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Re: 水蓮華 前編
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ここの『投稿小説』は小学生の方も来てるので、アダルト向けの小説はご遠慮下さい。
場合によっては承諾なしに削除します。
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元記事
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>新年明けて、初投稿。
>
>でも、一つご注意。
>この話はゼルリナです。
>
>苦手な方は即退場をお勧めいたします。
>読んだあとの苦情は受け付けませんので、ご了承の程を。
>それでは、前編。
>お楽しみいただければ幸いです。
>
>
>
>その日、あたしはガウリィやアメリアと別れてとある場所に来ていた。
>
>合流は明日と伝えてあるから、ゆっくりしていても問題は無い。
>そこにはまだ花弁を閉じたままの蕾が一面に広がっていた。
>
>「百年に一度、か…」
>
>苦笑交じりの小さな呟きは誰にも聞こえることなく、地面に吸い込まれる。
>
>「咲くかしら…」
>
>あたしは水蓮華という花の百年に一度の開花を見にやってきたのだ。
>その花弁は七色を放ち、月光に当たればこの世とは思えないほどの美しさ。
>開花を見た者は永遠の幸運を手に入れ、その朝露は願いを叶えると伝えられていた。
>
>あたしは幸運を手に入れたいわけじゃない。
>叶えたい願いは自分の手で掴みたい。
>
>ただ、伝説の水蓮華がどんな輝きを放つのか、見てみたかった。
>
>そして、ちょっとだけ期待していた。
>
>逢えるかもしれない、もう一人の仲間に。
>
>「もう終わったかしら」
>
>旅のもう一人の連れ―ゼルガディス―は裏の依頼で3日前から別行動を取っていた
>しかし開花までに依頼が終われば、一緒に見ようと約束していたのだ。
>
>どうにも闇からの依頼ということで、事情を良く知らないあたしたちは巻き込めないとの事だった。
>もちろんあたしはそんなことは気にも留めなかったのだが。
>
>(お前を闇に染めたら俺は首掻っ切らにゃならん)
>
>俺を自殺させたいか?
>
>意地の悪い笑みを浮かべながら言われたら、おとなしく待つしかなかった。
>
>「行ってくる」
>
>(そう言ったからには帰ってきなさいよ…)
>
>あたしは翻る白いマントに呟いた。
>
>そろそろ月は中天へ昇ろうとしていた。
>
>咲き始めただろうか。
>辺りに香りだすのは花の蜜…?
>
>懐かしいような。
>でも切なくて、泣きたくなるような香り。
>心が…揺らされている…
>
>この感情を、あたしは知っている。
>
>
>花畑の中央辺りにたった一本聳え立つ巨木に近づき、その幹の根元に腰を下ろす。
>
>まだ蕾の水蓮華。
>その高さはおよそあたしの腰の辺り。
>固く閉ざされたその中に何を抱えているのか。
>そして、その花弁を開いた時、なにが生まれるのか。
>
>あたしは木の幹に身体を預け、一面の景色を眺めていた。
>
>闇夜に淡い緑色の絨毯
>これだけでも十分幻想的だけど。
>
>かさり
>
>―――!
>
>「誰!?」
>
>「そんな怖い顔で出迎えとは随分だな」
>
>身構えて振り返ったそこには長身の白ずくめ、ゼルガディスが呆れ顔で立っていた。
>
>「ゼル!」
>
>仕事終わったの?
>
>あたしは構えていた姿勢を解いて再び木の根に腰を下ろす。
>
>「あー疲れた」
>
>どかっと音を立ててゼルも隣に座る。
>顔には言葉通り、疲労の色が伺える。
>そんなに疲れたんなら、宿にいれば良かったのに。
>
>「だいじょうぶ?」
>
>「あぁ、心配いらん。
> ちょっと傲慢な魔導師を葬ったら、雇い主に気に入られて、会ったことも無い娘の相手にさせられそうになって、
> 嫌だと断ったら、どこで聞いてたのか知らんが娘が現れて…」
>
>「も、もういい…ごめん」
>
>聞いたあたしが間違ってた。
>その先はたぶんきっとおそらく絶対に聞かないほうがいい。
>
>あたしの勘はそう告げていた。
>
>「すまん」
>
>「ううん。お疲れさま」
>
>項垂れて肩膝を付いていたゼルは、髪をかき上げて目の前の景色を見つめた。
>
>「開花はまだなのか?」
>
>あたしは小さく頷き、
>
>「さっき咲き始めの香りがしたから、もうちょっとかな」
>
>視線を目の前の花畑に戻していく。
>
>沈黙があたしたちを包む。
>
>けど、ゼルとなら嫌じゃない。
>むしろ好き。
>
>彼は普段かなり寡黙。
>自分のことも話さないけど、相手にも踏み込まない。
>最初は冷たい人だと思っていた。
>でも、一緒に旅をしていくうちに、それが大きな勘違いだと気が付いた。
>
>冷静ぶってお茶目。
>言葉は不器用なのに手先は器用。
>真面目なのに、意地悪。
>理性的に見えて…情熱派。
>現実主義なのに、案外ロマンチスト…とか。
>
>ひやり
>
>「にゃっ!?」
>
>「大丈夫か?」
>
>ほえ?
>
>隣を見れば心配そうに手をあたしの頬に寄せているゼル。
>
>「ぼーっとしてたから、疲れてるのかと思ってな」
>
>付け加え、意外と心配性。
>
>物思いに耽っていたから気付かなかっただけなのに。
>あたしは肩を竦めて「平気よ」と返した。
>
>そのとき。
>
>ぽぉ…
>
>―光が、うまれた。
>
>足元で。
>
>そして、それは波紋のように広がってゆく…
>
>ざぁぁぁぁ…!
>
>「きゃっ!」
>「うわっ!」
>
>あまりの眩しさに目を腕で覆う。
>
>な、なんなの!?
>
>突然のことに頭が混乱する。
>そして微かに甘く、懐かしい香りがより一層強くなるのを感じる…
>
>こおぉぉぉ……
>
>しばらくして、光の洪水が収まったのを感じ、恐る恐る目を開ける。
>
>「ゼル…」
>
>「あ、あぁ…」
>
>あたしたちは言葉をなくし、辺りを見渡した。
>
>まさにそこは…一面のエメラルドの海…
>
>ぷっくりと大きく膨らんだ蕾のひとつひとつが淡い光を放っていた。
>
>「リナ!」
>
>ゼルが指差すほうを見ると、固く閉じていた花弁がゆっくりと開いていくのが見えた…
>
>ドレスの裾のように優雅に。
>カーテンよりもやわらかな動きで。
>宝石より透明な花弁が…
>
>それを待っていたかのように、次々と花開いてゆく水蓮華。
>
>七枚の花弁で一つとされている水蓮華は、七色ではなく一色で構成されていた。
>でも、ひとつひとつの華は違う色を放っていた。
>そして、その色は…全部で七色あった。
>
>一面が水蓮華の光で満ちて、まるで…―
>
>「虹の中にいるみたい…」
>
>あたしは掠れた声で呟いた。
>
>「そう、だな…」
>
>ゼルの声は震えていた。
>
>本当にチープな例えだけど、奇跡を見ているようだ…
>
>「すごいな…」
>
>「…うん…」
>
>あたしたちはそれ以上何も言えず、目の前の光景を眺めていた。
>奇跡はまだ、始まったばかり――
>
>
>後編はかなり甘くなる予定です。
>
>ではでは。
>感想などいただければ嬉しいです。
>
>

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