◆−高き塔の恋歌その1−CANARU(12/23-15:42)No.8387
 ┣塔の中の姫君−P.I(12/24-00:12)No.8390
 ┃┣ARIGATOUGOZAIMASU~~!!−CANARU(12/24-10:39)No.8391
 ┃┗ありがとうございます〜〜!!−CANARU(12/24-10:43)No.8392
 ┣高き塔の恋歌その2−CANARU(12/24-10:44)No.8393
 ┗高き塔の恋歌その3−CANARU(12/25-19:06)No.8397
  ┗お疲れ様でした!−P.I(12/26-01:11)No.8399
   ┗偶然??(爆笑)−CANARU(12/26-23:39)No.8409


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8387高き塔の恋歌その1CANARU 12/23-15:42


久々の長編で今度は15世紀後半スペインの話です!!
ガウリイとリナ・・ど〜なるんだ!!(無責任!!)


「なあ・・。リナ。偏にイベリア半島の統一と言われても実感沸かないのだが・・・
?」
ったく・・・・・・。
育ちが育ちとはいえ、この人ときた日には・・・。
そう思いながらリナも自分の育ちも到底人に言えた物じゃない事を思い出す。
「いいです?ガウリイ王子様。」
取って付けたようにリナが言う。
「は〜い。ドン(男性の敬称)リナ!!」
「馬鹿!!女性には『ドニャ』が普通でしょう!!」
言いながらリナは台形をもう一寸地図のようにした形を紙の上に書く。
「ここは・・。フランスだから半島からは除外。」
言ってリナは台形の右上のほうをグシャグシャとインクで汚して消しに掛かる。
「ふ〜〜ん・・・。」
「で、その隣の小さい国がナバーラ王国。で、その下にでっかく跨っているのが・
・。
貴方が王位継承権を持つカステリャー王国。つまり今私達の折る所よ。
で、もって、その隣の一寸小さめな国がアタシの故郷、アラゴン王国よ。
で、さらにその下のちっこいのが上記三王国と民族の違うグラナード王国。そして・
・。
一番端っこの海に面しているのがポルトガル王国よ。」
「へえ・・・。色々な国があるんだな・・・。」
感心したようにガウリイ。
「感心してる場合じゃないでしょ!!これらの国を統一して・・・・・。
イスパニア(スペイン)を建国するのが貴方の役割でしょ?」
呆れ果てたリナの声。
「まあ・・・・。そうカリカリしなさんな。アラゴンの女騎士さん♪」
「はあ・・・。数百年後には・・・。アタシのような生真面目な騎士が
馬鹿にされた小説が書かれても不思議ないわね・・。俗に言う風刺小説で・・・・。
題名はきっと『ドン・キーホテー』に決定ね・・・。」
意味不明に呟いて見せその場を去っていくリナ。
「能天気な振りしてるだけだぜ?リナ・・・。お前は俺が気付いてないと思い込んで
るだろうが・・・。
アラゴンとカステリャー統一が意味することは・・・・・・。」
ここまで言ってガウリイは言葉を切った・・・・・。

ロマネスク風のマドリッドの宮殿にマドリガル・デ・ラス・アルタス・トレース
からの早馬が駆け付けたのはその日の夕方だった。
「王子誕生!!カステリャー王国に第二王子誕生!!」
その歓声に人々は暫し沸いた。
が、それも束の間のことだった。
「しかし・・・。子供は病弱で一週間生きれるかどうかすらも怪しい・・・。」
この報告に国王は頭を悩ませた。
「まったく。如何したものか・・・。」
先の妃との間に生まれた王子は薄智の上決断力が不足し国民にも
人望は無い。従って国王としては立派な頼れる世継ぎが欲しかったのだ。
「まったく・・・・。何と言うことだ・・・。」
ガウリイが産まれたときの出来事である。
しかし、その二年後、健康かつ逞しい弟が生まれて始めて政治の「駒」
としての自分が認められた瞬間からガウリイの人生の第一歩は始まったのかもしれな
い。

「ゴホ・・・ゲホ・・・・・。」
マドリッドに居た頃は例え病弱とはいえここまで咳き込む事は無かった・・・。
しかし、去年からココ辺境のアレバロに追いやられてからと言うもの
少年、ガウリイの咳き込む回数は日増しに増えていった。
「大丈夫?お兄様?」
二つ年下の弟アルフォンソが心配そうに聞いてくる。
「大丈夫・・。ただ、ココは六月でも雪が降って寒いからね。」
荒涼とした城とは言えども実態は要砦よろしく殺風景かつ住み難い建物
に兄国王に追いやられている限りは我慢しなくてはいけない。
「ねえ、お兄様。僕達なんでこんな所に居るの?どうしてマドリッドに
居たらいけないの・・・?僕、お兄様を苦しめる奴を殴りたい!!お母様に会いたい
!!」
気持ちは有難いがこの弟はどうも感情に走る・・強いて言えば直情な所がある。
将来の徒にならなければ良いか・・・・・・。
ともあれ今はこのお餓鬼様を諭すのが一番のようである。
「いいか。アルフォンソ。王様・・。お兄様は継母である僕等の母上と
相性が悪いんだ。で、会いたくないから・・・。そうなさったんだろうな・・・。
きっと。」
「そんなの自分勝手だよ!!」
弟はなおも言う。
「お母様は病気で会えないんだ・・・・・。わかったな?」
「・・・・・。分かった・・・。」
そのことに関してはアルフォンソも納得してくれたらしい。


「ゼルガディス!!」
有力な貴族の息子にしてガウリイ、アルフォンソ擁立派閥の頭グレイワーズ一族の
ゼルはガウリイの親友だった。
「ああ。ガウリイ。現在の王様エンリケ王の評判は酷いもんだ。お前やアルフォンソ

擁立する声が日々高まってるぜ?」
不意に勧誘の文句。
「馬鹿言うな。兄が生きてる限り王冠は兄のものだ。俺が関与したら王位略奪者にな
る。」
言ってガウリイは軽く微笑む。
「だがな・・・・。」
ゼルが言いかけたその時だった。


