◆−Positive Girl   序章−浅島 美悠(5/6-11:42)No.9876
 ┗Positive Girl   第一楽章−浅島 美悠(5/6-16:51)No.9877
  ┗Positive Girl   第二楽章−浅島 美悠(5/7-10:23)No.9889
   ┗Positive Girl   第三楽章−浅島 美悠(5/7-10:24)No.9890
    ┣楽しませて頂いておりますっ!−れーな(5/10-22:44)No.9942
    ┃┗ありがとうですわ…ぐふっ(←??)−浅島 美悠(5/11-19:33)No.9950
    ┗Positive Girl   第四楽章−浅島 美悠(5/13-17:55)No.9976
     ┗Positive Girl   第五楽章−浅島 美悠(5/13-17:57)No.9977


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9876Positive Girl   序章浅島 美悠 5/6-11:42





あふぁ〜〜〜〜。
「おっきーあくびねぇ…。夜更かしでもしたの?」
放課後の住宅路地にて、逢花はあきれたような口調でそう呟いた。
「ん〜ん。なんかさぁ〜このごろ寝不足なのよ」
必死で二度目のあくびをかみ殺す。
「寝不足……?」
「そ。ここ二、三日眠れなくて。う〜…」
目をこする。夕日が、あたしの栗色の髪を照らす。
……ちなみにいうと、これは地髪。染めてないの。
ズイブン変だと思うでしょ? しかもさ、つけたして、あたし目が真っ赤なのよ。
は? ああ。ごめん、自己紹介遅れちゃったね。
あたしは……。
「それって絶対健康にもよくないよ利菜。原因わかんないの?」
利菜。
美月 利菜。
………これもやっぱ変な名前、でしょ? あたしのファーストネームよ。
これで『みづき りな』って読むんだ。
「………夢、だと思う」
「夢? 怖い夢なわけ?」
「怖い……わけじゃないのよ」
あたしはクラスメートの逢花──水百合 逢花に、笑ってぱたぱたと手を振った。
変な名前同士ってことで、仲良しなんだ。『みなゆり あいか』って読むらしいけど。
そう、怖いわけじゃない。
ちょこっと変なだけ。
「真っ暗で何も見えなくて、両手首だけがすんごくイタイの。
そしたら『静かにしてろ』って、男の声がしてね。
んでもって、急に手首が軽くなったようになって………どしたの? 逢花」
「……ううん…。夢の中身、そんだけ覚えてるなんて、そーぞーりょく豊かだな〜って思っただけ。
あんたこの間の国語、相当ひどかったから」
「真面目に聞いてよもうっ!!」
本気で怒ったあたしに、逢花が慌てて。
「ごめんごめん。……でもそれ、毎晩同じようなの見るの?」
「…うん………そいつの顔、見ようとすると目が覚めちゃうの」
ぼんやりと、霞のようなものがかかってる気がしてならないんだ…。
あたしは、心の中でそう付け加えた。

♪ 

かちゃ。
「たっだいま〜っと」
とある二階建ての普通かつ平凡な家に、合鍵を使って入るあたし。
親…………は…まあ、ただいま海外旅行中。
二週間ぐらいは帰って来ない。だからここしばらく、ちょっとだけ寂しいのよね。
「ま、明日から逢花も泊まりに来るってゆーしっ♪」
カバンを私室のソファーに放り出し、服を着替える。
ジーパンにTシャツ。いつも通りの……ってゆーかこーゆーのしかないし。
あたしはあんまし服のバリエーションがないのだ。
あったとしても、ほとんどがズボン系統だし。
…しっかし…まだ胸が……なんか乏しいような…。
逢花にまでこの前言われたのよねぇ〜。
「あたしってそんな胸ないかな…」
カラカラカラ…。
あたしはぶつぶつ呟きつつ、ベランダの戸を開け、外に出る。
夕焼けが蒼い闇と混ぜ合わさり、鮮やかな藤色に染まっている。
そよ風さんが、あたしの頬を撫でてゆく。
涼しくって気持ちいいなぁ〜。
手すりに肘を突いて、あたしは景色を堪能する。
遠くのネオンサインが、色とりどりの星に変身する。
あたしはこの景色がかなり気に入っている。
だってさ、なんか宝石箱をひっくり返したみたいでキレーじゃない?
目の前には結構でっかい河原があって、白い人影なんかもぷかぷか漂って……。
…………。
…………。
…………。
白い、人影。
ぷかぷか、ぷかぷか、漂って…ううん…流されて…ってちがう…。
あれって………浮かんでる?
………って人!?
あたしはもう一度目を凝らす。
川面すれすれで、ぷかぷかふよふよ。
白い人影が浮かんで、移動していた。
……………。
えええええええええええええええええええええええええっっっ????
おっ……落ち着け利菜! 人が浮くわけないじゃない!
そ、そーよ! 最近変な夢ばっかし見るからきっと幻覚でも……。
あたしが目をこすってもう一度見ようとした時。
『それ』が、川に落ちた。
……………。
「何……あれ…」
一人呟くあたし。
………あ…岸辺に上がってる…。
で…………あ、あれ? 倒れたまま動かない…?
ちょっ……まさかっ!?
あたしは思わず、ベランダを飛び出していた。

