして口を
開いたのですが、そこら辺はやっぱり
出る場所だったとか・・・。
「むかーしだよ、昔、この辺に感染症の
隔離病棟があったんだよ。でね、N市が
空襲されたときその病院も焼けてしまった」
とのことでした。
焼けたときに看護婦さんが1人亡くなったそうで、
それから奇怪なことが多く発生していたらしいです。
結局、お祓いの効果があったのか、それ以来、
私は変な体験はしなくて済んだのですが、

一昨年くらいにその町に行ってみたら
もう既に過去の話しになっていたみたいです。
女の子のこと。
ただ、しばらくして母が調子を崩すようになって
よく風邪ひいてました。

また、その叔母に見てもらったら、ちょっと弱い
残像みたいなのが残っていて、やっぱり女の子だったそうです。
お祓いして、母は体調を戻しました。
叔母に尋ねると、勝手にふらふらしていた
霊が、関係ない人に取り憑いてしまうことも
あって、その典型例だったそうです。

今は何もありません。

おわりです。
第57話  学校の怪談探索記語り手: 羅城 朱琉さん
 いまから8年ほど前。私が中学生だったころのこと。
 怪談ブームが訪れていた頃のことだ。
 『学校の怪談』。その何ともステキな響きに憧れた少女・羅城 朱琉。そして、その友人H、S、Y。

 これは、我が中学の七不思議を探す最中に我々4人が体験した実話である。

 さて・・・・いきなりではあるが、私たちは行き詰っていた。
 いや、勿論それらしき怪談はいくつもあった。
 ありがちなところで、2号館3階女子トイレに現れる『トイレの花子さん』に、夜中に動き回る『書記像』。
 変わったところでは、第二運動場裏の山神の石碑に願いをかけると3ヵ月後に叶うという『神頼みの石碑』に、かつて蛇に噛み殺された男子生徒が現れ、蛇を退治して回るという『蛇殺しの日曜日』などなど。

 しかし、ありがちな噂に関しては全て嘘。
 変わったところも、『神頼みの石碑』は、実際単なる神頼みでしかなく、『蛇殺しの日曜日』は・・・・・・・・私が、この話の真実を知っていたため、怪談でもなんでもなかった。
 そんな結果になったのである。
 流石にそろそろ諦めかけた私たち。
 そんな時、友人Yが一つの話を持って来た。
「とある数クラスでだけ囁かれている怪談がある。それは、実際に起こっていることらしい。」
 半ば諦めていた私たちだが、最後に・・・・と思い、その怪談がささやかれているクラスのうちの一つに向かったのだった。

 1年A組と、2年A組。その二クラスだけで囁かれているお話。
 当時2年生だった私たちは、同学年であり友人もいる2年A組に向かった。
 その怪談は、こんなお話。
『雨も雪も関係なく、天井からぽたぽたと水が落ちる。
 それは、いつでもではないけれど、よく起こる。
 その日は、隣の墓地に誰かが埋葬される日。
 死んだ人の哀しみと、残された者の悲しみの涙が、この教室に滴り落ちているのです。』
 これが、『涙の降る教室』と題された怪談。
 私たちは、この会談を検証してみた。
  1:単なる雨漏り
 『雨も雪も関係なく』である上に、1年A組は3階、2年A組は2階。うちの校舎は4階建てなので、ボツ。
  2:配管からの水漏れ
 結構有力だったのだが・・・・教室の上に配管が通っているという事実はなかった。
  3:・・・・
 とまあ、上げていけば切がないので省略するが、考えうる限りの可能性を挙げ、それらを調べ、ボツにして・・・・
 結局、『怪談ではない』ことを証明することは、出来なかったのである。


 私たちは、水が降るところを見たことがなかったのだが、天井には確かに水の染みた跡。そして、たくさんの目撃者。よもや本物か、と思った次の日・・・・

  『それ』は、起こったのだ。

 学校帰りのその道で。すれ違った車。
 中に乗っていたのは黒服の人々。きっと、葬式があったのだろう。
 もしやと思い、急いで学校までの道を戻る。
 目指すは、2年A組。

 部活か、それとも皆帰ったのか、人気の無い教室で、なぜかぴしゃりと音がする。
 恐る恐る開けた扉の先で、私たちは、見た。

 天井の染みから、ぽたぽたと。
 床に水溜りが出来るほどに、ぽたぽたと。
 落ち続ける、水。
 それは、涙が振るかのように。

 慌てて目をそらしたその先には、廊下の突き当たりの窓。
 そこから見えたのは・・・・

夕日に染まった墓場にて、涙を流す、黒尽くめの人々。
 ああ・・・・涙が降っている。
 もう一度教室の中を見て、妙に納得する私がいた。

「ごめんなさい・・・・」
 友人Sが呟く。
 後に聞いた話では、多少霊感のあった彼女には見えたらしい。

 窓の外の人たちを見て、悲しげに佇む、老婆の姿が・・・・。

 それ以来、私たちは七不思議の探求をやめた。
 謎は、謎のままでいい。
 霊を、静かに眠らせてあげようと。
 遺族を、そっとして置いてあげようと。

 涙を流す自由を、『七不思議』の枠に押し込めることはやめようと・・・・
 そう、幼心にも思ったのだ。


 だから、私たちの『学校の怪談探索』は、これでおしまい。

 今でも時々思う。
 懐かしい学び舎の、あの教室に、今も涙は降っているのかと。


  これにて終幕。


第58話  そこにいたのは?語り手: 薫さん
これは前回、話したなぜか布団の中に無数のウロコもどきが発生した。という体験をした人から聞いたもう一つのお話です
前回にもいいましたけど、その人は昔、あてもなくたびをするのが趣味でした。そしてあるとき、とある街にとふらり、と電車を降りて滞在することにしました
そこはそこそこ観光名所とかもあり、いろいろと見る場所とかも多いのでお寺さんやそういった箇所をいろいろと散策するために一人でうろうろとしていました

あるお寺さんにいくと、ふと何やら?と感じました。というのも・・・
何で同じ人がいるんだろう?同じ場所をめぐっているのかな?というような疑問です
それもそのはず。彼がいくつかの名所めぐりをしていたら、何やらどうも同じ女の人の姿が目にはいったらしいのです。それも人気があまりないような箇所でも
ゆきも、帰りも当然人気などはありませんでした。なのにたしかに前にいた場所にいた人と同じ人です
気のせいか。
彼はそれですまし、世の中似たような人はいるし、勘違いだろう。そうおもい、次の場所に
しかし、それでもいくつか回っている最中でも、やはり同じ女の人の姿が目につきました。ひとまずその日は飛び込みで宿にとまりました
そして、次の日。
自身が使っていないはずのお風呂とかの水とかがなぜかでっぱなしになっていたことなどもあったらしいのですが、それも自分の勘違い。水の止め忘れ。そう思い再び出かけてゆきます
そして、とある海辺の崖にと景色を楽しむためにと移動しました
そこは切り立った崖ではありますけど、そこからみる景色はとても綺麗で観光名所のひとつです。
しばらくそこから景色をみていると、ふと人の気配を感じて斜め前のほうをみると・・・
そこには、昨日散々見かけた女の人の姿が。しかも服装などもまったく同じままで
「世の中には似た人とか同じような服着てる人おおいんだな〜」そんなことをおもいつつしばらく景色をながめます
そこにいるのは自分だけでなく他の観光客も数人います。それゆえにあまりきにしなかったそうです
ふと、そろそろもどろうか。とおもって女の人がいたほうをみると・・・
なぜかそこには靴がそろえてあり、女の人の姿はみえません。・・・・が
回りにいる誰もそのことに対して騒いでもいないのです。
いたずらかな?とうぜん、飛び降りたりしたのならば人が騒ぐはずです。でもそれもなし。
そのまま気にせずにそのまま彼は一応崖下をのぞきこんでからその場を離れることに決めて下をのぞきこみました
そこにはただ、崖下にある海がみえるのみで何も別に問題はありません
と。
ぐっ
何かおもいっきり体というか足をひっぱられる感覚が、まさに崖を覗き込んだ瞬間に体に襲い掛かりました
吹き上げてくる風のせい。そう自身はおもいあわててその場からしりぞきます
しかし、不思議なことに回りの人々にはそんな風はうけている様子もありません。
・・・きのせいかな?霊的な関係の類を信じていない、というのがモットーの彼はそれですまし、その場をはなれることに
そして、そのままその場をたちさり、電車にのりこみました
電車にのり、電車が発進するそのとき。プラットホームに見慣れた服装の女の人が・・・
はっきりと電車が走り出したのでみえるはずもないのに、なぜかものすごく顔をゆがめている女の人の顔がくっきりと彼の目にはうつったそうです
そして・・・そのとき。彼は思い出したことがひとつありました
それは・・・・・
彼がふらっと電車をおりた、あの日。あのときも・・・
プラットホームにてその女の人がいて手招きしていた・・・ということを・・・
それが何を意味しているのかは彼は追求することなくそのままにしといたそうです
彼はあのとき・・・よばれてあの場所におりたったのでしょうか?それとも?やはりすべては勘違いなのでしうか?
事実はわからないままに月日はたち現在に至っています・・・・
おわりです
第59話  呪う人形/助ける人形  〜シェンナの馬鹿野郎!!〜語り手: 十叶 夕海さん
今回話すのは、《道化師》シェンナが、後ろの人になってからのお話である。
ちゃんと《道化師》の名前をつけたのも、このころである。
大体、6歳ぐらい。
小学校に上がったか、あがってないかの年齢の頃だ。
余談だが、私が、《道化師》のコトを始め、『ピエロさん』と呼んでいたが、それに辟易した彼が、『俺は何色に視える?』と聞き、『んとね、ばーどしぇんな』と答えたため、シェンナと呼ぶようになったのだ。
ちなみに、シェンナは、油絵の具のスタンダートな茶色の色名である。

少し話がそれた。
ともかく、シェンナが仲間になって一年と少しが過ぎた頃。
私は、両親と妹の四人で寝ていた。
私は、テレビを見ない時は、二段ベッドの下で寝ていた。
そこに、置いてあったのが、アンティークな男の子の人形である。
ローゼンメイデンの蒼星石のような外見である。
あれよりも、かなり、古ぼけた感じであるが。
私は、彼を『トム』くんと呼んでいた。
また、一緒に寝ていたのが、マリオ人形である。
『スーパーマリオ』のマリオだ。
だいたい、40センチほどの大きさで、私はそれがお気に入りだった。
お父さんが、ゲームをプレイしていた影響もある。
私は、それを今まで、二つ持っていたことがある。
二つ目は、年齢が上がり、捨てたのだが、一つ目は今までずっと行方不明なのである。
両親は、何処かに忘れて来たか、押し入れか何処かにあると思っているかもしれないが、私は、断言できる。
絶対に見つからないと。
それが、今回のお話だ。
時間は、夜で。
場所は、二段ベッド下の上である。
いつも通り、ベッドに入り、マリオ人形を抱っこして、トム君に背中を向ける形で寝入ったのだった。
数時間後の午前七時には、いつも通り起きる・・・・・はずだった。
そうも、行かないからこその、私なのかもしれないが。
私は、目を覚ました。
この時には、仰向けの状態になっていた。
起きたのは、息苦しかったからなのだ。
同時に、何かが、胸に乗っている感触もした。
当時の妹が乗るよりも、更に軽い感じであったが。
ネコが、上に乗るような重みだ。
・・・・・猫など居ないはずの家なのに。
小さくついている豆電球を頼りに、胸の上のモノを見た。
間違いなくマリオ人形だった。
おヒゲと赤い帽子・吊りズボンがチャーミングなマリオ人形である。
プラスチック玉の瞳が、微妙に・・・・豆電球とは関係なく、薄く輝いていた。
それが、首を絞めていたと言うか、頸動脈だか、頸静脈だかを圧迫していた。
まめ知識だが、人間は成人男性でも、的確に圧迫すれば、両手の指6本で、死亡する。
親指/人差し指/中指のそれぞれでである。
マリオ人形は、丸手で、ぬいぐるみの柔らかい手であるが、その当時は私もこどもである。
おまけに、当時は標準体重以下、首も相応に細い。
それに、徐々にであるが、力も強くなっている。
折れはしないにしろ、窒息するのも、時間の問題かも、と思った時だった。
視界の端に、メイクとカツラを取ったシェンナがいた。
『助けて』と目で送るが、こう返された。
『悪い、そいつに手を出すと更にデンジャーな状況になるんだわ。』
そう言って、何処かに行ってしまった。
今は、事情を知っているが、当時としては、かなり傷ついたのだ。
・・・・・いたいけなこどもを見捨てるか、フツー?
その時だった、もう一人の人形が動いたのは。

そう、トム君である。
トム君は、マリオ人形に体当たりをして、私からマリオ人形を引きはがした。
そして、そのまま、マリオ人形もろとも、何処かに消えた。
その後襲って来た激しい睡魔に、私は抵抗できずに、眠ってしまった。
翌朝、トム君だけは、右の押し入れで、見つかった。
しかし、マリオ人形だけは、見つからなかった。
トム君の陶器製の左頬が、少し欠けていた以外、昨日寝る前に見たのと違いは無かった。
何も、入っていないただのアンティークな人形が、あるだけだった。
それは、その朝から、今までずっと、只の人形だった。
これが、私のそう言う関係の話の中で、よくわからないが、怖い話である。

ちなみに、シェンナが手出しできなかったのは、マリオ人形の中身が、彼の自称・婚約者だったからだ。
なんでも、高位の人外の娘で、下手に手出しするとその一族が軍勢でやってくるからだとか。
ニュアンスとしては、或る意味、『され竜』のギギナとその婚約者な関係なんだそうだ。
なんにせよ、幼いの私の心が傷つき、そのあとの人格形成に役立ったのは、今更の事であるが。

