第53話  ひらひら語り手: エモーションさん
久しぶりに妹が転勤先から戻ってきたある日のことです。
母がお茶を飲みながらのんびりと私と妹に言いました。
「この間ねぇ。ちょっと疲れてソファーで昼寝していたら、変なものみたのよ」
一体何を見たのかと訊ねると、母はやはりのんびりと続けます。
「それがねぇ。白くて長い布みたいなのが、庭の上……2mくらいのところかしら、ひらひら移動していたの」
「……洗濯物?」
そう言った私に母は首をふっていいます。
「違うわよ。もう取り込んだ後だもの。それに少し透けて向こう側が見えてたし」
……白くて、長くて、少し透けてて、ひらひらと上空2mを移動する布……?
その時、私と妹の頭の中では、某妖怪アニメに出てくる布の妖怪が脳裏に浮かびました。
「泥棒かと思ったけど、起きたときはもういなくなっててねー。何だったのかしら、あれ」
「それは泥棒じゃなくて、一旦もめんだー!!」
次の瞬間、私と妹は揃ってそう言ってました。
「でもねえ、確かに見たのよ。泥棒だったら嫌じゃない」
「白くて長くて、布みたいにひらひら上空飛んでて、半分透けてる泥棒なんかいないって」
あくまで泥棒かもしれない、と言い続ける母に、妹が冷静にツッコミを入れます。
その後、尚も「えー」とぶちぶち言い続ける母に、私と妹は「一反もめんだよね」「うん、一反もめんだ」と勝手に結論づけて話を終了させました。
終わります。


第54話  マッチ売りの少女語り手: 遙 琥珀さん
『マッチ売りの少女』は1848年、マッチが発明されたばかりの時に書かれた作品だ。
世界初のマッチは1827年、イギリスで、薬剤師J・ウォーカーが発明した。しかし火付きがよくなかった。
実用的になったのは、フランスのソーリアが考案した、黄リンが頭薬にしたマッチが登場してからだ。
これは着火が良く、一気にヨーロッパに広まった。1831年のことである。
だが、このマッチはかなりの危険な代物だった。ちょっとした摩擦や熱で発火してしまう。ポケットの中に入れておいたマッチが急に燃え出すなど、よくあることだった。
更には、黄リンの毒性が後から解り、1912年には世界的に全面使用禁止になった。
アンデルセンが使っていた…というより、マッチ売りの少女が持っていたマッチは、毒性の強いグッズだった訳である。
ということから、こう推測ができる。少女は、マッチ中毒が引き金になって凍死したのだ、と。

『ドラッグ』と総称される精神作用のある薬物では、まず体感が変化し、次に幻視・幻覚が現れ、距離感にズレが生じ、上方を見上げた時など空に吸い込まれる様な上昇感覚を伴うことがある。
このことを踏まえて、マッチ売りの少女に起きたできごとをチェックしてみよう。
一本目のマッチをシュッとやった時には、身体感覚変化からか、彼女の皮膚は暖かさを感じている。
二本目のマッチからは、幻視・幻覚症状がより強く現れてくる。ガチョウの丸焼きが、フォークとナイフをさしたまま、少女に向かってよたよたと歩いてくるなんて、かなりディープな幻覚症状に陥っているでは無いか。
三本目のマッチでは、上昇トリップの症状が見られる。巨大なツリーの出現は、距離感覚や寸法感覚が怪しくなっているのだろう。
ステンドグラス状のカラフルでポップな幻視に囲まれ、手を伸ばしてつかもうとまでしている。が、ツリーはつかもうとすると少女の感覚の中で逃げるのである。
そして四本目。少女は祖母の幻覚に、大急ぎで残りのマッチを全部擦ってしまう。
祖母の美しさと大きさが増したと書かれている。
急性かつ大量に煙を吸い込んだ少女は、光悦感を体験し、また空に飛んでいくという浮遊感覚のトリップのうちに、倒れてしまう。
そして…倒れたまま、凍死を迎える。
これほどのリアルさで幻覚体験を描けるとは…。アンデルセンにもドラッグ体験があったのだろうか。
ガチョウはヨーロッパでは古代から豊穣のシンボルであった。ガチョウは結婚占いにもよく使われていた。
娘達がガチョウを取り囲んで、最初にガチョウが寄ってきた娘が最初に結婚するという。ところが、ガチョウに走り寄られ、追い掛けられる娘は結婚ができないという。
こんなヨーロッパの民間伝承を知って、少女が二本目のマッチで見た丸焼きのガチョウがどうして少女の方へ走ってきたのかを考えると、アンデルセンの寓意が見えてきそうだ。
ところでマッチ売りという仕事はあったのだろうか。デンマークでもドイツでも、幼い少女がマッチの街頭販売をしていたという記録は無い。つまりアンデルセンの創作ということになる。
アンデルセン童話の研究の中には、マッチ売りの少女は、マッチを売っていたのではなく売春をしていたのだと指摘する研究論文もある。
因みにアメリカでは、死んだ少女は実は気絶していただけで、心の優しい金持ちに救済されるという内容になっている。
いかにもハッピーエンドの大好きなアメリカらしいオチだが、それではやはり物語は台無しという気がする。

ところで、アンデルセンの母は、父より十五歳程年上の女性であった。
しかも母親は、結婚前に私生児を出産している。
六歳上の異父姉がアンデルセンにはいたのだ。しかし父親の違う姉がいることを恥じ、アンデルセンは一生それをひた隠しにした。
さらにアンデルセンの叔母は、コペンハーゲンで売春宿を営んでいた。
叔母は、アンデルセンを見るなり『アンタが女の子だったらお金になったのにね』と言ったという。
下層階級の出身故に、母は無教養で淫らで貧乏な生活を続けた。アンデルセンだって大都会コペンハーゲンで母と同じ運命を辿っても不思議では無かった。

『マッチ売りの少女』は、そんな母への鎮魂歌だったかもしれない。
終わりです。『コワイ』かどうかは人によって違うと思いますが、取り敢えず『ヤなハナシ』でした。


第55話  あってほしくない事夢でよかった事語り手: 朱音さん
あれは今から約五年前。私がまだ小学生の頃…
気が付いたら何処かのマンションの中に居た
父と一緒に何かから逃げていた…

するといきなり。銃声が聞こえた…
なんだ?と思ったら既にもう別の部屋だった。

すると目の前に、一つの機械があった。
…手の形をしたロボットの様な物だった。
ディスプレイ…とでも言うのだろう。画面だか頭の中に
『握手しますか?しませんか?』
と言う文字が流れた。
私は何故か直感的にしてはいけない、と父の服を握って首を振った。
しかし、父は聞き入れずにその謎の手と握手した。

すると。父の目が何かに操られたように虚ろになり、
ディスプレイに文字が流れた。
『殺せ』
その文字が出たとたん。
父はどこから手に入れたのか、何か武器を私に向けて振り回した。
私は急いで逃げた。

どこをどう走ったかは覚えていない。
気が付くとまた別の部屋にいた。

すると、女の人が出てきた。
かなりの美人だろう…その人はこういった。
『早く逃げなさい』
でもお父さんが…
と言った覚えはないが彼女は黙って首を横に振った。
すると、入ってきたほうからアンドロイドかゾンビだか知らないが、
武器をもった人の形をした者が入ってきた。
私は裏口から逃げた。
部屋の中で何かが格闘しているような音が聞こえたが、
もうそんな事どうでもいいとばかりに走った。

そこで目が覚めた。
まだ誰も起きていなかった。
怖かったので母と父の間で縮こまっていた。

起きて着替えてるとき、どんな夢を見た?ときかれた…
私はこう答えた。
『ヨットに乗って滑って転んだ夢』
馬鹿らしいが、心配を掛けたくなかった…

その夢は今まで忘れた事はない…
おしまいです。


第56話  夢のお告げ語り手: 青月 かなたさん
私の母方の家系には、どうやら霊感に近いものがあるらしい。
祖母が、こんな夢を見た。
『ぼんやりとしていて、顔は見えないけど…アレは良くないね…』
祖母の『夢』は、直感的なものらしく、大抵は家の家系の故人が出てくる。しかし、そのときは生きた人だった。
私の母がそれはなんだと訊ねると、こう答えた『誰か…怪我するね。変な事にまきこまれたかね…〇〇達』
そのときは、私の叔父一家が帰省してくる時で、彼等がおかしなことに巻きこまれたのではないかと言うのだ。
私の心にも、恐怖が芽生えた。祖母のそれは本当に当るからだ。
そして、少しその話し忘れかけたとき、電話が鳴った。
『はい〇×ですが…〇〇どうしたんだ』祖母の声が響く。
結論のみ言えば、叔父一家は事故にあった。不幸中の幸い、死人は出なかった。
けれど、私の従兄弟は腕を折ったし、幼い従姉妹は泣いていた。
夫婦はわりとぴんぴんしていたが、やはりかなりヒヤリとしたらしい。
(ああ、やっぱおばあちゃん凄いし…)私はそう思った。
その騒動の後に残ったのは、シートベルト、チャイルドシード絶対着用の習慣。
そして、『ああ。☆(母)もかなたもそのうち見るよ。うちの女だからね』
という、私にとっては恐怖の一言だった……。
願うくば、私は良い夢をみたい。
おしまい。


第57話  そこにあったもの語り手: 薫さん
火葬場。それは今ではほとんどの場所できちんと整備されている場所で、見た目の雰囲気もきれいにされています。
だけども、私がまだ小さいころには、その火葬場は、祖母の家の上にと位置しており、また、かなり古いものでした。
できた当時は最新式であったらしいのですが、やはり、年とともに、それはくたびれていき、また技術的にも遅れていきます。
それゆえに、しばらくして、私のいる市では新たな火葬場が建設され、今ではそちらが使われております。これは、そのふるいほうの火葬場のお話です。
その火葬場は、山を切り開き、作られていました。そして、その火葬場を取り囲んで竹林が群生していました。
私は詳しくは知らなかったのですが、その火葬場は、余った骨などをその林にと破棄していた時期があったらしいです。何でもあまった骨を保管する建物がいっぱいになったとか、何とかで。
昔は祖母の家などに泊まると、よく人魂をみていた、と話を聞いたことがあります。当時は火葬もあり、また土葬もあったらしいので、それも当然でしょうが。
当時、まだ幼かった私はそんなことなど露もしらず、その林の中にとはいっていきました。従姉妹につられ。その竹林ではよくタケノコなどといった山菜などがとれる、というのでついていったのです。
しばらく進むと、なぜかぽっかりと切り開かれたような場所があり、そこに草などが生えています。なぜ林の中にそんな場所があるのかなど当然まだ小学一年の私にはわかりません。
当時の私の目に入ったものは、その切り開かれた場所に山と生えているつくし。それにつきました。
「お姉ちゃん!つくしがいっぱいあるよ!」私の言葉に。「ああ、確かにあるね。でもここのとるの?」「?でもつくしだよ?とろうよ、とろうよ。」
季節は春。季節によってはそこにてワラビとかも取れます。そのときの私は、いっぱいに生えているつくし、それが魅力的でした。
なぜか多少しぶる従姉妹にせがみ、そこに生えているツクシを袋に四つほどつめ(大きな紙袋です)ほくほく気分で帰路にとつきました。なぜかツクシをほっていたりしたら白いようなものがあったりもしましたが。
そして、家にと戻り、母たちにつくしを渡すと、どこからとってきたの?と聞かれ。素直に答えると。二度とそこにはいかないように。といわれました。当時の私には意味などわかるはずもありません。
ただ、「ま・・・まあ、栄養があるからそりゃ生えてるでしょうね・・・・」という母のせりふが、当時の私にとっては?でした。
とにかく、山ほどあるつくし、それらを私のせがみもあって、母たちはシゴをして、そしてつくしのツクダニなどをつくってくれ、そのときの私はかなりほくほくでした。・・・・後日、ふと思い出して「あそこににどといくな」という言葉を思い出すまでは・・・
当時、小学一年の私は知りませんでしたが。その場所は。その火葬場の余った骨などを埋める場所であったらしいのです。そして、その林ではタケノコと一緒にホネも出てくることもしばしば・・・。どうやら林にホネを埋めて埋葬していたらしいのです。
つまり・・・・当時、私がみた、つくしをとるのに夢中で、知らないままにたまぁぁに踏んでたりした白いものは・・・・。つまりは・・・・
ここまでいえばわかるでしょう。そうです。それはどうもその火葬場で火葬された人たちの余った骨・・・・。それにつきたのです。
つまり、当時、母がいっていた。「栄養がある」の発言は、イコール。埋葬されている人の骨・・・・。数年たち、その事実をしったときの私の気持ちとしては・・・。つまり、私は当時、つくしだ!つくしだ!とよろこんで食べたあれ。
つまりは・・・・人の骨の上に生えていたものだったのです・・。
それ以後、しばらくツクシを必ずタベタイ!という衝動がなくなったのは・・・いうまでもありません。
人間、知らないで何をしているかわからないものです。みなさんも、山などで見つけた山菜や自然の食べ物には気をつけましょう。・・・・それが何を栄養にして生えているのか、もしかすると・・・それは・・・・
終わりです。


第58話  道案内語り手: 水島飛鳥さん
私のバイト先はオフィス街にある某喫茶チェーンなのですが。
ある時ブレンド30人前という出前で。当時新入りの私が店長についていく事になりました。
で、いざ行こうとした時。「あ、セット忘れた。(店長)」
セットというのはこの場合、ミルク、砂糖、スプーンの用意です。
しかも、実は既に出前の予約時間を数分過ぎています。

『しょうがない、水島さん、後から追いかけていくから先行ってて。』
「先って・・・店長、そもそもこれ、何処の出前なんですか!?(聞いてない)」
『あ、ぅん・・・って、水島さん、場所知らないか・・・取り敢えず、此処まっすぐ行ってて』
という訳で暫く真っ直ぐ行きましたが、曲がり角で如何するかが分からない。
徐々にスピードを抑えてちらちら後ろを見ていると、視界の端にうちの制服が目に入り・・・
『水島さん、何たらたら動いてるのっ!早くしてってば。・・・(間)・・・あ、次右ね。』

紛れもない、店長の声。滅茶苦茶腹が立ちつつ相手が相手なのでそのまま進み、
正にその角に差し掛かった時。
「水島さ〜ん、何ゆっくりしてんの。其処、右に曲がってさっさと行くッ!」
やたら後ろから店長の声・・・後ろを振り向くと、遥か遠くから駆けてくる店長・・・・・・

「だから其処右だってば。あれ?そういえばさっき言ってなかっけ?
(中略)あ、そういえば遅くなったけど、セット持ってくんの遅れて御免なぁ。
 そういえばどっちに進むか分からなければゆっくり行くしかないかぁ。」
「・・・・・・店長、今来たんですか?」
「今・・・って?結構前だろ、いや、ってさっきの○○ビルの前の・・・(後略)」
・・・という訳で。如何考えても店長の声だった顔は見てないうちの制服着た人は実在しない様で。
道を教えてくれた声の存在は「発言者不明」のまま、
私の心の奥底に、仕舞い込まれるになるのでした・・・・・・・


第59話  スイカ語り手: ぷらすとーるさん
友達の兄貴が大学の登山部だったんですよ。
で、ある日数人で雪山に登る事になったんですよね。
雪山って奴は、気候の変動がやたら激しくベテランでも何が起こるかわからないとこだそうで・・・・
どの雪山でも足を滑らせて崖から落ちて死んでしまう人たちが何人もいて・・・・
で、そういう人たちの死体って、警察も身元確認をした後そのままムシロを引いて放置する事が多いらしいんです。
それで、頭から落ちてぱっくりと頭が割れた死体が登山する人たちの間で見た目から「スイカ」と呼ばれているそうです。
で、話を戻しますが、友達の兄貴を初めとする某大学の登山部は夕方に差し掛かり、気候も変わってきたので・・・・
途中の山小屋で一夜を明かす事にしたんです。
そこで、山小屋に登る途中に山小屋の方から別のパーティーが向かってきたんですが・・・・
夕方の時間、しかも気候がこれから変わろうとする時に下山するのはどうしてもおかしいんですよ。
しかも、千鳥足のような妙な歩き方をしてるし・・・・・
で、だんだんお互いの距離が近づいて来てすぐ近くに来た時・・・・
それは頭がパックリと割れた「スイカ」の集団だったんです。
驚く友人の兄貴たちとすれ違った時、先輩が・・・・・
「絶対に後ろを見るな!」と大声で叫んで・・・・・・
友達の兄貴は、無我夢中で山小屋に向かったんです。
で、山小屋で後から先輩たちに話を聞くと・・・・
稀に雪山を登ると「スイカ」の集団とすれ違う事があり、もしもそこで通り過ぎたスイカを振り向いてみたら・・・・
自分たちも足を滑らせ、スイカの仲間入りをしてしまうと言う事だそうです。
とにかく、みんなは無事に下山できたそうですが、この話信じられますか?
今日の俺の話はこれで終わりです。


第60話  誰の手?語り手: 李 杏蓮さん
これは、僕の姉が経験した話です。
二、三年前、姉は頻繁に金縛りにかかっていました。
夏休みのある日、姉は二階の部屋でうとうとしていたそうです。
そして、金縛りにあったそうです。
しかし、姉は当時金縛りになれており、強引に直そうとしました。
ところが、その金縛りはなかなかとけませんでした。
さすがに姉も不審に思ったとき、誰かが階段を登ってくる音がしました。
その日、家に祖母がきており、姉は、とっさに祖母が登ってきたと思ったそうです。
そして、その足音はベッドの脇で止まりました。
そのときまで金縛りが続いていたので、姉は、ちょっとあせってベッドの柵から、かろうじて動いた手を無理やり出しました。
すると、誰かに、その手を握り返されました。
しかし、その手は硬くて、妙に冷たく、まるで死体の手のようでした。
「何だこれ!」
姉は、内心叫んでその手をふりほどこうとしました。
しかしその手は、なかなか離しません。
業を煮やした姉は、力づくでその手を振り払いました。
そこから先の記憶がないそうです。
次の記憶は、まともに目を覚ました状態でのもので、
よく考えると、祖母はもう姉が二階に上がる前に帰っており、家には、僕と姉の二人しかいませんでした。
僕は階下でパソコンをしていて、二階にはあがっていませんでした。
では・・・
その手は一体誰のものだったのでしょう・・・。


第61話  ありえない夢語り手: 朱音さん
これは私の友人(仮にS)が実際に見た夢です。

 彼女がある日(しかも授業中)、こんな事を聞いてきました。
「リナ=インバース教とゾアメルグスター教。どっちに入る?」
「何?いきなり」
「こんな事聞かれた夢見たの」
「あそ、え〜とね…」
 ゾアメルグスターは嫌だし、リナ=破壊神だから面白そうと思い、私は、
「リナ=インバース教…」
 と答えました。
「だよね。あたしもそう思ったんだ。
 で、なにやら豪華な屋敷の前に来て『ここが本部です』って言われたんだ。そこ広いんだよ」
 …とりあえず豪邸を頭の中に浮かべました…
「で、中庭でモンスターが畑耕してた」
「はい……?」
「まぁその辺関係ないから」
「あそ…」
「中に入ると、なるほど教会らしい椅子が並べてあって、その一番奥。
 そこにね、下級魔族っぽい銅像が(協会にあるイエス様の像みたいなかんじで)あってね」
「…何…?…それ…」
「『破壊神リナ=インバース』の像」
「嘘ぉっ?!」
「本当」

もはやここ大丈夫なのかと思いつつ、話を聞く。
「で、次の部屋に案内されたんだけど…デ○チョ○ボが…飛んでたの…」
「デ○チョ○ボォッ?!」
「うん。デ○チョ○ボが室内を。しかも床には水溜りがあったんだよ。
 …そこには池もあったそうです…
「ねぇ…その水って…」
「デ○チョ○ボの汗」
「あ、汗…(滝汗」
「うん。だから傘とかレインコート着ていくんだって」
「S。呑気に言うなよ…」
 ここは何階建てか知りませんけど結構大きい建物なのだそうです…
 だから天井が高くて…何十羽ものデ○チョ○ボが飛んでいるんです…
 
「で、次に案内されたのが外で、鮫がいた」 
「鮫?」
「うん。水槽があって、鮫が泳いでんの」
「…やばいぞ、それ…」
「あと、頭が星型の人も中にいた…」
「その『星』って…ひとで…でしょ…?」
「うん」
「助けろっ!まずいからっ!っつか食われてるからっ!」
「いや、あたしもそう思ったんだけど、案内の人が『大丈夫です。あれがコミュニケーションです』って言って」
「コミュニケーションじゃないし、つかその人大丈夫だった…?」
「少ししたら泡が出てきた」
「溺れてるってば!」
「しかも案内の人『あ、溺れてるようですね』とか言ってた」
「…大丈夫か…?その人…」
「さぁ?」
 …この人…いつもどんな事思って過ごしてんだろう?と思いました。

