◆−Which is real?[4](最終話)−石崎菰(6/2-22:34)No.6956
 ┣Re:Which is real?[4](最終話)−天海(6/4-20:39)No.6970
 ┃┗ありがとうございます☆−石崎菰(6/5-21:38)No.6980
 ┗凄いですわ、石崎さんっ!!−庵 瑠嬌(6/5-11:39)No.6977
  ┗感謝の言葉もありません〜(恐縮)−石崎菰(6/5-22:26)No.6982


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6956Which is real?[4](最終話)石崎菰 E-mail 6/2-22:34


ツリー、移動しちゃってますね……
とりあえず、最終話だけでも、載せちゃいます。
でも……長いなぁ(苦笑)

やっと終わったよ……俺はやったぜ、母さん!(謎)

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Which is real?[4]



ゆっくりと、意識が闇から浮かび上がる。
うっすらと瞳を開ければ、その目に映るのは、見慣れた──そして、初めて見る、月明かりに照らされた、薄暗い宿の天井だった。
リナはゆっくりとベッドから半身を起こし、ゆるゆると首を振った。
窓の外を見遣れば、細い下弦の月が、煌々と低く闇夜に揺らめいている。あれからどれほどの間眠っていたのか、月は、記憶にあったその位置よりも、僅かに高く空に輝いて……しかし同時に、それはやはり初めて目にする月で……リナは、少しだけ苦い笑みを浮かべると、何もいない筈の虚空に向かって、囁いた。
「結構……厄介よねぇ……同じ時間の流れの記憶が、二つあるってゆーのは」
責任、取りなさいよね──ゼロス?
くすくすと、面白そうに涼やかな笑い声が空気を震わす……その、刹那。
まるでその声に呼ばれたかのように──実際、呼ばれたのだろう──何もなかったその虚空に、ゆっくりと闇が凝り固まり……それは瞬く間に、一人の青年の形を取った。
「責任も何も、リナさんが勝手に戻ってしまったんですから、僕の管轄下じゃありませんよ」
憮然とした表情と、同じく不満をいっぱいに込めた声が、リナに注がれる。
「忘れた、だなんて言いませんよね?」
普段の柔らかく、深みのある声とは違い、どこか幼気な、そう、お気に入りの玩具を取り上げられた子供のそれの響きを含んだ声に、ほんの少し、リナは自嘲の色を面に漂わせた。
玩具……まさに自分はその通りの存在なのだ、彼にとって。
「まぁ、『あたし』を呼んだのは『あたし』自身だったから……そうね、やっぱり『勝手に』戻ったことになるのね、きっと」
覚えている。出逢うこと、ただそれだけを願って、この魔族の名を叫んだことも、そしてその自分自身の想いに引き摺られて、もう一人の自分が彼の『檻』から逃れたことも、そう──『両方』とも。
いや、あるいはその逆か。名を呼んだのはもう一人の自分、それに答えたのが、自分だったろうか?
それは、答えのない自問。どちらが主、どちらがその影であったのかなど、永遠に知れようはずがない。あるいは、目の前に佇む魔族なら、迷いもなく後者だと言い放ったかもしれない。彼が望んだのは、ただ『一人』だったから。
それでも、彼女にとっては、どちらも主であり、どちらも影。どちらかの己を否定し、どちらかのみを選ぶことは、できない。たとえ、その一方が他の片方の模造であったとしても。
