◆−贖罪の時、について−なゆた(7/26-15:00)No.7282
 ┣読みました〜♪−白川 萌黄(7/27-11:38)No.7285
 ┃┗Re:読みました〜♪−なゆた(7/29-16:48)No.7292
 ┣Re:贖罪の時、について−makoto(7/27-18:17)No.7286
 ┃┗makotoさんへ−なゆた(7/29-16:54)No.7293
 ┣Re:贖罪の時、について−やまだ  まきこ(7/28-11:42)No.7288
 ┃┗お、お師匠・・・・・・−なゆた(7/29-16:59)No.7294
 ┣贖罪の時38−なゆた(7/29-17:06)No.7295
 ┃┣Re:贖罪の時38−makoto(7/29-23:44)No.7296
 ┃┃┗makotoさんへ−なゆた(8/2-15:27)NEWNo.7329
 ┃┣Re:贖罪の時38−やまだ  まきこ(7/30-21:15)No.7300
 ┃┃┗やまだ  まきこさんへ−なゆた(8/2-15:34)NEWNo.7330
 ┃┣Re:お久〜♪−絹糸(7/31-13:03)No.7305
 ┃┃┗終わりました?−なゆた(8/2-15:51)NEWNo.7332
 ┃┗贖罪の時39−なゆた(8/2-16:03)NEWNo.7334
 ┃ ┣びっくりしましたー!最終回かと思ったので…−やまだ  まきこ(8/2-20:38)NEWNo.7336
 ┃ ┣ウエディングアメリア、今回はそれに尽きますね−makoto(8/4-01:12)NEWNo.7346
 ┃ ┗望みが叶ったー!!−絹糸(8/4-16:18)NEWNo.7361
 ┗はじめまして、こんにちは−南戯(8/2-15:20)NEWNo.7328
  ┗Re:はじめまして、こんにちは−なゆた(8/2-15:57)NEWNo.7333


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7282贖罪の時、についてなゆた E-mail 7/26-15:00


すみません!!37を載せた瞬間に、ツリーが落ちちゃいました!!
 お手数ですが、37を読まれるかた、過去の記事にさかのぼってください。
 ごめんなさい。
 

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7285読みました〜♪白川 萌黄 7/27-11:38
記事番号7282へのコメント

昨日から過去の記事遡って、1話から読んできました。さすがに疲れたです。
でもすっごい面白かったです(^^)こんなに長く書けるだなんて、スゴイです。
ワタシも見習いたいです。
最終話楽しみにしてま〜す(^^)

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7292Re:読みました〜♪なゆた E-mail 7/29-16:48
記事番号7285へのコメント


>昨日から過去の記事遡って、1話から読んできました。さすがに疲れたです。
お疲れ様ですぅ.我ながら「何でこんなに長いもんを・・・・・」と思うようなものを、わざわざ読んでいただけるなんて.しかも、一話から。
とりあえず、作者別の方にも登録してありますんで、「ちっ、どこが最初かわからん!!」とか思われましたら、そちらをご覧下さいまし.

>でもすっごい面白かったです(^^)こんなに長く書けるだなんて、スゴイです。
>ワタシも見習いたいです。
 おもしろい、そう言っていただけるのが長く書ける秘訣だったと、私は思います.

>最終話楽しみにしてま〜す(^^)
 ありがとうございます.もうすぐ(本当か?!)終わると思いますので、楽しみになさってくださいまし.

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7286Re:贖罪の時、についてmakoto 7/27-18:17
記事番号7282へのコメント

いよいよ最終回になるんですねー
贖罪の時を1から読み返して見ました
このシリーズけっこう長かったんですねー
一気に読んだ後、ふと時計を見ると2時をまわっていたのはちょっと驚きましたけど(^^;;
では、次を楽しみに待っています

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7293makotoさんへなゆた E-mail 7/29-16:54
記事番号7286へのコメント


>いよいよ最終回になるんですねー
 そうなんですねー。足掛け2ヶ月が、やっと終わるんですねぇ.

>贖罪の時を1から読み返して見ました
 え!!あんな長いものを?!!

>このシリーズけっこう長かったんですねー
 そうなんですよ。自分で読み返してみても、うわっ、懐かしい、とか思ってます.

>一気に読んだ後、ふと時計を見ると2時をまわっていたのはちょっと驚きましたけど(^^;;
 そ、そんなにお時間をとらせてしまいましたか?!!確かに、途方もなく長いですから・・・・.

>では、次を楽しみに待っています
 はい、ありがとうございます!!

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7288Re:贖罪の時、についてやまだ まきこ E-mail 7/28-11:42
記事番号7282へのコメント

なゆたさんへ、もうすぐ最終回ですか…
時が経つのは、はやいですねぇ(お茶を飲みながら書いています)
ところでなゆた様という名前いやでした?なら普通に「さん」とよばさせて下さい
(最初は「なゆたお師匠」という名前までもちあがった…)

話は変わりますが、14巻「セレンティアの憎悪」読みましたか?
なんかスゴクかなしいです、しくしく…
なんかいやな終わりかたですが、なゆたさんの小説の方はハッピーエンドで終わりにしてくださいね♪
やまだ

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7294お、お師匠・・・・・・なゆた E-mail 7/29-16:59
記事番号7288へのコメント


>なゆたさんへ、もうすぐ最終回ですか…
>時が経つのは、はやいですねぇ(お茶を飲みながら書いています)
 そうですねぇ。(お茶菓子を探す)
 もう、二ヶ月も経つんですね−.

>ところでなゆた様という名前いやでした?なら普通に「さん」とよばさせて下さい
 いえ、イヤと言うか嬉し恥ずかし、と言うか.でも、やっぱり私もただの一スレイヤーズファンなので、普通に行きましょう!!

>(最初は「なゆたお師匠」という名前までもちあがった…)
 それこそ、こっぱずかしいですぅぅぅぅ!!でも、ちょっと嬉しい奴(笑)

>話は変わりますが、14巻「セレンティアの憎悪」読みましたか?
 読みました.
>なんかスゴクかなしいです、しくしく…
 そうなんです。唯一の神坂先生公認のカップルのはずが・・・・・・・・・。まさかあんな事になろうとは、ですね.哀しいです.

>なんかいやな終わりかたですが、なゆたさんの小説の方はハッピーエンドで終わりにしてくださいね♪
> やまだ
そうですね!
 こういう時こそ、底抜けに明るいものを!!

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7295贖罪の時38なゆた E-mail 7/29-17:06
記事番号7282へのコメント

 パーティ会場では、ゼルガディスが各国の代表者達と歓談をしていた。
 リナとガウリィ(主にリナ)の説明により、ゼルガディスが元の姿に戻った事を知っていたので、挨拶やらに駆けつけたのだ。
 それらの人々に、ゼルガディスは特に困惑する事もなく、ものの見事な立ち居振舞いで受け答えを返している。
リナは、それを遠巻きに見ながら呆けたような顔をしていた。
「まったく、来たくなかったなんて言っても、きっちり応答してるじゃないの」
「はぅ〜〜〜。すごいですねぇ、ゼルガディスさん」
「うぐうぐ(うんうん)」
 目にハートマークがついてそうなアメリアと、ものを口に運ぶのに一生懸命なガウリィの答えに,リナは大きく息をついた。
 今のこの二人に話しかけた自分が馬鹿だった。
 そう思った時、会場に流れる音楽が変わった。さっきまでは軽快なテンポだったのに、今度は緩やかなテンポになったのだ。
 周囲を見まわすと、次々とフロアの真中で様々な男女が踊り出す。
「ダンスタイムです」
 『なんだ?』という顔をしたリナとガウリィに、アメリアが囁いた。
 そして、それを皮切りの様にアメリアの周囲に貴公子達が集まってくる。これが最後のチャンスと思ったのかもしれない。集団で行けば、リナ・インバ−スも怖くないらしい。
 わらわらとアメリアに集う貴公子達に、アメリアの側からリナ達ははじき出された。
「だぁぁぁぁ!!!目の前の美少女天才魔道士が目に入らないなんて、あいつら目が悪いんじゃないの?!!!」
 乱れた髪を撫でつけながら、リナが憤然とした声を出した。
「ゼルガディスの方も、大変そうだぞ」
 ガウリィの声に、先程までゼルガディスがいたあたりに視線を走らせると、令嬢達の集団がゼルガディスを取り囲んでいた。その外には、やはりはじき出されたのだろう、代表者達が呆然とその人の輪を見つめていた。
 二つの人の輪の真中で、リナとガウリィはお互いに顔を見合わせた。
 知らず、微笑みが浮かぶ。
「俺達も、踊るか?」
「いいけど、あんたできるの?」
「見よう見真似で、なんとかなるだろ」
 リナはふふん、と笑うと、差し出された手をとって、フロアの真中へと歩いて行く。

