◆-眠り姫(前編)-庵 瑠嬌(11/15-19:53)No.5646
 ┣眠り姫(後編)-庵 瑠嬌(11/15-19:54)No.5647
 ┣異なるもの(前編)-庵 瑠嬌(12/6-21:57)No.5737
 ┃┗異なるもの(中編)-庵 瑠嬌(12/6-21:59)No.5738
 ┃ ┗異なるもの(後編)-庵 瑠嬌(12/6-22:01)No.5739
 ┃  ┗異なるもの(後編)これが本当ですの、上のは間違い-庵 瑠嬌(12/6-22:03)No.5740
 ┃   ┣Re:異なるもの(後編)-珠波 雅璃愛(12/7-01:45)No.5741
 ┃   ┃┗ありがとうございます!-庵 瑠嬌(12/12-21:24)No.5759
 ┃   ┗らしい二人ですねぇ(はぁと)-T−HOPE(12/8-21:55)No.5745
 ┃    ┗嬉しいですわ……-庵 瑠嬌(12/12-21:29)No.5760
 ┗ひなたぼっこ-庵 瑠嬌(12/12-21:45)No.5762
  ┣Re:ひなたぼっこ-桜井(12/12-23:33)No.5763
  ┃┗あ、ありがとうございますっ-庵 瑠嬌(12/19-19:00)No.5781
  ┣“獣”神官ですものね(^^)-T−HOPE(12/13-11:14)No.5765
  ┃┗このタイトル、笑いましたわ-庵 瑠嬌(12/19-19:18)No.5782
  ┗Re:ひなたぼっこ- みさと(12/17-08:20)No.5776
   ┗嬉しいお言葉ですわ!-庵 瑠嬌(12/19-19:23)No.5783


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5646眠り姫(前編)庵 瑠嬌 11/15-19:53


 くだらないですわ……。
 ああ、ああ、くだらないですわ……。
 先日かかりました風邪、熱は下がりましたものの、喉が痛いですし……。
 四人家族のうち三名がかかり、わたくしのみぴんぴんしていましたのに、後日、学校で教室の両隣の席の二名が、風邪にかかって微熱まであるというのに登校されてしまったのは、効いたようですわね……。
 まだ頭痛も引きませんし……。
 うなされた上のたわごととお受け取りくださいませ。
 初めて、ゼロリナ以外の話を作りましたの。
 ……まあ、ゼロスとリナさんの会話多いですけれど。
 ギャグ以外の何ものでもございません。 
 童話をもとにお話を作っておられるお方は多いですけれど……、なんたる違いでしょう……。
 ああ……くだらないですわ……。








 眠り姫 ――前編


 あるところに、ぜふぃーりあという国がありました。
 そこには、りなという、美しくて賢い王妃様と、がうりいという、強く優しい王様がいました。
 王妃様も、王様も、その国の人々も、それはそれは幸せに過ごしていたのです。
 しかし、実は王妃様には悩みがありました。
 王妃様は、いつまでたっても、子宝に恵まれなかったのです。
 王様は、そんなことはまったく気にしてはいませんでしたが、賢い王妃様は、王子が生まれないと、次の王様がいなくなってしまうことを、ちゃんとわかっていたのです。
 あんまりそれを理解しない王様を張り倒しつつ王妃様は、ずっと悩んでいました。
 そんなある日のことでした。
 やっと、赤ちゃんが生まれたのです。
 赤ちゃんは、それはそれは可愛らしい、お姫様でした。
 王妃様はたいそう喜び、そのお姫様の名を、ぜるがでぃすと名づけると、誕生のパーティを開いたのでした。

                  *

「おめでとうございます、王妃殿」
 パーティの最中、ぜろすという魔族……、もとい魔法使いがやってきました。
「魔法使い……。どうやってこのこと知ったのよ?
 ――魔族に招待状を送った記憶はないんだけど」
「ほんとひどいですよねぇ。教えてくれればいいのに」
「どうやって教えろって言うのよ………」
 正論です。
 しかし、魔法使いはにこにこといいました。
「でも、僕はどうにかして知りましたよ。
 ……ところで、今日は僕が来たのは、贈り物をしようと思ったからなんです」
「贈り物……?」
 王妃様は、柳眉をひそめました。
「魔族の贈り物なんか、あたしの娘には要らないわよ」
「良い贈り物です」
 魔法使いは言いました。
「それは―――」
 そのときです。
「でむ・うぃんっ!」
 風が吹き抜けました。
「ほーっほっほっほ!」
 どこかで聞いた高笑いに、王妃様はさーっと青ざめました。
「あんたは………悪の魔女、なーがっ!」
「ほーっほっほっほ!この白蛇のなーがに招待状を送らないとは、あなたもやきがまわったわね、りな!」
 現れたのは、悪の魔女、なーがでした。
 露出度の多いコスチュームでその身を包んだその姿は、間違いなく悪の魔女そのものです。
 悪の魔女は、高笑いをしながら、王妃様に呪いを言い渡しました。
「ほーっほっほっほ!りな!あなたに一つ言っておくわっ!
 あなたの姫は、十六の年に、紡ぎ車の針に手を刺して、永遠の眠りにつくのよっ!」
「な、なにをいきなり言い出すかっ……!?」
「ほーっほっほっほ!まあ、なんとかなるわよ、きっと。ほーっほっほっほ!」
 高笑いと共に現れた悪の魔女は、高笑いをしながら去っていったのでした。


「な……、なんてこと。本当ならなーがに紡ぎ車で死んでしまうなんて呪い、使えるはずはないんだけど、話の展開上、これは間違いなく実現するわ……!」
 ショックを受ける王妃様に、魔法使いが言いました。
「王妃殿王妃殿。僕のことを忘れては困りますよ」
「……魔法使い?」
「僕は、三つの祝福をそこのお姫様に贈りましょう。
 ……本当なら、魔女が出てくる前に二つあげなきゃいけなかったんですけど」
「なんでもいいわ。それで、……三つの祝福って?」
 魔法使いは、指を一本立てて言いました。
「一つ……」
 黒い触手が、お姫様をつつみました。
「ぜるがでぃす!」
 顔色を変える王妃様に、にこりと笑い。
「紡ぎ車の針に刺されても、傷つく事がないよう、かたい岩の肌と、丈夫な針金の髪を……」
「針金の髪ってのはなんのためよっ――――!?」
 王妃様の鋭いツッコミを、ものともしない魔法使いの黒い触手が消えた後、お姫様のすべすべの白い肌は岩の肌に、ふさふさとした豊かな髪は、鈍い光沢の針金の髪に変わっていました。
「なっ――!」
 ショックを受ける王妃様に、にこにこと、魔法使いは続けます。
「そして二つ目に……」
「要らないわよっ!
 これ以上あたしの娘を、変にしないでちょうだいっ!」
 王妃様の訴えも聞かず、魔法使いは言いました。 
「今度はまともですよ。
 ――いいですか、このお姫様は、確かにあの魔女さんがおっしゃったとおり、十六の年に、糸車に刺されて眠りにつきます」
「………あんた、さっき針に刺されても傷つかないようにって、娘を岩肌にしなかった……?」
「無駄と知りつつも挑戦すると言うことをあきらめてはいけませんよ。人生とは戦い続けるものです」
 そう魔法使いはのたまいます。
「魔族が人生について語るもんじゃないわよ……」
「まあ、それもそうですけど。
 ともかく、お姫様は、糸車に刺されて眠りにつくにはつきます。
 それは、もう先程の魔女さんが、呪いをかけてしまいましたから変えようがありません。
 ……が、僕だって立派な魔法使いです。その呪いの効力を、弱めてさしあげましょう」
「どういうふうに……?」
 問う王妃様に、魔法使いは言いました。 
「眠りを、永遠ではなく百年にするのです。
 つまり、お姫様は、紡ぎ車に手を刺し、百年の間、眠り続けるというわけです」
「百年……!?」
「永遠よりましでしょう。僕だって、そこまでサービスする気はありません」
「そういう問題かっ!?」
「――とにかく」
 平然と魔法使いは言います。
「次の三つ目の祝福を贈りますよ。それは――」
 と。
 肝心なところで、魔法使いの言葉が途切れました。
「すいません王妃殿。どうやら僕の上司がお呼びのようです。
 ――後はご自分たちでなんとかしてください」
「っにぃぃぃっ!?」
 動揺する王妃様をよそに、魔法使いは、煙のようにその姿を消してしまったのでした。
「この迷惑魔法使いっ!無責任なこと言って、娘めちゃくちゃにして去っていくんじゃないっ!」
 怒鳴る王妃様に、魔法使いはどこからか言葉を伝えます。
『一つ言っておきますが、百年後に、しかるべき手続きをとらねば、またえんえんとお姫様は眠り続けることになりますよ』
「どういう手続きよっ!?待ちなさい魔法使い――――っ!」
 怒り狂う王妃様も気にせず、傍迷惑な魔法使いは去っていったのでした。