彼という要素の欠けた自分、それもまた、自身を基として生まれ、そしてかりそめとはいえ、この身体に僅かでも存在した──そして今も存在し続けているのだから。
そして、今ここにいるのは、その二つの自分が溶け合って生まれた、新しい自分。
二つに分かたれた『リナ』と、どこまでも同質でありながら、決して同一ではありえない存在。
もしかしたら。ゼロスはこの自分を否定するかも知れない。彼の言う『紛い物』と混ざりあってしまった、このあたしを。
そんな不安を、無理矢理心の奥に追いやって。
それでも、たとえどんな干渉によって今の自分が在るのだとしても、自分は、自分以外の何者でもありはしないのだと、そう自分自身に言い聞かせると、リナは、ゆっくりと眼前の魔族を振仰いだ。
「……来てくれたのね」
「貴女が、呼んだんでしょう?」
「でも、来ないかも知れないと思ってた」
「何故?」
きょとん、と小首を傾げて、本当に不思議そうに、ゼロスは問い掛けた。
「…………あたしは、さっきまでのあたしとは違うのよ? それでもいいって言うの?」
一瞬、その仕種に毒気を抜かれかけたリナは、慌てて問い返した。
だがそれに対して発せられた見解は、あまりにも一方的というか、こちらの悩みだとか不安だとかを綺麗さっぱり無視しまくってくれたというか……ゼロス主観の大変我儘且つ傲慢なそれで──
「でも、僕のことを覚えていて下さっているようですから、いいです」
「……………………は?」
「融合して、記憶が全くなくなってしまったというのなら、話は別ですけれど……先程までのリナさんの記憶も、しっかり残っているようですし……見たところ、意識そのものに大きな歪みができた訳ではないようですから」
だからいいのだ、許すのだと、寛容とも傲慢とも取れる口調で言い放って。ゼロスはそっと、リナの頬に、その細く長い、白い指を這わせた。
それに、『リナさん』が選んだことですからね、と意識のみでそう伝えて。
「それより……約束を、果たしていただかないと」
「約束……あぁ、あんたが『負けた』理由、か」
冷厳に微笑む魔性の、あまりに不遜な口調にも、もはや抗する術を持たないリナは、頬に触れた冷たい指の感触を心地よく感じながら、ふっと、淡く微笑んだ。
「簡単よ……ホントに簡単なこと……でも、あんたは気が付かなかったのね……」
「リナさん……?」
「あんたはあたしの記憶しか消さなかった……感情は、そのままにして、記憶だけを消去してしまった。……それが、原因」
「どういう……ことです?」
まだ要領を得ない様子のゼロスを見て、リナは笑みを深くする。自嘲の、笑みを。
本当なら決して伝えるつもりのなかった、想い。心の最奥に沈めて、二度と表には出さないつもりで……でも捨てることはどうしてもできなかった、切なくて、苦しい想い。
行くあてのない、拒絶を待つのみの想いだから、絶対に言わないつもりだったのに。
それでも、あたしは、伝えたいと願ったから。
逢うことの叶わぬ状況に陥ってしまった時、何よりもまして成さなければならないと、告げたいと……そう、願ってしまったから。
だから、告げる。
「あんたは、あたしを珍しい玩具か愛玩動物みたいに思ってるから……だから気付かなかったのよ。……記憶が消されても、あたしには想いがあった。あんたを心の底から渇望して、求める想いがね。その想いが、あんたの創った軛を……『檻』を壊した。
 ……残念だったわね。感情も完璧に消し去ってれば、きっと、あんたの思惑通りになったに違いなかったのに」
