◆−魔竜王のひととき(10)−儚(1/23-02:32)No.8576
 ┣加流ネメシス様へ。−儚(1/23-03:51)No.8577
 ┃┗こちらにもレスしますね−加流ネメシス(1/27-00:03)No.8592
 ┃ ┗すみません−一坪(1/27-00:53)No.8593
 ┣魔竜王のひととき(終)−儚(1/23-03:51)No.8578
 ┣魔竜王のひととき(魔竜王→ヴァルガーヴへ。)−儚(1/23-03:51)No.8579
 ┃┗感動しました!−まな(1/23-12:03)No.8580
 ┃ ┗ありがとう、ございます。−儚(1/26-21:56)No.8588
 ┗魔竜王のひととき(〜TRY)−儚(1/26-21:56)No.8589
  ┗ありがとうございます!!!!!!!!!!−加流ネメシス(1/28-00:10)No.8602
   ┗ガーヴ様は男の色気ですから(謎)−儚(2/1-21:47)No.8651


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8576魔竜王のひととき(10)E-mail 1/23-02:32


ツリーが落ちてしまったようなので、続きを新たにここに載せます。
これより以前の内容に、もしも興味を持たれた方が・・・万が一っ!おられましたら、
過去の記事の中から・・・見つけて頂けるととっても嬉しいかもしれない。
懲りずにまた、書かせて頂きます(ぺこぺこ)




....*.*.**..**.*.***.......***...*.*....**...*.....**.*.*.*....**...*.*




         どうしても通じ合えないものがある
         どれだけ努力しても解かち合えないもの同士
         いつの間にか自分を責めることを覚えて
         何が正しいのか分からない
         彼の通ってきたトンネルは真っ暗で、長くて、
         終わりがいつ来るのかも分からない。

         彼に見えたのは一筋の赤い光
         荒々しい魔竜の王は、ただ存在しているだけで、
         彼を取り巻くすべてを変えた
         出会った“二人”はあたしを変えた

         だから、ねえ
         たとえこの道が間違っていたとしても、
         あたしは黙って従って行くでしょう
         我らの“王”の居る限り
         だから、お願い

         もうこれ以上、痛まないで。ヴァルガーヴ。










「っだああぁぁぁぁっ!!許さんっ!!」
大声を張り上げながら乱暴に扉を開き、ラーシャートが魔竜王宮に戻ってきたのは、それから間もなくのことだった。
「ラ・・・ラーシャート!?」
「城も町も焼かれたッ!おのれ獣神官・・・」
「ラーシャート」
横手からかかった、静かな、それでいて威圧感のある低い声に。
ラーシャートはびくっと口をつぐんだ。
「取り合えず報告を聞く。俺の部屋に来い。・・余計なことは言わずに今すぐだ」
「はっ」

ガーヴ様とラーシャートが玄関前の大広間から消える。
あたしは、大階段の上を見上げた。
「どう思います?」
「ゼラス=メタリオムが動き出したな・・・」
ヴァルガーヴが二階からふわ、と降り立つ。
「獣神官、て言ってたものね・・・」
「ゼロスか・・・厄介な相手だな・・・」
忌々しそうに舌を打ち、ヴァルガーヴは言う。
あたしは黙って、ガーヴ様の消えた部屋を見つめる。
ガーヴ様の強さは、ゼロスなんかの比ではない。
けれどラーシャートの気の短さは命取りだ。
そっちかといえばあたしはガーヴ様より、ラーシャートのほうが心配なのだ。
けれど一方で、これでラーシャートがいなくなってくれればあたしがガーヴ様と共に
竜将軍として戦線に出されるのだろうという期待もかなり大きなものだったけれど。

この時は。
あたしもヴァルガーヴも、自分たちが最後の砦なのだと思っていた
もうすぐ、自分たちが宣戦に出られるのだろうと。
相手はガーヴ様と同等の力の獣王であり、決して勝てない相手ではないと、そして
冥王が出てくるまでに再び、戦力を立て直せるだろうと。
あたしは思っていた。
そしてまだ、魔竜王軍は少しも追い詰められたりなど、しているはずはないと。
冥王はまだ、死んだふりでもしているものとばかり。
信じて疑わなかった。
その時は、まだ。