 岩肌に針金の髪のお姫様を抱いて、王妃様は途方に暮れました。
「どうしよう――」
 悩む王妃様の目に、呆気にとられて茫然としている招待客の中に混じる、王様が目に映りました。
 王妃様の胸に、まったく不条理な怒りがこみ上げます。
「――っ!がうりいっ!
 あんた、娘があの魔法使いにひどい目にあってる最中に、よく宴席の料理を食べまくっていられるわねっ!?」
 いきなり怒鳴られた王様は、ん?と骨付き肉をほおばるのをやめ、王妃様に向き直りました。
「――何かあったのか?」
「がうりい―――――!」
 悪鬼のような形相になる王妃様に、王様はぱたぱたと手をふり、
「冗談だって。オレが魔女と魔法使いの気配に気づかないわけないだろ?」
「いつかも言ったけど、あんたのそーいう冗談は冗談に聞こえないのよっ!」
 はあはあと肩で息をついて、王妃様は言いました。
「いい!?ついさっきあたしたちの娘は、厄介の権化たる魔女に呪いをかけられ、動く傍迷惑たる魔法使いにむちゃくちゃな『祝福』を贈られて、十六歳になったら死んでしまうキメラと化したのよっ!
 その状態であんたは、よくはぐはぐと御馳走なんて食べてられるわねっ!?」
「――なんとかなるんじゃないか?」
「百年後に何らかの手続きをとらなきゃ、そうはならないのよっ!
 あんた魔法使いのことば聞いてなかったの!?
  ――って聞いてるわけなかったわねそういえば……」
 ふと冷静に立ち返る王妃様に、にこにこと笑って王様はうなずきます。
「そのとおりそのとおり」
「笑顔で同意するんじゃないわよこのボケクラゲっ!」
 などと、大勢の招待客の前で、王妃様たちがどつき漫才をしていると――
「王妃様っ!わたしからも、祝福があります!」
 広間にあふれかえった招待客の中を、苦労してやってきたらしい女性が、二人の前に現れました。
「あんたは――火竜王の巫女……」 
 そう、現れたのは、火竜王の巫女、ふぃりあだったのです。
「あのね巫女。あたしたちは、祝福なんて、もう絶対もらいたくないのよ。悪いけど次の機会に――」
「あの魔法使いの祝福は、邪道です!
 本来ならば、わたしが三つの祝福をするはずだったんですっ!」
「――でも、魔法使いは平然と贈ってきたわよ。『祝福』を」
「だって、あの魔法使いは魔族なんですよっ!?
 魔族はどこへでも出没可能ですけど、わたしたち竜族は、ドラゴンの姿にもならない限り、すぐに移動することは出来ないんですっ!」
 もっともでした。
「なるほどね。……で、その祝福って言うのは?」
 うながした王妃様に、巫女は言いました。
「お姫様は、紡ぎ車に手を刺して、百年の眠りについてしまいます。その眠りを覚ますのは――」
 一息ついて区切って続けます。
「隣国の王子様です。愛と正義と希望の心に燃える若い王子様は、必ずや、悪しき魔女を破り、お姫様を眠りから解き放つでしょう」
「隣国の王子――」
 王妃は首をかしげました。
 なにやら考えている様子です。
「じゃあ、その王子が、あたしの娘を起こしてくれるのね?」
「はいそのとおりです」
 答えた巫女は、もう一つ加えました。
「お姫様が眠っている間、わたしはこの国中の人々も、眠りにつかせましょう。
 十六年後の今日、お姫様が紡ぎ車に手を刺したその瞬間に、王妃様、あなたも、王様も、すべての人々、いいえ、動物も植物も、すべてが眠るのです」
「なんで?」
「そういうことになっているんです」
 ―――そうして、事前の段取りは成されたのでした。

 それから、十五年と三六四日の歳月が流れました―――。



юююююююю


 こんなくだらない話が、なんでこんなに長いのでしょう。
 ああ……、後編、読む方いらっしゃいますかしら……?
 これについては………、常の感想ねだりもろくに出来ませんわね……。
 一応、欠片だけガウリナに挑戦したのですが……、ぜんっぜん会話が少ないですし……。
 どうせ、どうせわたくしはゼロリナ支持者ですのね……。
 


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5647眠り姫(後編)庵 瑠嬌 11/15-19:54
記事番号5646へのコメント



 後編でございます。
 さらにくだらないですわ。
 ああ……。
 センスもなにもない話………。
 ……ちょこっとだけ、ゼルアメがありますけれど……。




 それから、十五年と三六四日の歳月が流れました―――。

 
 ぜるがでぃす姫は、輝かんばかりの美貌に成長し、諸国の国から、次々に求婚の手紙が届きました。
 しかし、お姫様は、まったく見向きもしなかったため、お姫様は、とげだらけの姫、すなわち―― 
 さぼてん姫と呼ばれるようになったのでした。
 髪の毛が鋭い針金だったのも、理由の一つとして挙げられるでしょう。
 それがなければ、いばら姫と呼ばれたかもしれなかったでしょうに。
 ところでさぼてん姫は、そんな風評も、気にせず、たくましい王妃様と、物事に動じない王様のもと、幸せに過ごしていたのでした。
 さて、王妃様は言いました。
「姫。一つ言っておくわ。あんたは明日の十六の誕生日の日、なにがあったとしても、大広間と自分の部屋以外の場所に行ってはだめよ」
 当然不思議に思って、さぼてん姫は問いました。
「なぜ、二つのところしか行ってはならないんだ?」 
 さぼてん姫は、なぜか、言葉遣いがまるで男の人のようなのです。
 王妃様たちは、寛容にそのくらいどうでもいいやと言っていましたが。
 ――王妃様は答えました。
「万が一、紡ぎ車に触れたらいけないからよ」
「……紡ぎ車とは?」
 紡ぎ車というものは、さぼてん姫の生まれた年の間に、国中すべて、燃やし尽くされていました。
 王妃様は、たとえ王子様が来るとしても、百年間もの間、国中が眠っていたら、あとあと外交が大変なので、なるべく、呪いを回避したいと考えていたからです。
「あんたにとって、命に関わる危険なものの事よ。
 あたしの言うとおりにしていれば、まずその危険はないわ」
「わかった」
 さぼてん姫はあっさり納得し(今までに、王妃様の言うことに、間違いは少なかったのです)、誕生日の日は、大広間と自分の部屋にしか行かないと約束しました。
 
 そして、さぼてん姫の、十六の誕生日がやってきました――。

 さぼてん姫は、少し……、いいえ、かなり退屈していました。
 何しろ、ずっと自分の部屋でじっとしていなければならないのですから。
 大広間へは、パーティが始まるまで、決して行ってはならないと、王妃様から厳命されています。
 さぼてん姫は、おもいっきり暇でした。
「……………」
 することがなく、さぼてん姫がぼんやり本をめくっているとです。
 唐突に、黒い人影が現れました。
 さぼてん姫は警戒しました。
 その人影は、出現するなりいったのです。
「僕はぜろす。謎の神官――じゃなくて、魔法使いです」
 はっきりあやしい人物でした。
「魔法使い……?」
 やっぱり僕には神官の方が、しっくりきますよーなどと、ぼやいている魔法使いに、さぼてん姫は尋ねました。
「あんたは、もしかして……、俺を『祝福』と称してキメラにした魔法使いか?」
「よく知ってますねぇ……。王妃殿が教えたんですか?」
「そのとおりなんだな?」
 目がすわっているさぼてん姫に、魔法使いはうなずきました。
「そのとおりです……よっ!?」
 魔法使いはびっくりして飛び退きました。
「い、いきなりなにをするんです……」
 さぼてん姫は、魔法使いに突然、剣を振り下ろしたのです。
「――殺す。俺の身体をこうしてくれた奴を、あっさり帰してはやらん!」
 ずいぶんといやな思いをしてきたようです。
 なぜか、剣の構えが様になっていました(ドレスでしたのに)。
「やですねぇ、さぼてん姫なんて言う、可愛いらしい名前で呼ばれるようになったのは、僕のおかげですよ?」
「こーいうのは、間抜けな名前というんだっ!」
 一歩踏み込むさぼてん姫に、大急ぎで逃げつつ魔法使いは言います。
「いばら姫よりはいいでしょう?」
「待て!」
 おいかけっこが始まりました。
 さぼてん姫の頭には、もう、王妃様との約束も、すっかり抜け落ちています。
 ただ、自分の身体をキメラにした魔法使いを、必死で追いかけていたのでした。
 しかし、なぜかいつまでたっても追いつきません。
「追いつめた!」
 と思っても、いつの間にか、背後にたっていたり。
「剣が届く!」
 と思っても、いつの間にか、間合いを取られていたり。
 さぼてん姫は、この魔法使いが魔族であることを、聞いていなかったのです。
 そうしているうちに、さぼてん姫は、どんどんと自分の部屋からも、大広間からも遠ざかっていき、ようやくついたのは――、高い塔に通じる、城の端の階段でした。
「血の気が多いのは、王妃様とそっくりですね♪」
 挑発しながら、魔法使いは階段を登っていきます。
(馬鹿め、みずから、行き止まりに向かってどうする!)
 さぼてん姫の方は、逃げ場のない塔のてっぺんに向かう魔法使いを、おいかけようとして――。
 思い出しました。
『自分の部屋と大広間以外のところへは――』
 王妃様の言葉です。
 突然、さぼてん姫はぴたりと動きをとめました。
(……どうしようか)
 王妃様は、怒るととっても恐い人です。
 約束を破ったことがしれたら、どんな目にあうかしれません。
 ですが、今、さぼてん姫が追いかけているのは、にっくき自分の身体をキメラにした、魔法使いです。
(追いつめて、始末してから、部屋に戻ればいい)
 王妃様への恐怖と、仇への憎しみを比べると、後者の方がいくらか比重が大きかったようです。
 さぼてん姫は、意を決して階段を登りました。

                  *

(遅いわね……)
 王妃様はいらいらしていました。
 もうそろそろ来てもいい頃の、さぼてん姫がやってこないのです。
 いらだたしげに窓の外を見やった王妃様は、目を見張りました。
 窓からは、塔が見えます。その塔を部屋にいるはずの、さぼてん姫が駆け登っているではありませんか。
「なっ、なんであんなとこに……っ!」
 その先に、黒い法衣がちらちらと見えます。
「魔法使いっ……」
 はたと王妃様は気づきました。
「はかったわねっ!」 
 王妃様は、大広間を飛び出しました。



