◆−たどり着くために(25)−T−HOPE(4/20-00:42)No.9680
 ┣勿論今回は狙ったのです(^_^)−紅葉(4/20-09:49)No.9683
 ┃┗あの、狙うほどのものでも……(^^;)−T−HOPE(4/20-14:03)No.9685
 ┗たどり着くために(26)−T−HOPE(4/20-14:01)No.9684
  ┗たどり着くために(27)−T−HOPE(4/21-09:19)No.9699
   ┣たどり着くために(28)−T−HOPE(4/22-00:24)No.9710
   ┃┗たどり着くために(29)−T−HOPE(4/22-08:22)No.9713
   ┃ ┗たどり着くために(終)−T−HOPE(4/26-13:53)No.9762
   ┃  ┗Monument−T−HOPE(4/26-13:53)No.9763
   ┗全部、読んだと思ったらっ……(喜)−庵 瑠嬌(4/22-19:10)No.9720
    ┗喜んで頂けて……有り難うございます(^^;)−T−HOPE(4/23-23:02)No.9739


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9680たどり着くために(25)T−HOPE E-mail URL4/20-00:42


 も〜そろそろ終わり……に、近いと、思いたいです(^^;)
 ということで、全部一度頭から載せ直したかったのですが、字数制限あるんですね、こちら。
 一度に5話くらいしか載せられないということが判明……って、5分割は多すぎってことで、断念しました(;;)
 とりあえず、終わりに向かって、一歩前進……は、してる筈です(笑)
 お暇でしたら、読んでやって下さいませ。

*******************


     たどり着くために 
       ――もう一人の「私」へ――


 リナは、やれやれと肩をすくめた。
『何のことかしらね、いったい?』
「とぼけ方としては、あまり出来のいい方法ではありませんよ、それは?」
 ゼロスがひょいと片方の眉をつり上げる。
『あっそ。
 まーね、とぼけるのにかけて、あんたの右に出るのは……そーねぇ。
 フィブリゾくらい?』
「いやぁ、何だか怖い比較ですねぇ」
 呑気に笑い声を立てながら、茶器を片手に、ゼロスは首をかしげてみせた。
「……でもやっぱり、上手い方法とは思えませんがね?」
 リナは、むっと顔をしかめ、舌打ちした。
『あんた相手に化け狸もどきの巧拙を競う気なんざ、最初からさらっさらないわよ。馬鹿らしい』
(化け狸もどき…………?)
<狸よ。
 それもこんなん、見たくもないくらいの古ぼけた化け化け狸!>
 思わず聞き返してしまったリカに、リナは、きっぱりとした語調で応じた。
「何か酷いこと言われてるのは判りますけど……」
『ただ……』
 抗議するようなゼロスの台詞を端から無視して、リナは、また頬杖をついて、目の前にいる巨大な“狸”をねめつけた。
『何処からそーゆー推論出したかは、できれば聞いておきたいわね』
「嫌だなぁ、そう難しいことじゃありませんよ」
 軽い笑い声とともに、ゼロスは人差し指を振る。
「そうでなければ、リナさんが、現在の世界の現状を調べることもしないまま急くように僕を探し出したその意味が、判らなくなるじゃありませんか」
『……急くようにって……』
「リナさんって、一見突っ走っているように見えて――実際、時々暴走なさっているようですが――、実はきっちり次善策を探そうとなさってるでしょう?
 それが、一応高位魔族の一員である僕のところを訪れたというのに、何やらカードが少ないようだ、と。
 ということは、よほど急ぐ事情がおありなんだなぁと、思ったわけです。
 ……違いますか?」
(……急ぐ…………? そういえば……)
 確かにリナは、そんなようなことを言っていたと、リカは思い出した。
 けれど、その理由までは、自分には判らない。
(この人――というか、魔族の人には、判ってるのかしら……?)
 けれど、それにはリナの答えは、返ってこなかった。
『…………ふぅん……?』
 リナは一瞬瞳を伏せ、唇に余裕を持った笑みを浮かび上がらせながら、またゼロスを真っ直ぐに見た。
『暴走云々にはちょっとばかし言いたいこともあるけど、まぁいいでしょ。
 ……で?
 あんたには、その、“急ぐ理由”の見当でもついてるっていうの?』
「えぇ、まぁ」
 さらりとした回答に、リナはふと眉を寄せた。
 ゼロスがその様子を、テーブルの向こうから楽しげな視線で観察している。
「それも答えた方がよろしいですか?」
『そーね。採点したげるから、言ってみなさいよ』
 その返答にゼロスは、「はいはい」と肩をすくめた。
「僕の記憶に何ら欠落も変容もないとしてですが、どう見ても今のリナさんの姿は以前とは違う、と。
 まぁ、一応とはいえリナさん人間の筈ですし、1700年以上も前から生き延びるというのは無理だと思われますしね……多分」
(…………一応? 思われる? 多分……?)
『……なぁぁぁんか、一々引っかかるのよね、その台詞』
 リナが、唇を尖らせた。ゼロスはその様子に、くすりと笑う。
「そうですか?
 では、今目の前にいるリナさんは、何者か。
 ……一番ポピュラーな考え方だと、生まれ変わりあたりだとは思うんですけどね。それにしては、何か変ですし」
『何処が?』
「精神が二重になっているあたりが」
 リナの全身を、なぞるように見やりながら、ゼロスはさらりと答えた。
 冷たい夜の色が、一瞬だけ、少女の瞳に映る。
(二重……?)
 わけのわからない説明に、リカは思わず首をかしげた。
 精神というのは、そもそも、重なったりするものなのだろうか?
 ……だが……。
(まぁ……でも確かに、わたしの中にリナがいて、会話して、もしかしたら夢なんかまで重なっちゃってるのも、事実だし……)
 うぅんと頭を抱えるその間にも、ゼロスはさらさらと解説を続けていた。
「でも、随分と面白い現象ですねぇ。
 二重に重なった精神。魔力容量。
 ……成程。これくらいの増量があれば、魔血玉なしでの神滅斬の発動が可能なんですか。
 便利ですねぇ」
 リナが、肩を大きく動かして、溜息をついた。
『便利って、あんたね。
 ……まーいいわ。バレちゃってんなら仕方ない。』
 さばさばしたような仕草で――あるいは、それを装って、リナはにっと笑った。
『でも、それと急ぐ理由。
 ……どーゆー関係があるっての?』
 ふと、瞳が細められ、射るような光がゼロスに当たった。
 ゼロスの唇の端の描く線が、僅かに変わる。夜の瞳が、ほんの少し闇を外にこぼした。
「“ただの人間じゃない、という話を聞いてはいましたが――確かにある意味ではその通りですね”」
『…………。
 ……あん時も言ったけど、全然誉められてるように感じられないのよね』
「そうですか?
 でも、僕があの時思ったように……あなたは、ただの人間とは、違う」
 リナは、溜息をついて天井を仰いだ。
『人聞きの悪い』
「かつて、全ての母の力を身に宿しながら、母の気紛れとはいえ生還を成し遂げたのは、あなた一人。
 ……つまり」
 かちゃんと音がする。リナが視線を戻すと、ゼロスが茶器をソーサーへと戻していた。
 変わらない笑みを浮かべた白い面が、リナへと真っ直ぐに向けられていた。
『…………。……つまり?』
「あなたの精神は、それだけ強い、と」
 リナは、瞳を閉じた。
『……今度はちゃんと、誉め言葉に聞こえるわね』
 静かな声は、何故か随分と乾いた音になって、リナ以外に人の気配のない店の中に響いた。
 ゼロスが、リナの顔をのぞき込む。
「やっぱり、気づいてらしたんですね。リナさん?」
『……。…………何のこと?』
 ふんと、目を開けそっぽを向いて、リナは呟くようにそう応じた。
『あたしがここへ来たのは、あたしの記憶途切れてるその時点とその後に、いったい何が起こったのか。あんたなら知ってるに違いないと確信してたからよ』
 ――知ってるんでしょう?
 顔を背けたまま、じろりと視線だけ横目で戻し、ゼロスを睨んでリナは問うた。
(……どういう……こと……?)
 まるで、結論を知りながらあえて引き伸ばしを図るようなリナの態度に、リカは首をかしげた。
 リナが、ここへ来るのを急いだ理由。
 それが、リナの精神の強さにある、という答え。
(…………どういうことなんだろう…………)
 リナの答えは、なかった。
 ただ、ゼロスへと視線を向けたまま、答えを催促している。
「まぁ……知っていますけど、ねぇ……」
 気をもたせるような、僅かに伸ばした語尾。リナは、顔をゼロスへと向け直し、顔をしかめた。
『知ってんなら、出し惜しみせずにとっとと教えなさいよ』
「でもリナさん?」
 ゼロスは、そんなリナの様子をくすくす笑いながら眺めると、ちょこんと首をかしげた。
「知って、どうなさるんです?」
『決まってるでしょ』
 ふん、と、リナは腕組みして笑った。
『帰るのよ』
「…………それが、たとえ、叶わないとしても?」
 すぅっと、ゼロスの唇に刻まれた笑みが薄れる。
 形こそ変わらないものの、そこに宿された冷たい気配、凍るような傲慢なまでの嘲りの感情が、それを笑みとは言えないものにしていた。
 リナが、一つ吐息をこぼす。
『どういう意味よ?』
 ゼロスは大きく肩をすくめた。
「もう、思い出していらっしゃるんじゃありませんか?
 あなたは……あなた方は、僕の導きによって目覚められた赤眼の魔王様を追っていらした。
 ……討伐するために、ね」
『それで?』
「おそらくないのは、その戦いの最中からの記憶でしょう?
 えぇ、確かに僕はその場にいましたよ。
 あるいは、あなたはそこまでもう思い出していらっしゃるのかもしれませんが……」
『……だから?』
 リナは、淡々とした声で、ゼロスに続きを促した。
 その様子に、ゼロスはほんの少し、目を見張ってみせた。
「何故、帰還を望まれます?」
 にこりと、その頬には柔らかな笑みが浮かんでいる。
「……そして、あなたは、何処へ還るおつもりなんです?」
(…………っ!)
 リカは息を飲んだ。
 リナは、表情一つ動かさないまま、ゼロスのその笑みを見ていた。
 おそらく、リナはその可能性など当の昔に考慮していたのだと、リカはリナの凛と崩れない様子を感じ取りながら、思った。
 ――けれど……。
 それでもリナに何か言いたくて、僅かに――リナの中で――身じろぎしようとした、その瞬間。
(っ!?)
 ――……動けない?
 まるで、何かに留められるように、リナにすら声を届けない状況に気づき、リカはあげられない声で叫んだ。けれど、それもリナには届いていないらしい。
 何故、こんなことが起きたのか。それすらも、判らなかった。
 ――まるで、この身体が初めからリナの物であったかのように……。
(……そんな……馬鹿な……)
 リナは、そんなリカの状況には気づかなかったように、平坦な声でゼロスを見やった。
『何処へ? 決まってるわ。
 ……あたしが帰りたい場所へ、帰るのよ!』
「たとえばそれが叶わなくとも?」
 ふんと、皮肉な色を宿して僅かに開かれた瞳を斜めに見て、リナは笑った。
『たとえば?
 ……そうね、たとえばあたしが混沌へ落ちてゆくその途中で、迷っていたとしたら?』
 ゼロスはその言葉に、にっこりと笑った。
「そうだとするならば、もう、あなたの還るべき肉体という物は、存在し得ないことになりますね」
 ――肉という形にこだわる人間の精神は、単体では、残滓としてすら、この世に残りにくいですから。
 さらりと、嘲るようにそう告げて、ゼロスは僅かに首をかしげた。
「それ以外にも……そうですねぇ。
 途切れた記憶を辿っても、還る方法などないとしたら?
 僕にそれを尋ねに来た……ということは、あなたはそれを知らないのでしょう?」
『んで、あんたも知らないと?』
 ゼロスは、かしげた首を戻さないまま、細められたリナの瞳を真っ直ぐに見返した。
「……もしかしたら、僕が知らないあなたの帰還方法があるのかもしれない。
 けれど…………それをあなたが知り得る確率は、限りなく、ゼロに近いと思いませんか?」
 リナは、かたんと椅子から立ち上がった。
『でも、ゼロじゃないんでしょ。
 ……馬鹿馬鹿しい。堂々巡りだわ。
 あんたいったい何が言いたいのか、はっきり言ったらどう、はっきり!』
 腕を組み、青年姿の魔族を鋭い視線で見下ろしながら、リナは呆れたように言い放った。
「相変わらず、短気ですね。リナさん」
 降参するように、両手を軽くあげて見せながら、ゼロスはやれやれと溜息を落とした。
 そして、楽しそうな瞳でリナを見上げ、くすりと艶やかに微笑んだ。夜色の瞳が、今度こそ完全に開かれる。
 ……まるで、月のない夜にも似た、人を惑わす暗い闇。
 それを真っ向から見下ろして、リナはたじろがず、その次の言葉を待った。
「……僕はただ、ちょっとした提案をしてみたいだけですよ」
『提案?』
 まるで、“悪巧み”と同義に聞こえるような声の響きで、リナはゼロスの言葉を復唱した。
 が、ゼロスはまるでそれには頓着せず、妙に芝居がかった動作で、大きく両手を広げてみせた。
「そう。
 おそらくこれが、今ここにいらっしゃるあなたにとって建設的な提案だと、僕は心から信じてますけどね」
『ふぅぅぅぅぅん? そう。
 あんましあてにならないけど、どの程度建設的なのかは一応知っておこうかと思うんで、言ってみなさいよ』
「簡単ですよ」
 くつくつ笑いながら、ゼロスは人差し指を軽く振った。
「あなたは、ここに残ればいい」
 星のない夜の細い月に似た、白の面。そこに浮かび上がるように、闇色の笑みが彩りを添えた。感情のない、形だけの笑みとは異なる……深い、微笑。決して人には浮かべられないだろう、闇の表情が、そこにあった。
 その闇が、そっとリナに、手を伸べる。
「還れないのなら、どのみちあなたはここにいなければならない……。
 この世界、あなたの時代とは違うここに、あなたのことだ。きっと興味をお持ちになるでしょう。時代の変遷、魔術の衰退……そして、新しい技術」
 柔らかな声が、優しく言葉を並べていく。
 そして、悪戯な瞳が、くすっと笑った。
「そうそう……美味しい名物料理も、幾つも増えましたよ」
『ふぅん?』
 けれどリナは心動かされた風もなく、軽く言葉を返した。
『確かに、それは美味しい話ね』
「名物料理が?」
『それ以外のも、一応ね。
 …………だけど』
 小さく溜息をついて、リナはひょいと椅子に座り、頬杖をついた。
『“何”が起こるか判ってて言ってる?』
「あなたがこの世界で自由に動けるようになる、ということは判ってますよ?」
 ゼロスの手が、何の抵抗も感じさせないほど素早く静かに、リナの――リカの身体の――頬に、触れた。
 ひんやりした感触が、滑らかな頬に伝わる。
「……幸い、状態も良さそうだ。よほど相性が良かったのでしょうね」
『名前も似てんのよ』
(…………名、前……?)
 動けないという衝撃から、半ばぼんやりとそれまでの会話を聞き流していたリカは、その台詞に、はたと我に返った。
 ――似ている、名前……。リナと……。
(わたしの、こと……?)
 頬に手をあて、瞳をのぞき込むように見てくるゼロスの顔。その瞳は、ただ、リナを見ていた。
(リナが、ここに残る……。残ると、すると……?)
 リカは、ゆっくりと首をかしげた。何か、とてつもなく恐ろしい、重大なことを見落としているような気がする。
 ゼロスが、子細に観察するように、軽く瞳を細めた。
「かつてのあなたの姿と、さして変わりもないことですし……問題は、ないでしょう?」
『…………』
 パシリと、リナがゼロスの手をはねのけた。
『何の、問題よ?』
 吐息のようにかすれる、静かな声だった。
 ゼロスが、いかにも不思議そうに弾かれた手を見て、そしてまた、リナに視線を移した。
「何の? 決まっているでしょう?
 あなたが、“あなたとして”、ここで生きていくための、ですよ」
(リナが?)
 リカは、はっと息を飲んだ。
 ――リナが、リナとして生きていく……ために?
(そのためには、何が必要……!?)
 ――……そのためには……。
 リナは、はっと短い息を吐いた。
 ゆっくりと、瞳が閉じられる。
『そうして、あたしに、この身体を乗っ取れ、と……?』
 ――リカの、精神を、消して……。
 ゼロスは、ただ、にこりと微笑んだ。

