◆−アルカナの神殿(15)−エイス(8/6-07:41)No.7386
 ┣もう最終話ですか〜−おどる猫(8/6-11:27)No.7388
 ┃┗最終話なんです−エイス(8/6-12:12)No.7390
 ┣アルカナの神殿(16)−エイス(8/6-23:59)No.7401
 ┃┣アルカナの神殿エピローグその1−エイス(8/7-00:01)No.7402
 ┃┃┗Re:アルカナの神殿−ルイ(8/8-21:54)No.7443
 ┃┃ ┗Re:アルカナの神殿−エイス(8/8-23:48)No.7444
 ┃┗アルカナの神殿エピローグその2−エイス(8/7-00:04)No.7403
 ┃ ┗アルカナの神殿〜外伝〜−エイス(8/7-00:16)No.7404
 ┣失われた心−エイス(8/8-12:56)No.7434
 ┗宿題と彼女−エイス(8/11-09:20)No.7481


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7386アルカナの神殿(15)エイス E-mail 8/6-07:41


 あ〜。ツリー落ちちゃったよ。
えっと、こんにちは、エイスです。
 やっとここまできました。最終話の前編です。



   望まぬ滅びを呼んだ 世界(世界編 前編)


U]T《世界》《逆》−不可能、犠牲が大きい成功、遅すぎて役に立たないことの実現


「なんで、黙ってたの?」
リナの厳しい声に、エリスは申し訳なさそうな顔をする。
「……言うのには、早かったのよ。本当は、この問題が終わってから、言うつもりだったの………」
「勇者アルドを始末してから……ですか?」
「!?」
ゼロスの指摘に、エリスの目が大きく見開かれた。
「おおよその見当はつきました。エリスさんが運命の輪に見せられ、展開した思考も、リナさんに教えてもらいましたしね」
「………ティムの名前は、アルド・ティム・ワールド。ティムって言うのは、勇者アルドのミドルネームだったのよ。そして、リナさん達の見当は、多分間違ってないわ。全てはあの人の怨念が、産み出した事なの」
そこまで言うと、エリスは深い溜め息を吐いた。
「あの人は、魔術師達に私を奪われ、その上、くだらない嫉妬で殺された。しかも、皮肉のように世界の神殿に墓を作られてね。それは少しずつ狂気へと変わっていって、今となって変化が訪れた。カードの変化は、あの人の変化そのものだったのよ」
リナ達は、それを黙って聞いていた。
「あの人は、この島を愛してた。なのにあの人がこの島を滅ぼす。それが私には辛くて、貴方達を呼んだの。あの人を…………浄化するために」
「エリスさん……」
その言葉を発するのに、どれだけの勇気が必要とされたのだろう。思わず手を伸ばしかけたリナを、ゼロスが制止した。
「…駄目ね、私。どんなに言葉を飾っても、どんなに奇麗事を言っても、あの人の魂を殺す事には変わりないのに……。だけど、どうしてもあの人にそんなことをさせたくなかった。……………………………………………愛してるから……」
「………」
辛そうだった。愛する人に手を汚してほしくないばっかりに、愛する人を自らが殺さなければいけない悲しみ。しかも、愛する人だけが、心の拠り所だった女性が。
「エリスさ………」
「リナさん!!」
まるでその先を聞きたくないとでも言うように、エリスはリナの言葉を遮った。
「……行きましょう…。世界が滅んでしまう事には、変わりないんですから…」
「エリスさん………」
泣き言ばかり、言っていられない。一番辛いはずの人が、立って歩んでいるのだから。
「行きましょう。ゼロスも、協力してよね」
「リナさんのためなら、例え火の中水の中、混沌の中、ですよ」
ゼロスの軽口が、とてもありがたく感じられた。
「さ、行くわよ!!」
リナのその一声で、三人は神殿の中へと入っていった。

  かつ……
自分の靴の音が、呼吸の音が、これほど耳障りとは思わなかった。
 地の底まで続くかと思うような階段を降りた後、そこに世界のカードが安置されているはずの小部屋があった。
 そしてそこには、世界のカードと引き換えに、以前この島を守った勇者の思念がいた。
「ティム!!」
勇者とは…いや、人とは思えないような、醜い思念に、リナの顔が歪んだのが見えた。
『エリス……か。ようやく来たのだな……』
「……狂気の中でも、憶えててくれたのね……」
それは皮肉と、喜びの混じった台詞だった。
リナとゼロスは、ただ成り行きを見守っていた。
『長かった……。ようやく時が訪れた………。この醜い世界を、滅ぼす瞬間が………』
その狂った言葉が、エリスには信じられなかった。
「なんでなの!?ティム!!何故貴方が守った世界を、貴方が滅ぼさなければいけないの!?」
エリスの気持ちが、痛いほど伝わってくる言葉だった。
『エリスよ…。私は、守った時は知らなかったのだ……。人がこれほど愚かな事に。それは、お前が一番知っているのではないか。だから滅ぼす』
冷たかった。心が凍るような一言だった。
(エリスさんも辛かっただろうけど、この人も、人を信じられなくなるほど辛かったんだわ……。エリスさんを奪われて……守ってやったのに、くだらない嫉妬心なんかで殺されて………)
リナは悲しすぎる現実に、思わずゼロスの服を握っていた。
 ゼロスはそんなリナをみると、何も言わずまたエリス達を見た。
「お願いティム。もうやめて。これ以上続けたら、この島が、果ては世界が滅んでしまう。そうならないように、私が貴方を殺さなければいけなくなる……お願い!!私にそんなことをさせないで!!そんなことをしないで!!」
『そうか……ならばエリス…………………………………………死んでもらう…』
「!?」
「エリスさん!!」
エリスに、アルドの腕が伸びていた。

        −精神体のアルドに身体を貫かれたら………!!

