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8566スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達20めなりん E-mail URL1/20-23:31


お久しぶりです。
ぱそ復活しました。てへへ♪謎の小説の続きでーす。忘れてたでしょ?(笑)
どの辺が謎かとゆーと、
1スレ世界なのにスレキャラはゼロスくらいしか出てこない
2何だか他の小説に比べて長い
3突発的な思いつきで書いてるため何が何だかわからない
4なんで私でてるの!?(これは読んでみるまでわからないと思われる)
…ま、そんなんもありだろう。特異変質みたいなかんぢ??(笑)
で、この20は再投稿。初めて読む人はわけわかんない(汗)だろうから、から…から……
対応策見つからんなぁ(笑)ま、読めばわかるかと。

注:出てくる人達は実在の人物とはかけ離れた性格であり、めなりんは承諾すら取っていません(爆)


20也。

「…はぁ?」
セイルーンのレストランで。
K伯爵は間抜けな声をあげていた。
「旅費がそこをついた、っつってんの」
麻袋の中に手をつっこんで言うべるるん。
そこから出てきたのは、銅貨がたったの一枚っきり。
「だって、めなりんが金貨生み出せるでしょーに?」
「塩井神官うるとら回復治療薬ヴォリューム4の副作用で、魔力がなくなっちゃった★」
しゅたぁっ!と手を上げて呑気に言うめなりん。
「じゃ…じゃぁ、どーしろっていうのよ?」
いやな予感を抱きつつたずねるK伯爵。
「だから、仕事でも探そうって言ってんの」
べるるんはさして変わらない様子で言い放つ。
「あのねぇ!?あたし達の種族が人間なんかの仕事をするってのは自殺行為なのよ!?」
「こないだわたし、やらされたけど」
ちょっと目が赤くなってるK伯爵に、べるるんはさらりと答える。
「それに別に、仕事するってったって、盗みに入れば万事OKだし」
「ををぅっ、べるるんそれはナイスアイディーアっ!!」
いや、ナイスじゃないと思うんですけど、作者は。
「じゃぁ早速、この辺で金持ちの奴を探すわよ!!」
「おうっ!」
一致団結する魔族達。
「まずはこの町の役所にでも…」
そんなK伯爵に、魔の手がのびる!
「お嬢さん、御茶しませんか?うへへへへ」
…ナンパ野郎。
一人の男を取り囲むように、ごろつき達が3人ほど。
「そうねー。でもあたし、金持ちしか興味ないからぁ」
「金持ちか…セイルーン一の億万長者にゃ、かなわないからなぁ…お嬢さん、すみませんねぇ」
なかなかあきらめのよい奴である。
「あ、ちょっと待った。セイルーン一の億万長者って誰?」
ナンパ野郎を呼び止めてたずねるべるるん。
「あぁ?俺は男にゃ興味ねーんだよ。ヤローはとっとと失せな」
「そーだそーだ!おやびんをなめんじゃねーやぃっ!」
ナンパ野郎に続いて吠えるごろつき。
ぷちむ。
「あんだァっ!?こーみえてもわたしゃおんぶっ」
後ろで怒るべるるんの口を押さえて、K伯爵はにっこりと
「…彼の問い、あたしも聞きたかったんだぁ♪お・し・え・て(はぁと)
ちなみに教えてくんなかったらぁ、後ろの男の手、離しちゃうわよ(はぁと)」
お色気+脅し攻撃!
さすがにこれはひとたまりもなかったか、ナンパ野郎はべらべらと喋ってくれる。
「あ、あのでっけぇ家ですよ、あれ!!あそこにすんでる、ゼウルってのがすごいんです!
たんまりため込んでるくせに、何かの行事があったりすっと、その金を使っていろいろと配る…
…町でも評判の男で、子供たちも大喜び…皆も、ありゃぁ神様だって褒め称えているんですよ」
「…でっけぇいえ…って…あの、おっきい魔道士協会みたいなののこと!?」
「あぁ…俺もこの町に来たときゃぁ、なんかの神殿かと思ったんだがな」
問うべるるんに答えるナンパ男。
態度があからさまに違うのは言うまでもない。
「ほにゃぁー…人間の家にしてはおっきーねー?」
めなりんまでもが言うくらいだから、すごく大きな家だということがわかるだろう。
豪邸というか、もぉまんま王宮みたいな造りなのである。
「さんきゅ、兄ちゃん。あんた、そのゼウルとかゆーのよりはマシだとみたわよ♪」
K伯爵が礼を述べる。
「いや、そんなことはないんですよ、お嬢さん…あいつは人付き合いもいいし…」
人付き合い、ってなところにピンと来たか、K伯爵はもう一つたずねてみる。
「ふーん?たとえば業績をあげると?」
「そうですねぇ…
ちょっとそこまで使いに出したものに、金貨をやっただの…
貧しい家の子供にプレゼントを配ってまわっただの…
セイルーン中央病院に、資金をたっぷりやっただの、いろいろと、ね」
一つうなずいて、K伯爵はにっこり言う。
「やっぱ、あんたのほーがマシだわ♪」
ナンパ野郎は、それ以上なにも言わずに去っていった。
「…K伯爵?なんであんなのよりも、そのゼウルとかってののが悪人になんの?」
どーやらべるるん、さっき男呼ばわりされたことをまだ根に持っているよーである。
そんなの、例をあげればキリがないというのにごふっ!?(突如の魔力攻撃により気絶)
「話に聞けば、ゼウルってのは金を使って人の心を捉えていた。
さっきのナンパ男は、ごろつきではあるけど、それでも自分の心で他人の心を動かしてたでしょ」
「お金で人を動かせても、心じゃ人を動かせない奴なんて、人間としては空しいだけ…ってことか…」
やれやれ、といった風に言うべるるんに、K伯爵はガッツ・ポーズをとり、
「そーゆーわけで、その男の屋敷、今夜忍び込むわよっ!」
つまりゼウルを悪人にさせる理屈をこねくり回していたわけか…

…深夜である。
それでも家には明りが灯され、クラシックをかけまくり、中では謎のティーパーティー。
「…なんか変だよな」
「変ね。どう見ても」
「ほぇ?なんで??」
屋根裏部屋からティーパーティーを覗き見ながら、不思議がる魔族達。
「人間という種族は、共食いをしないはずだわ。
この知的美少女K伯爵様が言うんだからまちがいないっ!」
「ともぐい?」
「あの皿に盛っているやつ、人間の腕やなんかだからね。
たぶん、一緒に出たはずのスープやサラダなんかも…血とか骨とか…」
「…それで、それがどうして変なの?」
まだわかってないめなりんを蹴っ飛ばし、二人はさっさと考え込む。
「まず、あそこにゼウルがいないのは確かね、べるるん?」
「仕入れた情報によれば、髪は白髪、目は蒼く、受ける印象は二枚目のぼんぼん…らしいからね」
どう見ても、ティーパーティーにいるのは女だけである。
「じゃぁ、どういうこと?K伯爵?」
「…こういうシナリオはどうかな?
まず、ボンボンのゼウル君を殺害、もしくは閉じ込める。
そうしてから、たっぷりとある金貨で、自分達は贅沢三昧…
外に気付かれない様に使いをだして『セイルーン中央病院に資金をたっぷり』。
それが、彼のおつきの女のメイドさんとかなら、話のつじつまはだいたいあうわね」
K伯爵の仮説は、だいたい合っていた。
まず間違いなく、『ゼウル』がいなくなったのは事実なのである。
それに前々から、派手にお金をばらまいて、難民を助けていた彼が、ここのところ活動をやめたのだ。
それからはわりと地味に寄付金を送るようになったらしい。
「けど、メイドさんがそこまでやる理由は?」
「ンなことあたしが知るわけないじゃない。セクハラにでもあったんじゃないのー?」
K伯爵、わりと無責任。
「まぁいいけどね。わたしたちがやることはただ一つだし?」
屋根裏部屋のドアを、音を立てないように開けて、合図するべるるん。
「金貨は二階どまんなか、ゼウルの部屋から繋がった実験室よ。
…いつまでのびてんのよ、いくわよめなりん?」
サッカーボールのように蹴りながら、めなりんを連れて二階まで下がる二匹。
「…空間移動しないの?べるるん?」
「出てきたところが壁の中だったりしたらいやじゃん」
実はこのお屋敷、内部がどうなっているのか二匹はまったく知らないのである。
「それより…気付いたんだけど…」
唐突にK伯爵が言う。
「なにに?」
走りながら答えるべるるん。
「…落とし穴、みたぁい♪」
ごがらぁんっ!
「だぁーーーーーーーーーーーーーっ!?そゆことは、ハマる前に言えーーーーーーーーーっ!!」
「だぁってぇ、足元がなんかゆるいなー、と思ったらこーだったんだもぉ〜ん、てへっ(はぁと)」
「ほにゃっ!?ほにゃぁぁー!?」
ごがららずどばごぉぅんっ!
「まぁっ!?何事ですの!?この者たちの処罰は如何様に…」
「どうしましたの、奥様!!…サラダが美味しそうですわね」
「いやだわ、老朽化?ポピュラーに油であげてみたらどう?」
「奥様、お怪我はございませんか?オードブルにしましょう」
「えぇ、大丈夫ですわ。…しかしこの者たちはどう始末をつけましょう?」
なにやらですわますわ口調でこわいことを言う貴婦人達。
「やはり、ソテーがよろしいかと」
「それが駄目なのよ。うちの最上級フライパンを、今どこかにやってしまって…」
なにやらとてもアブナイ発言。
「ちょっと待ったぁ!」
その言葉を言ったのは、魔族達じゃなかった。
勿論オクサマでもない。
「あそこですわ!あのバルコニーの上!!春巻きの具にいたしませんこと?」
「まぁぁ!はしたない、五人揃いも揃って!チャーシューに仕立てましょう」
とりあえずそんな日常会話はともかくとして。
大理石のバルコニーの手すり(?)に、すっくと立った五人の戦士!
「愛が、正義がある限り!我等の行く手に光は見える!!」
いきなりの口上!
どうやら、真ん中にいる奴が言っているらしい。
わりと響く美声である。ちなみに長身、金髪…
顔は謎の仮面で見えないが、おそらくは…
「闇に沈んだその心!たとえ天が許しても、我等光の戦士、ライトマンが許さない!とぅっ!!」
恥ずかしいだけ恥ずかしい名乗りをあげて、五人一斉に飛び降りる!
すたっ。
…わりと奇麗に着地が決まる。
「ををををを」
思わず拍手する一同。
「ライトマンピンク、リア!」
「ライトマンイエロー、マーダァ!」
「ライトマンブルー、マーサ!」
「ライトマングリーン、ヤナリ!」
次々に名乗りをあげる正義の戦士達。
「ね、ねぇ?最初のリアってのはオリキャラだとして…
あとの三人って、なんとなぁくきいたことあるんだけどな、あたし…」
「K伯爵、気にしたら終わりだ。この小説では」
ちょっとツッコミ入れてみる二匹。
「そして!ライトマンレッド、ルシファー!!」
まんなかにいた奴が、ついに名乗った。
「るしふぁーって、雷児の偽名の?」
「ちがうっ!なんだそのらいじとかいうのは!!
わたしは光に生まれた身!闇を司る馬鹿な妹とはちがうのさ!」
闇を司る馬鹿な妹…?
「あ、おにーちゃぁぁん(はぁと)」
「なっ!?…わ、わたしの妹!?…第一わたしは今何を口走っていた!?
闇を司るだと!?そんな輩は、このライトマンレッドが正義の鉄槌を下そうぞ!」
どうやら記憶がないらしい。
…って。おい。
「あ、あんたのお兄ちゃんて、正義かぶれの馬鹿ヒーローだったの!?」
「だから言ったでしょー?ルックスはいいし頭のキレもいい、性格はまぁいいかも、って」
「おもいっきしよくないじゃないの!頭のキレともども!!
それに、あんたのにーちゃんは確か封印されているはずじゃ…?
しかも光の側ってわけじゃなくて、光と闇と、どっちもが互いに複雑に組み合わさってるって…」
「にーちゃんのことなんて覚えてるほーがおかしーよー★」
「ちょっと待て、悪の権化の魔族達よ!わたしのどこが悪いという!?」
思いっきり混乱しているパーティー会場。
「…ど、どうでもいいんだけど、それであんたはいったい何をしに…?」
「はっ!そうだった!!」
べるるんの言葉に我にかえったか、ルシファーは、決めポーズをとりながら
「ゼウルを殺害し、なおかつその金貨を奪うとは、ゆるせんぞ!そこの女!!
このわたし、ルシファーことライトマンレッドがみずから喝をいれてやろう!!」
「はぁ?何をおっしゃいますの?あなた??」
今まで奥様と呼ばれていた、中央にいる一番派手な若い女の人が、ずずいっと前にでる。
「ゼウルはわたくしですわよ?」
しばし沈黙。
「はぁ?」
とぼけた声をだすレッド。
他のヒーロー達も、仮面を脱いで、その奥様の顔をじっくり眺める。
「わたくし、性転換いたしましたの。今の名前はローザ。
でも外の方々に嫌がられたので、隠していたんですわ。ほほほほほほ」
『せいてんかぁんっ!?』
よくそんなネタを出せたもんである。(うっ…by作者)
「し、しかし!食べているものは人間であろう!!」
「人間ですって!?これが!?
よくご覧なさい、これはただのゴブリンとホビットよ!?」
確かにそのとーりだったりする。
しかしそれを食べるというのもなかなか気色悪いものである…。
実は「ごぶりん愛好会」とかの会長だったりするのかもしれない。
「でも、なんでホビットがこんなでかいの?」
「ふ…わたくしの研究しているのは、生物の合成よ。キメラというやつね。
それは実験中にできたできそこないのコンコンチキですの、ほーーーーっほっほっほ!」
誰かを思わせる高笑いをあげる、ゼウル…ぢゃなくてローザ。
「…K伯爵…かえろーよ」
「そ、そぉね…いくわよ、めなりん」
「うんっ★」
そうして、一夜は明けた。
ちなみに金貨はがっぽり貰っている。抜け出す時に見つけた50000枚である。

そして――

…突然だけど。
…ホントになんの前触れもなかったけど。
わたしは空間に佇んでいた。
此処が何処なのかはわからない。…とゆーより、なんで此処に居るのかさえわからない。
記憶がないわけじゃない。思い出せるのに、思い出そうとできない。
…ここは何処だ?これは何だ?
「混沌の海だ。…夢を見ている」
答えたのは、女の声。
まるでわたしを包み込むように聞こえてくる。
「…そうか…これが夢…」
「起きればそう思う。実際、あの二匹はそう思っているまま。
だがべるぜ、汝は違う。汝は夢を記憶し、それを二匹に伝えるのだ」
…そうか。わたし、K伯爵とめなりんと、旅をしてたんだっけ。
しかし、なんで思い出せなかったんだろう…
「蝿は夢を見ない。夢を知らない汝が、夢の中でもがいても無駄…
…ってなわけで、もうかっこつけてたってつまんないから話し言葉に戻すけど」
いきなしフレンドリーに語り掛ける女。
…もしかして…あいつの…
「そのとーり!あたしこそが、馬鹿めなりんの姉、ロード・オブ・ナイトメア!!」
「ぅどえぇぇぇぇっ!?め、めなりんへの事は何卒お許しをっ!!!」
「だいじょーぶ、あの子はストレス解消のために創ったんだからっ!」
…そうだったのか…?
まぁともかくとして。
「じゃ、なんだっていうんです?」
「めなりんの兄、ルシファーについて…教えとこうかと思ってね」
L様はにやりと笑い、話しはじめた。

ルシファー…
彼はLの弟であり、めなりんの兄である。
ちなみに一応、三人称に戻っていることを理解してもらいたい。
「ルシファーが光ならば、めなりんは闇。
ルシファーが正義ならば、めなりんは悪…これでだいたいわかるわね?」
「…つまり、彼は神族である、と…?」
Lはこくりとうなずく。
「あの馬鹿は「神族であり、魔族でもある」って言ったけど、これもあながち嘘ではないの。
生まれる時に、二人に聞いたのよ。
光に生まれるか、闇に生きるか。二人は別の道を選んだわ…
けれど、完全に二つをわかれされることはできなかったのよね」
フツー光に生まれる方を選ぶような気がするが、まぁそこはそれである。
「ルシファーは、神の側に立った。
彼は今、本来の光の力を封印し、普通の人間、もしくはスィーフィードとして振舞っている…」
――もしくは…って、かなりかけ離れた気がするぞ。
「あたしはそれで万事オッケーだと思ってたんだけど、それが…
ルシファーの記憶がうすれ、自分は正義のヒーローと信じ込んで、魔族に喧嘩を売るだのと…」
――それ、あんまし神族の側に立ってないぞ。
ことごとく、Lの言葉に心の中でツッコミを入れるべるるん。
「ヒーローっぽいの4人集めて、友情だの何だのと、数々の難…いや、容易な試練を乗り越えて…」
「…けど、ルシファーって封印されてるんじゃないんですか?」
「だからぁ、デモン・ブラッドが全部集まると、その正義人間からルシファーが復活するのよ」
――…もしかしてわたしら、敵役…?
そのとぉりかもしれない。
普通、ヒロイックサーガ的にこの話が進めば、ラスボス…つまり最後の敵が、魔族三匹になるだろう。
「で。単刀直入に言うと、彼を闇に還して欲しいのよ」
「…でも光がなくなったら、わたしらはいいけど人間どもやエルフどもが…」
魔族の目的は、この世界を無に帰すこと。
…Lは一応魔族ではない。魔族っぽいけど。
Lはふぅっ、と溜め息を吐いて言う。
「…もうルシファーに、この世界を光満ち溢れる世界にすることなんかできないわ…
第一、もしも今、彼が魔族に喧嘩を売れば、降魔戦争の再現は目に見えてるし。
前にK伯爵によろしく言っといたのは、実はこの事なんだけど……
…ま、デモン・ブラッドがあれば、そこら辺はなんとかなるから、心配はいらないわよ♪」
いや、心配するって、ふつー。
実際にべるるんは、疑いの目で睨んでいる。とりあえず前と思われる方向に。
「話はここまでよ。じゃ、夢も終わりね。
あなたに夢を見せるのには、苦労したわよ」
言ってLは、腕を広げ…(見えないけど)

パンッ!