**************
 しくしく……いえ、一歩は確実に前進してるんですが〜。予定外に長くなっちゃいました。
 何か、リナちゃんとゼロス君って、お話しするのが大好きのようで(((^^;)
 えとぉ、この後も何だかんだとこの二人がひたすら話してるだけ、な、気が……。
 それでも良いだなどとおっしゃって下さる、心が無限大に広いお方がいらっしゃいましたら、是非、続き読んでやって下さいませ(;;)

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9683勿論今回は狙ったのです(^_^)紅葉 4/20-09:49
記事番号9680へのコメント

 どうして狙わずにいられましょうか(^_^)ニコニコ
 絶対に投稿されていると思いましたし(滅茶笑顔)
 そういえば前回の最後のお話…ネット回線が壊れている間にツリーが落ちてしまいました…(T_T) あれに関してはまた別口で感想を送らせていただきますぅぅぅ…。とはいえ最近益々忙しいのですが…(-_-;)


> も〜そろそろ終わり……に、近いと、思いたいです(^^;)
> ということで、全部一度頭から載せ直したかったのですが、字数制限あるんですね、こちら。
> 一度に5話くらいしか載せられないということが判明……って、5分割は多すぎってことで、断念しました(;;)

 な…長いですものね。このお話…(^_^;)
 でも大丈夫ですわ。きっと皆様全部覚えておりますから♪
 覚えていらっしゃらない方は、T-HOPE様のHPにいらして最初から読めばそれでOK…と(^_^)ニコニコ  ふふ。これは嫌がらせではありませんわ。宣伝ですから♪_・)ぷっ←説得力ゼロ
 というわけで感想なのですぅ…。

>*******************

>『あっそ。
> まーね、とぼけるのにかけて、あんたの右に出るのは……そーねぇ。
> フィブリゾくらい?』
>「いやぁ、何だか怖い比較ですねぇ」
> 呑気に笑い声を立てながら、茶器を片手に、ゼロスは首をかしげてみせた。

 うぅぅぅん(-_-;) 確かに嫌な比較ですわねぇ(^_^;)
 でもゼロスさんって屁理屈大魔王のうえに、とぼけ誤魔化し言い訳キングですしね(笑)
 とは申しましても、リナちゃんもある意味同レベルではないのかしらと思う紅葉なのです(笑)

>『あんた相手に化け狸もどきの巧拙を競う気なんざ、最初からさらっさらないわよ。馬鹿らしい』
>(化け狸もどき…………?)
><狸よ。
> それもこんなん、見たくもないくらいの古ぼけた化け化け狸!>
> 思わず聞き返してしまったリカに、リナは、きっぱりとした語調で応じた。
>「何か酷いこと言われてるのは判りますけど……」

 精神の中で会話を交わしている筈ですのに、それを分かってしまうゼロスさん……。まぁゼロスさんですしねぇ←この一言で説明がついてしまうあたりがとってもゼロスさんですね(^_^;)
 古ぼけた化け化け狸……。えぇとわたくし結構狸は好きなのですが…比較の対象になる狸さんがちょっぴり可愛そうだったり……(笑)

>「リナさんって、一見突っ走っているように見えて――実際、時々暴走なさっているようですが――、実はきっちり次善策を探そうとなさってるでしょう?
> それが、一応高位魔族の一員である僕のところを訪れたというのに、何やらカードが少ないようだ、と。
> ということは、よほど急ぐ事情がおありなんだなぁと、思ったわけです。
> ……違いますか?」

 流石はゼロスさん♪ リナちゃんをきっちり把握しておられますのねっ♪
 やはりゼロスさんはこうでないと(笑)
 それにしても間に入っている”実際、時々暴走なさっているようですが”…という台詞が………(爆笑) 確かに暴走しておられますね、リナちゃんは。時々しょっちゅう…。

>『そーね。採点したげるから、言ってみなさいよ』
> その返答にゼロスは、「はいはい」と肩をすくめた。
>「僕の記憶に何ら欠落も変容もないとしてですが、どう見ても今のリナさんの姿は以前とは違う、と。
> まぁ、一応とはいえリナさん人間の筈ですし、1700年以上も前から生き延びるというのは無理だと思われますしね……多分」
>(…………一応? 思われる? 多分……?)
>『……なぁぁぁんか、一々引っかかるのよね、その台詞』

 ゼロスさんにここまで言われるリナちゃん……(大爆笑)
 やはり只者ではありませんわね(笑) 人間の”筈”とか言われていますし(^_^;)
 しかも多分って…リナちゃんなら1700年間普通に生きていることも、マンに一つ位の可能性ならあると…思っているのでしょうか(笑) でも確かに簡単に死んでしまうリナちゃんって想像出来ませんけれど(-_-;)

> うぅんと頭を抱えるその間にも、ゼロスはさらさらと解説を続けていた。
>「でも、随分と面白い現象ですねぇ。
> 二重に重なった精神。魔力容量。
> ……成程。これくらいの増量があれば、魔血玉なしでの神滅斬の発動が可能なんですか。
> 便利ですねぇ」

 なるほど! それで神滅斬が使えたのですわねっ。
 伏線が今ここで明かされましたわね。でもまだまぁだ色々とありそうですけれど(笑)

> ゼロスの唇の端の描く線が、僅かに変わる。夜の瞳が、ほんの少し闇を外にこぼした。
>「“ただの人間じゃない、という話を聞いてはいましたが――確かにある意味ではその通りですね”」
>『…………。
> ……あん時も言ったけど、全然誉められてるように感じられないのよね』

 でも多分ゼロスさんにとっては…誉め言葉…なのですよねぇ………。
 イチオウ(^_^;)

>『…………。……つまり?』
>「あなたの精神は、それだけ強い、と」
> リナは、瞳を閉じた。
>『……今度はちゃんと、誉め言葉に聞こえるわね』
> 静かな声は、何故か随分と乾いた音になって、リナ以外に人の気配のない店の中に響いた。
> ゼロスが、リナの顔をのぞき込む。
>「やっぱり、気づいてらしたんですね。リナさん?」
>『……。…………何のこと?』
> ふんと、目を開けそっぽを向いて、リナは呟くようにそう応じた。

 あぁぁあ何か裏で展開しているようですのに、紅葉のお馬鹿な頭では分かりませんわぁああああ。きっといつか明かされるのですわね。
 何か重大事件が起こったというのはなんとなく分かるのですが…。あぁ気になりますぅぅぅぅ!!!! 伏線がっ…(-_-;) 
 何かリナちゃんにとってつらいことがあったのだろうと言うことは分かるのですがぁ…。

> ただ、ゼロスへと視線を向けたまま、答えを催促している。
>「まぁ……知っていますけど、ねぇ……」
> 気をもたせるような、僅かに伸ばした語尾。リナは、顔をゼロスへと向け直し、顔をしかめた。
>『知ってんなら、出し惜しみせずにとっとと教えなさいよ』

 ゼロスさん…早く教えてください……がふっ!
 ものすっごぉぉぉく気になるのですが(^_^;)

>「何故、帰還を望まれます?」
> にこりと、その頬には柔らかな笑みが浮かんでいる。
>「……そして、あなたは、何処へ還るおつもりなんです?」

 はう………。次回を待ちなさい、という感じですわね。
 もぉ…気になって気になって…。思わせぶりな台詞がぱこぱこと……出てまいりますわ(笑) 今日の夜とかに来たらまた続きが載せられているでしょうか((o(^-^)o))ワクワク

> それでもリナに何か言いたくて、僅かに――リナの中で――身じろぎしようとした、その瞬間。
>(っ!?)
> ――……動けない?
> まるで、何かに留められるように、リナにすら声を届けない状況に気づき、リカはあげられない声で叫んだ。けれど、それもリナには届いていないらしい。

 ゼロスさんが……裏から何か……して…いませんか?(^_^;)
 精神攻撃はゼロスさんのお得意ワザですし。リナちゃんがこんなことをやるとも思えませんし………。
 

>「あなたは、ここに残ればいい」
> 星のない夜の細い月に似た、白の面。そこに浮かび上がるように、闇色の笑みが彩りを添えた。感情のない、形だけの笑みとは異なる……深い、微笑。決して人には浮かべられないだろう、闇の表情が、そこにあった。
> その闇が、そっとリナに、手を伸べる。
>「還れないのなら、どのみちあなたはここにいなければならない……。
> この世界、あなたの時代とは違うここに、あなたのことだ。きっと興味をお持ちになるでしょう。時代の変遷、魔術の衰退……そして、新しい技術」
> 柔らかな声が、優しく言葉を並べていく。
> そして、悪戯な瞳が、くすっと笑った。
>「そうそう……美味しい名物料理も、幾つも増えましたよ」

 ゼロスさんがリナちゃんにこんな提案をするのは…リナちゃんに消えて欲しくないからだわ…と妄想を爆発させるゼロリナ病患者が約一名……(^_^;)
 でもきっとわたくしだけではないと思いますわっ!
 いえ、ゼロスさんのことですから、「リナさんがいれば退屈せずに済みますし、獣王様が復活なさるまで良い暇つぶしになります」などと思っているのかもしれませんが、それだってリナちゃん以外には感じない感情でしょうし(^_^)
 あぁ素晴らしきかなゼロリナ(笑)

> リナは、はっと短い息を吐いた。
> ゆっくりと、瞳が閉じられる。
>『そうして、あたしに、この身体を乗っ取れ、と……?』
> ――リカの、精神を、消して……。
> ゼロスは、ただ、にこりと微笑んだ。

 な…何か……アンハッピーな予感がするのですが……。
 どちらかが消えなければならないのは分かっておりますが、リナちゃんが消えてしまうのは嫌ですうぅぅぅぅ(π_π)ウルリ
 この辺の思考回路はゼロスさんと同じかもしれません(極悪) あぁでもやっぱりリナちゃんが消えてしまうのはっっ……(TヮT)
 何だか滅茶苦茶に気になるところで終わっておりますのね…(チラリ、と上目使いで見上げつつ)
 T-HOPE様っ、早く続きが読みたいですわっ(笑)
 
>**************
> しくしく……いえ、一歩は確実に前進してるんですが〜。予定外に長くなっちゃいました。
> 何か、リナちゃんとゼロス君って、お話しするのが大好きのようで(((^^;)
> えとぉ、この後も何だかんだとこの二人がひたすら話してるだけ、な、気が……。

 前進していらっしゃるなら良いではないですか♪
 紅葉など後退したこともありますし(^_^;) 戻っては書く、また戻っては書く、というパターンではない限り許されますわ♪
 長ければそれだけ楽しめる期間も延びるわけですから、うふふ(悪魔の微笑み)
 もちろん早く続きが読めるに越したことはありませんけれど、お忙しい中で書かれているのでしょうから、お体に無理をなさらず頑張って下さいましねっ♪
 ところでくれは…ツリーの作り方が微妙におかしいかもしれません…。
 コメントを投稿する…のボタンを押せば良いのですよねぇ????

