◆−孤高のプリンチベ−CANARU(4/17-23:24)No.9657
 ┣ゆっくりたっぷり見たいのよ〜!(何を?・笑)−P.I(4/20-21:46)No.9692
 ┃┗はいの〜♪−CANARU(4/21-10:21)No.9700
 ┗きゃ〜!!!(壊れかけ)−真人(4/25-12:17)No.9753


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9657孤高のプリンチベCANARU E-mail 4/17-23:24


場所は・・16世紀のイタリア(フィレンツェ、ローマ、ヴェネツィア)です。
しっかし・・ど〜してアタシはオリキャラとはいえ・・・。
性格悪い美形のおに〜さんが大好きなんでしょうかねえ・・・。
これでこ〜ゆ〜タイプ出したの・・・。
何人目だよ・・・(汗)超ニヒリストで性格悪いです・・・(汗)
ロレンツィーノに〜ちゃん・・・・。
け・・あたし好みだわ・・・(馬鹿)

*********************
「兄に刺客を送ったのは私です。」
無事に戻ってこれた事を彼女は知らない。
あせるガウリイの耳に飛び込んできた一言は予想通りのものであった・・・。
「リナ!!」
不意にドアを開け放ち・・・果敢にその人物を睨みつけているリナ
の前に立ちはだかりながらガウリイは言う・・・。
「俺はただ・・コジモを・・強いて言うなら・・・。」
メディチ家を始末しようとしただけ・・・。それだけだった・・・・。

話は・・・・今から数年前に遡る。

「フォロ・ロマーノの遺跡が破壊されまくっている・・だと?」
亡命先のヴェネツィアから小遣い稼ぎの傭兵として辿りついたローマ。
ストロッツィ家の二人息子の兄、ガウリイが腹心のゼルから聞かされた一言がこれだった。
「ああ・・・。古代の凱旋門の装飾・・遺跡の壷や・・他にも数々の美術品がだ。」
「・・・・・・・。へえ・・・・・。」
故国フィレンツェはと、ある一門・・。
すなわちメディチ一門が専制政治をひいた大公国となってどのくらいたつだろう?
その間。その政治体制に反発し・・そして追放された。
「共和国主義を求める名門一家ストロッツィ一門のお前が・・・。
訳のわからない美術品の破壊者を追い詰めるだけが仕事とはな。」
情けない様にゼルがガウリイにいう。
「ま〜〜な・・。しょうがないけど・・・。」
鼻をボリボリと引っかきながらガウリイ。
かくして・・今夜はフォロ・ロマーノの遺跡で野宿・・と言う事になりそうである。


がしゃあああああああああああああああああああああああああんんんんん!!!!!
先程まで堂々と聳え立っていた古代ローマ時代のドラゴンの銅像が見事に
首から切断されている。
「見事なものだな・・・・。」
いやに澄み切った男の声が聞こえる。
「ねえ、兄上。これ、イッポリート様のお庭の庭に届けて差し上げたら如何かしら?
あのお方・・かなりの数の美術品をお集めのようだけど・・。ココフォロ・ロマーノには
程遠いってお嘆きになっていらっしゃったでしょう?」
慇懃・・さもすれば慇懃無礼になってもおかしくないような甘ったれた口調で
少女の声が耳に届く。
「馬鹿言え。お庭に埋めて差し上げるのが関の山だ。」
冷徹な男の声が更に響く。
「・・・・・・・。まあ・・良いわ・・・・。」
少女の影が男の影から離れる。
「暴君ネロの・・・彫像・・ねえ・・・。」
言いながら隠れているガウリイのすぐ隣まで来た少女・・・・・。
やおら腰の短剣を抜き放ち・・・皇帝ネロの像をぶち壊す。
「・・・・・・・。おい!!」
ガウリイがその犯人の少女の腕を掴んで捻り挙げたのはその時だった・・・・。
「・・・・・・・・・。ガウリイ!!?」
不意に目を見開く少女・・が、やおら我に帰った様に・・・。
「兄上!!警備のものです!!お逃げ下さい!!」
「逃げた所で・・結末は変わらないだろ?」
言いながら近付いてくる男のほうの影。
アッサリとリナを掴んでいるガウリイの腕をその人物は払いのけさせる。
「・・・・。兄上・・・・。」
「憂さ晴らしのつもりが・・。高くついたモンだな・・・。」
冷ややかな口調でリナの兄なる人物は言う。
闇夜に片耳だけに施された銀色のピアスが僅かに光る。
鋭い眼差し・・この目は日光の下で垣間見たとしても漆黒の瞳であろう。
目の色同様に漆黒の肩の辺りまで伸ばした髪が夜風に靡いている。
「ロレンツィーノ兄上・・・。」
安心した様に兄の腕にしがみ付くリナ。
「貴様・・・・。」
そんなリナを片手で庇う様にしながらロレンツィーノはガウリイの顔を見る。
「ああ・・・。貴方か・・。そ、俺は・・・。
アンタの従兄殿にフィレンツェを追放された・・・・・・。」
「知っている。ガウリイだろう。ストッロツィ家の。」
皮肉とも真剣ともつかない口調でロレンツィーノはガウリイに言う。
「俺達のことを密告するならするが良いさ。」
「そ。どうせ・・フィレンツェに帰る予定よ。情けないけど。
貴方を追放したあの大公。アレッサンドロのお情けに縋ってね。」
やはり冷めきった口調でリナ・・・・。
「リナ・・・・・・・。」
不意にガウリイは声をかけてみる。
「昔の事は忘れて!!」
不意に厳しい声でリナはガウリイに言う。
「・・・・。俺が・・追放の・・・。」
追放の身分だから・・・?だろうか・・・。
「関係無いって言ったわ。あの時とソレは変わってない。けどね・・・。
今のアタシは・・・。あの時のあたしじゃないのよ!!?」
それが・・辛うじてリナは言葉を出す。


