◆−贖罪の時27−なゆた(6/23-01:46)No.7110
 ┗Re:読んだよ〜ん−絹糸(6/25-02:40)No.7112
  ┗贖罪の時28−なゆた(6/25-14:26)No.7114
   ┗贖罪の時29−なゆた(6/28-00:41)No.7124
    ┗贖罪の時30−なゆた(6/30-01:17)No.7139
     ┣Re:お久しぶり♪−絹糸(6/30-16:11)No.7141
     ┃┗お待ちしておりました!!−なゆた(7/2-22:46)No.7160
     ┣よかったよかった(^^)−昂也(7/2-03:45)No.7152
     ┃┗本当に、ですね−なゆた(7/2-22:49)No.7161
     ┗贖罪の時31−なゆた(7/2-23:25)No.7165
      ┣お久しぶりです。−春樹(7/3-00:46)No.7168
      ┃┗Re:お久しぶりです。−なゆた(7/5-17:26)No.7182
      ┗決戦は近い!−絹糸(7/4-01:27)No.7174
       ┗Re:決戦は近い!−なゆた(7/5-17:53)No.7183


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7110贖罪の時27なゆた E-mail 6/23-01:46


「リナ!よけろ!!」
 ゼルガディスの叫びに、慌てて体ごと前に倒れこむ.その真上を、黒い円錐状のものがかすめ、消えた.
 記憶にある.確かゼロスの本体.
「ぼぅっとするな!!次が来るぞ!!」
 瞳を宙に向けたままのゼルガディスが、その姿勢のまま怒鳴った.
「分かってるわよ!!」
 叫び返しながら、あわてて身を起こす.
 そして、ちらり、とゼルガディスの視線を向けてみた.いつもの通りの姿なのだが、どこかに違和感を感じる.
 しかし、今は戦いの最中.すぐに視線を戻すと、自分の唱えるべき呪文を口にのせる.
 ゼルガディスが彼の姿が捉えることができ、ガウリィが魔族にも有効な魔法剣を持っている.
 これなら、当たるかもしれない.
 万物の母たる存在から生み出されし、虚無の刃が.
――――――四海の闇を統べる王
       汝の欠片の縁に従い
        汝ら全ての力もて
         
     我に更なる力を与えん―――――――
 四つのタリスマンが、リナのキャパシティを一時的に増強する.
 それを確認して、ガウリィがサポートに回るべく彼女の横に立った.
 後は、ゼルガディスの声一つ.

 右の瞳が熱い.
 痛みは不思議と無かった.
 その熱が、彼にアストラル世界の映像を伝える.
 ひどく粗雑で、かすれかすれではあるが、見える.
 その姿を追いながら、ゆっくりと息をする.
 相手は、まだ自分が見られている事に気がついていない.
 ならば、気付かれない内に叩かなくてはならない.
 隙をつけるのは、もうこの手しかなかった.

「ガウリィ!!右後方!!」
「そ・こかぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 振り向きざま刃を横に払った。
 がきぃぃん!!
 何かにぶつかる音と、衝撃がガウリィを貫いた、が一瞬の後にそれが消える.
「リナ!!左斜め上!!」
「くぅ!!」
 リナが右後方に飛び退る.その一瞬後を見なれた杖が通りぬける.
 ガウリィがリナの前方に立つと、その剣を構えた。
 しばしの静寂.しかし、すぐにそれは破られる.
「ガウリィ!!リナ!!その場を離れろ!!!」
 切羽詰ったゼルガディスの声に、二人は別々の方向に駆け出す.リナのマントが一瞬間に合わず、空間からそのまま出てくる無数の黒い錐に貫かれた.
「ああぁぁぁぁぁぁ!!!この間おろしたばっかりなのにぃぃぃ!!高かったのよ、これ!!」
 裂かれたマントの端をつまんで、リナが怒鳴る.
「もう!!ぜぇぇぇったいにゆるさないんだからぁぁぁぁぁ!!!!ゼル!!つぎは?!!」
 ばっと、振り返ってゼルガディスを見ると、額に汗を浮かべて苦しそうな表情の彼がいる.アストラル世界を見る、という事は、かなりの体力と集中力を必要とするようだ。
(ゼルの限界が近いかもしれない)
 そう感じた.だから、ゆっくりと息を整え、来るべき瞬間に備える.

 長い長い時間だったような気がする.けれど、ほんの数瞬間.息を潜めて、ゼロスの出かたをうかがう.
 右の瞳は、相変わらずゼロスの姿を捉えてはいる.
 しかし、そのゼロスの行動がおかしい.
 いぶかしんで、それでも視線ははずさないように必死で追いかける.
 唐突に、そう、それは突然ゼルガディスの前に姿を現した.
「こんにちは。ちょっとお話があります」
「何!!」
 にっこりと笑うと、対応などするひまも与えず、どこに力があるのか分からないような細腕で襟首を掴まれる.そして、そのまま共に宙へと舞い上がった.
「ゼル!!」
「ゼルガディス!!」
 足元でリナとガウリィが彼の名を呼んだが、ゼロスは気にした風もなくその杖を彼の首に押し当てる.
 ぐ、と杖で首を押さえつけながら、ゼロスがじっとゼルガディスの顔を覗きこんだ.
「何故、僕のことが見えたんですか?いつからそんな妙な力が?」
 本気で知りたがっている声だった.だからこそ、ゼルガディスは鼻で笑う.
「ふん、知らんな.お前らの方が詳しいんじゃないのか?」
 半ばは真実、残りは単なる嫌味.呟いた瞬間、咽もとの杖がさらに押し付けられる.
「くぅあ…」
 その息苦しさに、首がのけぞる.
 その瞬間、ゼロスの瞳が見開かれた.いつもののんびりした表情が完璧に消え去った.
 片手でゼルガディスの首を圧迫しながら、残る左手でその顎をつい、と持ち上げる.
 そして、その右の瞳、を覗きこんだ.
 一瞬の沈黙.
「なるほど。ルビー・アイ様の血の証明、ですか…」
 納得したように、にやりと笑みをつくった。
 そう。ゼロスが覗きこんだ右の瞳.
 それは、本来あるべき青い色ではなく.血の様に、いや、血よりも赤い深紅に染まっていたのだった.
―――魔王の子孫――――――
 それが、ゼルガディスに影響を与えているのだ.
「しかし、あなた自身は人間のようですね.魔王様の一部分が受け継がれているようで…・」
 ゼロスの言葉が途切れた.完全に動きを封じられているはずのゼルガディスが、赤く輝くナイフをゼロスの腕につきたてたのだ.
「…・つ!」
 一瞬、ゼルガディスを束縛していた力がゆるむ.その隙に彼は、するり、とその身を束縛から抜き出す.
  そのまま、落下する速度に身を任せ、地上に激突する寸前に唱えていた呪文を解き放ち、地上に降り立った.
 自分が、魔王の血を受け継いでいるなんて.戸惑いだけが大きくて、まわりに対してどう振舞ったらいいのか分からなかった.
 しかし、すぐにリナとガウリィが駆け寄ってくる.

  どういう顔をしていればいいんだろう、などと考える必要など無かった.
 二人とも、駆け寄ってくるなり、ゼルガディスの顔をのぞきこんできたのだから.
「ゼル!!目ぇみせて!!おお!ほんとに色が変わってる!!!」
「どれ!おおお!!一体どうやったんだこれ?」
「い、や。すきでなったわけじゃぁ…」
「ええ!!自然になったのかぁ!!ゼルガディスって、変わってるんだなぁ!」
「いや、本気で感心されても……(汗)」
「そうよ!ガウリィ!!こんな便利な力、自然になるやつなんて他にいないわよぉ!!らっきー!」
「らっきー!って、なにをさせる気だ!!」
「え〜。結構話題になるかなぁ、な〜んて♪」
「・…俺は見せもんじゃない」
 いつも通りの会話が展開される.
 気負っていたものが、一気に抜けてしまった.そう、彼らにとっても自分にとっても、変わる事はなんにもない.
 自分は、自分.外見が変わってもそれだけは変わらない.譲れない.
 そう思って、くすり、と笑みがこぼれる.レゾのキメラに変えられた頃のは、そんなこと思えもしなかった.変わったのは、彼らのおかげ.自分を受け入れてくれた奇想天外な奴ら.
 ガウリィが頷いた.そして、リナがにっこりと微笑む.それに頷き返して、視線を宙に向けた.
 そこには、相変わらず笑みを浮かべたゼロスが浮いている.
「さて、ゼロスにお灸を据えて、帰るわよ!!!」
『おう!!!』


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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ふぅ。まだ戦ってますね、彼ら.でもやっと、ゼルガディスの右の目が、なんで痛かったのかがやっと書けましたぁ!!
 えっと、読んでて分からなかった方もいらっしゃるかもしれませんが、これについては後ほど詳しく(ゼルにでも)説明させる、と言う事で、もう少々お待ちください.
 しかし、右目は赤で、左目は青.書きたかったんですよぉぉ!このゼルが!!
なんか、左右の瞳の色が違うって、神秘的でかっこよくないですか?勝手な趣味ですが、それに染めてしまいました!!

 さてさて、絹糸さんへ
 ツリーが沈んでしまったのでこちらにお返事を書かせていただきます.
 毎回読んでいただいてありがとうございます.

 まず、私が第二部に興味が無い、と言う事を以前書いていたのに、チェックはきっちりしているという事ですが。読まないと、ガウリィのにゅう武器がわかんなかったもので・….ちなみに、第二部は全部立ち読みです.と言うよりも、ぼんびー学生の私の場合、読んだ本はそのほとんどが立ち読みです.
 一回読むと、大抵の事は覚えるんで、買わないんですよね.ああ、作者と本屋泣かせな、なゆたです.

 それと、アニメディア、私も見ました!!!
 きゃああああ!!ゼルが照れてる!!アメリアがかわいい!!ああ、もうこの場で倒れてしまいそう…!!等という危ない反応をしそうになってしまいました.
 あれは、最高にいいですよね!!

 そうそう、すぺしゃるの方にゼルガディスが出るんですか?ああ、それは買ってしまうかもしれない….

 最後になりましたが、いつも詩をつけていただいてありがとうございます!!
毎回楽しみにしておりますので、やめようかなぁ、なんて思わないでくださいよぅ!!えっと、今回のにもつけていただけたら嬉しいなぁって思います.

 では、次回もすぐに載せられると思いますのでここら辺で失礼します.

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7112Re:読んだよ〜ん絹糸 6/25-02:40
記事番号7110へのコメント


  ちゃーす、きーぬいーとどぅえーっす。いやー眠いわー、なんせAm2:24.明日は休みだけど忙しかったりすんですよねー。それじゃーくぁんそうー・・・ぐー・・


> レゾのキメラに変えられた頃のは、そんなこと思えもしなかった.変わったのは、彼らのおかげ.自分を受け入れてくれた奇想天外な奴ら.
  微笑んでるねーきっとー、ゼルー良い仲間と会えたねー・・・ZZ・・・


> さてさて、絹糸さんへ
 ふぁい。

> ツリーが沈んでしまったのでこちらにお返事を書かせていただきます.
> 毎回読んでいただいてありがとうございます.
 なんのなんの、お互い様です〜・・・・(無音)


> まず、私が第二部に興味が無い、と言う事を以前書いていたのに、チェックはきっちりしているという事ですが。読まないと、ガウリィのにゅう武器がわかんなかったもので・….ちなみに、第二部は全部立ち読みです.と言うよりも、ぼんびー学生の私の場合、読んだ本はそのほとんどが立ち読みです.
> 一回読むと、大抵の事は覚えるんで、買わないんですよね.ああ、作者と本屋泣かせな、なゆたです.
 記憶力・・いいっすね・・・・


> それと、アニメディア、私も見ました!!!
> きゃああああ!!ゼルが照れてる!!アメリアがかわいい!!ああ、もうこの場で倒れてしまいそう…!!等という危ない反応をしそうになってしまいました.
> あれは、最高にいいですよね!!
 そうですよね!もう、アニメディアのコメントに書いてあるとおり幸せ大爆発って感じですよ!(いきなり元気)


> そうそう、すぺしゃるの方にゼルガディスが出るんですか?ああ、それは買ってしまうかもしれない….
 お買いなさい。シリアスなゼルガディス(ちょっぴりお茶目)が最高にいいっすよ!ただし、外伝だからアメリア編と同じくリナ&ナーガはいないけど。


> いつも詩をつけていただいてありがとうございます!!
>毎回楽しみにしておりますので、やめようかなぁ、なんて思わないでくださいよぅ!!えっと、今回のにもつけていただけたら嬉しいなぁって思います.
 ありがとうございまふ・・・(スタミナ切れ)頑張って考えてみます・・・今回の・・今回、の・・・・こん、か、い・・・・ぐーーー・・・あっ・・・


 人ではない
 人だけど
 まともじゃない
 俺だけが
 でも

 仲間が いる


 こんなもので・・・どうでひょう・・・じゃあ、お休み、なさい・・・・・ZZZ・・・(熟睡)

 
 

 





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7114贖罪の時28なゆた E-mail 6/25-14:26
記事番号7112へのコメント

「ラ・ティルト!!」
 きゅおぉぉぉぉぉ!!
 青白い光りがゼロスを包み込む.が、それが完全にゼロスを捉える前に、彼は下に舞い降りた.
 そこにガウリィとゼルガディスが同時に切りかかる.
「おおおおおおおお!!!!」
 ガウリィの斬妖剣がゼロスに向かって振り下ろされる.が、紙一重でかわされ、ゼロスの肩を掠める.
「ちぃ!!」
 ゼルガディスの、赤く輝く刃を.ゼロスが杖で防ぐ.
 息をつかせぬ攻防が、閉じられた空間に振動を与える.
 ゆれる空間の中で、ゆっくりとリナが息を吸い込んだ.