 遠くの方で、音楽が聞こえる。ぴくん、と耳をそばだてて、フィリアが辺りをうかがった。
 そして、再びベッドに視線を戻した。そこには、遊びつかれて優しい睡魔に包まれた、彼女の弟のような存在がいる。
 ヴァルの肩を撫でながら、フィリアは微笑む。
 望む事は一つ。どうか、この子が幸せであります様に。
「おやおや、ヴァル君はお休みですか?それはちょうど良かった」
 唐突に背後から声が響いた。
 慌てて振りかえる、その先には。
 相変わらず、のほほんと笑ったお役所づとめの悲しい中間管理職が佇んでいた。
「き・・…(んぐ)!!!」
「あぁぁぁ!!ストップ!ストップ!しーーーーーー!!ヴァル君が起きますよ!」
 悲鳴の形に開かれた口を、ゼロスが慌てて押さえた。そして、二人でそっとヴァルの方をうかがう。
「ん。…・・うん」
 ヴァルは、小さく寝返りをうつと、再び規則正しい寝息をたてはじめた。それを確認して、ゼロスがほっと胸をなでおろす。
「んーーーーーー!!」
「ああ、すいません」
 不満げなフィリアのうめき声に、ゼロスは慌てて両手をはなした。ゼロスの手から解放されたフィリアは、大きく一息つくと、きっとゼロスを睨んだ。そして、ささやき声に似た怒声を放つ。
「一体何をしに来たんですか!!もう、ここには用は無いはずでしょう!!」
 それに対し、ゼロスもささやき声で返す。
「はい、一応お休みはもらえましたからね。遊びに来ただけです。でも、ゼルガディスさんの所にいったら、きっと僕怒られるだろうと思って」
「だからって、どうしてこっちに来るんですか?!!」
「いえね、とりあえず疲れた体を癒すには、おいしい感情でも食べたいなぁ、と思いまして。神に仕える方の負の感情って、おいしいんですよ?」
「で………。私の所に来た、と?」
「はい(はぁと)」
 ふるふると、俯いて小刻みに震えているフィリアに、にっこりとゼロスが答えた。いつもなら、ここでフィリアが切れるのだが、今日は違っていた。
 ふふ、と口元に笑顔を刻むと、どこからともなくメガホンを取り出した。それを見て、ゼロスの顔色がさっと変わる。
 フィリアが、メガホンを構え、大きく息を吸い込んだ。
「生きてるって何てすばらしいんでしょう!!守るべき者のいる、この充実感!!ああ、最後まで希望を捨てないでいて良かった!!」
「くぅぅぅぅ。そうきましたか…………」
 片方の耳をふさいだまま、ゼロスがうめいた。その様子を見て、フィリアが得意げに胸をそらす。
「私とて、伊達にアメリアさんと付き合っていた訳ではありません!!くらいなさい、ゼロス!!セイルーン秘伝!!生への賛歌!!」
「させません!!」
 ひゅっという軽い音とともに、ゼロスの杖が振られた。ぱこん,というまぬけな音を出して、メガホンがフィリアの手から飛ばされる。
「はっ!しまった」
 慌てて手を伸ばしたのだが、紙一重の差でゼロスに奪われる。メガホンを手にとって、ゼロスがふふん、と笑った。
 それが、フィリアの気に障る。
「くう!どこまでも憎たらしい!!それを返しなさい!!」
 ばさっと、スカートを翻すと、そこから刺付きメイスを取り出す。それを、びしっとゼロスに付きつけた。それを見て、ゼロスはやれやれと、首を振る。
「早くも力づくですか?ヴァル君の世話を焼く事で、少しは優しくなったと思ったのに、相変わらずがさつな方ですねぇ。ああ、そうか!それを誤魔化すために、いつも優雅にお茶を飲むふりをなさってたんですね?!すいません、今まで気がつかないで」
 ははは、と明るく笑うゼロスに、ぴき、となにかにひびが入る音が聞こえた気がした。
「きぃぃぃぃ!!もう許せません!!そこに直りなさい、ゼロス!!」
 ぶんぶんとメイスを振りまわしながらゼロスに躍りかかる。それを、ひょいひょいと交わしながらゼロスは何故かうれしそうに笑っていた。
「いやだなぁ。僕は正直に謝っているのに」
「何が謝ってるんですかぁぁぁぁ!!」
 結局、このやり取りはヴァルが起きて、泣き出すまで続けられたらしい………。

 令嬢達の集団の中心で、ゼルガディスは溜息をついた。
「だから嫌だと言ったんだ」
 誰にも聞き取れないほどの小声で呟く。
 脳裏に、朝から人を着せ替え人形にしてくれた二人の幼馴染の顔がよみがえる。
 朝、目がさめると同時に、「今日はパーティだから、一緒に来てほしい」と、泣きそうな顔ですがり付いてきた二人。今考えると、あれも演技だったのかもしれない。
 そう思うと、更に大きな溜息が漏れる。
 とにかく、ここを抜け出そうと、隙間を探すために目を走らせた。
 と、その視界に、もう一つの人の群れが映った。こちらとは違って、男ばかりの空間。わかりやす過ぎる空間だった。
 一瞬だけ考え込むと、周囲に群がる令嬢達に視線を向ける。
 そして、かすかに微笑んで見せた。
「数々のお誘い、大変嬉しいのですが、先約があるので失礼させていただきたいのです。すいませんが、道をあけてもらえますか?」
 この顔で、頼みごとをされて断れる女性がいるだろうか。少なくとも、この場にはいなかった。
 うっとりとした顔のまま、ゼルガディスのために道を明けていく。
 その道を歩きながら、ゼルガディスは令嬢達に一度だけ頭を下げた。
 幾人かの令嬢が倒れる気配を後ろに感じながら、ゼルガディスはもう一つの人の輪の中へと入っていった。

 貴公子の集団の中心で、アメリアは困惑していた。
 魔法でも使って蹴散らすのは簡単なのだが、いかんせん、相手は国家の有力者達の子弟。失礼な受け答えは、下手をすれば国家間の問題になりかねない。
 どうしようか、と考えあぐねていた時、集団の後ろの方で空気がざわりと動いた。そのざわめきが、徐々に近寄ってくる。
 周囲にいる人物達の背が高いため,アメリアにはその騒ぎの原因が視界に入らない。
 ざわめきがアメリアの目の前にまで近寄ってきた。
 最もアメリアの近くにいた若者が、外のほうを向いて誰かと口論をしている。いや、口論というよりも、一方的に文句を言っているようだった。
 若者の声が大きく響く。
「大体、アメリア姫と話がしたいのなら、当然順番を守るべきだと思うんだが。君にはそんな常識さえも存在しないのか?」
「どけ」
 冷たい、冷たすぎる声が、更なる若者の声を封じた。その声に宿る怒気に、貴公子達が一歩退く。
 貴公子達の、恐怖と敵意の眼差しで作られた道を平然と歩いて、アメリアに向かってくるのは、ゼルガディスだった。
「ゼルガディスさん・・・・・…」
 その姿を認めた瞬間、心臓がばくばくと高鳴り出す。今まで、これほどひどくなった事はなかったのに。
 真っ赤になって俯くアメリアの前で、ゼルガディスは優雅に一礼する。そして、その手を差し延べた。
「アメリア。俺と踊ってくれないか?」
 優しい声に、思考がまわり出す。それでも何とかその手をとって、掻き消えるような声を出す。
「わ、私で…、良かったら・・・・・…」
 満足そうにゼルガディスは微笑むと、アメリアをその人の輪から連れ出した。
 背後では、最後のチャンスを奪われた貴公子達が悔しそうに唸っていた。

「本当にどうしたんだアメリア」
「あ、いえ……」
 フロアの真中で、周囲の視線を集めまくりながら踊っているゼルガディスとアメリア。けれど、アメリアは俯いたままでゼルガディスの方を見ようとしない。
 心配で、声をかけるゼルガディスの言葉にも小さな反応しか返さない。
(戻った頃からだよな。なんだ。戻った事がいけなかったのか?!そうなのか!!いや、しかし、前はどっちでも気にしないと言われたよな?!!じゃあ、どうしてなんだ!………!)
 ぐるぐると、わけの分からない考えが頭に浮かぶ。そのため、注目のカップルは一言の言葉も交わす事なく、ただ踊っていた。
 その時、その横合いから声がかけられた。
「やっほー、ゼル。やるじゃん、アメリアを連れ出すなんてさ」
 冷やかしの成分を含んだ声に、ゼルガディスが反応する。
「そういうリナこそ、ガウリィと踊れるとは思わなかったぞ」
 ゼルガディスの言葉に,リナの顔が一気に紅潮する。ガウリィはよく分かっていないのか「いやぁ、それ程でも」とかいいながら、にこにこ笑っている。
 その反応に、リナは踊りながら溜息をついて見せる。そして、ふと気がついたように視線を巡らせた。
「そう言えば、ゼル。これからあんたどうするの?体は戻ったんだし、旅をする必要もなくなったんでしょう。やっぱり、国に帰るわけ?それとも……、セイルーンに留まる?」
 リナの言葉に、アメリアが体を固くした。
 そして気付く。自分が、いつも以上にゼルガディスに対してどうしてどぎまぎしていたのかを。
 この人の今後。
 それは、自分と共にあるのだろうか?
 それとも、やはり一時的な旅の仲間で終わってしまうのだろうか?
 それを知るのが、怖かった。
 アメリアの体が、急に緊張したのに気がついたゼルガディスが、小さく溜息をついた。
答える事に、一瞬躊躇する。けれど、いつかは話さなければいけない事だ。
「国は、レイスに譲ったのだから、帰るつもりはない」
 それを告げた時に、盛大に泣き出した二人の顔を思い出して、顔を歪める。それを振り切る様に小さく首を振って続ける。
「俺は、もう少し旅を続ける」
 そう告げた瞬間、アメリアがぴたりと止まった。ゼルガディスと繋いでいた手を、するりと離す。
「アメリア?」
 ゼルガディスが、戸惑うようにアメリアの顔を覗き込もうとする。それを振り切る様に、アメリアがくるりと体の向きを変えた。
「おい、アメリア?!」
「なんでもないです……。失礼します!!」
 そのまま、ゼルガディスをおいて、駆け出した。周囲の訝しげなの声を無視して、会場を飛び出して行く。
 フロアの中心に一人ゼルガディスが残された。ざわざわと、残された一人を見つめて囁きかわされる好奇心に満ちた声。
 それを聞き取りながら、リナがゼルガディスに声をかけた。
「どうすんのよ、ゼル?あの子、ショック受けてるわよ?」
 言外に云われている事を感じとって、ゼルガディスが大きく溜息をついた。
「分かってるさ」
 答えたゼルガディスの背中を、強くガウリィが打った。
「もう泣かすなよ」
「………できたらな」
 小さく答えながら、ゼルガディスはアメリアの後を追って、会場を走り出た。
 
