◆−花よりも団子?‐11‐−井上アイ (2007/5/30 22:45:44) No.18113
 ┗花よりも団子?‐12‐−井上アイ (2007/5/31 21:12:38) No.18114
  ┗花よりも団子?‐13‐−井上アイ (2007/6/2 00:55:46) No.18115
   ┣Re:プライド・オブ・ダークネス。。っぽい何かA−。。。 (2007/6/3 03:00:22) No.18116
   ┗花よりも団子?‐14‐−井上アイ (2007/6/4 20:56:58) No.18117
    ┗花よりも団子?‐15‐−井上アイ (2007/6/5 19:56:56) No.18118
     ┗花よりも団子?‐16‐−井上アイ (2007/6/7 00:22:10) No.18119
      ┗花よりも団子?‐17‐−井上アイ (2007/6/9 01:10:17) No.18123
       ┗花よりも団子?‐18‐−井上アイ (2007/6/11 01:10:49) No.18130
        ┗花よりも団子?‐19‐−井上アイ (2007/6/13 23:32:09) No.18134
         ┗花よりも団子?‐20‐−井上アイ (2007/6/16 22:56:26) No.18143
          ┗花よりも団子?‐21‐−井上アイ (2007/6/18 20:19:43) No.18146
           ┗花よりも団子?‐22‐−井上アイ (2007/6/20 23:07:31) No.18148


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18113花よりも団子?‐11‐井上アイ 2007/5/30 22:45:44


どうも、こんばんみ☆
新ツリーで失礼します。
ちょっとした諸事情により、ツリーを新たに作らせて頂きました。
新ツリーという事で、記述を忘れていた設定を。
リナ達は高校生です。アメリアのみが中学生で、受験生となっています。
そして、魔法ですが、精霊魔法のみが使用出来て、神や魔の力を借りた物は使えません。
いたらない駄文ですが、お付き合い下さい。
では、十一話です。
意外な人が出てきますよ?
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
「で、どうするよ?俺達が援助するのは簡単だが、一生そうする訳にはいかねえだろ?」
貸し部屋へと入るなり、ルークはそう切り出した。
「学費は、俺達の親から出して貰う。ガウリイには、何年か掛けて返して貰うさ。学校を卒業をしたら、援助の必要はないだろ。」
「え?オレ、学校辞めるつもりだったんだぞ?」
ゼルの言葉に、ガウリイは首を傾げる。
「馬鹿を言うな。学業は修めろ。後々物を言うからな。」
「オレは、直ぐにでも働きたいんだがな。」
ゼルに冷たく言われ、ガウリイは肩を落とす。
「んだよ、一緒に居られんのも一年切ってんのに、抜ける気か?寂しい事言うなよな〜?」
「何か、やりたい事でも有ったのか?」
つまらなさそうに言ったルークに続き、ゼルは静かに問掛けた。
「いや、ただ、今は何でもやってみたいんだ。その為には、学校なんて行ってる暇なんて無いと思ってな。」
「なら、バイトすれば良い。さすがに生活費まで俺達の親に出させる訳にはいかないからな。」
頬を掻きながら言ったガウリイに、ゼルは溜め息一つしてそう言う。
「ま、暫くは食事の面倒みてやるぜ。早く稼いで、奢ってくれや。」
「いや、大丈夫だ。ある程度の貯金はしてあるからな。」
肩を叩いたルークの申し出を、ガウリイは断った。
「へ!?貯金なんかしてたのか!?」
「ああ。高校卒業したら、どのみち家を出るつもりだったからな。それが、少し早まっただけの話だ。」
意表を突かれた顔をしたルークに、ガウリイは苦笑してそういう。
「アテはあったのか?」
「ちょっと前に知り合った人が居てな。根性叩き直してやるから、いつでも来い。て言ってくれたんだ。明日、会いに行って来るよ。」
「それは・・ヤキを入れるから来い、て聞こえるぜ、俺。」
ゼルの問いに、笑顔で答えたガウリイの言葉に、ルークは顔を引き攣らせる。
「かもな。でも、悪い様にはされないと思ったんだ。」
「一緒に連れていけ。明後日、学校に来なかった、なんて事にはさせたくないからな。」
「だな。俺も一緒に行くぜ。」
ガウリイの言葉に、ゼルは静かに同行の意図を伝え、ルークは、それに力強く頷いた。
次の日、ガウリイはカルマートの外れにある採石場へと足を踏み入れた。
「おー、何だ?もう来やがったのか?」
赤毛で体格の良い、野生み溢れる男は、ガウリイを見るなり、がははと豪快に笑う。
「雇って欲しい。自立したいんだ。」
「あー?何だ、家出したのか?仕方ねえなあ。その変わり、仕事はきついぞ。」
頭を下げたガウリイの頭をぐりぐりと撫で、その男は優しい目をする。
「問題なさそうだな。」
「だな。」
離れた場所から様子を見ていたゼルとルークは頷き、安堵の溜め息を漏らした。
「お〜い!来てくれ!」
ガウリイに、呼ばれ、2人は顔を見合わせ、仕方無く物陰から出て、ガウリイの元へと向かう。
「紹介するよ。ダチのゼルガディスとルークだ。でだ、こっちはガーブのおっさんだ。」
「安心しろや、こいつのひねくれた性格、直してやらあ。」
互いを紹介し終ったガウリイの頭を乱暴に撫で回し、ガーブはにやりと笑う。
「あー、まあ、頼む。」
「・・成仏しろよ、ガウリイ。」
「おいおい。」
反応に困り、適当に答えたゼルと、自分に向かい、十字を切るルークに、ガウリイは苦く笑う。
「じゃあ、明日からしごくからな?今日は、ダチと楽しんで来い!」
ガウリイの尻を叩き、ガーブは豪快に笑いながら現場へと戻って行った。
「イッテ〜、本気で叩きやがった、あのおっさん。」
叩かれた場所を摩り、ガウリイは笑う。
「・・叩かれて喜んでやがるし・・そういや、蹴られて惚れたんだっけか。・・マゾかよ!?」
「その可能性は高いな。早い内に縁を切っておくか。」
「あのなあ、お前ら泣かすぞ。」
足早に距離を取ったルークとゼルを見て、ガウリイは目を据わらせた。
「探しましたよ、ガウリイ様。旦那様からの言付けです。」
馴染みの店で3人が食事をしている時、ガブリエフ家に仕える執事が、やってきた。
「なんだ?」
「学費は出すから学校は通う様に、そして、三ヶ月1人で暮らし、その際の生活費は自分で稼ぐ事、その上で、跡継ぎの話をもう一度したい、との事です。」
「へ・・・?」
「旦那様が、猶予なさって下さいました。ガウリイ様、後は貴方様次第でございます。」
予想とは違う伝言にガウリイが呆気に取られている内に、執事は一礼をして、店を出て行った。
「マジかよ、あのおっさんが折れたぜ?」
「余程、ガウリイに出て行かれたのが堪えたと見えるな。」
唖然として言ったルークの言葉に頷き、ゼルは冷静にそう言う。
「・・・三ヶ月、か・・・短いけど、その間にやりたい事、みつけるか。」
静かにそう言い、ガウリイは晴れやかに笑った。
「ね、何の騒ぎ?」
「ガウリイ=ガブリエフが、家を出たそうよ。」
週開けの学園中の妙な騒ぎに、リナが首を傾げると、ミリーナは静かにそう言う。
「へえ?」
「大変よね、彼、今まで絶対王制の様に逆らう人がいなかったのに、これで、ガブリエフの傘を着れなくなるんだもの。きっと、媚を売っていた人達は、一斉に離れるわよ。」
「いいんでない?自身に魅力が無いだけ、て事じゃない結局。最後まで付いて来た人が、信用出来る、て分かるし。」
「シビアね。」
「現実主義なの、あたし。」
静かに笑い言ったミリーナに、リナは不敵に笑ってみせる。
「それはまた、面白い事になっていましたねえ。」
「ああ、あんたがお楽しみしてた間にな?」
昼休みに、特別ルームへと集まり、週末の出来事の詳細を聞いたゼロスの言葉に、ルークは鼻で笑い、そう言う。
「おや、失敬な。こちらには先約があったのですよ?女性との約束を反故にするなど、出来ません。」
「毎週、忙しいもんなあ?」
「ええ。スケジュール管理が大変なんですよ。」
ルークのイヤミにも動じず、ゼロスは肩をすくめる。
「明日、ガウリイを迎えにいくのは、ゼロスに任せるとするか。」
「ち・・ちょっと、待って下さいよ。僕は遅刻ギリギリで走るなんて嫌ですよ?」
ゼルの言葉に、ゼロスは焦る。
無理も無いだろう、いきなり徒歩となったガウリイを心配し、迎えに行った2人は、巻き添えを食い遅刻ギリギリになり、3人仲良く走る事になったのだ。
それを知っているゼロスが拒むのも当然と言える。
「何だよ、ゼロスも歩こうぜ。」
「嫌ですよ!」
1人爽やかに笑うガウリイの言葉に、珍しく声を荒げるゼロス。
「朝走ると気持ちが良いぜ?」
「断固として、お断り致します!」
首を激しく振り、ゼロスはガウリイの誘いを断る。
元々、F4の許しがあれば出入りが可能な特別ルームである為、古くからの友人であるガウリイの出入りは、誰も咎めないのであろう、その部屋の中では、ガウリイは今までと何ら変わっていない様に見える。
しかし、一歩外に出てしまえば、他の生徒の態度は、今までと明らかに違った。
露骨な者は、散々媚ヘツラっていたのが一転、鼻で笑い、通り過ぎるのみになる程だ。
群がっていた女生徒達も、新たな財ある男へと鞍変えし、一部の崇拝者が残るのみとなっているのである。
それでも、ガウリイは良いとさえ思えた。要は、離れた人物は、自分、という人間ではなくガブリエフしか見えていなかった、という事だ。
それなら惜しくないのも同然だろう、ガウリイは、胸に支えていた物が全部取れた様な顔をしていた。
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
女性陣の出番少なっ!!
花がないよ!花が!※誤字ではありません。
そして、何気に良い人として登場のガーブ氏・・・
これ以上人増やしてどうすんのさ、自分!
彼は、数回で消える予定ではあります。
久々の連続投稿で、波に乗れました☆
出来れば、明日も・・・?

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18114花よりも団子?‐12‐井上アイ 2007/5/31 21:12:38
記事番号18113へのコメント