「ゼロス!!じいちゃんなんだから無理すんな、よ!!」
 ガウリィが、人間ばなれした剣の技を繰り出す.
 それをよけつつ、ガウリィに杖を叩きこもうとした.
 が、ひゅっ、という軽い音とともに突き出された赤い刃に阻まれる!
「く!」
「ゼルガディス!」
「油断するなよ!ガウリィ!!」
 ゼルガディスがちらり、とリナの方に視線を向ける。リナが、静かに呼吸を整えているのが視界に入る.
「よそ見とは、余裕ですね!」
 ほんの一瞬の隙.
 しかし、ゼロスにはそれで十分だった.
 杖の先端を、思いっきりゼルガディスの腹部に叩きこむ。
「く、あぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「ゼル!!」
 何とか剣の腹で受け止めたものの、勢いを殺しきれなくて、そのまま後方に吹っ飛んだ.
 どかぁぁぁぁぁ!!
 鈍い音を出し、結界の壁に衝突して、そのままずるり、と大地に倒れこむ.
 皮膚が岩でできているのだからダメージが少ないはずだが、それでも普通の人間なら致命傷になっている攻撃だ.
「ゼルガディス!大丈夫か!?」
 心配そうに駆け寄ろうとするガウリィを、ゼルガディスが片手を挙げて制した.
 ゆっくりと体を起こし片膝をつくと、そのまま腹部に手を当てる.どうやら回復呪文を唱えるつもりのようだ.
 その様子に、ガウリィとリナは、ほぅ、と息をつくと再びゼロスに向き直った.
 リナが、小さな声でカオスワードをつむぎ出す.
――――――――――悪夢の王の一片よ
            世界の戒め解き放たれし、凍れる黒き虚無の刃よ

「ラグナ・ブレード・…我らの母の力….しかし、当たらなければ意味はありませんよ?」
 呪文を唱えるリナの姿を視界の隅に捉えながら、ゼロスが薄く笑った.
 その様子を見つめながら、リナの脳裏には、さっき囁かれたゼルガディスの言葉がよみがえる。

『リナ.ラグナ・ブレードのカオスワードを、ゼロスにさりげなく気付かれるように唱えてくれ』
『さりげなく、って、何考えてるのよ?気付かれたらよけられるじゃない!!』
『ああ。しかし、ゼロスはお前がラグナ・ブレードを使えることを知っているし、警戒もしているはずだ.それに当てられると思うか?』
『…けど、他に方法は・・…』
『……試したいことがあるんだ.頼む』
『リナ。ゼルガディスを信じよう』
『……分かったわ。ゼル、あんたにかけるわ』
『ああ』

「僕が最後まで、それを唱えさせると思いますか?」
 どこかうれしそうにゼロスが囁くと、ぎゅん!と間合いを詰める.
 その杖が、リナにむけて振り下ろされた.ぎぃぃぃぃぃん!!!と、甲高い音を立てて、それは彼女に届く寸前にはじき返される.
「おっと!!リナには近寄らせないぜ!!」
「・・敵に回ると厄介な、過保護ぶりですねぇ!」
 がっ!!!
 ゼロスの杖と、ガウリィの薄紫の刃が交差し、まばゆいばかりの火花を散らす.
――――――――――――我が力、我が身となりて
               ともに滅びの道を歩まん
「させません!!」
 苦痛を覚悟で片手でガウリィの剣の刃を掴むと、自由になった杖をリナに振り下ろす。
「同じく、させん!!」
 ガウリィが叫び、がら空きになったわき腹に渾身の力をこめて蹴りを叩きこむ.
 ダメージを受けなくても、バランスを崩されて目的があやふやのなった杖を、リナが軽く身をひねってかわす.
―――――――――――神々の魂すらも打ち砕き!―――――――――
「・…いい加減に!!」
「うお!!」
 どかぁぁぁ!!
 黒い力の塊が、ガウリィを吹き飛ばした.そのまま、くるりと向き直ると、最後の力ある言葉を解き放とうとしているリナに向かって、力をためる.
「残念ですよ、リナさん!!!」
 黒い輝きを、瞠目しているリナに向かって解き放とうとした瞬間.
 ひゅぅ!!!
 空を切る軽い音とともに、数本の赤く輝くナイフがゼロスの胸に突き刺さった。
「く!ゼルガディスさん!!」
 視界の隅に、口元から血を流しつつにやりと笑っているゼルガディスの姿が映る.注意が、一瞬リナからそれる.
 その隙を、リナは見逃さなかった.一気にゼロスに駆け寄ると、最後の言葉を解き放つ.
「ラグナ・ブレード!!」
 ぎゅぉぉん!!
 リナの手の中に、黒い刃が現れる.それをゼロスに向かって一気に振り下ろした.
「食らいなさい!ゼロス!!」
「お断りします!!!」
 振り下ろされた刃が、ゼロスに届く寸前.再びその姿が掻き消えた.
「避けたのか!リナ!!」
「そうよ!逃げられたわ!!変わりに……」
 駆け寄ってきたガウリィの疑問に答えるリナの叫びと同時に、手の中の黒い刃も掻き消える.
 その一瞬の後、ぴしり、とどこかにひびの入る音が響いた.
 ぴしぴし、と軽い音がすばやく広がって行く.
「結界を切っただけよ!!」
 リナの叫びを合図のように、ゼロスの張った結界の一部が崩壊した.
 青い空と眩しい太陽の光りが差し込んで来る.結界が崩れたために、異空間が消えたのだ.その下には、突然のリナ達の出現に目を丸くしている貴族たちの姿がある。
 しかし、今はそんなことをかまっているひまは無かった.

 消えたゼロスは、まだほとんどダメージらしきものを受けてはいない.このままでは、負けてしまう.そう思って、崩れていない結界内に視線を戻した.
「いやぁ。今のは危ない所でした」
 再びのんびりとした口調で、ゼロスがリナとガウリィの背後に現れる.
「ですが、当たらないと意味はないですよね♪さて、それでは……」
「ラグナ・ブレード!!!!」
 唐突に響いた声に、ゼロスがざっ、と振りかえった。
 目の前にゼルガディス.その手の中に、黒き虚無の刃が生まれる.
『何!!!?』
 ゼロスだけでなくリナ、ガウリィの声がその場に響いた。
 彼らの驚きは、単純なものではなかった.
 一つは、もちろんゼルガディスが「ラグナ・ブレード」を発動させた事に.
 それともう一つ、驚くべきことがあった。
 虚無の刃を握ったゼルガディスの姿に薄く重なる、姿.
 きらめく銀の髪を揺らめかせ、輝く瞳は右が赤、左が青、白皙の肌をした美しい青年.陽炎のようなその姿は、万人が美しいと認めるであろう。見つめていた、貴族達が一様に息を飲んだ.
 が、ゼルガディスはそんなことは構いもせずに、手の中の刃をゼロスに向かって振り下ろす.
「食らえ!!!」
「ち!!!」
 慌てて身をひねるが、完全にはかわしきれない。
 虚無の刃が、ゼロスの左腕を叩ききる!
「くぅぅああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 激しい痛みがゼロスの全身を駆け巡る。
 切られた左腕を庇うようにしながら、一気に空中高くへと舞い上がる.
 それと同時に、ゼルガディスの手の中の虚無の刃が消えうせる.ついで、揺らめくように重なっていた陽炎も消えうせた。
 後には、蒼白になり、脂汗を流しつつも空中のゼロスを睨みつける、いつも通りのゼルガディスの姿があった。


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 はい、やっと終わりそうなこの闘い!なんか、テンポが速い気がするのは、
私が、単に戦闘シーンを書くのが苦手なだけ・・・・。でも、に話分はきっちり消化(^_^;)
まぁ、次回にはきっちり終わらせましょう!

さて、絹糸さんへ。

> そうですよね!もう、アニメディアのコメントに書いてあるとおり幸せ大爆発って感じですよ!(いきなり元気)

 そうですよ!!爆発だけじゃあきたらず、そのままギガスレイブ並みの
破壊力ですよ!!・・・・・・・・・私の自制心に対する・・・。


> お買いなさい。シリアスなゼルガディス(ちょっぴりお茶目)が最高にいいっすよ!ただし、外伝だからアメリア編と同じくリナ&ナーガはいないけど。

 うぃっす!!


> 人ではない
> 人だけど
> まともじゃない
> 俺だけが
> でも
>
> 仲間が いる

 やっと、ゼルがディスは普通の人に、はなれてない気がする。
だって、リナたちと行動しても平気だなんて。それで開花した、あなたの天然っぷりと、
つっこみのセンスに、射止められましたわ・・・。

> こんなもので・・・どうでひょう・・・じゃあ、お休み、なさい・・・・・ZZZ・・・(熟睡)
 
 あ、はい。わざわざありがとうございました。
 ごゆっくり、おやすみくださいまし。

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7124贖罪の時29なゆた E-mail 6/28-00:41
記事番号7114へのコメント

 周囲は、不気味なほどに静かだった。
 突然姿をあらわしたリナ達に驚いていた貴族たちも、息を潜めて様子をうかがっている。
 そんな中、ゼルがディスは息を乱し、額には汗を浮かべつつも、背筋を伸ばし空中にあるゼロスから視線をそらさない。
 ゼロスもまた、傷つけられた左腕をかばいつつ、ゼルがディスから目をそらさない。
 ゼルガディスとゼロスは、お互いを睨みつけたまま微動だにしない。双方ともに、疲労とダメージが大きいはずなのに、その姿勢からはそんな様子を微塵も感じさせない。
 しばらくの沈黙。
 しばらくの間、その空間に響くのは、ゼルガディスの荒い呼吸の音と、今なお崩れつづける結界の、乾いた亀裂音だけだった。
 彼らの間に流れる緊張感に、リナも、ガウリィも動けなかった。