                   終幕
第60話  アパートに居座るもの(その後?語り手: 薫さん
さて、この百物語に私が参加しだしてもはや幾度になったか自分でも覚えていませんが。いつかこの百物語で話したとあるアパートのお話の続きの今回はお話です。
おそらく、覚えている人がいるかどうかはわかりませんが。以前話した内容、というのをひとまず反復させておくといたします
家の近くの十字路にとあるアバートが一件、たっています。その路地では以前から見通しがいいのにアパートができる前から事故が多発していた場所でもありました
そして、問題のアパートができてからさらに事故の回数は増えて、ついにはかなりの大事故までが起こった。というのは以前この場においてお話いたしましたとおりです。幸い、死者はでなかったようですが(意識不明者はでたものの・・・
さて、お話はその十字路のお話でなく、その道に面している一階のそのアパートの一室での出来事です
新築のそのアパートの一室にとある男性が引っ越してきて一人で住んでいました。が、その男性はある日、交通事故によりこの世を去りました。
そして、彼の遺骨は彼の実家に送られてきちんと法要もいとなまれ、それですんだはず・・・でした。
だがしかし…どうやらそれで終わりではなかったようなのです。その後、その部屋には不可思議な現象がおこりはじめました
誰もいないのに、かってに水がでたり、夜になるとないはずの洗濯機の音がしたり…と
それは、新しく入った人にも当然、のしかかりました。・・・住んでいる彼ら以外にはいないはずなのに、毎晩おこる不可解な現象
しかも、ある人曰く、目をさますとそこには頭だけの血を流している男性の姿がかいまみえる・・とか
夜中に決まった時間になると聞こえてくるバイクの音。そして洗濯機の音に誰もひねってもいないのに出始める水音…
死亡した男性の次に入ってきたひとは一月ももたないうちにいつのまにやら引越しをしました。ですが…そこでそれはおわらなかったのです
誰が幾度はいっても、どんどんとその状況は悪化していき、仕舞には物がとびかう・・・ そう、ポルターガイスト現象までがおこりはじめ・・・
ついには、普通のアパートだというのに、格安で「貸し事務所」として貸し出されることにまでなっていました
それでも、その事務所は夜は人はいなくても、やはり物事はおこっているようで・・・以前、私が好奇心にまけてマドガラスから中を覗いたときにありえるはずもないのに書類が散乱していた・・・というのは話したとおもいます
そして、やはりその部屋をかりた事務所の人たちも長続きすることなく…しばらくその部屋はずっと空きやのままでした
やがて、その現象は二階にも影響をおよぼしはじめたのか、二階の部屋も水音などがしはじめた。というのも以前お話しました。
二階の部分に関しては、幾度もお祓いをしたのか、それとも住人、もしくは大家が何らかしらの手段を講じたのか、それらの減少は多少は収まったようではありますが…
そして…一年ほどまえ。ずっと空きやだった部屋にとある家族が再び引っ越してきました。去年だったか話したときに、その家族の行く末が気になる・・・というので話はおわっていたとおもわれます
このたびのお話は、その家族のその後のお話です
かつて、この場所が水害にあったときに、その部屋に当時住んでいた男性は荷物のそもままでそのまま逃げたままになり、もどってきたものその部屋には二度と住まずに今では二階の中ほどの部屋にと住んでいます。・・・その部屋には二度と入らずに・・・
その後、その部屋にはいってきのたは子供連れのどうやら家族のようでした。
電気がついてる・・・。初めに感じたのはまずその一言につきます。
しばらく、その家族はその部屋に住んでいたようなので、もう現象はなくなったのかな?とおもい多少安堵していたのですが……
どうやら、そうではなく、やはりその家族も半年ともたずにひっこしていきました…しかも、同じ地区にできた新しいアパートにと・・・・
そして…今。先々月より、新しい人が再びその部屋にとまたまた入室しています。
どうやらみる限り、その人の仕事の関係か昼間は部屋にいて、夜は仕事といった感じなのか、いつも夜にはその人の車などは駐車場にはありません
いまだにその部屋に住んでいるとおもわれし、男性の影響は健在だ。というのは噂にも聞きます。・・・このたび、ひっこししてきている人物は今度はいつまでもつのでしょうか?
毎日、そのアパートの前を通るたびに思います。できうればもう数年以上経過するのでそろそろ浄化してほしい・・・と・・・
おわりです。(現在まだまだ進行形、アパートの一室でした
第61話  寂しがり屋の人外との出逢い +泣きたいなら、泣き叫べば良い+語り手: 十叶 夕海さん
私には、俗にいう『後ろの人』が複数存在する。
一番古くそうなったのは、道化師姿の『道化師』或いは、シェンナと呼ぶ存在。
哀しい最後を持つのは、巫女姿の『お姉さん』或いは、紅葉と呼ぶ存在。
プリティ&デンジャーな、ジャガハムのゾディに、赤い仔猫のクリムゾン=キティ、ハリネズミのハリー。
もこふわな癒し系な、ロップイヤー系ウサギのパズル、白仔猫のヴァイス。
清明?から、受け継いだお稲荷さんの木芽丸、もといこのめ。
ラピズの腕輪に入っていた吸血鬼のリューナティス、通称;リュース。
学校の怪談で、自殺者だったマナブ。
などなど、たくさんいる。
ややこしいので言えば、タロスピと呼ばれる一団もいるし。
慕って来る、それなり上位の悪魔?の名前持ちのブールとヴィオと言う二人も居る。
しかし、大抵これらは、常駐していると言っても良い。
そうでないのも、何人か居る。
今回は、その中の一人との出逢いを紹介しよう。

小さい頃・・・・と言っても、小学校高学年ぐらいは、ピアスとか、イヤリングとかのアクセサリーがとても、カッコイイモノに見えた。
ペンダントなんかは、ガキのお小遣いでも、祭りの露店でそれなりのモノが帰るが、ピアスなんかは、結構馬鹿にならない。
でも、やっぱり欲しいとは思う。
付けたいとか、そういうんじゃなくて、手元にコレクションしたいと言うのが、近いかな。
そんな時に、狙い目なのが、フリマや質屋なのだ。
たまに、ガキの小遣い・・・・せいぜいが、千円ぐらいで、買えるものがある。
質屋だったのか、フリマだったのか、どちらかは分からない。
もとい、忘れた。
しかし、フリマや質屋は、基本的に、誰かが使っていた事になる。
それを失念したいた。


でも、たぶん、フリマだったかと思う。
おばあさん・・・・濃い紫色のショールと黒いワンピースって言う何処か浮世離れした服装で、80歳ぐらいかな。
そのおばあさんは、幾つか、品物を並べていた。
古いタロットカードだったり、水晶玉だとか、アクセサリー。
或いは、古びた小物入れだったりが並んでいた。
フリマは、下手すれば、20年前野とかが並んでいる時があるが。
それでも、せいぜいが、5〜10年だろう。
しかし、そのスペースは、一ケタは、年代が違うように思えた。
それでも、アクセサリーは造りがしっかりしていた。

買わなければ、なんでもなかったんだろうけどね。
なんとなく、一つのイヤリングに目が止まった。
くすんだ銀で、蔓を編み、それが黒い石を受け止めているデザインだ。
なんとなく、それが欲しい思ったのだった、
「いくらですか?」
「そうだね。
 珍しい相をしておるし、お嬢ちゃんはぴっちぴちだろうしのう。
 1000円でどうじゃ?」
おもったよりも、かなり安かったので、即決で買う事に決めた。
しかし、シェンナ曰く、老婆はこう言っていたと言う。
『あの子が、稀で興味深いこのところに行くとは。これも縁じゃのう。』と。
敢えて言おう、シェンナ。後ろの人なら、止めてくれ。と。
そして、その日の晩。
嬉しくて、枕元において寝たのだった。
べたべただけど、午前二時半。
草木も眠る丑三つ時。
何故か、ふと目が覚めた。
何時か確認する為に、時計を見た。
まだ、数時間は寝れると思い、瞼を閉じようとした時だった、
『寝るな。』
「・・・・・・誰?
 シェンナでもないし、ユキちゃん達でもないよね。」
『慣れておるの、人の娘。』
「娘じゃないよ、夕海だって。」
誰かに話しかけられた。
黒曜石のような鈍い艶のある長く真っ直ぐな・・・・畳に座り込んだ状態でも、畳に遊ばさせるほどの長さの髪に、銀灰色と黒曜石色の瞳。
青白いと言って良いほどの白い肌に、銀の輪で止めた黒いぞろりとした服。
靴ではなく、布と銀の輪で、足を覆っていた。
彼の印象を言うならば、ピグマリオンの彫像だろうか?
肌に血が通っているところを想像できないのだ。
それに、あれが人間なら、美形って言葉は絶滅してしまうだろう。と幼心に思ってしまうぐらいに、迫力のある美人さんだった。

「誰?」
『私は、そこのイヤリングのオブシディアンに入っていたヤツだよ。』
「なんのよう?」
『懐かしい気配がしたから、出てみれば、別人だった。
 ・・・・・・・・・・これだから、人はキライだ。すぐに居なくなる。』
「懐かしい人って、恋人さん?」
『解らぬよ。
 それを聞く前に、アレは逝ってしまった。』
「寂しいの?
 お兄さん、すごく寂しそうだけど、寂しいの?」
『・・・・・・さあのう。
 何年、石の中に居たかも、解らぬぐらいだ。』
「でも、寂しそうに視えるよ。」
『そう視えるのか、人の娘。』
「夕海だって。」
こんな調子で、つらつらと会話していた。
『楽しかったと言うのだろうな。
 人の娘、礼を言う。』
「お兄さん、起きてる時なら、いつでも出て来ても良いよ」
その時は、そんな会話で終わった。
・・・・・それから、何度も、彼は出て来た。
決まって、それは、ユキちゃん達やシェンナが居ないときだった。
私自身、彼が、『寂しい』ことを『寂しい』と認識していないのだと言う事に気がついた。
でも、それは、とても哀しい事だと思う。

私の『後ろの人』の中では、珍しくうやむやのうちに、彼は、そうなった。
名前を教えてくれなかったので、勝手に、カーディナル=オブシディアンと呼んでいる。
ま、そのまま、『黒曜石のカーディナル』と言う意味合いだが
長いので、通常は、カディと呼ぶことが、多いのだが。
彼は、他の人に比べても、常駐しているわけではない。
・・・・・戦闘力ならば、そう他の連中に負けないレベルなのだ。
闘おうとすること自体稀ではあるけれど。

しかし、彼の正体に関しては、不明だ。
恐らく、人外だと言う事しか解っていない。
ただし、ブールやヴィオ・・・・・それなりにパワーがある存在なのに・・・・・その彼らが、怯えたと言うか腰がひけた感じで、彼には接する事が多い。
あの二人よりも、上なのだろうかと思う。
だけれども、寂しがり屋の人外で、私の後ろの人である事に違いはないのだ

だから、おもうのだ。
彼は、もう少し泣いても良いのだと。
それすら、出来ないのが彼であるのだけれど。                    +終幕+
第62話  災う現と夢違え語り手: 羅城 朱琉さん
 さて、私、羅城 朱琉には、「霊感」といった物は一切ない、と自負している。
 見えて聞こえて話せて憑かれるという友人曰く、「天然で『そういうもの』に対してバリア張ってる」とか。よほど強い霊じゃないと私には近づけない・・・・らしい。(そう考えると、シノブさん恐るべし・・・・。)
 しかし、こんな私だが、ひとつ不可思議な能力がある。・・・・まあ、自分の意思で制御できないものを『能力』と言っていいのか甚だ疑問ではあるが。

 それは、一度発動すればほぼ100%の的中率を誇る『予知夢』である。
 とはいえ、それが本当に『予知夢』と呼んでいいものなのか・・・・。厳密に言えば少々違うものかもしれないが、その辺りは大目に見てもらいたい。


 とある暑い夏の日のこと。
 高校の授業中。ふとした拍子に、私は既視感を覚えた。
 次の瞬間、気付く。
『これは、前に夢で見たことがある。』と。
 だからといって、どうということもない。夢で見えるのは、ほんの一瞬の場面に過ぎなくて・・・・。
 例え、そんなことが二回三回四回五回・・・・果てに二桁突破しようと、『おいおい・・・・何か意味あるのか?これ。』と呆れ半分にしか思っていなかった。
 何ていうか・・・・「国の危機の最中、突然十年後のダイコンの値段を『神託』されてしまった巫女」って、こんな心境なのかもしれない。


 そんな感じで時は過ぎ。時々、なんの役に立つのかわからない予知夢を見つつ、私は高校を卒業し、大学生に。
 そんなある日、いつも通りに既視感を覚えたのは、電車に乗る直前だった。
 夢で見たのは、『目の前に止まっている電車に乗る』という場面。
 その電車に乗る予定だった私は・・・・ふとした悪戯心で、足を止めた。
(この電車に乗らなかったら・・・・どうなるんだろう?)
 急ぐ用事ではなかった。ただ、休日で、近くの大都市に遊びに行くだけだった。だから。

 目の前で閉まるドア。ゆっくりと走り出す電車。
 ホームで電車を見送った私は、ちょっとした悪戯に成功したような心境で、小さく笑いながら次の電車を待った。

 さて、無事に次の電車に乗った私であったが特に何も起こらない。やっぱり特に意味はなかったのかなぁ・・・・と思っていたその矢先。
 終点でもないのに、駅に停まったまま、電車が動かない。そして、車内放送が流れた。
『ただいま、○○駅において、列車と人との衝突事故がありました。』
 と。

 ・・・・・・・・えー・・・・ちょっと待ってクダサイ?時間から考えて・・・・その事故った列車って、私が本当なら乗るはずだったヤツ?
(・・・・・・・・おいおい。マジっすか。)
 ようやく動き出した列車と、その○○駅にてどっと増えた乗客を見ながら、私はちょっとばかり驚いていた。

 後ほど調べたところ、本当に私が乗るはずだった電車に人が撥ねられてました。しかも・・・・結構血みどろで悲惨なことになってたそうです。

 それから、既視感が起こると、少々気をつけてみた。
 そうすると・・・・夢どおりに行動するたびに起こる、小さな不幸・大きな不幸。
 そんなことが数度続いて、流石に、夢に出てくることをしないでいると、その後に起こる災いを防げることに気付いたのだ


 ・・・・まあ、もう少し早く気付け、って思いましたけど。一度大怪我してから気付くって・・・・。
 今日も今日とて・・・・もとい、今週はじめも、夢に出たことと逆のことをしたら・・・・あぁ、よかった。生きてこのチャットに参加できて。
 何があったか、って?

