第一話  ボート語り手: みいさん
 これは、私の従姉に聞いた話なんですけど。
 その時の従姉の担任の先生の友人に当る人の体験だそうです。


 ある夏の日、その人は仕事の関係か何かで山奥のとある宿に行くことになったんです。
 その宿の近くには小さめな湖があったんですけど、特に気に止めずにチェックイン(て言うのかな?)したんです。
 その時に、そこの女中さん(?)に、変なコトを言われたんです。
『近くに湖があったでしょう?夜にあの近くには行かないで下さいね。』って。
 当然、その人は何のことかわからずに好奇心を刺激されただけなんです。
 悪戯心を刺激されたその人は、早速今晩行ってみることにしました。
 その人はちょっとした冒険感覚だったんですよね。


 その夜、女中さんには「眠れないから散歩して来る。」――そう言って外に出ました。
 もともと、冒険みたいなのが好きだったのでしょう。わくわくしつつ湖へ向かいました。
 湖にはいかにもなボート。小さくて、1人乗りくらいかな、そう思いつつ近付いて行きました。
 ビックリして振り返ると、そこにはただの酔っ払いのサラリーマンが。
 ほっとしつつ、ビックリさせないで下さいよー。そう言いました。
 ですが、よっぽど悪酔いでもしていたのか『どけどけぇっ』と言わんばかりの勢いでボートに乗って漕いで行ってしまいました。
 当然、面白くありません。興醒めしてしまったので宿に帰ることにしました。まだ、時間はあるのですから。

 ふ、と。さっきのサラリーマンが気になって振り返ってみました。
 ちょうど、ボートは湖の中心部。
 ・・・?ボートが傾いて見えるのは気のせいだろうか?
 その傾きはどんどん増して行く。どうゆうコトなのだろうか?
 ボートは古そうだったし、穴でも開いたのだろうか?
 ――否、違う。そう認識した瞬間、背筋が凍り付いたように感じた。
 あれは・・・白い・・・腕?
 白い腕がボートを湖の底に沈めんとしている。
 現れて来たのは腕だけではない。
 びしょ濡れの・・・髪の長い、長い、女性。

 呆然としていると、ボートとサラリーマンの姿はもう見えません。
 沈んでしまった!?どうなってるんだっ!?
 と、水面に佇んでいたその女性がこちらを振り向きました。
 笑みを浮かべれば美しいであろうその顔には凄まじい形相が。
 その女性は、一言言いました。――『コロス』
 離れていて、声は聞こえないはずなのに。まるで耳もとで囁かれたようにハッキリと聞こえました。


 こわい。ただその一心で宿に走って逃げ帰りました。
 そこには、あの女中さんが。「あ・・あ・・・」外を指差して何か言おうとするのですが、言葉にはなりません。
 ふう、と1つ溜め息を尽き、その女中さんは言いました。
『お客さん、行ってはダメと言ったのにやっぱり言ってしまったんですね。
 あそこには、自殺した女性のなきがらがまだ眠ってるんです。
 そして、その女性の霊は必ず月に一度連れて行ってしまうんですよ。
 そして、それが。一一一今日だったんです。』


第二話  峠にて語り手: 葵楓 扇さん
 これは、ネットで知り合った友人から聞いた話です。友人本人は、先輩から聞いた話だそうです


 夏の夜、その先輩が友達と一緒に、北海道のある峠にドライブに行った時の体験談です。
 車は先輩が運転していました。そして、助手席に1人、後部座席に3人が乗っていたそうです。
 真ん中に座った人は普段からすごく良く喋る人で、この日も峠に入るまでは皆で騒いでいました。
 しかし、車が峠に入って少し経つと、その真ん中の人(仮にAさんとしましょう)があまり会話に参加してこなくなったのです。
 その時は先輩も他の3人もあまり気にはしていませんでした。たぶん、車に酔ったのかな、とでも思ったのでしょう。

 そのまま10分くらい車で走っていると、突然Aさんが妙な事を言ったのです。
「なあ、S(先輩の名前です)。俺達親友だよな?」
「どうしたんだよ、急に。具合悪いのか?」
「いや・・・。」
「でもお前、顔色悪くないか?」
 他の3人もAさんの顔を見て、大丈夫か?等と心配しました。
 しかし、Aさんは大丈夫だ、と言い続けたので、先輩もそれを信じてドライブを続けました。

 そして、車が山頂付近に来た頃、Aさんが久しぶりに口を開きました。
「なあ、俺達は親友だよな?そうだよな?」
 さすがにこれは様子がおかしいと思い、先輩は車を止めてAさんに言いました。
「お前、どうしたんだよ。さっきから何かおかしいぞ?」
 他の人達も皆大丈夫か、と声をかけます。
 しかし、Aさんはただ「大丈夫だ・・・」と言うばかり。
 そしてなおもこう聞くのです。
「俺達、親友だよな?」
 しびれを切らした先輩は、
「ああ、そうだよ!俺達は親友だ。どうしたんだ、お前?絶対おかしいぞ?」
 その言葉を聞いたAさんは・・・
「実はさ・・・
 俺、峠に入った頃からずっと足を掴まれてるんだ・・・」
 先輩はすぐに車の室内に明かりをつけてAさんの足元を見ました・・・。
 すると、毛が生えていて長い爪がある2つの手がAさんの両足首を掴んでいたのです。
 後部座席の2人はそれを見ると、悲鳴を上げて、車から飛び出してしまいました。
 先輩は運転席から降りて、後部座席に入りAさんの足を引っ張ってその鬼のような手を引き剥がそうとしました。
 しかし、Aさんの足は全く動く気配がありません。
 そこで先輩はこう思いました。
「峠に入ってから掴まれたんだから、出れば何とかなるかもしれない・・・」
 そう思いついた先輩は、急いで車を発進させ、峠を抜けました。
 すると、Aさんの足を掴んでいた手はふっと姿を消したのです・・・。
 後日談で、あの時後部座席から逃げた2人は行方不明になってしまって、今もまだ見つかっていないとか・・・。


第三話  中学校の怪談&数々の事故語り手: Lilyさん
 私の通っていた中学校では校舎の東側で数々の怪談&事故があります。


まずは事故から
1.東側に社会科教室がある社会科の先生が職員室の紙の裁断機で親指をざっくり
2.1とは別の社会科の先生が校舎の東側でばったりと倒れる。原因は不明。
3.東側にある理科教室に住みついてる(失礼ι)生物の先生(36)が椎間板ヘルニアで入院。


次は怪談
1.数学と家庭科の先生が東側に図書室の中から生徒の話し声が聞こえて「まだ残ってるんだな」と思っいその場を通り過ぎたそうです。
 ですがよく考えると図書室の壁と扉は厚く、普通の声は聞こえないはずなのです…

2.家庭科の先生が3階の東側で残っている生徒の影を見かけたそうです。
 先生が「もう帰りなさい」声をかけるとその影は非常階段から降りていったそうです。
 ちゃんと昇降口から出るように注意をしようと追いかけます。
 その生徒の影は一階で又校舎に入って女子トイレに逃げ込んだそうです
 先生は影を見て男子だと思っていたそうです
 「バカね!出てきなさい」と声をかけて女子トイレに入ると・・・
 誰も居なかったそうです。・・・・・しかも、これらはまだ氷山の一角だそうです。


第五話  押し入れの影1語り手: 流華さん
 この話は学校の先生に聞いた実話です。
 沖縄県某所にムーンビーチというホテルがあります。
 そこには昔戦争で死んだ兵隊の霊が出ると言う噂がありました。
 そして去年私の学校で修学旅行に行った第1班の生徒がそこのホテルに泊まる事になりました。
 そしてとある女生徒が兵隊の霊が出る部屋に泊まり、霊を見たと騒ぎました。
 先生は何かの見間違いだろうと思いその部屋を見に行きました。
 誰もいないはずの部屋。

 キイィィィィィィィイ
 ズズ・・・ズズ・・・ズッ・・・

 何かが開くようなそんな音がします・・・。なんだろう・・・と思い先生達は部屋の中へ入っていきました。
 そして・・・
 いきなり押入れが開きそこには・・・青白い顔の、兵隊の格好をした人が1人・・・2人・・・。
 信じてなかった先生もびっくりして、走って逃げました。
 そして気持ち悪いので念の為その部屋は使わないようにと第2班の先生に連絡しました・・・。


「押入れの影2」へ続く・・・。


第六話  部屋の隅の白語り手: 葵楓 扇さん
 自慢じゃないですが、私には一切霊感がありません。
 恐がりではあるものの、「こういうことをしたら『出る』よ」とか、心霊スポットとか、心霊写真とか・・・いろいろとやったり行ったりしてみても、これでもかというほど体験がありません。
 ですけれども、そんな私でも「これ、それ系かも」という体験が二つあります。
 今回は、その体験のうち、片方の話をしましょうか。

 コトの始まりは、つい先日。今月の初めあたりでしょうか。
 実際は「コトの始まり」というより、「コトに気づいた」のですが。


 それは、私の自室のことでした。
 その日は暑く、熱帯夜になるとテレビなどでも言われていました。
 確かにその通り、その日の夜はすごく寝付きにくい。
 私はベッドに寝転がったまま、視線を中に漂わせていました。

 部屋の四隅を眺めながら、私は昔聞いた怪談を思い出していました。
 それは、よく聞く「学校の教室で、午後四時、教室の四隅に四人の生徒が立って行う怪談」です。
 あの、四人のうち一人が隣の隅の人の肩を叩き、叩いた人はその隅で待機し、叩かれた人はまた隣の人の肩を叩きに行く・・・という怪談です。
 本来、これをすると一周すればコトは終わるのですが、この怪談では、延々と回り続ける・・・つまり、人が増えているわけです。
 そういえば、昔一度それを小学校でやろうと思ってたことがあったな、でも結局四時前に先生に追い出されて出来なかったな・・・そう思いながら、部屋の隅をぐるぐると見つめていた・・・そのときでした。


 右奥の隅・・・ベッドに寝ている自分から、一番よく見える位置・・・タンスの上・・・そこの天井部分に、あったんですよ。『それ系』のものが。
 それは、まずパッと見、人の顔でした。
 白い光の中、うっすらと浮かんだ黒い影が三つ。微妙な形を保ったその影は、目と鼻、口にかけての影に見えました。
 ひどい恐がりのくせに、なぜかその時は妙に冷静だった私は、その光と影をじっくり観察してみました。
 その結果、光は窓から差し込んだもの、影はカーテンやタンスなどの上の物の所為で出来たのだろう、ということになりました。
 その日は、最初に言ったとおり、すごく暑い夜でしたからね、カーテンをまくって、窓を開けて網戸にしていたんです。
 カーテンはめちゃくちゃにねじれていたので、そのせいで影が出来たのだろう。そう勝手に結論づけました。

 これで安心して眠れるな・・・と、私は思い、最後に一目窓の方を見て、そのときあることに気づきました。
 前出の通り、影と光はタンスの上にあります。しかも、そのタンスは洋服ダンスなので、かなり高いです。しかも、その手前には本棚が。そしてやっと壁、低い位置に窓があるんです。
 影以前に、タンスの上に光が当たること自体、電気でも付けない限りあり得ないんです。
 それを裏付けるかのように、本棚の側面には、月明かりと外にある虫寄せの電気の光が映っていました。
 それなのに、まだ私は妙に冷静。「ま、たまにはこーいうこともあるかもね」と思って、そのまま寝てしまいました(爆)


 その後、数日の間、ずっとその光は存在していました。たまに、人間が表情を変えるかのように影の位置が変わったり、後ろを向いているかのように影が消えていたり。
 しかし、たま〜にもっと違う変化があるんですよね。
 まず、それは一週間とちょっと前のこと。その日は、結構涼しかったので、カーテンを閉めて寝ていたのです。しかし、部屋の隅には変わらず光が。
 これには、ちょっぴり私もびっくり。光の屈折云々はよく分からないけれど、結局あの光は窓から入っているのだろう、と思っていましたから。
 また、これは15日の夜のことです。今この時点で、ずばり一週間前のことですね。
 その日は、カーテン全開。結構暑い日でした。しかし、よく見ると、何故か部屋の隅には光がありませんでした。
 その日の夜、9時すぎのことです。祖父が亡くなりました。