 沈黙を破ったのは、ゼロスの小さな嘆息だった。
 それを合図のように、全身から発していた殺気を収め、ふわり、とゼルガディスの前に降り立つ。
 リナとガウリィが、慌てて彼らの間に入った。限界以上の力を使っているはずのゼルガディスに、今ゼロスを退けるすべは無いはずだからだ。
 しかし、ゼロスはそんな二人の敵意のこもった視線を無視し、ゼルガディスの向かって軽く微笑んで見せた。
「…無茶をやりますね?下手をすれば死んでいましたよ。僕も、そしてあなたも…。」
 軽い皮肉を込めた口調に、ゼルガディスが唇の端を上げた。
「まさか。俺はおまえなんかと心中するつもりはないさ」
 その答えに、納得したようにゼロスが頷いた。
「まぁ、そうでしょうね。貴方は行き当たりばったりの行動を取る人ではないですから……。でも、どうしてあのお方の力が使えると思ったんですか?」
 小さく首をかしげて、探るようにゼルガディスの目をのぞきこんだ。今は、左右の色の違う、その瞳を。
「それは……」
「秘密だ、なんて言ったら、今この場でドラグスレイブぶっ放すわよ!」
 突然、会話にリナが割り込んできた。鮮やかな赤い瞳が、挑戦的にゼルがディスを見上げている。そして、一歩にじり寄る。
「キャパシティの増幅もなしに、どうして呪文が発動できたの?!あたしでも、増幅しないと撃てないのに!!!」
 どうも、彼女の負けず嫌いな性格が現れているようだ。瞳が、好奇心と探求心で、きらきらと輝いている。
 救いを求めるように、ガウリィのほうを見たが、軽く肩をすくめられただけだった。
 さらに、そこにゼロスが加わる。
「さぁ、ゼルガディスさん。答えないと、リナさんが本当に暴走しちゃいますよ!」
 十分に脅しを含んだ声音で、一歩ゼルがディスににじり寄る。
 『さぁ!答えてもらいましょうか!!』
 リナとゼロスが、声を重ねて、さらに一歩にじり寄った。
 その気迫に、ゼルガディスが小さくため息をついた。
「分からん」
『へ?』
 間抜けなくらいリナとゼロスの声が、きれいに重なった。いきなり肩透かしを食わされて、リナの顔から力が抜ける。しかし、それはすぐに怒りのそれの取って代わられた。
「わからんですむかぁぁぁぁぁぁぁ!!!」
「そうですよぉぉぉぉぉ!!そんなこと、獣王様に報告したら叱られちゃいますぅぅぅぅ!!!」
 リナの怒声と、ゼロスの泣きそうな声が返ってきた。
 ゼルガディスにしてみれば、ゼロスが獣王に叱られようが、嫌われようが知ったことではない。
 だから、正直に答えた。
「ただ、なんとなくできそうな気がしたから、やっただけだ」
 さらり、とこたえた言葉に、リナは言葉をなくして立ちすくみ、ゼロスはあからさまにショックを受けた表情を作った。
 凍てつくような沈黙の中、それを破ったのはガウリィの軽い声だった。
「まぁ、本人がこう言ってるんだから、ほんとに分からないんじゃないか?な、ゼロス。ホントのこと報告すればいいじゃないか!それにさ、リナ。まぐれかもしれないし!」
「まぐれでできるかぁぁぁぁぁぁ!!!」
 どごしぃぃぃぃぃ!!!
 リナがガウリィのおなかに、とび膝蹴りをかましているのを横目に見ながら、ゼロスがゼルガディスに向かってにっこりと微笑んだ。
「貴方には、ここで死んでいただきたかったんですけど、状況が変わりました。まさか貴方も、あの御方の力を使えるとはね」
「また使えるとは限らんぞ」
 唇の端を上げて答えるゼルガディスに、ゼロスはすっと、目を開いた。
「使えた、ということ自体が問題なんですよ。できれば、このまま力ずくで獣王様の元に運びたいんですけど…・・」
「ラ・ティルト、一発で死にそうなおまえが、か?」
 小ばかにしたように、鼻で笑う。が、ゼロスはさして気にした様子もなく、再び、意味不明の微笑を浮かべた。
「お互い様でしょう?まぁ…………・」
 ふわり、と宙に浮く。
「今回は、痛み分け、ということで、これで失礼させていただきますよ。貴方に対する行動は、まぁ、獣王様のお心一つですね。また、お会いしましょう」
 そういうと、かき消すようにその姿が闇に溶け込んだ。
 その姿を、ゼルガディス、リナ、ガウリィが苦々しい思いで見送った。
 また、と言った以上、もう一度現れるだろう。その時、再び彼を退けられる保証はどこにもない。
 けれど、今は、終わったのだ。
 
 その時、ゼルガディスの心の中に張り詰めていた緊張の糸が、ぷつり、と音を立てて切れた。
 忘れていた疲労が、一気にのしかかってくる。
 視界が、急速に狭まる。
 大地が、ゆっくりと近づいていく。
 倒れる、と思った瞬間に、誰かに支えられた。
 誰かが、声をあげている。
 駆け寄ってくる人の気配。
 それが、ゼルガディスが知覚できた、最後の感覚だった。
「アメリア……・・」
 呟きは、声にならなかった。
 あとは、その意識は闇に飲まれた。

「ゼルガディス!!」
 異変に真っ先に気がついたガウリィが、倒れかかったゼルガディスの体を途中で支えた。
 そして、そのままゆっくりと大地に横たえる。
「ゼル……・!フィリア、こっちに来て!!!」
 リナが、ガウリィに駆け寄りながら叫んだ。
「あ、はい!!」
 一通り回復したアメリアを、神官たちに預けたフィリアとヴァルが駆け寄ってきた。
 そして、大地に横たえられたゼルガディスをみる。
 特にひどい外傷はない。強いて言えば、何かに強くぶつけた後が背中にあるだけだった。しかし、フィリアもまた、見ていた。彼が、黒き虚無の刃を振りかざしていたことを……。
 恐らく、そのために意識を失ったのだろう。
 そう、思って、そっとその額に手を置いた。途端に、ひやりとした感覚が手のひらに伝わってくる。
「・…熱が、下がってる?」
 その呟きに、リナが気付いた。
「ゼルは熱があったの?」
「あ、はい。三日くらい意識が無くて、意識が戻ってからも、熱は下がっていなかったんです。さっきまでひどい熱があったはずなんですよ」
 信じられない、という風に首を振った。
 原因は、分からない。けれど、戦闘によってゼルガディスの熱が下がったことは事実。今は、それしか分からない。
 ガウリィが、ゼルガディスを抱き上げた。
「ま、分からんことを考えても仕方ないじゃないか。今は、ゼルガディスを休ませるのが先だと思うぜ?」
「うっ!ガウリィにしてはまともな意見」
「………お前は、俺のことをなんだと……。いや、いい。それより、ゼルガディスはどこで休ませるんだ?」
 何か反論しかけたリナの先手を制して、ガウリィがあたりを見渡した。
 周囲には、物見高い貴族達が未だに群がっている。その視線には、興味と恐怖、好奇心、嫌悪感などがたゆたっている。

「そうね、私達の部屋にでも・・…」
「待ってください!!」
 運ぼうか、と言いかけたとき、背後から突然声がかけられた。
 いい加減なれてきたその声に振り返ってみるとは、やはり“ゼルガディス・グレイワーズ“だった。その緑の瞳に、悲しみと喜びの光りを微妙にない混ぜて、ゆっくりとガウリィに近寄って行く。
「その人は、我がル・アースの縁者のもの。よろしければ、私の部屋で休ませたいのですが?」
「縁者?ゼルが?」
 そのリナの言葉に、“ゼルガディス”の顔色がさっと変わった。
「やはり、ご存知だったんですね?わた・・、いえ、僕が“ゼルガディス”ではないという事を・…」
 驚愕、というよりは納得という表情で“ゼルガディス”が、呟く。
「そりゃ、まぁ。一緒に旅をした仲間だからなぁ」
 ガウリィが、眠りに落ちたゼルガディスの顔を見た。さすがにこれだけ長い付き合いをしていれば、ガウリィも忘れないらしい。
「そう、なんですか。では、僕は一人で踊っていただけなんですね…。でも、これだけは真実ですよ。僕が、あなた達のファンだという事だけは」
 “ゼルガディス“はどこか淋しそうに微笑んだ。その淋しそうな、微笑みが、何故かゼルガディスの微笑みに重なる。
 心の大きな傷を抱えたものだけができる、深縁を覗き込むような、底のない微笑み。
「……けれど、その人は僕にとってとても大切なんです。お願いします。僕を信じてはいただけませんか」
 まっすぐに、その場にいるもの達に視線を向けた。
 その瞳が、強い光を帯びて輝いている。何か譲れないものがあるとき、人はいくらでも強くなれる。それが、今目の前にいる青年にはあるのだ。
 そう、全員が直感した。
 修羅場をくぐってきたゆえに、そういう事は敏感に感じ取れるのだ。
 フィリアが、ガウリィが、リナを見た。
 最終決定権は彼女にゆだねられている。
 それを感じとって、“ゼルガディス“もリナを見つめた。
 3対の瞳に見つめられて、リナが大きく息を吐き出した。
「いいわ。ゼルのことはあなたに任せる」
「本当ですか!!」
「ただし!!条件が二つあるわ」
 喜びに、今にも踊りださんばかりの“ゼルガディス”に向かって、ぴっと指を二本立てる。
「なんですか?」
「一つ目は、あんた達が隠していることを全部話す事・・…」
「そ、それは!!」
「………と言いたかったんだけど、脅されてるあなたがそんなことやったら、脅しのネタをどうにかされるでしょうから、パス」
 さらり、と言いのけたリナに、“ゼルガディス”が瞠目した。
「何故、脅されてるって…?」
「そんなの、態度見てたら分かるぞ。普通は叔父さんにあんなに下手にはでないだろう」
 のほほん、とガウリィが言ってのける。“ゼルガディス“が諦めたように首を左右に振った。
「すいません・・…。あなた達には本当のことを言いたかったんですけど・・……」
「いいのよ、気にしなくて。じゃぁ。条件その一。部屋にはガウリィを一緒に入れるわ。もちろん、あなたが信用ならないんじゃなくて、あのおっさん予防のためよ」
 軽く片目をつぶるリナに、“ゼルガディス”が頷いた。
 名を語り、アメリアの婚約者〔仮〕を手に入れたのに、今オリジナルに出てこられたらすべてが無しになる可能性が高い。というよりも、確実であろう。
 それを阻止するには、オリジナルの存在を、人知れず抹消すること。だからこそ、眠りに落ちているゼルガディスに護衛をつける必要がある。
 それがわかるからこそ“ゼルガディス“も頷いたのだ。
 その時、リナのマントがくいくいと引っ張られた。下を見ると、ヴァルがリナのマントの端を掴んでいる。
「僕も、ゼルにぃの傍にいる!」
 子供ならでわの頑固さを瞳に宿している。さっきから血まみれの人間ばかりを見ていて、少し怖かったらしく、鼻をぐずつかせながらも、真剣なまなざしで見上げてくる。
 その様子に、リナはほんの少しゼルガディスの特性を垣間見た。
(アメリアといい、ヴァルといい、“ゼルガディス“といい、ゼルってば、子供っぽい子に好かれる体質のようね・・…)
 呆れるようなその特性に、ほんの少し笑えた。そして、ヴァルの頭をぐしゃぐしゃと撫で回した。
「いいわ!一緒にいてあげなさい」
「うん!!」
 元気に答えると、てくてくとガウリィの足元に歩いて行く。どうも、すでに護衛の気分のようだ。
「さて、条件その2、行ってみようか!」
 和やかになった空気を引き締めるように、リナがパンと両手を打った。その音に、“ゼルガディス“が、はっと身を強張らせる。
 その緊張した顔の正面に、指を一本突き出した。
「最後の一つ。ゼルが目覚めたら、ちゃんと、今の状況を説明しなさい。あたし達に言えなくても、ゼルになら言えるでしょ?」
 “ゼルガディス”がこくん、と頷いた。
「なら、全部話して。ゼルならきっと、あんたを助けられるでしょう。頭だけはいいから…」
「頭だけって・・…。ゼルガディスさんが聞いていたら、怒りますよ、きっと」
 呆れたようなにフィリアが呟いた。それに対し、リナは大きく胸を張り、ぎんとゼルガディスを睨み付けた。
 アメリアが苦しんでいたのに、この男ときたら…!!ありったけの大声でその耳元に向かって叫んだ。
「いいのよ!!!肝心なときにいない奴のことなんて!!!こぉの、甲斐性なしぃぃぃぃ!!!」
 リナの大声にも、ぴくりともせずに、ゼルガディスは眠りつづける。


 セイルーンの奥にある、王族達の部屋。
 その内の一つ。最も日当たりのよう部屋にアメリアは寝かされていた。
 天蓋付きの、やわらかな寝心地のベッドの中で、アメリアもまた、眠りつづけている。
 その意識は、夢にとらわれている。

 ここはどこ?
  ―ここは婚約の場。
 隣に立つこの人は誰?
  ―これから続く、偽りへの第一歩。
 私は、何?
  ―セイルーンの巫女姫。
 それだけ?
  ―人が望むあなたはそれだけ。
 逃れる術は?
  ―今目の前にいる。
 ゼロス、さん?
  
  全身に走る激痛。目の前に広がる、深い死の闇。
 その中で、アメリアは不思議と落ち着いていた。
 あの時、彼女には、死は解放にしか映っていなかった。
 ゆっくりと、死の腕が彼女を捕らえていく。
 眼下には、悔しそうに自分を見上げる、かつての仲間。
 目前には、自分の苦痛への感情を食っている、かつて共に戦った、魔族。
 一瞬だけ、あの白い貫頭異が視界を掠めた。

 その瞬間、 視界が暗転する。

 あの人は死神?
  ―迎えに来てくれた。
 このくちづけは死への誘い?
  ―優しい抱擁。
   =ならば願おう。今は、唯一の望みを、あの人にに似た、この死神に。
      
           『連れて行って………』



                        Go To Next
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 はい、29終了です。それにしても、やはり30じゃ終わらなかった・・・・。後20回は続きそう、かも……。
 あああああああああ、やばいぃぃぃぃぃ!!!!
 今考えると、もっと登場人物減らしてたらぁぁぁぁ!!
 しかし、やってしまったものはしょうがない!(って、既成事実じゃないんだから・・…)

 ちなみに、今回ラストに出ているアメリアの台詞が、前回ゼルガディスにのみ聞こえた台詞です。
 う〜ん、どうやって彼は答えるんでしょうねぇ。
 それに、忘れかけてるけど、レゾさんを呼び出す方法も考えなきゃ。
 ああ、オリキャラの名前……。
 ルーシャはどうなるのか。
 ジャベルって何者かな。
 枷って、何?
 贖罪って、誰がすんの? 