  ちょっとですね・・・・猛毒の試薬がですね・・・・・・・・。
  ドクロマークつきの瓶が、倒れまして・・・・。
  夢で見たとおりの場所に置いてたら・・・・頭から被ってたかもしれないです。ガラスの破片と猛毒試薬。

 嗚呼、怖かった・・・・。

 怪談・・・・ではないけれど、ある意味身近で恐怖体験。
 確かに、職場はシノブさんが出ますけど・・・・この間、ついに謎の女の笑い声とか聞いちゃいましたけど・・・・。
 はっきりいって私、毒の方が怖いです。フツーに死にますから。
 最近見る予知夢、一歩間違えると死にそうなのばっかりですから。

 と、まあ、こんな感じで。
 もしもまた夢を見たら、そして、既視感を覚えたら・・・・迷わず、別の行動を起こします。
 だって、命は大切ですから、ね。

 と、いうわけで、not怪談な、それでも(私にとっては)怪談より深刻に恐ろしい不思議体験は、これでおしまい。
 皆さん、どうか命は大切に。


  これにて終幕

第63話  現実にあったらいやなもの語り手: 薫さん
さて、私はこの場にて様々なユメネタの怖い?話をいくつか話してきたことがあります。一番未だに印象深いのは以前のリピート夢ですが
今回のはあらゆる意味で逆に印象深い夢なので覚えているかなりいやな部類にはいる夢です
夢の中の私も日常と同じように、いつもと同じように過ごしています。そしていつものように会社にいき、そして仕事が終わり、家に帰り・・・そこまでまったく日常風景そのままです
そして・・・ いつものようにベットにはいり、眠りにつきます。・・・が、その途中で何やら違和感を感じて目が覚めました。ちなみに目が覚めた、といっても夢の中でのことで現実にではありません
目がさめて、まず何かもぞもぞとした感覚が体の回りにかなりあります。?ネコたちかな?そんなことをおもいながらもまた寝ようとしますが、やはり何かが違和感があります
あまりに違和感がつよいので、しかたなく一度電気をつけてみると・・・
なぜか、びっしりと体の回りに羽アリや、そしてゴキプリのしかも幼生が……
しかも、それは体の下にまでいて、さらに部屋を見渡すと部屋全体を覆っています
もはや絶叫というか声もでません。ネコたちの姿もみえません。うごくに動けない。とはまさにこのこと
しばらく固まっていると体にもぞもぞと今度はまともなゴキプリなど・・・さらにはなぜか蛇などまでがよじのぼってきます。なぜ!?状態でもはやバニックです
とにかく、にげないと・・にげないと!それだけが頭にありますがうごけません。
いったいそれでどれくらい固まっていたのでしょうか。ふと、はっと気がつきますとそこはまっくらな部屋・・・
そう。どうやら今後は確実に目覚めているらしく、先ほどまで感じていた違和感などはありません。ほっとしつつも不安になり電気をつけます
そこは見慣れた部屋・・・夢かー。それでほっとしたものの・・・あの感触はあまりにリアルすぎて・・・しばらくは気持ち悪いままでねつけられませんでした・・・
そのあと、念のために部屋中を調べたことはいうまでもありません・・・
なぜにあんな夢をみたのか不明ですが・・・おそらくは、この時期。このあたりはねアリがおおくて会社で格闘してるのも原因があるのかな?とすらもおもえてしまいます。
ですが・・・あんな夢はあまりにリアルすぎて二度とみたくない。というのが本音です・・・
いろんな意味で怖かった夢の話ですが、短いですがこれで終わりです。
みなさんも、リアルな夢のときの感触は・・・しばらくぬけませんよ?きっと・・・ふふふふふ・・・(涙
第64話  瞬間移動         すんません語り手: 海斗さん
私の友達(友)の体験です。
まだ友が3歳ぐらいの頃、父と2人で遊園地に行ったときです 父と乗り物にのるために順番待ちをしてた時、友は退屈からかその場で 目をつぶったまま三回転ほどくるくる回ってました。
そして目を開けたら まったく見知らぬ場所にいたのです。
そこは遊園地内にある水族館の中でした 水族館と乗り物の場所は一キロほど離れており、なお水族館に入るには チケットが必要だったのです。
友はその場で泣き始め結局園内放送で父を呼んでもらいました
その後父と話しても父はほんとに一瞬煙草に火をつけようと目を離した ホンの数秒の間に消えてしまい最初は後ろの人にいたひとが誘拐したのかと 思ったそうです。
友はその体験以降目をつぶったまま回転すると どこかにワープしてしまうものと思い恐怖から二度とやらないと思ってました。
でも5歳の頃田舎の祖父母の家に行ったとき庭であの時と同じように その場で目をつぶりくるくると回って見ました。
そして目をあけると 見たことのないといえば当然ですが海についていました。
そこは結局、祖父母の家から 5キロほど離れている海でした。
今はもう同じ事をやっても何もできません。
ただ友はそのとき確かに瞬間移動したと言っています。
第65話  死して求めるも人の温もり語り手: 月読乾さん
初めに断っておくと、僕自身は少なくとも『見た』り『聴いた』りする能力は備わっていないようです
だから、これは夕海さんのフォローを通して、僕に関わったらしいある霊のお話。
去年の10月頃の事、夕海さんと電話で話していたら突然聞かれました。
「柳の下通らなかった?」と。
柳の下…その言葉を聞いて、心当たりがあるのはお墓近くの川沿い…
そこには柳が生えています。夕海さんに言わせれば、僕の体に遊女の霊がついてるとの事。
僕に憑いたのは、少なからず僕に憑いてもいいと思わせる物があったかららしいですが…
時尾さん…その方はそういう名前らしいです。とりあえず、夕海さんの後ろの紅葉さんの力を借りて祓ってもらったのですが
後で聞いた話だと、当時死んだ後柳沿いの川に投げ捨てられたのだとか…
亡くなった後も、温もりを求めに憑いてきたのかな?いずれにせよ、ちょっと切ない気分になりました。
今は、彼女は成仏して幸せになってるのかな?と思ったりします。
以上。短いですけど、僕が関わったらしい霊のお話でした。
第66話  謎の呟き男語り手: 十叶 夕海さん
私の話にしては、珍しく、本当に珍しく全うな怪談話だ。
私は、彼に何もしなかったし、私も、何もされなかった。
ただ、彼の呟きを聞いただけだ。

あれは、昨年の秋学期が始まって、しばらくだろうか。
だから、九月半ばか、それくらいだ。
まだまだ、暑い日が続いていた。
私は、大学の図書館に、調べ物のため、通っていた時期だ。
その日は、午後一杯を図書館で過ごした。
しかし、うたた寝をしてしまい、何時も乗っている方のバスの時間が無くなってしまっていたし、もう片方も、もう20分もすれば出てしまうと言う時間だった。
急いで、荷物をまとめ、正門の方へ向かった。その途中、図書館よりの場所でそれは起こった。

通り道には、創立者のおっさんが、学士服というか、大学の卒業式で着るようなあの服を着た銅像と、蓮がある池と植え込みがあるのだ。
そこに、男性が居た。
黒髪に、Tシャツに、ストライプのシャツを羽織っているジーパン履き大学院生ぐらいの男。
そう、それこそ、昼間見れば普通に大学院生か職員だと思っただろう。
夜でなければ・・・・・・・・・・。

(うわ〜、サイコ?
 サイコだよね!怖いよぅ〜)
等など思いながら、引きつり笑顔で、その横を通り過ぎた。
失礼だとは思ったが、日も暮れた時間に、銅像を見上げていれば、そう思われても仕方ない。
そして、こんな事を呟いていたのが耳に入る。
『こいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎いこいつが憎い・・・・・・・』
とエンドレスに呟いているのだ。
しかも、その時の距離と音量の具合からして、絶対に聞こえない距離のはずなのに。
その声は、私に届いた。

(関わっちゃダメだ。)
そう思った私は、ヒール付きのサンダルだったのにも関わらず、走った。
転びそうになっても、走った。
はっきり言って、古いタイプのアスファルトのせいか、凸凹している。
何度か転びかけたし、後から確認すると、ヒールが変な風にすり減るわ、傷だらけになっていた。
色気出して、初めて小遣いで勝ったヒールのサンダルだったのに。
バス停に付いた時には、手と背中に、嫌な汗をかいていた。

その像のところに居た彼の『逆恨み』なのか、『真っ当な恨み』なのか、知らない。
だけど、本人のところに出てやってくれ。
本人が死んでるにしても、親族のところに。

これが、私の体験・・・・と言うよりは、目撃談。
風の噂では、まだ居るらしいとの事なので、私は日々遠い目をしている。

                               + 終幕 +
第67話  作り話語り手: 海斗さん
エイプリルフールに男が3人で話していましたそこで嘘を話し合うことにしましたそして1人が『やっぱ嘘って苦手だわだからさ1つ作り話をするわ』『おいおい何だよそれ〜』
『まあ聞けよマズ男はとある部屋にいます そこにはこう書かれています
(ここは生と死の狭間ですここでは行動が矛盾しては行けません
まず左に人がいます 右にN国行きの船があります選択肢は3つです
1つ人を切りますそれでその人は助かり船の人全員死にます二つ船を切りますそうすれば船の人は助かり左の人は死にます三つあなたが死ぬことそれでみんな助かります)そう書いてあった男は船を切ったそのまま目をつぶって部屋を進んだ左は絶対見なかった
次にこう書いてあった(まず左には人がいます 右にはN国があります  1つ人を切りますそれでその人は助かりN国の人全員死にます二つN国を切りますそうすればN国の人は助かり左の人は死にます三つあなたが死ぬことそれでみんな助かります)
そう書いてあった  男は迷わずN国を切った人が倒れる音がする  そのまま部屋を進んだ左は絶対見なかった次にこう書いてあった(まず左には人がいます 右には星があります  
1つ人を切りますそれでその人は助かり星の人全員死にます二つ星を切りますそうすれば星の人は助かり左の人は死にます三つあなたが死ぬことそれでみんな助かります)
男は迷わず星を切ったそのまま部屋を出たそこにはこう書いてあった(おめでとう君は生き残った尚今回の犠牲者は彼らだそこには親父とお袋と弟の遺影があった男は絶叫した
なんでだよなんでおやじたちなんだよ次は誰なんだよそう行った瞬間遺影が一斉に男を指差した 』『おもしろいけど落ちがあれだなちゃんと嘘話しろよ』『したよ作り話って』
第68話  さて語り手: エモーションさん
これは「新耳袋」という本絡みのお話です。
私はこの本がリニューアルされてから、ほぼ毎年、発行するごとにこの本を買っています。
その新耳袋も2年前、ついに最終巻の10巻目が発売されました。
当然購入したので私の蔵書の新耳袋は全巻コンプリートした……はずでした。
そう、確かに全巻あるはず、なのですが……なぜか買ったはずの8巻が……ない、んですよ。
探しても見つからず、仕方なく注文して買い直しました。見つかったら、もう片方はブコフにでも売ろう、と思って。
で、新たに手元にやって来た8巻。中身を確認しつつ読んでみたら……
中の話は全く覚えがない話ばかり。
確かに……8巻は買った。買った以上、私が読んでいないはずがない。なのに、中身の話は多少どころかほぼ全部覚えがない。
ど忘れしたのだと無理やり決めて、読み終えた後、書棚にしまいました。……これが、去年の話です。
さて、今年なんですが……
書棚に入れたはずの8巻、みつかりません。どこいったんでしょうねぇ……(遠い目)
……正直、また買う気はないです。
というか、買ってまた内容違ったら激しく嫌ですし(汗)
こうなったら意地でも探します。
さて、どこ行った8巻!!
終わります。
第69話  今の日本は彼らの犠牲と言う対価に対して、有益でいられる国なのかな?語り手: 十叶 夕海さん
さて、先日は、62回めの敗戦記念日ということになる。
まぁ、最低でも、半年・・・・・最長でも、二年早く終わっていたかもしれない大東亜戦争。
軍部・・・・・正確には、大和気質が生んだ悲劇と言うべきか。
涙する事実は多いものの、されとて、当時の日本を同情しきる事は出来ない。
・・・・・・・当時のアメリカを恨みきる事が出来ないように。

今、現在、小中高、短大生・・・・・・要するに一般人が、手に入れれる資料。
ミリオタが好むような本を含めて、検討するに。
・・・どうにも、あの流れでは、開国以前から、川の流れのように、逃れえない結末にみえる。
もちろん、戦術のプロではないけれど。
それでも、それは、よくできた詰め将棋のように。
歴史に、『if』はない、あってはならないけど。
それでも、少しでも、違っていたらと、思考を回しても、結局は8月15日に行き着いてしまう。
遅い早いはあっても、多い少ないはあっても、敗北と言う形で終わりえてしまう。

アメリカで、太平洋戦争は、原爆投下は正しいと言われる。
そう教育されている。
でも、『あれ』を追体験・・・・・・せめて、惨状を正確に知ってそれを言えるだろうか。
数年前、偶然追体験をさせられた時に、私はそうは言えない立場になっている。
『あれ』は、人の死に方じゃない。
少なくとも、人がああいう風に死んでいいもんじゃない。
今回は、その話しは置いておく事にしよう。

数日前、今年の8月15日が後少しで終わる頃だった。
たぶん、16日だったかもしれない。
ともかく、15日深夜。
私は、実家から帰って来た。
友人と、電話を交わし、さあ寝るかと電気を消し、布団二潜り込んだ。
数分後、うとうと、していた。
というか、80%は寝ていたのかもしれない。

明るくない明るさという表現以外しようがない光が、私のベッドの真上・・・・・天井に、『それ』は居た。
『それ』は、壮年の国民兵と表現するのが、一番簡潔だろうか。
『それ』には、片足と片腕が無かった。
たぶん、彼が死ぬずっと前、失ったのだろうと私は思った。
『娘、一つお主に問いかけたい』
「・・・・・・・娘じゃない、十叶夕海だよ。」
『今の日本は平和かな?』
「・・・多分ね、少なくとも、女子供が笑っていられる状況が多いわ。」
『良かった。
 わしらやあの子らの犠牲は無駄じゃなかったんだな。』
そう言って、『それ』は、消えた。
同時に、ふたつの単語が、頭に浮かんだ。
調べると、アパートの近くの動物園で、戦時中国内で生き残ったゾウの名前だそうだ。

「・・・・・・・『かわいそうなゾウ』か。
 おじさん、日本は平和だけど、平和じゃない。
 子殺し親殺しは、多い。それ以外の犯罪もうなぎ上りだ。
 少なくとも、貧しくとも、おじさんノ時代みたいな温もりは希薄だ。
 無いとも言いきれないのが、寂しいけれどね。」
一通り、調べ上げ、事実確認が済んだ後、そうとだけ呟いた。
都市伝説を、その身で体験してしまったけれど。
どうも、すっきりしないまま、またベッドに入った。

・・・・・・少しだけ、枕を濡らして、眠りに落ちた。


また、繰り返すのだろうか?                      終幕
第70話  お前誰だよ!語り手: 海斗さん
これは私の叔父の話です
彼が大学生の頃の話。学校の近くの寮に住んでた彼ある日の朝、電話の音で目覚めた受話器をとると、「誰やお前!?なんででるねん!」の声。ちなみに彼は大阪在住。学校も大阪。びっくりして何か言いかえそうとしたら、既に電話は切れていた。
で、変な電話だなあと思いつつも起床して学校へ行った。夕方その日はサークルの飲み会があって、皆とバス停で待ち合わせ。しかし誰もこない。携帯電話を持ってない彼は誰とも連絡がとれず、
家の留守電に何かメッセージが入ってないか確認しようと思い、公衆電話から家にかけてみた。すると、受話器をとる音が。誰も居ないはずなのに。
驚いた彼は「誰やお前!?なんででるねん!」と叫んでいた…彼の言いたい事、わかってもらえるでしょうか?説明のつく事象なんですかね?着信履歴はありませんでも本当のことだそうです
第71話  朱琉とユミさん(仮)の道端怪談語り手: 羅城 朱琉さん
 私、羅城 朱琉には、少々変わった友人がいる。
 彼女・ユミ(仮名)は、俗にいう「見える人」なのだ。・・・・まあ、彼女の場合、見える・聞こえる・触れる・おまけにとりつかれる。そのくせそういう系を一切信じない!と固く心に誓っており、見えてしまうなら解明するまでよ!と言って理系の道に進んだつわものである。・・・・ほとんど意地な気もするが。
 これは、そんなユミと私が一緒に体験した・・・・もとい、ユミが体験するのを私が隣で見ていた怪談である。

