◆−贖罪の時19−なゆた(6/9-01:30)No.7025
 ┣贖罪の時20−なゆた(6/9-18:53)No.7027
 ┃┗Re:やったー!ゼルだ!−絹糸(6/12-02:54)No.7053
 ┃ ┗ありがとうございますぅぅぅ!!−なゆた(6/12-22:52)No.7058
 ┗Re:贖罪の時19−春樹(6/9-19:41)No.7028
  ┗贖罪の時21−なゆた(6/10-21:58)No.7042
   ┗早い早い!−ももへい(6/10-23:27)No.7046
    ┗贖罪の時22−なゆた(6/14-17:16)No.7068
     ┗贖罪の時23−なゆた(6/15-23:01)No.7077
      ┣Re:贖罪の時23−昂也(6/16-03:48)No.7078
      ┗Re:奪われたモノ−絹糸(6/16-22:06)No.7081
       ┗贖罪の時24−なゆた(6/17-22:05)No.7087
        ┣贖罪の時25−なゆた(6/18-00:43)No.7090
        ┃┣Re:真打ち登・場!−絹糸(6/19-14:03)No.7096
        ┃┃┗やっと再会(涙)−なゆた(6/19-22:59)No.7098
        ┃┗贖罪の時26−なゆた(6/22-00:31)NEWNo.7104
        ┃ ┗Re:いっけぇー!−絹糸(6/22-22:58)NEWNo.7106
        ┗Re:あれっ?−絹糸(6/19-14:03)No.7095
         ┗びっくりしました?−なゆた(6/19-22:48)No.7097


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7025贖罪の時19なゆた E-mail 6/9-01:30


 はじめて人を殺したのは、13の時だった。

 月の明るい夜だった。
 自分の故郷の隣国にある、深い森の中。
 そこにある、小さな泉の涌き出ている、小さな広場のような場所。
 そこは、裏世界に生きるもの達の会合の場所であった。
 今日、彼はある人物に会うためにここに来ていた。
 あの日以来、ずっと捜し求めてきた、ある男。


 目を閉じて、思い出すのは彼が7歳の頃の、深紅の思い出。
 あの日は、その土地で祭られている神の誕生祭だとかで、親戚が一堂に会していた。
 様々な料理と、にぎやかな音楽。
 騒がしい子供たちの声と、緩やかな大人達の談笑。
 誕生祭の意味は、良くわからなかったが、楽しみではあった。
 仲の良い、近所の子供やいとこ達と、夜遅くまで遊んでも怒られない。
 その日に、あれは起こった。

 そのとき、彼は両親の所に向かっていた。
 特に仲の良かった二人の年下の子供を引き連れて。
 二人の手を引いて、両親に駆け寄ったとき、いきなり二人が倒れこんだ。
 両手で胸をかきむしる。
 赤い、赤い血が、口から溢れ出す。
 苦しみに、とめどなく涙を流しながら彼らは自分を抱きしめた。
 両親の吐いた血が、彼の服を深紅に染める。
 驚愕に、そして恐怖に、心が悲鳴を上げていた。
 彼の目の前で、両親の息が浅く、そして短くなっていく。
 彼らは、最後の力を振り絞って、一言だけ残した。
「愛している」と。
 訳がわからなかった。

 何故、彼らはこんなに血を吐いているんだろう?
 何故、自分を抱きしめたまま目を閉じてしまうのだろう?
 何故、苦しんでいたのだろう?
 何故、こんなに冷たくなっていくのだろう?
 何故・・…。誰も答えてはくれない。

 彼らを取り囲んで、ただ眺めているだけ。
 その瞳の中に、一つだけ違う感情の瞳を見つけた。
 それゆえに、彼は7歳でありながら事実の一端をつかんだ。
 けれど、それを実証するものも、手段も彼には無かった。
 彼は、今は両親を無くした、哀れなるただの子供になったから。
 けれど、心は決まっていた。
 それを成す為に…。
 呆然と、その冷たくなっていく体を抱きとめながら、ゆっくりと、自分の感情が凍っていくのを感じていた・・。

 
 かさり、と茂みをかき分ける音に目を開ける。
 目の前に、中年の薄汚れた男が立っていた。
 目だけが異様に輝いている。
 男が、彼の前に立った。値踏みするように、彼を観察する。
「やれやれ、今回の依頼人がこんなガキとはね。毒ガラスも落ちたもんだ」
 大きく息をついて、肩をすくめた。耳障りなかすれ声を聞きながら、彼は心が踊るのを感じていた。
「まぁ、いい。坊主、依頼の内容は?」
 問う声に、にやりと口元が歪む。
「坊主?」
「依頼は・・…。あんたの命」
 スラリ、と腰にさしてあった剣を抜いた。刀身が泉の光に反射して、冷たく輝く。
 その不気味な輝きに毒ガラスが一歩、退きかけた。しかし、それを持っているのが子供とあって、鼻で笑いながら、逆に一歩踏み出した。
「お前みたいな子供が何を言っている。さぁ、早くそれをよこすんだ」
「断る」
 ぎゅっと、柄を握り締め、毒ガラスに向かって構える。その構えに、冷酷な殺気が溢れ出すのを感じて、今度こそ男は顔色を変えた。
 そして、腰にあった短剣を抜き放つ。飾り気の無い、けれど何人もの血を吸ったであろう、短剣だ。
その切っ先を油断無く彼に向けながら、男が尋ねてくる。
「坊主。殺す前に聞いておこう。目的は何だったんだ?」
 過去形で聞いてくる、相手の愚かしさについ、口元が弛む。
 その様子を、恐怖から、ととったのか、男はさして気にした風も無く横に移動する。
「どうして俺を狙ったのか、知らないが、自分の腕を過信し過ぎだったな」
 自身たっぷりの態度に、つい喉をならして笑ってしまう。怪訝そうな男に、大きなヒントを与えてやろう、と思った。
「…・分からない?では、この名は覚えているか?………グレイワーズ」
「……!!あの時のガキか!!ちっ、一緒に殺しておけば・・!!」
 よかった、と最後までいう事はできなかった。
 予想よりも遥かに速いスピードで、彼が踏み込んできたからだ。
 強烈な斬げきを紙一重ではじき返す!が、返す刃でその短剣を弾き飛ばされてしまった。
 勢い良く、その場に転倒する。
「くぅ!!」
 跳ね起きようとして、それは叶わなかった。目の前に鈍い光を放つ切っ先が突きつけられていたからだ。
 その、恐怖に歪んだ顔がおかしくて、つい笑ってしまう。
 何を勘違いしたのか、男がつられて笑顔を作った。
「な、なぁ、坊主。お遊びはここまでにしようぜ。ほ、本当の依頼は何なんだよ?」
「……6年前の事件の首謀者」
「あ、ああ…・。教えてやる、教えてやるから、これをどけてくれないか?」
 切っ先を凝視しながら、震える声で懇願してきた。すいと、剣を横に下ろす。
 男がほっとしたように胸をなでおろした。
「ふぅ。冗談きついぜ、坊主。さて、事件の首謀者だったな。本当は極秘なんだが、自分の命には代えられんからな。6年前の首謀者は―――」
 その答えに彼は、再び口元を歪ませた。
 予想通りの答えだったのだ。おかしくて、笑いが止まらない。ついでに、涙まであふれてくる。口元を押さえて、収まらない笑いの衝動に身を任せる。
 その様子に、安心したのか、男がゆっくりと立ちあがった。
「さてと、依頼は終了だな。俺はこれで帰らせて、もら・・う…・ぜ?」
 男が、自分の胸元を凝視している。否、自分の胸につきたてられている白人の刃に、だ。
 彼が、男が立ちあがったのと同時に貫いたのだ。
 ごぼっ、と赤黒い血を吐いた。ずるり、と剣が引きぬかれる。男のからだが、支えを無くして大きく傾いだ。
「な…ぜ・…だ・…?」
 血にぬれた手を彼のほほに沿わせて、すがるように男が呟いて、そして倒れた。
 ゆっくりと、死が彼を包んでいく。瞳が、徐々に光を失っていく。
 そんな男の胸の傷を、靴で踏みにじりながら彼は囁いた。
「最初に言っただろう?俺の依頼は、貴様の命だ、と」
 その声が聞こえたのか、確認することはできなかった。
 男は、ひときわ大量の血を吐くと、そのまま動かなくなったからだ。
 
 その様子を確認して、彼は剣を鞘に戻した。そして、ゆっくりと泉に向かう。
 泉には、その左ほほに血の模様をつけた、端正な顔をした少年が映る。
 まだ、あどけなさを残した、けれどその瞳は子供というには冷めすぎている。
 泉の水をすくい、一口すする。途端に、異常なほどののどの渇きを覚えて、顔を泉に突っ込んで、むさぼるように水を飲んだ。
 顔を上げたとき、水とは違う水分が頬を伝うのを感じた。そっと、それをぬぐって、苦笑する。
感情なんて、あの時に捨てたはずだったのに。まだ、流せる涙があったなんて・・。
 そう思って、もう一度水を飲もうと身をかがめたとき、唐突に後ろから声がかかった。
「いけませんね。人を殺したあとに、その傍でのんびりとしていては」
 軽い叱責を含んだ声は、彼の最も信頼する人のものだった。
「レゾ様!」
 振りかえり、その傍に駆け寄った。レゾが、優しく微笑みながらその頭をなでる。
「復讐は果たせたようですね」
 汚らわしいものを見るように、死体のほうに顔を向ける。その目は見えないのだけれど、血のにおいで分かるのだろう。
「私の直系に手を出して、無事でいられるなどと、馬鹿な男ですね」
 冷たく言いきると、その手のひらに魔力で生み出された火球が現れる。
「骨のかけらまでも焼き尽くせ。ファイヤーボール」
 レゾの手を離れた火球は、男の体を包むと、瞬く間にすべてを焼き尽くした。
「レゾ様、まだ終わってません。首謀者がはっきりしました」
 その昔、バラのようだと思ったマントの端をつかみながら、彼はレゾを見上げた。
 ゆっくりと、レゾがうなずく。
「分かっています、ゼルガディス。しかし、今はまだそのときでは無い。彼が、何か決定的な失敗をするのを待つのです。そのときこそ、彼にとっての生き地獄を見せてやりましょう」
 そう囁いたレゾの顔に、彼は一瞬だけ悪寒を覚えた。残酷な愉悦の表情を漲らせて、彼はゆっくりと身を翻した。
 彼の異名の元である赤い法衣が風にゆれる。
 いつの頃からだろう。その法衣の色を、バラではなく血の色だ、と感じるようになったのは。

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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 前のツリーが沈んじゃうの待とうと思っていたら、自分の出したコメントがきめてになって落ちちゃいました。なんか、すっげえまぬけ・・・・。
 いいです!!久しぶりにゼルの過去が書けたことですし!!
 しかし、暗いなぁ。とうとう、殺人シーンまで出てきてしまいましたよ。
しかもレゾさん、ちょっと本性でちゃってるし。

 とりあえず、次回もゼルが出てきます。
 そこのゼルファンのあなた!・・・・・あまり期待しないでください
 
 PS私信で申し訳ございませんが、はぁぁぁるぅぅぅきぃぃぃぃ!!
  あんなコメントで、どうやってその正体を探れ、と!!?わかんないじゃない  かぁぁぁぁ!!・・・・・過去の悪事はばらさないで(T-T)

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7027贖罪の時20なゆた 6/9-18:53
記事番号7025へのコメント

 ゆっくりと瞳を開けると、見慣れない天井が視界に飛びこんできた。
 夢のせいでかいた汗が気持ち悪い。
 横に視線をめぐらせると、隣のベッドでフィリアとヴァルがいっしょになって眠っている。
 ぼんやりとしていて、考えがまとまらない。
 手を頭に持っていくと、何かが手に触れた。濡らされた布だ。
 ゆっくりと、記憶が浮上してくる。
 ―フィリアの店。
 ―ゼロス
 ―夢と枷
 そして
「アメリア!!」
 叫んで、身を起こす。
 途端に眩暈が襲ってきて、再びベッドの上に倒れこんだ。長い間眠ったままだったので起立性の低血圧を起こしたのだろう。
 大きく息を吸い込んで、今度はゆっくりと身を起こす。ほんの少し痛む頭を押さえて、血圧が落ち着くまで座ったままでいると。
「ゼルガディスさん!気がついたんですか?!」
 見れば分かることを聞いてくるのはフィリアだ。どうも、彼の叫び声で目がさめたらしい。
 ベッドから跳ね起きると、ゼルガディスの額に手を当てた。その途端、喜びの表情が再び曇る。
「まだ。熱が高いままですね。もう少し休まないと・・」
 そう言って、ゼルガディスを横たえようと肩に手をかけた。が、その腕をゼルガディスに掴まれた。瞳には、はっきりとした拒絶の色がたゆたっている。
「ゼルガディスさん・…?」
「何日経った?」
「え?」
 いきなり問われて、返答に詰まる。
「俺が倒れてから何日が経っている?」
 いらいらした口調でゼルガディスが再び尋ねた。腕を握る手に力がこもる。
「えっと。今は、あなたが倒れて3日目の夜中ですね」
「三日・…」
 フィリアの腕を離してゼルガディスが呟いた。
 そして、おもむろに立ち上がると、汗にぬれた服を着替え始める。
「ゼ、ゼルガディスさん?何してるんですか?もう少し休まないと・!!熱があるんですよ!!」
「心配無い。別に気分が悪い訳じゃない。単に体温が高いだけだ」
「それがだめなんじゃないですかぁぁぁぁぁぁ!!」
 フィリアの叫びを無視して、上着を脱ぎ捨てる。
「ちょ、ちょっと、ゼルガディスさん!!」
「時間が無い。このまま街を出る」
 部屋の隅においてあった袋から、替えの服を引っ張り出す。
「時間は大丈夫です!私が飛びますから!!だから、もう少し休んでください!そんな熱で旅なんかしたら死んじゃいますよ?!」
 すがるようなフィリアにゼルガディスははじめて向かい合った。その瞳を覗き込む。
「フィリア…」
「は。はい?」
 いつもより、ドアップでゼルガディスの顔を見ることになり、かなりどきどきしながら返事をする。少々声が上ずってしまったのはしょうがない。
(こうしてみると、本当にきれいな人ね)
 混乱のためか、はたまた本心からか。感心と、嫉妬が混ざったような感想が頭を駆け巡る。
 ぼんやりと、そんなことを思っていると、ゼルガディスの耳に心地よい、低い声が聞こえた。ただ、その内容を理解するのには、時間がかかってしまったが。
「そんなに俺の着替えが見たいのか?」
「……………・は?」
「下も着替えたいんだが、いつまでもそこにいるつもりなのか?」
「…………へ?」
「竜族がのぞきに興味があるとはな」
「・・………な!!」
「今度ゼロスにあったら教えてやろう」
「……・・で、出て行かせていただきます!!!!」
 うなじまで真っ赤になりながら、フィリアが扉の向こうに消えた。