(そろそろ、王妃殿も気づいてるころでしょうか……)
 魔法使いは、小さく笑いました。
 塔のてっぺんです。
 昔は、罪人の牢屋のために使われていたところですが、最近では誰も入れない、開かずの小部屋になっていました。
 しかし、魔法使いにとって、入ることの出来ない小部屋の扉を開くなど、容易いことなのです。
 備え付けの小さな文机と椅子。簡素な寝台。そして、その部屋の中心に据えられているのは……。
「追いついたぞ!」
 さぼてん姫が、ダンッと扉を開けました。
「いやあ、足の速い方です。……けれど」
 視線をさぼてん姫の後ろに向けます。
「王妃殿のほうは、もっと早いようですね?」
「呪文で飛んで来たのよっ!」
 王妃様が、きれいに整えられた髪と服を乱し、肩を怒らせて立っていました。
「ぜるがでぃす!」
「一太刀でけりをつける!」 
 さぼてん姫は、王妃様に止められる前にと、急いで剣をふりかざします。
「いやあ、いいウデしてます。さすがあの王様の娘さんですね」
 にこやかに言って、魔法使いは姿を消してしまいました。
「なっ、――――っ!?」
 動揺するさぼてん姫を一方に、王妃様は瞳を見開きました。
 魔法使いの影になって見えなかったそれは―――
「ぜるがでぃす!あたしのところへ戻って!」
 血相を変える王妃様に、さぼてん姫はけげんそうに振り返りました。
 その拍子に、手が触れてしまったのです。
 部屋の中心にある、紡ぎ車に……!
 瞬時に、さぼてん姫が倒れました。
 そして、駆け寄って抱きとめようとした王妃様も、またその場にくずれおちてしまったのでした。


 大広間にいた人々も、次々に眠っていきます。
 王様も、さぼてん姫の誕生日を祝いに来た諸候たちも、その給仕をしていた、召使いたちも――。

 廊下で警備に当たっていた衛兵も次々に倒れていきます。
 台所で働いている料理人も、下働きも。
 立派な庭園で走り回っていた動物たちも―――……。

 国中のすべての命あるものが、眠りについていったのでした―――……。

「お仕事熱心でけっこうなことです。――巫女殿?」
 国中を眠らせた巫女のところに、魔法使いが現れました。
「あなたは魔法使い―――!」
「一つやっていないことがありますね。――まあ、僕がやりたかったことですから、正直ありがたいのですが」
「……なんですか」  
「この国に、誰も入れないようにしなくてはいけませんね。王子様も、魔女を倒すだけではつまらないでしょう」
 言うが早いか魔法使いは消えてしまいました。
「魔法使い――――――――っ!」
 巫女の絶叫も、全然聞いてません。

                   *

 魔法使いは、城の真上に浮かぶと、国全体に植物を生やしました。
 その植物とは、とげとげの針を身体全体に持った緑色の―――……。
 さぼてんです。
 満足そうに魔法使いは笑みました。
「これで、百年後の王子様しか、この国には入れませんね」
 こうして、ぜふぃーりあは、さぼてんにつつまれた国となってしまったのでした。


 ―――それから、百年の歳月が流れました――――


 
「ねえ父さん。どうして隣の国には、入れないんですか?」
 せいるーんの王子様、あめりあは、父王のふぃりおねるに尋ねました。
「それは、魔法使いが、国中にさぼてんを生やしたからだ。そこの城の奥には、百年の眠りについているお姫様がおる」
「お姫様!?」
 王子様は驚きました。
「お姫様が、眠っているんですか!?」
「そのとおり。さぼてんに囲まれた国の姫と言うことで、さぼてん姫と呼ばれておってな。その前もそう呼ばれておったそうだが……、その理由は不明だ」
 うなずく父王に、王子様は拳を握りしめて言いました。
「それはいけませんよっ!さぼてんに囲まれた国で、ただ眠りについているだなんて、可哀想ですっ!
 決めました。わたしはさぼてん姫を助けに行きますっ!」
「だが、ずっと眠っておるのだぞ。どうやって起こすつもりなのだ?」
「わたしの正義に燃える心は無敵ですっ!」
「そうか、ならば行って来るがよい!」
 と、いうことで、あっさりと王子様の出発は決まったのでした。
 

 ――ぜふぃーりあとの国境です。
 門の向こうは、さぼてんしか見えません。
「さて、どうしましょう」
 王子様は考え込みました。
「そうだ!」
 王子様は手を打つと、なにやらぶつぶつと唱え始めました。
「ふぁいやー・ぼーるっ!」 
 どぉぉぉんっ!
 あっという間に入り口のさぼてんが消失しました。
「れぴてーしょんっ!」
 門を通って、空に浮かぶと、さぼてんの上を城に向かって飛びます。
 ちょっと邪道ですが、これで、第一の関門は突破されたわけです。
 そして、第二には……。
「ほーっほっほっほ!さぼてん姫を助けようだなんて身の程知らずは、どこの誰かしら!?」
 高笑いとともに、百年たったのになぜかまったく外見が変わっていない魔女が、城に現れました。
「でましたね妖怪っ――じゃなくて魔女!」
 きっと魔女をにらみ据えた王子様は、目を点にしました。
「ぐれいしあ姉さんじゃないですかっ!」
 悪の魔女なーがは、せいるーん第一王女、ぐれいしあでもあったのです。
 王子様はきつく唇を噛みました。
「姉さんが、さぼてん姫を眠らせていただなんて……」
「ほーっほっほっほ!どうしたのかしら王子!?」
「……………。……姉さん」
 固い決意を秘めた目で、王子様は言いました。
「悪に走った姉を、元の道に構成するのが妹……じゃなかった弟のつとめ。
 けど、もう姉さんは手のほどこしようがないようです。……かくなる上は!」
 きっと、王子様は百ン年違いのお姉さんをにらみます。
「正義の名のもとに、わたしの手で、姉さんを惨殺しますっ!」
 その言葉に、思わず魔女はひるみました。
「その惨殺って言うのは、どこから出てきたのよっ……!?」
「実の姉を殺すのは、わたしとしても心が痛みます……。けれどっ!」
 完璧に自分に酔って、王子様は叫びます。
「正義と真実を守るためには、時には犠牲も必要っ!姉さんっ、どうか迷わず成仏してくださいっ!」
「成仏してたまるものですか、ぜらす・ごーとっ!」
 クラゲが大量発生しました。
「ふぁいやー・ぼーるっ!」 
 王子様は、それを片っ端から焼いていきます。
 しばらくすると、こうばしい香りとともに、クラゲはすっかりなくなりました。
「やるわね……あめりあ!」
「わたしはクラゲの足が好物なんですっ……!」
「関係ないような気もするわ……!」
 そのとおりです。
「さて姉さん……。今度はわたしから行きますよ!」
 王子様は剣を抜き放ちました。
 国一番の鍛冶職人が、魂込めて作り上げた、切れ味の鋭い、立派な剣です。
 王子様は、これを持ち、そして―――。
 シュッ……。
 自分の腕を、浅く切りました。
 タラタラと流れるごく少量の血。
「どうですっ!姉さんっ!?」
「…………!」
 魔女は、瞳を大きく見開きました。
「はうっ………」
 強ばった表情で、魔女は気絶してしまいました。
「ふっ……。姉さんが流血に弱いのは周知の事実!戦略と悪を許さぬ正義の心の勝利ですっ!」
 ガッツポーズを取り、王子様は、魔女に近づきました。
「姉さん……。悪に走ったとはいえ、この手に掛けるには、あまりにも忍びないです。ですから……」
 倒れている魔女を持ち上げ、れぴてーしょんで、また空に浮かびます。 
 ぽいっ。
 王子様は、さぼてんの海へ、魔女を落としたのでした。
 はっきり言って、剣で刺し殺すより、よっぽど残酷なのですが、ある意味、王子様は、宣告通り、魔女を惨殺したといえます。
 さて、王子様は、まっすぐに塔に向かいました。
 さぼてん姫が眠る塔へと―――……。


「――――……」
 さぼてん姫は眠っていました。
 死んだように眠るさぼてん姫に、王子様は対処に迷いました。
「どうやって起こしましょうか」
 熟睡している人を起こすのは、王子様はあまり好きじゃありません。
 けれど―――……。
「まあ、パターンですから」
 五秒ほどの沈黙の後、王子様は、さぼてん姫におおいかぶさりました。
 優しく唇に口づけます。
 その瞬間――……。
「悪かったっ!俺が悪かった!約束を破った俺が悪かったっ!だから――――!」
 やたらせっぱ詰まった様子で、さぼてん姫は身を起こしました。
 ……実は、百年間もの間、お妃様に怒られる悪夢をさぼてん姫は見ていたのですが、王子様はそんなことは全然知りません。
 びっくりして直立不動になった王子様と、さぼてん姫の視線が合います。
「お……おはようございます。さぼてん姫」
「ぜるがでぃすだ」
 愛想のないお姫様です。
 予想外の反応に、王子様は戸惑いつつ、言い直しました。
「おはようございます。ぜでぃるがすさん」
「ぜるがでぃすだ」
「……………」
 ―――こうして、さぼてん姫……もとい、ぜるがでぃす姫と王子様は、お友達になったのでした――――……

                   *

 余談ですが。
 結婚にこぎつけるまで、それから五年と半かかったそうです。
 


島島島島島島


 くだらなかったですわね――……。
 この世には、この眠り姫を使って、素晴らしいお話を書いておられる方もいらっしゃるというのに――…… 
 まあ、比べるのも馬鹿らしいですけれど。
 これは二つの思いつきから成っておりますの。
 一つは、美しいバラにはとげがある。転じて、とげだらけなら、それはさぼてんである、――という――……。
 もう一つは、夢で見たんですけれど、あの配役の眠り姫ですわ。
 そこでは、魔女がナーガで、お姫様がゼルガディスで、王子様がアメリアである(この時点ですでにくさってますわね)――というしょうもない話の断片しかなかったのですが……。
 そこからさらにくだらない発想を進めていったわけですの。  
 夢で見た話って、なんとなくすごく書きたくなるんですのよ。なにゆえかは存じませんけれど。
 