 走って、走って、アメリアは自分の部屋の辿り着いた。
 勢いよく扉を閉めると、鍵をかける。そして、そのままベッドの上に座り込んだ。
 頭の中に、ゼルガディスの声がよみがえる。
『俺は、もう少し旅を続ける』
 何の躊躇いもなくいいきった、その言葉。
 頭の中がぐちゃぐちゃになる。本当なら、笑顔で尋ねるべきなのだ。
(何か、やりたい事が出来たんですか?)とか(いつまで続けるんですか?)とか。
 でも、できなかった。
 理由はわかる。いや、今分かった。
 心のどこかで期待していたのだ。これからは、この国に留まってくれる、と。自分の側にいてくれる、と。それが、勝手な自分の思い込みにしか過ぎなかった事を、思い知らされて、居たたまれなくなった。
 ゼルガディスの顔を正面から見る事が出来なかったのだ。
 両膝を抱え込んで、その上に額を乗せる。
「……馬鹿みたいだな、私」
 ぽつり、と呟きをこぼした瞬間、涙までも零れ落ちた。次から次に溢れる涙にドレスの裾を濡らしながら、ただアメリアは泣いていた。
 何が悲しいのかわからなくなるくらいまで、泣いて泣き疲れて、顔をうずめたまま大きく息をついた。
 ここで泣いていてもしょうがない。このままではゼルガディス達も心配するだろう。早く会場に戻って、笑顔で挨拶をして、ゼルガディスに言わなくてはならない。(気をつけてくださいね)とか、(遊びに来てくださいね)とか。

 心に決めて、がばっと、勢いよく顔を上げると小さく拳を握る。
「よし!!」
「何が、よし、なんだ?」
 突然、多少の苛立ちを含んだ声が、真横から聞こえた。
 ぎくっとして、横を恐る恐る見上げると、声同様、やや不機嫌な面持ちの、ゼルガディスが座っていた。
 ずざぁぁぁぁ!と飛び退ると、ベッドの端にしがみつく。
「ゼ、ゼゼゼゼゼルガディスさん?!!い、いいつからそこにぃぃぃ!!」
「泣いてる間中」
 さらり、と返ってきた答えにくらり、とする。
「鍵、閉めたはずですよ!!」
「外した」
 再び軽く返ってきた答えに、正真証明その場に倒れこんだ。いや、正確には、ベッドに突っ伏した。恥ずかしくて、顔があげられない。
 そんなアメリアの気持ちを知らないゼルガディスは、突っ伏してしまったアメリアを見て溜息をついた。
「そんなに、俺の顔なんか見たくない、か?」
 深い悲哀を含んだその声に、アメリアは慌てて顔を上げた。視線の先には、顔を俯けたゼルガディスがいる。
「わかった。そんなに嫌がられているとは気付かなくて、すまなかったな。今すぐ出て行くよ」
 そう言って、腰をあげる。
「ち、違います!!待ってください!!!」
 慌てて叫んで、腰をあげたゼルガディスに、猛然と抱きついた。
「ぐあ!!?」
 勢いあまって、そのまま二人してその場に倒れこむ。
「おいっ?!アメリア」
 腰にしがみついたアメリアを見下ろして、ゼルガディスが慌てる。が、そんな事には全く気付かず、アメリアがさらにきつく抱きついた。
「違うんです!ゼルガディスさんの顔を見るのが嫌なんじゃないんです。ただ…」
「ただ?」
「ゼルガディスさんが、またどこかに行ってしまうって思ったら、どんな顔すればいいのか、分からなくなって・・…。だから、違うんです。別に、嫌いだとか、顔も見たく無いとか、そんな事じゃないんです。それで…・・」
 大きな瞳に、零れ落ちそうなほど涙を浮かべたまま、いい募るアメリアにゼルガディスはふっと口元をほころばせた。
 二人して起き上がり、そのまま床に座り込む。
 ゼルガディスが、そっとアメリアの黒髪に手を伸ばした。それに触れるか触れないか、という所で手をとめる。
「俺のこの手は、どれぐらいの血に汚れているか分からない。お前に触れる事さえ、怖いんだ。何をやっても、それが許されるとは思っていない。何をやっても、所詮は自己満足だとそしられるかもしれない。けど、償いをしたいんだ」
「償い、ですか?」
 問い返すアメリアに、ふっと微笑んで見せる。
「レゾは、今は眠っている状態にある。けど、その膨大な知識は、俺が求めれば手に取る様に流れ込んでくる。それを使えば、何人かの人間は救えるだろう。それが、せめてもの俺とレゾの贖罪になると思ったんだ」
 それに、とゼルガディスは続ける。
「レゾに、もっと世界を見せてやりたい」
 淡々と続ける言葉が、ゼルガディスの思いの深さを物語っているような気がした。
 だから、アメリアはもう何も言えなかった。
 そっと、伸ばされていたゼルガディスの手に、自分の手を重ねると、それを自分の頬に当てた。
「私には、触れていてください。ゼルガディスさんの手は、私を安心させてくれます。私を救ってくれます」
 ふわりと微笑んだアメリアを、ゼルガディスが自分の胸に引き寄せた。
「ゼルガディスさん?!」
 少しもがくアメリアを、更にきつく抱きしめる。
「やっと、笑ったな」
 ゼルガディスの呟きに、アメリアが全身から力を抜いた。そして、軽くゼルガディスを抱き返す。
「はい。だから、旅に出るまでの間はここにいてくださいね」
 囁かれた言葉に、ゼルガディスは小さく頷き返した。
 幸せが、逃げ出さない様に、ただ相手のぬくもりだけを感じて・・・・・・…。
 そのまま、二人はしばらく動かなかった.

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ふう、やっと38ですね。
 もしかしたら、次回は最終回かもしれません.断言できない自分が悲しい.
 
 それにしても、今回はちょっとラブラブ.それぞれのカップリングに一つの割で入れてみました.でも、どう考えてもガウリナは少ない・・・・・.が、気にしないでください!!所詮私はゼルアメしか書けない奴なんです.

 次回は、どうしようか、などと考えつつ、今日の日はさようならです.
 何分バイトが金、土、日と入ってしまったので、月曜にお送りできるかは怪しいですが、頑張りたいと思いますので、のんびりとお待ち下さい.

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7296Re:贖罪の時38makoto 7/29-23:44
記事番号7295へのコメント

なんか順調に進んじゃってますねえ、それぞれあつあつカップルで目のやり場に困ってしまうほどです(ゼロフィリのとこもあつあつ・・・かな?(^^;;
まあ、スレイヤーズ14巻せっかく出たのに・・・死んでるし(なんとなくそんな予感はしてたけど・・・
せめてここだけでも明るい話題ってのもいいんじゃないかなーと思う今日この頃(うーん私も心が広くなったもんだ
と言う訳でもう頑張っちゃって下さい、応援しまくりますんで
それでは、またお会いましょう

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7329makotoさんへなゆた E-mail 8/2-15:27
記事番号7296へのコメント


>なんか順調に進んじゃってますねえ、それぞれあつあつカップルで目のやり場に困ってしまうほどです(ゼロフィリのとこもあつあつ・・・かな?(^^;;
 あつあつ・・・・・・・・・・、かもしれません.(-_-;)
 しかし、私にはゼロフィリはあれが精一杯です.

>まあ、スレイヤーズ14巻せっかく出たのに・・・死んでるし(なんとなくそんな予感はしてたけど・・・
 そうなんですよ.すごい哀しかったです.

>せめてここだけでも明るい話題ってのもいいんじゃないかなーと思う今日この頃(うーん私も心が広くなったもんだ
 広く深い心で見守ってください!私の話が不幸になるはずはありません!!

>と言う訳でもう頑張っちゃって下さい、応援しまくりますんで
 しまくられるなんて、もう光栄です!!頑張りますんで、これからもよろしくお願いいたします!!