  
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

♪の部分で、『埴生の宿』(ビショップ作)。
お持ちの方は、BGMとしてかけてみてくださいまし。ですわ。
クラシックで…知ってる人いるかな〜でーすわ…。(歌曲ですわ。)
さて。今度もまたまたゼルリナで…しかもまた連載ですわ…。
今度はぜっっったいにらぶらぶ&甘甘にしよーと…(できるかな、ですわ)
今度はリナが日本名。しかもまたまたオリキャラ出してますわ。
逢花ちゃんって…幼稚園ン時の友達だったんですわよね〜。字、違うけどですわ。
ま、とりあえずがんばりまーすわ。
応援して下さる方、何かカキコぷりーずっ。ですわ。
でゅわっ。
                        Miyu Asazima


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9877Positive Girl   第一楽章浅島 美悠 5/6-16:51
記事番号9876へのコメント

        


「むぅ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
あたしはほんっきで困ってた。
河原で拾った…もとい助けた白いのは──変な男だった。
髪が銀色。しかも針金みたいに硬いし。
加えて肌も、岩みたいにごつごつして青黒い。
普通なら驚きそうなものなのに、あたしはそうしなかった…てーかできなかった。
むしろ……懐かしい、かな?
……ってちがうちがう!! 何考えてんのよ!
とにかくっ! 外傷は全くなし。気絶してるだけ…だと思う。
一応、家まで運んでベットに寝かせたけど…。
「……どーしろってーの…この状態…」
こいつ、離してくれないのだ。
何って……手を…。
あたしの右手を。
そぉ〜〜っとはがすと、またぎゅっとつかんでくる。
まるで、どこにも行かせないかのように。
困っている原因はこれである。
そぉ〜〜。
ぎゅっ。
……そぉ〜〜。
ぎゅっ。
……やっぱダメだぁ〜。
「いー加減放してくんないかな…。夕飯とかつくんなきゃなんないし…」
…………って、聞いてるわけないわよね…。
でもなぁ…嫌じゃないのよね………なんでかな。
「…この変な名前のせーかな……。こんな変なコトに巻き込まれたのは」
………なんか…疲れた…。
こて、と顔を男の胸のあたりに預ける。
とくとくと、規則正しく心拍音が聞こえる。
………生きてるんだよね。この人。
寝ているだけだよね? あなた。
ひんやりして、冷たくて気持ちいい。この大きな胸。
…あたしも眠くなっちゃったな。
いーや。寝ちゃおっと……。

『また盗賊いぢめか?』
──……? 誰?
『あっ…あったり前じゃないのよ! 大体──ルこそなんでこんなとこにいるのよ!』
──また変な夢…? 前のと違うみたいだけど…。
『お前が宿を出ていくのが見えてな。こうしてあとを尾けてきたってわけだ』
『うっ……いーじゃないの!! 盗賊いぢめぐらい! これは乙女の習慣なのよ!!』
──……そんなもんかな…。
『あのなあリナ。魔族がお前を……』
──……あ……。
ちょっ……ちょっと…。消えないでよ、そんな中途半端なとこで…。
ねえ…魔族って何?
あなた誰なの?
ねえ……消えないでってば………ねぇ…。