「ガーヴ様っ!」
「何だ?出番かよ」
それまで、酒を片手にヴァルガーヴとチェスを楽しんでいたガーヴ様は、
大慌てで駆け込んできたラーシャートを見て、何故か楽しそうに笑みを浮かべた。
一方のラーシャートはやたらと動揺していて、青ざめていたが。(魔族に顔色なんぞが
あるのか、ということは気にしてはいけない。)

「ちょっと行ってくるぜ、ヴァルガーヴ。それからセフィラ。留守はお前達二人に任せる」
「はっ」
「お気を付けて、ガーヴ様」
ラーシャートが門を開き、焦った声で早く、とガーヴ様をせきたてる。
ガーヴ様はヴァルに、親指一本立てて不敵に笑うと、ラーシャートを伴って虚空に消えた。
「次だな」
ヴァルガーヴが笑みを浮かべて呟いた。
その笑みは決して軽いものでもなく、重いものでもなく。
まるで最後の決戦の前に兵士達が浮かべる、そんな笑みだった。
次こそ、あたしとヴァルガーヴが出て行く時。
ガーヴ様からのお声がかかる時。


あたしたちはその後の、ただもてあますだけのような時間を、何をするでもなく、
ただ主の帰りを待つことだけで、費やした。





ガーヴ様が出て行った門は、そのあと何日経っても開かれることがなかった。
ヴァルガーヴは毎日、朝も昼も、夕方も夜も、門の前でじっと座っていた。

普段ならマゼンダあたりがお茶を出したり、カンヅェルが剣の勝負に誘ったりと、
魔族たるものこれでいいのかと思えるほどののどかな光景が広がるはずの庭園も、
今はただしんと静まり返り、その大きな門には無表情の門番(低級魔族)と、
そして黙って膝を抱えて座り込むヴァルガーヴの姿があるだけだった。
あたしは、以前はマゼンダが、その後は他の中級魔族が、そして最近ではラルタークが、
やっていた、庭園の手入れをしながら、ずっとヴァルガーヴの座り込む姿を見ていた。
早く一緒に『お帰りなさい』という日だけを待っていた。

ヴァルガーヴがある日、自分の身体の変化をあたしに言った。
ガーヴ様が出て行かれた時を境に、これまでより魔族の血が濃くなった気がする、と。
聞いてみようにもガーヴ様は帰ってこないし
ラルタークもラーシャートも、それからなんだか中級魔族が少し減った気がする。
あたしはもヴァルガーヴもほとんどマゼンダ達以外の部下の顔は分からないけれど
たとえばあの根っこ魔人のモルディラグなんかも見なくなった。

魔竜王宮はがらんとしていた。



あたしがガーヴ様に買ってもらった花が咲いた
もうそんなにも時間が経つのか。ガーヴ様がこの花を見たら何て言うだろう。
『花になんか興味はねえ』とお酒を片手に笑われるだろうか。
あたしがその鉢植えを庭園に出そうと胸にかかえたとき、門のほうから声は聞こえた。


「いいかげんなことを言うなっ!」
「ヴァルガーヴ!?」
駆け出した先、そこには今にも魔力を解放しようとしているヴァルガーヴの姿と。
「ゼロス・・・・・・」
あたしは足を止める。ヴァルガーヴの握り締めた拳が震えていた。
「おや。お久しぶりですね。・・・今ではあなたが正式な竜将軍、という事になりますか」
人を食った態度で。ゼロスが薄く、目を開いた。
「もっとも今は、その地位も有名無実なものですけど」
「・・・どういう意味ですか・・?」
果てしなく嫌な予感がする。
「セフィラ!そんな奴に耳を貸すんじゃねえっ!」
ヴァルガーヴが叫んだ。
「魔竜王は滅びました。まあ、ラルタークさんたちも、ですけど」
「うそだっ!」
ヴァルガーヴがゼロスの襟元を掴んで門に押し付ける。
ゼロスは、笑ったままだ。

あたしは。
ゼロスは果てしなく誤解を招く言い方をする奴だけど、嘘だけはつかない奴だ、と。
ガーヴ様が言っていたことを、思い出していた。
あたしが信じるのは、
ゼロスではない。
だけど、あたしはそのガーヴ様の言葉を信じないわけにはいかないのだ。