「で、またデ○チョ○ボのいる部屋通って、また外に出たの」
「また…」
「で、そこで『皆集まれじゃんけんパーティ』だかそんな名前の催しがあってね、名前どおりじゃんけんすんの」
「……」
 まともなことにはならないだろう。そう思ってたら…
「負けたらさっきの水槽行き」
「やめろおおぉぉっ!!!」
「で、一人入った」
「助けろっ!」
「もう遅かった。で、ひとでの『コミュニケーション』受けてた」
「…オイ…」
 そういえば鮫は?とは思わなかったのが今では不思議です…

「んで、またデ○チョ○ボのいる部屋通って――」
「…えー加減にせーよ…」
「だってそこ通路なんだもん」  
「……」
「なんか騒動が起きたのよ」
「?」
「なんかね、『危険度Sのスイートポテトが脱走したー』って」
「スイートポテトって…『汝その名は…』の?あの叫び芋?」
「うん」
「……」
 ほんとにどーゆう夢見てるんだ?と思いました。



「まぁ『いつものことですから』って案内人さんは言ったけど…」
「何者ですか?その人は…」
「さぁ?」
 無責任な…

「あと、今度はプールに連れて来られたのよ」
「プール?」
「案内人によると『今は居ませんけど、水槽を洗う時は、鮫をここに入れるんです』って言ってた」
「…人いたりする?」
「いる」
「入れるなぁあぁっ!」
「で、そこらへんで目が覚めた」
「…よかったね…」
「二度寝したら続きが出て」
「オイ……」
 まぁ本部の間取りの詳細気にならなくもないけど…と思った私は浅はかでした。

「で、なんか扉の前に案内人さんと立ってて『ここは物置です』って言われた」
「は?」
「危険度Sのスイートポテトとかを封印して入れるんだって」
「…それ物置というか…危険物保管室?」
「そうとも言うんじゃない?」
「…で?」
「気が付いたらまた移動してて――」

「図書館の中に居た」
「ふーん」
「で、なんか隠し扉みたいなのがあって――」
「よくわかったね…」
「たぶん直感。で、開けたらね…」
「うんうん…」
「カエルらしき生物が居た」
「ハ…?」
「で、二匹いて
『マスター!踊ってください!』
『わかった!』
とかいって一匹踊ってた」
「………」
 本当にこいつの脳の中不安になってきました。
「迷わず閉めたよ」
「そりゃそうだ」
「で――」
「まだあんの?」
「うん。案内役さんが、『ここには異時限に繋がる空間がありますから、気をつけてください』とかいって、おしまい」
「…ほんとに…何者…?その案内役…」
「…黒髪で長い髪の人だった」
「…シルフィールみたいな?」
「うん」
 もっとも。性格は全然違うだろうが…

「…S…」
「何?」
「授業終わるね…」
「そうだね!」
 この時ほど『この時間選択音楽でよかった』と思ったことはありません。
 そうして貴重な一時間は、Sの摩訶不思議な夢の説明だけを残して消えました。

おしまいです


第62話  おじいちゃん火葬のナゾ語り手: くれつきさん
私には戸籍上曾お祖父さんであったおじいちゃんがいました。詳しく書くとややこしくなるので、おじいちゃんと書きますが・・
おじいちゃんが亡くなったのは私がまだ学生の時でした。もう結構前のことです。
亡くなったのは正月の5日。
その正月元旦には元気で一緒にお雑煮やおせちを食べていたのですが、3日目の夜、トイレに行こうとして転んでそのままそこで寝てしまい・・・
風邪を引いて4日目病院へいきました。そこでも気持ちだけは元気で・・・
点滴はずそうとしたり大変だったそうです。
家に帰るときも支えられながらでも自分の足で歩き、庭をみて「庭を掃除しないといけん!」と言っていたそうです。
そのおじいちゃんの容態が急変したのが5日目。
私が犬の散歩から帰ってきたときです。
母親が「おじいちゃんの様子が変なの」と慌てていました。
そこで私も急いでおじいちゃんのところへ行きました。おじいちゃんはおじいちゃんの部屋で布団に入って静かにしていました。
けれども確かに変でした。話しかけても反応がないのです。
折りしもその日は日曜でした。父親とおばあちゃんは病院探しに必死で
母親は「これは絶対入院になる」とバタバタしてました。
救急車呼んだほうが早い気がとてもしましたが・・・・・
おじいちゃんの部屋には、私だけがポツンと取り残されました。
なんとなく何をして良いのか分からなかったので、私はおじいちゃんの手を握りました。すると、いつの間にかおじいちゃんが私を見ていました。
今でもしっかりとそのときのおじいちゃんの目を覚えています。
おじいちゃんは、確かに私の目をみているのに、私を見ていませんでした。私を通してもっとずっと遠くを見つめている、そんな目でした。
しばらくその目を見ていましたが、なんとなく圧倒されて私はちょっと目を離しました。
次に目を戻したとき、おじいちゃんはもう目を瞑っていました。
「おじいちゃん!?」と叫ぶと一瞬体がビクっとしましたが、それっきりもう何も反応はありませんでした。
それから救急車を呼んだりとあわただしい一日になりましたが、おじいちゃんは結局そのまま亡くなりました。92歳、大往生とは言えませんが、それに近い穏やかな死でした。
生前、様々なことをして話題を作りまくっていたおじいちゃんは、気さくなところもあり憎めない人でした。
もちろん親戚一同寂しく悲しいとは思いましたが、皆納得したような感じでした。
私達の地域は、お葬式の前に火葬をします。
それで親戚一同で次の日、火葬に行くことになりました。
火葬場に着くと、係りの人が待っていました。最後のお別れをし、ガラス張り(親族と火葬場の区切り部分)の焼き場に棺が運ばれます。
ガラス張りの向こうにある、焼き場、つまり親戚の人が最後に見送るところです。
そして代表者の父が火葬のスイッチを押します。すると・・・・
「敬礼〜〜〜〜!!!!」
誰もがびっくりするような大声で係りの人が言いました。
親戚一同、火葬よりまずそれに呆気にとられました・・・・・・(汗)
そしてしばらく後。
お骨になったおじいちゃんを骨壷に入れるためまた私達はその係りの人のところまでいきました。
すると、係りの人は次に骨の部位の説明に入りました。
『・・・・・なんで説明が必要なんだ????』親戚一同、心の中で同時に突っ込んだようです(後日語り合った^^;)
ふと、おばさんがお骨と一緒になにかガラスの破片のようなものがあるのに気付き、係りの人に尋ねました。「これって、何でしょう?」
係りの人は「あぁ、それはめがねでしょう」と答えました。
おばさんはうちの父に「・・兄さん、めがねって入れてた?」と小声で聞きました。父は「いや、いれてないよ」と答えました・・・(汗
次になんか緑っぽい色の部分があったので、また別の人が係りの人に「この色はなんなのでしょう?」と聞きました。
係りの人は「それは花ですよ」といいましたが、花も入れてないはずなのです・・・・・
全員の心に『この係りの方、大丈夫なのだろうか・・・』という疑問がわきあがりましたが・・・・
何とか無事???火葬は終わりました。
後日、ガラスの方はお数珠ではないかと判明しましたが・・・
緑の色はいまだになんだったのかわかりません・・・・
終わりです


第63話  おじさん語り手: 遙 琥珀さん
その日、私は体調不良で早退していた。
私の学校はたんぼのド真ん中にあり、障害物となるものがなくてやたら見晴らしがいい。
私は、背中に生徒たちの視線を感じながら帰路に着いていた。
百メートル、二百メートル歩いても、まだ学校から見えている。
私は、背中を丸め、自分の足下だけを見ながら歩いていた。
そんな時、私はふと顔を上げた。
四十前後のおじさんが、たんぼの縁に腰掛けていた。
足を水に浸け、ぱちゃぱちゃやっている。
「…………」
道はたんぼの中を通る一本道。
帰ろうと思えばその変なおじさんの真後ろを通過しなくてはならない。
私は何故か緊張しながら、足を進めた。
大丈夫。あれはそこらへんの暇な人だ。
自分に言い聞かせながら足を進める。
こういう妙なシチュエーションはよくある。
だが、大体においてそれは女の自意識過剰で終わるものだ。
私はそう思いながら、おじさんの後ろを通る。
…ところが。
「…いい天気だの」
…と、声を掛けられた。
「えっ!あっ、はい!」
条件反射で思わず返事してしまう私。
…しまった、と思ったがもう遅い。
おじさんは、空を見上げ…次にこっちを見て、言った。
「一緒に死のう」
そして、ポケットの中に手を入れ…何やら光るものを取り出した。
…しかし、私はそうしている間待つ訳が無い。
体調悪いのも忘れ去り、背中を向けてダッシュで学校に引き返した。
そして、校門の手前で振り返り…
「………」
硬直した。
誰もいないのだ。
さっき言った通り、たんぼの中の一本道、隠れる場所などありはしないのに。
私は取り敢えず、学校事務のひとに泣きついた。
涙ながらで支離滅裂なことを言う私だったが、そのひとは冷静に聞いてくれた。
「学校周辺にそんなことをいう人がいるなんて大変だわ。
 すぐに警察に連絡しましょう」
私は、騒ぎが大きくなっていくのを他人事の様にぼーっと見ていた。
…だが、結局そのひとが捕まることもなく、私もそれからそのひとを見てはいない。
結局何だったのだろうあれは…と、三ヶ月程経った今でも思うのである。
おしまいです(汗)


第64話  山の上の・・?語り手: 薫さん
これは私が今もなお、何だったんだろ?あれは?と思う出来事です。
私が今住んでいる、ここに引越ししたのは小学六年生のとき。ここはかなりの田舎。何しろ水道すら通っておらずこのあたりいったいはすべて井戸水となっております。
まあ、そのあたりは関係ない、といえば関係ないのですが。これは、小学校に通っていたときのある日の出来事です。
いつものように、学校より家に戻るべく、通学路を戻っていました。・・・・と。
学校の帰り道。別に何をする、というのでもありません。それゆえに、ただのんびりと、そのあたりにとある山などをぼんやりとみていました。
と。「・・・・・?飛行機?」ふと、山の上に何やら橙色の光が見えます。当然ながら私は思わず飛行機かな?と思いました。
それはちょうど山の真上に三つほど。「?????」飛行機にしてはおかしいな?と思い、首をかしげ、よく見てみようと思い、もう一度見直すと、すでにそこにはその光はありません。
気のせいかな?と思い、そのまま歩き始めて数歩あるくと、やはり何か視界に入り込みます。思わずもう一度先ほどの場所をみると。今度はその山とは違う場所に先ほどと同じ光がこれまた三つ・・。しかもその横にあと二つ・・・・
「って!?何あれ?」思わず一緒に帰っていた子を呼びとめ。しばらくそれを眺める私たち。その光はしばらくそこにとどまっているかとおもうと、いきなり消え。しかも、まったく逆方向、つまり逆方向にある山の上にいきなり出現したりしています。
「・・・・飛行機?」「・・・にしては飛行機雲・・・ないよ?」「・・・・んじゃ、UFO?」「ま・・・確かに未確認だけど・・・・」
そんな会話をしていると。
その光はやがて、なぜかひとつにまとまり。そして。私たちの目の前でいきなりその姿をかき消しました。
「・・・・・やっぱ気のせい?」「・・・・ま、きにせずにかえろ・・・」とりあえず今みたものが何なのか、気にはなりますが、とりあえずそのまま再び帰り道を進み始める私たち。
しばらく進むと、「・・・って!?」思わず同時に私たちは叫びました。
みれば、今度は私たちの目の前、というか目の前というかその先にとある山の上に。先ほどと同じ橙色の光が今度は二つ・・・。何やらじくざくと動いています。
それはちょうど後ろからきていた男子なども目にししばしその場は騒然。
結局私たちが騒いでいるそんな中。
その光は姿を消しては別の場所にいきなり出現する、というのを繰り返し、そしてそのまま。やがて、ぷつり。と姿を消しました。
しばらく騒然としながらも周りを見ても今度はそれらしきものは何もありません。しばらく私たち子供はざわざわと騒いでいましたが。
やがて大人が子供が騒いでいるせいか近くにまでやってきて。「何を騒いでるの?早く帰りなさい。」と注意してきました。「さっき何か変な光が!」口々に子供がいうのですが。
当然というか当たり前、というか取り合ってくれません。「そりゃ、飛行機よ。ほら、かえる、かえる。」そういい、私たちを促していきます。
結局、しかたないので私たちはそのまま家にと戻りましたが・・・・・。いまだにあの光が何だったのかわかりません。
まあ、確かに、「UFO」とは未確認飛行物体のことなのでUFOといってしまえばそれまでですが・・・。
自分ひとりがみたのなら、気のせいかな?とでも済ませられるでしょうが。当時それをみたのは軽くみつもっても五人以上・・・。いったいあれが何だったのか、いまだにわかりません・・・。ちなみに、数日後、また同じ光が山の上に学校の帰り道に見えましたけど・・・それは見ている目の前でまたまた掻き消え・・それ以後、そんな不思議な光は目にしていません。
数年以上が経過した今でも、あれはいったい何だったんだろう?と思っている今日この頃です。
終わりです。


第65話  いないはずのものたち語り手: エモーションさん
 弟はジャンガリアンハムスターを飼っていました。残念なことに死んでしまったのですが、それからしばらくの間、弟の部屋からは時折、カラカラカラという音やカリカリカリという音、ガンガンガンという物音が聞こえていました。
 カラカラカラはハムスター用の滑車を回す音。カリカリカリは餌を食べる音。そしてガンガンガンは、ハムスターフードを上下に振ってケージにぶつけている音で、全部生前のべーちゃんが良く取っていた行動の音でした。弟曰く、やはり時々夜中に、カラカラと滑車を回す音がしていたそうですが、半年ほどでその音はしなくなりました。

 やはり妹が帰省していたある日のことです。妹相手にその話をしていて「さすがに成仏したんだろう」と話していると、母がふいにこんなことを言い出しました。
「そういえばこの間、家の中に猫がいたわよ。黒いのが」
 ……家は犬を飼っています。しかも敷地内では離していますので、自由に家と庭を行き来しています。どんなにチャレンジャーな猫でも入ってきません。

 詳しく聞いてみると、ある日やはり疲れてソファーで寝そべっていると、廊下をとてとてと移動する黒いものがいたそうです。

 ごっちゃん(犬の名前)だと思った母は、「あら、ゴロちゃん。いつの間に外へでていたのかしら」とふと視線を下に向けると……ゴロはソファーの側で寝ています。また、よく考えてみれば冬だったので、玄関の戸を開けたままになどしません。外から自由に出入り出来るはずがないのです。

 母が驚いて起き上がったとき、悠々と階段を上っていく黒猫が見えたそうです。そして見届けた訳ではないのに、何故か「弟の部屋へ入っていった」のが分かったそうで……。

慌てて二階へ上がり、二階の部屋(特に弟の部屋)を全部、点検したそうですが、当然窓などは閉まっていたにも関わらず、上っていったはずの黒猫は、どこにもいなかったそうです。

「あのあとしばらく、あんた(弟)に何か悪いことでも起きるんじゃないかと心配してたのよ」
 母がそう言うと、妹がぽつりと言いました。

「……べー、その猫に食べられたんじゃないの? もしかして……(汗)」
「だ、だから音がしなくなったとか……?(汗)」
「うわああああああああっ! 成仏したと思いたいぃぃぃぃぃぃ(汗)」
 引きつりつつ言った私の言葉に、弟がそう叫んだのは言うまでもありません。

死んでも補食側と非補食側の関係は変わらないのだろうか?
思わずそんな事を思った話でした。
ちなみに、黒猫はその時以外、見かけてません。
終わります。


第66話  語り手: 李 杏蓮さん
これは、僕が中二のころの話です。
僕の家には、台所と居間の間に短い廊下があります。
夏休み、僕は台所にアイスを取りに行った帰り、そこを通りました。
そして僕は、気まぐれに電灯をつけました。もちろん、普通の、上からぶら下げるタイプのものです。
ふっ、と顔を正面の靴箱に向けると・・・。
その靴箱に、影がありました。
その影は、あきらかに僕のものではありませんでした。
僕は長髪なのに、その影はスキンヘッドのようで、童話の悪魔を連想させました。
だいたい、電灯は上にあるので、足元ならともかく、正面に影ができることなど、ありえないのです。
あっ、と思う間もなく、その影は消えてしまいました。
もちろん、同じ場所に、僕の影などありませんでした。
それを見たのは、その一回っきりですが、いったいそれがなんなのか・・・?


第67話  危険な遊び語り手: さんきちさん
私の周りには心霊体験をする人が全然いないのですが、私の妹の周りにはかなり敏感な方がいるようで、この話も妹が話してくれたものです。
もう題名から多分お気づきのようにあの遊び(名前はなるべく言わないほうがいいらしいですよ)に関わるお話です。一番よくある話故、かえっていちばん回避しやすい心霊現象ですが、やっぱりまだやる方、いらっしゃるんですね。妹が中学生のときも、妹の友達の男女数人が、同じ遊びをしてベランダに女性の人影を見たというのですが、今回はそれどころではないようでした。
ある日、妹の友達の数人の女子高生がその遊びをしていました。
中には自分の守護霊を感じることが出来るほど、霊感の強い子もいたらしいのですが、特にそれをすることには反対せず、放課後の教室で遊んでいたそうです。
一通り楽しんだ後、お礼を言って彼女たちは終了したそうです。
ですが、面白半分で行っていいことなどありません。
その日の夜、その遊びをやった彼女たち全員にメールがいっせいに届きました。
送り主は今日一緒にその遊びをした、例の霊感の強い女の子です。
そのメールの内容はこうでした。
「今日、あれやった時に、なんかへんなのがついてきちゃったみたい。私の守護霊が今日の午前二時にそれがやってくるっていうから、みんな二時までに絶対寝てね!!」
実はあの遊びの終了時に、彼女たちが終わらせようとするのを何度か拒まれ、なんとか終わらせてもらっていた彼女たちは、その話を聞いて怖くなってしまい、その内容を疑うことなくみんな二時までには寝ることにしました。
だけど、一人だけ眠れなかった子がいるのです…。
その子は恐怖のあまりか、なかなか寝付けませんでした。
あっというまに時間は過ぎて二時になったのです。
彼女はその夜、金縛りにあったそうです…

その後もみんな体調不良を訴え、特に、その危険を知らせた子は、何度も吐いたそうです。
さすがにこのままではまずいと思い、知人でもっと霊感の強い男の子がいるらしいのですが、その子の助言でくびかり神社と呼ばれる、無人の神社にいっておとしてきたそうです。
その後も、その神社で別の霊を連れてきてしまったりしたそうですが、今はちゃんと御祓いにいってひと段落ついたそうです。面白半分でそういうことはやっぱりしてはいけませんね。
おわり。


第68話  虫歯注意報語り手: 水島飛鳥さん
ある日、昼寝から覚めると、歯に激痛が奔りました。
・・・そういえば、ここの所碌に歯を磨いた覚えが無い。
「虫歯っ!?」
慌てて洗面所へ直行。鏡で口の中を見てみると、辺り一面素晴らしく虫歯。
反射的に、というか、殆ど何も考えずに歯を磨きだす。・・・当然、痛い。
奇声を上げつつ、何十分も只管歯を磨いていると、母が「何時まで歯を磨いてるのっ!」
等、色々と言ってきた。が、無視して只管歯を磨き続け、磨き続け・・・・・・・
という所で目が覚めた。
「ゆ、夢・・・・・・」
考えてみれば、幾らなんでもあそこまで酷くなるまで気付かない筈は無い。
まあ、まともに磨いてないのは本当なので、虫歯になるのは怖かったから、
綺麗に歯を磨き、その時はそれだけですんだ。
普段夢を見ない私があんな夢を見たのも、「まあ、そんなこともあるか」程度にしか思わなかった。
数日後、弟の虫歯(初)が発覚した時も、あぁ、ちゃんと磨いといてよかった。と、思った位だった。
数年後。全く同じ夢を見た。
その時も碌に歯を磨いてなかったので(というか普段から碌に磨いてない・・・)
大体前回と同じようなことになった。というか、数年前の夢は覚えていなかった。
二日後、妹の虫歯が発覚した。
さらに数ヵ月後。仔細は違えどまた似たような夢を見た。
「あれ?普段夢見ないのに・・・それに、前もこんな夢見たような・・・?」
とか思っていたら、やはり数日後、弟の虫歯が発覚した。
「・・・って、まてよ。そういえばこの間も・・・(間)というか、数年前もっ!」
どうも、妹or弟が虫歯になるとこの夢を見るらしい。
まさか・・・と思っていたら、さらに数ヵ月後。また見た。
ので、「妹か弟、どっちか虫歯じゃないのか?」と母に言った。
そして、虫歯検診の結果・・・両方虫歯だったり。

因みに、その後、弟妹共にぽこぽこ虫歯になったので、度々同じ夢を・・・・・・・
・・・という訳で。私自身は未だに虫歯になったことは無いのだが、弟妹のどちらかが虫歯になる度、
現在の所一回も欠かさず、私は虫歯の痛み(多分)を味わう羽目にあっている・・・・・・