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9685あの、狙うほどのものでも……(^^;)T−HOPE E-mail URL4/20-14:03
記事番号9683へのコメント

> どうして狙わずにいられましょうか(^_^)ニコニコ
> 絶対に投稿されていると思いましたし(滅茶笑顔)
> そういえば前回の最後のお話…ネット回線が壊れている間にツリーが落ちてしまいました…(T_T) あれに関してはまた別口で感想を送らせていただきますぅぅぅ…。とはいえ最近益々忙しいのですが…(-_-;)

 いえ、あの……別に狙わなくとも、他に読んでる方いませんってば(^^;)
 えぇ、本当に駄々文ですので、完走などはめちゃくちゃお暇な時にお願いいたします(って、結局ねだってどーする(−−;)

>> も〜そろそろ終わり……に、近いと、思いたいです(^^;)
>> ということで、全部一度頭から載せ直したかったのですが、字数制限あるんですね、こちら。
>> 一度に5話くらいしか載せられないということが判明……って、5分割は多すぎってことで、断念しました(;;)
>
> な…長いですものね。このお話…(^_^;)
> でも大丈夫ですわ。きっと皆様全部覚えておりますから♪
> 覚えていらっしゃらない方は、T-HOPE様のHPにいらして最初から読めばそれでOK…と(^_^)ニコニコ  ふふ。これは嫌がらせではありませんわ。宣伝ですから♪_・)ぷっ←説得力ゼロ
> というわけで感想なのですぅ…。

 長いんです。私が書いてるパロの中では、最長……オリジだともっと長いのありますが(書いてるのでもないのでも)
 いい加減、何で終わらないんだ〜〜〜状態になりつつありますので……えぇ(((^^;)
 ……って、あの、何故宣伝……あぅ、有り難うございます(TT) いえ、とりあえず感想の方は掛け値なしに有り難いですしっ(笑)

>>『あっそ。
>> まーね、とぼけるのにかけて、あんたの右に出るのは……そーねぇ。
>> フィブリゾくらい?』
>>「いやぁ、何だか怖い比較ですねぇ」
>> 呑気に笑い声を立てながら、茶器を片手に、ゼロスは首をかしげてみせた。
>
> うぅぅぅん(-_-;) 確かに嫌な比較ですわねぇ(^_^;)
> でもゼロスさんって屁理屈大魔王のうえに、とぼけ誤魔化し言い訳キングですしね(笑)
> とは申しましても、リナちゃんもある意味同レベルではないのかしらと思う紅葉なのです(笑)

 いやぁ、さすがにリナちゃんは、ゼロス君&フィブリンレベルにはいってないのではないかと……。
 というか、一部で同レベルまで達していても、この二人みたいに最初から根回し重ねまくり〜みたいなのは、到底性格的に無理かな、とか(笑)
 やっちゃえ〜……って時には、色々やってますけどねぇ(魔血玉みたいに(笑)

>>『あんた相手に化け狸もどきの巧拙を競う気なんざ、最初からさらっさらないわよ。馬鹿らしい』
>>(化け狸もどき…………?)
>><狸よ。
>> それもこんなん、見たくもないくらいの古ぼけた化け化け狸!>
>> 思わず聞き返してしまったリカに、リナは、きっぱりとした語調で応じた。
>>「何か酷いこと言われてるのは判りますけど……」
>
> 精神の中で会話を交わしている筈ですのに、それを分かってしまうゼロスさん……。まぁゼロスさんですしねぇ←この一言で説明がついてしまうあたりがとってもゼロスさんですね(^_^;)
> 古ぼけた化け化け狸……。えぇとわたくし結構狸は好きなのですが…比較の対象になる狸さんがちょっぴり可愛そうだったり……(笑)

 判っているというより、察しているの方が正解でしょうか(^^;) この場合、リナちゃん表情に出しちゃってますし。
 えとぉ、別に私も、狸は嫌いじゃないです。ないですが……う〜ん? 狐か川獺か狢の方がよろしかったでしょうか?(笑)

>>「リナさんって、一見突っ走っているように見えて――実際、時々暴走なさっているようですが――、実はきっちり次善策を探そうとなさってるでしょう?
>> それが、一応高位魔族の一員である僕のところを訪れたというのに、何やらカードが少ないようだ、と。
>> ということは、よほど急ぐ事情がおありなんだなぁと、思ったわけです。
>> ……違いますか?」
>
> 流石はゼロスさん♪ リナちゃんをきっちり把握しておられますのねっ♪
> やはりゼロスさんはこうでないと(笑)
> それにしても間に入っている”実際、時々暴走なさっているようですが”…という台詞が………(爆笑) 確かに暴走しておられますね、リナちゃんは。時々しょっちゅう…。

 えぇ、把握しているのです。暴走していることも含めて(笑)
 いやだって、暴走ってやっぱりスレイキャラの身上でしょう(と、決め付け(^^;)

>>「僕の記憶に何ら欠落も変容もないとしてですが、どう見ても今のリナさんの姿は以前とは違う、と。
>> まぁ、一応とはいえリナさん人間の筈ですし、1700年以上も前から生き延びるというのは無理だと思われますしね……多分」
>>(…………一応? 思われる? 多分……?)
>>『……なぁぁぁんか、一々引っかかるのよね、その台詞』
>
> ゼロスさんにここまで言われるリナちゃん……(大爆笑)
> やはり只者ではありませんわね(笑) 人間の”筈”とか言われていますし(^_^;)
> しかも多分って…リナちゃんなら1700年間普通に生きていることも、マンに一つ位の可能性ならあると…思っているのでしょうか(笑) でも確かに簡単に死んでしまうリナちゃんって想像出来ませんけれど(-_-;)

 まぁ……ほら、リナちゃんとゼロス君の会話ですし(^^;)
 でも、ここでのゼロス君の台詞は、殆ど嘘スレスレが続いてるので、まぁ……ねぇ……。
 万に一つの可能性ですか? リナちゃんが普通に生きてたら、あるかな〜っとは、思ってるみたいですよ(笑)

>> うぅんと頭を抱えるその間にも、ゼロスはさらさらと解説を続けていた。
>>「でも、随分と面白い現象ですねぇ。
>> 二重に重なった精神。魔力容量。
>> ……成程。これくらいの増量があれば、魔血玉なしでの神滅斬の発動が可能なんですか。
>> 便利ですねぇ」
>
> なるほど! それで神滅斬が使えたのですわねっ。
> 伏線が今ここで明かされましたわね。でもまだまぁだ色々とありそうですけれど(笑)

 えぇ、ですので、ゼラス=ブリッドも使えちゃいました(^^)
 まだ色々、は…………それはやっぱり秘密です、と♪ 後少し〜の、筈ですし〜〜〜(((^^;)

>> ゼロスの唇の端の描く線が、僅かに変わる。夜の瞳が、ほんの少し闇を外にこぼした。
>>「“ただの人間じゃない、という話を聞いてはいましたが――確かにある意味ではその通りですね”」
>>『…………。
>> ……あん時も言ったけど、全然誉められてるように感じられないのよね』
>
> でも多分ゼロスさんにとっては…誉め言葉…なのですよねぇ………。
> イチオウ(^_^;)

 えぇ、誉め言葉の筈、です。
 ……今回のこれは、ちょい違うみたいですが(^^;)

>>『…………。……つまり?』
>>「あなたの精神は、それだけ強い、と」
>> リナは、瞳を閉じた。
>>『……今度はちゃんと、誉め言葉に聞こえるわね』
>> 静かな声は、何故か随分と乾いた音になって、リナ以外に人の気配のない店の中に響いた。
>> ゼロスが、リナの顔をのぞき込む。
>>「やっぱり、気づいてらしたんですね。リナさん?」
>>『……。…………何のこと?』
>> ふんと、目を開けそっぽを向いて、リナは呟くようにそう応じた。
>
> あぁぁあ何か裏で展開しているようですのに、紅葉のお馬鹿な頭では分かりませんわぁああああ。きっといつか明かされるのですわね。
> 何か重大事件が起こったというのはなんとなく分かるのですが…。あぁ気になりますぅぅぅぅ!!!! 伏線がっ…(-_-;) 
> 何かリナちゃんにとってつらいことがあったのだろうと言うことは分かるのですがぁ…。

 えぇ、この二人、お互いに相手の下位に立つ気がまっっったくないせいか、ひたすら思わせぶりで困ります(−−;)
 重大事件が……起こっているというか、起こる可能性を秘めているというか……えぇとぉ。
 ……時間稼ぎされると不利になるのはリナちゃんの方、と、ということです。つまり(もっと意味不明(^^;)

>> ただ、ゼロスへと視線を向けたまま、答えを催促している。
>>「まぁ……知っていますけど、ねぇ……」
>> 気をもたせるような、僅かに伸ばした語尾。リナは、顔をゼロスへと向け直し、顔をしかめた。
>>『知ってんなら、出し惜しみせずにとっとと教えなさいよ』
>
> ゼロスさん…早く教えてください……がふっ!
> ものすっごぉぉぉく気になるのですが(^_^;)

 ……気になって下さるのは有り難いのですが〜……えぇとぉ……どうしましょう(笑)

>>「何故、帰還を望まれます?」
>> にこりと、その頬には柔らかな笑みが浮かんでいる。
>>「……そして、あなたは、何処へ還るおつもりなんです?」
>
> はう………。次回を待ちなさい、という感じですわね。
> もぉ…気になって気になって…。思わせぶりな台詞がぱこぱこと……出てまいりますわ(笑) 今日の夜とかに来たらまた続きが載せられているでしょうか((o(^-^)o))ワクワク

 続き……は、まぁ、何とか。まだ終わってませんが(死)
 でも、まだ謎は残っているという……どぉしましょぉねぇ……特に、リナちゃんの消えてる過去。裏技使われてしまいましたので、後から説明しなきゃいけなくなりました。
 ……ゼロス君はもぉぉぉぉ……(−−;)

>> それでもリナに何か言いたくて、僅かに――リナの中で――身じろぎしようとした、その瞬間。
>>(っ!?)
>> ――……動けない?
>> まるで、何かに留められるように、リナにすら声を届けない状況に気づき、リカはあげられない声で叫んだ。けれど、それもリナには届いていないらしい。
>
> ゼロスさんが……裏から何か……して…いませんか?(^_^;)
> 精神攻撃はゼロスさんのお得意ワザですし。リナちゃんがこんなことをやるとも思えませんし………。

 お得意ですよねぇ。まぁだから、色々できるのかな〜っとか(いうことで、納得してやって下さいませ(汗)

>>「あなたは、ここに残ればいい」
>> 星のない夜の細い月に似た、白の面。そこに浮かび上がるように、闇色の笑みが彩りを添えた。感情のない、形だけの笑みとは異なる……深い、微笑。決して人には浮かべられないだろう、闇の表情が、そこにあった。
>> その闇が、そっとリナに、手を伸べる。
>>「還れないのなら、どのみちあなたはここにいなければならない……。
>> この世界、あなたの時代とは違うここに、あなたのことだ。きっと興味をお持ちになるでしょう。時代の変遷、魔術の衰退……そして、新しい技術」
>> 柔らかな声が、優しく言葉を並べていく。
>> そして、悪戯な瞳が、くすっと笑った。
>>「そうそう……美味しい名物料理も、幾つも増えましたよ」
>
> ゼロスさんがリナちゃんにこんな提案をするのは…リナちゃんに消えて欲しくないからだわ…と妄想を爆発させるゼロリナ病患者が約一名……(^_^;)
> でもきっとわたくしだけではないと思いますわっ!
> いえ、ゼロスさんのことですから、「リナさんがいれば退屈せずに済みますし、獣王様が復活なさるまで良い暇つぶしになります」などと思っているのかもしれませんが、それだってリナちゃん以外には感じない感情でしょうし(^_^)
> あぁ素晴らしきかなゼロリナ(笑)

 はぁ、まぁ、一応この先に、ゼロリナ的シーンがあったりなかったり……。
 ……半分くらい、退屈せずに済むとか思っててくれるようですし〜。それ以外の半分では……まぁ、その辺はまだ秘密です、と(^^)

>> リナは、はっと短い息を吐いた。
>> ゆっくりと、瞳が閉じられる。
>>『そうして、あたしに、この身体を乗っ取れ、と……?』
>> ――リカの、精神を、消して……。
>> ゼロスは、ただ、にこりと微笑んだ。
>
> な…何か……アンハッピーな予感がするのですが……。
> どちらかが消えなければならないのは分かっておりますが、リナちゃんが消えてしまうのは嫌ですうぅぅぅぅ(π_π)ウルリ
> この辺の思考回路はゼロスさんと同じかもしれません(極悪) あぁでもやっぱりリナちゃんが消えてしまうのはっっ……(TヮT)
> 何だか滅茶苦茶に気になるところで終わっておりますのね…(チラリ、と上目使いで見上げつつ)
> T-HOPE様っ、早く続きが読みたいですわっ(笑)

 アンハッピーかどうかは、かなり謎ですが、ハッピーかどうかも限りなく謎です(笑)
 とりあえず、私は、リナちゃん納得いけばそれでハッピー♪ な人間ですし(^^;)
 それにリナちゃんのことですから、只じゃ消えないでしょうしねぇ……えぇ、まぁ。
 続きは、はい。もぉぉぉ少し、お待ち下さいませ。終わりまで、後少し! の……筈(−−;)

>> しくしく……いえ、一歩は確実に前進してるんですが〜。予定外に長くなっちゃいました。
>> 何か、リナちゃんとゼロス君って、お話しするのが大好きのようで(((^^;)
>> えとぉ、この後も何だかんだとこの二人がひたすら話してるだけ、な、気が……。
>
> 前進していらっしゃるなら良いではないですか♪
> 紅葉など後退したこともありますし(^_^;) 戻っては書く、また戻っては書く、というパターンではない限り許されますわ♪
> 長ければそれだけ楽しめる期間も延びるわけですから、うふふ(悪魔の微笑み)
> もちろん早く続きが読めるに越したことはありませんけれど、お忙しい中で書かれているのでしょうから、お体に無理をなさらず頑張って下さいましねっ♪
> ところでくれは…ツリーの作り方が微妙におかしいかもしれません…。
> コメントを投稿する…のボタンを押せば良いのですよねぇ????