 その様子がおかしくて、そしてこっちこそが、今彼の生きている世界なのだと、実感できて嬉しくて、くすくすと笑ってしまう。
 ああ、あれはただの夢だったのだ。
 ここ何日かの熱のせいで見た、ただの悪夢なのだ。
 思い出したくないこと。けれど忘れられない過去の出来事。
 紅に染まった自分の手。
 あまりにも穢れすぎていて、自分でもどうしたらいいのか分からない。
 自分の、犯してきた罪の数々…。忘れることなどできはしない。
 このとき、彼は夢に引きずられかけていたのかもしれない。
 発作的な、自傷衝動がつきあがってくる。

 ぎゅっと、拳を固めたとき、隣のベッドで小さな影が動いた。
「……・ゼルにぃ?」
 寝ぼけ眼をこすりながら、ヴァルが呟いた。その瞳が、徐々に見開かれていく。そして、ベッドを飛び降りると、ひしィっとゼルガディスにしがみついた。
「ゼルにぃ、ゼルにぃ」
 彼の足に顔を押し付けながら、何度も名を呼ぶ。小さな彼にとって、三日も人が意識を失っているというのは、十分不安をあおることだったのだろう。それでも、健気にこらえてきたに違いない。
 そっと、ヴァルを抱き上げて、優しく抱きしめる。ヴァルがさらに強くしがみついてきた。
 それが、彼を現実に引きとめる。
 小さな命。再び生きる努力をするヴァルガーヴ。
「大丈夫。良く我慢したな。偉かったぞ」
 優しく抱きしめて、そっとその体を下ろした。ヴァルの顔が誇りに明るく輝いている。誉められたことが嬉しいのだろう。そして、きょろきょろと周りを見渡す。
「フィリアは?」
「外にいる。傍にいてやれ」
「うん」
 その姿が扉の向こうに消えるのを確認してから、ゼルガディスはベッドの端に腰を下ろした。
 熱があるのだから、辛く無い、と言えば嘘になる。しかし、それほどの高熱にもかかわらず、意識ははっきりしていたし、体を動かす事に支障は無い。
 彼自身、どうして熱があるのかは、まだ分からない。ただ、自分の体に変化が起きていることだけは自覚できている。
 ゆっくりと息を吐き出すと、ポツリと呟いた。
「…・・オーバーヒート、か?・…」

 着替えを済ませて扉をあけると、目の前にフィリアが立っていた。その瞳を、やや不機嫌に染めて。
 彼女の横でヴァルが彼女を、困惑の眼差しで見上げている。
 「待たせたな」
 何事も無かったようにゼルガディスが言うと、フィリアの眉がぴくんっと、跳ね上がった。が、気にせずにさらに言葉を重ねる。
「荷物の準備はできたから、そろそろ出発しようと思う。ここからは歩いていく」
 フィリアの顔に、はっきりと怒りの感情が表れた。
「何言ってるんですか?!そんなに熱があるのに!!私の翼なら十分セイルーンに間に合うんですから、もう少し休んでください!!それとも……」
 ぎゅっと、唇をかみ締めた。
「私のことは信用してくださらないんですか?」
 うつむいて、消え入りそうな声でつぶやいた。
 彼女は、彼のために危険を覚悟でついてきた。それは、彼を仲間だと思ってのことだ。
 けれど、彼は自分のことを仲間と見なしていないんだろうか。ただ、一時旅を共にしただけでは…・・。
 その、台詞にゼルガディスが大きく息をついた。
「…・・そうじゃない。言葉が足りなかったな。フィリア、おまえの竜身は目立つんだ」
「へ?はぁ、まぁ、大きいですからね」
「………いや、そうじゃない。あんな魔力全開の姿でいられると、俺たちが近づいたことがすぐにゼロスにばれるんだ。そうなると、奴の正面から仕掛けなくてはならなくなる。正面から行って、勝てると思うか?」
 唐突に聞かれて、プルプルと首を横に振る。降魔戦争のとき、たった一人で竜族を壊滅にまで追い込んだ魔族ゼロス。まともに行こうが、奇策を練ろうがたやすく勝てるとは思えない。
「まぁ、後ろから行けばそれで勝てる、とはいかないが、せめてアメリアを守る事ぐらいはできるだろう。その可能性を潰したくないんでね。ある程度まで進んだら歩くつもりだったんだ」
「じゃぁ……・・?」
 熱があるというのに、フィリアよりも冷静に物事を考えているゼルガディスに違和感を覚えつつ、フィリアが首を傾げた。
「別に、ついてくるのがいやだというなら…・・」
「言ってません!!」
 少々皮肉げな表情をひらめかせるゼルガディスに、フィリアは叫び返した。
 その様子に、ゼルガディスが小さく笑みをこぼす。
「じゃぁ。これからもよろしく頼むよ」
 自分の荷物を肩にかけ、ゆっくりと階段を降りていく。その背中を追いかけるように、ヴァルもまた階段を駆け下りた。
 その背中を眺めつつ、大きく息を吐いた。
「本当に、素直じゃない人ね」
 それが、彼らしいところであり、やはりくすりと笑みがこぼれた。

 夜中だというのに、宿は簡単に引き払えた。
 何の事は無い。フィリアの大声に泊まっていた客から苦情が殺到したのだ。店主に遠まわしに非難され、恐縮しながら宿代を払うと、逃げるように宿を後にした。
 そして、今はセイルーンに続く道を歩いている。
 頭上には、白銀の満月が輝いている。
 その光に照らされながら、キメラと竜族という奇妙な一行が歩いている。
 ゼルガディスは、肩に袋を担いで、黙々と進んでいる。
 その横を飛び跳ねながらヴァルがついて行っている。夜に外出する事が無かったので、目に見えるものすべてが珍しいのだろう。右に、左にとそれながらついて行っている。
 その様子をほほえましく思いながら、フィリアはゼルガディスの横に並んだ。
「ゼルガディスさん?聞いてもいいですか」
「何だ?」
 顔は前に向けたまま、短く答える。
「ゼロスがなぜアメリアさんを狙っているのか。それが、あなたにどんな関係があるのかは聞きません。ただ、どうやって、アメリアさんを守るおつもりなんですか?相手はあの獣神官なんですよ?」
 ずっと、不安に思っていた事を聞いてみた。
 この機会を逃すと、最後まで教えてもらえないような気がしたからだ。
「私たちの気配は、あの男も知っているでしょう?私が竜にならなくても近づいたらわかるんじゃないかしら?」
 竜身になっていないとはいえ、竜族が二人。さらに、普通の人間よりもキャパシティが大きく、キメラというゼルガディス。
 その気配は、結構ばれるんじゃないかと思うのだ。
 その考えに、ゼルガディスはうなづいて見せた。
「恐らく、あいつもそう思っているんだろう。俺が近づけばわかる、と」
「じゃぁ。忍び寄りなんてことは?」
 恐る恐るたずねてみた。が、ゼルガディスは薄く笑っただけで答えは返さなかった。
 ただ、彼女に向かって一言言っただけ。
「フィリアがいてくれて助かるよ」
 それだけでは何もわからない。
 が、それっきり、彼は口を閉ざし、まっすぐに前だけを見て歩いていくだけだった……。

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 うむ!やはりゼル編だと打つスピードが速い!!
 あっという間に20・・・・・・・・。20!!
 書き過ぎか?!ていうよりも、40×40で保存してみたら、ページ数が
170を超えていた・・・・・・。
 そりゃ、起動も遅くなるはずだ・・・。
 もういいです。これが終わったら、今度こそ短編を書いてみたいと思います。
・・・・・・・・・いつ終わるんでしょう。
 今回入った19,20.最初は入れる気なんて無かったのに・・。
 でも、本当にラストが近い?かもしれません!!(汗)
 最後までがんばっていこうと思います。

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7053Re:やったー!ゼルだ!絹糸 6/12-02:54
記事番号7027へのコメント

なゆたさんこんちわ。絹糸で〜す。
いよっしゃー!ゼル登・場!待ってました!・・・って登場したのは19なのになにいまごろ書いてんだろう・・・
まあ、そんなことはともかくとして、そうか、ゼルにはあんな過去が・・・
それにしても、フィリア!同じ部屋で寝てるとは!アメリアでも同室なんてしたことないのに!(多分)。仕方がないかも知れないけれど・・・でもなあ。役得ってやつかな?

>(こうしてみると、本当にきれいな人ね)
> 混乱のためか、はたまた本心からか。感心と、嫉妬が混ざったような感想が頭を駆け巡る。
嫉妬ってゼルにですか?それともアメリアに?後者だったら三角関係・・・くっくっく(不気味)
いや、ヴァルもいれて四角か?ゼロスも入ると五・・・止めとこ。

>「…・・オーバーヒート、か?・…」
君は機械か?

> 書き過ぎか?!ていうよりも、40×40で保存してみたら、ページ数が
>170を超えていた・・・・・・。
すごい・・・

> もういいです。これが終わったら、今度こそ短編を書いてみたいと思います。
>・・・・・・・・・いつ終わるんでしょう。
できれば長く続いてほしいですね。個人的には。

> 今回入った19,20.最初は入れる気なんて無かったのに・・。
入れた方が絶対良いですって!すっごくおもしろいですもん!

> でも、本当にラストが近い?かもしれません!!(汗)
> 最後までがんばっていこうと思います。
がんばれー!最後まで、も、それから、でもとことんつき合いますから!

ほんとに先の読めない展開ですよね、なゆたさん本当に初心者ですか?以前どっかで書きまくってたとか?わたしもこんな風に書けるようになりたいです。
「贖罪の時」←やっと変換できた。なゆたさんのおかげです。thanks!
で忙しいなゆたさんに代わってわたしは短編(一話物)書こうかな〜と思うんですけどちょっと悩んでます。
ゼルアメ(のような)ギャグものにするか、ゼルアメ(らしい)シリアスものにするか、ゼルアメ(たぶん)甘いものにするか。どれがいいですかね?ストーリーは固まってるのに一字も書き始めていない、という問題点はありますが・・・(大問題だし)

どれにするかはわかりませんが、出来たら載せます。なゆたさん、これからも書いて書いて書き殴れ!
態度のでかい絹糸でした。


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7058ありがとうございますぅぅぅ!!なゆた E-mail 6/12-22:52
記事番号7053へのコメント

 絹糸さんへ
 ご感想、ありがとうございます!!
 いやぁ、感想って、いいですねぇ(ほのぼの)

>それにしても、フィリア!同じ部屋で寝てるとは!アメリアでも同室なんてしたことないのに!(多分)。仕方がないかも知れないけれど・・・でもなあ。役得ってやつかな?

 ・・・・・・、いや、単に看病するためなら、やっぱり一緒の部屋の方が都合がいいかな?と思っただけなんです。

>嫉妬ってゼルにですか

 そうっす!!いや、「男のくせにぃ!!」って感じの感情です。でも、五・・・・・もおもしろいかも・・・(くくくく)
>> 書き過ぎか?!ていうよりも、40×40で保存してみたら、ページ数が
>>170を超えていた・・・・・・。
>すごい・・・
 
 すいません。訂正します。40×40じゃなくて、20×20でした・・・・(大汗)いくらなんでも170はいってませんって!はは、馬鹿だな私。(滝汗)
 ちなみに、21までの話しが、原稿サイズで200枚くらいですね。ですから、40×40では、まだ50枚くらいです。

>ほんとに先の読めない展開ですよね、なゆたさん本当に初心者ですか?以前どっかで書きまくってたとか?わたしもこんな風に書けるようになりたいです。

 いやいや(てれてれ)、本当にど素人なんです。今まで、な〜んにも書いたこと無かったんですよね。こんな私でも載せられる、このホームページって幸せです。何分、田舎出身者(今も田舎)なもので・・・・・。
 それにしても、私、絹糸さんの文章もすごく好きですよ。だって、とっても読みやすいですから。

>ゼルアメ(のような)ギャグものにするか、ゼルアメ(らしい)シリアスものにするか、ゼルアメ(たぶん)甘いものにするか。どれがいいですかね?
 
 どれでもちょーOKですよぅ!!でも、希望的には
 1;甘い
 2;ギャグ
 3;シリアス
 こう書くと、短いんですけど、めっちゃめちゃ悩んだ結果です。しかし、基本的には全部読みたいとの、わがまま的意識も存在中!!

>どれにするかはわかりませんが、出来たら載せます。なゆたさん、これからも書いて書いて書き殴れ!

 おぅ!!です。もう、壊れるまで書きつづけましょう!!

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7028Re:贖罪の時19春樹 6/9-19:41
記事番号7025へのコメント

 なゆたへ

 ペース速すぎ。
 気がついたら20だよ。(19読んでたら、20ができてる・・・。)
 ゼルの事になると収拾がつかないね。やっぱり。

> しかし、暗いなぁ。とうとう、殺人シーンまで出てきてしまいましたよ。
>しかもレゾさん、ちょっと本性でちゃってるし。


 いやいや。
 ギャグと血みどろは君の専売特許だ。


> とりあえず、次回もゼルが出てきます。
> そこのゼルファンのあなた!・・・・・あまり期待しないでください

 ・・・。
 私、どっちかって言うとゼロスファンなので別に・・・。
 (こんなこと、ここで書いていいのか?!)