「・・ヴァル」
ゼロスの胸倉を掴んだままの、その肩に手を置く。
「ふざけるなっ!」
「ヴァルガーヴっ!」
その肩をつかんで、無理矢理引き戻す。ここで一発ひっぱたく、というテも浮んだが、
ヴァルの場合それをやると収拾つかなくなるのであたしはそれをぐっとこらえる。
「落ち着きなさい!」
「嘘だっ!こいつは嘘言ってやがんだ!」
どんっ!
握り締めた拳で、ヴァルガーヴはあたしの胸を叩いた。
「うそだ・・・」
「行ってください、ゼロス。あたしたちを狩りに来たわけではないのでしょう?」
「ええ、竜将軍どの。さすがに冷静ですね。では、僕はこれで失礼しますよ」
ゼロスはにっこり笑い、虚空に消えた。

「うそだ・・」
あたしからテを離し、ヴァルガーヴは地面に座り込んだ。
ふわり、と。
気配を感じ、あたしは上を見上げた。
ばさっ・・・
象牙色のコート。それはあたしとヴァルガーヴの真横に落ちた。
------渡し忘れていました---遺品ですよ-------
ゼロスの声が振ってくる。わきあがる怒りをおさえて、あたしはそのコートを拾った。
せかいで、一番大切なひとが。
あたしたちを動かす唯一の存在が、すべてと共に壊れたのを知った。

「ちくしょおおおっっ!!!!」
ヴァルガーヴの絶叫は、魔竜王宮にずっとずっと響いていた。

結局
この広い魔竜王宮には、
魔族ならざるもの同士だけが、残ってしまったのだった。









------------------------------------------------


なんじゃこりゃあああ!なんだか・・・ガーヴ様こんなに早く滅びてしまうとは・・・
ううっ。あと少し・・・読んで下さる方がおられたら、幸いです。








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8577加流ネメシス様へ。E-mail 1/23-03:51
記事番号8576へのコメント

はじめまして、儚と申します。
せっかくコメントを頂いたのに、落ちてしまったので、ここでお返事させて頂きますね。

コメントを頂いて、そして過去記事を見ていて、加流ネメシス様の書かれた小説を
見つけました。なんだかもう、「うわあぁぁぁぁぁ(狂喜)」ってかんじでした。
ガーヴ様っ!まさにガーヴ様です!
そちらの作品の感想は、ここに書くと収拾がつかなくなりそうなので控えておきますが、
感服いたしましてごじゃります、、、、、、


私も、ガーヴ様ってじっとしていられない方、っていうイメージあります(^^)
ハタから見ていると面白いだろうな、ガーヴ様って。トラブルメーカー。
そしてガーヴ様、部下製作って実はうまくないんじゃないかと思うんですよ(笑)
愛情がない、とかではなくて(^^;;)
作って、ちくしょー失敗したー!と言いながらも、結構うまくやってる感じがします。


セフィラを出すかどうかは、本当はすごく悩んだんです。。
もともと「竜神官(ヴァル)がいるなら竜将軍もいなくちゃ」と思って生まれた
地位に、「誰か魔竜王軍に冷静な奴はいないのか!」と思って出来た、あの性格
なのですが、オリキャラに語りをやらせてしまうと、物語全体の雰囲気に凄く
影響してしまうから・・・原作スレイヤーズも、リナちゃんの語りではなく、
アメリアとかナーガの語りだととんでもなく凄い違いが出たと思うし、、、
未熟な私には難しいのですッ。


なんだか、私の駄文を読んでいただけた上にコメントまでつけてくださって、
本当に、ありがとうございました。


        儚。

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8592こちらにもレスしますね加流ネメシス E-mail 1/27-00:03
記事番号8577へのコメント

儚様、下のTRYの方にレスしましたが、せっかくなので
こちらにもレスしますね。
>そしてガーヴ様、部下製作って実はうまくないんじゃないかと思うんですよ(笑)
>愛情がない、とかではなくて(^^;;)
ガーヴって、不器用そうですからね・・・・・・・・・(^-^;;;;;;;)
絶対、図画工作とかやらせたら、ある意味凄い作品を
作っちゃうんでしょうね。
でも、なんとか自分の姿はカッコ良く作れたみたいで良かった・・・・・
>作って、ちくしょー失敗したー!と言いながらも、結構うまくやってる感じがします。
お説教とかをかわす技術(?)を覚えたとか。(^-^)



