◆−許されざる・・・・13−なゆた(2/11-02:05)No.8760
 ┣Re:許されざる・・・・13−ミーナ(2/12-00:10)No.8786
 ┃┗お待たせします(っておい)−なゆた(2/13-01:57)No.8803
 ┣続きだぁっ!−葉夢(2/12-00:23)No.8787
 ┃┗そうですぅ!−なゆた(2/13-02:06)No.8804
 ┣Re:許されざる・・・・13−エイス(2/12-17:50)No.8798
 ┃┗こまめに移動−なゆた(2/13-02:10)No.8805
 ┗許されざる・・・・14−なゆた(2/13-01:54)No.8802
  ┗久しぶりです〜−makoto(2/15-01:24)No.8822


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8760許されざる・・・・13なゆた 2/11-02:05


 ル・アース公国の城下町から少し外れた所に,一軒の小さな家が建っている。城下町から離れているといっても、そこは街道からほど近い場所。人通りは結構ある。その場所にあるその家は、そういう人達をターゲットにした食堂を開いている。
 その店に、城下町の方から一人の男が歩いてきていた。現ル・アース大公レイス=グレイワーズである。大公宮での華やかな服装ではなく、平凡な青年の服装を身につけている。手に何かをさげ、何やら考え込んだ顔で歩いているのだ。
 そして、店の前に立つと入りかねるようにその前をうろうろし始めた。一歩足を踏み込みかけ、またもどる。しばらくうろついたら、また踏み込もうとする。それを何度か繰り返し、一度立ち止まると、レイスは大きく息を吸った。そして、小さく頷くと意を決して一歩踏み出しかけた。
「何やってるの、レイス。さっきから」
 半分溜息を含んでいそうな声が後ろからかけられた。
「うわあ!!」
 驚いて、一歩下がりながら振り返るレイス。目の前には、呆れた顔で立っている一人の少女がいる。緩やかに波打つ髪を肩のあたりで軽くまとめ、動きやすい服装を見につけている。紫の瞳を半眼に閉じ、呆れた視線で自分の国の大公を見つめていた。
「そんなに驚く事ないじゃない。どうしたの、今日は?」
 冷ややかな少女の問いかけに、レイスが口元を引きつらせたまま手に持った者を彼女に差し出す。
「えっと。新鮮な果物が手に入ったんで、ルーシャと一緒に食べようかなって思って」
 差し出された袋を受けとって、ルーシャは中を覗き込んだ。確かに、中には新鮮なオレンジやリンゴが入っている。
「それで、何があったの?」
 袋から顔を上げずに放たれた一言に、ぎくりとレイスの顔が引きつった。
「な、ななななんのこと?」
「昔っから、言いにくい事があると私の好きな物持ってくるのよね。それで話しが逸れるならそのまま話さないでおこうってつもりで。確か、兄さんがいなくなった時にはケーキだったわ。ちなみに、兄さんからの誕生日プレゼントを無くした時はケーキ」
「っう!」
 冷静なルーシャのつっこみに、あからさまに顔色を無くすレイス。それでは、自分から何か隠していますと言っているようなものだった。
「それで、今回はどうしたの?」
 嘘は絶対に許さない、と瞳に宿らせて、ずいっとルーシャがレイスに一歩近づいた。びくっと、レイスがそれに合わせて一歩下がる。
「まさか,今回も兄さんの事だなんて言わないでしょうね!」
 ぎくっと、レイスの僅かに顔が引きつった。それを見逃すほど,彼女は彼との付き合いが短いわけではない。
「何があったのか、話してくれるわよね?」
 笑顔にのせた脅迫が、これ以上はないほどに怖かった。
 思わず頷きそうになるレイスの視界の片隅に、その時ふと何かが映った。普通なら,見逃しても差し障りのないほどの通りすがり。なのに、異常に心にひっかかった。
「レイス?」
 怪訝な顔をするルーシャをそっと横に押しのけると、すっと先ほど見かけた人物達の前に回り込んだ。

