◆−――Together――−聖夜里奈(4/8-01:49)No.2901
 ┣―― Together ―― 1−聖夜里奈(4/8-01:50)No.2902
 ┃┗もしかして・・・・?−seria(4/8-12:43)No.2906
 ┃ ┗そんな勇気ある発言が大好きです☆−聖夜里奈(4/9-01:03)No.2909
 ┣―― Together ―― 2−聖夜里奈(4/9-01:06)No.2910
 ┃┗きゃあ♪−seria(4/9-19:52)No.2912
 ┃ ┗受験か・・・(そーいえばあたしも・・・)−聖夜里奈(4/10-05:17)No.2913
 ┃  ┗現実逃避中・・・・・・−seria(4/10-18:19)No.2922
 ┣―― Together ―― 3−聖夜里奈(4/10-05:30)No.2915
 ┣―― Together ―― 4−聖夜里奈(4/10-05:33)No.2916
 ┗――Together―― 5−聖夜里奈(4/23-02:12)No.2942


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2901――Together――聖夜里奈 4/8-01:49


またまた駄文書きがやってきました・・・。
今回はガウリナですが、
何話立てになるか、さっぱり予測がつきません。
え?それより『――(ピー)――で』を終わらせたらって?
・・・その通りです・・・ごめんなさい。
でもまぁ、せっかく新しいお話も思いついたので、
ここに投稿してみました。

では、『――Together(共に)――』の連載開始です。
ぜひ、気長にお付き合い下さい。

短い前書で申し訳ございません。

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2902―― Together ―― 1聖夜里奈 4/8-01:50
記事番号2901へのコメント


・・・目の前には、たった一冊の、分厚い魔道書。
そこには、独特の静かな空気だけが満ちていた。
見れば誰にでもわかる。
ここは、結構大きめの図書館だ。
あたしの他に、居る者は・・・誰もいない。
あたし一人だけが、長机に一人で座り、魔道書を読んでいた・・・のだろうか?
・・・時間感覚が余りにも無かったため、自分でも少々驚きつつも、
もうそろそろ帰ろうと思い、立ち上がろうとしたが・・・
体に力が入らなく、上手く立ちあがれない。
そして・・・その時、あたしは初めて知った。
・・・どうしても、少し前の事を思い出せないことに。
あたしは、一体ここで何をしていたのか。
どうしてここに居るのか、という事すらも、
――そして、
何処へ帰れば良いのか、ということすらも・・・。

――・・・そうだ・・・あたしは誰だったっけ・・・――

ふと、そんな疑問が頭をかすめた。
・・・忘れてしまったのは、ちょっと前の事、所では無いらしい。
自分の名前、生年月日、歳、職業、故郷・・・
ほとんど、全ての事を忘れてしまったのだろうか・・・あたしは。

――そうだ。何か覚えてる事は・・・――

思い、目の前にあった魔道書をパラパラと数頁めくり、読んで見る。
すると・・・
いとも簡単に、内容を全て把握、理解、そして応用までできてしまった。
そして、数頁先を見てみると・・・
その応用は、ばっちり的中していたりするのだ。
何一つの間違いも無く、全て、細かい所まで。

・・・取りあえず、街にでよう。
そうすれば、何かわかるかもしれない。

不思議な事に、あたしは自分の事だけを忘れてしまったらしい。
物を指差し、これは何、あれは何、と聞かれても、すぐに答えることができる。
生きるために必要な・・・そう、魔道の知識を始め、言葉だってわかるし、
考えてみれば、お金の単位も、民間機関の使い方だってしっかりと覚えている。

だるい体に力を入れて、立ちあがる。
そのまま階段を上り、地下の図書室を出ると、そこは大きめのフロア−になっていた。

――魔道士協会か。

なんとなく、そんな言葉が脳裏に浮かんだ。
入り口前のフロントに座る、入ってくる時に見たはずの女性。
しかし、全くその顔は、記憶に無い。

「ありがとうございました」

少し高めの女性の声を後ろに、
あたしは見知らぬ街へと歩み出す・・・。


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2906もしかして・・・・?seria E-mail URL4/8-12:43
記事番号2902へのコメント

こんにちは!
たぶんはじめましてなseriaです。
ガウリナと聞いてすぐさまとびつきました(^^;


リナちゃん記憶喪失?!
ガウリイのことは覚えてるんでしょうか・・・・?
続きがとっても待ち遠しいです!!