第69話  九十九パーセント語り手: 遙 琥珀さん
私の周囲は、やたらと変なものを見るヤツが多い。
先日、枕元に着物姿の女が立った…と言いに来た友人がいた。
「夜中にふと目ェ開いたんよ。めちゃめちゃ眠たいんやけど、なんか知らんけど起きてもたんや。
 そしたらな、髪の毛長いオバさんが…着物着て立っとったんや。雪女みたいな感じのヤツ」
「…はぁ…」
「目が金色でな。にたって笑ったんや。マジ怖かったんやってホンマに!」
私は、少し悩んで…こう答えた。
「…それ、寝とって見たんと違うの!?」

怪奇現象というものは、百パーセント中九十九パーセントまでは科学で説明がつくと言われる。
…つまり、見間違いや思いこみが大多数を占めていると言うわけだ。
私の周囲にいる連中の見る怪奇現象がどちらに入るかは知らないが、私には大多数の方に入る様に思える。

その時、私は点滴を打って貰っていた。
ようやく針を抜かれ、起き上がる。トナリのベッドでは優しそうなおじいちゃんが寝ていた。
…その後日。
私は、仲良しの看護婦さんからこんな話を聞いた。
「この間、点滴打ったやん」
「あぁ、はい」
「そん時、横にも人おったん知ってる?穏やかなおじいさん」
「えぇ、はい、見ました」
「あの人、あそこで霊見たらしいんや」
「霊!?」
「うん。よくそーゆーん見る人らしいわ。
 …ちょっと赤っぽい髪の女の子でな。
 無表情やったけど、悪い霊や無い…って。
 こんなにハッキリ見えたんは初めてやって言ってたわ」
「…………」
気付けよ。人間だ人間。そりゃハッキリ見えるだろうさ。
…恐らく、こういう体験を積み重ねた所為であろう。
私は、世の怪談話を少々冷めた目で見ている所がある。
怖いには怖いのだが、素直に信じられない。損な感覚だと思う。

…そして、また後日。
私は、補習があった。
三人仲良しグループの内二人が補習。残る一人が独りで下校することになる。
私は、いつもそうする様に、隣のクラスに向かった。
『残りの一人』に声を掛ける。
「玲奈、悪いんやけど今日独りで帰ってな」
「しゃーないなー…数学頑張れよ、アンタら」
「あはは(汗)」

…そして、補習の終わった後。二人での帰り道。
「あー、つっかれた」
「ホンマやわ。外暗いやん。
 大体、補習始まんの遅いんや」
「この道、暗くなってからとか独りでとか、歩くん怖いわな。暗くて独りやったら最悪や。
 玲奈に悪いことしたわ」
「は?」
彼女は、私を呆れた様な目で見た。
「何言っとんの。玲奈今日風邪で休んだわ。
 アンタ昼休みに、アイツがおらんと静かやけど話題無くて寂しい言うとったやん」
……………………………………………………………
「え゛?」
…そう言えばそうだった様な気も…するが…
…これを九十九パーセントに入れるか一パーセントに入れるかは、貴方の判断に任せることにする。
はい終了。いつも通り、『怖い』というより『変』な話。


第70話  迷い子語り手: ぷらすとーるさん
これは、俺の友達の姉が東京の方に就職してすぐに体験した話ですが・・・・・
その人が就職してから初めての社員旅行があって・・・・・
ある、民宿に泊まる事になり携帯から先に待ってる先輩たちに言われたままに民宿についたのですが・・・・
夜になり、みんなで外に出て見たんです。
ただ、その前に外に面したある部屋に何故かカーテンが閉めてあるのが気になったそうですが・・・・・
で、外に出ても先輩たちは「ここは危険だから。」と言って入っちゃいけないと言う林があったんです。
で、そう言われると返ってわざと林に入りたがる人が出てくるわけで・・・・
突然、大きな同僚の叫び声が聞こえてきて・・・・
何事かと同僚の方に向かうと、その視線の先には・・・・・・
居たんです。居るはずの無い12歳くらいの子供が。
その子供は暗い中、よく見ると白目が無くて黒目だけで・・・・・・
パニックに陥ったみんなはすぐに民宿に戻り、部屋にこもりました。
それでも、ドンドンとドアを叩く音がする。
しかもそれはカーテンの閉めてある部屋から・・・・・
そして、カーテンの合間からはその子供がむひょうじょうになったりニカっと笑ったり・・・・・
そうして一夜を明かした翌日、先輩たちは話してくれました。
三年前、民宿に来ていた家族づれの幼い兄妹がかくれんぼをして・・・・・
妹は戻ってきたけど、兄の方は結局戻らずじまい・・・・
そして、それから時々この民宿ではその白目の無い男の子の姿が見られる様になったそうです。
その子が幽霊かどうかは分かりません。
10歳だった子は明らかに成長していたそうですから・・・・
でも、その話のたびに両親は捜索を願って、それでもその子は見つからないそうです。
今もその男の子はかくれんぼを続けているのでしょうか?
では、俺の話はここで終わりです。ありがとうございました。


第71話  視線ごっこ語り手: かみはらさん
実体験です。
みなさん、視線ごっこって知ってますか?
二人以上でやる遊びで、目をつぶって、視線を感じたところを指さすというアレです。
で、指さした方向が同じ位置だったらそこになにかがいるというわけです。
学校の合宿がありましてね、怪談話で盛り上がりまして、誰かが視線ごっこの話を出したんです。
それで、わたしたちもやってみようということになりました。
部屋は五人部屋なのですが、隣の部屋の子たちも遊びに来ていて、十人で視線ごっこをやることになりました。
丸くなってみんなで座って、ひとりが電灯のスイッチの前に立って、電気を消しました。
わたしは目をつぶります。
人の思いこみとはすばらしいもので、見られていると思えば、なにかがわたしを見つめているような気がするのです。
そのとき、わたしはまっすぐわたしの目の前に、なにかがいる気がしました。
せーの、と誰かが言いました。わたしは目の前を指さしました。
「じゃあ電気つけるよ」声が聞こえるとすぐに、ぱっと部屋が明るくなりました。
十人が指さす方向はほとんどばらばらでした。わたしたちは「たいしたことないね」と笑いました。
そう、ここでやめておけばよかったのです。
やめておけばわたしたちは、あんな怖い思い、することがなかったのです。
「もう一回やってみようよ」と誰かがいいました。わたしたちはおもしろがって賛成しました。
また、電気を消しました。部屋の中は真っ暗になりました。
目をつぶると、こんどは背中に視線を感じました。せーのとかけ声がかかると、わたしは後ろを指さしました。
すぐに電気が灯ります。わたしは目を疑いました。
たった二回目にもかかわらず、全員の指先が、
わたしの指さした方向と同じ向きをさしていたのです。
「偶然だよ」と誰かが笑って言いました。
そのときは、わたしも笑いました。すごいねわたしたち、よっぽど気が合うんだね、と。
しかし、三回目、四回目とやっていくうちに、わたしたちの顔から笑顔が消えました。
そう、わたしたちの指先はいつでも、同じ方向を向いていたのです。
五回目ともなると、誰かが悲鳴を上げました。わたしも息をのみました。
六回目。もうやめようよと誰かが言いました。でも、誰かが電気を消しました。
真っ暗になると視線を感じます。感じたら、指ささなければなりません。
それがこの遊びのルールなのです。
結果はやはり同じでした。
七回目。わたしたちはやっぱり一斉に窓側の、カーテンの方を指さしました。
そのときです。カーテンが風に舞いました。
誰かがまた悲鳴を上げました。
わたしの隣にいた子が、嘘、と小さな声で呟きました。
どうしたのとわたしが聞くと、
「あたし窓全部しめたよ、風なんか入ってくるわけないよ」
と震える声で言うのです。
視線ごっこをやろう、と言い出した友人が、意味ありげに笑って言いました。
「成功したじゃん。あの人、ずっとあたしたちのこと見てたんだよ」
あの人、というのが誰なのか、わたしにはわかりませんでした。
その友人の視線の先を見てぞっとしました。
揺れるカーテンの隙間から、白いなにかが見えたのです。
ちょうど人間の足のような、二本の白い棒状のなにか。
わたしはぎょっとしてその友人を見つめました。
友人はただほほえんで、カーテンの隙間をじっと見つめていました。


第72話  私が火を嫌いな理由語り手: くれつきさん
私は火が嫌いです。というより怖いのです。
焼肉食べるのは好きですが、肉を焼くのは怖くていつも他の人に任せてしまいます・・・(-_-;)
実はマッチも苦手です。ライターはなんとかつけれますが・・・
ずっと火は怖いものだと思い、なんで怖いのか考えたことはありませんでした。
ただ、ふと思い出したことがあったのです。
あれは私が5歳か6歳の頃。
母親の実家に遊びに行ったときのことです。
母親の実家は私のすんでいる田舎よりさらに山奥に入った田舎で・・・
家の後ろには裏山があり、隣の家とは200メートルぐらい離れているような寂しいところなのです。
母親と弟と私の3人で、そんな母の実家に泊りがけで遊びにいきました。
母の実家には従弟もおり、私は弟とその従弟の相手をして時間を過ごしていました。
時間は昼ご飯の時間でした。
何の用事だったのかは忘れましたが、私は伯母さんに用事ができ、伯母さんを探し始めました。
お昼ごはんの時でしたから、きっと台所にいるのだろうと私は台所に向かいました。
台所のあるところは裏山が迫っているところで、昼でも暗いところです。
なのになぜか、台所がある障子の向こうがオレンジ色に見えるのです。
「火事だ!!!!」
小さいながらもすぐにわかりました。
障子の向こうでは火が燃え上がり、その明るさが障子を通して見えているのです。
「伯母さん、お母さん、台所が大変!!!」
田舎の無駄に広い家を走り回り伯母さんと母親を探しました
私の叫び声を聞いて、伯母さんと母親が走ってきました。
母親が消火器を持ち、台所に入っていきました。
伯母さんはおじいちゃんと私と弟と従弟を連れて庭に出しました。
しばらくして母親が出てきました。どうやらボヤですんだようでした・・・
ボヤの原因は、伯母さんが油ものをそのままにして台所を離れたからだったようです。
私は障子越しにしか火を見てませんでしたが、母曰く、そこまでひどく燃え広がってはいなかったそうです。
けれども床にはしっかりと焦げた後が残り、その台所が改築されるまでその後は残っていました。
随分前のことで、そのときはショックでしたが、私もかなりこのことを忘れていました。
でも、どうやら記憶のそこにこの出来事は残っているようで・・・
やっぱり今だに火は好きになれないのです。
おしまい


第73話  酔った勢い?語り手: 朱音さん
これは私の母が若かりし頃、大学の登山サークルに入ってた頃の出来事です。
スキーツアーで泊まった宿で、共に行動していた他の大学の方々と一緒にコンパをしてたそうです。
もうみんなべろべろに酔ってたそうな…
AM1時ごろ

酔った母は友人と一緒に少し離れた食堂に行きました。
母によると、喉が渇いたから、水を飲みに来たそうです。

そこの食堂には、外から入ってくる自動ドアが、二重にあったそうです。

そして中に入って水を飲んでると、二つの自動ドアの間のスペースに、若い男女が入ってきました。
ちなみに、スキーウェアを着てたそうです。

次に見た瞬間には、そこには誰もいなかったそうです。

不思議だなぁと思いつつ部屋に戻って、
「さっきね。ロビーの自動ドアの間に男の人と女の人が居たんだけど、少ししたらどっか行っちゃったんだ。
 なんだったんだろうね?」
と母が言ったそうです。
で、皆さんのってきて、
「なんだろうね。もうこんな時間だし、ゲレンデに行くわけでもないだろうしね…」
などと話してたそうです。
すると…

「なんだあれはっ!」
と誰かが声を上げました。
みんなで窓の外を見てみると…
「誰かいる?!」
そう、若い男女と思える人影が、ゲレンデをスキー板を持って登っていたんだそうです。
ちなみに時刻は午前2時。
五、六人の男子が上着も着ないで(スリッパを履いたままの方もいましたが)
「お〜い待て!」
と叫びつつ追いかけて行ったところ…

『ふっ』
っとその姿が消えてしまったそうです…
みんながみんな酔ってたので、
心霊現象なのか集団催眠術なのかは、結局わからずじまいです…

…この話と関係はないのですが、聞いてて怖い事がもう一つ…
母が登山に行ったところは…
必ずと言っていいほど…
あとで事件が起きるんです
たとえば…母とサークル仲間の人が、ある山にキャンプに来たとき。
たまたま山小屋やテントを管理している人が居なかったんです。
まぁお金を置いとけばいいか、とテント借りて一泊して、下山しました…
ちゃんとお金はロビーに置いて帰ったそうです。

そして一年ほどして…
その山の中に女性の死体があったそうです…
どうやら暴行されて殺害されたその女性…
犯人は…
その山小屋の管理人さん…
その女性は1人できてたらしく、どうやらトイレに向かったところを…
後日、母達は
『あの時いなくてよかったね…』
と語り合ったそうです…
そして
『トイレに行くときは最低二人以上で行く』
という決まりができたそうです…
後は…またしても泊まった山小屋で、(誰かは聞いてませんが)備え付けの斧で人を…
後はご存知三宅島。
これは母の先輩が行ったんですが、その後噴火…
さらには、山小屋で火事があったり…
とりあえず聞き出せたのはここまでです。
…私はよく母がここまで生きられたなー、と思いました…
おしまいです


第74話  二度と会えないはずだった友語り手: 煌天 由亜さん
私は、数年前の八月二十五日にある幽霊の『マナブ』という幽霊と出会った。
・・・・・・友人となり、『来世でマブダチになろうぜ』といった彼は、成仏した・・・
はずだったのだが、今年の1月の半ばに、再会した。
それは、次のような感じだ。
『やっほ、僕を外に連れだしてくんない、ユア?』
第一声がこれである。

それは、高文祭・・・・の前日で、練習疲れも手伝って、
『かまわん。』
そう言ってしまった。
「とっとと・・・・・ああ私に獲り憑くいてるんだったな。」
私は、そのときは誰かも知らず自転車でとっとと家へ向かった。
『ねぇ、ユア。
 僕のこと忘れた?』
「ああ。
 家の高校は幽霊数が多くてな、覚えきれん。」
『ええ、≪マブダチ宣言≫をした仲なのにぃ?』
「・・・マナブか。
 危なかったな、思い出してなければ、強制成仏だぞ。
 他の私に相談しにきた幽霊みたいに。」
ちなみに、季節は冬。
ホッカイロがなくちゃ死ぬほど寒いのに彼のせいで休息に冷えたおかげで、
半分凍った感じで家に着き一息ついたところで。
「何の用だ?」
『何のようだは、ないだろ?
 2年半以上ずっと気が付かなかったのは、ユアのほうだよ?』
「・・・・・それは、すまん。」
『それでお願いが一つ。』
「なんだ?」
男が、もじもじして答えないのは、頭にくるが、幽霊だとそれをする気にもなれない。
「なんのようだ?」
『一緒にいさせて?』
「どうして?」
『ずっと、ユアのこと見てきたけど、ユアって僕が生きてたら付き合いたいような子なんだよね。』
「。。。。。。。。またか・・・・・」

『?』
「人間じゃないやつに同じこと言われてな。」
『でも、同じじゃん、僕たち』
「死んでるだろ?」
『それ、差別。』
「じゃかあしい。
 生きてたら、スト−カ−かも知れんやつがいうな。」
『いちゃダメ?』
「条件付ならな。」
『なに?』
「何か、物品に獲り付く方法を覚えること。
 私が呼んだとき以外は、出てこないこと。」
『・・・・・いいよ。』

こうして、何人目かわからない奇妙な居候は、増えた。

(私は、甘すぎだな。)


後日友人からは、『アンタ、アホ』と言われた。
以上終わり。


第75話  学校の怪談語り手: 遙 琥珀さん
夜の学校は怖い。
…別に全ての学校で、部活でシゴかれた下級生が首吊ったり若い女の先生が夜中彷徨ったりする訳では無いのだが、それでも怖い。
それは何故か、という問いに、母はこう答えた。
『学校だから』。
…答えになってねェ気もするが、それで納得しておくことにしよう。
同じ事を友人に問うてみた。
例え生徒や教師が死に至るまでの事件は起きていなくても、学校はとにかくマイナスエネルギーの溜まりやすいところだとのこと。
つまり、『テストで悪い点を取った』『同級生に殴られた』等々が、溜まり溜まって怨念の様なものと化しているのだという。
そしてその日。
私と友人は、学校のマイナスエネルギー溜めに貢献していた。
「…卒業近くなったら一度シバく。あの教師。」
「落ち着けよ」
文化祭が近いその日。
大道具係その1とその2である私と友人は、未だに舞台セットができずに居残りだったのだ。
時刻は既に九時を回っている。
「…あー…もうダメだ」
突貫作業の末…完成間近にして、限界が訪れた。
「ごめん。私ダメ。もう帰る。」
「ヒドっ!見捨てる気か!?」
「見捨てさせてくれぃ。」
よくわからん会話しつつ、学校の鞄掴んで廊下を走る二人。
一人だとドツボにハマるシチュエーションでも、友人と二人ならまだマシだ。
私達は、明日クラスで吊し上げられることを覚悟して、もう帰ることにした。
こっそり職員室の前を通り…ダッシュ。
先生に捕まりさえしなかったらもういい。
タクシー捕まえるなり、親を呼ぶなり好きにすればいいのだ。
運良く先生に見付からずに、職員室クリア。
続いて靴箱を過ぎ、校門。
とっくに閉まっていた校門をなんとかよじ登り、校門クリア。
「は―――――――――」
脱走に成功した(と思った)私達は、深く息を付いた。
「途中のコンビニでなんか買うかー」
「ん」
そんな話をしつつ駅に向かう私達。
駅のぼぅっとした明かりの下でもしゃもしゃおにぎりを食べている。
その時、ふらりと何処かから、青い作務衣を羽織ったオジさんがやってきて、私達の隣に座った。
…席は他にいくらでも開いてるのに、ぴったり隣に。
「…………」
オジさんには嫌な思い出の多い私。
特に嫌な思い出も無いが、生理的に余りオジさんは好きでは無い友人。
私達は立って、また別の場所に席を移した。
…ところが、オジさんは、すたすたとまた、私達の隣に席を移す。
「…………」
私達は、もう座るのを諦め、ホームの端に立った。
…ところが再び。
オジさんは立ち上がり、私達の後ろにぴったり付くのである。
「…あの。気になるんですけど。
 何か用ですか?」
あっ、バカ。
堪らずに声を上げた友人に、私は心の中で毒突いた。
こういうのは、声を掛けずに放っとくに限るのに。
オジさんは、にやぁぁ、と笑った。
「…………」
友人が、ヒジで私を小突く。
視線で、オジさんの頭の上を指している。
私は、オジさんの頭の上を見ると…
硬直した。
…猫耳。
二つの、黒い猫耳(と思われるもの)が、にょきっと生えているのである。
もうダメだ。まごうこと無き変態だ。
私と友人の心中は一致していた。
しかし奇妙なのが、オジさんの頭には、頭と猫耳を繋いでいるであろう金具も、カチューシャも全く見あたらないのである。
「…………」
「何見とれてるんだよ!電車!来るよ!」
誰がみとれるかい!と突っ込む暇もなく、私は電車の中に引きずり込まれた。
いつの間にか、背後には電車が着いていたのである。
私達が電車に乗り込むと同時に、扉は閉まった。オジさんは、乗り損ねたことを気にする様子もなく、猫耳笑顔で立っている。
「…………」
顔を見合わせ、言葉も無い友人。
扉の外には相変わらずオジさんが立っているのだが、薄い壁一枚挟んだ安心感は、あそこまで実感したことが無い。
そして、私達の心には、世の中色々なひとがいる、という事実が、しっかり刻み込まれたのであった…


