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    タイトル : 竜の血の連なり・・・か?(修正版) 中編
    投稿者  : 紫清 月季花
    投稿時間 : 2009年10月30日11時00分11秒
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 ―『竜の血の連なり・・・か?(修正版)』―
 
 
 
 
 
 誰かが言っていた、そう簡単にシリアスせちゃもらえないのさ・・・と
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ガーヴを連れ神殿に戻ると、余りの有様に二人して目が点になった。
 何をやったらここまで神殿を破壊できるのか・・・
 
 
 
 ヴラバザードがガーヴとあっていた時、神殿に残されていた者たちで適当に寛いでいたのだが・・・
 何がきっかけだったのか、ゴールドドラゴンとエンシェントドラゴンが、喧嘩を始めてしまったのだ。
 ただ余りの五月蝿さに、リナがキレてドラスレを連打して黙らせたため、神殿の中身はボロボロになってしまっていたが・・・
 
 「ったく!でかい図体してんだから暴れないで欲しいわよね!」
 「リナに言われたくないと思うぞ(ぽそ)」
 「何か言ったかしら?ガウリイ(怒)」
 「・・・;;」
 フィリアが何処からとも無く出したお茶を飲みながら、近況報告のようなことをしていた。
 「ところでさ、アメリアたちってどうやってここに来たの?」
 「わたくしが連れてきたのです」
 藍色の髪と淡い蒼の瞳を持つ女性が答える。
 「そう言えば、あなた方にはまだ自己紹介してませんでしたね。
 わたくしは水竜王と火竜王の娘で水竜神ディア。
 火竜神ザードの双子の姉です」
 「双子?あんまし似てないみたいだけど・・・」
 ザードはどちらか言えばきつい目鼻立ちをした美丈夫で、ぱっと見はヴァルっぽい。
 かたや、ディアは優しげな雰囲気の美少女で、ザードほどきつい顔だちはしていないのだ。
 「ん〜、別に人間形体の時は結構性格が反映されててな。
 似てねーのは性格が違いすぎるからじゃねーの」
 「そうゆうもんなんですか?」
 「そう言うモンなんでしょ。
 神様のわりにえらく砕けてるわね、貴方は」
 「そーか?
 ・・・まあ、親父と一緒にガーヴのオッサンと酒盛りとかしてたしなv」
 「・・・・は?
 ガーヴって(滝汗)・・・まりゅうおうがあぶ?」
 目が点になる一同(ガウリイとディアを除く)
 普通、神様と魔族が酒盛りなんぞするとは思わないだろう。
 世間一般的な常識から外れたリナ達でさえ、流石に非常識だと思うのだから。
 「こいつらホントに神か?」
 ゼルガディスの問いに答えるものは無い。
 
 
 
 
 「で?この有様の説明は誰がしてくれるのだ?」
 ヴラバザードの問いで改めて周りに目をやる。
 神殿の内部の大広間は、リナが連打したドラスレの熱の余波で、石材の殆どが変形し、
 床のあちこちに小型のクレーターが出来上がってたりする。
 付け加えると、呪文で吹っ飛ばされたドラゴン達が、目を回してそこらじゅうにぶっ倒れているのだ。
 「喧しいから黙らせた、以上」
 「おい(怒)」
 リナの簡潔な説明にヴラバザードは額に青筋浮かべる。
 「他に説明しようがねえんじゃねーの、やりすぎだけどな」
 すぱぱぱぁぁぁん!
 ザードの投げやりな追加の説明(?)に何処から出したのか、ヴラバザードはハリセンでザードをシバキ倒す。
 「お前は一応それでも神だろうが!!
 止めるぐらいせんか!!
 バカ息子があ!!!」
 
 ――神様でも親子漫才ってするんだ;;;
 
 当事者以外が同時思ったことかどうか、それは謎。
 
 
 「ガーヴ様・・・・
 生きてたんならどうして・・・連絡一つよこしてくれなかったんです・・・俺は・・・俺は・・・」
 「んな泣きそうな面すんなって。
 俺も動けるようになったのは、ついさっきだからな。
 俺が生きてることを教えてやれなくて悪かったな」
 ヴァルの頭に手をやり、青みを帯びた銀髪をわしゃわしゃとかき混ぜる。
 自分と同じように同族に追われた青年・・・だが今は・・・
 「ガーヴ様、今度はちゃんと連れて行ってください。
 置いてかれるのはもう嫌です、また俺の知らない間に死なれるのは本気で嫌なんです」
 金にも見える琥珀の瞳が真っ直ぐにガーヴを見る。
 置いていったら、呪いの一つや二つはかけられそうな勢いを持って。
 「しゃーねーか。
 そんなに言うなら一緒に来い」
 
