◆−虚無の欠片12―前書き―−RIN (2007/8/25 23:40:47) No.18292
 ┣虚無の欠片12−RIN (2007/8/25 23:44:45) No.18293
 ┣虚無の欠片13−RIN (2007/8/26 00:20:43) No.18294
 ┣虚無の欠片14−RIN (2007/8/29 22:26:08) No.18296
 ┣虚無の欠片15−RIN (2007/8/30 00:25:24) No.18297
 ┣虚無の欠片16−RIN (2007/9/6 20:31:35) No.18304
 ┣虚無の欠片17−RIN (2007/11/29 17:50:25) No.18398
 ┗虚無の欠片18−RIN (2007/12/2 22:29:52) No.18399
  ┗Re:虚無の欠片18−麻緒 (2007/12/11 21:22:59) No.18402
   ┗Re:虚無の欠片18−RIN (2007/12/12 23:01:34) No.18403


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18292虚無の欠片12―前書き―RIN URL2007/8/25 23:40:47


 ―前書き―
   どうも皆様、お久し振りです、RINです。
   連載復活を宣言しておきながら、すぐにストップしてしまいました。
   申し訳ありませんでした<(_ _)>
   理由に関しましては、既にご存知の方もおられるかも知れませんが、
   実は復活宣言後にオフの方で緊急事態が発生してしまい、
   その為一時ネットどころか、PCの電源もろくに入れられない、
   という状況になっており、やむを得ず再び連載休止という事態となっておりました。
   皆様本当に申し訳ありませんでした<(_ _)>

                   ―それでは本編をどうぞ―RIN―

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18293虚無の欠片12RIN URL2007/8/25 23:44:45
記事番号18292へのコメント


 「…『王女』の下に、もうじき『客』が訪れる…その『客』こそが『疑問』の『鍵』を握っている…」

 …『女王』が先日言った言葉…
 …その『言葉』の通りに数日後…『彼女』のもとにその『客』は現れた…
 …その時の事を思い起こし…
 「………リナ…」
 …そして…いまは遠く離れている妹に想いを馳せた… 


 虚無の欠片―12―


 「…セレーネ…あなたは『誰』なの?」
 …リナは緊張した面持ちで…目の前の少女を見据える…
 「…リナ様…」
 セレーネはリナの名を呼ぶと、スッとその場に跪き…
 「…いえ『スィーフィード・ナイト腹心の妹姫』ソフィア=ルーン=ゼフィール様、改めて貴女にお願い致します、『ゼフィール一族・『掟』の旅』の『従者』に私を…」
 セレーネの口から出た言葉にリナは驚き、瞠目する…
 …そして…通常…『一族』以外の者が、『リナ=インバース』とイコールで結び付けることのない…
 当代『赤の竜神の騎士』その『第一の従者』にして、『腹心の妹』の名『ソフィア=ルーン』その名を通常は伏せられ、一般には知られていない筈の『ゼフィール一族』を表すその『名』までつけてセレーネは呼んだ…
 …その『意味』する所は…
 …『魔族』では有り得ない…魔族は『それ』を知らない…知っているならば…『リナ=インバース』と争おうとはしない…する筈が無い…
 「…セレーネ…あなたは…『一族』の『者』ではないわね…けれど『その事』を知っている…でも『一族』と無縁の者が『それ』を知っている筈がない…ならあなたは…」
 …『一族』に『縁』を持つ者…或いはその関係者…
 …それ以外に有り得ない…

                                  ―続く―

 ―あとがき―
 前書きでも書きましたが、お久し振りです、本当に申し訳ありません、RINです。
 色々あって復活、連載再開宣言をしたのにも関わらず、再び唐突に休止、長らくのこと沈黙しておりましたこと、お詫び申し上げます。
 …実は本当だったらもっと早く再開の予定を立てていたのですが、途中で書きかけだった、この第12話のデータが行方不明となってしまった、色々な所を捜したり、改めて書き直したりとしていたら、結果この様に物凄く遅くなってしまいました。
 本当に申し訳ありません。