第76話  偽怪談大会語り手: 水島飛鳥さん
ある日唐突に友人Kが百物語をやりたい。と言い出した。
乗り気でない友人T、そもそも百物語と言うのが何の事だか分からない私。
だが結局。私は『やれば分かる』と言う言葉に乗り、内気なTはKに押され、
百物語を実行する事になった。
百物語決行当日。何だか分からぬまま私は、
「蝋燭をなるべく持ってきて」と言われたので11本持って待ち合わせ場所へ。
行ったら何だかKが泣いていてTが怒っている。
Tが「やっぱり怖いから嫌」と言い出したのだ。
宥めるK。まだ百物語が何だか分からないので突っ立ってみている私。
KとTの間で話が纏まった頃、私は「其れで結局如何するの?」と聞いた。
すると答えは「百物語自体はやる。ただし、全部作り話。」という答えが返ってきた。
相も変わらず分かってない私が「だから百物語って何?」と聞いたら怒られた。
と言う一幕を挟みつつ、作り話オンリーの百物語は私,K4話ずつ、T3話という内訳で無事終わった。
(本当に暗いところで蝋燭に火をつけて一話毎に吹き消した)
Kは勿論、私やTも結構楽しんだ翌日。まず、Tが風邪で休んだ。
そして20分休み。Kが私に泣きついてきた。K曰く・・・
「おもちゃの兵隊の行進の夢を見た。」
Tの言った事を纏めると、昨日の夜、金縛りで目を覚ました。
そうしたら顔の横をおもちゃの兵隊の行進が通り過ぎていった。
そして気絶して起きたら朝だった。・・・という事になる。
「其れって・・・・・・昨日の話じゃ?」
そう、其れは正しく昨日Kが話した偽怪談第一話だったのだ。
きっと怖がってたからそんな夢を見たんだ。とTを宥めて、序に放課後Kの見舞いに行く事にした。
放課後、K宅にて。K曰く
「Tちゃんっ!飛鳥ちゃんっ!幽霊サイコロがでたっ!!!」
此れも昨日の作り話の一つである。
まあ、此れも夢だったらしい。暫くしてKも落ち着き、
話は此れで終わった。・・・・・・と思った。
ところが翌日から二人とも『お化け番組を見た』『麦藁帽子の呪いに掛かった』
・・・・・・と、どれも夢らしいのだが毎日毎日例の作り話の夢を見るらしい。
しかも二人分合わせても、一つとして重ならない。
寧ろそもそも夢を見ないのでそんな夢を見る余地のない私のほうが『おかしい』と言われる始末。
そんな調子で五日目。(Kは三日休んで直った)
いい加減嫌になった私は、「いっそEちゃんにお払いしてもらえば?」と言った。
因みにEは何処の学校にも一人はいる、霊感少女と言う奴である。
そして、私から頼んでお払いしてもらい翌日、二人とも作り話の夢は見なかったらしい。
皆喜んで(私は此れで聞き役しないで済む、程度の気持ちです)、此れでめでたしめでたし。
・・・・・・と思ったので、その日の昼、友人Rにその話をした。
「へー、そんな事があったんだ。」と、結構面白がるR。
戸頃で、私達が話している場所は公園のアスレチックの上である。
私も正直愚痴を言いたかったのでRに色々と話し、会話が弾んで、突然。
Rが「・・・なぁ、水島。・・・・・・アレ・・・なんだ・・・・・・?」
と、ある一点を指差す。
Rの指先には、シーツのような形をした雲が・・・・・・雲が・・・・・・
いや、位置がおかしい。
その「雲」は、大体雲より左寄りにある4F建ての団地の、天辺より少し下の位置にいるのである。
その「雲」のように見えるものは、風とは逆方向に、ふわふわと、
まるでシーツのように飛んで行き・・・・・・・いや、アレはシーツと言うよりは寧ろ・・・
・・・待てよ・・・・・・・「一反木綿の幽霊!?」

そのとき私の脳内に閃いたもの。
それは「一反木綿の幽霊」という、例の偽怪談大会で私自身が語った怪談。
最後を締めくくった話にして、五日×二人分の10個の夢で、唯一姿を現さなかった話。
「まさか・・・・・・」横でRが呟く。そういえば既にRにはその話は語っている。
私とRの見守る中、仮称「一反木綿の幽霊」は、ふわふわと飛んでいき、
進路にあった団地の壁にそのまま消えて行った・・・・・・
後、お互いに自分が見たものについて確認したが、
間違いなく同じものを見ていた様で。
「KとTには話せないな・・・・・・・」
そう思い、お互い気にしない事に決めて遊んだ。
後日談:位置的に、「一反木綿の幽霊」が消えていったところは友人Iの家で。
    時間を言って聞いたところIの妹は其れらしきものを見たと言ってらしい・・・


第77話  いったい何が?語り手: 薫さん
これは私がなぜか昨日夢にみた話です。夢ゆえに一応フィクションであることをいっておきます。
私たち、といっても、なぜか私を含め、数名の人々はどこかの住宅の中にと住んでいます。そして、その中のとあるビルらしき建物。そこに私を含めた子供たちだけで、探検と称して入り込みました。
そこはなぜか誰も住んでいなく、大人たちが近寄らないように、といっている建物です。夢の中の私は中学、もしくは小学の高学年くらいでした。そして、友達と一緒にそんな建物の中にと進んでいきました。
人が住んでいない建物、というのは子供心になぜかわくわくします。そして・・・・。「何もないねぇ。」「でもさいきん、誰かがここで明かりをみたって・・・」そんな会話をしつつ。とある地下室にと進んでいきます。その地下室は隠れているような、つまりはアパートの壁に隠し扉がありそこから入れる仕組みです。
このアパートには三つある棟すべてにそんな地下室が存在しています。そして・・・子供たち、四人、中にとはいっていきます。
ピシャン・・・。天井から落ちてくる水が冷たく辺りを冷やし、そこはとにかく子供にとっては絶好の好奇心の場所。
と、「・・・・・・・あれ?」ふと、地下室の壁のひとつから明かりが漏れているのに誰ともなく気づきました。
「何だろ?」何やら壁に紙が張ってあります。そこをどきどきしながら誰かが触れると同時。ギィ・・・。音をたてて壁がゆっくりと奥にと開いていきます。
そこははじめてみる部屋。が、その中になぜかケースらしきものがおいてあり、そして、そのケースの中になぜか・・・
「・・・・ねえ???あれ・・・・」「・・・・人・・・じゃない?」思わず顔を見合わせる私たち。そう、私たちがみたそのケースのなかになぜか人らしき物体がはいっているのです。
私たちがとまどっていると、そのケースの中の人物・・・年は私たちより少し上くらいでしょぅか?おそらくは男の子。その人物?がゆっくりと目を開きます。
「うわぁぁぁぁぁぁ!」当然、私たちはそのまま逃げ出しました。何が何だかわからないままに・・・
数日後、私たちの学校に、あのケースの中にいた人物とそっくりな人物が転校してきました。ですが、当人かどうかなど、私たちは怖くて確認できません。
ですが、このまま、というのも気持ちがわるいのも事実です。とりあえず、もうイチドあそこを調べよう、ということになり、再びあの地下室にとむかっていきました。
再びむかったその地下室。ですが前回と少しばかり何かが違います。「?」首を傾げつつもさらにいくと。
なぜか水で確かに床が黒ずんではいましたが、その黒ずみが何か違うように感じるのです。
そして、壁には何かがひっかいたような跡が一面に・・・・。
「たしかここだったよね。」そういいつつ、あの壁紙のところにと私たちは進んでいきます。・・・が、なぜかその紙が前回より少しばかり黒ずんでいるように見えるのは私たちの気のせいなのか?
何か誰ともなくイヤな予感がし。「あけないで!」と誰かが叫びましたが。
すでに一人が壁に手をかけたあと。
ぎぎぃ・・・・
鈍い音とともに扉がひらくと同時に、何ともかいだことのないようなにおいがその中より漂ってきます。
まず目にはいったのは・・・・床一面に何かがとびちった跡・・・・そして・・・
「うわぁ!?」「ぎゃぁ!?」「何あれぇぇ!?」「いやぁぁ!」思わず同時に叫ぶ私を含めた子供たち。
私たちの目にはいったのは・・・先日、その中に人らしきものがはいっていたケースはそのままでしたが、その中身は空・・・ですが・・・・
その前になぜか頭と首だけで、内臓むき出しとなった鹿の頭に・・・・。下半身が半分ない犬・・・しかも、内臓がとびでています・・・・。
さらには、なぜかお腹にぼっかりと穴をあけ、そこから腸らしきものをだしている牛・・・
しかも、よくよくみれば、それだけでなく何やらその奥の方には人の手らしきものまでもが・・・・
「「うどうげぇ!?」言葉にならない悲鳴を上げる私たち。・・・・・・・・・・・・が。
それだけでもすでにとんでもないのに。そのそこにどう見ても生きてはいないであろう動物たちがゆっくりと起き上がってくるのです。
そして・・・・。猫の頭だけとなっているそれが奥にちらりとケースに隠れてよく見えない何やら人の足らしきほうにとむかい・・・
ぐちゃぐちゃ・・・何かをかじるおとと食べる音が・・・・。しかも、ほかの動物たちはこちらに気づいて、私たちのほうにと向かってくるのです。
xsea!?
ともかも、意味不明な叫びを上げ、私たちはそのまま、とにかく、そこから脱出すべく、無我夢中ではしり・・・気づいたらすでに外にでていました。
「な・・・何だったの?あれ?」「・・・・みなかったことにしない?」「・・・賛成。」そんな会話をしつつ。その日はとりあえず、一応は立ち入り禁止の場所にはいったのは私たち。そのまま帰路にとつきました。
ですが・・・・・・。そこでそれは終わりではありませんでした。
次の日、学校にいこうと外にでた私たちがみたのは・・・・なぜか町全体がものものしくなっている様子。
「怖いわねぇ。何でも夜、いきなり進入者があって家族全員が何ものかに惨殺されたって・・・」「でもおかしなころされかたらしいわよ。何かに食い散らかされたような・・・・」
そんなおしゃべり好きなお母さんたちの会話が私たちの耳に届いてきます。
そして。思わす゛顔を見合わせる昨日あの場所にいった私たち。まさか・・・・。そんな思いが頭をよぎりますが。
それを肯定するがごとくに。「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」どこからともなく悲鳴が静かな朝の空にと響き渡ってきます。
思わず振り向いた、というか声がしたのは数件先の家・・・思わず走り出した私たちがみたのは。
生きたままの人間にとくらいついている動物の・・・・・
逃げる大人よりも早くそれは飛び掛り・・・頭から、そしてまたは、お腹からくらいついていっています・・・。
「住民は学校に避難してください!繰り返します!正体不明の生物が確認されました!危険です!」あわただしく走り回っているパ゜トカー。いたるところから悲鳴らしきものが響き渡ります。
子供にできることはありません。とにかく私たちは学校にと脱兎のごとくかけていき・・・そして。そこにいるのはやはりあのケースの中にいたであろう人物。
「何がどうなってるの!?ねぇ!?」思わずその子が何かをしっている、と思い詰め寄る友達。
「実験が・・・・」何やらづふやきつつも。しばし考えるようなそぶりをし。「君たち・・・あれというかあのときみてるんだよね?・・・・こうなったらすべてを話すよ・・・」そういい、信じられない事実を話し始めるその子。
何でも、あの地下室は国のとある実験施設であったらしく。免疫システムの研究をしていたとかどうとか。そして、さまざまな生物などをかけあわせ、免疫機能を向上させるべく。だが、どこを間違ったのか、作り出したクスリを投与した動物たちは、なぜか肉食となり、しかも・・・普通の方法ではころせなくなったとかどうとか・・・。
「僕も研究の一環で生み出されたんだけど・・・・僕には代わった力が備わった程度で・・・町が危険になるかも、という実験者の一人が僕をケースからだしたんだけど・・・」
その子がもっているのは特殊能力、いわゆる、ファンタジー的にいえば「魔法」といわれるものらしきもの。「はりぽた?
」「スレイヤーズ?」思わずそんなことを場違いなことをいっている私たち。
「あれを殺すには真空空間に放り出すしか・・・」などとその子は説明しています。
「真空って・・・」んなことできるはずはありません。しかも説明によれば、火も何もうけつけないらしいのです。つまり燃えたまま生きている状態とかなにとか・・・・
そんな状態の中。やがて、町のいたるところから悲鳴が沸きあがり・・・そして、とうとう学校の中にも・・・
逃げ惑う私たちになすすべもなく、一人、また一人・・・と、どんどんと減っていきます。どうやら動物たちは彼曰く十匹程度らしいのですが。
目の前でなすすべもなく、そのまま走りつつも背後からお腹を貫かれ倒れてゆく学校の友達たち。
「何とかするよ。そのために僕は・・・
いいつつも上空に浮かび上がり・・・・そして。
何やら動物もどきたちにむかってゆくその男の子。
どうやら少年は自分を囮にして動物たちをおびき寄せようとしているらしいのですが。
説明によれば、彼にはそれらの動物たちの細胞の一部が組み込まれてるとかいないとか。
そして、そんな自分たちに対して害をなす、と判断したのか・・・・数匹の動物は彼をおっていきます・・・。
が、残りの数匹はそのまま。とにかく逃げるしかない私たち。何しろカラスなどもいるのです。動物の中には。空すらも危険なのです。
私たちが必死に逃げているそんな中.大人たちもいろいろとやっていますが、まっさきに。大人たちはあっさりとやられていきます。
猫、犬、そして上空にはなぜかカラスの頭だけ・・・。しかもそれぞれに内臓をむき出しにしたまま・・・。それらが私たちを取り囲み・・・
もうだめ!
そう覚悟したその瞬間。・・・・・・・・・・・・・・・・・・にゃー!にゃー!にゃー!!・・・・・・へ?
ふと目をあけると見慣れた天井。そして・・・耳元でないているうちの猫ども・・・・。そう、どうやら危機一髪(?)のところで私は猫の声で目を覚ましたのです。
「・・・・・・・・・・・・・・・・ゆ、ゆめ・・・・・・」気づけば全身汗びっしょり・・・・。しかも夢は全部当然ながら色つき音声つき・・・・。
時間をみればまだ朝の四時前・・・・。
「・・・・またねよ。」そのまま再び寝付くわたし・・・・・・・・・。今度はいい夢だといいな・・・。そんなことをおもいつつ。
・・・・・・・が、現実、というか、あまりにその夢がリアルであったせいなのか。。・再び私がみたのは・・・・。その続きでした・・・・・・・・・・
それから幾度か目覚めては、再び寝付きましたが・・・三回ねて、三回とも夢の続き・・・・。
さすがに朝からんなグロテスクなモノはみたくありません。それは心情です。しかたなく寝るのをあきらめたのは・・・いうまでもありません。
結局、夢の中で私は右手を食いちぎられ、そして男の子が数匹の動物を何かの力で空にとふきとばし・・・。被害が私のいた町だけでなくゆっくりと確実に広がってゆく様子をテレビにて知りつつもとにかく家族や友人とともに逃げてゆく・・・という夢でした。
はっきりいって私はこの夢の続きは・・・・みたくありません。
おそまつながら終わります。


第78話  その物体は何?語り手: 薫さん
これは私が修学旅行で体験?したことです。
それは小学生のとき。私の小学校は田舎で小さいために、別の小学と連合していつも旅行などにはいきます。
そして、修学旅行の日程の中に秋芳洞がありました。
秋芳洞、といえばまずは観光地、として有名です。私としては百枚皿とかを楽しみにそこにいきました。
数名の班にと分かれ、そして各自進んでいきます。
次次に入ってゆくほかの友達たち。そして私たちの番になり、洞窟の中にとはいっていきました。
中はひんやり、としています。そこに入るのがはじめての私はきょろきょろと辺りを見渡しました。
・・・・そして、入り口付近の何となく天井部分を眺めたとき。
???何か違和感を感じました。
何かがそこにあるのです。・・・何だろ?
しばし、じっとそれに目をこらすと・・・それが何なのかわかってきました。
「・・・・・・ねえねえ・・・あれ・・・何だとおもう?」思わず自分の目というか見ているものが信じられず、横にいる別の子をつつきます。
「何?」「・・・・あれ・・・・」いいつつ私はそこにむかって指をさします。
そこは入り口の上層部にあたり、ちょっと外の明かりが多少もれているようなそんな場所。
そこにそんなものが絶対にあるはずがないのです。
「・・・・マネキンじゃない?」「・・・何が?」私が何を指差しているのか気づいて唖然としつつも答えるA
そしてまた、「何が?何もないじゃない?」という別な子。
しばらくして、私が何を指差しているのか全員がわかり。しばし騒然。
が、中にはまだわからない子もいるらしく、「何が?ねえ?何があるの?」といっている子も。
私が見つけたもの・・・・それは・・・・
なぜか、頭だけの・・・・人の頭らしきもの。
逆光にもかかわらずくっきりとその表情から見て取れます。
そう。しいていえばよくテレビの時代劇などでみる、斬首された人の首らしきもの。そんなものがあるのです。
「ま・・・マネキンよ、マネキン。」「・・・あんなところに?」「「・・・・・・」」
気づいた子たちはしばし騒然。が、まだわからない子は「何?何?
といって何を騒いでいるのか探しています。
やがて。「こら!早くきなさい!」という先生の声がし。私たちはそのまま、騒ぎつつも中にと入っていきました。
「マネキンよ、あれは。だってほとんんど全員にみえてるし。」「・・・・んなところに?何でんなもんが?」
くっきりと見えたのはどす黒い何かが肌らしきものに伝う様子と黒い残バラの髪。
結局のところ、私の班だけでなくほかの班の子も私たちが騒いでいたためにそれに気づいたらしく。しばし私たちは騒然。
「何をさわいでいるんですか!」と先生がきて、そして。それをみた子たちが全員、そこを指差すと・・・。そこには。
何もなく、なぜか、まったく逆方向、つまり先ほどまで右手にあったものか左手に移動してるのです。
「誰かがイタズラしてるのよ。」という、んな場所に人なんかはいれないだろう?というつっこみを心に唱えながらも。とりあえず。
先生はそれに気づくことはなく、私たちはそのまま日程どおり洞窟の中にとはいっていきました>
・・・が、あれに気づいたのは私と一緒、つまり前後に入った子たちのみで、ほかの誰もそれらしきものはみていない。というのです。
帰り道、そこを見てみましたが・・・そこはやはり人が入れるような場所ではありませんでした。
そのときにはもうそれはなかったのですが・・・。結局、あれが何だったのか今だにわからない限りです。後から写真とっとけばよかったね。と友達と話したのはいうまでもありません。
そして・・・・・・・・・・・・
再びまたそれと同じようなものを見ることになるとは・・・いったい誰が想像できたでしょうか?
私がそれを見たのは修学旅行、つまりは秋芳洞でのこと。
そして・・・。皆さんは九州にあるスペースワールド。あれをご存知ですか?
その中にちょっぴし暗い空間を滑るジェットコースターがあるのですが。
それにのったとき・・・。ジェットコースター好きの私はいつものようにのりつつ、きょろきょろと周りを見渡し・・・。そして。
天井付近、何か違和感を感じます。周りは真っ暗・・・のはずにもかかわらず。そこたけが何か明るく感じ。
「・・・・・うげっ?!」思わずそれを凝視しました。とはいえ私も動いています。
見たのはほんの一瞬。ですが・・・そこにあったのは間違いなく。
というか忘れようにもない、例の小学のときにみた秋芳洞の生首らしきもの・・・それとまったく同じものでした。
あまりに気になったのでもう一度のり、みてみましたが・・・そんなものはどこにもありませんでした。
一緒にのっていた友達はそんなものを見る余裕などなかったらしく見てない、といいますし・・。
結局、あれが何だったのかいまだにわからないままになっています。
ですが、私は霊感、といったものはまったく皆無。なら・・・あれは誰かがイタズラで秋芳洞、そしてジェットコースターの天井付近に設置したのでしょうか?それとも????
なぞはなぞのまま、今に至ります。
終わりです。


第79話  赤い靴語り手: 遙 琥珀さん
『赤い靴』という童話を知っているだろうか。
…正直この童話は、わざわざ考察しなくても童話本編がかなり怖い。
脚を無くした少女の前を、切断された脚が踊りながら過ぎる下りなど、ちょっとしたホラーだ。
まぁ、それはそれとして…話を進めることにする。
アンデルセンは、脚と靴との描写に、くどい。
表情や身体の動きをさておいて、まず脚に視線を向ける。

(少女の足は冷たくかじかんで、まだらになっていました)ーマッチ売りの少女

(一歩進むごと、足には針が突き刺さったかのような痛みが走りました)ー人魚姫

などなど。
そこで、アンデルセンを単なる足フェチと考えるのは少々早い。
アンデルセンは、足が好き…と言うより、『美しかったが今は可哀相な足』が好きだったのではないだろうか。
アンデルセンは、自分の作品中で、

(人魚姫のかよわい足からは、誰が見ても解る程血が流れました)

…のように、少女達の足をいたぶる。
赤い靴など、脚を切断さえしてしまった。
この当時、脚の露出に対する考え方は、今とは反対だった。
当時は、男性はぴっちりしたタイツをはいても、女性が人前で脚を見せることは淫らなこととされていた。
…まぁ、言い方を変えれば『だからこそ、その秘められた脚を見たり、いたぶったりしたい』のである。
ところで、主人公カーレンにはある意味でのモデルがいた。
それは誰かというと…他ならぬアンデルセンだったという説がある。
彼は自伝に、『新しい靴が嬉しくて、礼拝に集中できなかった』ということを書き、それを非常に反省している。
つまり、自分をカーレンに投影し、カーレンに罰を与えることで自分への罰の代わりにしたというのだ。
主人公を少年ではなく少女にしたのは…
…まぁ、『男の脚よりは女の脚』とかいう感じだったのでは無かろうか。
さて、カーレンの脚を切り落とされた理由は解った。
さて、ここでひとつ問題。
カーレンは最後悔い改めている。
しかし、カーレンは最後に心臓が弾けて死んでしまうのだ。
何故アンデルセンは、彼女を殺さなければならなかったのだろうか。
別にこれも、今回の話に限ったことでは無い。
とかくアンデルセンは、物語の最後に死を持ってくるのが好きなのだ。
…その理由(と思われる部分)も、作者の自伝に記されている。
アンデルセンは、妄想癖を持つ少年だった。
頭の中に物語の舞台を持ってきて、登場人物を好き勝手に操るのが好きだったのだ。
そして、アンデルセンはこう書いている。