瞬間。
べるるんは、ベッドの中にいた。
しかも上にはめなりんが乗っていて、K伯爵の体右半分も侵入していたりする。
どうやらこれで夢を見せられたよーだ。
「重いぃっ!おもいおもいおもいっ!おかげで悪夢にうなされちゃったじゃないかっ!」
「ぅきゃぁっ!?あらべるるん、おはよう…ぐー」
「ほにゃぁぁぁぁ?…すぴー」
ぷち。
「寝るなぁ、おんどりゃぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあああっ!!!!!!!!!!!!」
布団をがばぁっ!とひっくり返して叫ぶべるるん。
「うるさいわね、夜中に叫ぶんじゃないわよっ!夜更かしは美容の大敵なのよ!?…ぐー」
「ほにゅー?…すぴー」
叫んでまた寝る二匹。
「…って、あら?」
K伯爵は目を覚まし、体を引っ込めて、眠い目をこすりつつ、
「…悪夢にうなされたの…?」
こくりとうなずくべるるん。
「初夢ねっ!それはすごいわ素晴らしいわッ!今朝はお赤飯よっ!!」
ざざぁんっ!!
「いやあのそーでなくって…」
「じゃぁ何なのよ!?」
ざざぁんっ!?
バックに荒波立てて聞くK伯爵に、べるるんはふうっ、と溜め息一つ。
「K伯爵も見たでしょ?L様の夢」
「あぁ…そういえば、かなり前に見たような記憶もあるわね。
…内容は忘れちゃったけどさ…」
ぼそっとつけたすK伯爵。
しかし心配はいらないぞ、作者も内容忘れてるから(ばきっ)
「過去ログをみてみるねっ!」
いつのまにか起きていためなりんが、謎の本を生み出して調べはじめる。
「あんた、文字読めたの?」
とりあえずつっこんでみるK伯爵。
「発見っ!」
めなりんは、K伯爵の声色をかりて読みはじめた。

「どこよココは。
あたしは青くてだだっぴろい、異様な空間にいた。
べるるんもめなりんもいない、変なトコに。
あ、なるほど。めなりんはこれを見ていたワケね、あの時。
「そうだ」
「ぅどわぁぁっ!?な、何っ?何なのっ?」
女の人の声が頭に響く。
いつか聞いたような…ずっと前、生まれるよりも前に…
「お前はデモン・ブラッドを集め、何をしようとしている?」
「え?」
な、なにって…ねぇ…ははははは…
「何となく…集めてるかも知れませんけど…」
もともと何となく力が増幅するんじゃないかってなかんじで集めてたし…
こんな事聞かれても、特に何もないのよね…
そー考えると、邪将軍隊に渡した方が良かったのかも…?
「…よろしくたのんだわよ。」
「え?あ、ハイ…」
同時に、軽い目眩におそわれる。
なにを…たのまれたのよ?あたしは?」
…自分自身恥ずかしいぜべらぼうめぇ!(by作者)
「おお、そーだったそーだった…そっか、あの声…L様だったのね」
やっと思い出すK伯爵。
「しかし…あたしは何を頼まれたんだろ…?」
「それを、わたしが記憶した。わたしの役目は、K伯爵にそれを伝えることらしい」
夢の内容を話すべるるん。
K伯爵はそれを聞いてうなりはじめる。
「…あたし、死神なんだけど…どーやって光溢れさせろってぇのかな…」
「逆に意味をあげれば、この世界を滅ぼしてほしいってことなんじゃないの?」
「あ、でも、降魔戦争の再現とか言ってたわね。そっちのほうを処理しろってことかな」
「まぁ、それはその時になればわかるんじゃないの?それより…めなりんの『夢』はどうなの?」
…そういえば。
めなりんの夢も、作者は頭に記憶してなかった(どごっ)
「えーっとねぇ…
――――――――――――
何ココ。
青い空間。変な感じが体をつつむ。
みんながいない。
声だけが、あたしの頭に響き渡る。
「デモン・ブラッドを発動させるとどうなるか…?」
どこかで聞いたような女の人の声。
人じゃないかもしんないけど。
「知らない」
きっぱりはっきり言う。
「そうか。ならば自らでその力を解放するがいい。
…だが。後悔する結果にならないように気をつけなさい」
…ほにょ?
瞬間、あたりが揺らいだ。
青い空間が渦巻きになって、『声』にひきはなされる。
「一つだけ!あなたは一体誰!?」
「私は…お前だ」
――――――――――――
…だそーですっ!報告おわりっ!!」
本を懐に仕まい込んで言うめなりん。
そこに、効果音が響いた。
ばきぃぃっ!!!
…ぽて。
「べるるん?何を急にどーしたの?」
いきなりめなりんぶっ飛ばしたべるるんに、K伯爵はさして大事じゃなさそうに問う。
「…ならば自らでその力を解放するがいい…って、わたし出番ないんじゃないの!?」
ずっ。
滑るK伯爵。
「K伯爵はその後一大ビッグイベント残っててスポットライト浴びるし!」
「…けど、べるるんの出番がないわけじゃないと思うわよ?あたしは」
責められたK伯爵が、のほほーんと言い放つ。
「根拠はなに?」
「だって、彼を闇に還して欲しいって言われたのはべるるんじゃないの?」
ふっ、残念ながら実はそれはめなりんの役目である(大汗)
「…いぢけてやる…」
「まだ早いわよ、あたしは知ってるんだから♪
さっきめなりんの丸秘メモ盗んだもの(はぁと)」
にっこりと。
K伯爵は、べるるんに微笑みかける。
「これによるとねぇ。
…っくっくっくっくっく…」
「なに、その笑い!?」
とりあえず左手に魔力を送り込み、暴れる準備をするべるるん。
「ん?いやぁ、べつに…っほほほほほほ」

ちゅどばぉんっ!!!!!!!!!!!

「ちゃんといわないと…怒るよ?」
「怒ってからそういうこと言わないでよっ!
第一今の攻撃で、丸秘メモどっかいっちゃったわよー?」
……。
「えぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!!!!?????」
一番早く、一番でっけぇ声をあげたのは、他でもないめなりんである。
「あれなかったら続きかけないよぅっ!」
「いったいあれに何が書かれてあったのよ?」
涙ぐむめなりんに、(目がないのになんでわかるんだ)汗しつつ聞くK伯爵。
…あ。べるるん睨んでる。
「…ラストの設定がめちゃめちゃ細かく…」
……。
「…あ、あのさぁ?
そんなもん持ってたの?あんた??」
K伯爵のツッコミに、めなりんは言った。
「あれがなくなったら…設定が自由に変更できることになる」

『残虐シーン、作者の割愛によりカット…』

「…いいねっ!?」
「はい、べるるん、ラストにちゃんといい役まわしますぅっ…」
というわけで全国のべるるんファンの皆様ご安心を♪
「…なんか後半、裏設定の訂正事項になってない?あたしの気のせい??」
K伯爵の気のせいではない。

さてっ!
ロディやティナはどうなったのか!?
ゼラス・ゼロスはどうしたのか!?
セレスの想いは実るのか!?
身包みひっぺがされたクリスは大丈夫なのか!?
アイラはあれから何をしているのか!?
なんでスピカは登場シーンが少ないのか!?
邪将軍はもう襲ってこないのか!?
残されたデモン・ブラッドは、本当にティナの手にあるのか!?
めなりんはオハライバコになってしまうのか!?
ルシファーとはどんな奴なのか!?
そしてラストにべるるんはいいトコもっていけるのか!?
それより何より!一昨年はじめたはずの人気投票は、闇に沈んだままなのかっ!?(大汗)

全てはこれからの、スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達であきらかになるッ!
ってわけでまたねっ!(逃)
――続くのですわん★――

そんなわけで続きます(汗)
いいのかっ!?これを人は犯罪と言わないのかぁぁっ!?(言わない事に今決めた)

…書き逃げ★感想は随時待ってます(笑)

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8567スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達21めなりん E-mail URL1/20-23:35
記事番号8566へのコメント

んども。そんなわけで21です。
20に書いたから説明不要というわけで、ちゃっちゃかいっちゃいませう♪
あ、そうそう。これは再掲示ではありません(^^)
でも若干どころかかなりのタイムラグはあります。その辺はまぁ、ご愛嬌とゆーか、馬鹿だったんだとゆーか。
お願い…逃げさせて(爆)

注:この小説のキャラは実在の…毎度のことなのでもぅいーか(をい)


21ぃ!?もうそこまでいったのかっ!?


「クリス、大丈夫?」
どっかの宿の一室で。
身包みひっぺがされたクリスが風邪をひき、その看病をしているロディ。
クリスのとなりには、涙ながらにベッドでうなされているセレスも見える。
…何故涙ながらなのかは言うまでもない。なんだかんだのうち、結局またべるるんに逃げられたのだ。
「大丈夫です、ご主人様。雪うさぎですから…」
そういうクリスは苦しそうである。
「でも……クリスがもしこれ以上熱があがって、人間形態を保てなくなったら…とけちゃう…」
スピカも涙目で看病。
「クリス…わたしが、あなたを置いて行ったばかりに…」
いつになく、アイラも落ち込んだ様子である。
「…いーーーーーーーーーーーーーんや」
バックに怒りの炎を燃やしつつ、ロディは、セレスの横たわるベッドの中央にだむっ!と足を置き、
「これはっ!ぜぇぇぇったいに作者の陰謀だわっ!
あたし、連続で出てなかったじゃないのーっ!ぐやぢーーーっ!!!」
「ご主人様、く、くる、しいッ…!!!」
「安心してセレス!あなたのその愛の心だけは、かなっらずあたしが実らせてあげるわっ!」
「うっ…うれしひんでふへほっ…うへに…の、ら…なひで…ぶくぶく」
「よぉっし!そうと決まれば、早速実行開始よっ!!
まず!邪将軍隊を裏切るーっ!!!!!!!!!!!!」
……。
『えぇぇぇぇぇぇぇえええええええええええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇええッ!?』
クリス、アイラ、スピカは勿論、泡を吹いたはずのセレスの声までもがハモった。

「だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!
そーいわれて!信じる奴がどこの世界にいるのよっ!?」
その話を聞いて真っ先に怒ったのはK伯爵。
いつものとーりに目が赤くなってたりするところがちょっちコワイ♪
セイルーン聖王国のカフェ…小説で一番最初にでてきた、あそこである。
香茶を飲んでいた三匹に、ロディと使い魔の声がかかったのは昼頃。
そして今現在はおやつの時間である。
「この世界に!!」
きっぱりと言いはるロディ。
「どーせそんなこと言って、隙を見てデモン・ブラッド奪おうって魂胆なんじゃないの?」
K伯爵の横で、静かに、それでも怒りのオーラをかましつつ言うべるるん。
「デモン・ブラッドは奪わない。でもデモン・ブラッドをあげる事も出来ないわっ!」
「だからっ!そう言われて信じる奴が、どこにいんのかって聞ーてんのよ!」
「ふっ…K伯爵ったら言ったでしょ?ここの世界にいるって!」
これではらちがあかないと考えたか、K伯爵は真顔に戻り、
「なら、ティナはどこにいるっていうの?それに答えたらいいとするわ」
「ほーっほっほっ!ティナさんの行方は、あぁんの馬鹿作者にも判っていないわッ!!!」
「ぅだーーーーーーーーーーーーっ!あほかぁっ!信じろ言う方がむちゃくちゃだぁっ!」
「だぁかぁらぁ、K伯爵が信じれば万事オッケーな・の・よ♪」
「どこが!?」
「この辺」
ロディとK伯爵の口喧嘩が飛び交う中、一人べるるんが、他人のふりをして別のテーブルに移る。
それから約10分後。
「ふ、ふはー、ふはー、と、ともかく、行動を共にしてもらうわっ!」
「はぁっ、はぁっ、のっ…のぞむところよっ!」
どうやら決着がついたようである。
「いーの?」
「K伯爵が言うくらいだから、何か考えがあるんでしょ…もぉわたし、し〜らない」
少々不安なめなりんとべるるんをよそに、K伯爵は新たなる決意を固めていた。
――うまくやれば、ティナの居場所を聞き出せるかもしれない!

「ねぇねぇ、ろ・で・ぃ(はぁと)」
気色悪く、あたしに声をかけてくるK伯爵。
ちなみにロディ一人称はいってるから、皆、気をつけてねぇん(はぁと)
あと、今は既に夜。あたし達は近くの安い宿に泊まってる。
食事まずいしー。ベッドかたいしー。
「なぁに?K伯爵」
「あ・の・ねっ(はぁと)
あたしとしてもぉ、ティナの居場所を知りたいしぃ…
ロディとしても、アナホリーズとして放っておけないでしょうしぃ…♪」
…ははぁん。
「ふっ、協力して探そうと!?だぁれがそんな悪趣味なことを!!」
「悪趣味…って…どーゆー意味よっ!?」
「ちっちっちっ。判っちゃないわね!!」
あたしはびしぃ!っと指を一本つきだして、K伯爵にせまり、
「これは世の中の定理…または不可解な出来事ともいうわ!」
「『または』ってぇ接続詞の使い方、まちがってるわよっ!」
ふっ、まだまだ知恵の浅い女だこと…
ほーーーーーーーーーーっほっほっほっほ、ほーーーーーーーーーーーっほっほっほっほっほっほ!!!
一瞬、露出狂的コスチュームを思い出しつつ、あたしは心の奥底で、高い笑いを響かせた!!

すぱこぉん!

「まぁったく。一体どんな馬鹿心理状況だったのかしら?この魔族は・・・
いきなし目の中燃やして、バックにゴゴゴなんて音が響いたもんだからツッコミ入れてみたけど」
K伯爵、むごい……。
無論その手には健康スリッパを握っている。
「…でも悪くないわね、それ」
「いきなり復活していきなり意見かえないの!アンタは!!」
「だぁって…あの時は、考えもなしに自己満足にあざわらってみたかったんだもん」
「適切表現な…スリッパでぶたれてそのいかれた頭、少しは治ったんじゃないの?」

二匹の口喧嘩は、この後20分…クリスが異変に気付くまで続くこととなる…。

「ほんっとに、ティナがどこにいるかわかんないの?」
一方。
宿の一室で、べるるんはセレスを口先三寸でおとそうとしていた。
…いや、アヤシイ意味ぢゃなく。
「御主人様が、嘘をついていらっしゃるとでも?」
「まぁ、セレスの気持ちがどうであれ、彼女はわたしらを憎んでいるからねぇー」
「けれど今回、邪将軍を裏切るって言い出したのは、当の御主人様なんですよ?
私は、ぜぇーーーーーーーーーーーったいにそんなこと、ないと思いますけどっ!」
力説するセレス。
「じゃー質問かえるから、落ち着いて落ち着いて…
…それで…ロディ、最近何か変な動きとかしてなかった?」
「それって質問かわってませんっ!ひどいわべるぜ様っ!母親になるやもしれない方を!」
「母親?なんで??」
「私達が結婚すれば、一応義理の母に(はぁと)」
「召還っ!!」
必殺、蝿さんツッコミ!!
「…あ、ンな事やってる場合じゃなかった…」
ふと我にかえるべるるん。
「うぅ、何だか気色悪いツッコミですねぇ」
涙ながらに頭をおさえ、セレスはとりあえず立ち上がる。
「じゃぁ、今度デートしたげるからなんか教えてくんない?」
「お教えしましょうっ!」
びしぃっ!と人差し指をたてて、セレスは解説をしはじめる。
「御主人様は、アイラさんだけを呼び出して、何か話していらっしゃいましたっ!
きっと、アイラさんも同じ手で落とせば、何か聞き出せるかと思います、べるぜ様ッ!!」
自分の立場をわかっているのかわかっていないのか、よくわかんない奴である。
「お、おとすって…魔族聞きの良い…
それはともかく、アイラはわたしとデートなんて望んでいないだろ?」
そこでふっ、と嘲笑い、セレスはにっこりと、
「彼女のらぶらぶ〜な人が、誰だか知らないんですかぁ?」
…これは緊急事態である。
アイラに想う魔族がいたとはっ!?
お、おそるべし、ロディの使い魔!!皆恋愛感情持ってるなんて、魔族じゃないって!!
「…だ、だれ!?それは!?」
口元に笑みを浮かべて、セレスは言い放った。
「K伯爵に、よぉっく似ていた方です(はぁと)
でもその方、蒸発しちゃたとかで…やっぱしK伯爵がベストですねっ!」
べるるんは混乱状態に陥った…――

