◆−聖域の麗人−CANARU(3/5-22:42)No.8929


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8929聖域の麗人CANARU E-mail 3/5-22:42


ナポリ、ヒチリアを仕切るまだしも合法的なマフィア・・・。
そして其処の若き総帥ゼロスの妹にして・・・。
シエナの名門女子大を主席、特待、飛び級で卒業。
さらには七ヶ国語、古代ギリシャ、ラテン語を解して欧米諸国の企業から
のヘッドハンティングも絶えない・・・。
そういえば・・思い出される一人の人物・・・・・・。

「『ルクセンブルクの秘宝』を手に入れたようですね。リナさん。」
不意に兄、ゼロスに呼び出されてリナは沈黙する。
「・・・・。それが・・・ど〜したのよ・・・。」
こればかりは言葉を濁してかかるリナ。
もしかすればこの抜け目無い兄と敵対する事になるかもしれないのだ・・・。
「ま、どうでも良いんですけど。それは貴方が持つべきものですし。」
興味なさそうにゼロスが言う。
「まあ・・。俺ももともとそれはリナが持つために探してたわけだし・・。」
ルクセンブルク騎士団・・フレイの騎士でもあるガウリイがリナに言う。
「でもって・・。コレが一体何なのよ?」
言いながらリナはしげしげと・・ルクセンブルクの秘宝を眺める。
「ま。ルクセンブルクの王女である貴方と敵対する組織・・・・。
『ミッドガルズ』にとっての・・・。」
「『パリスの矢』ってわけね。その発言からするとアンタはもともと
アタシの事行方不明になったルクセンブルクの王女と知ってたみたいだけど・・・・。」
「・・・・。それは秘密です。」
ち・・・。やっぱりそ〜きたか・・。この兄・・・・・。
「なあ〜。リナ。所で『パリスの矢』ってど〜ゆ〜意味だ?」
「・・・・・。敵にとっての唯一の急所って事ね。ギリシャ神話のトロイヤ戦争
の英雄アキレウスの唯一の弱点は例のアキレス腱。そこをトロイヤの王子パリスの
矢で射抜かれたのよ。」
「そう!!それです〜〜〜〜♪」
ガウリイに説明するリナに不意に言うゼロス。
「へ・・・・???」
「今から、トロイヤ・・現トルコにある古戦場に行ってそのミッドガルズのアキレス腱
を探してきて欲しいんですよ〜〜!!頼みましたよ!!パリスの矢〜♪」
「ざけんな・・・・・・・・・・・。」
とか何とか言いながら結局は何時もの出張を申し付かったリナとガウリイであった・・・・。


「ざっけんじゃないわよ〜〜〜!あの馬鹿兄〜〜〜!!」
ブツブツ文句を言いながら地中海を行く船に乗りながらガツガツとシーフード料理を
頬張るリナ。
「なあ・・・。リナ・・・。」
「何よ!!」
「何で飛行機で行かないんだ・・・・???」
「・・・・。趣味・・。船旅は良いわね〜〜〜!!」
「だあああああああああああああ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!
荒波砕ける冬の地中海をよりによって遊覧船並の船でクルージングしながら
出かけるのか〜〜〜(涙)」
あ・・・・・。
船酔いか??ガウリイ!!
こりゃ〜〜・・面白い旅になりそうだわ・・と密にほくそえむリナだった・・・・。