  ざしゅっっ……
鮮血が飛び散る………。
「!?」
『!?』
「リナさん!!」
ゼロスの叫び声が響いた。
 アルドの腕の先には、エリスの代わりに身体を貫かれた、リナの姿があった。


「う…ん………」
リナが目を開けると、そこは闇の中だった。真っ暗、というわけではない。本当に、“闇”だと感じられるような暗闇だった。
「ここは………」
『混沌の中です。リナ・インバースさん』
声がしたほうを見ると、そこには、青い髪にすみれ色の瞳をした男性が立っていた。
「…まさか生きたまま来るなんて思わなかったわ。アルド」
リナがそう呼びかけると、アルドはまるで悪役がするような笑みを浮かべた。
「それで?私に何か用?」
『ええ。貴方は邪魔なのでね。死んで頂きたいのですよ』
「あら。冥土の土産もくれないなんて、随分せっかちな悪役サンね」
その言葉に少し怒ったのか、不穏な空気が漂った。
『……遥かな昔、私は村息子として産まれました。名はアルド。やんちゃで、それは平凡な少年でした。そして村の神官だったエリスに恋をしました。エリスも、私を愛してくれ、幸せでした』
アルドは、坦々と思い出話をした。まるでその話の主人公が、自分ではないというような言い方で。
『ところが、世界はとんでもない運命を用意していました。私が、勇者だという。それまでエリスに手を出せなかった私は、その日から立場が逆転しました』
その言葉の裏には、どんな感情が隠されているのだろうか。
『この世界を守る事事態は良かったのです。私は、この世界が好きでした。………………あの日までは』
あの日というのが何の事を指しているのか、リナはだいたいわかった。アルドがエリスをとられ、そのうえ殺された日の事を言っているのだろう。
『許せない……。私の愛したエリスを汚した上に、私をつまらぬ嫉妬心なんかでこの世から追いやった。その日から私は誓ったのだ。こんな汚れた世界など滅ぼし、エリスを取り戻すと』
「…………!?」
アルドがそこまで語った事で、リナはようやくわかった。こんな行動に出たのも、人々を滅ぼす事も、全てはエリスへの愛ゆえだったのだ。
「アルド…。貴方が感じた屈辱や、エリスさんをどれだけ愛しているか、苦しいほどにわかるわ。けど、そんなことをしてエリスさんが喜ぶとでも思うの!?」
『思わぬ。しかし、そんなことなどどうでもいい』
アルドの言葉は、リナを怒らすに充分だった。だが、今のリナはそれを冷静に受け止める心があった。
「貴方はそれでいいかもしれないけど、滅ぼされる人達はどうするの!?貴方が望んでいた幸せを掴んでいる人達は!!それに、エリスさんは貴方の事を愛してるのよ!?貴方がそんなことして、自分の気持ちが無視されて、貴方を殺さなくては行けない状況に追いつめられて…。エリスさんを本当に愛してるなら、なんでそんなことをするの!?」
『う……』
リナの言葉に、アルドが後ずさりをする。
『………たとえ…エリスに恨まれたって………もう止められない。止める事が出来ないんだ!!』
逆上したアルドが、リナに襲い掛かった。
(ゼロス………!!)
どすっ……
鈍い音が響く。
リナが目を開けると、そこには杖でアルドの身体を貫いた、ゼロスの姿があった。
「言ったでしょう?リナさん。リナさんのためなら、たとえ火の中水の中、混沌の中…って」
笑いながらそう言ってくるゼロスに、リナは笑い返した。
「本当にすることないでしょ」
リナはまだ苦しんでいるアルドをおいて、ゼロスに連れられもとの空間へ戻った。

「リナさん!良かった………」
元に戻ると、エリスがリナに抱き着いてきた。それほどリナを心配したのだろう。
「エリスさん。まだ安心できないでしょ…」
『その通りだな』
リナ達が振り向くと、そこには怒りの炎を瞳に灯した、勇者の姿があった。
『私は、世界を滅ぼす事を決意した』



 は〜最初のを載せてから何日経ったっけ?
毎日載せてたからもうここまできちゃったよ。
 あ〜あ。一日くらい間開けようかな。
 もちろん、焦らしたいから(笑)。

 あともう少しで終わっちゃうけど、感想お待ちしてます。

 それでは。
    エイス

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7388もう最終話ですか〜おどる猫 E-mail 8/6-11:27
記事番号7386へのコメント


>えっと、こんにちは、エイスです。
> やっとここまできました。最終話の前編です。
こんにちは!
もう最終話ですか・・・・・・・
なんかはやかったですね・・・・・・

>   望まぬ滅びを呼んだ 世界(世界編 前編)
>
>
>U]T《世界》《逆》−不可能、犠牲が大きい成功、遅すぎて役に立たないことの実現
なんか題名とかカードの説明とか深いですよね〜いっつも思ってたんですけど。
そうか、タロットって占いの道具なんですよね。逆の意味もあるわけか。

>「…駄目ね、私。どんなに言葉を飾っても、どんなに奇麗事を言っても、あの人の魂を殺す事には変わりないのに……。だけど、どうしてもあの人にそんなことをさせたくなかった。……………………………………………愛してるから……」
>「………」
>辛そうだった。愛する人に手を汚してほしくないばっかりに、愛する人を自らが殺さなければいけない悲しみ。しかも、愛する人だけが、心の拠り所だった女性が。
う〜・・・なんか切ない〜
「愛してる」っていう言葉が痛いです。

>「リナさんのためなら、例え火の中水の中、混沌の中、ですよ」
こんとん・・・さらっと言ってるようで、かなり本気なんだろうなぁゼロス。

>リナが目を開けると、そこには杖でアルドの身体を貫いた、ゼロスの姿があった。
>「言ったでしょう?リナさん。リナさんのためなら、たとえ火の中水の中、混沌の中…って」
やっぱり本気だったんだな・・・
ゼロスすごい・・・!

> は〜最初のを載せてから何日経ったっけ?
>毎日載せてたからもうここまできちゃったよ。
そうですね(笑)はやかったですね〜本当

> あ〜あ。一日くらい間開けようかな。
え?!