> PS私信で申し訳ございませんが、はぁぁぁるぅぅぅきぃぃぃぃ!!
>  あんなコメントで、どうやってその正体を探れ、と!!?わかんないじゃない  かぁぁぁぁ!!・・・・・過去の悪事はばらさないで(T-T)

 ・・・。
 なゆたの愛が足りないだけだよ。
 それに、悪事の話題こっちで出さなかったのに、(メールに書いた。)
 自分で墓穴掘ったわね。
 覚えてらっしゃいね。(ニッコリ。)


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7042贖罪の時21なゆた E-mail 6/10-21:58
記事番号7028へのコメント

 一人目
「初めまして、アメリア姫。私と一緒に正義について語りませんか?」
「では、ヒロイックサーガ列伝、13巻の第8章についてどう思いますか?」
「………………分かりません(泣)」

 二人目
「やぁ、アメリア姫!僕と一緒にセイルーンの歴史を創ってみませんか?至上最強の仲良し夫婦として」
「あそこにいるリナさんを倒せたら、考えます」
「…・・ちくしょぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 三人目
「アメリア・…。俺と一緒に夜明けの太陽を見に行かないかい?」
「朝は苦手なんです」
「…・・いや、そうじゃなくて・・…」
「?…・どういうことですか?」
「ふっ。君には早すぎたようだね(涙)」

 四人目……
 五人目……
 …………・

 “大見合いパーティ“2日目。
 アメリアは、昨日の騒ぎで声をかけそこなった貴公子達に、次から次へと声をかけられていた。
 なんだか良く分からない台詞で彼女の気を引こうというもの。
 感情など欠片もこもっていない告白をするもの。
 彼女の好きなものを調べて、そこに話題を絞ろうとするもの。
 誰も彼もが自分を偽って話しかけてくる。
 うんざりと、気付かれないようにため息を漏らした。分かっていたこととはいえ、こうもあからさまに“セイルーン第二王女“として口説かれるのは、はっきりいって辛い。
 あふれる美辞麗句は王女のため。
 誰も、彼女は見ていない。彼女の後ろにあるセイルーンだけを見つめている。
(そういえば、偽者さんは素で話してたなぁ。特にリナさんたちについて)
 今日会って、リナ達を紹介すると告げたときの、彼の顔が脳裏によみがえる。
 瞳を大きく見開いて、そして、後ろに現れたリナとガウリィを見つけて……。子供のように歓声を上げた。
 その様子が新鮮で、この憂鬱なパーティの中で、唯一、本当に笑顔がでる。
 くすり、と笑いがこぼれた。そして、その視線を横にすべらせる。
 視線の先には、リナとガウリィを紹介されて夢見るような瞳で二人と話している“ゼルガディス”がいた。


「は、はじめま、まして!!お二人の噂はかねがねお聞きしていました!うわぁ、本物だぁ!!あ、あの!握手してくださいませんか!!!」
 初めて会ったときの第一声が、それだった。
 あまりにも、突拍子の無い台詞に、リナが思わずよろめいた。ガウリィまでもがぽかん、としている。
「なぁ、えっと、グレイワーズ、だっけ?なんで、俺達のファンなわけ?」
 珍しく、戸惑ったようにガウリィが尋ねた。
「なんで?て。お二人は強いですし、自分の意思がとてもお強くて、それに、とても自由で。私の憧れなんです!何にも縛られず、自由に世界を旅する、お二人が・…。そ、そりゃ、いろんな噂を耳にしますが、その全てが悪いこととは私には思えないんです。一方的に攻撃するときもありますけど、大きな事件の時には、必ず何か裏があって…・」
「ちょ、ちょっとまってよ」
 
 アメリアが、彼を悪だと思いたくない、と感じた意味がわかった。彼は純粋過ぎるのだ。
 では、何故そんな純粋な人間が、他人の名を語り、セイルーンに忍び込むなどと言う危険を犯したのだろう。
 ただ、じっと立っていれば、そこいらへんにいる貴族のお坊ちゃんにしか見えないのに・…。
 思わず、そのぼんやりした顔を見つめてしまった。ガウリィがリナの横に立って、同じような瞳で“ゼルガディス“を見つめている。
 そのとき、彼らの横合いから唐突に声がかけられた。

「何をやっているんだ!お前が相手にするのは、そんな貧乳の小娘じゃないだろう!!」
 その声と内容に、リナの片眉がぴくんとはねた。頬が目に見えて引きつる。
 その様子に、ガウリィと“ゼルガディス“が、数歩下がった。前者は長年の経験から、そして後者はその追っかけ精神ゆえに、そのリナの様子が危険なことを悟った。
「ゼルガディス!!早くアメリア王女の所にでも行かんか!」
 そんな二人の様子にまったく頓着せずに、“ゼルガディス“に詰め寄った。
「……お、叔父さん。その前に、リナさんに謝ったほうが・…」
 迫ってくる顔を、両手で押さえるようにして、彼はリナのほうを顎でさした。
 その先には、怒りで全身を小刻みに震わせ、両拳を握り締めて、必死で怒りを押さえているリナがいた。
「何じゃ、この頭の軽そうな小娘と男は。どこぞの者の護衛か何かか?」
 ぶち!!
 リナが、ジャベルの前に、ずいっと身を乗り出した。
 怒りで、目が据わっている。
「あ〜ら、あなたの方こそ、どこの樽のお化けなのかしら?最近の樽は変わってるわねぇ。服着て、おまけに喋ってるんだから」
 ぴき!!
「ふん。口の悪い小娘じゃな。どうせ、口にばかり栄養がいって、重要な所までまわらんかったんじゃろ」
「ふ・・ふん。そっちは頭に栄養がいかずに、体についてるようじゃない?」
「他人を非難するのは一丁前か?体の方は子供サイズのくせに」
「体だけ、牛サイズよりましだわ」
「牛の方が、まだ、もめるだけましじゃ」
「………・おやじな発言」
 びきびきびきびき!!!!
 目に見えない火花が両者の間に飛び散っている。

 その様子を横目に見ながら、ガウリィと“ゼルガディス“が顔を見合わせている。
「ど、どうしたらいいんでしょう?ガウリィさん」
「う〜ん…。俺に聞かれてもなぁ」
 困ったような顔で、再び睨み合っている二人に目を向けた。
(こういう時はゼルとアメリアが何とかしてくれてたんだがなぁ・…)
 しかし、今彼らはここにいない。一人は貴公子達に囲まれて身動きが取れなくなっているし、もう一人にいたっては、どこで何をしているのかさえ見当がつかない。
 仕方なく、二人の間にわって入った。
「ちょっと!ガウリィ!!そこどいてよ!!このくそジジィに一泡吹かせちゃる!!」
「…・・今度騒ぎを起こしたら、絶対強制退場(ぼそぼそ)」
「うっ!!」
 耳元で囁かれた言葉に、リナが言葉を詰まらせた。さすがに、こんなおっさんのためにご馳走を見逃す気にはなれない。
 全身を小刻みに震わせながら、ぐっとこらえる。
 その様子を、面白そうに眺めていたジャベルだが、目の前に立った“ゼルガディス“の台詞にあからさまに顔色を変えた。
 すなわち、この二人は“あの“リナ=インバースとガウリィ=ガブリエフであるという事に。
 ジャベルが呼吸するのを忘れたように、数回口をパクパクさせると、見苦しい顔がさらに見苦しくなった。
「で、では、あの、どらまたで魔王の分身の一人で魔王の便所のふたと呼ばれる・…」
「だぁぁぁぁぁぁぁ!!!それはもういい!!」
 リナの叫び声に中断されたので、顔をしかめて口を閉ざした。そして、しばらくの間ぶつぶつと独り言を呟いて、何かを考えていたようだった。が、唐突ににっこりと笑顔を作った。
 その不気味な笑顔に、その場にいた者全員が二歩下がった。しかし、ジャベルはそんなことなど気にせずに、二人に向かって一礼をした。
「こんな所で、あなた達のような有名人に会えるとは思ってもおりませんでした。光栄です。私はル・アース公国補佐役ジャベル・グレイワーズと申します」
 その、あまりの態度の違いに、二人がぽかんと口を開けた。丁寧な物腰、笑顔は不気味だが喋り方もまったく違う。
「いやはや、そのようにご高名なら早くおっしゃって下されば良かったのに。お二人も人が悪くていらっしゃる」
 がっはっはっはっは、と大口を開けて笑う。その耳障りな笑い声に、リナは思わず片耳を押さえてしまった。
 そんなリナの様子などまったく気にも止めないで、ジャベルはとうとうと喋りつづけていた。
 国のこと。最近の貿易のこと。それにまつわる不満。
 誰も聞いてもいないのに、国のことを喋りつづけている。
 口を挟む余裕さえ無い。というよりも、隙を見せないようにしているのでは無いか、と思った。
 何とか、口を挟む隙をリナが狙っていると、どこからかジャベルを呼ぶ声が聞こえた。会場の方から、どこかの外交官が手を振っている
「おお、わしのことを呼んでおるようですな!それではこれで失礼します」
 やっと開放される…。
 そう思って、リナ達が息をついた瞬間。会場に向かって歩いていたジャベルが振りかえった。
「そうそう、お二方」
「な、なによ」
 気を抜いた瞬間に声をかけられたので、ちょっと声が上ずってしまった。
「ゼルガディスのことはどう思われます?」
「は?まぁ、普通の子です」
「それだけですか?」
 何かを含んだような瞳。それが気に入らない。
 だから、つい、本音が出そうになる。
 −ええ、私の知っているゼルガディスとは大きく違って、目を見張る思いだ―と。
 その言葉を、のどの手前に押し込めて、代わりににやりと笑って見せる。
「ええ。あなたに似ていなくて、本当に良かったわね」
 リナの皮肉に、ジャベルはもっともだ、とうなずいて、会場へと消えていった。その顔に、満足げな笑みを浮かべて・・……。

「がぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!何よ!!何なのよ!!あのくそじじぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
 ジャベルが完全に視界から外れた後、リナはその場で思いっきり地団太を踏んだ。
 何せ、言いたいこともいえないまま我慢していたので、いらいらいらいらするのだ。
「誰が貧乳よ!自分はでっかい樽のくせにぃ!!!」
「どうどう、おい、リナ。グレイワーズが引いてるぞ」
 ぽんぽんと、頭を軽く叩くガウリィが気に入らなかったが、確かに“ゼルガディス“が青ざめた表情で俯いている。
「すみません。リナさん、ガウリィさん。叔父が大変無礼なことを…」
 泣き出しそうな声で、それだけをいうと俯いてしまった。その様子に、なんだか悪い事をしたような気分になった。
「…・・いいわよ、あんたがあやまんなくても。私も大人気無いかなぁ、てちょっと思うしぃ」
「……ちょっとなのか?」
「うるさいわね!!!」
 すぱしぃぃぃぃぃぃぃん!!
 ぼそっと呟いたガウリィに、きっちりハリセンで突っ込んでから、“ゼルガディス“に向き合った。
「ああ!もう、あんたもそれぐらいで落ち込まない!!いちいち気にしていたんじゃ、体が持たないでしょうが!!もっと、前を向いて歩きなさい!!!」
「リナは、気にした方が良いんじゃ……ぶべ!!」
 倒れていたガウリィが、顔を持ち上げて呟いた。が、それを最後まで言いきることは叶わなかった。リナが、持ち上がったガウリィの顔を上から踏みつけたからだ。
 ガウリィの頭を、丹念に踏みつけながら、器用に顔だけはにっこりさせた。
「とにかく!別にあんたのことを怒ってるんじゃないんだから、堂々としていなさい!!!」
「・………はい!」
 苦い笑みを貼り付けながら、それでもさっきよりは明るくなった顔で頷いた。
 
 パーティの夜はふけていく………。

                    Go To Next
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 はい、やっとリナ達とジャベルさんが会えました。結構、本気で論戦してましたね、あのリナと(-.-;)・・・・・すごいぞジャベル。
 でも、やっぱり嫌い……。自分のオリキャラなのに・・。
 
 さぁ、次回はどうしようかなぁ。もう一人、オリジナルを出す予定なんですが、大丈夫だろうか?なんか、どんどん、話が大きくなっていく・・・・…。

 計算上では、後10回以内に収めようとは思ってます・・・。しかし、なかなか思い通りにはいかないんですよね(嘆息)。
 もう、こうなったら、行きつく所まで行こうと思います。最後まで、どうぞお付き合いくださいませ。
 

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7046早い早い!ももへい E-mail 6/10-23:27
記事番号7042へのコメント

こんにちは。

作品ペース、本当に早いですね〜。本業も頑張って。
心行くまで書いて下さい。感想あんまり得意でないので、
毎度短いコメントですが。
オリキャラさん頑張ってますね。また出るんですか?
どんな人なんでしょうね〜
それでは!

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7068贖罪の時22なゆた E-mail 6/14-17:16
記事番号7046へのコメント

「なぁ、リナ。やっぱり、やばくないか?」
「なにがよ」
パーティは予定通り、真夜中に終了した。現在、出席している貴族たちは、いくつかの迎賓館にわかれて宿泊している。
 セイルーンにある迎賓館の一角を、リナとガウリィは歩いていた。二人とも、既にいつも通りの格好に戻っている。なぜか、ガウリィはでっかい袋を下げている。
 なんだか不機嫌そうなその顔を、リナが下からぎろり、とにらみつける。
「いやな、確かにあのおっさんが気に食わない、てのはわかるぞ。しかしなぁ…・・」
「うるさいわね!ここまで来てから、うだうだ言わない!!絶対に、あのおっさんが怪しいんだから、情報を集めるしかないでしょ!!」
 二日目のパーティが終わった後、リナが達した結論は、以前アメリアが出したものとあまり変わらなかった。
 すなわち、偽者よりもあの"ジャベル・グレイワーズ"が異常に怪しい、ということだ。 
 根拠を挙げてみろ、とガウリィに言われてあげた根拠は、曰く。
「その1・偽者が、彼に対して不信を持っている。これは互いの協力関係ではなく、脅し、もしくは     
強要によって手伝わせている可能性が高いから。
 その2・"ジャベル"の外交面での能力は二束三文の芝居ではなく、幼いころから仕込まれてきたも  のだ。つまり、このパーティに出席するための家柄を持っていると思われる。
 その3・似合ってはいないが、彼の身につけている貴金属や、装飾品の数々は間違い無く本物である。ゆえに、その財力も相当なものである。」
 ということらしい。確かに、それだけで十分に怪しいのだが、多分に個人的感情が含まれているのは否定できない。
 その証拠に、この後約一時間ほど、アメリアと"ジャベル・グレイワーズの嫌な所"について、白熱した論述を繰り広げていた。
 女性のこういう、陰口の嵐は男のガウリィにとってはうんざりするものだったが、いつも通り途中で寝てしまったので、あまり関係無いだろう。
 しかし、その後リナに蹴り起こされ、聞いた言葉が、
「さぁ、ガウリィ!情報収集に行くわよ!!」
 である。なんだか知らない間に、大きな荷物を担がされ、アメリアから教えてもらったというル・アース一行が泊まっている部屋に向かっているのだ。
 ちなみに、アメリアは
「こんな時間に、私が他人の部屋になんか行くと、痛くも無いお腹をつつかれそうですから、遠慮します」
 ということで、部屋で休んでいる。
「でもなぁ…・・」
 ちらり、と担いでいる袋に視線を向ける。歩くたびにガチャガチャとガラスの触れ合う音がしていた。
 そんなこんなで、歩いているうちに、扉の前についてしまった。
「さ!行くわよ、ガウリィ!!」
 なぜか明るい声を出し、扉に手をかけるリナを見て、ガウリィはため息をついた。
 長年の経験が告げている。こんなに楽しそうなリナは、誰にも止められまい、と。