>それでは、またお会いましょう
 はい!see you again!です。

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7300Re:贖罪の時38やまだ まきこ E-mail 7/30-21:15
記事番号7295へのコメント

うふふふ…ふとしれず笑いがこみあげる良きこの日。この笑いは「ゼルアメ」のせいかな!なゆたさんー終わってしまうんですか…しくしくしく
とーとつに気分の変わるヤツで、すいません!
最近は毎日集まっています。まぁ、歌うたってるだけだけど…あと毎日、本屋行って、すぺしゃる読んでます。本編しか持ってないので
こんな駄文読んで下さってありがとうございます!!なゆた様(はぁと)
あぁ、ついクセが…
やまだ

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7330やまだ まきこさんへなゆた E-mail 8/2-15:34
記事番号7300へのコメント

 感想ありがとうございます!!

>うふふふ…ふとしれず笑いがこみあげる良きこの日。この笑いは「ゼルアメ」のせいかな!
 せいですか?!!だったら嬉しいです!!もう、思う存分ほくそえんじゃって下さい!!

>なゆたさんー終わってしまうんですか…しくしくしく
 ああああ、泣かないでください!!頑張って、次のを書きますし・・・・・・.いつになるか分かりませんけど.

>最近は毎日集まっています。まぁ、歌うたってるだけだけど…
 いいですねぇ。私引っ越してから、それ系の話ってネット上だけのような・・・・・.はっ!!だからこんなに書くのが早いんだろうか!!(欲求不満気味で)

>あと毎日、本屋行って、すぺしゃる読んでます。本編しか持ってないので
 立ち読みは、楽しいです!!放っておくと、3時間ぐらいは立ってますねぇ、私.

>こんな駄文読んで下さってありがとうございます!!なゆた様(はぁと)
>あぁ、ついクセが…
> やまだ
 駄文だなんて、そのようなものはありません!!いただける感想は、全て私の宝物です!!だから、これに懲りずに感想下さいね
         なゆた

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7305Re:お久〜♪絹糸 7/31-13:03
記事番号7295へのコメント


 こんちは〜。お久しぶりですなゆたさん。や〜っと試験科目が全部終了しました〜。長かったなあ・・・。(ため息)
 それで久しぶりに覗いてみたら読まないうちに37は沈んでるし(読みました)38はできあがってるしでびっくりだよあたしゃあ。
 37の感想が書けなくて少々残念。とまあ、過去を悔やんでいてもしかたがないので、気を取り直して38の感想を書かせて頂きます。
 さて、今回はどんな詩を書こうかな?


>「俺達も、踊るか?」
>「いいけど、あんたできるの?」
>「見よう見真似で、なんとかなるだろ」
 おお!珍しい!ガウリィがリナを誘ってリナがそれに乗るなんて!天変地異の前触れか!?

> 結局、このやり取りはヴァルが起きて、泣き出すまで続けられたらしい………。
 最初のメガホンあたりで起きてもなんら不思議ではないのだが・・・。さすが竜族といったところですかね?

> そして、かすかに微笑んで見せた。
>「数々のお誘い、大変嬉しいのですが、先約があるので失礼させていただきたいのです。すいませんが、道をあけてもらえますか?」
 ゼル、君、ほんっとーに女性達の視線の意味に気づいてないの?(37参照)
 どう見ても場慣れしてるよ。それとも子供の頃からすでにもててたのかにゃ?

> 真っ赤になって俯くアメリアの前で、ゼルガディスは優雅に一礼する。そして、その手を差し延べた。
>「アメリア。俺と踊ってくれないか?」
 姿がもどってから急に積極的になったねゼル。それに対して↓
> 優しい声に、思考がまわり出す。それでも何とかその手をとって、掻き消えるような声を出す。
>「わ、私で…、良かったら・・・・・…」
 →アメリア戸惑いまくり♪全く立場が逆転してる(よきかなよきかな)

>「そう言えば、ゼル。これからあんたどうするの?体は戻ったんだし、旅をする必要もなくなったんでしょう。やっぱり、国に帰るわけ?それとも……、セイルーンに留まる?」
 そう!それが一番知りたいんですよ!どうすんの?ゼルガディス!

> そして気付く。自分が、いつも以上にゼルガディスに対してどうしてどぎまぎしていたのかを。
> この人の今後。
> それは、自分と共にあるのだろうか?
> それとも、やはり一時的な旅の仲間で終わってしまうのだろうか?
> それを知るのが、怖かった。
 そうだったのか。不安と期待で揺れていていつものように接することができなかったのか。
 う〜ん、考えが深いなゆたさんに敬礼。

>「俺は、もう少し旅を続ける」
 ぬあにいいいいいぃっ!!何でよ!?もう旅する理由ないじゃないかあっ!
> そう告げた瞬間、アメリアがぴたりと止まった。
 あ!
>「アメリア?」
> ゼルガディスが、戸惑うようにアメリアの顔を覗き込もうとする。それを振り切る様に、アメリアがくるりと体の向きを変えた。
 これはやばい。
>「おい、アメリア?!」
>「なんでもないです……。失礼します!!」
> そのまま、ゼルガディスをおいて、駆け出した。周囲の訝しげなの声を無視して、会場を飛び出して行く。
 あ〜あ、し〜らないよ、しらないよ。(歌ってる)

> 答えたゼルガディスの背中を、強くガウリィが打った。
>「もう泣かすなよ」
>「………できたらな」
 たぶん無理でしょう。ゼルガディスに泣かす気がなくてもアメリアは泣いてしまいますから。
 この部分の会話。下で詩に使ってます。


> 心のどこかで期待していたのだ。これからは、この国に留まってくれる、と。自分の側にいてくれる、と。それが、勝手な自分の思い込みにしか過ぎなかった事を、思い知らされて、居たたまれなくなった。
 アメリアが期待したのも無理もないことですよ。
 わたしだってそう考えてたんだし。(笑)
 まさかゼルがまた離れて行ってしまうとは、切ないですねアメリア姫。

> ぽつり、と呟きをこぼした瞬間、涙までも零れ落ちた。次から次に溢れる涙にドレスの裾を濡らしながら、ただアメリアは泣いていた。
> 何が悲しいのかわからなくなるくらいまで、泣いて泣き疲れて、顔をうずめたまま大きく息をついた。
 この場面ですでにゼルガディスが側にいると思うと何故か笑えます。

>「ゼ、ゼゼゼゼゼルガディスさん?!!い、いいつからそこにぃぃぃ!!」
>「泣いてる間中」
 相変わらず心臓に悪い登場をするお方ですね。

>「鍵、閉めたはずですよ!!」
>「外した」
 鍵開けは彼の特技♪
 でもそうすると正装にも関わらず鍵開けの道具を持っていたのだろうか?
 何するつもりだった?ゼルガディス。
 アン・ロック(開封)の魔法でも使ったのかな?どうなんでしょうか?なゆたさん。

>「ぐあ!!?」
> 勢いあまって、そのまま二人してその場に倒れこむ。
 よくよく押し倒すお姫様と押し倒される魔剣士殿ですな。

>「レゾは、今は眠っている状態にある。けど、その膨大な知識は、俺が求めれば手に取る様に流れ込んでくる。それを使えば、何人かの人間は救えるだろう。それが、せめてもの俺とレゾの贖罪になると思ったんだ」
 そっか、それでこの題名が『贖罪の時』なんですね。レゾのっていうのは誰かが書いてたけどゼルもだったのか。やっぱなゆたさんすごいです。拍手。

>「レゾに、もっと世界を見せてやりたい」
>「私には、触れていてください。ゼルガディスさんの手は、私を安心させてくれます。私を救ってくれます」
 う。
 だーーーーーーーーーーー(滝涙)
 この二人の台詞じ〜んときました。どちらも限りない優しさと温かさを持っていて感動です。

> ゼルガディスの呟きに、アメリアが全身から力を抜いた。そして、軽くゼルガディスを抱き返す。
>「旅に出るまでの間はここにいてくださいね」
 アメリア一緒に行かないんですか?
 ゼルと二人(プラスα)で贖罪の旅に出るってのもありだと思うんですけど。
 今回凄い目に会ったんだから王宮を離れて気張らしするってのもいいでしょう?
 ある意味、正義だと思うし。


> ふう、やっと38ですね。
 お疲れさまー♪麦茶をどうぞ。

> もしかしたら、次回は最終回かもしれません.
 ええ!う〜ん。残念・・・だけど早く読みたい気もするし・・・まだ続いて欲しい気もするし・・・う〜ん(汗)

> それにしても、今回はちょっとラブラブ.それぞれのカップリングに一つの割で入れてみました.でも、どう考えてもガウリナは少ない・・・・・.が、気にしないでください!!所詮私はゼルアメしか書けない奴なんです.
 ゼルアメ派のわたしにとっては問題なし!ゼルアメあればそれでよし!ですから。

> 次回は、どうしようか、などと考えつつ、今日の日はさようならです.何分バイトが金、土、日と入ってしまったので、月曜にお送りできるかは怪しいですが、頑張りたいと思いますので、のんびりとお待ち下さい.
 バイト大変ですね。・・・とか言いつつわたしもあります。
 そのうえもうすぐ旅に出るし。
 だあああ!わたしはいつになったら続きを書くんだああ!
 なゆたさんの続きはの〜んびり待たせていただきます。
 だから・・・、わたしのも・・・の〜〜〜〜〜〜んびり・・・待ってくらさいませ・・・・



 冷や汗かきつつ今回の詩!