> もちろん、焦らしたいから(笑)。
ああっそんな!
でも焦らされるのもカ・イ・カ・ン(撲殺!)
自分で書いてサブイボたった・・・
>
> あともう少しで終わっちゃうけど、感想お待ちしてます。
おわっちゃうんですね〜残念。
・・・ぜひ続編を!(気ぃ早いっちゅうねん!)

> それでは。
>    エイス
それでは。おどる猫でしたっ!

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7390最終話なんですエイス E-mail 8/6-12:12
記事番号7388へのコメント


>>えっと、こんにちは、エイスです。
>> やっとここまできました。最終話の前編です。
>こんにちは!
>もう最終話ですか・・・・・・・
>なんかはやかったですね・・・・・・

 こんにちは〜。私もそう思います。もっと感覚開けた方が良かったかも。

>>   望まぬ滅びを呼んだ 世界(世界編 前編)
>>
>>
>>U]T《世界》《逆》−不可能、犠牲が大きい成功、遅すぎて役に立たないことの実現
>なんか題名とかカードの説明とか深いですよね〜いっつも思ってたんですけど。
>そうか、タロットって占いの道具なんですよね。逆の意味もあるわけか。

 はい、占う時にカードが逆さまになってると、逆の意味になっちゃうんです。でも、落雷(塔)のカードはどっちにしろ悪い意味です(笑)。なんだかな〜…。

>>「…駄目ね、私。どんなに言葉を飾っても、どんなに奇麗事を言っても、あの人の魂を殺す事には変わりないのに……。だけど、どうしてもあの人にそんなことをさせたくなかった。……………………………………………愛してるから……」
>>「………」
>>辛そうだった。愛する人に手を汚してほしくないばっかりに、愛する人を自らが殺さなければいけない悲しみ。しかも、愛する人だけが、心の拠り所だった女性が。
>う〜・・・なんか切ない〜
>「愛してる」っていう言葉が痛いです。

 切ないですか、それは良かった(どこが)。
 みんな悲しんでくれるかな〜とか思ってたところなので。

>>「リナさんのためなら、例え火の中水の中、混沌の中、ですよ」
>こんとん・・・さらっと言ってるようで、かなり本気なんだろうなぁゼロス。
>
>>リナが目を開けると、そこには杖でアルドの身体を貫いた、ゼロスの姿があった。
>>「言ったでしょう?リナさん。リナさんのためなら、たとえ火の中水の中、混沌の中…って」
>やっぱり本気だったんだな・・・
>ゼロスすごい・・・!

 本気でしたね。っていうか、自分で書いてて凄いな〜とか思ってしまった(笑)。
 さすがゼロス♪

>> は〜最初のを載せてから何日経ったっけ?
>>毎日載せてたからもうここまできちゃったよ。
>そうですね(笑)はやかったですね〜本当

 はやかったですわ。20話近くあったのに。

>> あ〜あ。一日くらい間開けようかな。
>え?!
>
>> もちろん、焦らしたいから(笑)。
>ああっそんな!
>でも焦らされるのもカ・イ・カ・ン(撲殺!)
>自分で書いてサブイボたった・・・

 うみゅ〜。

>> あともう少しで終わっちゃうけど、感想お待ちしてます。
>おわっちゃうんですね〜残念。
>・・・ぜひ続編を!(気ぃ早いっちゅうねん!)

 続編…書けるかな?外伝じゃ駄目?………駄目か。

>> それでは。
>>    エイス
>それでは。おどる猫でしたっ!

 はい。何度も何度もありがとうございます!!是非この調子でエピローグと外伝にも感想を!!(殴!)
 感想ありがとうございました!!それでは。
                   エイス

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7401アルカナの神殿(16)エイス E-mail 8/6-23:59
記事番号7386へのコメント


 こんばんは。エイスです。最終話ですぅ!!
 う〜ん。早かったな〜。エピローグもありますので、是非最後まで見てやって下さい。



   最後まで希望を信じた 世界(世界編 後編)


U]T《世界》《正》−目的の達成、成功、新境地


「ティム!?」
エリスが悲鳴をあげる。
『もう何も信じられん……。世界を滅ぼす事が私の望み』
悲壮な顔のエリスに、アルドが迫る。
「ちょっと待って。そう簡単に滅ぼされてたまるもんですか」
あと少しでエリスに手が届くという時、リナの声が、狭い神殿の中に響いた。
「あんたの勝手な都合だけで、生きていたいという気持ちを踏みにじられるなんて、たまったものじゃないわ。そんなのは万死に値するわね」
希望、それはなによりも、誰よりもエリスとアルドが望んでいたもの。運命の輪が選んだ、希望の使者。
「リナさん……」
『リナ・インバース………』
エリスとアルドの口が、その名前を紡ぎ出した。
(ああ…。やっとわかった……。あんなに乱暴で、金にがめつくて、どうしようもないリナさんを、運命の輪が選んだわけが………)
エリスはリナを見上げた後、懐からカードを取り出した。リナはそれを見て、自分の持っていたカードをエリスに投げる。
「この世界を護れし、偉大なるアルカナよ!今正に、闘いに身を投げんとする者に、大いなる祝福を与えん!!」
エリスがそう叫ぶと、カードが眩い光を放ち、透明の壁がリナを覆った。
リナはそれを見ると、エリスに微笑む。
(私の能力……アルカナと心を通わせる力…………。それを、リナさんのために使うわ)
カード達は、エリスの周りで浮遊し、その一つ一つが、エリスと意志を交わしていた。
 リナもそれがわかったのか、また軽く微笑んだ後、ゼロスの方を向いた。
「ゼロス、ちゃんと援護してね」
「わかりました」
敵にまわせば、恐ろしいでは済まないゼロスも、味方になると頼もしく感じられた。リナは魔力増幅の呪文を唱えた後、ゆっくりと呪文の詠唱へ入る。
「悪夢の王の……」
突然アルドが呪文を放っているが、それはゼロスと結界によって阻まれた。
 アルドはひっきりなしに呪文を唱えるが、リナに当たる事はなかった。
「……………凍れる黒き、虚ろの刃よ………」
そんなことをしてる間にも、リナの呪文はどんどん完成していく。
「我が力、我が身となりて、共に滅びの路を歩まん………」
ゼロスが、笑った。勝利を見たように。
「神々の魂すらも打ち砕き」
リナの瞳が開かれる。手には、闇の刃が出来上がっていた。
「ティム……。こんなことをして無意味なのは、貴方が一番知っていたはずでしょう?なぜ…こんなことをしたの………?」
リナが目配せをしてきたのを見て、エリスは最後に疑問だった事を聞いた。
『エリス……。愛していたんだ……。お前を守りたかったから……』
「アルド」
エリスは初めてその名を呼んだ。その顔は、笑っていた。
「愛してるわ」
『!?』
「アルカナよ!!」
エリスの声に反応して、カード達がまた眩い光を放った。そしてリナが作り出した闇の中へと吸い込まれていく。
 そして、リナの魔法が放たれた。
「ラグナ・ブレ―――――――――――――――――ド!!」
渾身の力で刃を振り下ろす。
 その時、どこから現れたのか世界のカードがアルドを覆った。
 アルドには、それが目が潰れるほどの光に見えた。
『うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!』
闇の刃は、闇へと落ちた魂を、切り裂いた……。
 エリスは、そしてアルドは、とめどなく溢れる涙を隠す事なく泣いていた……。