「大丈夫??ねえ、どっか痛いの?ねえ!!聞こえる!!!??」
不意に聞こえる女の子供の甲高い声。
「ねえってば!!ねえ!!」
小さな栗色の髪の子供が困り果てたように一人の女性に声をかけている。
「ああ!!母上!!」
咄嗟にガウリイは二人のほうに向かって駆け出す!!
「駄目でしょう!!?母上・・・。お部屋にもらなくては・・。」
言ってガウリイは女性の服を引っ張る。
が、女性はそんな事お構い無しに放心したように座り込んでいる。
「ねえ・・。その人・・。お兄ちゃんのお母さん・・・?」
不意に女の子が聞いてくる。
何でこんな所に居るのかはまったく持っての疑問だがそんな事はまずもって問題では
ない。
「そうだよ・・・。」
手短にそうとだけ言うガウリイ。
「どうしてそんな風に・・・?」
そんな事言われても・・・。病気なんだし・・・。そんな理由はわからないけど・
・。
言えることは一つだけある。
「現実が辛すぎたんだ。お母様は夢の中でしか生きれなくなってるんだ・・。」
そうとしか言いようが無い。
「夢・・・・?」
子供が一寸考えたように言う。
そうこうしてる間に病んだ元カステリャー王妃を数人の従僕が現れて自室に連れかえ
る。
「そう・・・。夢・・・・。」
兄との対立に敗れ、夢の中でしか生きられなくなったあの女性。
「アタシは・・・。夢なんかもう見たくない・・・。」
子供がはじき出すような声で言う。
「なんで・・・・・??」
「アタシはリナ。兄ちゃんの名前は?」
「ガウリイ。」
「・・・。ガウリイお兄ちゃんか・・・。なんだ・・・。」
ムカ・・・・・!!
「人の名前を聞いておいて『何だ』は無いだろ!!お嬢ちゃん!!」
「『お嬢ちゃん』じゃなくってリナよ!!だって!!ガウリイお兄ちゃんじゃカルロ

おにいちゃまじゃ無いんだもん!!」
不意に子供の目に涙が浮かぶ・・・。
「どう言うことなんだ・・・お嬢・・じゃなくってリナちゃん・・?」
こんな子供が辛そうな顔をするのは初めて見た。
「アタシは・・・。アラゴンのリナ・・・・。この前までアラゴンに住んでたの。
だからアラゴンの・・・・・。でもね。お父様がカルロスお兄様の事
お母様と一緒にいじめたの。アタシとお兄様のお母様は違うんだけど・・・。大好き
だった。
優しかったし。けど・・。お母様とお父様がお兄様をいじめるんで・・・。
お兄様は病気になって死んじゃったのよ・・・・・・・・。怒った村の人が
お母様とアタシを捕まえて・・・。」
なるほど・・・・。
権力闘争にこんな小さなうちからこの子は巻き込まれたと言うわけか・・・・・。
「で・・?お母さんは・・?」
「知らない。」
言ってリナは首を横に振る。
「一緒に来たのはアメリアだけよ・・・。」
捕らわれた物同士として。
それが、リナとガウリイの最初の出会いだった・・・・。


「叩けど叩けど誇りはあれども埃は出ない」
下らない詩作に耽っているリナにガウリイは呆れた思いで声をかける。
「あのなあ・・・・・。」
「何よ。ガウリイ・・・。」
思わず背後から声をかけられたリナはさっと紙を机の中に隠す。
あの出会いから7年が過ぎた。
リナはその家系から女騎士『ドニャ・リナ』となりガウリイにつきっきりの日々であ
る。
「ガウリイさん。一体何時までこんな所にくすぶってるつもりですか?」
アメリアが不満そうな口調で呟く。
どうやら彼女は評判の悪現国王エンリケを廃位するためにガウリイか
アルフォンソが動くことを待っているらしい。
「王位継承順位から言いますと・・。現国王に子供はありません。
従って次ぎはガウリイさん、その次がアルフォンソさんになると思いますよ。」
そう言った事柄にはやたら詳しいフィリアが言う。
「じゃあ・・。もしもよ?国王に王子じゃなくて王女が生まれたら?」
「・・・・・・。フランスやアラゴンの法律と違いますからね・・・。
ガウリイさんすっとばして其方に王位継承権は行くかと・・・で、それが如何したん
です?
リナさん・・・?」
フィリアの一言にリナは考え込む。
「いや・・・。王妃と国王の不仲は知れ渡ってるけど・・・。いやな予感が
するのよ・・・・・。」
不意に一抹の不安がリナの脳裏を掠めた。
ある意味。下手をすればガウリイがこのまま一生くすぶっているだけかも
しれない事態になり兼ねない・・・。
でも、真坂ね。そこまで厚かましい人間が居たら会ってみたいわ。
そう言ってリナはその考えを打ち消した。


「なあ・・。リナ。知ってるか?俺の産まれた場所の土地の意味・・・。」
ガウリイが面白そうに言う。
まったく・・・。
この男に野心と言うものは無いのだろうか・・・?
このままココで一生くすぶって居たいのだろうか・・?
第一・・・。
其処まで考えてリナは考えを打ち消した。
一緒に夢を見たいのは自分だけかな。という厚かましい考えに圧されて。
「ヴァルガーブ一派、ゼロス一派それにそのた諸々の貴族も貴方や
アルフォンソ支持者なんですって。」
「ふ〜〜ん・・・・。王冠ねえ・・・。」
あ、駄目だ。まったく興味持ってない・・・・。
「俺は平和にココで・・。この際貧乏でも暮らしたいんだ。」
「…………。」
差し当たりリナは沈黙する。幼い頃から一緒にこんな場所で幽閉生活してると言うの
に。
どうもこの男の考えだけは読めない。
「それよか!!俺の誕生な場所の地名!!マドリガル・デ・ラス・アルタス・トレー
スの意味
知ってるか〜〜♪」
「知らない!!王位継承権持ってるのにそれを主張しないくらげしか知らない!!」
見返してやろうって気は無いのか!!
コイツは!!
「ふ〜〜ん・・。じゃ、そのくらげが教えてやる。『高き塔の恋歌』って言うんだぜ
!!
すごいだろ!!」
「・・・・・・・・・・・。誘惑・・・?それ・・?」
「うん。駄目か・・・?」
ピクピクピクピクピク・・・・・・・。
「王位奪回して出直して来い〜〜〜!!!!!!!」
かくして・・・・。
こんなリナとガウリイを尻目に物語は動き始めているのだった・・・。、


(続きます)
今回は序章ゆえ一寸分かりにくくなってごめんなさい!!(汗)
次回から本題行きます!!
最近のアタシが長編嫌ってるのって「産みの苦しみ」があるからなんですよね・・
・。
この話書くために図書館から本借りて地図写して〜〜(涙)
ああああああ・・・。今回も難産だったよ〜〜!!帝王切開で次回は搾り出します!

