◆−みどりの惑星の上で−T−HOPE(3/2-23:10)No.8923
 ┣雰囲気のあるお二人の会話が好き。−庵 瑠嬌(3/9-16:48)No.8941
 ┃┗気に入って頂けて何よりです〜(^^)−T−HOPE(3/9-23:04)No.8944
 ┗とても不思議な感じですね−月の人(3/21-02:07)No.9075
  ┗有り難うございます♪−T−HOPE(3/21-23:00)NEWNo.9086


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8923みどりの惑星の上でT−HOPE E-mail URL3/2-23:10


 こんばんは〜な、T−HOPEです。
 えと、まだ下にツリー残ってるんですが……とりあえず別物なのと辿ってくの面倒なんで、作り直しちゃいました(死)
 内容的には…………何なんでしょうね(^^;)
 とりあえず、お気が向かれましたら、付き合ってやって下さいませ。

***************************
 
 
       「みどりの惑星(ほし)の上で」
 
 
 
  ……鳥の声がするわ
     誰かが細い言葉を紡ぐ
  ……ほら、真っ白な
 
    「…………で、くだ…………」
 
  ……さようなら
     もし、その言葉が許されるものならば
 
   ……いつか。いつか、また…………
 
 
  ――誰も知らない静かな夜
    鉱物にも似た静かな深紅の輝きを抱いて
 
   ――いつか。いつか、また、あなたに…………
 
  
         ……――闇は、静かに散った。
 
 
 
 日が、天高く輝いた。
 真昼の空は青く、ただ青く、ぽっかりと白い雲が浮かぶ。
 まるで鳥にも似たそれを、眺めるともなく眺めながら、足元の小さな影をじゃれつかせるようにに緩やかに、青年が一人歩いていた。
 ふわりと吹く風が、しなやかな闇色の髪を肩の少し上で揺らす。
 けれど、右の目にかかった前髪は、まるでそれを望まれているかのように、ほんの微かに動くだけで、その下の瞳を曝そうとはしなかった。
 白い手袋に覆われたしなやかな、けれど男性の手が、陽射しを遮るように少し、白い面の上にかざされた。
 ……道の先、僅かに行ったところの切り株に、静かに座っている人影を眺めるために。
 
