. ツリー表示 . 番号順表示 . 一覧表示 . 新規投稿 .
『投稿小説』に関する質問 ←ここをクリック    読みまくれ1  読みまくれ2  著者別  練習
カテゴリー別検索 ツリー内検索 過去ログ検索 ▼MENU


    タイトル : だいじょうぶだから
    投稿者  : みやび
    投稿時間 : 2009年12月3日03時00分14秒


お久しぶりです。みやびです。
1話読みきり、のつもりなんですが毎回続いていますね。
しかも、今回、1ヶ月に1本ペースを更新しました。自分でもびっくりですが、単に仕事やってるんですが、なんか暇な時間がふえt(鯖
ともかく、今回でようやく一人称を採用した理由がよく判ると思います。
ちなみに、見直しを全くしてないのはいつものことですが、前回書き直しの影響でこっちも多少書き直しが発生してますので荒いところが多々あるかと思いますが気にしないの精神で、お願いします。








だいじょうぶだから





 眩しい…。
 思わず腕で目を覆いながら──────薄っすらと瞳を開ける。
 まだ完全に覚醒していないのか頭がぼうっとして、再び眠りに落とそうとしているかのように瞼が、体が、ものすごく重い。それでいて影を作っても尚差し込む日差しが、眠気を飛ばしてくる。起きろと、寝てはいけない、と。
 いつまでぼうっとしていたのか。もしかしたら少しだけだったかもしれないし、かなり長い時間だったかもしれない。そんな時間の流れさえも把握できないほどに頭が回っていない。

 ………………? 

 何か違和感を感じる。それが何かがわからないもどかしさを感じながら目を細めると、少しずつ光に目が慣れ始め、ゆっくりと青い空が見え始める。
 雲ひとつない青空を眺めながら、出てくるのは疑問だけ。

 ここは………どこ……?

 前後がはっきりとしない。
 ここはどこだろう? なぜここにいるんだろう?
 そんな思考しか浮かばないほどに今の私は思考の回転すらも落ちている。
 そう、自分でこんなにも自覚しているのにそれ以外のことをまるで考えられないという事態に陥っていた。
 ゆっくりと眩しさに慣れていくのを感じながら、同時になんとも言えぬ違和感がせりあがってくる。何かがおかしいという違和感が徐々に膨れ上がっているのにその違和感の正体がわからずに頭の中にハテナマークが大量に浮かんでいく。
 すっかりと眩しさにも慣れ、頭もすっきりとし始めてようやく今日の空が青くて、雲ひとつもないいいお天気だということに気がついた。ずっと空を見上げていたというのに今更気づくというのもどうなのかしら。
 そう思いながら、ふう、とため息をついて上体を起こそうとして────微かに体に痛みが走り顔を顰める。
 そしてようやく思い出した。私が船から海に飛び込んだのだと。
 痛みはそのときに、流れているときにどこかにぶつけでもしたのだろう。
 まあ、正直なところそんなことはどうでもよかった。ここがどこだか認識するのが最優先だと思ったからだ。少なくとも私は空の景色だけで現在位置を把握できるほど優れた方向感覚をもっているわけではないので…………ゆっくりと、できるだけ体に痛みを与えないように今度こそきちんと起き上がり、自分の足で立ち上がる。
 多少はふらふらするが、特に問題なく歩けるだろう。
 私が流されただろう青い海を見てからその場を立ち去ろうとして─────何かがひっかかった。
 先ほどからある違和感がもう少しでわかりそうな気がして、辺りを見渡す。
 青い空にどこまでも続きそうな青い海。所謂海の光景がそこに広がっていて、思わず丘でも探したくもなるがぐっと堪えて、ただ考えることだけに集中する。
 海鳥が空を舞い、潮風が吹き、心地のよい波の音が─────聞こえない…?
 思わず両手を耳に当て、瞳を閉じる。聴覚だけに集中して周りの音を少しでも取り込もうとするが……結果はやはり何も聞こえない。
 世界の音が、確かに私から消失していた。
 船から落ちる前は確かに聞こえていたはずだ。ゼロスとも普通に会話をしていたし、波の音もきちんと聞こえていた。ならば、海に落ちたことが音が聞こえないことの原因だろうが……どうやったら治るのかがわからない。ともかく、魔法医にかかればすべては解決するだろう、とその場は自分自身の混乱を極度に抑え、落ち着こうと息を大きく吸い込み、吐く。
 潮風を含んだ心地のよい空気を肺一杯に吸い込み、頭の中がスッキリするのを感じる。

 よし……っ!