「おじゃましま〜す!!」
 明るい声を出しながら、リナが扉を開け放った。
 ほんの少し、薄暗い部屋だった。部屋の色々な所にかけられているランプは、光の量を半分に絞られている。いやみなほどに豪勢ではない調度品の数々が、その光に照らされてぼんやりと浮かび上がっている。
 その部屋の中央。ゆったりとした、皮製のソファに、人影が見えた。
「あ、あの〜。ここって、ル・アースの部屋って聞いたんですけど〜…」
 見知った顔がどこにもいないので、遠慮がちにリナが声をかけた。その声に、ソファに座っていた人影がゆっくりと振り返った。
 ゆるくウェーブした薄い茶色の髪。ほっそりとした手足が、身にまとった薄い空色のドレスからのぞいている。どこかあどけなさを残したその顔は、まだ14〜5の少女のものだった。
 しかし、はっきりとした顔立ちはわからない。その顔から上半分。つまり、目のあたりを白い布で覆っているのだ。
「おい、リナ。この子、目が……」
「うん」
 小さな声で、ささやき交わした。この部屋が、少々暗い、と感じたのはこの子の為だったのだ。できるだけ、やわらかな光で、彼女の瞳に負担をかけないようにという。
「…どちらさまですか?ここは、確かにル・アースの部屋ですけど…・・」
 少女が口を開いた。細く、透き通るような声だ。今は、不安に少しゆれている。深夜に、いきなり知らない人物が扉を開け放ったら、そりゃぁ、普通は驚くだろう。しかも、彼女は目が見えない。相手の姿が見えないという事は、本人にとったら、不安を通りこして恐怖なのである。
 その様子に、リナが慌てて言葉をつむぐ。
「あ、ああ!別に怪しいもんじゃないわよ!!」
「………夜中に押し入る奴がか?ぐ!!」
 ぐりぐり!
「うっさい!!」
  ガウリィの足をぐりぐりと踏みにじりながら、リナは柔らかい声を出した。
「ごめんなさい。約束はしてなかったんだけど、ここにいる"ゼルガディス・グレイワーズ"っていうのに話があるのよ。彼、いる?」
「ゼル…・・ガ・・ディス?」
 少女が、不審に眉を曇らせた。まるで、心当たりが無い、という風に。
 その表情に、二人が部屋を間違えたのか、と思い始めたとき、隣の部屋の扉が開いた。
「ルーシャ。何か音が聞こえたけど、何かあった………あああああああああ!!」
 二人の姿を認めるなり、心配そうな顔を一瞬で驚喜に変えるのは、世界中で一握りしかいない。そう、出てきたのは"ゼルガディス"だった。
「リナさん!ガウリィさん!一体どうしたんですか?こんな時間に?!!」
 うれしそうに、二人に駆け寄る。
「いちいち、そんなに驚かないでよ。何かこっちが照れくさいじゃない」
 本当に、照れくさそうにほほを染めながら、リナが"ゼルガディス"の肩をたたいた。
「すいません・・。えっと、立ったままというのも何ですから、こちらへどうぞ」
 リナに肩をたたかれ、恐縮したように頭を下げた.そして二人を、部屋の中央にあるソファに座らせ、自分はルーシャと呼ばれた少女の横に腰を下ろした。
 ちょうど、向かい合う形になる。
「えっと、グレイワーズ公?こちらの方は?」
 リナが、正面に座っているルーシャを手でさしながら、聞いてみた。"ゼルガディス"が一瞬だけ視線を伏せ、そして、彼女の手を取った。
「私の妹です。名は、ルーシャ・グレイワーズ。1年前、不慮の事故で目が見えなくなってしまいました」
 その言葉に、ルーシャの表情が沈む。二人にとって、その事は思い出したくない事のようだった。
「医者も、高位の神官たちにも治せないそうです」
 ぎゅっと、唇をかみ締めて、悔しそうに"ゼルガディス"がつぶやいた。それは、無力な自分に対しての悔恨であろう。目には悔し涙が浮かんでいる。
 そんな"ゼルガディス"の手を、ルーシャが強く握り締めた。その口元には笑みさえ浮かべて。
「気にしないで。私はこのままでも、平気。目が見えなくったって、生きている事が幸せだと感じられるもの」
 高潔で、透明な微笑。そこには、彼を慰めようという思いと、なによりも"生きている"という事に対する喜びが感じられた。うそも、偽りも含んではいない。その表情はとても14・5歳の少女の顔ではなかった。これまでに、一体何を見てきたというのだろうか?
「……・・ルーシャ」
 "ゼルガディス"が言葉に詰まったように、その白い布に覆われた顔を見つめている。もはや、そこは二人の世界。誰も立ち入る事のできない空気がたゆたっている。

「なんかさぁ、恋人同士って言われても納得できそうなんだけど」
「確かに。でも、目が見えない妹だと、どうしても過保護になるんじゃない?」
「そうかもなぁ」
「……・・でもねぇ」
「あの〜、リナさん、ガウリィさん?」
『うおわぁぁぁぁぁぁ!!!』
 ソファの後ろで、ぼそぼそと言っていた所に、いきなり背後から声をかけられて、二人が思いっきり飛びのいた。
 視線の先には、二人のリアクションに呆然としている"ゼルガディス"がいる。
「おのれはぁぁぁぁぁ!!いきなり声をかけるなって、言ってるでしょうがぁぁぁぁぁ!!」
 ぐわし!!と、"ゼルガディス"の胸倉をつかみ、乱暴にゆする。
「あああぁぁぁあああぁ!!すいませぇぇん!!今度からは、気をつけますぅぅぅぅ!!」
 乱暴に揺さぶられ、目に涙をためつつ、"ゼルガディス"が謝った。本人、あまり悪い事をしたわけではないのに、責められている事にはきづいていない。純朴培養の見本のような人物だ。
「よろしい」
 リナが、ぱ、と手を離すと、"ゼルガディス"が脱力したように、その場にしゃがみこんだ。どうやら、目を回してしまったようだ。
「おい、リナぁ。いじめるなよぉ」
 すぱしぃぃぃぃぃ!!
「誰がいじめとるかぁぁぁ!!」
 スリッパで、ガウリィの頭をはたく。
 そのとき、ソファの上から笑い声が響いてきた。ルーシャが、こらえきれなくなったように、身を震わせて笑っているのだ。
 なんとなく、恥ずかしい気がして、リナは改めてソファに座りなおした。
「あはは!!恥ずかしいところ見ら…・・じゃなくて、聞かれちゃったね」
「いいえ。とってもお元気なんですね。彼が言っていたとおりの方達だわ」
 クスクスと、口元を押さえながら微笑をこぼす。つられて、リナも笑顔をつくった。やさしい、やさしい笑顔なのだ、彼女の笑みは。
 そうしているうちに、いつのまにか、復活したガウリィと"ゼルガディス"も改めてソファに座った。
「ところで、リナさん、ガウリイさん。何かご用があったんじゃないんですか?」
 小首を傾げてたずねる"ゼルガディス"の言葉に、、リナがはっとした。忘れていたのだ。
「そうそう、いや、特に用事って言うわけでもないんだけどね!アメリアがおいしいお酒くれたんで、一緒にどうかなぁ、って思ったのよ。ほら、ガウリィ!!」
「……・ん?あ、ああ」
 小脇をつつかれて、ガウリィが慌てて担いできた袋を下ろした。
 中から出てくるのは、・・見事なほどに酒ばっかりだった。ワイン、ウィスキー、ウォッカ、老酒、ジン、リキュールにブランデー。ありとあらゆる種の、それも一級品ばかり。その量に、"ゼルガディス"は唖然としている。
「で、どれ飲みたい?い〜や、面倒だから全部あけちゃぇ!!」
「お〜!!いっちゃえ!いっちゃえ!!」
 なぜか飲む前からハイテンションの二人。
 慌てたように、"ゼルガディス"が両手を振った。その手に、無理やりグラスをねじ込む。
「ちょ、ちょっと、待ってください!!お気持ちはうれしいんですが、私はまだ、明日のパーティが…!!」
「何よ〜!私の酒が飲めないっての!」
 既に、からみグセが出ているリナ。
「そうだぞ。リナの言う事聞かないと、後でどんな事になっても知らんぞ」
 ガウリィの、実感のこもった説得(脅迫?)に、"ゼルガディス"が折れた。
「……飲ませていただきます……」
 目の端に涙を浮かべて、そっとグラスを差し出す青年。
 目の前には、満足そうに微笑むリナがいた。隣のガウリィはなぜか気の毒そうな視線を彼に送っている。
「じゃぁ、私は先に休ませていただきますね」
「ルーシャ〜〜〜〜〜〜〜〜」
 恨めしそうな声を無視して、ルーシャが隣室に、そそくさと逃げてしまった。
「さぁ!!妹の許しも出た事だし!!」
「いつ出たんですか!!そんなもの!」
「きにしな〜い!ささ、飲んで、飲んで」
 グラスに、なみなみとブランデーを注ぐ。しかし、彼はただでは転ばなかった。
「これはリナさんたちがもらったお酒でしょう?私だけで飲んでしまっては、気が引けます。一緒にのみましょう!!」
 そう言うと、リナとガウリィのグラスを用意し、なみなみとブランデーを注いだ。
 二人とも、もともと、酒は嫌いなほうではない。しかも、目の前にあるのは超一級品だ。ごくり、とつばを飲み込むと顔を見合わせた。
「どうせなら、つまみも用意しましょう!」
 それが決めてだった。
 
 その夜、三人は仲良く酒を飲み、ほぼ同時につぶれてしまった。
 結局、「"ゼルガディス"を酔わせて、本音を聞きだそう!作戦」は、失敗に終わったのだ。

 翌朝、迎えにきたアメリアの白い視線と、二日酔いに二人は一日中ベッドを抜けられなかった。
 
 ちなみに、"ゼルガディス"のほうは、ルーシャの冷たい視線と二日酔いに悩まされつつ、ジャベルに見合いパーティに引っ張り出されていた。彼にとっては、とんだ一日だっただろう。


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ももへいさんへ
 いつも、感想ありがとうございます。とってもうれしくて、励みになってます。

>作品ペース、本当に早いですね〜。
・・・・・ゼルのときだけですね、私が早いのって。

>オリキャラさん頑張ってますね。また出るんですか?
>どんな人なんでしょうね〜
 こんな人です(笑)何なんでしょうねぇ。この齢14・5歳にして悟りきっているようなガキは!
まぁ、彼女もいろいろあったんですよ。何かはまだ秘密です。


 さてさて、こんな人も出てきました。今回、彼女を出すためだけにこの話が決定いたしまして、
本当に、悩んで悩んで、書き上げました。いつもより、格段にスピードが落ちてましたね(汗)

次回から、やっと佳境に入る(かな?)と思いますので。今までの日程を振り
返ってみたいと思います。っていうか、自分でも、今何日目なのかわかんなくな
ってしまいましたので、

アメリア                       ゼルガディス
・フィルから聞く−−−− パーティ決定!の日       ―――
  ―――          2日目 −−−−−−−−−・フィリアの店
  ―――          三日目           ―――
  ―――          四日目           ―――
  ―――          五日目−−−−−−−−−−・レゾの夢
  ―――          六日目−−−−−−−−−−・発熱
・リナ・ガウリィ登場 −−− 七日目−−−−−−−−−−・宿屋のシーン

・偽者&叔父登場 −−−−−パーティ初日−−−−−−−−・夢&起床
・リナVS叔父         二日目           ―――
・夜、酔いつぶれる。

 なんだか、面倒くさいですけど、こんな感じで同時進行なのでした。
 読むときの参考にでもしてください。
 しかし、見事にゼルに偏ってるような・・・。



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7077贖罪の時23なゆた E-mail 6/15-23:01
記事番号7068へのコメント

「なぁ、リナ。結局何にもわかんないうちに、パーティの最終日になっちまったぜ」
「…・・うん」
 ガウリィの言葉に、リナは悔しそうに頷いた。
 そう。今日は、セイルーンにおける”大見合いパーティ”最終日。アメリアが、仮の婚約者を選ばなくてはならない日なのだ。
 しかし、仮にとはいえ各国大使の見ている前で、誓いなど立てようものなら、容易にはそれを覆すことはでき無いだろう。だからこそ、リナは偽者一行の正体をあばきたかったのだ。それによって、一時期でもパーティが混乱すれば、それを理由にこのパーティ自体をうやむやにできるかもしれなかったのだ。
 そう思って、毎日のように“偽者“と、“ジャベル“の周辺をかぎまわっていたのだが、相手もなかなかのもので、まったく尻尾を見せなかった。
 それに加えて、アメリアの様子もまた、彼らの心配の種だった。
 心労と、パーティからの疲労からか、日々やつれていっていた。毎日、ベッドには入るのだが、余り眠れていないようだった。
 痛々しいほどにやせていく彼女に、リナとガウリィは何度も休息を勧めたのだが、「これが仕事だから」と頑として聞かなかった。
 思えば、自分を追い詰めることで、悲しみを紛らわせようとしているのかもしれない。そんな様子を、傍で見ていることしかできないのは、辛かった。
 毎日、焦りだけが大きくなっていった。
 けれど、何の解決もできないまま、今日を迎えてしまった。
 いつもの格好で二人は立っていた。会場の隅から舞台に立つ、アメリアを、ただ見つめることしかできない無力感と、後悔に包まれたまま。

 リナとガウリィの視線の先では、まさしく見世物よろしく様々なカップルが誕生していっていた。
 本当に愛が誕生したもの。
 偽りと打算だけのカップル。
 そんな様子を、アメリアはただぼんやりと見つめていた。まるで、自分だけが別世界にいるようだった。
 今日のアメリアは、純白のドレスに身を包み、頭には小さなヴェールをつけている。その服は、明らかにウェディングドレスを意識している。それを最初に見たとき、リナは激怒した。
『これでは、そのまま嫁にやる意思を強調しているようなものじゃない!!仮に、と最初に言っていた筈なのに、あんの、たぬきどもぉぉぉぉ!!!』
 そう叫んで、宰相の部屋に殴りこみそうになっていた。それを、ガウリィが必死に止めているのを、アメリアはただぼんやりと見ていた。
 もう、どうでもよかった。
 頭がぼんやりして、何の考えも浮かばない。感情も、今は奥底に沈んでしまっているようだ。
 ただ、司会者の声だけが頭の中で響いている。
 