>セフィラを出すかどうかは、本当はすごく悩んだんです。。
>もともと「竜神官(ヴァル)がいるなら竜将軍もいなくちゃ」と思って生まれた
>地位に、「誰か魔竜王軍に冷静な奴はいないのか!」と思って出来た、あの性格
>なのですが、オリキャラに語りをやらせてしまうと、物語全体の雰囲気に凄く
>影響してしまうから・・・原作スレイヤーズも、リナちゃんの語りではなく、
>アメリアとかナーガの語りだととんでもなく凄い違いが出たと思うし、、、
>未熟な私には難しいのですッ。
ガーヴとヴァルの仲良しなところは充分出ていると思いますよ。
例えば、セフィラと3人で飲んでいた時のジャンケン
実はガーヴとヴァルが裏で相談していて、まんまとセフィラを
ハメたとか、「やられたーーーーーー」って感じです。
私もガーヴとヴァル+αを書いてますが、なかなかガーヴと
ヴァルが仲良しに書けなくって、困っています。
それ以上に私の場合は、軽い気持ちで登場させたオリジナルキャラが
あれよあれよと言う間に重要なキャラになってしまい
挙げ句の果てには、私の手からとっとと離れ暴走しちゃってます。(^-^;;;;;)
また機会がありましたら、お話、読ませてくださいね。(^-^)


加流 ネメシス 
 

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8593すみません一坪 E-mail 1/27-00:53
記事番号8592へのコメント

加流ーん
 8591の記事、ひょっとして再投稿しました?
さっき削除失敗してたのかと思って、また削除しちゃったんですが……。
もし再投稿してたのだとしたら、本当にゴメンナサイ!!!
儚さんもすみません!!!

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8578魔竜王のひととき(終)E-mail 1/23-03:51
記事番号8576へのコメント



         正しい者が、
         勝つ確率のほうが本当は少ない
         多く傷ついたものが、
         優しく癒されることはほとんどない
         ただ感情を持たざる者たちだけが、
         そんなことも知らずに駆け回っているだけ

         主のいない羊たちは、勝手に方々へ散って行く
         主のことなどきれいに忘れてしまったかのように
         取り残された黒い羊は
         どうしていいか分からない

         走らないで
         足を止めて こっちを見てよ
         お願いだから 目を覚まして
         どうにもならないのよ
         だから お願い
         もう戻ってきて。ヴァルガーヴ。









気づくとヴァルガーヴは、魔竜王宮にはいなかった。
暴れるだけ暴れて、そして、静かにあたしを見た。
何処か壊れていた。
目を覚ますと姿は無かった。
窓からの光を浴びて、あたしの上にかけてあった、男物のコートが、
淡い象牙色の光を放っていた。

「ヴァル・・ガーヴ?」
起き上がる。部屋には、静寂。王宮全体に広がる、静寂。
居たたまれなくなって、あたしは声を荒げる。
「ヴァルガーヴ!」
かつてはあんなにあたたかみのあった。
かつてはあんなに騒がしかった。
魔竜王宮。

しんと静まり返った重い沈黙は魔竜王領すべてにのしかかっていて
いまにも押し潰されそうなほど・・・・・・
書類を抱えたままドアをぶち破ってくるラーシャートも
逃げるためだけに王宮全体を罠だらけで固めてしまったガーヴ様も
すべては過去のもので
ここにあるのはただ、静けさだけ。

「ヴァル・・・」
広い宮殿を探し回っても、ヴァルの姿は何処にも無い。
庭園の噴水からは、静かな水音だけが聞こえていた。
それだけが、唯一動いているものだった。
門番の魔族すらいなかった。きのうヴァルの餌食になったのだろう。
本当に、本当に、誰もいない。