 まとめてみると、まだいっぱい有るな、なぞ…。
 早く解かないと、先に進めない!!

 以上、一応結末だけはできているなゆた、でした!!

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7139贖罪の時30なゆた E-mail 6/30-01:17
記事番号7124へのコメント

 瞼を開けると、視界に薄い茶色の髪が飛びこんできた。
 懐かしい、色だ。そう思って、さらに目を凝らす。
 顔がこちらをむいていないのでよく分からないが、それは・………。懐かしい気配。
「………ルーシャ?」
 呟きに、少女が振りかえった。
 その、顔を見た瞬間。白い布に包まれた顔を見た瞬間。
 ゼルガディスは、跳ね起きた。
「ルーシャ!!目が………?」
 思わず、大きな声を出していた。その声に、呼応するかのように部屋の扉が開かれた。
 最初に飛び込んできたのはくすんだ金髪、緑の瞳をした、これも懐かしい顔。
「兄さん!!気がついたんだね!!!!」
 喜びに顔を輝かせ泣きながら駆け寄ってくると、ゼルガディスにしがみついた。
「よかった!!心配したんだよ、兄さん!!7年間も音信不通で、会えたと思ったら、こんな姿になってるしぃぃぃぃ!!!!!そのまま、丸一日意識不明にはなってるしぃぃぃぃ!!」
「レイス!お前、なんでこんな所に!!」
 驚く、どころではない。自分の記憶が正しければ、ここはセイルーンのはずだ。それなのに、どうしてここに、この二人がいるのか。
「お、落ち着け。レイス、事情がよくわからん!!ルーシャ、こいつをどうにかしてくれ!!」
 とにかく、しがみついている体を離させようとしたのだが、二度と離すまい、という気合で抱き付かれていて、それも叶わない。ルーシャは、そんな様子に、困ったように微笑んでいるだけだ。
 訳がわからなくて、ちらり、と視線を走らせる。扉の前に、同じく戸惑った表情で立っているガウリィがいた。
「ガウリィ。説明を頼めるか?」
 ゼルガディスの問いに、ガウリィは小さく首を横に振った。
「俺も詳しくはしら無いんだ。どうも、その子達は知っているようなんだが、誰にも言えないらしい。とりあえず、今リナを呼びに行かせてるから………」
 そこで、言葉を切った。何かを訴えるような“ゼルガディス“改め、レイスの視線に気がついたからだ。
「とりあえず、お前には話せるらしいから、俺は席をはずす。話が終わったら、呼んでくれ」
 それだけ言うと、さっさと隣の部屋へと消えてしまった。
 残されたゼルガディスは、結局何も分からないまま、混乱した頭を抱えて、レイスをなだめにかかった。

「なるほど。俺の名前を使ってセイルーンのパーティにねぇ」
 取り合えず、一通りの説明、―アメリアの見合いパーティにレイスが名を語ってでたこと―を受けて、ゼルガディスがため息をついた。
 寝室にあるベッドに腰掛けて、呆れた声を出す。その正面には、二人が椅子に座っている。
「ジャベルの考えそうなことだ。ル・アースだけでは満足できんか。しかし、どうしてお前はそれに協力したんだ?」
 不思議そうなゼルガディスの呟きに、レイスが体を硬くする。何かを思いつめた顔。
 その横には、同じように体を硬くしている、ルーシャ。彼女は、先程からほとんど声を発していない。訝しさに、目を細めたとき、レイスが口を開いた。
「兄さん。レゾ様に会わせてくれないかな?今、どうしてもお会いしたいんだ」
 その言葉に、ゼルガディスが言葉を詰まらせた。
 レゾの死は、まだ世間に知られてはいない。もともと人前に出るのを嫌がっていたので、その存在は生前から伝説化していた。しかし、今は……。
 ゼルガディスは、大きく息を吸い込んだ。真実を告げる、心を決める。

「レイス・・……。レゾ・・様は、死んだ。死んだんだ」
 染みとおるような深い声。その言葉に、真実の存在を感じとって、レイスが息を呑んだ。
 よろよろと、その手をゼルガディスに伸ばす。その様子は、まるで支えを失った赤子のようだった。その手を、ゼルガディスが支える。その時、呆然としたレイスの瞳から、涙がこぼれた。
「ルーシャの目・・…」
「…………ん?」
「レゾ様なら治せるかもしれないって……。でも、レゾ様も兄さんも、どこにいるかわかんないから…。でも、……見合いにでたら、レゾ様に連絡とってくれるって……。そう、いわれて、だから!」
 それだけを言うと、そのまま嗚咽を漏らし始めた。
 ずっと一人で抱え込んできて、ゼルガディスの会えて、これで全てがうまくいく、そう思っていたのに。それだけに、心が絶望に悲鳴を上げていた。
 ただ静かに嗚咽を漏らすその体を抱きしめた。
 可能性は、高くない。しかし、試さずにあきらめきれるものではない。だから、ゼルガディスはそっとルーシャにその手を伸ばした。
「ルーシャ。目を、見せてみろ。俺に、治せるかもしれない」
 その言葉に、レイスが、ルーシャが、顔を上げた。驚愕に顔が固まっている。

 レゾの研究については、ゼルガディスも補佐をしていた。そのため、その研究についても一応の知識がある。
 もしかしたら。
 その思いに、すがるように、ルーシャそっとゼルガディスの正面に座った。
 ゆっくりとその顔に巻かれている布を取り、顔をゼルガディスに向ける。
 その、顔を見て、ゼルガディスは息を呑んだ。
 震える手で、そのほおを挟み、その顔をそっと持ち上げる。
 硬く閉じられた量の瞼にくちづけをした。憤りに、声が詰まる。
 そして、そっとルーシャを抱きしめた。まるで、壊れ物に振れるように、優しい、優しい抱擁。
「……辛かったろう?よく、がまんした」
 囁くようなその声に、ルーシャが、ピクリと体を震わせた。ゼルガディスが、そのやわらかな茶色の髪をそっとなでた。
「もう、我慢しなくても、いい」
 あやすようなその口調に、ルーシャがゼルガディスにしがみついた。
「………う、うっく。……さん。…・・にぃ、さん……。う、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 抑えていた感情が堰を切ったようにあふれてくる。涙がとめどなく流れる。
 それを抑えるでも無く、ゼルガディスはただルーシャを抱きしめた。それが、さらにルーシャの心を楽にする。
 気持ちを溜め込んで、その心を苦しめていたのはルーシャも同じだったのだ。ゼルガディスは、彼女の目を見た瞬間に、それに気がついた。
 湧き上がる思いは、同情でも憐憫でもなく、ただひたすらに、憎悪。
 向けられる相手は、今、この国にいる。


「ゼル!!アメリアが起きない!!!!」
 部屋に飛びこんできたリナの第一声が、それだった。その言葉に、ゼルガディスが、弓から放たれた矢のように飛び出した。
 目指すのはアメリアの部屋。
 その後を、残りの四人が追いかける。目の見えないルーシャはレイスが抱えて走っている。見た目からはなかなか想像できないが、彼は結構力があるようである。
「なぁ、リナ!!」
「何よ!!」
 走りながら、ガウリィがリナに声をかけた。
「フィリアの回復は間に合ったんだろ!!なんで、アメリアは起きないんだ?!」
「そのフィリアが言うには、心がこっちに戻ることを望んで無いかもしれないんですって!!」
 その叫びに、誰も、何も言わずに、後はただ走りつづけた。


 ―暗い。暗い。ここは、どこ?
 ―あの人はどこ?
 ―また、私を置いて行ってしまったんだろうか?
 ―そんなの、正義じゃないです。
 ―連れて行ってほしい、って言ったのに。
 ―返事もせずに、消えるなんて。
 涙が、こぼれた。置いて行かれたことが辛くて、悔しくて、情けなくて、自分がいやになる。
 暗闇で、道が分からないままに、ただ泣いていた。
 もう、なんにも分からない。
 ―いいや。帰っても、私ではいられないんだから。
 そう思ったとき、頭上から強い声が降ってきた。
「アメリア!!いい加減に起きないと、置いていくぞ!!!」
「いやです!!!」
 反射的に答えて、目を開いた。
 そうして、彼女は望んでいた人に、再会する。

 目の前に、ゼルガディスの顔があった。別れた時と変わらない、岩の肌に極細の針金の髪。その顔に安堵の表情を乗せて、そっと、アメリアの髪に触れた。
「ゼ、ルガディス、さん?」
 髪をなでられている感覚があるというのに、それでも信じられなくて、その名を呟いてみる。
「なんだ?」
 返ってきたのは、ぶっきらぼうな、それでも耳に心地よい、声。
「ゼルガディスさん」
 今度は、確信に声がもれ出る。ベッドの傍らに片膝をついていたゼルガディスが、その身をアメリアに寄せた。
「ゼルガディスさん!」
 差し出された腕に、体ごとしがみついた。ゼルガディスが困ったように笑いながら、アメリアの体をベッドの上に起こしてやる。そして、その横に自分も腰掛ける。
「約束通り、嫁に行く前だったろう?」
 どこかおかしそうに、ゼルガディスが咽を震わせた。その様子に、つい、すねてみたくなる。
「でも、遅いです!もうちょっとでお嫁に行かされるところでした!!」
 さらには、ゼロスにスップラッターにされるは、偽者にキスされるは、散々だったはずのくせに、この時のアメリアは舞い上がっていて気づいていない。
 ただ、ゼルガディスのマントの端を握って、ぷぅ、と頬を膨らませる。
 その様子に、ゼルガディスが微笑んだ。何よりも大切な存在が、ここに或ることに安堵する。
「結構、急いできたんだがな」
 くすくすと笑いながら、涙の後が残るアメリアの顔に、そっと指を走らせる。途端に、アメリアの顔が真っ赤になる。久しぶりなので、免疫が追いつかないようだ。
「でも、遅かったです!!」
 赤い顔をごまかすように、大きな声を上げてみた。その時、ゼルガディスの顔に違和感を覚えた。いつもと同じなのに、どこかが違う。じっと、その顔を覗きこんだ。
「・・・・・…ゼルガディスさん。目…?」
「ん、ああ。なんか、色が変わってな。似合うか?」
「はい!」
 彼女にとって、ゼルガディスの外見は、大した問題ではなかった。ただ、彼が自分の傍にいることだけが嬉しかった。周りのことも見えていなかった。だから、傍に腰掛けているゼルガディスに思いっきりしがみついた。
「お、おい、アメリア…!!」
 動揺したゼルガディスの声が上から聞こえるが、気にしない。せっかく久しぶりに会えたのだから、思いっきり甘えたかった。それなのに・・・・・・・…。
「あの〜。盛り上がってるとこ悪いんだけどさぁ、アメリア。そろそろ、いいかなぁ?」
 遠慮がちなリナの声に、アメリアは初めて周囲に人がいることに気がついた。

「あ〜……、アメリア。とにかく、気がついて良かった。わしは、心配したぞ」
 娘が、家族以外の男性にしがみつく、という光景を見せられてさすがのフィリオネル王子も言葉を詰まらせている。
「ご、ごめんなさい。とーさん。心配かけて・・…」
 対する娘の方も、父親の前だったと気がついて、真っ赤になりつつしどろもどろに答えた。
 周りで見ているほうにも、心臓に悪い。まさしく、娘の彼氏とのデート現場を目撃してしまった親子の会話!である。しばらく、気まずい沈黙が続いたが、近衛兵がフィリオネル王子を呼びに来たことで、それは終わった。
 やや不満げではあったものの、フィリオネルが部屋を後にする。いつもハイテンションな親子が、ローテンションな対面をしたために、どうもすっきりしないようだ。その複雑な胸中を物語るように、肩はがっくりと落ちている。
 そんなフィリオネルを心配してか,ヴァルが一緒に部屋を出ていた。意外な気がするが,ヴァルはすっかりフィリオネルになついてしまっているのだ。
 フィリオネルが部屋を静かに出て行ったとき、その部屋にいたもの全てが一様に大きく息を吐いた。特に大きかったのは、当人達のようだったが。