 いえその、投稿した時点では前進ですが、書いてる時に後退を散々しましたから(汗)
 あぁぁ、それにしても時間が……そういえばスレイって、GW明けになるようなこと富士見のHPに書いてありましたけど、いつになるんでしょぉねぇ?
 ともあれ、早く書きたいです。何で終わりが見えてるのに、終わらないのか、とぉぉぉぉっても謎……やはり、リナちゃんとゼロス君がひたすら名残を惜しむように会話しまくって謎を振りまいているのがいけないのですねっっっ(笑)
 え? ツリーおかしいですか? 別に大丈夫だと思いますが……。
 ……では、え〜〜〜と、とりあえず、続きも読んでやっていただけると嬉しいです(((^^;)

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9684たどり着くために(26)T−HOPE E-mail URL4/20-14:01
記事番号9680へのコメント

 予定では、これとこの次に来るのとは一緒くたにまとまる筈だったのですが。
 何か、筈とべきだけで過ぎていってる気が……(汗)
 
******************


    たどり着くために
      ――もう一人の「私」へ――


 リカは、呆然と、自分の外で流れている会話を聞いていた。
 相変わらず、感覚としてすら、身体は動かない。リナを押しのけ、身体の主導権を握ることもできなかった。
 だが、それにしても……。
(リナが、わたしの身体を、乗っ取る……?)
 リカとしては、まさか、と思いたかった。だが、今現在の状況が続けば、乗っ取るも何も、殆どこの身体はリナの物としか言い様がない。
(……でも。
 リナ、この状況に気づいてないみたい、だし……)
 ならば、もしかしてこれは、あの魔族のせいなのだろうか?
 リカが、やっとそう考えた時、リナもまた、応じないリカの様子に何かを感じ取ったらしかった。
 瞳がきっと、鋭く目の前の青年を睨んだ。
『……あんた。あたしの中にいるあの子に、何をしたわけ?』
 ゼロスは、大げさに肩をすくめてみせた。
「何故、僕が何かしたと?」
『したんでしょ。とっととやめなさいよね!』
「い、いはいへふ……」
 ひょいと伸ばした手で、相手の頬をひねりあげ、リナはじっとりした目で相手を見やった。一方、つねられたゼロスは、といえば……。
「酷いですよ、リナさん。痛いじゃないですかっ」
 器用にも赤くした頬をさすりながら、嫌そうにそう抗議した。……ので、リナの目が、さらに冷たくなる。
『肉体に依存してない魔族のくせに、阿呆なことやってんじゃないの!
 んなこたどーでもいいから、とっととあの子にした妙なマネやめて、あたしに教えること教えなさいよっっっ』
「リナさんに同じこと言ったら、多分、只じゃ嫌だとおっしゃるでしょうに……」
『だぁって、あたしは美味しく楽しくご飯食べて毎日頑張るために、お金がどうしたって必要不可欠なんだもの!
 あんたみたいに、負の感情食べてりゃお腹一杯だなんて安上がりな奴と、一緒にしないでよね』
 いかにも当然といわんばかりの口調だが……。
(そ、それは何か、激しく問題が違うような……)
 思わず、状況も忘れてリカは、心の中で呟いてしまった。
 一方ゼロスも、同じように思ったらしい。がっくりと肩を落とした。
「まぁ確かに、僕は、リナさんのようにご飯たくさん食べて、活動エネルギーを維持する必要は、全くありませんが……」   
『あっそ? そーよね、そーでしょ。
 ってことで、“只で”! 教えてよね』
「リナさん?」
 ゼロスは、ちょこんと首をかしげてみせた。
「どう考えても、ここまでの会話で堂々巡りを引き起こしているのは、リナさんの方だと思うのですが……」
『どーゆー意味よ?』
 そんなリナの様子に、ゼロスは僅かに片目を開き、人差し指を揺らした。
「教えたからといって、あなたが本当に還れるのか……そう、言いましたよね?」
『やってみなきゃ判らないでしょってば。
 だいたい……』
「そうして、あなたがここに存在し続ける方法も、僕は、提示した」
 リナは、むっと唇を曲げ、ゼロスを睨んだ。
『あたしが何だって、人の身体乗っ取るだなんて悪霊めいたマネしなきゃなんないのよ?』
 ゼロスは、くすりと唇の端で笑った。
 ……その冷たい瞳の色に、リカは、一瞬、身を震わせる。
(何、この……わたしを不安にさせるみたいな、目は)
 冷たい夜の色が、リナの――あるいは、リカの――全身を、這う。
「あくまでとぼけるとおっしゃるんですか?
 僕は、言った筈でしょう?
 ……あなたの精神は、強い、と」
『…………』
 リナは、応えなかった。
 ゼロスの笑みが、僅かに広がる。
「あなたほど明敏な方が、気づかなかったわけはないでしょう。
 ……いったい何日、その身体の中にいらっしゃるのか知りませんが、日を重ねる毎に、あなたの支配がその身体の中で広がっていきませんでした?
 あなたはここへ自分の意志で入り、自分の意志で僕と話し、さらに……」
 楽しげに、ゼロスの瞳が両方、開いた。
「神滅斬まで、使用した」
 リナは、そのゼロスの言葉に僅かに頭を振り、両手を目の前に掲げてじっと見つめた。
『……かもね』
 リカは、その会話に、また身じろぎした。
 言っていることの意味は、半分くらいしか判らなかったが……。
(……リナの支配が、広がる……?)
 確かに思い返せば、最初、ただ口を使って喋っているだけだったリナは、次の日の朝にはリカに代わって動くことができ、そうして、今は……。
(まるで……実体と影が、入れ替わるみたいに?)
 ぞくりと身体が震えるのを感じ、リカは自分で自分を抱きしめた。けれどその動きも全て、心の中で。
 ……この身体は、動かない。
(もし……もしも、この魔族の人が、わたしを動けなくしないとしても……まさか)
 まるで、そんなリカの考えを読んだように、ゼロスが先を続けた。
「判っていらっしゃるのでしょう?
 僕が何をせずとも、やがてあなたが入っている身体の主の意識は消え、その身体はあなたの物となる」
 ――知っていたからこそ、あなたは急いでいたのですよね?
 疑問の形を取った確認に、リナは、見つめていた両の手から視線を外し、ゼロスへと向けた。
 夜の色を真っ直ぐに見て、にっと笑う。
『だからこそ、とっとと教えろって言ってるんじゃない』
 その笑みに、ゼロスはほんの僅かにだが虚をつかれたらしい。ふ、と唇を開き、また閉じた。
 夜の色を露わにしていた瞳が、ゆっくりと伏せられる。
「…………。……リナさん、おっしゃいましたよね。
 滅びへの道を転化できる可能性を、人間は有している……と」
 リナは、急に変わった話題に、首をひねった。
『言った……わよ。それがどうか?』
 その返答に、ゼロスはにぃぃぃっこりと、実に明るい笑みを浮かべてみせた。リナがそれを見て、嫌そうに僅かに椅子を後ろに引く。
『……あんたがそんな妙にのー天気な顔してると、めちゃくちゃ怖いんだけど』
「おや、怖いだなんて、心外ですねぇ。
 いえ、リナさんはさすがに前向きだなぁと、感心してるだけですのに」
『だーから、あのねっ……』
「……他人事として言うだけなら、簡単なことですよね? でも」
 苛立ったようなリナの機先を制して、ゼロスの冷ややかな声が、そう言葉をつないだ。
 リナが、唇を閉ざし、ゼロスをまじまじと見やる。
 ゼロスはその視線に、相変わらずにこにこと微笑みを向けていた。
「たとえば、あなたなら、可能性を可能性のままにとどまらせることなく、実行できるかもしれない。滅びへの道を違えることが出来るかもしれない……。
 そうは、思われませんか?」
 リナは、ゼロスの台詞に、僅かに片方の目を細めた。
 その視線に応じるように、ゼロスはかたんと椅子から立ち上がり、ゆっくりとリナへと歩み寄った。
「竜族との共存も、魔族の脅威も、全て過ぎ去った過去になってしまいましたが、あなたの中にはその記憶が、まだしっかりとあるでしょう?
 あなたなら、それを生かすことができるかもしれない……違いますか?」
 こつこつと、床が奏でる靴音とともに、ゼロスはリナの横まで歩み、ぴたりと止まった。
「それに…………」
 白い手が、ゆっくりと伸び、少女の栗色の髪を一房手に取った。
「たとえあなたが無事還れたとして、その時、残されたこの身体の少女がどうなるか……。
 一つお教えしておきますが、先程現れた方のような反応は、決して少数ではありませんよ」
『この子が……狙われるっての?』
「……それだけの理由はあると、誰もがきっと思うでしょうねぇ?」
 さらさらと、栗色の髪をまるで人形にするように梳いて、ゼロスはくすくすと笑い声をたてた。
「でも、少なくともあなたがその中にいれば、身体が滅びることはない……。
 あなたなら、おそらく、容易に退けることができるでしょう?
 それを望まないとおっしゃるなら、あなたがここへ残って下さるのなら、僕が彼らを止めてもよろしいのですよ?」
 ぎし、と、ゼロスが手をついた椅子の背もたれが、軋んだ。
 さらりと揺れるしなやかな闇の色の髪が、少女の白い頬に、僅かに触れた。試すように、冷たい指が、一瞬、少女の瞳の側を滑り、また髪を梳く。
 顔を動かせばぶつかるほど側で、柔らかな笑みが浮かべられている。
 リナは、空気を震わせるか震わせないか、ぎりぎりの、微かな吐息をこぼした。
『何のために、そんな馬鹿なマネ?』
「……あなたにここにいて頂きたいから」
 甘く、それでいて深みのある声音が、穏やかに、かつ真摯に囁きかけた。
 ふと目を上げれば、夜色の瞳が瞬きもせずに、リナを見つめていた。
「あなたに、ずっと……ずぅっとここに、いてほしい。
 …………この返答では、満足していただけませんか?」
 そっと、ひんやりした手のひらがリナの頬をなぞり、優しく包み込んだ。
「だから、リナさん……」
 震えるように微かな声音が、人間であれば吐息が触れるほど近くで、紡がれた。
 そして……。
 ぱんっ。
『……はい。そこまで!』
「…………。
 ……リナさん?」
 何処かきょとんとした顔で、ゼロスは、にっこり笑って自分の頬を両手ではたいた少女を見つめた。
 その、見つめられたリナの方は、といえば……。
『はいはいはい。手を放しましょーねぇ。
 ……ほらほら』
 向かい合う相手の頬をひっぱたいた手を引くと、自分の頬に当てられていたゼロスの手をつかんで引き剥がした。
 そして、その手をつかんだまま、
『あーんたねぇ。
 こーゆー色気芝居やらかすなら、相手選びなさいよね』
 ちらりと呆れたような視線をゼロスに投げると、ほいと放り出すようにゼロスの手を放し、背もたれに体重をかけた。きし、と、椅子が軋む。
 その姿勢で、手を頭の後ろで組むと、
『まぁ、随分と堂に入ってたのは認めるけど……。
 あんたこんなん、何処で勉強したの?』
 見上げる視線で、笑みを浮かべながら言ってくる少女に、ゼロスは、僅かに苦笑した。
「それは、まぁ……長く生きていれば、それなりに色々とありますしね」
『あっそ。亀の甲より年の功って言うしねー。……ま、魔族の功っつーのも変な感じだけど。
 ……って、あ、それあたしの!』
「まぁまぁ……。
 ちょぉっと、気が抜けちゃいましたよ。せっかく気分出してみたんですけどねぇ」
 と、ゼロスは、リナへと寄せていた顔を引き、テーブルの端にちょんと腰かけてリナの茶器を手に持っていた。
『だっから、相手見ろっつの。
 そしてそれはあたしのだーっっっ』
「間接キスくらい、許して下さっていいじゃないですか」
『ぜぇぇぇったい! 嫌っっっ!!』
 頬を真っ赤にして怒鳴る少女に、ゼロスは、やれやれと言わんばかりに、僅かに肩をすくめてみせた。
「リナさんは、本当に、予想を外して下さる方ですね」
『あんたは、相変わらず企むのばっかり好きよね』
「……何やら、とっても誤解があるような気がするのですが……」
 おや? と、驚いたように眉を上げるゼロスを見て、リナはまた、嫌そうな顔になった。
『しっかも、とぼけるのお得意ときてるし。ヤな奴ーっっっ』
「引っかかって下さらないリナさんに言われても、ねぇ……」
『はいはいはいっ』
 それこそ、いい加減にしろと言外にこめて、リナはぱんっと手を打ち鳴らした。
 そして、すらりと立ち上がる。そうすると、視線が、テーブルに座っているゼロスと真っ直ぐにぶつかった。
『……あたしのカードは、あんたが思ってる程、少なくないのよ』
 ふと、ゼロスは笑みを消した。
 リナは、ただ、真剣な表情で、それに向き合っていた。まるで……ただの少女にも見える、幼い姿で。
『“だから”、あたしは帰るわ』
「ですが…………」
『混沌へだろうが、何処へだろうが、関係ない。
 あたしが本来あるべき場所へ、あたしが本来するべきことしに、帰るの。
 ……だって、ね』
 リナは、つんと顎をあげ、頬に笑みを浮かべた。
 まるで、幼い少女が気取っているようにも見える、愛らしい様子。けれど、瞳だけがそれを裏切っていた。
『……あたしのゴールは、ここにはないわ』
「ゴール……ですか?」
『そぉ。
 あたしの行く場所、たどり着く場所。
 ……それを、目指せないなら、何処へ行こうとどれだけ生きてようと、同じことよ』
 そう言い切ると、リナは、自分の両の手をゼロスの前に曝すように挙げた。
『あたしは、このあたしの両手でつかめる未来をつかみに、帰るの。
 ……だから、この時代には残らない。
 この時代の未来は、この時代の人間がつかめばいいわ。手や力が足りずに、取りこぼすなら、それはそれだけのことよ』
 ――たとえ、他人事だから勝手なことが言えるのだと、非難されようがどうでもいい。
 リナは、最初にゼロスが目にした時から微塵も変わりない、生気と強気に溢れた笑みを鮮やかに浮かべてみせた。
『だって、あたしは、あたしの選んだ道を、あたしの持ってる力で歩くんだもの。
 ……それ以外のことまで、責任なんて持ってやれないわ』
(リナ…………)
 突き放すようにも聞こえる響き。
 けれどリカは、ゼロスの瞳の中に映りこんだリナの――自分の身体では決して浮かべられなかっただろう――優しい、それでいて何処か哀しげな笑みを、見た。
 たとえば、手を伸ばしても掬いとれず、消えていく何かを見るような……。
 ――消えていくのは、誰だろう……?
 リカは、一瞬、そんなことを頭の片隅で考えていた。
「責任、ですか……?」
『……たとえば…………。
 ……ルークは……ルークのあの選択は、あたしには到底認められないけど、でも、その選択自体をどうこう言う気は、もうないわ。
 ただ、ルークの選択であたしの未来が狭められるから、どうしたってぶつからざるを得なかった。
 それだけよ』
 ――幕を引きたいというのは、単なるあたしの我が儘だし。
 くすりと笑って、リナはそう言い、肩をすくめた。
『そして、今あたしが借り住まいしてるこの身体の、本来の持ち主であるこの子の未来も、同じこと』
「たとえ、この後魔族に狙われるとしても?」
 ゼロスが、何処か乾いた声で、そう問うた。
 が、リナはそれに視線を向けさえせず、小さく頷いた。
『そぉ、よ。
 たとえそうだとしたって、あたしが残って身体だけ残して、何になるわけ?
 それは、この子が行くべき未来じゃない……そうでしょう?』
 ……たとえ、その行く先が酷なものだとしても。
 静かなその声に、ゼロスの微かな溜息が重なった。
「結局あなたは、信じてらっしゃるわけですね。
 ……いわゆる、“仲間”と呼べるのだろう、関係を結んだ相手を」
『仲間……ね』
(…………仲間?)
 ゼロスの言葉に、リカは、首をかしげた。
 リナが、柔らかな声で呼ぶ、その関係。それに、自分は認められ得るのだろうか?
(わたしは、何も、出来ないけど……)
 ――でも。
『仲間、か……そっか。そうよね』
 くすくす笑いながら、リナは、ちょこんと首をかしげた。
『そうね。仲間は信じるものだわ……。
 一時、背中を預けられるほどに、ね』
(リナ……)
 リナは、トン、と自分の胸を、小さく叩いた。
『だから、あたしは、信じてるわ。……ルークを。
 そして……この子を』
(……信じて、る? わたしを……?)
 ――それは、とても、とても優しい感情のように、響いた。
 リカは、届かないのを承知で、そっと口を開いた。ただ、リナに届けたい、それだけで。
(…………リナ)