あの時・・・・・。
「皇帝カールがフィレンツェに攻め込んでくる?」
ゼルの情報にまだフィレンツェ貴族として生活していたガウリイは
これと言った感慨を持たずに言う。
「ああ・・・。いずれ・・フィレンツェは戦場と化すぞ。」
少々考えながらゼルが言う。
「目的なナンなんだ?カール皇帝の・・・・・。」
「ローマに居るメディチ家の庶子・・アレッサンドロをココの大公に
押し付け・・共和制国家のこの国を意のままに操ろうと言うらしい。すでに・・。
メディチ家分家の連中はヴェネツィアに亡命する事を考えているらしい。」
「聞いている。父上は・・全力でアレッサンドロを君主とする事を拒否している。」
言いながらガウリイは退屈そうに席を立つ。
「何処へ?」
「散歩。」
素っ気無いが・・・。まあゼルとのやり取りは日頃からそんなモンである。
「ったく・・。ヤになるぜ・・・。」
言いながらガウリイは市内のあちこちを歩き回る。
もうじきこの「花の都」と形容されたこの都も戦場と化すのだ。
父親のフィリッポ=ストロッツィも容赦無く皇帝カール軍に反逆するだろう。
そんな事をブツブツ考えていたその時だった・・・・。
真っ青な顔をして城門を衛兵の目を盗んで開け放とうとする少女が目に入る。
赤いストロベリーブロンドに・・・赤い瞳。
城っぽい肌が蒼白な表情により余計克明に見えてくる。
が・・彼女一人の力で・・そんなものが開け放たれるわけが無い。
「・・・・。何やってるんだ?」
不意に声をかけられた事に少女は思わずビクっとする。
が・・意を決した様に・・・。
「・・・。私はメディチ家傍系の・・。リナよ・・・。
貴方・・衛兵?お願い!!緊急なのよ。城門を開けて!!」
刻限を過ぎているのに・・・。
一体全体ナンだと言うのだろう・・・・???
「メディチ家の人達は・・ヴェネツィアに亡命したんじゃなかったのか?」
「したわよ!!けど・・。アタシは家人の目を盗んで市外に残ってたのよ・・・。
お願い!!門を開けて!!」
執拗な頼み込むにさしものガウリイも困惑する。
「何でだよ・・・。それに・・俺は衛兵じゃないぜ?」
「・・・。誰だって構いやしないわよ。にいさまに追いつかなくちゃいけないの!!
お願い!!ローマに!!」
混乱しながらも精一杯リナはガウリイに言う。
が・・・・・・・・。
「ローマだと!!馬鹿言うんじゃない!!」
こればかりはガウリイだって黙って見過ごすわけには行かない事だった。
「ローマで・・。何が起こっているか・・知らないとは言わせないぞ!!」
「でも・・にいさまが!!」
「馬鹿言うな!!兄に会う前に・・荒くれ傭兵に弄ばれるか・・。良くてメディチ家の娘と
して人質に取られるか。運が悪ければ殺されるが落ちだぞ!!?ローマで何が起こったか・・。
知っているだろ!!?」
「・・・・・・・。」
そう・・・・。
ローマは先日神聖ローマ皇帝カール5世によって壊滅的な被害を受けた。
更には皇帝軍と荒くれたドイツ兵は其処で狼藉の限りを尽くしているのである。
「ローマ・・略奪(サック・ディ・ローマ)・・・。」
リナの一言にガウリイは頷く。
「でも・・・・。」
今にも泣き出しそうなリナ・・・。
家族は・・すでにヴェネツィアに行ってしまっている筈だ。
「判った・・・。俺も一緒にローマに行ってやる。」
このまま・・放って置けるわけは無いだろう・・・・・・・・。