 
「いい天気ね。賢者様?」
 黒いヴェールに包まれた、滑らかな肢体の女は、近づいてきた青年に、座ったまま静かにそう声をかけた。
 まるで甘い蜜のような、それでいて凍るほど冷たい声。
 青年は、手にした錫杖を、トン、と地面に付けた。
 そのまま、女の傍らで、立ち止まる。
「えぇ。本当に、いい天気ですね」
 女は、ヴェールの端からこぼれでた艶やかな金の髪を、白く華奢な指に絡め、小さく笑った。
 紅をさした風でもないのに深紅に濡れる唇が、半月を描く。
「……この先に、病んだ街があるわ」
「えぇ、知っています」
「行くの?」
「さぁ、多分」
 何でもないことのように笑みを返したまま、青年は答えた。
 女は、ふと笑みを消し、小さく溜息をついた。
「……何のために?」
 ヴェールの下、金の輝きがちらりとのぞく。
 青年は、僅かに小首をかしげた。
「理由が、必要でしょうか?」
「あら」
 ふっと、手すさびに弄んでいた己の髪から手を離し、女はまるで驚いたように口元を覆ってみせた。
 けれど、ちらりとのぞいた深紅の唇は、また綺麗な半月を描いていた。
 ……なぶるように。
 何処かで、獣の声がした。
「“人”を助けるに理由はいらない。
 ……そうとでも言うのかしら、“賢者様”」
「少なくとも、“人”はそれで納得しますよ」
 ――たとえその答えが、真実とは遠くても。
 青年は、笑みを絶やさぬまま、淡々とそう答えた。
 皮肉の混じったような奇妙な鋭さを持った、“賢者”の呼称に動じることなく。
 女はまた小さく溜息をつき、優美に肩をすくめた。
「成程ね」
 そして、美しい微笑を刻んだ唇を動かし、
「不思議だこと。
 何故人間は、まるで己の存在がさもこの世に必要で重要だと言わんばかりに、命などというものに固執するのかしら?
 彼等ごとき塵が幾千幾万消えたところで、また新たに塵は積もっていくものだというのに」
 心底不思議と言わんばかりの、赤子の無邪気さすら有した声が、そう疑問を呟いた。
 ……無造作に。
 青年は、その言葉に、苦笑をこぼした。
「彼等にとって世界はあるがまま、為すがままではなく、己が世界の中心なのですよ」
「…………せっかく、滅ぶことができるというのに」
「世の理すら見えぬ小さなもの。そのものにとっての世界の軸を揺るがすは、大きな恐怖でしょう。
 ……そして、それもまた一つの理」
 その言葉に、女は、ヴェールの内で眉を寄せた。
「“今の”貴方が、それを言うの?」
「僕の理ではありませんから」
 青年は、軽く肩をすくめてみせた。
「“彼等”が死のうが生きようが、僕には関係ない。
 “彼等”の世界に僕は属さない……えぇ、貴女が望んだ通りに?」
「そうかしら?」
 女は、皮肉げに微笑った。
「何も望まない何も必要としない…………我等は彼等とは違う。
 そうではなかったのかしら?」
「互いに背を向け立てば互いが見えず。
 ……けれど中空に輝く太陽にはどちらも同じ、一つの点」
 女は、ふと、笑みを消した。
 …………ヴェールの奥、眩い輝きがひときわ大きく揺れる。
「……“お前が”それを言うか?」 
 不快げな響きを持つ低い声に、青年は微かに笑い、最高級の舞踊すらもかすめさせんばかりに優雅にかつ美しく、一礼した。
 丁重に……けれど、空虚に。
「“上位者”たるものの誇りを傷つけたとあらば、お詫びを。
 これはただ、僕の、僕一人だけの、理」
「……その理の所以は、貴方が太陽だから、とでも?
 “賢者様”?」
 ふと、ヴェール奥の輝きが刃のように細まった。
 艶やかに笑んだ唇の紡ぐ言葉の刺を、青年は甘んじて受けるかのように、笑みを消さずただ微かに首をかしげた。
「かつて世の深淵の一端に僅かとはいえ触れることの叶った身で、そのような畏れを知らぬ言葉は吐けませんよ」
 ――全ての太陽は、唯、一つ。
 女はその言葉に、ヴェールの下で眉をひそめたようだった。
「その“太陽”の定めし理を裏切り続ける貴方から、そのような言葉が聞けるとは思わなかったわ?」
「裏切りの代償は…………もう、支払っていますよ」
「そうね」
 一瞬、苦しげに歪んだ青年の顔を一瞥し、女はふと、楽しげな笑みを披露した。
 まるで、その苦しみこそが甘い甘い滴る蜜だと言わんばかりに。
 けれど、一転その表情は消え去り、硬質さを漂わせる唇が、青年への疑問を紡いだ。
「けれど、それでも貴方は裏切り続ける」
 青年は、静かに瞳を伏せた。
「…………いいえ。
 いいえ僕はただ……探しているだけです」
「それが海の中に消えた一粒の砂金を求めることに等しくとも?」
「愚か…………と、嘲笑われますか?」
「もう、笑うことには飽いてよ」
 事の起こりに笑いすぎたと、言い放つのは紅の唇。
 ――だから、こうして尋ねに来たのだ、と、女は微かに顎をあげ、高飛車に言い切った。
「故に……こうして尋ねてやった返礼に、もう少し面白味のある回答を聞かせてほしいものだこと。
 ねぇ…………“賢者様”?」
 女のねっとりとした視線が、中空に輝く太陽に、漆黒の影を落として立つ青年へと向けられた。
 ……漆黒の、異端の法衣。
 それをまといながらなお青年は、病んだ村を、膿んだ街を、腐り果てた国を回る。
 ……――そうして、人を、救う。
 まるで、全ての人間を救うことを求めんばかりに……砂漠の砂を、汲み出すように。
「時すら受け流して“生きる”その楽しさを、是非、教えていただきたいものだわ?」
 千年……それとも、二千年?
 姿を変えることなく、それでも意識を揺らすことなく、青年はこうして道を歩んでいた。
 それを、女は知っていた。
 ……事の起こる前から、ずっと。
 青年は、口元に刻んだ笑みを消し、唯一本の影のように、そこに立った。
「……僕は“生きる”ことを望んだわけではありません。
 ただ……ただ、歩き続けているだけです」
「知っていてよ」
「幽かな、どれほど幽かな印でもいい……あの人が還ってきた証を知るために」
 女は、小さく溜息をこぼした。
 ふわりと、前に揺れた純金の髪を、後ろになでつける白い指。
 その爪の、唇と同じ鮮やかな紅。  
「……歩み続けるその行為こそが、あなたと“あの娘”を隔てるとしても?」
 青年は、その爪の鮮やかな深紅に、一瞬だけ瞳を逸らした。
「……――信じて、いるのです。
 あの人はきっと、遠い遠い時の向こう、過去と呼ばれる領域でさえ、鮮やかであろう、と」
 ――だから、僕は、合図を待ち焦がれる。
 呟く言葉に、また一つ、女は溜息を落とした。
「愚か者」
「おそらく、そうなのでしょうね」
 青年は、微かに喉の奥で笑った。
「でもだからこそ、意識も溶け揺らぎ、そして削り取られる時の波をやり過ごしてさえ、僕はまだ存在している」
 ふと、女は遠くへ視線を飛ばした風だった。
 一瞬の太陽を遮って飛ぶ、何か。
「……執着とは、恐ろしいものだこと」
 白い鳥が、青空を真横に切っていった。
「…………鳥は嫌いです」
「それは初めて聞いてよ?」
 まるで、先の会話から続かない言葉に、何故か女は何事もなかったかのように質問を投げかけた。
「貴方に好悪の感情が――例外一つ除いて――あったとは、知らなかったわ」
 試すようななぶるような言葉に、青年は、ふと、小首をかしげた。
「……おそらく、そうだったんでしょうね」
「何故?」
「…………死に逝くあの人の意識を、一瞬でも奪ったは鳥。
 もし、最期まであの人の視線を我がものにできたなら……あの人と視線を合わせることができたなら…………僕は」
 女は、くっと嗤い、不意に立ち上がった。
 すらりとした優美な肢体。標準より高い背の青年と並んでさえ、まだ、女の方が高い。
 けれど、視線をわざわざ落とそうなどと無駄なことは、女はしなかった。合わせるのならば、必ず相手。
 ……王と呼ばれるその高慢さ。
 それを知っていた青年は、大人しく面を上げ、女へと視線を向けた。
 女はまだ、嘲るような笑みを、造形されたように美しい唇にただ浮かべていた。
「……お笑いね」
「何故?」
「……あの娘の死に臨んでの視線を得れば、お前は狂わなかった、と…………本気でそのようなこと、言っているのならば、お前は愚か」
「…………」
 青年は、その言葉に、沈黙で応えた。
 が、女はその態度に、僅かに眉をそびやかした。
「答えなさい」
 青年は僅かに拭いた風に闇色の髪を揺らし、微かな笑みを頬に刻んだ。
 女は、続けた。
「答えなさい。
 …………ゼロス」
 