いつの間にか、頬が濡れていた。涙? ううん、きっと違う。だってこんなの、あたしらしくない。あたしはこんな脆い人間じゃないもの。
でも、止まらない。止められない。この涙も、想いも! 何もかも!
「……こんなこと、絶対言わないつもりだったわ……馬鹿にする? してもいいわよ? 人間が魔族を愛しただなんて、馬鹿げてるって、言えばいいんだわ、魔族にとって人間なんか、塵程の意味も持たないんだからって! 言いなさいよ!! けどね、どんなに馬鹿にされたって、あたしの想いは変わらないんだから! 誰に非難されようと誹られようと、それでも、あたしはあんたを愛してる!!」
だから、本当は、あのまま戻れなくても良かった──
あのまま捕らわれて、繋がれて……ずっと久遠の時を微睡んでも、いいとさえ思っていた。
そうすることで、ゼロスと一緒にいられるなら、自分が自分であることを放棄することさえ厭わない自分も、確かに在った。
たとえ、ゼロスが自分を愛してくれなくとも……
けれど、変わることを恐れたのも、また事実。自分が人間であることにこだわり続けた思いが、あの時、彼女を引き戻らせた。
なんて……なんて矛盾した存在。
荒く息をついて、リナは、昂った感情そのままに、ゼロスを見据えた。そして、絶句する。
何故なら、その瞬間、ゼロスが力の限りにリナを抱き締めたから。
「ゼロ、ス……!?」
無言のまま、ただ抱き締める力を強くする。
「ちょっ……苦し……ゼロス!? 何のつもり……」
「リナさん……」
呟いた声は、驚く程に暖かく穏やかで……歓びに、満ちていた。
「ゼロス……?」
「本当、ですか?」
一瞬、問われている意味が分からなくて、リナは、身動きの取れないまま、首を傾げた。
「……何がよ」
「僕のことを、愛してるって」
「……本当」
「本当に?」
「本当よ」
「本当、ですね?」
「本当だってば」
「嘘じゃ……ありませんよね?」
「うっさいわね! さっきから本当だって言ってるじゃない!! 何回言わせりゃ気が済むのよ!」
馬鹿にするんならさっさとすればいいでしょう!? と、耳元で大声で叫ぶ。それに応えてリナの耳元に甘く紡がれた言葉は、リナが全く予想だにしなかったものだった。
「何回でも……聞きたいです」
「………………え?」
「何回でも、何百回でも何千回でも何万回でも、聞き足りませんから」
えと……それって……まさか……でも、そんなこと……
「あの……ゼロス?」
「それとも僕が言いましょうか?」
「え……」
「愛してます」
囁いたその声は、今まで聞いたどんな声より深く、甘く、暖かくて。そしてそれは確かに、本気の想いを含んでいた。
「……嘘……」
「本当ですよ」
「だって、あんた、魔族なのに……」
「でも、好きなんです」
何の迷いも虚偽もなく、そう言ってのけた闇色の青年に、リナは、そっと囁いた。
「裏切り者って、言われるかもしれないわ」
魔族でありながら、人間を愛した。
「それは、リナさんもでしょう?」
人間でありながら、魔族を愛した。
「……あたしは、人間だから。誰にも縛られないから、いいの。でも、あんたは違う」
リナは、縛られない。どんな人間も存在も、彼女の想いから自由を奪うことはできない。
けれど、ゼロスは。
「獣王様の、ことですか?」
「そうよ。もしかしたら、滅ぼされちゃうかもしれない」
魔族は、創造主に逆らうことはできない。創造主が滅びを望めば、容易くその身を混沌に還すことすら厭わない──それが、魔族。
「……そうですね」