「さて、アメリア。やっとゼルに会えたご感想は?」
 にやにやと、面白そうな表情を浮かべて、リナがアメリアのベッドの横にある椅子に座った。その言葉に、アメリアの顔が真っ赤になる。ゼルガディスは、内心の動揺をごまかすためか、手近にあった果物籠からりんごを取り出して、一口かじる。
「そ、な!や、だなぁ。こ、ここで言える訳無いじゃないですかぁ!!」
 そう言いつつ、くるり、と視線を部屋に巡らせた。未だにベッドの上に座り込んで、傍にいるゼルガディス。隣に座ったリナ。その傍らに椅子をもってきて座るガウリィ。部屋においてあるソファに腰掛けて、何かを読んでいるのは懐かしのフィリア。
 そして………・。
 視線が、レイスの上で止まった。隣には見たことの無い、少女(以前聞いた、彼の盲目の妹、ルーシャであろう)。その瞳が驚愕に開かれる。そのまま、ゼルガディスの背中に隠れるように寄り添ってきた。
 その様子を見て、ゼルガディスが怪訝そうに目を細めた。説明を求めるようにリナを見る。
 その顔が、気まずそうに歪む。ぽりぽりと、頬をかきながら、リナが言いにくそうに声を出した。
「…えっと、なんて言ったら言いのか、な?え〜と、ね。アメリアが婚約者選びのパーティに出たことは知ってるよね?」
 しどろもどろの言葉に、嫌な予感を覚えつつゼルガディスが頷いた。
「それでね、ゼロスの乱入でうやむやになったんだけど・・・・・・…。一応、彼がアメリアの婚約者〔仮〕に選ばれた訳……・・」
「………で!」
 それだけでは、アメリアのこの反応は納得できない。視界の隅に、青ざめて有らぬ方向を見つめているレイスの姿が見えた。
「なんだ、リナ。もう忘れたのか?俺は覚えてるぞ。確か、誓いの儀式でレイスがアメリアにキスしたんだったよな」

 静寂。
 あまりにも、のほほんとした口調で言われたので、その場にいたもの全てが、何を言われたのか分からなかった。
「ばっ!ガウリィィィィィィ!!あんたは、いらんことだけ覚えて、しかも喋るなぁぁぁぁ」
 涙声になったリナが、ガウリィをしばき倒そうとした、その時。
 ぐわしゃ!!!
 ゼルガディスが持っていたりんごを握りつぶした。
 色違いの瞳が、危険な色を帯びて輝く。
 その瞳が、こっそりと部屋を抜け出そうとするレイスを捉える。
 カカカカ!!!
 数本のナイフが、ドアノブに手をかけたレイスの周囲に突き立った。
 泣きそうな顔でレイスが振返ると、そこには怒りに半眼を閉じているゼルガディスの姿があった。
「……・・どこに行く気だ、レイス?」
 優しいとさえ思わせる口調で、ゼルガディスが囁いた。
「ああぁぁぁ!!兄さんが本気で怒ってるぅぅぅぅぅ!!」
 絶望的な悲鳴を上げつつ、じりじりと迫るゼルガディスから体を遠ざけようと、必死で扉を探ろうとした。しかし、その手を握った者がいた。
 視線を横に向けると、ゼルガディスと同じような表情をしたルーシャが彼の手からドアノブを守るようにその前に立っていた。
「ルーシャ!!あ、あれは、違うんだ!やむを得ず…!!」
『問答無用!』
 にっこり笑ったゼルガディスとルーシャの声が重なった。その瞬間、レイスは自分の体が宙を舞っているのに気がついた。
 いつにまにか接近したゼルガディスが彼の体を掴んで投げ飛ばしたのだ。
「いきなりぃぃぃぃい!!?」
 空中で、軽く身をひねって猫のように床に着地する。その身のこなしに、リナ達が息を飲んだ。ただの貴族の坊ちゃんの反応では無い。
「何者よ!?あの子は!」
「ちっ。身のこなし方だけは上手くなりやがって」
 リナの叫びを無視して、ゼルガディスがつまらなそうに吐き捨てた。
 レイスが、腰を低く落としながら、ぺろりと唇をなめた。
「僕だって、だてに7年間やっていた訳じゃないよ」
 挑戦的な口調に、ゼルガディスがふふん、と鼻でわらった。
「それで?」
 呟くと、一気にレイスとの間合いを詰めた。そのスピ−ドにレイス反応が遅れる。
「遅い!!」
 襟首をつかみ、その体を床から引きぬくように持ち上げた。そしてそのまま、開いていた窓の外へ勢いよく放り投げる。
「う、わあああああぁぁぁぁぁ…・・」
 悲鳴が、だんだんと小さくなって行く。その様子に、リナ達がはっと我に返った。
「ちょ、ちょっと、ゼル!!いくらなんでもやりすぎよ!!ここは五階なのよ?!」
「そうですよ、ゼルガディスさん!!死んじゃったらどうするんですかぁぁぁ!!」
「あああ、火竜王の巫女たる私が止められなかったぁぁぁぁぁ!!」
 それぞれに勝手なことを言っている女性陣を無視して、ゼルガディスはルーシャの手を引いて、レイスを放り出した窓に近づいた。
「ルーシャ」
「はい,兄さん」
 ゼルガディスの呼びかけに,心得たようにルーシャが小さなナイフを取り出した。それを受け取って,ゼルガディスがその窓枠に指を滑らせた。
「ゼル?何やってんの?」
 興味津々の女性陣(まだ動けないアメリアをのぞく)が、ゼルガディスの横から窓の外を覗きこんだ。そこには、三又に分かれた鉤づめが引っかかっていて、その先から伸びたロープの先にレイスがしがみついている。
 レイスが上を見上げた。目に涙を浮かべて,必死で登ってきているのだが、その瞳がゼルガディスとルーシャを認めた瞬間、はっきり泣き始めてしまった。
「わぁぁぁぁぁ!!もう、許してよ。ルーシャ!!にいさぁぁぁぁぁぁん!!」
『却下!』
 二人は軽く呟くと、ゼルガディスが無表情にそのロープを切った。
「ひどいよおおおおぉぉぉぉぉぉ………」
 抗議もむなしく,ただ落ちて行く。
 その様子を唖然とした表情で見つめながら、リナが呆然と呟いた。
「い、いいの?」
「あいつは、あれぐらいじゃ死なん。なぁ、ルーシャ」
「そうね、兄さん」
 その言葉に,これまでのレイスの日常を垣間見たような気がして、その場にいた者全員が、不幸な青年に同情した。

「うっ、うっ、ひどいよ、二人とも」
「アメリアに手を出すからだろう」
「そうね」
 返ってきてから泣きつづけているレイスに対するゼルガディスとルーシャの反応は、あくまで冷たい。しかし、どうやってあの高さから落ちて無傷なのだろうか。などと思いつつ、リナが助け舟よろしく声を出した。
「まぁまぁ。殺されなかっただけましと思いなさい。あんたがゼルの弟じゃなかったら、間違いなく血を見てるわよ」
 リナの言葉にガウリィ,フィリアが頷いた。アメリアだけは,真っ赤になって俯いている。
 しかし、ゼルガディス、レイス、ルーシャの三人は、当惑したように顔をみあわせた。
「弟?誰が?」
 きょとんとした表情のゼルガディスの言葉に、全員が戸惑った。
「だ、だって、レイスがゼルガディスのことを“兄さん”て呼んでるから・・・・・・・…」
 ガウリィの言葉に,ゼルガディスは軽く手を打った。
「ああ、それでか。違う違う。昔からこいつがそう呼んでるだけで,別に兄弟じゃない。レイスは俺の父方の従弟で,ルーシャは近所に住んでた子だ」
『従弟に,ただの幼馴染ィィィィ?!』
 その場にいた全員の声が揃ったとき,部屋にヴァルが飛びこんできた。
「ゼルにぃ!!ゼルにぃのとこの叔父さんが大変だって!熊おじちゃんが、みんなを呼んでこいって!!」


                   Go To Next
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 ふぅ。やっと,オリキャラさん達の正体が分かってきましたね。
長い,道のりでした。っていうか,こんなに長いものを読んで下さっている方は大変だろうなぁ,などと思ってます。思ってるんですけど・・・・・・・・,なかなかまとまらなくて,すみません。
 そんなこんなで、まだまだ続くような気もしますが,最後まで付き合っていただければ,幸いです。
 しかし,私のラブラブは,今回のが限界かもしれない・・・・・・・・・。どうして,お邪魔を入れたくなるんだろう?

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7141Re:お久しぶり♪絹糸 6/30-16:11
記事番号7139へのコメント


 こんにちは〜♪絹糸でーす。けっこう久しぶりに感想しまーす。最近やたらと忙しくてここになかなか来れない・・・。今後いつ来れるかもわからないんで多めに感想を書こう。ってもわたしの感想ってほとんどつっこみなんですよね・・・

>「ルーシャの目,レゾ様なら治せるかもしれないって……。」
 やっぱり。
 レゾを頼って来たとは思ってたんだ♪

> レゾの研究については、ゼルガディスも補佐をしていた。そのため、その研究についても一応の知識がある。
 あ!わたしもこの設定考えてました!

>「………う、うっく。……さん。…・・にぃ、さん……。う、ああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 なに!?にいさん?ルーシャはレイスの恋人だと思ってたのに!三人とも兄弟!?(感想書いてる時点でもう正体知ってます)


>「アメリア!!いい加減に起きないと、置いていくぞ!!!」
>「いやです!!!」
> 反射的に答えて、目を開いた。
> そうして、彼女は望んでいた人に、再会する。
 早!復活早いなアメリア!もっとかかるかと思ってたのに。
 でも早く再会してほしかったからいいや(はあと)

> 動揺したゼルガディスの声が上から聞こえるが、気にしない。せっかく久しぶりに会えたのだから、思いっきり甘えたかった。それなのに・・・・・・・…。
>「あの〜。盛り上がってるとこ悪いんだけどさぁ、アメリア。そろそろ、いいかなぁ?」
> 遠慮がちなリナの声に、アメリアは初めて周囲に人がいることに気がついた。
 まさに恋は盲目♪

>意外な気がするが,ヴァルはすっかりフィリオネルになついてしまっているのだ。
意外だったな〜。あ!でもフィリアのパワフルさと何かしら似ているところがあるかもしれない。もしかしたらフィルさんって竜っぽいのかな?


>「なんだ、リナ。もう忘れたのか?俺は覚えてるぞ。確か、誓いの儀式でレイスがアメリアにキスしたんだったよな」
 だああああああああ!!ガウリィ!あんたわなんということをおおおおおお!!!


> ぐわしゃ!!!
 ひっ!?

> カカカカ!!!
 はうっ!!

>「……・・どこに行く気だ、レイス?」
> 優しいとさえ思わせる口調で、ゼルガディスが囁いた。
 恐ひ!とことん恐い!ゼルがこんなに怒ったのは初めて何じゃなかろうか・・・?

>ゼルガディスはルーシャの手を引いて、レイスを放り出した窓に近づいた。
>「ルーシャ」
>「はい,兄さん」
> ゼルガディスの呼びかけに,心得たようにルーシャが小さなナイフを取り出した。それを受け取って,ゼルガディスがその窓枠に指を滑らせた。
 長年の付き合いに言葉は不要ですか・・・ってなんでナイフを持ってんのルーシャ!

>三又に分かれた鉤づめが引っかかっていて、その先から伸びたロープの先にレイスがしがみついている。
 この三人どうゆう子供時代を過ごしてたんだろう・・・。
 ん?でもゼルは子供の頃一族皆殺しされて、それでレゾのとこに行ったんだから・・・いつ遊んでたんだろう?


>「ゼルにぃ!!ゼルにぃのとこの叔父さんが大変だって!熊おじちゃんが、みんなを呼んでこいって!!」
 く、熊おじちゃん・・・・。ヴァル、ナイス表現!この人はお・う・じ様ってわかってる?


> ふぅ。やっと,オリキャラさん達の正体が分かってきましたね。
 あとは悪のおじさん(笑)ですな。大変ってなにが大変なんだろう。
 ゼロスがまた何かしたのかな?それとも裏でおじさん自身が何かやってて、自業自得的な事が起こったとか・・・

>長い,道のりでした。っていうか,こんなに長いものを読んで下さっている方は大変だろうなぁ,
 いや、そんなに大変じゃないですよ。話の展開がおもしろいし、文も読みやすいし・・・うらやましひ

> そんなこんなで、まだまだ続くような気もしますが,最後まで付き合っていただければ,幸いです。
 付き合いましょうどこまでも!・・・何回か言った気がする台詞です。

 毎回欠かさず感想(つっこみ)書くつもりだったのに、ごたごたあって書けませんでした〜。すいません。しかも自分の作品が全っ然進まないし・・・ああ!わたしの大バカ!
 気を取り直して、
 やっと再会したゼルとアメリア、いきなりラブラブ(はあと)。ゼルの新たな過去が垣間見えたり、ラグナブレードが使えたり、なんとも心躍る展開じゃあございませんか!
 初投稿でこんな高度な話が書けるとはもう脱帽っすよ!わたしもがんばらねば(できるのだろうか・・・)

 それでは久々に、勝手気ままな詩。どうぞ!