 
 ふと、夜の色をした青年の左の瞳が、風に顕わになり、一瞬、遠くを見つめた。
「……今日は、いい天気ですね」
「そうね、いい天気だこと」
「こんな日には、色々と、面白いことが起こりそうですね」
「あら、たとえば?」
 半月を刻んだ、女の深紅の唇。
 青年は、笑みに楽しそうな色を、一瞬だけ混ぜた。
「たとえば…………魔王様の腹心であらせられる尊い御方が、いきなりこんな道端に現れたり」
 女は、ふわりとヴェールをもたげた。
 露わになる、人には持ち得ない美の造形。美しく……けれど、何処か禍々しいのは、その輝く金の獣眼故か。
 それが、一瞬、細められる。
「たとえば…………人間の娘に恋をした挙げ句滅びた獣神官が、主に再び道端で出会ったり?」
 青年は、くすくすと笑った。
「今の僕は人間ですよ」
「判っていてよ。“賢者様”」
 生まれ変わり……人として肉の身を得てすら記憶を手放さなかった青年に、女は呆れたような声で返した。
 青年は、その言葉にまた笑い、小さく首をかしげた。
「僕を滅ぼしに来られたのですか? それとも、迎えに?」
「思い上がるのではないわ」
 女は、かつて青年に命を下した時と変わらない平坦な口調で、そう言った。
「たかが人。
 滅ぼそうとも思わぬし、我が自ら迎えようなどとは、もっと思わなくてよ」
「確かに」
 青年はそう呟き、非礼をわびるように一礼した。
「ただ、答えを聞いてみたかっただけ。
 ……愚かさも過ぎればあるいは見物になろうかと」
「いかがでしたか?」
「……退屈してよ」
「それは申し訳ありません」
 何処まで本気で喋っているものか、青年は変わらず動かない笑顔のまま、女に言葉を返した。
 女が、微かに肩をすくめる。
「そも……迎えも滅びも……我にそう望むのなら、まずその右の瞳の執着をどうにかしてから言うべきではなくて?」
「………………」
 青年は、僅かに笑みを深めた。
 そっと、右の瞳に、触れる。
「……お判りでしたか」
「聞くまでもないこと」
「…………はい」
 青年は、瞳にかかる髪を払い、笑むように細められた瞳を、そっと、開いた。
 左の瞳には、夜。
 右の瞳には…………。
「お前がそれを叩き割れるようにならぬ限り、愚かな放浪は続くのかしら?」
「おそらくは」
 ……青年の右の瞳に埋め込まれたは、真紅の、硝子。
「……そういえば、お前本来の瞳は、どうしたのだったかしら」
「あの人の死の間際、えぐり取って、それに手向けました」
「あぁ、そうだったわね。
 ……律儀にそれを引き継いだ、か」
 青年は、静かに頭を振った。
 闇色の髪が、さらさらと揺れる。
 全てを過去と同じくしながら……あえて、望んで、変えた一部。
「これは、僕の印」
「あの娘がお前を想うと、どうして言える?」
 青年は…………笑んだ。
 一瞬その瞳を、姿を、全て闇に堕として、そして、微かに微笑んだ。
「……真紅が僕を狂わせた。
 故に、僕はあの人を忘れない」
「鳥よりは遙かにマシな答えだわね」
「だから、あの人と視線重ねるその刹那まで、あの人が僕を全て忘却の淵に捨てることは、許さない」
 女は、一瞬唇を開き、また、閉ざした。
 それは酷く、珍しい光景だった。
 けれどやがて、女は再び言葉を紡ぐ。
「……不可能事を言い立てる子供」
「えぇ、そうですね」
「子供に道理を説いても始まらぬこと。
 ………………行きなさい。お前にもう、用はない」
 