「それでも、いいの?」
抱き締める腕に僅かに力を込めて、ゼロスはなお微笑んだ。
「たとえ滅ぼされても、僕のこの想いだけは……誰にも変えられませんから」
「それでも、あたしの為に、逆らってまで生きてくれるとは、言わないのね」
「獣王様が僕にそれを望めば、僕は自ら滅びもしますし、リナさんを殺しもするでしょう。でも……僕の力が及ぶ限りは、リナさんと共に在るために、生きると約束します」
『在るために生きる』という、魔族にとってあるまじき台詞を平然と口にしたゼロスに、思わずリナの顔が綻んだ。
「……ありがと」
「いいえ」
「あたしも、この命が尽きるまでは、あんたと一緒にいてあげるわ」
「尽きても、とは言ってくれないんですか?」
リナにその意志があれば、魂を混沌に還さずに、永遠にゼロスと共に在ることもできる。ゼロスはそれだけの力を、持っている。
「冗談。人間やめてまで、永遠を手に入れようとは思わないわ」
嘘じゃない。でも、本当でもない。
変わってしまうのは、恐い。でも、ずっと一緒にいたい。
それでも、その矛盾を孕んだ想いこそが、あたしが人間である証だから……だからあたしは、人間でいたい。
ゼロスと出逢ったのも、ゼロスを愛したのも、人間のあたしだから。だから、あたしが人間であることが、あたしがあんたと出逢った、あたしがあんたを愛した、証になる。
だから、人間でいたい。
想いは容易く伝わった。ゼロスは、その闇色の瞳に優しい微笑みを浮かべて、そうっとリナの栗色の髪をその指に絡ませた。
「リナさんは、鳥みたいな人ですね」
「鳥?」
「そうです……大きな、白い、美しい鳥。大空を自由に翔ける姿が何より似合う、鳥みたいですよ」
その美しさに惹かれて、どんなにその姿を自分の物にしようとしても、決して自分だけの物にはなり得ないのだ。
飛ぶことが、彼女が彼女である証だから。
「鳥籠に押し込めれば、息ができなくなって死んでしまう。でも手を離せば、たちまち僕の手の中から飛び立ってしまう……そんな、鳥のようですよ、リナさんは」
僅かに寂しさを含ませた声音に、それでもリナは笑って言った。
「じゃあ、あんたは樹になればいいのよ」
「樹……ですか?」
「そう、樹よ……あたしが鳥なら、あんたは樹になればいい。あたしが天空を翔ける、その翼を休める場所に。あたしが安らかに眠る為に、帰りつく場所になればいい」
そうすれば、何があっても、どんな時も、あたしはあんたのもとに戻ってくるから──
「そう……ですね、そう、ですよね」
「そうよ」
時が流れ、その鳥が死んでも、ずっと樹は変わらずそこに在るのだろう。かつてその鳥が生まれる前から、ずっと変わらずそこに在ったように。
自分と、同じように。
そして、いつの日にかその樹も朽ち果て、鳥と同じ大地に還る。
自分も、きっと混沌に還る日が来るだろう。
「そうですね、きっと……」
そうすれば、永遠に、あなたと一緒にいられますよね……
それでいい。今は刹那の時しか共に刻めなくても、いつか、その流れた時の果てに、永遠があると信じるから。
もう一度だけ強く強く抱き締めて、ゼロスはそっとリナの身体から腕を解いた。そして、その瞳を覗き込む。
見返す瞳は、強い光を湛えて、まっすぐに自分を見つめていて。ゆっくりとゼロスは、視線をその瞳に注いだまま、リナの唇に己のそれを重ね合わせた。
それは、無言の誓い。
そして、祈りだった。
死が二人を分かつまで……そして、たとえ分かたれても、遠い時の果てにある永遠に、辿り着く為の、それは、祈り。