しかもスペイン語の地名がわからない・・・・。
スペインといえばフェリペ二世とイザベル女王でしょう!!
と言う事でイザベル女王=ガウリイ・・・。
リナは・・・と言うと・・一応ココでは騎士としておきましたが・・・。
ふふふ・・。一応どんでん返し考えてあるので気長にお待ち下さると嬉しいです。
では〜〜!!



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8390塔の中の姫君P.I E-mail 12/24-00:12
記事番号8387へのコメント

・・・タイトルにイミはないです。すみません(^^;)
いよいよ長編スタートですね!!
フェリペ二世はともかくイザベル女王は知らないなぁ・・・。
前作「LA CORONA」に名前だけ登場した女王が今度はガウリイですか。
どんなどんでんがえしがあるか、今から楽しみです!
「王位奪回して出直して来い〜!」
リナのこの一言でガウリイがどれだけ奮起するのやら・・・♪
産みの苦しみ・・・う〜みゅ、代われるものなら代わって差し上げたい(ムリだっての!)せめて応援してますよ〜!最後まで頑張れ〜!!
それではまた!

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8391ARIGATOUGOZAIMASU~~!!CANARU 12/24-10:39
記事番号8390へのコメント

P.Iさんは No.8390「塔の中の姫君」で書きました。
>
>・・・タイトルにイミはないです。すみません(^^;)
>いよいよ長編スタートですね!!
>フェリペ二世はともかくイザベル女王は知らないなぁ・・・。
>前作「LA CORONA」に名前だけ登場した女王が今度はガウリイですか。
>どんなどんでんがえしがあるか、今から楽しみです!
>「王位奪回して出直して来い〜!」
>リナのこの一言でガウリイがどれだけ奮起するのやら・・・♪
>産みの苦しみ・・・う〜みゅ、代われるものなら代わって差し上げたい(ムリだっての!)せめて応援してますよ〜!最後まで頑張れ〜!!
>それではまた!
>

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8392ありがとうございます〜〜!!CANARU 12/24-10:43
記事番号8390へのコメント

>・・・タイトルにイミはないです。すみません(^^;)
いえいえ〜〜!!
アタシもチョットミスしましたが気にしないで下さいね〜〜(汗)
>いよいよ長編スタートですね!!
>フェリペ二世はともかくイザベル女王は知らないなぁ・・・。
はい〜〜・・・。
チョット知名度はフェリペ二世に比べると落ちますね〜〜・・・。
学校でもあんまり「習わなかった」気が・・?
>前作「LA CORONA」に名前だけ登場した女王が今度はガウリイですか。
>どんなどんでんがえしがあるか、今から楽しみです!
ありがとうです〜〜!!かな〜りガウリイ良い意味でふて腐れると思います!!
>「王位奪回して出直して来い〜!」
>リナのこの一言でガウリイがどれだけ奮起するのやら・・・♪
今回、ガウリイがそうなってきました!!
今後は・・もう少し待っていてくださいね!!
>産みの苦しみ・・・う〜みゅ、代われるものなら代わって差し上げたい(ムリだっての!)せめて応援してますよ〜!最後まで頑張れ〜!!
>それではまた!
いえいえ〜〜!!
とても励みになりました!!

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8393高き塔の恋歌その2CANARU 12/24-10:44
記事番号8387へのコメント

カステリャー本国の状況が騒がしい。
何が起ころうとしているのか・・・。
それとももう既に起こっているのか・・・?
想像は出来ないけれども実際に調べることはリナの身分なら出来る。
ただ一つの問題を除けば・・・・。
実際にリナはその「問題」の隙をかいくぐり幽閉先のアレバロの城から抜け出すことに
成功した。
が・・・・・。
実際にこうして何の収穫も無いまま帰ることもさる事ながら・・・・。
「問題」は先送りしただけの話しなのだ。

「リナ〜〜〜〜〜〜!!!!」
言いながら血相を変えて「問題」がリナも戻った正面玄関に階段から
飛び降りて突っ走ってくる。
げ・・・・・・・・。
まともに激突されたらたまったものじゃない・・・・。
そう思い条件反射的にリナはさっと右に思いっきり避ける。
そのまま石造りのエンタシスそ柱にまともにとまでは言わないがかなりの勢いで
どつきあいする問題君のガウリイ・・・・。
あ〜〜あ・・・。
まったくアンタは・・・・。
昔、この城に幽閉されたばかりの頃。
子供だったリナはアラゴンの故郷からの贈り物が届くと喜びの余り
思いっきりそのパッケージを引っぺがすように開封した・・。
そして・・。
その弾みで思いっきり握り拳でぶん殴って痛い思いをした経験がある。
まさに・・・。
今のガウリイはその状況である・・・・。
あの時散々人のことからかってくれたけど。