あと、間違ってたらとてつもなく失礼なのですが・・・・・。
なんとな〜く投稿時間とか見てて思ったんですが・・・・
もしかして聖夜里奈様は海光 流里奈様ではないでしょうか・・?
違ってたら後ろから蹴りをいれてやってください(++;


ではでは、seriaでした。

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2909そんな勇気ある発言が大好きです☆聖夜里奈 4/9-01:03
記事番号2906へのコメント

ども、こんばんは☆
多分お初ではありません、聖夜でございます。

いやぁ・・・ばれちゃいましたねぇ・・・はっはっはっ・・・
あたしは正真正銘『――(ぴー)――』と同じ人物です。
ちょっと読んでる人いるのかなぁーなんて思って、
少々賭けに出たんですね。珍しい事に。
こんどそちら様にメール送ります。
HPアドレスを含め、なんらかんら書いてプレゼント(死)します♪
えーと、メールアドレスは掲載していましたっけ?
していなかったら、しておいてくれると嬉しいです☆
ここでHPアドレス流すの、なんだか恥ずかしいので・・・。

さて、今回はハッピーエンドには終わらないでしょうね・・・
でも、ある意味ハッピーエンド。
次のお話を読めば分かるように、実はガウリイ君は・・・。

と、言うわけなのです。はい。
では、これからも宜しゅうに・・・。
次、頑張って書きます。
ではではぁ☆

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2910―― Together ―― 2聖夜里奈 4/9-01:06
記事番号2901へのコメント


「リナおかーさん!何処いってたのぉー?
レイナ、心配してここまで来ちゃったよ!!」

魔道士協会を出てしばらく、
下から聞こえて来る、幼い声。
誰に向けられたものだろか、と少々疑問に思いつつも、
街道を歩み続けようとする。
・・・が、
「おかぁさん。どーしたの?」
あたしは、マントの端を、その子に捕まれていた。

・・・この子は・・・誰?

「ねぇねぇ、おかぁさんってばぁ!」
「え?あっ、ああ。」
よくわからないまま、取りあえずその子を、道の端・・・
通行の邪魔にならないところまでつれて行く。
何故か、その子はやけにすんなりと、あたしの方へと付いて来てくれた。

なにか、この子はあたしのこと、知っているのだろうか・・・?

「ええっと・・・レイナちゃんだったっけ?」
「んもう!自分の子供の名前、忘れないでよね!」
ぷーっと、頬を膨らませる。
その少女は、肩で切りそろえた綺麗な金髪に、
おそらく、まだ5歳位だろう。深く赤い色をした、大きな瞳の持ち主だった。

『自分(あたし)の子供』
その言葉にあたしは、かなりの抵抗を感じた。
まさかあたしに、夫と子供が居る訳なんてない・・・と。
あたしの考えはまるで知らず、レイナちゃんは大きな瞳であたしを見据えながら、
「お腹すいたの・・・ね、家に帰ろうよ・・・」
「え?お父さんは?」

・・・お母さんは?とは聞かない。
この子は、あたしの事を母親だと思っているみたいだし・・・

「なにいってるのぉ?おとぉさん、1年前にとーいい所へ行ったって、
おかぁさん言ってたでしょぉ?」
「・・・そっか・・・」
この子の父親はどうやら、この世にはいないんだな、とその言葉から察する。
小さな子供には、『死』という言葉を使わず、『遠いいところへいった』と教える親は、
決して少なくはない。
「・・・悪い事・・・聞いちゃったね・・・」
「ううん。何か変だよ?今日のおかぁさん」

・・・この子は・・・本当にあたしの子供なのだろうか・・・?
だとすれば、夫は・・・誰?