 ―――ひとつ申し上げさせていただきます!
 今回、間違いなく感想書いてくださった方へのお返事は、遅くなりますわ!
 なにゆえなれば、わたくしは、今週から恐怖の、期末テスト勉強に入りますの……!
 ホームページなんて、とてもとても見ていられなくなってしまいますのよ……。
 この試練を乗り切り、今現在、大学生、社会人などの立場におられる方々がうらやましいですわ……。
 いや、そういう方もそれなりに大変だと聞いていますけれども、ね……。

                                              ――庵 瑠嬌でした―― 


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5737異なるもの(前編)庵 瑠嬌 12/6-21:57
記事番号5646へのコメント

 ちょっとしたチャレンジですわね。
 ガウリナ、もまぜましたの。
 ……実をいいますと、本当はガウリナを書くつもりだったんですけれど……。
 話の構想練ってましたら、なにゆえか、こうなってしまいましたわ。
 少なくとも、前編はガウリナですの。
 基本はゼロリナなのですが、 リナさん、ガウリイさんにべったりしてますから……。
 ゼロスさん、ちょっとしか出ませんし……。
 とりあえず、罪作りなリナさんを、ご覧になってください。
 ――楽しめるかどうかは、わたくしにも分かりませんが……。

ффффффффффф



 異なるもの ――前編



「……寝酒か?」
 あきれたような声に、リナは鈍い仕草で反応した。
「ガウリイ?」
「……ったく……、弱いくせに。明日に響いたらどうするんだ?」
「大丈夫よ……」
 彼女は酒の入った杯を軽く揺らす。
「ほら、口調もしっかりしてるでしょ?量は加減してあるわ」
 椅子に座ったまま振り向いて微笑む。
 いつのまにか、部屋の戸口に寄りかかって立っていたガウリイは、部屋の中の彼女に歩み寄った。
 身をかがめてリナと視線を合わせる。
「……なに?」
 姿勢を元に戻し、ガウリイはため息混じりに言う。
「酔ってるだろ」
「酔ってないわよぉ……」
「目の焦点が合ってないぞ」  
「そぉ? でも……」
 いたずらっぽく、少女は首をかしげた。 
「あんたも酔ってるでしょ」
「は?」
「言ってることがまともだもん」
「まともって……」
 憮然とした顔になるガウリイ。
 くすくすと彼女は笑った。
 杯の中の酒が、震えて小さくさざ波を起こす。
「なんで、お酒なんて飲んでたの?」
「……酒場に行ってたんだ。あそこの名物料理は酒に合うって聞いたから。……おまえは?」
「さぁ?」
 そして酒を一口。
「ふふ。……おいし」
 とろんとした目で笑った少女は、ふとガウリイの目を見上げた。
 頼りなく見える普段より幼い瞳。
「今……、あんた酔ってんだよね」
「……みたいだな」
「そっか……」
 ……かたん。 
 卓の上に、リナは杯を置いた。
「なら……」
 するり……と、少女の腕がガウリイの首に回された。
「―――リナ?」
「ちゃんと……忘れてね」
 耳元でささやかれる声。
 ガウリイは、右肩に置かれたリナの頭に、優しく手を置いた。
「……どうした?」
「ミルガズィアさん……言ってたよね」
「ミルガ……。ああ、ドラゴンの」
「魔族は、人にアストラル・サイドからの攻撃をしないって……言ってたじゃない」
「助かるよな」
 ガウリイの言葉に、右肩の辺りに、震動が伝わった。
 リナが笑ったらしい。  
「ほんと……。助かるわ。魔族が人間を対等に見てくれないってのは……」
 少女は彼の肩に顔をうずめた。
「ほんとに……助かるわ。本当に……」
「……リナ」
「なに?」
 くぐもった声が答える。
「泣いてる……のか?」
「……誰がよ」 
「リナ……。どうしたんだ?」
 気遣わしげなガウリイに、感情の抜けた声でつぶやかれる言葉。
「魔族にとって人間は、負の感情をしぼりとるための餌……」
「…………」
「にしちゃあ、ずいぶん、人間くさかったわよね……」 
「―――誰が?」
 間があった。
「……あいつよ。獣神官――ゼロス」
「確かに……人間くさかったな」
「あら、覚えてたの?」
「おいおい……」  
 くすくすと肩を震わせる、少女。
「人間を守る仕事やって……。あたしらと話して……」
『あの程度の相手、おひとりで倒していただかなければ困ります――』
『ただの人間じゃない、という話を聞いてはいましたが――確かにある意味ではそのとおりですね』
「でも、とんでもない高位の魔族だったのよね……」 
『千年前の降魔戦争の時――我々、竜の一族を、ほとんど壊滅にまで追い込んだ相手――それが、あのゼロス、たった一人だ』
『ガイリア・シティを火の海にしたのは、そこのゼロスだということに――……』
「にこにこ笑いながら、あたしの事なんて、歯牙にもかけてなかったのよ――」
 ――いつも、笑顔という仮面であたしに接して――
「リナ」
「やぁっぱり、人間が一番ね――……」
「リナ……」
「ちゃんと本心で接してくれない、こっちの事なんて、全然見てくれない魔族とかより、やっぱり人間よねー……」
 首に回された腕の力が弱まる。
「魔族なんてね……」 
 ――大嫌い、だわ――……
「…………おいっ」
 ずるりと落ちかけるリナを、ガウリイは慌てて抱きとめた。
 ――重い。
 眠ってしまったらしい。
「しかたないな……」
 彼は苦笑しつつ少女を抱き上げ、目覚めぬよう気を使いながら、ベッドに寝かせる。
 その時、リナの髪が顔にかかっていることに気づき、払いのけようとして……。
 見えた。
 目尻に残るかすかな涙の痕。
「……………」
 無言で、ガウリイは部屋を出た。
 ……にぎりしめた拳が、白かった。


 夜を吹き抜ける風が、森のこずえを揺らしていた。
 外の冷たい空気に当たって酔いをさましていたガウリイは、なんのきなしに、空を見上げて気づく。
「三日月――……」
 鋭い刃のような、冷たい氷のような、そして……、誰かの冴えた双眸のような――
 わずかな光しか投げかけぬ、細い三日月。今夜の月は、少し明るさに欠けていた。
「ゼロス、か――……」
 まったく、よく似ている。
 興がそがれて彼は、宿屋の方に身をひるがえした。
 その時であった。
 ガウリイの、人とは違う鋭い目が、闇を捕らえた。
 漆黒の法衣に身を包み、闇色の髪を肩で切りそろえた、黒の神官――。
「………!?」
 見間違いかと、彼は目を凝らした。
 夜の闇にまぎれそうになってはいるが、間違いなくゼロスである。
 ゼロスは、ただじっとリナのいる部屋を見上げていた。
 そう、ガウリイの守るべき少女を――
 ガウリイはきゅっと唇を噛みしめると、まっすぐ宿屋に戻った。
 彼の直感は、あのゼロスに今、リナに対する殺意、害意はない、と告げている。
 しかし、胸にわき起こる不安は、抑えようがなかったのであった――。



†††††††††††††††

 はい、前編終わり、ですわ。
 さて、なぜこの二人を酔わせたかを申しますが――。
 単純なことですの。
 平時、この二人がこんな性格ではないからですわ。
 さすがに、リナさんの口調をれろれろに致しますと、話の雰囲気が少々くずれますので、一応それほど酔っていない、ということにしておりますが―― 
 アトラスでは、あの口調になりつつも、とりあえず隙なく(ひそかにあったかもしれませんけれど)魔族の相手をなさってましたわよね……。
 それが、それほど酔ってないはずなのに、あそこまで性格変わっていらしたのかは――……。
 まあ、ガウリイさんの前だから、無意識に気を許している、ということで。
 そういうことにしてしまいましょう。
 次は、愛しの覇王、グラウシェラー様がご出演なさいますわ。
 ゼロリナはあまり趣味ではないの、という方も、ぜひご覧くださいませ。



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5738異なるもの(中編)庵 瑠嬌 12/6-21:59
記事番号5737へのコメント



 中編でございます。
 ああ今回は、グラウシェラー様を出させていただきましたの。
 少々、グラウシェラー×ゼラス……かもしれません。
 たぶん違うでしょう。
 わたくしは愛しているくせに、ゼラス様にグラウシェラー様をいじめさせてしまいましたの。
 でも、ゼラス様もわたくしは好き(死)。
 ……あ、一応、この話はゼロリナが中心でございます。
 別に腹心の方々が焦点に当てられているわけではありません。
 まあ――、途中で趣味に走って、なぜかグラウシェラー様とゼラス様のお二方の会話がおおかたを占めてしまいましたけれど……。
 笑ってごまかせ自分の失敗、ということで。
 他人のミスを死ぬまでなじるようなことは、なさらないでくださいませ。
 さて、それでは、どうぞ――……。

ыыыыыыыыыы



 異なるもの ――中編

 ゼロスは、どこかぼんやりと宿の部屋を見上げていた。 
 なぜ、いま自分がこんなところにいるのか、それもよくわかってはいなかった。
 ただ――……。
 かの少女が、彼と同格である覇王将軍を倒し、さらに五人の腹心である覇王――末端部分ではあるが――を倒したと聞き、矢も盾もたまらなくなってしまったのである。
 人間の娘に惹かれつつある自分を、ゼロスは自覚していた。
 ――そう。
 脆弱で、微々たる力しか持たない、人間に――……。
(っく……!)
 ゼロスは、瞬時にして全身を走った苦痛に、顔をしかめた。
 気を抜くと、思考のすき間から忍び寄ってくる……それは自分の存在に関する一つの思念。
『魔族である自分が、人間ごときに魅入られている』……。
 五人の腹心に次ぐ力を持つ獣神官――その自分が、一人の人間にこだわっている。一人の人間に心を乱されている――……。
 それは、十分に精神生命体たる魔族である彼にとって、容易に致命傷となりうる事実。
(忘れられれば――……)
 強く、思う。
 記憶の片隅にも残らぬ程、完璧に自分からあの少女の存在を消し去れたなら――、と。
 心は思うとおりにならない。
 理性がなにを考えようと、心が求めるものは変わらない。
 たった一人の少女、それを、唯一のものとして想ってしまうのは……。
 変えようが、ない――……。
(なんとか、しなければ)
 理性が、訴える。心が、訴える。
 まるで逆のことを求め、まるで逆の真実を突きつける。
 身体中を駆けめぐる激痛に耐えながら、彼はただ一人の存在を見つめる。 
 人に心を奪われた魔族に出来るのは、それしか、ないのだ――……。