まさかと思って、獣王宮に翔んでみた。
けれどいつものニコ目でゼロスが出てきただけで、ヴァルは本当に来てもいないし
行方も知らないと断言した。
海王宮にも行ってみたけれど、奥に通されてお茶を出されただけで
手掛かりも何もない。
蒼ざめた顔のダルフィン様が
行くところが無いのならここに来ないかと言ってくれたけれど
それを丁重に断って
覇王宮にも翔んでみたけれど、
迷惑そうな顔のシェーラが出てきただけで
今回の剣には無関係だと言い張られ
冥王宮にも行ってみたけれど
数匹の下級魔族が出てきただけで
「へるますたぁ・滅ンダ。りな・いんばぁす、滅ボシタ」
くぐもった声でそう言うだけで
ヴァルガーヴは何処にもいなかった。
まさかと思ってカタートにも行ってみたけれど
ガーヴ様を生んだ、氷付けの男が遠くから見えただけで
外見は人間と同じその姿に、だけどそのあまりのプレッシャーに、
あたしは声をかけることはおろか、それ以上近づく事すらできなかった。
・・・ならば、それはヴァルも同じハズ・・・ヴァルはここへはいない。
なら何処へ?

ヴァルガーヴ
ドコニイルノ?

「ヴァルガーヴっ!」
誰も答えない。
精神世界面に、負の色の強い声が木霊するのみ。

      ・・・りな・いんばぁす・・滅ボシタ・・・・・

リナ=インバース・・・
その名くらいは知っている。
そう言えば、ラルタークの口から1、2度その名がもれたのをあたしは聞いた。
彼女は、そう、結界の人間。
あたしは迷わず結界へと飛ぶ


ガーヴ様の、小さな小さな気配があった。
辿った。
ドラゴンズ・ピークだった。
戦いの後と、複数の人間たちの気配。
僅かに残るフィブリゾの気配と、負の色の強い、僅かな主の気配
そして
まだ新しい ヴァルガーヴの気配。

そう、わが主は滅びた。
戦って、ここで亡くなられたのだ
そしてヴァルはここへ来て、そしてきっと・・・・・・

「何をしている?」
後ろからかかる声に、あたしはゆっくりと振り向いた。
大きな身体、一匹の黄金竜。
(ああ・・・そうか・・・)
あたしはヴァルガーヴの言葉を思い出す。

    -------------黄金竜なんざ滅ぼしてやるよ!!!


ヴァルは・・・何かをしようとしている。
黄金竜への復讐?・・・それだけじゃない。きっと、ガーヴ様に関わる何か・・・
と、なると、冥王関係か、ゼロスへの個人的な恨みか・・・
冥王は滅びた。

       ・・・・・りな・いんばぁす・・滅ボシタ・・・・・・

------そう、か・・!


「ここで・・・最近変わったことは・・・?」
「変わったこと、か?大いにあったよ」
半ば独り言に近い呟きで言ったあたしに、その黄金竜は答える。
「何がありました?」
竜は、その大きな目であたしを見た。
「何者か分からぬものにここでの事を迂闊に喋ることは出来ぬのだよ」
「・・・そうでしょうね・・・」
もうこんなところに用はない。
あたしは迷わず、空間を渡った。
「魔族か!?」
動揺した竜の声が、最後に聞こえた。




「だから。知んないってば。ほんとに」
あたしの目の前で、トリのササミをパクつきながら。その可憐な少女は答えた。
「本当に、ですか?隠してもためになりませんよ?」
「だからぁ、あんたもいーかげんしつこいわね。ほんっとーに知んないってば。
ねえ、ガウリ・・・って、こいつに聞くだけ無駄か・・・」
彼女------リナ=インバースはジト目で隣の美男子を見た。

『水色の髪したチンピラ風のエロ腰出したにいちゃんが来なかったか』と。
人を探すフリしてそう尋ねたところ、この答えだったのだ。

「だいたいあたし、チンピラとか夜盗の類ってイチイチ顔なんて覚えてないし」
「夜盗とかじゃなくて・・・もっと、こう・・やたらめったら強くて、わりかしすぐに
高笑いあげる・・・」
「ストップ。その高笑いってぇの、嫌な人思い出すから言わないで。・・・とにかく、
ンな目立つ奴に出会えばすぐに思い出すわよ。けどほんっとーに覚えが無いんだから、
あたしは見てないし絡まれてもない。あっちょっとガウリイ!それあたしのよ!」
・・あたしはためいきをつく。
どうやらリナ=インバース路線はハズレ、だったようだ。見たところ、さしたる悪意も
感じられないし、うそを言ってるようにも見えないし、大体うそをつく理由なんて
彼女にしてみれば何処にもないのだから。
ならもうここには用はない。あたしは再びためいきをついて、立ち上がった。