「ねぇ、あたしは今年でいくつになるの?」
「おかぁさんね、いっつも20歳って嘘ついてるけど、
おとぉさんが1年前にね、『おかぁさんは今年で24なんだぞぉー』
って言ってたから、25歳だと思うよ。」
「へぇ・・・」

この話が本当だとすれば、あたしはかなりのおちゃめさんだったのだろーか。
子供に向って5歳も歳を誤魔化すなんて・・・。

「帰ろう・・・おかぁさん。」
「え?帰るって、何処に?」
あたしの言葉にレイナちゃんはきょとん、としながら、
「なにいってるの?お家だよ。すぐそこじゃない。」

・・・記憶が無い、なんて言えるわけも無い。
レイナちゃんも、お腹すいてるみたいだし・・・
なにより、そこに行けば何かわかるかもしれない。

「うん。わかったわ。レイナちゃん、ちゃんと案内できる?」
「できるよぉー!でもおかぁさん、なんであたしのこと『レイナちゃん』って呼ぶの?
いっつもは『レイナ』って呼んでたじゃない。」

初対面の子を呼び捨てで呼ぶのはさすがに引けるものがある。
・・・だが・・・

「わかったわ。レイナ、きちんと案内してね。」
「わかってるよ!おかぁさん!」

街道に、レイナちゃんの大きな声が、響き渡った。

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2912きゃあ♪seria E-mail URL4/9-19:52
記事番号2910へのコメント

こんにちは!このごろレスつけ魔と化しつつあるseriaですvv

きゃあ〜♪
レイナちゃん可愛い〜!!
リナはどうなる?!
ガウリイって・・・・?
続きがとっても待ち遠しいです!!!

あと、メールいただけるんですか?!
HPアドレスまで??
聖夜様素敵すぎですっ!!(きらきら)
受験勉強に終われる時期までついてきます!(迷惑)

ではでは、seriaでした〜。


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2913受験か・・・(そーいえばあたしも・・・)聖夜里奈 4/10-05:17
記事番号2912へのコメント

どうもこんばんわぁ〜☆
徐々にお友達の道を歩みつつある聖夜です。

お受験、なんですね・・・
あたしもそーいえば来年受験です・・・しくしく。
いやだなぁ・・・本当・・・
受験のせいでやりたい事できないし。
本当、受験ってスレ世界で言うヘルマスターあたり(爆)
あ、いえいえ。
それだけ厄介なものなのだろうと・・・(笑)

あと、現在旧HP閉じてますんで、
もう少ししたらメール行きます。
聖夜は素敵じゃありませんよぉ〜。
いざ、お友達となれば・・・(謎)

今回は一挙2話掲載です。
記憶は意外にあっさりもどるけど・・・

ではぁ☆

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2922現実逃避中・・・・・・seria E-mail URL4/10-18:19
記事番号2913へのコメント

(なんっつータイトル・・・・)


>どうもこんばんわぁ〜☆
こんにちはあ!
ただ今壊れかけのseriaです(おい)

>徐々にお友達の道を歩みつつある聖夜です。
るん♪
とおっても嬉しいですうう!
こんなときに何故データーがすっ飛ぶんでしょおねえ・・・・・(−−メ)


>お受験、なんですね・・・
>あたしもそーいえば来年受験です・・・しくしく。
>いやだなぁ・・・本当・・・
>受験のせいでやりたい事できないし。
>本当、受験ってスレ世界で言うヘルマスターあたり(爆)
>あ、いえいえ。
>それだけ厄介なものなのだろうと・・・(笑)
受験は冥王と、赤眼の魔王様を足したような強敵です!!(例えになってない・・・)
聖夜様もお受験なんですね・・・・・・。
がんばってくださいね!!!(←フォント100)

>あと、現在旧HP閉じてますんで、
>もう少ししたらメール行きます。
ちょっと残念・・・(;;)
待ってます〜☆
>聖夜は素敵じゃありませんよぉ〜。
>いざ、お友達となれば・・・(謎)
お友達になれた暁には、がんばります!!!(何を・・・?)