第七話  別府温泉の怪語り手: 樺丸さん
 これは10年ぐらい前の話です
 わたしは友人の結婚式で、大分県に行きました
 遠方からの客と言うことで、結婚式の晩は別府温泉に宿を取ってくれていました
 かなり古い旅館で、なんとなく陰気な感じはしていたのです
 わたしは、友人4人と一緒だったのですが、当然のことながら、他の列席者のおじさんがたも同じ旅館に泊まりました
 チェックインの時、間取りを見ると、私たちの部屋は小さくて、横にいたおじさんふたり連れの方が大きな部屋だったのです
 そこで、おじさん達に部屋を交換して貰うことになりました


 部屋に落ち着き、一風呂浴び、ご飯を食べ、ひとしきり騒いだあと、寝ることにしました
 右側から友人、私、私の左側に友人ふたりの順でした
 12時頃には床につき、左側の友人ふたりはすぐに寝息を立て始めましたが、私は何故か眠れません。右側の友人もしきりに寝返りを繰り返しています
 そうこうするうち、枕元の方で、ぱしっと言う音がし始めたのです
 音は一回だけでなく、枕元と足元を行ったり来たりし始めました
 かなり大きな音で、空耳とは思えません。
 枕元に置いて置いた腕時計を見ると、丁度2時でした
 わたしがごそごそする音に、右側の友人が気が付き、「何?」と聞いてきました
 わたしは、「うん・・・・なんか音がするの〜」と答えると、友人も、「あ〜、ほんとだ〜〜」とのほほんと返してきます
 しばらく待っても、音はやみませんので、仕方なくわたしは起きあがりました
 「ったくうるさいなぁ・・・・・・」とぶつぶつ言いながら・・・・・
 なんか見えたら気持ち悪いので、目はつぶったまま、枕元に向かい、布団の上に正座しました
 そしてひとこと、「うるさい、黙れ」とドスを利かせた声で言ったとたん、音はぴたりと止まりました
 しばらく待っても、もう音はしないので、「よし、だまった、寝よっか」と、友人も、「そーだね〜」と言うので、そのままお布団に入って、寝ました。熟睡できました


 翌朝、左側の友人にその話をすると、まったく気が付かなかったとのこと。しかし、ふと思い返してみると、部屋を交換するときに、フロントの人の顔が引きつっていたような覚えが・・・・・
 おじさんに割り振るつもりだったんでしょうねぇ。ということは、やっぱり出る部屋だったのか、ということですね
 まあ、教訓として・・・・「幽霊も、強気に出れば勝てる」


第八話  押入れの影2語り手: 流華さん
 第1班の生徒がムーンビーチに泊まった時兵隊の霊が出たという1本の電話が第2班の先生にかかってきました。
 その第2班の先生はきっと何かの見間違いだろう・・・と思い、普通にその部屋に泊まる事にしました。
 その部屋にきてみると押し入れが何故か半開きでした。
 先生は『嫌だわ閉め忘れね』と思いました。
 でも何か変な感じがするので念の為全部開き正面と下を見て何もないなと確認してから押入れを閉めました。
 夜先生はそろそろ寝ようと思い、布団に入ろうとしたその時・・・
 いきなりドアが開き先生を心配した生徒が入ってきました。
「先生。なんかこの部屋やっぱ危ないよ。私達の部屋に泊まりなよ」
 先生は結局その部屋に泊まらないで、生徒の部屋に泊まることにしました。


 そして、先生は次の日、仕事をするために部屋に戻りました。
 昨日閉めてから開けていないはずの押入れが何故か半開きに・・・。
 先生も何かおかしいなと思いでもその押入れを閉めて何もなかったかのように仕事をはじめました。
 先生は仕事をしてる最中何か後ろに気配を感じたり、何かに見られてる・・・
 流石の先生でも気持ち悪くなってきて仕事が手付かずになってしまいました。
 先生は何か飲み物を買ってスッキリしてからまた仕事をはじめよう。と思い1回その部屋を出ました。
 再びその部屋を訪れた先生はさっきよりもやたらと空気が重い事に気付きました。
 何かしら・・・と思いその部屋に入ったらまた押入れが半開きに・・・。
 いいかげん一体なんなのかと思った先生は押入れに近づいてみました。
 そして押入れの中を再び今度は全体を見ることにしました・・・。
 正面・・・
 下・・・
 そして・・・上。
 その瞬間先生は凍りつきました。
 前日出たと言う青白い顔の兵隊の霊がこっちを凄い形相で睨みつけていたのです・・・。
 ―何処からともなく―
 ―カエ・・・レ・・・―
 ―タ・・・スケテ・・・―
 様々な声が聞こえてきます。
「ヒッ・・・」
 先生は死ぬ思いでそこから走り去ったそうです。
 それからそこがどうなったかは先生にもわからないそうです。


 しかしそこは今も、何事もなかったかのように・・・
 修学旅行生も、一般客も泊まれるようになっているそうです。


第九話  恐怖の登山語り手: 葵楓 扇さん
 これは、今年の7月、24日と25日、学校行事で強制登山に行かされた日のことでした。
 行った山は吾妻山と言って、東京などからも人が来る、結構有名な山でした。

 まず、山にたどり着いた初日は、みんなでひぃこら山を登っていきました。
 その山の中腹には、「行方不明」という変わった名前の場所があり、そこにはとある伝説がありました。
 そこには、昔・・・たしか、上杉鷹山公(この山、米沢にあるんですけど)の時代に、なんとか(爆)という家が没落する時に、大量の金貨が埋められたそうです。
 それで、とある男の人がそこに金貨を堀りに行ったそうですが、行方不明になり、帰ってこなかったそうです・・・。
 そんな、風景はいいけど曰く付きの山。ふもとにある旅館にも、何もないはずもなく・・・。
 私たちが泊まった旅館も、そうとう「出る」と言われました。
 我が校の二大霊感教師の片割れ曰く、「夜は気を付けろよ」とのこと・・・。


 その夜、私たちは登山で疲れているせいか、早々と布団を敷いて電気を消しました。
 標高1850Mの山のため、少し寒い夜。まどはきっちり締めて、みんなさぁ眠ろう・・・という、その時!
 前方に、細長い白い影が!
 その時、共に同じ部屋に寝る女生徒が叫びました。「くらげの霊だ!!」(笑)
 当然、彼女はスレイヤーズは知りませんが(笑)たしかに、その影はくらげっぽく見えました。
 他の生徒たちはきゃーきゃー叫ぶ。そんな時、同室の学級委員が言いました。
「ねぇ、あの光変じゃない?」

 彼女の指さす先は、部屋の玄関のドア。
 その下の隙間からは、青緑色の光が差し込んでいました。
 その光は、廊下の光が差し込んでるだけだろう、と思って、私は別に変には思いませんでした。
 しかし、彼女は言いました。
「あのドア、下に全然隙間がなかったのに。あんなに光が差し込んでたら、指一本通っちゃうよ」
 たしかに言われてから考えたら、あそこのドアは床ギリギリで、しかも床はふかふか毛が立っている絨毯。あんなにたくさん光が差し込むはずがないんです。
 彼女は確かめるために、部屋の光をつけました。
「ほら、全然隙間無いよ」
 彼女はそう言いましたが、私は別の所を見ていました。そこは壁。
 その壁は、先ほど白い影が映っていたところですが、その壁は光のあるドアや窓から直角で、影が出来るはずが無いんです・・・。


 とりあえず、私はそんなこと気にせずに(爆)そのまま眠りにつきました。
 朝までぐっすり眠った後、朝食の時某友人絵師の忍たちに、今日の百物語用に「怖い話無い?」と聞いて回りました。
 すると、某友人絵師忍は、昨夜の話をしてくれました。
 「一緒の部屋のMさんがね、トイレに入ってる間に、男の人の声を聞いたって・・・」
 これを聞いた他の友人は、「部屋の前を通った人とか、隣の部屋の人の声じゃないの?」と言いました。
 けれど・・・我々の泊まっている階は女子オンリーで、先生も女性しか来ませんし、そのトイレのすぐ隣は、私たちの部屋でした・・・。
 そんなこんなで登山から帰ってきた私たちですが、ふと後日・・・私は、あることを思い出しました
 ドアから差し込んでいた青緑色の光ですけど・・・ドアの外、廊下の光は、薄暗いオレンジ色でした。


第十話  やってはいけないこっくりさん語り手: さんきちさん
 これは、自分の妹の友達が体験し、そして、その場に妹も偶然にも居合わせたものなのです。
 こっくりさんは、お母さまがた聞いたりするとおり、動くのは本当らしいです。
 その友達たちもちょっとした好奇心でやろうということになったのでしょう。机の上に10円(?)玉をのせて紙を広げてはじめました。
 はじめは妹はその場にいなかったらしいです。そして、こっくりさんをはじめました。


 やりはじめた途端。早速反応があり、10円玉は動き出しました。
 ですが、やはり気味が悪かったのか、その中のひとりがやはり手を放してしまったそうです。
 その時でした。
「だ・・誰かいる!!」その中のひとりがベランダに向かって指を指したそうです。
 確かにベランダには休み時間になれば生徒が沢山集まります。しかし、そこにいたのは長い髪の毛の女の人・・しかも、制服を着てはいないし、先生でもない。
 全員が見たらしいので、間違いはなさそうです。
 すぐに女の人は消えてしまったそうですが、やっていたのは女の子ばっかりだったので、恐怖のあまり泣いて しまったそうです。


 次の日、相談を受けた自分の妹が、皆でこっくりさんに謝ろうとまたこっくりさんを始めたのです。
「こっくりさん。こっくりさん。昨日のことですが、怒っていますか?」
 指はまたゆっくりと動いて、文字をたどりました「はい」と・・。
 また泣き出しそうになった女子生徒たちですが、指がまた離れては大変です。質問を続けました。
「許してくれませんか?」
 こっくりさんの答えは・・・・・・「はい」でした。
 ほっと安心した彼女たちは、「もうやめてもいいですか?」と聞いたそうです。
 その答えは「いいえ」でした。
 彼女たちは指を離したくても離せられません。
 何度もおなじ質問をしても、あざ笑うかのように、答えは「いいえ」。
 何回目かは分かりませんが、やっとのことで「はい」となったそうです。
 それで、安心してやっていた生徒はこっくりさんを終らせました・・。


 ですが、悲劇(?)はまた起こったのです。
 なんと、今度は同じクラスの男子がキユーピーさん(今度はシャーペン)をやっている最中に離してしまったのです。
 そっちのことはよく分かりません・・。無事だったことは確かですが・・
 なんでも、正式に謝るには、こっくりさんをやった紙を燃やさねばならならしいです。
 こっくりさん・・確かに、無意識のうちに手が10円を動かしているのかもしれません。自分が聞いた話によると、そこらへんに漂っている浮遊霊が乗り移るとも言われているそうです。


第十一話  遺っているモノタチ語り手: れいさん
 これは、私が修学旅行で沖縄に行った時の話です。
 私達は2日目、ガマ(自然に出来た洞窟のこと)を見学しに行きました。
 そこで、私と、友人、そしてクラスメイトの体験した事です。
 先ずは友人Uの体験から…


 彼女には霊感が、少しだけあります。普通の人たちよりは強いのですが、「霊能力者」と呼ばれる方たちよりは弱いんです。
 彼女がガマへ入った時、違和感を感じたそうです。
 冷たい…何か、…「冷たい」としか表現出来ない違和感…でした。
 ひんやり、とか、そういうのではなく…
 本物の恐怖を感じた時―そう感じるのだと。彼女はそう言いました。
 頭、首、肩、腕、手、指、腰、膝、太腿、足…そして全ての内臓が、すこしずつすこしずつ、何かに侵されて行くかの如く…と。
 そしてその冷たい違和感は、入れば入るほど強くなって行きました。
 ガマの中で1番広い場所…其処は
 其処は、破傷風や負傷して亡くなって行った方たちを捨てた、という・・・大きな、深い穴があったところでした。
 あの中に、まだ亡骸の残骸があるのか・・・と、がくがくする足で見つめていたそうです。
 冷たい違和感が、頂点に達し…
 彼女は、気を失いました。
 幸いな事に、彼女は一瞬で意識を取り戻したのですが。