「さぁ!!次々とカップルが誕生していきます!!破れた人も、幸せになった人も、お待たせしましたぁぁぁぁぁぁ!!!今回の、メインイベント!!アメリア姫に告白タァァァァァァァァイムゥゥゥゥゥ!!!!!」
『う・お・お・おおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!』
 毎度おなじみになった、キースのマイクアクションに、律儀に返事を返す貴族達。いや、今回に限っては、かなり本心が入っているに違いない。
 今、アメリアの前には3人の男性が立っている。その、一番最後には、はにかんだような、苦しそうな笑顔で立つ“ゼルガディス“もいる。
「彼女に挑戦するのは、この方達です!!一番!!ランドーグ王国王子、レイス=リア=ランドーグ殿!!」
「アメリア姫、私とともに生きていきましょう!!私なら、あなたを幸せにできます!!」
「二番!!フリークエン皇国皇太子、デルス=シャオ=リーン=フリークエン殿!!」
「あんまり、お話できませんでしたが、あなたのことは本気です!!よろしくお願いします」
 そして、
「三番!!ル・アース公国大公、ゼルガディス=グレイワーズ殿!!」
「…・あまり、信じてもらえないかもしれませんが、初めてお見かけした時からあなたを愛していました」
 こころもち、青ざめた表情で、それでもしっかりとした口調で、それだけ言うとゆっくりと礼をとった。体が、小刻みに震えている。
 けれど、アメリアはそんな様子にも気がついていない。もう、全てがどうでも良かった。
 ただ、ぼんやりと、周りを見ている。いや、目は開いてはいても、その景色は意識に入ってきていない。立っている、という自覚も稀薄だった。今、のこっている五感は、恐らく聴覚だけだったのだろう。
 かすかに、キースの声が脳裏に響いたのだ。
「さぁ!!アメリア姫の愛を得る人物は?!!」
(私の愛……?
  私の愛する人・・……?
    そんなの、世界中に一人しかいない……
      いつも、ぶっきらぼうで、でも、やさしい…・
       苦笑しながらも、見守っていてくれる・・…・…
  あの人は………)
「……………ゼルガディスさん・・……」
 ぽそり、とこぼしたアメリアの呟きを、キースは聞き逃さなかった。そりゃ、そうだろう。耳に手を当て、彼女の口元に耳を寄せていたのだから。
「おおぉぉぉぉぉぉっと!!!アメリア姫のお相手は、今パーティで何度もツーショットが見られた、ゼルガディス=グレイワーズ殿に決定されましたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 今までに無い大声で、キースが叫び、くるっと後方に宙返りしてから、びしぃ!!とマイクを会場に向けた。
 瞬間。
「………おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
 一瞬、シーンとしてしまった会場から、歓声と拍手が、やがて大喝采へと変わっていった。
 隅っこの方で、フィリオネルがハンカチで目頭を覆っている。
 そこへ、キースが宙をくるくると回転しながら、その傍に舞い降りた。
「さぁ、フィリオネル殿下!!今のお気持ちは!!!」
「うおぉぉぉぉぉ!!むすめよぉぉぉ!!父は・…父はぁぁぁぁぁぁ!!」
「おやおや、どうやら感動で言葉がでないようですね」
 リナ達に言わせれば、フィリオネル王子は、ただ単に無理な婚約のためにやせてしまった娘を嘆いているだけだと思うのだが、他人の目にはそうは映らないらしい。一人で納得すると、すたすたと、舞台の上へと戻っていった。
   
「では!この特設会場が、今から、仮の誓いの場となります!!!皆さんは、それにご出席いただけるでしょうかぁぁ!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「いいお返事です!!では、誓いの儀式を取り始めます!!神官は、続きましてこの私、キース=レンタルが勤めさせていただきます!!!」
 そう、叫ぶと、タキシードの襟に手をかけた。そして、勢いよくそれを引っぺがす。
 一体どういうトリックなのか、タキシードを剥ぎ取ったはずのキースは、何故か隙なく神官服に身を包んでいた。
「おい、リナ。あれどうやったんだ?」
「ああ、もう!!知らないわよぉぉぉ!!あんな人外魔境な奴のことなんてぇぇぇぇ!!」
 泣きそうな声で、リナが頭をかきむしった。
 そんなことはお構いなしに、舞台の上には祭壇が創られていく。

「さぁ、祭壇も完成しました!!早速誓いの儀式と参りましょう!!」
「ええ!!ここでですかぁ!!」
「はい!善は急げというじゃないですか!!」
 素っ頓狂な声をあげた“ゼルガディス“に、にっこりとキースが答えた。そして、その手にはいつのまにか聖書が現れている。
「で、でも!!心の準備が!!それに、アメリア姫だって!!」
「心の準備なんて後で十分です!それにアメリア姫は異存ないようですよ?」
 後からやるのは、準備と言わない。しかも、アメリアは、ほぼ放心状態にあるのだから、異存も何もあるはずがない。
 けれど、外見からだけでは、おとなしく誓いを待っているようにしか見えない。その様子に、これ以上騒ぐのはアメリアに悪いような気がして、“ゼルガディス”は黙り込んだ。
 その様子に、キースが満足げに頷くと、祭壇の壇上に上がった。
「では、ただいまから誓いの儀式〔仮〕をはじめたいと思います」
「おおおおおおおおおおお」
 騒ぐ聴衆をキースが片手を上げて、黙らせた。
「さあ、お二方。前へ」
 その言葉に、“ゼルガディス“がぼんやりしているアメリアの手を引いて、キースの前まで歩を進めた。
 偽りのはずの、誓いが、始まる。

「リナ、何にもできないのか?俺達」
「これは、国家レベルの問題よ。私達が下手に首を突っ込むと、余計にややこしくなるのよ!」
 悔しそうに、祭壇を見つめるガウリィに、リナは泣き出しそうな声で返事をした。
 ここが、アメリアが大切にしている国でなかったら、思い切り破壊してしまっているだろう。
 それがわかるからこそ、ガウリィは、リナをそっと片手で抱き寄せた。
 今回だけは、リナは文句を言わずに、変わりにその腕を抱きしめた。
 ぼやけた視界の向こうで、誓いの儀式が進行している。
「……辛いな。何にもできないってのは・…」
「………・」
 優しい労りと、リナに劣らないほどの無力感を含んだその声に、彼女はただ頷くことしかできなかった。

「では、最後に誓いの口付けを」
「えええええ!!今!ここで、ですかぁぁ!!」
「はい(はぁと)二人の愛を皆さんに見せ付けて差し上げてください!」
「しかし!!」
 なおも食い下がろうと、“ゼルガディス“が口を開こうとしたとき、舞台の下から怒声が飛んだ。耳障りなその声は、何回聞いてもなれることは無い。
「ゼルガディス!!うだうだ言ってないでやらんか!!わしの命令だ!!」
 豚のような両手を振りまわし、興奮に真っ赤になった顔で、まくし立てている。その様子に、悔しそうに唇をかみ締めると、意を決したようにアメリアに向き直った。
 そっと、その頬に片手を添える。
 その、放心したような幼い顔立ちを見つめ、一瞬躊躇う様に視線を伏せる。
 が、ゆっくりと顔を近づけると、そっと、その唇に己のそれを重ねた。

 そのとき、アメリアは、呆然とその様子を感じていた。
 目の前に、迷うような緑の瞳が見えた。
 一瞬の逡巡。
 迷った瞳のまま、近づいてくる、最近知り合った男の顔。
 重ねられる、相手の唇。
 脳裏に浮かぶのは、あの日に交わされた一瞬の口付け。
 相手は、彼では無い。
 望んだ彼は、ここにはいない。
 絶望が、心に染み込んでいく。
 もう、全てがいやだ。
 何もかも、投げ出して、死んでしまいたい。
 イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ、イヤダ
 心を埋め尽くす、ただ一つのイメージ。
 心が・・……壊れてしまう・………。

「はい、そこまでです」
 唐突に響いた言葉に、最初その場にいた全員が対応できなかった。
 声を発したのは、キースだった。
 鋭利な刃物を思わせるその微笑みは、リナ達にある人物を連想させた。
「ガウリィ!!!」
「ああ!!なんで今まで気がつかなかったんだ?!」
 そう叫ぶと、舞台に向かって駆け出した。
 しかし、舞台の周囲にはすでに不可視の結界が張られていた。両手をそれに叩きつけて、リナは壇上で薄く笑っている人物を睨みつけた。
「一体、どういうつもりよ!!ゼロス!!!!」
 リナの叫びに呼応するかのように、キースの姿がぐにゃり、と歪んだ。
 ゆっくりと、その姿を現したものは。
 間違いなく、9ヶ月前、ともに戦った魔族。獣神官ゼロス、だった。

                       
                          Go To Next
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 はい!お久しぶりの獣神官です。やっと出てきた、と思われたあなた!!
実は、彼、セイルーン編にずっと出てたんですよねぇ。これだけは、絶対にばれていなかった自信あり!です。分かっていた人はすごい、と思いますよ。本当に。しかし、あのハイテンションは一体……。お役所仕事も大変だなぁ、と人事のように感心する、私。
 それにしても、今回、アメリア真っ暗ですね。知り合って一週間のやつにキスされちゃうし。いやぁ。かわいそうだなぁ。でも、次回はもっと、かわいそうなのです、これが。
 次回は、ゼルが出れるかもしれません。
 予定では、出れると思いますが・・…。私の予定は嘘っぽいので、確証は持たないでくださいね。
 では、次回に・…。
 

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7078Re:贖罪の時23昂也 E-mail 6/16-03:48
記事番号7077へのコメント

なんてこった〜〜!!
アメリアめっちゃかわいそうやし、ゼルはまだ到着せんし、
ゼロスがあんなハイテンションやったなんて〜〜!!(笑)

いや、ますます先が楽しみになりました。

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7081Re:奪われたモノ絹糸 6/16-22:06
記事番号7077へのコメント


どーも、なゆたさん。絹糸でございます。
うわあ〜って感じですね。アメリアがキスされちゃったよ・・・。壊れちゃったし・・・かわいそすぎる。でも今後もっと可哀想になるというし、これ以上どう可哀想になるのだろう?このままの展開でいくとゼロスがなんかするんだろうなあ、最初の方でそんなこと言ってたし。
けど、キースがゼロスだったとは、展開がうまいです。なゆたさん!
 
> 一体どういうトリックなのか、タキシードを剥ぎ取ったはずのキースは、何故か隙なく神官服に身を包んでいた。
 お前はゼロスか!・・・ってツッコミいれたらホントだった。びっくりした。

> 次回は、ゼルが出れるかもしれません。
 えっ!!!やった!セイルーンに着くかな。わくわく♪

> 予定では、出れると思いますが・・…。私の予定は嘘っぽいので、確証は持たないでくださいね。
 え〜〜〜〜〜〜〜〜(長いっ!)出して下さいよ〜。でもこれでゼルがセイルーンに行っても結界の中に入れるかな・・・?あんまり言うと困ると思うんで言わないでおきます。

> では、次回に・…。
 はい!がんばってくらさい!楽しみだ!
 わたしの次回作もナメクジの歩みで進行中です!
 
PS:コメントタイトルはアメリアの「唇」と「心」のことです。

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7087贖罪の時24なゆた E-mail 6/17-22:05
記事番号7081へのコメント

 今回の仕事は、楽しかった。
 打算、欲望、悲哀、絶望、嫉妬と羨望。
 ありとあるゆる負の感情が溢れていた。
 特においしいと感じたのは、アメリアの感情だった。
 表には出さず、内に溜め込んだ感情は、他の人間の何倍も大きかった。
 だから、彼を待つ間に暇つぶし程度で、司会をやってみた。
 ガウリィの人間ばなれした直感から逃れるために、異世界の人間(?)の姿まで借りた。
 パーティが終わりに近づくにつれ、アメリアの負の感情が大きく、強くなっていった。
 そして、誓いの儀式。
 彼の偽者に口付けをされた瞬間、彼女の感情は、停止した。
 それと同時に、心の琴線に何かが触れた。
 それは、待ち望んでいた、彼の存在。
 気配が、予想よりも早く、ここに近づいていることが分かった。
 だが、彼以外の存在は、感じられない。
 一人で、近づいてきているのだ。
 彼女を、守るために。
 だから、彼の目の前で彼女に止めをさせなければならない。
 魔族を憎むように。
 それを倒すために、力を望むように。
 予想外にもここにいる、あの二人に邪魔されずに行わなければならない。
 だから・・……
「彼が来るまでに、虫の息ぐらいにしておきたいですね・・…」
 そう思って、彼らの周囲に、力を解き放つ。

「ゼロス!!!何をするつもりなの!!」
 不可視の壁に拳を叩きつけながら、リナが叫んだ。
 祭壇には、姿を現したゼロスと、突然のことに呆然としている“ゼルガディス“、そして未だに放心しているアメリアがいる。
 彼の目的は、一体どっちなのか、彼女には分からなかった。しかし、獣神官ゼロスが相手となれば、生半可な理由ではないことは分かる。
 そんな彼女を、ゼロスは面白そうに見つめると、ゆっくりとアメリアの腕を引いた。アメリアは、とくに抵抗するでもなく、彼の傍まで歩み寄る。そのぼんやりとした瞳には、何の感情も表れてはいない。
「今回は、アメリアさんに用があるんです」
「何のために!!」
「もちろん、それは、秘密です(はぁと)」
 いつもの台詞を、いつものポーズで言ってのけた。その時、
「アストラル・ヴァイン!!!」
 ぶん!!
『なっ!!!』
 リナとガウリィの声がはもる。
 ゼルガディスの呪文を唱え、ショートソードの魔力を込めたのは、彼本人ではなかったからだ。
「アメリア姫を、はなせぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
 “ゼルガディス“が赤く輝くショートソードを、ゼロスにむけて振り下ろす。
 なかなかの太刀筋ではあったが、あっさりとゼロスにかわされる。
 ニ度、三度と攻撃を繰り返すが、全て余裕でゼロスはかわす。実力が、違いすぎるのだ。
「おやおや、なかなか勇敢ですねぇ」
 彼の攻撃をかわしながら、ゼロスがのんびりと呟いた。
「ですが、いつまでも僕の邪魔をされても困りますね、『偽者』さん」
「な!!!」
 その台詞に、一瞬だけ“ゼルガディス”の動きが止まった。
 ゼロスが、その腹部に杖を叩きこむ!
「う・ああああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
 為すすべもなく、後ろに吹っ飛ばされた。恐らく、一箇所だけ壁を取り除いたのだろう、“ゼルガディス”が舞台の上から転がり落ちた。
「おい!!大丈夫か!!」
 駆け寄ったガウリィが、慌てて抱き起こした。肩を支えて抱え起こすと、“ゼルガディス“が赤黒い血を吐いた。内臓をやられたのかもしれない。
「回復のできる神官を!!」
 リナが叫ぶと、ゼロスの登場とともに、舞台から一定距離を置いたギャラリーを押し分けるように、神官たちが現れた。そして、急いで『リザレクション』を唱えると、安心させるようにリナ達に向かって頷いて見せた。
 それにしても、彼の叔父であるはずのジャベルはまったく姿を現していない。自分の血縁者のはずの彼が、こんなにも傷ついているのに。そのことに深い憤りを抱いた。そして、彼を呼びつけようとしたとき、背後からものすごい足音と、声が迫ってきた。
「アメリアぁぁぁぁぁぁ!!まっておれぇぇぇぇぇぇぇ!!いま!この父が、助けてやるぞぉぉぉぉぉ!!!」
 フィリオネル王子が、涙を流しつつ駆け寄ってきたのだ。
「ぬうぉぉぉぉぉぉぉぉ!!ちぃぃちぃぃのぉ、あぁぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
 いつもの調子で叫ぶと、ゼロスの張った結界に向かって拳を繰り出した。
 ごぃぃぃぃぃぃぃぃんん!!
 奇妙な反響音とともに、一瞬だけ壁が揺らめいた、ような感じがした。が、いくらフィリオネル王子が人間離れしているとしても、それはあくまで人間の範疇で、だ。
 魔族において、高位に入るゼロスの張った結界が崩れるはずもない。
「ぬぅぅぅぅ!!おのれ、悪の御使いめ!!!我がセイルーンが狙いなら、正々堂々とわしを狙うが良い!!!」 
 なおも拳を結界に叩きつけつつ、憎悪の入り混じった凄まじい顔でゼロスを睨んだ。心臓の弱いものなら、それだけで発作を起こしてしまうだろう。だが、その視線をさらりと受けて、ゼロスはにっこりと微笑んだ。
「いえいえ、今回は別にセイルーンが目的ではありませんから、安心なさってください」
 その台詞に、あからさまな安堵のため息がギャラリーから聞こえた。
 自分の身に火の粉が降りかからないのなら、と安心したのだろう。しかし、その態度は当事者達にとっては、憎悪の対象にすらなる。フィリオネルは、ぎりっと唇をかみ締めると、ゆっくりと、拳を握り締めた。
「では、儂の娘に一体何の用があると言うのだ!!」
 かすかにその体が震えているのは怒りのためだ。
「う〜ん、しいて言うなら、単なるおとり、ですね。僕らの目的のための」
 人差し指を口元に当てると、さらり、と言ってのけた。
「なんじゃと!!!!」
 激昂したフィリオネルが、さらにその拳を壁に叩きつけようとしたとき、ぽん、とその肩に小さな手が置かれた。
「フィルさん。悪いけど、あいつには人間の力なんて通じないわ。ここは私達に任せて」
「うんうん。ゼロスじゃ、いくらフィルさんでも、素手じゃ無理だよなぁ」
 悔しそうに、フィリオネルの顔が歪んだ。自分の娘が危ないというのに何もでき無い無力感が、その心を襲う。が、彼も一国の指導者。引くべきときは心得ている。ゆっくりと頭を下げると、ただ一言だけ呟いた。
「よろしく頼む」
 と。血を吐くような声で、それだけいうと、一歩下がった。
 リナは、そんなフィリオネルに頷くと、未だ舞台の上にいるふざけた獣神官を睨みつけた。