 土色のローブを頭から被った三人の男の前に、レイスが立ちはだかる。
「申し訳ないが旅の方々。これより先は我がル・アースの城下町。そのように素顔を現さずに入ってもらって欲しくはないのですが?」
 完璧に嘘だ。ル・アースには入国者の制限は特にない。要注意と思われる人物には、国境を超えた時点で密かに監視がついてるからだ。
 レイスの要求ははっきり言って、傍若無人以外の何物でもなかった。だが、男達はじっとレイスを見たまま、身じろぎもしない。すっと、レイスが軽く目を細めた。
「これ以上立ち入る事をお断りします。どうぞ、お引取りを」
「・・……っふ。ル・アース大公のレイス=グレイワーズ、か。なるほど、似てないとも言えぬな」
 嘲弄まじりに吐き出された言葉に、レイスの顔が瞬時に冷めたものになる。誰に似ているか言われなかったが、その意味する所は明白だった。レイスがすっと腰を落とし、腰に下げてある剣の柄に手をかける。
「兄さんをどこへ連れて行った?」
 脅しを含んだその声に、男達の一人がフードをとった。短く刈り込まれた明るい金髪が、日の光を受けて輝く。
「………アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンがここにいると聞いたが?」
 男の言葉に、レイスは内心で密かに頷いていた。やはり、向こうから接触を図ってきた。ならば、それを逃す手はない。
「失礼だが、セイルーンの使いとも思えないので」
 教えるつもりはないと言い切ったレイスに、すっと男が目を細めた。
「ならば、勝手に探させてもらおう」
「ま、まて!」 
 すぅっとレイスの横を通り抜けようとするのに、剣を抜き放ち慌ててその前に回り込む。
「僕の質問に答えてもらっていない!兄さんはどこだ!」
「愚かな、人間め」
「え?」
 嘲弄まじりの発言の内容に、一瞬だけレイスの気が逸れた。その刹那、男の手から小さな何かが飛来する。
「っく!」
 キィン!
 正確に眉間に飛んできたそれを寸での所で弾き返した。小さな金属の固まりが地面に落ちる前に、ひゅっという軽い音と共に男の元へとかえる。細い糸が付けられている様だ。軽く下がって、レイスは男との距離を取る。
「邪魔をすれば、命はない」
 背筋が凍りそうな、冷たい声。そこには、感情の欠片もこもっていなかった。ぎりっと,レイスが唇をかみ締める。
「それで、引けるとでも?」
「ならば、死ぬが良い!」
 同時に飛来する、金属のつぶて二つ。
 だが、レイスはそれを避けもせずに真っ直ぐに突っ込んでいく。
「自ら死を望むか?!」
「誰が!」
 すっと見をよじるその後ろから、新たな人影が飛び出してくる。
「…誰を連れて行ったですって?」
 双剣を構えたルーシャが、飛来するつぶてを糸ごと絡めとった。そのまま力任せに一気に引っ張る。不意を付かれた形の男は、バランスを崩して前へと倒れ込む。
「捉えた!」
 男に向かって刃を突き出した。避け切れる距離ではない。瞬間、男がかっと口を開いた。
「ディフレッシャー!!!」
 きゅごぉぉお!
 青白い閃光が二人の間をかすめて、突きぬける。
 おおぉぉぉぉぉ……ごかぁぁぁあああ!!!!
 衝撃と共に、後ろの方から轟音が響いた。
「あああ!!!僕のうちがぁぁぁぁぁああ!!」
 逸れたレーザーブレスが、大公宮の一部を削り取って破壊したのだ。レイスの絶叫に顔を顰めながら、ルーシャが双剣を振って糸を解く。
「何者?」
 小さな小さな呟きに、男達は唇に笑みを浮かべただけだった。