 その日、私とユミはカップルに間違われつつ、買い物をしていた。
 後に思うと、その日の話題は『完全犯罪に近く、それでいて探偵が鮮やかに解き明かせる殺人事件を考える』というやたら不穏極まりないものであったことも、怪奇現象の原因であったのかもしれない。
 とにかく、私とユミ(共に推理小説好き)は、二人で街中をうろついていたのだ。

 と、突然、ユミが私の手をがしっと掴み、早足で歩き出す。
 私は、特に逆らわずそれに従う。
(ああ、また何か見たのか・・・・。)
 実は、慣れっこな私であった。
 私は何も見えない、感じない、なのだが、こういう友人がいるので、存在は信じている。だから、そういうときには何も聴かずただ付き合って早足になるのだ。

 ところが、である。
 ユミが、唐突に立ち止まったのだ。
 それも、横断歩道のど真ん中。青信号が点滅を始めたときに。
 流石にぎょっとしてユミに声をかけると、ユミは小声で、しかも何だか苦しそうに言った。
「朱琉ちゃん・・・・動けない・・・・。」


 驚いたのは私のほうである。そろそろ信号は赤になってしまうし、こんな所で立ち尽くしてたら轢かれる。
 それで、どうしたか。
 抱えたのだ、ユミを。いや、抱えたというよりは、引きずった、だろうか。
 理系で体力皆無の私だが、流石に自分より10センチくらい小さければ、それくらいは可能である。
 ところが・・・・重い。なぜか、ユミがとても重いのだ。
 一応、ユミの名誉のためにいっておくが、彼女は決して太っていない。それどころか、少々細すぎるくらいである。
 そんな彼女が、まるで、中身満載推定80kgのタンスを引っ張っているかのように・・・・いや、それ以上に重い。
 信号が赤になった。
 ああ、どうしよう・・・・?

 流石に、そこまできたら恥も外聞も捨てるしかない。
 ちょっと乙女にはあるまじきような掛け声と共に、大地を踏みしめて・・・・その瞬間、唐突にユミが軽くなった。
 後ほど聞いたところによると、その瞬間、ユミは動けるようになったそうだ。
 私とユミは、急いで横断歩道を渡りきった。

 唐突に立ち止まってからここまでの間、おおよそ10秒。
 短くも長い怪奇現象だった。

 さて、ここから先は、私には見えなかったことであり、後ほどユミに聞いた話である。
 その日、ユミはずっと後ろに何かをくっつけていたらしい。
 それがふと離れた瞬間、早足になって逃げ出そうとして。
 しかし、追いつかれて、横断歩道の真ん中で足をつかまれ金縛り。
 じわじわ体を昇ってくる感触が苦しいやら気持ち悪いやらで、早く終われと思っていたその矢先。
 乙女にあるまじき掛け声と共に私が踏みしめた地面が、丁度その幽霊の生えている(?)場所だったらしく。
 その瞬間、ユミは金縛りから解放されて、逃げ出すことが出来た、らしい。

 まあ、こんなことはよくあること、らしいのだが・・・・それはなんだかイヤだと思う私である。
 とにかく、怪談、のはずなのに、いまひとつ深刻になれない怪談はこれで終わり。

 また、ユミと買い物に行く約束をしているのだが・・・・今度は何も起こらないで欲しいものである。


  これにて終幕。

第72話  後ろの娘との出会い語り手: 月読乾さん
夕海さんとは、ある事がきっかけになって親しく会話するようになってからもう3年になりますが、これは僕が夕海さんと親しくなったばかりの頃…
14歳かそこらの女の子に心当たりは?と聞かれました。
どうやら、僕にある事がきっかけでついているらしい。だけど、僕には残念ながら視たり感じたりする力は無い様なので、夕海さんに逆に聞いてみる事にしました。
夕海さんの言葉を借りれば、外見は黒髪を腰よりも長く伸ばし、瞳は黒曜石の様な黒。
身長は、五尺に半尺足りないくらいで服は蒼色のワンピースにショールだとか…
夕海さんの眷属の紅葉さんに似た形で人生を終えた?半土地神…土地神のなり損ないの様な感じらしいです。
要するに、旱魃か洪水か、山神のへの供物にされ、神になるようにされた少女の成れ果てだとか・・・
僕の住んでるところは結構古くからの神社仏閣や史跡が残る場所…あり得ない話ではないんです。
偶然に近いとは言え、僕の後ろについたらしいその娘の生い立ちを聴かされた後、夕海さんのアドバイスでその娘に改めて名前をつける事にしました。
水にちなんで、僕は蜜瑞…と、その娘に。
お菓子好きらしく、あれから3年の間時々和菓子を供えたりして今に至ります
夕海さんを通して、時々彼女の様子を聴きながら今も彼女のお世話になっている…そんな感じで今も日々を過ごしています
蜜瑞ちゃんに恥ずかしくないよう、こっちも頑張らないとな…と思う日々です。以上
第73話  心中語り手: 海斗さん
これは夢ですがとてもリアルでいまだにおぼえてます
「おい、まだかよ?」 俺は、女房の背中に向かって言った。どうして女という奴は支度に時間が掛かるのだろう。
「もうすぐ済むわ。そんなに急ぐことないでしょ。…ほら竜ちゃん、バタバタしないの!」
確かに女房の言うとおりだが、せっかちは俺の性分だから仕方がない。 今年もあとわずか。世間は慌しさに包まれていた。 俺は背広のポケットからタバコを取り出し、火をつけた。
「いきなりでお義父さんとお義母さんビックリしないかしら?」「なあに、孫の顔を見た途端ニコニコ顔になるさ」 俺は傍らで横になっている息子を眺めて言った。 「お待たせ。いいわよ。…あら?」
「ん、どうした?」 「あなた、ここ、ここ」女房が俺の首元を指差すので、触ってみた。 「あっ、忘れてた」 「あなたったら、せっかちな上にそそっかしいんだから。こっち向いて」 「あなた…愛してるわ」女房は俺の首周りを整えながら、独り言のように言った。
「何だよ、いきなり」 「いいじゃない、夫婦なんだから」 女房は下を向いたままだったが、照れているようだ。 「そうか…、俺も愛してるよ」こんなにはっきり言ったのは何年ぶりだろう。
俺は、足下の台を蹴った。
1週間後・・・親戚が一家心中した・・・顔は見たことがあった・・・夢で見た顔だった
第74話  優しさは、幽霊の為にならないということ。語り手: 十叶 夕海さん
さるお盆も後半になったある日。
帰省して二日目の事だった。
元々、長居は出来ないので、墓参りにそうそうに出掛けた。
同じ町内に、自分のうちのと、親戚の家のがある。
それを両方参る事にしたのだ。両方行っても、一時間も掛からないからだ。
現在住んでいる愛知県に比べて、実家の方は涼しい。
更に、墓は、やはり、少々涼しいのだ。
何事も無く、自分の家の墓を参り、親戚の家の方を参る事にした。
古い墓で、御影石だとか、そういうのでない墓だった。
もう、親戚参っていたのか、花も飾ってあった。

ところで、と言うわけではないが、私は、視る人が視ればすごい格好である。
頭の上に、このめ。
背中にロップイヤーのパズル、肩に猫二匹が、いる。
それに惹かれてか、霊園の動物も集まってくるのだ。
追い払いつつ、蝋燭と線香を供えた。
手を合わせ、さぁ帰るかと言う段階になったときだった。
おなじ区画にあるそれこそ、元は赤茶けた色だったのが、黒ずみカビもはえ、半ば崩れた墓から、何か黒い影が、親戚の墓へと触手を伸ばす。
直感的に、『あ、この墓の人だ』と解ってしまった。
『お前が悪いんだよ。線香や花をたむけなくなったから』
というのが、それの意見。
確かに、小さい頃。
何も知らずに、その親戚の家に供えた線香と花を一本づつ抜いて、供えた。
何も知らないと言うのは、怖いモノだ。
それでも、それはしては行けない事と気がつき、止めて数年が経ったのが、その日だった。
はっきり言って、身勝手この上ないと思った。
貰えるだけで、忘れないでいてもらえるのが、最上の事なのに。
自分から欲しがるのは図々しい。
まだ、血縁者にねだるのならまだしも。
「消えて」
そうとだけ、呟き。
それをかき飛ばした。
『手荒いのう、夕海。』
「死にしき仲にも、礼儀ありよ、このめ
 滅ぼしては居ないわよ、数年、集まれない程度に吹き飛ばしただけだから。」
『夕海を起こらせたのが、運のつきじゃの。
 身内に、手を出されるのが嫌な夕海にあんな真似したんじゃから。」
「白玉小豆入りの抹茶バーでも、買って帰ろうか、このめ。」
『そうじゃのう、みつ豆も付けて欲しいんじゃが。』
「はいはい。」

などなど、会話をして霊園を去った。
それにしても、田舎の霊園の方が幽霊が多いのは、気のせいではないだろう。

                            +終幕+
第75話  ああ どうしよう語り手: 海斗さん
これは何で聞いたかわかりません
彼は終電が過ぎてしまって困っていた。 「あぁ、どうしよう」そんなことを何度も呟いている男がいた。
なんだろうと思っているとふと気づくと、目の前に黒いスーツを着た男が立っていた。
その男は彼と目が合うと驚いた表情をして俺にこう言った。 「お前さん、この前の・・・」 彼は考えた。見覚えがない人間にそんなこと言われても。 10秒間の沈黙があった。
何故か俺はただならぬ危機感を感じていた。 「お前さん、この前の」 男が再びその言葉を口にしたとき、彼は気づいてしまった。
彼はその場を駆け出した。必死に走った。 もう大丈夫だろうと思って後ろを振り向くと男の姿はなかった。 彼は呟いた。 「あぁ、どうしよう」
数日後、彼がその男に殺されたのは言うまでもない男は殺人現場で彼にあったことがあったのだ
つまり その男は 殺人犯なのだった
第76話  縁のある彼語り手: 月読乾さん
これは、数週間ほど前。夕海さんと話していて突然話題を振られました。「お稲荷さんに心当たりは?えらい高位のいるんだけど。」
更に聴くと、黒に近い灰色の髪と濃い金色の瞳をした、二十歳半ば程の青年の姿を取ってるとか…
名前は朔月(さくが)。夕海さんは、「信じたくないと言うか、信じられないけど…」と前置きしてこう言いました。
「伏見本社の次期惣領様だね。・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・なんで、こんなとこにいるんだか。数百キロ単位で 、遠くだろうに。」
何の縁があったのかはわかりませんが、どうやらその朔月くんは僕の眷属になってくれたみたいです。
そして現在、前に話した瑞蜜嬢が夕海さんの後ろの方々に着せ替えで遊ばれてるのに対して…
「な、何てもの着せてんだ、こら。」と怒る朔月くんに対して「あ、の朔月兄様。似合いませんか?」と、小首を傾げて上目遣いで見る瑞蜜嬢の反応に…
半ばしどろもどろになって「いや、似合ってるよ。……瑞蜜が嫌じゃないなら良い。」と
返しているとか
最後に、ここ最近で特に反応が凄かったのが束髪崩しのお下げ髪。桃色の大きなリボンに桜色の着物と海老茶袴。編み上げブーツの所謂「ハイカラさん」スタイルだったとか。
また、新たな眷属が僕のとこにやって来てくれて、どうやら益々にぎやかになってるらしい。と言うお話でした。
第77話  終わりは・・・語り手: 薫さん
さて、このたびおはなしするのは、またまた私がみた?としか思えないような夢のお話です。
たたたたた。とにかく、はしります。ただひたすらに・・・
ふと、気づけば、私達数名はとにかくどこかの町か村の中らしき場所を走っています
服装は、今でいう古代ギリシャのような、そんな布のみのような服装で、結構軽装、といえばそれまでなのですが
とにかく、走っているのは、私のほかにも二、三名。そして・・・なぜか背後というか町全体を煙りらしきものがおおっています
そして・・・「そっちにいったぞ!」「にがすなっ!!」「○○はつかまえたぞっ!」といった叫びが風にのってきこえてきます
「!?」その声に思わず足をとめ、そちらのほうをどうにか建物の影に隠れながら確認すると・・・
なぜか、かなりの人数にずるずるとひこずられるようにつれていかれている友達の姿が・・・
回りの家々のいくつからは炎と煙りがあがっています
「○○がつかまった!」「たすけないとっ!」「もうむりよっ!私達もあぶないわよっ!
そんな会話を小声でしているさなかも、その友達は気づけば中心にとある広場にとつれていかれ・・・
そこには、なぜか・・・ほんとうになぜか、かなりの人数があつまっており、一本の棒のようなものが中心分にたてかけられています
そして、その友達は、その棒にぐるぐるとしばりつけられ・・・そのまま、騒ぐ人々の目の前にさらし者にされてしまいます
それだけなら、まだしも。口々に何やら人々が騒いだかとおもうと、彼らがそれぞれいくつもてにしているのは・・なぜか火のついた松明・・・
そして、その子のしたに藁をひきつめ、一気にその火をそのこになげかけます。
「!?」あまりのことに思わず叫びそうになる私達にと・・・
「いたぞ!仲間だ!」「つかまえろっ!」といって私達に気づいた人々が一気におしよせてきます
そして・・・必死に逃げるのですが、多勢に無勢。そのままつかまってしまう私達。
そのまま、ずるずると殴る、けるなどと様々な暴行をうけたのちに、やはり私たちも同じように棒にくくりつけられ・・・
そのまま、同じように藁らしきものを足元にしかれて、松明がなげかけられます
リアルにむかってくる、炎の熱。にげようにもにげられません。何で!?どうして!?
と。
はっ!?
「はやくにげないとっ!」「・・・・あれ?」
ふと、きづけば、なぜか見覚えのある風景。
たしか、自分はさっきまでもう少しで火あぶりにされるところだったんじゃ?そんな疑問を抱くより先に
「そっちにいったぞ!」「にがすなっ!!」「○○はつかまえたぞっ!」といった叫びが風にのってきこえてきます
って、ちょっとまて。もしかして?と思うよりも早く・・・
「助けないと!」「もうむりよっ!」・・・どう考えてもまったく同じ台詞と、そして情景・・・
ぐるぐると混乱する思考の中で、やはり同じように捕まった友達は広間にとつれていかれ・・・
そして、「仲間がいたぞ!?」・・・やはり同じような情景がくりひろげられます
そして・・・またまたつかまり、火にかけられ・・・・
ふと、きづけば、またまた街中らしき場所を走っている光景・・・
さすがに三度目。これは!?・・・くりかえしてる?さすがにようやくそのことに気づき44ます。ですが私がいくらそのことをいっても、逃げている友達たちは相手にしてくれません。
「私達は魔女と疑われてるんだから、逃げないと!」というご返事です・・・
どうやら、混乱する私に彼女たちが話してくれたのは、何でもとある場所に私達は住んでいたのですが、そこが必要になったのか何なのか。とにかくそこの住人全員が魔女の疑惑をかけられて火あぶりが決定したとか何とか・・・
そういわれても、納得いかない。というのは現実です。
ですが…こちらの話しは誰もきいてはくれずに、役人らしきひとびとの言いなりとなり、やはり私達はまたつかまり・・・そして・・・
そのまま、やはり火にかけられていきます。
それを繰り返すことはや10回以上。
いい加減にしてほしい・・・というか、幾度も、幾度も肉が炎に焼かれる感覚を味わうのはゴメンです
と、もはや数えるのもいやになってきたそんなとき
炎にやかれている私たちの目の前に、何か普通のほかの人とは違う格好をしている人が三人ほどやってきています
「●○をいためつけて、彼らが魔女だといわせたかいがあったな」「これであの建物と屋敷は我々のものですね」などと話しているのです
炎にやかれつつも、どこか客観的にみている私はそんな彼らの話をよくよくきいてみますと・・・
要約すると、こんかいの一件の概要はこんな感じのようでした
すなわち、私達が仲間たちと住んでいたとある屋敷と、それがある土地。それが必要になったらしく。
住んでいた子、一人をむりやりに捕まえて拷問にかけ、住んでいるのは全員魔女や悪魔だ、といわしめたらしく、それを証拠として全員処刑・・・と決定させたそうです・・・
そして・・・私達が焼かれていくさまを・・・そんな彼らはただただ笑ってみているのでした・・・
ふと、気がつくと、どうやら自分の部屋です。ゆ・・・ゆめか・・・。
さすがに幾度もいやな経験していたので、ほっとします。というか何でまたリピートゆめ?そうおもいつつ・・時刻をみれば・・・ぴったし二時・・・何か意味があったのでしょぅか?
お粗末ながら、オチがないまま終わりです
第78話  稲荷神社の怪?語り手: 海斗さん
僕は修学旅行でベタにも京都に行って来ました
そこで稲荷神社も参拝して来ました
その日夜の自由時間に一緒に言った友人が
「稲荷神社にちなんでこっくりさんでもやろうぜ!」
とろくでもない事を言い始めました
僕がそう言うのはやっても何も来ないため(本当は本場だから何か来ても嫌だったから
やらずに見てるだけにする事にしました
まあ 今回は特に問題も無くこっくりさんは無事に終わりました
そして修学旅行から帰って来てしばらくの事です
あの時こっくりさんをした友人が相談を持ちかけて来たのです
「なあ うちのゲームの調子が悪いんだが見てくれないか?」
僕に聞くなセンターに問い合わせしやがれと思いましたが
取りあえず症状だけ聞く事にしました
その友人が言うには(ギャルゲー)の名前入力画面で
放置していたら名前がかってに入力されていたとの事
その入力されていた言葉が不可解で『頭・・鉢・・』と漢字一文字でした
次の日ゲームは改めてやったら治っていたそうです
それから又しばらくの事 友人は病院に行きました・・・
頭に鉢植えがぶつかったそうです
幸い鉢植えは割と低い所から落ちて来たので軽症ですみました
友人は「いやぁ〜 運が悪かったなぁ〜」と笑っていましたが
僕はどうしてもこれが偶然とは思えないんです
だって・・・ゲームの名前入力画面の頭と蜂ってこれの事を刺しているんだと思うんです
取りあえず僕は友人に罰ゲームの名目で額に星を書いておきました
こっくりさんの解呪と有ったのでこれが効果が有ってくれたら幸いです
これで僕の話は終ります
第79話  都市伝説かい・・・(脱力)語り手: 十叶 夕海さん
有史以来というか、人間が類人猿だった頃までさかのぼれば、人が今現在住んでいる場所で、人が死んでいない場所はだろう。
多少の多い少ないはありはしても。
ところで、こんな都市伝説をご存知だろうか?