『人が沢山死ねば死ぬ程、私には面白い様に思われた』


赤い靴。
それは、アンデルセンの反省やら、性癖やらがごった煮にされた作品だった訳である…


第80話  清明神社に居たもの語り手: 煌天 由亜さん
この前のお盆に、祖父の新盆の為京都に骨納めに行ってきました。
ついでに、京都観光をしようと日程も余裕を持って行きました。
ついたその日は、本来の目的を果たし、何事もなく終わりました。

三日目に私は、清明神社に行きました。
そこで、前から欲しかったお守りを購入し境内をうろついていると・・・・
近くか横(どっちか忘れました)の竹林から手招きする人がいます。
その人は、眼がすんだ琥珀色なのをのぞき白づくめでした。
服装も、平安時代っぽいものでした。
『付いて来て下さいませ・・・・由亜様』
そう言って、彼は、手招きします。
私は、彼にとりあえず付いていきます。
勿論、ポケットの中のタロットの握り締めながらですが。
「何処へ、行けって?
 もう15分ほど歩いてるけど?」
その竹林は、ゆっくり歩いても道沿いでも無くても20分ほどで抜けれるはずでしたが。
中心にいるように見回しても竹林以外何も見えなかった。
『主の庵までもう少々ですから。
 もうしばらくお歩きくださいませ。』
そう言われて、私はさらに15分ほど歩きつづけた。
『ここです。』
それまで何も無かったのに、いきなり私の目の前に質素な庵にでた。
庵の戸口に座っていたのは、黒髪黒目の平安貴族風の年齢不詳の男
二十歳とも三十歳とも付かないが、不思議と不気味な感じはしなかった。

「アンタ誰?」
「不躾だね、今の女人は、見んなそうなのかな?」
『主・・・。』
「木芽丸、このお嬢さんにお茶を。」
白づくめの男−木芽丸は、主にそう言われると掻き消えた。

「なんのよう?」
「その前に名乗っておこう。
 私は、生きていたときの名を安倍清明と言う。」
「正確には、テ−プに録音された曲のようなものでしょう?」
「て−ぷ?」
「特定のものに、焼き付けられたニセモノ」
「・・・・・・・っはははは。
 一発で見破られるとは思わなかった。
 何で解った?」
「・・友人の友人が、此処の近くに住んでてね。
 その友人の話じゃ、清明神社や他の清明縁の地には清明本人の霊はいないってさ?」
「結界に隠れてたと言う可能性は?」
「それでも、人が作るもの。
 気配は、もれてしまうわ。」
私は、淡々と話していく。
「だから、貴方は、清明さんの分身に近いから。」
「ご名答。
 私は、清明本人に造られた物だ。
 後世、自分に近いものが現れたときのためにな。」
「全然、私は近くない。
 あの人には、勝てない。」
「謙遜するな、若いの。」
「用件は、終わりか?」
「おわりだ。
 木芽丸、霊のものをお渡ししなさい。」
「ひとつ、聞いてもいいか?
 私は、西洋系の術しか仕えないのに私を何故選んだ?」
「・・さあ、いいじゃないの?」
いい加減だぞ、清明コピ−。
『主・・・。』
「これだよ。
 これを渡そう。
 もし、君が要らないのなら、君が選んだ人に託しなさい。
 木芽丸、送って差し上げなさい。」
『御意に』
次に、私が気が付いたのは、清明神社の本殿裏だった。
一瞬夢かと思ったが、私の手元には、異世界で渡された紫の房と水晶の数珠だった。
そして、横には木芽丸と呼ばれていた青年だと思われる小さな狐がいた。
『しばらく、見晴らせて頂きます。」


そして、数日後にどうにか無事に地元に戻れた。
不思議な感じとともに。

後日談;木芽丸は、すぐに私のうしろのひとになりました。


第81話  姉さんの呪い語り手: 琴見奈々さん
私は三人姉妹の末っ子なんですが、暴力的な長女にみなびくびくしております。
で、今回は次女の話なんです。
この次女、見た目や性格に反してやたら病弱なのです。貧血ですぐ倒れます。
話は二年前の冬の晩。次女は風邪をひいておりまして。
寝込むほどではなかったようですが…。
そこで長女が『今週アンタ風呂当番なんだからやれ!!』と怒り出し、泣く泣く次女は風呂掃除をしました。
そして掃除を終えてソファーでぐったり。
薄情な我が家は誰も気にしていませんでしたが。
ところが、そのうち次女が、『体の左側が動かない』と言い出したのです。
どうやら本当に左半身がマヒしているようで、姉はすぐ病院へ行き、そのまま入院。
原因がわからず、検査入院。5日ほどで退院できたのですが、結局原因はわからずじまい。
次女はしつこく『お姉ちゃんがフロ掃除やらせたからだ!』と言っていましたが。
そうそう。それからもう一度。姉とケンカしたあと、今度は左半身がシビレで動かない。
そのときは母に、『今度はアンタ精神科だよ』と言われて、姉は病院へ行くのを拒みました。(あ、ちなみに前回フロ掃除やらせた時は母は仕事でいませんでした;
で、そのシビレはしばらくして収まり、それから姉は病院へ行きたがらなくなり、今でも貧血でバタバタ倒れています。結局アレはなんだったのか…。いずれにせよ、我が家の長女は恐いのです。タイトル負けしつつ終わります…;;;


第82話  糸数壕の亡霊語り手: 水島飛鳥さん
この四月、私は修学旅行で沖縄に行って来ました。
『修学旅行で沖縄』と言うからには、コースの中に『南部戦跡巡り』が存在する事は決定事項。
ひめゆりの塔等のメジャーどころ(?)を含め色々といった中、糸数壕(アブラチガマ)がありました。
糸数壕は、沖縄戦開始後に住民が避難していましたが、4月末に陸軍病院の分院として指定され、
女学生の「ひめゆり部隊」が看護活動を行っていた自然洞窟です。
壕内には一時1000人近い患者が暗闇にあふれ、しかし軍人は一番奥の安全な場所に隠れていたり。
更に内部には軍人専用の「慰安所」もあり、朝鮮人女性などが性的奴隷とされてたり。
挙句、5月25日頃に部隊に撤収命令が出され、見捨てられた重傷患者は青酸カリ等で自殺を強いられました。
その後何回も、米軍の火炎放射攻撃などを受けます。米軍は空気穴などを狙って黄燐弾(自然発火する爆弾)等を投げ込み、
敗戦後の8月末まで敗戦を信じない軍民が立てこもり、近づく人びとを「スパイ」として殺害したりした。

糸数壕は壕内に小川が流れ井戸もあるため恵まれており危険を冒し水くみに出る必要がなかったので、
逆に最後まで閉じこもり続けて被害が大きくなりました。
現在は一般公開されていますが、『当時のまま』と言う事で、手は一切つけず
(説明のの看板くらいはありますが)電気も通さず暗闇なので、懐中電灯携帯は必須です。
当時の瓶の欠片なんかもそのまま残っている位です。
当然其処に渦巻く念もひめゆりの塔等のように祀られ、沈められている場所とは比べ物になりません。

『あ、ヤバイな・・・』と思ったのですが、生憎集団行動。
生憎何かするために力を開放する時間など取れようもありません。
そんな訳で、見事なまでに宿泊先のホテルにお持ち帰りする羽目に相成りました。
あぁ、何やら憑いてるな・・・位には思ってたのですが、特に害意はありません。
何より強行軍での身体疲労により、部屋に着くなりベッドに寝転がり・・・そのまま寝てしまいました。
が、幾ら直接的な害意はなくとも、皆さん立派に怨霊な訳で。
うつらうつらとしていたら、どうも身体がだるい。
それだけじゃ無いような気もするんですが、だるくって、しかも寝ぼけていて、
碌に頭が働かない。
ぼんやり天井を見ていると、白い靄が。「あ、何だ、単なる幽霊か・・・・・・って、ぇ?」
生憎現在の私はそんなに力が強くは無いので、見ようと精神集中しなくちゃ見る事はできない。
ぼんやり眺めていても、そこらの相手が目に付く訳も無いのです。
思わずがばっと飛び起きて、次第に頭がはっきりしてきます。
「う゛・・・ヤバイ。」
戦争の被害者の霊。そこらの霊と比べ物にならない力を持っている事位簡単に想像がつきます。
と言うか、現に生気を吸い取られつつある。
・・・そこらの霊相手なら、逆にエネルギーを奪って食費浮かしている私が、です。
慌てて座禅を組んで、意識集中させて気を高め・・・・・・・本格的にヤバイ。
碌に手当てを受けられず死んだ兵、毒で自殺を強要された傷病兵、黄燐弾の犠牲者。
どれも此れも滅茶苦茶強い。
・・・しかも、寝ちゃったので今は夜。寝る前は大人しかったのに、問答無用で活性化しています。

戸頃で実は、一人部屋ではなくツインです。もう一人は保健の先生。
食事のために出て行った彼女も、目を走らせるとそろそろ帰ってくるんじゃないかと言う時間です。
取り敢えず、打つ手無しで止まっている訳にも行かないので、
取り敢えず逆に向こうを捕食してみようと試みました。
不意を突かれたのか意外とあっさりと成功して、三人中二人を捕まえました。

残るは毒死傷病兵一人・・・と思ったのですが。
取り込んだは良いんですが、やはりそう簡単に人格無視を出来る相手じゃなかった様で。
取り込んだはずの一人の方が、私の中で暴れられるという事態に。
しかも、やはり攻撃を仕掛けたのが拙かった様で、残る一人も此方を敵視しているよう。
具体的に言うと、金縛り状態and体のっとられかけ。
内側から抵抗するための力を削られている、というかなりキツイ事態。
其処に追い討ち。「コンコンッ・・・水島さん、開けて〜」
この期に及んで、先生が帰ってきた訳です。
オートロックで鍵は室内。私が開けなければ先生は室内に入れない訳で。
当然私に開けてくれという訳です。
・・・・・・が、自力でこの状況を打破できる訳も無く・・・・・・
仕方ないので、助けを求める事にしました。
さて、この状況で現実的に私を助けてくれうる相手は一人しかおりません。
何時もの如くくっ付いてきたは良いものの、
沖縄見物でその辺のどこかをふらふらしているであろう姫君です。
・・・・・・が、都合よく帰ってくる訳は無いので、
助けて欲しいとこっちから思念を飛ばさねばならない訳で・・・
生憎、其れをする余裕は私にはありません。
「コンコンッ!コンコンッ・・・・・・ゴンゴン。み〜ず〜し〜ま〜さ〜んっ!!!」

「五月蝿いっ!こっちは今取り込み中なんだっ!!!(心の声)」
と、腹を立てたのもつかの間・・・・・・
何故か唐突に余裕が出来る。そもそも攻防をしていた訳だから、
その余裕で一気に中で暴れる霊を取り込んで、状況を把握しようと・・・・・・


「先生、声五月蝿いですよ?」
「あ、Wさん。いや、水島さんがいるはずなんだけど開けてくれなくて・・・」
「・・・・・・居ないんじゃないですか?若しくは寝てるとか。うちの部屋来ます?
 ・・・・・・って、きゃあっ!」
「・・・え?Wさん?何・・って、きゃ〜っ!!!」
如何したもんだろうか。
どうやら傷病兵殿は、手ごわい私よりも沢山生気を発していり、なおかつ楽そうな
外の相手に獲物を切り替えたらしいのだ。
「・・・・・・如何したもんかな?(汗)」
取り敢えずドアを開けに行く。
当然其処には傷病兵殿が・・・居ると思ってたら居ない。
取り敢えず「寝てたけど先生の声で起きた」という事にして、
話題を逸らして先生とWさんの意識を切り替える努力をしてみたり。
・・・・・・あいつ、如何したのかな・・・・・・・?と思いつつ翌朝。
朝食の為バイキングへ。・・・・・・・友人W(Wさんとは別人)にくっ付いてるっ!
何とかしなくちゃ・・・とか思いつつ。特に差し迫っても居ないので食事を優先。
食べ終わったら・・・と思っていたのですが。
食事スピードの差で私より後に着たWは私より先に食べ終わり。
しかも温泉ホテルでWは温泉に行っちゃったので・・・Wは男なので捉まるはずも無く。
その後も綺麗にすれ違って遭えないので、痺れを切らして後ろで浮かんでる相手に
「あいつ捕獲してきてっ!」と頼む。
そもそも格の違いというか、根本的に存在が違うというか。
勿論傷病兵殿は敢無く捕まってくれましたので、
取り敢えず自分にくっつけて甚振りつつGo to東京。
しっかりお土産に戦地の幽霊確保しつつ、ちゃんと妹にくっ付けて上げたのですが、
一ヵ月半、ついに気付かなかった上、母がどうも弱ってきたので、
飽きてちゃんと成仏させて上げました。
(自分でやったんじゃなく浮いている人に頼んだ)


第83話  正しく扱おう心霊写真語り手: 青月 かなたさん
パタパタパタ。
バタンパタンベコン。
夏の風物詩、学生の下敷きを使った扇ぎ合い。
さすがに授業中は扇ぎ合わないが、パタパタと聞こえてくる下敷きの音。
夏の理科室は暑かった。そして陰気くさかった。
そんな空気を気にしたのか、それともパタパタが嫌だったのか、先生は語りはじめた…。
「じゃー涼しくなるような話しをしようか」
 おー! 
ノリで盛りあがる生徒達、数名。
何言ってるんだかな、と囁く生徒数名。
ともかく暑くてボーとするわたし。
「これは私が大学の時知り合った友達のはなしなんだけどね…」
 怖い話しにそぐわない笑顔で語り出す先生。
「その時の学年は変ってたんだな、その中でも特に変ってるコがいてねぇ……」
 うんうんと頷く先生。
 ここで終わったなら、怖くもなんともない。
「そのコがねーすごく可愛がってた猫がいるのよ。
 ホントに子供ころから一緒にいたから兄弟みたいな感じでね……」
 良くある美談だ。これだけ聞いたならば。
 しかし全てのモノには終わりが訪れる宿命。
「その猫がね……死んじゃたんだ……そのコ落ちこんでね……三日以上ガッコ休んだのよ……」
 少しジーンとくるわたし。だが。
「だから両親が新しい猫貰ってきたのよ。白いの。
 そしたら元気になってねぇ……『写真撮ったからみせるよ』って言ったのよ」
 それでいいのか……という空気が辺りに漂った。
「んでねー驚くのがその後」
 彼女はニッコリと笑い……。
「なんかねーその写真に黒い猫が写ってんのよ、ああ、その死んじゃた猫は黒いのよ、私も見せてもらったの元気な時」
 待て待て待て待て、それ、心霊写真じゃん。
「それでねー……あのコ妙にはしゃいじゃて……『このカメラ心霊写真とれるわね♪』って……」
 はしゃぐのか……。いや、まぁ可愛がってた猫なんだし……。と思っていたのだが。
「でもね〜死んじゃたの。白い方」
 えー?
 おいー!
 という声が漏れた。
「アレよね……写ってた黒い方、睨んでたから……」
 そこで話しは終わるものだと思った。
「んでねーそれからそのコ、『これは絶対心霊写真ねっ』ってノッちゃて」
 ノるなやねーちゃん。
「それから撮りまくる撮りまくる。旅行の度にそのカメラで有名人のお墓とかまわって……」
 いくらなんでも軽々しいと、微妙に白ける辺りの空気。
 まわるな―――!! わたしの心のが通じたか、先生はフォローをはじめた。
「でもね、そーゆのって悪いでしょ、ちゃんと神社に行くように薦めたのよ、私達」
「それでね。渋々行ってくれたの。今まで撮ったの……猫のも含めてよ」
 そりゃあそうだろう。猫の後も色々撮れたらしいが、それが一番深刻な感じである。
「でねー神主さんにこう言われたの」
「『確かにあなたに敵意はない…が、こういうモノが写るということはたいてい悪い事の方が多い…。これで全部のですね? これはこちらが貰いうけます。このカメラも』御払いしてもらったらしいわー。
『この後一切このようなことはしないように』きっつく念おされたらしいわねー」
 
「それで、それからは一枚も撮れてないわよ
 ああ、彼女今は3児の母で……落ちついたわよねー」
 それはなにより。
「ま、なにも無くて良かったモンよねー」
 はははは。
 という笑い声と共に、チャイムが響く。
 その話しは、皆の心に妙な気分を残し幕を閉じた……。
そして、授業終了後。
「ヘンな話しだったねー」
 全員出ようとするため、ドアが詰まる。そこて始まるのは雑談だ。
「怖かった〜〜」
「いや……失礼だけどアホらしいと思うよ……」
 正直に言うわたし。
「ふーん。そりゃあ自分が心霊写真にされたんだもんね。かなたちゃんは」
 失礼な。アレはただ手だけだからと言って決めつけた奴らが悪い。
「存在感ないもんねー」
「いても気がつかないし」
「ふっと気がつくといるよね」
「あ。スパイになれるじゃん。良かったね☆」
「勝手に人を怪しい道に引きこむな」
 そりゃあ昔友人に背後霊っぽっいと言われたが。
「つーかあのくらいで怖いなど思えん」
 わたしの周りには、わたしが未熟児で死にかける未来を予言した曾祖母。「昨日はばちゃんがあいさつに来てねー」とか素で言い出す祖母がいる。
「じゃあなにが怖いわけ」
「イナゴとか……」
「あと犬だよね」
「うん」
「あたし犬飼ったらかなたちゃんに飛びつくよーに教えるの♪」
「やめろ…御願い…」
 そんな会話を交わしながら、ふと思い出す。
 ―――あれ 期末の範囲…終わったけ…?
 口には出さない。現実逃避だ。
 ―――それは、期末まで一週間の出来事……。
 結果的に、背筋は冷えた。
おしまい。


第84話  木芽丸がこのめになった理由語り手: 煌天 由亜さん
木芽丸ことこのめ。
彼は、先日京都へ行ったときに、清明神社で出会った人物から託されたというかその人の眷属だった齢900数える子狐姿が可愛いやつである。
この彼は、最初は私のことが嫌いなようで ビジネスライクに私を見張ってやる奴でした。
そんな彼が、先週の金曜日ですから 八月の二十日の朝に『眷属になってやる』といってきたのです。
その理由を聞くと次のような話です。

その前の晩−。
木芽丸は、私の布団の横になるぬいぐるみの上でねたいたようです。
しかし、その日に限って眠れません。
丑三つ時も過ぎようとしていたその時です。
浅い眠りですが、寝ていた彼は、ある物音ではねきたそうです。
それは、私の上にかぶさる黒い影。
『俺の監視対象に何してやがる!!』
木芽丸は、黒い影にそう言います。
≪う・・・るさい・・・お前・・・・邪魔・・・・≫
そういって、黒い影は、一端木芽丸を攻撃対象に選んだようだ。
『・・・うるさい。』
しかし、十数分後−。
木芽丸は押され始めていた。
≪死・・・ネ≫
木芽丸にとどめが刺されようとしたとき。
「あによ、うるさりゃない」
彼の言葉になるのですが、『私がその黒い影を一時的に殺した』と言っていました。
おそらく寝ぼけて、そうしたのでしょう。
その後、木芽丸を私はむんずと掴み布団の中に入れまた寝てしまったようです。
そして、彼は曲がりなりにも命を救ってもらったので、眷属になる覚悟をしたようです。

『新しい名をつけてくれ。』
「このめ。」
『まんまじゃろ?』
「あんたの瞳が、冬の木の芽に似てるから」
『清明と同じことを言い寄るの。
 ・・ともかく、よろしく頼む。』