「何だか・・。最近俺って悲惨な主人公役演じてないか・・?」
ブツブツと不満そうに言うガウリイ。
「何言ってるの・・・。自分が誰かの書いてる物語の筋に沿って動いてる
人間にでもなったつもり・・?しかもすっげ〜〜馬鹿の書いてる話の!!」
言ってリナはビシっとガウリイの鼻先に人差し指を指す・・・。
「すっげ〜〜馬鹿って・・・???」
「言わせる気・・?惨めになるわよ・・・?」
リナの一言に聞かないほうが幸せなことがあると言うことを察したガウリイは
潔く沈黙した。
「で・・。お前さんなんで居なくなったりしたんだよ?」
う・・・・・。
上手くはぐらかしたつもりだったが・・。問題再発。
ここで維持をはってもしょうがない、か。
「カステリャー王国で何かが起こってるのよ。もっとも・・・。
何もわからなかったけど・・・。」
言いながらガウリイの顔色の反応をうかがう。
「止めようぜ。その話し。王位継承権だの・・。内乱だの・・・。
俺はココで一生のんびり暮らしたっていいんだぜ?」
はあ・・・・・・。
そういうと思ったから・・。しかも悲しそうな目で。
だから言いたくなかったんだよね。
悲壮過ぎる。
「権力闘争見てるとさ・・。ああはなりたくねえ・・。ああはなるまいって
よく思うんだよね・・・。リナ、お前は良く政治や権力が絡むと人が変わるぜ?」
そりゃあ、自分でも良く自覚してる。
「そうだろ?なんて言ったてソイツは・・リナ=ダラゴ・・・・」
リナのお付でえもある従者、ヴァルが言いかけるが素早くフィリアの鉄拳がそれを
制裁する!!
「いってぇ!!何するんだ!!フィリア姉!!」
言いながら頭をさするヴァル!!
「ヴァルちゃん・・余計なことは言うもんじゃないのよ〜〜!!」
殺気すら含んだその瞳にコクコクと頷くヴァル・・・。
ダラゴ・・・・。タラコか・・・?
聞こうと思っていたガウリイだがこの事に関しても深く追求しないほうが
幸せなのかもしれない・・・・・・。
「まったく・・・。相変わらず煩い奴等だな・・・。」
言いながらゼルが玄関に入ってくる。
「あ、リナさん。探してたんですよ!!貴方とガウリイさんにお客様です。」
アメリアの一言に
『お客?』
と同時にガウリイとリナ。
「いやあ〜〜!!相変わらずですね〜〜!!ははは〜〜!!」
う・・・・。
この緊張感の無い声は・・・。
「ゼロ・・」
「生ゴミィィィィィィィ!!!!!!」
リナの言うよりも前にフィリアの一言が広場に木霊したのだった・・・。

「開口一番。酷いお方で・・・。」
ブツブツ言いながらガウリイとリナとの対談に挑むゼロス。
「あんたが悪いんでしょ。何時も悪ふざけばっかりしてるから!!」
呆れながらリナが言う。
「けど・・。今日来たのは悪ふざけじゃ無いんだろ?リナもカステリャー王室で
何か起こったって言ってたし。」
言いながらガウリイはコーヒーを飲むみ・・・・
「リナ〜〜・・。コレ苦いよ〜〜!!」
情けない声でリナに訴える・・・・。
その余りにも何時ものとりあえずは威厳のある姿とのギャップにまともに
すっこけて椅子からずり落ち・・コーヒーを吐き出すゼロス。
「当たり前でしょ!!コーヒーなんだから!!」
言いながらリナは世話が焼ける・・とでも言うようにガウリイのコーヒーに
ミルクと砂糖を入れてやる。
「これでいいでしょ?まったく・・・。」
「すまん。日頃はココアで済ますモンでなあ・・・。」
「人の事子供扱いする割には・・ったく・・。」
言いながら頭を押さえるリナ。
「あの〜〜・・。もう良いでしょうか・・・??」
遠慮うがちにゼロス。
「はいはい。三流道化の話じゃあるまいし。どうぞ。」
素っ気無く手を前に差し出すジェスチャーを示すリナ。
「じゃあ・・。単刀直入にまずは一つ。ガウリイ様の異母兄、エンリケ国王に
王女様がお生まれになりましたよ。」
「ええええええええええええええええええええええ!!!!!!!!???
何ですって????」
これでガウリイの王位継承の地位を絶たれた事になるのだが・・・。
しかし・・。王と妃の不仲は知られている。
「ベルトラン卿とお妃様はお元気・・?」
「ええ・・。それはもう・・・。」
一旦は冷静を装って答えるリナの意図を察したのか嫌味たらしく・・・
とも元気いっぱいにとも受け取れる表現で答えるゼロス。
「やっぱり・・ね・・・。」
「どう言う事だ・・・?」
「正統じゃ無いのよ・・・。」
「はふぇ・・・??」
混乱したようにリナのほうを見やるガウリイ。
「つまり、ね・・・。ねえ、アメリア〜〜!!」
「はい?リナさん。」
近くに居て話の無いようを伺おうとしているアメリアにリナは声をかける。
「エンリケ国王をどう思う?」
「・・・・・・。言って良いんですか・・・?」
「彼さえ告げ口しないと誓うなら・・ね。」
言ってリナはゼロスのほうを顎で指す。
「あ〜〜。まあ、ガウリイさんを分からせるためですし・・・。今回ばかりは
告げ口は控えましょう。」
言って手をパタパタとするゼロス。
「はい!!じゃあアメリア!!ハッキリと言わせていただきます!!
あの人は見たくれは・・・。ゼルガディスさんと比べたら太ダイヤモンドとコケの生えた
石です!!で、もって性格をゼルガディスさんと比べたら・・・。黄金の鎖と錆付いた
青銅製の鎖ぐらいの差があります!!」
要は・・・。
ゼルと比べて国王を馬鹿にしてるわけね・・。まあ、別に良いけど・・。
「じゃあ。ベルトラン卿のこと、どう思う・・?」
唐突に出されたその名前に不意に考え込むアメリア・・。
「あの人とゼルガディスさんを比べたら・・・。まあ、せいぜいルビーとサファイヤ
って所ですかね・・。もっとも私はルビーのほうが好きですよ!!」
はいはいはいはい・・・。
分かりました。けど、世間的にはタメ張れるって事言いたいわけね。
「どう言う事だ・・?リナ・・?」
「つまりね。王妃様も同じ人間。あそこまでボロクソに言われた国王よりも・・。
身近に居る上に才能豊かな美形、そんな人に求愛されたら。ど〜なると思う?」
しばしの沈黙・・・・・。
「ま、そうなれば。今度お生まれになられた王女様、ファーナ姫様の正統性は十二分に
怪しいと言う事になるわけですねえ・・。あっはっは。」
愉快そうに言うゼロス。
「それって・・・。」
「おやおや・・。ようやくお気づきですか?正当な王家の血を引くガウリイ王子様。
そうですよ、実際ファーナ姫は『ベルトラネーハ』(ベルトラン卿の娘)なんぞという
俗称で呼ばれる境遇に産まれながら陥ってます。」
「最も・・。事の真偽は藪の中になるでしょうね・・例えエンリケ王の
血をファーナ姫が引いていないとしても・・・。
お妃様はポルトガル王家の出。で、もってカステリャー王家とアラゴン王家、んでもって
ポルトガル王家は何度と無く婚姻を来る返しているんだもん・・・。
どっか似た所が出んに決まってるしね。」
アッサリと言ってのけるリナ。
「で、今度はその血筋に関する用件です。」
不意にゼロスが話を持ち出す・・・。