「あ…ああああああああああいいいいいいいいらぁあああああがぁぁぁぁぁーーーーーーーーーー…?」
顔面蒼白になったK伯爵に、一つうなずくべるるん。
「…というわけで、K伯爵……ガ・ン・バ♪」
「いやぁぁっ!なによなんでよなんなのよぉ!
あたしがらぶらぶ♪なのは星だけなのに!!」
混乱しながらもきっちり大胆発言しているK伯爵。
「アイラしゃんならまだ、一階で御茶飲んでるよ?」
今までアイラと一緒に食事をしていためなりんが言う。
「ほら、ぐっどたいみーんぐ♪K伯爵がんばれー♪」
「しかたないっ!行ってやろうじゃないの!?」
ぐっ、と拳を握り、覚悟を決めて、K伯爵は階段を降りていく。
後をつけるべるるんとめなりん、それにセレス。
K伯爵はなにも言わず、アイラの席の向かい側に座る。
「…なにか?」
茶をテーブルに置き、アイラは冷めた口調で言い放つ。
「別に。ちょっと気になることがあってね。
セレスはべるるんにらぶらぶ、スピカは…あたしらに懐いてる、クリスもたまぁに沸騰する…」
その言葉に、顔をしかめるアイラ。
「アイラはどー思ってるの?そういう仲間のコト…」
「…別に。熱血だから。私も含めて、皆が」
「私も含めて?」
身をのりだすK伯爵。
「…以前…想い人がいたの。それだけよ」
どうやら、アイラが密かに恋心を抱いていたのは真実のようである。
「ふーん。どんな人なの?」
その言葉に、アイラは一瞬ためらってから
「…そうね…強いていうなら…」
ごくっ、とナマツバのみこんで、K伯爵が聞き入る。
べるるんも階段のかげからこっそりと盗聴していた。
その後に、セレス、めなりんと続いているのである。
そして、アイラの口が開いた!
「…めなりんのような…」
ごがきしゃぁぁぁぁっ!!!ずべべべ!べしょべしょべしょ!がらんごろんっ!!
「めっ…めっ…めっ…!?」
半分頭がテーブルにめりこんだまま、K伯爵はその言葉を、自分の中でエコーをかけて再生させる。
――…めなりんのような…めなりんのような…めなりんのような…めなりんのような…めなりんの…――
一方階段では、めなりんが転げ落ち、それに夫婦漫才でもやらかしていた二匹が巻き込まれている。
「頭の中身とか、そういうのじゃないわ。なにか、感覚的に…瘴気のようなものが似ているだけ」
サラリと言い去るアイラ。
「外見とかでもないわよねぇ?」
「外見だけいうのなら、K伯爵、あなたのほうが似ているわよ。『あれ』は♂だったけれどね」
御茶をすすりつつ言うアイラ。
あ、店のおっさんがうさんくさそーな目で見てる…
「へぇ、外見はあたしに似てたんだ?」
まだ冷や汗かきつつも、K伯爵はテーブルから頭をひっこぬき、本題にはいりはじめる。
「…K伯爵の髪の色を金色にでも染めれば…
まぁ、望んだところで彼は帰ってはこないし…」
ここではた。と気づいた方はすごいかもしんない。
…いや、まぁ、ここで述べるのはよしておくが…
「ふーん。じゃ、髪パツキンでデートしたげるから、ちょっとした質問にこたえてほしいな♪」
「…だいたい読めていたわよ。別にデート無しでも質問に答えてあげるけど」
――…結局よまれてるし。
ポリポリと頭なんぞをかきつつ、K伯爵はたずねた。
「ちょいと前に、あんたロディに呼び出されたらしいわね」
無言でうなずくアイラ。
満足そうにうなずきかえし、K伯爵、
「その時、一体なんの話をされたわけ?」
「エリクサーについて」
びちゃ。
アイラの言葉に、無表情でお冷やひっくりかえすK伯爵。
「えっえっえっえりくさぁ…って…」
「エリクサーについて、いきなり尋ねてきたから…
まぁ、生えてるところや、使い方、育成のしかたなにかも教えたわねー」
「遠い目でゆーなぁ!!
 じゃない、そんな事を聞ーてるんじゃなくって…」
「じゃぁ何について知りたいの?他にロディ様は何もおっしゃってなかったけど」
「えっと、だから、つまり…」
「意味のない接続詞や前置詞を並べ立ててもわからないわ。私、そろそろ寝るから。じゃ」
「ぅだぁぁぁぁっ!ちょっとぉぉぉっ!!はっっ!!!」
泣き叫ぶK伯爵に、店のおっさんの冷たい視線が突き刺さった。

セレスがこの後、悲惨な目にあったことだけは述べておく。

「日記が読みたい?」
「うんっ!」
クリスのところにめなりんがやってきたのは、次の日の早朝だった。
「いーけどなんで?」
「えぇっと、『日々の徒然なる乙女心をちょっぴしのぞいちゃえ』って感じかな?」
めなりんが手に持ったメモを読み上げる。
はっきり言って不審な事この上ないのだが、クリスは全くためらわない。
「ふぅん。別に恋心は記してないけど、はい」
「さんきゅー★」
持って部屋に戻るめなりん。
「成功ーっ★」
「おっしゃぁ、よくやった!!これでこっちのもんだわさっ!」
なにがこっちのもんだか知らんが一匹うかれているK伯爵。
「クリスの日記なんて読んでも、ロディの好きなタイプなんてわかんないんじゃないの?
第一、ロディが追っかけてるのは星じゃないか。なら同じシュミを持つK伯爵の好きなタイプで…」
「まったくこれだから…わかってないわねぇ、べるるん。
乙女心に日記はつきもの。お星様がのぞくファンタスティックな世界にごあんなーい♪」
…結局は日記が読みたいだけのよーだが…
「んー。けど、ざっと見た限りそれらしいことはありませんよぉ?」
完全にべるるんサイドについたセレスが、日記を一通り眺めて言う。
「えぇー?なんかさぁ、断片でもいいんだけど??」
K伯爵の期待は裏切られた。
「ありませんねー。スピカのシュミが記載されてたりしますが無関係でしょうし…」
「スピカのシュミって…猫好きおねえさんとか…?」
「いえ、『年下趣味で一緒にお魚を食べてくれるコ』と記されています」
本題から離れてるぞ…by作者
そんなかわいいツッコミにもめげず、一同はまた、ロディの好みのタイプについて聞き込みをはじめる。
理由は無論、そのタイプの男性に変化し、メロメロにさせてティナの居場所を聞き出すため(笑)
「星に変化すればいーんじゃないの?」
「あのねぇめなりん。考えてもみなさいよ。
星がいきなり『ティナはどこ?』なんてきーたって、不審に思うだけじゃない」
「だって、相手はあのロディさんだよぉ?」
「はっ!そ、そういう方程式もあったわねっ!」
「…ちょっとK伯爵、なにめなりんのペースに巻き込まれてるんだよ…」
「だってべるるん、まさかあのロディがなにか考えて動くなんてありえないじゃない!」
「…そ、それはそうかも…!!」
「あぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!!!!???
皆さん何を話してるんですかぁっ!?御主人様はそんな無差別殺人者みたいなのじゃないです!」
『…無差別殺人者じゃん』
ちなみに今現在、ロディはベッドで寝ているところである……

「ロディ…」
「はっ!?そ、その声は星様…!」
優しい声に目を覚ますと、星はベッドに腰をかけ、ロディを見下ろしていた。
その場だけみれば完全にらぶらぶムードというよりちょっぴしやばいムードである。
「今、ちょっと分けアリでティナを探しているんだ…知らないか?」
笑みを浮かべたままで尋ねる星。
「…ふっ、K伯爵…そんなことでこのあたしの口を割ろうと?」
「いや、本当に探しているんだが…ワケアリなんだ、話してくれないか?」
きっぱり言い去る星。
「失礼しました、星様っっ(はぁと)
ティナさんでしたら、この街のマジックショップにいるはずですわっっっ(はぁと)」
あっさり口を割ってるロディ。
「そうか。それはよかった♪その言葉を待ってたわ♪」
にっこり笑って、星の姿はK伯爵に、瞬時にかわった。
「じゃぁ、お・や・す・み♪」
ぼぐめしっ!!!
後ろで待っていたべるるんの肘鉄が、ロディを夢へといざなった。

「ねぇ…この街のマジックショップって、セティのとこ?」
ふいにあのツライ日々(でも半日)を思い出し、青ざめるべるるん。
「そうねぇ…もう一件デカイのがあったと思うけど…
じゃぁ手分けして探そうか?まず、セティの方には…」
「わたし一人でいくっ!」
K伯爵の言葉を遮って、べるるんがしゅたぁっ!と手をあげる。
「ん?行きたくないんじゃなかったの?」
「一人でいく一人でいく、ヒ・ト・リ・でっ!」
直訳=だからめなりんはよろしく。
「…えぇぇぇぇ。やっだぁ…」
「なにを言う。1ではきっちりわたしに押し付けてたじゃないか」
「にゅ?なになに?どしたの??」
嫌がるK伯爵に睨むべるるん、状況理解できないめなりん。
…寂しいキャラ(涙)
「わかったわよ…いきゃぁいーんでしょっ!めなりん、いくわよ」
「はーーいっ!」
K伯爵は、ほど遠くもないマジックショップに入る。
その姿を見届けて、満足そうにべるるんも入り組んだ路地へと姿を消した。

…こちらはK伯爵サイドである。
『さいど』の一発変換が『道祖土』だったのにはちょっとびっくり♪
「すいませぇん、ティナっていう女の子を探しているんですがぁ〜」
手近の店の人Aに話し掛けるK伯爵。
手近、と言ったのは、店がとてつもなく広いからなのである。
ちなみに勿論、K伯爵は変装している。ティナにまた逃げられてはたまったもんじゃない。
…変装っつっても、いつもの髪を一つに束ねて、目の色緑にかえて着替えただけだけど。
「ティナちゃんかい?今3階のオフィスルームにいると思うがねぇ?」
にっこり笑って答える店員。
下心が丸見えなところがちょっぴりイヤかも(はぁと)
もちろんK伯爵は、そういう男の扱い方には慣れている。
「おふぃするぅむぅー?よくそんな野蛮なコト言えるわね。セクハラの現場じゃないの」
「せっ!セクハラなんて、そういうこと考える方が野蛮なんじゃないのかっ!?をいっ!?」
「あ。あんたもーいーから。出番ここまでよ。さよならー♪」
「あぁぁっ!ちょ、ちょっと待てぃっ!人をインスタント食品のようにあしらわんでくれっ!!」
「ふっ、人なんてあたしにしてみれば糧もどーぜん。インスタントラーメンのようなモノよっ!」
「人を糧に…って、あんた!まさか、魔族とかじゃぁないだろうなっ!?」
ぎくぅっ!!!!!
…図星ばればれのリアクションをするK伯爵。
しかしここは、三流以下の相手によく使う舌先三寸攻撃であるっ!
「魔族…魔族ですって!?いい響きだわ!!ねぇねぇ、そういう本とか文献って売ってないの?」
「はっ!?…おまえ、まさかただ単に魔術の儀式とかそういうのが好きなだけ…?」
「え?なにかいけないの?魔族大好き、スプラッタOK(はぁと)…だめ??」
「いや、『主人公』ってフツーは反対の性格だから、ついつい…そうだよな…魔族なわけないよな…」
んごめきっ!
性格の一言で、K伯爵の怒りのアッパーは、彼の顔面を直撃した。

べるるんサイド。
こんどは『さいど』、一発変換で『サイド』とでたのでちょっぴりうれしい(はぁと)
「いらっしゃいませー…あれ?べるぜさんじゃないですか」
「セティ、久しぶり。ちょっと聞きたいことがあって来てみたんだけど…」
「魔族の知り合いならいませんよ?」
ずるっ。
カウンターであっさり言ったセティの言葉に、べるるんは思わず滑る。
「き、きっちりばれてたのか…わたしらが魔族だって…」
「そういうのは、必ずニオイがするものですよ。
それより、デモン・ブラッドはすべて手に入ったんですか?」
ひょっとしてセティ、小説読んでくれたのではないだろーか。
…かんしんかんしん(爆)by作者
「それなんだけど…いや、デモン・ブラッドの文献がある訳でもないだろうし…
…いーや。やっぱり、部外者さんを巻き込むわけにいかないもんなぁ…邪魔したね」
「ありますけど?デモン・ブラッドの文献なら」
もはや人間外のセティ。
「…で、でも、別にそれで、なにか大発見ーってなことが書いてあるわけでもないだろうし…」
「この本なんですが、デモン・ブラッドに関してのすべての事が記されているとか聞きました。
ま、あなた方の事ですからね。デモン・ブラッドが全部集まっても、
どーせ封印のときかたを知らないんでしょうから、持ってて損はしないかと思いますけど?僕は」
古そうな本を手にして言うセティ。
辞書並の厚さの本が5冊。それぞれ、黒、銀、白、朱、蒼の表紙裏表紙で、金細工がほどこされている。
黒いものなら何とか読めそうな題がついているが、他の4冊は問題外。
いや、そんな本の説明はともかく…
…そういえば、魔族達は、デモン・ブラッドの封印の解き方を知らなかった。
全部合わせたら何かが起こるんじゃないかとか、そっちの方はいろいろ噂されてはいたのだが…
「この黒いのはともかく、それ以外は古代文字じゃないの?読めないし…」
「それはわかりませんけど…べるぜさんって、古代文字が使われていた頃、生きていたんじゃ?」
「いや、もぉ数えるのも嫌になるくらい年くってるけど、古代文字はもともと神の側の文字だから…」
長く生きているわりに学力のない魔族である(ぼぐめしッ!)
「そうですか。じゃぁ、この本はお渡ししときましょう」
「ををっ!ふとっぱらぁ!!」
「御会計は金貨一億枚ですね」
…。
「ばいばい(はぁと)」
トンッ。
セティの首筋を軽く叩き、気絶させるべるるん。
…犯罪のような気もするがそこはそれである★

再びK伯爵サイド。
こんどは『さいど』で、また『道祖土』が出てしまい、ちょっぴりブルー…
「3階って言ってたわね。エレベーターを使っていくわよ」
「ほぇぇぇっ!?ぜったいぜったいぜったいやだっ!!!」
いきなり全面否定するめなりん。
「はぁ?いきなりなによ…?あんたはついてくりゃいいのよ…」
「だって、エレベーター酔っちゃうもんっ!吐いちゃうもん!!!」
ここら辺は、スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達ロストユニバース編を参考にしてほしいです♪
「…つまりぃ…階段で行け、と?」
「うんっ!うんどーうんどー!!」
べち。
「さっさとエレベーターでいくわよ」
「K伯爵、いったぁい…」
いきなりのはり手にくらくらしつつ、エレベーターに乗り込む。
――…いやその前に、あの世界にエレベーターなんてあるのだろうか?
…謎が謎を呼ぶ…
チーーーーーーン♪
「3階でございます。全てのマテリアを取り揃えております」
マテリアは別次元のものである…。
知らないって人のために言っておこう。某超人気ゲーム7のアイテムである。
スレイヤーズで言う、デモン・ブラッドみたいなものだ。
…いや、まぁ、かなり違うという説もあるけれどっ!!!
きっと見た目は似てるはず!!!(それだけか?)
「さぁ、おりるわよ」
べこっ。
めなりんをエレベーターの外に蹴り出して、当のK伯爵はその後に続く。
「上へまいります。閉まるドアーに御注意ください」
チーーーーーーン♪
エレベーターのドアが閉まる。
「さて、オフィスルームはどこよ?それ以前にここ、スレイヤーズ世界なわけぇ?」
マテリアの並ぶ店の横に、暗く細く続く道を見つけ、はいって行くK伯爵。
「あーっ!ねぇねぇっ!!せーぶくりすたるがあるよっ!!」
「あのねぇ…これはゲームじゃなくて三文小説なんだから…」
はしゃぐめなりんに汗するK伯爵。
しばらく暗いその道をいくと、オフィスルームに辿り着く。
「…めなりん。セーブクリスタル…つまりセーブポイントがあるということは…
フツーならこの扉をあけると戦闘のあるイベントにまきこまれるはずよ…」
「どうするの?」
にやり。
K伯爵の深い笑みが、馬鹿魔族を凍らせた。
「こーすんのよ!」
ばたぁんっ!
威勢よくドアを開け、K伯爵は声をあげる!
「ティナ!!今日こそはデモン・ブラッド、渡してもらうわっ!」
そして、そこに響く謎の声!!
「ティナちゅゎ〜ん(はぁと)このバニーちゃんの服、着て〜(はぁと)」
「やめろ、部長!!これはセクハラだかんねっ!ティナ、賠償金もらっちゃるぅ!」
ずる。
部長とよばれたおやぢが、その広いオフィスルームで、ティナと鬼ごっこをやらかしている…。
「そんなこと言わないで、ティ・ナ・ちゃんっ(はぁと)」
「だぁーーーーーーーーー!!!大の男がよぉっくもそんな声だせるわねぇ!!
あたしだって、あの大量にあるマテリアの中にデモン・ブラッドがまぎれこまなきゃぁ…!!!」
…マテリアの中に、デモン・ブラッドがまぎれこんだ!?
「ちょ、ちょっとティナ!!なにやってんのあんた!?」
「あぁぁっ!K伯爵、いいところに♪ちょっと、この変なおやぢどーにかしてよぉ〜!!」
敵も味方もあったもんではない。
「…あれ…?ちょ、ちょっと待ってよティナ。いちおー変装してんのに、なんであたしだって…?」
「だぁって、隣にウロチョロしてる馬鹿見れば一目瞭然じゃない。
それはどーでもいーから、たぁ〜すぅ〜けぇ〜てぇ〜〜〜!!!」
必死に助けを求めるティナ。
「デモン・ブラッドくれるなら助けてあげる(はぁと)」
しかしにっこり笑ったK伯爵の言葉。
「っっこの魔族!!死神!!!男狂いーーー!!!」
「ちょっと待ったぁ!おとこぐるいとは何よっ!?」
「ふっ、そのまんまじゃないの!!いいからこの変態おやぢをどーにかしてぇ〜!」
「いやっ!!!怒っちゃったんだからっ!デモン・ブラッド見つけ次第、出てってやる!!」
完全に目の色赤くして、ティナをにらみつけるK伯爵。
無論その姿は、いつものK伯爵に戻っている。怒りによる暴走で、魔力変装ができなくなったようだ。
「えへへっ(はぁと)ぼくちんの好み(はぁと×100)」
ぞわわわっ!!!
変態おやぢのその声に、K伯爵に鳥肌がたった!!
見れば、K伯爵の方を向いてニヤニヤと笑う、気持ち悪い部長の姿!!
「金輪際出てくんなぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!!!!」
ぼきゃべしっ!!
K伯爵の怒りと恐怖のアッパーは、その部長と呼ばれていたおやじをものの見事にふっ飛ばす。
おやじは窓を突き破り、空の彼方へととんでゆき…
効果音:キラリーン!
その星を見届けて、K伯爵はくるりと後ろを向いた。
目を真紅に染まらせて。
「てぃ〜〜〜なぁ〜〜〜〜〜〜〜…?」
「う゛っ!?K伯爵っ、その金剛力士像みたいな顔はやめてほしいんですけどぉ!」
K伯爵の怒りの矛先変更。
「デモン・ブラッドはどこ?
 あのマテリアの中にホントに埋もれているわけじゃないんでしょ!?」
「…あのねぇ…もしもそうだとしたら、あたしがここにいる意味はなくなるじゃないの!」
…。
「ホントのホント…なの…?」
目を点にして尋ねるK伯爵に、ティナは自信に満ち溢れた表情で首を縦にふった。