ちゅんちゅん……ちゅん…。
すずめの鳴き声……朝の代名詞みたいなものだけど…………って朝ぁ!!?
がばりと起き上がる。
時間は!? 学校、遅刻しちゃうーーーー!!!!
「………あ、今日第二土曜なんだっけ…」
よかった…お休みだ………。
そう思って、何気なく枕を借りた男の顔を見ると。

瞳と瞳が、鉢合わせした。

                   
                  第一楽章・了

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9889Positive Girl   第二楽章浅島 美悠 5/7-10:23
記事番号9877へのコメント

                


「………」
「………」
無言だった。
あたしも、男も。
…ど…どーしよ…。なにか言わなきゃなにか言わなきゃなにか言わ……。
「……い…」
「は、あ、うぇ?」
唐突に飛び出した言葉にかなりあせって、あたしは奇声を発する。
「眠い…」
…………ね、眠いんスか…。確かによく見ると、焦点あってないし…。
寝ぼけてるな、多分。
「あ、なら寝てた方が、いいかも、しんない、よ?」
「そうか…」
「う、うん」
「じゃあ……そうする…」
「お……オヤスミなさいませ」
ぽて。すーすーすー。
またベットに身を任せ、熟睡モードに入る。
…………やっぱし、変な人…。
がば。
「ここ、どこだ」
「おわひゃうっっ!!?」
い、い、い、い、い、い………イキナリ起きるなぁぁぁぁぁぁ!!! 
びっくりするでしょうがぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「え、え〜とね。あんた、昨夜、河原で気を失ってて…その、あた、あたしが……」
自然とどもるあたしの声。
さっきのショックと、この人の胸を枕にしていたということを思い出して、が原因だけど。
だから、気付かなかったのかもしれない。
男があたしを見て、目を大きく見開いたのは。
ふわり。
こんな優しい音がしたような気がした。
…あれ? 
なんで前が見えないの?
視界が真っ白で、硬いのにやわらくて、冷たくて、気持ちよくて、安心する。
前にも一度味わった感触……そっか、昨日枕にしたんだ、この人の胸。
………っ…でぇぇぇぇぇぇ!!??
ってことはなに!? あたし今、だき、だき、だき、抱きしめられてるのぉぉぉぉぉ!?!?
「ちょっ……はなしっ…」
口ではそう言って抵抗するが──なんでかな。
あんまり……ううん全然嫌じゃない。
懐かしい。すごく、ものすごく懐かしい。
この胸の広さも、抱きしめてくれる腕の強さも、全てが──懐かしい。
やっぱ変だ。あたしって。初対面の男の人なのに、こんなこと思うなんて。
「やっと…会えた……」
耳元で囁く、低いナチュラルハーブ。
この声って………夢の…?
「……でも…」
ゆっくりと、あたしを束縛していた両腕がほどかれる。
自由になったあたしは、まだ半分呆然となりながらも顔を上げる。
悲しそうな笑顔がそこにあった。
「覚えちゃいないんだな…。その様子だと………」
覚えて……その様子……? 意味解読不可能なんだけど…。
「なにが…?」
あたしが呟くと、その人は大きくため息をついた。




                      第二楽章・了



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9890Positive Girl   第三楽章浅島 美悠 5/7-10:24
記事番号9889へのコメント

                