「世界のカード……。アルドを浄化してくれたんだわ………」
全てが終わり、うるさいほどの静寂の中、リナの荒々しい息遣いと共に、声が響いていた。
「リナさん。エリスさん。来て下さい」
ゼロスがリナとエリスを呼ぶ。
 元の位置に戻っている世界のカードの下に、アルドの棺があった。そして……。
「あ………」
「逆………」
アルドの死体は、世界と逆向きに配置されていた。
「この人も……世界という運命に翻弄されていただけなのね………」
「これも…運命のカードの悪戯なのかも知れません……」
エリスはそう言いながら、今はもう朽ち果てた身体を、世界の正位置に置く。
「あ…」
途端、アルドの身体が光る砂となり、空気に流され飛んでいった。
それの意味するところは、果ての無き冒険。アルド自身の目的を達成するために、アルドは目的を達成した。
それが、エリスには眩しく感じられた。
「……リナさん。本当に、ありがとう………」
「そんな……」
「いえ、どれだけお礼を言っても足りない………」
エリスの瞳からは、止まる事を知らないように涙が溢れ続けていた。
「ありがとう……リナさん、ゼロスさん………」
 真実に愛し合う者達は、運命によって導かれた………。
  ふわぁ……っっ
「な、なに!?」
「なんですか!?」
エリスがお礼を言うと同時に、リナとゼロスの意識が薄れていった…。



 えっと、実はエピローグが二種類あるんです。
最初は一種類しかなかったんですけど、途中で思いついちゃって……。
 まあそんなわけですので、二種類、お楽しみいただけると嬉しいです。

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7402アルカナの神殿エピローグその1エイス E-mail 8/7-00:01
記事番号7401へのコメント

  エピローグ(パターン1)


「エリスさん!!」
がばっっ
リナが起きると、そこには普通の宿の景色が広がっていた。そして同じ部屋にいたアメリアが、驚いたような顔をする。
「あれ…?アメリア………?」
「リナさん、なに寝ぼけてるんです?それにエリスさんって誰ですか?私もう下に行きますから、リナさんも後で来て下さいね」
冷たく行ってしまったアメリアのあとを、ぼーっと見つめるリナに、ゼロスが話し掛けてきた。
「リナさん。おはようございます」
「ゼロス…ねえ、エリスさんは?ねえ」
「夢………だったようです」
「夢………?」
ゼロスの言葉にしばし呆然とするが、首を振って否定する。
「そんな!!あんなリアルな夢が、そんじょそこらにあるわけないでしょ!!」
リナの返事にゼロスはやれやれ、という顔をした。そして突然シリアスな顔になって、からかうように言った。
「リナさんは運命を信じますか?」
夢の中で歩んだ道筋……それは確かに五方星を描いていた。そしてそれは、運命に惑わされていた事の証。
 アルドがああなってしまったのも、全ては運命の悪戯だったのかもしれない。
「何言ってんのよ。私が信じるのは、私だけよ」
「リナさんらしいです」
ゼロスはにっこり笑うと、また質問してきた。
「じゃあ、運命の恋人っていうのも知ってますか?」
「信じるわけないでしょ。もし運命があるとしても、運命を引き寄せるのは自分達なんだから」
「自分達…にはもちろん僕も含まれてるんですよね(にっこり)」
「う…」
リナはしまった、というような顔をするが、すでに遅かった。
「じゃあ僕とリナさんは、運命を越える恋人というわけですね(はぁと)」
「……………………」
リナは、否定はしなかったが、それが肯定したという意味だということを、気付いているのかいないのか……。
「それにしても……本当に夢だったのかな……」
そう唸るが、答えは見つからなかった。
考えていてもしかたないと、ベッドを降りる。
かさ…
何かが落ちたのにも気付かず、リナはゼロスと一緒に一階へと向かった。

そしてリナがベッドから降りる際、落ちたカード状の物は………………………












『ありがとう………リナさん、ゼロスさん………』
『ありがとう………リナ・インバース………』



                アルカナの神殿〜運命に惑わされし時〜
                               おしまい




 一応こっちが正規エンディング(?)です。
最初に書き上げた方ですね。
 ちなみにカードがなんだったかは、御想像におまかせします。

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7443Re:アルカナの神殿ルイ E-mail 8/8-21:54
記事番号7402へのコメント


   すいません!!
   遅くなりました。ルイです。
   すっごく良かったです!!
   エピローグもいいです。個人的には『その2』の方が好きかな……?
   エリスはさりげなく名字が『ワールド』になってるし……
   結婚したんでしょうか?
   今度こそ幸せになってほしいなぁと……

   短いし、内容が無いような<注意・ギャグじゃありません(笑)>
   感想ですいません。
   これからも頑張って下さい。

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7444Re:アルカナの神殿エイス E-mail 8/8-23:48
記事番号7443へのコメント