 軽く気合を入れ、声に出したつもりだが………自分自身聞こえないのでなんとも言えないが────ともかく、私は一歩を踏み出しどこにいこうか迷う。
 迷った理由はとてもシンプルだ。
 まず、道がわからないこと。どこに流れたかもわからないのに道がわかるわけもない。
 次に、道がわからないので何か建物でも近くに見えればよかったのだがそれもない。適当に歩いてもよかったけど……それで1日近く歩く羽目なる、ということも有り得るから無闇にできるだけ動きたくはない。ただでさえ耳が聞こえない不慣れな状況で、困るような状況下にはなりたくないという理由も入ってる。
 誰かが通りかかってくれればそれで解決する問題なのだが……とても誰かが通るとは思えないほどに静まり返っている。
 困った、だけどもここから動かないという選択肢は論外なわけで………

 どうしようかしら………?

 と、頬に片手を当てて少しばかり考えて思い当たる。

 浮遊(レビテーション)────

 ふわり、と体が持ち上がるのを感じる。浮かび上がる手ごたえを感じるということは特に体の変化から魔法も使えなくなる、といったことはなさそうでひとまずは安心した。
 ぐんぐんと高度を上げ、まずは海岸沿いに伸びる整備されていない道を見つけ、更に高度を上げると深い森を見つける。本当に無闇に歩かなくてよかった、と思いながら辺りをぐるりと見渡す。
 森に、道に、遺跡らしきものが見える。
 が、特に人が住んでそうな場所は特に見当たらない。
 もう一度ぐるりと周囲を見渡すが結果は同じで、ため息を吐きながら高度を落とす。ゆっくりと足が砂の上に付き、風の魔法がすっと解ける。その瞬間少しばかり砂埃が舞うが特にはきにならない程度だったので、無視して歩き始める。
 人のいる場所が見当たらないならば、道に沿って動くしかない。だけど、なんとなく…ただ漠然と先ほど見えた遺跡に何かあるような気がして、そちらに向かって歩みを進める。
 大体の位置関係は把握したから、そう簡単に迷うことはないと思うが─────ともかく遺跡の方向へ一直線で進んでいけば特に迷わずに着けると………思う。幸い森にも面していないし、変な方向へ行くことはない………と思う。
 私は多少の方向音痴であるらしく、たまに仲間に───特にリナが多いが───よく突っ込まれていた。だが、その仲間はいまここにはいない。
 そう考えると、すごく不思議だ。
 私の周りには常に誰かが存在した。
 それが護衛であり、仲間たちであり、町の人たちであったり。でもいまは、本当に一人ぼっちで。
 側に誰もいないというのは自由であり、どこか寂しさすらも感じ─────少しばかり辛い。

 でも、私が全て置いてきたんじゃない。

 あの船の上に。
 仲間であり護衛でもある人と、付き人も。
 全部置いて、ようやく一人になれた。だから、辛いなんて言っていられない。
 きっと耳が聞こえなくなって精神的に少しばかり弱っているだけなんだ。
 地面をしっかりと踏みしめて、前へ向かって歩き続ける。
 だって私は、歩くしか道がない。

 一人だって、だいじょうぶだから。






あとがきという名の何か。

耳が聞こえないというネタは、あんまり見かけなかったんでやってみたかったんです。記憶喪失やたいむすりっぷはよく見ます。ですが、耳が聞こえないって見たことないなあ、とおもい難題に挑戦してみました(会話が発生しなくなるので一人称じゃないときついですね)
ちなみに私は一時期右耳が聞こえなくて会話聞くのにすら不便した時期があるので…少しばかり難題も軽くなりますが、やっぱ会話なしってきついです…。

てことで、会話を出して少し軽くしよう、と思ってる節がちょっとばっかしありまして、次にそれが表れるかもしれませんが…。やっぱりきにしないの精神でお願いします。

ここまで読んでくださりまことにありがとうございます。また次回も目を通してくださると幸いです。


コメントを投稿する



親記事コメント
利用される関係-投稿者:みやび Re:だいじょうぶだから-投稿者:井上アイ