宣告通り、続けて投稿でっす☆
波はまだ来ています☆
では、十二話です。
ガーブは何者でしょうか?
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
ガウリイが独り暮らしをする様になり、一週間が経った。
ゼル達が心配をしていた家事は、やはり、バイトで疲れ怠りがちで、食事は、夕飯はバイト先で支給される物があるものの、朝食はもっぱらパンのみとなっていた。
「あ〜、腹減った〜。」
今日は休め、とガーブに昨日のバイト終了時間に言われ、ガウリイは有り難く休日にバイトを休んだのだが、食材が全くと言っていい程なかったので、朝食にパンを食べたのみだ。
時刻はもうそろそろ昼に掛ろうか、と言った時間になっており、何か作ろうとしても、食材が無い為に、ままならない状態になっていた。
「近くに食いに行ける場所あるのか〜?」
近所の勝手がイマイチ掴めていない状態に、彼は途方に暮れる。
―コンコン
「おっ?ゼルか?」
ドアをノックする音に、ガウリイはのそりと立ち上がる。
ここを知る人物は、F4の3人と、ルークの父親・ガーブのみである。
ルークは無遠慮にずかずか入って来るし、ゼロスは週末にわざわざ来る様な人間では無いし、ルークの父親は自分に用は無く、ガーブは仕事中の筈で、丁寧なノックなんぞしない。
と、なると、思い付くのは、礼儀を重んじるゼルのみであり、ガウリイは何の気もなく、鍵を開け、ドアを開けた。
「あ〜、あんたが、おっちゃんの所に転がりこんだ奴?」
目をパチクリとさせ、首を傾げた拍子に、長い栗毛が揺れた。
左手には小さな紙切れ、右手には大きな手提げ鞄を持った人物を見て、ガウリイは固まった。
てっきり、気難しい顔の友人かと思っていたら、開けて見れば、思いを寄せている人物が立っていたのだ、その驚きは大きいだろう。
「へ・・・?」
「ガーブのおっちゃんの所でバイトしてんでしょ?違った?」
愕然とした表情のガウリイに、左手にある紙に目を落としたのは、Tシャツに長ズボン姿のリナだ。
「そう・・だが・・?」
「おっちゃんがね、疲れているみたいだから休ませたけど、食事が心配だからって、見てきてくれ、て頼んできたの。上がっていい?」
「お・・・おう。」
いまだ呆然としながら、ガウリイは、リナを部屋へと招き入れた。
「うっわ〜、汚いわねえ、掃除してないじゃない。」
キョロキョロしながらリナは散らかった部屋を見渡す。
「バイトで、疲れちまってな・・」
「洗濯は?」
「制服と下着は、洗っているが、他は・・・」
「でしょうね。」
脱ぎ散らかされた服を摘み上げ、リナは呆れた溜め息をつく。
「昼ご飯、まだでしょ?持って来たから、食べて。」
「へ・・・?」
「その間に、洗濯するわ。後で掃除しましょ。」
「え・・・?」
呆然とするガウリイに手提げ鞄を押し付け、リナは数枚の服を拾う。
突然舞い降りた幸運に、ガウリイはぼんやりしながら手提げ鞄の中から重箱を取り出す。
一段のみの重箱の中には、色鮮やかな野菜のおかずと、肉と魚にご飯がバランス良く入っていた。
テーブルの前で姿勢を正し、ガウリイは手を合わせてから、まずは、魚のフライを口に含む。
緊張の為か、手は僅かに震えているが、味はしっかりと、噛み締めるように味わう。
「うまい・・・」
随分リアルな夢だな、と呆気た考えに辿り着きながらも、ガウリイは夢中で食事をする。
「あ〜、疲れた。コップ借りるわね。」
庭に洗濯物を干し終ったリナは、コップを取り出し、水がめから水を掬う。
「夢じゃ・・ないよな?」
「何よ?夢かと思う位おいしかった?」
ぼんやり口を開いたガウリイに苦笑し、リナは新しいコップに水を入れ、ガウリイの前に置く。
「ああ。」
「ふ〜ん?ね、一週間独りで暮らした感想は?」
コクリと頷いたガウリイと、向かい合う位置に腰掛け、リナは肘を付く。
「大変だった。食べる事って、大事な事なんだな。」
「何よ?そんな事も知らなかったの?」
「ああ、オレは、本当に何も知らなかったんだ。」
「まだまだ、甘いわよ?あんたは恵まれている方なんだからね?支えてくれる友達が居て、気にしてくれる人が居る。感謝しなさい、その人達に。」
「そう・・だな。」
「さてと!重箱洗って、掃除しましょ。」
「えっと・・お前さん、飯は?」
勢い良く立ち上がったリナに、ガウリイは頬を掻き、そう聞く。
「食べて来たわ。どんな人か分からなかったし、上がるつもりなかったもの。」
「そっか・・・」
「お前、ての止めてね、あたしの名前、知ってるでしょ?」
「へ・・・?」
「ロッカーに赤札貼ったんだから、知ってるんでしょ?」
「えっと・・・じゃあ、リ、リナ・・て呼んでいいのか?」
小首を傾げたリナに、ガウリイは頬を僅かに染め、そう問う。
途端、リナは、難しい顔をし、暫し考えて頷く。
「いいわよ?インバースて呼ばれるのも変だし、さん付け、て〜のもおかしいし。」
「じ、じゃあ、掃除、するか。」
「その前に、髪、結びましょ、邪魔になるわ。」
手早く髪を一つに結び、リナはガウリイを見た。
「じゃ、お邪魔しました。」
掃除を終えて、リナは部屋のドアの所に立つ。
「えっと、何か礼をしたいんだが・・」
「あ〜、大丈夫。おっちゃんから貰ってるから。じゃなきゃ、休みを潰さないわよ。」
「そうか。・・学校で、声掛けていいか?」
「ん〜、駄目。もう少しマトモになってからね。」
「解った。・・・」
「明日、バイトよね?」
目に見えて落ち込むガウリイに、リナは首を傾げて見せる。
「ああ?」
「おっちゃんに、弁当預けておくわ。」
「へ?!」
「今日のおまけよ。しっかり働きなさい。」
「ああ!」
「じゃあね?」
いきなり元気になったガウリイを見て、リナは苦笑し、手を小さく挙げ部屋を出て行った。
「リナ・・・か。」
ドアを見詰め、ガウリイはぽつりとそう言った。
結局、リナに対してそう呼ぶ事は出来なかった自分を情けなく思い、自己嫌悪し、
―ガチャ!
勢いよくドアを開け、ガウリイは走った。
「待ってくれ!」
「・・・どうしたの?」
後ろから声を掛けられ、リナは足を止め、振り返る。
「あ〜、・・ここら辺で、おいしい店、知らないか?」
「自炊する気無いのね?」
「疲れている時、使おうと思ってな。」
「ここ、おいしいわよ?」
頬を掻いたガウリイに、リナは手提げ鞄から一枚の紙を渡す。
「悪いな、こんな事で呼び止めて。」
「言葉使い間違ってるわよ?」
「へ・・・?」
「こういう時は、ありがとうて言うの。」
「あ、ありがとう。」
「いーえ、どう致しまして。」
どもりながらガウリイが言うと、リナはクスクスと小さく笑い、そう応える。
「じゃあ・・な。」
「ええ。じゃあね。」
ウインク一つして、リナは踵を返し、颯爽と歩き去った。
「・・・何、やってんだ、オレ・・・」
大きく溜め息をつき、ガウリイはリナの姿が見えなくなるまで、その場に立ち続け、
「今度は、リナ、て言うぞ。」
小さくそう自分に言い聞かせ、ガウリイは家路へと向かった。
「夢じゃ・・ないんだよな・・・」
片付いた部屋と、紙を見て、ガウリイは呆然とそう呟く。
「犬ね、あいつ。」
クスクス笑い、リナは足を止め、踵を返した。
暫く来た道を戻り、リナは角を曲がった。
その先に、リナの借りている集合住宅の部屋があるのだ。
そこから、ガウリイの居る部屋までは、十分も掛らない、つまり、ご近所さんなのだが彼に住まいを知られたく無い為に、わざと角を曲がらずに進んだのだ。
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
設定を借りただけです!
元ネタとはなんら関係がございません!!
一応、今更ですが、誇張させて頂きました☆

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18115花よりも団子?‐13‐井上アイ 2007/6/2 00:55:46
記事番号18114へのコメント

あと、一ヶ月すると、こちらへお邪魔する事が出来なくなりそうです↓↓
まだ、どうなるかは分かりませんが、忙しくなりそうな予感がビシバシと★
では、十三話です。
なんだか、ありきたりな流れになっている様な気がします☆ので・・・フフフ★
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
次の日の朝、ガウリイは逸る気持ちを抑え、バイト先へと向かった。
「おやじ、おはようございます。」
ガウリイは、ガーブの事を慕い、〈おやじ〉と呼ぶ。ガーブもガウリイを実の子の様に接し呼ぶ時は〈むすこ〉と、呼ぶ様になっていた。
呼ばれた彼は、優しい目をして紙袋をガウリイに渡す。
「おう、おらリナからだ。」
「どうも。」
「顔赤いぞ。惚れたか?」
「い゛!?」
「やべえなあ、キューピット役になっちまった。どやされちまうぞ。」
頬を赤く染めたガウリイを見て、ガーブは乱暴に頭を掻く。
「・・そういや、どういう関係なんだ?」
「ダチのガキなんだ。宜しく頼む、て言われててな。」
「え?親に、何か遭ったのか?」
「いや、親元を離れてんだ。まあ、あいつは、元々しっかりしているからよ、たまに様子見に行く位だがな?」
「金は、どうしてんだ?」
「バイトしてんだよ、お前と一緒だな。ま、お前みたいなへっぽこなんかと一緒にしたら、怒られるがな。」
そう言い、がははとガーブは笑う。
「・・・おやじ、オレ、仕事頑張る、て伝えてくれ。」
「んなもん、自分で伝えやがれ。学校同じなんだろうが?」
「マトモになるまで、声掛けられないんだ。」
「なら、手紙でも書くこった。伝言板じゃねえんだぞ?」
情けない顔をしたガウリイの額に鋭いでこぴんをして、ガーブは溜め息をつく。
従業員が揃った所で、現場へと入れる唯一の扉の鍵を、ガーブが開け、皆持ち場へと向かった。
昼、ガウリイは皆とは少し離れた場所で一段の重箱を開けていた。
「いただきます。」
手を合わせ、小さく頭を下げ、彼は幸せそうな顔で食事をする。
「・・・ヘタレだな、あの馬鹿息子。」
「おやっさん、新人の奴、とうとう頭やばくなったんじゃ?」
遠くからガウリイの様子を見ていたガーブの背後から、古株の職人が心配そうに声を掛けた。
「あ〜、まあ、青春してんだよ。独りで空回りしてるぜ?」
「勘は良い奴なんだがなあ〜。どうにも抜けてんだよな。」
ガーブの言葉に困った顔をする職人。
「ドラ息子の教育、頼んだぜ?」
「教育のしがいがある奴なんで、任せてください。」
ガーブに肩を叩かれ、職人はにやりと笑う。
「これ、渡してくれ。」
「ちゃんと、水で洗ったか?」
紙袋をガウリイから受け取り、ガーブは目を据わらせる。
「まあな。」
「よし。お前にしては上出来だ。」
乱暴にガウリイの頭を撫で、ガーブは目を細めた。
「おっちゃ〜ん!」
「おう、良く来たな。」
元気良く走って来たリナの姿を見留め、ガーブはにっ!と笑う。
「弁当箱、預かってるでしょ?」
「ああ。」
「ね、あいつの分、昼代浮いたんだから、その分こっちにバックしてくれるんでしょ?」
「・・・ほれ。」
「うっしゃ〜!早起きした甲斐有った、てなもんよ!」
紙袋と封筒をガーブから受け取り、リナは意気揚々と踵を返し、軽い足取りで家路へと向かった。
「脈、なさそうですねえ、新人。」
「悪女だ、奴は・・・」
職人の言葉に、ガーブは顔を引き攣らせながら応えた。
「鼻唄歌いながら、洗ってたのになあ。帰った後で良かった・・・」
「あ?それ知らねえぞ?・・あの馬鹿息子は・・どうも、ズレてやがる・・・」
「いつ散るのか、賭けます?」
「お、いいなあ。と、言いたいトコだが・・・あの馬鹿の事だ、何にも出来ないだろうよ。」
職人の言葉に乗ると見せ、ガーブは頭(かぶり)を振った。
貸し部屋へと戻ったリナは、荷物を下ろし、中を取り出す。
‐ありがとう。美味かった。仕事頑張るな。〜ガウリイ=ガブリエフ‐
「あら、意外に律儀ねえ。」
重箱と一緒に入っていた紙切れを見て、リナはおかしそうに笑う。
「洗ってあるし、感心。感心。」
言いながら、リナは封筒に口付けをし、
「これで、何食べよっかな〜?」
人の悪い笑みを浮かべ、リナはいくらかの店を思い浮かべた。
「リナの飯、美味かったぜ?」
「あ〜?食ったのか?!」
週開けの昼、ガウリイの嬉しそうに言った言葉にルークは眉を吊り上げる。
「ああ。」
「どういう流れでそうなる?」
頷いたガウリイに、ゼルは怪訝そうにそう聞く。
「〈おやじ〉のダチの子供なんだと、で、一昨日にバイト休んだオレを心配して、リナを寄越してくれたんだ。そしたら、弁当持って来てくれてよ。洗濯してくれてな、部屋の掃除も一緒にしたんだ。」
「で?」
「で?て?」
ルークの問いに、ガウリイは首を傾げる。
「おいおい。んなおいしい場面で、何でなんも意思表示してないんだよ?」
「リナ、て呼んで良いて、許して貰ったぞ?」
「アホだ、こいつ・・・」
ガウリイから返って来た答えに、ルークは頭を抱える。
「良く言う。未だ一方通行な文通をしてる奴が・・・」
「一方通行じゃない!ちゃんと返事は来てるよ!!」
ゼルの冷たい突っ込みに、ルークはムキになってそう叫ぶ。
「返事が返ってくる様に、わざと間違った綴りを書いていても、か?」
「う゛・・・」
「たく・・どいつもこいつも・・」
言葉を失ったルークと、良く解っていない顔をしたガウリイを見て、ゼルはコメカミに手を当てた。
ガウリイがバイトをする様になり、一ヶ月も過ぎる頃には、彼を慕っていた女生徒の数は断然減っていった。
王子様ぜんたる容姿のガウリイに憧れていたので、バイトで日に焼け、体付きも逞しくなった事で、男臭くなり、彼女達の理想の人から離れたのだ。
そして、二度目の休日とバイトの休みが重なった日にも、リナがガウリイの部屋を訪れたのだが、ガウリイは彼女の事を〈リナ〉と呼べずに終った。
ルークはこの一ヶ月、街の清掃活動に加わり、ミリーナも遅れる事半月、それに加わり2人で汗を流す様になっていた。
が、リナは相変わらずガーブから出る小遣い目当てである事は変わらず、ガーブを悩ませていたし、
ミリーナは、ルークに対し、少し心を開きつつあるものの、友達としてでは無く、どちらかと言うと、手の掛る年上の弟、と認識した様だ。
「まだ、学校で声を掛けるな、て言ってあるの?」
「うん。あんなのと知り合いだなんて、嫌だもの。馬鹿だし、何も考えて無いし。」
昼に中庭へと出て直ぐに、声を掛けて来たミリーナの言葉に頷き、リナは重箱を開ける。
「・・・赤札を貼っていた頃に比べたら、大分マシよ?そろそろいいんじゃない?」
擦れ違う時の、ガウリイのそわそわした様子を思い出し、ミリーナは眉を寄せる。
声を掛けたくて仕方が無いといった顔をしながらも、掛けられない、と思い出したのか、途端寂しそうな顔をするのだ、ガウリイは。
その所為か、ガウリイに対し未だ淡い思いを寄せていた女生徒達が格段に減り、すっかりいなくなる程だ。
離れた理由は、様々だろう、表情豊かになった事で自分に脈は無い、と諦めた者と、情けない顔に幻滅した者、男らしく無い行動に見切りを付けた者と、大きく分ければそれ位だ。
「んな事より、夏休みよ!稼がなきゃね☆」
スケジュール帳を取り出し、リナは鼻唄混じりで色々と書き込んでいく。
その様子に、ミリーナは溜め息をついた。
公然の秘密と化したガウリイのリナへの想いは、肝心な相手に伝わっていないのだ。
アピール出来ていないガウリイも悪いが、それだけあからさまな態度を取られているにも関わらず、気付いていないリナの感心のなさは一級品と言えよう。
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
どうも、ヘタレな男性陣が面白くてついつい情けなくなってしまいます★
ていうか、いつ恋愛に発展するんだろ、これ?
現状維持のまま終らない様心掛けます・・・ 
 