「あれ?どこいくんだ?」
心から無邪気な声で、ガウリイと呼ばれた男が声をあげる。
そのスキにリナさんはその皿からウィンナーを自分の皿に移動させていた。
「心当たりが無いのでしたら、あたしは他をあたりますから・・・」

店を出る。眩しいほどの太陽が降り注いだ。
静まり返った魔竜王宮に帰るくらいなら。
この下等な生き物でごった返すこの地にいたほうがまだ幸せなのかもしれない。



ヴァルガーヴを探すしかない。
それこそ手当たり次第に。
他にはもう、目的なんてないのだから。




・・・ガーヴ様。
あたしのすべてだった
一番大切なあなたを失って、

この先あたしにどうしろと言うのですか?










---------------------------------------------------


ごめんなさいごめんなさいごめんなさいっ!!石投げないでください!
痛いことしないでください!
これで終わりだったりするんです!
これのどこがガーヴァルなんだてめえ!?ってつっこまないでください!
このような駄文を読んでしまった方、ごめんなさい。
そしておこがましいとおもいますが。
ありがとうございました。。。


ああー蹴らないで!痛いことはやめてー!ごめんなさいーっ!








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8579魔竜王のひととき(魔竜王→ヴァルガーヴへ。)E-mail 1/23-03:51
記事番号8576へのコメント




------・・・誰に祈る?神か?魔か?---------
      ---------もう貴方にかける言葉が見つかりません・・・!------



-------・・・果てなき輪を絶つため・・・・・

       ---------間違っています!

  ------俺の恨みを知るがいい!

               --------絶望の深さを知るがいい!!

-----  違います!・・・本当に、傷ついているのは・・・









            お前のために涙を流そう
           それでお前の心が癒されるなら
            お前のためにこの血を流そう
            お前の痛みが安らげるように



           お前の罪が少しでも赦される為に








       -----・・・本当に、絶・望・・して・・いる・のは・・・・・









------------------------------------------------

ガーヴ様が、ダークスターの一件でのヴァルを見・・・たかどうかは分からないけど、
傷ついて暴走しているヴァルへのガーヴ様の心境?

・・・これを書くために「魔竜王のひととき」書いていたようなものです。







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8580感動しました!まな E-mail URL1/23-12:03
記事番号8579へのコメント

なんだかすっごく寂しいです。
私生活を見ていたようで…。(ってそうか。)
ダークスターの時のヴァルもなんだかかわいそうでしたし…。
ガーヴの滅びも、今となってはすごい悔しいですね。

ではこの辺で。

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8588ありがとう、ございます。E-mail 1/26-21:56
記事番号8580へのコメント

はじめましてまなさま、儚です。
感想かいてくださって、ありがとうございます(^^)


>なんだかすっごく寂しいです。
>私生活を見ていたようで…。(ってそうか。)

うんうん、自分で書いていても寂しかった・・・(;;)
フィブリゾもそうだけど、魔族の王が滅びたら、それまで住んでた宮殿とかって
どうなるんでしょうねえ・・・アストラルにある宮殿だから、意識の一部で
できてるんだろうし・・・やっぱり消えてなくなっちゃうのかしら。
神封じの結界みたいに。


>ダークスターの時のヴァルもなんだかかわいそうでしたし…。
>ガーヴの滅びも、今となってはすごい悔しいですね。

ヴァルは痛かったですねぇ・・・ほんとに数えるほどしか見れなかったのですが
ヴァルは見ていて痛いと思いました。
フィリアと出会って幸せになっててくれると嬉しいですけれど。

・・ちなみに、語り手(セフィラ)、とことん救われないなぁ・・・と思って
可哀相になって考えたネタですが、このあとセフィラはナーガに拾われて
いろいろと苦労する設定です。


儚でした。




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8589魔竜王のひととき(〜TRY)E-mail 1/26-21:56
記事番号8576へのコメント