 …帰りは、友達に支えられて、なんとか帰っていったそうです。
 しかし、その違和感がまだ残っているらしく、彼女は、時々虚ろな目になったりします…
 彼女曰く、違和感は多分破傷風で手の施し様が無く、殺された方達の霊だそうです。
 そして、あの深い穴に骸を捨てられた…その怨念が、自分にとりついたのではないか、と。
 虚ろな目も、その内完全に治るだろうと…


第十二話  呪われた病院語り手: 流華さん
 北海道小樽市某所にあさり病院という病院があります。
 その病院は数年前まで営業していましたが今はもうやっていません。
 そこは心霊スポットとしてたまに人が訪れたりします。
 そしてこの話は、その訪れた人の体験談です・・・。


 札幌市内のあるカップル2組がその病院に訪れました。
 その病院の中には血のあとや、変な落書き。医療道具があったそうです。
 行った人の1人が遊び半分で置いてあったメスを持ち帰ってしまいました。
 そして4人は『何もなかった』ということにしてその場を去りました。
 メスを家に持って帰った人は『メス持ってきたのはまずかったかな〜・・・』と呟きつつも返すのも面倒だしそのまま家に置いておくことにしました。

 その日の深夜に変な電話が1本かかってきました・・・。
『・・・あさり病院です・・・。
 あなた・・・メス・・・持って帰ったでしょう・・・?
 3日以内に返しに来て下さい・・・。』
 持って帰った人はきっと友達のいたずらだろうと思いそのままにしておきました。
 そして約束の3日目になろうとする夜。
 プルールーッ・・・プルールーッ(電話の音です)
『あさり病院です・・・。
 メス・・・明日までに返してください・・・さもないと・・・』
 ツーッツーッツーッ・・・。
 そうして電話は切れてしまいました。
『まったく悪質ないたずらだ・・・。』そう思い、そのままにしておきました。

 そして次の日・・・。
 プルールーッ・・・プルールーッ(電話の音です)
『ったくしつこいな・・・』と呟き線を抜いてしまいました。
 抜いたはずの線。鳴るはずのない電話。
 なのに・・・
 プルールーッ・・・プルールーッ・・・プルールーッ・・・プルールーッ・・・
 プルールーッ・・・プルールーッ・・・プルールーッ・・・プルールーッ・・・
 ―ただ今電話に出る事ができません。発信音の後に御名前と御用件をお話下さい。ピー・・・―
『あさり病院です・・・。
 今から・・・メスを取りに行きます・・・。
 逃げないで・・・待って・・・い・・・て・・・ウフフフ・・・』
 ツーッツーッツーッ・・・。
 さすがにその男も気持ち悪くなったのか家を出ました。


 そして数日後。家に帰ってみるとメスがなくなっています。
『持って帰ったのか・・・?一体なんだったんだ・・・?』
『・・・やっと・・・やっと帰ってきた・・・。』
 不意に男の後ろから声が聞こえてきました。
 その男が振り向くと・・・。
 ズバッ
『ウフフフ・・・返してくれないから・・・悪いのよ・・・?
 私は・・・ちゃんと・・・忠告したのに・・・』
 そうして男は喉をメスで引き裂かれ死んでいたそうです。
 それを発見したのはその人の彼女だとか・・・。
 あなたも・・・あさり病院へ行っても・・・メスは持って帰らないように・・・
 看護婦に・・・・・・ね


第十三話  生きている語り手: 葵楓 扇さん
 これは、私がネットサーフィンをしている間、とあるところで見た話です。

 それは、とある男性の物語。彼が大学生の頃のことです。
 彼には当時、よく泊まりがけで遊びに行っているグループがありました。
 ある時、彼の仲間の一人が、ふざけてビデオカメラで外をいろいろ移したビデオを見せてやる、と言ったそうです。
 そのビデオの中にヒトツ、変なものがあるということで・・・。


 それは、場所はどこかのトンネル、時間は夜中の12時ごろでした。
 あたりは真っ暗で、かろうじて街灯で照らされている中を、グループの仲間の女の子が手を振っていました。
 その右奥の方に、一人の男の子が立っていました。
 手前の女の子は薄暗くてはっきり映っていないのに、その男の子はやけにはっきり映っていて、後ろ向きで半ズボンと言うことも分かりました。
 あたりには民家はないのに、こんな時間に一人で居るのはおかしい。
 しかも女の子は歩いているのに、彼はぴたりと止まって動きません。

 仲間内で、「これは幽霊の映っているビデオだ!」と話題になりました。
 うわさを聞いて、このビデオを見たい、という人が出てくる始末。
 持ち主は、得意げにビデオを貸して回りました。
 それで、ビデオを見た一人が言いました。
「これって怖いよな〜、横顔が見えそうなところが特に」
 これを聞いた持ち主たちは思いました。そんなハズがない。男の子は、しっかり後ろを向いているのだから。
 さらに、次に借りた人は言いました。
「振り返ろうと、こっちを見ている右目が怖い」


 手元に戻ってきたビデオを、改めて同じメンバーで見たそうです。
 トンネルの中から歩いてくる女の子。
 その右奥で男の子が後ろ向きに立って、・・・・・・顔だけ横を向いて、右目だけがこちらを睨んでいました。
 みんな震えが止まらなかったそうです。
 きっと、少年は生きている。ビデオの中で、生きて居るんだ・・・と。
 そして・・・彼が完全にこちらを向いた時、何かが・・・起きると。
 ・・・最初に書いた男性は、結局このビデオを見ては居ないそうです。
 なぜなら、彼がこのビデオを借りる前に、処分されたそうですから。


第十四話  四つ葉のクローバー語り手: 葵楓 扇さん
 私は、何度も言いますが、さっぱり霊感がありません。
 けれども、今までのうちに二度、「ちょっと変、ヤバイかも」と思ったことがあります。
 これは、そのうち、一度目の体験の方です。


 私は小学校五年の時、神奈川から現在住んでいる東北へと引っ越しました。こっちに来てまず、私たち一家は、ほぼ同時期に外国に行った父の同僚の家を借りて住みました。
 私は引っ越してからしばらくの間、家の周りをうろちょろ探索していました。さすが東北、というか、生まれの東京や育ちの神奈川とは段違いの自然に囲まれていました。

 私の家の近くには、「売地」と大きく書かれた看板が立っている土地がありました。
 結構位置などは良好だし、土地は広いし。近所の子供達は、そこを遊び場所にしていました。
 その土地には、砂利の隙間からいくつものシロツメクサが生えていて、みんなはそれで冠や輪っかを作って遊んでいました。
 シロツメクサが生えていると言うことは、クローバーも生えているということで。みんなで、四つ葉のクローバーを探し回りました。
 すると、ヤケにたくさん出るわ出るわ。ここには三つ葉より四つ葉の方が多いのでは、というくらいたくさん、四つ葉のクローバーが生えていました。
 もっとよく探すと、そこには五つ葉どころか六つ葉のクローバーなんてものが、大量に生えていました。
 八つ葉は見つけた記憶はありませんが、七つ葉とかもたくさん見つけました。
 これだけたくさん葉っぱがあれば願い事もきっと叶うだろう、とみんなで五つ葉六つ葉を摘んでいきました。
 私は小さな花瓶の中にクローバーをたくさん入れて、食卓などに飾りました。
 けれども、願い事なんてさっぱり叶わなくて。徐々に私は、クローバーの存在を忘れていきました。


 ちょっとずつクローバーが枯れていった、ある日のことでした。
 一緒にクローバーを摘みに行った友人の弟が、突然謎の骨折をしました。
 たしか、腕あたりを折った気がします。彼もやっぱり、クローバーのことはすっかり忘れていたようです。
 私たちはクローバーのことを怪しんだので、再び「売地」へと行ってみました。
 ここに行けば、何か分かるかも知れない。子供心に、そう思っていたようです。
 しかし、その「売地」には、五つ葉六つ葉はおろか、四つ葉すらさっぱりない、ただの三つ葉のクローバーとシロツメグサ畑になっていました。


 それからしばらくして、私の住んでいた家の持ち主が帰ってくると言うことで、我々はちょっと離れた場所へ引っ越すことになりました。
 それから数年後、私は自転車に乗って、久しぶりに前住んでいた家の近くへ行きました。
 せっかくだから、と例の土地を見ていくと・・・未だ、買い取り手は居ないようでした。
 地面を見ると、今はもう三つ葉どころかクローバー自体生えていませんでした。


第十五話  一夏の体験第一話語り手: Lilyさん
 これは忘れもしない数年前、中学1年夏の時の話です。
 前にも言った通り私の通っていた中学校では怪談や事故が多いんです。
 しかも地下室に行く階段があるのですがそれがドアの窓(ドアは開かない)をくぐって少し降りると水没しているんです。
 その水は地下にあるにもかかわらず腐ってないんです、澄んだままで。
 その時私はダウジング(針金や振り子で色んな物を調べる事)に凝っていて自分で振り子を作って遊んでいたんです。

 ある雨の日 その地下室の前でダウジングをしたんです。
 と、その時いきなり振り子の糸から水晶が落ちて割れてしまったんです。
 次の瞬間雨が強くなり、背後に気配が現れて急いで振り向いたんですが勿論誰もいませんでした。
 背筋が冷たくなる&嫌な予感がしてその場から逃げてしまいました。
 今はその地下室は完全に封印されてします。


第十六話  マフラー語り手: 魔女あさこさん
 これは私が友人から聞いた話です。
 バレンタインの二人の男女の子供の物語


 ある女の子には好きな人が居ました。
 でもその男の子は他の子からも人気者。バレンタインにちゃんとチョコが渡せるか不安でした。
 だから一緒に手編みのマフラーを渡すことにしました。
 一生懸命にあみました。完成したのはちょうどバレンタインの日。
 そして直接渡すためにその男の子の家に行きました。
 その日は凄い雨で視界が悪く歩きにくい日でした。
 そんな天気でも女の子は笑っていました。男の子が喜んでくれる事を願って。
 近づいてくる大きな車のライトにも気づかずに。

 だぁーーーーん・・・・・大きな音と一緒に女の子は死にました。即死です。
 葬式も行われてこの出来事は終わりか思われました。が・・・・・
 なんとその現場からは女の子があんだマフラーが消えていました。
 母は女の子がマフラーをあんでいたのを知っていたので必死で探しました。
 でも見つかりませんでした。諦めて泣きながら帰りました。何かの視線を感じながら・・・


 そしてあの男の子が花をそえるためにあの現場へやって来ました。
 すると、マフラーはそこにありました。
 名前があみこまれていてすぐに自分のためにあんでいたと気づきました。
 でも男の子は何かイヤな予感がしたのでそのマフラーを捨ててしまったのです。
 そのまま家に帰り椅子に座って本をよんでいると、あのマフラーが自分の部屋にあったのです。
 おかしいと思いもう一度捨てました。

 するとマフラーは首に巻き付いてきました。きつくきつく、だんだんと締めつけて・・・・・
 マフラーをあんだ女の子はその男の子が好きでした。好きで好きで・・・・あの世に引き込んで自分の物にしたいくらいに・・・・
 まだ締めつけてきます、まだ、まだ、まだ、まだ、まだ。男の子の顔は紫になっています。
「た、たしゅ、・・・・・け・・・・」必死に声を出そうとします。