「う、う〜ん」
 小さなうめき声を上げて、アメリアはゆっくりと目を開いた。だが、そこにあったのは闇。自分の目の前にかがげた手さえも見えないような,深い闇の中だった。
「こ、ここは・・・…?たしか、どこかから、滑って行って……」
 ゆっくりと体起こし、2・3度頭を振る。手や足に怪我がないことを確認して、アメリアはゆっくりと立ち上がった。光源がないので何も見えないのは変わらない。
「ライティング」
 ぽぅ。
 小さな明かりが周囲をぼんやりと浮かび上がらせた。そこは、暗い石造りの部屋…ではなかった。
 壁際には天井まで届きそうな本棚に、数え切れないほどの蔵書。棚の上には国宝級のマジックアイテムがずらりと並んでいる。部屋の中央にはいささか小さめの机と、それより五倍ほどの大きさの机が並んで置いてある。その机の上にもまた、ごちゃごちゃと色々なものが置かれている。
「ほえ〜〜」
 思わずアメリアは歓声を上げていた。それほどまでに、その部屋は魔道を学ぶ者にとっては高い価値を秘めているものなのだ。
「でも、なんでゼルガディスさんの部屋から・・・…?」
 そう考えて、何気無く小さな机の方に手を置いた時に,気がついた。そこに、小さな漆黒の宝玉。無造作に投げ出されていたそれが、なぜか妙に気になった。
 すっと手にとってみる。刹那、背筋に悪寒が走った。言い様のないほどの嫌悪感、拒絶、そんなものが直感的に駆けぬけた。
「な、なん……」
 ご、ごごぉぉおお!
 思わずそれを投げ捨てようとした時、足元から衝撃が突きぬけた。下から突き上げてくるそのうねりに、堪え切れずに膝をつく。
 その時、一瞬だけ手が何かに触れた。と、同時にぼぅっと床に明かりがともる。それは、円形の魔法陣でアメリアをすっぽりと包んでいる。
「ほえ?!!」
 まぬけな声を出した途端,光と共に彼女の姿はそこから消えた。


「一体何が目的だ!!」
 衣服のあちこちが破れ、顔に煤を付けたレイスが叫ぶ。赤く輝く刀身も、切っ先が僅かにぶれている。隣に立つルーシャも程度はましなものの、レイスと同じようにぼろぼろになっている。
 あの後、つぶての数を七つに増やされ、さらに波状的に出されるブレス攻撃に翻弄されて、一矢報いることも出来ていないのだ。
 無傷のままの男が、無言のままに両手を僅かに動かしている。それに合わせて、小さなつぶて達がひゅんひゅんと軽い音をたてて回っている。
「最後だ!」
 7つのつぶてが一気に襲いかかってくるべく,動きを一瞬だけ停止した。ざりっと、石を踏みしめて警戒する二人。その時、
「お持ちなさい!!」
 どこからともなく響く声。
 びくっと、その場にいた者達の動きが止まった。フードの男達がきょろきょろと周囲を見渡す。
 レイスとルーシャは、ついお互いの顔を見つめ合わせた。
「…………この声って、聞いたこと有るんだけど?」
「………奇遇ね、私もそう思っていた所よ」
 大きく溜息をついた時、フードの男達が一点を指差した。二人して、恐る恐る顔を向けた。
 はたして、そこに彼女は、いた。

 
*******************************
 御久しぶりです。今回疲れているのでコメントなしですm(_ _)m

 前回感想を頂いたエイスさん、makotoさん、ミーナさん。
毎度ありがたうございます。こんなにゆっくりした更新ですけど,見捨てないでいてくだされば幸いです。

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8786Re:許されざる・・・・13ミーナ E-mail URL2/12-00:10
記事番号8760へのコメント

こんばんわ。楽しみに待っておりました。
見捨てるなんて、恐れ多くてできませんよぉ。
どうぞゆっくりなさってください。
お茶とお菓子も用意しておきますから。(笑)