続くでし★――


22も投稿せねば。私って御茶目♪(違)
感想は辛口も甘口も食べられます(謎)

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8568スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達22めなりん E-mail URL1/20-23:41
記事番号8567へのコメント

どうもどうも、こんにちわ。こんばんわ。そしておはよう。めなりんでし。
あ、この小説いつまで続くか不安になってるでしょー?とりあえず30まで書いてます。
というのは実はサバ読みで、今29を書き終えました(死)
結局長いことは言うまでもありません。1は割と普通の容量だったのに。
…ま、暇つぶしにはいいかも(をい)


22だったりしちゃったりなんかしてみたりもして♪

「だぁぁぁぁっ!探せど探せど見つからぁんっ!!!」
「ほにょ〜?なんか、いろんな色のがいっぱいだぁ〜」
「ねぇってばぁ、K伯爵ー?まず色分けしなぁ〜い?」
マテリアの山をひっかきまわすこと約2時間。
三匹とも…K伯爵、めなりん、ティナ、全員とも、目を皿のようにして探しているのだが…
…デモン・ブラッド、一向に見つからず。
「赤いマテリア……つまり召喚マテリアは、こんなチンケなトコで売ってないわよ、ティナ」
「でもK伯爵、ここに赤いの2つあるの。どっちもデモン・ブラッドじゃないみたいだけど」
その声に振り向けば、ティナの手に持った赤い召喚マテリア。
「ほ、ほかにもあるの!?」
思わず尋ねるK伯爵。
「あー!!!K伯爵ーぅ、向こうにうりうりー!!」
めなりん語訳:K伯爵、向こうに召喚マテリア売り場があるよ。
「をを!いってみよいってみよ!!」
すっかり客の目も忘れて、宝探しに熱中するK伯爵。
ちなみに売り場の店員はといえば、既にK伯爵やティナに『ぷちっ。』と殺られている。
客は単にスリーピングの術をかけただけに思ってるけど。
「赤いのがごっそり!この中に一つだけ、デモン・ブラッドがあるのねっ!」
ダンボール箱を眺めて言うK伯爵。
「…ふっ。」
いきなり微笑するティナ!
「なっ…なに!?」
「デモン・ブラッドみーっけ(はぁと)」
ごそっ♪
ダンボール箱の中から、一つ光り輝く黄金の…ぢゃなくて紅のデモン・ブラッド!!!
「ぬすむコマンド!!」
いつのまにか『ぬすむ』のマテリアを身につけて、K伯爵はダッシュする!
『ぬすめなかった!!』
びたんっ!
いきなり出現したそのメッセージに、ティナを目前にしておもいっきしコケるK伯爵。
「L1・R1ボタンで逃走よっ(はぁと)あでゅー☆」
いきなり逃走するティナ!
「あぁぁぁっ!!!ちょ、ちょっと待てぇい!!」
そのでっけぇ道具屋に、K伯爵の涙声がこだました…

「はぁー?またやっちゃったわけー!?」
呆れかえったべるるんの声。
あれから約数分後。宿の一室である。
「ま、ままま、またぁ…って…そんなコワイ顔していわなくったってぇ…」
「やぁだぁ、K伯爵ったらべるぜ様はイワナなんて食ってないですよぉ?」
いわなくったってぇ→イワナ食ったってぇ
「…セレス。ぷち殺されたくなかったらめなりんの後ろにでも待機してろ」
静かに、それでもバックに炎を燃やして脅すべるるんに、すごすごと後退りするセレス。
「それで…ロディの方は、まだ宿に残ってるんでしょ?」
K伯爵の方を向き直り、尋ねるべるるん。
「さっき、部屋を覗いたんだけど…いないや、てへっ♪」
にっこり笑っていうK伯爵。
……。
「結局、また盗まれたってわけ…?」
べるるん、ジト目攻撃。
「あっ!!でもでも、行き先はわかっているのよっ♪
たぶんアイツらの事だから、どっかで打ち上げでもやっているわっ♪ねっ(はぁと)」
K伯爵も負けじと色気攻撃。
……黙。
『はぁ…』
二匹は同時に溜め息を吐く。
自分の使い魔すらも敵方に残して行ったロディと、きっちりデモン・ブラッドを奪って逃げたティナ。
割と魔族の道を進んでいるなぁ。
「…しかたないわね。超高級レストランかなにかで聞き込みでもしましょうか?」
がたんっ、と席を立つK伯爵。
「あ、ちょっとタンマ。こっちにだって収穫はあったんだから」
どばごぅんっ!
でっけぇ音響かせて、テーブルの上に分厚い本五冊を並べるべるるん。
「何よ、この辞書みたいの?黒、銀、白、朱、蒼…しかも古代文字じゃない」
「デモン・ブラッドに関して、全ての事が記載されてるとかで、もらってきた」
正確に言えば奪ってきた、と言う…
「銀色のならなんとか読めるかしらねー?他のはこの知的美少女サマでも無理だけど」
と、K伯爵。
「めなりん、白いの読めるーっ!…かもしんないー!!」
「それでわたしが黒、か…それじゃ、他の朱と蒼は…?」
それはヒミツです(ばきぃ←全国のゼロスファンからの攻撃。)
…あとちなみに、なんでめなりんが白かというと、割り振りしてたら白があまったからである(涙)
「あ!私、この字見たことあります!!どこだったかなぁ…」
朱い本を指差して言うセレス。
「…シャブラニグドゥ様の自己流文字ね。
7つに分かたれてからのS様達は、文献にはすべてこの文字を使っていらっしゃるわ」
と、アイラ。
こういう時、知的美女がいると実にいいですな。
「それで、その文字で書かれた御役所仕事の内容を読めるのはロディ様かティナ様ってわけねっ!」
クリスも日記にメモしつつ言う。
「これで謎は蒼い本だけね。
…ともかく手分けして、デモン・ブラッドの封印のとき方を調べましょ」
「それがいいわね、K伯爵。それからロディ様を見つけ出さなきゃ」
すっかりロディに捨て去られた使い魔達は、涙しつつうなずく。
そして朝まで読書大会は続くのである…――

「あぁぁぁーーーーーーーーーーーーーったぁーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!」
AM、6:48。
べるるんの声が、宿の一室に高らかに響く。
…徹夜は美容と健康とその日一日に悪い。
「どこっ!?どこどこっ!?…って言っても読めないけど!」
K伯爵が本を覗き込む。
「ここなんだけど……ちょっとこれは難しいかも…」
「一人で難しいとか言ってないで、さっさと発言したらどう?」
めきっ。
…その一言に、アイラは3分間気を失うことになった。
「赤き宝玉、条件揃う事に因り、真の力を発揮せん。
但し、時に魔の手忍び寄るなれば、其の力瞬時に消え失せり、あたりに滅びをもたらさん」
……黙。
「…ねぇねぇ。魔の手…って…あたしたち言葉通りの魔族だよ…?」
K伯爵のツッコミ。
「まだ、続きはあるよ…
其の方の真の力、闇を呑み込み、世界は光の止まることを知らず。
全ての悪を消し去るがため、其の方は闇の源をも喰らい、我等が力となるだろう」
……黙。
「とりあえず、其の方っていうのがめなりんの兄ちゃんね…
そして、闇の源を喰らい…の闇の源は、一応めなりんのコト…」
K伯爵の考察。
…沈黙の時はすぎてゆく。
「はっはっは!!そこの闇に住まう悪しきものたちよっ!」
「誰っ!?いきなしシリアスシーン(?)ぶちこわすのはっ!?」
いきなりの声に、K伯爵がとりあえず反応する。
かしゃん!とスポットライトがあたったその窓には、5つの黒い人影がっ!
「愛が、正義がある限り!我等の行く手に光は見える!!」
どっかで聞いたような口上である。
「我等ライトマンの行く所、悪はたぶん滅びるだろうっ!」
「…実は言いきれてないところが寂しいやつら…」
べるるんの鋭いツッコミ。
「悪は黙っていろ!!まだ見せ場は終わっていない!!!」
真ん中の奴…つまり、ライトマンレッドルシファーことめなりんの兄ちゃんの怒声。
「はいはい、それでなんの用よ?」
聞き流すK伯爵。
ライトマン達は再びポーズをとって、上からにやりと見下ろしつつ、
「闇の根元を倒せば世界は平和!光が溢れ、人々は笑い…そんな世界を手に入れる時がきた!」
カメラ目線で言い放つ。
「悲しいことがあるからこそ、楽しいことは楽しいんですっ!」
叫ぶセレス。本当に魔族だろうか?
「ルシファー、惑わされちゃだめ!魔族が人の心を理解できるはずないわ!」
「理解したくもないっ!!あなた達のよわっちい『心』とやらは特に!」
ライトマンピンクのリアの言葉に、負けじと言い返すセレス。
なんかセレス、『愛』が芽生えているよーな…
「よわっちい!?どこが!言ってみろ!」
「じゅーーぶんよわっちいじゃないの!」
答えたのは、べるるんでもK伯爵でもめなりんでも使い魔たちでもなかった。
「ろっ…ロディ!」
そう。
窓のさらに上に浮かぶその影は、まさしくロディ!
ちなみにその右隣にはティナもいる。…木が邪魔で半分隠れているけど…
「悪がまたほこほこと沸いて出たか!」
叫ぶライトマングリーンヤナリ。
「…あれ?やなりんじゃん。…それにまーりんまで、どしたの?」
…いきなりのめなりんの言葉。
「あぁぁぁぁっ!陛下!!探してましたぁっ!!」
「をを、陛下…ご無事で…死ねばよかったのに…」
なんか知らんがすぐさま魔族側につく、ライトマングリーンヤナリとライトマンブルーマーサ。
「…ど、どういうことだ、ブルー!グリーン!!」
動揺を隠しきれないルシファー。
「りんりん帝国の帝王、めなりん…
ブルーのマーサは騎士隊長。グリーンのヤナリは親衛騎士として、それぞれ帝国民だったわ!!」
なぜかプロローグに入り出すライトマンイエローマーダァ。
「しかし、ある日帝王は姿を消してしまうの!失踪、ってやつね!
そこでしかたなく二人は、ライトマンと名乗って、帝王の居場所を掴んでいたのよ!!」
どうやって居場所を掴んでいたのかが謎である。
「マーダァしゃんはまだ国民じゃなかったよねぇー?
まーりんはもういるし…まだりんってのはなんか変だし…どうしよっか?」
「そうねー。まーだぁりんじゃ長すぎるもんねぇー」
名前を考え出すめなりんとマーダァ。
ほがらかほがらか〜♪
…ライトマンの五分の三がいなくなった。
「しかたない、リア!僕たちの愛の力で行くぞ!」
「わかっているわ、ルシファー!!たとえ仲間に裏切られてもそこはそれよね!」
そこはそれ、にひっかかったのか、元ライトマンの三人が、ギロリとリアを睨む。
「K伯爵!あたし達はまだ、邪将軍を裏切ってないわ!!
…けれど、一つ貸しよ!デモン・ブラッドの封印をときなさい!」
空間移動で部屋の中へ入り込み、ロディが叫ぶ。
入り込んだら叫ぶ必要はないが、まぁ気にしないことだろう。うん。
「…ロディ…」
いいの?という風に、渡されたデモン・ブラッドを握り締めていうK伯爵。
「そのかわり星様はイ・タ・ダ・キ、よっ!」
「遠慮せずに封印とくわ…」
言ってK伯爵は、べるるんにデモン・ブラッドを渡す。
「…あぶないっ!」
そこに、スピカの声が響く!
「ライトマンファイナルアターーーーーーーーーック!!!!!!!」
突っ込んでくるリアとルシファー!
「えいやぁ。」
ばきぃ。
部屋に空間移動したティナの、気合のこもっていないパンチに、二人はあっさりどこかへ飛んでった――

「さて、それじゃ封印をときますか」
それからすぐ後。
以前、海王ゆかりにもらった麻袋からデモン・ブラッドを取り出して、べるるんは考え込む。
「ふっ、考える必要などないわ。
貸しはもう終わり…やっぱりデモン・ブラッドはかえしてもらうわよっ!」
「だぁぁぁっ!?ちょ、ちょっとロディ!!さっきのあの微笑ましい行動は一体どうなんの!?」
K伯爵が目を赤くする。
「ほーーーーっほっほっほ!あの場で封印をとけば、死なばもろともだったじゃない!?」
「じゃぁ、翼月 星への愛はもうないってわけね!それはすごいわ素晴らしいわっ♪」
「そうじゃないそうじゃないそうじゃなぁーーーーーーいッ!!K伯爵のおばか!」
「ロディに言われたら終わりじゃっ!ともかくあんた達の出る幕じゃないんだからすっこんでて!」
「すっ…すっこんでてってなによ!こーなったら力づくよっ!!いけ、使い魔たち!」
…し〜ん。
ロディの命令をあっさり無視する使い魔達。
「…ちょ…ちょっと、どうしたの…?」
汗して尋ねるロディ。
「御主人様、私達はその場のノリのために創り出されたのではないでしょう?
他の魔族にわからずとも、私達には、御主人様の本当の気持ちはわかっています。
ならば、その御主人様の本当の気持ちに従うのが、私達使い魔の役目ではありませんか?」
一歩前に出て、アイラは淡々と言う。
他の使い魔も同じ目で、ロディを見つめている。
なんかちょっと前までべるるんのアッパーで気絶させられてたなんて思えない台詞である(爆)
一方ティナのほうを見てみれば、ロディをじっと見据えて、一つ溜め息を吐き、
「…ねぇロディさん。あたしも…実は気付いてたんだよ?
ロディさん、S様達といるよりも、このメンバーの中にいたほうが笑ってたしさ。
あたしはそれを知って、あたしと一緒なんだなって思って…あんまり戦闘しなくなったの」
にっこし笑って、ティナが言う。
「な…なにいってんのよ、ティナさんまで!
確かにあっちには、セレスの彼氏だっているけど、だからって…!」
「ちょっと待てわたしは彼氏って認めた覚えは…ぐはっ」
水を差そうとしたべるるんに、K伯爵はチョップをくらわせる。
「例え私がべるぜ様を愛さなかったとしたら、この魔族にとどめをさせるんですか!?」
気絶したべるるんそっちのけで、セレスは叫んだ。
「まぁ今でもとどめさせるけど?」
…あっさり言い放つロディ。
「ロディさぁん、もーちっと素直になろーよぉー…
あたし、ロディさんがずーっと嬉しそうにこのプロジェクト遂行してたおかげで、
ぜぇ〜んぜん出番まわってこなかったんだよぉ〜?また出番減っちゃうじゃな〜い」
「ちょ、ティナさんっ!
…でも…そうね…そうかもしんない…
……ならば、戦いであたしのホントの心を…見抜かせてもらうわ…」

ばとる1

「とゆーわけで、こいつだけは必ず殺せる!めなりん、勝負よっ!」
ひどいよロディ…by作者。
「えー、めなりんやだー」
「いいから行ってこいっての」
嫌がるめなりんを無理矢理蹴り出すK伯爵。
「ふっ…グロディロウヴァーース・ロイヤーーーール・キィーーーーーーーーーック!!!」
「ほぇぇぇぇっ!?」
いきなりの飛び蹴りに、めなりんは頭を抱え込む!
――ごきゃっ!がんがららら、べしょっ!…かこん!
めなりんを通り抜け、床を突き破って下の階にまでいってしまうロディ。
…そういえばここは宿屋である。
「ろーーーーーーーーでぃさーーーーーーーーん!?きこえるー!?
場所かえるよーーーーーーーーっ!!!!この近くの丘に空間移動ねー!」
ティナがとりあえず、場所の変更を伝えて、空間移動で消える。
他の魔族達もそそくさと、まだ埃のもうもうと立ち込める部屋を後にした。

ばとる1.5

「えぇい!今度はぶちっ殺す!!」
近くの丘、というところで、である。
ちなみにこの丘、一面緑色の若葉が生い茂っている、かなり広い丘だ。
戦闘には持ってこいですな♪
「たぁっ!」
アストラルサイドからの攻撃!
「ほぇ?」
…きいてない。
「え!?あれっ?なんでぇ!?」
「めなりんのアストラルサイドは混沌も同じだから、攻撃が呑み込まれちゃったみたいです」
と、スピカ。
「むー…シェーラザード!」
今度は剣を生み出して、めなりんに斬りかかる!
「ほにゅ?」
…速い。
ピカチュウの高速移動も顔負けである(相手は魔族だぞ)
ざしゅ。
…っぷしーーーーーーーーーーーー。
「…あっけなく…両腕切り裂かれたわね…」
K伯爵の涼しい御言葉。
ロディの1勝!