「――わたしがゼロスに名の半分を与えたのは、道具と思っているからではないわ」
 その言葉に、覇王は興味深そうに片眉を上げた。
「ほう?ならばなにゆえだ?」
「……あの子はわたしの最高傑作よ――……」
 獣王は、口のはしに笑みを浮かべる。
「あの子は、他の魔族より、はるかに柔軟な精神を与えたわ。――例えばあなた」
 笑みを含んだ視線が、覇王に据えられた。
「たかが人間にひどい目にあわされてきたじゃない?」
「…………くっ……」
「いくらドラゴンの長老が味方についてたとはいえ、そのドラゴンといえども、わたしたちの力に比べれば、たいして驚異でもないわ。
 あなたは人間四人とエルフ一人、そしてドラゴン一匹ごときに、末端とはいえ自分の一部を倒され、力を削がれると言う失態を犯したのよ。――ずいぶんな屈辱でしょうね?」
 憎悪にゆがむ、覇王の顔を楽しそうに見やりつつ、獣王は言葉を続ける。
「わたしたち魔族にとって、人間とは、単なる食餌にすぎないわ。その人間にそんな苦戦するなんて……ほんと、あなたそれでも、五人の腹心の一人?それ以前に……、高位魔族のつもりなの?」
 覇王はもう声も出ない。
 ただ、顔を怒りと屈辱に歪め、獣王をにらみ据えている。
 くすっ……
 ふと言葉を止めて笑った獣王に、覇王は憮然とした顔を返した。
「効いたでしょう?わたしの言葉は。……なかなか美味な負の感情ね」
「精神――攻撃か。確かに、少し効いたな……」
 後半の部分を聞かなかったふりをして覇王。
「ゼロスは、こういう攻撃に、割と耐えられるのよ」 
 自慢げに獣王はいった。
「あのリナ・インバースに誰か配下の魔族を付けるって話になったとき、わたしゼロスを推薦したでしょう?あの子はそういう精神的なものに強いのよ」
「だが……なんの役に立つ?」
「人間にも馬鹿にならないところがあるのは事実だわ。もちろん、しょせん命短く、魔力にも乏しい存在だけど――、時々、鋭い真実をつくことがある。仮にも知性のある生き物なだけあって、彼らなりの理屈ってものがあるわ。それは時に――、わたしたち魔族の存在すら揺るがすことがあるのよ」
「たかが人間にか?」
 嘲るような覇王の言葉に、獣王は曖昧な顔になった。
「わたしも少し疑問があるけど――、人間の側にいるうちに、自らの存在に疑問を持ってしまう――そういう、魔族にとって致命的な考えが浮かんでしまうものがいたことは事実だわ。
 ……それに、たかが人間ごときに手こずって、プライドを傷つけられる魔族もいるわけだし」
 といって、皮肉に視線を送る。
「だけど、ゼロスはそういう面では強いわ。特に、あのリナ・インバースは、人間のうちでも、特殊な部類に属するタイプらしいから……。事実、あなたの配下だった覇王将軍、あのリナ・インバースの精神攻撃に逃げ帰ってきたんでしょ?」
「まあ――な……」
「あの計画の時、まさかなにか精神攻撃を受けたからっていって、リナ・インバースに付けた魔族が戻ってきたりしたら、話にならなかったわ。だからわたしはゼロスをすすめたのよ。あの子は、人間と接触する仕事をすることが多いから、人間の相手をするのは得意だし――」 
「それも事実だな。――で、まさかそれゆえあの獣神官が最高傑作だと言うつもりはあるまいな?」
「あら……」
 獣王は首をかしげた。
「なぜ?」
 鋭い視線が彼を射抜く。
「そう――なのか?」
「もちろんそれだけとは言わないわ。けれど、精神攻撃に耐えうる『能力』を持ち、なおかつ五人の腹心に次ぐ実力を有している――。この子を作ったとき、わたしはこれ以上の魔族を創れない、また、腹心の中でこれ以上の魔族を創れるものは存在しない――と確信したわ。
 だからわたしはあの子に自分の半分の名を授けた。あの子は、わたしが創った最高傑作だったのだから――」
 そういって、獣王は自信にあふれた笑みを、唖然と自分を見つめる覇王に見せたのであった。




††††††††††

 これらはフィクションであり、実際の地名、人名とは――……。 
 いや、それは当然なのですが。
 ゼロスさんが精神攻撃に強いだなんて、完璧に作りましたわね。
 本当はどうなのかなんて、存じませんわ、わたくし。
 ただ、人間に恋してしまった、ということは、すなわち、人間ごときに――(後省略本文参照)ということですから、普通の魔族だったならば、『致命傷』になりうる――と。
 いつかミルガズィアさんのおっしゃっていたことを、応用――もしくは誤解――した理屈でございます。
 ゼラス様が、ゼロスさんを道具扱いしているかどうかとか、そこの辺りのことは――、分かりませんもの。かまいませんわよね?
 わたくし、グラウシェラー様の、あの部下に対する『道具』呼ばわりが、かなり強烈に、記憶に残っているようですわ。
 なんといっても、わたくしはあのセリフひとつで、グラウシェラー様に惚れ込んでしまった娘ですから。
 さて次回、とうとう完璧ゼロリナですわ。
 なぜか、あの二人を水いらずにすると、あやしいことをさせたくなるわたくし。
 さあ、後編、ゼロスさんとリナさんは(というかゼロスさんは)、なにをするのでしょう――?




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5739異なるもの(後編)庵 瑠嬌 12/6-22:01
記事番号5738へのコメント



 中編でございます。
 ああ今回は、グラウシェラー様を出させていただきましたの。
 少々、グラウシェラー×ゼラス……かもしれません。
 たぶん違うでしょう。
 わたくしは愛しているくせに、ゼラス様にグラウシェラー様をいじめさせてしまいましたの。
 でも、ゼラス様もわたくしは好き(死)。
 ……あ、一応、この話はゼロリナが中心でございます。
 別に腹心の方々が焦点に当てられているわけではありません。
 まあ――、途中で趣味に走って、なぜかグラウシェラー様とゼラス様のお二方の会話がおおかたを占めてしまいましたけれど……。
 笑ってごまかせ自分の失敗、ということで。
 他人のミスを死ぬまでなじるようなことは、なさらないでくださいませ。
 さて、それでは、どうぞ――……。

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 異なるもの ――中編

 ゼロスは、どこかぼんやりと宿の部屋を見上げていた。 
 なぜ、いま自分がこんなところにいるのか、それもよくわかってはいなかった。
 ただ――……。
 かの少女が、彼と同格である覇王将軍を倒し、さらに五人の腹心である覇王――末端部分ではあるが――を倒したと聞き、矢も盾もたまらなくなってしまったのである。
 人間の娘に惹かれつつある自分を、ゼロスは自覚していた。
 ――そう。
 脆弱で、微々たる力しか持たない、人間に――……。
(っく……!)
 ゼロスは、瞬時にして全身を走った苦痛に、顔をしかめた。
 気を抜くと、思考のすき間から忍び寄ってくる……それは自分の存在に関する一つの思念。
『魔族である自分が、人間ごときに魅入られている』……。
 五人の腹心に次ぐ力を持つ獣神官――その自分が、一人の人間にこだわっている。一人の人間に心を乱されている――……。
 それは、十分に精神生命体たる魔族である彼にとって、容易に致命傷となりうる事実。
(忘れられれば――……)
 強く、思う。
 記憶の片隅にも残らぬ程、完璧に自分からあの少女の存在を消し去れたなら――、と。
 心は思うとおりにならない。
 理性がなにを考えようと、心が求めるものは変わらない。
 たった一人の少女、それを、唯一のものとして想ってしまうのは……。
 変えようが、ない――……。
(なんとか、しなければ)
 理性が、訴える。心が、訴える。
 まるで逆のことを求め、まるで逆の真実を突きつける。
 身体中を駆けめぐる激痛に耐えながら、彼はただ一人の存在を見つめる。 
 人に心を奪われた魔族に出来るのは、それしか、ないのだ――……。