「お前なら飛びつくと思ったぜ・・・?]
「アタシはもっと怜悧なの。それに・・・・・・。」
そんな形じゃ意味無いのに・・・・・。
ガウリイを反乱させて国王に・・・。それがゼロス一派の企みだった。
「散々俺に王位継承権を取り戻せとか言ってるのにか〜〜??」
特にそんな事に関心は無いのだが一方的にゼロスに対して物凄い剣幕で断る
申し出をしたリナを不思議に思っているのだろう・・・。
珍しくガウリイが詮索してくる。
「第一!!自分の意思で国王になるために戦うんじゃないんじゃ。
即刻国王になった時点であいつ等に政治を牛耳られるのが落ちよ。」
言ってリナは考える。
「でも・・・・・。」
いやな予感がする。今はそうとしか言えないのだ・・・。


ゼロス一派がガウリイの弟、アルフォンソを擁立してエンリケ王に反旗を翻し
「王妃の子」ファーナ王女の王位継承権の剥奪・・・。
更に言えば「病弱」なガウリイを差し置いてアルフォンソ第二王子の王位継承権を
要求した戦いに出たのはそれからすぐの事だった。
「如何するんだ・・?リナ?ガウリイ?」
ゼルがリナに問う。
「真坂アルフォンソを・・弟を道具に使うとはなあ・・・。」
血気盛んな弟がこんな事をやらかすとは・・・・。
「エンリケ王の対抗勢力『アルフォンソ王』の人気は上乗・・か・・。」
ぶつぶつとリナは呟く。
「さしあたり。エンリケ王の所に行きましょう。」
不意にリナの放った一言にガウリイは驚愕する。
「リナ????」
「なたももよ。ガウリイ。アタシが言った所でどうしょもないでしょ?
アタシは貴方のお付の騎士・・でしか無いんだから。」
言ってリナは微笑む。
「分かった。お前が望むようにする。俺自身兄と弟のハザマでどうして良いか
迷ってるんだ。情けないようだがお前の判断を信じるよ。」
言ってガウリイは微かに微笑む。
「ありがとう。まあ。結構私も貴方に煩く今まで言ってきたけど・・・。
平凡を望むならそれはそれで良いわ。」
それはリナの本心だった。
自分自身の波瀾が、ある意味での復讐心までもが今まではガウリイに
投影されてしまっていただけなのかもしれない・・と・・・・・・。



さしあたってガウリイが敵に回らないと言う事を知ったエンリケ王は
一応安心はしたに違いない。
「しっかし・・。酷い宮廷だな・・。」
言ってガウリイは出来るだけリナをそんな退廃の空気に触れさせたくない思いに
駆られる。
「賄賂に陰謀・・。最悪ね・・・。」
王の無能振りがつくずく伺われる・・・・。
こんな事だからこの国はあれているのかもしれない。
今や救いの無いほどの内乱によって疲弊したこの国・・・・。
一体そんな中でガウリイは自分一人が「しったことか」と言う顔を決め込んで
現状を無視して行き続けようとしていた自分に気がついたのかもしれない。
「リナ・・・。」
「何?ガウリイ・・?」
俺は・・駄目だが・・。
弟に任せよう。そして俺はその手伝いくらい出来るはずだ・・・。
「行くぞ!!アルフォンソのところへ!!」
言ってやおらリナの手を取るガウリイ!!
「ガウリイ・・・??」
今までの甘えただけの態度とはまったくもって違う・・・。
まるで別人のようですらある・・・。
「もう、甘えて生きるのは終わりだ!!」
言ってガウリイはアルフォンソ軍に敗北し、さらには自分は戦闘のときに
隣村に逃れていたと言う情けない兄を見限ったのだった。
マドリッドの兄の宮廷を無言でリナの手を引き去っていくガウリイ。
目指すは・・・。
弟の居るははずのラレードの陣営へ!!


「ガウリイ殿!!」
弟、アルフォンソの部下であろう男が不意にガウリイに声をかけてくる・・。
「何を慌てている・・・?」
不思議そうにガウリイは回りの情景と人々を見やる。
「ドニャ・リナも・・。丁度良い時に・・・。」
「何があったの・・?」
尋常ではないその様子にリナは眉に皺を寄せながら聞く。
「アルフォンソ様が・・・・・。」

病死か・・・?はたまた・・・・・。
そう聞かされガウリイは当然の事ながら寡黙になる・・。
「ふざけるな!!弟はまだ・・たったの19歳だったんだぞ!!?心筋梗塞なんかで・・」
ココまで言って言葉を詰まらせるガウリイ。
「一体・・。どうして・・・。」
良く知った人物が突然こんな事になりリナも言葉を詰まらせる。
「昨夜は・・。美味しそうに鮭を召し上がれておられたというのに・・。」
側近の一人が男泣きしそうな声でリナとガウリイに言う。
「鮭・・・???」
「はい・・。ちなみに昨夜は忙しかったので・・・。食事の残飯は片付けずに
一箇所にまとめて置いてありますが・・・。」
「・・・・。食器は・・?」
「お恥ずかしい話しながら・・。まだ片付けては・・・。」
普段なら不潔ね!!陣中で感染病でも流行ったらどうするの!!
と怒鳴ってやるところだが・・・・・。
「食器一式と残飯・・・気が進まないけど一欠けら持ってきて!!」
思い当たるフシがあえる・・・・。