 それと既に皆様方ご存知の方もおられるかも知れませんが、再びRINの運営しているHP『螺旋の館』のURLが変更となりました。
 理由につきましては、アラシとウイルスメール、そしてindexページ以外へのブックマーク等で、その為、今回は変更URLへの旧サイトからへのリンクを貼らず、問い合わせ制とさせて頂いております。


                                       ―それではまたの機会に―RIN― 
 

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18294虚無の欠片13RIN 2007/8/26 00:20:43
記事番号18292へのコメント



 …『ゼフィール一族』…そは『天使』の眷属…
 …『光』にも『闇』にも属さぬ存在達…

 …『天使』が望むは…在るがまま…
 …唯…愛しき存在達との『幸福』…


 虚無の欠片―13―


 ―ゼフィーリアには『スィーフィード・ナイト』がいる…

 …これは広く知られた事実…

 …しかし…『スィーフィード・ナイト』には『腹心』と『従者』が存在する…
 …この事実はあまり知られてはいない…

 …『スィーフィード・ナイト』とその『腹心』…
 …その『二人』の『名』は…一部の存在にしか知られていない…

 …そして…
 …何故…歴代の『スィーフィード・ナイト』と『腹心』が、ゼフィーリアの地に生まれるのか…
 …その理由を知るは…当事者のみ…

 …それは『約束』…

 …『竜神』と『天使』がかって交わした『約束』…

 …その『秘密』の一端に触れうるのは、『天使』の『眷属』たる『ゼフィール一族』の者のみ…

                                            ―続く―

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18296虚無の欠片14RIN 2007/8/29 22:26:08
記事番号18292へのコメント



 …『ゼフィール』の『名』を冠するその『一族』は『秘密』の『一族』…
 …それ故に『一族』にはいくつもの『掟』が存在する…

 …その内の一つに「『導』の『儀』」と呼ばれる『儀式』に関する『掟』がある…
 …この『儀式』の一環で『一族』の者は、最低でも『三度』は『旅』にでる…
 …リナは現在『二度目の旅』を終えている…
 …いま現在はまったく別の用件で『旅』をしているが…本来ならとっくの昔に『三度目の旅』に出ていなければいけない『時期』にはきていたのだ…
 …それが様々な理由から、今日まで延び延びになっていただけだった…
 …そしてセレーネの言う「『掟』の『旅』」こそが『それ』だった…


 虚無の欠片―14―


 「…まあ…あなたがどういう立場にいるのかは大体解ったわ…でもセレーネそこまで知ってるのなら当然知ってるでしょうけど『導きの儀』の『導師』と『従者』は『掟』で決められる、あたしの一存では決められないわ」
 一つ息を吐き、セレーネを見据えてリナは言う。
 「ええ、勿論それも解っています、ですからゼフィーリアの『赤き月の王女』に…あの…どうかなさいましたか?」
 リナはその『名』が出た途端ビクリと一瞬カタマリ、そしてその様子を見たセレーネは不思議そうに問い掛けた。
 すると、途端リナは…
 ―ギギギ…
 そんな擬音がしそうな感じの奇妙な動きで…
 …ガッシとセレーネの肩を掴み…
 「…ねぇ…いま…なんて言った?」
 …そう問う。
 「?え?あの…『赤き月の王女』テミス=ルナ…」
 「いっやー!!やっぱりー!!!!!」
 セレーネが『その名』を口にしかけた時、リナは頭を抱え泣き叫んだ…

                                            ―続く―

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18297虚無の欠片15RIN 2007/8/30 00:25:24
記事番号18292へのコメント