──あなたと、ずっと一緒にいられるように──

沈みかけた細い月の光の中で、一つに重なった影は、いつまでも、揺らめいていた。


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うひー、こんなに長くなるとは、ハッキリ言って予想外でした。
後半(特に『愛してる』発言の後から)は、もう筆が進まないったら(笑)
こんな文章でも読んで下さった方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。

また投稿することがあったら、どうか読んでやってくださいませね。

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6970Re:Which is real?[4](最終話)天海 6/4-20:39
記事番号6956へのコメント

こんにちわ、じゃなかったこんばんわ・・・・・ですね。
はじめまして、天海 です。
”Which is real?”読みました!
すっごくいい!
特に後半。リナが想いをぶちまけるところ・・・リナの想いが伝わってきました。
好きなのに想いを伝えられない、なにより1人の人間として見てもらえないなんて辛すぎる。でも、それでもいい といえるのって・・・・・それだけ強いってことかな・・・? (あ、暗くなってしまった・・・)

それはともかくとして・・・・
気に入ってるシーン第2弾いきまーす。
ゼロスが何度も”本当に?”と聞くところ です!
リナとの掛け合いがいい、気に入ってます!

ん〜。毎回毎回こめんとが変になるのは・・・・気のせいだろうか?


      それでわ、このへんで。天海でした。(チャンチャン)


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6980ありがとうございます☆石崎菰 E-mail 6/5-21:38
記事番号6970へのコメント

天海さんは No.6970「Re:Which is real?[4](最終話)」で書きました。
>
>こんにちわ、じゃなかったこんばんわ・・・・・ですね。
>はじめまして、天海 です。

はぁい☆ 初めましてでこんばんわの、石崎菰です。


>”Which is real?”読みました!
>すっごくいい!
>特に後半。リナが想いをぶちまけるところ・・・リナの想いが伝わってきました。
>好きなのに想いを伝えられない、なにより1人の人間として見てもらえないなんて辛すぎる。でも、それでもいい といえるのって・・・・・それだけ強いってことかな・・・? (あ、暗くなってしまった・・・)

にゃぁ、お誉め下さって、ありがとうございます〜(嬉)
後半、ほとんど気の向くままに書きなぐった感があるんですが、逆にだからこそ、感情の波がよく出せたような気がします。(気のせい!?)
『相手が自分のことをなんとも思っていない』という心理は、リナはもちろん、ゼロスにも共通していた想いなのです。
その心理ゆえに、リナはああいう風に半ば自棄になって想いをぶちまけるハメになり、ゼロスはリナをどんな形にせよ、自らの元に置いておくという強攻策を取るに至った訳なんですよね……。
特にゼロスについては、その辺りの心理描写が全くと言っていい程書けなかったので、今でも悔いが残ってます。
番外編みたいにして、こっそり書くかも知れません(笑)
もしくは、4話目だけ書き直すとか……これはダメだな、時間かかり過ぎて。
まぁ、何らかの形で、ゼロスの話も書きたいですね。……いつになるんだか。


>それはともかくとして・・・・
>気に入ってるシーン第2弾いきまーす。
>ゼロスが何度も”本当に?”と聞くところ です!
>リナとの掛け合いがいい、気に入ってます!

あはは。このシーンですか。
ここは……なんというか……ゼロスはきっとこういう反応返すんじゃないかなー、と、ただ指が勝手にキーボード打っちゃったんですよねー(苦笑)
基本はこのノリです、この二人は。私にとっては、ですが。
シリアスな話の方が書きやすいんですけど、こういうほのぼのとしたシーンも、書くのが好きです。でも苦手。


それでは、こんなつたない文章を、最後まで御精読頂いて、本当にありがとうございました☆
また読んでやって下さいね☆

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6977凄いですわ、石崎さんっ!!庵 瑠嬌 6/5-11:39
記事番号6956へのコメント


 こんにちは、庵 瑠嬌でございます☆
 終わりましたね!素晴らしいお話でしたわっ!!


>それでも、彼女にとっては、どちらも主であり、どちらも影。どちらかの己を否定し、どちらかのみを選ぶことは、できない。たとえ、その一方が他の片方の模造であったとしても。
>彼という要素の欠けた自分、それもまた、自身を基として生まれ、そしてかりそめとはいえ、この身体に僅かでも存在した──そして今も存在し続けているのだから。

 やっぱり、リナさん、理論の方ですわね。
 ゼロスさんによって作られた自分を、それも自分だと受け止めて、己を影とも主とも認めるなんて。
 まぁ、融合できたのは、ゼロスさんを想う心が共鳴して呼び合ったからでしょうが……。
 しかし、石崎さん……よく、こんな文章思いつかれますわね。
 数学の証明問題の解答を読んでいるような気分です。頭よさそう……。