ばとる2

「じゃぁ今度は、わたしが相手でもしますか」
次に出てきたのはべるるんである。
「えぇぇっ!?べるぜ様がですかぁ!?K伯爵さんにかえてくださいよぉ!」
わめき出すセレス。
「ふっ、楽に滅ぼしてあげるから安心なさい!」
「御主人様ぁ〜!ちょっと待って下さいよぉ〜!」
ロディの腕を引っ掴み、セレスが抗議する。
「セレス、あなたは自分の欲望と主の勝負と、どっちが大切だというの!?」
迷うこと無くきっぱりと。
…セレスは言った。
「自分の欲望です」
「あぁっ!これだから魔族は嫌いなのよぉっ!」
自分も魔族のくせに、頭を抱えて叫ぶロディ。
「そぉれっと」
内部葛藤を全く無視したべるるんの右手に、一瞬蒼白い魔力がたまり…
ばきゅばきゅばきぃぃっ!!
「○▲×★%&@!!!」
意味不明の叫びをあげるロディ。
雷撃系の攻撃である。ダイナスト・ブラスの強化版のようなものだ。
「…くっ」
ロディはよろけつつ、それでも立ち上がる。
それでもロディ自慢の洋服には傷一つついていない。
…右腕は消滅しかかってるけど。
「はぁっ!」
次にロディが気合いを入れた瞬間、べるるんの眼前に、黒い炎が現れた。
「これは…なんどすえ?」
叫んだ(?)時にはもう遅い。
「ブレイク!」
きゅどぉぉん!!!
炎がべるるんを包み込んだ!
「べるぜ様ぁぁぁぁっ!」
セレスの悲痛な声がこだまする。
しかし、まだべるるんは滅びてはいないはずである。
ロディは少々力加減をしていたのだ。
仮にもセレスの恋人である。親としてはなんとかして助けてやりたい。
「…っと」
しかしロディの思惑は外れた。
この一撃で、足をなくして倒れるはずだった。
…しかし現にべるるんは平然と立っている。
「…ふっ!?不死身のジョー!?」
ショックを受けるロディ。
「ジョーってなにジョーって?」
一応つっこむべるるん。
「…どうやら一発、本気の魔力を入れなきゃ勝てないみたいね…」
ロディはそう言って、ぐっ、と構えてみせる。
「えぇっ!?それってつまりっ…!?」
青ざめたセレスが、軽度の貧血をおこす。
しかし今はセレスの身を案じているほど暇じゃなかった。
「はぁぁぁっ!」
謎の気合をいれつつ、ロディは左手を一閃する!
ッィィィィィイイイイィィィィィィィ…!
超音波のような音が、べるるんの頭でうなりをあげた!
「…ぅくっ!」
たまらず倒れ込むべるるん。
しかしなんかしらんが頭を押さえず腹を押さえてるところが謎である。
「シェーラザード!」
かまわず左手で剣を持ち、ロディは尚も迫る!
べるるんは動こうとするが、まだ体に痛みがほとばしっている。
空間移動すらできない。先程の超音波のような効果で、『気力』がほとんど奪われたのである。
「たぁぁっ!」
ロディが剣を構えた!
「べるぜ様ぁっ!」
セレスの叫びにも、シェーラザードはかまわず、べるるんの胸を深々と貫いた!

「……」
沈黙。
「…どうして…」
言ったのはセレスではなかった。
「…どうして殺せないの…?」
胸を貫いた元シェーラザードは、鈍い輝きを放っていた。
つまり魔力を抜いたわけである。
それも、ロディ本人の意思で。
「これがあたしの本心だってゆーの…?」
べるるんの頭で超音波が鳴り止んだ。
瞬間、胸に突き刺さった剣をずぶりと抜き、同時に立ち上がる。
「わたしが例えセレスの想っている存在でなくても…」
…ロディはわたしを斬っていなかった。
最後は心の中につぶやく。
「いーわっ!もーやめたやめた!!
デモン・ブラッドなんかどうだってよくなっちゃったわっ!」
あっさり負け宣言するロディ。
べるるん一勝、ロディ戦闘廃棄のため、戦闘終了。
「じゃぁそういうことでバイバイ(はぁと)」
にっこり笑っていうK伯爵。
「ひっどぉいっ!だからってイイトコもってかせるわけじゃぁないわよっ!」
…いつものロディに戻ったようである。

「…K伯爵…とりあえず、ロディやティナは味方につけたとして…
デモン・ブラッドの封印をとくのはいったいどーーーーーーするわけ??」
宿に戻って。
床の修復作業をしながらである。
ちなみにめなりんの両腕はすぐに復活してしまった。
しかしまだ右手だけはない。
それにしても全員徹夜である。あやまって釘を自分の手に刺さないよう気をつけてほしい。
…って言ってる側から、ティナ自分に打ち付けてるし。
「とりあえずあの文書からして、まず間違い無くデモン・ブラッドの封印をとけるのは人間ね」
「そのとぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーり!!!!!!!!!」
ばんっ!どんっ!ぴっかぁぁぁん!!!
「…ってL様L様。効果音だけじゃぁわかりませんって。
ここの作者に指示を出して、演出とか動きとかをこうやって設定して…」
…約20秒。
とりあえず先程あらわれたのはL様ことロード・オブ・ナイトメアである。
「サンキューK伯爵っ♪…ってとぉにぃかぁく!
この一件でわかったとは思うけど、デモン・ブラッドの封印についてはまったくわからないの」
かーんかーんかーん。
全員さっさと修復作業にとりかかる。
「無視すんなって」
『しませんしません!!』
冷やかな目でパイプオルガン持ち上げるLに、こくこくうなずく一同。
「…ってわけでね♪あらいざらい調べて来てほしいんだ・け・ど♪」
かーんかーんかーん。
全員さっさと釘をうつ。
「無視すんなって」
『したいけどしませんしません!!』
冷ややかな口調でスフィンクス持ち上げるLに、こくこくうなずく一同。
「でもL様?あらいざらい調べるって…どうやってやるんですか?」
ジト目でつっこむK伯爵。
「まずは、カタートの、海王ゆかりと翼月 星のとこにいってもらうわ」
と、L。
「どうして?」
「会えばわかるわ。
なぜか十二単を着て待っているそうよ」
かーんかーんかーん。
全員さっさとペンキ塗る(なんでかーん?)
「無視すんなって」
『させてください』
冷ややかな表情で万里の長城持ち上げるLに、涙する魔族達。
「ゆかりはともかく星様に十二単だなんてっ!」
ろでぃがうるうるの瞳で訴える。
「彼女は女だってば」
同類べるるんつっこむ(爆)
「というわけで、いってらっしゃい。
ここの修復作業は、部下Sにやらせとくから」
嗚呼、部下Sはつらいよ…――

「だぁぁぁぁぁ!?」
「あら、カワイイじゃないっ♪」
叫ぶべるるんに可愛がるK伯爵。
「なんでわたしまで十二単着なきゃならないの!?」
「星からの要望。一人じゃ寂しいんだって(はぁと)」
「だったらK伯爵だけでいいじゃないか!」
「二人よりもおーぜいのがいいじゃない(はぁと)」
「K伯爵とめなりんだけでじゅーぶんじゃないのぉ!?」
「ぜぇんぜん、じゅーぶんじゃ・な・い(はぁと)」
…そう。三匹そろって十二単である。
K伯爵はぴったし似合っている。やっぱ黒髪の長髪はいいね。
めなりんも、まぁ一応、見れない程度ではない。
…が、しかぁし!
べるるんはそれとは別次元の人間…じゃない、魔族であるっ!
彼女に十二単を着せて似合うと思う人間魔族神族ドラゴンエルフホムンクルスその他手ぇあげてっ!
……。
「べっ…べるぜ様…いやぁぁっ!近づかないでぇ!!!」
セレスも涙ぐんでいる。
「まさかっ…まさか、べるぜ様までそういう系の人だったなんてぇっ!」
「そういう系ってどーゆー系ぢゃぁっ!?第一わたしゃ人じゃないぞ!」
それ以前に、べるぜ様、ま・で、とは一体…?
「ひどい!ひどいです!!私をもてあそんでいたんですねぇっ!?」
「このじょーたいが、もてあそんでるよーに見えるかぁッ!?」
「馬鹿なこと言わないでくださぁい!!」
「どっちが馬鹿じゃどっちがッ!?言ってみぃ!!」
『どっちも』
きっぱり言い捨てるK伯爵。
「ちょっとKちゃん…べるるんはともかくあたしの使い魔を馬鹿扱いせんでくれない?」
「ふっ(´ー`)r」
ジト目で睨むロディに、呆れた顔をするK伯爵。
考えてみれば、ロディはあれからK伯爵のことをKちゃんなんぞと呼んでいたりする。
何事も形から?(謎)
「さて、星のトコにいきましょっか!」

「おっ…おっ…
お待ち申し上げておりましたっ…」
ぴくぴくぴぴくぴく。
凍えるような、蚊の音ほどの美声。
白く細い三本指が、鮮やかな十二単の袖から見え…
…なんて冷静に進行できるホド生易しいもんじゃないや。
現にK伯爵、ロディは既に、気絶してぴくぴくやっている。
べるるんは色の抜けたまま遠くの方を見ていたりして♪
ティナや使い魔達はロディの心配をするばかり。
めなりんはなぜか笑っている。←だって作者じゃん。
そして、ゆかりもにこにこと笑っていた。
「その調子っ♪やっぱ星は女装すべきだわ♪」
ちゃっかり自分も十二単を着ているところがゆかりである。
ちなみに、今のとこ十二単を着ているのは、星、ゆかり、そしてべるるんだけ。
K伯爵達は『暑いから♪』とかって理由をこじつけて脱いでしまったのだ。
「ゆっ…ゆかり!!あんたの仕業ねっ!
よくもこのK伯爵様の星に手出ししたわねぇ、えぇ!?」
「ちょ、ちょっと、ロディをのけものにしないでよっ!」
ぎゃーぴーぎゃーぴーぎゃーぴー!!!
…なんだかんだ言って五月蝿い奴等ではある。
「星…あんたも大変だぁね…」
「べるぜさん…お互い頑張ろうな…」
しくしくしくしく…
…なんだかんだ言って寂しい奴等もいる。
「ねぇねぇ、セレスぅ…?」
「うるさいっ!この馬鹿めなりん!
名前間違われて恋人が女で、挙げ句の果てにその女の恋人が十二単を着せられて…
ついで言えば恋人の男バージョン最悪だったし、まずいもんも食わされたわ…っ!!」
……っずーーーーーーーーーーーーーーーん…
落ち込むセレス。
このことについて、他の使い魔さん達、なにか一言ー★(インタビュアーめなりん)
スピカ「セレス、今度お魚さんあげるから元気だしてほしいにゃ☆」
クリス「あなたのことは、わたしが日記につけといたげるからね♪」
アイラ「ま、長い魔生の道のりの、何度かの挫折にすぎないわね…」
「私はイルカの魔族でもお魚が好物でない上に日記につけといてもらってもうれしくないわ!
それに何度かの挫折って、この小説に出てきた1年間、私、一体どれだけ挫折してるのよっ!?」
セレスからの抗議の投稿。
「…たくさん」
「わかってんなら幸せにしてぇ〜!!!」
無理無理無理。
「どうして!?」
だって、魔族じゃん。
「何が関係あるの!?」
魔族は運が悪いものと決まっているんだよ♪
「はぁ!?…ぷふぅ…」
セレス、気絶。
どうやら作者の姿を探しているうちに、十二単を着たべるるんを見たらしい。
いやぁ、どうなることやら…

キリ悪いけど容量大きくなっちゃったんで続く――


さぁ、まだまだ続きます(ちょっと涙)
苦情はメールで、感想はコメントでお願いします(笑)

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8569スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達23めなりん E-mail URL1/20-23:46
記事番号8568へのコメント

まだまだ続くよすれまぞシリーズ。とんでとんでとんでとんでとんで〜♪
でもイニシャルで略さないように(爆)
あぁ、こんな事↑書いて削除されないだらうか!?後半へ続く!(嘘)


ちょっと奥さん23ですよ23!

「…というわけで、その本について説明させてもらいます…っ…」
まだぴくぴくしながらも、星が本題に切り替えた。
「本って、この五冊の…?」
十二単の袖口から本を取り出すべるるん。
「それそれ。それはだな、実は今から…」
「せぇ〜い〜っ!まぁた話し言葉に戻ってる!」
びしぃっ!と指差して言うゆかり。
「あぁぁ、ゆかり、ごめんあそばせっ!」
…どうやらそう習ったらしい。
「…そ、それでですわ。
その本は、今から10億年も前…わらわがまだシーリウス様におつかえしていた時のもの。
流れ着いて、あんなへんぴな所に行っていたのです。お懐かしゅうございます」
ぴくぴくぴぴくぴくぴく。
K伯爵もロディも、まだ倒れて手だけがぴくぴく動いている。
「ちなみに、ルシファーの本当のお名前は、ラファエル様といいます。
赤の竜神、スィーフィードと同等の存在――
しかし、彼は自分を飾らない方でしたからねー
神族はみな、ラファエル様の事を、ラファー様と呼ぶのです」
「そ、そーなん…だ…」
さすがにべるるんも引いている。
「まだ、ラファー様がいた時のこと。
ラファー様は、その巨大な自分の存在を忌み嫌っていたんだ」
「だからぁ、駄目だってば!」
「いやー、どーも…向いてないもんで…ゆかり、もういいだろ?」
「よくないわっ!K伯爵やロディに、星は女だって認めてもらうチャンスじゃない」
それだからって別に十二単まで着させんでも…
とりあえず進行の邪魔になるので(爆)黙っていてもらえますか?>ゆかりさん
「えー、しかたないなー…」
仕方なく黙るゆかり。
「ふぅ…じゃぁ、俺も元の話し言葉に戻すが…
あの頃、ラファー様は、スぃーフィードなどの中で一番上とも言われる存在だった。
それゆえ彼は、世界のすみずみまでもを見なければならなかった。
そして、世界が自分の力の派動で動かされることを知ったんだ」
「…ちからの…はどう?」
K伯爵復活。
「そう。寝たり、起きたり、食べたり、それは誰しもしなければならないことだろ?
しかしラファー様の場合は、そのちょっとした造作が、世界を混乱させることだってある」
「何でですかぁ?」
今度はロディも復活した。
しかし…二匹とも、星の姿は見ないようにしていたりはするが…
「K伯爵が昔言っていたとおもうが、俺達も人間ももちろん神族も、それぞれ
固有に派動があるんだ。それはその人の意識や感情、他に体の具合にもよって著しく変化する」
もちろんデモン・ブラッドにもある。
いや、普通は物に固有派動数などないのだが、何でもその強い魔力が波動をおこしているらしい。
誰に聞いたかは推して知るべし。
ホントかどうかも推して知るべし(爆)
「ラファー様は特にそれが大きかった。
彼が嬉しい時は空は晴れ渡り、悲しみに沈んでいる時には太陽を雲が覆い尽くす」
「そ、そんなにスゴイ奴なの!?」
思わず顔を見上げたK伯爵が、その姿にまた倒れ伏した。
「たぶんめなりんにいくはずの闇の混沌が混ざったんだろう。
だから、彼はめなりんより後に生まれたのに兄なんだよなー」
「ふーん、そーだったんだー」
自分の事を他人事のように言うめなりん。
「で、その光の中のただ一点の闇が発動しはじめた。
それから世界は恐怖に引き落とされるんだ。
そう、今からもう何万年も前になるな…まだこの世界で神々と魔族が闘っていた時の話…」

というわけでお話形式で書いていきましょうっ♪

「ラファー様」
ルシファーは、ラファー兄ちゃんが人間化した時に自分でつけた名前でし。by作者。
天使の一人が、部屋に入ってきた。
彼女はラファエルの世話係のようなもので、毎日部屋に入っては掃除ばかりをしていた。
いつもなら白で統一してあり、ピュアな気持ちにさせてくれるその部屋。
だが今はそのレースのところどころに血痕があり、血のニオイが鼻をつく。
ラファエルのさらさらの金髪にも、血はついていた。
「…ラファー様?」
ラファエルは一人苦しんでいた。
「今は一人になりたい」
「そう言われましても、もう三日三晩食べ続けていらっしゃらないではありませんか」
天使は問答無用で近づいた。
「近づくな。これ以上近づいたらお前を…」
「ラファー様…お悔やみになられても仕方がございません。
それに、そんな暗闇の心が、一点でもその御心にお入りになっていたら、そうしたら…」
…今までの業績はなかったでしょうに――
『今までの業績』とは、彼の神としての仕事を述べている。
彼はずっと、世界を光満ち溢れたものにしようと努力してきていた。
実際他の世界の一つを平和にし終え、今度はこの世界にやってきたところだったのである。
前の世界――
人々には永遠の平和が約束された。
その時ラファエルには、一人だけ人間の仲間がいた。
それがリア(原形)である。
彼女はラファエルに惚れていたわけではない。他の天使に想いをよせていたそうだ。
ラファエルもそれがわかっていたし、自分にも気になる天使がヒトリいた。
それはともかく、リアは最後に言った。
「あたしの兄ちゃん…死んだんだって…
あたし達が魔族と闘ってた時に、とばっちり受けちゃったんだって…」
それは仕方のないことだった。
「それでね…あたしホントに、誰もいなくなっちゃったんだよ…
…花も踏み潰された。鳥の鳴き声がうるさくなくなった。
となりのね、よく遊んでた女の子。あいつ、死んじゃったよ。
もし魔族達が勝っていたら、誰も悲しい気持ちになるヒトなんていない。
本当は…本当は…本当に悪いのはあたし達じゃないよね…?ちがうよね…
それがちがうかちがわないか…あたし、確かめてくる…あいつに…言っといてね…」
リアはそれだけ言って死んだ。
それから混沌より創り出されたのが、いまのライトマンピンクのリアである。

…ここには妹がいた。前の世界よりもっとたくさんの魔族がいた。人間がいた。種族があった。
その分被害は大きくなり、自分の感情のコントロールもだんだんときかなくなってきた。
ホントに悪いのは…誰だ?