 「…ゼ…ゼロス…」
 「…は…はい…獣王様…」
 …や…やっぱり獣王様だいぶダメージが…
 …ああ…それにしても…だいぶ回復出来てきていたのに…(獣王様が魔王様にご報告に行っている間に…)…この分では、この一件絡みで『何か』ご命令があるんでしょうが…
 …この件でとなると…うぅ…面倒なことになるに決まって…
 …ああ…せめて…ゼフィーリアと神族にだけは関わり合いにならずに済みますように…
 …まあ…無理なんでしょうけどね…ハア…
 「リナ=インバースの所に行って来い」
 ……え?…
 「リナさんの所…ですか?」
 「そうだ」
 …てっきりゼフィーリアの『スィフィード・ナイト』の所に行けと言われると思っていたので…ゼロスはホッとした…
 …が…それも束の間の事だった…
 「おまえリナ=インバースが『例の神託』の事を知っている様だったと言っただろう、その事も併せてご報告したらな、魔王様がリナ=インバースは『腹心』の可能性が非常に高いと…おい?ゼロスどうした?」
 …獣王様『腹心』って…
 …ゼロスは固まっていた…
 「…じゅ…獣王様…『腹心』って…まさか…『あの』?」
 …獣王はゼロスの言葉に沈痛に頷き…
 「…魔王様との意志疎通は水竜王の封印の所為で難しいのだが…恐らくまず間違いなく『スィフィード・ナイト』の『腹心』の事だと思うぞ…」
 「…リ…リナさんが…?…『腹心』…リナさんが…」
 …ま…まあ…確かにリナさんの『魔力』は常人以上ではありますが…でも…
 「…獣王様…やはり違うのでは?リナさんは確かに強力な『魔力』をお持ちですが、『腹心』ほどではないと思いますが?」
 …確か…降魔戦争の時にお会いした方はもっと『魔力』が…ああ…でも…そう言えば…確かにどことなく似ていらっしゃいますね…
 …あれ?…なんで気付かなかったんでしょう…僕…
 「…それは…私も思ったが…魔王様がかなり気にしておられるようだったから、とにかくおまえ一度行って確認を取ってこい!」
 「…え…ええー!でももしそうだったら僕…」
 「…大丈夫だ…おまえはリナ=インバースと一緒に旅もしている」
 …それ…なにが大丈夫なんですか?獣王様?
 「とにかく行け!行って、もしそうだった場合は、一度ゼフィーリアまで行ってこい!」
 …そ…それはやっぱり…
 「…『スィフィード・ナイト』の所に行けと…」
 …言うことですか…と言いかけたゼロスに、獣王は頷き…
 「わかったらとっとと行けっ!」
 …とそう命令した。


 虚無の欠片―15―


 『リナ(さん)!!どうしたんですか!?』
 アメリアとシルフィール
 『リナ!どうした!!』
 ガウリィとゼル
 …ほぼ異口同音に…そう言って四人は部屋へと駆け込んできた…
 ………
 …まあ…当然っちゃー当然よね…アハハ…
 …でも…この件についてはたとえみんなでも下手に話すわけにはいかない…
 「…ア…アハハー…ごめんねー…みんなーなんでもないのよなんでもー…ちょっとまあびっくりしちゃってー…」
 …手をパタパタと振って…笑う…
 …笑って誤魔化すしかない…
 …この件に関してだけは話せないから…ごめん…みんな…
 『リナ(さん)!!』
 ガウリィとゼルそしてシルフィールが詰め寄る。
 そしてアメリアは…
 「リナ!なんでもないってそんなっ!誤魔化すなんて正義じゃありません!」
 あたしの腕を掴んで、あたしをまっすぐに見つめてそう言った。
 …こういう所が…この子の…王族らしくない…けれど得難い資質…
 「…ゴメン…でもホントにみんなが心配するようなことじゃないから…」
 …だから…心配はいらないと告げ…
 「…大切な話の途中だから出ていって欲しいの」
 …とそう少しきつめの口調でみんなに言った。
 「…本当に大丈夫なんだな」
 あたしの言葉にガウリィが、あたしの目を見据えてそう言う。
 「本当よ」
 あたしはその目を見つめ返してそう答えた。
 …そうでなければ…ガウリィは納得しないだろうから…
 「…わかった…出ようみんな…」
 …そう頷いてガウリィは出ていき…
 「!おっ!おいっ!旦那!」
 「ガウリィさんっ!」
 「ガウリィ様!」
 そう口々にガウリィを呼びながらみんな、ガウリィの後を追って、出ていった…
 ………………
 「…フウ…これで取り敢えず続きが話せる…と言いたいところだけど…」
 そう言いながらあたしは空中のある一点に視線をやり…
 「…其処にいるんでしょ…出てくれば?ゼロス」
 …先程…ガウリィ達が飛び込んできた、少し後位から気配を感じていた、獣神官の名を呼んだ…