トルコに到着はしたものの・・・・。
「ちょっと忘れちゃったわね・・・。」
言いながらバスに乗ってる最中ず〜〜っと本にばかり目を落としているリナ。
「なあ〜〜・・。リナ。何でそんな難しい本買って・・。ず〜〜っと読んでばかり
いるんだよ?」
「ん・・・。『イリアス』を初めて読んだは中学生のときだったから。少々
忘れてる部分があるのよね。しかも原版ギリシャ語で読むのは・・ねえ・・・。」
「何だよ・・ったく・・・。」
少々所かかな〜りつまらなそうにガウリイは窓の外に目をやる。
「おい!!リナ〜。遺跡に何でかアスレチックがあるぞ!!」
「アスレチックですって・・・??」
突拍子も無いことを言うガウリイにリナは思わずそっちの方を見る。
「あ〜〜・・・。木馬ね。」
「でっかいアスレチックじゃないのか・・・・??」
「伝説よ。昔スパルタの王女ヘレネはアカイア・・ミュケーナイの第二王子
メネラオスと結婚したの。もともとヘレネは絶世の美女でね。求婚者が絶えなかった
んだけど・・・。彼女自身に結婚相手を選ばせると言う条件で彼が選ばれたの。
万が一不満があってヘレネを攫うような輩が居たら求婚者全員が一致団結して
その犯人を倒す、と言う条件付でね。」
「・・・すっげえ〜〜美人だっったんだなあ・・・って事は。」
「まあね・・・。けれども。ヘレネは彼女の王国、スパルタを訪問していたトロイヤ
の王子パリスと駆け落ちした事から。10年にわたるトロイヤ戦争が始まるのよ。
勿論、メネラオス始め彼の兄、アガメムノンを総司令官とする求婚者全員が軍勢を
成してトロイヤに攻め込んだわ。」
「・・・・。自分で選んだ男を裏切るのか・・?」
不満そうな声でガウリイ。
「アタシじゃないわよ。アタシじゃ。でもね・・・。多分スパルタ国王チュンダレオスの
策略じゃないかしら?第一ヘレネの姉クリュタイムネストラはメネラオスの兄アガメムノン
に嫁いでいたし。『兄弟姉妹で結束を深めるのは良い事』とでも言ってヘレネをそ〜させたんじゃ
無いかしらね。だいち、メネラオスは権力にしか興味の無いつまらない人だったみたい。
それに・・・。」
ちょっと面白い事をこの本は書いてある・・・・・・。
「ふ〜〜ん・・。そ〜ゆ〜モンなにぃ〜・・・。」
欠伸交じりにガウリイが言う。
「さ〜あ。結局はそ〜んなもんでしょうね。」
此方はガウリイをからかうようにいう。
「ごほ〜〜!!ごほ!!」
むせ返るガウリイを楽しみように盗み見るリナだった。


「連中のパリスの矢・・・・。」
アキレウス、オデュセウス、更にはアガメムノンといったギリシャの軍団。
迎え撃つはトロイヤの第一王子率いるへクトルの軍勢・・・・。
「すっげえな・・・。この城壁。」
「まあね。10年もの古代戦争が続いた場所だし・・・・。」
そう思いながらリナは古戦場遺跡の表に立つ木馬を見やる。
「ギリシャ人は引き上げたフリをして木馬に隠れて・・・・。
それを自分達が勝利したと思い込んでいるトロイヤの人々が城壁の中に引き入れた・・。
で・・夜中に城壁を開け放ち夜中に奇襲したって訳。」
「何だか・・すっげ〜頭脳プレーだなあ・・・。」
感心した様にガウイイ。
「まね。ともあれ・・今回重点的に調べたいのはその時木馬を城内に引き入れるときに
猛反対をしたトロイヤの王女にして・・女預言者のカッサンドラよ。」