 
あれ?あの腹黒がいない?最近すっかり影が薄いですね〜。
書く事ないんですよ、正直。よからぬ事を吹き込む役として出て貰ったので今の所、して貰う事がないんですね☆
出てくると、話がややこしくなりそうですし、突っ込み役ではないし、ボケは2人いる・・うん、いいや★その内出番あるでしょ★

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18116Re:プライド・オブ・ダークネス。。っぽい何かA。。。 2007/6/3 03:00:22
記事番号18115へのコメント

「素晴らしいですわっっ!!」

赤い瞳を潤ませつつ、興奮した様子で

銀髪の女性、マリアテーゼは叫んだ

「この制服っ、この生徒達の人種っ、そして何よりこの美しい限りのメンツッ!

私の夢と理想と幻を掻き集めたかの様な、正に素晴らしい学園像ですわぁっ!!」

正にハイソの結晶・・と呟いてるマリアを横目に

リッチのロガンザは、前回から引き続いている、説明を続けた

「町ではその本、『花よりも団子?』はベストセラーの人気作なようでのう、

そこまで喜んで頂けるとは、苦労して手に入れた甲斐がありましたわい」

マリアはロガンザの細いしわしわの手をガッシと掴んで

「造りましょうっ!この学園を!我がハイソサエティ・クラブなら出来る筈です!」

落ち着きを取り戻した様子で、全然落ち着いてない瞳を向けた

「どうしたのですか、マリアテーゼさん。そんなに大きな声を出されて」

そう言ったのは、これまた黒い服とマントに身を包んだ二十歳程の長身の男

ハンサムな顔に柔らかい金髪がかかっている。両目はマリアテーゼと同じく真っ赤。

吸血鬼のアレクサンドル=ニコルソンである

「アレクサンドル様っ!」

マリアはパッと顔を輝かせてアレックスへと駆け寄る

「これをご覧下さいましっ!当クラブの質を更に向上させる為の

ステップアップのステージはこれを参考に致しましょうっ!」

アレックスが本を受け取り、目を通す

その間、マリアは浮かれたまま、ロガンザと夢の計画をあれこれと練っていた

「ぅん?」

すると突如アレックスの片眉がピクリと跳ねた

「・・・?、どうかなさいましたか?アレクサンドル様」

その様子にマリアが問う

アレックスが、眉間に皺を寄せながら中空を見つめて

「この物語の中心人物の子、何処かでお会いしたような・・・」

心元無さそうに、ポツリと呟いた

「そぉですかぁ?お会いしていれば私、間違い無く当クラブに入会して頂きますわ」

「そうじゃのう、それに当クラブが人間との関わりを絶ってもう300年じゃ。

只の思い違いではござらぬかのう?」

マリアテーゼとロガンザは口々に異を唱える

「そう・・・ですかね・・」

押し切られたように声を小さくしながら

そのうち疑問の事も忘れて、これからの計画話に花を咲かすのであった


**************************


ええっと・・・

何が伝えたかったんだろう、自分・・

まずは説明

プライド・オブ・ダークネスは、自分が持ってる数少ないスレの小説の中の、一つの話です

色々話の展開をどうすべきか考えて考えて・・

随分遅れました。すみません

しかも考えた結果、

コメント要素が0.025l程しか無くなってしまいました

申し訳御座いません

私が言いたかった事とは、つまり・・・・・・

「花より団子?」はベストセラーだよってのが伝えたかったんです!

テヘーッv(煩

因みに、下から上へと続いてます



随分と話が進んでいますね

これからも頑張って下さい

それでは




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18117花よりも団子?‐14‐井上アイ 2007/6/4 20:56:58
記事番号18115へのコメント

お〜!スペシャルの話でしたか!!
てっきり洋画の題名だと思っていました☆
プライド・オブ・ダークネスの話持っていますが、すっかり忘れていました☆
話は進んでいますが、展開はカタツムリの如く、目に見えた変化はさっぱりです☆だらだらと書いていて終りが見えなくならない様に努力します!
では、十四話です。
ガウリイ、最初の頃の性格と違いすぎ!
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
三度目のリナの訪問に備え、ガウリイは朝から念入りに部屋の掃除をしていた。
初めて彼女が部屋に訪れてから、汚さない様に心掛けていたので部屋は、数分で片付き、後は彼女が来るのを待つだけとなった。
「よし。」
小さくガッツポーズをし、ガウリイは落ち着き無く鏡の前に立ち、ぎこちなく笑う。
―コンコン
ノックの音に、ガウリイは深呼吸し、ドアを開けた。
「よお・・・」
「こんにちは。」
頬を掻くガウリイとは対象的に、リナは余裕の笑みで挨拶をし、部屋へと入る。
「感心。感心。綺麗なままね。」
「まあな。」
「じゃあ、はい、お弁当。」
「あ、ああ。」
リナから弁当を受け取り、ガウリイは寂しそうに笑う。
前回も、洗濯、掃除を済ませ招き入れていて、リナに誉められたのは良いが、弁当を出し、すぐに帰ってしまったのだ。
だが、だからと言って、リナが来るからと家事を怠れば、嫌われるかもしれないので、それは出来ない。悩んだ末に、ガウリイは家事をしっかりとして準備を整えていたのだ。
「食べたら、勉強しましょ。おっちゃんに、勉強見てやってくれ、て頼まれてるから。」
「へ・・・?」
「あんた、この間のテスト、赤点じゃなかったけど、酷かったんだって?おっちゃんがバイトの所為で勉強を怠っているんじゃないか、て心配して頼んできたの。」
「わ・解った!すぐ食う!」
「ちゃんと味わって食べてよ?あたしの手料理を馬鹿にしないでね?」
「解った。味わって、急いで食べる!」
「どうぞ。」
苦笑すると、リナはソファに座り、持って来た本に目を落とす。
ガウリイはテーブルに弁当を広げ、椅子に座り、姿勢正しく食事を始めた。
それを見て、リナは苦笑し、
「野良犬の餌付けに成功した気分だわ。」
小さく呟き、再び本の世界に没頭する。
そして、夕方になり、勉強会に見切りを付け、リナが帰る事になった。
「じゃあね。」
「リ、リナ。ありがとうな。」
「・・どういたしまして。」
少しびっくりした顔をしてから苦笑し、リナは小さく手を挙げ部屋を後にする。
「リナ・・・か、やっと言えた。」
部屋でガウリイは満足気に笑い、勉強を教えて貰っていた時のリナとの近さを思い出し、赤面する。
睫の長さが分かる程の距離で、真剣な目をし分かり易く説明をしているリナの優しい声は、幼い頃に他界した母を思わせ、僅かに香る匂いは春の爽やかな風に似ていて、彼は幸運を与えてくれたガーブに、深く感謝したのであった。
その翌翌日、緩みきった顔でガウリイは学校へと向かっていた。
勿論、前日も同じ顔でバイトへと行き、周りの人間に気持ち悪がられ、引かれたのは言うまでもないだろう。
「リナと会えるかな〜?」
鼻唄まじりで、学校へと向かい、ガウリイは彼女に思いをはせる。
声は掛けられないが、顔を見られれば、嬉しくなるのだ。勿論、話が出来るならそれに超した事はないが、彼女が駄目だと言っている限りは話し掛けないでいよう、と気長に待ち続けているのである。
まあそれも、ゼル達からして見れば、まずは彼女の前で緊張しなくなるのが先だろう、という突っ込みが来るだろうが・・・先程の誓いの様な決意を知らないので、彼等からの突っ込みは無いだろう。
「あ〜、朝から良い運動したわ〜♪」
「へ・・・?」
上機嫌で道の角から出て来た人物を見て、ガウリイは固まった。
「ん?あ〜、おはよ。」
それに気付き、その人物はにこりと笑い、彼に近付き、首を傾げる。
「偶然ね?一緒に学校行く?」
「いいのか?」
「だって、同じ所に行くんじゃない。縦に並んで歩くなんて変でしょ?さ、行きましょ。」
踵を返した拍子に、栗毛が踊った。
「リ、リナ。学校で声掛けていいか?」
「ん〜、まあ、この際だから良いか。但し、滅多な事で声は掛けないでね?こっちも暇じゃないから。」
慌てて追い掛け、自信なさげに声を掛けたガウリイに、先を歩いていた人物=リナは肩をすくめた。
「この辺に住んでいるのか?」
「ヒミツv乙女の住まいを知ろうなんて百年早いわよ。」
「えっと、もうすぐ夏休みだな。」
「そうね。」
「どこかに行くのか?」
「まあ、色々ね。」
ガウリイの質問をのらりくらりとかわしながら、リナは彼と共に学校へと向かった。
「う・・・ちくしょ〜あのアマ・・・」
「ひでーガキだ・・・」
「改心しよ・・・」
リナが出て来た角の奥では、街のチンピラ連中が下着一枚という恥ずかしい格好で寝転がっていた。
その中のリーダー格の額には、‘制裁‘の文字が書かれてある。
登校途中のリナを見掛けて、ちょっかいを掛け、見事に返り撃ちに遭ったのだ。
そして、その現場近くのゴミ置き場には、何着もの服が捨てられて在ったりする。
「ふふふ。」
校門の前で別れ、リナは非常階段の踊り場へと来ていた。
鞄をひっくり返せば、大小様々な財布が出て来る。
「見られてなくって、良かったわ〜♪」
絡んで来たチンピラをイビリ倒すのが、彼女の密かな趣味で、その際に、迷惑料として懐を拝借しているのだ。
彼に会った時は、見られたかどうかが分からなかったので、探る為に登校を共にしたのだが、一切聞かれなかった事から見られてはいないらしい、と判断し、ほっとした為に、先程の様な怪しい笑いが出たのだろう。
「朝は仕分けする暇ないから嫌よねえ。」
財布を一つ一つ開き、中を確認し、リナは溜め息をついた。
「不景気ねえ。朝っぱらから運動させておいて、これっぽっち?」
最悪、と愚痴りリナは教室へと向かった。
「一緒に登校してた様だけど、いつの間にそんな仲になったの?」
「あ〜、ちょっと途中で会ったからついでよ。」
ミリーナの問いに、リナは手をパタパタさせる。
「そう。実は、少し困っているのだけれど・・・」
「何?」
「お昼に話すわ。」
「解った。」
小さく頷き、リナは1限の授業の準備に掛った。
そして、昼休みに2人で使われていない学科の教室へと入り、弁当を広げた所で話を始めた。
「実は、芝居に誘われたの。」
「へえ・・でどうしよう、て?」
「ええ。」
困った顔をしてミリーナは頷く。
昨日の街の清掃活動終了後、一緒に行かないか、と誘われ、考えさせて欲しいと答えてあったが、どうにも考えがまとまらずに、リナに相談する事にしたのだ。
「ミリーナは、どうしたいの?」
「興味ある芝居なので、行きたいと思ってはいたのだけれど、2人きりで、て言うのは、ちょっと・・・」
「なら、2人きりじゃなければいいのね?」
「ええ、まあ。」
「なら、誰か誘えば?」
「リナさんは来る気はないの?」
「バイトびっしりv」
「そう・・只、彼と行く事は、学校の人に知られたくないのよ。」
「あ、そっか、あんた幼稚舎からここだっけ?」
「ええ。」
「なら、アメリアは?受験生だけど余裕あるみたいだし。」
「そうね。聞いてみるわ。」
リナの提案にミリーナは頷き、安堵の表情を見せた。 ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
あはは☆リナさんの隠れざる趣味発覚v
やはり、悪党イジメは欠かせないでしょう!
そして、何気にミリーナを誘っているルーク、一歩前進?と言った所でしょうか?
何故か「いった」を変換して「週」が出てきました!!なんかやっぱり変換おかしい携帯です↓↓
「おん」で「無い」が出て来たと以前報告しましたが、何故か今は影も形もないし・・???
たま〜に頭が???となる変換が出てきます。一度どういう基準で変換機能を作成したのか聞きたい位です。