 ぶちっ・・・・・何かがちぎれました。マフラーではなく男の子の首が。
『私・・・・好きだった。ずつとずっと・・・・あ、首だけじゃ駄目だよね♪手も足も・・・皆、私が・・・』マフラーは手に巻き付きました。
 ぶちっ!!ぶちっ!!ぶちぶちっ!!!
 数時間後、男の子は見るも無惨な姿で発見されました。
 でも、その現場からマフラーは消えていました・・・・


第十七話  だるま語り手: さんきちさん
 これは自分が友達を伝って回って来たチェーンメールの内容です。
 皆さんもよく知っているだるま。
 お祝の時などは最後に目を入れたりして祝いますが、実はだるまはそんなにめでたくないんです。
 まずそのメールに書かれた体験談の前に前置きをしましょう。
 だるま・・とは、本来、処刑の方法の一つなのです。
 処刑する人の手足を切り取り、そのまま生かして何日も何年も放っておくものなのです。
 映画でもあったそうで、美しいメイドに嫉妬した女王がその方法でメイドを塩水につけ何年も苦しませたとか・・


 そんな曰く付きなだるまですが、体験談によると、とある大学生の方が中国の山奥に行った時のこと。
 山奥に何故か一件店があったので、その人は興味半分で入ったそうです。
 中には何やら客らしき人々と、奥にだるまの人形がありました。
 その異様な光景にその方はその店を立ち去ろうとしたそうです。
 その時後ろから「お前日本人だろ!?俺は○○大学の××だ!!助けてくれ!」
 なんと!人形だと思っていたものは本物の人だったのです。
 その方は日本人だと悟られると同じ結末になると思い、その人を無視しなんとかやり過ごして帰って来たそうです。

 日本に帰って来た後、その人の言った通りの人物を調べてみると、旅行に行ったっきり行方不明のままだったそうです。
 体験談はこれでおしまいでしたが、もっと怖いのはその後の綴りでした。いろいろ呪のようなコトバが書かれていたりしていて、10人に回さないと・・というものでした。


第十八話  一夏の体験第二話語り手: Lilyさん
 前回の第1話の1週間後。
 朝、学校に行こうとして学校の目の前にある大きな道路を横断していました。
 そのとき、いきなり目の前がクリーム色というかアイボリー色になって金縛りにあったんです。
 その横をものすごい形相の女の人の顔が通って行ったんです。
 なぜかその時、顔だけだったはずなんですが頭の中にまわりと同じ色のワンピースを着た女性の映像が流れこんできたんです。
 でもそれは一瞬の出来事で、まわりが普通の景色に戻って金縛りが解けると、急いで振りかえったのですがそんな女性は居ませんでした。


第十九話  不思議な音語り手: てぃあさん
 高校のときです。夜寝ようと思って、電気を消してベッドに横になりました。
 するとベッドの横にあるロッキングチェアの下辺りでいきなり
 バサバサバサッ!って鳥の羽ばたく音が!
 慌てて電気をつけたものの、鳥なんているわけがない。
 それに、その音がしたロッキングチェアの下には雑誌が山積み。
 とりあえず、音だけだったんで、電気消してそのまま寝ましたけど。
 とくになんもなくてそれで終わりです。
 え〜っと、鳩が飛び立つときの音ってありますよね。まさにあれ。
 もちろん雑誌の山は何ともなかったです。


第二十話  Q&A語り手: 葵楓 扇さん
 とあるところに、私立の学院があります。
 そこは今では共学ですが、以前は女子校だったそうです。
 今回の話は、共学になって一年目のことです。


 その学校では、何か行事(文化祭など)があるたびに、記念歌を作るそうです。
 ある日、第2音楽室で数人の子たちが記念歌を作っていました。
 しかし、時間が経ち人が減り始め、2、3人しかなくなりました。
 中心でやっている人が、「もうちょっとで終わるから、先に帰って良いよ」と言ってしまったからです。

 夜の9時をまわった頃でしょうか。
 記念歌がやっとできたので早く帰ろうと思い帰る支度をして横の階段を下り始めました。
 するとその人は大切な楽譜を忘れたことに気が付きました。
 すぐに取りに帰り、今度はちゃんと楽譜を持って階段へ向かいました。
 すると第2音楽室の出た所の大きな窓ガラスの前で動けなくなってしまったのです。
 その人は元々霊感が強くすぐに霊だという事が解りました。
 このまま黙っていてはやばいと思い霊に質問を始めました。
「あなたは昔からここにいるのですか
 YESなら窓を1回、NOなら窓を2回たたいてください。」
「ドン」
「あなたは子どもですか?それとも大人ですか?
 子供なら窓を1回、大人なら窓を2回たたいてください。」
「ドン」
「あなたは一人ですか?それとも複数ですか?
 一人なら窓を1回、複数なら窓を2回たたいてください。」
 その時、ぴたりと音が止まったそうです。
 そして、何かスゴイ物が迫るような感じがしたそうです。こういう音と共に。
 ドドドドドドドドドドドドドドドドド


第二十一話  迫りくる恐怖。もしくは階段の怪談語り手: てぃあさん
 中3の期末テストのときだったと思います。夜中ずっと勉強してたんですよね。
 小さい音で音楽かけながら、机に向かってると、階段をトン、トン、トン。って上がるような音が。
 3回なってとまったんで、最初は気のせいだと思ってたんです。
 で、ほっといて続きをやってると、また「トン、トン、トン」って。
 ちなみにうちの階段は15段です。
 そうこうしてるうちにまた3段だけ…
 やべぇ!このままじゃあと2回で上につく!しかも戸はガラスの引き戸!!いくらすりガラスでもさすがにやばい!!
 だからといって、戸をあけて確認する勇気などとっくにないし。
 しかも今また3段上がったよ。あと1回で…という絶体絶命のとき!

 ちょ〜どうちの親父が階段の下を通りかかったの!
 神の助けとばかりに「とーさん、階段とこ猫いない!?」
 その問いに対する返事はお約束どおり
「何もおらんぞ」
 うひゃあ!本物だぁ!!ってなわけで、親父に階段の下で待っててもらい、あわてて勉強道具を抱えて部屋を脱出。
 でもって、「なにがあったんぞ」という親父を横目に座敷に避難しました。
 その日は旅行中のじいさんの部屋で寝ました。
 そして、これはそれだけでは終わらなかったんです。


 翌日。「今日は大丈夫だろう」という安易な考えで、また夜中まで勉強してました。テストあと2日あるし。
 すると、ふたたび階段を3段ずつ上がってくるではないですか!!
 やべぇ、まだいた(涙)とか思いつつ動けない自分。
 しかし運のいいことに、また親父が通りすがる。(ていうか、階段の向こうが親父の部屋)
 ふたたび呼び止め、部屋を脱出。
 さすがに怖かったんで、3日目は最初から座敷に避難しました。
 その日以降、そういうふうな上り方するものはいないんで(もしかしたら慣れただけかも)よかったかな、と。


 ちなみに余談ですが、じいさんの部屋で寝てたとき、部屋の天井がしゃれにならん位うるさかった。
 「ドンドン」とか「ピシッ」「バシッ」という音で。
 そのときの感想が「じいさん、こんな部屋でよく寝るなぁ」…。


第二十二話  消えた存在語り手: 葵楓 扇さん
 あるところに、普通の女学生のAさんがおりました。
 彼女は両親と平和に暮らしておりましたが、ある日突然母が病に倒れました。
 そのまま母は治らず他界。それを期に父は仕事に入り浸り、あまり家に帰らなくなりました。
 悲しみに暮れつつ、彼女は一人日々を送っていました。


 そんなある日のことでした。
 父が突然、知らない女性を連れてきました。彼女と再婚するというのです。
 寂しい生活とお別れが出来る・・・そう思ったAさんは、新しい母を歓迎しました。
 そして父と継母は入籍し、Aさんは幸せな日々を夢見ました。
 朝起きれば、母が優しく起こしてくれて、温かい朝ご飯が用意されている。夕方になれば父が帰ってきて、夕食を団らんできる。
 そうAさんは信じていました。

 しかし、現実はさながらシンデレラ。継母は、父の前とAさんの前ではまったく違う顔を見せました。
 継母は、Aさんをいびり、こき使いました。
 それに、早く帰ってくるようになると思っていた父は、今までの仕事が認められ昇進し、ますます家に帰らなくなりました。
 それでも、Aさんは耐えました。いつか夢のような日が来る、と。
 けれども、ある日決定的な事件が起こりました。


 ある日学校から帰ってくると、玄関先で継母が鬼のような形相で立っておりました。
「ちょっと、A!これはいったい何なのよ!!」
 そうやってそう言って母親が持っていた物、それはAさんが本当の母親に貰って、大事に書き続けてきた日記帳でした。
「これは一体何!?まるで私が鬼のようじゃない!!」
 その日記には、Aさんが誰にも相談できなかった、継母の悪事や意地悪を、ほそぼそと書きつづってあったのでした。
「ひどい!勝手に人の日記を見るなんて!」
 Aさんはそう言おうと思いましたが、また殴られる・・・と思い、何も反論できませんでした。
 そのままガミガミ継母はAさんのことを叱りつけ、挙げ句の果てに形見の日記帳をゴミと一緒に捨ててしまいました。
 Aさんは、これには落胆し、完全に夢を失いました。
 そして彼女は、マンションの屋上へ行き、そのまま飛び降り自殺をしてしまいました。


 彼女の死体を目撃した継母は焦りました。
「この死体が見つかったら、いくらなんでもあの人に知られてしまう。もしそうなったら、あの人の遺産が手に入らなくなる!」
 当然、あの人とは旦那・・・つまりAさんの父親のこと。Aさんの父は、かなり偉い地位まで出世していたのでした。
 継母は、慌てて黒いゴミ袋を引っ張ってきて、Aさんの遺体をその中につっこみました。
 その時、継母はヤケになま暖かい感触を感じました。それは、まだどくどく波打つ、ピンク色のままのAさんの心臓でした。
 あまりの気味の悪さに、継母はその心臓だけ包丁で切り刻み、その日のうちにゴミとして捨ててしまいました。
 さすがに遺体を捨てると発見されるおそれがあるので、Aさんは学校の行事で数日泊まりに言った、と彼女の父に嘘を付き、死体は物置に隠しました。


 それから数日後。継母の悪夢は、今やっと始まったのでした。
「Aちゃんのおばさん。Aちゃんはどうしたの?」
 Aさんの友人達が、Aさんの家までやってきたのでした。
 継母は、必死に策を考えました。
「あの子は今、親戚の家に泊まりに行ってるの」
「違うよ」
 突然、Aさんの友人の一人が即答しました。
「おばさんが、Aちゃんを刺して、心臓を捨てて殺したの」
「そ・・・そんなことしないわ。Aは親戚の家に行ってるのよ」
 継母が、必死に取り繕うと、そう言ったAさんの友人は笑顔になり、
「そうですよね。おばさん、そんな酷いコトしませんよね」
 と言いました。
 しかし、その笑顔には、底知れぬ恐怖を感じました。

 その夜のことでした。
「なぁ、お前。Aは一体いつ帰ってくるんだ?」
「さぁ、分からないわ。詳しく教えてくれなかったから。悪い子ね」
 Aさんの父親に聞かれ、継母は答えました。
「本当は、もうAは死んでいたりするんじゃないか?」
 突然、父親はそう言い出しました。
「お前が、あいつの首を絞め、心臓を取り、捨てたんじゃないのか?」
「そ、そんなことしないわよ。私がそんなことするような人に見える?」
 必死にそう言いつくろうと、父親はいつも通りの顔になり、「そうだよな」と頷きました。

 それから、ほぼ毎日のことです。
 電話が突然鳴り、「あんた、あの子のこと、車でひき殺し、心臓を切り刻み、隠しているんじゃないか?」と、知らない男が言ってきたり。
 ファックスで、「Aを殴り殺し、心臓を引きずり出し、あの子を閉じこめているだろう」と紙が切れるまで繰り返し書かれている文が来たり。
 それからはずっと、手紙で、Eメールで、その他・・・ともかく、目に付く物全てに、「Aを殺し、心臓を取りだし、あの子を・・・」と、奇怪文が書かれており、また道行く人に突然「あの子を殺したでしょう」と訊ねられました。
 その言葉には、すべて「心臓を出して」「切り刻んで」と加えられていました。
 そして、一度も「自殺して」ということは、書かれも言われもしませんでした。