>だがそれに対して発せられた見解は、あまりにも一方的というか、こちらの悩みだとか不安だとかを綺麗さっぱり無視しまくってくれたというか……ゼロス主観の大変我儘且つ傲慢なそれで──
>「でも、僕のことを覚えていて下さっているようですから、いいです」
>「……………………は?」
>「融合して、記憶が全くなくなってしまったというのなら、話は別ですけれど……先程までのリナさんの記憶も、しっかり残っているようですし……見たところ、意識そのものに大きな歪みができた訳ではないようですから」

 とっことん、自分勝手気ままなセリフですわねー。
 本人前にここまできっぱりはっきりおっしゃることが出来るのが、極道ゼロスさんの持ち味?
 自分のことを覚えていれば、それでいいなんて……彼に、無条件の慈しみと言う言葉は存在しませんね。
 愛したらその分愛されたがるタイプでしょう(笑)。

>「あんたは、あたしを珍しい玩具か愛玩動物みたいに思ってるから……だから気付かなかったのよ。……記憶が消されても、あたしには想いがあった。あんたを心の底から渇望して、求める想いがね。その想いが、あんたの創った軛を……『檻』を壊した。
> ……残念だったわね。感情も完璧に消し去ってれば、きっと、あんたの思惑通りになったに違いなかったのに」

 ここまでは、けっこう冷静に、説明してますわよね。
 理屈で諄諄と説くような。
 いやぁ、リナさんの理解力と説明能力(造語)って、……さすが、ですわ☆
 理解するのと、理解したことを説明するのは、絶対に後者のほうが難しいですものね。

>いつの間にか、頬が濡れていた。涙? ううん、きっと違う。だってこんなの、あたしらしくない。あたしはこんな脆い人間じゃないもの。
>でも、止まらない。止められない。この涙も、想いも! 何もかも!
>「……こんなこと、絶対言わないつもりだったわ……馬鹿にする? してもいいわよ? 人間が魔族を愛しただなんて、馬鹿げてるって、言えばいいんだわ、魔族にとって人間なんか、塵程の意味も持たないんだからって! 言いなさいよ!! けどね、どんなに馬鹿にされたって、あたしの想いは変わらないんだから! 誰に非難されようと誹られようと、それでも、あたしはあんたを愛してる!!」

 喧嘩売ってるのか、開き直っているのか、告白してるのかわかりませんね。
 本当に、リナさんみたいな人が、激情のままに感情をぶちまけたら、なんか迫力が凄いですわっ!
 ここまではっきり愛してるっと言われたら、ゼロスさん……幸せでしょうねぇぇ……。

>「何回でも……聞きたいです」
>「………………え?」
>「何回でも、何百回でも何千回でも何万回でも、聞き足りませんから」
>えと……それって……まさか……でも、そんなこと……
>「あの……ゼロス?」
>「それとも僕が言いましょうか?」
>「え……」
>「愛してます」
>囁いたその声は、今まで聞いたどんな声より深く、甘く、暖かくて。そしてそれは確かに、本気の想いを含んでいた。

 きゃぁぁぁぁんっっ!!
 よくぞ言ったゼロスさんっ!
 す・て・き……ですわっ!!
 そうか、リナさんがおしまくった後は、次はゼロスさんの番ですのね。
 周囲も省みずに、目元がなだれを起こしたように笑んでます、今わたくし☆

>「あたしも、この命が尽きるまでは、あんたと一緒にいてあげるわ」
>「尽きても、とは言ってくれないんですか?」
>リナにその意志があれば、魂を混沌に還さずに、永遠にゼロスと共に在ることもできる。ゼロスはそれだけの力を、持っている。
>「冗談。人間やめてまで、永遠を手に入れようとは思わないわ」

 リナさんっ……本当に、強ーくゼロスさんを愛してますけど、それでも、やっぱり根っこの部分は変わりませんのね。
 魔族の契約をして、永遠を欲しがるようなリナさんは、リナさんではない、とわたくしは思っております。