 そうして青年は一礼し、女はそのまま、姿を空気へと溶け込ませた。
 
 
 日は天高く輝いていた。
 緑の森の奥、鳥達の声が響く。
 空にはぽっかりと白い雲が浮かぶ。
 
 ……そんな世界の上を、ただ、青年が一人歩いていた。



***************************

 てなわけで何かといえば、ゼロリナベースのゼラス様と転生ゼロス君の会話、なんです。一応は。
 ……確か目指したのはそうだった筈。
 何故かどうにも上手くいかなかったような気がしないでもないですが。
 ゼロス君人間に生まれかわっときながら、相変わらず人外のまんまだし。
 リナちゃんなんて、影も形もないし(;;)
 この話、そもそもはとある歌から生まれてたりします。
 「SEQUENCE」のイメージアルバムから、「恋人」
 ……と書いても、判る方っていらっしゃるんでしょうかねぇ……(謎)
 にしてもなぁ、も少しほのぼのとしたムード入れたかったんですが、シリアスひた走られましたね。
 うぅぅ……では、もしお気が向かれましたら、また読んでやって下さいませ(^^;)

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8941雰囲気のあるお二人の会話が好き。庵 瑠嬌 3/9-16:48
記事番号8923へのコメント


 こんにちはっ、感想遅れてすみません。庵 瑠嬌でございます!
 ああ、T−HOPEさんのシリアス、好きですわ……雰囲気ありますわよねっ。
 ここで発見できると、喜びもまた一潮。

> 
>  ……鳥の声がするわ
>     誰かが細い言葉を紡ぐ
>  ……ほら、真っ白な
> 
>    「…………で、くだ…………」
> 
>  ……さようなら
>     もし、その言葉が許されるものならば
> 
>   ……いつか。いつか、また…………
> 
> 
>  ――誰も知らない静かな夜
>    鉱物にも似た静かな深紅の輝きを抱いて
> 
>   ――いつか。いつか、また、あなたに…………
> 
>  
>         ……――闇は、静かに散った。
 
 ここが特に好きです。
 導入部分の、断片的な所。
 死にかけているリナさんとそのそばにいるゼロスさんが、おぼろげな感じで頭に浮んできますわ。
 この別れは、悲しいものでしょうが、未来に希望を繋げようとする最後のセリフが、切ないですわね……。
 じん、と心に響きます。