 Z (promise -約束-)
 独りにして冷たくして
 悲しい思いをさせてきた
 もう泣かせないと誓いたいけど
 それはたぶん出来ないから
 かわりに誓おうこれからは
 泣かせた分だけ笑顔にさせる


 A (wish -願い-)
 いつでも自分を抑えていて 素直になることを拒んでいた
 でもこれからの枷はなく したいことをできるから
 あるがままになるあなた

 その願いをききますから
 わたしの我が儘を許して下さい
 今をあなたと共にいたい


 上のアメリアの詩は、「旅に出る間はここにいて下さい」という台詞から作ってみました。
 けど詩的には裏の意味を含ませてあります。
 それは、アメリアがゼルガディスと一緒に旅に出る!ということをほのめかしているのです!
 唯単にそうなってほしいからですが・・・。
 「今を」の部分は「二人が生きている時」と取ってくれれば通じる、かな・・?

 ところで、
 もうすぐ最終回ですか・・・。
 そういえばコメントで書かれてありましたが、本当にHPを制作中だったとか?!おおこりゃびっくり!
 それを読んでわたし、ちょっと欲が出てきてしまったんですが・・・いいのかな書いちゃって・・・。
 気にさわったら下の文を記憶から消去してくれて構いませんので。
 では、

 なゆたさんのHPができたらば、感想で書いた詩も載せてもらえないかな。なんて。(弱気)

 ・・・・・・・・やっぱりいいです・・・。すいません、出過ぎたお願いでした。

 では、今回はこれで、
 最後まで頑張って下さい! 絹糸でした!

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7332終わりました?なゆた E-mail 8/2-15:51
記事番号7305へのコメント


> こんちは〜。お久しぶりですなゆたさん。や〜っと試験科目が全部終了しました〜。長かったなあ・・・。(ため息)
 終わったんですか?!!それはおめでとうございます!!!!
 ここは盛大に打ち上げ花火落下傘付きでも上げましょう!!(ひゅ〜〜〜どん!!)

> それで久しぶりに覗いてみたら読まないうちに37は沈んでるし(読みました)38はできあがってるしでびっくりだよあたしゃあ。
 はっはっは!!ツリーが沈んだ瞬間、自分もびっくりしました。だって、それの原因が37だったんですから.もう、泣くしかない!!って感じでしたね.皆さんにはご迷惑をおかけしました。

> 37の感想が書けなくて少々残念。とまあ、過去を悔やんでいてもしかたがないので、気を取り直して38の感想を書かせて頂きます。
> さて、今回はどんな詩を書こうかな?
 わ〜い!詩だ!!

> ゼル、君、ほんっとーに女性達の視線の意味に気づいてないの?(37参照)
> どう見ても場慣れしてるよ。それとも子供の頃からすでにもててたのかにゃ?
 もててました!!(断言)で、どんな応答をすれば相手がどんな反応をするのかだけ学習しています.だから、その時の相手の心の反応は気付いていません.う〜ん、罪作りな男だ.


> そうだったのか。不安と期待で揺れていていつものように接することができなかったのか。
> う〜ん、考えが深いなゆたさんに敬礼。
 いやいや。戸惑うアメリアもなんかいいかなぁ、と思いまして.

>> 心のどこかで期待していたのだ。これからは、この国に留まってくれる、と。自分の側にいてくれる、と。それが、勝手な自分の思い込みにしか過ぎなかった事を、思い知らされて、居たたまれなくなった。
> アメリアが期待したのも無理もないことですよ。
> わたしだってそう考えてたんだし。(笑)
> まさかゼルがまた離れて行ってしまうとは、切ないですねアメリア姫。
 ふふ、ふふふふふふ。意味ありげに笑っといて、去る私・・・・・・・・.

> 鍵開けは彼の特技♪
> でもそうすると正装にも関わらず鍵開けの道具を持っていたのだろうか?
> 何するつもりだった?ゼルガディス。
> アン・ロック(開封)の魔法でも使ったのかな?どうなんでしょうか?なゆたさん。
 ただの扉なので、針金一本.器用な彼ならこれくらいできるでしょう!ちなみに針金の出所は・・・・・・・・側を通った侍女の方の髪留めをいただいております.

> よくよく押し倒すお姫様と押し倒される魔剣士殿ですな。
 どう考えても勢いが強いのは姫君のほうでしょうから(笑)

> そっか、それでこの題名が『贖罪の時』なんですね。レゾのっていうのは誰かが書いてたけどゼルもだったのか。やっぱなゆたさんすごいです。拍手。
 ぴんぽ〜ん!正解第二段!!レゾ&ゼルガディスが、贖罪のために何をやれば良いのかを見つけるものでした。何よりも、自分の行ってきたことに後悔をしているのは彼らだと思ったので・・・・・・.

> アメリア一緒に行かないんですか?
> ゼルと二人(プラスα)で贖罪の旅に出るってのもありだと思うんですけど。
> 今回凄い目に会ったんだから王宮を離れて気張らしするってのもいいでしょう?
> ある意味、正義だと思うし。
 プ、プラスαって・・・・・・。レゾさんおまけ?なんですけどね、確かに(ははは)さてさて、どうでしょううな・・・・・。

>> ふう、やっと38ですね。
> お疲れさまー♪麦茶をどうぞ。
 うぃっす!いただきやす。(ごくごく、ぷはー!)

>> もしかしたら、次回は最終回かもしれません.
> ええ!う〜ん。残念・・・だけど早く読みたい気もするし・・・まだ続いて欲しい気もするし・・・う〜ん(汗)
 ・・・・・・・・・・・またやったんです、私・・・・・・・・.

> そのうえもうすぐ旅に出るし。
 旅ですか!!いいですねぇ。ああ、でもそうすると感想の詩がもらえない!!きょ、今日中に終わらせられるかな?

> だあああ!わたしはいつになったら続きを書くんだああ!
> なゆたさんの続きはの〜んびり待たせていただきます。
> だから・・・、わたしのも・・・の〜〜〜〜〜〜んびり・・・待ってくらさいませ・・・・
 分かりました!の〜〜(∞)んびり、お待ちしております!

> Z (promise -約束-)
> 独りにして冷たくして
> 悲しい思いをさせてきた
> もう泣かせないと誓いたいけど
> それはたぶん出来ないから
> かわりに誓おうこれからは
> 泣かせた分だけ笑顔にさせる

 ・・・・・・・・・すいません!下の39で、この内容は変わると思います・・・・・.

> A (wish -願い-)
> いつでも自分を抑えていて 素直になることを拒んでいた
> でもこれからの枷はなく したいことをできるから
> あるがままになるあなた
>
> その願いをききますから
> わたしの我が儘を許して下さい
> 今をあなたと共にいたい
>
>
> 上のアメリアの詩は、「旅に出る間はここにいて下さい」という台詞から作ってみました。
> けど詩的には裏の意味を含ませてあります。
> それは、アメリアがゼルガディスと一緒に旅に出る!ということをほのめかしているのです!
> 唯単にそうなってほしいからですが・・・。
> 「今を」の部分は「二人が生きている時」と取ってくれれば通じる、かな・・?
 ばればれでしょうか・・・?お楽しみは下でどうぞ!!

> ところで、
> もうすぐ最終回ですか・・・。
> そういえばコメントで書かれてありましたが、本当にHPを制作中だったとか?!おおこりゃびっくり!
> それを読んでわたし、ちょっと欲が出てきてしまったんですが・・・いいのかな書いちゃって・・・。
> 気にさわったら下の文を記憶から消去してくれて構いませんので。
> では、
 はい?なんでしょうか。

> なゆたさんのHPができたらば、感想で書いた詩も載せてもらえないかな。なんて。(弱気)
 どうしてそこで弱気になるんですか(苦笑)でも、載せていいんですか?でしたら、喜んで載せさせていただきます!!

> では、今回はこれで、
> 最後まで頑張って下さい! 絹糸でした!
>
 はい!後少しで終わりますが、待っていてください!