>今回は一挙2話掲載です。
>記憶は意外にあっさりもどるけど・・・
一気に2羽・・・じゃなくv2話なんてすごいですっ!!
データー(書いてたもん&フォルダ2つほど)がすっ飛び現実逃避にみょうちくりんなもの書いてるseriaとは大違い!(爆死)

ではでは、seriaでした♪

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2915―― Together ―― 3聖夜里奈 4/10-05:30
記事番号2901へのコメント


決して大きい訳ではない。
だが、手入れ、愛情の行き届いた暖かい家。
・・・あたしには、そんな気がした。

レイナちゃんから聞いた話によると、
あたしはここ、ガブリエフ家の妻であり、
夫であるガウリイという人は、1年前にこの世を去ったらしい。
それで、レイナちゃんはあたしとその人との・・子供、だというのだ。
ちなみにレイナちゃんは現在4歳で、今年で5歳になるとか。
・・・正直、信じられない話だった。
あたしが、20というような若い歳で子供を産んでいて、夫まで居た事などは。

家に入ってすぐ、あたしの背ぐらいの大きな鏡。
・・・初めて見た自分の姿は、そう言われれば、レイナちゃんに
何処と無く似ている気がしない訳でもなく・・・
そして、
「うわぁ・・・結婚した時の肖像画まで・・・」
その肖像画の中で、背が高く、長い金髪の男の人の隣で、
白いドレスに身を包み、笑顔を浮かべている女性は、
紛れもなく・・・先ほど鏡で見た、あたしの姿にそっくりだった。
少しウエーブのかかった栗色の髪、そして、赤い大きな瞳も。
たとえ、何処を取ったところでも・・・

安らぎを・・・覚えていた。
絵の中の『あたし』の隣で『あたし』の肩を抱く、
彼の、深く、蒼い瞳と、柔らかい、笑顔に。

・・・その瞬間、あたは何故か、泣きたくなった。

「レイナ、お腹すいたよぉー。おかぁさん、早くご飯にしよー。」
そだ。その事を忘れてはいけない。
ついつい自分の記憶探しに没頭していて、忘れるところだった・・・。
あたしは、それからしばらくして、台所へと向い、食事の準備を始める。

「ねぇレイナ・・・。」
「んー?なぁにぃー?」
台所から、食事用テーブルのある場所へ向って、
あたしは手を動かしながら、レイナちゃんに尋ねた。
「お父さんってさ・・・どう言う人・・・だった?」
「はぁ?」
レイナは、疑問の声を上げた。
――おっと・・・もうそろそろ茹で上がったはずだな・・・
思い、鍋からざるへとパスタを移す。
「おとぉさん、良く笑ってたよぉ。すんごく笑顔がかっこいいのぉー」

・・・自分の父親に向ってかっこいいだなんて・・・

「でね、よくおかぁさんと、ラブラブやってたじゃない・・・
その度におとぉさん、おかぁさんにぶっ飛ばされて、可哀想だったけど。」
・・・自分の子に、ラブラブ見せ付けてたんか。あたしは。

「でも・・・おかぁさん、なんでこんな事聞くの・・・?」

その言葉と同時に、パスタはできあがった。
お皿にうつし、フォークをそえて、テーブルへと運ぶ。
レイナちゃんは、それをみて、
「やっぱ、おかぁさんって料理上手だよね。」

・・・そうなのだ。
何も考えることなく、あたしは数々の料理を作り上げ、ここにならべている。
なぜかは・・・わからない。
過去の・・・ホンの数時間前のあたしは・・・知っていたはずなのだ。
レイナちゃんの母親も、ホンの数時間前までの、『あたし』なのだから。