トロイヤの遺跡から引き上げて暫くしての事。
「ガウリイ・・。あれ・・。」
「ああ・・・・・。」
明らかに一人の女性が何物かに追われている・・と言った光景である。
「人殺し!!」
その女性の声に追ってである男達は感情すら露にしていない様子である。
「く!!」
物陰で振り下ろされたナイフを真っ先に奪い取ったのはリナだった。
「ちょっと!!無粋なんじゃないの?男大勢が女性一人を追い掛け回すなんて!!」
言いながら女性の追ってから奪い取ったナイフを無造作に投げ捨てるリナ。
「無粋なのはお前だぜ?リナ?こ〜ゆ〜見せ場を演じるのは普通俺の役だぜ?
お前に見せたかったのにさ。」
不満そうに雑魚を蹴散らしながらガウリイが言う。
「言ったでしょ?『アタシだってプロ』だってね。」
「そ〜でした・・・。」
微苦笑しながらそれに答えるガウリイ。
「で、コイツはど〜するんだ?」
首領格の男を縛り上げながらガウリイ。
「懸賞首かもしれないわね・・。だとしたら・・。大もうけね。ガウリイ。
警察に突き出しなさい〜♪」
「おう!!」
リナの指図を受けてとっとと走って行くガウリイ。
「さて・・と。貴方は・・ど〜してコイツ等に狙われていたのかしら?
見るからして・・・。『ミッドガルズ』の連中らしいけど・・・。」
『ミッドガルズ』
この単語を聞けば確実にリナの事を心配するであろうガウリイを技と遠ざけて
発したこの一言・・・・。
「アンタ・・・。コイツ達のこと・・知ってるわけ?」
年の頃なら27〜8・・・。
淡いブロンドのエメラルドの瞳の美しい女性である。
「知ってるも何も・・・。ま、殲滅狙ってる組織の者・・って所かしらね?」
まあ・・信用してくれるとは思わないが、あながち嘘ではない。
実際にガウリイはこの組織を殲滅させるためのルクセンブルクの『フレイの騎士』
騎士団の旅団長の息子だ(らしい)し・・・・。
リナとて黙って命を狙う奴を見逃してやる筋合いは無い。
「そう・・・・。アタシは・・・アンドロマケ・・・・。」
「アンドロマケ・・・・。トロイヤ第一の英雄・・へクトルの妻の名前ね。」
「ええ・・。そうよ。アタシは実際に・・・英雄へクトルの妻よ・・・。
正式に言えば・・『だった』だけれどもね・・・・。」
「・・・・・・・????」
「お〜〜い!!リナ〜〜〜!!」
ちょうどその時だった。
「ああ、お帰りなさい、ガウリイ。」
「アイツやっぱり賞金首だったらし〜ぞ!!ほら!!賞金貰った♪
あ、分け前は山分けね。」
「分かってるわよ。で、その脇に抱えた紙の束は?」
「あ、さっきの奴が新聞の写真にのってたから買ってきたんだ。トルコ語の文字は
読めないんだがなあ・・・・・。」
なおもブツブツ言っているガウリイからリナはさっそく新聞を引っ手繰る!!
「これは・・・・・・・・・・・???」
『警察官ミッドガルズと衝突・・・・。へクトル巡査が抗争中に行方不明に・・・・。
犯罪組織ミッドガルズの幹部指名手配・・主犯格『ヨハン』・・・・・・・・。』
ねえ・・・・・。
「で・・・。貴方の旦那さんは・・・・。」
「ええ。連中との抗争中に行方不明になったわ。
奴等の秘密の何かを持ち出したらしいけど・・。アタシが持ってるんじゃないかって
奴等は思ったみたい・・・・。」
悔しげにアンドロマケは続ける。
「パリスの矢・・・か・・。で、今のが主犯格の『ヨハン』って奴だったの?ガウリイ?」
「う〜〜ん・・・。もっと長い名前だったと思う・・。」
じゃあ・・主犯格はまだ何処かに潜んでいると言う訳か・・・・・。
「こりゃ・・・。ますます厄介な事になりそうね・・・・・。」
言いながらリナは苦笑した・・・・・・・。


「『カタートの奴等は皆殺しだ』」
幼い頃に聞いた・・あの『ミッドガルズ』の連中の声が不意にリナの
脳裏に蘇る。
「ねえ。にいさま・・・。ゼロスにいさまと・・ルナねえさまは・・・?」
「さあな・・。あいつ等は・・。みんな『ルクセンブルクの血を引いている』からな・・。」
苦々しげなジョヴァンニの声・・・。
「アタシとにいさまは・・・・????」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
空白が脳裏を埋める・・。何か重要な事がこのときあったのか・・・?