>「不思議だこと。
> 何故人間は、まるで己の存在がさもこの世に必要で重要だと言わんばかりに、命などというものに固執するのかしら?
> 彼等ごとき塵が幾千幾万消えたところで、また新たに塵は積もっていくものだというのに」
> 心底不思議と言わんばかりの、赤子の無邪気さすら有した声が、そう疑問を呟いた。
> ……無造作に。
> 青年は、その言葉に、苦笑をこぼした。
>「彼等にとって世界はあるがまま、為すがままではなく、己が世界の中心なのですよ」
>「…………せっかく、滅ぶことができるというのに」
>「世の理すら見えぬ小さなもの。そのものにとっての世界の軸を揺るがすは、大きな恐怖でしょう。
> ……そして、それもまた一つの理」

 うーん、人の命にさして価値など在りはしない、と言いきるゼラス様と、同じ認識を持って当然とばかりに、また類する言葉を返すゼロスさんの、ふたりのやり取りが凄いですわね。
 お互いとも、人間などに、一片の思い入れもないのが、あまりにも浮き彫りになっていて。 
 ――これで、ゼロスさんは、人助けをしているのですから、更に凄まじくも怖いですわ……。

>「“今の”貴方が、それを言うの?」
>「僕の理ではありませんから」
> 青年は、軽く肩をすくめてみせた。
>「“彼等”が死のうが生きようが、僕には関係ない。
> “彼等”の世界に僕は属さない……えぇ、貴女が望んだ通りに?」
>「そうかしら?」
> 女は、皮肉げに微笑った。
>「何も望まない何も必要としない…………我等は彼等とは違う。
> そうではなかったのかしら?」
>「互いに背を向け立てば互いが見えず。
> ……けれど中空に輝く太陽にはどちらも同じ、一つの点」
> 女は、ふと、笑みを消した。
> …………ヴェールの奥、眩い輝きがひときわ大きく揺れる。
>「……“お前が”それを言うか?」 

 この、一度読んだだけでは、わたくしの頭脳では理解できない、意味の深い頭の良い文章!
 なんどか読み返して、言葉の深みにうっとり致しますわ。我ながらおそろしい勘違いもしていそうですが(をいっ)。
 実際、謎かけのような会話が、このお二人にはお似合いでしょう。
 急に威圧的になる、ゼラス様が格好よくて素敵♪

> ……漆黒の、異端の法衣。
> それをまといながらなお青年は、病んだ村を、膿んだ街を、腐り果てた国を回る。
> ……――そうして、人を、救う。
> まるで、全ての人間を救うことを求めんばかりに……砂漠の砂を、汲み出すように。

 そういう事をする人が、不幸な人すべてが救われることを、切に願っていることは少ないでしょう。おおかた、裏に目的があるものです。
 ……レゾさん、このパターンでしたよね……。
 この場合は、リナさん(の生まれ変わり)を見つける事でしょうか?
 かすかな手がかりを見つけただけで、ゼロスさんとしては報われるものを感じるのではないかと思うのですが。

>「…………鳥は嫌いです」
>「それは初めて聞いてよ?」
> まるで、先の会話から続かない言葉に、何故か女は何事もなかったかのように質問を投げかけた。
>「貴方に好悪の感情が――例外一つ除いて――あったとは、知らなかったわ」
> 試すようななぶるような言葉に、青年は、ふと、小首をかしげた。
>「……おそらく、そうだったんでしょうね」
>「何故?」
>「…………死に逝くあの人の意識を、一瞬でも奪ったは鳥。
> もし、最期まであの人の視線を我がものにできたなら……あの人と視線を合わせることができたなら…………僕は」

 過ぎ去った昔の事ならなんとでも言えるとはいえ、なかなか飛躍したことをおっしゃるゼロスさん……。
 ……ああ。こういうセリフだけで、ゼロスさんの狂いっぷりがうかがえて良いですわね。
 ある意味、訳の判らない域にまで達した、ゼロスさんの執着心が、わたくしは大好きですわ。
 ――って、失礼なことを申しあげているようですが、わたくしは純粋に喜んでいるんですの(汗)。なにか不快に思われても、あまりお気になさらない事をお願い致します。

>「あの娘がお前を想うと、どうして言える?」
> 青年は…………笑んだ。
> 一瞬その瞳を、姿を、全て闇に堕として、そして、微かに微笑んだ。
>「……真紅が僕を狂わせた。
> 故に、僕はあの人を忘れない」
>「鳥よりは遙かにマシな答えだわね」
>「だから、あの人と視線重ねるその刹那まで、あの人が僕を全て忘却の淵に捨てることは、許さない」