>時が流れ、その鳥が死んでも、ずっと樹は変わらずそこに在るのだろう。かつてその鳥が生まれる前から、ずっと変わらずそこに在ったように。
>自分と、同じように。
>そして、いつの日にかその樹も朽ち果て、鳥と同じ大地に還る。
>自分も、きっと混沌に還る日が来るだろう。

 なんか、想いに溢れた文ですわね。
 魔族と人間の違いを、ここまで突き詰めて書くなんて、凄いですわ……。
 リナさんとゼロスさん、本当にお互いを想い合っているのがよくわかりますし。

>
>うひー、こんなに長くなるとは、ハッキリ言って予想外でした。
>後半(特に『愛してる』発言の後から)は、もう筆が進まないったら(笑)
>こんな文章でも読んで下さった方々に、感謝の気持ちでいっぱいです。

 とんでもないですっ!こんな素敵なお話……本当に、素敵ですわっ!
 ゼロリナシリアス更に甘々ッ。
 わたくし、この話、完璧に好きですっっ!!

>また投稿することがあったら、どうか読んでやってくださいませね。

 無論のことですわ……!
 あれで石崎さん、お話書くのやめたりなさいませんわよね?
 ちゃんっと、これからもいろんな話、書いてくださいますわよねぇぇっ!?
 ここまで、ゼロリナシリアスを上手に書ける方、少ないと思いますわッッ!!
 応援しておりますから、次回、またお話かかれてくださいませ!
 それでは失礼をば……

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6982感謝の言葉もありません〜(恐縮)石崎菰 E-mail 6/5-22:26
記事番号6977へのコメント

毎回毎回、丁寧な感想、ありがとうございます☆
もうただひたすら感謝! です(笑)


> こんにちは、庵 瑠嬌でございます☆
> 終わりましたね!素晴らしいお話でしたわっ!!

素晴らしいかどうかはともかくとして(ミス多かったですし……)、やっと終わってくれました。
でも、天海様へのコメント返しでも書いたんですが、ゼロスさんの心理描写が書けなかったのが心残りで……
ゼロスさんの心の矛盾とか、葛藤とか、もっと書きたかったんですよねー、ぢつは。力不足ゆえに、中途半端な書き方になってしまって……後悔もひとしおって感じです。


> やっぱり、リナさん、理論の方ですわね。
> ゼロスさんによって作られた自分を、それも自分だと受け止めて、己を影とも主とも認めるなんて。
> まぁ、融合できたのは、ゼロスさんを想う心が共鳴して呼び合ったからでしょうが……。
> しかし、石崎さん……よく、こんな文章思いつかれますわね。
> 数学の証明問題の解答を読んでいるような気分です。頭よさそう……。

基本的に、私のリナ像って、やっぱりコレなんですよねー(笑)
明るくて傍若無人なんだけれども、芯の所ではすごく冷静で理知的な人間。
……私の力量で書ききれているかはともかくとして(爆)
だからといって決して情が薄い訳ではなくて、むしろ逆。両極端な性格を内包した、だからこそ人を惹き付けずにはいられない『眩しい』人間なのです。
まぁ、だからって私の文章力で(以下省略)
数学の証明問題……嫌いじゃないですね。だって、結構無茶苦茶な解答しても、文章次第で点の取れる問題ですから(笑)
普通の問題でも、いわゆる『一般的な』解答じゃなくても、口八丁で先生丸め込んだり、ねぇ……よくやりますし。
はたして大学入試にそれが通用するかは置いといて、と(^_^;)
文章は……結構行き当たりばったりですね……プロットとか、立てたことないですもの(汗)計画性、まったくナシ……


> とっことん、自分勝手気ままなセリフですわねー。
> 本人前にここまできっぱりはっきりおっしゃることが出来るのが、極道ゼロスさんの持ち味?
> 自分のことを覚えていれば、それでいいなんて……彼に、無条件の慈しみと言う言葉は存在しませんね。
> 愛したらその分愛されたがるタイプでしょう(笑)。