 ――ここで置いてったらマジで呪とかかけそうだしな(汗)
 
 「行く前に、あの親子漫才止めてからだけどな(-_-;」
 
 延々続いていた親子のドツキ漫才をガーヴが止めて(両者を問答無用でドツキ倒した)、
 ようやく話が出来るようになった、両者の頭にデカイたんこぶをつくって・・・
 「ガーヴ、もっと穏やかな止め方は出来んのか?」
 目に薄っすら泪が浮かんでいる、よほど痛いらしい。
 ザードは完全に沈没している、ガーヴが本気で殴った為に脳震盪を起こしてる様で、ぴくりとも動かず突っ伏している。
 「だったら馬鹿やってんじゃねーよ。
 天然ボケの親父が(ぽそ)」
 
 
 「不思議な光景だな・・・・火竜王と魔竜王がのんきに茶を飲んでる姿ってのは」
 「そーねー」
 
 
 「名前はどうする?
 置いてくんだろ、ヴラバザードの名前はよ」
 「フレイ・・・アクアがそう呼んでたしな」
 「・・・・尻に敷かれただろ・・・お前;;」
 「本気で失礼だぞ(怒)
 見捨てときゃ良かったかなこいつ(怒)」
 「・・・;;;」
 「ま、アクアがこの時代に転生してるかどうか、私にも解らんが探すだけだ。
 何しろあの方の命でもあるし、意地でも探さんと;;;」
 「・・・手伝ってやるって、俺も結構長生きするだろうしな」
 似たもの同士はで旅にでる、炎を纏った赤い竜が二匹。黒い翼の竜を従えて・・・
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 ・・・いっそ・・・狂ってしまえたら・・・良かったのに・・・
 
 
 
 宿のベッドの上。
 夢見の悪さに目を覚ませば、纏わり付く不快な汗に舌打ちを付く。
 消えることの無い悪夢、降魔戦争の記憶・・・守ることも出来ず伸ばした手は空を切る虚しさを無力感。
 「アクア・・・」
 愛しながらも失われたもの、万能ならざる異形の存在。
 竜王などと呼ばれ敬われてはいても、守りたかったものは既に無く、己の無力さだけが目に付くだけ・・・
 唯思うことは、感情が無ければ苦しまなかっただろう事だけ・・・
 
 
 悪夢の名残を消すかのように、外の空気を吸いにでる。
 神殿から離れ、旅をする様になって一月近くたっていた。
 旅立ちの時に元巫女のフィリアが付いてこようとして、一悶着あったのを思い出す。
 ただ、付いてこようとした理由を聞いて本人には悪いが笑えてしまった、曰く
 
 「やくざな赤毛魔族にヴァルを任せられるわけ無いでしょう!不良ドラゴンになるのを、見逃せません!」
 
 ――あの魔竜王ガーヴを恐れずに言い切る勢いも凄いが・・・不良ドラゴン・・・何か変な表現なような気もするが・・・まあ、あの「竜殺し」のゼロスに向かって生ゴミ呼ばわりしているしな。
 
 微かに苦笑が浮かぶ。
 余りに五月蝿くしつこかったので、ヴァルがフィリアに当身を食らわせ気絶してる間に出てきたのだ。
 所かまわず鈍器を振り回されたら、はた迷惑なだけだろう。
 
 
 一人、外へ行くフレイ(元火竜王ヴラバザードの人間バージョン)にガーヴは気づき深いため息をつく。
 あの様子では忘れていない、降魔戦争の事を・・・水竜王ラグラディアが死んだ時の事を。
 「難儀な奴だ」
 消えない記憶に苦しみ続ける友、救いを拒み続ける孤独な神。
 「ガーヴ様・・・まだ起きてるんですか?」
 半分寝ぼけたような声でヴァルが聞いてくる、物音に目を覚ましたのだろう。
 「ヴァル、お前降魔戦争の事どの程度知ってる?」
 「・・・?あんまり知らない・・・かも。
 復活した魔王と水竜王が相打ちになったって程度しか・・・」
 不思議そうに首をかしげながらポツリと答える。
 「聞く気はあるか?
 降魔戦争の事・・・あいつが何に囚われてるか・・・」
 
 
 囚われた思いは何処に行くのか、赤い竜は泪を流さず泣きつづける・・・
 
 <続>
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