                                            ―続く―

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18304虚無の欠片16RIN 2007/9/6 20:31:35
記事番号18292へのコメント



 ―『あの神託』が下ったと言う時点で、遅かれ早かれ…そう遠くないうちにこうなるであろうことは…解っていた…
 …ましてや…『内容』が『アレ』ではそれは充分予想できたことだった…

 …だから…馴染みの(好きでそうなったわけではないが…)獣神官の気配を再び感じた時…

 …潮時が来たのだと言うことを悟った…


 虚無の欠片―16―


 「いやー流石リナさんお気付きでしたか」
 そう言いながらゼロスが出てくる…
 空中に…
 「…でもよろしいんですか?そちらの方がいらっしゃるのに…」
 ゼロスがセレーネの方を見て言う…
 …リナの言動には稀に人間らしからぬ部分がある…普段はあまり見せず…ガウリィ達にさえ誤魔化しているふうに思われる、その部分を見知らぬ人間の前で覗かせてもよいのかと思ってのことだった…
 「…事情が変わったのよ…あんたの正体が彼女にバレるバレないはもうどうでもいいの!それよりあんた今度は何しに来たわけ?どうせアメリアが言ってた『神託』が関係してるんでしょ!」
 …『神託』のことで…ゼロスには追求されるだろうことは、解っていた…どう誤魔化そうかとあの時は思ったものだけど…
 …クスリ…
 『イシュ』
 …あたしは…悲鳴を上げたその直後…『その声』を聞いた…
 …高く澄んだ…けれどどこか重々しい…美しい『ソレ』…
 …『ゼフィール』の『黄金宮殿』の『主』の『コエ』…
 …ゼフィーリアが近くなって…徐々に綻びかけていた…『封印』が…
 …その『コエ』に感応して…解けた…

 …思い出してしまった…
 『リナ=インバース』が『何者』なのかと言うことを…

                                            ―続く―  

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18398虚無の欠片17RIN 2007/11/29 17:50:25
記事番号18292へのコメント



 「…事情が変わったのよ…あんたの正体が彼女にバレるバレないはもうどうでもいいの!それよりあんた今度は何しに来たわけ?どうせアメリアが言ってた『神託』が関係してるんでしょ!」
 …そのリナさんの言葉の意味…
 …それは…

 …リナさん…やはりあなたは知っていたんですね…
 …『あの神託』の指し示す『意味』を…

 …『真皇の神託』のことを…


 虚無の欠片―17―


 「…ええ…確かに僕は『神託』のことで来ました…」
 そう言って頷くゼロスの表情が…心なしか硬い…
 …『理由』は解っている…
 …それは『あの神託』の所為…
 …それほどまでに…『真皇の神託』が『下される』…その『事実』は大きい…
 「…でも宜しいんですか?そちらの方は…」
 …そう言ってゼロスはチラリとセレーネに視線を向ける…
 「…問題ないわよ…彼女は知っているもの…」
 …そうよね…そう言ってあたしが彼女を見ると…
 「…はい…リナ様の仰る通り…私は『一族』縁の者として…それに纏わる事柄は総て教えられています」
 …そう…重々しく頷いてセレーネは言う…
 「…『一族』…?…ですか…?…」
 …怪訝そうな顔をするゼロスに…
 「とにかくゼロス、あんたが気にするようなことは『何も』無いわ…彼女はアメリア達と違って『真皇の神託』のことも知っているわ」
 あたしはそう告げることで…ゼロスの意識を『いまは』取り敢えず『一族』のことから外す…
 「…やはりリナさんは知っておられたのですね…あの『神託』が下されるという『意味』を…」
 …ゼロスが真剣な表情でこちらを伺うように見る…
 「…アメリアは前例が無い…そう思ってるみたいだけど…でも実際は違う…」
 …当然ね…『あの神託』のことを『人間』が知っているなんて『彼等』は知らなかったんでしょうから…
 「…『前例』は…『存在』する…ただ…あまりにも昔だったことと…当時は…一般の人間達の間では『世界中に同じ神託が下された』…なんてことを確認する術が無かったから知られていなかっただけ…」
 …あたしの言葉にゼロスの表情が微かに強張る…
 「…その通りです…でもリナさん…何故あなたが『それ』を知っているんですか?」
 …険しい表情でゼロスが…
 「…一体あなたは…『何者』なんですか?」
 …そう言ってあたしを見据えて問う。
 
