◆−FORBIDDEN〜禁じられた愛ゆえに…−Sin(12/26-18:14)No.8402


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8402FORBIDDEN〜禁じられた愛ゆえに…Sin E-mail 12/26-18:14


初めまして。Sinといいます。
いつも見ているだけだったのですが、ちょっと触発されて書いてみました。
駄文ですが読んだ感想でもいただければ幸いっス。
主なカップリングは決まってるんですが、変わることもあり(爆死)
ところでこれ読んで、主なカップリングがわかりますか??




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BEGINNING


すべてはあの夜が、始まりだったかもしれない。
狂おしいまでに焦がれるような、そんな夜だった。
記憶に残っているのは、あのひとの凍えた瞳。
はらはら散らばる花びら。
そして、あの夜の哀しいまでに輝く月……。



風が吹くたびに紫の髪がゆれた。
彼の指が辺りに咲き乱れる紅の花を摘み取り、口唇がそれにそっと触れる。
風に散らされた花びらは軽やかに宙を舞った。
ため息をつき、月を見上げた彼の瞳は冷たく……。それでいて儚い冴え冴えと
した雰囲気を映し出していた。
「もう、いくの?」
いつのまにか表れた少女が、木の株に腰掛けている。
「ええ。そうですよ。あなたにはお世話になりましたね」
彼は柔らかく微笑む。瞳の奥に、痛みをはらんでいるように見えたのは少女の気のせいだろうか。
「そうなんだ……。もう少し、ゆっくりしていけば?」
横に首を振る青年に、行ってほしくないと、言いかけ、やめた。
言っても無駄な気がした。どれほど言っても、彼が気を変えることはない。そう確信していた。
複雑な気持ちが瞳に浮かび、なみだ想いをこらえた顔をひどいありさまだった。
「ああ。こんな顔になっちゃって……。かわいい顔が台無しですよ?」
少女の形相に苦笑しながら、青年は少女を抱きしめた。ガラス細工を扱うように、そっと。
「また逢えますよ」
いつもだったならば即殴りつける少女は、おとなしくされるままになっていた。
青年の手が頬に触れる。
少女はそのしなやかな青年の指が好きだった。冷たく、人間ではないみたいだったが、
そんなことは気にならなかった。
なんの応え(いらえ)もない少女に不安になったのか、
「どうかしました?」
「あたし、あんたの手って好きよ。冷たくて、きもちいいわ」
「…………そんなこと初めて言われましたね」
冷たすぎて気持ち悪いなら言われたことはあるが。
「素直にありがとうぐらい言えないの?」
笑みを含んだ少女の言葉の中に、悲しみが見え隠れしていた。
「やっぱり、あなたには勝てませんね」
苦笑いを浮かべる青年に、少女は言った。
「あたりまえよ。だってあんた、ほんとうのこと言わないじゃない」
そんなこと見抜けないとでも思った?
青年のおどろいた顔を見て、少女はほくそ笑んだ。
「子どもだからって、甘く見ないでよね」
長い沈黙のあとで、彼は尋ねた。初めて目の前の少女を見た、とでもいうように。
「どうしてそう思うんです?」
「何となくかな。そんな気がしただけ」
少女は多くを語らない。本人にもよくわかっていなかったのだ。
どうして、こんなことがわかるのだろう、と。
「あなたが、僕の……だったら良かったのに」
少女には彼のつぶやきの意味が理解できなかったが、青年の探しているモノに、
自分がなれないということはよくわかった。
さみしかった。
そして、『さみしい』と感じる自分に驚いた。
「また、あえる?」
不安そうな色を瞳の奥に隠して少女は訊く。
「ええ、逢えますよ」
「嘘つき」
背を向け、足元の石を蹴り飛ばす。
「……いや……本当ですってば」
「しんじらんないよ。でもさ……」
信じてもいいかな、少しぐらいなら……。
「……また、いつか逢えますよ」
微笑んで、青年は風をよんだ。
風に花びらが舞い、青年の姿を少女の視界から隠してしまう。
「嘘ついたら、許さないからね! ……ほんとうに」
叫ぶように言った少女の言葉は、相手の耳に届くことはなかった。少女の頬を初めて涙が伝う。
風が舞う中で、少女は青年の声を聞いたような気がした。
(僕があなたに逢いたいから。必ずです)
空耳でも嬉しかった。ただ嬉しかった。

約束だよ。破らないでね? その『いつか』をまっているから。
絶対待ってるから。
「約束だからね……?」



長いまつげが、頬に影を落とす。
窓から射し込む陽の光が、まぶしく輝く黄金色から、郷愁を感じさせる橙色に変わり、
やがて闇を照らす凍えた蜜色に移り変わって行く。
時は真夜中。
開け放った窓から吹き込む風の冷たさに眼が覚めたのか、リナは寝床をもぞもぞと
抜け出して、ぱたむと窓を閉めた。もう一度寝ようとして、リナはがばっとはね起きた。
「今、何時?」
ランプの明かりが、温かく部屋の中を照らしている。
このレトロなランプはリナのお気に入りだった。手間もひまも最近のものに比べれば
段違いにかかるが、それでもこの温かな光の魅力が、リナをとらえて放さなかった。
時折ゆれる光の向こうに、遠い日の陽炎を見ていた。
「うそ、もうこんな時間!? 冗談じゃないわよっ」
壁に掛かった時計は夜の十一時をまわっていた。
洗面所に慌てて駆け込み、鏡を見てリナはおどろいた。
「……な、なによ。なんっで……?」
鏡の中の瞳が、リナを見つめている。
「なんで泣いてるのよ。しっかりしなさいっ、今から仕事なのよ!」
触れた指から伝わる鏡の冷たさが彼を思い出させ、頬を熱いものが伝い落ちていた。
認めたくはなかったけれど、本当はわかっていた。泣いてる理由。
「あぁっ! もうっ! 認めればいいんでしょ! 認めれば。
そうよ。約束はどうなったのよ。ちっとも逢えないじゃない」
名前も知らない、昔一度逢っただけの青年を未だに待ち続けている自分が哀しい。
「……仕事しなきゃ」
憂いを振り払うように頬の涙を拭う。しわの付いてしまったシャツを軽くのばし、
リナはテーブルに置いていたタリスマン呪符を身につけながら窓から外に飛び出した。

To be continued....

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きゃああぁああぁあ!!
はずかしいです。
なにがしら感想でもいただけると嬉しいです。
でわ、また。