今回はお久しぶりのアメリアの登場ですね。
とおもったらまた魔法陣でどっか飛ばされちゃうし。
考えたらアメリアってよく強制移動されてますねぇ。
しかも今度はレイス、ルーシャと竜族の皆さんの戦いの場に登場のもよう。
さてはてどうなるのやら・・・

それでは、次回もがんばってくださいね。

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8803お待たせします(っておい)なゆた 2/13-01:57
記事番号8786へのコメント

 こんばんはミーナさん!毎度毎度ありがとうございます。

 なんだかものすごい勢いで下へと向かっている事に気付き、
急いで書いたんですが、やはり遅いですね。

>お茶とお菓子も用意しておきますから。(笑)
 うう〜、いつかゆっくりいただきたいです〜

>今回はお久しぶりのアメリアの登場ですね。
>とおもったらまた魔法陣でどっか飛ばされちゃうし。
 どこ飛んで行ったかは、すでにばれて〜らって感じですけどね。

 下の方では、レイスとルーシャに・・・・・・・(ふふ)

>

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8787続きだぁっ!葉夢 E-mail 2/12-00:23
記事番号8760へのコメント

 ひっさしぶり〜! 葉夢です〜!
 いやあ〜! 内容忘れちゃったかと思ってたんですが……読んでみたらそうでもなかったです。(笑)
 すっごい気になりますね!
 で、ちなみにルーシャって誰なんでしょーか?
 このキャラも前作で出てた人だったりして……?
 結構このキャラ気に入りましたっ!
 理由は自分でもよくわかんないんですけど。(^_^;)
 なんか……いいんですよね。

 さぁさぁ! 最後に現れた人物は誰なのでしょうか!
 私はあの人だと思うんですけどね。
 次回、待ってますねっ!

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8804そうですぅ!なゆた 2/13-02:06
記事番号8787へのコメント

 おひさしぶりです〜、なゆたです!!

 内容、覚えていただいていて光栄っす。
もう、どこまで書いたか,時としてボケる時が自分でもあるんですよ〜。
うう、離しだけは浮かんでるんですけどね〜。

> で、ちなみにルーシャって誰なんでしょーか?
 説明しましょう!(だれ?!説明おばさんなんていったの!/なぜなに…)
 彼女はレイスとゼルの幼馴染で、ゼルのことを「兄さん」と呼ぶ、もう一人の人物。前作にも出てきてますが、その時はレイスの父のせい(←悪役さんだった)で盲目でした。
 で、ゼルに憑いた(笑)レゾさんの力で回復。
 「贖罪」での騒動が終わった後、レイスとレイスの父と一緒に国へと帰った。
 レイスとは「はっきりしない両思い」状態。
 ちなみに、双剣振りまわすのはゼルが面白がって教えたせい(ああ、裏設定)。
 かんっぺきな、オリジナルです。

 気に入っていただけて幸いです。
でも、なんか書けば書く程、ミリーナに似てきたな、この子・・・・・・・(大汗)。



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8798Re:許されざる・・・・13エイス E-mail URL2/12-17:50
記事番号8760へのコメント

 こんにちは〜エイスです〜。

 はぁ。また凄いことになってますねぇ。

 アメリアはまた強制移動ですか(笑)相変わらずはちゃめちゃが好きなお方です。
 それにまた戦いが始まっちゃうし。その途中で誰かさん(見当…というか多分あの人だと思いますが)が登場するし。

 そういえば猿の干物さんは後回しですか(笑)←つぼだったらしい

 あとですね。どうも話の展開を忘れてるなぁと思ったら、どうやら1話か2話ほどすっとばして読んでたみたいです。
 おかしいなぁ…?