A
 目が見えなくて
 音も聞こえなくて
 何もかもが嫌になって
 それでも聞こえた
 あの人の声

Z 
 やっと会えた
 やっと聞けた
 今は手が届く
 安らげる場所に
 



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7160お待ちしておりました!!なゆた E-mail 7/2-22:46
記事番号7141へのコメント

> 最近やたらと忙しくてここになかなか来れない・・・。
  た,大変なんですね。がんばってください。

>ってもわたしの感想ってほとんどつっこみなんですよね・・・
 突っ込み,大歓迎!!お手やわらかにどうぞ…。

> やっぱり。
> レゾを頼って来たとは思ってたんだ♪
 あ、やっぱりばれました。うむ。分かり安すぎたかな?


> 早!復活早いなアメリア!もっとかかるかと思ってたのに。
> でも早く再会してほしかったからいいや(はあと)
 彼女は精神が強くできてます。なんたって、ヴァルガーヴの精神攻撃の最中命の賛歌をうたえるぐらいですから(-_-;)


> 長年の付き合いに言葉は不要ですか・・・ってなんでナイフを持ってんのルーシャ!
ゼルが投げたナイフをこっそり引きぬいて……。

> この三人どうゆう子供時代を過ごしてたんだろう・・・。
> ん?でもゼルは子供の頃一族皆殺しされて、それでレゾのとこに行ったんだから・・・いつ遊んでたんだろう?
 それはまたのちほどに・・・…ちゃんと明らかにしますので,お待ちください。

> いや、そんなに大変じゃないですよ。話の展開がおもしろいし、文も読みやすいし・・・うらやましひ

 そ、そんなに誉めないでください!!調子に乗ってしまいそうですから!!

> 付き合いましょうどこまでも!・・・何回か言った気がする台詞です。
 はい,何回も言われたような気がします・・・・・・・・・。

> 毎回欠かさず感想(つっこみ)書くつもりだったのに、ごたごたあって書けませんでした〜。すいません。しかも自分の作品が全っ然進まないし・・・ああ!わたしの大バカ!
 いえいえ、無理をなさらずにのんびりと見に来てやってください。絹糸さんの作品も,のんびりとお待ちしておりますので。

> 気を取り直して、
 はいは〜い♪

> やっと再会したゼルとアメリア、いきなりラブラブ(はあと)。ゼルの新たな過去が垣間見えたり、ラグナブレードが使えたり、なんとも心躍る展開じゃあございませんか!
 なんかもう,ゼルガディス天下無敵って感じですな・・・・…。

> それでは久々に、勝手気ままな詩。どうぞ!
 やった〜!!
>
> A
> 目が見えなくて
> 音も聞こえなくて
> 何もかもが嫌になって
> それでも聞こえた
> あの人の声

 はい。彼女はどこにいてもゼルガディスの声はわかります。
 愛ですね、愛!!!

>
> Z 
> やっと会えた
> やっと聞けた
> 今は手が届く
> 安らげる場所に
> 
 さぁ,ゼルガディス!!手を出しまくるのよ!!(爆)

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7152よかったよかった(^^)昂也 E-mail 7/2-03:45
記事番号7139へのコメント

ちょっとご無沙汰してるうちにツリーが落ちてもてて、遡りましたよ(笑)。
しかし!!やっと皆そろってやった〜!!って感じです。
さらに長くなりそうな感じとのことですが、楽しみにしてますので頑張ってください。
いつもながら短い感想ですみません(笑)。

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7161本当に、ですねなゆた E-mail 7/2-22:49
記事番号7152へのコメント

昂也さんへ
>ちょっとご無沙汰してるうちにツリーが落ちてもてて、遡りましたよ(笑)。

 わざわざありがとうございます!!

>しかし!!やっと皆そろってやった〜!!って感じです。
  
 そうなんです。そろいすぎて、書いてるのが結構大変なんです。
 だって、名前を呼ぶときにアメリアとフィリアはかぶるし、ガウリィはなんか台詞少なくなってるし。
 無、無制限に増やしすぎたかも・・…。と、今ごろ後悔しております。

>さらに長くなりそうな感じとのことですが、楽しみにしてますので頑張ってください。

 はい!!ちゃんと書き上げますので、最後までよろしくお願いします!!
>いつもながら短い感想ですみません(笑)。

 いえいえ、嬉しいです。これからも書きこんじゃってください!!


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7165贖罪の時31なゆた E-mail 7/2-23:25
記事番号7139へのコメント

「一体どういう事なの,ヴァル?あのおっさんが,どうかしたの?」
 ジャベルがどうなろうと知った事ではない,という思いを言外にこめて,リナが息を切らしているヴァルに尋ねた。ヴァルが,小さく首をひねる。
「う〜んとね、今ね,昨日のゼロスの事で、たくさんのおじさん達がお話してたんだ。そこでね,ゼルにぃの叔父さん?がね、ゼルにぃの事を悪く言ってるんだって」
 しどろもどろのヴァルの言葉に、その場にいた全員が呆然とした。呆れて,声もでないのだ。
 元々の知り合いらしいゼルガディス達3人を始め,今回のパーティでの詐称を知っているリナ達3人,そして、今までの事情を端的に説明されているフィリアも呆然としている。
 話をしている大勢とは,恐らく各国の代表者達と,セイルーンの重臣達であろう。
 最初に反応をしたのは,リナだった。頭をがしがしとかきむしる。
「あんの、くそおやじはぁぁぁぁぁぁ!!!!!!どこまで引っ掻き回せば,気が済む訳ぇぇぇぇぇぇ?!!!!」
「リナさん,リナさん,落ち着いてください!!ヴァルがびっくりしてるじゃないですかぁぁぁ!!!」
 フィリアの腕に庇われたヴァルが,リナの勢いに目を潤ませている。
「あ、…あはははははははは!!!そ,そんなにこわがんなくてもいいわよ〜。ね、ヴァ〜ル(はぁと)」
 リナが慣れない猫なで声を出してみたのだが、さらにヴァルを警戒させてしまった。フィリアの袖に隠れるように、その体をリナから遠ざける。
 呆れたように,ゼルガディスがため息をついた。
「まったく,余計に怖がらせてどうする。ヴァル、来い」
「そうですよ。慣れないことなんてするから,ヴァル君も怖がるんですよ。ね?ヴァル君」
 ゼルガディスの呼びかけに近づいてきたヴァルを抱き上げて,アメリアがにっこりと微笑みかけた。
 そうしている様子は,まるで仲のよい親子の様だった。それに安心したのか、ヴァルがこくり,と頷いた。
「……いい根性してるじゃないの。このちびドラゴン!!」
 バックに炎を背負ったリナが、ひそかに拳を握り締めた。態度だけで,あのリナを挑発できるのだから,きっと将来は大物であろう。
「えっと、それで,ヴァル君。そのジャベルって人の言う事、みんな信じちゃってるのかな?」
 何とか気を取り直そうと,レイスがヴァルに優しく声をかけた。その声に,ヴァルが小さく頷いた。
「それでね、熊おじさんがね、そんなこと無いって。だから、なんか“証人“としてみんなを呼んでこいって,熊おじさんが言ったの」
 その言葉に,全員が一瞬反応できなかった。
 ゼルガディスが裏の世界に身を置いていたことは、レイスとルーシャを除いて、この場にいる全員が知っている。だから,もしその証言の場で,彼の過去について聞かれたら。
 彼は,精錬潔白,という身の上では無いのだ。
「………兄さん?どうしたの?」
 周囲の沈黙に,不安そうにレイスが声を出した。ルーシャもまた,不思議そうに首を傾げている。
 彼らは知らない。彼らが「兄さん」と呼ぶ人物が,今まで何をしていたのかを。特に気にしている様子はないのだが,どうして彼が今の姿になったのかをも。
 彼らに,伝えるべきかどうか。それを決めるのはゼルガディスだ。
 その部屋にいた全員が,沈黙を守るゼルガディスに注目した。

「…………ゼルガディスさん」
 ゼルガディスの傍にいるアメリアが,心配そうな声を出した。
 そんなアメリアに,ゼルガディスはふっと笑って見せた。
 ぽんぽんと、ガウリィがリナにする様に,その頭を軽く叩く。
「…・・そんな声を出すことは無いだろう?フィルさんが呼んでいるんだ。行った方がいい」
 そう言うと、そっとアメリアの隣から立ちあがった。
「さて、とりあえず俺は当事者だから,行かないとな。それと、リナとガウリィ。ついてきてくれ。アメリアはまだ無理する訳には行かないから・・・・・・…」
「私も行きます!!!」
 アメリアが叫んで,立ちあがろうとした。が、途中でガクリと体がゆれる。そのままベッドに倒れこむ寸前に,ゼルガディスに抱きとめられた。
「無理をするな。一度,足の腱を切られているんだ。まだ感覚が戻っていないはずだろう」
「でも!絶対についていくんです!!!」
 抱きとめたゼルガディスの腕にしがみついて,下からその瞳をのぞきこんだ。
 もう一度この腕を離せば,置いて行かれる気がした。まだ夢の余韻を引きずっていたのかもしれない。だから、さらに強くその腕にしがみつく。
 ゼルガディスが,少し照れたようにアメリアをベッドにおろした。そして、わざとらしくため息をつく。
「まったく,言い出したら聞かないのは相変わらずだな。…・・しょうがない。おとなしくしていると,約束できるか?」
 どこか、子供に言い聞かせるように,優しく囁いた。その言葉にアメリアが素直に頷く。その様子にゼルガディスが満足したように頷き返し,その視線をレイス達に向けた。
「お前達は,部屋に戻っていろ」
 さらり,と言われた言葉に,レイスが目を見開いた。何か反論しようと、口を開きかけたとき。隣でおとなしく座っていたルーシャが,唐突に声を出した。
「……どうして?ただ,兄さんが兄さんだ,ということを証明しに行くだけなんでしょう?だったら、私達がいたほうがいいんじゃないの?」
 どこか不安そうな声。
 その声にレイスの声も重なる。
「そうだよ!!兄さんの事を証明するなら,僕らがいた方がいいはずだよ?!なのに,なんで!!」
 ゼルガディスに信用されていないのかもしれない―そんな思いが,今彼らの心を占めていた。
 そしてなによりも、彼をジャベルと会わせる事に不安を覚えていた。
「兄さん・・…。兄さんが―――嫌ってるって事は知っているけど……。何かするつもりなの?だから,僕達は行かない方がいい、と思っているの?」
 質問,というよりは,確認。その言葉の内容に、ゼルガディス以外のもの達が彼を見た。
 注目の中,ゼルガディスがさらり,と前髪を払った。
「・・・・・…罪には,罰を。だから,お前達は来ない方がいい」
 レイス達,というよりも,レイスの方を見つめて、ゼルガディスが苦しそうに言葉を出した。
 意味不明の言葉。
 けれど,それだけで彼らには伝わったらしい。
 レイスが,俯いて唇をかみ締めた。血が,滲む程に強く。

 しばらくの静寂。
 レイスが,ゆっくりと顔を上げた。
 その顔は,少々血の気が引いていたが,瞳には強い決心の光が見て取れた。
「僕も,行く。行って,全てを見届ける。それは,兄さんにも,止めさせない」
 レイスの言葉に,今度はルーシャも口を開いた。
「私も,行きます。……・・兄さんは,真実を教えてくれるんでしょう?」
 その言葉に,今度はゼルガディスが唇をかんだ。
 彼にとって,彼らは家族と呼べる唯一の存在だった。だからこそ、人を殺してしまった後連絡を絶っていたのだ。血に汚れた自分を,見せたくなくて……。それなのに。
「………行けば,知らなくていい事を知る事になる。気付かなければ幸せに過ごせる事が、明らかになる。傷ついて,苦しい思いをする事になるぞ?」
 最後の忠告。聞くはずはない,と分かってはいるが、言わずにはいられなかった。
「…・・知らずに生きて行けるほど,私はおとなしくないわ」
 ルーシャがふっと微笑んだ。答えは,半ば想像通りだった。しかし,レイスの答えは想像をはるかに遠く,超えていた。
「兄さん。僕は兄さんの気持ちを尊重するよ。だから、兄さんがいいと思うようにやって。その権利が,……兄さんには,ある。だから・・・・・・…」
「レイス!お前,知って・・…?」
 リナ達が,ゼルガディスと似ていると思った微笑みを浮かべて、レイスが驚きに声を無くしているゼルガディスの前に膝を折った。
「正当なるル・アース大公の判断に、全てをお任せいたします」