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7334贖罪の時39なゆた E-mail 8/2-16:03
記事番号7295へのコメント

――――― 一週間後。
 セイルーンにあった王侯貴族達は、そのほとんどが旅だっていた。残っているのは数少ない。今日は、その残りわずかのうちの一つが旅立つ日だった。
 セイルーンの関所のある場所。ル・アース公国の馬車が止まっていた。
「気をつけて帰るんだぞ、レイス」
「うん。兄さんも、落ち着いたら遊びに来てよ」
「ああ。結婚式ぐらいには行くさ」
「まだ、するとは決まっていないわ、兄さん」
「そんな赤い顔で言われても説得力が無いぞ、ルーシャ」
『兄さん!!』
 二人して真っ赤な顔をして詰め寄る、兄弟のような二人に、ゼルガディスはふっと微笑む。
 そして、ちらりと馬車の方を盗み見た。中ではジャベルがふてくされているらしい。が、今までのような刺のある言動は見られなくなったそうだから、やっと落ち着いたのだろう。
 そして、再び二人に視線を戻した。
「とにかくだ。ル・アースのことは、頼んだぞ。お前らなら、なんとかなるとは思っているけどな」
 くしゃっと、二人の頭をなでる。途端に二人の顔が歪む。
「ほら、泣くなよ。未来の大公様ご夫婦」
 揶揄するような言葉に、二人は何とか涙をこらえる。そして、二人してゼルガディスに抱きついた。
「またね、兄さん」
「きっと会いに来るって、約束よ」
「………ああ」
 それが、最後の言葉。それを残して、二人は帰途についた。
 遠ざかる馬車を見つめてゼルガディスは一つ息をついた。
 これで、終わったのだ。長年にわたる呪縛が・・…。

 セイルーンの王宮に帰ると、いつも通りいろいろな視線が彼を出迎えた。いい加減慣れてきた視線の網を潜り抜けながら、彼らに用意された客室へと帰る。
 部屋では、リナ達が食後のお茶を飲んでいた。
「ゼルにぃ!」
「おう、お帰りゼルガディス」
 ヴァルが飛びつき、軽く片手を挙げてガウリィが笑った。それを見て、リナが振りかえる。
「そう言えばさぁ、ゼル。あれからアメリアと会わせてもらえなくなったのは、どうしてだと思う?」
 そう、最後のパ―ティの日からもう一週間も過ぎるというのに、あれからアメリアとはあっていない。いや、正確には会わせてもらえていない。何のかんのと言われ、面会を断られているのだ。フィリオネルに対しても同じだった。
「俺と会わせたくないんじゃないのか」
 確かにゼルガディスはル・アースの元大公で、レゾの子孫である事は証明されたが、今現在はただの一介の旅人にしか過ぎない。
 結局、彼らの望んでいる事は明白だった。このまま、去る事。それを望んでいるのが分かりすぎるだけに、腹が立つ。
「正直な人達ですね。ここの人達」
 呆れた様にフィリアが呟いた。
「どうも、それだけじゃないみたいですよ」
 唐突に、部屋に声が響いた。
 フィリアの尻尾が、ピコンと飛び出す。ゼルガディスがちらり、と周囲を見渡してすっと半眼を閉じた。
「どういう事だ、ゼロス」
 その声に呼応するかのように、部屋の空間を割いてゼロスが現れた。ふわふわと宙に浮いたまま、足を組む。
「どうも、アメリアさんの婚約者の件を諦め切れないみたいですね」
「なになに?!どういうこと?」
 今にも叫び出しそうなフィリアの口を押さえたリナが、ゼロスに視線を向けた。それを受けて、ゼロスが軽く肩をすくめて見せる。
「いえね。もう一つ残っている国があるでしょう?確か、ランドーグでしたか?そこの王子様が候補だそうですよ。どうも、あなた達がこの国を出たらアメリアさんに婚約を迫るおつもりのようですね」
「………それで、アメリアは」
 低い、低すぎるゼルガディスの声に、その場にいたもの全員が一歩下がった。
 ゼロスだけがのほほんとした顔で答える。
「え〜とですね。今は魔術がつかえない期間だそうで、部屋で近衛を相手に暴れてます」
 その言葉に、リナとフィリアの顔に朱がのぼる。ゼルガディスはぽりぽりと頭を掻くと、にっと口元を歪めた。
「いいだろう。お望み通りこの国を出てやろう。いいな」
 ゼルガディスの言葉に、その奥の真意を感じとって全員が頷いた。
 そして、セイルーンに対し、その日の内に出立する旨を告げた。

 ゼルガディス達が出発する事を聞いても、初めは信じられなかった。しかし、軟禁状態の部屋の窓から、遠ざかる仲間達の背中を見た時、それが現実である事を初めて知った。
 絶望が心を染めて行く。彼らは自由にどこへでも行ける。しかし、自分は全ての事に制限がつけられる。その事を思い知らされた様で、苦いものが胸の奥に広がった。
 それから三日。
 アメリアは、毎日をぼんやりと過ごしていた。そんな時、昔から彼女の側に仕える侍女がにこにこしながら部屋に入ってきた。
「本日はおめでとうございます、アメリア様」
「は?」
「ほらほら、いつまでもそのような格好ではなりません。早くお着替えくださいませ」
「へ?」
 何の事か全く分からないまま、アメリアは衣装部屋へと連れて行かれた。色とりどりの衣装が吊るされた部屋の中央に、ひときわ目立つ純白の衣装があった。
 白いレースで縁取りを施され、小さなカスミ草で飾られているそれは、女性が一生に一度は、と憧れる・・・・・…
「ウェディング・ドレス・・・・・…」
 呆然と呟いたアメリアに、侍女がにこにこと答える。
「そうですよ。ささ、早く着替えてくださいませ。未来の花婿様がお待ちです」
「は?花婿って、何の事です?」
「何をおっしゃってるんですか。ランドーグ王子の事ですよ。二日前にフィリオネル様もお認めになられた方ですよ?今日は、国民の方達の前で、その発表を行うんです」
「………父さんが、認めた?」
 ぐらぐらと、頭の中が揺れた。父が認めた。自分には、何の相談もなく。なによりも、その事がショックだった。
 思考がまとまらない。手も足も、自分のものでは無いような感覚。それゆえに、アメリアは侍女達に為されるがまま、純白の衣装に身を包み、知らぬ間に王宮のテラスにまで連れて行かれていた。

 ふ、と気がついた時、隣にはパーティの時にちらちらと見かけた青年が立っていた。瞳の奥に野心を秘めた光をもつ、気の強そうな青年。それが、自分の手をとって、その甲に口付ける。
 嫌悪が背中を付きぬけた。慌ててその手を引っ込める。青年が、一瞬憮然とした表情を見せたが、すぐににこやかな顔を取り戻し、アメリアの腕を強引に引いてテラスの先へと歩を進めた。
 見下ろす先には、セイルーンの群集が口々にアメリアの婚約を祝福していた。
 困惑して、周囲を見渡すと、フィリオネルと目があった。
「父さん!これは一体、どういう事…・・」
 アメリアが言い切らない内に、フィリオネルがつかつかと近づき、力いっぱいアメリアを抱きしめた。耳元で、フィリオネルが囁く。
「わしは何も言わん。全てはお前の望む通りにするのじゃ。いいな?」
「え?あ………。はい」
 反ぱくする事を許さない、力強い口調で言いきられ、アメリアは頷く事しかできなかった。

 すっと、フィリオネルがアメリアから離れた時、どこからかファンファーレが聞こえてきた。その出所を確認する間もなく、今度は白い鳩が解き放たれる。
 重臣の一人が、すっと一歩前に出た。マイクを構えて、高らかに宣言する。
「お待たせした。これからあなた達に、アメリア姫の婚約者となられたランドーグの第一王子を紹介したいと思い…」
「バースト・ロンドぉぉぉぉ!!」
 どど!ぱぱぱぱぱぁぁぁぁん!!!
 どこかうきうきした声と共に、テラスの側でいくつもの火球が炸裂した。大した威力は無いが、その火球を受けて、喋り出そうとした重臣がちょっと痙攣している。
 青年が慌てた声を出す。
「な、何事だ!!衛兵!」
「その婚約発表!ちょっと待ったぁぁぁぁ!!」
 上空から、叫び声と同時に何かが降ってきた。
「ガウリィさん!!」
 抜き放った薄紫の剣を一閃して、ガウリィが「よぉ!」と笑った。その横に、リナがふわりと降り立ち、片目を瞑る。最後にゼルガディスが、ゆっくりとアメリアの正面に舞い降りた。
 誰も、何もできなかった。
 セイルーンの国民達でさえ、固唾を飲んでテラスを見守っている。
 リナがゼルガディスのわき腹を小突いた.
「ほら!早く言いなさいよ!」
「分かってる!」
 柄にもなく真っ赤になったゼルガディスが、こほんと一つ咳払いをした。
 しばしの逡巡.
 そして、呆然としているアメリアに、ゼルガディスは片手を差し延べる。
「アメリア。俺と来るか?」
 ややぶっきらぼうな問いかけに、アメリアは顔を輝かせた
「はい!!」
 なんの躊躇いもなく答えると、ゼルガディスの胸に飛び込んだ。それをしっかりと抱きとめながら、フィリオネルと視線を交わす。
 フィリオネルは一つ頷くと、転がっていたマイクを拾い上げた。
「我が娘は、これから旅に出る!以上だ!!」
 簡潔この上ない。だが、セイルーンの民にはそれでも通じるらしい。
 歓声が、澄んだ青空を突き抜ける。