「――わたしがゼロスに名の半分を与えたのは、道具と思っているからではないわ」
 その言葉に、覇王は興味深そうに片眉を上げた。
「ほう?ならばなにゆえだ?」
「……あの子はわたしの最高傑作よ――……」
 獣王は、口のはしに笑みを浮かべる。
「あの子は、他の魔族より、はるかに柔軟な精神を与えたわ。――例えばあなた」
 笑みを含んだ視線が、覇王に据えられた。
「たかが人間にひどい目にあわされてきたじゃない?」
「…………くっ……」
「いくらドラゴンの長老が味方についてたとはいえ、そのドラゴンといえども、わたしたちの力に比べれば、たいして驚異でもないわ。
 あなたは人間四人とエルフ一人、そしてドラゴン一匹ごときに、末端とはいえ自分の一部を倒され、力を削がれると言う失態を犯したのよ。――ずいぶんな屈辱でしょうね?」
 憎悪にゆがむ、覇王の顔を楽しそうに見やりつつ、獣王は言葉を続ける。
「わたしたち魔族にとって、人間とは、単なる食餌にすぎないわ。その人間にそんな苦戦するなんて……ほんと、あなたそれでも、五人の腹心の一人?それ以前に……、高位魔族のつもりなの?」
 覇王はもう声も出ない。
 ただ、顔を怒りと屈辱に歪め、獣王をにらみ据えている。
 くすっ……
 ふと言葉を止めて笑った獣王に、覇王は憮然とした顔を返した。
「効いたでしょう?わたしの言葉は。……なかなか美味な負の感情ね」
「精神――攻撃か。確かに、少し効いたな……」
 後半の部分を聞かなかったふりをして覇王。
「ゼロスは、こういう攻撃に、割と耐えられるのよ」 
 自慢げに獣王はいった。
「あのリナ・インバースに誰か配下の魔族を付けるって話になったとき、わたしゼロスを推薦したでしょう?あの子はそういう精神的なものに強いのよ」
「だが……なんの役に立つ?」
「人間にも馬鹿にならないところがあるのは事実だわ。もちろん、しょせん命短く、魔力にも乏しい存在だけど――、時々、鋭い真実をつくことがある。仮にも知性のある生き物なだけあって、彼らなりの理屈ってものがあるわ。それは時に――、わたしたち魔族の存在すら揺るがすことがあるのよ」
「たかが人間にか?」
 嘲るような覇王の言葉に、獣王は曖昧な顔になった。
「わたしも少し疑問があるけど――、人間の側にいるうちに、自らの存在に疑問を持ってしまう――そういう、魔族にとって致命的な考えが浮かんでしまうものがいたことは事実だわ。
 ……それに、たかが人間ごときに手こずって、プライドを傷つけられる魔族もいるわけだし」
 といって、皮肉に視線を送る。
「だけど、ゼロスはそういう面では強いわ。特に、あのリナ・インバースは、人間のうちでも、特殊な部類に属するタイプらしいから……。事実、あなたの配下だった覇王将軍、あのリナ・インバースの精神攻撃に逃げ帰ってきたんでしょ?」
「まあ――な……」
「あの計画の時、まさかなにか精神攻撃を受けたからっていって、リナ・インバースに付けた魔族が戻ってきたりしたら、話にならなかったわ。だからわたしはゼロスをすすめたのよ。あの子は、人間と接触する仕事をすることが多いから、人間の相手をするのは得意だし――」 
「それも事実だな。――で、まさかそれゆえあの獣神官が最高傑作だと言うつもりはあるまいな?」
「あら……」
 獣王は首をかしげた。
「なぜ?」
 鋭い視線が彼を射抜く。
「そう――なのか?」
「もちろんそれだけとは言わないわ。けれど、精神攻撃に耐えうる『能力』を持ち、なおかつ五人の腹心に次ぐ実力を有している――。この子を作ったとき、わたしはこれ以上の魔族を創れない、また、腹心の中でこれ以上の魔族を創れるものは存在しない――と確信したわ。
 だからわたしはあの子に自分の半分の名を授けた。あの子は、わたしが創った最高傑作だったのだから――」
 そういって、獣王は自信にあふれた笑みを、唖然と自分を見つめる覇王に見せたのであった。




††††††††††

 これらはフィクションであり、実際の地名、人名とは――……。 
 いや、それは当然なのですが。
 ゼロスさんが精神攻撃に強いだなんて、完璧に作りましたわね。
 本当はどうなのかなんて、存じませんわ、わたくし。
 ただ、人間に恋してしまった、ということは、すなわち、人間ごときに――(後省略本文参照)ということですから、普通の魔族だったならば、『致命傷』になりうる――と。
 いつかミルガズィアさんのおっしゃっていたことを、応用――もしくは誤解――した理屈でございます。
 ゼラス様が、ゼロスさんを道具扱いしているかどうかとか、そこの辺りのことは――、分かりませんもの。かまいませんわよね?
 わたくし、グラウシェラー様の、あの部下に対する『道具』呼ばわりが、かなり強烈に、記憶に残っているようですわ。
 なんといっても、わたくしはあのセリフひとつで、グラウシェラー様に惚れ込んでしまった娘ですから。
 さて次回、とうとう完璧ゼロリナですわ。
 なぜか、あの二人を水いらずにすると、あやしいことをさせたくなるわたくし。
 さあ、後編、ゼロスさんとリナさんは(というかゼロスさんは)、なにをするのでしょう――?








 後編でございます。
 ほっほっほっほっほ……。
 本気でごまかし笑いする事態になるとは思っていませんでしたわ。
 まだまだ自分を分かっていなかったようですわね……。
 これのみに題を付けるならば、『あらまあ、ゼロスさん大暴走』とでもいたしましょうか。
 ごらんになってくだされば分かるでしょうけれど。
 さて、実はこの後編、一つまったく別の、独立した話として使うつもりだったエピソードを、入れてありますの。
 それをいえば、中編のグラウシェラーさま方の会話も、まったく別の話のつもりだったのですが――。
 とにかく、ここまで読んでこられた方、これが終着点でございます。 
 ここまで読みすすめられたのですから、寛大さには自信がおありでしょうが、この後編では……。
 とりあえず、自分の心は東京タワーの表面積よりも広く、懐の深さは二百海里水域ぎりぎりの水深を越えると自負する方でなければ(少し意味不明)、最後までにこやかではいられないような気がいたしますわ……
 では、どうぞ、最後の試練でございます――……。

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 異なるもの ――後編

 ゼロスは、瞳をまっすぐに宿屋の一室に向けていた。
「――っ……」
 耐えきれなくなったように、彼は唇を噛みしめると姿を消す。
 次の瞬間に、闇色の魔族は少女の室内に立っていた。
(リナ、さん――)
 眠る少女……その寝顔は安らかで。
 昼間に、強烈な存在感を撒き散らしている、生気のかたまりのような輝きは、身体の中に収まっている。
 それは……、彼とは存在の在り方から違うこと。
 魔族にとっては、昼も夜も関係ない。
 昼の太陽も、夜の月も、彼にとってはたいした差違はない。
 しかし、この少女にとっては――……
 彼は瞳をすぅっと開いた。
 白い貌に、闇が浮かぶ。
 ゼロスの指先が、さまようように宙を泳いだ。
 誘われるように、静かにリナに近づいていく。
 吸いつくように、白い指先は少女に触れる。
 その……細い喉に。
 彼は一気に力をかけた。
 ぎりぎりと……絞めつける。
「っ……!」
 リナの身体がびくんっとはねた。
 紅の瞳が開かれる。
 目の前で、ゼロスが首を絞めていることに、驚いて一瞬目が大きくなる。
 しかし、すぐにそれどころではなくなったらしい。
 自らの首を絞める指を、苦しみのあまり力の入らない手で、引き剥がそうとする。 
 それを静かに見据えながら、ゼロスは逆らうようにさらに手に力を込めた。
「――――――……………!」
 声にならない少女の絶叫。
 自らの手の中で、命の灯火がついえる感触を、ゼロスは今までになかったほど、ゆっくり、また生々しく感じる。
 リナの命が、完全に消えた、と思ったその時だった。
 視線が、合った。
 意識のなくなる寸前でも、あくまで生に執着する、輝ける紅の瞳と。
 奥の見えない、底冷えするほどに深い、闇色の瞳が。
 紅と、闇が、夜の中で、見つめ合った。
「……………」
 少女の唇が動く。
 自らの首を絞める相手から、視線を逸らさず、ただ声にならない声で。
 唇の動きだけで、その言葉の意味は、明白だった。
 ――――――ゼロス!
「…………!!」
 彼は耐えきれなくなったように、手を喉から離した。
「……ごほっ、はっ、くはっ……!ごほっ、くっ……かはっ!」
 呼吸が自由になり、涙目になって咳き込むリナを、闇色の魔族は静かに見つめていた。