 継母は数日間堪えましたが、とうとう耐えきれなくなりました。
「あの子、きっとどこかで生きているんだわ。そして、私に復讐をしようとしている。なんてやつなのかしら」
 そう考えた彼女は、あの日以来一度も近づくことの無かった物置へと向かいました。
「一体、何を偽物に使ったのかしら!?」
 彼女はそう叫び、物置の引き戸を開けました。
 しかし、そこには、からのゴミ袋と、ずっと前から入りっぱなしだった物置の中身しかありませんでした。
 それを見た瞬間、継母は愕然としました。
「あの子は、きっとどこかで生きている。そして、いつか私を殺すだろう・・・」
 そう考えた彼女は、いっそAさんに殺されるくらいなら、とAさんが飛び降りた場所へと向かい、彼女も死んでしまいました。


 翌日のことでした。Aさんの葬式が行われました。
 彼女の死に顔は穏やかだったとか。


第二十三話  空耳語り手: 猫耳さん
 先日の夜のことです
 遅くに買い物をしに行って、9時頃に家に帰りました
 猫耳のダンナさんは、早寝の人で、いつも大抵その時間には寝てしまっています
 裏口から家に入って、もうリビングにはもう誰もいないと思っていたので
 買ってきた物を冷蔵庫にしまいながら、ついつい独り言を言っていました
 こんなものがまだ入っていた、これじゃ入らない、とか……

 そのとき、
 リビングの方から、低い、ニュースを読むようなかんじの男の人らしき声が聞こえてきたので、
 てっきりダンナさんがまだ起きていて、テレビでも見ているらしいと思い、
 独り言を聞かれて恥ずかしかったので、少しの間黙ってしまいました
 その間、声はずっと聞こえていました。何を言っているかまではわかりませんでしたが。
 黙ったままもヘンだと思い、ダンナさんに声を掛けようと、キッチンからダンナさんの定位置のソファーが見えるところまで、顔を出して
「珍しいのね、まだ起きてるなんて」と話かけると、
 誰もいなくて、
 ついまた独り言で「やだなー、テレビつけっぱなしでー」と言いながらリビングに入っていくと、
 テレビは消えていて、今まで聞こえていた話し声も、ぱったりと止んでしまいました。

 怖くなったので、「気のせいよね〜」と言いながら、冷蔵庫の前に戻ると、
 ……………聞こえるんです、また。
 明らかに男の人の声で、でも、やっぱり何を言っているかが、わからない……
 いきなり、ざわわっと鳥肌が立って、あまりに気持ち悪かったので、テレビを大きな音でつけ、家中の電気を全部つけました。
 なんだったかは、分らないままですが、とてもいやな感じの声だったです。


第二十四話  体育館の男語り手: 紫嵐さん
 俺の実体験です。俺が小学六年生のときに体育館で遊んでいた時のことです。
 体育館の2階には放送器具の置いてあるスペースがあり、そこには一階が見える、カーテンだけの小さい覗き窓があります。
 俺達が遊んでいるときに俺の友達が気付いたんです。
「誰か覗いてるよ」
 それはどう見ても小学生の顔ではないし、先生の顔でもなかったです。
 青白い痩せこけた男の顔だったんですが、すぐにその顔は引っ込んでしまったんです。

 俺達は怖くなって体育館から出ました。
 先生は最後に「誰もいないね!」と言ってすぐに扉に鍵をして閉めました。
 体育館には扉が六つあるのですが、俺達が開けた場所以外は閉まっていたので、先生が扉に鍵をかければ中にいる人は閉じ込められます。それでなくても逃げられないようにそれぞれの扉に先生がつきました。
 初めは高額の放送器具を盗みに来た者だろうと考えた先生達は、中に入って人を探したそうですが、そこには誰も居ませんでした。
 それから隅々まで探しましたが、勿論誰も居なかったそうです。


第二十五話  一夏の体験第三話語り手: Lilyさん
 前回からさらに1週間後。当時、私は剣道を習っていたんです。
 そこでは私の通っていた小学校の体育館を借りて稽古をしていたのです。
 その日弟と少し早く着き過ぎて私は体育館で友達やちっちゃい子供達と遊んでいた紫嵐をほっといて(爆)ベビースターをボリボリ齧りつつ少し外に出て一人涼んでいました。

 と、その時ふと異常に冷たい空気を感じてそっちの方にある近くにある木をふと見上げてみると生首の女性が!
 しかも、そのちょっと下には真っ白な着物(死装束?)の体も浮いていたんです。ふわふわと。
 怖くなって思わずその場から走って体育館の中に駆け込んでしまいました。
 しばらくして見にいってみるとやはりそんな物はありませんでした。


第二十六話  語り手: 魔女あさこさん
 私が小さい頃、韓国に旅行に行った時、おみやげに二つのお面を買いました
 鬼と福の神のセットでした。木で出来てる飾りのお面です。帰ったら玄関に飾りました
 どちらも、かなり不気味でした。


 その日の深夜、私は目が覚めてのどが渇いたので母を起こしてお茶をとりにいってもらいました
 すると、女の人の悲鳴が聞こえました。
『ギャーーー!』
 でも耳に聞こえるような声じゃありませんでした。
 私はびっくりして母を呼びました。返事がありません。
 気づいたときには私は手しか動かなくなっていました
 必死に手をバタバタさせて、母を呼びました。
 ふと天井を見ると、あの二つのお面がありました。玄関にあるはずなのに
 そして部屋の外に手を伸ばすと、誰かが握り返してきました。
 びっくりして振り払い、また天井を見ると鬼のお面が少し近づいていました。
 とにかく目をつむって、必死に助けてと念じました。

 いつのまにか朝になっていました。
 私は玄関に走っていきました。すると・・・・・
 お面の位置が、左右逆になっていました


第二十七話  やまんば?語り手: 葵楓 扇さん
 昔々あるところに、非常に貧乏な夫婦と、その息子がおりました。
 息子は育ち盛り。少ない財産で切り盛りしていくのももう限界。
 息子は言いました。「お父さん、お母さん。僕、都会に出て働いてきます」
 そう言って、息子は都会へと行きました。


 それから数年の月日が流れました。
 夫婦は年老い、人から老夫婦と呼ばれる年齢となりました。
 あの日以来、ずっと息子からの連絡は無し。老夫婦は考えました。
「あいつはきっと、私たちのことを裏切ったんだ。育てて貰った恩を忘れてしまったんだ」
 それは、恨みと言うよりも、絶望と悲しみの思いでした。

 そんなとき、とある一人の若者が家を訪れました。
「すいません。道に迷ってしまいました。一晩泊めていただけないでしょうか?」
「しかし、旅の方。うちは見ての通り、ボロ屋に住む貧乏夫婦。立派な若者を一晩であろうと養うお金などありませぬ」
「お金ならあります。普通の宿の一泊の料金の二倍払いましょう」
 それを聞いた、老夫婦の爺様の方は大喜び。すぐさま婆様の方に、夕食の用意をさせました。
 若者も喜び、三人は実の親子のように、若者の旅の苦労話を聞き、夜を過ごしました。


 そして夜中。眠りについた若者は、不思議な音を聞きました。
 何かをこするような音。
 どこかで聞き覚えのある音だったので、若者は記憶を探り思い出そうとしました。
 しかし、なかなか思い出せません。それは、確かに聞き覚えのある、しかしなじみの薄い音でした。
 なぜなら、それは包丁を研ぐ音だったのだから。
 こんな時間になんでまた? 不思議に思いながら、若者は再び眠りにつこうとしました。
 しかし、いつまでたっても包丁を研ぐ音は止みません。
 不思議に思った若者は、寝床から起きあがり、音のする方へ行ってみました。

 すると、そこには婆様が、蝋燭に照らし出され、恐ろしい表情で包丁を持っていました。
「見てしまったのですな・・・」
 婆様は恐ろしい声を出し、そのまま若者に斬りかかりました。
 婆様は、この若者はもっとたくさんお金を持っているだろう、それをもらおうと考えたのでした。

 倒れた若者を置き去りにして、婆様は若者の持ち物を漁りました。その中には、たしかにたくさんのお金がありました。
 しかし、それ以外の物は、全て婆様の見覚えのある物でした。
 荷物を包む風呂敷、手拭い、生活用品。
 それは、昔旅だったまま音信不通の、息子が持っていった物でした。
 そのとき、婆様は知りました。この若者は、自分の息子だったということを。
 息子は、久しぶりに帰ってきたことで両親を驚かそうと、他人のフリをしていたのです。
 それを知った婆様は、気が狂い、山へと消えてしまったそうです。
 その婆様は、その後、山姥となり、人を襲うようになってしまったそうです。


 それはさておき、東北地方には山姥伝説があります。
 こちらの方は、婆様が、間違えて娘と娘の旦那を殺してしまい、山姥となってしまったそうです。
 しかし、こちらの山姥は、旅の僧侶が退治したそうです。
 もしかしたら、今回の話と、この山姥伝説は、食い違ってしまった同じ話かも知れません。
 しかし、もしかしたら、全く別の、別々の山姥かも知れません。
 となると、もしかしたら、まだ別の山姥が、この世界のどこかにいるかも・・・・・・


第二十八話  あの子誰?語り手: 神代 櫻さん
 ある日、進級したばかりの小学生十人が、みんなで遊ぶ約束をしました。
 集まったのは男の子と女の子が同じくらいで、Mちゃんはまだ小さな妹を連れてきていました。
 すると、小さなMちゃんの妹は、Mちゃんの服をひっぱって
「ねえ…お姉ちゃん。なんでさあ……」
 けれどもMちゃんは、みんなと何で遊ぶかを話すのに夢中で、妹の話は耳に入りません。
 そしてみんなで話し合った結果、かくれんぼをして遊ぼうということになり、人数が多いので二人一組で隠れよう、と決まったのです。
 妹はその中にいたSくんを見て、またMちゃんに言います。
「ねぇ、お姉ちゃんてば……」
 でもMちゃんは取り合いません。
「もう、うるさいなあ。早く隠れるよ。」
 そして、かくれんぼがはじまり、みんなはてんでバラバラな方向へ走って行きました。
 Mちゃんの妹はじっと、Sくんを見たままです。

 やがて日も暮れて、ほとんどの子供がみつかり、そろそろ帰ろうかということになりました。
 けど、そのうちの誰かが、Sくんだけまだ見つかっていないことに気付くのです。
 みんなはあちこちSくんを探しました。けれどもSくんは何処にもいません。
 二日が経ち、三日が経っても、Sくんは戻ってはきませんでした。


 後日、かくれんぼをした子たちが集まって不思議に思っていると、また別の誰かがあることに気付き、そこにいた人数を数え出しました。
「八人しかいない……。」
 そしてぽつりと言います。
「Sくんと、あと誰かが足りないよ。」
 みんなはぎょっとして、誰がいないのかを確かめました。
 新学期ですから、みんなあまり友達の顔をおぼえていないのです。
 けれども、二人一組になって遊んだのですから、誰がいないのかすぐにわかるはずです。
 ひとくみ……ふたくみ……さんくみ……よんくみ……
 けれども、そこにはちゃんと、四組のペアが成り立っていました。
「ねえ…Sくんて……、誰とペアになったの?」
 誰かが呟いて、そして全員が、どきりとしました。
 そしてみんなは思いました。一体、誰がSくんとペアになったのかと。
 けれども誰も思い出せません。
 だってだれも…そんな子は知らなかったのですから。

 すると、そこにいたMちゃんの妹はたまらなくなって「だから言ったのに!」と叫び出しました。
 みんながMちゃんの妹に注目します。妹はガタガタと震えたようにして、こう続けました。
「だから言ったのに! どうしてSくん、
 血だらけの女の子と一緒にいるの!? て!!!!!!」