>   すいません!!
>   遅くなりました。ルイです。

 こんばんは。お待ちしてましたわ(笑)

>   すっごく良かったです!!
>   エピローグもいいです。個人的には『その2』の方が好きかな……?
>   エリスはさりげなく名字が『ワールド』になってるし……
>   結婚したんでしょうか?
>   今度こそ幸せになってほしいなぁと……

 気付きましたか。多分結婚してます。
 本当、幸せになってほしいです。

>   短いし、内容が無いような<注意・ギャグじゃありません(笑)>

 あぁ。ギャグになってる←言われて気がついた(笑)

>   感想ですいません。
>   これからも頑張って下さい。

 はいありがとうございました!!
 短くても、内容がなくても、全っっ然かまいません!
 ですから、これからも感想くださいね。

 それでは。失礼致します。
           エイス

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7403アルカナの神殿エピローグその2エイス E-mail 8/7-00:04
記事番号7401へのコメント

 エピローグ(パターン2)


「エリスさん!!」
がばっっ
リナが起きると、そこには普通の宿の景色が広がっていた。そして同じ部屋にいたアメリアが、驚いたような顔をする。
「あれ…?アメリア………?」
「リナさん、なに寝ぼけてるんです?それにエリスさんって誰ですか?私もう下に行きますから、リナさんも後で来て下さいね」
冷たく行ってしまったアメリアのあとを、ぼーっと見つめるリナに、ゼロスが話し掛けてきた。
「リナさん。おはようございます」
「ゼロス…ねえ、エリスさんは?ねえ」
「夢………だったようです」
「夢………?」
ゼロスの言葉にしばし呆然とするが、首を振って否定する。
「そんな!!あんなリアルな夢が、そんじょそこらにあるわけないでしょ!!」
リナの返事にゼロスはやれやれ、という顔をした。そして突然シリアスな顔になって、からかうように言った。
「リナさんは運命を信じますか?」
夢の中で歩んだ道筋……それは確かに五方星を描いていた。そしてそれは、運命に惑わされていた事の証。
 アルドがああなってしまったのも、全ては運命の悪戯だったのかもしれない。
「何言ってんのよ。私が信じるのは、私だけよ」
「リナさんらしいです」
ゼロスはにっこり笑うと、また質問してきた。
「じゃあ、運命の恋人っていうのも知ってますか?」
「信じるわけないでしょ。もし運命があるとしても、運命を引き寄せるのは自分達なんだから」
「自分達…にはもちろん僕も含まれてるんですよね(にっこり)」
「う…」
リナはしまった、というような顔をするが、すでに遅かった。
「じゃあ僕とリナさんは、運命を越える恋人というわけですね(はぁと)」
「……………………」
リナは、否定はしなかったが、それが肯定したという意味だということを、気付いているのかいないのか……。
「それにしても……本当に夢だったのかな……」
そう唸るが、答えは見つからなかった。
考えていてもしかたないと、ベッドを降り、リナはゼロスと一緒に一階へと向かった。

「お、やっと起きたなリナ」
一階に降りると同時に、ガウリイの声が聞こえてきた。
「まったく……いつまで寝てれば気が済むんだ?」
その後、ゼルガディスの冷たい声。
「うるさいわね。関係ないでしょ」
そう言いながら、ゼロスがひいてくれた椅子に座る。
「さーて、な・に・を・食・べ・よ・う・か・なっと」
リナがそう言ってメニューを開いた時……
「あの〜……」
「ふえ?」
声の聞こえてきた方向を見ると、そこには男女が立っていた。
女性の方は、桃色の髪をみつあみにしていた。瞳の色は青混じりの翡翠。落ち着いた雰囲気を感じさせる女性だ。
男性の方は、青い髪にすみれ色の瞳をした、いかにも歴戦の勇者と感じさせる人だった。
「リナ・インバースさんですね?依頼を頼みたいんですが………」
男性の方が、リナに言った。
「え?でも……あんた達…………」
「あ、ごめんなさい。申し遅れました」
リナが戸惑っている意味を勘違いしたのか、女性が優雅にお辞儀をして言った。
「こっちがアルド。そして私は………」
女性は一呼吸おいて、誇らしそうに言った。
「私は、エリス・ワールドといいます」




                   アルカナの神殿〜運命に惑わされし時〜
                                 おしまい



 はい、こちらが後で思い付いたエンディングです。
あんまりかわんないかも……。

 ここまで読んで下さった皆様、本当にありがとうございました。

 コメント、感想待ってます。「見たよ」だけでもいいですから、なんか下さい(笑)。

 それでは。本当にありがとうございました。
                   エイス

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7404アルカナの神殿〜外伝〜エイス E-mail 8/7-00:16
記事番号7403へのコメント

 エピローグその2で思いっきり終わったとか挨拶しててなんですが、アルカナの神殿外伝載せます。
 アルドのお話です。



 運命を、これほど残酷だと思ったことはなかった……。


    運命の先に


「勇者アルドよ。どうかわしの城を……この島を救ってくれ」
この懇願は、いったい何度目だろう。
「……………わかりました」
王様からの数度目の頼みに、アルドは悪魔で礼儀正しく答えた。

  村でいつも通りにしていると、突然兵士達がやってきて、何の説明も無しに城へ連れてきた。

  話を聞けば、どこかの神殿が跡形も無く壊され、その跡から悪魔達が出現したらしい。占い師に聞いたところ、勇者が助けてくれるといったので、その勇者を探していたらしい。そしてそれは俺だった……。

  最初は勇者などと信じられるわけが無かったが、王様のしつこい頼みに、とうとう折れることになったのだった。
 しかし、頼まれたといっても周りは兵士達に囲まれ、王は言葉とは裏腹に、自信たっぷりの表情を浮かべていた。
(これじゃあ頼みじゃなくて、脅迫と命令だな)
だがそうでなくても愛する者のために死力を尽くすことを、アルドは決めていた。
「王よ。必ず平和を取り戻してみせましょう」
そう、守るべき者がいたから、そしてその者が存在する世界を愛していたから。
決して、自らの欲のために自分を利用する輩など、守ってやる気にもならなかった。
(俺は、幸せに暮らす人々を守るために、そしてエリスのために戦うんだ)
ただ、それだけだった。