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18118花よりも団子?‐15‐井上アイ 2007/6/5 19:56:56
記事番号18117へのコメント

漫画喫茶に行って参りました☆
せっかくの休みに何してんだか、て感じでしたが、フル○゛を読んできました。
他にも少しやってきましたよ☆何をしたのかはヒミツです?
ちなみに、こちらは相変わらず携帯をポチポチと・・・考えながら打ち込んでいるので、この方が合っているのですよ↓↓
では、十五話です。
誰か、報われない彼等に愛の手を・・・
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
「一緒に学校まで来たんだぜ?」
「芝居に誘ったんだ☆」
浮かれた様子でガウリイとルークは昼ご飯を食べていた。
「ソレハヨカッタナ。」
うんざりした顔でゼルは感情を含ませずにそう言い、食事を口に入れる。
「聞いてくれよ!学校で声掛けていい、て許して貰えたんだ、やっと話せるんだ!」
「用があれば、の話なんだろうが・・・」
興奮し言うガウリイに、ゼルは冷たくそう言う。
「芝居だぜ?芝居!雰囲気さえ良ければ、その後食事に行けるんだぜ!」
「考えさせて欲しいと言われたんだろうが・・・」
同じく興奮しているルークに、ゼルは冷たく言い放つ。
朝に会ってから、ガウリイとルークは先程と同じ言葉をエンドレスで聞かせてきたのだ、冷たい反応になるのは当然の成り行きだろう。
「早くお前も良い奴見付けろよ。人生楽しくなるぜ?」
「その前に、その仏調顔をなんとかするのが先だな?ゼル。」
にこやかに言ったガウリイの言葉に続き、ルークは憐れみを含んだ表情をしてゼルを見る。
「はん。空回りしてる奴等に言われる筋合いは無いな。」
鼻で笑い、ゼルは静かに食事を進めた。
2日が過ぎ、ルークはゼルの家を訪れていた。
「芝居?何だ断わられたのか?」
一緒に芝居に行って欲しいと言ってきたルークを見、ゼルはやはりな、と言った顔をする。
「ちげえよ。彼女がダチ同伴なら、てOKくれてな。でだ、ゼルも一緒して欲しいと言っている訳だ。」
眉を吊り上げ、ルークは静かに反論する。
「なら、ガウリイを誘ってやれ。ワイザー嬢の友達て言うと、あの特待生だろう?」
「いや、そうじゃないらしい。聞いてみたら、今中学生だとよ。」
「で?」
「糸目の毒牙にはかけられんだろうが。その点、ゼルは常識人だからな。」
「解った。まあ、付き合ってやるさ。」
「恩に切るぜ!ゼル!!」
ゼルの手を取り、ルークはぶんぶか手を揺さぶった。
―その週末
「ごめんなさい。付き合わせて。」
「いえ。わたしもこのお芝居見たかったの。気にしないで。」
申し訳なさそうに言ったミリーナに、アメリアは苦笑した。
2人は今、待ち合わせた場所から、並んで歩き出し、ルークとの待ち合わせの場所へと向かっている。
「どんな方?待ち合わせの相手。」
「一人は、常識ある人よ。もう一人は・・子供みたいな人ね。感情の起伏が激しいのよ。」
「で、誘って下さったのは、どちらなの?」
「子供みたいな人よ。」
「へえ〜、面白そうな方ね?」
「迷惑な人よ?」
「そうなの?まあ、面倒そうではあるわね。」
話をしながら十数分歩いた所で、彼女達は待ち合わせの場所へと着いた。
そこには、早くも着いていたルークとゼルがいた。
「来てくれて、ありがとうな。」
「約束ですから、当然でしょう?」
嬉しそうに声を掛けて来たルークに冷たくそう言い、ミリーナはアメリアを見る。
アメリアはそれににこりと応え、口を開いた。
「アメリアです。本日はお招き頂き有り難うございます。」
「ルークだ。会えて嬉しいよ。」
「ゼルガディスだ。」
アメリアがぺこりと頭を下げると、ルークとゼルは簡単に自己紹介をした。
「じゃあ、行くか。」
「だな。」
ゼルの言葉にルークは頷き、ミリーナを見る。
「何か?」
「いや、何でもねえ。」
慌てて首を降り、ルークはゼルと共に、先を歩く。
その後を女性陣が付いて歩いた。
芝居と言っても、いわゆるプレミアの上演会なので、ドレスコードが決まっていて、清楚なドレスに見を包んだミリーナに、ルークは見惚れたのである。
それに気付き、アメリアは成程と察する。芝居に誘った子供みたいな人はこちらだ、と。
待ち合わせの場所から一分も無い会場に辿り付き、4人は赤絨毯の上を歩き、係りの者に案内された席へと着いた。
「素敵!わたし一度二階から見たかったのよね。」
「あら?貴方はいつも二階席じゃないの?」
はしゃぐアメリアに、ミリーナは首を傾げる。
「わたし、まだそんな立場じゃないもの。」
「そう。なら、誘って良かったわ。」
肩をすくめたアメリアに、ミリーナは静かに笑う。
「成程。」
「何が、成程、なの?」
「いえ、こちらの話よ、気にしないで。」
呟きを耳にしたミリーナが首を傾げると、アメリアは手をパタパタさせる。
頭の中では、きっとさっきの様な笑顔に心奪われたんだわ。とか思っていたりする。
「私、他の上演会をチェックして来るわ。アメリアさんは?」
「待ってるわ。」
笑顔でミリーナを見送り、アメリアはルークを見る。
「わ〜、寂しそうな顔。一緒に行けば良かったのに?」
「るせー。」
「怖〜い。ゼルガディスさん、この人、目が怖いわ。」
不機嫌そうな顔をしたルークから距離を取り、アメリアは指を指す。
「人を指差すな、と教わらなかったのか?」
「教わりましたとも!でも、怖かったのは事実!」
疲れた顔をしたゼルの言葉に、アメリアは拳を握り主張する。
「というか、年長者に対する言葉遣いでは無いだろう・・」
「ごめんなさい。久々の芝居に浮かれてしまったのよ。」
小さく舌を出し、アメリアは微笑する。
「まあ、いいがな。三時間一緒なんだ。堅苦しいのは抜きの方が疲れないだろう。」
「飲み物、頼んでいいですか?あと、少し摘める物もあればいいんですけど・・」
そっぽを向き言ったゼルに安堵したのか、アメリアは柔かい笑顔を向ける。
「好きにしろ。」
「はい!」
ゼルの短い言葉に元気に答え、アメリアはメニュー表を手に取る。
「ただいま。」
「おかえりなさい。ミリーナさん、飲み物カモミールティーで良かった?」
「ええ。ありがとう。」
アメリアの問いに、ミリーナは微笑み、アメリアの左側の椅子へと座る。右から、ルーク・ゼル・アメリア・ミリーナが席の順だ。
ルークは、緊張するからと、右隅に席を陣取り、ミリーナが席を外していた為に、ゼルとアメリアが詰めて座り、偶然ミリーナは彼と遠くなった。
「いいお芝居あった?」
「ええ。今度行きましょ。」
「リナは・・来ないわよねえ。」
「でしょうね。夏休みのバイトの計画立てていたもの。」
「バイト・・今回もそれだっけ・・もう、リナったら!」
静かに言ったミリーナに、アメリアはプリプリと怒る。
「知り合いなのか?特待生と。」
「ええ。ミリーナさんとはリナの紹介で知り合ったの。」
首を傾げたゼルに、アメリアはこくりと頷いた。
「そうか。」
「・・・貴方達ですよね?F4て。」
「まあな。」
「お噂はかねがね聞いています。」
「ロクな話では無さそうだな。」
「・・・ええ、まあ。だから、こうして会えて良かったです。思っていたより良い人達でしたので。」
「良い人だとよ、ルーク。耳が痛いだろう?」
苦笑したアメリアの言葉に、ゼルは意地悪い顔をする。
「う゛・・今は改心してるだろうが・・」
「今は、な?」
苦々しい顔をしたルークをからかう様に見て、ゼルは肩をすくめてみせる。
その後、芝居を見終り、4人は会場を出た。
入る頃には傾いていた夕日は、すっかり沈み、辺りはすっかり夜の景色になっていた。
「ミリーナさん、わたし、送って頂くのでここで。」
「え?すぐ馬車が来るわよ?」
アメリアの言葉に、ミリーナは首を傾げる。
もうそろそろ、ミリーナの家の馬車が向かえに来る予定になっているのだ。
それで乗り合い馬車の停留場まで送る、と行きに話していたのでアメリアは知っているのだが?
「ゼルガディスさんが、送って下さると、申し出てくれたの。断るのは忍無いわ。」
「そう・・じゃあ、また連絡するわね。」
「待ってるわ。さ?ゼルガディスさん、参りましょう?」
ミリーナと握手し、アメリアはゼルと共に歩き出した。
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
また、主役がさっぱり出て来ない話に・・・
ちなみに、プレミア上演会なるものは創造のものなので実際どうかは分かりません!!
セレブな方が着飾り、招待されないと見に行けないステータスの様な物と思って頂けたら良いです。
なのでリナはバイトだと断ったのです。

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18119花よりも団子?‐16‐井上アイ 2007/6/7 00:22:10
記事番号18118へのコメント