*******************

 とゆーことで、ひたすらまだ続いてしまうのが哀しい今日この頃です(;;)
 あぁぁ、何で終わらないのかしら〜。いやでも、あと少し、の、筈。
 なので、お気が向かれましたら、また読んでいただけると嬉しいです(^^)

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9699たどり着くために(27)T−HOPE E-mail URL4/21-09:19
記事番号9684へのコメント

 一応、まだ続いてます。えぇ、このまま終わらせたら、ちょっと謎多すぎ……ます、し。
 いえ、私の書き方に問題があるんですがね(笑)

********************


     たどり着くために
       ――もう一人の「私」へ――


「……リ、ナ……。
 …………っ!?」
 不意に出た自分の声に、リカは、慌てたように瞬いた。
 リナもまた、驚いたように口元へと手を当てていた。
『リカ!? あんた……』
「……わ、わたし……え?
 元に、戻った……?」
「…………やれやれ……」
 まるで一人芝居のようにばたばたする二人を、困ったように笑いながら、ゼロスが眺めていた。
『ゼロス? あんた……』
「無駄と判っていることをいつまでも続けるほど、僕は暇じゃありませんのでね」
 茶器を片手に笑っている青年姿の魔族に、リナは、にっと笑いかけた。
『あんたのそーゆーとこは、ある意味信用してるわよ、あたしは』
「それはどうも……」
 優雅に一礼すると、ゼロスはまた、トン、とテーブルから下り、リナに近づいた。
「で。やっぱりあなたは、お還りになる、と……?」
『何回も、そう言ったでしょ。
 たとえ、何が起こったかって記憶を取り戻しても帰れないとしたって、諦めないわよ。
 あんたが知らないからって、方法がないとは限らないんだから』
「僕は別に、知らないとはいってませんよ?」
 にっこりと笑いながら、ゼロスはそう言い切った。
(…………え?)
『………………は?』
 リカとリナは、同時に、そう呟いた。
 リナが、眉を寄せ、ずいとゼロスに詰め寄る。
『今、何て言った?』
 ゼロスは、軽く人差し指をリナの目の前で揺らし、
「僕は、“僕の知らない方法”があるかもしれないと言ったわけで、僕の知っている方法がないとは、言ってませんよね?」
(そ、そーゆーもんなの?)
『…………あんたのそーゆーとこは、あたし、ものっっっ凄く信用ならないと思うわね、やっぱり』
 額に手を当てて嘆息しながら、リナはしみじみした声でそう呟いた。
「そうですか?」
 ゼロスは、そんなリナの様子を見ながら、にこにこと楽しそうに微笑んでいた。
 脱力していたリナは、もう一つ大きく息をつくと、気分を変えるように頭を振り、ゼロスを見上げるように睨んだ。
『で? あんたの知ってる方法って何?
 これで、記憶取り戻すことですとか言ったら……』
「その通りですけど」
『…………。…………あ〜ん〜た〜はぁぁぁ、もぉぉぉっっっ!
 ……判った、もぉいいから、とっとと教えなさい、何があったのか!
 それでチャラにしたげるからっ!』
(リ、リナちょっと、落ち着いて……)
 だんだんだんっ、と床を蹴り飛ばして怒りを何とか放出すると、リナは、これ以上やっていられるかと言わんばかりの表情で、そう叫んだ。
(あ、遊んでるんだか何なんだか……)
 肩で息をつくリナの様子を、自分の身体にも関わらず観察するように眺めながら、リカはしみじみと呟いた。
<こーゆー奴なのよっ。こいつはっっっ!>
 リナがそれを聞きとがめたらしく、いかにも嫌そうな声でそう、こちらにも叫んでくる。
(……リナも、何だかんだ言って、付き合いいいと思うんだけど……)
<思いっっっきり、気のせいよ、それわ!>
(そぉかなぁ…………)
 実にぴったり息があっているような気もするのだが、そういうとリナの怒りがさらにレベルアップしそうで、リカはあえて口を閉ざした。
 一方ゼロスは、そんなリナの葛藤というか、内部でのやり取りが聞こえていたわけではないだろうが、やはり楽しそうに息を切らすリナを眺めていた。
「リナさん、記憶戻したいですか?」
『……戻したいわよ、言ってるでしょってだーかーらっっっ!
 …………。……何、してんの?』
 呑気なゼロスの台詞に、続きのように思いきり叫んだリナは、いきなりぴたりとテンションを下げ、じとりとした目で、自分の頬に懲りずに片手を添えてきたゼロスを睨んだ。
『……確か、色仕掛けは諦めたんじゃなかったかしら〜?』
「あぁ、一応、諦めましたよ?
 これはまた、別物です」
『…………別物?』
 何やら疑わしそうな顔をしながら、とりあえずその言葉にリナは、ゼロスの手をはねのけようと挙げた手を、もう一度下ろした。
 ゼロスはその様子に微かに笑みを広げると、僅かに顔の距離を詰めた。
「記憶、戻したいんですよね?」
『……。
 ……ちょっと、まさか、えぇと……』
「動かないで下さいね?」
 にぃぃぃっこりと笑みを浮かべたまま、また、ゼロスはリナへと顔を寄せた。
 ……ので、思わずリナは、じりと一歩後ずさる。
「動かないで下さいって、言ったじゃないですか」
 途端、ゼロスが不満そうな顔で手を伸ばす。長い指が、あっさりとリナの肩を捕まえてしまった。
 けれど、リナにしてみれば、動くなと言われて動かずに澄むような事態でもなく……。
『だ、だからちょっと待ちなさいよ。
 この身体ってば、ほら、あたしのじゃないわけだし……っ』
<リカも嫌よね? ね!?>
(だから、いきなり振られても……)
 リカは、困惑したように言い返した。
 それは勿論、この事態は、リカとしても有り難くはない。でも……。
(その……言うとおりにしないと、リナの記憶、戻らないんでしょ?)
<……う゛っ>
「何やら、困ってらっしゃるようですが……」
 くすくすと、リナの様子を眺めていたゼロスは笑うと、ふと片方の目を細めた。
「……どうも、僕は少々早まったみたいですね」
『何が…………。
 ……え!? リカ!?』
(ちょ……またっ!?)
 またしても、自分の動きが止められたのを悟り、リカは思いきり叫んだ。
 が、またしても相手を見失って驚いているらしいリナに届いた様子は、ない。
『ゼロス!? どういうつもり?』
「だから早まったかな、と。
 リナさんが大人しくして下さったその後になら、ちゃんと戻して差し上げますって」
『お、大人しくって……』
「はいはいはい。
 いいからじっとしていて下さいね」
 まだ何か言おうとしたリナをあっさりいなして、ゼロスはそのまま手を伸ばした。
 長い栗色の髪に指を絡ませ、静かに唇を重ねる。
『…………っっ!?』
 リナは、近づいてきた夜色の瞳に、反射的に目を伏せてしまった。
 僅かに髪が引かれ、白い喉がのけぞって露わになる。
『…………んっ』
 不意に柔らかな拘束から解き放され、リナは一瞬、眩暈を感じた。
<………………>
(リナ!?)
 約束通り、こちらも動けるようになったらしいリカが、リナに呼びかける。けれど、リナはまだ、目を閉ざしたままにしていた。
「……思い出したでしょう?」
『…………まぁね。礼でも言うべき?』
「ちょぉっと余分な要素付け加えて、楽しませていただきましたから、構いませんよ?」
『……あんたねぇぇぇ』
 妙にのほほんとしたゼロスの台詞で、こんなことしなくても記憶は戻せたらしいと悟ったが、さすがのリナも、この状況で怒りを爆発させるだけの余剰エネルギーは、なかった。
 ただ、しみじみと溜息をつく。
『ったく、何考えてるんだか……』
 くすりと、ゼロスがまだ至近距離のまま、微笑んだのを感じた。
「……ねぇ、リナさん?」
『何よ?』
「先程僕が言った、“あなたにここにとどまってほしい”という台詞。
 ……半分くらい本気だと言ったら、どうします?」
『………………』
 リナは、ちらりと横目でゼロスを眺めて、またぷいとそっぽを向いた。
『あーそぉ。……って、答える』
「はぁ、そうですか」
『どーせ、あたしがいると騒ぎが絶えなくて退屈せずに済むってなトコでしょ、理由としては?』
 疑問形を取っていながら、殆ど決め付けているようなリナの台詞に、ゼロスは淡く微笑んだ。
 その一瞬、リナの中で話の流れを眺めていたリカは、今まで笑みを作っていてもまるで溶けなかった魔族の瞳の氷が、僅かに緩んだのを見た。柔らかく、何処か優しく。
 けれどリナは、それには気づかなかったようだった。
「否定はしませんよ?」
『だから、あーそぉ、なの』
「ほらだって、リナさんほど生き生きと厄介事に首突っ込んで下さる方って、そうそういないじゃないですか」
 その台詞に、リナは、むぅっと唇をとがらせた。
『別にあたしだってねぇ、好きで厄介事に首突っ込んでるわけじゃないわよ。
 厄介事からあたしに近寄ってくるの!』
(……それって、いわゆるトラブル・メイカーってやつの条件じゃ……)
 などと思ったが、ともあれリナの爆発阻止のため、リカはそれ以上は沈黙を守った。
 が、リカのその思いも、リナにはしっかり伝わってしまったらしい。ますます不機嫌そうな色が、強くなった。
『あたしはただ、あたしらしく毎日楽しんでるだけなんだから!』
 実にリナらしく響くその台詞に、ゼロスは微笑んだまま、一つ頷いた。
「リナさんなら、そうでしょうね。
 だからこそ、言いたかったわけです」
『何を?』
 リナは、それを告げるゼロスの言葉を待つように、微かに小首をかしげた。
 ゼロスの笑みが、僅かに揺れた。
「……“とどまれ。お前はいかにも美しい”……」
 リナは、一つ瞬きをして、ゼロスを見、もう一度瞬いた。
『……それって、どっちかっていうとあたしの台詞だと思うんだけど』
「リナさん、僕の誘惑に引っかかって下さらなかったじゃないですか。
 今更、救済の台詞を紡ぐ必要が、何処にあるんですか?」
 遙か昔に存在した、“神”を題材にした一小説を戯れに持ち出して、ゼロスは肩をすくめた。己が紡いだその台詞を口にしない限り、悪魔に望みを叶えさせられるという契約を結んだ、一人の老人の話を、今に僅かになぞらえるように。
 リナが、ゼロスを真似るようにうっすらと笑う。
『あんたは、あの話の悪魔みたいに、天へ召されちゃうあたしを追いかけたりなんか、しないでしょーに』
「その代わり、天の御使いに見惚れたりもしないわけですよね。
 僕、リナさん一筋ですから」
『……勝手に言ってなさい』
 ひらひらと、今度こそ呆れたように片手を振って、リナはふんと小さく笑った。
『あたしはそろそろ行くからね』
(行くって……!?)
 あっさりと言われた台詞に、リカはびくっとした。
 けれどゼロスの方もまた、随分とあっさりした調子で、
「おや、もうですか」
『どうせ、アッチじゃ厄介なことになってるんだろうから……って、あんたに言ったって今更か』
「僕にとっては、もう、終わった過去ですからね」
『そーでしょうね。
 ま、油断大敵、世の中何が起こるか判んないんだから、注意して精々長生きすんのね』 
 その台詞に、何故か一瞬ゼロスは目を見張ったようだった。
 夜の色が、また露わになり、けれどすぐ、笑みに紛らわされた。
「…………。
 ……その台詞を聞くのは、これで2度目ですね」
 リナが、きょとんと首をかしげた。
 が、ゼロスは、それ以上の追求を拒むように、小さく頭を振った。
「ちゃんと、戻れますか? リナさん」
『ここに引っかかってる“錨”より、記憶取り戻したことで結ばれる本来の時間の方が、影響力高いからね』
「……“錨”、ですか……」
 繰り返すゼロスの言葉に、リナは、唇を僅かに曲げた。
『言ったでしょ。カードは少なくない、と。
 ……何であたしがこの世界に引っかかったのか、それを考えれば判ることだもの』
「……同じ、女性。
 類似する名前。
 …………それから、容姿」
『それから……』
 数え上げるように指を折るゼロスに、かぶせるように、リナが続けた。
『同種の、力』
 リナとゼロスの視線が、一瞬、交わる。
『手出しするなっつったって、あんただから、するときゃするんでしょうね』
「でも、あなたは還るのでしょう?」
『帰るわよ。
 ……でなきゃ、意味がないもの』
 不安や躊躇い、迷いといったもの全てを断ち切るように、それでいて軽くあっさりと、リナは言い切った。
 ゼロスが、それ以上何を続けることなく、微笑んだ。
『あたしは、あたしのゴールまで歩くの。
 ……時々は、走るけどね』
「そうでしょうね」
『で、リカが、リカのゴールまで歩ければいいなぁって、思うの』
(……え? わたし?)
 リナとゼロスの間にかわされる、意味ありげな会話の内容がつかめず、また傍観していたリカは、いきなりのリナの台詞に、ひっくり返った声で応じた。
 ゼロスが、笑んだまま、それに続けた。
「それを多分、人は、“願ってる”……あるいは、“信じてる”と、言うんじゃありませんか?」
(……“信じてる”? リナが、わたしを?)
 先程も、言われた言葉だった。その時と同じように、何処か胸が痛んで、でも、暖かい。
 リカは、ほっこりとしたそれを抱きしめるように、リナへと微笑みを向けた。……たとえばそれが、相手には映らないとしても。
 リカには何故か、リナも微笑んでいるのが見えたような気がした。
『…………。そうね。
 信じてるわよ、リカを』
 ――だから。
 と、その言葉は、まるで囁くように、けれどはっきりと、リカの耳には届いた。
<諦めない。……絶対…………もう一人のあたしに、恥じないように…………>
(……リナ!?)
「リ…………ナ…………?」
 返る声は、ない。
「………………リナ」
 音にして、何度も呼ぶ。
 今までは、明るい声が、何かを吹き飛ばすような勢いで、それに応じていたのに。
 ……返る声は、やはり、ない。
「帰ったんだ…………帰れ、たんだ……?」
 そうして、自分を抱きしめるようにしてリカは、今まで“ここ”にいた、確かにいた、鮮やかな少女の姿が消えたことを、確かめていた……。