 えと、母がお出かけから帰ってきたようなのでこのへんで失礼させていただきます。
 それでは。
    エイス

 PS、絶対見捨てなんかしません。というかついていきます(笑)

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8805こまめに移動なゆた 2/13-02:10
記事番号8798へのコメント

 こんにちは〜、エイスさん〜。
毎度感想ありがとうございます〜。

> はぁ。また凄いことになってますねぇ。
 偉いことになっておりやす。
まだまだ、序の口ていどですけどね。
これから更にエライことになるでしょう!(断言)
 だって、あれがこうなって、ここでこうなるって・・・・・意味不明ですね。
でも、まだ教えられないんですよね〜(楽しいらしい)

> そういえば猿の干物さんは後回しですか(笑)←つぼだったらしい
 あはははは。後回しです、はい。
っちゅうか、次回にまわされました。15は、そっちだと思うんでもうちょっとお待ちください。

> あとですね。どうも話の展開を忘れてるなぁと思ったら、どうやら1話か2話ほどすっとばして読んでたみたいです。
 ありゃ?えっと、著者別の方にも登録してるんで,よかったらそっち使った方が早いと思います。

 でも、読むほどの価値もないかも・・・・・・・(しくしく)

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8802許されざる・・・・14なゆた 2/13-01:54
記事番号8760へのコメント

「人通りがないとは言え、街道のど真中での乱闘騒ぎ!しかもそこのあなた!以前、私の睡眠の邪魔をしましたね!!いろいろ聞きたいこともあります!このアメリアの正義の拳に全てを告白なさい!!とぅ!!!」
 ばっ!くるくるくる………、ごきゅ。
「……なんか、鈍い音が聞こえなかった?」
「……首も変な方向に曲がって見えるわ」
 頬に冷や汗一つ流したレイスとルーシャが、引きつった顔で唐突に現れて自滅したアメリアを眺めている。
「……ど、どうしよう」
「……な、何すれば良いのかしら?」
 凍てついた空気の中、声を出さなければ押しつぶされてしまいそうだった。とりあえず、二人して彼女を助け起こすべく歩き出す。その時、
 がば!!
『うわ!起きた?!!』
 ギョッとする二人をよそに、アメリアはびしっと三人の男達を指差した。
「さあ、覚悟なさい!!」
 力いっぱい叫んだ言葉が、なぜかかなり説得力がない。冷たい風が一陣通りぬけた。
それを取り直すように、マントを外していた男が軽く咳払いをした。
「……身のほど知らずめ」
 侮蔑に満ちたその声に、アメリアはぴくっと反応した。
「身のほど?それは何を指していうのです?!竜族のあなた達に刃向かう事ですか?!それとも、あなた達の正義に同調しない事にですか?!」
 アメリアの言葉に、はっとレイスとルーシャが顔を向けた。彼らが知りたかった事の片鱗がその言葉のうちにあったのだ。
 彼らは、何者なのか。
 なぜ、争っているのか。
 はっきりとしたことは分からなかったが、彼等が元凶である事は分かった。そして、それで十分だった。
「お手伝いします」
「私も」
 すっと、レイスとルーシャがアメリアの横に並んだ。二人の言葉に一瞬だけ目を見張ったが、すぐに笑顔を浮かべる。二人の表情が、拒否される事を望んでいないと読み取ったのだ。
「無理しないでくださいね」
『あなたこそ』
 声を揃えて言われた言葉に、アメリアはちょっとだけ引きつった笑みを返した。
(こういう所だけは、ゼルガディスさんにそっくりですね)
 思った言葉は突っ込まれそうだったので、飲み込んだ。