……………………………………………………………………………………………………


「はぁっはぁっ……」
もう何匹目だろうか。アルドは倒しても倒しても沸いて出てくる悪魔達に、いい加減体力も気力も尽きてきた。
その悪魔の数は、どう少な目に見ても、500を軽く越えていた。

 そして、今までに倒してきた悪魔達の数を考えると、これの5倍以上にはなっている。それを、アルドはたった一人で倒してきた。

  助けてくれと、何度も叫びそうになる。
  もう楽になりたいと、何度も思う。
  だが、自分を信じてくれている人のために、倒れても倒れてもなお起き上がる。
  感覚がなくなりそうになるのを必死に堪えながら、アルドは剣を振るっていた。

(どこなんだ…?悪魔達が発生している場所は………どこかにあるはずなのに…………!!)

 アルドの探している、魔界への入り口。それは、悪魔達に隠されているのか、はたまたここにはないのか。一向に見つかる気配はなかった。
数千と言う悪魔達を倒してきたせいだろうか。視界が霞む、悪魔が何匹にも増えて見えた。
 だが、それは幻覚でも何でもなかった。
(あそこだ……!!あそこから悪魔が発生しているんだ……!!)
悪魔や堕天使が、どんどん沸いてくるところに、空間の歪みが見えた。
 アルドは顔に流れてきた血を拭うと、そこに向かって一気に走った。まるで、無理矢理気力を奮い立たせているかのように。
 それに気付いたのか悪魔達が襲ってくるが、アルドはそれを薙ぎ払い、空間の歪みの中へと入っていった………。


  中に入り、暗いと感じた瞬間、アルドの意識は闇に落ちた。


……………………………………………………………………………………………………


(なんだ…?気持ちいい…………)
アルドは暖かな空気を感じて、目を覚ました。
「ここは……?」
辺りは真っ暗で、何も見えなかった。ただ、自分の周りだけがほのかに光っていた。
『気がついたようですね』
突然の声に、アルドは身構えた。だが、どこを探してもそれらしき姿はない。
『…私はここですよ』
声のしたところを見ると、カードが浮かんでいた。信じられない思いに駆られたが、それが声を発しているとしか思えず、アルドは返事をした。
「お前は誰だ?なぜ私を助けた?」
『私は《世界》。アルカナの全ての源。貴方を助けたのは、貴方が我等が主になるからです』
「主だと?」
カードは光を発したかと思うと、人の姿へと変化していった。
「ええ、貴方は我等が主になるとふさわしい御方。邪に染まらず、かといって正義を振り回すわけでもなく、ただ純粋に愛する人を守ろうと勇者をしてる御方。
我等は、そんな人にしか従えない、いえ、そんな人しか我等を使うことが出来ないのです」
アルドは突然人の姿になったことに面食らったが、世界と名乗るカードの言葉で我にかえった。
「それはどういう意味なんだ?」
「貴方ならわかるはずです。そして、貴方の分身こそ私。それを、覚えていてほしいのです」
世界はそう言ったかと思うと、闇の中へ溶け込んでいった。
「待ってくれ!!」
アルドは手を伸ばしたが、世界のカードの姿はもう見えなかった。


「これは……」
アルドは世界のカードと別れ、暗闇を突き進んでいた。途端邪悪な気配を感じたのでその方向へと進んだのだが、そこにはさきほど見た世界のカードが安置されたった。
「どういうことなんだ?」
アルドは疑問を、正直に聞いた。
『こういうことです。私達は、悪魔達を封印していた。だが誰かにその封印をとかれ、悪魔達が出現した。悪魔質は再び我等に封印されるのではないかと恐れ、本拠地に私達を隠していた』
「………ところで、なぜさっきから多数系で言っているんだ?」
「知らないのですか?我々は私を含め、22のカードによって構成されています。その22枚のカードで、悪魔達を封印していたのです。正義だけでなく、邪だけでなく………。さまざまな意味が入り混じったカード達で」
当然のようにいった世界に、アルドはまたも疑問が湧いた。
「なぜさっき言わなかった?こんなにすぐに会えたし、さっき言っても良かったのではないか?」
「この場所が良かったのです」
世界はそう言うと、眩いほどの光を発し、暗闇を追い払った。
アルドは目を瞑るが、恐る恐る見た景色は、とてつもなく広く、綺麗な神殿だった。
「ここは神の城塞と呼ばれる場所です。アルカナ達は、ここに閉じ込められています。そして、悪魔達も」
その言葉に緊張が高まった。
「…大丈夫です。……………アルカナよ…………」
世界のカードが瞑想を始めると、周りに幾つものカードが現れた。
魔術師……女司祭長……聖母………実に様々なカードが。
「アルドよ、私達は貴方のしもべ。さあ、悪魔達を倒して下さい」
アルドは体中に力がみなぎるのを感じたが、同時に、初めてプレッシャーというものが、襲い掛かってきた。

    世界を救う………自分一人で……あの欲深い奴等のために……………?