****************
 ゼロス君が何考えてるんだか、判らないお話……いえ、半分嫌がらせで遊んでるだけですが。
 ゼロリナというほどの執着があるかは、謎。
 とりあえず、言わせたかった台詞を言わせられたので、いいのですが……。
 ちなみに、「とどまれ、お前はいかにも美しい」はゲーテの『ファウスト』です。御存知の方は御存知かな……(^^;)
 悪魔のメフィストフェレスさんが何か楽しいので、お暇なら読んでみるのも一興かと……って、読み方として大きく間違った読み方なのは、承知してるんですけどね(((^^;)
 書きたかったのが、誘惑者としてのゼロス君だったので……重ねてみました。
 ファウスト博士同様、リナちゃんをちょい揺らしてみて……でもリナちゃんだから、絶対、人生やり直しなんて頷かないだろうなぁ、と。
 …………ところで、まっっったく覚えている方いらっしゃらないとは思いますが、以前出てきたレッサーデーモンが黒犬だったのは、この話「ファウスト」に僅かに引っかけてるからだったりします……まぁ、全然意味ない話ですけど〜(笑)
 あぁ、そんなことより、まとめに向かって話をも少し進行させなくては〜(汗)
 ……次回か次々回で、やっと、リナちゃんが記憶失うその際に(というかその後に、の方ですが)何があって、第二次降魔戦争がどうなったのかとか、書きたい、の、ですが……。
 はうぅぅ……何かミリーナとルークがやっぱり可哀想になる気も……(汗)
 すみません、お気が向かれましたら、読んでやって下さいませ(^^;) 

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9710たどり着くために(28)T−HOPE E-mail URL4/22-00:24
記事番号9699へのコメント

 ……う〜ぁ、短くなってしまいました。いえ、キリが悪いんです、続きをくっつけちゃうと。
 ということで、またもーちょい長引くのでしょうか……(遠い目)
 すみません。ほんっっっとぉぉぉぉにお気が長くて寛容な方、いらっしゃったら読んでやって下さい(^^;)

******************


     たどり着くために
       ――もう一人の「私」へ――


 さわさわと、風が吹いていた。
 それを感じ取るように顔を僅かに上げると、ふと強く吹き過ぎて、女は、手にした花が零れないかと、また、視線を手の中に落とした。
 さくさくと、足元で草の鳴る音がする。
 相も変わらず、開発は進められている。けれど、このあたりだけは、いつも、何度来ても、変わらない。
 変えない原因が、ここに、ある。

 さく。

 また一歩踏み出して、女は、ぴたりと足を止めた。
「お久しぶり」
 まるで親しい友に対するように気負いもなく、楽しげに、そう告げた。
「また、来たわよ」
 そう言うと、スーツの裾が汚れるのも構わず、そっと、膝をついて、それに手を伸べた。

 ――そこにあるのは、たった一つの、苔蒸した石。

 刻まれた生没年も、捧げられた言葉も……名すら、重ねられる風雨に溶け消えて、久しい。
 けれど女には、そこに眠るのが誰か、疑いようもなく判っていた。
 ふ、と、紅をぬった唇をほころばせる。
「4年ぶりよね、リナ」
 そう言うと、リカは、そっと手に抱えていた花束を、捧げるように地面へと下ろした。

 目を閉じれば、昨日のことのように思い出せるのは何故なのか。常識とはかけ離れた状況へと自分を引っ張り込んだ、一人の少女の意識。
 それとの共生を行った、たった3日間の記憶。
 そう、たった3日。……けれど、それまでの世界を変えるには十分だった、3日。
 リカは小さく笑った。
「……とりあえず、まだ、“世は全て事も無し”よ。
 まだ、ね」
 ふっと目を開く。そうして、そっと手を伸ばし、石に触れた。
「あなたが何を恐れ、何を望んだのか。
 …………本当は、わたしにはまだ判ってないんだろうけど……」
 優しい手つきで、泥を拭うように石を撫でる。

「夢をね、見たよ。
 ……見せてもらったの方が、正確かな?」

 ――一人の少女が世界を見に旅に出た、その先の、物語。

 ここの存在を知り、訪れるそのたびに、先へ先へと促される。まるで……その生を、追うように。

 ……目覚める赤い魔。
 ……影に潜み嗤う死者の闇。
 ……立ちふさがる強大な澱み。
 そうして……再び目覚めてしまった、赤い、魔。

「…………」
 リカは、そぉっと溜息をついた。
「本当は、ただの夢ならいいと思ったの。思ったけど…………」
 ――でも、あれは確かに、自分の知る“リナ”だったから。
 そう、囁くように呟いて、リカはそっと、その夢を追うように、瞳を閉ざした。


******************
 とゆーことで、次回は今度こそ、リナちゃんがあの後どうなったのかとかその辺のお話が書ける筈。
 とはいえ、やっぱり不幸なのはミリーナとルークかも……(((^^;)
 そんなんでもよいとおっしゃって下さる奇特な方。是非、読んでやって下さいませ〜。

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9713たどり着くために(29)T−HOPE E-mail URL4/22-08:22
記事番号9710へのコメント

 はうぅぅぅ……と、とりあえずこれで、リナちゃんに関する謎は殆ど吐き出した、筈、です。
 リカ絡みのがちょぉっと残ってますが〜……それは、次回。……で、終わるといいな〜(笑)
 あ、そしたら、切りよく30で終わりだ。……って、やっぱり長すぎですね(汗)

***********************


      たどり着くために
        ――もう一人の「私」へ――


「せぇぇぇぇっっっっ!」
 金の長い髪を靡かせて、剣士が駆けていく。その後ろから、フォローするように、幾つもの青く光る呪文が、白いフードをかぶった、青黒い肌の青年から、放たれる。
 それを制するように、赤い闇が、動いた。
 片手に持った剣の形をしたモノから、不可視の力が打ち出された。
「…………っぐぅっっ」
 押し殺したような声で、衝撃波を剣ではじき返しつつ、弾ききれない余波を受けて、剣士が後ろに後退する。
 闇はなお、それを追うように腕を動かしたが……。
「………………」
 横合いから、赤い閃光が走り、それを妨げた。
 それを受け、闇は、剣士等を牽制するように腕を動かしつつ、閃光を放った人間へと振り返った。
「…………」
 赤く光る剣を構えた、一人の女性。何処か……誰かに似ている。
 けれど、放つ空気は人のものではない。赤い魔と同じ……それでいて、相反する気配だった。
「……赤の竜神の騎士か……」
 低い男の声で、魔は、言い放った。
 が、女は答えない。ただ、僅かに剣の構えを変えた。
 男の姿を持った魔は、ふんと、小さく嗤った。
 黒い髪、皮肉げな笑みを浮かべた表情。いずれも、一見すれば、リナが……そうして彼女の相棒であるガウリィが以前見た、男とまるで変わりない。
 けれど、見通すことが出来ない程の深みを抱いたその赤い瞳だけが、以前の男とその場に存在するモノとの差異を、決定的にしていた。
「なかなか、面白そうだな。
 ……としても、だ。存分に楽しむには、他の羽虫等が、邪魔だ」
 そう、一瞬男は、赤の竜神の騎士と呼ばれた女から視線を離し、その場にいた者達をぐるりと見回した。
 伝説のと呼ばれる剣を構え、こちらを睨む金髪の剣士。口の中で呪文を唱えつつ、隙をうかがっている白いフードのキメラの青年。
 そうして、倒れ伏した栗色の髪の少女を庇うように、なお、復活の呪文を重ねる長短の違う黒髪の、二人の巫女。
 最後に……こちらに、ただ静かな視線を投げている、銀の髪の、女。
 全てを映し、魔は小さく嗤うと、後ろに控えた、配下の寄こした使いに声をかけた。
「任せる。好きにしろ」
「よろしいのですか?」
 妙に人間めいた、韜晦した笑みを浮かべたまま、漆黒の法衣をまとった神官は、そう尋ねてきた。それに対し、魔は鷹揚に頷く。
「竜族すら蹴散らすお前にとっては、些かつまらぬ仕事だろうが……」
「いえ、そんなことは」
 ……――この方達は、竜族よりあるいはもっと、面白いかもしれませんし。
 小さな笑みを浮かべたまま、そう言う神官に、僅かに魔は首をかしげたが、あえてその言葉は聞き流した。
「ならば、任せよう。…………我は……」
 争いを、そうしてその果てに来る破壊と全ての無を好む真紅の瞳が、僅かに細められた。
「……かつて争いし神族の名残を、完膚無きまでに混沌へ帰還せしめる……」
「………………」
 それを聞いた女は、さして戦意を高めるでもなく、ただ油断のない瞳で、相手を見返した。
 その様子を見やって、神官は、ひょいと肩をすくめて残りの人間に向き直った。
「……とのことなんで、すみませんが、どうぞ大人しくやられちゃって下さい」
「…………ゼロス、貴様っ!」
 白いフードの青年が、憎々しげな視線で、そう叫んだ。
「いいじゃないですか。
 どうせ、こちらの魔王様と北の魔王様。お二方同時に目覚められた以上、この世界は滅びへと還るのですから。
 あなた方の滅びが多少それに先んじたとしたって、さして問題はないでしょう?」
「大ありだな」
 剣士が、飄々とした中にも鋭いものを潜ませて、そう応じた。
 肩までの黒い髪をした少女が、それを聞いて、大きく頷き、握り拳で立ち上がった。
「そうです! そんな、全てを諦めて自棄になるようなまねは、正義じゃありません!
 たとえ魔王が2体目覚めたとしても、愛と正義と希望があれば!」
「……あんまりあっても、変わらないと思うんですけどねぇ……」
 その台詞に、やれやれと肩をすくめて見せながら、神官は静かに錫杖を掲げた。
「ま、抵抗なさりたいというなら、それはそれでいいですけど」
 白い頬に、楽しげな笑みが浮かんでいる。
「…………結果は、変わりませんし」
 そうして、力が放たれようとした、その瞬間。
「――獣王牙操弾!!」
「…………っ」
 いきなり放たれた光の帯が、僅かに体を動かした神官をかすめ、また、角度を変えて迫った。
「……おやおや」
 錫杖を掲げることで、当たる寸前その光を消し去った神官は、小さく溜息をついて、視線を握り拳で仁王立ちする黒髪の少女の後ろへと、投げた。
「お目覚めですか、リナさん?」
「まぁね。
 ……誰だかのせいで、目覚め、最悪っつーか激悪っつーか、だけどっ」
 長い黒髪の女性に僅かにもたれかかるように身体を起こし、先程まで倒れていた筈の栗色の髪の少女が、戦意に燃える瞳を真っ直ぐに、神官へと向けていた。
「リナ!」
「リナさん!」
 仲間が、喜色の滲む声で、戦線復帰した少女へと笑顔を向ける。
 それに応えるように、少女も不敵な笑顔を幼いとさえいえる顔へ浮かべ、静かに魔力を溜めるように、両手を動かした。
「やぁってらんないわよ。
 せっせと妙なのと交渉して帰ってきてみりゃ、見るのは結局同じ顔なんだもの」
「…………?
 どういうことですか?」
「そのうち判るわよ」
 あっさり答えると、リナは、間合いを計るように鋭い目になり、ざっとその場を眺め渡した。
 他の仲間も、戦意を高めるようにそれぞれが、呪文や剣で、相手の隙をうかがった。
 そのすぐ脇では、魔と赤い剣を持つ女が、相手の出方をはかるように、静かに立っている。
 ……その、危うい、均衡。
 それが…………。
「…………っ!?」
 最初にそれに気づいたのは、誰だったのか。向ける驚愕の視線がすぐに束になり、そうして、言葉が発せられた。
「ミリーナ!?」
 叫んだのは、リナだったか、他の誰かだったか。
 けれど、その言葉などまるで耳に入っていない様子で、それまでただ立ちつくしていた銀の髪のすらりとした肢体は、真っ直ぐに、まるで糸に引かれるかのように真っ直ぐに、前へと歩み出していた。
「ミリーナ! 駄目よ!」
 今度叫んだのは、リナだった。
 けれど、ミリーナ――あるいは、そう呼ばれる存在のコピー――は、止まらなかった。
 ただ、目の前のただ一人を映したまま、静かに歩を進める。
「…………」
 とどめようと、僅かに手を挙げた赤の竜神の騎士が、その瞳の中に何を見たのか。
 ただ黙って、触れもせず手を下ろした。
「…………っ!?」
 静かな静かな視線。それを真っ直ぐに受けて、初めて魔が、はっきりと動いた。
「何が………………っ」
 僅かに動揺が現れた声音。赤の瞳の深い闇が、僅かに揺らいだ。
「…………いったい……っ」
 手のひらが、かざされる。呪文すら紡ぐことなく生み出された強大な光が、即座に打ち出され……。
「……っ、ミリーナ……っ?」
「………………」
 銀の髪の女の白い、血の気の失せた滑らかな頬に、一筋、赤い線を描いただけで、後ろへと破壊の力を放つことなく飛び去っていった。
「………………まさか……」
 何に気づいたのか、神官が、僅かに眉をひそめる。
 それすらも、もはや互いの視線におさめることなく、魔と女は、向かい合っていた。
「……それ程に、滅びを求めるか?」
 揶揄するような響きのある、魔の声。
 けれど……人の目では視認できないほど僅かに、その頬が、一瞬だけ、震えた。
 銀の髪の女は、静かに、唇を開いた。
「………………ルーク」
「…………!? 黙れ!」
 何か断ち切るように激しい声で、魔は、そう叫んだ。
 が、叫び一つで生み出された巨大な瘴気に、表情一つすら動かさず、女はまた一歩、歩を詰めた。
「ルーク……」
「もはやその男は存在しない!」
「ルーク! 聞いて!」
 魔は、かっとその真紅の闇の瞳を見開いた。
「黙れ、紛い物!」
 その手に握られた剣が、構えられる。
「去れ……っ!」
「…………ルークッッッ!」