「ゼロス……」
 先程のことなどなかったような、そんなさりげない表情で、リナは目の前の相手を見つめた。
「もしもあんたがあたしを殺すときがきたなら」
 視線がそらせず、ゼロスはまっすぐに彼女を見返す。
「さっきみたいな方法にして」
「…………。……首を絞めろ、と……?」
「そ。あんたの『手』でね」
 表情と同じく、声も何気ない口調であった。
「らしくないじゃないですか……。甘んじて殺されるおつもりですか?」
「約束してよ」
 ゼロスの問いに答えず、少女は言った。
「……約束して。あんたは……、肝心のことはなんにも言わないし、それ以前に必要最低限の真実しか教えてはくれないわ。でも……約束を破ることはない、嘘をつくことはない、……でしょう?」
 ――あたしはそう思ってるわ。
 まっすぐに自分を見る瞳に、ゼロスは息が出来なかった。
「わかりま……した。お約束いたしましょう」
「ありがと」
 ふわり微笑んだ少女の顔に、狡猾な色が刹那よぎった。
「リナさん……?」
「約束……よ?」
 重ねて念を押すリナ。
「は、はい。約束、します」
「……絶対よ?約束だからね?」
「はい」
 なんだろうと思いながらうなずいた彼に、リナは満面の笑みを浮かべた。 
 あざやかな、――笑み。
「よかったわ――これで、かなり希望がでてきた」
「……はい?」
「約束したものねえ――?」
 勝ち誇ったような、喜色満面の笑顔に、うろたえるゼロス。
「あんた、さっきあたしに甘んじて殺されるつもりかって聞いたわよね」
「は――はい。らしくないな……と」
「ンなわけないでしょ。誰があきらめんのよ」
 ペースを崩されて、ゼロスは不可解なリナの言動に苦しんだ。
「あたしにトドメさすとき、呑気に首絞めてもらった方が、反撃も、抵抗もしやすいでしょうが。いきなり魔力で、遠距離攻撃されたら、たまったもんじゃないわ」
「……はい?」
 黒の魔族はあっけにとられた。
「あたしはあきらめないし、素直に殺されるつもりもないわよ」
「……は……そ……なん……」
 茫然と意味不明のうめきをあげるゼロス。
「でも……まあ、そうでしょうね」
 ややあっと、彼は苦笑を浮かべた。
「あなたがそうやすやすと殺されるわけ、ありませんね」
「当然」
 リナのあざやかな笑み。
 命ある者、滅びを望まぬ者。
 それは――明らかに魔族とは違う存在。
「でも、いきなり約束破んないでよ?わけがわかったからって」
「分かってますよ」
 念を押す少女に、さすが抜かりがない、と苦笑を深くする。
「――いざというときは、僕のこの手で、殺してさしあげましょう」
「さすがにぞっとしないセリフねー……」
「そういう日が来ないことを……、まあ、祈っていてください」
 しれっというゼロスにくすくすリナは笑う。
「あんたもね。お互い面倒事はごめんでしょ?」
「ええ、確かに」
 彼は首をすくめてみせると、にっこり微笑んだ。
「それでは……、さようなら。二度と会わないことを祈ります――。また会えたとしたら、それも楽しいでしょうが」   
「あたしは遠慮するわ。――さ、行くならさっさと行ってちょうだい、あたしもさすがに眠いし」
「僕に気にせず、眠ってしまっても、かまいませんよ?」
「こっちがかまうわよっ!本気か冗談か境目のつかみにくい冗談はやめぃっ!」
「けっこう本気だったんですが――」
「なおさら悪いっ!」
 大声を出してから、時刻に気づきトーンを落とす。
「――って、あんたのペースに巻き込まれてどうするってのよ。ゼロス、あんたどーいうつもり?」
「いや、今度いつ会えるかも分からないわけですから、ちょっと……、いい目を見させていただこうかと」
「は?」
 閉じこめた闇の影。
 目の前に、さっと黒いマントが現れ、穏やかに緩やかに、だが揺るぎない腕が、少女をしっかりと抱きしめる。
「ぜ、ゼロス……?」
 行動の意図がつかめず、戸惑う彼女に、にこにこ笑顔が答えた。
「ちょっとした意趣返しとでも」
 ――なにが?
 問おうとした言葉は、外に出る前に押し戻される。
「―――――……ッ!?」
 目の前で、堂々と彼女の唇を奪った黒の神官の、微笑む顔が、拡大されている。
(な、にぃぃぃ……!?)
「――……ん――くっっ!」
 唇が離れた途端、リナは脱力して座り込んだ。
 へたりこんだまま、ゼロスに抗議する。
「…………。……いきなりなにをするかぁぁぁっ!」
「いや、ですからいい思いをさせていただこうと。ちょっとした意趣返しですってば」
「どっちよっ!」
「どっちも、です」
 笑みを深くして答えると、彼はふわりと宙に浮いた。
「では、また、いつか……」
「会わないことを祈ってるわよ……」
 疲れ切ったリナの声に、笑みを残して消えたゼロスに、彼女は額に手を当てた。
「あったまいた……」
 かすかに頬に感じる熱。
 少女は自分が、うなじまで見事なほど赤くなっていることに、まったく気づかず寝台にその身をすべり込ませる。
「ったく……、なに考えてんだか、ぜんっぜんわかんないわ……」
 憮然とした表情の彼女は、無理矢理脳裏から謎の神官を追い出すと、すこやかな眠りについたのであった……。


 一方、いけしゃーしゃーとリナの唇を奪って、いい思い、意趣返しなどのたもうた魔族殿はというと。
「なにか……ハマったような気が」
 唇に軽く触れて、かなり洒落にならないセリフを吐いていた。
「たかが相手は人間ごとき……」
 つぶやいて、やわらかく微笑む。
「しかし、その人間が人間では――……」
 何しろ彼女は『ただの人間ではない』……。  
 自分の口にした言葉ながら、つくづく真実だと思う。
「とんでもない『約束』させますし……、無邪気に見せかけて、なかなかこずるいことしますしねぇ……」
 くすくす。
 思い出すだけで笑みがこぼれた。
 あの少女は―――……。
 生に執着する命あるもの。
 生きるためにはこざかしい真似もし、したたかに笑んでみせもする。
 おそらく、自分が知っているリナは、彼女の幾分の一にも満たないのであろう。
「だから――良いんですよね」
 人間であろうとも、何であろうとも――、その輝きが、唯一無二であることは事実。
「どんなリナさんでも……僕は大好きですし――ね」
 不覚にも人間に想いを寄せ、それをはっきり自覚しておきながら、上手く自己矛盾にケリを付けてしまった器用な魔族は、くすくすと楽しそうに笑ったのであった――……。



†††††††††††

 ご苦労様でした。
 今これを読まれている方、脱力してなにも気力がないのかもしれませんが……。
 少々、……反響が、怖い……ですわ……。
 ――話題を変えましょう。
 前書きに書きました、『独立した話』のつもりだったエピソードは、ゼロスさんの絞殺達成寸前の行動でございます。
 いや、今考えますに、あのエピソードを、独立して、それだけ書いた場合って――、単にダークなだけだったような気が致しまして。
 途中から、わたくしの得意とする――好きなだけですが――おちゃらけつつもやりたいことはやるゼロスさんと、それに翻弄されつつも頑張るリナさんになったのは、そういう理由からですの。
 ついでにつけ加えますと、首を絞められている時のリナさんの様子って……、こんなものでしょうか。
 やられたことがないので(当然ですけれども)、表現に困りました。
 首絞められているときに、目を開けてられるのかしら、とか……。
 同じことを思った方、甘く見てくださいませ。
 また、この話では、リナさんのゼロスさんに対する思いは謎でございます。
 なにゆえでしょうか。
 答えは、この話は、幾日かかけて書いたものだからですわ。
 最後の辺りでは、最初のガウリイさんとリナさんの、あの酔った二人の会話を、完璧意識から除外していたようですの。
 よくある話ですわよね。おそらく。
 というわけで、誰かがここまで読んで下さっていることを祈りつつ……。 

                                                       庵 瑠嬌でした――……





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5740異なるもの(後編)これが本当ですの、上のは間違い庵 瑠嬌 12/6-22:03
記事番号5739へのコメント