「友人の友人の妹が風呂入っててさ、正面に鏡があったんだよ。
 そんで、頭を洗うのに、眼を閉じてたんだ。
 泡を落とす為に、シャワ−を捻ろうとしたんだ。
 そしたら、自分以外居ないはずなのに、視線を感じるんだよ。
 怪訝に思いながらも、シャワ−で泡を落として、止める為に、鏡を見たんだ。
 そしたら、どうなったと思う?」
鏡に、貞子ばりの髪が長い女が後ろに居たんだってさ。」
べつに信じてはいないというか、なんでそんなあたりまえの事を?的に思う怪談系都市伝説だ。
風呂に入っていたら、そういう系統のしょっちゅうだからだ。
しかしだ、実際に、同じシチェ−ションに、私は会ったのだ。
つまりは、鏡の真正面に座り、頭を洗い、貞子もどきと鏡越しに目が合ったのだ。
しかしだ、風呂場の鏡というのは、そういう加工をして在っても、曇りやすい。
なのに、なのに、黒髪が長い「女性」ということが、分かった。
んで、ここで振り向かなきゃいいのに、私は振り向いた。
・・・・・・・・・・・後察しの通り、「それ」と直接眼が合ってしまった。
そして、妹が風呂にくるまで、硬直していたのだった。
「それ」は、その間に立ち去っていたのだけれど。
正直に言うなら、いつもは、その位置から少し外れた、風呂桶の縁に腰掛ける。
なのに、その日に、限って真正面に座ってしまったのだ。

そう、その「彼女」に導かれでもしたように・・・・・・・
奇しくも、ワタシは、都市伝説の一端に触れてしまったようだった・・・・。
終わり。
第80話  見えない住人(その後……語り手: 薫さん
さて、皆さんは覚えているでしょうか?知らない人のために、私の家の近くに、とあるアパートがあります。
そのアパートの一室において、以前すんでいた若いお兄さんが交通事故で死んでしまい、その後、その部屋には人がいつかない、という話を幾度かしました
これは、そのアパートに住んでいると判明した友達から聞いた、その部屋に関する新事実です
去年、その部屋に家族連れがこしてきてるー。という話をしたのはこれに参加した人は何となく覚えているかもしれません
が、この話がおわって一か月もしないうちに、やはりその家族はひっこしました
その後、女の子一人がこしてきたりもしたのですが、やはりひっこし。今だにその部屋とその真上の部屋は空き室となっております
女の子が住んでいたときは格別に何の異変もなかったらしいのですが……ある出来事をきっかけとして異変はおこっていました。
その異変。というのは「彼氏」が部屋にきたとき
なぜか些細なことで喧嘩がたえず、あげくは暴力を振るわないような人物がいきなり豹変することがしばしばだったそうです
しかし、その部屋以外であったときにはそんなことは絶対におこりえません。
そしてまた、その部屋の真上にある部屋においても…新婚さんがひっこしてきたのですが……
なぜか、その部屋にもどってきたとたん、無償にイライラとしてしまい、些細なことで大ゲンカが絶えなかったそうです
しかも、離婚寸前にまでなってしまい、その奥さんの知り合いに霊感の強い人がいたらしく、きてもらったら。自分の手にはおえない。といって引っ越しをすすめられ、先にその新婚さんはひっこしていきました
そしてまた…ついには一階の子は彼氏と別れるハメになってしまいました。
その後、たまたまその部屋にきたその子の友人が一言「この部屋、中央に誰かいる」とのこと
お祓いもその子のすすめでやったらしいのですが、お祓いの人も自分の手にはおえない、とかいわれたそうです。
まあ、たしかに。それはそうかもしれません。すでに数年以上が経過しているのです。その場に彼がいはじめて……
そしてまた。今日もそのことを隠している大家がその部屋に新人さんを案内してきています。他の部屋よりも格段に安く設定して・・・
その上下の部屋にはいったが最後。おそらくは、彼の影響で家庭崩壊になってしまう。ということを隠し通して…・
今日もまた、誰かが格安の部屋につられて部屋をみにくるのでしょうか?見た目だけでは普通の部屋とかわりばえのしない、その部屋を・・・
終わりです<現在進行形ではあるものの、空き部屋のままのアパートの怪
第81話  死に至る病 そして・・・語り手: 十叶 夕海さん
さて、私には、小さいながらも、深い記憶齟齬があった。
八歳の夏から、八歳の冬までの記憶だ。
「誰か」がそばにいたのに、空白のように切り取られた思い出。
ちょうど、その頃、ワタシは、「タロスピ」の≪太陽≫≪月≫の二枚四人を手に入れた頃だった。
その謎が解けたのは、十数年経ってからの七月初旬。
つまりは、まだ、一月も経っていないのです。
それは、突然。
フラッシュのように、浮かび上がってきたのです。
・・・金髪リ−ゼント、白色の所謂長特攻服。

・・・幽霊/東京から持ち帰り。

・・・『おチビには、早いって。』

・・・見上げた誰か。

・・・『おチビと桜見れたら、上に上がるかね。』

・・・『イテテ、中々荒っぽいね。』
彼の名前は、「雅な男也」で、雅也。享年18歳(引退直前だったらしい) 約二十年前に死亡。
それを私は、母方の伯父の家の周辺で拾ってしまったらしい。
性格には、彼が着いてきたのか。
正直言って、楽しい記憶しかない。
怖かった事は在っても、それは、あくまで、私を守ろうとした時ぐらいだった。
だけど、彼との約束は、果たされなかった。
果たされる事も、未来永劫ないだろう。
ウルトラCでもない限り。

正直言って、私のその頃の霊力制御は、自己防衛・・・自分の霊力を流出しないことすら出来ていなかった。
シェンナや、タロスピたちは、逆に意識して、私の霊力に手を出していなかった。
だけど、一番近くに、私が居た事もあり。
雅也の栄養源は、私になっていた。
お互い、意識せずに。
半年後。
秋も深まり、もう冬になりかけていた頃。
私は、学校を休むようになっていた。
行っても、半分は、保健室というありさま。
季節柄、ヒドイ風邪かな、と思っていた。
むしろ、そうであってほしかった。
でも、違った。
感覚的に言えば、栄養失調に近かった。
霊力・・・精神力/生命力が、根本的に減っていた。
そう、結果的に雅也が、吸っていたのだ。
何もしければ、死んでいたか、最低でも入院だっただろう。
でも、『彼ら』は、行動を起こした。主人格の私の預かり知らぬところで。
そう、タロスピの四人は、雅也を「殺し/滅ぼし」たのだ。
転生どころか、上に戻る事すら敵わない完全な「死/滅び」。

私は、その日は珍しく登校していた、
でも、嫌な予感がした。
部屋に入れば、雅也はもう殆ど消えかけていた。
「・・・何をしたの、答えてよ。」
四人を代表してか、まとめ役の『太陽/逆位置』が、答えた。
『主を害する根源を断ちました。』
文字通り、頭が真っ白になった。
何か他にも、行っていたようだけれど、ひとつも、覚えていない。

『おチビ。
 俺が居なくなっても、それで、泣くなよ。
 最期の最後に、おチビに会えて、俺は幸せだっ・・・』
それで、雅也は消えた。
これだけなら、私の記憶の齟齬に繋がらない。
多分私は、絶望したのだと思う。
おそらくは、本当の意味で初めての恋だった。
かろうじて、していた制御も、手放した。