「いやだなぁ、リナさん。そんな怖い顔で。僕だって仕事でしょうがなくですねぇ・…」
「だったら、私達の妨害を素直に受けなさい!ガウリィ!!」
「おぅ!!」
 腰にさしてあった剣を抜き放つ。
 『斬妖剣』。薄紫色のその剣は、その切れ味ゆえに伝説になっている。
 それをしっかりと握り締めると、目の前にあるはずの壁に向かって構えた。
 それに対し、別に慌てた風もなく、ゼロスはのんびりと首を傾げた。
「う〜ん、そういう訳にもいかないんですよねぇ」
 そういうと、ふわり、とその体を宙に浮かせる。それにともなって、アメリアの体も宙に浮き上がり、十字架に駆けられたように宙に張りつけられる。
「それ以上、妙な真似をしないでくださいね。何か行動を起こせば、即アメリアさんを殺します」
 薄く目を開いて、優しい声で囁いた。手に持った杖がアメリアの首に当てられる。彼は、本気だった。
 それが感じられたからこそ、二人の動きが止まる。
 それを確認して、ゼロスがにっこりと微笑んだ。
「でも、結局は殺しちゃいますけどね(はぁと)」
「なん(ですって)(だと)!!!!」

 ざしゅぅ!!
 リナとガウリィの声と同時に、鮮血が飛び散った。
 アメリアの両足の腱が風に切り裂かれたのだ。
「……ぅぁぁああああああああああ!!!!」
 その痛みに、放心していたアメリアが叫び声をあげた。顔が、苦痛に歪む。
『アメリア!!!!』
「う〜ん、苦痛の感情もなかなか(はぁと)。ですが、まだまだです」
 ゼロスが杖を振り下ろすと、再び風がアメリアを切り裂く。今度は、腹部を。純白のドレスが、彼女自身の血によって深紅に染め上げられていく。
「くぅぅぅぅ、はぁ、はぁ、はぁ…・」
 痛みに、アメリアがうめき声を漏らした。遠巻きに見ている貴族達の何人かが、その凄惨な様子に気を失った。
 けれど、それだけでは彼は止まらない。
「…・今度は、腕ですね」
 そう呟くと、そっとその腕をとった。優しい、とさえ思える仕草で。
「!!!ゼロス!!やめなさい!!!」
ぼきぃい!!
「あ、ああああ・あああああ!!!」
 鈍い音が響いた。ゼロスに掴まれた腕が、奇妙な方向に捻じ曲がっている。アメリアの間接を握りつぶしたのだ。その痛みに、声があふれる。
「けっこう、元気ですねぇ。ではこれでどうです?」
 ふっと、その姿が消えた。と、同時に、無数の円錐状の者がアメリアに多数の、細かな傷をつけていく。
「あぁぁぁっぁぁぁぁぁ!!!」
 アメリアの絶叫が、パーティ会場を貫いていく。その純白だったドレスはぼろぼろになり、彼女の血によって元の色さえわからなくなっている。
 その凄惨な様子に、こらえきれなくなってリナが叫んだ。
「いい加減にしなさいよ、ゼロス!!アメリアをそれ以上傷つけたら、あんたを絶対に滅ぼしてやるわ!!!」
「ゼロス!!もういいだろう!!いい加減にしないと、アメリアが死んじまう!!」
 ガウリィが、斬妖剣を構え直した。が、
「邪魔しないでください、と言ったじゃないですか」
 そう囁くと、すいっと、杖を横にふった。その瞬間、凄まじい力がガウリィを襲う。
「ぐぅ!!」
 その衝撃を何とか剣で受けたものの、支えきれずに後ろに吹き飛ばされる。
「ガウリィ!!」
「リナさんも・・…、邪魔しないでくださいよ。僕がその気になれば、ここにいる人たち全員の命を奪えるんですから」
「…!あんたは!!」
 にっこりと、くぎをさすとアメリアに向き直った。しかしその時、ゼロスの表情が怪訝なものへと変わった。
「どういうことですか、アメリアさん?」
 苦悶に歪む、アメリアの耳元に顔を近づける。
「……何故、あなたはそんなに喜びの感情を出すのですか?あなたに待っているのは、死だけだというのに」
 確かに、彼女からは痛みに対する負の感情があふれている。しかし、それに負けないほどの正の感情もあふれているのだ。それは、強いて言うなら“安堵“という感情だ。
「なぜです?」
 ゼロスの声に、アメリアはゆっくりと意識の奥へと落ちていく。

 
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 はい、予告やぶりのなゆたです!すいませぇぇぇぇん!!
 ゼルが出れませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!何とか入れようとしたんですけど、これ以上書くと、ここだけ異常に長くなってしまうので、次回送りにしちゃいました!!すぐに次、出しますんで、ご容赦くださいまし!!!

 昴也さん
 感想ありがとうございます!! はは、あれ以上不幸にしちゃいました。いやぁ、スプラッターですねぇ。う〜ん、結構、怖いぞ、ゼロス!!
 自分で書いててなんですが、やっぱり彼って、魔族なんですねぇ(しみじみ)
 えっと、次には彼が到着しますんで、アメリアの不幸をかみしめつつ、お待ちしていてください。

 絹糸さんへ

>でも今後もっと可哀想になるというし、これ以上どう可哀想になるのだろう?このままの展開でいくとゼロスがなんかするんだろうなあ

 その通りです!!こんな極悪非道なことをやらかしてしまいました!!って、やらせたの、私なんですけどね(-_-;)

>> 一体どういうトリックなのか、タキシードを剥ぎ取ったはずのキースは、何故か隙なく神官服に身を包んでいた。
> お前はゼロスか!・・・ってツッコミいれたらホントだった。びっくりした。

 ないすつっこみ!!

> えっ!!!やった!セイルーンに着くかな。わくわく♪

 すいません!!ごめんなさい!!申し訳無いです!!!・・・よし!(ぱくり)
と言う訳で(何がだ!!)お怒りの声が聞こえてきそうですけど、本当に申し訳ないっす。
 以前書いたように、私何の計画もなく書いてるんで、簡単に予定を越えちゃうんです!!う〜ん、これからは気をつけるようにしますが(いつも気をつけているんだけど…)、またやるかもしれません。
 そんな、なゆたを見捨てずにおつきあいくださいましまし。

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7090贖罪の時25なゆた E-mail 6/18-00:43
記事番号7087へのコメント

 体中が熱い。
 何故?
 命の源が流れているから。
 私は、死ぬのだろうか?
 では、全てから解放される。
 国からも、民からも、その義務からも。
 何もかも投げ出せたら、どんなにか幸せだろう。
 そう思っていた。
 今、それが叶う。
 魔族に殺されるのなら、仕方が無い。
 そう思われる。
 それならば、誰もセイルーンを責めはしない。
 それで、いい。
 
 最後の心残り。
 あの人を待てなかった。
 約束したのに。
 ブレスレット、返してもらうって……。
 まぶたに浮かぶのは、最後に見たあの人の、姿。


 血が、流れ出す。
 滴るそれが、舞台の上に大きな、赤い池を形作る。
 『アメリア!!!』
 リナとガウリィが叫んだ。アメリアの顔から、どんどん血の気が失せていっている。
 このままでは、出血多量でその命さえ危うい。
「ゼロス!!なんなの!!一体何の囮なの!!それぐらい教えてくれたっていいでしょう!!!」
 時間がほしい。ゼロスの隙を誘えるような、時間が。何よりも、これ以上アメリアを傷つけさせないための時間がほしかった。
 だから、何とか注意をこちらにむけさせる。
「そうですねぇ。じゃぁ、一言だけ。ゼルガディスさんに対する、囮です(はぁと)」
「ゼルガディスの?!」
 ガウリィが驚きの声をあげたが、リナは特に驚かなかった。ゼロスほどの魔族が出てくるのなら、相手もそれなりの実力を持っているとは思っていた。しかも、アメリアのために命をかけられるもので、ゼロスが相手を勤める、となればその範囲は思いっきり限られてくる。そして、思いつくのは一人しかいなかった。
「何で、いまさらゼルを引き入れようと思うのよ?今まで一緒に入ても、そんなこと考えもしなかったくせに!?」
 下からゼロスを睨みつけた。ゼルガディスとゼロスは、結構長い間いっしょに行動していた。しかし、今までそういうスカウト関係はしていなかったはずだ。しかも、こんな強引な手段をとる事は無いはずだった。
 何が、変わったのか?
 それを口に出しても、相手は決して答えない、とわかってはいたが、時間を稼ぐために口に出す。
「あんた達が急に興味を示すってことは、ゼルになんかあった訳よね?一体何があったの?ゼルはどこか変わったわけ?」
 ほんの少し、ゼロスの表情が動いた。それをリナは見逃さない。
「やっぱり。で、何があったわけ?しらを切ろうってんなら…・」
「切ろうってんなら・…?」
 顔を引きつらせつつ空中で一歩引いたゼロスに、リナはにっこりと微笑みかけた。
「故郷のねぇちゃん呼んでやる(はぁと)」
「ひぃぃぃぃぃぃ!!それだけはぁぁぁぁぁ!!!!」
 汗をだらだら流しつつ、本気でおびえる獣神官。一体どんな人なのだろう、スィーフィード・ナイト……。
 リナは、にやり、と笑みをつくった。
「じゃ、教えてくれるわよねぇぇぇぇぇぇ!!」
「…・・そ、それは!!」
 ぐっ、と言葉に詰まった、その刹那。
「何!!」
 ゼロスは、上空に気配を感じた。

 振り仰いだ先には、金の光に包まれた三つの人影。
 金髪の、すらりとした美女が最初に降ってくる。
「フィリアさん?!!」
「アナク サルム ナタク サクム・・・・カオティック・ディスティングレイト!!!」
 カッ!!どこぉぉぉぉん!!!
 フィリアの放った神聖魔法がゼロスの結界を破壊する。
「く!!よくも!!」
 爆煙の中、敵の姿を探してゼロスが目を凝らしたとき、両肩に何かが触れた。
 薄い緑色の髪をした幼い竜族。それが、彼の両肩に手を置いて顔を真正面に持ってきている。
「ヴァル君?!!」
「ぉぉぉおお!ディフレッシャー!!!!」
 きゅぉぉぉぉぉ!!!
 ヴァルのレーザーブレスがゼロスの顔面を襲った。
「くぅ!!」
 至近距離で食らったために、ゼロスが吹き飛ばされる。
 そのため、アメリアにかかっていた束縛が解かれ、その体ががくん、と傾いた。
「アメリア!!!」
 最後に降ってきたゼルガディスが、空中でアメリアを抱きとめ、その体をしっかりと抱きしめる。
「レビテーション」
 静かに唱えた呪文が、ふわり、と彼の体に浮力を与えた。ゆっくりと地上に舞い降りる。