最終章・その後 : 〜TRY





「ヴァルガーヴ!?」
かすかな気配を感じて立ち上がる。
久方ぶりに戻った、静まり返った魔竜王宮で。

屋敷はほとんど原型をとどめず、崩れかけた廃墟の一室であたしは座り込んでいた。
何の気配もない、冷たいその空間で、突然現れたその懐かしい気配。

そう 間違いなどない。 これはヴァルの気配。




「よぉ・・・・・・」
言葉少なに現れたヴァルは
どこか前よりやつれて見えた。
なのに目に宿る光は前よりはるかに熱い。
まるで、命の火が一気に燃え上がり始めたかのような・・・
「ヴァル・・・」
ためらいがちに、その頬に触れる。
「大丈夫?」
なんて間抜けな質問をしたのだろう。ヴァルは苦笑した。
「大丈夫だよ」
そう言うと、ふっと目をそらして、ぽん、とあたしの肩を叩く。
「ヴァル・・・」
むしょうに不安になる。

ガーヴ様の寵愛を一身に受けて
いつも煩わしかった彼の存在。
なのにその彼だけが、今はあたしとガーヴ様を繋ぐ唯一の糸。
あたしは苦笑する。

「悪ぃな・・・」
そう言うとヴァルは、ガーヴ様のコートを手に取った。
大きめの、象牙色のコート。
あたしには分かった。彼が何かを始める気でいることは。


「どうするの・・・?」
あたしはヴァルの手をそっと押さえる。
ヴァルがあたしを見た。
「ヴァル?・・冥王はもう・・・」
「分かってるさ・・・」
吐き捨てるように
かれは言った

「分かってるさ!フィブリゾの奴はもう・・・・!・・だから・・・だから・・!!」
あたしは黙ってヴァルの震える手を両手で包んだ。

生きなければならない ヴァルもあたしも
何故なら
それがあの方の望まれたことだから

「俺は・・フィブリゾが滅ぶ原因となった女・・・リナ=インバースを殺す!」
「ヴァル!?」
「分かってるさ!」
あたしが何か言うよりも早く、
ヴァルがあたしの手を振り払う。
「分かってるさ!逆恨みってことくらいはな!けど!こうでもしなきゃ・・・
おさまらねえんだよ・・・っ!!」
「あたしだって同じです!けどそんなことをしても!」

そんなことをしても
ガーヴ様は、もう

「あんたは人間を恨んでるんだろ。だったら俺を止める理由なんざ何もないはずだ!」
「違います!あたしはリナ=インバースのために止めるんじゃありません!」
遠くのほうで
また壁か天井か、建物の一部が崩れる音が響く
「もし・・・リナ=インバースを殺したら・・・そのあとあなたはどうするつもり・・?」

ヴァルは 俯いて自嘲気味な笑みを浮かべる
「そしたらな・・・次はゼロスだな・・・」
「次は?その次は?そして最後は自分を殺すつもりですか!?・・そんなことをしても・・
あなたが救われるわけじゃないわ・・・」
誰も救われない。
あたしたちにできることは何もない。
ただ生きていく事のみが主に報いる唯一の方法なのに
「どうしても、止める気か?」
「あなたを死なせることは・・できないんです」
主がそう望んだから
「あならがその気なら・・あたしも・・本気であなたを止めます・・・」

ヴァルはふっと、笑ったようだった
悲しげに、寂しげに、
そして いつになく優しく。

「あんたならそう言うと思ったぜ・・・けどな・・・
あんたを巻き込むわけにゃ行かねえんだよ・・・」
「・・ヴァル!」

あたしが身を引くより早く
ヴァルの手に握られた一本のロングソードが
あたしの胸をまともに貫いていた

ガーヴ様の、あの剣で。

「姐さん!」
「ヴァルガーヴ様!?」
扉のあったところから、口々に叫ぶジラスとクラボスの声が響く
「お前らは来るなっ!」
駆け寄ろうとした二人は、ヴァルの命令に、びくっと立ち尽くす
「けど・・・姐さん・・・」

あたしは膝をついたままヴァルガーヴを見上げるだけだった。
大量の血液は足をつたって、白かった絨毯が赤く染まる。

「悪ぃな・・・滅びるわけじゃねえ。少しの期間、著しく魔力が低下するだけだ。
しばらくはアストラルからは出られないぜ」
「ヴァ・・・ル・・・」
あたしの胸から抜いたロングソードを、また鞘に収めると、ヴァルはあたしの前に
膝をついた。
「・・・そんな顔すんなって・・・俺は大丈夫さ・・・あいつらもいるし・・・
俺は一人だってやれるさ。・・だから・・・だから、あんたはな・・・・・・・」
言って
ヴァルはあたしに背を向ける。
象牙色のコートをふわり、と羽織った。
ちらり、とあたしを一瞥すると
ヴァルは二人を連れて空間を渡った
傷口からの血を強く押さえながら、あたしはヴァルを視線だけで見送るしかできない。