連行されたのは・・一人だった・・・・。
次ぎに気付いたのは・・・・。そう、ルナの膝の上だった・・・。
助かったとそう直感した。けど・・・。

「リナ・・・。リナ!!」
「あ・・・。ガウリイ・・・。」
どうやら・・。バスの中で転寝してしまったらしい。
「うなされてたぜ?」
「うん・・・・・・。」
ルクセンブルクと言う名前を嫌悪していた理由は・・その事からだけだった。
今更ながらそれは理解している。
「なあ・・リナ・・・・・・・。」
ガウリイが言い終わるか終わらないかのその時だった・・・。
バス停にバスが到着する。
周囲に座っていた人間全員が下車する。背筋に凍りつくものを感じ、リナは
高部座席のほうを見やる。
ジャスト・・・・・・・・・・。
「迂闊だったわ・・・。あの時あたし達が指名手配犯を警察に突き出したばかりに・・・。」
リナに促されてガウリイも座席の後部を見渡す・・。
「そのようだな・・・。」
運転手も消えたバス・・・。出入り口は・・・封鎖されている。
「時限爆弾にするだけまだまだ甘いな。リナ・・・。」
「あのバック捨てたところでど〜にもならないわよ。脱出するしかないでしょ?」
「おうよ!!」
言うが早いかどうやったのか・・超強化ガラスで出来ている窓ガラスをいとも簡単に
突き破るガウリイ!!
「よっしゃ!!」
最初に窓際のリナを抱き上げて外に出す。
「自分で出れるわよ!!」
抗議の声は無視!!
「よっと!!」
言いながら今度は自分が脱出する。
「走れ!!」
既にそとに出ているリナを促しながらその場から走りさる!!

ばあああああああああああああああああああああああああああああああああんんんんん!!!!

安全地域に入ったとたんに爆発炎上するバス・・・。
「まったく・・・。単純と言うか、何と言うか・・。って・・・。
リナ・・・・???」
「炎・・・・????」
封印された・・いや・・・。自分から消し去ろうとした記憶が・・・・。


「どうして・・・・・どうしてなの・・・・???」
「言っただろ・・?『カタート』の奴は・・皆殺しって・・・。」
「だから!!どうして・・・・???????」
そう・・・。
どうして「貴方」が「私」を・・・・・・・・・????????
連行されたのは・・・・・・・・・・・・・・・・・そのためだったの???


「・・・・・。リナ。大丈夫か・・・?」
座り込んだままのリナを木陰の下まで連れて休ませ・・・。
手でくんだ清水を飲ませながらガウリイ。
「ま、トルコは暑いな!!」
「・・・春でも平均気温は低いわよ・・。トルコって国は。アラビア風の
あの暑いイメージは商業的なものよ・・・?」
放心した様に言うリナに苦笑しながら。
「あはは〜〜!!遺跡って言えばお宝ごろごろだもんな!!お前さんが気が遠くなるのも・・。」
「御生憎様。トロイヤ王プリアモスのお宝はドイツ人の探検家シュリーマンが穿り返して
ドイツに持って帰ったわよ・・。だから・・トルコではシュリーマンの評判は最悪・・。
ちなみに第二次世界大戦のドサクサで・・お宝は行方不明。現在トルコと
ドイツと戦勝国のロシアの間で醜い所有権の主張が繰り広げられている・・・。」
放心しているのか・・完全に教師地味た事務的な口調でリナ。
「あはは〜そっか(汗)まあ、パリスの矢を探さないとなあ(汗)・・・。」
パリスの矢・・・・・・・・。
そうね。そうかもしれない・・・。
パリスの毒矢・・・・・・・・・・・。