 リナさん、凄い方に目をつけられたものですわね……。
 いやいや、ここまで愛されたら、ある意味女冥利に尽きるかもしれません。
 さすがに、長い時を経ているだけに、ゼロスさんのなかで、決心は全く変わる余地がなさそうで。
 リナさんに対する感情や思いやイメージを、すべて右目に埋め込んで、ゼロスさんは、放浪を続けながらリナさんを探しつづけている……と。
 ――勝手な思いこみも含まれているようで、すみません(汗)

> てなわけで何かといえば、ゼロリナベースのゼラス様と転生ゼロス君の会話、なんです。一応は。
> ……確か目指したのはそうだった筈。
> 何故かどうにも上手くいかなかったような気がしないでもないですが。

 気のせいです。(ドきっぱり)
 間違いなく、そのままではありませんか!
 ゼロスさんに淡々と語らせるだけで、すぐさまゼロリナ真骨頂の様を呈する時点で、T−HOPE様の実力というものを感じますわね……!

> ゼロス君人間に生まれかわっときながら、相変わらず人外のまんまだし。
> リナちゃんなんて、影も形もないし(;;)
> この話、そもそもはとある歌から生まれてたりします。
> 「SEQUENCE」のイメージアルバムから、「恋人」
> ……と書いても、判る方っていらっしゃるんでしょうかねぇ……(謎)
> にしてもなぁ、も少しほのぼのとしたムード入れたかったんですが、シリアスひた走られましたね。
> うぅぅ……では、もしお気が向かれましたら、また読んでやって下さいませ(^^;)

 これはシリアスで良かったと思いますわ!
 ……まぁ、T−HOPEさんの書かれたものならば、おそらくほのぼのを入れても、それはそれで良いものになるのでしょうけれど。
 わたくしが拝見致しますに、これはこのままで、現在完璧の仕上がりを見せているようですから。
 不満などとても抱けるものではないと思いますわ……。

 また、こちらに投稿なされることを楽しみにしております。
 妙に突っ走った感想、ご不快になられなかったことを祈ります。
 それでは失礼をば……。


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8944気に入って頂けて何よりです〜(^^)T−HOPE E-mail URL3/9-23:04
記事番号8941へのコメント

> こんにちはっ、感想遅れてすみません。庵 瑠嬌でございます!
> ああ、T−HOPEさんのシリアス、好きですわ……雰囲気ありますわよねっ。
> ここで発見できると、喜びもまた一潮。

 いえいえ、とんでもないです(^^)
 感想、毎回本当にどうも有り難うございます♪
 雰囲気あるかどうかはともかく、下手の横好き押し進めていったらこうもなろうかという感じですので(^^;)

> ここが特に好きです。
> 導入部分の、断片的な所。
> 死にかけているリナさんとそのそばにいるゼロスさんが、おぼろげな感じで頭に浮んできますわ。
> この別れは、悲しいものでしょうが、未来に希望を繋げようとする最後のセリフが、切ないですわね……。
> じん、と心に響きます。

 すなわちここが、諸悪の根元(笑)
 いえ、未来に希望を繋げようとするリナちゃんは納得いくんですけどね。
 ……ゼロス君が魔族じゃない(^^;)
 でも、かなりでっちあげなんでどんなものかと思いましたが……気に入って頂けて、何よりです(^^)

> うーん、人の命にさして価値など在りはしない、と言いきるゼラス様と、同じ認識を持って当然とばかりに、また類する言葉を返すゼロスさんの、ふたりのやり取りが凄いですわね。
> お互いとも、人間などに、一片の思い入れもないのが、あまりにも浮き彫りになっていて。 
> ――これで、ゼロスさんは、人助けをしているのですから、更に凄まじくも怖いですわ……。

 ゼロス君て(リナちゃんは除いて)、自分以下の存在には殆ど視線すら向けてないような気がしたので、じゃぁその創造主であるゼラス様も……と。
 でも実際、魔族や神にとって、人間の価値判断なんて、理解できなそうだなぁ、と。
 えぇ、なので人間には思い入れなんてありません。ゼロス君が思い入れあるのは、ただただ、リナちゃんだけ(笑)
 ……人助けは…………まぁ、手段であって、目的じゃありませんし(悪人(笑)

> この、一度読んだだけでは、わたくしの頭脳では理解できない、意味の深い頭の良い文章!
> なんどか読み返して、言葉の深みにうっとり致しますわ。我ながらおそろしい勘違いもしていそうですが(をいっ)。
> 実際、謎かけのような会話が、このお二人にはお似合いでしょう。
> 急に威圧的になる、ゼラス様が格好よくて素敵♪