だから
だからあんたは

「生きろ」




ずるい人。ヴァルガーヴ・・・
最後まで あなたとガーヴ様はひとつだった
あなたはもう誰にも止められないのでしょう
あたしにはそれを責めることなんてできないのでしょう
責めることはできない 止めることも
ならばここから見ていることしかできないのですか
お願いだから
それ以上痛まないでください
あなたは私の愛した方の、一番大事なひとなのだから


意識が持たず、
あたしはそのまま目を閉じた。






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究極の駄文だったりする(笑えない)
自分で読んでてイライラするくらいへたくそでしたが・・・
今の私にはこれが精一杯でした。
腕を磨いて出直してきます。
これも
あたしには凄くいい経験でした。

TRYが始まる直前のヴァルガーヴって・・・と思って書いたものですが、
これで本当にこのシリーズは終わりです。
読んでくださった方々、ほんとうにありがとうございました。



*語り手・・セフィラガーヴ:ラーシャートさんのすぐ下にいる人(副竜将軍)

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8602ありがとうございます!!!!!!!!!!加流ネメシス E-mail 1/28-00:10
記事番号8589へのコメント

儚様、私のお話を読んでくださったそうで
ありがとうございます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
ガーヴがガーヴらしく書けていると思って頂けて光栄です。(感激)
ガーヴって、じっとしていられない上に短気だから
ガーヴがキレて全てをブチ壊して話しが終わってしまわない
ようにするのに、毎回苦労しました。(^-^;;;;;;;;;;)
それと、あのお話を書いていた当時、話題になったいたことを
取り入れた話もあるので、読んでいて?と思われたところも
あるんじゃないかと感じています。
(ガーヴのち○とか、セーラー服とか。 ^-^;;;;;;;)



>「分かってるさ!逆恨みってことくらいはな!けど!こうでもしなきゃ・・・
>おさまらねえんだよ・・・っ!!」
ガーヴを失ったヴァルはその悲しみと怒りのぶつけ所が
なかったですね・・・・・・・・・
そして、唯一残った仲間(あえて部下と書かず)のセフィラを
刺し殺すことによって巻き込まないようにする、ヴァルの優しさが
伝わってきます。



>究極の駄文だったりする(笑えない)
そんなことないですよ。
情景描写とか、とても上手いと思います。
登場キャラクターも多いのに、各キャラクターの性格付けと
役割がはっきりしてますよ。
私の場合、似たような文章が続いてしまい、いつも苦労してます。
文章力なんか全然ないのに、その時の思いつきとノリと勢いだけで
書いてますんで。(^-^;;;;;;;;;;;)
それでは、また何かお話を書かれたら読ませてくださいね。


加流 ネメシス


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8651ガーヴ様は男の色気ですから(謎)E-mail 2/1-21:47
記事番号8602へのコメント


こんにちは。また感想書いて頂けて、儚は嬉しいです(^^)

ガーヴの乳はめちゃくちゃ笑いました。
立派な精神攻撃として成り立つことでしょう・・・。
加流ネメシスさまの書かれたお話を読んで、凄く雑学豊富な方だなあと
儚は感動しました。感情の動きなんかも、すごく鋭くかかれていて、
「はぁぁ・・・」とタメイキをついてしまいます(^^)


>そして、唯一残った仲間(あえて部下と書かず)のセフィラを
>刺し殺すことによって巻き込まないようにする、ヴァルの優しさが
>伝わってきます。

セフィラを殺すのは、なかなか書けなくて、載せるのにも迷いました。
だけどヴァルなら(というか私のイメージのヴァルなら)きっとこうするだろうな
と思って。。。

うまく文章を組み立てられるようになりたいっ!というのが儚の願望です。
ヴァルもガーヴ様もとても沢山の感情を抱えているのに、それを文章で
きちんと出すのってとても難しいですね。