波が来ている内に、話を進めたいと思います☆
少しでもブランクが有ると、停滞しそうなんです☆
では、十六話です。
リナはまた出て来ないです・・ι
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
「おい。いつ送る事になった?」
ミリーナ達と離れてから、ゼルは溜め息をつき、楽しそうに歩いているアメリアを見る。
「すみません。ゼルガディスさんとお話がしたかったので。ミリーナさんには悪い事しちゃいました。」
「話?」
「ええ。貴方ですよね、F4の常識人て?」
「さあな。」
「リナが赤札貼られた時、色々して下さった様で。」
「・・・」
「あ〜!悔しい!私だってリナの力になりたかったのに!ずるいわ!」
ゼルの無言の肯定にアメリアは頬を膨らませる。
「いや・・ずるいと言われても・・実質俺は何も出来てはいないしな。」
「何を言っているんです!しっかりリナが元気か心配したり、赤札の事を気にしてたりしてた、てのは知っているんですからね!」
眉を寄せたゼルに、アメリアは更に興奮する。
「あー、まあな。女に赤札なんかやりすぎだと思ったからな。」
「へえ?」
「何だ?」
「いいえ?何でもないですよ。」
「変な奴だな。」
首を振ったアメリアを、ゼルは眉を潜めて見る。
「ありがとうございます。」
「まだ着いていないだろう?いきがかり上だ、送る。」
「いえ、リナを支えて下さった事です。」
「それも、いきがかり上だ。」
「聞いていた通りだわ。無表情で、面白味にかけるけど、良い人だって。」
「そうか?」
「わたし、夏休みに学校見学に行くんです。その時、案内をお願いして良いですか?」
「俺が?何でまた・・」
「ゼルガディスさんの事、もっと知りたくなったんです。いけないですか?」
「・・・いや。」
小首を傾げたアメリアを見て、ゼルは小さく頭(かぶり)を振る。知らずの内に2人の足は止まり、前を向いたまましゃべっていた。
「約束ですよ?」
「ああ。」
「じゃあ!連絡先教えて下さい!オーブを送ります!」
優しく笑ったゼルの手を取り、向かい合う形で、アメリアは嬉しそうに笑う。
オーブとは、連絡手段の一つであり、対となるオーブ同士を持ち合い、話をしたい時に簡単な魔法を使えば双方が繋がり、話が出来るという物である。
専ら、遠距離の相手との連絡手段として使われているが、そこそこ値段が張る為に、かなり親しくならなければ持ち合わない代物である。
「オーブ?いや・・そこまでは・・」
「すみません・・いきなり。でも、わたし、自由の効く連絡手段それしか無いんです。」
「解った。まあ、邪魔になるもんでも無いしな。」
「ありがとうこざいます。」
「いや。・・・やはり、アメリアさんは、良い所の嬢さんみたいだな。」
ぺこりと頭を下げたアメリアから視線を外し、ゼルは歩き出す。
その後をアメリアが追う。
「やはり、とは?」
「ドレスは、デザインは取り立てて注目する物では無いが、素材は絹の一級品。髪飾りのティアラは〈ルイス〉がこの間発表したばかりの物だろう?」
「貴金属に詳しいのですね?」
「〈ルイス〉だけだ。母親がファンでな。」
「そうですか・・」
「で、簡単にオーブを送る、と言ったからな。悪い意味では無い、安心しろ。」
「そうですか。」
無表情の中にある優しさを感じとり、アメリアは柔らかく微笑んだ。
「芝居、良かったな。」
「そうね。」
頬を掻きながら言ったルークを見ずに、ミリーナは頷く。
「えっと・・・あの話実話だって知ってるか?」
「そうなんですか?」
「ああ。カルマートが舞台になっていたが、本当はゼフィーリアで有った事でな。今の女王の10代前の話なんだと。」
先程の芝居の内容は、独裁者が革命に因り治世から追放されるまでの、革命者達の苦労と努力の話だった。
芝居での舞台設定は、元の話のまま上演される事はまず無い、スポンサーの出身地にされ、話の内容も手を加えられる事もあり、中には、主役を自分の名前にさせたりするスポンサーさえいるのだ。
その点、先程の話は、招待者側を配慮した舞台設定だけで、話の内容としては、かなりの見応えがあり、ミリーナを満足させたのである。
「・・・本日は、素敵な芝居にお招き頂き、ありがとうございます。」
「いや・・気に入ってくれて嬉しいよ。」
目線を合わせないまま言ったミリーナの言葉に、ルークは照れた様に頭を掻く。
「今度、お礼するわ。」
「いや、そんなつもり・・・」
「ほんの気持です。」
ルークをちらりと見て、ミリーナはそう言い、丁度来た馬車へと足を向けた。
「おやすみ!ミ、ミリーナ!」
「ええ。おやすみなさい。」
慌てて声を掛けて来たルークに応え、ミリーナは頭を下げ馬車に乗る。
実は、ルークが直接ミリーナと呼んだのは初めてだったりし、ルークはかなりの決意で声を掛けたのだが、ミリーナは涼しい顔で馬車に揺られ、その場を去った。
同日の別の場所でも、事態は動いていた。
「は〜ん。あれが、拾った奴か。」
「ああ。勘が良くてな。良い物採りやがる。」
長年の悪友の言葉に、ガーブはにやりと笑う。
「いくら寂しいからといってもだな、ガキなんか拾うなよ。あいつが居るだろうが?」
「あいつは、面倒見甲斐がねえんだよ。しっかりしつけやがってんじゃねえ。」
長い黒髪の、火の付いていない煙草を口にくわえた男の足の脛を狙い、ガーブは蹴りを繰り出すが、動作一つで避けられた。
今、ガーブ達は、採石場にある小屋の中から、外の様子を見ていた。
そこには、長い金髪を一つにまとめ、タオルを頭に巻き、汗を掻きながら働くガウリイの姿が在る。
「なあ、おやじ、誰と会ってたんだ?」
昼食の時間となり、ガウリイはガーブと並んで座った。
「悪友だよ。テメエにだっているだろうが?」
「そりゃ、まあ・・・」
「午後も、人と合うからな、また職人に従えよ?」
「んだよ、またサボリか?」
「るっせーな。ヘナちょこが文句言ってんじゃあねぇ。俺はちゃんと自分の仕事はしてんだよ。」
ガウリイの頭をぐりぐりと押し、ガーブはにやりと笑った。
そして、昼食を終えたガーブは一度外へと出掛け、人を連れ採石場の小屋へと入って行く。
「見えるか?ちゃんと真面目にやってんぜ?」
ガーブは静かに言い、隣を見る。
そこには、色褪せた金髪を後ろに撫で付けた紳士が立っていた。
「あいつは、俺が責任持って面倒見てやる。何の心配はいらねえぜ?」
「何故、そこまで?」
「ま、俺にも色々あった、てだけだ。」
寂しそうに笑い、ガーブは窓の外を見る。
「・・・楽しそうだな。笑顔を、久々に見た気がする。」
「あ〜?実際見て無かったんだろうが、それがこの結果だ。」
紳士の言葉に、ガーブは眉を吊り上げる。
「・・・至らない所が在ったのは重々承知の上。しばらく、ご厄介になります。」
「勝手にしばらく、とか、厄介、とか言うんじゃねえ。あいつは頑張っているし、この仕事を楽しんでいる。あんたが決める事じゃあねえ。」
「・・・勉強させて頂きました。」
「どうにも堅苦しいなあ、あんた・・・まあ、いいがな?たまには肩の力抜いたらどうだ?」
紳士の肩を叩き、ガーブはにっと笑った。
数分で紳士は帰り、ガーブは本社からの指示書に目を通したり、報告書に目を通し、責任者印を押したりと、その日はデスクワークをこなしていった。
「おやじ、もう上がるな!」
「おう!気を付けて帰れよ!」
小屋に勢い良く入って来たガウリイに、ガーブは片手を挙げる。
「ガキじゃねえんだから、それ止めろよな。」
「るせー、ドラ息子の分際で生言ってんじゃねえよ。リナに学校で声掛けて良いて言われた癖に、今だ話出来ていないんだろうが?」
「う゛・・・仕方無いだろ・・用が無いんだから・・」
「用なんざ自分で作れや。勉強見て貰った礼や、食事の礼とかあるだろう。」
「おやじから謝礼金出しているんだろ?」
「ば〜か、気持ちだって言えば良いんだよ。」
「そっか。分かった!じゃあな、おやじ!」
元気良く手を挙げ、ガウリイは家路へと急いだ。
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
これで、ガーブは出て来ない筈です。
悪友はあの人です。この人は、暫く出て来ません。
やっと話が進展してきた感じがします。

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18123花よりも団子?‐17‐井上アイ 2007/6/9 01:10:17
記事番号18119へのコメント

昨日、湯気は凶器だと再確認しました↓↓
熱々の湯気に右手薬指を攻撃されました★
地味な癖に攻撃力はかなり高いです。
では?十七話です。
主役のヒロインが全く恋をしていないというダメダメな話はそろそろ返上したいと思います。
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
「アメリアが、かなり喜んでいたわよ?」
「ええ。ゼルガディスさんを気に入った様なの。」
週明け、リナとミリーナは顔を見合わせるなり苦笑した。
2人共、アメリアから浮かれた報告を受けていたからだ。
「全く、受験生が随分な余裕よね?」
「でも、ゼルガディスさんならば、足を引っ張る事はないんじゃないかしら?」
「まだ春なのねえ。あたしはもう夏休みの計画立てているのに。」
「バイトの計画?」
「そう!稼ぎ時じゃない?」
楽しそうにリナは笑い、それを見たミリーナはこっそり溜め息をついた。
「じゃ、お昼に芝居の感想聞かせてね♪」
ウインク一つし、リナは自分の席へと向かう。
「何だか、間違っている気がするのは、私だけかしら?」
首を傾げ、ミリーナも席へと向かった。
「・・リ、リナ。」
「何?」
昼に、リストランテに向かっていたリナを呼び止め、ガウリイは頬を僅かに赤くして口を開く。
「飯と勉強のお礼に、何かしたいんだ。」
「おっちゃんから貰ってるから良いわよ。」
「ちょっとした気持ちなんだ。」
「そ?で?」
「色々悩んだんだが、リナにどんなのが良いか聞こうと思って・・・」
「そうねえ・・・食べ物ならなんでも受け取るわよ。好き嫌いそんなに無いし。」
「そっか・・・分かった。」
「楽しみにしてるわね♪」
にこっ、と笑いリナはヒラヒラ手を振りその場を去った。
特別ルームへと重い足取りで行ったガウリイは、そこでもへこたれていた。
「馬鹿だな〜、一緒にどこか行きたいならそう言やあ良いだろうが。」
「う゛〜〜。」
ルークの何処か余裕のある声色に、広いテーブルに突っ伏したガウリイは恨めしそうに唸る。
「どんなお礼してくれるか、楽しみだぜ♪」
鼻唄まじりでルークは昼食を食べ始めたが、ガウリイは、もそもそとパンを食べただけで食事を終了したのであった。
「で、芝居は楽しかった?」
「ええ。見応えあったわ。」
食後のお茶を飲みながら質問したリナの言葉に、ミリーナは小さく頷く。
「へえ、意外。」
「元は、ゼフィーリアの話だった様よ。」
「へえ?どんな話だったの?」
ミリーナの言葉に興味深そうに、リナは目を輝かせた。
「なんだか、お2人で随分空気が違いますねえ。」
昼休みも後半を過ぎた頃、特別ルームへと入って来たゼロスは溜め息をついた。
「聞けや、芝居の礼をして貰えるんだぜ♪」
「おやまあ、それは良かったですねえ。で、何を落ち込んでいるんですか?大方、あの方に声を掛けられなかった、程度なんでしょうけど、一応聞かせて下さい。」
「それがよ、世話になった礼に、どこかへ誘おうとして失敗したんだと。」
ゼロスの質問に、きししと笑ったルークは、未だ突っ伏しているガウリイの背中をバシバシと叩く。
「ほう?それはまた・・で、あの方は何と?」
「食べ物なら、何でも受け取る・・て。」
ゼロスの問いに、ガウリイは頭だけを上げて答えた。
「そうでしたか。それは、また残念な話ですねえ。」
「楽しそうに言うな・・・」
全然残念そうに無いゼロスの声に、ガウリイは恨みを込めた目で見る。
「おや、心外ですねえ。これでも、ちゃんと心配はしているんですがねえ。」
「とか言ってっけどよ、最近忙しそうじゃねえか、あ?」
肩をすくめたゼロスにジト目を向け、ルークは不機嫌そうに言う。
「ええ。体が二つ欲しい程忙しかったんですよ。」
「これで俺より成績良いから腹が立つ。」
「はっはっは☆出来が違うんですよ。出来がね♪」
ルークの言葉に、ゼロスは無駄に爽やかに笑う。
「う゛あ・・・こいつムカッ腹にきやがる・・・」
「そうですか、せっかく落ち込んでいるガウリイさんに、素敵な案があるんですが、僕の話なんか聞きたくない様ですねえ。」
「けっ!また何企んでいやがるんだか?!」
「企むなんてとんでも無い。ただ、食べ物ならいいなら、食事にでも誘ったらいかがかと、思ったまでですよ。」
ルークの嫌悪丸出しの態度を、ゼロスはにこやかに見てそう言う。
「前に、嫌いな人とは食べ無いて言われてるんだよ・・・」
「おや?まだ嫌われているんで?普通、嫌いな人の部屋なんかには上がりませんよ?」
力無いガウリイの言葉にゼロスは首を傾げる。
「そっか!そうだよな!話もしていい、て言ってくれたんだ、嫌いな訳ないよな!」
「ええ。自信を持って誘ってみては?」
「おう!」
深く頷いたゼロスに力付けられたのか、ガウリイは勢い良く身を起こし、すごい勢いで昼食を片付けていった。
その日の帰り、ガウリイはそわそわしながら門に立っていた。
「・・・何やってんの?」
「リナ!」
リナに後ろから声を掛けられ、ガウリイは勢い良く振り返る。
「な・・何?」
「こ、これから食事いかないか?」
勢いに、後退さったリナに、ガウリイは頬を掻きながらそう言う。
「は・・・何で?」
「えっと・・その・・礼に・・」
「それで誘ってるの?」
「ああ。」
「気持ちだけ、貰っておくわ。」
「えっ!?もしかして・・まだオレの事嫌いなのか?」
「そうじゃなくて、生活費だけでも大変でしょうが?あたしに奢るだけの余裕なんてないでしょ。」
「あ・・そういや・・・」
落ち込んだガウリイに、リナは苦笑しながら言い、彼はバツが悪そうに頬を掻く。
「目立つから、お茶する?」
「へ・・・?」
「お茶、奢られてあげる。」
ぽかんとしたガウリイの腕をポン!と叩き、リナは歩き出した。
その後をガウリイは慌てて追う。
暫くして、2人は前にお茶をした軽食屋へと入っていった。
案内された席へと座り、リナは紅茶とささやかな茶菓子を注文をし、ガウリイに視線を向ける。
「こんなので、いいのか?」
「だって、おっちゃんから礼金は出てるし。あんたの財布事情だとこの位でしょ。今日、バイト休みなの?」
「ああ。リ、リナは?」
「今更、人のスケジュールを気にする?休みよ。」
ガウリイの問いに、リナは大きく溜め息をついて肘を付く。
「そっか・・・」
「あのね、人を誘うにしても、もう少し猶予を与えなさい。ルークて人だって、ミリーナにちゃんと考える暇を与えたでしょう?予定があるかもしれないのよ?あたしがバイトしてんの、知ってるでしょ。」
「悪い。」
「本当、何にも知らないのねえ。」
表情を曇らせたガウリイを見て、リナはおかしそうに笑う。
「他に、何を気を付ければいい?」
「さあ?」
くすくす笑い、リナは置かれた紅茶を一口飲む。
ガウリイも、ゆっくりとカップを傾けながら、ちらりと彼女を盗み見る。
前に一緒にお茶をした時には無かった穏やかな顔に安堵し、自分の顔が緩むのが彼には分かった。
「ねえ、相変わらず特別ルーム使ってるみたいだけどさ、昼、リストランテの食事運ばせてんの?」
お茶菓子を摘みながら、リナは首を傾げる。
「ああ?ルーク達がそうしてくれてんだ。」
「なんなら、弁当作るわよ?一人分増える位平気よ?」
「え・・・?」
「ばかになんないでしょ。もちろんその弁当のお金は取るけど、リストランテより断然安いわよ?」
「い・・いいのか?」
頬を赤らめガウリイは、リナを見る。
リナは苦笑し、小さく頷いた。
「ええ、いいわよ。バイト頑張ってるし、掃除・洗濯も頑張っているみたいだし、さすがに自炊の回数は無いみたいだけど、まあ、力仕事でそれだけやれていれば上出来、てもんでしょ。」
「ま、毎日作ってくれるのか?」
「そうなるわね。勿論、休日にバイトに行く日は別よ?食事が出るんだもん。」
「じ、じゃあ、お願いしていいか?」
「ええ。」
「あ、ありがとうな。」
「どういたしまして。」
頭をさげたガウリイを、リナは小さく笑いながら見てそう言った。
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
大分、指の赤みが引きました☆
ジンジャークッキーの形みたいな痕があって、昨日のお風呂はかなり痛みましたが、今日は平気で安心しました。
今回は、話に触れないで終らせて下さいι