「リナ・・・?」
不意に残飯を眺め回し、食器にツーっと指を走らせているリナがとりあえず正気にもどった
ガウリイの視界に入る。
「水をお願い。」
言われるままに水筒の水をリナに差し出すガウリイ。やおら食器を撫ぜていた指を口に
含むリナ。
が、次ぎの瞬間水筒の水を大急ぎで口に入れ、凄まじい速さでそれを唾棄した。
「リナ!!??」
気でも触れたのだろうか・・・?
「・・・・・。悪名名高いボルジア家のカンタレラね・・・・。」
「カンタレラ・・・???」
「そ・・。アラゴン王家とも関わりの深い貴族の家系のボルジア家の毒薬、それが
カンタレラ・・・。もともとは古代の毒薬だった物にボルジアの人間がアレンジを加えて
作ったものよ・・。まったく。誰よ・・。こんな物入手したのは・・・。」
ふつふつと怒りが込み上げてくる・・・。
「リナ・・。俺がこの国の王になる・・・。」
もはや誰にも頼れない、いや。
むしろ自分がリナを護らなければならないのだ・・・。
そう思いガウリイは今だ震えるリナの肩を抱いて言った・・・。
「・・・・。アラゴンよ・・・。」
不意にリナが言う・・・。
「アラゴン・・・。」
疲れ果てたのか、はたまたショックだったのか・・・。
リナはふらふらと倒れ眠ってしまう。
「・・・・。馬鹿言うな。アラゴンと俺との結びつきが何を意味するのか・・・。
怜悧なお前に言わせたりはしない・・・・・。お前じゃないと駄目なんだぞ・・・。」
そうとだけガウリイは言い辺りに鋭い視線を送るのだった・・・・。


(続きます)

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8397高き塔の恋歌その3CANARU 12/25-19:06
記事番号8387へのコメント

事情が事情となりアルフォンソ派閥の貴族達が一斉にガウリイを擁立しはじめたのは
それからすぐの事だった。
「これで・・。ファーナ姫擁立派閥の貴族と対立は決定的ですね。」
アメリアがリナの袖を引っ張りながら言う。
「リナ・・・。」
ガウリイもここまで来て初めてその気を見せる。
「駄目。正直言って、無闇に動くべきじゃないわ。国王に逆らうべきじゃないし・・。」
何時に無く冷徹な口調でリナが言う。
「だって・・。お前は王位継承権を・・・。」
「ええ。奪回しろとはいったわよ。ガウリイ。ただね。今ココで貴方を擁立
しようとしている権力主義者達の言いなりになるなって事よ・・・。
それにあくまでアタシは「王位」じゃなくて「王位継承権」を奪回しろって言ったのよ?」
その言葉を理解したようにゼルが言う。
「なるほど・・。その正統性が疑われるファーナ姫の王位継承権を認めないと言う事だな。
王と対立する理由は。」
「ええ。ま、一寸言い訳がましいけど。あのコキュ王様にはいずれ言う事を認めさせるわ。」
「おまえ・・・。それ・・。すっげ〜〜嫌味だぜ・・??」
リナの放った凄まじい王に対する嫌味を批評するガウリイ。
「まあね・・。下品な言回しかしらねえ・・・。」
言って頭をボリボリと掻くリナ。
「その為には。アラゴンの力が必要不可欠ですよね!!」
自国の名前を目を輝かせながら言うフィリア。
「アラゴン・・・。」
まともに顔を曇らせるガウリイ。
「まあ。ね、アラゴンとの和合こそ。イベリア半島統一とガウリイを救う
唯一の方法なのよ?」
別にアラゴン王国に恨みがあるわけでは無い。
だが・・・・・・・・・・。


「なあ・・。リナ。アラゴンとの和合の方法が・・。どんな風にされるのか・・。
お前真坂知らないとは言わないよな・・?」
不意にガウリイがまっすぐリナの顔を見る。
「お嫌?王家の人間の勤めでしょ?そ〜ゆ〜のって?」
可笑しくてたまらないと言うか・・はたまた残酷なとでも言うかな笑み。
「ああ・・。俺は王家の人間として育てられなかったからな。自由で居たい。」
溜息混じりにガウリイが言う。
「ま。別に良いけど・・・。」
少し考えてたように・・一寸寂しげにリナが言う。
「しっかし。お前さん。あの時よっく平気だったよな?」
今更ながら感心したようにガウリイが言う。
「あの時・・・?」
「そう。あの何だったかな・・。そうだ・・。ガンタレダ・・の毒の・・。」
「ガンタレじゃなくってカンタレラよ!!」
「あ、そうそう!!それそれ!!あれを毒かもしれないって分かってたのによく平気で
皿に触ったり口に含んだりしたよな〜〜!!」
「・・・・・・・。死にはしないからね・・。」
不意にリナの瞳が曇る。
「嘘言うなよ・・。毒を飲まされても平気な人間が・・・。」
「毒って言うのはね。幼い頃から毎日・・・。最初は身体に害が無い程度に飲まされるの。
で・・・。その分量を少ずつ少しずつ増やして日々常飲する・・・。そうすれば・・・。
幾ら毒を飲んでも体が抗体を持って一切合財の毒物が効かなくなるのよ。」
言ってリナは小さな小ビンを胸元から取り出す。
「そんなももを・・??」
何と無くリナが悲しげに見えたのははじめてあったあの幼いとき以来・・。
「まあ・・。ホントはこんなものなのよね、権力闘争って。だから・・。ガウリイには
本当は知って欲しくなかったんだけれども・・。」
そうとだけリナは言う。
「お前。一体何物なんだ・・?」
思わずガウリイは聞いてしまう。
「『アラゴン』の『リナ』それだけだよ。」
そうとだけリナは言う。
「お前なあ・・・。俺が・・・。」
ガウリイが言いかけたその時だった。
「ガウリイ王子!!」
不意に重い扉が開かれる。
そして見知らぬ男達が数人、リナとガウリイの居るその場まで乱入してくる。
「国王の騎士団が何の用なの?」
怪訝な顔をしながらリナが聞く。
「貴方をオカーニャの宮殿に幽閉いたします。」
「何故・・・・・???」
ガウリイの問いに騎士団の隊長らしき男が答える。
「アラゴン王家王位継承権を持つ王女との結婚は我が王エンリケに
対する軍事的反逆の恐れがある。貴方には早々にポルトガル王女と結婚していただくために。」
言いながらガウリイに掴みかかる騎士たち。
「ガウリイ・・・、待ってて!!」
助けに行く。貴方のタメに・・?か・・??
聞いただろ?リナ?アラゴンとの和合は其処の王女との結婚と言う形で
なされる事なんだぜ・・・?
剣を奪われ抵抗の仕様も無く引きずられていくしかないガウリイ・・・。
悔しさに口の中に血の味がする。
それなのにこの女は平気な顔をして・・俺の権力復帰しか考えていない・・?
ある意味。自分はリナにとって」それだけのそんざいだったのか・・?