「ガウリイ・・・。」
アレほどいきがっていたのだが・・・。
いざローマに到着すればリナはガウリイにぴったりとくっついて怯えきっている事は
明々白々・・である。
「まあ。無理は無いな・・。」
あれひど美しく・・「永遠の都」と歌われたローマ。
今はそれは見る影も無い。
行く先々で荒れくれたドイツ傭兵の略奪の痕跡が見られる。
「フィレンツェも・・・。」
カール皇帝の要求を拒めば・・こうなるかも知れないと言う皮肉な状況。
見かけるものはドイツ傭兵か警備のローマ兵・・それか町の復興の携わる人々のみである。
ガウリイの護衛のタメかリナに危害を加えよう・・などと言う物はいない。
はあ・・と思わずガウリイは安堵の溜息を漏らす。
と・・・その時であった・・・・。
「にいさま!!」
言いながらリナは復興現場をうろつく・・場違いなほど美しい一人の痩身の青年
に駆け寄って行く。
年の頃ならガウリイよりも2〜3年上と見られる。
片耳だけの銀色のピアス。
無造作に着こなした黒色の服がさらに彼の美貌を引き立てている。
「リナ・・・・・・・・・。」
厚い無関心に覆われていた彼の表情に僅かに変化が生じる。
「お前・・どうしてココに・・・・・??」
「この人・・ガウリイに送ってもらったのよ。にいさまが心配で・・・。」
視線だけは熱心に妹を眺めながらも青年の表情は再び僅かな無関心に覆われつつある。
「リナ・・。俺は、別段自分が何時死のうがナンだろうが・・・。
関係無いと思っている。だがな・・・。」
ココまでで兄は言葉を切り・・ガウリイに向き直る。
「妹をありがとう。私はメディチ家傍系にあたるロレンツォ・・・・。」
「あだ名はロレンツィーノよ。小ロレンツォって意味なの。ご先祖様の偉大なる
ロレンツォ、イル、マニ―フィコと区別してこう呼ばれているのよ。」
兄の腕に細い腕を絡めながらリナがガウリイに笑いながら教える。
「或いは・・・。」
妹の細い首から後ろ頭へ・・・・。
黒い手袋で覆われた手を滑らせながら・・視線だけ冷ややかな雰囲気を
無くさずガウリイを眺めながら・・ロレンツィーノが続ける。
「ロレンズァッチッヨ・・・。最後の「アッチョ」は『悪い』と言う意味。
悪党のロレンツォだ。」
美しい口に冷笑を浮かべながらロレンツィーノは言う。
「また・・・会えるか・・?もっとも俺は・・・追放の身分かもしれないがな。」
「・・・・。関係無いわよ。そんな事。」
笑いながらリナが言う。
薄い。何かを奥に秘めた瞳は兄とそっくりである。
ただ・・兄の瞳が冷ややかな何かなら・・リナはとてつもなく熱い・・何か・・・。