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18130花よりも団子?‐18‐井上アイ 2007/6/11 01:10:49
記事番号18123へのコメント

ここまで話が長くなるとは、自分でも想像していませんでした。
では、十八話です。
なにが「では」なのかは、自分でも分かりません。
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
「おはよう。」
「早いのねえ?」
門の所で傘を差しながら待っていたガウリイに挨拶され、リナは首を傾げた。
前、登校を共にした時、自分は少しばかり寄り道した後に彼と出会っていたのである。そんな彼が、今日は先に門に着いている事が不思議だったが、昨日バイトが休みだからか、とすぐに結論付けた。
「はい、お弁当。」
「あ、ありがとな。」
「じゃ、帰りはロッカーに入れて頂戴。」
「あ、ああ。」
カクカクと頷いたガウリイをおかしそうに見て、リナは軽やかな足取りで校舎へと向かい、ガウリイはその後ろ姿を頬を染めながら見送り、締まりの無い顔で校舎へと向かった。
その姿を見た学生達は、あまりの不気味さに、彼に関わるのはよそう、と心に決めたのである。
そして、もう一人、晴れの日のような顔をしている者がいた。
自分のロッカーの前で、何故か手を組み、祈りを捧げ、恭しく手紙と紙袋を手にしたルークだ。
そして、そのまま足早に特別ルームへと向かい、ルークは誰もいない事を確認して、ほっと溜め息をついた。
‐わたしのオススメの本です。お礼に差し上げます。‐
癖の無い綺麗な字で書かれた手紙を読み、ルークはそっと紙袋を開ける。
そこには、余程の本好きでなければ、一生縁がない有名な文学者が書いた、数少ない推理小説が入ってあった。
元来、余り本を読まないルークには、どうあがいても読む気が起こらない作品である事には間違いないが、
「へへ、彼女のオススメか。て事は、好きな物を送ってくれた、て〜事だよな。」
顔を緩ませ、ルークは本を抱き締める。
「よっしゃ!早く読んで、感想書いてみせるぜ!」
大事そうに手紙と本を鞄に入れ、ルークは意気揚々と教室へと向かった。
「おや、ゼルガディスさん、こんな所にいらしたのですか?」
「・・・なんで、貴様が・・・」
昼休み、音楽室で食事をしていたゼルは、眉を寄せ、やって来たゼロスを睨む。
「おう。怖い顔をしないで下さいよ。特別ルームから避難した仲間じゃないですか。」
「なんの事だ?」
「おや、知らないんですか?あそこ、今、危険地域になっているんですよ?」
「は・・・?何かあったのか?ガウリイとルークはどうした?」
ゼロスの言葉にゼルは怪訝そうに首を傾げた。
「その2人が元凶なんですよ。なんだか、近付けないオーラがあの部屋から漏れ出ているんですから。」
「はあ?」
「兎に角、僕もここで食事をさせて下さい。て事ですよ。」
ますます分からない、といった顔をしたゼルを無視し、ゼロスは彼とは遠い所の席に座る。
「もしかして、昨日もこちらへ?」
「まあな。」
ゼロスの問いに、ゼルは頷く。
昨日、ゼルは昼休みに特別ルームへ行かなかったのだ。
「何故です?」
「元々、俺があそこに行く事は少なかったが?」
「最近はいらしたではありませんか。」
「あいつらの事が、気になっていただけだ。もう付き合う必要は無いだろう?」
「落ち込んでいれば鬱陶しい、浮かれていれば関わるのも遠慮したい。面倒な人達ですねえ。」
「つまり、今あいつらは浮かれて居るんだな?」
「ええ。気持ち悪い程だとお聞きしています。」
「君子、危うきに近寄らず、だな。」
「そういう事です。」
ゼルの言葉にゼロスは満足そうに頷いた。
その後は、言葉を交す事無く食事を進め、ゼルは食事を終えると音楽室を出て行った。
「・・・?何か、あった様ですねえ。ま、僕には関係無い話なんでしょうが。」
優雅にカップを傾け、ゼロスはゼルが出て行った扉を見る。
いつもと同じく、無駄な言動は無かったが、取り囲む雰囲気が少し違う様な気が、彼にはした。
しかし、余り気に掛らないらしく、今日の予定をチェックし始める。
「は〜、おいし〜なあ。良い嫁さんになるんだろうなあ。リナは色白だから、花嫁衣装はピンクとかがいいよなあ。あ?!だけど、やっぱり白だよな!真っ白なドレスのリナは、やっぱりかわいいんだろうなあ。」
「ミリーナ、俺は頑張るぜ☆」
かなりお近付きになりたくない危ない程の笑顔で、2人は並んで昼食を食べていた。
勿論、ガウリイはリナお手製の一段の重箱の弁当である。
その隣のルークは、ミリーナの手紙を胸ポケットに忍ばせてランチセットを急いで食べ終え、本を読み始める。
「なんかさー、今朝から妙に変な目で見られてんのよ。」
「そう。」
家庭科準備室で食事をしながら、リナはミリーナに愚痴った。
リナへの変な視線とは、あの不気味なガウリイの笑顔の理由は彼女だろうとあたりを付けて、何があったのかと、気になる人達の視線だ。
「あ〜!用があるなら声掛けろってのよ。ストレス溜るわ。」
不機嫌そうにリナは食事を進めた。
「リナさん?食事は美味しく、じゃなかったかしら?」
「・・・そう、だったわね。」
ミリーナの静かな突っ込みに、リナは決まり悪そうに頬を掻いた。
その日のガウリイは、バイト先でも笑顔全快で、ガーブに頼むから帰ってくれ、と言われいつもより早く家に帰る事になった。
「ふ、ふふ〜ん♪」
配られた弁当を持ち、ガウリイは鼻唄混じりで家路へと向かう。
「明日のお昼は何だろな〜?リナの料理はなんでもおいしいから、楽しみだな〜♪」
適当に曲をつけながら、ガウリイはスキップをする勢いで足を弾ませた。
「ガウリイ・・様?」
「・・・何だ?」
横から掛った声に、ガウリイは不機嫌そうに足を止めた。
父親の秘書兼、執事をやっている男だったからだ。前に会ったのは、2年前。兄が会社を継がないと言って、自分にその話が回ってきた時に、顔合わせさせられた相手なのだ。
「随分、様変わりされてしまわれた様ですね。」
「何か、不都合でもあるのか?」
「いえ。お変りはありませんか?」
「良い経験ばかりだ。あんな狭い世界だけで人生を終らせなくて、良かったよ。」
「そうですか。そう言えば、見合いの話、両家から断られたので、白紙になった様ですよ。」
「で?」
「気になっているだろうと思いまして、さしでがましいとは思いましたが、お伝えしただけです。」
にこりと笑い男はガウリイを見る。
「別に、オレも断るつもりだったから、どうでもいい。」
「知らないんですか?ワイザーも、セントルイスも、今ガブリエフが事業提携を考えている相手先なのを?」
「つまり、オレを道具にしようとしていた、て事か。見直して損した。」
「旦那様は、今はガウリイ様の好きにさせる、とおっしゃっていますよ。」
「え・・・?」
「今日、後継者の話を白紙になさっていました。」
「どういう・・・?お前、あいつに、帰る様に説得を頼まれて来たんじゃ?」
「偶然ですよ。こちらの店で、良い骨董品が入ったと聞きまして、わたくしめが見に来たのです。」
呆然としたガウリイに、男は苦笑してそう言い、ぺこりと頭を下げる。
「それでは、失礼します。」
「ああ。」
頭を掻きながら男を見送り、ガウリイは再び歩き出した。
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
少し短いですが、今日はここまで。
まだ恋をしないリナ・・・そして、危ない男2人・・・
この小説の方向性が分からなくなりそうです★

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18134花よりも団子?‐19‐井上アイ 2007/6/13 23:32:09
記事番号18130へのコメント

最近、自分の駄目っぷりに困っています。
食事をするのが面倒で、夕飯が簡素な物になっているんです。
朝は食欲が無い為にパン一枚だけなので、ちゃんと食べているのは昼だけ・・・
休みの日は、出掛け無いと、食べ無くても平気かも、と危険な思考に(勿論、思うだけで実行なんてしません。)・・・。体力が無いのに、これ以上体力落ちたらいけないと、なんとか3食取っている形です。
リナの様に、3食しっかり食べたいものです。
では、十九話です。
ヒロインが恋していないまま、話の数だけは進んでいます。
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
週末の日曜の昼下がり、リナはミリーナの家へと来ていた。
「何・・・これ?」
「読書感想文。昨日、清掃活動の後、渡されたの。」
紙の束を見せられ、眉を潜めたリナに、ミリーナは感情の読めない声でそう言う。
「ルーク?」
「ええ、芝居のお礼に渡した本の感想だったわ。」
「推理本で、感想文?文学本だって、そんなに長い感想なんて無いわよ?」
ミリーナの見せた紙の束は、並の感想文でも無い程の厚みがある。中さえ読まなければ、小説でも書いてあるのか、と思う程であろう。
「そうね、読むのに時間が掛ったわ。」
「でしょうね。変な奴に好かれたわね?」
「いえ、リナさん程では・・・」
「ああ、あいつ?確かに、変な奴よねえ・・・」
ミリーナの言葉に、リナは苦笑した。
自分より年上なのに、それを感じさせない奇妙な人に、なつかれた自覚はしているのだ。
「男運、無いのかしら?世には、父ちゃん程マトモな男は居ないのね、きっと。」
「ゼルガディスさんとは、馬が合っていたじゃない。」
「気は合うわよ?ただ、面白味が無いのよねえ・・・」
ミリーナの言葉に、リナは肩をすくめてみせる。
「でも、同類よ。2人て、感じが似ているもの。」
「あたしと、ゼルが?」
「ええ。まあ、明らかに向こうの方が落ち着いたちゃんとした人ではあるけど。」
「て、それじゃあ、まるで、あたしが落ち着いていなくって、ちゃんとしていないって事?」
「そうなるのかしら?」
ジト目を向けられても、ミリーナは涼しい顔で首を傾げる。
「んふ★あんたとは一度ゆっくりと話がしたかったのよねえ。」
「私は、そんなリナさんだから好きなのよ?」
うふふふと不気味に笑うリナを見て、ミリーナは僅かに微笑む。
「・・・あんた、アメリア以上だわ。」
「誉め言葉だと思っておくわ。」
「・・・そうして。」
ミリーナからの応えに、リナは疲れた顔で紅茶を飲む。
その後、2人は夏休みの計画を立てたり、今読んでいる本の情報を交換したりとゆっくりとお茶を楽しんだ。
「にしてもさ、ルーク変わったわよねえ。ただのチンピラの兄ちゃんが、今や清掃活動に、子供じみた日記をよこすし、読書感想文なんて、きょうびの小学生だってしないっつ〜のに。」
お茶を飲み終え、リナはしみじみとした口調でそう言う。
それに頷き、ミリーナは口を開く。
「そうね。ガウリイさんも、変わったわよね。裸の王様が、今では、すっかりバイト三昧で庶民の生活。性格も高慢な所が抜けて、子供っぽい所を見せる時さえあるもの。」
「そうね。ていうより、犬よ。分かり易い性格なのよね。ルークもそうじゃない?」
「あの人は、小学生ね、この感想文もそんな感じ。犬と言う程では無いの。ガウリイさんは、忠犬て言葉がしっくりくるわよね。」
「そうね。言い付け守ってるもの。何で、ルークは犬じゃないの?」
「・・・多分、それなりに自分で行動をしているからかしら?良く分からないの。」
「まあ、そんなもんよねえ。あたしは、あいつは犬だ、て直感的に思ったから、そう思っているだけだし。小学生みたいだ、て思う人もいるかもしれないもの。」
「・・・そうね。手紙での印象で、あの人を小学生、て思ったんだわ、私。」
2人は見合わせ苦笑した。
「ま、手が掛る事は、変わらないわね?」
「そうね。やっぱり私は、先生なのかしら?」
「じゃあ、あたしは調教師?」
首を傾げたミリーナの言葉に、リナも首を傾げそう言った。
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
すみません!短いですが、これにて!