「レイナ・・・思うんだけど、おかぁさん、何かあったの?
図書室出てから、なんだか変だよ・・・?」
「あ・・・ううん。なんでもないの・・・」
あたしが、本当にレイナちゃんの母親だとしたら・・・
ひどい母親だ。
自分の子供の事を、忘れるなんて・・・。

「いただきまぁーす!」
そんなあたしのさびしい考えも他所に、
レイナちゃんはパスタに手をつけた。
そのごーかいな食べっぷりは、あたしの心に、
何かを思い出させるような・・・気がしてならない。

・・・記憶が、欲しい。

中途半端に何かを思い出している気がしている中。
この瞬間あたしはそう、初めて思っていた・・・。

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2916―― Together ―― 4聖夜里奈 4/10-05:33
記事番号2901へのコメント
・・・真夜中。
レイナちゃんも寝床につき、あたしはレイナちゃんが言う、
『あたしの部屋』のベットに、腰掛けていた。

・・・考えを整理する。
ここに来てから、あたしは確実に、何かを思い出そうとしている。
あたしは、それを確信していた。
極めつけはあの肖像画。
あたしは、あの肖像画に、何か・・・そう、何か、
とっても大切な事を、思い出そうとしている・・・。

・・・眠ろうにも、どうしても、眠る事ができない。
だから、こうしてずっと、考える。
あたしは、記憶を取り戻す術を知らない。
それなら、自分で考え、思い出すまでだ。

「あーあ・・・なんであたしは記憶喪失になってんだか・・・」
呟き、頬ずえをつくと・・・頬に、冷たい感触。

どうして・・・気づかなかったのだろうか・・・。
指にはめられた、銀色に輝く、指輪。
・・・刹那、突然あたしに、泣きたい気持ちが込み上げてきた。

「ガウ・・・リイ・・・」
突然、唇から零れ落ちる、一人の男の名前。
それは相棒であり・・・人生の・・・パートナー・・・
・・・一番・・・大切な・・・人・・・。

こんなにも記憶は、唐突に戻るものなのか・・・。

『リナ・・・』

・・・優しい、声。
急に、聞こえたような気がして。

『これさ・・・安物だけど・・・』

照れる、彼の姿が目に浮かぶ。
ポケットから出てきた小さな箱は、あたしの手に渡される。

『一緒に・・・なろう。リナ。』
『・・・馬鹿・・・』

呟いて、『あたし』は顔を上げる。
その目には、うっすらと涙が滲んでいた。

・・・ふわり、と抱かれて、
大きな背中に、腕を回して。

『ありがとう・・・』

呟いていた、遠い日の・・・記憶。

――これは、あたしの記憶なのだろうか・・・?

ふと、現実へと意識が引き戻される。

・・・そうだ・・・

思い、あたしは何故か、泣いていた。

『愛してる・・・』

急に言われて、動揺を隠せなかった・・・あの日。

『どうして・・・あんたあたしの保護者なんでしょ?
あたしなんて・・・あなたから見れば・・・子供なんでしょ・・・?』

素直じゃない、『あたし』の言葉。
・・・あたしは馬鹿だ、
そう思ったことをも、リアルタイムで思い出して行く。
細かいこと一つ一つ。
その時の夜の匂いも、少し冷たい風も、ガウリイの体温も。

『おまえはもう、子供なんかじゃないさ・・・
オレはお前の事、一人の女として、お前の事を愛していた・・・』

――あたしも、彼の事を心から愛していた・・・
けれど・・・

『ガウリイさんは・・・もう・・・』

突然、場面は変わる。
白い壁・・・ここは、寺院かどこかか。
白い服をきた女性が、『あたし』に向って頭を下げる・・・

『ずっと・・・オレはお前達の側にいるから・・・
だから、泣かないでくれ・・・リナ・・・レイナ・・・』

言葉をつむぎ、永き眠りへと・・・

「っ・・・」
戻ってきた記憶は、余りにもさびしすぎるものだった。
あたしの流す涙は、止まることをしらない・・・

愛しいあの人は、もうここにはいないんだ・・・

大体・・・思い出せた。
もう少しで、全てを思い出せそうだ・・・

だが。

『いやぁ・・・せっかく悲しい記憶を僕が全て忘れさせてあげたのに・・・
どうして思い出してしまったんでしょうかね・・・リナさん』

虚空から、声が聞こえたのは次の瞬間だった。

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2942――Together―― 5聖夜里奈 4/23-02:12
記事番号2901へのコメント