                                            ―続く―

 ―後書き―
 皆様長らくお待たせしてしまいました、申し訳ありませんRINです。
 久方ぶりに『虚無の欠片』が書けました。第17話になります。
 色々事情があって一時期全然小説を書くことが出来ず、HPの方だけ予め書き溜めていた小説をUPしていたのですが…
 一度一定期間書くのが止まると…なかなか続きが書けなくなってしまって…この第17話の制作にも結構苦労しました…
 …御陰で予定していた…L様が出る企画小説が一向に書き進まず…今後当分『後書き』にL様をお呼びすることは無いでしょう…(…だってL様にご出演頂くと恐いことになるので…)
 …『後書き』にL様が出てこられることを楽しみにして下さっている方…そう言うわけですので申し訳ありませんが、RINのみの拙い駄文『後書き』で我慢してやって下さい。
 
                                  ―それではまたの機会に―RIN―
 

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18399虚無の欠片18RIN 2007/12/2 22:29:52
記事番号18292へのコメント



 「…『前例』は…『存在』する…ただ…あまりにも昔だったことと…当時は…一般の人間達の間では『世界中に同じ神託が下された』…なんてことを確認する術が無かったから知られていなかっただけ…」
 …そう…確かに『前例』は存在します…
 …でもリナさん…どうして…『人間であるあなた』が…『それ』を知ってるんですか?
 …リナさん…あなたは…
 「…一体あなたは…『何者』なんですか?」
 …僕はリナさんを見据え…そう問い掛けた… 