・・・おそらく、その時に、記憶を・・・雅也に繋がる記憶を齟齬を覚悟で、「封印」したから、記憶齟齬が生まれ、さらには、生き長らえているのだと思う。

正直言えば、私の未熟さが原因なのだろう。
だけれど、タロスピの四人は、思わなかったのだろうか?
私が、彼にあえなくなったら、精神的に死なないかということを。

せめて、強制的に、上にあげるだけなら、長い巡り輪の間に出会うこともあったと思うのに。
そうして、私は「死に至る病」に再び、浸っている・・・。
 結幕    (BGM  「君が為惜しかりざり命さえ」「時には昔の話を」)
第82話  夢幻・・?語り手: 薫さん
さて、ここでよく私が話すものは自身がみた夢の話が多いいのは知っている人は知っているとおもいます。これもまた最近みた夢のお話です。
夢の中でも、いつものように生活し、いつものように行動し、いつものように仕事にいき・・・そんな日常がくりひろげられているそんな日々。
「また事件があったね
「何か最近物騒だよね」
テレビではほぼ毎日のように、信じられないような現実にあったニュースがながれていっています。
あるときは、どこぞで通り魔の発生、あるときは家族が家族を殺した…などなど。何とも殺伐としたニュースの数々
そんな中、なぜかときどき画面の上に必ずでる数字、というものがあります。
その数字は別にニュースを流している人が説明するでもなく、ただ、その数字をみて大人たちは顔をしかめている。という程度の認識。
しかし、大人、といっても知らないものも大多数。当然自分もその数字がもつ意味はしりません。
そして。いつものように朝、おきたのですが…何だか様子がかなりおかしいのに気付きました。
まず、いるはずのネコの姿がみあたりません。部屋にとじこめているので外にでる、といってもその可能性はかぎりなく低く、また誰かが扉を開けない限りはでないはず。
あれ?あのこたちどこいった?そんなことをおもいつつ、とりあえず一階にとおりていきます。
そして・・・…一階におりても、やはり誰もいません。まだ時刻は朝の六時。いるはずの犬の姿すらみあたりません
??首をかしげるものの、きちんと車やバイク、といった品物はあります。
そして、何となく、ふと玄関をあけてみると、家の先にある道路。そこに……
なぜだかこんもりともりあがっているようなものが垣間見えます。よくよく眼をこらしてみると・・・
そこには、道にいっぱいになぜか山のようにつみかさなっている近所の人々、そしてまたうちの家族の姿が・・・その周囲にはそれぞれの飼い犬などの姿も垣間見えています。・・・すべて大量の血をながしつつ・・・
って、うわっ!?何?!一瞬状況が理解できません。
ふと、あわてて外にでた私の背後に何か気配を感じてふりむくと同時。
何だかものすごい痛みを感じると同時に意識がとびました。そして・・・…あれ?ふときづけばペットの上。
夢か。ほっとしつつも、何やらものすごくリアルすぎて汗ぴっしょり。とにかくトントン、と水でものもうと台所にたってゆくと・・・
玄関先に母が血まみれで倒れており、奥の部屋には父が寝たまま倒れています。しかも先ほどの夢のとおりに血まみれで・・・
何が何だかわかりません。ふと以前みたループしまくる夢のことを思い出し、これは夢だ。夢なら目覚めるはず。ととにかく自分にいいきかせます。
と。次にきづいたらまたまたペットの上。今度こと目がさめたかな?ともおもいます。隣にはいつものように猫がねており…が、不思議なことが一つ。行方不明中のはずのポンタがそこにいる、というのに疑問を感じてしまいます。もどってきたのかな?とおもいつつ・・・
声をかけると、たしかに返事をするものの、何やらぬるり、と感じる感触…手をふとみればべっとりとついている何か
よくよくみれば、猫たちの顔といわず全身は血まみれになっており……
えええええ?!ともかく頭の中はパニック状態。
とにかくけがをしているにしろどうにかしなければなりません。それゆえにタオルなどをとりにしたにおりると・・・血まみれで普通に何やらたっている母の姿が・・・
しかも、当人いわく、こちらがきいてもそれが当たり前、とまでいってきます。・・・何が何だかわかりません。しかも血を流していない私がおかしい、みたいなことまでいってきます
絶対におかしすぎます。やっぱりこれも夢にちがいない!というかまたループの夢!?と夢の中、と自覚しつつも自分としてはプチパニック状態。
とにかく、本当にめざめてほしい!切実に願うものの、次に目覚めたときもまた同じような光景が・・・
と。
ばしゃっ!!
「って!!つめたっ!」
何やら頭から冷や水をかぶったような冷たさを感じ、おもわず叫びながらもとびおきます。
ふとみれば、ペットの上の枕もとにとおいてある猫用の水をいれたコップを保護中の子猫が倒した様子がみてとれます
そう、どうやらおもいっきり水をかやして寝ている私の頭におもいっきり水がかぶってきて本当に今度こそ目がさめたのです。
時間をみれば時刻は二時過ぎ……
さすがに今度はおかしなことはおこりません。おこりませんが…とにかく、水をかたっぱしからタオルでふいたのちにも、その日はそれ以後、二度となかなかねつかれなかったのはいうまでもありません…・・・
どうしてまた前のような理不尽なループのような夢をみたのでしょうか??最近のニュース、そして精神的なものも関係しているのでしょうか?
そんな疑問をのこしつつも、また今日も不思議な夢をみるのかもしれません……
おわりです。
第83話  語り手: Ksさん
これは私が学生の頃に体験した話です。
私は理研部と言う部活動に参加していました。科学の実験したり機械作ったりと変な部活動ですw
夏休みに入って、合宿に行く事になり、蝙蝠の生態観測すると言う名目で旅行に行く事になり湖の側の旅館に旅行に行きました。
そこの湖は人柱で出来てるとか何とか曰くのある場所なんだそうですが、綺麗なところでした。
旅館について、ちょっと違和感があったんですが、お友達の一人が部屋が観音彫りになってるとか変なこと言い出しました。
確かにデザインかもしれないんですけど。部屋の入り口が観音彫り?みたいな変な形になってたのです。
夜になって、洞窟に蝙蝠の観察に行く事になりました。バスに乗って昔トンネルだった洞窟に行きました。
教師2人と先輩が2人、同級生の友達3人に私を加えた8人で向かいました。
洞窟の入り口で先輩が気持ち悪くなっちゃって、先輩2人は洞窟に入らずにバスで待つ事になりました。
教師の一人も先輩2人と一緒に残る事になって。教師1人同級生3人と私の5人に案内してくれる地元の人で向かう事になりました。
洞窟は蝙蝠の糞で汚れててすっごい気味の悪い場所で上を見るとたくさん蝙蝠が鳴いてます。
観察ポイントについて、後は観察して帰る事になりました。ぶっちゃけ早く戻りたかったので碌な観察してないですw
帰り道は長時間電灯をともしてると蝙蝠に悪影響を及ぼすと言うので電灯を消して帰ることになりました。
前には地元の人と教師がその後ろに続いて同級生2人その後ろに私と同級生の1人で歩いてました。
真っ暗で怖いので私は横の同級生と腕を組んでゆっくり歩いて戻りました。
肝試しみたいな要素も含んでたのでワーワーキャーキャー騒ぎながら帰ったんですけどw
そして出口までつくと明かりが差し込んできて前の人の姿が確認できました。
前には地元の人に先生・・・その後ろには同級生3人。
あれ?私と腕を組んで歩いていたのは?
組んでた感覚だけが腕に残っていました・・・
以上で終わりです。
第84話  骨肉の争いは、何処にでも転がるもの。語り手: 十叶 夕海さん
骨肉の争い。
まぁ、この場合は遺族が遺産を取り合う様や死んだ人の事を言い合う様のことだと思う。
そんな悲喜こもごもが、交わるのが、家庭でなけりゃ、たいていは、斎場か・・・、実家がやるような葬儀式場だ。
ドラマみたいに。
「アンタが、おばあちゃんを面倒見てれば、あんことにならなかったのに。」
とか。
「へっへへ、俺にも、伯母さんの財産もらう権利あるはずだぜ?」
とか。
そんなことは、割合聞く。
静かじゃないお葬式の場合は、上野どっちがが多いといってもいい。
たまに、故人を酒で偲びすぎて、酔っ払いで騒ぐのが殆どなのだ。
だけど、本来ならば、沈黙してしかるべき人がうるさいということもある。
それは、こんな話だ。
その日は、掃除のアルバイトをしていたのだ。
大きい方の式場の掃除だ。
普段は、通夜や、遺族待合室になるほうで、葬式があった。
詳しい事は知らないが、初老の男性だったと聞く。
大きい方の式場の椅子をどけ、掃除機をかけ、もとに戻す。
そんな事を繰り返していくうちに、その男性の遺族が集まり、式が始まり、読経が始まった。
(この読経で、あのお坊さんなら、一時間かな。)
読経が始まって、しばらく、してそう思ってすぐの事だ。
空気が張り詰めたというか、体感温度が明らかに下がったのだ。
近くにある温度計は、暖房の入った季節的には、通常といっていい温度なのに。
薄いシャツ一枚で、雪の中にでたように、寒いのだ。
(・・・どうでもいいけど、葬儀っていうのは、本質的には、生きてる人のもんなんだよね。)
目立つ私の方に、先に干渉したようなのだが、目当てはもちろん、遺族なのだろう。
大きな式場をとおり、そこととその式場の間の廊下に、初老で、白い着物の男性が移動した。
半透明でなければ、そういう人間だと納得してしまいそうなほど。

さらに進み、自分の葬儀式場に入ろうとするその人を止めた。
さすがに、霊感のアル人も居るかも知れない。
一応、静かに見送らせてあげたいのだ。
しかしだ。
問題は、葬儀自体が終わり、出棺まで少々余裕のあるときだ。
その男性の奥さんらしき人と、仲の良さそうな親戚の人らしき女性2人。
「Dさんのこと急だったわね。」
「・・・ええ、本当に、数日前まで、あんなに元気そうだったのに。」
「でも、K子さん、あんまり、気を落とさないで。
 Dさんが、心配するわ。」
なんて、ごく普通といってもいい会話をしていた。
私は、掃除の休憩中で、事務所にいたのだ。
式場の外で、その男性は、自分の式が終わるのを待っていたようなのだが。
そんな会話がされると同時にだ。
事は起こったのだ。
それこそ、ゴ―ストハントか、ゆららの月か。
そんなノリで、急降下して、奥さんに迫り寄るのだ。
まるで、そんな風に、残ったおまえが幸せ二なるのが許せないとでも言うように。
奥さんを取り殺そうとでもするように、なにかをする前に私は、後ろの人に言って、止めて説得するように言った。
(みためというか、そとづらより、なかよくなかったのかね、あの夫婦。)
結果だけを申し上げるなら、諦めてくれなかった旦那は、責任もって、ホ−ムランにさせていただきました。
文字通り、星になっていただいたというわけで。


・・・そういうわけで、骨肉というか、家族間の争いというのは、何処にでも転がっているものなのだなぁ、というお話でした。
そもそも、無駄に騒がなくなった時点で、無駄に冷静な私でした。
おわり
第85話  夢で会った子語り手: 海斗さん
最近僕は奇妙な夢を見ました
その夢は最初は女性の顔がぼんやりと浮かんで来るだけでした
それが見るたびに徐々にはっきりしてくるんです
その女性の体まで完全にハッキリ見えてくる頃にある事に気付きました
家の学校の制服なんです
その夢を見ていて一週間後 学校で僕は驚愕しました
その子が転校して来たのです
その子は僕の隣の席に来ました
現在その子とは隣だったからと言う理由でつるんでいます
僕はこの出会いを運命の出会いと見て良い物か悩んでいます
・・・ところで僕は彼女と出逢った時気になっている事が一つあります
彼女は僕の顔を見た時 怪しく微笑んでいました
只単に会釈の際の笑みとも取れるのですがね?
こんな出会いですから・・・気になっちゃうんですよね
特に盛り上がる所も無いですがこの話は終わりです・・・
第86話  …もぞ…?語り手: 薫さん
誰しも、何かふと違和感を感じることは多々とあるとおもいます。それが感覚的なことにしろ身体的なことにしろ
父が遅出勤務であるがゆえに、とある日。一階で時代劇番組で時代劇をみようと、風呂からあがり、一階にといきました
父は最近というか以前から仕事にいくのが楽だから、という理由で一階で寝起きしております。それゆえに布団とかそのままです。
そのまま、ちと肌寒いこともあり、その布団にもぐりこみながら時代劇(暴れん坊将軍さんv)を楽しもうとしたところ・・・
もぞもぞ・・・
??
何だか足元がむずむず、もぞもぞします
暗闇でみたほうが何となくいいので電気も何もつけてません。
でもきになり、ぱちっと電気をつけてばっと布団をめくったその足元には・・・
おもいっきりあしの上に数十センチはあろうか!という巨大なムカデさんが・・・
うぎゃぁ!?言葉にもなりません
かといってうごいたらまちがいなく刺されます。ええ、確実に
とにかくじっとしてそれが足からのくのをまって、移動するのをひたすらに待つことしばし。
長いような時間に感じましたがおそらくそれは数十秒程度のはず。
ムカデが足からおりたのをうけて、とにかく外にださないと!というので格闘がはじまりました。
・・・・が。
近くにはフマキラーも、さらには叩くようなものもな〜にもありません。そうこうしているうちに、ムカデさんは布団の中にまたまたかくれてしまい・・・
それから一時間ばかり、格闘すれどもどこに隠れてしまったのかはなぞ・・・
結局、父がもどる十時すぎまでムカデはみつからず・・・・・父にいっても父もみつけられず・・・
外にでたのか、はたまたまだ家の中にいるのか?
いまだに一階におりるたびにびくびくしている私がいます・・・・
さて、ムカデの色的にメスなのでオスもいそうで怖い今日この頃・・・皆さんもムカデさんにはくれぐれもご用心を・・・
何がこわいって、昼間は誰もいないので犬やら猫が刺されたときをおもうのが一番に怖い、というのをつけくわえておきます・・・・
終わりです。おそまつさまでしたー
第87話  名古屋奇譚 −どらごんは風如く−語り手: 十叶 夕海さん
名古屋に居た頃・・・08年頭頃だった。
実家から帰って、宿題を片付けていて、キリがついて、ベッドの上で雑誌を読んでいたときだった。
ベッドの足元の本棚・・・正確には、その前の「タケノコ」から、音がしたのだ、
ただ気配からして、ただ、本が崩れたわけではないと思った。
なぜなら、「ブ―ル」や「ヴィオ」と同系統の「動物」の匂いがしたからだ。
彼らを動物にしたら、こんなにおいだろうというような匂いが。
しゃ、どんな動物の匂いとも違っていたのだけれど。
そこというか、その上にいたのは、現実にいる動物なら、コモドオオトカゲだった。
ドラゴンに一番近いというデカイトカゲ。
ただ、それは、幾らなんでも、薄闇に砂色をどうかさせたような鱗を、星が散ったようなアメジストの瞳を、そして、鱗と同じ色の翼をもっては居ないだろう。
そう、ダックスフント程度のサイズの「ドラゴン」がいた。
なぜ、そう断じたかといえば、ブ―ル達に、同じ系統の存在にあっていたというのもあるが。
しかし、何故ここに、半透明に近い状態で居るのだろう。
『お姉ちゃん、誰?
 ××(聞き取り不能)様は?』
そう聞かれた。
頭に、その言葉を叩きつけられたというのが近いだろう。
そして、その声は、10歳ぐらいの男の子のように聴こえた。
「・・・迷子、ってわけでもなさそうね。
 貴方程度でも、通れる『穴』は、この辺だと、×××だけど、そこは、揺らいでないし。
 なにが、あったか、話してみて。」
チビドラが、話したのは次のような話。
自分の「おとうさん」(ご主人様)が、他の同族と総力戦をやったこと。
最後に、「転移」を掛けられたこと。
気付いたら、こっちにいたこと。
そして、私から、「おとうさん」の知り合いの匂いがすること。
さて、「お父さん」は、どうなったでせお?
とりあえず、その日から数日は、様子見として、私のアパ−トに居た。
数日後、ヴィオが、ブ―ルからのも、含めて報告にきた。
簡潔に言えば、一文で済む。
「××(聞き取り不可能)は、▲▲と交戦し、敗北。消滅が確認」
そう、死んでいたのだ。
それを聞いたミニドラは呆然自失。
『で、ユアさん、どうする?
 いらないなら、持ち返って言われてるんだけど、そのコ』
「・・・むこうと、あんまり、関わりあいたくないんだけどね、手元に置く。」
呆然自失となり、自己防衛のラインが、切れたミニドラからは、いろんな事が流れ込んできた。
それを識って、無視できるほど、冷酷なわけじゃない。
『はいはい。
 じゃあね、マイキティ。』
「・・・おとといきやがれ、オオボケヴィオ」
そいつを見送ってから、私は、ミニドラに近付く。
「あんたはどうしたい?
 ここに居たいのなら、居てもいい。
 向こうに戻りたくなけりゃ、別方面に渡りをつける。」
彼の答えは、簡潔だった。
『・・・ここに・・・・・・・・ここにいたい。』

私は、そのミニドラに、「カオス」という名前をあげた。
それから、半年。
私の頭の上か、お気に入りのクッションの上で、霧雨と一緒に、よくお昼寝をしている。

ドラマチックすぎるかも知れないが、私が関わったお話。
信じるか信じないかは、貴方に任せる。
  閉幕
第88話  思えば私も若かった語り手: 羅城 朱琉さん
 これは、今から10年くらい前。
 羅城が、まだ小学生のころのこと。

 ある夏の日。町内会で、肝試しがあった。
 当時から、スレてかわいげの無いお子様だった羅城は、付き合いと思って参加していたのだが…

 案の定、子供だましな仕掛けばかり。
 名前を書く指令のある場所で、上からこんにゃくが落ちてきたとか。
 発行塗料の塗られた骨を持って走ってきたおにーさんとか。(ちなみに、白シャツ着てたので、すごくわかりやすかったです)
 幽霊の仮装した、近所のおばさんとか。


 さて、そんなこんなで一回りして帰ってきて。
 弟に感想を聞かれて、そういったことを話していると……

「え? ○○ちゃんのおかあさんって、来てたの?」
 という声。
 ○○ちゃんのおかあさん?
 ……それ、私が出会った、幽霊の仮装したおばさんなんですけど。

 何でも、幽霊の仮装をするはずだったおばさんが、風邪をひいてこれなかったから、幽霊役はなしにしたはず、とか。
 じゃあ、私の見たおばさん、誰…?