「ゼル!!」
「ゼルガディス!!」
「アメリアぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 大地に片膝をついたゼルガディスの傍に、フィリオネル、リナとガウリィが駆け寄った。
 そんな三人に、ちらり、と視線を向けるとかすかに頷いて見せた。そして、自分の腕の中のアメリアを見つめる。血が、彼の白い衣装さえも赤く染め上げていく。
 全身ぼろぼろで、出血が激しい。着ているものの色さえ分からないような出血の量。失血性のショックを起こしているのかもしれない。痛みのために呼吸が荒く、顔にはチアノーゼの徴候が現れている。瞳の焦点が、合ってはいない。
 そのアメリアの耳に、優しく囁く。
「アメリア。…・・すまなかった」
 そして、懐から小さな丸薬と水を取り出すと口に含んだ。
 そっと、アメリアの唇に自分の唇を重ね、口に含んだ丸薬を水と一緒に流し込んだ。
「今は、眠れ・…」
 アメリアの荒かった呼吸が、徐々にゆっくりとしたものに変わっていく。焦点の合っていなかった瞳が、一瞬だけ彼の姿を捉えた。唇が、何か言葉をつむいだようだが、それはゼルガディスにしか聞こえなかった。瞳がゆっくりと閉じられた。
「ゼル?今のは…?」
「強力な睡眠薬だ。これ以上痛みを感じていると、そのせいで呼吸ができなくなる可能性も有るからな」
 けれど、呼吸が正常に戻ったとしても、彼女の怪我は命取りになるものばかりだ。
「フィリア!!頼む!!!」
 少し離れた所で、ヴァルとともにゼロスを警戒しているフィリアを呼ぶ。人の白魔法よりも竜族の術の方が強力なのだ。
「あ、はい!!」
 慌てて駆け寄ると、アメリアの様子を見て一瞬足を止める。その凄惨な様子が、彼女をひるませた。
(これを、ゼロスが・・…)
 認めたくは無かった。けれど、これではっきりする。彼は、魔族なのだという事が。
 ゼルガディスの傍らに座り込むと、そっとアメリアの傷ついた体を受け取った。ぬるり、とした血の感触が手に張りつく。
 なるべくそっと、アメリアの体を大地に横たえると、竜族特有の回復のための呪文を唱え出す。アメリアにかざした両手が淡く輝き始める。
「助かるか?」
 その瞳に、悲痛なほどの痛みを秘めて、ゼルガディスが尋ねた。顔が青ざめている。同じような感情を宿したもう三対の瞳も彼女に突き刺さる。
 フィリアは目をアメリアからはずさないまま、頷いた。
「出血がひどいですけど・・…何とか、なると思います…・・」
 その言葉に、全員がほっと息をついた。
「むめよぉぉぉぉ!今すぐ、あの卑しい闇の使いを捕まえてやろぅ!!そして、二人で正義の道へ呼び戻そうではないかぁぁぁぁ!!!じゃから、じゃから、早く元気になるんじゃぞぉぉぉぉ!!」
 ぶっ壊れた涙腺全開で涙を流し、血にまみれたアメリアの手を握ってフィリオネルが泣き叫んだ。そして、やおら立ち上がると、いつのまにか立ちあがって、こちらを睨みつけているゼロスに向き直る。
「そこへ直れ、小悪党!!!」
「小、小悪党…」
「今からわしが、正義の何たるかについて、教育してやろう!!!居ずまい直して、心して聞くが良いわぁぁぁぁ!!では、正義の道、第一章!!いかにして、悪を更正させるべきかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
「いえ、僕は元々魔族ですから・…更正も何も・…」
「聞かぬ!!!わしの言葉を聞けば良い!!!」
 張りきって口を開きかけたとき、腕を掴まれ、思わぬ強い力で引き戻された。つかんだ手の主を見ると、意外にも、華奢な体をしたゼルガディスだった。
「すまないが、フィルさん。あれは、俺の、だ」
 静かな、けれど有無を許さないその口調は、セイルーンの実質的指導者を一瞬ひるませた。
 その隙に、フィリオネルの巨体を押しのけてゼロスに向かい合った。リナとガウリィがその両隣に立つ。

「アメリアに手を出したな?」
 静かな、声だった。しかし、その場にいた者全員の背筋に、氷水を流されたような悪寒が駆けぬけた。それほどまでに、深い怒りと憎悪をはらんだ声だった。
その声に、意識が朦朧としていた“ゼルガディス”も気がついた。ぼやける視界で、必死に状況を探ろうと目を凝らす。その瞳が、新たに増えた人影を捉えた。
 大地に横たえられたアメリアを回復している金髪の美女。
 その横で、彼女を除きこんでいる薄緑の髪の少年。
 そして、先程の声の主。白い貫頭入に身を包まれた男は、鋭いまなざしを目の前の魔族に向けている。その視線の鋭さに、彼はある人物を思い出していた。けれど、彼の皮膚は、岩で。耳は、尖っている。しかし…・・。
 彼の思いは、ゆっくりと浸透していく。

 あからさまな殺気を放つゼルガディスに、ゼロスは悪びれた風もなく、にっこりと微笑み返した。
「はぁ、これぐらいしないと、ゼルガディスさんは仲間になってくれないでしょうから」
 ははは、と軽く笑いながら頭をかいた。
 ゼルガディスの殺気が、危険なほどに膨らんでいく。ともに旅をしていたリナとガウリィでさえ、鳥肌が立った。
「…・・返事は、まだしていなかったはずだが?」
「ですから、いつでも殺せる、と言う事を知っておいていただこうと思いまして。まぁ、あなたが仲間になってくださるのなら、僕も二度と手出しはしませんが」
 その言葉に、リナは気付いた。ゼロスはアメリアの命と引き換えに、ゼルガディスをスカウトしていたのだ。しかし……。
「あの様子では、そのまま殺すつもりだったんじゃ無いのか?」
 ゼルガディスはちらり、とアメリアを見る。普通の回復魔法では間に合わないかもしれないほどの、傷。自分の服に付いた血を見ながら、確信を持つ.
「さぁ、それはどうでしょう」
 この期に及んでしらを切るゼロスの態度が、気に障る。
「では、ここで返事をしてやろう。答えはNo.だ」
「ほぅ。では、アメリアさんの命がどうなってもいい、と?」
 ゼロスが薄く目を開いて、揶揄するように問いかけてくる。
「よく言うぜ。俺が仲間になろうとなるまいと、アメリアを殺すつもりだったくせに」
 さらり、と言い捨てた言葉に衝撃を受けたのは、当のゼロス以外のもの達だった。
「ちょっと、ゼル!どういうことよ!!」
「一体、何がどうなってるんだぁ?!」
「ゼルガディス殿!それでは、娘は、アメリアは、これからも狙われると言うのか?!!」
 三方向から大声を出され、ゼルガディスが少々顔をしかめた。
「考えれば簡単なことだ。俺が仲間にならないといえば、アメリアを殺して魔族に対抗する力を求めるようにする。そうなると、魔族の仲間にでもならんことにはゼロスには勝てない。こっちの方は分かるな?」
 全員が頷いた。
「で、俺が仲間になる、と言えば、俺を魔族なりに改造した後、やはりアメリアを殺す。これは、魔族に寝返った俺が、再び人間の方に付かない様にするための、いわば予防策だな」
 すらすらと自分の推測を並び立てながら、ゼロスの反応を盗み見る。しかし、ゼロスは訳の分からない微笑を保ったまま、こちらを見つめている。
「以上が根拠だが、反論は?」
「あなたは、本当に頭が切れますね。ですから、余計に惜しいですよ。もう一度聞きます。我らの仲間になるつもりは?」
「ない!」
 きっぱりと断ると、両隣にいる二人が無言で肩を叩いた。下手な言葉よりも、ずっと、嬉しかった。
「そう、ですか。まぁ、枷も外れかかってますし、生きていられても困るんで、死んでもらいましょうか」
 にっこりと微笑んで、ふわり、と宙に浮く。
「さぁ、行きましょうか」
 その言葉を合図に、周囲の空間が変化していった。ゼルガディスがその空間に取り込まれそうになる。
『ゼルガディス!!!』
 その気配をいち早く察知したリナとガウリィが、ゼルガディスの肩をつかんだ。3人が、発生した空間に飲み込まれていく。
 だから彼らは聞かなかった。
“ゼルガディス“が叫んだ言葉を。
 異空間に消え行くゼルガディスに向かって叫んだ、その言葉。
「兄さん!!!」
 という、言葉を……。


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―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
 はい、約束どうり出てきました、ゼルガディス!!やっぱり、彼の番になると、異常に早い私。なんて、分かりやすい人なんだろう…。

 それにしても、今回はゼル組、大活躍。と言うよりも、あの結界破りのシーンだけは、一番最初にすでにできてたんですよね。長い、道のりだった。
 ヴァルもしれっと活躍。うんうん、かわいいねぇ。

 さてさて、一つのなぞを解いては新しいなぞを置いていくなゆた。
 今回は・…、なんでしたっけ?
 とりあえず、偽者さんの名前、そろそろ考えないと…。彼だけだよなぁ、オリキャラで名前が無いの・・。結構、好きなのに・…。
 はっ!もしかして、私、好きなキャラのいつも大怪我させてる?!
 ・・・・・・・・気にしないでおきましょう。
 とりあえず、次回は間違いなくゼロスVS初期メンバーです。
 請うご期待!!

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7096Re:真打ち登・場!絹糸 6/19-14:03
記事番号7090へのコメント

 はい!なゆたさん絹糸です!
24のすぐ後に感想書いてるわりにはやたらと明るいけど気にしないで下さい!きっとゼルガディスが出てきたからさ!というわけで感想!


>「故郷のねぇちゃん呼んでやる(はぁと)」
>「ひぃぃぃぃぃぃ!!それだけはぁぁぁぁぁ!!!!」
 なんでゼロスが知ってんだろ?

> 振り仰いだ先には、金の光に包まれた三つの人影。
 来た来た来た来たーーーーーー!
 光り輝いてのご登場とはかっこいい!まさに正義のヒーローの出現!やったねアメリア!・・・って瀕死だよ。

> 薄い緑色の髪をした幼い竜族。それが、彼の両肩に手を置いて顔を真正面に持ってきている。
>「ヴァル君?!!」
>「ぉぉぉおお!ディフレッシャー!!!!」
 小さくっても竜なんだね。将来が楽しみ楽しみ♪

>「アメリア!!!」
> 最後に降ってきたゼルガディスが、空中でアメリアを抱きとめ、その体をしっかりと抱きしめる。
 感涙!!
 やっとここまでこれたねゼル!

> 自分の腕の中のアメリアを見つめる。血が、彼の白い衣装さえも赤く染め上げていく。
> 全身ぼろぼろで、出血が激しい。着ているものの色さえ分からないような出血の量。失血性のショックを起こしているのかもしれない。痛みのために呼吸が荒く、顔にはチアノーゼの徴候が現れている。瞳の焦点が、合ってはいない。
 せ、凄惨ですね・・・想像するの怖いです・・・。

> そのアメリアの耳に、優しく囁く。
>「アメリア。…・・すまなかった」
 もしかしてこれは贖罪・・・?(ちがうって)

> アメリアの荒かった呼吸が、徐々にゆっくりとしたものに変わっていく。焦点の合っていなかった瞳が、一瞬だけ彼の姿を捉えた。唇が、何か言葉をつむいだようだが、それはゼルガディスにしか聞こえなかった。瞳がゆっくりと閉じられた。
 ゼルには聞こえたんですね?ならよし!(なにが)

>「ゼル?今のは…?」
>「強力な睡眠薬だ。これ以上痛みを感じていると、そのせいで呼吸ができなくなる可能性も有るからな」
 さすがだ、ゼルガディス。こんな時も冷静さを失わない。

>「そこへ直れ、小悪党!!!」
>「小、小悪党…」
 ゼロスの所業のどこを見れば『小』悪党なんだろう・・・

>「今からわしが、正義の何たるかについて、教育してやろう!!!居ずまい直して、心して聞くが良いわぁぁぁぁ!!では、正義の道、第一章!!いかにして、悪を更正させるべきかぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
 フィルさん・・・あんたは・・・

> 張りきって口を開きかけたとき、腕を掴まれ、思わぬ強い力で引き戻された。つかんだ手の主を見ると、意外にも、華奢な体をしたゼルガディスだった。
>「すまないが、フィルさん。あれは、俺の、だ」
> 静かな、けれど有無を許さないその口調は、セイルーンの実質的指導者を一瞬ひるませた。
 冷静にみえてもやっぱり怒ってますね。
 氷の仮面に炎の心
 やっぱりこの詩、ゼルの方がふさわしいかもしんない。


>“ゼルガディス“が叫んだ言葉を。
> 異空間に消え行くゼルガディスに向かって叫んだ、その言葉。
>「兄さん!!!」
 どええええええええええ!!!?
 ゼルガディスに弟!?なるほど×2だからアストラル・ヴァインも使えたのか。
 それじゃああの女の子は・・・あ!なんとなくわかった。くすっ(これで全然違ったらどうするんだ)
 わたしの推測のキーポイントは、「盲目」

> はい、約束どうり出てきました、ゼルガディス!!
 プカプカドンドンプカドンドン♪いよっ待ってました!

> とりあえず、偽者さんの名前、そろそろ考えないと…。彼だけだよなぁ、オリキャラで名前が無いの・・。結構、好きなのに・…。
 レゾ、ゼルガディス、二人ともラ行とザ行の音が入っているので似た響きを持ってますよね。そこら辺で考えてみては?

> とりあえず、次回は間違いなくゼロスVS初期メンバーです。
> 請うご期待!!
 三人だけなのは久しぶり!すっごく楽しみで期待してます!ああ!早く読みたい!
 と言っても急ぐ必要はないので、じっくり書いて下さい。
 それでは、絹糸でした。


 前回に続いてどうぞ。(懲りない奴である)

 愛しい者をこの腕に
 その願いは果たされた
 愛しい笑顔をこの瞳に
 全てを終えて
 果たしてみせる
 
 一応ゼルの決意です。なにか違うような気もするんですが、許してやって下さい。

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7098やっと再会(涙)なゆた E-mail 6/19-22:59
記事番号7096へのコメント

 こんにちは、私もすぐにこっちにも返事出しちゃいました。ああ、明日も朝からバイトなのに…
 ふふ、やめられない、止まらない♪

>>「故郷のねぇちゃん呼んでやる(はぁと)」
>>「ひぃぃぃぃぃぃ!!それだけはぁぁぁぁぁ!!!!」
> なんでゼロスが知ってんだろ?

 だって彼は1000歳以上・・。敵とは絶対に会っているでしょう。しかも、スィーフィードなんだし。彼、火竜王のことも知っているっぽかったし、で納得してください!

> やっとここまでこれたねゼル!

 これから、らぶらぶらぶらぶ(んふふふふふふ←こわひ!!)


> ゼロスの所業のどこを見れば『小』悪党なんだろう・・・

  ちまちま、攻撃してた所が・…。って、一気にやってたら、アメリア死んでたんですけどね・・。フィルさん、ですから(全部、これかい!)

> 冷静にみえてもやっぱり怒ってますね。
> 氷の仮面に炎の心
> やっぱりこの詩、ゼルの方がふさわしいかもしんない。

 ですよね!!って、勝手に思いこんでいる、私。

> どええええええええええ!!!?
> ゼルガディスに弟!?なるほど×2だからアストラル・ヴァインも使えたのか。
> それじゃああの女の子は・・・あ!なんとなくわかった。くすっ(これで全然違ったらどうするんだ)
> わたしの推測のキーポイントは、「盲目」

 う〜ん、それはまだ、秘密です(はぁと)

>> レゾ、ゼルガディス、二人ともラ行とザ行の音が入っているので似た響きを持ってますよね。そこら辺で考えてみては?

 おお!そんな共通点が!!気付かなかったぁ!!!
 でも、ちょっと思ったんですけど。ラ行はともかくザ行って下手に入れると悪もんになっちゃうような気がしません?

> 前回に続いてどうぞ。(懲りない奴である)

 はい♪

> 愛しい者をこの腕に
> その願いは果たされた
> 愛しい笑顔をこの瞳に
> 全てを終えて
> 果たしてみせる

 まさしく、そんなかんじです!!

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7104贖罪の時26なゆた E-mail 6/22-00:31
記事番号7090へのコメント

 周りの風景がよく見えない。
 見えるのは、正面にいる、魔族。
 ぬるり、と感じるのは、彼女の血。
 まぶたに浮かぶのは、朱にまみれた、少女。
 自分を見た瞬間、泣きそうになった、あの顔。
 決して、許せるはずなど無い。
 右の瞳に熱が宿る.
 そんなことも気にならないほど、心が締め付けられる.
 自分が、許せない、と思う存在は今目の前にいる・….
 