第二十九話  3階なのに…語り手: てぃあさん
 婆ちゃんの葬式の時。親戚やいとこが泊まりにきてました。
 中1の時なので、まだ自分の部屋がなかった頃です。
 それで、妹といとこのお姉さんと一緒に寝ることに。
 先にお風呂にはいるようにいわれて、行って来ました。そして次は妹とお姉さんが。


 一人ですでに敷いてある布団の上でころころしてると…
 ベランダのある方のガラス戸じゃなくて、もう一つの窓の方から、
 ドンドンドン!!と窓を激しくノックする音が!
 障子が閉まってたので、なんだったのかわかりませんが、
 問題は、その窓の下は2階分の高さがあるため、実際には3階に当たることと、
 その窓を開けると、お墓が見えること(うちのお隣はお寺さんでした)
 でも、障子が開いてて「手だけがノックしてた」とか「人がノックしていた」とか見えてたらやですよねぇ。
 とりあえず、そのときは怖くて動けませんでした。
 それも、そのときだけでなにもなかったです。


第三十話  夢の続き語り手: JUSさん
 二年前・・・・・・まだ高校生の私は、バイトが終わったら事務所でダベって深夜に帰ることが多い、悪い子でした。
 その日はいつも通り、深夜に人気のない道を一人歩いていました。
 ふと、背中に視線を感じ、振り向きました。
 しかし、誰もいません。よくありますよね。なぜか誰か後ろにいるような気がして、何度も振り向いてしまうのは
 自意識過剰な私、探偵ごっこよろしく何度も振り向いていました。
 結局、振り向いた甲斐もなく、誰一人見つけることもないまま自宅に着きました。


 そして、その日の夢の中・・・・・・・・・
 まったく同じ道を歩いている私がいました。
 けれどもさっきと違うのは、確かに何かに追われているんです!!
 後ろからは私にぴったりついて聞こえる足跡と、『オォォォォォォ・・・・・・』というような風の音にも似た不気味な叫び声がっ!
 そして、その足跡と声は近づいてきます。
 私はこれが夢だと分かっていました。でも、どうすることもできません。ただただ後ろを見ないようにして歩くだけです。
 突然!!!
 パッ!っと目が醒めました。もちろん私がいるのは自室のベッド。
 しかし、開いたのは目だけ。体はまったく動きません。俗に言う『金縛り』ってやつです。
 でもまあ、体が動かないだけで、別に怖くもなんともありません。
 しかし、動かない体に聞こえてくるのは先ほど夢の中で聞いていた『オォォォォォ・・・・』といううめき声が!
 耳をふさぎたい。でも、手が動かせない。絶体絶命です
 何かが見えたら嫌なので、とりあえず目はつぶっておくことにしました。そのうち寝れるだろう、と
 恐怖に耐えつつも、そこは生来の図太い性格。無事に眠りに着くことができました。


 その後、起きたら何もありませんでした。今思うと、あの追いかけられて、起きて、金縛りにあって、眠るまでが全部自意識過剰な私が見た夢だったのかもしれません。
 でも、現実なのかもしれないんです。今となっては、それを確かめる術はありません
 作り話じゃないんで、オチはないです。しかし、これだけ夢と現実がリンクしているのが当時怖くなって、普通に数日間夜にお風呂やトイレにいけませんでした。
 夜に自分の背中に空間があると、その壁との間に何かがいるような気がするんです・・・・・・・


第三十一話  生禁止語り手: くれつきさん
 これは、今さっき父親に聞いたばっかりのお話です。
 昔、父親は開教使という、まぁ、外国のお寺に居たときの話です。

 ある日、そのお寺の納骨堂の点検をもうひとりの僧侶の方としていたときだったそうです。
 そこの納骨堂はステンレス製の引き出しになっていて、中に四角い骨壷が入っていたそうです。
 毎夜、10時ごろ、点検をしますが、
 ある晩、Fさんが点検したとき、知っている檀家さんTさんの家の納骨堂の引き出しが2,3センチ手前に開いていたので閉めてあげようとしたけど、押しても閉まらなかったのです。
 中の骨壷が引っかかっているかと思って、引き出しを開けてみたら・・・
 手前の方に白い、丸いものがあったそうです。
 何だろうと思って、両手でヒョイと持ち上げると・・・
 目の前に、実物大の・・・というより、実物の頭蓋骨がこちらを向いて「はろ〜」という顔でFさんの手に納まっていたそうです。
 驚いたと同時に、両手が固まってしまい、その手の間から頭蓋骨がFさんの顔を見ながらまるでスローモーションのように下へ降りて行ったそうです。

 我に返ったFさんは、事務所の電話まで走って行き、警察に電話しようとしたけれど、その前に、Tさんに連絡をとりました。
 Tさん曰く。「今日の夕方、海岸を歩いていたら、砂の中から出てきたもので、警察に明日届けようと思ったが、とりあえずどこに保管しようかと考え、お骨=納骨堂と、考えてお寺の自分の納骨ロッカーに閉まっておこう」と考えたそうです。
 後日の調査で、百数十年以上前の頭蓋骨であり、事件とは関係ないことが分かり、一同ほっとしました。

 それを聞いた同僚の僧侶曰く。「頭蓋骨を入れるなという張り紙をだそうか」と、なりましたが、結局「生の頭蓋骨禁止」の張り紙は貼られなかったそうです。


第三十二話  バイバイ語り手: さんきちさん
 これは、自分が中学の時の部活の顧問で霊感のある先生が体験したことです。
 ある日、先生の知り合いで、先生も何回か会ったことのある女の子が事故で亡くなってしまったそうです。

 明日がお通夜というその夜。
 先生はいつもの通り、5才の息子とお風呂に一緒に入っていたそうです。
 息子の体も洗ってあげて、奥さんに「出るよー」と言って、その息子だけ外に出して今度は自分の体を洗いはじめました。
 その時。
 ちゃぽぅぅぅん・・
 キュッキュッ ジャー・・・・
 不意に背後から、蛇口をひねった音と水が流れる音がしました。
 先生は恐怖を感じなかったらしいです。
 先生は振り向かずに髪を洗いながら「お。遊びに来たのか。」といいました。
 しばらく、湯舟がちゃぷちゃぷいう音が聞こえていたそうです。
 先生は後に、多分別れの挨拶にきたのだろう言っていました。


第三十三話  見ている語り手: 猫耳さん
 これは、うちの猫がまだ生きている時なので、去年の春頃のことになります。
 かなり長生きしている老猫なのですが、その頃ケガをしていたので、猫のそばにいるために、私は二階の寝室ではなく、リビングのソファーに寝ていました
 二人掛けと三人掛け、二つのソファーのうち、三人掛けの方に寝ていました。
 頭の方が南、足の方が北、斜め右下にあたる方が鬼門の北東となります。
 実は、その鬼門にあたるリビングの角からは、よく妙な気配がしたり、猫が夜中にその角に向かって、いきなり毛を逆立ててうなったりします
 その鬼門の角から西、つまり寝ている自分からみると、左の方にはキッチンがあります。リビングとは壁で仕切られていて、直接は見えませんが


 その夜、いつもの時間(12時くらい)にソファーに横になり、ひと寝入りしました。
 ふと、目を覚ますと、ソファーの下で寝ていたはずの猫が、自分の足の上に乗っていました
 ケガをしているので、自分で上がってくることはあまりないので、珍しいと思い、撫でてやろうと目を開けて足元の方を見ると、
 リビングとキッチンを仕切る壁のきわから、誰かが覗いているのです。
 寝ぼけていたので、子供が起きてきたのかと思い、声を掛けようとして、
 頭の位置が高いのに、気がつきました。
 主人よりも高いところに、頭が見えているのです。
 その時、猫が全身をこわばらせて、ぐぐ〜っと、うなっていることに、やっと気が付いて、
 やばいっ………と。
 でも、怖がるとよけいにきそうなので、
 これは夢だ、気のせいだ、そこには何もいない、などとしばらく心の中で叫んでいました。

 少年のようでした。
 ロン毛というほどは長くない髪の毛を、真中わけにして、白いハイネックの長袖を着ているのまでは分りましたが、なぜだか顔がわかりません。
 顔だけが、ぼんやりとしていて、でも、そこで気が付きました。
 自分は極度の近眼で、眼鏡を掛けてない状態では、足元すらボンヤリとしか見えないのに、どうして髪型や服がはっきり分るのだろうか、と。

 そう、思ったとたん、ソレが壁のはしから少しずつ、少しずつ、出てきました。
 妙なモノを見るのはそれが初めてではないのに、なぜか急に「まずいっ」と思い、
 慌てて、リビングのドアから二階の主人の寝ている部屋へ、駆け上がりました。
 主人は、見たり感じたりはしない人なので、そばにいれば、寄ってこないのです、いつもは。
 でも、慌てていたので、猫はそのままソファーの上に、置いてきてしまいました。
 主人のベットにもぐりこみ、これでもう安心と、仰向けになったら、
 目の前に、ものすごく巨大な、さっきの少年の顔がありました。
 鼻や口は、同じくボンヤリとしていましたが、目だけははっきりとしていました。
 でも、黒目な白目の区別がなく、白っぽく全体的に濁っていて、
 なのに、なぜか、ギョロリと睨ましているような気がしました。
 悲鳴を上げたくても、声にならず、主人を起こすことも思いつかず、ぎゅっと目をつぶってひたすら腕にしがみついていました。
 耳にかすかにどんよりとした笑い声が聞こえましたが、無視して心の中であっちへいけーあっちーいけーと、叫びつづけているうちに、いつのまにか眠ってしまったようで、


 目を覚ました時は、カーテンの向こうがうっすらと明るくなっていて、ソレも消えていました。
 何が来たのかは、わかりません。
 ですが、外がすっかり明るくなってから、下に降りたら、猫がソファーの上で、立ったままでいたので、
 よほどのモノだったのかと思った時が、また怖かったです(ケガのせいで、あまり動けない猫が、一晩中立ったままでいたらしいので。毛も逆立ったままでしたし。)


第三十四話  金縛り語り手: くれつきさん
 私が中学の3年の時でした。
 当時、私は何かと理由をつけては学校を休む子でした。
 その日も、胃が痛いという理由が珍しく母親に通って学校を休みました。
 で、まぁ、一応「病気」で学校を休むのだから、午前中ぐらい大人しく寝ていようとベッドに入って横になっていることにしました。

 当時の私の部屋は、ベッドを部屋の入り口の方に、頭を向けた状態で置いてあり、その枕元には電話の子機がありました。
 足元の方に窓があり、昼ということで外はとても明るく、その向こうには小学校があるので子供達の声がにぎやかに響いていました。
 私は眠くもないので、ベッドの上でただ横になっていました。


 そして、10時頃・・・だったでしょうか?電話が鳴りました。
 私は、学校の担任の先生が私の様子を知るためにかけてきたものだと思いました。
 で、わざと寝たフリをすることにしました。
 学校からだったら、そのうち母親が部屋に言いに来るだろうと思ったのです。
 やがて、思ったように頭側にある部屋の入り口に誰かの・・・人の気配がしました。
 私は、わざとらしく「何?」と言おうと思って入り口を向こうと思ったのです。
 が・・・

 声が出ませんでした。
 体も動きません。目も開けれません。
 最初は入り口の人の気配を母親だと思っていたのですが、向こうから声をかけてくる様子もないのです。
 あれほど聞こえていた小学校の子供の声も聞こえません。
 でも、入り口に、誰かが居るのです。
 目は開けれず、でも、光の渦が延々と続く渦が見えました。とても眩しかったのを憶えてます。