「傭兵なら・・。もう間に合っているが?」
不意にアメリアが告げてきた一言にロレンツィーノは冷徹に答える。
「いいえ。足りません!!ロレンツィーノさん。貴方のご主君・・・。
アレッサンドロ様はとかく評判の悪い方なんですよ?外出するにも鎧無しでは
決して出歩かないとか!!そんな人に関わってるんです!!罪の無い貴方だって
暗殺されかねません!!」
そう・・・。
アレッサンドロがあれから大公となり・・・。
ローマでフォロ・ロマーノの遺跡を壊し、大衆の激怒を買った兄と妹は
フィレンツェに戻り・・この暴君の腹心に兄は成り下がっていたのだった。
「俺もあの男と放蕩の限りを尽くしているのだが?そんな俺が『罪も無い』
とはな・・・・。」
冷笑しながら言うロレンツィーノにアメリアは・・。
「リナさん!!ロレンツィーノさんが・・アタシの事苛めます!!」
「・・・。そ〜ゆ〜奴よ・・。兄様は。」
冷ややかにリナはアメリアに言う。
「リナさんも意地悪です。ロレンツィーノさんそっくり。何時か・・罰
が当たりますよ!!」
完全に不貞腐れながらアメリア。
「で・・・。その傭兵ってのは・・・?アメリア?」
「ええ。前にロレンツィーノさんが言ってたでしょう?腕利きの兵士が欲しいって。」
何気なくアメリアが放った一言にリナとロレンツィーノは一瞬目配せをする。
が。ソレに気付くことなくアメリアはさらに続ける。
「すっごいんですよ!!ヴェネツィア帰りの凄腕!!ガウリイ=ガブリエフって剣士です!!」
その一言にリナはもとよりもロレンツィーノも反応する・・・。
「アメリア・・・。」
「はい?」
「その男・・今すぐ連れて来い。」
「はい!!」
ロレンツィーノの一言に・・彼にとっては二重の目的を果たすアメリア。
一つは・・言葉どおりガウリイを連れてくる事。
そしてもう一つは・・・席を外す・・と言う事である。

「ねえ・・にいさま・・。本当に・・決行するの?」
「ああ・・・・。」
言いながらロレンツィーノは片手の皮製の黒い手袋を歯で手から引き抜く。
「お前を餌に。あの男をこの屋敷に招いている。もっとも・・お前には
指一本振れさせないがな・・。あの色ボケ大公めが。」
その一言にリナは思わず苦笑する。
「兄上こそ・・。馬鹿みたいにあの大公と一緒になって放蕩の限りを尽くしているじゃ
ありませんか・・・・。」
思わない反撃にロレンツィーノは唇の端を僅かに歪める。
「まあな・・・。」
何時もの漆黒のひとみと美しい端正な顔での冷笑。
が・・・・何か満たされないものがあることは確実である・・・。
「兄上が何をお求めに成っているかは存じません。けど・・・。」
あの男・・大公は暴君である・・・・。
「お前ご執心のあの男に俺の手伝いをさせようとは思わないよ。」
ふっと遠い目をしながらロレンツィーノは言う。

「リナさ〜〜ん!!ロレンツィーノさん!!ガウリイさんを連れてきましたよ!!」
アメリアの何も知らない明るい声が当たりに響く・・・・。

「何考えてるんでしょうね?ガウリイさんを護衛にして・・・。
フィレンツェを離れてヴェネツィアに行け・・なんて・・・。」
文句たらたらにアメリア・・・。
「何をするんだ・・・?お前の兄上は・・・・??」
「判らない・・。けど・・・。」
言いながら恐ろしさの余りにガウリイの腕にリナはしがみ付く。
死ぬ気だ・・・・兄上は・・・・。
そう直感した・・・・・・・・・・・・・・・・・。


「信じられないな・・・。」
「宿敵同士ですからね・・アタシも・・ガウリイさんは単なる傭兵だと思ってましたから。」
ゼルとアメリアが言い合う。
宿敵の家庭・・と言っても良いガウリイのストッロツィ家とリナのメディチ家。
ヴェネツィアで無事に婚約が整ったのだった。
「・・・・。昨日ね・・兄上から連絡が入ったわ。」
アメリアとゼルの眺めている方角から聞こえないだろう。
「リナ・・・・・。」
怯えているであろう・・髪をそっと撫ぜるガウリイ。
「兄上が・・大公アレッサンドロを暗殺したのよ。ガウリイ・・・。」
「・・・・・・・・・・・。」
ガウリイの一家が・・この男のタメに亡命生活を送っているのは周知の事実である。
「兄が・・・進軍を促しているわ。フィレンツェへ・・。」
大公国を打倒して・・フィレンツェに共和制を・・・・・・。


