◆−あいかわらず−ミリュエル(6/18-03:53)No.7091


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7091あいかわらずミリュエル 6/18-03:53


あいかわらずリナとガウリイは旅を続けていた。
「おーい。リナ。なんか騒がしいぞ。」
「そうね。暇だしちょっと見ていきましょうか。」
そういって、人ごみをくぐって最前列へ出た。
そこで目にしたのは、自身ありげにテープを切っているアメリアの姿だった。
「どうしたのアメリアこんなところで。何やってるのよ。」
すると、にこにこして少し驚いた様子でアメリアは答えた。
「何言ってんですか。正義のために決まってるじゃないですか。」
「はあー?」
と、ガウリイと顔を見合わせるとあるものが目に入った。
なんと、”正義のための大会”と大きな字で書かれた看板がかかっていた。
「正義は制覇しなくては!この世から悪の芽すらもぎとるために!!」
どうやらこの文字に惹かれたらしい。
アメリアの話によると朝からずっとこの大会に参加していたらしい。
あいかわらずのようである。しかし、仮にも王女がなにやってんだか。
「どうです。これからリナさんたちも参加しませんか。正義のために!」
と、正義おたくが騒いでいる。
「おい、リナ。楽しそうだな。やってみようぜ。」
と、脳みそヨーグルト男は賛成する。
「はっきり言ってこんなことしてるほど暇じゃないのよね。だいたい・・・」
と言いかけて目を向けた先には御馳走が所狭しとならんでいた。
すかさず、アメリアに聞く。
「ねぇ、あれは何?」
「あれは確か・・・次の競技の正義の大食い早食い競争の御馳走ですよ。」
それをあらかた予想していたのだろう。目がすでにいっちゃっていた。
さらにアメリアは付け加える。
「優勝者には金貨1000枚が正義の補償金として渡されるそうです。」
さーてもう遅かった。こうなってはだれも止めれられない。
すぐにエントリーを済まし上機嫌である。しかし、
「なんで俺までエントリーされなきゃいけないんだよ!」
言わずと知れたガウリイである。すると、すかさず
「いつもあんたの分まで宿屋代、食事代、その他もろもろを払ってるのは誰?
 あんたは一応参加して、私達二人で必ず優勝を目指すのよ!
 なんたってあたしの物あたしの物。あんたのものもあたしの物よ。」
「なんか変なこと言わなかったか、リナ。」
やはり瞬時に判断するのは難しかったらしい。
「とにかく、出るったら出るわよ。」
ということで出る事になった。
さて、その”正義の大食い早食い競争”の席に招かれ席につくと用心深くあたりを見渡した。
すると、
「リナさん、なんか皆さんで楽しそうなんで来ちゃいました。」
と後ろの方で聞こえるこの聞いたことのある声は、
「ゼロス!!」
見ると、いつもの通りはははは、などと笑っている。
しかし、リナが驚いたのはそれだけだった。魔族といえど自分達に勝つはずがないと思っているからだろう。
「悪いけど、今日は勝たせてもらうわよ。」
「どうでしょう。まぁ、僕も全力を尽くしますけどね。」
結局、後に居るのはアメリアと町のチンピラたちだけだった。
司会者らしき人が出てきて、
「今から、本日のメインイベント”正義の大食い早食い競争”を始めたいと思いま
 す。みなさん、全力を尽くしてください。
 それでは!始め!!!」
その声とともに一気にみんな食べ出すが、なぜかこのときアメリアは食べるのが遅かった。それは、というと・・・
「これが正義の味ね。」
と、一口食べる毎につぶやいていてもう早食いじゃなくなっているからだ。
その様子を横目で見て、ライバルは一人落ちた。
隣を見るとガウリイが順調に食べつづけていた。
よっしゃ。その調子。
そして、はなから相手にしていなかったぜロスを礼儀とばかりに見てみると、
何と、はやいっっっっ!!!!
すごいと思ってみていると何と皆に分らないように食べ物をアストラルサイドに流していた。それも、すごいスピードで。
あまりのことに、しばらく言葉を失っていたがすぐに立ちあがると食べ物を持ったまま、ゼロスの方に走る。
「ちょっと!何やってるのよ!!」
「何って食べてるんですよ。」
と、あっけらかんと言う。その言い方がさらに癪に障る。
そして、このような事態を司会者らしき人が見逃すはずが無かった。
「何やってるんですか?」
「何って、見てわかんない?こいつ食べてないのよ。」
司会者らしき人は食べているゼロスを見るが、気づかない。
「ちゃんと口に入ってるじゃないですか?」
確かに、入っている。しかし、口に入ったものが入った瞬間に消えているのだ。
これは、体の中をアストラルサイドにつなげているのだろう。
あいかわらず、これも器用な男である。
「リナさん。いいんですか?早くしないと食べ終わっちゃいますよ。」
そうである。リナが抗議している間も食べつづけていたし、おまけにつみこむスピードが速いっ!
「これ以上妨害すると失格とみなしますよ。いいですか?」
司会者らしき人はそう判断した。
「っく!!!」
と呻き声をもらすと急いで自分の席に戻りこれも相変わらずのスピードで食べつづけるが、間に合うわけもなくゼロスの優勝が決まった。
ガウリイは結構がんばったが一歩及ばず、アメリアは問題外。
リナはガウリイをいじめる事で気を晴らしていた時、
「やぁ、惜しかったですねぇ。」
そうだ。今一番会いたくないやつに声をかけられた。
「まぁ、おめでとうとでも言っておこうかしら。」
皮肉たっぷりに返す。
「祝福してもらえるなんて嬉しいですね。」
と、いかにもうれしそうな笑顔で返す。
「百歩譲ったとしてもズルは見逃すとしてもよ。ひとつ許せない事があるのよ。」
「何ですか?それは?」
聞いてる時点から笑顔が恐怖に変わりつつあるのを自分でも感じていただろう。
結界を張りに入ったがもう遅い。
「それはね。食べ物を無駄にした事よ。それは絶対許せないっっっっっ!!!!」
そう言いながらゼロスをぼこぼこにしているリナの姿がそこにはあった。
普段なら、一撃も食らわす事は出来なかったがリナの食への執念がそうさせたのだろう。
そして、やはり周りに人は近づかなかった。
さらにお約束のお金まで巻き上げ(金貨根こそぎ)こう言った。
「食べる事で私に勝とうなんて一生出来ないわよ。」
本当は百年とか数字で言いたかったのだけど、魔族がどれぐらい生きるのか予想が
つかなかったのでこういう言葉になってしまったのだ。
その後、ゼラスの元に返ったゼロスは今まで見たこともないくらいぼろぼろだったという。