 私が光の渦に気付き、そちらに意識が行った時、ふと入り口の人の気配がなくなったように感じました。
 それと同時に、頭が枕に沈んだ・・・というか、枕の感覚が戻ってきました。
 そしてまず上半身がずしっと重みを感じ、そこで目を開けると途端に小学校の子供の声が耳に届きました。
 下半身のほうもいつの間にか感覚が戻っていたので、怖かったけれど入り口を見ようと後を振り返ってみました。
 しかし、入り口には誰も居ませんでした。
 そこでふと、同じ方向にあった子機に目が行きました。
 子機は、私が見ると同時に外線のランプが消えました。どうやら、私は電話がかかっている間、金縛りに遭っていたようです。
 後で母親に、「私の部屋に来た?」と聞くと、「いいや、誰も行ってないよ」と言われ、
 「じゃぁ、電話って、誰からだったの?」と聞きましたが、私には全く縁のない檀家さんでした。


第三十五話  落ちて来た物語り手: 龍崎さん
 これは、私の経験した、唯一の不可思議現象です。
 それは、何年か前の夏の事。
 よくやる、怪奇現象を集めた、TVを見ていた時です。
 稲川淳二さんが、体験談を話してたんです。
「その時、天井から血かぽた〜り、ぽたりと‥」話が架橋に入った所で‥
 TVの前に座っていた、私の腕に、何かがポタリ‥‥と落ちて来たんです。
 あれ?と思って、その場所を見たら‥何もないんです。感触は確かに、あったのに。それも、液体でした。
 おかしいな。あの感触なら、結構大きな水滴が落ちて来た筈なのに‥と思い、天井を見上げて見ると‥
 ‥‥何もないんです。うちは、2階建てのアパートの1階なので、2階で水でも漏らしたかな?とも思ったのですが、それらしい気配はありませんでした。
 気のせいかな?と思い、食事の支度をするべく、キッチンに移動したんです。
 包丁を握って、料理をしていると‥‥また、ポタリ‥‥と何かが落ちてきました。
 おや?と思って、当たった場所を見ると‥‥何も有りません。
 天井を見上げると‥‥‥やっぱり、何もありません。
 1度なら気のせいですが、2度続けば‥必然です。
 それ以来、しばらくの間、怪奇物のTVは御法度になりました。


第三十六話  覗き幽霊語り手: 星影さん
 私の友達はちょっと前まで新宿の神社で巫女をしていたんです。
 彼女が仕事を始めて数日目のこと、社務所で着替えをしていたら、後からなにやら視線を感じたそうです。
 もしかして、「覗き?」と思った彼女は、後の細い窓を開けて、外を見てみました。
 そうしたら、果たして、瑞垣(塀)の向こうから、はげた中年オヤジが、覗いてたそうです。
 彼女は、「覗かないでください。」といって、ぴしゃっと戸を閉めたそうです。
 しかしそれが、何日もあったそうです。さすがに彼女も怒って、この覗き魔のことを他の職員さんにも話しました。

 しかしそこの職員さんを男が覗いているところに連れて行っても、他の人には、彼が見えないらしく、かえって、彼女の方が変なことをいっていると思われるようになりました。
 よくよく聞いてみると、彼女の他には、巫女長のおばさんしか、その男は見えず、他の人には見えないらしいのです。
 そこで、やっと幽霊らしいということが解り、宮司さんにお祓いしてもらうように頼んでみました。
 しかし宮司さんは、その話を聞いて、何だか、後ろめたいところがあるらしく、彼女の願いは、聞き届けられませんでした。
 仕方なく彼女は何週間か、そのままで我慢していましたが、その間も、覗き魔はうつろな目で覗き続けていたそうです。

 そしてある日、彼女は、近所のおじさんから、バブル時代にそこの神社と、地上げ屋さんと、そこの地主さんとで、土地を巡って争いがあったのだと聞かされました。
 そして、その争いの中で、地主さんが自殺したのだと知らされました。
 どうやらはげオヤジは、自殺した地主さんだったようです。
 そして彼はいくらお祓いしても、消えてくれず、じーーっと神社の方を恨めしく見ているのだそうです。
 彼女はその後、やはり覗きに耐えきれなかったのか、巫女のバイトを辞めたそうです。


第三十七話  訴えるもの語り手: れいさん
 これは、私が小学生の修学旅行で体験したお話です。

 修学旅行は2泊3日だったのですが、2日目に、私達は奈良へ行きました。
 その時は確か夕食も終わり、奈良の公園へみんな一緒で散歩の時間でした。
 その公園へは、昼にも行きました。昼の時には沢山鹿がいたのですが、夜みんなで行った時には何故か余りいませんでした。
 私は仲の良い友達と一緒に、あちこち周ったり、写真を撮ったりしていました。
 すると、他のグループの人たちから、「写真撮って」と言われたので、撮る事にしました。
 さあ撮ろうとしてシャッターを切ったのですが、ついフラッシュボタンを押し忘れてしまいました。
 フラッシュボタンを押し忘れた上、それが最後の一枚だったらしく、そのグループの人達は怒ってさっさと他の所へ行ってしまいました。

 翌朝、この日は修学旅行最後の日でした。
 ホテルの方々に挨拶をして、最後の見学地へ行った後、帰りの新幹線に乗ろうとした時です。
 私に写真を頼んだ人が、いきなり新幹線のドアに首を挟まれました。
 幸いドアはすぐに開き、そのお話はみんなの中では笑い話になりました。


 そして、数日後、みんなが写した写真が、教室に並べられました。
 その中に、私が写した写真もありました。
 フラッシュを押していなかったのに、その写真は他の写真よりもよく見えました。そして、
 その写真の中には、緑色の物体がふよふよと浮かんでいました。
 何故こんなものが!?と最初思いましたが、心当たりがありました。

 その写真を撮った日の昼、その公園に向かうバスの中で、バスガイドさんはこう言っておりました。
 昔、鹿は神聖な動物だと言われ、あの藤原氏も鹿の前で拝んだ、と。
 そしてある日、ある童が野外で書道をしていると、側に鹿がやってきました。
 童は邪魔だなと思い、持っていた文鎮を振り下ろしました。
 すると打ち所が悪かった所為で、鹿は死んでしまいました。
 童はしまった、と悔やみましたが、もう時既に遅し、童は神聖な鹿を殺した罪で、その公園に生き埋めにされました。
 だからその霊なのだな、と私は思いました。
 それから私はもう写真を頼まれても撮らない事に決めました。


第三十八話  一夏の体験最終話語り手: Lilyさん
 前回から更に1週間後。
 学校を終えて地下街を歩いていてレストラン街のショーウィンドウをふと見ると…
 そこには私の姿ではなく60〜70のぐらい小柄なお婆ちゃんの姿が!
 しかも、お婆ちゃんは私に向かってぺこっとおじぎをしたのです。
 思わず後ろを振りかえるといままでと同じようにそんな人はいませんでした。
 それからもう一度ショーウィンドウを見てみましたがそこには私の姿が写っていました………
 もともと感じるくらいの霊感はあるのですが、こんなにはっきり見えたのはこの間だけでした。


第三十九話  必ず起こる事語り手: 紫嵐さん
 俺がまだ小学校のときでした。
 その頃は時々、親と一緒に寝ていたのですが、親の部屋で寝るのは大嫌いでした。
 大嫌いな理由。それは、その部屋で寝ると必ずある事がおきるからです。


 親の部屋で寝ると、横向いて寝てようが、うつ伏せで寝てようが、夜中に仰向けで起きて、肉体が動かない……・・言わば、“金縛り”の状態になるんです。
 それだけじゃ、終らないんです。俺の視線を中心に、部屋(天井)がぐるぐる回ってるように見えてきて、耳からはすごく低い男性の声と甲高い子供の声が聞こえて………
 それだけでももう嫌なのに、挙句の果てにはぐるぐる回る内に天井が近付いてくるんです。
 ぶつかりそうになって……
「もう嫌だぁ!!」
 そう思ったときに、目を瞑る事ができ、瞬時に眠りにつくんです。
 それが夢なのかはよく解りません。しかし、小学生の俺にとってはすごく怖い事でした。
 昼間に寝ても平気なのに、夜になるとそんな事が起きる…………一体何なのかは今も謎です。
 その時の感覚はもう既にありません。最近ではもうその部屋で寝ていないのですから。


第四十話  語り手: 磐玲昂さん
 某地方都市の市街地のほぼ中央に 「御山」と呼ばれる山がありまして
 市内の小学校の中低学年の遠足は必ずここに行くと言うほどの山であります

 ある年 遠足に来ていた市内の小学生がこの山で行方不明になるという事件がありまして
 一週間後に 洞窟の中で頭を打って亡くなっているその児童が見つかりまして
 警察でも 脚を滑らせて頭をぶつけたのだろうと言うことになったのでございます
 しかし 他の小学校2・3校でも同じようなことがおきまして一応入り口にロープを張るなどの対策がとられました
 地元の高校生などが調査に入ったところ かなり中は整然としていて他の入り口には垂直に荷物の上げ下げをする装置などが付いた穴もありました
 その調査に入った 高校生も落下してきた石に当たって 一名重傷 二名軽傷を負ったのですが
 やはり危ないと言うことで コンクリートでふさがれてしましました


 この洞窟ですが
 元々 都市部の空襲が激しくなった 昭和一九年暮れに 中島飛行機の発動機制作 戦闘機最終組立工場として
 空襲に一回しかさらされていない この都市に工場疎開で作られた地下工場跡だったのです
 この工場は 三ヶ月で作られましたが その労働力の中には朝鮮から召集された 工夫がたくさん居たのです
 その労働環境たるや劣悪なもので 地元の人にも死亡者が出たというのですから 朝鮮から来た人たちはいかほどか・・・・・・・・・・。
 故郷から遠く離れ 異境の地で亡くなった人たちの心境たるやどんなものだったのでしょうか
 その方々の魂魄が 故郷に還れずにいたとしたら こんな事件でも説明が行くのではないでしょうか


第四十一話  戦国の怨霊語り手: かおさん
 韓国に行ったとき外人墓地にいったんです。
 私はなんとも思わなかったんですけど、そのときからはじまったようです。それ。

 そのとき、私あの日だったんですよね。
 で、戻ってから、おかしいのに気がついた・・。
 その日から、終わらなくなっちゃったんです。それが・・。
 六ヶ月続いて・・さすがに病院に行ったと・・。
 でも、検査結果は、異常なし。

 で、それから三ヵ月後、あまりに終わらないんで、違う病院にも行ったんですよ。
 そのとき、血液検査をしたんですが・・。先生に驚かれました。
 血液の数値が意識を保ってるのが不思議だ!と言われて。
 普通なら、立ってられずに気絶するはずだって・・。
 なんか、ものすごく、血液中の成分がなくなってたらしいです。


 で、またまた三ヵ月後。まだ、終わらない。
 さすがに、母親がおかしいと思ったらしく、
 知り合いの霊感持ってる人に相談したらしいんですよね。
 そしたら、学校が終わってからでも、遅くてもいいから、すぐ連れてきなさいって言われたらしい。
 で、学校から帰ってすぐ、出かけるよって言われて、その人の所へ行ったんですよ。
 そしたら、いきなり椅子に座って目を閉じてと言われて。
「何にも考えないで手を合わせてなさい」と言われたので、そうしました。
 何をやったのかは知らないけど、しばらくして「もういいよ」と言われて。
 「しばらくこれ持ってなさい」って、何か石みたいな物を手渡されました。
 必ず、向こう三ヶ月以上は絶対肌身離したらだめだって・・。


 で、次の日・・・。
 なんと、終わった・・。
 さすがに不思議に思って母親を問いつめたところ、
 聞かないほうがいい・・・と。
 でも更に問い詰めたところ、しぶしぶ、ぽつりと教えてくれました。
 なんか、憑いてたんだって・・・と・・・。
 その時は、それ以上は教えてくれませんでした。

 で、半年後。そのことをまた聞きました。
 そしたら、あのとき話したら、また憑くからっていうので教えれなかったんだそうです。
 で・・・なにが憑いてたかというと・・・・。
 なんと、戦国時代の女性と思われる髪の長い女性だったらしい。
 韓国から連れてきたようで。
 それで、私を取り殺そうとしてたらしい。その霊感持ってる人が言ったのは。
 かなり強い霊だったらしくて、無理矢理はがしても、しばらくそばにいたそうです。
 で、話すな!と母親は釘をさされていたんだとか。
 ・・・私全然気づかなかったんだけどね・・。
 で、一年後には、ようやくどっかに行ったらしくて、話してくれた。と。
 なんか、さらに聞いたら、たまたま私と波長が合った為とか。
 私、全然霊感とかないのに・・・。