  足が震えた。目が霞んだ。それはもうピークに達している疲労のため、そして巨大なプレッシャーのためだった。
  その場に張り付いている足を、力ずくで動かすと、アルドは悪魔の本拠地へ乗り込んでいった。


 本拠地では、地上で見た悪魔達とは比べ物にならない強さだった。もしアルカナ達が自分を守ってくれなければ、最初の一匹に出会ったところで死んでいただろう。限界を超える闘いに体中が悲鳴をあげるが、アルドはどんどん突き進んでいった。


 途端、視界が開けた。
広い部屋に出たのだ。
 そしてそこには、巨大な悪魔がいた。
アルドは緊張が高まるのを感じながら、悪魔へ話しかけた。
「悪魔よ、今すぐに悪魔達を地上に送ることをやめろ。そうすれば、私はこのまま立ち去ってやる」
その言葉に、悪魔がおもしろそうな顔をした。
『笑止。人間のくせにここまで来たことは誉めてやろう。だが、我が前ではどうかな!!』
悪魔は急に、瘴気を放ってきた。
 アルドはたまらず、床に膝を着く。
「く…ぅぅ…………」
そのまま倒れた。
 息は、していなかった。
『ふはははは。人間なんぞ、脆いものよ。ふはははは』
悪魔が高笑いをあげた。その時、カード達がアルドのからだの中に入っていき、かと思うと眩い光を放った。
『な……なんだと!?』
悪魔が驚愕の声をあげる。
「悪魔…………………………………………………………………倒す」
真の勇者の、覚醒であった。


…………………………………………………………………………………………………………


  感覚がない 自分は もう死んだのかとも思う
  ただ 自らの心臓の音が そうでないことを表していた

「アルド、起きて下さい」
世界のカードの声が聞こえる。アルドは恐る恐る瞼をあげた。
そこは、地上だった。
「これは………」
「さあアルド。最後の仕事です。この島を浄化して下さい」
「そんなこと………」
できない、と言おうとしたが、なぜかやり方が頭の中に浮かんできた。
無意識的に全てのカードを空へ投げ、叫んだ。
「アルカナよ、我が名、アルドの名の元に、今地上を浄化せん!!」
するとアルカナが天高く昇っていき、この島を包み込むように光を放った。
それは、信じられない光景だった。
枯れた草木が、死んだ動物達が、壊された街が、一瞬のうちにもとに戻ったのだ。そして、わずかに残っていた悪魔達も、一瞬のうちに消滅した。
「すごい……」
アルドが思わず声をあげた。
 自分のしたことながら、信じられなかった。
「アルド、我が仲間達は、この島を救うために各地へ飛びました。私は、島の真ん中でこの島を見守ります。我が主に、永遠の祝福を………」
世界はそう言うと、瞬間移動をするように消え去った。
 アルドはまだ信じられない気持ちを引きずって、都へと帰った。

  世界を守った、勇者として………。



 わぁぁぁぁぁ………
歓声が響き渡る。
 街が、村が、一丸となって勇者を迎える。
アルドは、その光景に呆然とするだけだった。
「ティム!!」
「エリス!!」
人込みをかきわけよってきた恋人を、アルドは力いっぱい抱きしめた。
「お帰りなさい………」
聞きたかったエリスの声が、間近で聞こえる。
 幸せで、幸せで、緊張の糸が途切れ倒れ込んでしまったアルドを、影で見つめる集団がいた。



 アルドは目が覚めると、まず王様に謁見した。
アルカナと言うカードに助けてもらい、島を浄化したことも、包み隠さず全て話した。
 王は大層喜び、アルドを城に迎え入れようとしたが、アルドは丁重に断った。

 そして、それから何週間、アルドはパーティーへと引っ張り出され、闘いの疲れも癒せない日々が続いた。だが、幸せそうに笑っている民達を見て、迷惑だと言う感情もなくなった。


……………………………………………………………………………………………………


  その日アルドは、村外れの草原へ来ていた。
  手紙に呼び出されただけ、というのならここまで怒りを発しない。
  エリスが人質に取られていたのだ。

  そして約束の時間になると、向かいの方角から、エリスを連れた魔導士達がやってきた。







                     そして、運命は狂った………。


……………………………………………………………………………………………………



       …………運命を、これほど残酷だと思ったことはなかった。
       アルドの運命の先にあるものはただ、滅びだけだった…………。



  運命が動き出した。
    世界を救った勇者を、滅びへと導く、残酷な運命が…………。
                     そして、その運命の先には………



                  アルカナの神殿外伝〜運命の先に〜終わり




 これで本当に終わりです。振っても逆さまにしてももう出てきません。
こんな外伝まで読んで下さった方、本当にありがとうございました。
 やっぱり続き物だと、自分の未熟な文章力の影響が、はっきり出てますね。

 何度言ったかわかりませんが、本当にありがとうございました。
 よろしければ、感想などをください。


 それでは。失礼致します。
           エイス

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7434失われた心エイス E-mail 8/8-12:56
記事番号7386へのコメント

 こんにちは。エイスです。
アルカナ〜が終わったばっかりですけど載せます。

 むちゃくちゃ暗いです。甘々をお望みの方は、やめたほうがいいと思います。

 もちろんゼロリナです。




   なぜ こうなってしまったのだろう

「いつかはこの日が来ると思ってたわ。ゼロス」
「僕も。貴女を殺しに来る日が、こんなに早く来るとは思いませんでしたよ」

    _____________

       失われた 心  

    _____________

「その前に、聞いておこうかしら。貴方、もちろん本気よね?」
その言葉は、信じたくないという気持ち。
「もちろんですよ、リナさん」
その言葉は、全てを諦めた気持ち。