 いえ、それはただ単に、表現が稚拙で独りよがりなだけなんです〜(;;)
 理解できるのは、ひとえに庵様の理解能力が優れているためで。
 勘違いなさったとしたら、それ皆全て、私の責任……しくしく。
 ……まぁ……でも、謎かけというか掛け合いというか化かし合いというかの方が、このお二方には似合いそうだったもので。
 威圧的なのは……女王様ですし、この方(笑)

> そういう事をする人が、不幸な人すべてが救われることを、切に願っていることは少ないでしょう。おおかた、裏に目的があるものです。
> ……レゾさん、このパターンでしたよね……。
> この場合は、リナさん(の生まれ変わり)を見つける事でしょうか?
> かすかな手がかりを見つけただけで、ゼロスさんとしては報われるものを感じるのではないかと思うのですが。

 all of them ではなく、one of them……まぁ、殺しまくるよりはいい筈ですが(^^;)
 レゾさんは、実験台で、でしたよね(笑)
 ゼロス君は……リナちゃんを見つけるというか、リナちゃんが万が一にも出会う前に死んだら嫌というか……。
 自分の目の届かないところで生きて死なれるのは嫌だということらしいです(((^^;)

> 過ぎ去った昔の事ならなんとでも言えるとはいえ、なかなか飛躍したことをおっしゃるゼロスさん……。
> ……ああ。こういうセリフだけで、ゼロスさんの狂いっぷりがうかがえて良いですわね。
> ある意味、訳の判らない域にまで達した、ゼロスさんの執着心が、わたくしは大好きですわ。
> ――って、失礼なことを申しあげているようですが、わたくしは純粋に喜んでいるんですの(汗)。なにか不快に思われても、あまりお気になさらない事をお願い致します。

 まぁ……何処まで本気で言ってるかは、謎ですけど(^^;)
 実際、イッちゃってますよね。困ったものです。
 いえ、その……気に入って頂けたら、何よりですが……。
 ……というか、お気になさらないで下さい。書いてる本人からして、何なのこの我が儘駄々っ子はっ! とか言ってますし(笑)

> リナさん、凄い方に目をつけられたものですわね……。
> いやいや、ここまで愛されたら、ある意味女冥利に尽きるかもしれません。
> さすがに、長い時を経ているだけに、ゼロスさんのなかで、決心は全く変わる余地がなさそうで。
> リナさんに対する感情や思いやイメージを、すべて右目に埋め込んで、ゼロスさんは、放浪を続けながらリナさんを探しつづけている……と。
> ――勝手な思いこみも含まれているようで、すみません(汗)

 不運ですよね、リナちゃん……(遠い目)
 ……そうしてるのは、私ですが(笑)
 いえ、どうっっっしても私が書くと、ゼロス君の愛情って執着と紙一重というか、殆ど同じものに(笑)
 決心、も少し変わってくれたらリナちゃんも楽でしょうねぇ……(−−;)
 ……えぇ、きっとそのまま全て右目に押し包んだまま、探し続けるのでしょう。
 たとえ決してその先に続くものがなくとも。

> 気のせいです。(ドきっぱり)
> 間違いなく、そのままではありませんか!
> ゼロスさんに淡々と語らせるだけで、すぐさまゼロリナ真骨頂の様を呈する時点で、T−HOPE様の実力というものを感じますわね……!

 というか、もっとさらっと語ってもらうつもりだったんです。
 当初の予定では!
 ……何であんなまたべたべたな……まぁ、私が書いてるせいかもしれませんね(;;)

> これはシリアスで良かったと思いますわ!
> ……まぁ、T−HOPEさんの書かれたものならば、おそらくほのぼのを入れても、それはそれで良いものになるのでしょうけれど。
> わたくしが拝見致しますに、これはこのままで、現在完璧の仕上がりを見せているようですから。
> 不満などとても抱けるものではないと思いますわ……。

 あぅ(^^;)
 いえ、お褒め頂けたのはとっても嬉しいですが……。
 ……確か私、今回はも少し絡みの少ない、さらっとした仕上がりを楽しむつもりだった筈(あくまでも、筈(^^;)
 …………まぁ、無事収束しただけいいのかもしれません……(((^^;)

 それでは、本当に感想、有り難うございました(^^)
 また……えぇとぉ……お気が向かれましたら、目を通してやって頂けると嬉しいです(^^)

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9075とても不思議な感じですね月の人 E-mail 3/21-02:07
記事番号8923へのコメント