「わたしが何かする度に、世界は破滅を呼ぶ…」
「何をおっしゃってるんですか、まったく…
ヴォルフィード様が、頭を痛めてらっしゃいましたわ。
 それに何も召し上がらないなんて、御身体に差し障りがあったらどうなさるのです?
リアだってきっと、悲しんでますよ?」
「…食べていないのに、空腹感を感じない…これは…」
なにか感づいたように、ラファエルが言う。
「どうかなされました?」
「…わたしは三日三晩、本当に何も?」
「勿論。三日どころか一週間ですよ、これで」
やれやれ、と、血の付いたレースを取り外し、籠に入れていく。
この女の天使は、毎日こうしてレースを洗っていた。
「それじゃ、この血はなんだ?この満腹感は?」
「…そういえばラファー様…
最近、わたしの同僚の天使の、ミァンが見えないんですけど…
他の天使も行方不明のものが多いそうなんです…まさかこの血…」
びくっ…
「…この血…ミァンや他の天使の…?」
「まさか…第一わたしは…しかし…」
心の中に一点の曇りがある。
自分でそれを見つめなおすと、それがどんな恐怖かよくわかる。
自分の中にルシファーがいる。
「ラファー様…今度はわたしの断末魔を召し上がるのですね」
そう言い残して、天使は籠を持って逃げるように部屋をでた。
ラファエルには何がなんだかわからない。
目の前に来た天使一人一人を今まで自分が食べてきた?
そういえばいつも気付いたら部屋は真っ赤に染まっていた。
…っつーかフツーそうなってたら気付くっつーの…
「もう限界なのか…」
彼はつぶやく。

「レースを洗ってきましたよ、ラファー様」
また先程の天使が入ってくる。
「おかえり。ところで、姉さんは無事だったよね?」
「勿論ですよ。あの方なくしては世界は成り立ちませんし」
にっこりうなずいて、ラファエルは久しぶりに外に出た。
「どこにお出でです?」
天使が聞いた。
「君には見届け人になってもらう。ついてきなさい」
しばし歩くそのうちに。
「これは…!?」
異空間へと移転する。
そして、たゆたう灰色の…
「デモン・ブラッド。
流されてきた魔族の血…――その結晶。
この石には、封印の力がある。これにわたしを封印する」
「ラファー様自身を!?」
「そう。この鉛クズは、封印してはじめて、その魅力を発揮する。
君はそれを、世界各地にばらまくんだ」
その頃のデモン・ブラッド…
…それは、鉄のかたまりみたいなものだった。
ラファエルが低く呪文を唱えると、その汚い石が、ほのかに赤く光りはじめる。
「ラファー様…いいのですか…?」
「人間となって動き回る。
記憶が薄れるのは、これから何年後になるだろうね…」
その姿が消えていく。
消えていくと同時に、その5冊の本が現れる。
現れた途端に本は、どこかへ光を残して飛んでいった。
「アイラ…頼む」
自分の名前を耳にして。
アイラこと、天使は、生まれてはじめて泣き崩れた。

アイラはデモン・ブラッドをLに渡し、そのまま混沌に還ろうとした。
そこを、ロディに見つけてもらって、黒うさぎの堕天使となる。
それが今のロディの使い魔――アイラ。

「…ついにばれたのね…」
「まさか、あんたがそのアイラだったとはな…」
二人で話を進めないでってば。
「ってゆーか、嘘でしょ…?
アイラ、まさかあんたが、この一件に一枚噛んでたなんて…」
ロディも目をみはっている。
だいじょーぶ、小説内での設定だ・か・らっ♪(をい)
「御主人様…今まで何も言えず、申し訳ありませんでした」
「何いってんの、馬鹿。そんなことフツー言わないわよ…」
しばし沈黙。
「ってことは、あたしはそのラファエルににてたわけ?」
「そうよ。K伯爵そっくりだったから、最初は驚いたわ」
アイラがうなずき、また沈黙。
「Lねーちゃんは、この事を聞けって言ってたんだよね?」
唐突に、めなりんが確認する。
「多分そうだと思うけど。
これで解かったこともあるし、まぁ収穫ではあったわよね…」
…にやり。
K伯爵が笑い出す。
「そぉぉぉぉねぇぇぇぇぇぇ。
もう暴れ出していい頃だよねっ!Kちゃんっ!?」
「もちろんよ、ロディっ!!!
ゆかりぃぃぃぃっ!!!よくもあたしの星にーッ!!
弁償しろ土下座しろあたしの下僕になりやがれー!!!」
「ぅわきゃぁぁぁぁぁぁぁ…おげひんなぁぁぁぁぁぁ…」
ばきっ!どごっ!ごめしぃ!!
「あぁぁぁっ!わたしのラファー様のイメージを壊さないでくださいっ!」
「うるさいアイラぁ!!天翔龍閃!」
「牙突!!」
「なんか違う気がするー!!!」
ばきざしゅごげめしぃっ!
「星…あんたも苦労が絶えないね…」
「ホント…べるぜさんもね…」
がくぅっ…と、力なく肩を落とす二匹をよそに、彼女たちは3時間暴れまわっていたのだった。

「さて、ゆかりもとっちめてきたし…
…あとはあのルシファーを探し、封印をとくのみ、ね」
K伯爵がさわやかな笑顔で言った。
「けどK伯爵?封印って、どーやってとくわけ?」
…。
「べるるん、それは聞いちゃいけないコトでしょっ…」
ティナがぼそぼそっと耳打ちする。
…K伯爵は地獄耳である…
「ふーーーーーーーーーーーっふっふっふっふっふ。
このあたしに、ワカラナイコトなどなぁーーーーーーーーーーいっ!
名誉ある天才科学者ドクター・K!彼女は4歳にして既に大学にまで通いつめていた!!」
謎のプロローグに入るK伯爵。
「ほらぁぁぁっ!暴走しちゃったよぉぉっ!?
あぁぁぁぁぁぁぁ、これであたしもおしまいなのね〜っ!!!
一人寂しく恋人の一人や二人できないまま、あたしは殺されてしまうのね〜〜〜〜〜っ!!!」
「ティナさん落ち着いて、落ち着いてっ!!」
暴走するティナを、落ち着かせるロディ。
「ドクター・Kの合い言葉☆何事も実験あるのみ!!
おーむかしのエライ人だって、成せば成るっていってんじゃない!」
「ちょーっと違うような気もするな、わたし…」
ジト目でつっこむべるるん。
「そいで、実験って何すんの?」
…。
ごがめきょ。
めなりんはその一言で、蹴りを入れられ殺された。
K伯爵は振り返り、素知らぬ顔で講義をはじめる。
「まず、デモン・ブラッドを全部、一つにまとめることよね。
助手めなりん、あんたのデモン・ブラッドは取れるんだったわね?」
なんか勝手に助手にさせてるし。
「…か、かっ…ほに、みぅ…」
まだダメージがあるらしい。
今の言葉をフツーに日本語に訳すと、
『自分自身の意志でしか取れないって、設定に書いたもん★』
「おっけー!!じゃ、取んなさい!!」
「…ぷにゅぅ。」
気絶。
「…仕方ないわねぇ。あの腕だけ持って来て、助手」
「あー、はいはい…えいやっと」
ぶちんっ。
気絶しためなりんの腕をちぎって持ってくる助手べるるん。
どーでもいーが皆、あたしのことをキャベツのように…ぶつぶつ…
「で、あたしのデモン・ブラッドがこれ。
あとは助手べるるんの持っているデモン・ブラッド、これが47個ね」
今まで集めてきたモノである。
「はいこれ」
どさっ。
…重そうな麻袋である…
「ん。で、たしか封印は…
赤き宝玉、条件揃う事に因り、真の力を発揮せん…
条件、が謎よね」
「きー…にゃふ…」
いきなりちょっぴし復活するめなりん。
ちなみに今のは
『じょーけんって、木ぃみたいのがつくのと、イと牛のやつ?』
「そーよ」
さらりと答えるK伯爵。
「にゅぐほわ…(じゃ、あたしそれ見たことあるっ!)」
「どこで!?」
「みりうあぇ(あちしの本っ!)」
「…って、読めないわよ。読んでみなさい」
「ひえじふあぬふぃしおふぇろみえはへじふにゃみ(えーっとねぇ…
封印されし存在、或る天使を愛さん。是、神の掟、『平等』に背く。
因って封印されし存在目覚めるならば、其の愛に似た愛をもって目覚めさせん)」
ふむ、と一つうなずいて黙り込むK伯爵。
「K伯爵?」
「ドクター・Kなのっ!呼ばないとコンクリートに流しいれるわよ!」
何故かこだわるK伯爵。
「どっ…どくたぁK、そんでなんか手掛かりは…」
心底いやそーな顔をしつつ答える助手べるるん。
「ふぅむふむふむ。わ・か・っ・た・わっ♪」
にっこり言ってバックに荒波立てるK伯爵。
「ほらそこっ!ドクター・K!呼ばないと重しにもーもーがうんつけて東京湾に放り込むわよ!」
…あ、あらなみたてるどくたー・けぇ…
っつーかもーもーがうんって重しになるんかい!byツッコミ。
「ミル姉さぁぁん」
それは番組違うしアニメでもないぞべるるん。
「それで、なんなの?わかったって?」
結局、冷たく尋ねるアイラ。
「ふっ、簡単じゃない。
べるるん、あんたにイイトコまわってきたわよっ♪」
…。
「…なんでわたしに愛が関係あるのかなぁどくたぁK?」
にこにこ尋ねるべるるん。
「ふっふっふっふ、と〜ぉぜん!
禁断の愛といえばセレスとのらぶらぶシーン!
失楽園ね!!!ラブロマンスだわ!!!!18禁じゃないけどね!!!!!」
なにが何だかわからないどくたぁK。
「とりあえず投稿禁止用語使っちゃおうか!作者からの許しも得たぞ!(巨大嘘)」
「助手めなりん、復活してまでよく言ったっ!」
あぁぁぁぁっ!勝手にいうなぁぁぁぁぁぁ!!!分身のくせしてーーーーーーーーーーー!!!!(涙)
…そんなツッコミはおいといて。
「というわけで!べるるん行け!
セレスにいまこそ、思いの丈を打ち明けるのよ!!
ちなみにあたしは恋愛評論家ドクトルKとしてやってるからよろしく!」
なんか設定決めてるどくたぁK…改めどくとるK。
ドクターからドクトルになってるだけじゃん。
「思いの丈も何もわたしは別に、セレスを愛してるわけじゃ…」
焦るべるるん。
「…あ・た・し・の・い・う・こ・と・き・け・な・い・の?」
「はい愛してますわたしは!!!」
べるぜ、すぐ折れる。
「…でもだめね。
やっぱちゃんとした形でなくちゃなんないわ」
「ちゃんとした…?」
…にやっ。
「劇でもやって、二人の愛の道のり、進展させてみせよーじゃない!?」
監督Kの誕生かいっ!

黄鶴楼にて孟浩然の広陵にゆくを送る
監督K
主演べるぜ、セレス

「ちょ、K伯…ちゃうちゃう…監督K…
いきなし、こーかくろーがなんたらかんたらって言われてもわかんないんだけど…」
「ふっ…漢詩はやはり無理だったようね…愛の足りない…」
サングラスが決まりすぎるほど似合っているK伯爵。
「いや、愛の問題じゃなく、知識の問題だしー…
第一この漢詩は愛人を想う歌じゃなく友人を思う歌だしー…」
「友人から恋人に変わる節目じゃない♪」
「だって李白も孟浩然も男でしょー…ってわけでわたしやんないからね」
すたすたと帰って行くべるるん。
「あの…べるぜ様?
そんなに私の事嫌いなんですか…?」
「うんうん、OK!そのままシーン3続けてー!」
いつのまにシーン3…?
心の内でつぶやくべるるん。
「いや、まぁ…皆がいろいろはしゃぐから、嫌なだけだって…」
泣きそうになっているセレスに、必死で弁解する。
「じゃあどうして?なんでなんですか!?」
「え?何が?」
「こないだあなたの背広に、こんなマッチが!!キスマークつき!!!」
「ぅだぁぁぁぁぁっ!わたしゃ背広なんぞ着んわぁ!!」
「小道具小道具♪設定設定♪はい続けてー」
何かK伯爵がうれしそうである。
…ぢゃない、監督Kっすね、はい。(K伯爵の視線により訂正)
「そ、それは…たったぶんめなりんのイタズラだっ!」
責任転嫁するべるるん。
こーなったら舌先三寸の勢いである。
「ほぇ?めなりん口紅ぬんないにょー?」
「ちょっと待てその小さな胸に輝く小道具係という文字のついたバッチはなんだをい!」
「き・の・せ・い♪」
「気のせいで済むかぁぁっ!」
「もぉ、べるぜ様、はしたないっ!」
セレスが止めに入る。
「ンなこといったって、第一わたしはそういう方面のキャラクターじゃないはずじゃないかぁ!」
『設定変更♪』
監督、小道具、大道具、ついでに助監督とエキストラ、はてはカメラマンまでの声がハモった。
(順番にK伯爵、めなりん、ロディの使い魔達、ティナ、セレス、ロディだったりする(謎)
「ンな事あるかぁぁ!」
「あるかもしれないじゃありませんか。
ほら、某アニメだって、14話から主人公、性別がひっくりかえってたって、アニメ雑誌にも…」
一体なんの話をしてるのかわからないセレス。
「なんのアニメだそれは!」
「あ、でも最終回にちゃんと女の子に戻れたみたいですよ」
「そんな事聞いてないって!」
べるるんの頭に、だんだん怒りマークが浮いてくる。
「それにしてもひどい!ひどいわ!
それでマッチに書いてあったのが、『お水所サーペント!』」
「何そのださい名前?」
「ナーガのコピー10人が、いろんな姿格好性格でお客さんと…
……あぁぁぁぁぁぁ、考えるだけでもイライラしてきますっ!!」
「ってゆーかわたしゃ巨乳趣味かいっ!?」
うんっ(爆)by作者
「いつのまに!?」
「設定変更だってば、早く続けてっ!」
監督Kの厳しい言葉。
仕方なくべるるんも、溜め息を一つ吐いて、
「せれす…エキストラ演じてたら、わたしも本当の気持ちは言わないぞ?」
「けど…けど、監督が…」
目線を感じつつ訴えるセレス。
「かぁーーーーーーーーーーーーーーーーーーっと!!
もぉいーわ!!なんか飽きてきちゃった、それにじれったいし」
K伯爵がサングラスを取り外す。
「じゃぁどんな愛があれば…?」
ティナが聞く。
「気長に待つしかないのかも、ね…
それに封印を解き放つのは多分、その愛だけじゃないはずよ」
えぇっ!?そうなの!?って作者が知らないのになんでK伯爵が知ってんの!?
「愛だったら既に芽生えてるも同然。新婚夫婦さながらじゃない?
じゃぁ何故封印はとかれていないの?…答は簡単、他にもまだ、鍵があるからよ」
「よくぞ見抜いたっ!」
かしゃぁん!
スポットライトを浴びながら、天女のように舞い下りる一人の…L。
直喩の使い方間違えたかもしれない…正しくは悪魔のよ(ぐさっ)
「でも、結局愛がなくちゃ封印はとけないわ!
 愛が芽生えたその時に、私はまたあらわれる!!」
言うだけ言ってどっかに消えてくし。
「…とにかく、その愛を待つっきゃないんじゃない?」
と、アイラ。
「でも待ってる間はなにすんの?」
「ラファー様…いえ、ルシファーの居場所でも探すとか…」
はたっ。
「そういえば…ルシファーってあれからどこに消えたの…?」
ティナのほうに、ぎぎぎぃっ!と顔を向けて問いただすK伯爵。
「え?あ、あたしが飛ばしたんだったっけ」
『忘れんなって』
最近ツッコミがシンクロっすねぇ。
「多分方角からして、カタート山脈のほうだったと思うけど」
ろくに記憶も無いのにいうティナ。
「じゃぁ、そこに行ってみない?K伯爵?」
「そうね。アイラの言う通りだわ。
第一封印を説かずにそいつを殺すって事もできるしね」
そいつはちと無理である。
何故なら、またそのルシファーの部分だけ、誰かに転生されてしまう恐れがあるからだ。
「…つまり封印はとかなきゃなんないのね…」
そゆこと♪
「じゃ、これからあたしはK伯爵よ!」
『いつものまんまだって』
その場全員のツッコミと冷たい視線が、K伯爵をおそうのだった。