「ふざけるな!!!」
 歓声の合間を縫って、ランドーグ王子が叫んだ。
「そんな事が認められると思うのか!!この事は、すでに両国間で認められた事なんだぞ?!!」
 自分の思う通りに物事が運ばないのを、極端にいやがるらしい青年の言葉は、リナ達には何の効果も無かった。
 リナは、さらりと栗色の髪を払うと、挑発的に笑って見せた。
「認められなかったら、どうだって言うの?そんな事より、あたしにとってはアメリアの方が大切なのよ!」
 ガウリィが頷いた。
「そうだ!あんなアメリアは、もう見たくないしな」
 ゼルガディスが、すっと半眼で辺りを見渡す。
「それとも、俺達を敵にまわすか?」
 冗談など欠片も含んでいないゼルガディスの言葉に、セイルーンの兵士達が下がった。彼らは目撃していた。数々の彼らの実力を示す戦いを。
 しかし、ランドーグの者は知らなかった。ランドーグ王子が、無謀にも叫ぶ。
「はん!!お前達の実力など、どうせ噂が誇張されたのだろう!!かかれ!!」
 ランドーグ王子の声を合図に、恐らくは王子の私設兵団であろう者達が襲いかかってくる。
 ふん、と笑ってアメリアを片手に抱いたままゼルガディスが一歩前に出た。
「ボム・ディ・ウィン!!」
 力ある言葉と同時に、突風が兵士をなぎ倒す。そこを狙い済まして、リナが呪文を解き放つ。
「ヴァン・レイル!!」
 氷の蔦が倒れた兵士達を絡めとっていく。床に張り付けにされた兵士達を憎々しげに見つめて、ランドーグ王子が剣を抜き放った。
「おのれ!!」
「おっと!」
 横なぎに払われた剣を、ガウリィが受け止める。いや、受けた瞬間に、王子の剣が「斬妖剣」によって半ばから切られてしまう。
「なに…・・!!」
「悪い事をしたら、お仕置きが必要だぜ!!」
 ひゅん、という軽い音をだし、ガウリィが剣を振った。
 ガウリィが、剣を鞘にしまった一瞬の後、何の変化も起こらなかった。
「なんだ?剣の名手と聞いていたから、どんな腕前かと思ったら……」
 馬鹿にしたように王子が口を開いた瞬間、はらり、と彼の衣服がはだけた。それを皮切りの様に、衣服がばらばらと崩れ落ちる。
「…・・う、うわぁぁぁぁぁ!!!」
 下着一枚の姿になった王子が、羞恥に顔を染めながら崩れ落ちた衣服を掻き合わせて体を覆った。

 それまで黙っていたアメリアが、その時初めて動いた。ランドーグ王子の正面に立つと、深深と頭を下げる。
「申し訳ありません。でも、あなたとは婚約できません。ごめんなさい」
 呆然とした王子の顔を、すこし申し訳なさそうに見てから、アメリアはフィリオネルの方にむいた。
「父さん。ゼルガディスさん達と打ち合わせしてましたね?!」
「う!まぁ、そのう。一昨日に、リナ殿達から連絡があったからのゥ……」
 非難のこもった娘の視線に、フィリオネルがそっぽを向きながら答えた。そのフィリオネルに、アメリアは思いっきり抱きついた。
「ありがとう、父さん……。いってきます」
「ああ、気をつけていくんじゃぞ。手紙くらいは、書いてのう」
「はい」
 もう一度、力いっぱい父の体を抱きしめて、アメリアはフィリオネルから離れた。
 そして、差し出されたゼルガディスの手を取る。
 
 アメリアの手を取りながらゼルガディスが、つっと、ランドーグの外交官に視線を走らせた。剣呑な光が、その瞳に宿る。
「そうそう、外交官殿。今回の事で、ル・アース及びセイルーンに対し、何か圧力をかけるようなら、その時は……」
「ル・アース公国の外交能力がものを言うんですかな?」
 頬を引きつらせながらも虚勢を張る外交官に、ゼルガディスは頭を振った。
「いいや。………白のゼルガディスが本気で貴様らの国を潰しにかかる。覚えておけ」
 声に宿る迫力は、決して脅しだけではなかった。正真証明、顔面蒼白になった外交官が、何とか頷く。
 そして次に、やや青ざめた顔で彼らを見ているセイルーンの重臣たちに視線を向けた.びくり、と身を強張らせる彼らを冷たく見つめ、ゼルガディスが囁くような声で告げる.
「国家の安泰…….それを求めるだけが側近の役割ではないはずだ.今回のことで、アメリアが精神的にどんな状態だったか、知っているのか?しばらく頭を冷やすんだな。それまで、アメリアはここへは帰さん」
 しっかりと、アメリアへの干渉に対する非難をこめて睨みつける.重臣達が、はっとしたように頭をたれた.
 それを確認して、リナがガウリィをつかんだ。ゼルガディスがウェディング・ドレス姿のアメリアを抱える。
『レイ・ウィング!』
 力ある言葉が、彼らを空へと押し上げた。
「誰か!追跡を!!」
 重臣達の声を、フィリオネルが遮った。
「無駄じゃ。上を見てみぃ」
 その言葉に、全員が上空を振り仰いだ。
 薄く雲がかかった青空に、ぽつんと金色の輝きが見える。脳裏に蘇るのは、実は竜族だという金髪の美女。
「誰が竜族の翼に追いつける?」
 諭すようなフィリオネルの言葉に、重臣達は肩の力を抜いた。
 本当に、ここの王族は常識破れこの上ない。
 そう、全員が思っていても、誰も責められないだろう。
 そんな思いに気付いているのかいないのか、フィリオネルはまぶしそうに目をすがめて上空を見ると、うれしそうに呟いた。
「おうおう、今日もいい天気じゃのう。旅立ちにはもってこいじゃ」

「さんきゅう、フィリア!!助かったわ」
「ほんとに、フィリアって便利だよなぁ」
「フィリア、便利!便利!!」
「やめてください!その言い方!!まるで私がただの乗り物みたいじゃないですか!!」
『えーーーーーー、誉めてるのにィ』
「…………どこがですか (-_- #)」
 リナ達の会話を聞きながら、ゼルガディスは自分の膝の上に視線を落とした。そこには、すっかり安心して気が抜けたのか、クークーと寝息を立てているアメリアがいる。
 その寝顔を見ながら、知らず口元が緩んだ。
 それを見つけて、リナが嬉しそうに近寄ってくる。
「それにしてもさ、ゼル。そうしてると、花嫁かっさらて来たようにしか見えないわよ」
「……・・・・・…」
 冷やかしを多分に含んだ言葉に、ゼルガディスは無言で答えた。ここで何かを言っても、どうせ揚げ足を取られるに決まっている。だから、口を開かない事にした。しかし、その頬が赤く染まるのだけは止められない。
「赤くなっちゃって、ゼルちゃんてば!あんな公衆の面前でひっさらっといて、なに照れてんのよ!!」
 容赦ないリナの平手を背中に受けながら、ゼルガディスはマントでアメリアの顔にかかる太陽を遮った。
 ガウリィがその様子を優しい瞳で見守りつつ、ふと疑問を口にする。
「これからどうするんだ?ゼルガディス。どこかいく当てでもあるのか?それとも、しばらくまた四人で旅をするか?」
 もっともな質問に、リナもフィリアもゼルガディスの顔をうかがった。
「一緒に、か。それもいいが、お前達と一緒にいるとゆっくり各地を回る、なんて出来そうも無いからな。また今度にしよう」
 ゼルガディスは『ふむ』と、しばらく考え込むと、ある地名をフィリアに告げた。そこで、降ろして欲しい、と。
 リナの顔に衝撃が走る。
 それを見て取って、ゼルガディスが遠くを見つめた。
「あそこは、一度終わった場所で、そして始まった場所なんだ.なら、今度もそこから始めてみたい」
 呟くゼルガディスは、もう狂おしいほどの過去にさいなまれる者ではなかった。
 ただ、過去を受け止めつつも未来を見据える、一人の青年だった。
 膝に抱えるアメリアの頬をそっとなでる。
 これから、何があろうとも、生きていける気がしていた。

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 さらってしまいました・・・・・・・・・.
 すいません!!やはり二人は一緒でないと、だめなんですよぉぉぉ!!
 このまま二人でどこ行く風・・・・・・・・.

 旅立ってもらいましょう.
 ちなみに、今回はまだ最終回ではありません・・・・・.予告破りは最後まで健在のようですゥ(涙)

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7336びっくりしましたー!最終回かと思ったので…やまだ まきこ E-mail 8/2-20:38
記事番号7334へのコメント

あーなゆたさん、ビックリしましたよー!最終回かとおもいましたー(良かった…まだ終わりじゃなくて…)
今日、「スレイヤーズふぁいと」というカードゲームをみんなで買いましたー!
(知ってます?)
お気入りのカードは、「ゼロス」と「ゼルガディス」です。(自分の趣味大暴走!!ですね)でもゼロスは、「魔王の命令」がないと攻撃できないのであまり役にたたないです(しくしく…)
トーナメント戦で惜しくも敗退でした。くそうっ
と関係ない話ばかりでしたが、次は本題
贖罪の時39読みましたー!いいですね!フィリさんいい人ですね
アメリア幸せですね!ゼルも幸せですね!
このまま幸せにしてやって下さいね
これが、私からの一番の願いです。 まきこより
予告破り最高!!!