こう言う事情で彼は私の『後ろの人』の一員になったのだ。

                             +終わり+


第85話  見えない住人?語り手: 薫さん
以前にもこの場にてちょこっと話たことがあるので知っている人は知っているでしょう。
私の家の近所になぜか見通しがいいのに事故が多発する十字路があります。そして、その真横にアパートがあるのですが。
問題は、その一階の一番端、つまりは道路に二面ほど面しているとある部屋のお話です。
そのアパートは私が中学のころにそこにたちました。そして、当然のことながら新居なので住人も部屋の数だけはいってきます。
・・・・・が。そのアパートが建って一年後・・・・。その問題の部屋の住人。何でも独身男性が住んでいたらしいのですが。
年齢は二十歳前後くらい。まだ若い男性です。
その男性がパイク事故でこの世を去りました。車との追突事故だったそうです。
その男性の身内はこの辺りにはいないので、その男性の実家にてきちんと葬式などもとりおこなわれ、そこはひきはらわれました。
当然、住人がいなくなったわけですから、次の住人がはいってきます。
・・・・・・・が。
その部屋に入った住人は絶対に数ヶ月もそこにとどまっていません。
あまりに頻繁に出入りが激しいので?と思っていると。
何でもその部屋には・・・・誰かがいるらしいのです。
母の話によれば、そこには何でも死んだ男性がいまだに住んでいるとかいないとか・・・・。祖母も入院する前にはそういってました。何でも死んだことを理解できずにすみ続けているらしいのです。
その部屋に入れば、誰もいないはずなのに、足音や、もしくは夜などはバイクの音がするとか・・・
あまりにそれは頻繁で、さすがに管理会社もお払いとかをしたのですが・・・・・。
その現象はなくなることはなく・・・。
数回以上、お払いをした、というのはこの近所では評判です。・・・・が、いまだにその男性はそこに住んでいるらしく・・・。その部屋には誰も長くとどまることはできません。
仕方ないので、普通のアパートにもかかわらず、一室のみを貸事務所、として貸し出しているのですが、それも破格の値段で。
貸事務所ならば、夜には誰もいません。これで問題はなくなる。そう管理している人はおもったらしいのですが。
・・・・・が、しかし。その当人が死んでいる、という自覚がないからか、または新しい人たちを邪魔もの、と捕らえているのか。
そんなことを知らない会社がその部屋をかり・・・・。そして。昼間なのにそれはおこりました。
昼間なのに、誰もはいっていないはずなのに風呂場の水が出ていたり・・・・。物音がしたり・・・・。
挙句の決め手は、聞いたところによるのですが・・・。そこにおいてあった小物(会社の道具)などが飛び交ったらしいです。
さすがに、その会社の人はすぐにそこを引き上げ・・・。そして、しばらくしてまた次の人が何もしらずに入りましたが・・・。
その会社の人も数週間ももたずに引き上げました。
そして・・・・・・・・・・・・・。その部屋はいまだに「貸事務所」となったまま・・・・。数年以上経過した今でもだれも借りてがありません。
・・・・・・・・が、年月が経過したからか、はたまた完全に自縛霊と化してしまったのか・・・
始めはその部屋だけ、でした。その現象は。
数年以上経過したころから、その真上の部屋にもその現象が・・・。といっても物音とかの部類なのですが。
はじめは物音、だけだったらしいのですが・・・・とうとう、俗にいうポルターガイスト現象、をそこの住人が目の当たりにしてしまったそうです。
台所のお皿が空を舞う・・・そんな状態でいれるはずがありません。
そして・・・・・・・・・・・その真上の部屋の住人も姿を消しました・・・。
その後、その上の部屋には幾人か入ってきたのですが・・・・。誰も長続きはしません。
そして・・・・・今。
結局のところ、その格安の値段となっている貸事務所、とその真上の部屋は・・・・いまだに空き部屋のままとなって数年以上が経過しています・・・・・・・・・
最近、話を聞くのには、真横の部屋も音がひどくなりはじめたとかそうでないとか・・・・。その隣の部屋は何でもオフだとかを貼ってはいるそうです・・・・
一階、二階、共に語部屋づつ。
そしてすべての部屋がきちんと住人がいるのにもかかわらず・・・・。道路に面しているその上下の部屋。そこだけずっと空き家のままとなっています。
いったい、その住人は何の未練があるのでしょうか?結婚を控えていたのに死亡したからか・・・あるいは・・・・。見通しがいいのになぜか車などが見えなくなり、事故が多発する十字路の不思議な力に取り込まれたのか・・・・。
それは誰にもわかりません・・・・。
部屋の前にはいまだに、「住人募集」「貸事務所」という紙がはってあります・・・
これからあのアパートはどうなるのでしょう?騒動が持ち上がってすでに10年以上・・・いまだにそれはつづいています・・・。
終わりです。


第86話  たばこのにおい語り手: 焔の君さん
これは母から聞いた話です
どうやら母方の一族は何か不思議なものが見えたり感じたりすることがあるらしいです。その一つにこの話があがりました
その日はちょうど母のおじいさんが死んだ日の後葬式などが終わった後の日だったらしいです
母はおじいさんの住んでいた部屋に荷物などを取りに行ったそうでした。
母は玄関の鍵を開け中に入り、一つの匂いを嗅いだらしいです。
「あれ?たばこ?」
母の家では母の父(つまり僕の祖父)がたばこを吸いますがそれとは違った銘柄らしかったそうです
それは母のおじいさんの好んで吸っていたたばこの匂いだったとのことです
母はその匂いに誘われるようにして中に入り奥の部屋に何か白いものを見たらしいです
それは母をいったん見るとふっと消えてしまったそうでした。母はそのリビングのドアを開け中に入り・・・・・・
リビングの机の上に今消えたばかりと思われるたばこと灰皿。そしておじいさんの葬式の時に見つからなかった時計がそのテーブルの上にあったとのことでした
母は家をしばらく調べたとの事でしたかその白いものは見つからなかったとのことです
それ以来母はその白いものを見たことはないとのことでした。
それでも母はいいます。「きっとあれはおじいちゃんで私に何かを伝えようとしていたんだ」・・・・・・と
母曰く「・・・・・・あのまま帰っていたらたぶん帰りの交通事故に巻き込まれてたかも・・・・・・」・・・・・・僕はその話を聞いたとき、おじいさんの幽霊かもしれないということより母の神経が正常かどうかを悩みました
僕はまだそんな経験は一度しかしたことはありません。ですが、もう少ししたらそんなことがしょっちゅう起こるのかもしれません
不安だと思いつつ僕は不思議な母の話を聞き続けていくのです。
・終わりです・


第87話  学校のかいだん語り手: エモーションさん
その日、いつものように司書さんが当番の図書委員と図書室を閉めていました。すでに秋分が過ぎていること、下校時間になっていることもあって、校舎内ですでに電気が消されてしまっているところは、もう真っ暗です。
と、先に出たはずの常連組みが、血相を変えてぱたぱたと、暗くなった廊下を走って来て言いました。
「司書さん! 司書さん! さっき、北階段から下りようと思ったら、真っ暗な廊下を階段に向かって、白いものが通っていったんですぅぅぅぅぅぅぅ!!」
「……A先生じゃないの?」
司書さんはあっさりとそう返します。A先生とは、ぱりっとのりの効いた清潔な白衣がチャームポイントの物理科学部顧問(担当教科は理科)の先生です。が、
「A先生は空中を浮遊して通り過ぎたりしませんっ!」
もっともなことをいう常連Bさんに、司書さんは「えーと、それじゃあ……」と言いながらこう返しました。
「気にしないこと。以上」
「…………(汗)」
半ば脱力しつつ絶句した、見ちゃった常連組み&生暖かい気分になっている図書委員たちが、「そんな、あっさり気にするなとか言われても」とぶつぶつ言っていると、司書さんは「だって霊能者でもないのに下手に手を出したら、やぶ蛇どころかそれ以上に厄介なことにしかならないし。だから相手しないで無視が一番」
 と、平然とした口調でそう返します。
その後、結局北階段から下りるのは嫌だということで、「でも、A先生が物理法則を無視して空中に浮かんでたら、そっちの方が凄そう」と言う、おバカな会話をしつつ、中央階段から下の階へ下りて帰宅したのですが……
後日、ここ数日の間、中央階段の踊り場にも実は女の人がいたそうです……。(聞かされた時はもういなくなってた)
……本当に、いちいちそういう方々を気にしていられない学校でした。

終わります。


第88話  現実にあったら狂いそうな夢語り手: 朱音さん
今は夢を余り見ない私ですが、小3の頃はよく見ていました。
そんなある日。いつものように眠っていた私はふと起きます。
いつもよりすんなり起きれました…そして、あることに気付きました。
いつもより暗いんです。
夜中三時くらいなのかと思えるくらい暗かったんです。
しかし
もうひとつ変な事がありました。
壁が緑色に見えたんです。
ちなみに私の部屋の壁も天井も色は白です。
しかも所々黒っぽいような気がしました…
すると突然視界が明るくなりました。
そして思わず叫んでしまいました…
目の前に…と言うより視界いっぱいに…
毛虫・ムカデ・ゲジゲジ・蛾・青虫・ナメクジetcetc...
そう、虫が部屋中に這いずり回ってたんです。
しかももう天井にまで上ってます。つまり・・・
そろそろ落ちてくるかもしれないんです。
ちなみに私が使っているベットは二段ベットで、下段にあたる所が机になってるんです。
だから間近に虫が落ちる光景が見えるんです…
と物思いに耽ってる場合じゃないと気付き、急いで飛び降りました。
何故か靴がベットの中にあって助かりました。
…と言ってもやっぱり虫を踏むわけで…
床に足が着くということは…
案の定…
虫が私の体を登ろうとしてました。
足で振り払いつつ何故かまだ虫がいなかったドアを開けてリビングに逃げたら…
リビングにまで虫共はいました。
ちなみに外は明るく、どうやら昼だったようです。
嫌だああ!!
と絶叫したら目が覚めました。
季節は夏…
洒落にならん夢を見ました…
おわりです。


第89話  妖怪見聞録 IN横浜語り手: 煌天 由亜さん
あれは、私の高校卒業記念に東京に行った時のことだった。
一週間ぐらいの予定で、友人を巻き込んでのことだった。
2日目の事だったはずだ、友人がいきなり
『横浜で今日は、食べ歩こう
 あんた好みに、本屋も寄ってあげるから。』
そう言い、その日は横浜に言った。

そして、最後にソフトクリ−ムを食べようと言うことで、海の見える公園のある像の近くの店で買った。
友人は、像の横のベンチに座っていた・・・・はずだった。
はずだったのだが、直前に『ユア〜、おそいぞ〜』と言っていたはずなのに。
居なかった。
他の人も残らず居なかった。
いや、一人だけその季節には寒い白い袖なしワンピ−スの小学2年生の女の子が居た。
(・・・無音円状異空間(コ−ンサイレント)
 後、人払いの結界かなぁ・・・・悪意はないし・・・・。)
今の状況など等を照らし合わせると、目の前の少女は人であるはずがない。
それが、像と同じ様な雰囲気であれば。

ところで、『赤い靴』という童謡をご存知だろうか?
日本人の女の子が、赤い靴をもらって、異人さんといっしょに海を渡る内容の童謡だ。


その象の近くのベンチでこれは起こったのだ。
「どうも、お嬢ちゃん。」
「こんにちわ。
 お姉さん名前は?」
「ユア・・・魂の名前のほうがお前にはいいだろう?
 お嬢ちゃんの名前は?」
「結城朱音(ゆうき・あかね)」
「じゃあ、朱音ちゃん。
 私だけを残した理由は?
 子供でも容赦しないわよ。」
「お姉ちゃん、怖い・・・。」
「・・・・ともかく、これ食いながら話せ。」
何時帰れるかわからないので、ソフトクリ−ムを朱音に渡した。
朱音は、少しずつ話していく。
まとめるとこんな感じだ。

自分は、『赤い靴』が歌われてそこから生まれた人々のイメ―ジで生まれたこと。
今の姿は、異人さんの国に渡ってすぐに死んだイメ―ジから生まれたもの。
ほかに、20歳ぐらいの銀髪の女性の老婆の姿があること。
淋しかった事

「淋しかったのか?」
「うん。
 ずっと、理解してくれる妖怪いなかったもん。」
「この場合の妖怪って
 『人の心方生まれた存在』でいいの?」
「うんそうだよ。」
「・・・私にも私の生活がある。
 返してくれないか、現実のほうへ。」
「・・・・・・」
「泣くな。」
私は、赤いリボンを出し彼女の黒髪に結わえる。
「朱音。
 私と友達になろう。
 そのリボンがその証だ。
 いつでも遊びに来い。」
「いいの?」
「お前は、お前だ。
 わざわざ像のあるとこだけにいる必要もない。
 待ってるよ。」
「うん、またね。」
私は、帰ってこれた。
異空間に行っていた証拠にソフトクリ−ムは持っていなかった。
そして、夜のベンチにいたことだった。


そして、友人はホテルに帰っていた上にこんな一言を。
「あんた、これから行く先々で妖怪に会うわよ。
 『赤い靴の女の子』って言ったら、今の妖怪の元締めみたいなもんだもん。」




ともあれ、胸に何か暖かいものを残し、東京旅行は終わった。


                                   +終わり+


第90話  ダムにいるもの?語り手: 薫さん
まず、皆さんはダム、ときいて思い浮かべる話はいくつもあるかとおもわれます。ダム、というのは。もともと。そこにあった山や村などを壊して作る人工的な貯蔵庫のようなものです。
ダムの用途にならないのに水没した村の話などはよくざらに聞き及びます。
今から話すダムはそんなダムとは少し違えども、やはりダム建設においてやはり、というか案の定、反対運動が起こったダムのお話です。
山口県のとあるダム。いくつもダムはありますが、よくあるダムの怪談、に例をもれずに、その中のうちのダムにもやはり怪談話が絶えずつきまとっていのは知る人ぞしる有名な話です。
水場には霊がつきもの、とはよくいいますが・・・。そこでのダムの目撃例は聞き及んだだけでもかなりあります。これはそんなダムのお話です。
私のひとつしたの後輩が、例にもれず、その怪談を聞き・・・友人とそこによせばいいのに肝試し、にいったそうです。
後輩、というのは中学の後輩で、以前、ここでとあるトンネルの話をした・・・例の彼女です・・・
季節は冬。肝試し、というのは夏場が相場みたいな感じではありますが、そこでは季節も関係なくうわさが絶えずにあるので、友達四人と共に車で移動したそうです。
そのダムはかなり山奥にあります。そして、そのダムのしたにはいまだに村がそのまま沈んでいます。水不足のときには村が見えるほどです。
しかも、話がうそか本当かしりませんが、お墓などもそのままのこっている・・・といううわさです。どこまでが事実かはわかりませんが。
季節が冬、ということもあり、水が少なく、ダムのそこには廃墟と貸した
村が具間みえます。
時間は昼過ぎくらいでしょうか。
「ここ、でるってうわさよねー。」「前のトンネルは何だかなぁ。だったしね。」「けっきょくあれ、どうなったの?」
などといった会話をしつつ、そのまま車を止め、ダムを見学するためにと降りていきます。
前のトンネル。それは以前私も聞いたことがある、かなりヤバイ話でした。こちらでも話ましたが・・・。クルマの屋根に赤い手形がいくつもついて結局買い換えたとかという例の話です。これはその数ヵ月後のことだそうです。
水が少ないためにと、やはり、というか
村はみえています。「何もないねー。」「でも何かすごいよね。村がある、というのが。」そんな会話をしつつ、そのままダムの上からしばし眺める彼女たち。
そして・・・・・
ふと。
「・・・・・・・・・・あれ?」
水が完全に一部なくなっている場所、そこにもやはり廃墟となっている家があります。そのほうをみつつ、一人が首を傾げます。
「ねえ?何かうごかなかった?」「気のせいじゃない?」
そんな会話をしつつ、その子が指をさした方向に視線を移すほかの子たち。
ダム、というのでかなりの高さはあります。そして、見下ろすそこに、たしかに何かが動いているような感じが・・・
「動物じゃない?」「・・・・ダムのそこに?」そんな会話をしつつさらによく目をこらした彼女たちがみたものは・・・
ひらひらと、風もないのに何か揺れているような白い布・・・。そして・・・。距離があるにもかかわらずに、はっきりとみえるそれ。
家の横に何か白いものが動いているのです。
そして・・・・・・さらによくめをこらすと・・・。それはただの布ではなくて・・・・・。
「うわっ!?」「何であんなところに!?」「誰かはいってるんじゃない!?」「入れるわけないじゃない!やばいよ!かえろ!」騒ぎ始める彼女たち。
彼女たちがみたもの。
それは。
白い服をきた髪の長い人間・・・・・・・・。しかもゆらゆらと何やらよくみれば手招きをしているようなしてないような・・・
うつむいたその顔を上げる瞬間、彼女たちはその場からあわてて立ち去り、車にのりました。
エンジンをかけます。・・・が、なかなかかかりません。
「はやく!」半ばパニック状態になっている彼女たち。それはそうでしょう。いくら水がないとはいえ、にあんなとこワンピースらしきものをきた女性がいるなど・・・ありえないのですから。
とにかくようやくクルマのエンジンがかかり、そのままクルマを進めます。
「やばいよ・・・あれは。」そんなことをいつつも。そこから出るのにはダムを回りこまないと帰れません。とにかく、エンジンをかけ・・・そして。
かえるのにはダムの上にかかっている橋を渡らなければいけません。・・・・・が。
「うわぁぁぁぁ!!!」「いやぁぁぁぁ!」もはやパニック。
彼らが進もうとするその端の袂・・・・そこに、先ほど遠くではありましたが、たしかに、それ。と確信がもてる白いものが・・・
今度ははっきりと、真っ白いワンピースに長い黒髪。そして、なぜか手招きしている手・・・
が、そこを通らなければ帰れません。もうひとつの道にいけば、広島方面にと抜け、数時間以上かかるのです。
「反転して!反転!」「でもこっちにいかないとかえれないよ!?」「・・・帰れない、じゃなくて時間かかってもいいから!遠回りして!」などと騒ぎつつ。
そのまま、あわてて彼女たちはクルマを反転。そして、元きた道を引き返していきます。
「もうだいじょうぶよね?」そんなことをいいつつ、後ろを振り向いた彼女たちがみたもの・・・それは・・・。
後ろにと移りこむ、白い・・・・。「うわぁぁ!?」もはやパニック状態になりつつ、とにかくクルマを飛ばします。
そう。彼女たちはかなりのスピードを出しているにもかかわらずに・・・。後ろにずっとその女性らしき姿が景色の中に移りこんでいるらしいのです。
とにかく必死で飛ばす彼女たち。そして。
ぷぷぷぷー!
ふと気づけば前から大型ダンブが・・・。
「うわっ!?」危険なところで何とか回避。
そして、ダンプとすれ違って後、女性の姿がみえなくなりました。とにかく今のうち。というのでとにかくがむしゃらに進む彼女たち。やがて、道は市街地にとぬけていきます。
町の明かりにほっとする彼女たち。・・・が、一人、がたがたと震えています。それは助手席に座っている一人の女の子。
「さっきの何だったんだろ・・・」震えつつも会話するほかの子たちの話に。
「いやぁぁ!」ひとり助手席に座っていたその子が悲鳴というか叫びを上げます。
「どうしたの?」とにかく震えるその子をそのまま、にしておくのも何ですし、また自分たちだけ、というのも怖かったらしく、近くのファミレスにと入った彼女たち。
時刻は夕方ともあり、周りに人はたくさんいます。そして・・・。
「どうしたの?」
席につき、そして、落ち着かせきいたところ・・・。
とにかくクルマを飛ばしていたあのとき。目の前の曲がり道からダンプがでてきたあのとき。
そのダンブの目の前に、あの女性が長い黒髪のしたからにったり、とした笑みを浮かべ・・・といっても口もとのみがみえてたらしいのですが。
そのまま、彼女たちにむかって手招きをしていたそうです・・・・・・。
そして、彼女たちのクルマが何とかそれを回避して、ダンプがすれ違ったそのとき・・・その女性が何かくやしそうな表情をしたとか。そうその子はいうのです。
そのまま、その女性はダンプが過ぎ去るのと同時にダンプとともに掻き消えるようにと消えていったそうですが。
が、それに気づいたのはその子一人。それもそのはずかもしれません。後ろにのってた二人はあまりの怖さにだきあっていたらしいのです。
運転している子は回避するのに必死。つまり、きちんと前をみていたのはその子一人・・・
それを聞き、ほかの三人は絶句。
「・・・・やぱ興味本位ってやばいみたいね・・・」今さらながらにそんな会話をしている彼女たち。
しばらく顔を見合わせつつ、神妙な顔になり、彼女たちは無言になったらしいです。
「そういえば前先輩に興味本位はダメとかいわれたけど・・・。でも昼間なのに・・・」などといっている後輩の子。
昼間も夜もありません。そういう場所などには興味本位自体がそもそも、危険な行動なのですから。
そして・・・。彼女たちは、帰り道も数回、何か接触事故にあいそうになりながらも・・・とにかく安全運転で、クルマの中で一夜を過ごして・・・そしてどうにか無事にと戻ったようです。
余談ではありますが、彼女たちは後日、一応お払いにいったそうです。
皆さんもそういう場所などには絶対に興味本位では近づかないようにしましょうね。
命が助かっただけ、彼女たちはましだったのでしょう・・・。数日後・・・。そこでダムに落ちて転落しした若い子たちがいたことを述べておきます・・・・
終わりです。