「…名前は?」
「み…美月……利菜」
言われるままに答える。
「名前は……やはり同じか…」
お、同じって何?
「……胸が一層小さくなったような…」
……なぬ?
「ついでいうとおとなしくなったかな」
「背は伸びているが…」
「容姿は変わってないし…」
をいこら。
なによあんたっっ!! こぉ〜んな可憐な美少女捕まえといてエラっそーに文句言うなんて!
あたしのドキドキ乙女心どーしてくれんのよ! つーかムカつく!!
「アンタ誰なの?」
こめかみをひくつかせることになんとか成功したあたしは、男に問う。
「あたし、アンタに評価つけられる筋合い、ないんだけどな」
そう言って、じろりと男を睨みつける。
「……減らず口叩くところだけは変わってないな…」
ぷっちんかっちん。
「も〜一回言ってみ? 身ぐるみへっぴ剥がしてスマキにするよ?」
「だわぁ〜〜〜〜〜!! すまんすまん! 冗談だ! 謝る!!」
ゆぅらりっと立ち上がったあたしの殺気に気付いたのか、男は慌てて謝る。
わかればよろし。
「さて……と。こっちはあんたに質問したいことが山ほどあるんだけど……いーかな」
「…どうぞ」
おっしゃっ。
「あのねっ」
すぅ〜〜〜〜……。
「さっきも言ったけど、アンタ誰なのっ?」
「なんでそんな変な服きてんのっ?」
「どっかで会ったことあったっ?」
「川にぷかぷか浮かんでなかったっ?」
一息で言い切り、肩を上下に揺らす。
一方、男はというと、あたしの勢いに押されてか、呆気に取られている。
「あ……。それを言う前に……だな」
ぽりぽりと頬をかく。
その光景がなんか可愛くて、くすっと微笑んでしまう。
「お前………本っっっっ当に俺のことを知らない…んだな?」
こっくり。(うなずき)
「……そうか…。それと…もう一つ……」
まだあんのぉ〜? とっとと答えて欲しいんだけどなぁ。
「俺がこれから言うこと……信じられるか?」
……はい?
今度は、あたしが呆然とする番だった。
信じられるかって……。どーゆー? 
それじゃまるで、これから突拍子もない話をするみたいじゃないの。
「……正直言ってあたしとしては、イキナリそんなこと言われても、さ。
あんたを…信じるか信じられるかとか……よくわかんないや。
あ、でもねっ! 聞きたいとは思ってるのよ。ほら、なんか面白そうだし」
う……なんか支離滅裂な文章になっちゃったな…。
「……聞く意志だけはあるってことか?」
こっくり。
「…………」
こら〜〜!! もったいぶらせといてそこで黙るなー!!
あたしはこう見えても短気なんだからね!
「……単刀直入に言おう。
ここは、お前のいるべき世界じゃない。お前が創りだした嘘の世界だ」


                    第三楽章・了

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9942楽しませて頂いておりますっ!れーな E-mail 5/10-22:44
記事番号9890へのコメント

浅島 美悠さんは No.9890「Positive Girl   第三楽章」で書きました。

こんばんはアーンドはじめましてっ!れーなって言います。          読ませて頂いておりますぅ。      
ゼルリナなんですねっ♪久しぶりだわー。ゼルリナ読むの。

ゼル君登場ですねっ♪ゼロス君もかっこいいけどゼルもかっこいーわ・・・
何でも甘々になるとか・・・好きなんですよね、そーゆーの。シリアスも好きだけど。
リナちゃん記憶がないんですね。
現世に生まれ変わったリナちゃんが前世のゼルに会ったのかと思ったら・・・
リナちゃんが作り出した嘘の世界?ってことは変な名前のお友達も実は嘘ですか?
大体ゼルはどーして川に浮いてたん?
ゼロス君とかガウリイ、アメリアは登場します?
気になりますぅ〜。
あ、あたしってば質問ばっか。
困りました?すみません〜(汗)
答えなくても結構ですよ。
読んでればきっと明らかになるんでしょうし。
あらすじばらしちゃ駄目ですもんね。

あたしは基本的にはカップリングオールOKなんで・・・ゼルリナも好きですっ!
書くのはゼロリナが書きやすいんですけど・・・
っていっても文才無いんですけどね。

っとまあ、言いたいことも言ったことですし。
そろそろ失礼をば。
れーなでした〜。

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9950ありがとうですわ…ぐふっ(←??)浅島 美悠 5/11-19:33
記事番号9942へのコメント

>こんばんはアーンドはじめましてっ!れーなって言います。          読ませて頂いておりますぅ。

はぃぃぃぃぃありがとうですわぁぁ(きゃらりんこっ☆)

>ゼル君登場ですねっ♪ゼロス君もかっこいいけどゼルもかっこいーわ・・・
>何でも甘々になるとか・・・好きなんですよね、そーゆーの。シリアスも好きだけど。

今度こそは! ってがんばってますわ。

>リナちゃん記憶がないんですね。

はいですわ。だからホラ、よく見てみるとリナが素直になってる…(かもしれないですわ)

>現世に生まれ変わったリナちゃんが前世のゼルに会ったのかと思ったら・・・

初めはそーしよーと思ったんですわ。でもなんとなくこっちの方が気に入ったので…。(^^)

>リナちゃんが作り出した嘘の世界?ってことは変な名前のお友達も実は嘘ですか?