 で、一応この件は無事に終わったと・・。でも・・・。
 最後に聞いた言葉がはなれなくて・・。
 どっかに行ったんじゃなくて、別の人にとり憑いたから、私はもう大丈夫よ・・。と。
 ・・・・その人・・・どうなったんだろうか?
 私には、それ以上は分かりません。
 なんでも、下手したら霊能者でも死ぬよ・・あの霊は。と霊感持ってる人は言っていました。
 そういうわけで、皆さんも、気をつけてくださいね。
 まだいるらしいから。どこかに・・・。


第四十二話  マンションの女の子語り手: Lilyさん
 これは同級生のお兄さんの友達の実体験。
 彼がバイトで夜遅く自宅のマンションに帰ろうとしたときの事。
 自分の部屋のある階に上がろうとしたとき5階の部屋から女の子が彼をじーっと首を傾げて見ているのです。
「こんな深夜にどうしたんだろう」と思いましたがその日はそのまま家に帰ったそうです。
 その翌日。またバイトから帰ってくるとその女の子はじーっとこちらを見ていました。
 そんなことが1週間近く続いたそうです。

 そんなある日のこと。
 いつもよりも遅くマンションに帰るとやっぱり女の子がこちらを見ていました。
 さすがに不審に思ってその女の子がいるはずの階の部屋に行きました。
 呼び鈴を押しても誰も出ず、ドアに鍵はかかっていませんでした。
 そして、ドアを開けると……
 女の子がベランダで・・・・・
 首を吊って死んでいたそうです


第四十三話  赤いもみじ語り手: かおさん
 これは、同級生の女の子達が実際に経験した話です。
 私達は修学旅行で韓国へいきました。
 そして、最後に泊まったホテルが・・かなり変わってまして・・。
 なぜかキッチンがあり、そしてベットルームと和室。
 しかも和室の中央には、等身大の鏡がぽつん・・とひとつ。
 なんか、見ただけで不気味でした。はっきり言って・・。
 そしてその女の子達の部屋は、ちょっと私達より離れていました。
 ですから、後日聞いた話です。


 その子は昼間ガイドさんに、ホテルに泊まる時には御札に気をつけて。と言われていたので、皆で手分けして確認をしたそうです。ないことを祈って・・。
 その子の泊まる予定の部屋には、隠すように3個の御札がありました・・。
 あたりまえながら、その子たちは部屋を変えてくれと先生に直訴しました。・・聞いてはもらえませんでしたが・・。

 その夜・・・。
 一応、5・6人で泊まるのですが、うち何人かはその部屋にいるのが嫌だと言って、隣の部屋へ避難してました。
 そして、残った女の子四人・・。
 さすがに怖いらしく、和室で全員でかたまっていたらしいです。

 すると・・・。誰もいないはずなのに・・・。
 いきなり、ふすまがどんっとゆれ・・・。
 がたがたと動きはじめたそうです。
 そして、ふと、一人が何かに気づきました。それは・・・。
 なにか、赤い染みのようなもの・・さっきまではなかったものです。
 しかも、どんどん増えてる・・・
 一人の子が近づいてみてみると・・それは、血の色をした、小さな手形でした・・。
 しかも、見ている前で、どんどん増えていったそうです、それ・・・。
 ・・大パニックになった彼女達は、部屋を飛び出て、騒ぎ始めました。
 さすがに先生達も、騒ぎを聞きつけて部屋の中に確認にはいったのですが・・・
 そのときは、手形・・なかったそうです。
 で、何もないじゃないか!といってふすまを開けたところ・・・
 何もないはずの押入れの中には、大小さまざまの手形や足跡があったそうです・・血のように赤い・・。
 さすがに、彼女たちも他の部屋で寝たそうです。


 次の日、先生達は聞いても何も答えてくれませんでした・・。
 これはその場にいた一人の子から聞いた話でした。


第四十四話  笑い声語り手: 猫耳さん
 これは、先週話した体験の少しあとで、去年の夏頃のことです。
 猫耳は、クラシック音楽が好きで、週末の深夜は大抵はNHKのBSで、クラシック番組を見ます。
 その夜は、オペラで、あまり興味のない演目だったので、BGMがわりにして、読書をしていました。
 時間は、多分深夜1時半を過ぎていました。


 ふと気が付くと、音楽が鳴っていません。
 かわりと言ってはなんですが、しばらくの間、笑い声がしていました。
 本から目を上げて、テレビを見ると、薄物の衣装を着た女の人が二人、踊っていたので、笑い声もセリフかと思いました。

 再び、本を読み出したのですが、いつまでたっても笑い声が終わりません。
 いくらなんでも、音楽無しで笑い声ばかり20分位続くのは、ヘンだなと思い、またテレビに目を移すと、
 場面はすでに変わっていて、男の人が身振り手振りで歌っていました。
 いえ、歌っている姿だけ、見えました。
 相変わらず、笑い声ばかりが響いていました。
 ソプラノのような高い女の人の声で、二人分の笑い声でした。
 画面上は、音楽が鳴っているはずなのに、音は笑い声だけです。
 怖いので、これは笑い声のシーンなんだと、自分に言い聞かせていました。
 テレビを消すことも出来ません。
 そうなんです。消しても笑い声が続いていたらと思うと、動けませんでした。


 でも、そのうち、笑い声が耳元でするようになりました。
 耳のすぐ後ろから聞こえてくるような。
 総毛だって、思わず、助けを乞うように、猫の名前を大声で叫んでいました。
 その瞬間、今の今まで聞こえていた笑い声が止んで、唐突にオーケストラの音が鳴り出しました。
 金縛りというわけではなかったですが、身体が硬直していました。
 その夜は、それっきり笑い声は聞こえず、オペラもそのまま終わりました。
 友人に言わせると、遅くまで起きているから、からかわれたんだそうです。

 ただ、猫が……
 やはりと言うか、
 例の鬼門の角を、じっと睨みつけていました。
 テレビの方ではなく……


第四十五話  お地蔵さん語り手: さんきちさん
 これは自分がついこの前合宿に行っている間、妹が家で体験した話です。
 その晩、妹は布団に入り眠ろうとしていました。
 その時は眠くて、もうそろそろ眠りそう・・となったその時です
 足下がやけに重いな・・と足下を見てみると・・・
 何故かお地蔵さんが足の上にありました。
 その時妹は初めて金縛りにあったそうです。身動き一つ取れませんでした。
 と思った次の瞬間、
 今度は体が宙に浮き上がる感じがしたそうです
 びっくりして慌てて力を全身に込めたら
 ちゃんと自分の体に戻れたそうです。
 その後はぼんやりしていてよく覚えていないそうですが、朝になったら地蔵さんは消えていました。
 それが霊感皆無と思われる我が家系に唯一起こった霊体験でした。


第四十六話  台所語り手: れいさん
 この前猫耳さんの台所は鬼門の方向だと仰っていたのですが、実は私の家の台所も鬼門の方向なんです。
 私の家は造り酒屋で、昼等では蔵人の方達がばたばたして結構忙しそうなのですが、
 その日私はパソコンをしていたのですが、何故か静かでした。昼過ぎで平日だったと言うのに。
 何か静かだなーと思いながらパソでもくもくとネットサーフィンをしていた所、
 いきなり台所から(パソの置いてある所の右の部屋が台所です)がさごそ…という音がしたので、
 蔵人の方がダンボールでも引きずってるのかなと思い声を掛けたのですが、返事がありませんでした。
 まだがさごそと音がしているので、まさか鼠とか猫か?と思い、台所へむかいました。


 手に持っていた1mの竹物差しでがさごそ音のするゴミ袋を叩いてみたところ、
 下からいきなり猫が現れました。
 猫か(我が家には軒下に数匹は猫が住み着いているので)と思い扉の外に追い出し、さあパソに、と向かったところで、
 またがさごそと音がしました。
 また入ったのかとうんざりしながら台所へ向かうと、音は消えました。
 しかし、私がパソへ向かうと再びがさごそと音がするのです。
 若しかしたら耳の悪い蔵人の人かなと思い外へ出ても、誰もいません。
 家に入っても、まだ音がしていました。
 台所に入っても、その音はすぐやんでしまうので、意を決してそのゴミ袋を持ち上げました。
 しかし、今度は何もいませんでした。そして戸を閉めそのゴミ袋を戻してパソに向かうと、やっぱり音がするのです。


 もう放っておこう、と思って無視しようとすると、音はどんどん大きくなっていきました。
 パソを消したかったのですが、身体が動きません。
 耳をふさぎたくなる程音が大きくなった所で、ちょうど仕事に一区切りつけた母が家に戻って来ました。
 すると音がぴたりとやみました。
 若しかしたら袋の中にゴキブリとかが入っていたのかも、と思いほっとして母に、
 「何かそのゴミ袋すっごくやかましくがさごそ言ってたんだけど、ゴキブリいるかも知れないから見て」と言ったのですが、
 「そんな音聞こえなかったわよ」という返事が返ってきました。
 あんなに大きい音が聞こえない筈は無い、と思ったのですが、全然聞こえなかった、とのこと。


 それでその話は終わったのですが、考えてみるとその前にも同じ様ながさごそという音があった記憶が確かにありました。
 そして、つい数日前にも、同じ様な体験をしました。(大きくはなりませんでしたが)
 そしてその音は必ず私しか聞こえず、私が独りの時にしかならないのです。


第四十七話  見てはいけない影語り手: 流華さん
 この話はつい数ヶ月前私が体験した出来事です。
 その時私はネットから落ちて寝ようとしていたところでした。
 布団に入り寝ようと思いつつごろごろしてました。


 そして3時ごろにそれはおきました。
 頭に鳴り響く何かの音・・・
 ―金縛りだ・・・―
 そう思った時はもう遅く、既に金縛りになってました。
 いつも金縛りにはあってるので、その時はあまり気にせず寝ようかなと思い、目を閉じました。

 暫くしてなにか首の辺りに何かがあたり息苦しくなってきます。
 それから十数秒後・・・。
 ググッ・・・
 何者かが私の首を確かに絞めています・・・。
 その時私は息ができなくなりました
 動かないとヤバイ。そう思った私は本当は開けてはいけない目を開けてしまいました。


 そこにそれはいたんです・・・。
 青白い顔をしたかなり年をとった御老人の姿が・・・。
 その青い顔をした御老人は私の顔を覗きこみこう呟きました・・・。
 ―・・・タスケテくれるんだろう・・・?―
 ・・・と。

 そしてその時枕元で携帯が鳴りました。
 携帯の相手は私の友人で霊感の強い人でした。
 その時金縛りがとけ、老人の姿も消えていました。
 電話に出てみると友人が聞いてきました。
『あまり良いのじゃない気配を感じたんだけど・・・大丈夫?』
 と・・・。
 未だになんだったのかわからないけど、できるならもうアレには会いたくないな・・・と思いました。


第四十八話  足音語り手: 座視気雷恩さん
 お盆、つまりはついこの間の話なんですけど
 母の実家に泊まりに行ってたんです。
 時間は、11時半くらいだったと思います。
 2階でごろごろしてたんですよ。
 そしたら、階段を下りていく音がしたんですよ。
 ちなみに、その時みんな2階にいたはずです。
 それから、トイレの戸を開けたような音がしました。
 で、また階段の音が。
 でも、その時家にいたのは4人で、2人は寝てて、もう一人はすぐそこにいたんです。
 だれも、下りる人なんているはずないんです。
 第一、2階にもトイレはありますし。
 そう言えば、2年くらい前にいとこがそういう足音を聞いた、と言っていました。
 お盆が終わったあとも1日くらい泊まったんですが、その時はまったくそういう音はしませんでした。
 ちなみに、この間聞いた足音は近くにいた兄も聞いたようです。






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