第91話  補給源語り手: 水島飛鳥さん
ある日、昼寝から醒めるなり本を読み漁って数時間。
その辺に積んであった本を一通り読み終えて人心地ついてから、
漸く違和感に気が付いた。
・・・・・・居ない?
誰が居ないって普段ならその辺で浮いている姫君が。
別に視界内に居なくとも『居る』と事が感じられるんですが、其れが一切感じられない。
「お〜い、姫君〜っ!姫っ!出て来ないとリーって呼ぶぞっ!?
 リーっ!聞いてんのかリーッッ!!!!」
一通り叫んでみましたが、どうやら本当に何処にも居ない様子。
・・・・・・如何したもんだろうか?何が問題って何時居なくなったか分からないのだ。
読書に8時間、睡眠4時間、そもそも本読みながら寝たのでその前に更に6時間。
合計約18時間、居るかどうか全く気付きもしなかった時間がある訳で。
(・・・・・・と、取り敢えず心当たりを当ってみよう・・・・・・(汗))
友人宅に電話。友人の妹が出る。R(友人)は今手が離せないらしい。
「じゃあ、せめてそっちで一日以内に喧嘩及び喧嘩未遂が無かったか聞いてきてっ!」
と頼んだところ、返答は「別に何も・・・」との事。
(ヤバイ、Rのとこに居ないのなら私に当れる心当たりはもうない・・・)
心当たりは後何件か存在するが、普通に連絡の付けられる相手はRのみ。
受話器を握ったまま思考停止している私に対して
「あの・・・飛鳥さん。もしかして、違ってたら申し訳ないんですけど・・・
 あの、『あの方』が居なくなったりとか・・・・・・しました?」
「Yちゃんっ!?何か知ってるのっ!?」
基本的に姫は霊視能力がある人でも普通、見えない。
契約交わしてる私やら好き好んで姿を見せてるRなら兎も角霊視能力すらないYに見えるわけもない。
私の知る限りではYは姫のことは主に話で知っていて、一回顔合わせした事があるだけだ。
「いや、特に何か知ってるって訳では・・・唯、夕方頃瑠璃さんから電話が着て・・・・・・
 一寸小耳に挟んだだけなんですけど・・・・・・・」
嫌に歯切れの悪いY。
「其れで?」
「はい・・・瑠璃さんから電話が着て・・・姉さん宛だったんですけど・・・
 私が受けて・・・(間)其れで聞いてたんですけど・・・」
と、何時までたっても話は全く進まない。あげく。
「・・・・・・・あっ!す、すみません飛鳥さん。キャッチホンが入ったので切りますっ!」
と、止める間も無く切られてしまった。

一応かけ直してみたが電話中。仮につながってもあの様子じゃYからは聞きだせそうにも無い。
(・・・・・・確か瑠璃様が如何乗っていってた様な・・・そうだ、瑠璃様から電話が・・・
 ・・・電話が・・・・・・って電話!!??)
瑠璃様といえば瑠璃様である。少なくとも私には瑠璃様しか思い当たらない。
それでは分から無いだろうと思うので言おう。
要するに、私の別に背後に居ない背後さんの一人である。
(なんだってその瑠璃様から電話が掛かってくるんだろう・・・・・・?)
正直、想像つかない。・・・が、一応瑠璃様がなにやら知っているらしい。
・・・が、其れが分かったからといってなんだというのだろう?
元々心当たりのうちの一人、伝言を頼む以外は向こうから来てくれない限り
どうやっても接触が取れない相手だ。
そしてそもそもその伝言は私が姫に頼んで姫が自分の眷属にやらせるのだ。
そのまま考え込み・・・・・・・「仕方あるまい・・・・・・寝よう。」
寝るといっての睡眠目的ではない。
眠る事には変わりが無いが、環境を整えて、気を高めて・・・・・・・
要するに「幽体離脱」の様なものを試みよう。という訳だ。
成功さえすれば姫の居城だろうが瑠璃様のところだろうがいっそ姫の保護者のところだろうが何処にでも行ける。
・・・が、此れは成功率が低い。やるのにむちゃくちゃ力を喰う。
死ぬわっ!と思うほど振り絞っても誘導無しじゃ成功率は5%をきる。
・・・・・・そして、勿論助力してくれる相手は居ない。
が、他に方法も思いつかないので挑戦。戸頃が。
普通なら意識が落ち込まないような段階で何故かあっさり意識が潜り込んでいく。
すぐさま一旦途切れた意識が覚醒して・・・・・いや。
普段ならすぐさま意識がはっきりするというのに、物凄くぼんやりする。

何かが可笑しい。
此処の所力が落ちて潜り込むのが安全じゃ無い事は想像ついた。
そもそもそれで此処の所やっていなかったのに、助力すら無しでやるのは正直自殺行為に近い。
それにしても、明らかに何かが可笑しい。
何が・・・・・・・?落ち行きそうになる意識を保ちながら意識を奔らせて・・・・・・
録でもない物に気付いた。
『私』と私とを結ぶ糸がいやに細い。そしてその先。
私本体に・・・・・・なにやら寄生している!!??
アレの所為か・・・思わず攻撃しようとして自分がダメージ食らう。
要するに、今の自分では攻撃しようとするのは自殺行為の様だ。
(・・・つうか・・・ひょっとして此処の所録に力が出なかったのはあいつの所為か・・・・・・?)
多分、そのとおりだ。
なんだって気付かなかったのやら・・・
答えは明白。
1にそれが私の力を吸いすぎて、殆ど私と同じ気配になっている事。
次にその微妙な差異を感じ取るような力が無かった事。
とは言え・・・・・・迂闊としか言い様が無い。
そもそもの目的。移動をしようにもとても無理。動けば糸が切れかねない。
せめて誰かに引っかからないか・・・と意識を周囲に広げていって・・・・・・
『・・・・・・漸く来たわね。』
意識の先端からそんな声が聞こえる。拡散した意識から、思考能力を戻していって・・・
「・・・・・・っ!瑠璃様っ!!??」
『じゃ、やるわよ♪』
やるって何を・・・と思ったのと同時。意識の糸の先から膨大な力が流れ込んできて・・・
そのまま『私』を通り、私に直撃する。
そして寄生してた何やらはそのまま滅ぼされ・・・
其れは兎も角洒落にならない力の通り道にされ、私もかなりギリギリの状態。
そして瑠璃様が色々教えてくださった訳ですが・・・長くなるんで要約(笑)

1、そもそもあれは霊体に寄生する一種の妖怪。
2、其れがたまたま私に取り付いて、私のエネルギーを吸い、
 私のお食事エネルギー(吸収する霊体)も吸って少しずつキャパを大きくしていって  あんなになりました。
3、お蔭様で力の噴出口に陣取られた私は録に力が使えないどころか結構霊体がやばかったらしい。
4、姫君は其れに気付いて私の霊体を助けてくれてはいたが、感知能力低いので寄生物には気付かなかったそうで。
5、あげく、もともと他所の世界の方ですから、この世界でのエネルギー補給口は私で。
 その力が手に入らないから消耗する一方で結構やばい状態になって居たそうな。
6、誰か気付けばいいものを、お互いに前述の状態、挙句姫君が倒れてSOSコールが入るまで誰も非常事態に気付きませんでした。
7、私も、そもままじゃ疲弊していく上に襲われても手立ては無いんで何とかしようにも、私が気付かなかったので手のうちようが無かった。
・・・・・と、中々に怖い事態だったようで。
「・・・・・・全然気付かなかったんですけど(汗)」
『・・・だからこっちも困ってたんでしょうが(疲)』
・・・というわけで、無事(?)数年ぶりに私は力を回復した訳ですが・・・
姫君はいまだ実家療養中でその辺漂っておりません。
最初、結構寂しかったりした訳ですが、今は『姫が戻るまで』と、
背後常駐メンバーが物凄い数で・・・・・・・正直、私の平和な日々のために早く戻ってきて欲しいと思います。


第92話  鳩屋敷語り手: 薫さん
これは、今ではすでにそこにはただの空き地となっている場所にと立っていたとある家の話です。
国道○号線。その道筋を走る道沿いにその家はありました。
私が物心ついたころから、その家は何か?と思う雰囲気に包まれていました。
何しろ、道をずっと進んでゆくと、そこにただ一件だけ、ぽつん、と家があるのです。国道の真横に。
なぜ、子供心に?と思うか、といえば、なぜかというと・・・
その建物はなぜか焼け焦げた跡があり・・・そして・・・
なぜかその家の軒並みには何かのヒモノらしきものがずらり、と並べられているのです。
前々から気になっていた私は、あるとき、母にききました。「ねえ?母さん?あれ、何?」「見ないの。あの家は気にしたらだめ。」「?」とか意味不明なことをいってきます。
だけども、その家は昔からそこにあるもの。いろいろな人に話しをきいていけば、ある程度のことがわかってきました。
そこは、通常、「鳩屋敷」と呼ばれている家。ということ。なぜ鳩屋敷、と呼ばれているかといえば。
その建物の屋根には鳩小屋があり、昔はそこから鳩がたくさんとびかっていたらしいです。そして・・・
家の軒先につるされている干物・・・それは、何と。
その家は、何と飼っていた鳩・・・れそを軒先につるして干物にしていたらしく・・・廃墟となっていた家の軒先につるされていたのは。
その鳩の干物・・・。しかも、何でも人が住んでいたときには生きたままのハトを軒先につるして干物にしていたらしいのです。
それゆえについた名前がハト屋敷。
だがしかし、どうしてその当時、その家が廃墟になっているのか?それは・・・私が小学生の高学年になるまでわかりませんでした。
そして・・・どうして廃墟になっているのか、という真実は・・・
ある日、その家で・・・なぜか家の人が首をつって全員死亡・・・というか自殺、という事件があったのです。
そして、その自殺騒ぎの少し前、その家の一人が家に火をつけ・・・それゆえに、多少家がこげたようにとなっていたらしいのです。
どうして一家全員が自殺したのかは、不明なままだったそうですけど。
ですが・・・・。
一家が死亡して、その家を解体しようかと思い、そこに手をつけようとすると、必ず、何かが起こるらしいのです。
業者のものが来る途中に事故を起こす、ということはざら。そして解体作業中に、倒れるはずのない、裏手にある木が倒れ、そして・・・車体を操作していた人は重体・・・
それがあまりに続き・・・そして、しばらくして・・。その家の関係者、つまりは親戚一同もその家にはなぜか何も手をつけなくなり・・・。そして数年が経過していたのです。
ゆえに、私が見ていたあの家の様子になっていたのです。軒先につるされた、鳩の干物と・・・少しこげた家・・・。
まったくもって不釣合い、何しろ国道の真横にその家はあるのですから。
そして・・・どうして母がそこを見るな、といったかといえば・・・余談というか噂の一つではあったのですけど。
その家を見ていて事故を起こす車などが不自然ながら多発していたそうです。その場所では。
そして・・・夜になると、何かその辺りで人影をみたとか、みないとか、という噂が付きまとう。
そんな場所だったらしいのです。しかも、何かいえの中には、いまだに人が首をくくったロープが残っている、というもっぱらの噂でした。
中には本当に中に入った人もいたらしいのですけど・・・。その人たちは後日、原因不明の高熱とかだして寝込んだり入院したりしたとか・・・。
そして・・・・今。
私が中学生に入ったろ、ようやくその家は取り壊され・・・というか、背後の山が崩れ、家を押しつぶした形となり、そして、今はそこには空き地のみが残っています。
・・・・が、そこにはなぜかいまだに「立ち入り禁止」と書かれたローブがその空き地の前にと張り巡らされています・・・。
今では
昔のようにそこで人影をみた、とかいう噂は聞かなくはなりましたが・・・ですが、たまぁに人影らしきものをみた、という噂は耳にはいります。
・・・・・いったい、その空き地となった元鳩屋敷のあった場所には何がある、というのでしょうか?
それは私にはわかりません。
わかりませんが・・・国道沿いに不自然な空き地が一件分、ぽつん、とある。これは事実なのです。
もし、皆さんが国道を走っていて、不自然な空き地をみつけたら・・・もしかするとそこは・・・・
終わりです。


第93話  父の不思議語り手: 焔の君さん
家はまあ不思議と言えば不思議な一家です
母には霊感(?)があるのか時々とんでもないことをしでかしたりします。滅多にありませんが・・・・・・
そして父には昔未来が見えるという不思議な事があったらしいです。それも不幸な系統な事が分かったとのことでした。
ただ、高校の時にはすでにそう言うことは無くなってたらしく・・・・・・その割にこの間僕が傘をなくすと言うことは分かったと言ってましたが・・・・・・今では殆どそう言うことはないと言うことでした。
百物語のネタに成ればいいな〜と思ってこの間どんな風なのか問いただしました。そして、また父も普通じゃないな〜と思ってしまいました。
父曰く・・・・・・「小さいことなら雨が降るとか傘をなくすとかサイフを落とすとか・・・・・・らしいんです。まあ大きな不幸は無いな〜」とのことでした。「他は?事故とか無かったの?」そう僕が聞くと父はしばらくう〜んとうなり・・・・・・
「そうだな・・・・・・まあ一度だけ自転車に乗ってたときああ事故るなと思ったらその後で車にはねられた程度だな」
・・・・・・思った感想は『ヲイ』でした。と言うかそれでその程度と言うところが分からない・・・・・・
テストなどで出る出ないは分からなかったそうですが、なぜか不幸なこと・・・特に聞いてて危なそうなことは多かったようです
曰く自転車で転んだ。曰く人に因縁をつけられた。曰く転ける。曰く何かをなくす・・・・・・聞いてて本当にこの人大丈夫かと思うほどでした。
そして、最後に曰く「お前もたぶん見えるって・・・・・・今まで見えたことがないんだったらこれから見えるんじゃないか?」
ちょっと待て父・・・・・・そこまで僕を普通人間じゃ無くそうという魂胆か?・・・・・・母にしろ父にしろ僕の一家にまともは居そうにありません
僕は平穏な日々を過ごしたいんですが、どうもそれは夢のまた夢になりそうです
ひとまず、今は平穏な日々を・・・たぶん楽しんでます
まあ、充分人魂とか見えてる時点でおかしいかもしれませんがもう諦めてる性分です
終わります


第94話  語り手: エモーションさん
1LDKのアパートの一室。そこでわいわいと集まって、ゲームをしている7人組。
……目が覚めた時、絶対ゲームのしすぎで見た夢だと思っていました。
短大の時のことです。
12月の授業最終日。私は友人達と友人の一人が借りているアパートで、一足早いクリスマスパーティをしていました。
 わいわいと騒いでいる内に、そのうち何故かゲーム大会になり、友人二人が落ちゲーで対戦しているのを見ていたのですが、そのうちやはり見学中の友人の一人が、「位置的に見えにくいから」と席を移動しました。
その瞬間、私は背筋がぞくりとして、固まってしまいました。
友人が移動したときの私たちの様子……それは、視点こそ違いますがあの夢で見た光景そのままだったからです。
夢で見た時の「私」の視点は、「今」見ている自分の後ろ。そしてどう考えても天井に近い位置。
そう、上から見下ろすような構図だったのです。
自分でも不思議なくらい背筋がぞくぞくしていました。
後ろを見てみたいと思うと同時に、振り返るのが妙に怖かったです。
それでも、思い切って振り返り、「夢」での私の視点(と思われる辺り)を見ました。
…………が、当然といえば当然なのでしょうが、誰もいません。
一気に気が抜けてしまい、少しぼうっとしていたらしく、家主である友人に「どうしたの?」と聞かれてしましたが。
もちろん「たまたま見た夢と同じ状況になっただけ」なのかもしれません。ただその場合、どうしても説明のつかない部分があります。
実は私がその夢を見たのは短大入学前でこのパーティの半年以上も前。
そして、その時の友人6人中4人(家主の友人含む)とは、夢を見た当時、知り合ってすらいなかったこと。
そして、何故視点が違ったのか?ということです。
通常なら、自分の視点で見るものだと思うんです。それまでにも何回かありましたが、そちらは「私」の視点でしたし。
あの時、本当に誰もいなかったのでしょうか? 
思い出すたびにそう考えてしまう出来事でした。
終わりです。


第95話  言わない声、聞こえる声語り手: 焔の君さん
さて、僕の家族には変わり種が多いです。その中の一人に僕が入っていることも確かです。
僕に起こるのは大体が変なものが見えたりしたりすることです。でも時々もう一つの現象が起こったりします。
それが、聞こえないはずの声です。言わないはずの言葉です。
たとえば、親とはぐれてスーパーの中をうろうろしていたとき。声が聞こえたりします
『京極(本名が本当は入ります)』振り向いても知ってる人は誰もいません。仕方なしにそちらの方に向かうと親がいたりしばらくそこらをうろうろしてると親がむこうから来たり・・・・・・
とにかくそう言う声が聞こえたりするのです。別段母さんが僕を呼んだ訳でもないのにです。
時には母が居ないはずの状況下でそう言う事が起こったりもします。その時はその後その場所にいたら何か起こるという感覚がするのでその場からひとまずはなれるのですが・・・・・・
ですが、時には本当に不思議なことがあります。それが言わない声(言葉)です。
良い例がこの間一人部屋で勉強していたとき・・・・・・僕は英語が苦手で母が得意なので教えて欲しいな〜と思いつつ夕飯を作っている最中だったので声をかけてなかったんですが・・・・・・
それから直ぐに来ちゃったんです。母曰く『あんたに呼ばれたから』こっちは呼んでないっちゅうねん
どうやら妹は聞いてなかったようなので僕が言ってないのは確かなんですがそれでも母は聞いたと言い、止めは『あんたが思ったから言葉になってきたんちゃう?』
・・・・・・やはり僕も十分普通の人間から離れて行ってるのかな〜と思いつつ涙を流す日々です。
この頃はそう言うことが少なくなってきたものの、そう言う声はやはり聞こえちゃったりもします
だんだん自分が人間か疑わしくなっている今日この頃です。
・・・・・・終わります


第96話  通れるのに通れない道語り手: 薫さん
道。それは車や人、様々なものが通る、便利なものです。そして、今から話す話もそんな道のひとつです。
国道○号線。○号線、といって有名なのは、まず、受刑者たちが作った、といわれている例の道でしょう。夜になると必ず霊体験をする、という某所にある現実の道です。今から話すのは、その道ではありませんが、ですが不思議な話です。
国道は様々な車などが通るため、よりよく道をよくしてゆくのが常です。そしてまた・・。その道は、かつてはメインとして使われていましたが。その横の山をくりぬき、トンネルができてからは、横の道はバイクやまたは通行人用にと開放されていました。
が、しかし。トンネルができてしばらくして。その横、つまり山の横にあるわき道で、事故が多発し始めました。
まず、なぜか別にスピードを出せるような場所ではないのに、自転車、そしてバイクなどが、横を流れる川に転落・・・
しかも、それは、ちょうど山の中間地点。毎回、毎回、そこのガードレールのみが新しくなります。
別に曲がりくねったみち、というわけではありません。
ですが、毎回、毎回、その山の中間地点、そのあたりで毎回のように事故が起こるのです。
そして・・・そこを通った人間なども、なぜかそのまま、川にと転落しそうになる、という事故が起こり始めました。
そして、うわさでは、その山の上にはお墓があったのですが、そのお墓の中身を移動させないまま、そこにトンネルをつくったとかつくらないとか・・・。真偽のほどは定かではありませんが、地元ではそれが真実、といわれてました。
トンネルができて、短期間のうち、一年のうちにかなりの量の事故。さすがに普通ではない、というので、その道を通る人々はトンネルのほうを必ず通るようになっていきました。歩道、というものがあまりないにもかかわらず。
そして、行政というか、上は、その道はがけ崩れなどの危険があるから、という理由で、立ち入り禁止の札を立てました。別に崩れる心配はまったくないのにもかかわらず、です。
が、立て札を立てても、その道には入れます。国道なので、トンネル内部はひっきりなしに車は通るのです、バイクなどはどうしても安全なほうにといってしまうのは人の常です。
が、その立ち入り禁止、という看板を立ててから・・・。逆に今度は、人身事故、そしてバイク事故などが多発し始めました。
看板をたててあるだけなので、簡単に入れるのです。
道からも、多少、そこに常に花などが手向けられてるのが見てとれました。
その山の真横の川、そこはちょっと渦のようにとなっていまして、深さも結構あるので、みていると吸い込まれそうな感じがするのです。
ついには、そこから飛び込む人なども出始め・・・。
そして、看板だけでなくて、とりあえず、鎖を行政はそこに設置しました。
が、しかし。鎖の効果か、確かに事故は減りましたが、それでもわざわざ鎖を超えて中に入る人が後を耐えません。
そして・・・。私は何がどうなったのか、詳しくは知りませんが。そこに、とうとう、今度はちょっとした高いフェンスが設置されました。絶対に入れないように。
そして、そのフェンスの前には何の意味合いを持つのか、お地蔵さんが設置され。
そして・・・・今に至ります。
別にその道は危険、とかいうわけではないのです。道としてはきちんとしたもの。ですが・・・トンネルができてから、そういう不思議な出来事が多発し始めたのです。
今でも、その出入り口とも、フェンスに張り巡らされているその道は、国道のトンネルの横に存在しています・・・・。「立ち入り禁止!」というフェンスの前の看板とともに・・・。
今でもうわさでは、川に飛び込む人は、なぜかそこから飛び込む人が多少はいる・・・とのことです・・・。いったい、そこには何があるのでしょうか?
終わりです。