   お互いの目の前にいる者は、お互いに愛している者だった……


二人はただ、言えぬ思いを抱え、相手を見つめていた。
「私がやられると、国の姉ちゃんに怒られるの」
「僕だって、獣王様に叱られちゃいます」

   ギシ……

 二人の心の奥の何かが、悲鳴をあげるように鳴った。

   コロサナイデ
   コロシタクナイ

  相手が生き残ること、それは自分の死。
  自分が生き残ること、それは相手の死。

  相手に辛い思いをさせたくない。
  自分が辛い思いをしたくない。

 だが、どちらかが必ず死ななければいけない。



                         矛盾している運命



「いくわよゼロス。全力で」
「望むところです」

   なぜ こうなってしまったのだろう

  闘いの音が鳴り響いている。
  打ちたくもない、全てを壊すドラム。

   なぜ こうなってしまったのだろう

  傷ついていく、相手と自分。
  しかし、それ以上に傷ついているのは………。

   なぜ こうなってしまったのだろう

  心が軋む。悲鳴をあげる。
  だが、闘いを止めるわけにはいかなかった。

   なぜ こうなってしまったのだろう

  次第に小さくなっていくドラムの音。
  それは、愛する人の破滅の証。

   なぜ こうなってしまったのだろう

  こんなことをしてまで生き残りたかったわけじゃない
  この人を殺すなんて、死ぬより残酷なことで着ない。

   なぜ こうなってしまったのだろう

  止まらない運命。止められない、自分。
  どちらかが死ぬまで続けられる、残酷なゲーム。

   なぜ こうなってしまったのだろう

  心が悲鳴をあげる。
  でも、運命は止まらなかった。


  なぜ こうなってしまったのだろう

    したくもない、死のゲーム。

  なぜ こうなってしまったのだろう

どちらかが死ぬまで鳴り続ける、闘いのドラム。

  なぜ こうなってしまったのだろう

   気が遠くなるほどの、心の軋み。

  なぜ こうなってしまったのだろう

 愛する者を傷つける、自らのやるせなさ。

  なぜ こうなってしまったのだろう

 愛するもの同士を戦わせる、残酷すぎる運命。


  なぜ こうなってしまったのだろう



                           なぜ?



   どさり……
  闘いのドラムが、今鳴り止んだ。

  闘いに勝ったのは、どちらっだったのか…………。
  ただ勝者は、倒れた相手を呆然と見ていた。



              わからなかった なにも

              頭が 心が真っ白だった


「あ……ああ………」


 手に血がついてる。あの人を傷つけた証が。
 顔に血がついてる。あの人を傷付けた証が。
 髪に血がついてる。あの人を傷付けた証が。
 服に血がついてる。あの人を傷付けた証が。
 靴に血がついてる。あの人を傷付けた証が。
 地に血がついてる。あの人を傷付けた証が。


「ああ…あ………」


  大地に流れていく、貴方の鮮血。
   その色は、いつか見ていた貴方の瞳の色にそっくりで。


「あ…ああ…あ………」


 罪悪感じゃない、ましてや満足感などではない。
  それは、ただ限りなく無限な喪失感。


「ああ…あああ………」


悲しみ、嘆き、叫び、怒り、辛さ、やるせなさ、悔しさ…………
 体の中で渦巻いている、無限の負の感情。


                貴方を失うことほど 悲しいことなど無いのに


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」








     残酷すぎる運命
     耐え切れぬ、心




  砕け散る まるで 衝撃を与えられた 脆いガラスの欠片のように






『人間なんて、脆いものですよ』



          いつかそう言っていた自分 だけど 本当に脆いのは自分だった
                           砕け散った なにもかもが




 その日から、自分はいなくなった。









 ただ、愛する者の傍らで、笑っているだけだった。











                           失われた心−終



 暗い…。かなり……。
えっと、生き残った方は解りますよね?ゼロスくんです。
 本当はどっちでもOKにしたかったんですけど、書いた後で『あ、ゼロスって血流れないじゃん』ということに気付き、結局生き残ったのはゼロスということにしちゃいました。
 ごめん。ゼロス。

 感想お待ちしてます。


 それでは。
    エイス

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7481宿題と彼女エイス E-mail 8/11-09:20
記事番号7386へのコメント
こんにちは〜エイスです。
夏休み期間限定(?)小説です(というほどでもないけど)。
 しかしなんて月並みなタイトル……(内容もそれに比例して月並みだし)。

 ゼロリナです。短いです。読んでやって下さい。



宿題と彼女


『リナさん。好きです。今じゃなくていいですから、いつか返事を下さい……』


……………………………………………………………………………………………………


 夏休み真っ盛り、暑い陽射しの中、リナとゼロスは歩いていた。
「ぜぇ〜ろすぅ〜♪」
リナがぴとりとゼロスの背中にひっつく。
「なんですか?リナさん」
珍しく甘えてくるリナにゼロスがそう聞くと、実に素晴らしい笑顔で答えた。
「宿題やって」


……………………………………………………………………………………………………



「なんで僕が……」
ぶつぶつ言いながら、目の前にある宿題の山を、次々に片付けていく。
「うっさいわね。男のくせにぐじぐじ言うんじゃないわよ」
麦茶の入ったコップを、コトンとゼロスの前に置く。気遣いのつもりなのだろう。
 ゼロスはありがとうございます、というと、冷え切った麦茶を飲んだ。
「それにしても、本当早いわねえ。あんたに頼んで正解だったわ」
「それはどうも。でも、今度からは自分でしてくださいね」
ちなみに、去年の夏休みの宿題も、ゼロスがやっていた。その時もこう言っていたような気がするが………。
 ちなみにちなみに、その前も、そのまた前も、またまた前も、ずーっとゼロスが宿題を片付けていた。
「いいじゃない。あんたにやらせたほうが、早いんだもん」
リナは反省の色まったくなしである。
「そりゃあ、この程度の宿題なら数時間かかるかどうかもわかりませんけど、リナさんの宿題なんですから、リナさんがしなくちゃいけないんですよ。だいたい、リナさんだってそんなに変わらない時間で宿題終わらせられるでしょう?」
(う…ゼロスのお説教………)
リナは心底嫌そうな顔をした。
 すると、ゼロスがお説教をぴたりと止める。
「ったく、いいから。あたし買い物に行ってくるから、やっておいてよ。さぼったら承知しないからね」
リナは返事(言い訳)を聞かない、といった感じで、早々と出ていった。ゼロスは、軽く微笑み、また宿題を始める。


「おや……?」
30分ほど経った頃、やっと辿り着いた最後のページをしようと思ったら、紙切れが挟まれていた。
 ゼロスはそれを読むと、ぱっと明るい表情になって、買い物に行ったリナの後を追いかけた。

 その紙にはこう書いてあった。
『私も好きよ ゼロス』



 にゃ〜。短い上にわけわかんないよ。
甘々を目指したのになぁ?

 っていうかゼロス、最後のページやってないじゃん。この後二人で一緒にやったのかしら?

 表現力のかけらもない文章ですいません。
 感想お待ちしてます。

 それでは。
    エイス