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18143花よりも団子?‐20‐井上アイ 2007/6/16 22:56:26
記事番号18134へのコメント

前回は短くなってしまい、すみませんι
では、二十話です。
彼等が可哀想な人になっているのは、何故でしょう?
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
「スポット、元気かしら?」
ミリーナの家を出て、リナは買い物をしながら家路へと着いていた。
スポットとは、姉が拾って来た狼で、姉が実家で可愛がっているのである。
「リナ?」
背後から声をかけられ、リナは振り返った。そこには、汚れた服を着たガウリイが居た。
「あー、バイトの帰り?」
「ああ。リナは?」
「休みよ。買い物してたの。」
「荷物、重たそうだな?」
「・・・持って。弁当の材料だってあるのよ。無関係では無いんだから。」
大きな手提げ鞄が膨れているのを見て言ったガウリイに、リナは少し考えてから、それを押し付けた。
「ああ!」
「じゃあ、宜しく♪」
笑顔で受け取ったガウリイにウインク一つし、リナは先を歩く。
「・・・あれ?こっちの方に住んでいるのか?」
「ええ。」
暫く歩いて、ガウリイは不思議そうに首を傾げた。
リナを追って、見送った時の事を覚えていたのだろう、あの時、確かに彼女はこの道を逆に歩いていたのだ。
「もっと向こうじゃなかったのか?」
「ああ、わざと曲がらなかったのよ。本当は、こっち。」
そう言い、リナは角を曲がる。その後を追い、ガウリイも曲がり、嬉しそうに口を開く。
「そっか♪」
「何で喜ぶのよ?」
「今からリナが住んでいる所見れるからな♪」
「途中で帰すに決まってるでしょ。」
「え・・・?」
「住まいを見せる訳ないじゃない。」
「お、オレ、何もしないぞ?」
困惑した顔をしたガウリイに、リナは苦笑して言う。
「分かってるわよ。でも、駄目。」
「何か、条件とかあるのか?」
「無いわ。強いて言うなら、身内、かしら?」
「そっか・・・」
「ここでいいわ。少し待ってて。お土産あるから。」
「ああ?」
ガウリイから荷物を受け取り、リナは人混みに紛れた。
休日の夕方という事もあり、人は少な目だが、それでも、リナの小さな背では、すぐに彼には見えなくなってしまう。
十分も経たない内に、リナは保存容器を片手に戻って来た。
「はい。夕飯のおかずにどうぞ。余り物で悪いけど、荷物持ちのお礼。」
「あ、ありがとうな。」
「こちらこそ、ありがと。助かったわ。明日、容器返してね?」
「ああ。」
ガウリイに手を振り、リナは踵を返した。
相変わらず、見送っている彼に気付き、リナは苦笑する。
「あたしも、拾い癖あるのかしら?」
リナの姉は、よく色々と拾って帰ってきては、手厚く面倒を見ていた。
ドラゴンの子供を拾って来た時には、さすがの家族も少し驚いたのをリナは鮮明に覚えている。
確か、当たり前だが、大きくなった為に、近くの山で今は飼っているはずだ。
「ま、犬・猫じゃないから、家に連れていかなくて済む分、楽だわね。」
彼から見えなくなった事を確認して、リナは角を曲がった。
次の日の朝、ガウリイは門の前で待っていた。
この頃には、恒例となっており、誰も気に止めなくなっている。
その前に、一騎の馬車が止まり、中から銀髪を揺らし、ミリーナが出て来た。
「おはようございます。」
「ああ?」
彼女に挨拶され、ガウリイは怪訝そうに首を傾げる。彼女の馬車が、当たり前の様に出発し、彼女の髪をなびかせた。
「リナさんからです。」
「・・・え?」
ミリーナから手提げ袋を受け取り、ガウリイは眉を寄せる。
「今日から、暫く学校を休まれるとおっしゃってました。中に、今日の弁当と、余ったお昼の代金も入っています。」
「リナに、何か遭ったのか?!」
「家に戻られただけです。」
顔を青褪め自分の肩を痛い程に掴んできたガウリイに、ミリーナは冷静にそう告げる。
「いつ、帰ってくるんだ?」
「分からない、との事です。期末前には戻るとは言っていました。」
力の抜けたガウリイの手を払い、ミリーナは礼をする。
「それでは、失礼します。」
颯爽と歩いていくミリーナを呆然と見て、ガウリイは小さく呟く。
「オレの家、近いのに、来てくれなかったんだな・・・あれ?昨日、買い物してたよな?」
昨日、リナの住まいが近い事を知った経緯を思い出し、ガウリイは首を傾げる。
「一日の量じゃなかった・・・なのに、なんで、家なんかに?」
リナに渡す為に、念入りに洗った容器が入った紙袋に、視線を落としガウリイは寂しそうな顔をした。
「遅刻するぞ。」
門の前で立ったままのガウリイに、ゼルが後ろから声を掛けた。
もうすぐ、予鈴の時間だというのに、教室に居なかったガウリイを探し出したのだ。
と言っても、校門に居たのは周知の事実なので、もしかして、と来てみたら居た、という訳だ。
「リナが、家に帰った、て・・・」
「ほう、そうか。」
「しばらく、戻らないんだって・・・」
「そりゃ、残念だったな?」
ガウリイの独り言に近い言葉に、ゼルはどうでも良さそうに応える。
「戻らなかったら、どうしよう?」
「暫く、戻らないんだろ?なら、暫くしたら戻るんだろ。」
溜め息を吐き、ゼルはガウリイの右腕を掴む。
「たく、世話やかせんなよ。」
愚痴と共に、ルークがやって来て、空いている左腕を掴む。
「ミリーナから、聞いた。あのな、あいつがいつ戻って来ても良い様に、しっかりしとけよな。」
「だな。不真面目になっていたら、怒られるぞ。」
ルークの言葉に頷き、ゼルはルークと2人掛りでガウリイを校舎へと引っ張る。
「居ない間に、男を研け。惚れさせる位の勢いが無くてどうする。」
「そういや、ゼル、最近付き合い悪いよな。アメリアちゃんと、何か有ったんじゃないか?」
ニヒルに笑いながら言ったゼルに、ルークはにやにやしながら問い掛けた。
「まあ、多少はな。芝居に誘ってくれたお前には、礼をしなければならないな。」
「マジかよ?!んだよ。何も聞いていないぜ?」
「知らせる程では無い。連絡を取り合っているだけだ。」
ルークに冷静に言い、ゼルはガウリイの腕を放し、
「ま、オタオタしているお前等よりは進捗が早いだろうがな?」
不敵に笑い片手を挙げ自身の教室へと向かった。
「くそー、見返してやろうぜ!!」
バシン!とガウリイの肩を叩き、ルークも腕を放し、自身の教室へと向かう。
「そうだな。こうして、態々弁当作って、渡してくれる様、人にお願いしているんだ。頑張らないとな。」
僅かに微笑みガウリイはゆったりとした足取りで教室へと向かった。
「学校は、問題無いわね?」
「ええ。成績も内申もね。」
久々に会った姉の言葉にリナは頷いた。
今、リナが居る所は、ゼフィールシティにある自分の生家だ。
肩で切り揃えられた黒髪の穏やかな笑みを浮かべている清楚な美人はリナの姉である。
リナを呼び戻した人だ。
「それは、残念ね。問題起こしていたら、お仕置きするつもりだったのよ?準備して待っていたのに。」
「ははは。で、あたしは、何すれば?」
「簡単な事よ。どうも、裏切り者がいるみたいなの。それを見付けて頂戴。勿論、期末に学校へ帰れる様に、ね?」
苦笑して言ったリナに、姉は目を細めそう言った。
「ふ〜ん。面白そうじゃない。」
「遊ぶのは構わないけど、私の分を残しておくのよ?」
2人して不敵に笑い合い、リナは笑いが収まると同時に真剣な目をし口を開く。
「了解しました。その話、慎んでお受け致します。」
「ふふ。期待してるわよ?リナ・インバース。」
含みのある姉の言い方にも、リナは笑顔で礼をした。
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
まだ、終りが見えないι
男集が情けないばかりに、女性陣が恋をしない、話になってしまいました。
もう暫く、お付き合い下さい。

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18146花よりも団子?‐21‐井上アイ 2007/6/18 20:19:43
記事番号18143へのコメント

なんか、タイムリミットに間に合わなくなりそうな予感・・・?
話の途中で放置する気は無いので、気長にお付き合いを☆
では、21話です。
久々、アメリアちゃん!
ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ
家へと戻り、ゼルはいつも通りの時間にオーブに向かい合った。
「いきなり帰った理由、聞いているか?」
『ええ。お家の方から戻る様に言われた、と昨晩の内に。』
ゼルの問いに、オーブから、アメリアの答えが帰ってきた。
普段なら、逆に、向こうが、学校でのリナの様子はどう?と聞いている所だが、今日は、ゼルが質問をする番だ。
「何か、聞いているのか?」
『いえ、何も。』
「そうか、で、学校見学の話なんだが、いつになりそうなんだ?」
『期末には、分かると思います。あの、この間、お薦め頂いた本、早速読んだんですが、ー』
いつもの他愛の無い会話になり、ゼルは困った様に笑う。
本を薦めたのは自分だが、仮にも受験生が、数日の内に、本を読み終ってしまっているのだ。多少、責任を感じてしまったのだろう。
が、稀に質問される分からない、と言う問題は、レベルの高い問題ばかりなので、心配する程では無い、と結論付け、ゼルは彼女の軽やかな声を楽しんだ。
二週間程が経ち、ガウリイは、リナが居なくなる前より、頑張っていた。
「今日から暫く、親方が居ないが、それぞれ、自分の役割をしっかり果たす様に。」
ガーブの代わりに現場監督を任された古株の職人は、皆の前に立ち、そう言う。
「新人、俺が抜ける分の穴、任せるぜ。」
職人に肩を叩かれ、ガウリイは力強く頷く。
「お、じゃあ、俺等が職人の補填しなくて済む訳だ。がんばれや、ガウリイ。」
「期待してんぜ。」
「俺に楽させてくれよ〜。」
口々にガウリイに言い、作業員達は自分の持ち場へと向かった。
「参ったな〜?」
頭を掻き、ガウリイは困った顔をする。
期待されて、困惑しているのだ。今まで、誰かに期待される、という事が少なかった為、こうも何人もの人に期待されるのは、落ち着かない心境なのだろう。
「ま、頑張るか。」
パシン!と両頬を叩き、ガウリイは気合い十分に持ち場へと向かった。
その頃、リナは仮住まいで資料を読んでいた。
「・・・食事、大丈夫かしら?」
ふいに紙を捲る手を止め、リナは首を傾げる。
餌付けをしてしまったのに、急に放り出す形になった事が、心配だったが、だからと言って、姉の通告を無視する訳にもいかず、昼食代として貰っていたお金を少しばかり多目に返した。
が、やはり二週間離れていると、学校とバイトの休みが重なった日はどうするのだろう、と心配になってきたのだ。
「情が移ったのかしら?」
いつまでも自分を見送っていた事を思い出し、リナは小さく笑い出す。
「忠犬は、飼い主以外から餌を貰わない、て言うけど、当て嵌るかしらね?」
首を傾げ紙を捲ろうとし、指が止まる。
「ビンゴ☆」
トン!と右手人指し指を文字の上に置き、リナはにやりと笑った。
「あら、インバースさん、どうしたの?」
「えへへv分からない問題が有ったので、誰かに聞こうかと、今、良いですか?」
今のバイト先で、声を掛けられ、リナは照れ笑いをして見せる。
リナが学生であるのは最初の自己紹介の時に言ってあり、夏休みのバカンスに向け、期末前まで働く事になっているのだ。
「ええ、私で良ければ。」
青く長い髪を三編みにした女性は、幼さの残る顔で笑った。
その女性は、社会人一年生なので、まだ学生だと言っても通じるだろう。
女性は職場に休憩を貰い、リナと共に近場の茶屋に入った。
「で、どこが分からないの?去年まで学生だったから、何でも聞いてね?」
「・・・あんたが、何者か・・?て事よ。シェーラ。」
リナの言葉に、女性=シェーラは困った様に笑う。
「あら、年上に向かって、そんな言葉使いしちゃ、駄目でしょ?それに、何の話かしら?」
「これでも、しらばっくれる気?」
二週間掛りで集めた資料を広げ、リナは不敵に笑う。
「ふ〜ん?で?良く調べたじゃない。」
「で?あんたは何者?」
顔色一つ変えずに言ったシェーラを、リナは冷静に見る。
「さあ?私を誘ったのは、その為だったて事?でも、どうするつもり?一貫のバイトと、一年目とは言え、社員の私。どちらの言葉を信じると思う?」
「さあ?それは分からないわよ?」
言葉使いさえ変え、プレッシャーを加え様とするシェーラの言葉に、リナは肩をすくめる。
「どこから、そんな余裕が出てくるのか、聞いてみたいわね?」
「残念ね★潔く罪を認めれば、穏便に済ませてあげるつもりだったのに?」
「何が、出来ると言うの?ミナ=インバース。」
「“ミナ“じゃないわ。“リナ“よ?チェックメイトよ、シェーラ。」
シェーラの間違いを正し、リナは不敵に笑った。今のバイト先では、リナは“ミナ“と名乗っていたのだが、もうその意味も無くなった為に、“リナ“と名乗ったのである。
「あ?!」
途端、顔を青褪めたシェーラの背後に、黒髪の美女が立つ。
「姉ちゃん、早かったわね。」
「お疲れ様。話を聞かせてくれるわね?シェーラ。」
二人の姉妹に囲まれ、シェーラは悔しそうな顔をしたのであった。
「ふふ、思ってた以上に楽勝だったわね☆」
馬車に揺られ、リナは口の端を上げる。
向こうに着く頃には、テスト週間かしら?と思い至り、リナは金髪を思い出す。
結局、ガウリイの勉強を見て遣る事が出来たのは、2回程、覚えが悪い彼が、次のテストを無事に乗り越えられるのか、と心配になり、範囲でも聞いて、山を張ってあげようかな、と珍しく親切心が芽生えた。
3日後、リナはカルマートの借り部屋に着くなり、荷物を置き、すぐに出掛けた。
街は、夕暮れ時を向かえ、買い物客が所狭しと歩いているが、小柄なリナは、その間を縫う様に歩く。
暫くして、リナはガウリイの住まいの部屋の前に立っていた。
テストが近いから、バイトは休みだろう、とこちらへと来たのだ。
―コンコン
ノックし、暫くして、ドアがゆっくりと開かれた。
「ゼル?忘れ・・・え?!」
「お久しぶり。元気?」
驚愕に見開かれた蒼い目をリナは苦笑しながら見る。
「き、今日、帰ったのか?」
「ええ。もうすぐ、テストでしょ?勉強、大丈夫?」
瞬きをしきりにしているガウリイの横をすり抜け、リナは部屋に入り見回す。
「家事、しっかりしてるみたいね。」
「まあ、な。リ、リナは、元気だったか?」
「この通りよ。あら、勉強してたの?」
テーブルに広げられた勉強道具を見て、リナは首を傾げた。
「まあな。ゼルが、さっきまで居たんだ。」
「あら、そう?じゃあ、必要なかったかしら?」
「へ?」
「山を張ってあげるつもりで来たのよ。」
にこりと笑い、リナはガウリイを見る。
頬を赤らめ、ガウリイは慌てて口を開く。
「いや、是非、頼む!!」
「了解。いいわよ?」
小さく笑ったリナに、ガウリイは今回のテストの範囲を教えた。
「あ、あのよ、夕飯、食べていくか?」
「へ・・・?」
頬を掻きながら言ったガウリイに、リナは首を傾げる。
「今、準備してた所だったんだ。どうだ?」
「そうね、じゃあ、あたしも手伝うわ。」
「助かる。」
「こちらこそ。実は、食材持って行ったから、何も無いのよ。」
言いながら、リナは髪を一つに結んだ。
小さな土間で、2人仲良く料理をし、やはり手際の良いリナに殆んどを作って貰い、食事を終え、帰ろうとしたリナに、ガウリイは謝ろうと口を開くが、先を越された。
「買い物、手伝って。明日の朝食の分も無いのよ。」
「あ、ああ。」
「あ、そうだ。夕飯に誘ってくれて、ありがとね。」
「いや・・殆んど作って貰っているから、そんな気にするなよ。」
「駄目よ。礼儀は重んじなきゃね。」
一つウインクし、リナはガウリイを引っ張り買い物へと赴いた。
買い物を終え、2人は分かれ道で足を止めた。
「付き合ってくれて、ありがと。」
「いや。」
「・・・そっか、あたし、あんたの事、好きかも知んない。」
「へ?!」
首を傾げ言ったリナの言葉に、頬を掻いていた手が止まったガウリイ。
「じゃあね?」
「え?」
にこっと笑い、リナは荷物を抱え、家路へと向かった。
後には、ただ呆然と立ちすくんでいるガウリイだけが残された。
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
あっはっは☆
問題発言のまま終ってしまいます☆