「全軍潰滅・・・・・・。」
その知らせを受け取ったリナは流石に震えた・・・。
ガウリイも・・フィレンツェ新大公・・コジモ1世の軍勢に敗れたのだろうか。
「貴方の兄上は・・大公にはならなかったのですね。」
使者は皮肉げな口調で言う。
「ええ・・・。兄は・・死んでも構わないと言ってました・・。
何かを成し遂げるためにのみ・・居きると・・・。」
なるほど・・・。
その「何か」見つけるまで随分と時間が掛かったのは事実である。
二人で無意味に荒れて・・フォロ・ロマーノの遺跡を破壊したり・・・。
同じ一族の栄光を持つものに対してたいそうな皮肉を抜かしたりした。
「なら・・。貴方の未来のご夫君は・・。その兄上の願いを叶えようとした・・
と言う事に成りますね・・・。」
不意に使者は更に口調に皮肉さを増す。
「どう言う事です・・・・・・?」
「ガウリイ殿は・・・アレッサンドロ様を暗殺し・・まんまと逃げおうせた貴方の兄上に・・。
刺客を送ったんですよ・・。」
「嘘!!」
「嘘ではありません。実際・・捕虜名簿にガウリイ殿の名は・・ありません。」
この使者は・・・何が目的なのだろう・・・?
「申し送れました。私は・・アレッサンドロ大公暗殺にロレンツィーノ様の協力を
した傭兵隊長です・・。無論・・刺客を我が主に送るようなものは・・・。
始末させていただきます。」
まずい・・・・・・。
このままでは・・兄までではなく・・ガウリイまで。
実際にガウリイがそんな事をするはずは無い。
逃亡途中にこの男の手にかかることも考えられる。犯罪者の汚名を着せられて・・・・。


「ふい・・・・・。参った・・参った・・。」
落ち武者を追うにしては・・大層な追撃だった・・・・。
「まったく。アンタも大したもんだよ・・。」
一緒に修羅場を切り抜けたゼルがガウリイに言う。
「まあな・・。しっかし・・・。」
まるで使命手配でもされているようなほどの追撃だった。
たかだか反逆亡命者に。
命からがら・・・と言うわけではないのだが。。
何とかヴェネツィアまで辿りついた・・と言う訳である。
「ガウリイさん!!ゼルガディスさん!!」
不意にアメリアの絶叫が聞こえてくる!!




「兄に刺客を送ったのは私です。」
無事に戻ってこれた事を彼女は知らない。
あせるガウリイの耳に飛び込んできた一言は予想通りのものであった・・・。
「リナ!!」
不意にドアを開け放ち・・・果敢にその人物を睨みつけているリナ
の前に立ちはだかりながらガウリイは言う・・・。
「俺はただ・・コジモを・・強いて言うなら・・・。」
メディチ家を始末しようとしただけ・・・。それだけだった・・・・。
「・・・。ガウリイ・・・・・・。無事で・・良かった・・・。」
そうとしか言い様が無い。
「貴方がメディチを滅ぼしたいのはわかります。しかし・・」
「ああ・・。ロレンツィーノのうな男を・・。例え逃亡中の身であっても。
俺は敬意を払っている。なるほど・・確かに俺は進軍を促すアイツの言葉で・・・。
仲間を・・軍勢を失った・・。だが・・・。」
「兄を殺そうとしてるのは・・・。」
「そう。リナでもない!!」
未だに自分を犯人にし兼ねないリナを遮る様にガウリイ。
なるほど・・ガウリイの家の手を組んだリナ・・・。
彼女が「メディチ」を消し去りたいと望み・・罪を犯した兄に刺客を送る。
何とまあ・・ドラマチックなフィクションだろう。
だが・・そんな事でリナを失うつもりはガウリイにも毛頭無かった。
「これが・・・。ロレンツィーノから預かったモノだ!!」
今にも主の敵を消し去ろう・・としているロレンツィーノの目を逃れて・・。
更に言えば思い違いでガウリイを選んだ暗殺者に当のガウリイが言う。
「そう言う事ですが・・。」
少々呆れたように暗殺者は言い・・部屋からさっさと退出の挨拶をしてでていく・・。
ガウリイの預かったもの・・・。
「・・・・・。ナンで・・アタシなのよ・・・。」
「そうだろ・・・?実際・・・。」
「馬鹿・・。強奪した・・の間違いでしょう・・・?」
涙が出てくる。
兄は・・・生き急ぐ。あの忠実な暗殺者とて・・兄を・・。
『新大公コジモ』の暗殺の手からは守りきれないだろう。
「泣くなよ・・・・。こっちまで悲しくなる・・・。ロレンツィーノに会ったよ・・。」
そっとガウリイはリナに言う。
「兄様に・・・・??」
「ああ・・・。立派なモノだったよ・・。只一つ違っていたのは・・・。
手袋の生地が・・今までの物より厚い皮になっていた・・・。」
遠い目をしながらガウリイ。
「・・・・。それが・・・・??」
「今でこそくっついているが・・。暗殺の際に・・・。アレッサンドロに・・。
二つの指を思いっきり傷つけられたんだ・・・・。」
「・・・・・ロレンツィーノ・・・・・・・・。」
可哀想な人・・・・・・・。
「そして・・もう一つ。『もう俺と同じモノを追わずに・・・。幸せになれ』
ってな・・・・・・。」
そう言うガウリイにリナは更にしがみ付く。
「大丈夫だよね・・・・・。」
何が・・かは・・判らない。
「ああ・・・・。」
大丈夫だ・・・・。
二人のこれからは・・まだまだ始まったばかりなのだった・・・。