こんばんは、T−HOPE様、月の人です。
かなり遅くなりましたが、感想です。

この作品を読んで、とても不思議な気分になりました。
なんていうんだろう、この二人の持つ雰囲気がとてもいい感じです。
普通に会話してるのに、どうもそうじゃない雰囲気が感じられますね。

ゼラス様は、とても艶やかで綺麗で、そして、どことなく冷たい印象がありますね。ゼロス様は、人間に転生したとはいえ、やっぱり人とは違った、昔、魔族だったころの面影が、強く残っていますね。
表現のしかたが、とてもうまいです。読んでて、話しに引き込まれてしまいました。

ゼロス様が賢者になって、人々を助けていく。
魔族だったときには、絶対考えられないこと・・・
リナちゃんを失って、彼女の意思を引き継いだのでしょうか?
それとも、彼女を失って、本当に狂ってしまったのでしょうか?
なによりも、ゼロス様の瞳に生め込まれている真紅の硝子が何かものがたっているようで・・・深いものを感じました。

ゼロス様は、リナちゃんを探しつづけているんですね。
ゼラス様も、そんなゼロス様に言葉は厳しいけど、どこか愛情に似たものをもってるんですよね。親子愛でしょうか?
この親にして、この子ありですか・・・

リナちゃんとめぐり合える日がくることを祈ってます。
私の中では、この二人は、とても強い絆があると思ってますから・・・

すいません、私のお馬鹿な頭では、到底わかることができないです。
もっと、深いものを込めているとは思うのですが、私にはこれが限界です。
また、書き散らかしてますが、読んでもらえると嬉しいです。
体にはお気をつけくださいね。
素敵な小説、ありがとうございました。


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9086有り難うございます♪T−HOPE E-mail URL3/21-23:00
記事番号9075へのコメント

>こんばんは、T−HOPE様、月の人です。
>かなり遅くなりましたが、感想です。

 こんばんは〜。
 またも感想、どうも有り難うございました(^^)

>この作品を読んで、とても不思議な気分になりました。
>なんていうんだろう、この二人の持つ雰囲気がとてもいい感じです。
>普通に会話してるのに、どうもそうじゃない雰囲気が感じられますね。

 まぁ……ゼラス様絡むと、どうにも普通じゃないんでしょうねぇ(^^;)
 ……というか、私のそういう印象のせいですが(笑)
 いえ、だってゼラス様ですし……。

>ゼラス様は、とても艶やかで綺麗で、そして、どことなく冷たい印象がありますね。ゼロス様は、人間に転生したとはいえ、やっぱり人とは違った、昔、魔族だったころの面影が、強く残っていますね。
>表現のしかたが、とてもうまいです。読んでて、話しに引き込まれてしまいました。

 有り難うございます(^^)
 どうしても、ゼラス様をゼラス様らしく書けなくて、結構煮詰まったんですが(((^^;)
 ゼロス君は……所詮ゼロス君ってことですね(^^;)

>ゼロス様が賢者になって、人々を助けていく。
>魔族だったときには、絶対考えられないこと・・・
>リナちゃんを失って、彼女の意思を引き継いだのでしょうか?
>それとも、彼女を失って、本当に狂ってしまったのでしょうか?
>なによりも、ゼロス様の瞳に生め込まれている真紅の硝子が何かものがたっているようで・・・深いものを感じました。

 まぁ……ゼロス君、本人言ってるとおり、人間なんてどうでもいいと思ってますし。
 ただ単にリナちゃんを探すための手段に過ぎないんでしょぉ、多分(^^;)
 ……狂っているといえば、狂っていますが……。

>ゼロス様は、リナちゃんを探しつづけているんですね。
>ゼラス様も、そんなゼロス様に言葉は厳しいけど、どこか愛情に似たものをもってるんですよね。親子愛でしょうか?
>この親にして、この子ありですか・・・

 愛情……なんでしょうか……う〜ん(^^;)
 ゼラス様が何考えてるかは、書きながらも結構謎でした(笑)

>リナちゃんとめぐり合える日がくることを祈ってます。
>私の中では、この二人は、とても強い絆があると思ってますから・・・

 会える……かどうかは……どうなんでしょうねぇ……。
 それでもゼロス君は、探し続けるんでしょうが。
 とりあえず、意識が続く限りは、ですが。

 それでは、このような駄文(いえ、判りづらいのは下手だからですし(^^;)を読んでいただき、有り難うございました(^^)
 また、お気が向かれましたら、目を通してやって下さいませ。