「悪ふざけが過ぎたんじゃないんですか・・?『アラゴンのリナ』さん。」
「ゼロス・・・・。」
ガウリイを救い出す。
その事はもう自分自身でも決めている。だが・・・・。
それは彼自身のためか・・?それともアラゴンのためか・・?
「リナ=ダラゴーナとしてか・・。それともドニャ・リナとして・・?」
「どちらでも構いませんよ。僕としては。貴方が何故『ダラゴーナ』姓を
ガウリイさんに黙っていたのかその真理は知りませんが・・・。
結果的に僕にとっては何も変わったことは起こりませんからね〜〜♪
さっさとガウリイさん助けに行ってくださると嬉しいんですけど・・・?」
「悪魔。民心が味方になるわ。さしあたり・・ガウリイとマドリガル・デ・ラス・
アルタス・トレースに行くわ。」
溜息混じりにリナは言う。
「そうですか・・。で、その後は・・?」
「場合によっては。アラゴンに帰るわ。父上にも会わなくちゃいけないし・・。」
ブツブツとリナが言う。
「其処まで計画を立てていただければ非常に結構。一週間後に国王は駆りのタメに
オカーニャを離れます。その時がチャンスですよ。」
「分かったわ・・・。」
つくづくアタシはカルロス兄様を病気で殺した父上の子だわ・・。
ガウリイを・・同じようにアタシが苦しめているのかもしれない・・。
そう思いながらリナは旅の支度に掛かった・・・・。


「リナ・・・・・??」
信じられない相手が目の前に居る。
「助けに来るって言ったでしょ?ったく。王子様が助けられてどうするのよ・・。」
下らない一言を言いながらリナはガウリイに手を差し出す。
「誰のタメに・・・??」
不審な思いを抱きながらガウリイはリナに言う・・・。
「マドリガル・デ・ラス・アルタス・トレースに・・行こう。ガウリイ。」
『高き塔の恋歌』
そな名をガウリイはふと思い出す。
「答えよ・・。政略ではなくて・・。アタシ個人の、ね。」
言ってガウリイの手にそっと触れる。
「リナ・・・。」
微かにガウリイは微笑む。
「今まで黙っていたけれど。アタシの本当の名前は・・・・。
アラゴンのリナ・・リナ=ダラゴーナ(d’Aragona・アラゴンの意味)よ・・。」
「ダラゴーナって・・・。」
アラゴン王族の意味である言葉である・・・・。
「そう。アタシはアラゴン王ファン2世の娘。正当なアラゴン王家の継承者よ。
最も・・・。」
言いかけてリナは言葉を切る。
やめよう。兄とガウリイを重ね合わせるのわ・・。
「問題が無くなったって事だな!!」
滅茶苦茶嬉しそうな声でガウリイが言う。
「そうね・・・・。」
心なしか申し訳無いようなすっきりしたような思いでガウリイを見つめるリナ。


マドリガル・デ・ラス・アルタス・トレースに戻ったがもはや其処は
敵ばかりで四面楚歌だった・・・。
「リナ・・どうするんだ・・?」
「アラゴンに行く。」
アッサリと言ってのけるリナ。
「アラゴンに行くって・・・・??」
「故郷に帰って父上に援軍を頼むわ。もっとも・・・。」
本国も現在内乱の真っ只中。何処まで頼りになるか怪しいものだが・・。
「最悪。アタシが一人だけでもカステリャーのガウリイの軍の先頭に立って
戦うわよ。安心しなさいよ。」
言って微笑むガウリイ。
「無茶言うなよ・・・。アラゴンまでの国境には警備兵団だってうろうろ居るんだぜ?
万が一お前が殺されるようなことになったら・・・。」
「・・・。アラゴンとカステリャー。戦争になること疑い無しね・・。」
何つ〜〜現実的な事のみを言ってるんだ・・・。コイツは・・・。
呆れた思いを抱きながらガウリイはリナを見る。
「分かった。俺もアラゴンに行く・・・。」
「へ・・・・・??」
「もう結婚協定書にもお互いサインしたんだぜ?俺が行っても文句言う奴は
居ないだろ???」
「そりゃまあ・・そうだけど・・・。」
早速荷造りに掛かるガウリイの背中を呆れた思いでリナは見つめた・・。


無事にアラゴンに入りそして帰る・・・。
「思ったよりましな結果ね。」
言いながらガウリイのほうを見るリナ。
「お前…。本当に王女か・・・?」
鎧を着て自軍の先頭に立ち敵兵を蹴散らしたリナ・・。
それをガウリイは見事にサポートしたとはいえあのアラゴン王女の迫力には
負けたのだった・・・。
「まね!!さっさとアラゴンの内乱片付けて。カステリャーの方に軍隊
回さなくちゃいけないでしょ?」
言ってリナは微笑む。
「で・・?今度は何の真似だ・・・?」
「アラゴンの行商人夫婦だよ。バレたらまずいでしょ?」
さしあたりの状況を説明したい。
まずはアラゴンの立派な旗を持つ隊列をたんなる親善大使として先を進ませる。
で、リナとガウリイはカモフラージュに護られて単なるアラゴンの行商人として
それに続いているのだ・・・。
「おい!!其処!!」
不意に衛兵が声をかけてくる。
「何ですか?」
深くかぶったフードの真下から鋭い視線でリナが答える。
「いや・・。何でも無い・・・。」
単なる行商人と判断したのか・・それともリナに恐れをなしたか・・?
さっさと逃げていく男にリナはあっかんべ〜〜をする。
「まったく・・。良いこんじょうしたるよな・・・。」
「羨ましい?じゃあもう少しは良い所見せないよ。」
言ってガウリイにリナは微笑む。


味方である貴族の家に到着したのはその日のよる遅くだった。
「リナ!!」
不意に上部から投げ落とされてくる巨大な石。
ガウリイが大慌てでリナを抱きその場を飛ぶ!!
「な・・・??」
石が僅かにリナの耳元を掠める。
「止めなさい!!」
恐怖よりも言わなければならないという思いがリナのなかにふつふつと湧く。
「アタシよ!!アラゴンの・・・。」
言いかけたリナをガウリイがアッサリ遮る。
「俺だよ!!直ちに止めろ!!俺はカステリャー王家の王位継承者!!
ガウリイにアラゴン王女リナだ!!直ちに投石を止めろ!!」
凄まじい怒気を含んだ声。
「あ・・・・。あんた・・。やれば出来るじゃない・・・。」
脆弱な王子様だとばかり思っていたのに・・・。
「まあな〜〜♪これからはも〜ちょと俺が仕切ってもいいかな・・?」
「望む所よ!!」
敵と間違えて投石攻撃をしたことに慌てまくる周囲を尻目に・・・・。
妙にご機嫌なガウリイとリナだったりする・・・。