 完全に閉じた空間の中で、リナ、ガウリィ、ゼルガディスの3人は、ゼロスと向かい合っていた。
 3人とも、今は完全にその怒りを隠そうともしていない.
 そんな3人を見つめながら、ゼロスはにっこりと微笑んだ.
 「おやおや、リナさん達まで入ってきちゃったんですか?」
 どこか困ったような声を出して、ゼロスはぽりぽりと頭をかいた。
「あの〜、できればこのまま、お帰り願いたいんですが…」
「却下よ!!あんたがゼルに手を出すって分かっていて、帰れるわけ無いでしょ!!」
「そういう事だ!」
「…・・ですよねぇ。困りましたねぇ、リナさんたちに関しては命令が出ていないんですけど…」
 そんなことを、全然困っていない表情で告げてくる.
「しかしまぁ、これも現場の判断、という事で、獣王様に納得していただきましょう」
 一人で納得すると、一つうなずいてゆっくりと3人に一歩踏み出した.
 3人が、その動きに合わせて一歩引く.
 その場にいる3人とも、人間達の中ではトップクラスの強さをもつもの達だが、獣王の片腕であり、高位魔族であるゼロスに対し、生半可な攻撃で倒せるとは思ってはいない。
 その警戒心が、彼らに一歩を退かせた.
 おかしそうにゼロスが咽を震わせる.
「どうしました?逃げていては、僕に勝てませんよ?」
 相手を追い詰める魔物そのものの残酷さを、瞳にたゆたわせて、にっこりとゼロスが微笑む.いつもの人を食ったような微笑みではなく、魔族そのものの笑み.
 その笑みを睨みつけながら、3人が小声で声をかわす.
「どうする、リナ?」
「ちょっと、待ってよ.今考えてるんだから!」
「そんなこと言ったって、あいつは待っちゃくれないぞ」
「分かってるけど・…」
 切羽詰った状況が、ますます考えを失わせていく.戦うにしても、考える時間がほしかった.
 そう思っていると、また一歩ゼロスが近づいてくる.
 また一歩下がった.その時、思いきったようにゼルガディスが口を開いた.
「俺に考えがある」
「どんなやつ?」
「時間が無いから、手短に言うぞ。まず、旦那と俺でやつの動きを何とか止める.そこにリナのラグナブレードを食らわせてくれ」
「けど…、接近戦であいつに当てられるかどうかの保証は無いわよ」
「かまわん.他にてはあるか?」
 リナとガウリィが首を横に振った.
「なら、決まりだ」
「わかった!」
「OK」
 3人が、同時に頷いた.

「ご相談は終わりましたか?」
 ゼロスが、その余裕そのままに、優雅な足取りで近づいてくる.
 その、圧迫感.
 破壊への喜びをあふれさせながら、近づく力.
 全身から、冷や汗が流れるのが分かる.
 しかし、3人とも何故か口元に浮かぶのは笑みだ.
 思い出すのは2年前.
 目の前の敵よりも強大な、魔王に、たった3人で挑んで行ったあの時。
 今よりも、絶望的だった.けれど、自分達は今生きている.
 ならば、今回だって生き抜いてやる!!
「いくわよ!!二人とも!!!」
「おう!!」
 ガウリィが腰の剣を抜き放つ.刀身が薄紫色に輝くそれは、その切れ味ゆえに伝説となった「斬妖剣」.
「アストラル・ヴァイン!!!」
 ゼルガディスのブロードソードが赤い輝きを放ち始める.
「ふ、ん?接近戦ですか?二人掛かりとはひどいなぁ」
「何とでも言え!!」
 ゼルガディスが、先に間合いを詰める.
 突き出される赤い刀身を、難なくよけながら、すれ違い様にその背後に杖を叩きこもうと振り下ろす.
「俺を忘れるなよ!!ゼロス!!」
 杖がゼルガディスに届く寸前に、ガウリィがそれをはじき返す.
 ぎぃぃぃん!!という、重い音とともにガウリィとゼロスが自分の獲物を手に睨み合う.
 ふっと、ガウリィがその力を弛め、ゼロスが体勢を崩した隙に一歩下がる.
「エルメキア・フレイム!!!」
 きゅぉぉぉぉぉ!!
 青白い閃光がリナの手から放たれる.
 普通の人間なら、体制を崩された所にいきなり打ち込まれればよけられない.が、ゼロスは魔族だ.接近する青白い閃光を確認するや否や、すっとその姿が掻き消える.閃光は、ついさっきまで彼がいた場所をむなしく通りすぎた.
「一体どこに?!」
 ガウリィが自分の周囲を見渡した.
 魔族であるゼロスは、自由にその身をアストラル世界に戻せる.
 そして、次ぎに現れる場所は消えた場所とは限らない.
「ガウリィ!!ゼル!!固まって!!」
 後ろから襲われれば一たまりも無い.3人はお互いに背を向けて、一所に固まった.

「どこから来る?」
 そう、リナが呟いたとき、唐突にゼルガディスが二人を突き飛ばした.そして自分もその場を飛び退る.
 その刹那.
 黒い力の塊が、真上から降ってきた。
 凄まじい爆発が3人を吹き飛ばす.
 3人が、なんとか身を起こしたとき、どこかからゼロスの声が聞こえてきた.
「どうしました?あなた達の力はそんなものですか?」
 小ばかにしたような口調に、リナがぎっと唇をかんだ.
「アストラル世界からこそこそ攻撃しといて、偉そうなこと言ってんじゃないわよ!!この、パシリ魔族!!」
 どこにいるのか分からないので、とりあえず空中を見つめながら叫ぶ.
「それとも何?!獣王の腹心は、たかが人間を恐れて、怖くて出てこれないのかしら?!!それは、光栄と思っていいのかしら!!!」
 挑発して、何とか姿を見せれば、ラグナブレードを叩きこむチャンスができる.しかし
「あなた達が『たかが人間』じゃ無いことは、僕がよく知っていますので確実な方法を取らせていただきますよ」
 さすがに、獣王の腹心は乗ってこない.落ち着いた声がゆっくりと遠ざかると、空間は再びじっとりとした沈黙に包まれた.
 再び固まった3人が、隙なく構えながら周囲に目を凝らす.
 それを破ったのは、再びゼルガディスだった.
「ガウリィ!!後ろだ!!!!」
「!!!」
 その声に、まさに本能と言っていいほどのスピードでガウリィが反応する.
 構えていた剣を逆手に持ちかえると、そのまま右の脇の下越しに刀身を後ろに突き出す.
 一拍の間.
 次ぎの瞬間、そこの空間を引き裂いて黒い人影が落ちてきた。そのわき腹に、ガウリィの突き出した刃が突き刺さっている.
「…・・つぅ、これは、ちょっと、効きますね。さすが、覇王様を退けただけはあります。しかし…・・」
 少し、顔をしかめながら「斬妖剣」から体を引きぬく.そして、ふわり、と空中に浮いた.そして、再びその姿が掻き消える.
「お遊びはここまでにしておきましょう!!」
 まぐれでもなんでも、彼の体に傷をつけたことで、本気になってしまったようだ.その声からは、紛れも無い殺気が感じられる.
(ガウリィの野生の勘も、アストラル界にはきかないだろうし.どうする?)
 そう思って、視線をさまよわせたとき、ゼルガディスの姿が目に入った.
 何かを必死で追いかけるように、その目を中に向けている.ゼロスの出てくる所を探しているのか、と最初は思ったが、次の瞬間、それが違うことがわかった.
 彼の視点が、どこか一点をいつも追いかけているのだ.その目は、確実に何かを捉えている.
「……まさか!!ゼル、あんた、見えるの?!」
 信じられない思いで叫んだら、ゼルガディスはわずかに頷いて見せた.
 あまりの事に、戦いのさなかだというのにゼルガディスの顔を見つめてしまった.
 そして、一つのことが頭に浮かぶ.
「その力のために、魔族に…?」
 確かに、アストラル世界が見えるなんて、魔族にとっては、自分の家をフルオープンで見せているようなものだろう.
 そう、思ったとき、ゼルガディスの鋭い叫びが彼女を現実に引きもどした。
 戦いは、まだ、続く.

                       Go To Next
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 ふぅ、久しぶりに新しいのを投稿することができました.えっと、まだ、戦ってます.
 一応、次回には決着がつく、予定、です(-_-;)
多分!間違い無い、と思います!!
 では、夜も遅いので….
               なゆた、でした!






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7106Re:いっけぇー!絹糸 6/22-22:58
記事番号7104へのコメント

 こんちゃ、絹糸でーす。いやあ今日は疲れたっす。なんせ片手に重い物が入った紙袋を下げながら1時間ほど立ち読みしてたもんだから、腕が本を持った状態で固まって筋肉が攣(つ)る攣る(痛い&バカ)
あ、ところで今月おもいっきり久しぶりにアニメディア(知ってます?)を読んでみたんですけど・・・大感激!
ゼルとアメリアが・・・ああっ(はあと)!その一ページのためだけに今月号を買ったわたし・・・愚かな・・・。でもいいんだ!ゼルとアメリアだから!
余談でしたすいません。それでは感想いきま〜す。

>「あなた達が『たかが人間』じゃ無いことは、僕がよく知っていますので確実な方法を取らせていただきますよ」
 魔族であるゼロスにしては最高の賛辞ですな。

>「…・・つぅ、これは、ちょっと、効きますね。さすが、覇王様を退けただけはあります。しかし…・・」
 ルークとミリーナに興味がなかったように思われましたが、小説はしっかり読んでますね。ほんとに第二部でも出てこないかな〜、ゼルガディスとアメリア。そろそろ『すぺしゃる』の方でゼルの話が載ってる単行本がでてもいい頃なのに・・・(わたしは本誌でもう読みましたが)

ほんとに久方ぶりの初代パーティー。三人の連携が上手いです!しかし、ゼル。ゼロスの動きがわかるとは・・・。『枷』が取れかかってこの状態(ですよね?)なんだから完全にはずれると一体どうなるやら。うーん、予想のできない展開って楽しい♪なゆたさーんがんばれー!わたしもお知らせ書いておきますよー♪
それでは、絹糸でした☆

またまた懲りない行い↓

 奮える体
 流れる冷や汗
 わき上がる高揚感
 知っている この感じ
 絶望と期待の交錯
 そう これは
 戦い


 しょぼいなあ・・・止めた方がいいかな、人様の感想に詩を書くの・・・
 

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7095Re:あれっ?絹糸 6/19-14:03
記事番号7087へのコメント

 どわっ!?なんでわたしの感想が親記事になってんの?!
ち〜っす。な〜ゆ〜たさ〜ん。き〜ぬ〜い〜とどぅえ〜〜〜す。
いやあ、今少々ブルー入ってまして。わたしも「色々あってな・・・」ってとこです。ふふふふふ。(怖!)
そんなことはともかく、早い早い。もう24ですか。で、とりあえずびっくりしてます。
アメリアー!そのままじゃ死んじゃうよー!ゼロスー!いい魔族ッぷりだー!(笑)

>「アストラル・ヴァイン!!!」
 なにぃっ!?

> ゼルガディスの呪文を唱え、ショートソードの魔力を込めたのは、彼本人ではなかったからだ。
 何ですと!?

>「アメリア姫を、はなせぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
 モノホンに言って欲しかったなぁ・・・この台詞

>「アメリアぁぁぁぁぁぁ!!まっておれぇぇぇぇぇぇぇ!!いま!この父が、助けてやるぞぉぉぉぉぉ!!!」
> フィリオネル王子が、涙を流しつつ駆け寄ってきたのだ。
 怖いよフィルさん
>「ぬうぉぉぉぉぉぉぉぉ!!ちぃぃちぃぃのぉ、あぁぁぁぁぁぁいぃぃぃぃぃぃぃ!!!!」
> いつもの調子で叫ぶと、ゼロスの張った結界に向かって拳を繰り出した。
 がんばれフィルさん
> ごぃぃぃぃぃぃぃぃんん!!
>  奇妙な反響音とともに、一瞬だけ壁が揺らめいた、ような感じがした。が、いくらフィリオネル王子が人間離れしているとしても、それはあくまで人間の範疇で、だ。
 いや、普通は揺らめかせることも出来ないと思う
 すごいねフィルさん

> はい、予告やぶりのなゆたです!すいませぇぇぇぇん!!
> ゼルが出れませんでしたぁぁぁぁぁぁぁ!!!何とか入れようとしたんですけど、これ以上書くと、ここだけ異常に長くなってしまうので、次回送りにしちゃいました!!すぐに次、出しますんで、ご容赦くださいまし!!!
 ・・・ちっ(あ、嘘です)今回もおもしろかったですよ。

> 絹糸さんへ
 はいな。

>>でも今後もっと可哀想になるというし、これ以上どう可哀想になるのだろう?このままの展開でいくとゼロスがなんかするんだろうなあ
> その通りです!!こんな極悪非道なことをやらかしてしまいました!!って、やらせたの、私なんですけどね(-_-;)
 ああ、なるほど。これをするためにわたしの感想が親記事になったわけですか。納得。

>>> 一体どういうトリックなのか、タキシードを剥ぎ取ったはずのキースは、何故か隙なく神官服に身を包んでいた。
>> お前はゼロスか!・・・ってツッコミいれたらホントだった。びっくりした。
>  ないすつっこみ!!
 いやあそれほどでも。


> すいません!!ごめんなさい!!申し訳無いです!!!・・・よし!(ぱくり)
 あっ!!!

> なゆたを見捨てずにおつきあいくださいましまし。
 もちろんですよ。最後まで見届けさせてもらいます!Fight!

 新作書けないんで代わりにどうぞ。今回の話のです。

 心の破壊は
 儀式の始まり
 血と叫びがあがる時
 かの少女は彼を想う

 まんまですな。ははは。ではでは。



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7097びっくりしました?なゆた E-mail 6/19-22:48
記事番号7095へのコメント


> どわっ!?なんでわたしの感想が親記事になってんの?!

 いえいえ、あのように感想を書いていただいている上には、きちんとお答えしようと思いまして。驚かせちゃったみたいですね。
 
>いやあ、今少々ブルー入ってまして。わたしも「色々あってな・・・」ってとこです。ふふふふふ。(怖!)

 な、何があったんですか?

>そんなことはともかく、

 ええんかい!!


> いや、普通は揺らめかせることも出来ないと思う
> すごいねフィルさん

 フィルさんですから。(だってこの方はコピーレゾ&ザナッファーに素手で殴りかかった人・・・・なつかし!!)


> 新作書けないんで代わりにどうぞ。今回の話のです。
>
> 心の破壊は
> 儀式の始まり
> 血と叫びがあがる時
> かの少女は彼を想う
>
 なんか、詩に変えていただけるなんて感激です!!
 うわ、なんかめっちゃかっこええやん!!(←地が出てます)
 なんて思いながら、ニヤニヤしてしまいました。
 
 でわでわ。またよろしければ感想ください。