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    タイトル : 裏で手を引く物は何を企むその十二
    投稿者  : コウ
    投稿時間 : 2009年6月28日22時01分42秒

【「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ」
 リナ達の光景を見ていて思わず腹を抱えて笑う。
 やはり人間という存在はおもしろい。存在を望みながら魔にもなりそして聖にもなれる。まさしく可能性の満ちた存在だ。
 竜もエルフももちろん魔族も力は強くあたしを理解しているが、………彼らはつまらない。枠に鎖につながれて居るのをあきらめているというか………、 なーんて、かっこいいことを言ったって本当のところはただ虐めたり辛かったりしてもつまらないと言うことだけだが………・。】
「………魔族、………滅びのために滅びを巻き生きとし生けるものすべての敵。
 精神世界に存在する彼らは人間を遙かに超えた魔力をもっている。
 そして、自分たちを含めてすべてを滅ぼそうと望む物よ。」
 と、リナがエルからの招待状に書いてあった場所へ向かいながらそう言った。
「なんで、自分たちまで滅びようとするんですか。」
 と、猫娘に言われリナは
「………そういう風に創られたのよ。」
 と、答えた。
「………創られた?」
 と、鬼太郎がいぶかしむ。それではまるで何かが魔族を創ったように聞こえる。
「まぁ、こっちの世界の話よ。」
 と、リナが言った。
 先日、現れた部下Sと名乗る男が言った。
 リナ達のいる世界はこの世界とは根本が違うと、リナはそれはおそらく鬼太郎達はあれから創られた存在ではないと言うことだと考えていた。
 ちなみに、部下Sと名乗る男はそのあと糸と布を買って去っていった。
 何もしなかったのは、頭からだくだくと血を流していたと言うかなり怖い格好で現れたからである。

 地図に記された場所には洞窟があり洞窟の入り口には
『ドキドキ・わくわく。魔族入りの洞窟でうふふ私を捕まえてご覧なさい。』
 と、書かれていた。
 一瞬リナとナーガの脳内にとある町で出会った二人組を思い出した。
 海辺でうふふ、あははと追いかけっこを延々と続けていた二人。
「どうやら、この奥らしいですね。」
 と、鬼太郎に引き連れられリナと鬼太郎のご一行は洞窟へと向かった。
 洞窟には数々のトラップがあったがどのトラップも子供のいたずらみたいな物だった。
 床に氷が張ってあり滑る床の先には、でっかいペンキ缶があった。
 ほかにも、あけると砂砂利の入った金ダライや顔めがけて振ってくるパイなどだった。
「………で、どこに魔族が居るのよ。」
 と、リナが頭から振ってきた色つき水で紫色と栗色という髪の毛になったリナが言うと
『ソレハ、ボクノ、コトダト、オモウヨ。』
『アハハ、アタシモ、イルノヨ。』
 と、甲高い声が響いた。
 振り向くとそこには金髪の桃色ドレスに桃色リボンに青い目という西洋人形みたいなのと、茶色い髪の毛に黒いシルクハットに黒いタキシードを着た青い目の西洋人形がいた。
『ボクハ、じょーじ、ダヨ。』
『アタシハ、きゃんしー、ヨ。ヨロシクネ』
 どう考えても考えるのを放棄したような名前の人形だがそれは、今問題にするところではない。
「………なるほど、エルが言っていた魔族とはあんたの事ね。」
 と、リナが言う。
『ジャァ、イコウカ。きゃんしー。』
『イキマショウ。じょーじ。』
 そう言って二人は笑いながら襲いかかってきた。

「エルメキア・ランス」
 リナの呪文が漆黒の闇の中で一筋の光を創る。
 それを吸収したきゃんしーに
『アハハハ』
 と、笑い声と共に鬼太郎の後ろにいたじょーじの口から現れた。
「リナさん。こいつら」
 と、ちゃんちゃんこで防いだ鬼太郎がリナに叫ぶと
「大丈夫。爆発に気をつけてね。」
 と、言うと同時に
『ラ=ティルト』
 と、アメリアとゼルガディスの呪文が重なった。
きょえぇぇっぇぇえっぇぇ
 と、声とも呼べない音が響いた。
 そして、爆発がおきた。

「………猫娘ー。みんなー。」
 と、がれきの山となたった洞窟の一つで鬼太郎ははぐれた仲間の名前を呼ぶ。
「一反木綿、オババ、子鳴きじじい。黒カラスさーん。」
 と、叫ぶが反応がない。
 そこに、
「あれも、旨くばらばらにしてくれましたね。」
 と、声がして振り向くとそこには紫色のローブをきた20代前後の青年が居た。
 だが、本来顔があるべき場所には眼球のないどくろがありその手には紫色の光を放つ洋燈を持っていた。
「お初にお目にかかる。私の名前はジェネロック。
 心の闇を見通し苦しみから逃れる方法を教える物。」
 と、それは言った。
「魔族………と、言うやつですか。」
 と、鬼太郎が聞くと
「ええ。しかし、妖怪とは………ふふふ。ここが何処だが知りませんが、あなた方のような種族はおもしろい。
 あなたは、日本という国の代表妖怪らしいですね。」
「……別にそう名乗った覚えもないんですけどね。」
 と、鬼太郎は肩をすくめていった。代表なんて責任重大なことを仰せ使うのは気が重いと常々思っていたのだ。
「そうでしょう。気が重いでしょうね。
 しかし、周りはあなたに期待をしている。………ところで、われわれ魔族と契約しませんか。
 そうすればあなたの苦労も楽になる。」
「どういう意味じゃ」
 と、怒鳴る目玉親父。
 眉をひそめる鬼太郎にジェネロックと名乗った魔族は言い続ける。
「さすれば、……あなたの悩みもいくつか減りますよ。
 ………妖怪反物という物を創るチーや、あなたのお命を狙い続けるぬラ理ひょんとか、地獄の力を手にしようとする西洋妖怪をどうにかすることも可能ですよ。」
 気がつくとジェネロックは後ろにいた。いつの間に移動したのかわからなかった鬼太郎はおどろく。
 先ほどまで居たはずの目玉親父の気配も声も消えていた。
「………魔族の中には死者をよみがえらせることができる物も居ます。
 ………あなたが救えなかった物………あなたが生きて出会う事ができなかった物………、そんな者達にあえるかもしれないんですよ。」
 と、ジェネロックは言う。
「………力がほしくありませんか。」
 と、ジェネロックが言うと鬼太郎は笑みを浮かべた。 


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