逢花ちゃんのことですわ? みゅ…それはナイショです(はぁと)

>あ、あたしってば質問ばっか。
>困りました?すみません〜(汗)

ん、ちょこっとですわ。(エヘヘ)

>答えなくても結構ですよ。
>読んでればきっと明らかになるんでしょうし。
>あらすじばらしちゃ駄目ですもんね。

はぅあぁぁぁぁ!! そーいやそーですわぁぁぁぁ!!!

>あたしは基本的にはカップリングオールOKなんで・・・ゼルリナも好きですっ!
>書くのはゼロリナが書きやすいんですけど・・・
>っていっても文才無いんですけどね。

いえいえ、読んだことあるような…。

>っとまあ、言いたいことも言ったことですし。
>そろそろ失礼をば。
>れーなでした〜。

どうもですわ。
ちょっち勉強もヤバメですわ。更新、土日かなですわ。
でゅわ! 感想サンキュでーすわ。

      Miyu Asazima

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9976Positive Girl   第四楽章浅島 美悠 5/13-17:55
記事番号9890へのコメント




ぉぉぉぉ……お…ぉぉ…。
闇。
いや、無と言った方がいいだろうか?
悲鳴にも似た、風の唄(こえ)。
そのなかに、彼女はいた。
歳の頃なら十七、八。真っ青な長髪を、無造作に白布で縛り、一人、目を閉じ寝ころんでいる。
「……へえ、凄ェな…。アタイの結界、無視しやがった」
そのままの体制で、にっと口の端をつり上げる。
まるで何かを見て、楽しんでいるように。
「……あ、あ〜あ。力使いすぎちまったんか? 川に落ちちまったぜぃ……と、お?
これまた感服。根性ではい上がったぞあのヤロー」
「嘘つけ、嘘を」
闇に、白い影が浮かぶ。
こっちは、彼女と同じくらいの歳の青年だった。ただその容姿は──
「よおレイ。何しに来たんでぃ?」
ひらひらと白い青年……レイに手を振る。
レイはそれに答えることなく、かわりに苦笑を送り、彼女の横に腰を下ろす。
柔らかな銀髪が、ふわりと揺れた。
「レイ……か。まあ、『こっち』の名前の方が俺は気に入ってるが。
それより………お前、わざと結界を緩めたろう?」
「びんごぉ〜っ☆」
言って、初めて瞼を開ける。
そこに在ったのは、太陽に映えた草原の色。
「しかもあの小娘を使って何をするつもりだ? まさかとは思うが……遊んでいるだけ、とか?」
「おーおー。随分カンが良くなってきたな。前、ケンカやらかした時よか成長したってとこけ?」
「……リヴア」
ため息と同時に出された、彼女の『もう一つの』名前。
「ん?」
振り向いた途端。
ぽか。
リヴアの頭に、レイの拳が入った。
「いてっ! っなにすんだよ!!」
殴られた小さな頭を押さえるリヴア。
「また『泡沫の夢の墓場(ドリーム・セメタリー)』か? 一体なに考えてるんだ!」
「いーじゃねーか! ちょーどヒマだったし! 
第一そのアマ、あのリナ・インバースだかんな。こんなモンで惑わされるよかバカじゃねーよ」
泡沫の夢の墓場(ドリーム・セメタリー)。
レイがつけた、リヴアの一番好きな遊びの名称である。
ある一人の人間を夢の世界へと引き込み、色々『遊んで』みるという、彼にとっては面白くも何ともないものである。(彼女は楽しそうだが)
簡潔には言っているが……無論──普通の人間にこんなことができるわけない。
普通の人間には。
「……それはそうだが…下手に『あの世界』の人間に手を出すと、『クリル』がうるさいぞ?」
「ンな固ェこと言うなよ。それよかさ、このあんちゃん…」
くるり、と細く白い指先を一回転させると。
フィンっ。
黒い空間。無の空間に、一枚のスクリーンが現れる。
何かの驚愕に目を一杯に開いている、栗色の髪を持つ少女。
そして。
「おめーにそっくりだろ? 岩の部分を抜かせば、な」
ベットに腰掛け、どこか哀愁を漂わせた青年を。
リヴアは指さした。
銀髪の青年、レイに視線を投げて。
「へへっ。久しぶりに、面白くなりそーだぜぃっ♪」