…あ・た・し・を・わ・す・れ・ん・な・っつーの。
「獣王様、顔がこわいですよぉ?」
「ふっふっふっふ…あたしを忘れてとこっっっとん話を先に進めてるわねぇ…」
ったく、これだから最近の若いもんは。
年寄りをいたわれっつーのに…
「けれど、考えてみれば…獣王様。
この計画をぶち壊し、デモン・ブラッドを盗んで、なんの利益があるというのです?」
「…馬鹿ねぇゼロス。
あんたもなぁ〜んもわかっちゃいないのね」
ふぁさっ、と髪をかき上げて、あたしは言う。
「あいつの封印がとけたらとんでもないことになるわ」
「とんでもないこと?」
「そうよ。例えばゼロス、あんたは消滅する」
「…僕がですか?」
まっさかぁ〜♪とでも言うような顔をするゼロス。
「それにあたしには恨みもあるのよ」
「恨み…?」
そう…
それはあの日のことだった(プロローグ)
「パン食い競争であたしのパンまで食いやがって…」
「魔族にそんな競争あったんですか…?」
ふっ。冗談はこのくらいにしとこうかしら…いえ実際の話だけどね。
「あたしはね。
今の、この汚い世界が好きなの。
平和に人生おくらせるのなんて、湧いては消える人間どもがあわれだわ」
「あわれ…ですか」
「そーよ」
あたしから見れば人間もありも同じようなもん。
ありっつーもんはぷち殺したくなってくる。
人間だってぷち殺したい。
「…弱いやつが生き延びることはできないわ」
「弱肉強食ですか?」
あたしはふるふると首を横にふる。
「生かさず殺さずよ」
「生き延びることはできないんじゃないんですか?」
「ふっ。だから生かさないんでしょ。殺しもしないけどねー」
それを。
それをそれをそれを。
デモン・ブラッドなんぞで封印をとこうだなんて!
「誘拐するわよ」
あたしは振り向き、ゼロスに言った。

「そっくりね」
金髪の髪の毛に変化したK伯爵に、アイラはにっこり声をかけた。
「なんであたしがルシファーのカッコしなきゃなんないのよ」
怒りマーク浮かべつつ尋ねるK伯爵。
「気のせい気のせい」
べるるんがなにやらうれしそーである。
ロ「Kちゃん、なんかヴィーナスってかんじ〜」
テ「いーなー、ティナもそんな格好したいなー」
セ「わ、私は遠慮するかも…」
ス「魚が好きならそれでいいぞ」
ク「日記にイラスト入りでつけちゃお〜っと」
ア「かっこよく描いてあげて」
べ「ふっ。前半のツケがまわってきたな」
K「ひっどぉ〜〜〜〜〜いっ!なによなによぉ!!」
…ぴたっ。
「なんか一つ行数足りなくない?」
日記につけつつクリスがたずねる。
「誘拐されたんじゃないの?」
ほけっ、とティナが言う。
「あんた…見てたの?その誘拐されてるとこ…」
「めなりんでしょ?さっきゼロスが担いでったわよ」
K伯爵の問いに、ティナがにっこり答える。
『もっと早く知らせんかいっ!』
「きゃはっ♪」
めげないティナ。
あたっくーーーーーーあたっくーーーーーーーーーーー♪(それはバレーボール)
「そういえば、麻袋もないや」
『だからもっと早く気付かんかいっ!』
って、テーブルの上にあったんだから全員でツッコミいれるなよ。
「あたしのデモン・ブラッドは、もう宿の方に隠してあるから大丈夫だとは思うけど…」
タマムシを噛み潰したような顔で言うK伯爵。
「苦虫でしょ」
そーです。すいませんアイラさん。by作者
「ほうほう、宿のどこですか?」
「竜のレリーフの中に…ってあぁぁぁっ!ぜ、ゼロスッ!あんたはいつのまにぃっ!?」
思わず口を滑らせたことなど気にせずにまくしたてる。
「いやぁ、一つ足りませんでしたから、生糸国家名ーって」
「きいと・こっか・な…つまり聞いとこっかなー、ってゼロスは言った訳ね」
謎の解釈をするべるるん。
「ほうほう、じゃぁ問題!炉素戸湯荷場ー須、で!?」
「えぇぇっ!?K伯爵、そんなのわかんないよー」
…そんな事をしてるうち、ゼロスはさっさと消え失せていた。
答えがわかんない人はいないよね?

「収穫です」
にこにこと帰ってくるゼロス。
「はいおやつ♪」
クッキー一つ放りなげ、それからあたしはデモン・ブラッドを眺めた。
「…獣王様ぁ…僕は小学生ですかぁ…?」
「なに言ってんの幼稚園児よ(はぁと)」
あ、ゼロスいじけちゃった。
「めなりんの方はさっさと殺しといて〜♪」
「魔族使いのあらい…」
何やらぶつぶつ言いつつも、ゼロスはアストラルサイドから攻撃をしかける。
「ほぇ?
…んぎゅ」
ほわほわと死にゆくめなりん。
ふっ♪ちょろいもんよ(はぁと)
「死体は後で調理するからその辺おいといて」
「今夜はハンバーグですね」
「何言ってるの。しゃぶしゃぶに決まってんじゃない」
刺し身もいけそうだわ〜〜(はぁと)
うっふっふっふっふ…
とにかく。
「あとはこのデモン・ブラッドを…壊すだけよ」

続く♪

やっとゼロスやゼラスちゃんが本格的に動き始めました。
あとは自滅の道を進むのみだ!(爆死)

…獣王系ファンの方々ごめんなしゃい…(深々)

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8570スレイヤーズの魔族達あ〜んど住人達24めなりん E-mail URL1/20-23:51
記事番号8569へのコメント

寒くて凍えそうなこの時期ですが、皆様いかがおすご(ばきっ)
…ったぁぁぁい…日頃行い悪いから、後ろから樽でどつかれたぁ〜…
ところで今回はべるせりがちょっぴり入ってます。
さらに25にはもっと入ってるけれど、今回はここまでです★
…( ̄ー ̄)


24っすねぇ、先輩!!

「…あぁぁぁぁぁぁああ!」
いきなし叫んだのはK伯爵だった。
「あ、あたしのデモン・ブラッドすらない!?」
…そう。
デモン・ブラッドを盗まれて、約5分後。
宿の一室の、ナイトテーブルの花瓶の中に隠しといたデモン・ブラッドがなくなっていた。
…って、ンなとこ隠すなよ。
「竜のレリーフん中に隠してたんじゃなかったの…?」
「はっはっは!べるるん、まだまだね♪
あたしがそー簡単に口をすべらすワケないじゃな〜い!」
「ホントは…竜のレリーフに隠してたわけじゃないね?」
どきっ、と一瞬反応するK伯爵。
「まっさかぁ!」
「そーよねー。まさかあの自称知的美少女Kちゃんがねー。
 思いっきり口すべらしてゼロスにデモンブラッド持ってかれるなんてありえないよねー」
ざくざくざくっ!!!
おもいっきしプライド傷つけられたK伯爵
「…ろでぃ…後でしめる…」

「さて、硬いと噂されてるデモン・ブラッドではありますがっ!
デモン・ブラッドもダイヤの強さにゃ勝てないわってなもんでぇべらぼうめぃ!」
「ご説明しましょう。只今獣王様のお持ちになているのは、ダイヤモンド加工のカッターナイフ!」
カッターナイフじゃ切れないって…by作者。
まぁ、そんな馬鹿な奴のことなんか気にしない気にしない。
だって、これでやっと!デモン・ブラッドを壊せるんだもん♪
このあたし、ゼラス=メタリオムの華麗なる日々!楽しかったぜ、すれまぞシリーズ!!
でもこれでおサラバおサラバほいさっさ、よっ♪
もうめなりんというオプションも滅んだことだし!
主役二匹も間もなく、あたしの絶大な力に倒れ伏す!!
「じゃ、ちゃちゃーっと殺っちゃってちょうだい、ゼロス!!」
びしぃっ!と指差して命令するあたし。
「ラジャー、もしくは了解です」
にっこり微笑んで、カッターナイフ…いや、もといチェーンソーの電源を入れる。
え?あたしが持ってたんじゃないのかって?
あんなの演出よ、え・ん・しゅ・つ(はぁと)
そしてあの低いような、高いような音が、闇に響き渡った。
「では…いきます」
キィィィ…!
今!デモン・ブラッド、死に至る時!!
これでバンジキュウスよっ!
人間至る所青山ありってやつね!!
え?ちがう?
「を?」
…マヌケな声をあげたのは、ゼロスだった。
パキィン!
…マヌケな音を立てて折れたのはチェーンソー。
ふと見れば、デモン・ブラッドは傷一つすら付いてない。
「デモン・ブラッドおそるべし…」
チェーンソー高かったのにぃ!
ってゆーかぁー、どーしてデモン・ブラッドってあんなにカタイのぉーっ!?
「そっか!わかったわ!!」
「何がです?」
ふっ。
「聞きたぁい?ねぇ、聞きたーいー??」
にこにこ笑っていうあたし。
「いや、僕ぁ別に…」
「…聞きたい?」
手に魔力を溜めてもう一言。
「お聞かせ下さい獣王様♪」
「よろしい。
デモン・ブラッドは、確か高位の魔族それぞれを指しているんだったわ」
あの方と、それからS様、そしてあたしと同位の魔族、計49匹。
たぶんめなりんの持ってるのが、あの方ことL様の御力のものね。
「ということは、そんな奴を倒せるくらいの魔力の器を持っていなければ、
デモン・ブラッドはたとえ天地がひっくり返ろうとゼロスがチャイナドレス着ようと壊れないのよ」
「試しに僕、着てみます?チャイナドレス…」
「馬鹿っ!もののたとえって奴でしょーが!」
しかしそうなると、このあたし自ら壊すことが出来るのは…
…40個強?
ほとんど全部じゃないの(はぁと)
ガーヴやフィブリゾは滅びてるから、デモン・ブラッドにもほとんど魔力は残ってないだろう…
となれば。
ゼロスが壊せるのが、その2つのデモン・ブラッド。
そして、あたしが壊すことのできないのは、S様方のものと、そして…あのお方のもの。
…片っ端から片付けてみっか!!

「獣王のいる場所って、一体どこなのよ〜!!」
Sの、ゼラスに関しての資料がどっさり山積みとなり、K伯爵を襲っていた。
「たぶん、その中に地図があるから…」
「あのねぇ…なら、ほけ〜っと眺めてないでよ!
べるるんもちっとは手伝ってよねっ!!これはこれで大忙しなんだからっ!」
「そんな事言っても、わたしその文献とか読めないんだし…♪
やはりここは横道…黄銅…王道の、ティナとロディにでも頼めば?」
無責任なべるるん。
「あたしはぜーったいに、い・やっ!
そぉんな古汚い本なんて触ったら、お洋服が汚れちゃうじゃない!」
「ティナもいやだなぁ〜。こないだ紙で指切っちゃったんだもん…ロディさん、使い魔達にたのも?」
…結局責任転嫁な二匹。
「あ、痛いんだよね、指を紙で切ると…なんか傷口がムショーに痛くなんの…」
「そうそう、それでバンドエードはっとくと、なんか黄色に変色しててさぁー」
ティナとべるるんが、何故か意気投合してたりする。
「…あ、丁度いいわ…
アイラ、Kちゃんの手伝いやってくんない?」
一人寂しく、ロディがアイラに尋ねる。
「私、他に用事がありますので、これで失礼させていただきます。
先の戦闘での、ラファー様の動きについて細かく分析するつもりですので」
さっさとどっかに行っちゃうアイラ。
よくもまぁ都合の良い口実を考え出したもんである。
「んみぅ。じゃぁ、クリスはどぉ?あんた本とか書くの好きじゃない」
「でも御主人様ぁ〜、あたしは本じゃなくて日記専門だし…」
謎の理屈をのたまわるクリス。
「まったく、屁理屈こねくりまわして…
じゃぁスピカ!…ってあら?をい?すぴかぁ!?」
「はぁ…めなりん…ちゃんと金貨かえしてくれるかな…」
なにやら青春してるスピカ。
スピカもそんな年頃になったか。うんうん。
「恋の病なんだかお金の病なんだか…
…そうだわ!そうよ!そうだったのねっ!
セレス!!あんた、Kちゃんとべるぜさんのお手伝いやってきなさい」
「…御主人様ぁ。K伯爵さんしか、文献あさりやってないじゃないですか」
呆れた口調で言うセレス。
「あぁ…わたしの恋はどうなってしまうの?
これこそ〜禁断の愛〜〜♪らららむじんくん♪らららら〜♪」
歌はいいねぇ…byカヲル君
「…セレス。手伝ってこないと…べるぜさんとの縁談は茄子よ!ってちがうッ!!ナシよっ!!!」
↑うちまちがい。(なし→なす)
「しゃるあいへるぷゆー!?(何かお手伝いしましょうか?)>K伯爵」
犬に成り下がってるセレス。
「じゃ、この13048冊よろしくね」
ぼすっ!と本を渡されて。
あらためてセレスは、魔族のむごさを思い知るのだった。

「…をっ!?」
あたしは声を上げていた。
ぱきぃぃんっ!!
「デモン・ブラッドが壊れましたね…
僕が壊せたということは、冥王様か魔竜王のものですね」
と、ゼロス
あたしは見た。
『ママの背中にウロコが!
きゃぁぁぁ!!!!!!!』
…って、何十年前の話をしてんのよ。あたしは。
とにかく一瞬、デモン・ブラッドから、竜のようなものがでてくるのを、確かに見た。
でてきてすぐに、煙のようにどこかに消え失せたけど。
「魔竜王のものだわ。
あと4つ、この中に冥王のものもあるはずよ」
…けど…
「けれど獣王様?
まだ生きていらっしゃる方のものを壊すとどうなってしまうんでしょう?」
「…わかんないわ…」
もしかして…
…いや、まさかね。
デモン・ブラッドを壊したからって、本人に支障なんか出ないはずだわ…
あ、人じゃなくて魔族だから、本魔族か?