「木馬の中なんて・・・。単純すぎないか?」
ガウリイが抗議の声をあげる。
「アタシだって・・。泥棒よろしく夜中に木馬の中に偲び込みたくはないわよ!!」
不満そうにリナも言う。
「あったわ・・・・・。」
取り出されたのは・・・一枚の書類・・・・。
「やっぱり・・ね・・・。」
二つの事柄に際し、リナの直感は大正解だった・・・・・。


「出て来い!!貴様等が我々『ミッドガルズ』に刃向かうものとは分かっている!!」
どうやら。連中もへクトル捜査官が隠した『書類』がここにあることを察知したらしい。
「そんなに言わなくても・・・・・。出てきますよ。ヨハンさん・・・。いいえ・・・。」
リナの持つ懐中電灯に映し出される一人の人物。
「嘘だろ・・・・・?」
ガウリイの声も掠れる。
年の頃ならリナよりも多少年上と言った所か・・・?
栗色の髪に・・・紅の瞳・・・・。
「リナの・・・男版じゃねえか・・・・・??」
隣のリナと正面の人物・・まじまじと見比べながらガウリイは言う。
「貴方が貴方を消す計画を立てていたとは・・。ま、子供のあたしじゃ気付く事は
出来なかったわね。」
「真坂・・。こっちもその事を考えた書類がのこっているとは思わなくってね。
捜査官に盗まれたときは流石に焦った・・と言うわけだ。」
リナにそっくりな男はそうつぶやく。
「で・・・?あたしを生かしておいた理由は?あのまま殺す事も
出来たはずなのよ?」
フンと男は鼻でリナの言葉をせせら笑う。
「ソイツは・・・。もしかして『フレイの騎士』旅団長の息子か?」
ガウリイの事に違いない。
「ソイツのオヤジがガキだったおまえを助け出したんだよ。リナ。さ、
書類を渡してもらおうか・・・??」
確かに・・。これは『ミッドガルズ』にしては『パリスの矢』
なのかもしれない・・・・。
しかし・・・・・・。
「おい!!リナ!!」
やおらポケットに偲ばせたライターを取り出し・・・・・。
「どういう・・つもりだ・・・・・・。」
「あんたに渡した所で。この書類はこうなる運命だったんでしょ?
同じ事よ・・・。もっとも・・・。これで・・貴方は『ヨハン』になったわけでしょ・・?」
そして・・・。
私の貴方は完全に死んだことになる。
「ジョヴァンニにいさま・・・・・・・・・。」
殺されたと思っていた・・懐かしい名前・・・・。
「リナ・・・・・・・・・。」
そっと書類を燃やすリナを庇うような位置に立つガウリイ・・・・・。
「ち!!」
言いながら退いて行く『ヨハン』
「おい・・・・。良いのか・・・?」
「ええ・・・・・。『ヨハン』のイタリア語読みはジョヴァンニ・・・。
最初から薄うす気付いてたのよ・・・・・。」
書類が燃えるのを見ながらリナ・・・・・。
「・・・・・・。リナ・・・。」
「アタシは大丈夫よ!!ガウリイ。」
本心からリナは微笑んで見せる。
「いい?これからエジプトへ行くわ。ヘレネはね、トロイヤに駆け落ちしないで
エジプトへ逃げて居た・・。すなわち潔白説もあるのよ。何か・・手掛かりが
あるかもしれないわ。あいつ等を潰す、ね。アタシは行くけど・・アンタは?」
「馬鹿言え!!ここまで関わったからには・・最後まで付き合うに決まってるだろ?」
「よ〜〜し!!決定!!」


捜査官ヘクトルの無事が判明したのはそれからすぐのことだった・・。
もともと絶世の美女ヘレネは純粋で美しい女性だった。
だから・・ありもしない神話が一人歩きしたのだろう。
もともとトロイヤとギリシャの戦争は商業的な問題であったと歴史的には思われるし。
ならば・・・その伝説にもなるほど純粋な女性を信じてみたい・・・。
「ありがとね・・・・。」
そっと呟いてリナは出かける支度をするのだった・・・。

(続きます)