(お終い)
はい〜〜♪
ロレンツィーノさん・・ヒネてますねえ〜〜♪
ガウリイ・・それに引き換え・・ですね〜〜♪
何故か・・あ〜ゆ〜タイプのに〜ちゃんって書いててすっごく
シンクロするんですよね・・・・。
性格作者と正反対なのに・・何故だろう・・・?
では〜〜!!

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9692ゆっくりたっぷり見たいのよ〜!(何を?・笑)P.I E-mail 4/20-21:46
記事番号9657へのコメント

CANARUさん、こんばんは!また読ませていただきました〜!!
メディチ家もの・・・「紅蓮なるメディチ」以来ですね〜。
お兄ちゃんがカッコイイ!あ〜長編で読みたかったかも・・・(^^;)
だって〜、ロレンツィーノ兄ちゃんばっか目立ってて、ガウリナのらぶらぶが
霞んでるんだもの〜!婚約に至った経緯をゆっくり見たかったですわっ!(笑)
ロレンツィーノ兄ちゃんの片耳ピアス・・・ちょっとワケアリ風でしたね。
恋人の形見とか、恋人募集中とか?(>爆!)考えすぎかな〜(^^;)
ストロッツィ家とメディチ家の縁組み、これって史実でしたか?資料があったら
教えてほしいです〜。
CANARUさんの小説を読んでは歴史のお勉強してます。あ〜楽し♪
また次の作品を楽しみにしてますよ〜。
それでは!



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9700はいの〜♪CANARU 4/21-10:21
記事番号9692へのコメント

>CANARUさん、こんばんは!また読ませていただきました〜!!
>メディチ家もの・・・「紅蓮なるメディチ」以来ですね〜。
はい!!
塩野さんと藤本さんの小説に触発されて書きました!!
>お兄ちゃんがカッコイイ!あ〜長編で読みたかったかも・・・(^^;)
>だって〜、ロレンツィーノ兄ちゃんばっか目立ってて、ガウリナのらぶらぶが
>霞んでるんだもの〜!婚約に至った経緯をゆっくり見たかったですわっ!(笑)
ははは(汗)
どうも前々からこーゆータイプのおにーちゃんが気に入ってるようでした・・。
ガウリイ・・リナを心配させるので精一杯(汗)
長編時間あったら書きたかったです!!
>ロレンツィーノ兄ちゃんの片耳ピアス・・・ちょっとワケアリ風でしたね。
>恋人の形見とか、恋人募集中とか?(>爆!)考えすぎかな〜(^^;)
いえいえ!!
単なる好みだったりします!!
なんとなくイメージ的に!!
>ストロッツィ家とメディチ家の縁組み、これって史実でしたか?資料があったら
>教えてほしいです〜。
はい!!
例の「銀色のフィレンツェ」になりましたよ!!
恐らく史実だと思います!!
>CANARUさんの小説を読んでは歴史のお勉強してます。あ〜楽し♪
>また次の作品を楽しみにしてますよ〜。
>それでは!
はい!!近いうちに用意してある話、載っけますね!!
ではでは!!

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9753きゃ〜!!!(壊れかけ)真人 E-mail 4/25-12:17
記事番号9657へのコメント

はじめまして。真人と申します。

大変楽しく読ませていただきました。

塩野さん…ということは。
CANARUさん、チェーザレ好きですね!?絶対好きでしょう!?
絶対そうだ!今決めた(!!おいおい…)

面白いし、勉強にもなる…なんて素晴らしいんでしょう!!

是非是非、歴史もの、書いてくださいね。
次も絶対読みますから。

それでは失礼します。