ごめんなさい、私のゼロス像、こんなんです(汗)
わがまま街道まっしぐら、『ゴーイングマイウェイ』ならぬ、『強引にマイウェイ』(友人評)な方ですから。
無条件の慈しみ……ここまでうちのゼロスさんに似合わない言葉もないですねぇ(笑)いやはや。


> 喧嘩売ってるのか、開き直っているのか、告白してるのかわかりませんね。
> 本当に、リナさんみたいな人が、激情のままに感情をぶちまけたら、なんか迫力が凄いですわっ!
> ここまではっきり愛してるっと言われたら、ゼロスさん……幸せでしょうねぇぇ……。

喧嘩も売ってるし、開き直ってもいるし、告白もしてるでしょう(笑)
ここから急に筆が進まなくなったのです(笑)
甘々って、読むのは好きなんですけど、書くのは……照れますね。ちょっと苦手。


> きゃぁぁぁぁんっっ!!
> よくぞ言ったゼロスさんっ!
> す・て・き……ですわっ!!
> そうか、リナさんがおしまくった後は、次はゼロスさんの番ですのね。
> 周囲も省みずに、目元がなだれを起こしたように笑んでます、今わたくし☆

言ってくれなくちゃ困りますものね!
本当はゼロス、もっと押しても良かったんですけど……自分で恥ずかしくなったので、予定変更しました(笑)
砂吐きそうになる前にやめといて、よかったかもしれない……


> リナさんっ……本当に、強ーくゼロスさんを愛してますけど、それでも、やっぱり根っこの部分は変わりませんのね。
> 魔族の契約をして、永遠を欲しがるようなリナさんは、リナさんではない、とわたくしは思っております。

やっぱり、自分が自分であることにこだわってこそのリナでしょうね。
そのまっすぐさが、リナの重要なパーツでもありますから。
でも、人間ゆえに、やっぱりどこかに迷いはあると思うんですよね。
リナの場合は、人間であることにこだわりつつも、それでもゼロスと共に永遠を刻みたいという、まったく相反する思いとか。
それでも、どんなに迷っても迷いに負けたりしない所がリナらしさだと思うのです。


> なんか、想いに溢れた文ですわね。
> 魔族と人間の違いを、ここまで突き詰めて書くなんて、凄いですわ……。
> リナさんとゼロスさん、本当にお互いを想い合っているのがよくわかりますし。

とーとつですけど、私、鳥が好きなんですよね(いきなりかい)
で、鳥=リナ、っていう図式は、大分前からあったんです。鳥は自由の象徴でもありますから。
だとしたら、ゼロスってなんだろーなと思って考えると、やっぱり樹かな、と。
まったく違う長さの時間を生きる存在でも、結局還る所は同じなんだというのが書きたくて考えたんですけど、これが意外とハマってしまって、自分でもびっくりです(笑)


> とんでもないですっ!こんな素敵なお話……本当に、素敵ですわっ!
> ゼロリナシリアス更に甘々ッ。
> わたくし、この話、完璧に好きですっっ!!

ありがとうございます〜(感涙)
甘々にちゃんと見えてましたか、よかったです〜。


> 無論のことですわ……!
> あれで石崎さん、お話書くのやめたりなさいませんわよね?
> ちゃんっと、これからもいろんな話、書いてくださいますわよねぇぇっ!?
> ここまで、ゼロリナシリアスを上手に書ける方、少ないと思いますわッッ!!
> 応援しておりますから、次回、またお話かかれてくださいませ!
> それでは失礼をば……

イメージとしてはあって、書きたいなという話はいくつかあるんですが、形にするのに時間がかかるんですよね。
とりあえず、近いうちにこの話で書きそびれた、ゼロスの心理描写を、形にして書こうと思ってます。近いうちに。
たまにはただただひたすら甘々な話とか、書いてみたいんですけどねー……

それでは、駄文ですが、ここまでおつき合い下さって、ありがとうございました☆