「リナさ〜〜ん!!結婚式は何時ですか?」
アメリアがご機嫌にリナに聞く。
「邪魔が入らなければ明日よ。」
何気なく恥ずかしげにリナが言う。
「なあ、リナ。これでカステリャー王国とアラゴン王国は一つの国家に
なるんだろ??」
何時の間にか去って行ったアメリアに入れ替わり何時の間にか現れた
ガウリイが言う。
「ええ。これで・・。スペイン王と女王が誕生したというわけ。」
愛と野望の達成・・と言えば聞こえは良いが・・・。
「アラゴンの武力に怯えて・・。兄貴も俺の王位継承権を認めたしな・・。」
考え深そうにガウリイ。
「まあ、ね・・・・。」
しかし、アンチ・アラゴン、アンチ・ガウリイ派閥の者たちが黙っているはずは無いだろう・・。
結婚誓約書にサインしたとはいえ・・・。
「ねえ・・。ガウリイ・・・。」
「何だ・・・?」
「部屋に戻って。」
自分一人で決着をつけたい。あくまでガウリイを野心のタメに
使っただなんて思われたくないものね・・・・。
一人の暗殺者が佇んでいる。ガウリイは気付いていないだろう・・・。
「殺せるものなら殺して見なさいよ!!」
ガウリイが去ったのを確かめてリナはそっちの方向をにらみながら言う。
「アタシが死んだらアラゴン王家が黙っていないわ。エンリケ王は廃位。
ファーナ姫だってただじゃ済まないわよ・・。けど・・・。ガウリイの王位だけは残る。
それだけよ!!」
轟然とリナは言ってのける。
「リナ!!」
不意に飛び出してくるガウリイ・・・。
「ガウリイ!!??」
その腕にはナイフが突き刺さり血が滴り落ちている・・。
「馬鹿!!俺があの暗殺者の気配に気付いていないとでも思ったか?」
微かに顔を歪めながらガウリイ。
「だって・・・。」
「何も言うな!!一番つらいのはお前だろ?ったく!!最後くらい俺に見せ場をくれよ!!」
言ってガウリイは立ち上がり無事な片手でアッサリと暗殺者を気絶させる。
「ま・・。こんな所かな・・?」
言ってガウリイは微笑む。
「ガウリイ・・・。」
「意味無いだろ?お前がもし死んだら・・。これからの夢も・・・。スペインの未来も・・。」
再度ガウリイの微笑が胸に痛い・・。
「ごめんなさい・・・。」
「分かれば良いんだ!!」
リナの手を取り歩くガウリイ・・・・。
二人が王と女王として戴冠するのはまもなくの事だった・・。


「野心か・・・。」
そんなものよりもっと大事なものを手に入れて・・。
満悦なガウリイだった・・・。
「もう・・。心配要らないかな・・?」
今まで、自分の立場のタメに権力が欲しかった・・・。
だが・・。それ以上に大切なものがあったことをリナはしりようやく
安心を覚えたのだった・・・。

安心感と満足感とともに・・・。


(お終いっす!!)



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8399お疲れ様でした!P.I E-mail 12/26-01:11
記事番号8397へのコメント

CANARUさん、こんばんは!
久々の長編、無事完結おめでとうございます!
今回のガウリイ、ず〜っとリナに護られてて大人しかったですね。
まあ、モデルが女王様だから仕方ないのかもしれませんが。
(しかしあのガウリイが虚弱体質だなんて一体誰が信じます? ^^;)
でも最後は王位継承者らしく、そしてリナの恋人らしく見せ場を
作ってくれて良かった良かった♪やっぱりガウリイはいつもリナの
保護者じゃないと。
歴史モノは下調べが大変ですね。次は現代モノなんかお願いできませんか?
「空を飛ぶ者」みたいな。(忙しい人に更なるプレッシャー・・・でもあの
ガウリイ、好きなんですよ〜♪・・・って、どのお話もステキですが ^^;)

余談ですが、今、宝塚版「エリザベート」のビデオを探してるんですが
見つかりません(涙)BSで放送してくれないかなぁ・・・

それでは良いお年を!



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8409偶然??(爆笑)CANARU 12/26-23:39
記事番号8399へのコメント

>CANARUさん、こんばんは!
>久々の長編、無事完結おめでとうございます!
>今回のガウリイ、ず〜っとリナに護られてて大人しかったですね。
はい〜〜!!
何だかチョット平和主義者名ガウリイになってしまいました!!
>まあ、モデルが女王様だから仕方ないのかもしれませんが。
はい〜〜!!
本当はもっと勇敢な女王なんですが・・・。
何だかガウリイだとクラゲになってしまいましたね〜〜!!
>(しかしあのガウリイが虚弱体質だなんて一体誰が信じます? ^^;)
あはははは・・・。
幼少の頃とは言え・・・。
無理がありましたね〜〜!!あの健康なガウリイが!!
>でも最後は王位継承者らしく、そしてリナの恋人らしく見せ場を
>作ってくれて良かった良かった♪やっぱりガウリイはいつもリナの
>保護者じゃないと。
ですね!!
流石リナの過保護な保護者様ですね!!
>歴史モノは下調べが大変ですね。次は現代モノなんかお願いできませんか?
>「空を飛ぶ者」みたいな。(忙しい人に更なるプレッシャー・・・でもあの
>ガウリイ、好きなんですよ〜♪・・・って、どのお話もステキですが ^^;)
有難うございます〜〜!!
偶然ですが昨日現代モノ(しかもナポリの・・・・。な)
ガウリナ書いてみました!!
しかも気が向けばシリーズにします!!
>余談ですが、今、宝塚版「エリザベート」のビデオを探してるんですが
>見つかりません(涙)BSで放送してくれないかなぁ・・・
ああああ・・・。
アタシも宝塚の「チェーザレ」みたいでっす!!
>それでは良いお年を!
はい〜〜!!
こちらこそ良いお年を〜〜♪
>
>
>