『正当な大公ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!!!!』
 意味不明の言葉の羅列に、やや呆然としていたリナ達の声がはもった。(約一名,眠っている人物を除いてだが)。その声に,眠っていたガウリィがのそりと身を起こした。
 そんな事を無視して,リナ達の声が部屋中に響き渡る。
「ちょち、ちょ、っと待ってよ!!何?ゼルって,本当にル・アースの大公やってたの?!!」
「そ、そそそそんなこと、っちょ,調査の段階では、欠片も出てきませんでしたよぉぉぉ!!」
「え?えええ?!!えええぇええぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「……ほ〜。すごいなぁ,ゼルガディスはぁ」
 混乱しつつも,確認を取ろうとするリナ。
 ただひたすら過去を遡り、現実をなかなか受け止められないフィリア。
 何を想像したのか、真っ赤になって声を出すだけのアメリア。
 何も考えて無いような,ガウリィ。
 全員の声の大きさに,ゼルガディスが顔をしかめながら両耳をふさいだ。
 それにもかかわらずに,女性陣たちは小さく固まってひそひそと話をはじめた。
「ちょっと!信じられる?ゼルが公子やってたなんて!」
「ちょっと,イメージがわかないですよねぇ」
「でもでも、前から礼儀作法とかに細かかったじゃないですか?」
「そんなの,レゾにでも仕込まれたのかと思ってたわよ!」
「でも、赤法師の血を引いているゼルガディスさんが,どうして公子,いえ大公なんでしょう?」
「え?ええ!じゃぁ,やっぱり王子様ルックとかしてたんでしょうか?」
 全員,無言で空を見上げた。そこに思い描くのは,エリザベスカーラーを付け、白タイツをはいて,白馬に乗ったゼルガディスがにこやかに笑っている図だった。

 一拍の間。
 そして、部屋は爆笑に包まれた。
「ぶわはははははははは!!!似合わない!!似合わない!王子様ルックはやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
「ぷぷぷぷぷ!!リ,リナさん!そ,そんなに笑ったら,・・く、くくくくうく!!」
「そ、そうですよぉ!!そんなに笑うことないじゃないですかぁ!!!」
 真っ赤になってアメリアが抗議するのだが,二人ともまったく聞いていない。どうも,彼女達のつぼにヒットしてしまった様だ。
 なおも笑いつづける二人に,アメリアがおろおろしていると,背後からカオスワードが聞こえてきた。
――――――大地の底に眠り在る 
             凍える魂持ちたる覇王
・・・・・・・…
「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ゼルガディス!!それは止めてくれ!!」
「そうだよ,兄さん!そんな事したら、さすがのリナさんでも死んじゃうかもしれないじゃないかぁぁぁぁぁぁぁ?!!」
「離せ、ガウリィ,レイス!!!一発食らわせてやる!!!」
 いきなり呪文を唱え出したゼルガディスを,ガウリィとレイスが背後から必死で抑えこむ。
 リナとフィリアが青ざめた顔で笑うのをやめた。
「あ、あはははは!!やだなぁ!ゼルったら!じょ、冗談だってば!!」
「そ、そうですよ!そんなリナさんみたいな反応しないでくださいぃぃぃぃぃ!!」
 フィリアの台詞に,暴れていたゼルガディスがぴたり,と止まった。
 そして,あきらめたようにため息を吐くと抱えていた二人の腕を軽くたたいてはずさせた。
「………そうだな。リナの様になったら,終わりだな」
「……・・どういう意味だ、おひ!!!!」
 あからさまにため息をつくゼルガディスに,リナがこめかみを引きつらせた。
 が、ゼルガディスはそれを無視してレイスとルーシャに向かい合った。
「もう,ガキじゃないんだったな・…。いいだろう、お前達が望む通りにすればいい」
『はい!!』
 レイスとルーシャが、覚悟を決めた様に頷いた。その顔は幼さを残しているとはいえ,確実に大人への階段を上り始めている。
 彼の知っている彼らは,もっと幼くて、いつも人の後ろを歩いていた無力な子供だった。しかし,人は成長する。その「成長」ということに、ややほろ苦い笑みを浮かべつつ,ふとゼルガディスが有らぬ方向に目を向けた。
「ゼルガディスさん?どうかしましたか?」
 傍で見ていたアメリアが気付いて,声をかけた。しかし,ゼルガディスは人差し指を口に当て,黙る様にと知らせると、再びどこかに視線をさまよわせた。
「……・・やはりお前か,ゼロス。隠れてないで出てきたらどうだ?」

「う〜ん。やっぱりばれてました?」
 ゼルガディスの言葉が終わると同時に,突然ゼロスが現れた。それこそ、何も無い所から,突然。
『ゼロス(さん)!!!??』
「な,生ごみ魔族!!!」
「昨日の…!!!」
 あらかじめ知っていたゼルガディスと,目の見えないルーシャ以外の全員が、驚きに身を引いた。
 その様子を見て,ゼロスが力なく笑う。
「やだなぁ、そんなに引かないでくださいよぉ。なんだか,僕が幽霊みたいじゃないですかぁ」
 相変わらずのおっとりした口調に,まずフィリアが切れた。
「幽霊の方が千倍,いえ万倍ましですわ!!!あなたみたいな極悪非道の魔族が現れて,にっこり笑顔で迎えられるわけないでしょう!!!!」
「いえ、別に笑顔で迎えてほしい訳じゃないですけどね」
「いけません,ゼロスさん!!そのような暗い考えでは、いつまでたってもまともな人間にはなれません!!ここは、もっと人の人気を得るような行動を!!!」
「…・・魔族の僕が,人間に好かれるって言うのは、ちょっと・・・・・・…」
「ともかく!!!あんたは昨日アメリアにあれだけの事をしでかしといて、のほほんとした顔を出すんじゃ無いわよ!!!今すぐ消えないと,この場でラグナ・ブレード食らわせるわよ!!!」
「ひぇぇぇぇ!!それはご遠慮します!!」
 わざとらしい悲鳴を上げながら,やおら増幅呪文を唱え始めたリナから遠ざかった。
「ちっ!逃げるな,ゼロス!!」
「逃げますよ!!普通!!!!」
「まぁまぁ,落ち着けって,リナ。で、ゼロス。ひどいダメージを受けているはずのお前が,俺達に何のようだ?」
 ガウリィがいきり立つリナの両肩を抑えながら,ゼロスに隙のない目をむけた。その瞳が,今のゼロスの状態を探っている。
 その事を感じとって、嘘は通じないと思ったのか、ゼロスが軽く肩をすくめた。
「僕もゆっくり養生したかったんですけどね、獣王様がね、あの報告じゃ休みはやらないって・・…。もっとまともな報告をもって来いって,追い返されましてね…。僕だって,がんばってるんですけど・・…いいんです……僕なんて,いつまでたっても管理職で・・…」
 ぶちぶちと呟きながら,部屋の隅で“の”の字を書き始めてしまった。
「だぁぁぁぁぁぁ!!!!あんたの管理職愚痴なんか聞いてんじゃないわよ!!!だから、それはゼルにも分からないって言ってるでしょうがぁぁぁぁ!!!」
 あまりの暗さに、周囲にきのこでも生えてきそうなゼロスの雰囲気を、吹き飛ばすかのようにリナが怒鳴った。
「でもですねぇ……・・」
「聞かない!!」
 なおも何かを言おうとしたゼロスの言葉を,リナが一瞬で封じた。それに,ゼロスが再びいじけモードに入りこむ。。
「…・・僕なんて,リナさんの都合のいい時にしか相手にされなくて…。なのに、ぼくがちょ〜っと協力してほしいっていっても、無視するんですね……。うっうっうっ…・・」
「そういう、うっとうしい泣きまねは,もういい」
 放っておけば,ひたすらに愚痴を言いそうなゼロスの背中に,ゼルガディスが低い声をかけた。その言葉に,ゼロスがゆっくりと立ちあがる。その表情はいつもの、何を考えているのか分からない笑顔。

 ゼロスとゼルガディスが向かい合った。
 紫の瞳と、赤と青の瞳が静かにぶつかる。
 その二人の間に漂う緊張感に,全員が息を飲んだ。
 沈黙を破ったのは、ゼルガディスの軽い舌打ちだった。
「要するに,今回の事で、獣王が満足する報告ができない限り,お前は俺に付きまとう気なんだな?」
 心底嫌そうなゼルガディスの言葉に,ゼロスは軽く肩をすくめて見せた。
「僕としては、早く終わらせたいんですけどねぇ。ちゃんとやらないと、獣王様にしかられちゃいますから(はぁと)」
 その言葉に,ゼルガディスが額に指を当てた。何かを考え込む。
 数瞬の後,ゼルガディスはため気をついた。
「報告の内容は?」
「ゼルガディスさんが,どうしてあの御方の力を使えたのか。それと,枷が完全に外れた場合のその力量、ですね」
 ゼロスの言葉に,再びゼルガディスがため息をついた。
 妥協を決意する。
「……俺の憶測でいいなら,前半の報告内容をくれてやろう」
「あなたの事だから,条件があるんでしょうね?」
 これまた,悟りきったような表情で,ゼロスが陰鬱に呟いた。
「当然だろう?」
 そして、懐から小さなかぎを取り出すと,ゼロスの目の前にかざした。
「ここから約1200キロ離れた国、レスト王国のダレンという街の酒場に、あるものを預けている。それを、大至急持ってきてくれ」
「大至急・・・・・…って、いつまでですか?」
「遅くても、2時間以内」
 その返事に,ゼロスがわずかに顔をしかめた。
「…・・もしかして,そのために僕を呼んだんですか?」
「……他に、お前を呼ぶ理由があるか?」
 その返事に,ゼロスが肩を落とした。
「……・・いいんです。僕は高位魔族のはずなんですけど・・…。いいんです・・。どうせ僕はいつもあなた達の便利な道具扱いされて……」
「期限内に戻れなかったら,教えないからな」
 延々と愚痴を言いつづけそうなゼロスの背中に,ゼルガディスが冷たい言葉をかける。
 ゼロスが,あからさまに大きなため息をつくと,ふわりと空中にその身をあげる。
「はいはい。本当に,どうして僕の周りには,こう人づかいの荒い人ばかりがいるんでしょうかねぇ」
 その言葉を残して,すぅとその姿が景色に解けこんでしまった。
 どうも,大きなダメージを受けているために,少々愚痴っぽくなってしまっていた様だ。
 ゼロスが消えた瞬間,全員が大きく息を吐いた。
 それは,酔った中間管理職に付き合わされて飲みに行った,年下のサラリーマンがつくような,ため息だった。


                          Go To Next
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 31、行ってしまいましたね。
今回は叔父さんとの対決準備段階、という事で行ってみました。
それにしても、自分でかいてていやだったな。王子様ルックのゼル。
いや、TRYで出てきたときの私の心の叫びが、リナの台詞です。
 あれは、本当に・・・・・・・・(-_-;)

とりあえず、来週から試験期間に突入してしまうので,しばらくはここにかけないかもしれません。
 とか言いつつ、こまめにチェックには来るんだろうなぁ。
 ああ、テストに不安が・・・・・・・・。

 という、支離滅裂に陥りかけている、なゆたでした!!

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7168お久しぶりです。春樹 7/3-00:46
記事番号7165へのコメント

 なゆたへ

 一言書きたくて、投稿してしまった、私。
 何を言いたかったかは、なゆたなら解かるよね?
 
>「やだなぁ、そんなに引かないでくださいよぉ。なんだか,僕が幽霊みたいじゃないですかぁ」
> 相変わらずのおっとりした口調に,まずフィリアが切れた。
>「幽霊の方が千倍,いえ万倍ましですわ!!!あなたみたいな極悪非道の魔族が現れて,にっこり笑顔で迎えられるわけないでしょう!!!!」

 フィリア、そんなことないわ!
 ここにいるわよ!
 思わずにっこり笑んでしまいました。(ふふふ)

> 31、行ってしまいましたね。

 そうそう、予定は未定。
 小説なんか書いてるといっぱい書きたくなるのが人情(?)さ。

 ようやく、アメリアとゼルの再会だね〜。
 なんか、見てて「しあわせ〜!」って感じのアメリアがなかなか好き。
 かわいいわっ。
 連れて帰りたいわ!
 でも、そんなことしたら、レイスと同じ身にあわされる・・・。(汗)

 まだまだ、波乱ありそう、かな?
 先が見えてるようで、全然見えない、私・・・。
 まあ、そろそろ試験の時期だし。
 頑張ってね〜。(と言っても私も試験だよ・・・。)


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7182Re:お久しぶりです。なゆた E-mail 7/5-17:26
記事番号7168へのコメント


> フィリア、そんなことないわ!
> ここにいるわよ!
> 思わずにっこり笑んでしまいました。(ふふふ)

やっぱりか?それにしても、予定より早く再登場してしまった。
 やはり、ゼラス様の命令は絶対(はぁと)

> ようやく、アメリアとゼルの再会だね〜。
> なんか、見てて「しあわせ〜!」って感じのアメリアがなかなか好き。

 私の理想的アメリア

> かわいいわっ。

 そうだろう?!