 ……不気味に点滅する刀身が、静かに、女のしなやかな身体へと、滑り込んだ。

「……ミリーナ!?」
 リナが、叫ぶ。
 ガウリィが、アメリアが、それを受けるように走り出そうと、動いた。
 それよりも、早く。

「…………るーく」
 かすれるような小さな、本当に小さな声が、血の気を失った唇から、零れた。
「……………………」
 魔を宿した男は、何も答えない。
 ただ、己の身を剣に投げた女を、ただ、見つめていた。
「わたしは……“ミリーナ”、の……紛い物かもしれないけど……」
「…………」
 ふわりと、白い白い頬に、優しい笑みが浮かんだ。
 びくりと、男の身体が、一つ、震えた。
 女の腕が、男へと、するりと絡められる。
 そうして…………。
「ミリーナ!!」
「・・・・・・・・」
 男の耳にしか届かないほど小さく、何かを囁きかけると、そぉっと“ミリーナ”は、微笑みながら瞳を閉ざした。
「…………ミリーナッ!」
 ずるりと、支えを失ったその身体が、男が手を放した剣ごと、大地へと滑り落ちる。
 赤い雫が、ぼとぼとと落ち、広がっていった。銀の髪が濡れ、女の、穏やかな笑みを浮かべた白い頬が、汚れる。
「…………」
 それを見下ろしながら、
「………………」
 男は、僅かに、唇を開いた。
「………………何故……」
 闇に染められている筈の瞳が、静かに、閉じられた。
「……………………何故、“あいつ”の最期の言葉……知って……」
 ……その肩が、小さく震えていた。
「……紛い物の、筈……なのに…………」
 男は、僅かにうなだれた。
「……何故?」
「…………」
 それを眺めていた女は、小さな溜息を一つこぼすと、赤い光を放つ剣を片手に、小走りに男へと近づいた。
「…………っ!」
 そうして、それをかざすより、早く。
「やめていただきたいですね」
 がつっと音を立て、剣は、空間を渡り、素早く割り込んだ神官の錫杖によって、止められた。
 女は一瞬瞳を鋭くすると、僅かに歩を引き、再び身構えた。
「…………どきなさい」
「困りましたねぇ……それ、は…………っ」
「「崩霊裂!!」」
「……ちっ」
 高さの違う男女の声が重なって、一つの呪文を紡ぎあげる。
 それを、受けるより先にマントを払うようにして空間を渡り、神官は舌打ちをこぼした。
 身構えていた女は、その僅かの隙も無駄にはしない。
 一跳びに、魔との距離を詰めた。
「…………」
 神官が、それをさらに阻もうと、腕を上げた、その瞬間。
「…………神滅斬!!」
「っ!」
 反射的にあげられた錫杖が、凄まじい力の負荷に抗議するように魔力の残滓を放った。
 神官は、目の前に迫る闇の刃を錫杖でそのまま受け、拮抗するその力を受け流すようにしながら、小さく笑ってみせた。
「元気ですねぇ、もう復活なさっちゃったわけですか?」
「……そうでもないけどねっ」
 全ての母の力をその身体を通し闇の刃の形へと凝縮させた少女は、その瞳に魔力の放つ幾つもの光を映し出しながら、凛然と答えた。
「寝てたって、誰も果報なんて、持って来ちゃくれないわよっ!」
「……それはそれ、は……っ」
 一度突き離れ、また、刃と錫杖がぶつかり合う。
 まるで、少女の生命全てを燃焼するように、闇の刃は金の輝きを内包すらして、なお、その強大な力を放った。
 神官の瞳が、僅かに細められる。
「…………勝算があるとでも……」
「諦めが、悪くてねっ!」
「皆さん、そのようですね」
 いつでもこちらのフォローに回れるようにしている金髪の剣士達の姿をもその視界におさめながら、神官は、小さく笑った。
 ……その、時。
「…………っ!?」
 地鳴りとすら聞こえる凄まじい音が、その場に、轟いた。
 一瞬、誰もがその音を特定できなかった。
 ……それが、人の形をした者の口から放たれたのだとは、気づけなかった。
 赤い光を放つ剣に身を裂かれ、そこから赤い闇を放出しながら、凄まじい瘴気の奔流とともに……叫ぶ、男。
 いいや、あれは、笑っているのだろうか?
「姉ちゃん!?」
 傷を負わせると同時に浴びせられた、毒のような力を全身に被り、まるで硫酸を浴びたような様相を呈しながらなお立つ女を見て、少女が叫んだ。
 が、女はそちらを振り向かなかった。
「……あんたには、あんたの、するべき事がある筈」
 落ち着いた声は、傷口から立ちのぼるしゅうしゅういう音に僅かに途切れたが、明らかに明晰な理性の元、放たれた。
「………………」
 少女が、唇を噛みしめる。一瞬。
 そうして、顔を上げた。
「ルーク!」
 呼びかける声は、赤い闇に身を浸食され、既に失われた“仲間”へのもの。
 ……けれど。
「く……く、ふ……く……ふふ……」
「……駄目だ、リナ。もう……」
 男の瞳は、もはや、深遠なる赤い闇でも、冷たい哀しみを抱いた人間の男のものでもなかった。ただ、焦点を失い、身に抱いた魔が暴走を始めている……。
「……止めるわ」
 頭を上げ、沈痛さを漂わせる表情を敢えて戦意へと切り替えた少女は、仲間へ渇を入れるようにぴんと張りつめた声で、ただ一言、そう告げた。
「いい、みんな!?」
 少女の見回す瞳に、“仲間”達は、力強く頷いた。
 少女の白い頬に、いつもの勝ち気な笑みが浮かんだ。
 そうして、真っ直ぐに、いつもの笑みを消した神官へと視線を向けた。
「……止めてみせるわ」
 宣言するような強い視線を受け、神官は、小さく首をかしげた。
「できますか?」
 煌めく宝玉のような石をはめ込んだ呪符が、少女の腕の動きに合わせてちらちらと光をこぼした。世界を律する呪文が、途切れることなく朱をはいたような唇から紡がれる。
「諦めないからね」
 笑みを刻んだまま、紡がれた言葉。
「――神滅斬!」
「…………二度目の発動っ?」
 誰かが、少女の後ろで叫ぶ。けれど、そんな声すらも今は脳裏からしめ出し、少女は走り出した。
 迎えうつ神官の錫杖に、歪むような力が蓄えられる。
 ――間に合うか、間に合わないかの、瀬戸際。
「………………っっっっ!」
 神官の顔が、僅かに動いた。
「・・・・!!」
 誰かの叫びが聞こえる。
 赤い光と闇が、明滅するように、空間を彩った。
 ……無差別に放たれた、魔の力が、神官を襲ったのだと少女が気づくのは、もっと後。
 ……――歪みに腹を焼かれながら、闇の刃を神官に振り下ろした、その、後だった。
「な…………これ、は」
 がくりと、神官の膝が崩れる。袈裟懸けに上体を半分にされながら、それでもまだ、顔を起こし言葉を操る相手に、少女は、腹を押さえ同じく崩れ折れながら、呆れたような笑みを浮かべた。
「だから……言ったのよ。
 油断……大敵。……世の中、何が起こる、か……判んないんだから、注意、して、精々……長生きすんの、ね……って」
「長……生きって……聞いてませんよ……」
 さらさらと、消えていく下半身をまるで他人事のように眺めながら、神官は、何処か苦笑めいた声でそう応じた。
 少女が、それに相対するように、また、笑みを浮かべる。
 背後から、焦ったように駆けつける仲間達の声を、まるで今は、聞いていないように。
「…………じゃぁ……この後、聞く……のよ?」
 さらさら、さらさらと崩れていく神官は、殆ど首だけを残したその一瞬、くすりと笑って片目を閉じた。
「…………この後……ねぇ……」
 さらさらさら……。
 ……全て、塵と化したそれを見届けて。
「………………あんたには、後、ね……」
 少女は、自分の名を呼ぶ仲間の声を遠くに聞きながら、そぉっと瞳を閉じた……。

******************
 つーことで……ゼロス君とリナちゃん、両方殺しちゃいました(^^;)
 いえ、ゼロス君はご承知の通り、あっさりまた復活するんですけど〜でもってお仕事だか遊びだかしてるんですけど〜。
 ……リナちゃんは、ねぇ……。まぁ、やることやったので、彼女的には多分満足、の、筈。も少し生きたかったなと思ってもいるんでしょうが。
 で。残りの皆様。
 う〜ん、本気で、ルークとミリーナにはごめんなさい、ですね(汗)
 ルーク(というか、魔王?)はあの後、暴走途中で姉ちゃんと相打ち、でしょう。
 他の方々に関しては…………運があれば生き残ったかもしれませんね、と(^^;)
 とりあえず、暴走するあの力の側にいたとはいえ、一人か二人は生き残った筈。でないと、リナちゃんのお墓誰も作ってくれませんし〜(笑)
 ということで、本当にあとちょっと、なので……できれば読んでやって下さいませ(^^)

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9762たどり着くために(終)T−HOPE E-mail URL4/26-13:53
記事番号9713へのコメント

 ということで……タイトル通り、これで最後です。やぁぁぁっとここまで来ました〜(;;)
 ここまで読んで下さった、気の長い、お優しい方に、大感謝、なのです(笑)

****************


     たどり着くために
       ――もう一人の「私」へ――


 風が強く吹き、ざわりと足元の花々が頭を振った。
 リカは、はっと我に返り、小さく笑った。
「過去は……過去は、変えられない?」
 問いかけるように、目の前の墓標へと尋ねかける。
「うぅん、違うわね。
 そんな、運命に流されるようなあなたじゃない」
 ――望んで、変えないことを選んだ……。
 それはひどく目の前の少女らしくて、また、リカは笑った。
「今なら判る。
 きっと、あの人も、あなたが頷くなんて欠片も思ってなかった」
 脅しのようにあの時口にされた、魔族の襲撃。それを受けた覚えが、リカにはついぞなかった。
 おそらくは、あの魔族の青年が――そういう言い方をしないことは、ここ数年で学んでいたが――自分の存在を魔族内に公にしなかったがために。
 多分あれは、ただ……。
 ……また、風が吹いた。
「……――ただ、風が花を揺らすように、あなたが揺れる様を、見てみたかった……?」
 今度の問いかけは、墓標へではなく、何処か別の場所へのもののようだった。
「それは成功したの?」
 リカは、僅かに首をかしげ、またそっと墓標を撫でた。
「あの人の言葉は、あなたに意味を持っていた……?
 それとも……」
 けれど、そこまで呟いて、リカは言葉をとぎらせた。それを問う権利は、自分にはない。
 いずれにせよ、彼女の選択は既に為された。
 ……この世界でも、そうして、時の向こうでも。
「そうして、だからわたしは、ここにいる」
 リカは、毅然とした口調で、そう告げた。
 ……――だから。
 リカは、また瞳を閉じた。
 ……いつからだろう? こうして瞳を閉じるそのたびに、抑えがたい恐怖を見るようになったのは。
 胸の奥深くから、轟くような何かの咆哮を聞くようになったのは?
 ――自分の中に、何かが潜んでいると、知ったのは……。
 一瞬、リカの肩が揺れた。
 何かを振り払うように、瞳を開いた。……紅の、瞳を。
「……あなたたちの謎かけの意味を、知ったわ」
 白い顔で、それでも笑んだまま、リカは墓標に向かって語りかけた。
『錨』
 それが、あの最後の瞬間、少女の口にした言葉
 自分に向けて発せられた、そうとは判らない形での、警告。
「あなたがわたしを訪れたのは、同じ性別、類似の名前、それから容姿……」
 歌うような響きの低い声で、リカは、数え上げるように指を折った。
 が、そこで言葉を切り、ふっと瞳をまた伏せる。
「類似の容姿。
 ……栗色の髪と真紅の瞳……その故に」
 ……――紅の……。
「それから…………」
 そう、あの時あの魔族の青年も、そう、続けた。そうして答えは……。
『同種の、力』
 紅の瞳だけなら、証にはならない。還っていった少女の瞳もまた、紅。けれどそれは、神と呼ばれるモノに連なる証。
 けれど、あの時あの少女の精神を吹き飛ばしたのは、魔の力。
 紅の、巨大な、魔の力。
「たとえわたしがあなたの生まれ変わりだとしても、あの時あなたを引き留めるだけの力はなかった筈。
 それが為されたのは……」
 そうして、ああもあの魔族があなたを引き留めようとした、そのわけは。
 リカの唇が、僅かに震えた。
「……わたしの中に、いるのね。
 あの、“ルーク”という人の中に、絶望を糧に立ち上がった魔が潜んでいたように……」
 ……――赤眼の魔王。
 資料を検分するに、誰もが恐怖を持ってその名を書き記す、この世界最大の魔王。
 たとえ7分の1の欠片とはいえ、世界を混沌へと導くに足るだけの力持つ、存在。
「でも……でも、だからといって、そう簡単に顕現は、しない。出来ない……その筈よ、ね」
 白く強張った頬のまま、伏せた視線の奥で蠢く闇を振り切るように瞳を上げ、リカは真っ直ぐな視線で墓標を見やった。
「たとえば、ただの絶望では、あの“ルーク”という人が、崩れなかったように……」
 けれど、と、リカは一つ、溜息をついた。
「今までに復活した魔王の依代には、その共通点が、ある」
 おそらくは、その巨大な精神の奔流を器が受け止めきらねばならないために。
 それは。
「……強大な、魔力」
 そうして、あの時自分には、それがなかった……。
 リカは、冷静にそう判断し、また一つ溜息をついた。
「だからあの時、あの魔族の人、あなたをわたしの中へ留めようとしたのね。
 ……まぁ、駄目で元々程度のことだったんでしょうけど」
 もしかしたら、揺れるかもしれない少女を留めるために、幾つもの言葉遊びを重ねた。
 ……少女が既に、その本当の意味を見極めていると……。
「うぅん、知ってたかもね。
 ……だってリナ。あなたを相手にしてたんだもの」
 くすりと、今度は明るく墓標に笑いかけ、リカはゆっくりと空を仰いだ。
 青い……ただ青い空が、広がっている。
「あなたがわたしの中に留まったら、その魔力は元々のあなたのものよりもさらに大きく膨らみ、器の条件は満たされる。
 ……さらにいうなら、二重に重なり食らい合う精神だなんて安定を欠いたその状態は……面白いくらい、適当な状況よね」
 “何に”適当かは、リカは今度は口にしなかった。
「……全部知って、その上でただ、わたしがいつか気づくように警告を残して……あなたは、還ったのね。リナ」
 首を墓標へと戻し、リカは小さく首をかしげた。
 無論、全て自分のためにだなんて、勝手なことは言わない。
 目の前の少女は、あくまで自分の望む未来のために、そのために還った。それを、知っている。
 でも……残されたものも、ある。
 リカは、かつての記憶に重ねるように、そっと唇を開いた。
「『あたしは、あたしのゴールまで歩くの。……時々は、走るけどね』」
 凛然とした姿で放たれた、少女の言葉。
 そうして、夢で知った彼女の生は、まさにその言葉通りだったと、誰もが首肯するものだった。そして……。
 ――『で、リカが、リカのゴールまで歩ければいいなぁって、思うの』
 リカは、微笑んだ。
「諦めるわけないわ。ちゃんと自分の足で、最後まで歩く。
 ……だって、リナ、信じてくれたもの」
 ――“仲間”と、認めてくれたでしょう?
 だから。
「<諦めない。……絶対…………もう一人のあたしに、恥じないように…………>」
 ――たとえば、赤い闇の向かい合うとしても。
「……リカは外、わたしは内の戦い、か……」
 軽く肩をすくめてそう言い切ると、リカはゆっくりと立ち上がった。
 その動きの何処かに引っかかったのか、供えた筈の花が、形をくずした。
「あ……っと……」
 急いで手を伸べて、それを整えてから改めて立ち上がり、リカは苦笑した。
「あまりに浮きすぎて、花が嫌がったかなぁ」
 春、徐々に暖かくなる今の季節と、目の前の少女の潔さに似合いかと思って持ってきた、白木蓮なのだが……。
 リカは、呆れを孕んだ瞳で、墓標の周囲を見た。
「確かに、リナには、赤のが似合うかもしれないけどね。
 この中に持ち込んだって、埋もれるだけでつまらないじゃない!」
 ……さわさわと、風が吹き、墓標を覆うように咲き乱れる花々が、揺れた。
 ……――まるで、赤い波のように……。
 その場所には、ただ、ただ赤い花々が、咲き乱れていた。
 それを見、墓標へと供えられたばかりのような幾つもの小さな赤い花の束をつくづくと眺めて、リカはまた、小さく笑った。
「いったい何年分こうして花が供えられたら、こんな風に自生までしちゃうようになると思う?
 ねぇ、リナ?」
 ……応える声はなく、ただ、花々が揺れた。
 リカもただ、その音に耳を澄ますように僅かに佇んで……。
 ……そうして、踵を返した。
 ――真っ直ぐな、真紅の瞳で…………。