第97話  怖いもの語り手: 遙 琥珀さん
「『怖い』ってどーゆーこと?」
そう訊く私に、姉はいろんな例を持ち出して教えてくれた。これがいつのことかは詳しく覚えていないが、『恐怖』を知らないくらいだ。よほど幼い時分であろう。
姉が私に『恐怖』を伝授したことを知り、母は大げさに嘆いて言った。
「あーあ、教えなかったらこの子は『怖い』ゆーことを知らずに済んだかもしれないのに…」
…どうやら母は私を『怖いもの知らず』に育てたかったらしい。子供心に『…そんなアホな』と思ったのを覚えている。
そもそも私は、単に『怖い』とか『恐怖』とかいう単語を知らないだけで、その感覚はちゃんと持っていた。
とは言っても、近所のブルドッグに蹴りをかまし、蛇を手づかみにし、母の料理をあっさり『マズい』と言い切っていたトシである。
私の恐怖は、現実世界ではなく、夢の中にあった。
空中に浮かんでいる夢だ。体は金縛り状態で。
ほのかなピンク色の、綺麗な世界の中…天井からゆっくりと、虹色の波が降りてくる。
そんな抽象的なものだったが、私はなんとなくその波が邪悪なものだと感じていた。
『ああ、来る、来る…』と冷や汗だらだら流し…それが私に触れる直前で目が覚めるのだ。
それが『色の波』という抽象的な形だったのは、当時私が恐怖を仮託する対象というものを持っていなかったからだろう。
怖いものは夢、という、そんな日々がそれからしばらく続いた。…今考えたら怖いようなことも、当時は怖くなかったのである。
姉は私より八歳上である。昔は(今もだが)かなり可愛がってもらった。
幼稚園の時など、姉が私を園まで送ってくれていた。
ところがある日…姉は途中でばったり、知り合いのオバさんに出くわしたのである。
ぺらぺら喋り始める付き合いのいい姉。私は姉を待っていられなくなって、独りで走りだした。
…それからさほども進まなかったと思うのだが…自転車に乗った、二十歳前後の男に出会った。
「…おじょうちゃん、幼稚園まで乗せていってあげようか?」
…私がどう返答したのかはまったく覚えていない。そこからの記憶がさっぱり無いのである。
…次の記憶は、いきなり幼稚園。十二時過ぎの幼稚園で、ぽかんとしている私と、わぁわぁ泣いている姉。
八時ごろに失踪(?)してからの四時間ちょっと。私はいったい何をしていたのだろう。
『あまりに恐ろしい目にあったから記憶が飛んだのだ』…と、心理学者なら言うだろう。
脳は、忌まわしい記憶を無理やり消去し、心を守ろうとする働きを持っているからである。
…しかし、状況からして…その『忌まわしい記憶』を与えたのは例の自転車男なのだろうが…だとしたら、もーちっと男性に対する拒絶反応が私の中に芽生えていてもいいはずだと思うのだが。
…結局あの四時間少し、私がどこで何をしていたのかはわからない。
覚えてないもんを怖がりようも無いので、この出来事は私の中で『変なこと』として処理された。
しかし、周囲に『怖かったねぇ、怖かったねぇ』とあやされ、当時の私は、『ふーん、怖いのか』とでも思ったのだろう。
結果…今でも私は、男性は…まぁ、面と向かって話すのは苦手だが、嫌いではない。ひとつ下の幼馴染に跳び蹴りかまし、父の首をシメる毎日である。
しかし、かつて怖いものを『虹色の波』に仮託していた私の心は、方針変更したらしい。
かくて私は、『現実の男はオッケー。でも夢に出てくる男は怖いよぅ』な、訳のわからん恐怖心を持つハメになったのだった。

お粗末。


第98話  白いもの語り手: エモーションさん
母方の祖母が入院して3日目の夜のことです。連絡を受けてすぐにそちらへ行っていた母は、一度こちらへ戻ってきて、緊張が解けた&一気に疲れが出たからか、ソファーに寄りかかって眠っていました。
私はその隣でTVを見ていましたが、内容がほとんど頭に入らず、ただ眺めている、と言う感じでいました。
番組(バラエティだった)が半ばまできたころでしょうか。
突然周囲から音が消え、同時にそれまではっきりしていた視界が、いきなりピンぼけな……裸眼の視界に変わりました。
「あれ?」と思った瞬間、身体が動けなくなりました。
ですが、不思議と怖さも焦りも、何も感じませんでした。
「何だろう?」と自分でも不思議に思っていると、窓からふわりと白い煙のような布のような、不思議な印象を受けるものが入ってきました。
それは一番近くにいた私の方へやってくると、私の周りをふわり、と一回まわりました。
次にそれはふわりと母の側に行くと、背の辺りでふわふわと漂っています。
まるで、疲れて眠っている母を、いたわるように。
「……お祖母ちゃんだ……!」
何故かそれがそうだと思った途端、唐突に音と視界が元に戻りました。
番組は大盛り上がりだったらしく、突然の観客の笑い声とさっきまで無音だった分の音の大きさに驚きつつ、すぐに母の方を見ましたが、もう〃祖母〃はいなくなっていました。
……ああ、そうかあ……。
何となく分かってしまって、ぼうっとそう思っていると、母が目を覚ましました。
今のことを母に話そうかと思ったのですが、すぐにそれはやめました。分かってはいたけれど、私の大勘違いだと思いたかったので。何より、母には言えませんでした。
10分程して、電話がかかってきました。……祖母が亡くなった事を知らせる電話が。
亡くなった時間は、私が白いものを見た時間と、ほぼ同じ頃だったそうです。
終わります。


第99話  隣の・・・語り手: 焔の君さん
これは僕が体験した事の一つです
実はうちのリビングからはお墓が一望できちゃったりします
別段それがどうしたと言われちゃったらそれまでなんですが・・・・・・皆さんご存じの通り家はある程度変な家族です
その結果かどうかは知りませんが僕自身がおかしいのは確かなのでしょう
そして、ある日の夜。食事の用意をしながら僕は見ちゃったんです
墓場の一角で光っている青い何かを・・・・・・
気のせいかなと思って顔をつねって眼をこすって見ましたがちゃんとそこにあったりします
「かーさん、なんか人魂っぽい発光物体が墓場にあるよ〜」
僕はそう言って母を呼びましたが母は一言「気のせいでしょ。さっさと用意しなさい」僕は言われた通りにし、次見たときには消えちゃってました。
結局何だったか分からず母に聞きましたがその時には「工事か何かの明かりじゃない?」でした。
ちなみに、その日に工事はありませんでしたし工事の時には青じゃなく赤だろうがと突っ込みたかったものの口は災いの元という格言を知っていたので何も言いませんでした
それ以来、青だけじゃなく赤を時々見るようになったり・・・・・・
もうこの頃はそんなことを母に言う気にすらならず、夜水を飲んだりするときにはなるたけ墓場は見ないようにします
人魂は時々近寄り僕を惑わすかもしれませんから・・・・・・或いは自分たちの方に引きずり込もうとしているのかもしれません
こんばんのような怖い話をしているときには、あなたの側にも・・・・・・いるかもしれません
時々見える人魂を感慨無く見たりする日を時々送りつつ僕はそれを忘れようと寝るのです
終わりです


第100話  見知らぬ同行者語り手: 風碧陽月さん
これは実際に私が体験した出来事です。霊関係の話ではなかったのですが、当時凄く怖かったのを今でも覚えています。
小五の夏休み、家族四人で北海道へ旅行に行ったときのことです。
北海道は私の両親の故郷なので、1〜2年に一度は行くのですが、大抵飛行機で行きます。ですが、このときは観光旅行ということでフェリーに乗って行きました。
フェリーのいいところは自動車ごと船に入れるという点です(もちろん船内を車でうろつくわけではないですが)。
大洗港(茨城県)を深夜出航して翌日の夕方以降に北海道の苫小牧港に到着予定でした。
大洗港に車で到着してすぐ乗船というわけではなく、乗船開始時間まで間があります。私は家族と一緒に港の建物の中で時間待ちをしていました。
ジュースを買いに自販機まで行ったときです。突然見知らぬおじさんが声をかけてきました。
「やぁ、また会ったね」
「…は?」
今まで会ったこともない人にいきなりそんなことを言われて、最初は驚きました。
そのおじさんは、それだけ言うとさっさとどこかに行ってしまいました。
まぁ、一度くらいなら単なる人違いだと思ったでしょう。でもその後もしつこくそのおじさんは私の前に現れるのです。
そのときは私も人違いだと思い込んで、そのおじさんのことはすぐに忘れてました。でもその翌日です。フェリーの中で朝食を食べて甲板をうろついていたとき、
「奇遇だね。同じ船なんだ」
「!?」
振り返るとそのおじさんが笑顔で立っていました。
二回目。まだ「人違い」で片付けられます。
でも私は何か気になって、親に確認することにしました。当時私は小五。例えば学校のPTAの人など、私が以前会ってても完全に忘れ去っている人で親なら知っているかもしれない。
船室に戻り、今度は父親と一緒におじさんを探して船内を歩き回りました。
5分としないうちにおじさんを見つけました。おじさんはさっきの甲板で、手摺りに寄りかかって海を眺めていたのです。
遠くからおじさんを指差して私は父に訪ねました。
「ほら、あのおじさんだよ」
「…いや、全然知らない人だ
遠くからおじさんを指差して私は父に訪ねました。
「ほら、あのおじさんだよ」
「…いや、全然知らない人だ
事前に船室で父に事情は話していました。ですが、父は全く知らない人だ、と言う…。夕方ごろレストランで母にも遠くから確認してもらいましたが、母も全く見知らぬ人だと言いました。
夕食の時間が終われば下船も間近。私は夕食以降はずっと船室にいたので、行きのフェリーの中でそのおじさんを見たのはそれが最後でした。
ですが、下船し苫小牧港の建物で休憩していたときです。
「やあ、晴れててよかったね。海が綺麗だったじゃないか」
「…(うわまただ!)」
トイレに行くため家族から離れていた私に声をかけてきたのは例のおじさん。これで三度目です。ここまで来たら怖くもなってきます。
怖くてトイレまで急いで走りました。トイレから出てまたいたら嫌なので、暫くトイレの中にいました。
10分くらいしてからトイレを出たら、おじさんはいなくなっていました。まぁそれでも怖いので走って律儀に10分同じ所で待っててくれた家族のところまで戻りました。
すぐ自動車に乗りこんだので、もうこれでおさらばだ、と内心安心していました。ですが、車で港を出る間際なんとなく振り返ってみると、建物バックにこちらを見ているおじさんが。
ここまで来ればもうストーカーに近いんですが、当時まだストーカー犯罪はまだ今ほどなかったので、そういう考えは浮かびませんでした。
その後北海道中を回っている間、そのおじさんのことは忘れていました。旅行期間は一週間。旅行が終わり帰りも苫小牧港からフェリーで大洗港までの旅です。
行きと違ってすぐフェリーに乗船できました。自動車ごと乗船して、車を停めて船室へ。夜だったのでそのまま寝ました。その翌日。
「やぁ、旅行は楽しかったかい?」
「!?」
甲板でかけられた声に恐る恐る振り返ると、例のおじさんがまたしても笑顔で立っていました。
怖くて怖くて猛ダッシュで船室に逃げ込みました。
海好きな私としては、なるべくなら甲板に出ていたかったのですが、このときはそれよりも恐怖の方が勝りました。その後の昼食はすっぽかし、夕食に行くときはずっと親の後にくっついてました。
船室にずっと篭って、早く下船時間が来ないかとほとんどイライラしてました。<687
ようやく来た下船時間。でもまだ安心できません。苫小牧港では港を出るときにもおじさんがこちらを見ていたのですから。
私は親に頼んですぐ大洗港を出てもらいました。港内の建物には寄らず、休憩は暫く行った先のレストランですることに。
港の出口を通るとき。私はなるべく自分が外から見えないように縮こまっていたのですが、完全に港から出て、もういいだろうと思い顔を上げたそのとき、歩道を歩いている人が一瞬こちらを見ました。
その人が例のおじさんに見えたのは私の思い込みなのでしょうか。少なくとも私はそう思いたいです。
普通の人間が1kmも先の自動車に追いついて来れるわけないのですから。
終わりです


第101話  誰にでも起こりえるかもしれないこと・・・語り手: 薫さん
いきなりのことですが、先日、というか、今年の5月5日、うちの祖父が亡くなりました。
うちの祖父は、仕事人間で、常にいつも仕事着などを着て、仕事をしているようなまじめな人でした。
ちなみに、祖父は、有限会社でとある会社形式にして、ダンプのお仕事をしていました。
そんな祖父に起こった出来事です。
常日ごろ、健康などには結構気を使っていた祖父。ですが、とある日から、たまに咳き込み始めるようになりました。
で、祖父はすぐさまに行きつけ、というかかかり付けの病院にいきました。かかり付けがある、というのは祖父はリュウマチをわずらっていたからです。
「ちょっと咳きこんだりするので風邪だとおもうのですが・・・」祖父はそう先生にいったそうです。
すると、先生は。診察もせずに、口の中だけちらっとみただけで。「あー。風邪だね。咳止めだしとくよ。」と、聴診器すらも当てずに診察を終え、薬を処方しました。
先生がいい、咳止めを出してもらったので、普通の風邪だろう。それで祖父もそう思い、そしてそのまま家にと帰り、咳止めを飲むことに。
数日、咳止めを飲んでも咳きがとまる気配なし。それどころか、ときどき呼吸まで苦しくなったらしく。再び病院にいきましたが(その間、わずか一週間の間もたってませんでした)そのときも、やはり、咳止めだけしか出されませんでした。
先生いわく、祖父が飲んでいるリュウマチの薬がかなり強いものであるから薬の効き目がすぐにはでない。そういわれ、不振に思う患者などいるはずもありません。
そして・・・犬の散歩中、いきなり息ができなくなり、かなりあせったり・・。まあすぐに息ができるようになったらしいのですが。これはおかしい、とおもいつつも、先生がいってるんだし。それで済ませていた祖父。
そして、祖父と一緒に住んでいるのが、母の弟、といっても10くらい年齢が離れているのですが、叔父が祖父が寝ているときに、かなり息ぐるしいそうなのに気づき。
これはおかしい、というので、病院にいってる、というのも知ってはいますが、とりあえず。あそこの病院ではだめだから、というので、医師会病院、という場所、いわゆる緊急病院に連れて行くことに。それはうちの母とも話しあった結果、つれていくことにしました。
日曜日、「病院にいくから。」という叔父や母の言葉に、「ちょっと先にロー(犬の名前)のサンボしてからな。」といって、いつものように散歩にいき、そして散歩から戻ってから、救急車を呼ぼう、という母達の意見を却下し、普通に車で病院にいった祖父。
そして、病院にいき、診察。そのときには、まだきちんと祖父は対応できていたそうですが・・・。そのうちに、本当に息ができなくなってきて・・・。そしてレントゲンを取り・・・・
結果。
肺炎。しかも、かなり悪化。すでに片肺がアウトとなり、もう片方の肺もすでに機能していたのは、三分の二にも満たない程度。
当然、すぐさまに入院の措置がとられ、祖父はそのまま入院、となりました。
・・・が、しかし。その悪化の状況がかなりひどかったのです。
祖父はリュウマチをわずらってました。その肺炎が、リュウマチと結びつき・・。
病名、「急性劇症肺炎」という、もっとも生存率がかなり低い肺炎にと悪化していたのです。
ネットで検索したところ、生存率は数%にも及ばない、危険な病気になっていました。
そして・・・入院したときは意識があった祖父でしたが・・。其の日のよる、意識不明の重体に・・・
会社から戻った私は母が出かけるのをみて、「どうしたの?」ときくと、「祖父が入院した。」「・・・は!?」まさに寝耳に水、とはこのことです。
「私もいく。」といったのですが、今は意識ないからいっても無駄だから。といわれ、それに次の日も私は仕事。それゆえに、仕方なく家にその日はいることに。
次の日、一時、祖父は意識は戻ったものの、次の日の夜再び急変。
携帯にと電話があり、祖父が意識不明になった、と連絡があったのは。祖父が入院して次の日の夜でした。
病院の先生は、持てる技術と、最近開発された、という、薬などを使い、どうにか祖父を生かそうとがんばってくれていました。
その結果か、自発呼吸がどうにかできるまでは回復。
そして、次の休みの日曜日、私は母に連れられて祖父のお見舞いに。ですが、ICUに入っている祖父なので、面会時間は限られています。
私がみた祖父は、今にもおきだしそうで、入院する前まで、冗談で、「彼氏まだか?かお?」「できたらいいけどねー。」とかいってたのを思い出し、思わず涙がでそうになりました。まさかあんな元気だった祖父が・・・という思いでいっぱいです。
普通、その病気になれば、ネット検索をしたところ、数日もつかもたないか、というかなり危険な病気、とのこと。
ですが、先生がたががんばってくださったおかげか、どうにか容態も安定しはじめ・・・。この調子ならもしかしたら?という希望すらもうっすらと見えていました。
といっても、いまだに意識は戻ってはいなかったのですが。
先生も10日以上この病気で延命した人は例をみない、といって、初期のころは死んだときの話をしていたのが、生きながらえたときの話などもでてきた、その矢先。
祖父が入院したとき、母がぽつり、といった言葉がありました。
「今は大丈夫よ。問題はゴールンウィークが過ぎたころからやばいかも・・」と、祖父のお見舞いにせがんで(会社前によった)言った言葉がありました。
以前にも言いましたが、うちの母は人の死期を何となく言い当てる人です。
しかも、それが外れたことはなし。・・・その言葉をうけ、でも、それさえすぎたら大丈夫。とどうにか自分に言い聞かせていました。
そして・・・意識不明のまま・・・。五月の連休。
祖父が入院して十数日たっていました。
連休最後の5月5日。今日さえすぎたら、あとは。と祖父の容態が安定してる、というのは聞いてました。それゆえに、私も少しばかり希望をもっていたのです。
が、しかし。家に帰ると。
バタバタバタ。
母があわてて、出かける用意をしています。
「どうしたの?」ときくと、「祖父の容態が急変したらしいから!」といって、出かけようとします。「私も!」といいましたら、「あんたは連絡あるまでまってなさい。・・・たぶんつれてかえることになるから。」
・・・・と。その少し前、母と叔父は、祖父を見舞っていて、容態が安定しているので、冗談とかもいってたらしいのです。・・・が、そのほんの数時間後。容態変化は突然でした。
そして・・・・・。30分後。母からの電話。「・・・やっぱりダメだったわ。つれてかえるから・・・」という電話が母から入りました。
病院から連絡があり、すぐに呼吸停止、しかも、電気ショックなどでもうけつけなく・・・。母達が行く前に、祖父は帰らぬ人となりました。
あの病気で十数日、生き延びられたのは奇跡、ともいえますし、また祖父は年齢にもかかわらずによくがんばったね。先生もいってくださったそうです。
本来ならば、あまり例のない病気なので、検体など、といったものもあるのでしょうが。ですが、先生はそのことには触れず、最後まで、延命に努力してくださいました。葬式のときも、電報をわざわざ担当医、そして理事長なども出してくださったほどです。
入院して、すぐに意識不明となった祖父。なので、死の苦しみなどはなかったかもしれません。
ですが。
はじめの病院で、「咳きが最近とまらないんですが?」そ祖父がいったそのときに。「じゃあ、念のため、レントゲンでもとってみる?」その一言さえあれば。祖父は助かっていたのかもしれないのです。
それがいまだに悔やまれてなりません。わざわざいきつけの病院にまでいった、というのに。近くにできた新しい病院ならば、様々な分野から確認するので、必ずレントゲンなども取るらしいのですが、そちらにはじめにいってれば・・・。と。
先生が、風邪ですね。咳止めだしときます。・・・それだけですませなかったら、おそらくはきっと・・・。
ですが、そういうことは、患者にはわかりません。わからないからこそ病院にいくのですから。
患者は先生を選べるかもしれませんが、その原因まではわからないのです。言われたことを鵜呑みにしても、それは当然、といえるとおもいます。
が、しかし。何か対応が?と思ったら、そこの病院だけではなくいろんな病院を回ってみる、それが自分の命を助ける方法につながることもある。というのを述べておきます。
まあ、回ってみても、どこの病院も「風邪ですね。」といわれ、心臓が痛くなり、動けなくなるまでになって、近くの病院にったら、「甲状腺」の病気だった・・・という例もありますが・・・。
これは誰にでも起こることです。風邪かな?とおもっても、自分からは風邪、とはいわないこと。そして・・・。様々な分野から考えてみるのが自分の身を助けることにつながるのです。
皆さんも病院にいくときには・・・・。それらを踏まえて気をつけてくださいね・・・。
終わります。






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