 それが、単なる私の見間違いなのか、それとも全然怖がらない私を怖がらせようとして言った嘘なのか、それとも…
 もう、真相はわからないけど、聴いた瞬間は、この羅城 朱琉が、確かに怖かった。
 スレ倒してて可愛げゼロ、そのおばさんを前にして、「あ、こんばんは〜」なんて言った、この私だったが、ぞっとしたのだ…。

 肝試しとか、お化け屋敷とか、入った後に『別に…』と言わなくなったのは、その後のこと。
 怖がってあげよう、と思ったり、結構怖かったり、いろいろあったけれど。
 エンターテイメントとしての恐怖を、茶化してはいけない。
 そんなことを学んだ私は…まあ、若かったんだ(笑)

手短ですが、これにておしまい
第89話  窓と眼球と黒い壁 〜これは予測できなかった…〜語り手: 羅城 朱琉さん
 知っている人は知ってると思うが、解説しておこう。
 霊感なんぞ、まったくこれっぽっちも無い羅城だが、一つだけ妙な力がある。
 それは、一度発動すればほぼ100%の的中率を誇る『予知夢』である。…まあ、自分の意思で制御できない『能力』ではあるが。
 普段は殆ど夢を見ない羅城が夢を見れば、それは9割方予知夢なのである…ということには、最近気づいた。

 今回は、そんな羅城が、ホラーな夢を見たところから始まる。

 さて、まずは想像してみてほしい。

『どこまでも黒一色の世界の中、自分の眼前にだけ、大きな白い丸窓があいている。
 その向こうには、或いはみっちりと押し詰まり、或いはその隙間をゆったりと流れながら、一つ残らず自分を見つめてくる…無数の眼球。
 自分は、身動きも取れないまま、ただ眼前のそれらを見つめ返すことしか出来ない』

 これは、ある日羅城が見た夢の内容である。
 さすがに少々怖かった。
 しかし、これだけホラーな夢である。めったに無い、『予知夢以外の夢』であると、羅城は信じて疑わなかったのだ。

 それが、大きな間違いであるとは、思いもよらずに……


 ある日のこと。そろそろ仕事も終わりに差し掛かったとき、それは起こった。

 見つめたその先にあったのは、黒背景に、白い丸。
 徐々に見えてくるその中には…無数の目玉、のようなもの。
 まさに、夢に見た情景そのままが、目の前に広がっていた。

 羅城は、ぽそっと呟いた。
「うっわぁ…」
 そのときの心境を一言で言うと……『数えるのめんどい』。以上である。

 さて、種明かしをしよう。
 羅城は、医療系の会社員である。その仕事で、顕微鏡を使うこともままある。
 ……お分かりになっただろうか?
 黒背景に白い丸とは、顕微鏡を覗いたときに見える視野。
 徐々に見えてくる…もとい、徐々にピントを合わせていくと、見えてきたのは無数の眼球…によく似た形をした、細胞。
 身動きも取れないまま見つめている…わけではなく、一生懸命細胞数を数えている私。

 羅城に予知夢を見せている『何か』よ。
 あえて言おう。『こんなの予測できるか!!』と。

 あんなホラーな夢からこのオチになるとは…さすがに、想像がつかなかった。
 まあ、実を言うと、前触れも無く見ると、結構コワいものではあるんだが。実際、その細胞は見た目『濁った眼球』といった感じなのである。
 顕微鏡を覗きながらそんな風に思った、とある平和な水曜日深夜であった。


怪談じゃなくてすみませんが、これにておしまい。
第90話  相談語り手: エモーションさん
これは、Aさんが熱を出して寝込んでいたときのことだそうです。
Aさんは一人暮らし。同居しているのは猫2匹とウサギ1羽、そしてハムスター1匹だけでした。
熱に浮かされながら、自分でも眠っているのか起きているのか分からない、朦朧とした状態で横になっていると、隣の部屋からぼそぼそと会話が聞こえてきました。
聞こえてきたのは三種類の声。
会話の内容は、Aさんの熱をどうやって下げようかと、相談しているものだったそうです。
改めて書きますが、隣の部屋にいるのは、同居している猫2匹とウサギとハムスターだけです。
(三種類ってことは、誰か1匹しゃべってないのがいるなあ)
朦朧としていても自分以外の人間は誰も家にいないと把握していたAさんは、自分が夢を見ているんだと思いながらこんなことを思ったそうです。
隣の部屋の会話は、しばらく続いた後「とりあえず舐めてみるか」という言葉と同時に終わりました。
そうして……。
隣の部屋から猫がすっと入ってくると、Aさんの額をペロペロと舐め始めた、ということです。
Aさん曰く、「夢だと思っていたので凄くびっくりした」だそうです。
終わります。
第91話  『つかれやすい体質』…なのか?語り手: 羅城 朱琉さん
 羅城は、3人兄弟の長女である。
 下には弟と妹が一人ずつ。仮に、弟の名を『龍』、妹の名を『ながる』としよう。
 これは、我が妹・ながるの、不思議な体質にまつわる話である。

さて、世の中には、『旅行疲れ』というものが存在する。
 羅城ら3兄弟の中で、体が弱いのは誰かと聞かれたら、これはダントツで羅城本人なのだが…この『旅行疲れ』に一番なりやすいのは、ながるであった。
 数年前、ながるが修学旅行から帰ってきた後、熱を出したことがある。これがなかなか下がらず、羅城も気をもんだものだ。
 後から聞いた話だが、ながるのクラスメイトにも、同じように熱を出した子がいたそうだ。

 この時は、『ああ、ながるは旅行疲れが出やすいのか』としか、思っていなかった。


 その後も、ながるは旅行から帰ってくると、よく体調を崩した。
 ただ、それはいつもというわけでもない。
 そして…またある時。奇しくもまたも修学旅行帰りに、ながるは再び熱を出した。

 それから回復した直後…羅城は、ながるが母と話している内容を聞いて、凍りついた。

 何でも、ながるが旅行疲れで体調を崩すのは、『ある場所』へ行った旅行のみだというのだ。
 それは…母いわく、『なにやら怨念の渦巻いていそうな場所』。
 具体的には、霊感スポットだったり、自殺の名所の近くだったり…。
 広島の平和公園の、身元不明者の遺品が納められてるあたりで、友人と3人で体調を悪くした…とか、ながるは笑って話してたりしたんだが。
 ながるよ、ちょっと待ちたまえ?
 それは、本当に笑い事なのか!?
 思わず笑顔が引きつる羅城。ながるよ、そして母よ。なぜそう朗らかなのだ!?

 喉元過ぎればなんとやら、と、笑うながるに、同じく笑って話を聞く母。
 何でも、母の妹(つまりは羅城の叔母)も、似たようなことがよくあったとか。大人になったらそんなこともなくなったので、ながるもそのうち大丈夫になるだろう、とのこと。

 とにかく、ながるは『疲れやすい体質』というよりは、『(怨念だか何かに)憑かれやすい体質』だったようである。
 成長するにしたがって、なくなってくれるといいんだが…ながるはまだ高校生。先のことはわからない。
 とりあえず、今度ながると旅行するときは、付近にそういう場所が無いかどうか、調べたほうがいいのかな〜…と思う、姉・羅城であった。


短いですが、おしまい
第92話  怪談の怪談語り手: Ksさん
これは私のお友達から聞いたと言うか教えられたお話です。
通説では怪談をすると幽霊がよって来るとか、そんな噂がありますよね。
お友達と言うのは霊感?が強い人で実際に霊症に悩まされてる人とかの相談に乗ったりする霊能者っぽい人です。
お友達が言うには怪談に霊がよってきてるのではないそうです・・・
お話によってはそう言う場合もあるそうなんですが、基本的にはよってくることは無いとの事でした・・・
でも実際に怪談なんかしてると変な気配を感じたりする事がありますよね・・・
これは霊がよって来てるのではなく、怪談に参加してる人の方が感覚が高まるのだそうです。
人って危険を感じたりすると、感覚が高まったりしますよね。それと同じで霊を感じ取る能力が上がってしまうのだそうです。
霊が寄ってきてるのではなく、そこにいた彼等を感じてしまっているのです。
こうして聞いているあなたの側にも霊がいるかもしれません、後ろが気になったりしていませんか・・・そこには彼等がいるかもしれません。もっとも彼等はいるのではなく最初からそこにいたのですが・・・
第93話  黒い影語り手: 薫さん
これは、とある女の子の体験談、です。
その子は、あるとき、両親とともにとあるアパートに引っ越しました。普通のよくある総合住宅、です。
「う〜。夜はあまりうごきたくないな〜」とはいえ、どうしても動かなければならないことは生きているかぎりあります。
彼女の部屋からそこ、お手洗いにいくにはどうしても台所などを経由しなければなりません
だがしかし、その女の子はそれがいやでいやでしかたがありませんでした。というのも・・・
夜になると、かならず、毎日、きまった場所に窓の外にまるで・・・そう、トランポリン、もしくは水風船。のごとくにぽんぽんと動く黒い影が・・・
それは、まるでボールのごとくに、いつも上下にうごいております。形も始めはボールかとおもいました。ですが、ちがいます。よくよくみれば、それは・・・
丸い影の下に何やら別のものらしきものが…しいていうならば、人の頭。しかも首から上のような影が・・上下にとにかくひたすらに動いているのです。
はじめのころは、気のせい、とおもいとにかく自分をごまかしていました。ですが毎日、です。さすがにきみわるくなって父親に相談しました。
・・・・が
「ほら!そこに!」「どこにそんなものがあるんだ?!」そう、目の前で影は上下にうごきまくっている、というのに父親の目にはみえてないようなのです。つまり・・それがみえているのは女の子、のみ。
それが少女が大人になるまで毎日・・です。さすがにキミがわるくなり、少女は大人になったときに一人暮らしを始めました。
そして、少女が実家・・つまりそのアパートにもどったとき・・・いまだにその影は健在で、今も窓の外には毎晩、その影が出現しているそーです・・・
ちなみに、少女もあとでしったのですが、そのアパートは、自殺者などが多数でる、というので有名らしいです・・・ちなみに両親は信じずにいまだにそこにすんだまま、といいます・・・
少女は両親をずっと説得しているようですが引っ越しする気配は・・ないそうです。しかし、その家にこしてから家族の体調もかんばしくないそうです・・・影にかんけいしているのか、それとも・・・・?
おわりです。
第94話  ユーレイに決まっている語り手: エモーションさん
とあるイベント帰りのことです。Aさんは友人たちとBさんの運転する車に乗っていました。
大盛り上がりで騒いだ結果、帰宅はすっかり深夜。後部座席に座った友人たちは疲れてぐっすりと眠っています。
Aさんは夜型がしっかり身に付いてしまっていたので、Bさんの眠気防止も兼ねて助手席に座り、運転の邪魔にならない程度に会話をしていました。
と、急にBさんがハンドルを切り、道路の真ん中を大きく避けました。
……車体が大きく揺れたものの、後ろの友人たちは目を覚ましません。そのまま車を飛ばすBさんとAさんはこんな会話をしていました。
「……今」
「ユーレイ」
「そうか、ユーレイか」
「そうユーレイだよ」


きっぱりと断定するAさんとすんなり同意するBさん。
二人ともミラーも見ず、ただひたすら前だけを向いていたそうです。
そう、幽霊に決まっているのです。
二人が先ほど見たものーー夜の山奥を走る自動車道のど真ん中に向けて、赤ん坊を放り投げようとしていた女性、なんてーーこの世のものであるはずがないのだから。
それでも、Aさんはしばらくの間その地方のニュースに敏感になっていたということです。
ユーレイであってほしい、というお話でした。終わります。
第95話  間違えた御祓い語り手: Ksさん
学生時代、良く肝試しなんかで心霊スポットに行ってたんですけど。
お友達の一人が、幽霊を連れてこないようにと毎回帰ったら自分の部屋の前に盛り塩をして霊が入ってこないようにしていました。
しばらくすると寝ていたら上に何か乗っかられて首を絞められたり、一人暮らしなのに部屋から話声がしたりと、そんな事が起こり始めたそうです。
お友達はもしかしたら心霊スポットから連れてきちゃったと思って、霊能者の方に相談したそうです。
部屋の入り口に来るとすぐ盛り塩を見つけて霊能者さんは直ぐかたつけるようにいったそうです。
霊能者さんのお話では、霊を連れてきたんでは無いそうで、偶然通りかかった霊が盛り塩のせいで外に出れずに部屋に閉じ込められてしまったのだそうです。
悪い霊ではないのですけど、閉じ込められて怒ってしまったそうで悪さを始めてしまったのだそうです。
部屋から無事に開放されて、すぐにいなくなったらしくその後何事もなかったそうですが、俄か知識で中途半端なことすると痛い目に合う事もあるというお話でした。
おしまいです。
第96話  鏡の国の少女語り手: 海斗さん
去年 友達と遊園地に行った時です
ココでは夢の国と言っておきますが千葉のげっ歯類が支配する国とは関係有りません
僕は夢の国でミラーハウスに入ることになりました
ミラーハウスはかなり空いていたので他のメンバーが
入ってから出るまでの時間を競おうと言い出し
僕が最初待っていて時間を計る事にしました
パタパタパタパタ・・・
ああ 誰か出て来たなそう思って顔を上げると
10歳ほどの女の子が鏡越しに見えました
おかしい 鏡の少女は近づいて来ているのに
少女の姿が直には全く見えない
変だなと見ていると
少女の後ろから友人が通り抜けて出て来ました
僕が「途中女の子とすれ違わなかった」と聞くと
友人は「女の子? 見てないけど」と答えました
僕もミラーハウスに入る番になったので
ミラーハウスに入り進んで行くと
さっき出口で見た少女がまたも鏡越しに見えました
迷子なのかふざけて遊んでいるのかな?と思ったので
迷子だったら保護 ふざけているのなら注意をしようと
その少女を追って行くと突然携帯電話のストラップの紐が・・・
海斗
と取れて落としました 僕がストラップを拾って戻って行くと
背後で鏡が倒れて音を立て割れていました
あのまま少女を追いかけていたら僕は大怪我を負っていたでしょう
なんだかこのストラップが僕を守ってくれた気がしました
しかし・・・あの鏡の少女は何だったのでしょう?
僕はそれだけが気になっています
ちなみにその遊園地には今も行きます・・・ミラーハウスだけは入りませんけどね?
コレでこの話は終ります
第97話  額縁やドレッサ―の裏は確認しましょう語り手: 十叶 夕海さん
先週の土曜日曜と、オフ会に行ってまいりました。
土曜の朝に、実家を出て、午後からメンバ−とカラオケ、そして夕食。
買出しをして、飲み会兼仁義無きウノ大会と時間が過ぎていきます。