 虚無の欠片―18―


 「…ゼロス…あの『神託』にはね…あんたらも知らない『もう一つ』の『意味』があるの…」
 重々しくあたしは口を開く。
 「…『意味』?ですか?…」
 あたしの言葉にゼロスが訝しげな表情(かお)をする。
 「…そうよ…」
 そう言ってあたしは頷き…
 「…『真皇の神託』下される『時』…それはある『一族』が動く『時』…」
 …これまでは…魔族に対しては知られぬ様にしていた『一族』のことを話し出す…
 「…ある『一族』ですか?」
 …そう言えば…先程も…
 ゼロスが小声でそう言う…恐らく独り言なのだろう…
 「そうよ」
 …でも…『時』が来てしまった…
 「…ゼロス…あんた…『イナンナ=イン・バース』って名前に心当たりは無い?」
 …『彼女』の『声』が聞こえた…
 「…イナンナ…ですか?…どこかで聞いた…!ってリナさんその名前!なんであなたがっ!」
 あたしが出したその名に…最初は怪訝な顔をしていたゼロスが…血相を変える…
 …やっぱり知ってたか…
 …獣王の直下の部下であるこいつなら知っていてもおかしくない…
 …でも…
 「…ゼロス…あんた…あたしの名前は?」
 …『インバース』と『イン・バース』…ここまで来たら気付いてもいいと思うんだけど…
 …やっぱ…気付きたくないってとこかしら…
 「…えっ…あ…いえ…まさか…でも…神魔戦争の時の人ですよ?…」
 …名前がいくら似てようと…普通は結び付けない…
 …先祖かなんかだとしても普通は知ってるはずがない…
 …そう思ってるんだろう…
 …でも…
 …あたし達の『一族』は『普通』じゃない…
 …そして…『イナンナ』は…
 「…そう…でも『彼女』はただの『人間』じゃなかった…」
 …『彼女』も普通ではない…
 …それはあんた達魔族も知ってるはず…
 「…えっと…あの…リナさん?」
 …あたしが語る内容は…もうとっくにゼロスの予想の範囲を超えてる…
 …だから戸惑うのも無理はない…
 「…『彼女』は『神々の契約』の『巫女』…そしてそれは『彼女』だけじゃない『彼女』の『眷属』たる『一族』も…」
 …イナンナ…伝承が伝える『彼女』の…『正確』な『名前』は…
 …『イナンナ=イン・バース=ゼフィール』…
 …わけあって神魔戦争以降には『名』を変えた… 
 「…眷属?ですか?」
 …『眷属』そんな『言葉』は通常『人間』には使わない…
 …だからゼロスの疑問はよく分かる…
 …あたしはゼロスの言葉に頷き…
 「…そう…『彼女』はもともとは『人間』では無かった…そして『魔王』や『竜神』に『魔族』や『竜族』がいるように『彼女』にも『眷属』がいた…」
 …そう言った…
 「!なっ!」
 …珍しく…ゼロスが瞠目する…
 …まあ…当然よね…
 …でも…これから話すことの方がもっと『あれ』なんだけど…
 …ゼロス…大丈夫かしら…

 …これから話すことを思うと…
 …ちょっとだけ…ゼロスが気の毒に思えた…

                                            ―続く―
 

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18402Re:虚無の欠片18麻緒 2007/12/11 21:22:59
記事番号18399へのコメント

RINさま、こんばんは。
更新お疲れ様です。

とても面白かったです。
ストーリーの中に惹きこまれ、一気に拝見させていただきました。

いよいよ核心に近づいてきた感じがしますね。
『彼女』の『眷属』・・・リナもその一族ってことですよね?その核心が、続きが気になります。
果たして、ゼロスは耐えられるのでしょうか??

次回も楽しみにしています。
では、失礼します。


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18403Re:虚無の欠片18RIN 2007/12/12 23:01:34
記事番号18402へのコメント

 こんばんは麻緒様、RINです。
 お読み下さりどうも有り難うございます。
 
>とても面白かったです。
>ストーリーの中に惹きこまれ、一気に拝見させていただきました。
  ↑
 ―有り難うございます、そんな風に言って頂けるとなんだかとても照れてしまうのですが…
 …でもそれ以上に嬉しいです。

>いよいよ核心に近づいてきた感じがしますね。
>『彼女』の『眷属』・・・リナもその一族ってことですよね?その核心が、続きが気になります。
  ↑
 ―はい、いよいよネタバラしの開始…なんですが…当初の予定では本当は『本編』の方で書いてからにするつもりでした…
 …でもそれだといつまでも続きが書けないので…(苦笑)…当初は『本編』がこんなに長く書けなくなると思っておりませんでしたので…もう開き直って…番外編とかでもちょっとずつ『一族』について出していましたし…そろそろきちんと書いた方が良いかなと思い…

>果たして、ゼロスは耐えられるのでしょうか??
  ↑
 ―えーゼロスは相当キツイ思いをすることになります…(…とんでもない『真実』がこの後リナの口から語られますので…)

>次回も楽しみにしています。
  ↑
 ―有り難うございます。
 …現在続きは鋭意制作中…と言いたい所なのですが…少し前からまた事情があって暫く書けなくなっております…
 …次回のUPには少し時間が掛かるかも知れません…(…今年中にUPできたら良いなと思っているような実状です…)

 ―宜しければどうか気長に待ってやって下さい。
 頂いた温かいお言葉を励みにさせて頂き、精一杯頑張らせて頂こうと思っております。

                                   ―それではまたの機会に―RIN―