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18148花よりも団子?‐22‐井上アイ 2007/6/20 23:07:31
記事番号18146へのコメント

行き当たりばったりな話に四苦八苦です↓↓
では、22話です。
問題発言の真相はいかに?
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
次の日、ガウリイは校門の前でそわそわしていた。
それを見た生徒達は、溜め息をつく。いつ来るかも分からないリナを、彼は毎朝の様に待っていたのだ。
しかし、今日は違う、リナが颯爽と歩いて来た所を一部の生徒が目撃したのだ。
「おはよ♪ね、人が来ない所へ行きましょ。」
にこりとガウリイに笑い掛け、リナはそのまま門をくぐり、ガウリイは慌ててその後を追う。
そして、2人は中庭の奥に辿り着いた。
「昨日、ごめんね?変な事言って。」
「いや。」
リナに笑顔で言われ、ガウリイは頬を掻く。
「あのね?3週間離れていたでしょ?そしたらさ、なんか、あんたの事気になって、で、何でかな?て考えていたのよ。」
「ああ?」
「で、もしかしたら好きなのかなあ、て思ったままを口にしちゃった☆」
「へ?!」
「何よ、迷惑?」
パカと開かれたガウリイの大きな口を見て、リナは不機嫌そうな顔をする。
ガウリイは慌てて頭(かぶり)を振り、頬を染めながら口を開く。
「えっと、と、友達になってくれる、て事か?」
「もう友達でしょ?あたしが言ってんのは、それ以上の好き。」
「え?!あ、うえ?!つ、つまり、こ、・・」
途中まで言い、ガウリイはもごもごと口を動かす。
「ん〜?分かんない。あんたとキスできるか、て言ったら、多分、無理。言ったでしょ?好きかもって。」
意味を察したリナは首を傾げ言った。
「て事だから、ま、今まで通り、まだ友達でいてね?」
「ああ?」
にこりと笑ったリナの言葉に、ガウリイは困った顔で頷く。
「じゃあさ、お昼、一緒にどう?特別ルームのソファ、一回座ってみたかったのよね。」
「まあ、問題ないが・・・」
「んじゃ、あたしの分も、持っててね♪」
ガウリイに大きな手提げ鞄を押し付け、リナは手を振って校舎の中へと入って行った。
2人分にしてはかなり重い鞄を持たされながらも、ガウリイは嬉しそうに笑う。
「まだ、て事は、先があるって事だよな♪」
にへら、と締まりの無い顔でガウリイも校舎へと入った。
―バタン!!
「な、何で、ミリーナが??」
お昼、特別ルームへと入ったルークは、勢いよく後退さりし、扉に背中を打ち付けた。
「リナさんに、誘われただけよ。お邪魔だったかしら?」
「いや!全然!寧ろ大歓迎だ!」
静かに首を傾げたミリーナに、ルークはぶんぶかと首を振り、そう応える。
その日の昼食は、男2人はロクに味わう事も出来なかったが、対する女性陣はいつも通りに適当な話をしながらゆったりと食事をした。
が、その日は週末で、休み開けからテスト週間になった為、目に見えた進展も無かったりする。
期末テストも無事終え、リナはいつもより遅くバイトを終え家路へと向かっていた。
「もうすぐ夏休み♪稼ぐしかないっしょ♪」
高い位置で結んだ髪を揺らし歩くリナは、酔っ払いの男達が目を光らせているのに気付いていた。
いつカモが引っ掛かるかと鼻唄混じりに待ち受けているのだ。
が、その歩みは予想外な事で止められる。
リナの前に馬車が停められたのだ。
「おう、偶然だな?乗るか?」
馬車から降りて来たルークは片手を挙げリナに声を掛けた。
「通行の邪魔よ。」
「うあ!?かわいくねえな?親切で声掛けたんだ、文句言われる筋合い無いぜ?」
「大きなお世話。大体、ミリーナ以外に親切にしてどうすんの。」
顔を引き攣らせたルークに、リナは溜め息混じりにそう言う。
「あんたが、ミリーナの連れだからだ。他の女なら、適当な奴に送らせるに決まってんだろ?」
「でもねえ・・・」
ちらと視線を走らせたリナは、自分に向けられていた視線が一気に引いたのを悟り、カモが居なくなった、と知る。
「中、他に居る?」
「ああ、不本意な奴がな。」
リナの問いに、ルークは嫌そうな顔をして顎で馬車を差した。
リナは首を傾げ、馬車の中を覗き込む。
「どうも、今晩は☆」
「ああ・・・」
にこやかに笑ったゼロスを見て、リナは疲れた顔をした。
「まあ、なんだ、この辺を仕切っているがよ、どうにもあぶれる奴等がいるんだ。そういう奴等を絞めてはいるが、どうにも減らないんでな。」
リナを乗せた馬車が動き始めると、ルークは頬を掻きながらリナを乗せた理由を告げた。
「あっそ。」
「いつも、遅いんですか?」
興味無さそうなリナに、ゼロスはにこやかに問い掛ける。
「たまによ。で、なんで、貴方達は一緒なの?」
「ゼルガディスさんのお宅で、お茶会しまして、その帰りなんです。」
「ふ〜ん。」
ゼロスの応えにリナはどうでもよさそうに相槌を打つ。
「ルークさん!リナさんが冷たいです!!」
「そりゃ、良かったな。」
ゼロスの嘆きに、ルークは感情を込めずに応えた。
「う゛〜、ひどいですよ、ルークさんまで・・・」
馬車の棲みで丸まり、ゼロスは“の“の字を書く。
「ルーク、ミリーナね、《ルイス》が前から好きなのよ。」
「?」
「オルゴールとか、身に付けない物なら受け取ってくれるわよ。」
首を傾げたルークに、リナは言葉を続けた。
「誕生日来月なの、ミリーナ。」
「あ?!」
「ここでいいわ。」
パッと顔を輝かせたルークから、従者に視線を移動させ、リナは馬車を停めさせた。
「じゃ、おやすみ。」
ひらひらと手を振り、リナは馬車を降りた。
「ありがとな!!」
元気よく手を振り、ルークは馬車の窓から身を乗り出す。
「ま、検討を祈るわ。」
ウインク一つし、リナは颯爽と歩き出した。
テストの結果が渡され、いよいよ夏休みまで秒読みとなった。
リナは半日授業になってから、ガウリイの部屋で昼食を作って一緒に食べるのが日課になっていた。
「ねえ、ピーマン嫌いでしょ?」
「う゛・・・まあな。」
リナの問いに、ガウリイは鼻を掻く。
「まあ、残さないから文句は言わないわよ。」
「助かる。」
「にしても、逞しくなったわよね?力瘤出来る?」
「そりゃ、まあな。」
「へえ〜、あんだけ坊っちゃんぶってた人がねえ?」
「う゛・・・」
「何で家を出たの?」
最後の一口を食べ、リナはお茶を飲む。
「会社を継ぐ話を強引に進められてな、見合いの話まで出てきたんだ。断ろうにも、親父が話を聞いてくれなかったんでな。」
「ふ〜ん。で、いつまで逃げているの?」
「話を付ける気はある。親父が、3ヶ月の猶予をくれた。跡継ぎの話も白紙になったらしいし、見合いは向こうから断られている。」
「へえ?天下のガブリエフからの見合い話を断る所なんかあるの?どこか聞いてる?」
「えっと、確かワイザーとセントルイスだ、て。」
「へ?へえ・・・ミリーナにそんな話、有ったんだ・・」
ガウリイの返答にリナは動揺を見せる。汗を一筋流し、小さく震えた手に、引き攣らせた口。
それを見て、ガウリイはほんわかと笑い言う。
「オレ、見合いが進んでいても会うつもりなんかなかったからな?」
「ふ〜ん?」
興味無さそうなリナの態度にガウリイは首を傾げた。
てっきり、見合いの事を気にしているとばかり思っていたからだ。
「何?」
「いや・・・」
「で、話を付けるて、どうすんの?」
「まだ、決まっていないんだ。」
「へえ?」
「今の所は、厳しいけど、楽しいんだ。でも、親父から逃げるのも嫌なんだ。」
「ふ〜ん?」
「働く大変さが分かったんだ。だから、大学まで跡継ぎの話を伸ばして貰おうと思ってる。」
「家に戻るの?」
「いや、このままの暮らしを続けたいと思ってる。生活面だけでも、自立していたいんだ。」
「・・・」
「リナ?」
動きを止めたリナに、ガウリイは首を傾げ声を掛ける。
「・・・うん、いいじゃん♪付き合おっか?あたし達。」
「うえ?!」
「何よ?あたしの事好きなんでしょ?」
「へ?!あ、ああ。」
「ならいいじゃん♪ね?」
「えっと・・・宜しくお願いします。」
「うん、宜しく☆」
頭を下げたガウリイの右手を掴み、リナはにこりと笑った。
ФФФФФФФФФФФФФФФФФФФ
原作の影すらありません↓↓
最近、ヘタレなガウが居るサイトに通ってまして、影響が出てしまいました★
まだ、終りませんよ〜?