「3人になった所で、結果は同じ事。出来れば無用な殺生はしたくはないのだが・・・・・…。引く気は無い様だな。一人を残して、後のもの達は消えてもらおう」
 くっと男の口元に笑みが広がった。
 ざっと、3人が構える。
『アストラル・ヴァイン!』
 レイスの呪文がルーシャの双剣にも魔力を宿す。赤い3本の刀身を構えた二人が、真っ先に飛び出した。
「体勢を崩します!」
 スピードが速いレイスが先に、男に剣を繰り出す。が、それは全てつぶてに相殺されてしまった。7つめのつぶてを弾いた瞬間、その横をルーシャがすり抜けて前に出る。
『フレイム・ブレス!!』
 吐き出された炎を寸での所でしゃがんでかわす。そのまま滑るように男の足元に駆け込み、双剣を降るう。
「っつ!」
 だが、踏み込みが浅いせいで両足の表面を傷つけただけ。倒れるまでもいかない。逆に足元に踏み込んだままのルーシャの頭上に、男の拳が振り下ろされる。
「ルーシャ!」
 側にいたレイスが、彼女の腕を掴み自分の方へと引き寄せる。目の前を炎の固まりが通りぬけていく。
『ラ・ティルト!!』
 きゅごぉぉおお!
 間髪入れずにアメリアの必殺呪文が炸裂した。青白い閃光が男を包む.
「やったか!?」
「!!まだです!!」
 ホッと息をつきかける二人の側に駆けよって、アメリアが叫ぶ.その声と同時に、砂煙の中から男が飛び出してきた。まっすぐに突っ込んでくる。
「きゃぁ!!」
「うわ!!」
 避け切れずにルーシャとレイスが吹っ飛んだ。
「レイスさん!ルーシャさん!!」
「人の心配をする余裕があるのか?」
 視線を二人に向けたアメリアに、男の手が伸びた。反射的に腕をクロスさせるアメリア。二人の腕が触れ合った刹那、禍禍しい黒い光がその場に溢れ出した。全てを飲み込まんとする、その光。
「なに?!」
「これは!!」
 アメリアの手から溢れ出した光が、流れるように男に向かう。男が慌ててそれを振り払うと、両手を前に掲げた。それまで傍観していた二人の男までも同じ様に手を掲げる。ぼぅっと、三人を囲う様に光の壁が浮かび上がった。それが、闇の光を弾きかえす。
 弾き返された光は、目標を見失って別の標的に向かい始めた。すなわち、人間3人組である。
「え、ええ?きゃぁぁぁああ!!」
 いきなりわけの分からないものに襲われて、やや混乱気味の叫びを上げるアメリア。ぶんぶんと両手を振りまわすと、
「いやぁぁぁああああ!!」
 手に持っていた漆黒の宝玉を投げ捨てた。……竜族の3人組の方へ。それは、光の壁に弾かれる事もなく、ぽとん、と彼らの間ん中に落ちた。
「………」
「…………」
「…………………うそ」
 当然と言うか何と言うか、その宝玉に導かれるように闇もまた壁を通過していく。そして、更に勢いを増して竜族達の上に傘のように広がった。
「っく!これを相手にするのは分が悪い!!」
「引くぞ!!」
 男の声を合図に、フードの男が両手を掲げる。金色の光りが湧き上がり、目を貫く光が満ち溢れた。3人が目を覆った次の瞬間、光は消え失せた。竜族の者達も共に。
「え、え〜と、とりあず………ヴィクトリ〜(ぶい)」
『違うと思いますけど』
 突っ込む声が重なった。

「………消え、た」
 黄金の光が消えると同時に、漆黒の光もまた消え失せていた。ころんと転がる、漆黒の宝玉。
 アメリアが近くから小枝を拾うと、つんつんとそれをつついた。何の反応もないのを確認して、そっと指先で触れてみる。
「………何にも、起きないですね」 
 拾い上げて、すっと日に透かしてみた。だが、その向こうには何にも見えない。底まで落ちそうなほどの、漆黒の闇。
「なんですか、それは一体?」
 レイスとルーシャが剣を納めながら、アメリアに近づいた。二人とも、先ほどの漆黒の光の禍禍しさを感じているらしい。顔を顰めながら、アメリアの手の中の宝玉を見つめている。
「私にもよく分かりませんけど、どうも竜族には有効らしいですね」
 指先で軽くつまみながら、アメリアが困ったように返した。レイスが怪訝そうに首を傾げる。
「分からないって、アメリア姫の物ではないのですか?」
「………あ〜、え〜と、ですね」
「そもそも、大公宮にいたはずじゃぁ?」
 レイスの質問に、つい馬鹿正直に冷や汗をたらたら流し出すアメリア。それを見逃す二人ではない。
『説明して、いただけますよね?』
「……はい」