> 連れて帰りたいわ!
 
 これは、ゼルの!

> でも、そんなことしたら、レイスと同じ身にあわされる・・・。(汗)
 
 大丈夫!ちょっと痛いだけだから!(って、死ぬって!)
>
> まだまだ、波乱ありそう、かな?

 あるよん!最近新発見の「私の好きなレゾ様」をだすのさ!!

> 先が見えてるようで、全然見えない、私・・・。

 みえたら、つまんないでしょう?!
> まあ、そろそろ試験の時期だし。
> 頑張ってね〜。(と言っても私も試験だよ・・・。)

 おう!!って、今がそうなんだよ〜!!


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7174決戦は近い!絹糸 7/4-01:27
記事番号7165へのコメント


 好!(「ハオ!」と読む)なゆたさん絹糸でごじゃりまする。
 出ましたね出ましたね31が!待ってましたよ自分の作品ほっぽりだして!(殴)
 ・・・・それは冗談です。ちゃんと続き書いてます。キリが悪くて投稿できないけど・・・。
 んじゃ、「感想」兼「つっこみ」いってみよー!


> ゼルガディスの呼びかけに近づいてきたヴァルを抱き上げて,アメリアがにっこりと微笑みかけた。
> そうしている様子は,まるで仲のよい親子の様だった。
 じ〜〜〜〜・・・・・・ん。いい、すごくいい。その図が鮮明に浮かび上がりますよ。
 アメリア同様子供にも過保護なパパ(爆)になりそうだなゼルって。
 ヴァルってつり目だし髪の色がなんとなくゼルと似てるから親子でもオッケーかもしんない。(じゃあアメリアはどうする)


> 態度だけで,あのリナを挑発できるのだから,きっと将来は大物であろう。
 全くだ。将来どんな竜形態になってくれるのか楽しみだ。フィリアがああだから・・・・・、笑えそう。(大物の意味が違う)


>「・・・・・…罪には,罰を。だから,お前達は来ない方がいい」
 なるほど、一族を根絶やししたのはお前だったかジャベル!しかも知ってたっぽいよレイス!
 あ!レイスって父方の従弟・・・ジャベルとレイスは親子・・・つまり叔父のジャベルはゼルの父さんの兄弟。↓に続く

>「正当なるル・アース大公の判断に、全てをお任せいたします」
 ゼルが正当な大公なら元々その父親が大公だったわけで・・・うわ、外見通りに醜いよジャベル。ゼルの父さん美形だったんだろうなあ
 実の兄弟殺して、なおかつ継承権が自分だけにくるように全員殺すなんて・・・そこまでして大公の位が欲しかったのか?
 と、わたしは推測してみました。どれか一つは当たってると思うのですが。いかがなもんでしょ?
 でもこれだとなんでゼルだけ生きてるのかわからない。


>『正当な大公ぉぉぉぉぉぉぉぉぉ?!!!!』
 大公ぉぉおおおぉぉ!!?・・・・・・・・・ってなに?(撃沈)
 ごめんなさい。ガウリィ級のボケですが、本当にわからないんですぅう。だからピンとこなくてあんまり驚けませんでしたぁ。おしえてくらさいい。


> 全員,無言で空を見上げた。そこに思い描くのは,エリザベスカーラーを付け、白タイツをはいて,白馬に乗ったゼルガディスがにこやかに笑っている図だった。
「はいよー、シルバー。あははははっははは」
 ・・・なんて台詞まで吐かれたらゼルファンのわたしはどうすりゃいいってのよ?
 それ以前にわたしもっと勉強した方がいいな。エリザベスカーラーが想像できない。そして大公ってそういう格好をするものなんですか?
 
> 一拍の間。
> そして、部屋は爆笑に包まれた。
>「ぶわはははははははは!!!似合わない!!似合わない!王子様ルックはやめてぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
>「ぷぷぷぷぷ!!リ,リナさん!そ,そんなに笑ったら,・・く、くくくくうく!!」
 君たち「TRY」で見た時は笑わなかったじゃない。しかもフィリア誉めてたのに・・・ひどいわ!


>――――――大地の底に眠り在る 
>             凍える魂持ちたる覇王
> ・・・・・・・…
 ダイナストブレス?かな?
 そういえば覇王グラウシェラーは元気だろうか(元気じゃ困るけど)
 今月上旬に待ちに待った『スレイヤーズ第14巻』が発売されるというCMやってたし楽しみだなあ。
 でもゼル&アメリアいないんだろうなあ


>「わぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!ゼルガディス!!それは止めてくれ!!」
 あ!ガウリィが呪文だってわかってる!
 ・・・けどどんな魔法かはわかってないんだろうな・・・


>「……俺の憶測でいいなら,前半の報告内容をくれてやろう」
 前半???後半もあるということか。
 でも前編後編に分けてるとは・・・頭いいっていうよりお茶目な感じがする。さすがだ、ゼル。


>「……・・いいんです。僕は高位魔族のはずなんですけど・・…。いいんです・・。どうせ僕はいつもあなた達の便利な道具扱いされて……」
 「便利な魔法道具(マジックアイテム)の一つ」はゼルガディスのはずだったのでは・・・?
 あ、でもゼロスの方が使い勝手がいい!おめでとうゼロス!(意味不明)


> 31、行ってしまいましたね。
 おつかれさまです。

>それにしても、自分でかいてていやだったな。王子様ルックのゼル。
>いや、TRYで出てきたときの私の心の叫びが、リナの台詞です。
> あれは、本当に・・・・・・・・(-_-;)
 そうですね・・・。あれは・・・ちょっと・・・(汗)
 どうせならあの話の操り人形達が着てた貴族の服の方を着て欲しかった。


> とりあえず、来週から試験期間に突入してしまうので,しばらくはここにかけないかもしれません。
 あれま、残念。でもしかたないですよね。
 わたしもそろそろやばい状況ですが・・・。でも早く続き投稿しないとツリー沈んでまうし・・・どないしょ


> とか言いつつ、こまめにチェックには来るんだろうなぁ。
 右に同じくですね多分(いや絶対)

 さってと・・・今回の詩は・・・
 ないです。

 だああ!嘘ですごめんなさい!ありますありますから!石投げないでぇっ!

 ・・・どうぞです

 Z
 それを知る者はいなかった
 知られることを許さなかった
 抱き続けた怨みと憎しみ
 今全てを解き放つ


 A
 何も知らない
 あなたのことを
 もっと知りたい
 あなたのことを
 この思いは罪ですか?


ゼルガディスの方は「首を洗って待っていろ」ってとこですね。
アメリアは次々に明かさるゼルの過去にそんなことを考えてるんじゃなかろうか、と。 

 それでは、絹糸でした。

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7183Re:決戦は近い!なゆた E-mail 7/5-17:53
記事番号7174へのコメント


>  好!(「ハオ!」と読む)なゆたさん絹糸でごじゃりまする。

 むむ!中国語できましたね!では、私はドイツ語で!
 Guten Arben!(グーテン・アーベンで、今晩はです)って、張り合ってどうする!!

> んじゃ、「感想」兼「つっこみ」いってみよー!
 おう!!


> じ〜〜〜〜・・・・・・ん。いい、すごくいい。その図が鮮明に浮かび上がりますよ。
> アメリア同様子供にも過保護なパパ(爆)になりそうだなゼルって。
 絶対、そうなりますよね!!結構、年下に弱そうですから!(爆)

> ヴァルってつり目だし髪の色がなんとなくゼルと似てるから親子でもオッケーかもしんない。(じゃあアメリアはどうする)
  よ、養父母とか?(一応、私の中ではフィリアはお姉さん)

> なるほど、一族を根絶やししたのはお前だったかジャベル!しかも知ってたっぽいよレイス!
> あ!レイスって父方の従弟・・・ジャベルとレイスは親子・・・つまり叔父のジャベルはゼルの父さんの兄弟。↓に続く
 あう!!ほとんどばれかけてますな・・・・・。

> ゼルが正当な大公なら元々その父親が大公だったわけで・・・うわ、外見通りに醜いよジャベル。ゼルの父さん美形だったんだろうなあ
> 実の兄弟殺して、なおかつ継承権が自分だけにくるように全員殺すなんて・・・そこまでして大公の位が欲しかったのか?
> と、わたしは推測してみました。どれか一つは当たってると思うのですが。いかがなもんでしょ?
> でもこれだとなんでゼルだけ生きてるのかわからない。
 ぎくぎくぎく!!!!
 鋭いですね?・・・・・って、ここまで読んでて思ったんですけど、ジャベルって、いくつなんだろう?
 もちろん、ゼルのお父さんは美形なので早婚!でも、そうするとジャベルの年齢も必然的に下がってしまう・・・・・。
 
> 大公ぉぉおおおぉぉ!!?・・・・・・・・・ってなに?(撃沈)
 はぅっ!!
> ごめんなさい。ガウリィ級のボケですが、本当にわからないんですぅう。だからピンとこなくてあんまり驚けませんでしたぁ。おしえてくらさいい。
 すいません。あんまり一般的じゃなかったですよね?(って、どうして私はこんなのばっかり・・・)

 えっと、あんまり難しくとらえなくてもいいです。っていうか、私も詳しく知りません!!(ああ!!ごめんなさい!!)
 ご説明いたします。一応、ル・アースは「公国」。まあ、こういうのに、「王国」とか「皇国」とかあるのと同じで、
一番上に立つものが「国王=王国」「皇王=皇国」と同じで「大公=公国」と捕らえてください。つまり、大公=王様ですね。ちなみに、こういう国だと
「王子=公子」みたいになります。

>「はいよー、シルバー。あははははっははは」
> ・・・なんて台詞まで吐かれたらゼルファンのわたしはどうすりゃいいってのよ?
 とりあえず、私は泣いているでしょう・・・・・・・・。しかし、シルバーって・・・・・。

> エリザベスカーラーが想像できない。そして大公ってそういう格好をするものなんですか?
 エリザベスカーラーっていうのは、TRYでゼルが首の周りにつけてた?白いくねくねした奴です。イギリスのエリザベス女王がつけたから
こういう名前なんですけど(確か)ちなみに、絵本に出てくるような格好を想像して下さってもいいです。

> 君たち「TRY」で見た時は笑わなかったじゃない。しかもフィリア誉めてたのに・・・ひどいわ!
 私の心の代弁者達です・・・・・・・・。

> ダイナストブレス?かな?
 そうです。一応、あの方亡くなってない、ということなので。

> 今月上旬に待ちに待った『スレイヤーズ第14巻』が発売されるというCMやってたし楽しみだなあ。
> でもゼル&アメリアいないんだろうなあ
 いないんでしょうねぇ(号泣)一体いつになったら出してくださるんでしょう?

> あ!ガウリィが呪文だってわかってる!
> ・・・けどどんな魔法かはわかってないんだろうな・・・
 確か、ガウリィってカオスワードが分からないんじゃありませんでした?(文庫一巻参照)

> でも前編後編に分けてるとは・・・頭いいっていうよりお茶目な感じがする。さすがだ、ゼル。
 すいません。文章が下手でわかりずらかったですね?
 ゼルの言う、前半というのは「どうしてラグな・ブレード」が使えたか?と言う疑問の事なんです。
この報告をゼラスにしなきゃ行けないのに、前回はゼルに「分からない」で追い返されたんですね、ゼロス君は。


> どうせならあの話の操り人形達が着てた貴族の服の方を着て欲しかった。
 何で人形の衣装の方が趣味がいいんだろう?っと、本気で思いました。

> さってと・・・今回の詩は・・・
> ないです。
 なんですとぉ!!!!(ああ、手がどこかへ・・)

> だああ!嘘ですごめんなさい!ありますありますから!石投げないでぇっ!
  なぁんだ(おお!いつのまにか手ごろな石が私の手の中にあった!!)

> Z
> それを知る者はいなかった
> 知られることを許さなかった
> 抱き続けた怨みと憎しみ
> 今全てを解き放つ
 はい。とことんまで解き放っていただきましょう!!

> A
> 何も知らない
> あなたのことを
> もっと知りたい
> あなたのことを
> この思いは罪ですか?
 切ないですねぇ。こういうアメリアの想いがすんなりと書ける絹糸さんがうらやましい・・・・・。

以上、長いお返事ですが,読んでいただければ幸いです。