そして、時刻は、草木も眠る丑三つ時。
いい加減眠くなってきたのとアルコ−ルのせいもあり、先にその飲み会を退席しました。
そして、自室に戻り、シャワ―を浴びました。
とっとと布団にもぐりこんだのが、午前二時半過ぎでした。
朝早かったこともあり、すぐに、眠ってしまったようでしたが。
しかし、真上に、誰かが乗っているような感触で目を覚ましました。
乗っているのは、足の方。
なので、首は動かせます。
時刻は、三時を少し過ぎた頃です。
足元は、窓になっていて、誰かが入れるような場所でもありません。
角部屋といえど、十階なのですから。

そして、間の悪いことに、トラブルを避けるために、いわゆる霊力の大半を封じてもらい、なおかつ後ろの面々の殆どを置いてきていたのです。
その足元にいた黒い固まりは、どんどん上にあがって着ます。
そして、胸の上まで、来ると首をぐいぐいしめてきます。
やばいかなと思ったその時。
荷物に入っていた拳大のぬいぐるみから、このめが飛び出してきました。
そのぬいぐるみ、実は入れた覚えのないものだったんです。
『やっぱりこんな事になるのか、お主は。
 ≪道化師≫のいうとおり、ぬいぐるみを入れておいて良かったわい。』
そういいつつ、ぬいぐるみとそう変わらないサイズのこのめは、ケリ一発で、真横の部屋にその黒い固まりをおいやりました。
どうでもいいが、隣りの人も、それなり霊感があった+起きていたようで。
「オウ、ジャパニ−ズゴ−スト」的な声が聞こえていたのは、気のせいにしておこう。

そして、翌朝、乾さんの電話と目覚ましに起こされるまで、気絶するように再び眠ったのであった。
                        おしまい

第98話  部屋にいたのは…?語り手: 薫さん
これは、先週の百物語が終わり、月曜日にみた夢のお話です。
夢の中、いつものようにネットをし、そのまま眠りに私はつこうと横になりました。と。
がさ…がさがさ……

何か部屋の中から音がします。横をみても猫たちは真横、そして足元でねており、音が他にする思い当たるものは・・Gくらいなものです。
とにかく、真っ暗な中、電気をぱっとつけて、音がしているところに視線をむけます。
と。
ぴしっ。おもわずそれを目にして一瞬体が硬直してしまいました。というのも・・・
なぜこんなところに!?というのが素直な感想。部屋にごろごろとまるで大量に増産されているのでは?とおもえるほどの本の隙間。そこにいたのは・・・
テカテカとひかる、ながひょろい、しかもどぐろをまいてかまくびをもたげた・・・・一匹の蛇
「うにゃぁぁぁぁぁ!?」声にならない叫び、とはまさにこのこと。しかも気のせいか蛇の頭は三角のような気が・・・(汗
とにかく、すぐさま母などをたたきおこして、蛇との格闘がはじまりました。といっても相手はもしかしたら毒蛇かもしれません。とにかく四苦八苦の末にようやくゴミ袋の中に蛇をどうにかいれることに成功しました。・・・が
ヘビはかまくびをもたげて、その袋すらくいやぶろうとしてきます。あわててそれを紙袋にいれました。そのとき、誰も警察に連絡、というのはきれいさパリ頭にはありませんでした。とにかく何とかしないと、という概念のみ
そして、ゴミ袋にはいったまま、さらに紙袋にいれられたはずのヘビはさらにもがき、紙袋ごと、手もふれていないのに移動していきます・・・
そして、そのまま、勢いにまかせて二階から一階へ、さらにはそのまま窓をあけはなっている窓の外へと出た直後。蛇は袋の中から脱出してきました
そして、そのまま、近くにいる私たち家族のほうにむかってきます
「うわっ!?」ぱしゃ。・・・ん?何か冷たい感覚がしてふと眼をあけるとそこは自分の部屋。
いつものごとくに、どうやらまた、保護中の子猫がコップの水をひっくりかやしたらしく、その冷たさで目がさめた、というのを瞬時に理解しました。あのまま夢をみつづけていたらかまれていたのかどうなったのかはわかりません。
とりあえず、変な夢。そう、変な夢だったのですがあまりにリアルであったので、電気をつけて部屋の中を調べたのはいうまでもありません・・・
が、しかし、このときはまさか思いもしませんでした。数日後・・・
「都会で毒蛇飼育!」というニュース、みなさんも記憶に新しいとおもいます。
あの、飼育していた人をかんだ、というあの毒蛇・・・あの緑色のテカテカひかるあの姿・・・まさに、私が夢でみたヘビそのもの、だったのです・・・
あの夢はこのことを指示していたのでしょうか?それとも???
なぞは謎のままで、いまだに自分の中で?マークがとびかっている次第です・・・・
終わりです。
第99話  ・・・何があるの?語り手: 薫さん
これは、ある町の一角にある、というとある場所に存在するお店のお話です。
その店は立地的にはかなり条件的にはいいものの、なぜかよく店舗がいれかわっているそうです。
よくて一年ももたない、というのはその地元では有名らしいですが、しかし別に人の出入りがわるい、とかではありません。逆に出入りは立地的にはいいらしいのです。
にもかかわらず、その店舗に入った店は必ず長続きしません。
そして・・・
あるとき、その店にとてもおしゃれなカフェレストランがはいりました。味も値段もかなりよく、すぐに人気になりました。
あるとき、その噂をききつけて、そんなにおいしいのならば、とある女の子が友達と一緒にその店にといきました。
確かに噂にたがわないおいしさです。しかも値段もやすい。これはいい!と盛り上がっているさなか
ふと、花畑にいきたくなり、(いわずもがなお手洗い)席をたちました。
ぞくっ。かなり綺麗な近代的な建物のはずなのに、なぜか扉をくぐったとたんに感じる悪寒。
ふとみれば、個室の片隅にうずくまるどうみても生きている人ではないような存在がそこに視える、のです。
やばい。彼女は直感的に判断し、その女性が自分に気づく前にあわててその場をあとにして、友達のところにもどっていきました。
どうみても、あんな場所に、しかも黒一色の女性らしき存在がいるはずもありません。つまりそれは生きている人ではないことを指示していました。
雰囲気も、味も値段も申し分ありませんが、ですけど何となくあまり長いをしてはいけないような気がしてそのままその店
その店を友達とともに出てゆくその彼女。
「たぶん、あそこが長続きしないのはアレのせいかな?」「あ、●●もみたんだ、私もそんな気がした」
きけば、個室だけでなく、その存在は店の片隅にも視えていたそうなのです。友達がみたのと彼女がみたのかは別ものなのかはわかりませんが、二人は直感的に同じもの、とおもったそうです
そして・・・・
味も、値段もかなりよく、雰囲気すらもよくて常に満員であったはずのその店は・・・
数か月もたたないうちに、やはり閉店をよぎなくされ、再びその前をとおったときには、貸店舗、のビラがはられていたそうです・・・
そして、いまだにその場所には店舗がはいつては、撤退し…を繰り返しているそうです。そこにいついているのは何なんでしょう?それは誰にもわからないのです・・・
悪意をもたらすものなのか、それともはたまた・・・
ちなみに、いきなり経営者がきえてしまう、ということもしばしばその場ではあったそうです・・・
おわります。
第100話  Game Over語り手: エモーションさん
これはファミコン全盛期の頃のお話です。
当時小学生だったA君は、両親が法事などで出かけたため、中学生のお兄さんと留守番をしていました。
夏休み中だったこともあり、あまり夜更かししないこととゲームばかりしないようにと注意されていましたが、A君からすればお母さんにガミガミ言われずにゲームができる機会なんてそうありません。
その年に発売された某有名RPGの第3弾を夢中でプレイしていました。
そして夜になりました。お兄さんはA君がゲームをしていることには特に何も言いませんでしたが、さすがに「適当なところでゲームをやめて、ちゃんと眠るように」と注意をして、自分の部屋へ行ってしまいました。
が、ゲームに夢中になっていたA君は生返事をしてそのままゲームを続けたそうです。
そして深夜。
何時頃だったのかは、A君も覚えていませんが、さすがにそろそろ眠ろうと思い、ゲームをセーブしようとした時です。
画面が急に戦闘画面になっていました。
半ばうつらうつらとしていたA君は「あれ?」と思いながらも、とにかく戦闘を終わらせなきゃ、とコントローラーを動かしましたが……まったく機能しません。
それどころか、通常なら出てくるはずのコマンド入力ウィンドウがないのです。
眠気が吹き飛び、何がなんだか分からず混乱するA君の前で、キャラクターたちはビジュアルのない真っ黒な敵に、まさになぶり殺しといった感じで一方的に攻撃されていきます。
A君は最後の手段と、何度もリセットボタンを押しましたが、なぜかゲーム機は全く反応しませんでした。
そして……画面の中でキャラクターたちは血だらけになって全滅しました。
すっかりパニック状態になりながらも、A君は「これでゲームは終わったんだ」と思い、少しほっとしたそうです。……が。
ゲームは終わっていませんでした。
画面の中で真っ黒な敵が「次はお前だ」と言わんばかりにA君を見ていました。……少なくとも、A君はそう感じた、そうです。
その瞬間、A君は気を失いました。
「こら! ちゃんと寝ろって言っただろ!!」
そう怒鳴るお兄さんの声で、A君は目を覚ましました。見回すともうとっくに朝になっています。
混乱するA君にお兄さんは「まったく、ゲームしたまま寝るんじゃない!」と当然のお説教をしています。こわごわと画面をみると、画面は「GameOver」の状態です。
キャラクターも血まみれなどになっておらず、A君はほっとしながらゲームを終了させようといじっていると「でろでろでろでろ」という有名なあの音楽が流れ、
目の前でセーブデータがひとつひとつ、消えていったそうです。
そして、そのカセット自体も壊れて二度と使えなくなっていました。
キャラクターが血だらけになっている、というあるはずのない画面。公式ブックにものっていない謎のキャラ。そしてこの結果。A君はすっかりこのゲームがトラウマになったそうです。
それでも、時々、あれは何だったんだろう?と思っているそうです。
終わります。
第101話  触れば神様は怒ります。語り手: 十叶 夕海さん
さて、私は、少々人嫌いの傾向があります。
某小説のドロシ−のセリフを借りるなら、「好きな人間も要るけど、全体数からすれば嫌い」と言うところです。

今回お話するのは、その一端を担うことになったお話です。
私の後ろの人の中に、「紅葉」と言う巫女さんがいます。
くれは、なのか、もみじ、なのかは不明ですが。
彼女は、今は、半神半人と言う位置付けですが、元々は、人間です。
出身は、今で言う中部地方。
没年齢は、16歳とのことです。
生前は、その村の神社・・・正確には、神仏混合の神社の生まれでした。
一応、婚約者もいたようです。
でも、彼女はそうならずに、半神半人になった理由は、わかりやすいといえば分かりやすい。

その年は、田植えが終わっても雨が降らなかった。
前の年も、雨が少なかった。
そうなれば、当然雨乞いである。
火を焚いたり、偉い坊様を呼んだり、それでも降りません。
このままでは死活問題。
年貢が払えなければ・・・どんな目に合うかも分かりません。
神主・・・紅葉嬢の父は、書庫をひっくり返しました。
そして、一つの方法を執り行うことを決めました・
ところで、神社の敷地になっている、或いはなっていた山中の川の側に、平たい石がある場合がありますよね?

そして、カミサマが、最も嫌う『ケガレ』とは?

また、水を司るのは?
ありたいていに言えば、血で神域を汚す事。
それが、神主が選んだ方法だった。
その書庫の古い本にあった方法とは、

「××山中の××川の側の石舞台で。
 辰年辰の刻生まれの、未通女を神に捧げる」

と言うものだ。

そして、奇しくも、その村で、辰年で辰の刻生まれなのは、紅葉だけだった。
神主も、村の衆に言った後に気付いたのだ。
しかし、口を飛び出た言葉は返らない。
そして、数日後に、其れは執り行うことになった。

紅葉には、いや、他の村の衆にすらも神主は伝えてなかったことがある。
「なるべく、長く苦しませ、血を流させること。」
というもの。
無論、その時の紅葉には知るよしも無く。
それを執り行う際、周りに人はおらず。
父である神主と、紅葉だけだった。
紅葉は、その石舞台に、固定された。

ここからの詳しい話はさっぴく。
お肉が、食べたくなくなること請け合いのお話だ。
ただ、人間というのは、止血処理をきっちりして、手早くやれば、輸血無し、手足無しでもしばらくは、生存可能。
なおかつ、肺と心臓があれば、他は無くても、大丈夫。
其れが終わった時には、死体と言うよりは、肉槐が、転がっていた。
村のまとめ役としてのこともあったかもしれないが、これは、父親が実の娘にやったことである。

結果だけを言えば、雨は降った。
石舞台を穢された竜神の怒りの雨だ。
・・・まぁ、それで、無事作物が育った。
それならばめでたしめでたしだ。
しかし、その村は、今度は、長雨に、見舞われ、土砂に埋まった。
村の人口の半数以上が死んだという。

そして、紅葉は、その竜神の眷属になった。
その後いろいろあって、私の後ろの人をしているのだった。
まさに、触らぬ神に怒りなしである。


ちなみに、紅葉嬢、死んだ時より微妙に年齢を重ねているようで。
下に恐ろしきは、「大義名分」を手に入れた人である。そんなお話。
終幕






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