「あぁぁぁぁっ!これですっ!!K伯爵!」
「どれどれ!?
えぇと、こん中でデモン・ブラッドを心置きなく壊せそうなのは…闇に隠された…獣王宮?」
きーたことのない単語である。
だって、あたしが勝手に想像したんだもん(←馬鹿)
「獣王の住まうところだから獣王宮?馬鹿もいい加減、休み休みにしてよ、K伯爵」
「あのねぇ!それをゆーんなら自称作者の馬鹿にいーなさいよ、べるるんったら!」
そぉんなこといったって、…じゃぁ獣王殿にする?
『それもやだ』
でっしょー?
それについでにゆーと原作でのサイラーグのフィブリゾのアジトも冥王宮である。
「たぶん、ここは以前、べるるんが間違えて空間移動しちゃったトコじゃないかな」
「…そんな事あったっけ?」
忘れてるべるるん。
「ほら、馬鹿めなりんがハンバーグにされかかって…」
過去記事を参照にして下さい★
「あぁぁぁ!思い出したよ、K伯爵っ♪
それで一坪院長が怒って、ゼラスを馬車の車輪につけて町中ひきずりまわした時のでしょ!?」
「そうそう!
…って、いつの話をしてんのよ!?いつの!?」
「え?何か違う?」
随分違ってます。
「ほら、
このぉきなんのききになるき♪
でしょっ!」
「そっか、邪将軍さんと闘った時のね?」
「そぉよ!
あの時、ゼラスはデモン・ブラッドごとめなりんを誘拐して、そして…獣王宮に閉じ込めたんだわ!」
…ちょっとシラケル一同。
ごめん、もーちょっとカッコイイ建物の名前考え付けばよかった…

「わっ…わっ…割れたわっ!
…ひはーー。…ひはーー。」
肩で息継ぎをするあたし。
あたしが割ったデモン・ブラッド、その数なんと25個。
あたしと同等のパワーが宿ってるんだから、いくら反撃しないとはいえ疲れは大きい。
ってゆーかー。全部やる前にーあたし力つきちゃうってかんじー?みたいなー。
「では今度はこちらですね」
にっこり笑ってデモン・ブラッドを差し出すゼロス。
「あーもぉ、疲れちゃったわよっ…!
ゼロスくぅん♪あんた、後やっといてくんない?」
「そんな事おっしゃられても僕にはできませんよぉ」
情けない声を出していうゼロス。
「そこをあんたのコスイ頭でなんとかするんでしょ♪」
「僕は太公望さんじゃぁありませんしぃ…」
「じゃぁ、死ぬ気で頑張るとかっ♪」
「死ぬ気で頑張っても無理ですってばぁ…」
ったく、使えないヤツ。
「もー…わぁったわよ…けど、もう手は疲れ果ててるわ」
じんじんする右手を眺めて言うあたし。
ま、人間じゃないんだから、局所疲労ってやつではないんだけど。
「あ、獣王様?」
「なぁに?」
うざったい目でゼロスを見下ろすあたし。
「お客様ですよ」
いつもの閉じた目を片方だけ開けて、ゼロスが言う。
「へぇ…誰よ?」
「あの一行です」
ずだだだだだがらんごろんがらんごろん!!!
「あっあっあっ…あんたねぇ!そーいうのはサッサと排除しなさいよっ!?
第一セキュリティレベルは最高にしてあったハズよ!?アストラルサイドからは入れないのに!」
おかしいわっ!
侵入できないように、ちゃんとパターン決めてまでセキュリティ創ったのに!
手相パターン、網膜パターン、髪の毛のパターンまで決めてあったのよぉっ!?
「そりゃ、アストラルサイドの方はセキュリティ高いですけど…
空間移動して近くまで来て、あとは物理的に…つまり扉を開ければ入れますって」
…をっ…をい…
「ぜ、ゼロスッ!?あんた鍵もかけてなかったの!?」
「鍵なんてかけたって、魔力一発粉砕楽勝です。
…それと、獣王宮にあるセキュリティシステムは一つ。
それをアストラルサイドと物理サイドに分けて使うんです。
全部アストラルサイドに費やしたら、物理的なセキュリティは一切ナシなんですよ」
…ちょっと待て。
「ならセキュリティシステムを増やせばいーじゃないの!」
「何をおっしゃってるんですかぁ、獣王様♪
赤字三昧だからってケチったのは、獣王様じゃありませんか(はぁと)」
…そっ…そうだったぁぁぁああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!
「でも、それならそれでもう一つ、自腹切って増やすのが部下としての愛でしょーが!」
必死で話をそらすあたし。
「いやぁ、はっはっは。魔族ですし」
「…くっそぉぉう!もぉ給料あげてやんないからねっ!!」
はっ!
こんな夫婦漫才、ゆーちょーにやってる場合じゃなかったわ!
「それで、あいつらは今、どこに!?」
「えぇ、今J−8回路にいます。
先頭から…K伯爵、べるぜ、ロディ、ティナ…あと…セリアさんでしたっけ?」
「セリア?そんなのいたっけ…?そこのパネルに映して」
正面のパネルに、一人の女がうつりこむ。
この銀の髪、銀の瞳は…
…えーっと。
「あぁ、そぉそぉ。そーだった。これはセレスよ。セリアはこの子の本名でしょーが」
「いやぁ。ま、そこはめなりんにでも」
言い逃れるゼロス。
「けど、アイラやスピカ…あと、クリスもいないのね…?」
「そういえばそうですね。
たぶん待機しているんじゃないでしょうか?」
おかしいわ。
普段なにも考えずに行動するあいつらなら、全員連れて来て一気に攻め込むハズ。
「…ゼロス…あそこは無事でしょうね?」
「とりあえず、そちらへの通路には誰も見当たりませんが…?」
それならいいんだけど…
…もしあれが発見されたら大変なことになる。
「まぁ、こっちには『トッテオキの秘密兵器』がありますから」
ををっ!そーいえばそうだったわっ!
「じゃぁ、出撃させてっ!」
「了解です」

「なんっかこう…変じゃなぁい?」
ティナが恐々しく言った。
獣王宮内部である。
「第一、鍵ひとつかかってないなんて無防備…これ、罠じゃないの?」
「罠に決まってるわよ、ティナさん」
きっぱり言い切るロディ。
「わからないわ…アストラルからの侵入は絶対不可能になってたもの…」
何か考え込むように、奥へ奥へと入って行くK伯爵。
「どーせ物理的なセキュリティをし忘れただけだろ」
カンで言うべるるん。しかし当たってるから怖い。
「どうせ…!?いやらしぃっ!べるぜ様!?」
「な、何がだよ、セレスっ…?」
いきなしわめき出すセレスに、一瞬あせるべるるん。
「どうせ→douse…つまり英語で脱ぐという意味ですわ!」
「なんでそういう方向に持ってくわけおまいはぁぁぁぁっ!」
すぱこぉーーーーーーーん!!!
「いったぁい!ちなみにdoseだと投与量のことらしいです!」
「だからなんでそーなるわけぇ!?」
すぱすぱすぱぁぁん!
気持ちいいハリセンの音が、あたりにこだまする。
こっちでも夫婦漫才が始まったというわけか。うんうん。
「ぱ…ぱいん…」
「謎の言葉を残して死に逝くなって」
謎めくことを呟いて倒れ伏すセレスに足を乗っけて蝿さん攻撃をぶちかますべるるん。
「そんなことはともかく、さっさと先に進もうよぉ」
珍しくめなりんが急かす。
…って。
「あら…?めなりん!?あんた捕まえられたんじゃ…?」
「ほにゅ。あちしは道案内のめなりんロボット、めなりんじゃないよん★」
…実はロボットである。
「道案内ぃ!?うさんくさいわね」
しっしっ、と手をふるK伯爵。
犬のように扱わないでほしいもんである(涙)
「こっちだよ♪」
「…ホントに信用していいんでしょーね?」
ロディが念をおす。
「だいじょーぶっ!
だって、あちしの製造機…っつーか、本物のめなりんは、もぉいないから!」
……。
『…は?』
一同の目が、点になった。
だって、の使い方まちがってるぞー、めなりんロボットー。

その頃。
きっちり滅びそうになって混沌に沈んでいためなりんを、Lが釣っていた。

「こっちこっち♪」
「こっちばっか言ってないで、ちゃんと説明しなさいよッ!」
ただひたすら、ラビリンスの中で迷いつつ。
道案内をするロボットに食ってかかるK伯爵。
「こっちだってばぁ」
「だからぁっ!!!」
あ、目が赤くなってる。
「ほら、もうついたよっ★」
「そーじゃなくて…って、ついたって?」
今まで歩いてきたのと同じような、ただ闇が蠢く空間である。
「危ない、ふせろっ!」
『はぁ?』
いきなし叫んだべるるんに、一同はとりあえずとぼけて…――
ざしゅぅうっ!
「痛っ!」
K伯爵が声を上げた。
見れば、背中に刀が刺さっている。
…でもあんまし致命傷ではないらしい。
「…こ、この刀…!?」
「ふふふ…御久しぶりねぇ、皆さん…?」
聞きなれた声が、闇から生まれる。
「レミーさん!?」
「違うっつーの!K伯爵っ!」
「えぇっ!?じゃぁ誰だったっけ!?
…あ、わかったわっ!刀を扱うといえば星様ね!?」
「違う違うっ!ロディ、あんたが忘れんなっての!」
「ほぉらぁ、ロディさんってば、忘れたの?」
やれやれ、とティナが一歩前に踏み出し、やおら彼女をびしぃっ!と指さして、
「御久しぶりね!けーなさん!!」
「だぁぁぁぁっ!違うぅぅっ!!」
カッコつけたわりに答えが合っていなかったためか、ティナはまだ自慢気に言う。
「隠しても無駄よ!リオーネ!!」
「誰だそれはぁっ!?」
「…ふっ、カマカケにはひっかからないか、てぃえるさん!」
「てぃえるはてぃえるっ!誰も私を覚えてないの!?」
一同、首を縦に振る…。
「…ティナ、ロディ…よくも裏切ってくれたわね?」
仕方なく名乗りをあげないことにして、彼女はスラリと刀を抜いた。
「上弦のかまえ…そうか、お前はっ!」
今度はいきなしべるるんが叫ぶ。
「そうよ…私はじゃ…」
『ジャイ子!!』
…。
「斬るーーーーーーーーーーーッ!」
「あぁぁぁぁぁぁっ!だって覚えてないんだもん、仕方ないじゃない!」
弁解になってないぞK伯爵っ!
「ティナ!ロディ!私はあんた達の上司でしょーが!」
ティナとロディの上司はSである。
しかしはたっ。と気付き、ロディはその名を上げた。
「……邪将軍てーい!!」
「そぉよっ!…ったく…」
やっと気付いてもらえたためか、ちょっぴし嬉しそうに構える。
「…さぁ、来なさい」
「やぁだぁ。相手になんないもの」
…。
「K伯爵…私を倒さなきゃ、ここからは入れないわよ?」
「ほっほぉう。でも相手になんないのは確かじゃない♪
だ・か・ら・ねっ(はぁと)」
にーっこし笑って、K伯爵はべるるんに合図する。
「ふっ。最近あまり使ってなかったけど…
蝿さん攻撃ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」
これぞ必殺!…って殺せないから必勝!!
「はぁっ!」
しゃきしゃきしゃきぃん!
邪将軍の掛け声と共に、闇の中に、一つ二つ閃きが映えた!!
え?音は三つだったって?そんなのどーでもいいじゃない♪
…そして足元に御注目。
「あぁぁぁっ!わたしの蝿さんになんつーことを!?」
「ふっ。蝿を切り捨てるなど『動作』もないこと…」
いや、動作はあったと思うぞ。邪将軍。正解は造作ですねー。
「けど、あの蝿さんには、K伯爵が魔力で創られた剣をも錆付かせるというスプレーをかけといたっ!」
「にょえぇぇぇぇっ!?わ、私の刀を錆付かせるつもりなのッ!?」
言われて見れば、しゅぅぅ、という音と、錆のあのにおいが辺りに充満してきている。
「しかも熾王神官殿の『塩井神官うるとら錆々スプレー(一個400円税別)よっ!」
何か嬉しそうに言うK伯爵。
よっぽど自信策だったのだろう♪
「ふ、副作用は!?」
「聞いて驚け見て驚け!自分の姿をよく見なさい!!
ほら、セレス!!ミラー用意でしょっ!!」
「あっはい、K伯爵!…えぇいッ!」
セレスの鏡が、邪将軍の哀れとも言うべき姿をくっきりと映し出す!!
「あぁぁぁぁぁっ!?足がない!?腕もないっ!!?っつーか頭もないぃ!」
「感触はあるだろうけど、他の魔族からは全く見えない…つまり!
と・う・め・い・に・ん・げ・んっ!と、こういう副作用よっ!!」
正確に言うと透明魔族ですね、K伯爵♪
「ふっ、見たか我が蝿の力!」
「蝿じゃなくて熾王神官さんのスプレーでしょー」
呆れた風にロディが言う。
「くそっ…けど、刀が無くたって!
ちょうど透明になれたんだから、肉弾戦で勝負!」
まだまだ甘い邪将軍。K伯爵がやおらびしぃっ!と指差して、
「ほーーーーーーーーほほほほ!さっきのあのスプレー、髪だけは透明にならないのよ!」
「んなアホなぁぁぁっぁぁぁっ!」
思わず絶叫する邪将軍…髪の毛だけが無様に揺れる。
「ふっ、この『塩井神官うるとらマジック防虫剤(1個1万円税込み)』でしか、
その哀れな姿を元に戻すことはできないわ!!降参しなさい、邪将軍っ!!!」
「いやだ!…御前達に降参するくらいのプライドなら、私は邪将軍になどなっていない!」
ちょっとカッコイイぞ邪将軍!
「第一それ防虫剤でしょうが!?」
邪将軍が痛いとこをつく。
「防虫剤を創っていたら、他の製品の副作用を消せる防虫剤になったらしいわ!
しかしそれでも、防虫剤としての作用もあるから、べるるんにかければ死ぬハズよ!!」
何か自慢気に言うK伯爵。
「べるぜ様は私がお守りしますわっ!」
K伯爵を避けるように、べるるんにだけ防御シールドをはるセレス。
この時のべるるんの心情をわかったものはそこにはいなかった…
「はぁぁぁ!」
空中にぽっかり浮かんだ髪の毛が、防虫剤目掛けて漂う!!
…リアルに想像するとおそろしいッ!!
「ぅきゃぁぁっ!!」
さすがに恐かったか、K伯爵が防虫剤をロディにパスする!
「うにょぉっ!?やだぁぁぁぁぁぁぁっ!」
ぽぉ〜〜〜〜〜〜いっ!と投げたその先はティナ!
しかし、ティナが受け取るより早く、髪の毛が迫った!!
がし!!
…見た目には防虫剤が空間で止まったようにしか見えないが、音からして邪将軍がとったのだろう。
「ぜぇぇい!」
ぷしーーーーーーーーーーー!!!
「あぅっ!」
「べるぜ様!?」
音でダメージをくらったのか、いきなしべるるんが倒れ込む。
それと同じくらいに、邪将軍が再び元の姿に戻った!
「やぁぁぁったぁ!」
にっこし笑ってピースするK伯爵。
「何っ!?
…魔力が…!」
「そうっ!やっと気付いたわね、てーい!!さんッ!!!
その防虫剤の副作用にはもう一つあって、それは、魔力が無くなるというおそるべし副作用なの!」
これで邪将軍は負けも同然である。
「さぁ、さっさと降参して、おとなしくゼラスのトコに連れて行きなさい!」
ここぞとばかりに胸をはり、元同業者に向かって命令するロディ。
「邪将軍の名にかけて、貴様等などに負けはしない!」
スラッ、と脇差しを手にして、邪将軍はそのままつっこんでゆく。
…やはり速いっ!
「K伯爵、邪将軍の魔力、なくなったんじゃないの!?」
「…いや…実はただ、かなり貧弱になっただけなのよ、ティナ」
ひそひそ話すK伯爵。
「でもッ!今までの邪将軍の魔力が10000なら、今の魔力は1ってとこくらいなのに!?」
――それであたし達を倒すつもりなの!?
「っ…くぅっ!」
最後の魔力を刀に叩き込み、邪将軍が笑った。
「あいつ、本気で来るよっ!?」
構えながら叫ぶティナ。
「貴様等にやられるくらいなら!」
ざしゅうッ!
『なっ!?』
全員の声がハモる。
「…自分で自分を始末して、ついでにもう一匹、殺すのみ…」
刀が、深々と邪将軍を貫き、そしてその先にもう一匹…
「セレス!っだぁぁぁ!この防御シールド、さっさと崩れんかぁぁぁ!」
蒼く光るシールドを、内側から何度も攻撃するべるるん。
…あれ?さっき気絶しなかったっけ?
「美しい愛のカタチよね(はぁと)」
「Kちゃん…今そんなこと言ってる場合なの…?」
最近ロディがツッコミ役にまわってきてる気がする…これはいかん…
「たぁっ!」
がいん!
防御シールドにチョップしても跳ね返されるのみである。
「やっぱり愛の力なのよ(はぁと)」
「Kちゃん…愛に飢えてたりしないよね…?」
最近K伯爵が魔族っぽくなくなってる気がする…これはまじでいかん…
「…うぁっ…」
とさっ、とその場に倒れるセレス。
…シュヴィッ…
それと自動的に、シールドが解除される。
つまりは…セレスが、シールドを制御しきれなくなったというわけである。
「セレスっ!しっかりして!」
倒れたセレスを抱き起こし、べるるんが呼びかける。
「わ…私は…大丈夫です…べるぜ様…」
「いかにも死にそうに言う言葉じゃないだろ…」
手を傷にあて、出血(?)を止めるべるるん。
傷は腹部のようである。
蒼い粉が、指の間から零れて、さらさらと床にすべっていく。
「…って、邪将軍は!?」
見とれていたK伯爵が、邪将軍の方にふりかえる。
…しかし、そこに邪将軍の姿はなかった。
別に消滅したわけではないらしいのだが、彼女がこの場で逃げるなど有り得ないことである。
「誰か…邪将軍の上司にでも連れてかれたんじゃない?」
確信なさそーにティナが言う。
「とにかく今はセレスの治療よね。
魔族ってリザレクションとかきくかなー?」
「ロディさん…あなたの所有魔族でしょーが」
ボケつっこみやってる二匹。
「御主人…様…私は大丈夫です…
それ…より、はやく…デモン・ブラッドを…」
「わかったわ。べるぜさん、セレスを『末永く』お願い」
真面目な顔で言うロディ。
「あぁ……って、えぇっ!?」
「結婚式は来週よっ♪あたしがもしここで死んだら、遺言はカッコイイ事、なんか考えといて♪」
「え!?ちょ、ちょっとK伯爵まで!?わたしを置いてくつもりぃ!?」
「いーなー。ティナもちょっとだけそういうのに足つっこんでみたいなー…」
「じゃぁあげるよほらほらほらほらッッ!!」
「えぇ〜…ティナ、レズじゃないもぉ〜〜ん」
『じゃ〜〜〜〜〜〜ね〜〜〜〜〜〜〜〜〜★』
気絶してるセレスと叫ぶべるるんをよそに、三匹は奥へと急ぐのだった。
あれ?そーいやぁ道案内ロボットはどーなったんだ??

続くっすよ先輩!


感想待ってまぁす(はぁと)
えっ?なに??性格が??実在の…?
ち…がう…????よくきこえなーい!!(逃)