                     第四楽章・了

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ちょっち補足でーすわ。(もしくはクイズ?(爆))
リヴア、レイ、クリル。この三人はオリキャラじゃありませんわ。
この名前だけはオリジナルですけど。(性格も?)
さて、この三人の正体は一体誰でしょーかでーすわ!?
ちなみにもう一人出す予定ですわ。(はぁと)
それとこの名前、この四人の中の愛称……とゆーかあだなみたいなものですわ。
わかった人がいたらぜひぜひカキコぷりーづっ。ですわ。
でゅわっ!
                    Miyu Asazima



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9977Positive Girl   第五楽章浅島 美悠 5/13-17:57
記事番号9976へのコメント

                


もう一人の……いや、おそらく本当のあたしであるリナという少女が、旅の途中でいきなしぶっ倒れた。
そのまま、眠ったままなのだ。
ちなみにこの男。その『リナ』の仲間だそうだ。
んでもって、医者もさじを投げ、ほとほとに手を焼いていたその時。
生ゴミパシリ魔族(誰よそれって言ったけど、教えてくれなかった)が現れ、こう言った。
彼女の意識は、夢の世界に囚われている。
このままでは、半永久的に目を覚まさない、と。
『どうすればいい?』
そう言ったのは、『リナ』の自称保護者。
その答えがこれ。
──誰かが夢の世界に侵入し、彼女を連れ戻せばいい。
それで選ばれたのが彼だった。
そのパシリ魔族の力を使い、『リナ』の意識の中に入り──
何かが押したような感じと共に、視界が開き、気付いた時には川へと落ちていた。

あたしは男の解説を聞いて、顔から血の気が引いていくのを感じた。
つまり。
ここは夢ってわけ?
逢花も、父さんや母さんも……クラスメートも?
………ううん。ここで暮らしたちっちゃいころの記憶とかも、全部…?
「戻る方法はただ一つ。お前本来の記憶、つまりリナ・インバースの記憶を思い出すこと」
呆然としているあたしに、男が追い討ちをかけるように告げる。
「……と…まだ受け入れられないようだが………当たり前か」
うん。当たり前。
「だってさ。正直言って信じられないじゃん。
あたしは美月 利菜で。
星涼(せいりょう)学園の高一Bで。
あと四日で十七歳の誕生日なのに。
それが………全部ウソだなんて、さ」
それでも──何故か、あたしはそれが事実だということに否定はしなかった。
男の目が、そう語っているから。
それと、なんか説得力あったから。
「……ま、あの夢のこともあるしね」
「夢?」
男が問う。
「うん。夢の中で夢見るのもなんか変だけど……。
あんたの言ってること、大体夢と混合してるんだ。たとえば……」
ん〜と確か……。
あたしはぴっと男を指さす。
「あんたが何とかデーモンと何かの合成獣(キメラ)ってこととか。
リナ……つまりあたしが盗賊いじめるのが習慣ってこと……。
あと…………あんたが、あたしを助けてくれたこと」
と。
ぴ〜んぽ〜ん。
ドアチャイムが反響する。
げっ!?
「ごっ……ごめん! ちょっと待ってて!」
あたしは男にそう言い捨てて、階段を降りる。
「は〜い」
カチャ。
『やっほ、利菜! ちょっと早めに来ちゃった』
そう言って、いつものように笑みを返したのは。
あたしのクラスメートの水百合 逢花だった。


                    第五楽章・了