      ――変貌する己への心
      ――徐々に浸食する闇の意識
      ――けれど……瞳は、そらさない
      ――諦めない。たとえ最期になるとしても
 
        ――……決めたゴールに、届くまでは……


           ――……たどり着くために……――


******************
 と、いうことで、異様に長くなりました「たどり着くために」やぁぁぁっっっっと終わりました。
 何だってこんなに長くなったんだろうと、今首をひねってもまだ判りません(笑)
 とりあえず、書くべき謎解きはみんな書いちゃったので、残りは……まぁ、世の中謎があった方が楽しいよ、と(^^;)
 にしても、一番最初のこの話思いついた時は、ちゃんと主役リナちゃんでゼロリナっぽかった、の、ですが〜……。
 ……いつの間に、リカの方に行ったかな(((−−;)
 まぁ、こういう強くなる系で、リナちゃん主役に据えるのは無理だと思いますが〜(だってリナちゃん、十分毅いし。揺れることはあっても)
 リナちゃんはどっちかっていうとその鮮やかさで変える要因になる方が似合ってるし。
 ということで、多分、こーゆー話になったのでした。う〜ん、元々のファウスト原型は何処へ???(笑)
 ともあれ、ほんっっっとぉぉぉぉにここまで読んできて下さった方々、有り難うございました(^^)

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9763MonumentT−HOPE E-mail URL4/26-13:53
記事番号9762へのコメント

 これ実は、(再)なんですよね。
 何でこんなん出てきたかというと……これ書いた最初から、「たどり着くために」のラストは浮かんでいたから。
 なのに何故終わらなかったかは、最大の謎です(笑)

*********************


     Monument

 
 
 そこに墓があった
 
 いつからあるのか誰も知らない
 誰もそのことを語らない
 こけむした小さな標
 刻まれた名は風雨に溶け消えた
 
 けれどそれは墓だった
 何故なら花が手向けられる
 決して絶えることなく毎日
 時が動き人が移ろい世界が姿を変えてもずっと
 
 手向ける者を誰も知らない
 手向けられる者を誰も覚えていない
 それでも墓はそこに在り続け
 花はただ墓を彩る
 
 ――小さな紅の花が――


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9720全部、読んだと思ったらっ……(喜)庵 瑠嬌 4/22-19:10
記事番号9699へのコメント


 こんにちは、庵 瑠嬌でございますっ。
 今日ようやっと「たどり着くために」すべて読むことが出来たかな、と思っていたら、なんとラッキーまた続きが!
 今のところ(27)までしか読んでいないので、ここまでしか感想書けませんが、どうか御容赦下さい。わたくしとしては、すぐに続きが読める状況で、やたら嬉しいこと限りありません♪
 しかし、今回は美味しかったです。いろいろと伏線が明らかになっていて……。しかも、リナさんとゼロスさんの会話が多いっ(はぁと)


 「謎の占いの店」
 ……人間(じゃないですけどっ)の本質は変わらないんですのねぇ。
 や、性格が変わるほど、外界と接触する機会が多かった訳ではないでしょうから、当然といえば当然の話とはおもうのですけれど。
 でも考えてみれば、さすがゼロスさんです。このネーミングって、いっぱい応用が利きますわよね。
 「謎の読書の図書館」とか「謎のメニューの喫茶店」とか「謎の掘り出し物の古本屋さん」とか(笑)。
 それにしてもゼロスさんの占いですか……とても幸せを告げてくれそうにないと思うのは、わたくしの気のせい?

 リナさんの精神が、リカさんを乗っ取ってしまうという問題。
 あの、殺伐とした世界を身ひとつで渡ったリナさんと、平和な世界で穏やかに暮らしてきたリカさんでは、生命力からして違いそうですものねぇ。
 嗚呼、ガーガさんと支部長どん(笑)。
 でも、ここで、それを短絡的に是としないところが、リナさん凛々しいです。
 ゼロスさんの提示した現代世界を見聞することって、かなり魅力的な考えだったにちがいないでしょうに。…新名物料理とか(笑)。
 それでも、目指すのは自分のゴールだから、帰るわけですわね、「たどり着くために」。なるほど、そういうことなんですのね……。

 しかし何より楽しかったのはっ、囁きかける誘惑者ゼロスさん!……素敵ですわっ。
 色仕掛けのところも素敵で楽しくて行け行けーっ♪と盛り上がりました。また、リカさんの身体を乗っ取った場合、リナさんがこの世界で生きる場合の未来においての可能性を示唆しているところもっ……!
 あぁ、本当に誘惑者……巧みに惑わして誘導していて。なんて幸せな会話なのかしら。
 あの場面でゼロスさん、なんだか本領発揮していませんか?(笑)あの色仕掛けは、どこまで戦術でどこまで本気だったのでしょう。
 ――本気の部分があったという点では、わたくし疑いませんわ。
 ただ、あそこで素直にひっかかるようでは、やっぱり、ゼロスさん物足りなかったんじゃないかと思います。
 思った通りになかなか動かないリナさん、というのが、ゼロスさん好みだろうと。 

 リナさんの記憶を戻すときのゼロスさんの様子。
 振り回してますわよねー。引っ張って引っ張って、「その通りですけど」!。
 これぞゼロリナの醍醐味ですわ!「付き合いがいい」という、リカさんの評にわたくし深くうなずきました。
 そうっ、リナさんとゼロスさん、こういう会話を出来るお二方なのです!
 しかも、ゼロスさんの、余分な要素加えて楽しむその抜け目なさ。良いです、大歓迎ですわ、「余分な要素」!

 あるべき世界に戻ったリナさんと、ゼロスさんが、どのような会話を繰り広げるのか、魔王化したルークさんはどうなってしまうのか。かなり楽しみにしております。
 あぁ、これからすぐに読めるのだわ(うっとり)。
 それでは失礼をば……。

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9739喜んで頂けて……有り難うございます(^^;)T−HOPE E-mail URL4/23-23:02
記事番号9720へのコメント

> こんにちは、庵 瑠嬌でございますっ。
> 今日ようやっと「たどり着くために」すべて読むことが出来たかな、と思っていたら、なんとラッキーまた続きが!
> 今のところ(27)までしか読んでいないので、ここまでしか感想書けませんが、どうか御容赦下さい。わたくしとしては、すぐに続きが読める状況で、やたら嬉しいこと限りありません♪
> しかし、今回は美味しかったです。いろいろと伏線が明らかになっていて……。しかも、リナさんとゼロスさんの会話が多いっ(はぁと)

 は、はうぅぅ……あまりお喜びいただけるレベルのものでもないような(^^;)
 いえいえ、本当に、読んでいただけるだけで嬉しいですし。感想も頂けてさらに嬉しいです。有り難うございましたm(_)m
 えぇ、今回は……ねぇ。ゼロス君が今まで出られなかった恨みでも晴らすかのように、リカを押しのけひたすらリナちゃん独占(笑)
 そのせいで、よけい行数食ったような……(((−−;) 

> 「謎の占いの店」
> ……人間(じゃないですけどっ)の本質は変わらないんですのねぇ。
> や、性格が変わるほど、外界と接触する機会が多かった訳ではないでしょうから、当然といえば当然の話とはおもうのですけれど。
> でも考えてみれば、さすがゼロスさんです。このネーミングって、いっぱい応用が利きますわよね。
> 「謎の読書の図書館」とか「謎のメニューの喫茶店」とか「謎の掘り出し物の古本屋さん」とか(笑)。
> それにしてもゼロスさんの占いですか……とても幸せを告げてくれそうにないと思うのは、わたくしの気のせい?

 本質というべきか、センスのなさというべきか?(笑) いえ、たとえ外界と接触したとしても、ゼロス君変わらなかったような……気も少し(^^;)
 ところで、「謎の読書の図書館」「謎の掘り出し物の古本屋さん」もわけ判らなくて楽しいですが……。
 ……ゼロス君の「謎のメニューの喫茶店」…………ものすごぉぉぉぉく行きたくないような(笑)
 ちなみに、えぇ、当然のことながら、ゼロス君の占いで幸せになれる方は非常識に少ないです(^^)

> リナさんの精神が、リカさんを乗っ取ってしまうという問題。
> あの、殺伐とした世界を身ひとつで渡ったリナさんと、平和な世界で穏やかに暮らしてきたリカさんでは、生命力からして違いそうですものねぇ。
> 嗚呼、ガーガさんと支部長どん(笑)。
> でも、ここで、それを短絡的に是としないところが、リナさん凛々しいです。
> ゼロスさんの提示した現代世界を見聞することって、かなり魅力的な考えだったにちがいないでしょうに。…新名物料理とか(笑)。
> それでも、目指すのは自分のゴールだから、帰るわけですわね、「たどり着くために」。なるほど、そういうことなんですのね……。

 あ、やっぱりバレましたね。元ネタ(のようなもの(笑) いえ、リナちゃんとガーガさんを同列に並べる気はないですが〜(^^;)
 まぁ、リカに支部長さんのあの何というか一種の気合いというか不幸なコメディアンなとこを期待する気もないですし……(端から無理だってば(笑)
 えぇ、でも、あそこで頷かないのがリナちゃんだろう、と。
 たとえばこのまま、あっさり混沌へおっこってっちゃうことになったとしても、リナちゃんなら頷かないだろうな〜というのが、つまるところこの話です(なのでタイトルがこれ)
 ……無意味に単純なのに、何故こんなに長いかは、とっても不思議なんですが(((−−;)

> しかし何より楽しかったのはっ、囁きかける誘惑者ゼロスさん!……素敵ですわっ。
> 色仕掛けのところも素敵で楽しくて行け行けーっ♪と盛り上がりました。また、リカさんの身体を乗っ取った場合、リナさんがこの世界で生きる場合の未来においての可能性を示唆しているところもっ……!
> あぁ、本当に誘惑者……巧みに惑わして誘導していて。なんて幸せな会話なのかしら。
> あの場面でゼロスさん、なんだか本領発揮していませんか?(笑)あの色仕掛けは、どこまで戦術でどこまで本気だったのでしょう。
> ――本気の部分があったという点では、わたくし疑いませんわ。
> ただ、あそこで素直にひっかかるようでは、やっぱり、ゼロスさん物足りなかったんじゃないかと思います。
> 思った通りになかなか動かないリナさん、というのが、ゼロスさん好みだろうと。 

 あそこは……今まで出られなかった鬱憤晴らすかのように、ひたすら勝手にゼロス君動いてましたね(^^;)
 書きながら、え〜と、いったいいつまでこれやってるのかなぁ〜? とか、端で思ってる私……(笑)
 でも、やっぱりゼロス君といえば、変化球の思いきり裏ありの、惑わし引きずり誘惑する存在だろうなぁ、と(^^)
 いえ、ちゃんとそのように読んで下さったのなら、幸いです。私が書くと、頭悪く見えちゃいそうで怖いですし(((ーー;)
 ちなみに、本気の部分は…………秘密です♪
 引き留めたいという意味では、本気だったでしょうが、何処までそーゆー感情で動いていたかは、私にも判りませんので(^^;)
 まぁ、半分くらいは遊びも入ってた、みたい、ですが……。……絶対に無理だろうと思いつつやってるわけですし……。
 でもって、勿論リナちゃんは、あっさり引っかかったりなどはしないのです♪

> リナさんの記憶を戻すときのゼロスさんの様子。
> 振り回してますわよねー。引っ張って引っ張って、「その通りですけど」!。
> これぞゼロリナの醍醐味ですわ!「付き合いがいい」という、リカさんの評にわたくし深くうなずきました。
> そうっ、リナさんとゼロスさん、こういう会話を出来るお二方なのです!
> しかも、ゼロスさんの、余分な要素加えて楽しむその抜け目なさ。良いです、大歓迎ですわ、「余分な要素」!

 振り回すのが、やっぱりゼロス君ですし(笑) でもってつい付き合っちゃうのもリナちゃんですよね〜(笑)
 ラブラブかどうかはかなり首をかしげるところですが、まぁ、楽しんじゃってるのは確かではないかと(^^;)
 ……でもってリナちゃんも、楽しまれてるのに気づいて、やれやれと思っているのでしょう。
 まぁ、この2人ってば、それなりに深い(?)付き合いですし〜(笑)

> あるべき世界に戻ったリナさんと、ゼロスさんが、どのような会話を繰り広げるのか、魔王化したルークさんはどうなってしまうのか。かなり楽しみにしております。
> あぁ、これからすぐに読めるのだわ(うっとり)。
> それでは失礼をば……。

 え、えぇぇぇとぉぉぉ……あまり期待なさらない方が(((−−;)
 えぇ、読めますが、読めるんです、が…………。とりあえず、落胆なさらない程度であることを祈ります(笑)
 それでは、また。庵様の作品も、楽しみにしておりますね(^^)