・・・間だ・・・
間だ、思い出せないところが多々ある。
――にもかかわらず・・・
あたしは、コイツのことを覚えていた。

「ゼロスっ・・・!!」

口から、彼の名前が零れ落ちる。
彼は・・・獣神官は、それになぜだか笑みを浮かべた。

「ほぉ・・・取り合えず、僕のことは覚えていらしたんですね」

・・・だれが・・・
誰が忘れるものか。

「先ほども言いましたけど、なぜリナさんは何度忘れさせて差し上げても、
彼の――ガウリイさんのことを思い出すのです?」

・・・言葉と同時に、思い出す。
『これ』が始めての機会では無い事を。

「冗談じゃないわ・・・」

怒りすらほのめかせ、言葉を紡ぐ。
――それを・・・
それを、まるで他人事かの様に、あたしは客観的に『見て』いた。

「なぜあたしの記憶をっ・・・!!」
「リナさん・・・」

言葉を遮って。
静かに・・・名前を呼ばれる。
あたしは思わず、そばにあるショートソードを手にし、
いつでも鞘から抜ける状態に持つ。

・・・こわい。

「貴女は・・・素直じゃありません・・・本当に・・・」

すっ・・・と、
一歩だけ前に出る。
静かに、音も立てずに。

・・・いや・・・

時間が・・・怖い。
言葉が・・・怖い。

そうだ・・・次に聞こえてくる言葉は・・・
そう、何時も・・・

「ガウリイさんを、受け入れることができなかった・・・」

何時も・・・これだ。

・・・そうだ・・・
これで・・・何度目になるのだろう・・・

「リナさん・・・」

こうやって・・・名前を呼ばれたのは、
一体何度目になるのだろうか・・・

何時も時々、意識が薄れることがある。
その度に、あたしは何時も、何処かで彷徨するのだ。
――記憶を無くし、帰るべき場所を探して。

そしてその度に、
こうやって名前を呼ばれているのだ。

「過去を・・・受け入れたくはないでしょう・・・?」
「・・・そんなの・・・あたしの勝手じゃないっ!」

真実を・・・聞きたくない。

「リナさんは・・・ガウリイさんを受け入れることができなかった・・・
気づいているでしょう・・・?それが、なぜかを。」

ほっといてほしい・・・
どうしてあたしが、こんなやつにとやかく言われなきゃいけないのよ。

「貴女は・・・まだ幼いころから一人旅をしてきましたね・・・」

どうしてよ・・・
なぜゼロスがそれを知っているのよ・・・

「・・・貴女は、知ってしまったのですよ。
幼いころからの旅は・・・確かに、貴女をいろんな意味で、
強く育てあげたと同時に・・・
人の醜い部分までを、しっかりと身をもって知らされた・・・」

だから・・・どうしたというのだ・・・
あたしは・・・
あたしは・・・

「だから貴女は、ガウリイさんでさえ受け入れることはできなかった・・・
そう、お悔やみになっておられるのでしょう?
いつ裏切られるかもわからない・・・
たとえ、どんなに信用できる人でさえ、いつ自分を裏切るか・・・
そんなこと、わかりませんものね・・・」

・・・それに、
今日、今までで、始めて言われる言葉が付け加えられた。

「貴女には古い思い出など捨てて、
人生を楽しく生きていただきたいのですよ。
――僕は貴女のことを・・・愛していますから・・・」