◆−Revolution−中田 珂南(7/8-22:26)No.7198
 ┗すごくよかったです!!−昂也(7/9-02:57)No.7200
  ┗ありがとうございます。−中田 珂南(7/12-18:48)No.7215


トップに戻る
7198Revolution中田 珂南 E-mail 7/8-22:26


「Revolution」

「・・・何を笑っておられますか、我が王よ?」
深紅の闇を従えし魔王が、目の前に在る唯一の主−全ての存在の母でもある−の
意味深な笑みを見、訝しげな視線を向ける。
・・・が、金色の王はただただ笑いつづけるのみで、そんな部下の視線にも、
一向に気に留める様子は無い。

−金色と深紅の二つの闇は。
 先ほどから、何度もこんなことを繰り返している。

やがて、こんな状態に辟易した紅い魔王が、退場しようとしたその時。

「・・・私は、そろそろ変化が欲しいのだよ。」

美しき金色の王が、悪戯っぽく笑って見せる。
−そんな主の真意が判らずに、紅い魔王はさらに首を傾げる。
が、金色の王はずっと合わせていた両手を開くと、さらに意味深な笑みを浮かべた。

「見るがいい。この輝きを。
 今、作り出されたばかりの、・・・この、小さな魂を。」

総てのものの母の手に在るは、小さな、本当に小さな二つの魂。

「これは、人間・・・ですか。」
「そう。命短く、己の儚さに気づく知恵も持ち合わせぬ、小さく愚かなものたち。
 ・・・しかし、こういう者達こそが、私の望む“変化”をもたらすのだよ。」

言葉を進める度に、主の真意はますます判らなくなる。
金色の王の深くなる笑みに、深紅の闇は本気で困惑した。

「お前も、・・・1000年の平安には、そろそろ飽きた頃であろう?」

言って金色の王は、二つの輝きを虚空に放り投げる。

「光を、闇をも呼び寄せる炎の如き女と。常にさ迷う魂を秘める、風の如き男と。
 ・・・この二人が共に歩む時、どんな“変化”が訪れるであろうな?」

・・・完全に、楽しんでいる。
主の、この悪戯好きな性質を知る僕(しもべ)は、ただ黙ってため息をつく。

「命に限り有るもの故の、他に並ぶ種(もの)のない激しさ。
 これがどれだけ私を楽しませてくれるか、ああ、待ち遠しいのお。」
「・・・すぐに「時」は訪れましょうぞ。我が王よ。」

心底呆れきった顔で、深紅の闇はそう答える。
・・・その魂たちに、自分の魂の一部と、腹心たちを滅ぼされるとも知らずに。
そして。
金色の美しき王は、地上に生まれ行く魂たちの行く末を、飽きることなくみつめていた。

そして。

「炎の如き」と称された娘は、時折破壊を撒き散らしながら、笑顔を道連れに歩み続け。
「風の如き」と称された男は、修羅の如く血を浴びながら、さ迷える心を引きずり歩く。
---己の半身たるものに出会う、その「時」まで。

そして。
「変化」の時は来る。

トップに戻る
7200すごくよかったです!!昂也 E-mail 7/9-02:57
記事番号7198へのコメント

めっちゃよかったです!!
最後のところで読後になんか残った感じがして『ほう〜ぅ』ってなりました。
雰囲気がとてもいい感じでした。
なんか感想になってませんが、読んだ直後のこの感覚をなんとか伝えたかったんです(苦笑)。

トップに戻る
7215ありがとうございます。中田 珂南 E-mail 7/12-18:48
記事番号7200へのコメント

こんな駄文にご感想頂き、本当にありがとうございます(特大はあと)
実はこれ、通勤電車に揺られてる最中に、頭の中にL様が降臨あそばされまして(笑)
またまた一発書きで30分程度で仕上げたものです。しかもオンラインで。
(私はネットカフェから来るんで、オンライン書きすることが多いです。
・・・・善くないこととわかってはいるんですが・汗)
また機会があったら、何か書こうと思ってます。
そん時はどうぞよろしくです。(え?いらない?)

・・・なんだか素っ気無いレスになってごめんなさい(汗)