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7346ウエディングアメリア、今回はそれに尽きますねmakoto 8/4-01:12
記事番号7334へのコメント

うーむ、ウエディングドレスのアメリアをかっさらってくとはゼルもやりますね^^
正義マニアのアメリアもこういう展開は好きそうですし、いいんじゃないでしょうか(しおらしいアメリアも嫌いじゃないけど、リナ達と一緒に冒険するアメリアも
アメリアだってことなのかな?なんか難しいことを言ってしまった^^;
レイスとルーシャ、幸せになるといいですね
しかし、セイルーンってすごいですねー、なにがすごいって、すべてが^^;;
もとはといえば、アメリアのじーちゃん(一応国王)が孫を見たいとダダこねたのがすべての元凶(だよね?)そんなワガママがあっさり通ったのも死にかけとはいえ、国王の権限がものを言ったからだろう(重臣達の企みも当然あるだろうが
それを最初は躊躇したもののあっさりとアメリアを自由にしてしまうフィルさんと
国民の皆様方・・・(ま、フィルさんの人柄がしたわれているからだろう
ついでに、やっぱスレイヤーズらしく小悪党出てきましたねー(ランドーグ王子と
私設兵団の方々^^;;
あと、本当の意味で元凶かもしれない重臣達、彼らもセイルーンのためを思ったのかもしれませんが、誤算としては、アメリアの気持ちやリナ達の存在、フィルさんなどが思い当たりますが、なにより思うのが、このセイルーンはまともな国家ではなかったこと^^;;(いろんな意味で)
・・・本気で奥が深いですね、セイルーンって・・・・・・・・・・・・・
これでゼルみたいな頭脳派とリナ達いたら、・・・・・怖すぎです
・・・日本の政府もこれくらいしてくれたらなあ^^;;
話は変わりますが、次はいよいよ40ですねー
量と執筆ペースは本家スレイヤーズ超えてますね、・・・神坂さんもそのくらい出来ればなあ・・・・(ファンの密かな悩み^^;;
まあ、遅いから長持ちするってこともあるかもしれないし(スレイヤーズ、次の巻で第2部終わりらしいし、3部出るかよくわからないですしね、出て欲しいけど
・・・ちょっと話が長くなってしまいました、すいません
それでは、贖罪の時40を楽しみに待っています

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7361望みが叶ったー!!絹糸 8/4-16:18
記事番号7334へのコメント


 いーやっほう!ただいま!旅から生還した絹糸です!
 なゆたさん、ありがとおおお!
 なーんてお礼を絶叫したところで何のことかわかるはずもないですよね。わたしがお礼を述べた理由は2つ!

1!アメリアをウェディング姿にしてゼルと旅立たせてくれたこと!(別にわたしのためじゃないけど)
2!わたしの詩を載せてくれると書いてくれたこと!

 ありがとおおおございますううううう!!!いやっほーい!

 上機嫌のまま感想へGO!



>「ゼルにぃ!」
> ヴァルが飛びついてきた。
 まさに親の帰りを喜ぶ子供。ゼルに子供が出来たらやっぱりこうなるんだろうなあ。
 ゼルの未来像が見えます。(ほわほわ〜ん)

>「どうも、アメリアさんの婚約者の件を諦め切れないみたいですね」
>「いえね。もう一つ残っている国があるでしょう?確か、ランドーグでしたか?そこの王子様が候補だそうですよ。どうも、あなた達がこの国を出たらアメリアさんに婚約を迫るおつもりのようですね」
 ・・・まだいたか。なんてしつこい。アメリアのあの姿を見た(はずですよね?)のになんでそんな話が・・・。

>「え〜とですね。今は魔術がつかえない期間だそうで、部屋で近衛を相手に暴れてます」
 近衛さんに合掌。

>「いいだろう。お望み通りこの国を出てやろう。いいな」
> ゼルガディスの言葉に、その奥の真意を感じとって全員が頷いた。
 え?なにすんの?なにすんの?(わくわく)

>「そうですよ。ささ、早く着替えてくださいませ。未来の花婿様がお待ちです」
>「は?花婿って、何の事です?」
 ゼルでしょ?え!違うの?!

> ふ、と気がついた時、隣にはパーティの時にちらちらと見かけた青年が立っていた。瞳の奥に野心を秘めた光をもつ、気の強そうな青年。それが、自分の手をとって、その甲に口付ける。
 ランドーグの王子とゼルがすり替わって・・・・という展開は無理だったか・・・。

> 嫌悪が背中を付きぬけた。慌ててその手を引っ込める。
 アメリアにしては珍しい反応ですな。たとえ嫌な相手でもそれ相応に振る舞って他のに。
 やっぱりゼル&身の危険が絡んでるとそんな演技もできないか。(じゃあレイスの時はどうなるのら?)

>今度は白い鳩が解き放たれる。
 たーかーいそーらを鳥にーなってとびーたいー♪
 TRYのオープニングが頭をよぎりました。

>「わしは何も言わん。全てはお前の望む通りにするのじゃ。いいな?」
>「え?あ………。はい」
 ↓
>「バースト・ロンドぉぉぉぉ!!」
> どど!ぱぱぱぱぱぁぁぁぁん!!!
> どこかうきうきした声と共に、テラスの側でいくつもの火球が炸裂した。大した威力は無いが、その火球を受けて、喋り出そうとした重臣がちょっと痙攣している。
 わたしは本気でアメリアが呪文唱えたのかと思いました。
 だって、「望むとおりにしろ」って言うから・・・やるかなあって。

> そして、呆然としているアメリアに、ゼルガディスは片手を差し延べる。
>「アメリア。俺と来るか?」
> ややぶっきらぼうな問いかけに、アメリアは顔を輝かせた
>「はい!!」
> なんの躊躇いもなく答えると、ゼルガディスの胸に飛び込んだ。
 わたしの中ではここでファンファーレが鳴り、鳥が飛び立ちました。
 おめでとー!!!

>「我が娘は、これから旅に出る!以上だ!!」
> 歓声が、澄んだ青空を突き抜ける。
 国民の歓声ですか?それじゃあ国民はこの展開の方がよかったのか!良い国だ!

> ゼルガディスが、すっと半眼で辺りを見渡す。
>「それとも、俺達を敵にまわすか?」
 異界の魔王も倒したこのメンバーに勝てる人間がいたら見てみたい。


>「さんきゅう、フィリア!!助かったわ」
 リナ。
>「ほんとに、フィリアって便利だよなぁ」
 ガウリィ。
>「フィリア、便利!便利!!」
 これは・・・誰ですか?
 ヴァル・・はいないと思ったけど。リナかな?

>「それにしてもさ、ゼル。そうしてると、花嫁かっさらて来たようにしか見えないわよ」
 というかそのものずばり。

>「あそこは、一度終わった場所で、そして始まった場所なんだ.なら、今度もそこから始めてみたい」
 どこですかー?とりあえず思い当たるところはあるんですけど名前がわからなーい!

> 呟くゼルガディスは、もう狂おしいほどの過去にさいなまれる者ではなかった。
> ただ、過去を受け止めつつも未来を見据える、一人の青年だった。
 強くなったねゼル。これもリナ達の特にアメリアのおかげですな。

> 膝に抱えるアメリアの頬をそっとなでる。
> これから、何があろうとも、生きていける気がしていた。
 絶対に手放さないでくださいよ!


> さらってしまいました・・・・・・・・・.
> すいません!!やはり二人は一緒でないと、だめなんですよぉぉぉ!!
 いいんです!二人はこれからはずっと一緒になってくれて!

> このまま二人でどこ行く風・・・・・・・・.
 風(Z&A)のみぞ知る。

> ちなみに、今回はまだ最終回ではありません・・・・・.予告破りは最後まで健在のようですゥ(涙)
 そんななゆたさんに一言贈呈。
 「約束は破るためにある!」
 誰の言葉かは知りません。


 Z&A
 籠に閉じこめられた風
 いくら上から押さえつけても
 その勢いは弱まらない
 自分で籠をぶち破り
 自分で空を駆けていく

 風の吹く場所は決められない
 それを決められるのは風だけだ


 実は最後の二行は某ゲームの台詞。気に入ったので使ってみました。

 申し訳ないのですが今回はこれ一つです。これから出かけなきゃいけないので。
 この次ではもう少し詩を多くしたいのですがどうなることやら。
 次このHPに来る時はおそらく『笑顔の君』の続きを載せてるはず!それではこれで!

 絹糸でした!

 最終回楽しみにして舞う!

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7328はじめまして、こんにちは南戯 E-mail URL8/2-15:20
記事番号7282へのコメント

 こんにちは、初めまして。なぎ、ともうします。
 贖罪の時はずっと読ませていただいていたのですが……久々に来たら三十いくつとな!? もうどこまで読んだかも忘れてしまいました(涙) あとでまとめて読むことにいたします。
 なにはともあれ、続きを楽しみにしておりました♪ ラストがどうなるのか、胸キュンどきわくでお待ちしております★
 それでは。乱筆乱文、失礼いたしました。

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7333Re:はじめまして、こんにちはなゆた E-mail 8/2-15:57
記事番号7328へのコメント


>
> こんにちは、初めまして。なぎ、ともうします。
 こんにちわ、です。なゆたと申します.

> 贖罪の時はずっと読ませていただいていたのですが……久々に来たら三十いくつとな!?
 わははははは(からからに乾いてる)。調子に乗ってほぼ毎日のように書いてましたんで・・・・・.しかも、長い!!いつも読んでいただいて光栄です!この長さの為に、日々恐縮しているなゆたです.

> もうどこまで読んだかも忘れてしまいました(涙) あとでまとめて読むことにいたします。
 が、がんばってください。著者別のほうに登録してますんで、そちらを見れば少しは早いかな?と思います.

> なにはともあれ、続きを楽しみにしておりました♪ ラストがどうなるのか、胸キュンどきわくでお待ちしております★
 ありがとうございます!!本当に、間違いなく、・・・・・きっと、近日中に完結すると思います!

 このような、取り留めのない話を読んでいただいて光栄です!
 ご感想、ありがとうございました!
                   なゆた