「え〜と、ですね、ゼルガディスさんの部屋にいたら、いきなり仕掛けが動いて、ひゅ〜っと落ちちゃったんです。で、気がついたら真っ暗な部屋にいて、そこの机の上にこれがあったんです。で、返そうと思ってたら、いきなり部屋が揺れて・…・・・…。また魔方陣が発動したと思ったら、この近くに転送されちゃったんです」
 一息に説明しきって、アメリアは大きく息をついた。手元に出された水を一気に飲み干す。
 いま、三人は街道沿いの店の中にいた。そこはルーシャ一人でやっている店らしく、従業員の姿は見えない。
 目の前に座っているレイスが軽く額に手を置いた。
「……いつの間にか消えたり帰って来たりしていると思ったら、そんな仕掛けがあったのか」
 溜息まじりの声に、ルーシャの頷きが加わる。
「絶対に、レゾ様が一枚噛んでいるわね」
 確信に満ちた言葉に、なぜかアメリアを含めて納得してしまう辺り、赤法師の性格は理解されているらしい。机の中央に転がされた宝玉に、三人一緒に視線を落とした。
「……で、これは一体?」
「………レゾ様ならご存知なんでしょうけど・・・・・・…」
「聞かない方がいいような、気もしますね」
 うんうんと、頷きあってしまう一同。
 とにかく、目の事に関する研究以外で、あの人が発明するものにはロクなものがない。得体の知れないものにはなるべく近づきたくはないが。
「………効果あり、なんですよね」
 は〜、とアメリアが息をついた。単身、もしくは複数でかかっても、あの人数相手に勝利を納める事は難しい。なら、訳が分からなくても効果がある物を捨てておくわけにもいかない。
「……持ちますか?」
「………仕方ないですね」
 レイスの問いかけに、アメリアは顔を引きつらせながら頷いた。見ているだけでも嫌な予感が駆け巡る黒い宝玉を見下ろし、アメリアは大きく息をついた。
「それはそうと、レイス。なんで、兄さんが竜族と争ってるの?」
「え、さあ?僕も、まさか相手が竜族とは・・・・・…」
 言いながらも、レイスが横目でアメリアをみる。言外に、隠していたことを責めているのだ。たら〜っと、アメリアの頬に汗が一筋流れた。
「そ、そんなことより!ゼルガディスさんがどこに攫われたのか探さないと!!」
『誤魔化すんですか?』
「そ、そんな二人で迫られても・・・…」
『誤魔化すんですね』
「ううぅぅ」
『嘘は悪ですよね』
「…………はい」
 つい頷いてしまうアメリアだった。


===============================
 ああ〜、どんどん予定を離れていく〜。
どうしてもっと、話しをまとめらんないかな、自分・・・・・。
長くなる・・・・・・かもしれません。

 ちなみに、次回はリナに戻る・・・・・・と思います(ここら辺がなゆた)

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8822久しぶりです〜makoto 2/15-01:24
記事番号8802へのコメント

こんちわ〜、makotoです〜(・・/

おお、なんだか知らないうちに続きが出てるし、レイスとルーシャが以外に竜族といい勝負してるし、一体何があったんだろーか?(わ

と、何はともあれ、コメント遅れてすいません〜
別に見捨てていたのではないので、そこのところよろしく♪(爆

だから、話が遅くても気にしない方がいいですよ〜
・・・だからと言って、続きが半年後とか言わないで下さいね〜(^^;;

以上です〜