 すいません、間違えたせいで、こうなっています……
 時間がないので、読みにくいでしょうが、このままで勘弁して下さいませ。



>
> 後編でございます。
> ほっほっほっほっほ……。
> 本気でごまかし笑いする事態になるとは思っていませんでしたわ。
> まだまだ自分を分かっていなかったようですわね……。
> これのみに題を付けるならば、『あらまあ、ゼロスさん大暴走』とでもいたしましょうか。
> ごらんになってくだされば分かるでしょうけれど。
> さて、実はこの後編、一つまったく別の、独立した話として使うつもりだったエピソードを、入れてありますの。
> それをいえば、中編のグラウシェラーさま方の会話も、まったく別の話のつもりだったのですが――。
> とにかく、ここまで読んでこられた方、これが終着点でございます。 
> ここまで読みすすめられたのですから、寛大さには自信がおありでしょうが、この後編では……。
> とりあえず、自分の心は東京タワーの表面積よりも広く、懐の深さは二百海里水域ぎりぎりの水深を越えると自負する方でなければ(少し意味不明)、最後までにこやかではいられないような気がいたしますわ……
> では、どうぞ、最後の試練でございます――……。
>
>жжжжжжжжжж
>
>
>
> 異なるもの ――後編
>
> ゼロスは、瞳をまっすぐに宿屋の一室に向けていた。
>「――っ……」
> 耐えきれなくなったように、彼は唇を噛みしめると姿を消す。
> 次の瞬間に、闇色の魔族は少女の室内に立っていた。
>(リナ、さん――)
> 眠る少女……その寝顔は安らかで。
> 昼間に、強烈な存在感を撒き散らしている、生気のかたまりのような輝きは、身体の中に収まっている。
> それは……、彼とは存在の在り方から違うこと。
> 魔族にとっては、昼も夜も関係ない。
> 昼の太陽も、夜の月も、彼にとってはたいした差違はない。
> しかし、この少女にとっては――……
> 彼は瞳をすぅっと開いた。
> 白い貌に、闇が浮かぶ。
> ゼロスの指先が、さまようように宙を泳いだ。
> 誘われるように、静かにリナに近づいていく。
> 吸いつくように、白い指先は少女に触れる。
> その……細い喉に。
> 彼は一気に力をかけた。
> ぎりぎりと……絞めつける。
>「っ……!」
> リナの身体がびくんっとはねた。
> 紅の瞳が開かれる。
> 目の前で、ゼロスが首を絞めていることに、驚いて一瞬目が大きくなる。
> しかし、すぐにそれどころではなくなったらしい。
> 自らの首を絞める指を、苦しみのあまり力の入らない手で、引き剥がそうとする。 
> それを静かに見据えながら、ゼロスは逆らうようにさらに手に力を込めた。
>「――――――……………!」
> 声にならない少女の絶叫。
> 自らの手の中で、命の灯火がついえる感触を、ゼロスは今までになかったほど、ゆっくり、また生々しく感じる。
> リナの命が、完全に消えた、と思ったその時だった。
> 視線が、合った。
> 意識のなくなる寸前でも、あくまで生に執着する、輝ける紅の瞳と。
> 奥の見えない、底冷えするほどに深い、闇色の瞳が。
> 紅と、闇が、夜の中で、見つめ合った。
>「……………」
> 少女の唇が動く。
> 自らの首を絞める相手から、視線を逸らさず、ただ声にならない声で。
> 唇の動きだけで、その言葉の意味は、明白だった。
> ――――――ゼロス!
>「…………!!」
> 彼は耐えきれなくなったように、手を喉から離した。
>「……ごほっ、はっ、くはっ……!ごほっ、くっ……かはっ!」
> 呼吸が自由になり、涙目になって咳き込むリナを、闇色の魔族は静かに見つめていた。
>
>
>「ゼロス……」
> 先程のことなどなかったような、そんなさりげない表情で、リナは目の前の相手を見つめた。
>「もしもあんたがあたしを殺すときがきたなら」
> 視線がそらせず、ゼロスはまっすぐに彼女を見返す。
>「さっきみたいな方法にして」
>「…………。……首を絞めろ、と……?」
>「そ。あんたの『手』でね」
> 表情と同じく、声も何気ない口調であった。
>「らしくないじゃないですか……。甘んじて殺されるおつもりですか?」
>「約束してよ」
> ゼロスの問いに答えず、少女は言った。
>「……約束して。あんたは……、肝心のことはなんにも言わないし、それ以前に必要最低限の真実しか教えてはくれないわ。でも……約束を破ることはない、嘘をつくことはない、……でしょう?」
> ――あたしはそう思ってるわ。
> まっすぐに自分を見る瞳に、ゼロスは息が出来なかった。
>「わかりま……した。お約束いたしましょう」
>「ありがと」
> ふわり微笑んだ少女の顔に、狡猾な色が刹那よぎった。
>「リナさん……?」
>「約束……よ?」
> 重ねて念を押すリナ。
>「は、はい。約束、します」
>「……絶対よ?約束だからね?」
>「はい」
> なんだろうと思いながらうなずいた彼に、リナは満面の笑みを浮かべた。 
> あざやかな、――笑み。
>「よかったわ――これで、かなり希望がでてきた」
>「……はい?」
>「約束したものねえ――?」
> 勝ち誇ったような、喜色満面の笑顔に、うろたえるゼロス。
>「あんた、さっきあたしに甘んじて殺されるつもりかって聞いたわよね」
>「は――はい。らしくないな……と」
>「ンなわけないでしょ。誰があきらめんのよ」
> ペースを崩されて、ゼロスは不可解なリナの言動に苦しんだ。
>「あたしにトドメさすとき、呑気に首絞めてもらった方が、反撃も、抵抗もしやすいでしょうが。いきなり魔力で、遠距離攻撃されたら、たまったもんじゃないわ」
>「……はい?」
> 黒の魔族はあっけにとられた。
>「あたしはあきらめないし、素直に殺されるつもりもないわよ」
>「……は……そ……なん……」
> 茫然と意味不明のうめきをあげるゼロス。
>「でも……まあ、そうでしょうね」
> ややあっと、彼は苦笑を浮かべた。
>「あなたがそうやすやすと殺されるわけ、ありませんね」
>「当然」
> リナのあざやかな笑み。
> 命ある者、滅びを望まぬ者。
> それは――明らかに魔族とは違う存在。
>「でも、いきなり約束破んないでよ?わけがわかったからって」
>「分かってますよ」
> 念を押す少女に、さすが抜かりがない、と苦笑を深くする。
>「――いざというときは、僕のこの手で、殺してさしあげましょう」
>「さすがにぞっとしないセリフねー……」
>「そういう日が来ないことを……、まあ、祈っていてください」
> しれっというゼロスにくすくすリナは笑う。
>「あんたもね。お互い面倒事はごめんでしょ?」
>「ええ、確かに」
> 彼は首をすくめてみせると、にっこり微笑んだ。
>「それでは……、さようなら。二度と会わないことを祈ります――。また会えたとしたら、それも楽しいでしょうが」   
>「あたしは遠慮するわ。――さ、行くならさっさと行ってちょうだい、あたしもさすがに眠いし」
>「僕に気にせず、眠ってしまっても、かまいませんよ?」
>「こっちがかまうわよっ!本気か冗談か境目のつかみにくい冗談はやめぃっ!」
>「けっこう本気だったんですが――」
>「なおさら悪いっ!」
> 大声を出してから、時刻に気づきトーンを落とす。
>「――って、あんたのペースに巻き込まれてどうするってのよ。ゼロス、あんたどーいうつもり?」
>「いや、今度いつ会えるかも分からないわけですから、ちょっと……、いい目を見させていただこうかと」
>「は?」
> 閉じこめた闇の影。
> 目の前に、さっと黒いマントが現れ、穏やかに緩やかに、だが揺るぎない腕が、少女をしっかりと抱きしめる。
>「ぜ、ゼロス……?」
> 行動の意図がつかめず、戸惑う彼女に、にこにこ笑顔が答えた。
>「ちょっとした意趣返しとでも」
> ――なにが?
> 問おうとした言葉は、外に出る前に押し戻される。
>「―――――……ッ!?」
> 目の前で、堂々と彼女の唇を奪った黒の神官の、微笑む顔が、拡大されている。
>(な、にぃぃぃ……!?)
>「――……ん――くっっ!」
> 唇が離れた途端、リナは脱力して座り込んだ。
> へたりこんだまま、ゼロスに抗議する。
>「…………。……いきなりなにをするかぁぁぁっ!」
>「いや、ですからいい思いをさせていただこうと。ちょっとした意趣返しですってば」
>「どっちよっ!」
>「どっちも、です」
> 笑みを深くして答えると、彼はふわりと宙に浮いた。
>「では、また、いつか……」
>「会わないことを祈ってるわよ……」
> 疲れ切ったリナの声に、笑みを残して消えたゼロスに、彼女は額に手を当てた。
>「あったまいた……」
> かすかに頬に感じる熱。
> 少女は自分が、うなじまで見事なほど赤くなっていることに、まったく気づかず寝台にその身をすべり込ませる。
>「ったく……、なに考えてんだか、ぜんっぜんわかんないわ……」
> 憮然とした表情の彼女は、無理矢理脳裏から謎の神官を追い出すと、すこやかな眠りについたのであった……。
>
>
> 一方、いけしゃーしゃーとリナの唇を奪って、いい思い、意趣返しなどのたもうた魔族殿はというと。
>「なにか……ハマったような気が」
> 唇に軽く触れて、かなり洒落にならないセリフを吐いていた。
>「たかが相手は人間ごとき……」
> つぶやいて、やわらかく微笑む。
>「しかし、その人間が人間では――……」
> 何しろ彼女は『ただの人間ではない』……。  
> 自分の口にした言葉ながら、つくづく真実だと思う。
>「とんでもない『約束』させますし……、無邪気に見せかけて、なかなかこずるいことしますしねぇ……」
> くすくす。
> 思い出すだけで笑みがこぼれた。
> あの少女は―――……。
> 生に執着する命あるもの。
> 生きるためにはこざかしい真似もし、したたかに笑んでみせもする。
> おそらく、自分が知っているリナは、彼女の幾分の一にも満たないのであろう。
>「だから――良いんですよね」
> 人間であろうとも、何であろうとも――、その輝きが、唯一無二であることは事実。
>「どんなリナさんでも……僕は大好きですし――ね」
> 不覚にも人間に想いを寄せ、それをはっきり自覚しておきながら、上手く自己矛盾にケリを付けてしまった器用な魔族は、くすくすと楽しそうに笑ったのであった――……。
>
>
>
>†††††††††††
>
> ご苦労様でした。
> 今これを読まれている方、脱力してなにも気力がないのかもしれませんが……。
> 少々、……反響が、怖い……ですわ……。
> ――話題を変えましょう。
> 前書きに書きました、『独立した話』のつもりだったエピソードは、ゼロスさんの絞殺達成寸前の行動でございます。
> いや、今考えますに、あのエピソードを、独立して、それだけ書いた場合って――、単にダークなだけだったような気が致しまして。
> 途中から、わたくしの得意とする――好きなだけですが――おちゃらけつつもやりたいことはやるゼロスさんと、それに翻弄されつつも頑張るリナさんになったのは、そういう理由からですの。
> ついでにつけ加えますと、首を絞められている時のリナさんの様子って……、こんなものでしょうか。
> やられたことがないので(当然ですけれども)、表現に困りました。
> 首絞められているときに、目を開けてられるのかしら、とか……。
> 同じことを思った方、甘く見てくださいませ。
> また、この話では、リナさんのゼロスさんに対する思いは謎でございます。
> なにゆえでしょうか。
> 答えは、この話は、幾日かかけて書いたものだからですわ。
> 最後の辺りでは、最初のガウリイさんとリナさんの、あの酔った二人の会話を、完璧意識から除外していたようですの。
> よくある話ですわよね。おそらく。
> というわけで、誰かがここまで読んで下さっていることを祈りつつ……。 
>
>                                                       庵 瑠嬌でした――……
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5741Re:異なるもの(後編)珠波 雅璃愛 12/7-01:45
記事番号5740へのコメント
庵 瑠嬌さんは No.5740「異なるもの(後編)これが本当ですの、上のは間違い」で書きました。

 
初めまして、珠波 雅璃愛と申します。

 とっても、おもしろかったです。特に、ゼロスが、リナちゃんの首を絞めるところなんてもう・・・・・・・・・・・・・・・・(ごめんなさい、少々暴走しています)


>> ついでにつけ加えますと、首を絞められている時のリナさんの様子って……、こんなものでしょうか。
>> やられたことがないので(当然ですけれども)、表現に困りました。

 ・・・・・やられたこと・・・・・・・あります・・・・・・。この小説ほど、色気はありませんでしたが・・・・少なくとも、視界が白くなるところまで・・・・・・・・・

>> 首絞められているときに、目を開けてられるのかしら、とか……。

 一応あけていられますよ、(で、途中で視界が白くなる、と)。ただ、絞められた場所にもよりますが、たいてい声は、出そうにも出せません。出すより先に、意識が呼吸の確保に向いてしまうし、押さえられるのが、喉ですからねぇ・・・・・・・。と、なんかとっても変なこと書いてますねえ、私。

>> というわけで、誰かがここまで読んで下さっていることを祈りつつ……。 

 とってもとっても素敵でした。

 というわけで、本当に変な感想ですみません。

                     12/27 珠波 雅璃愛

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5759ありがとうございます!庵 瑠嬌 12/12-21:24
記事番号5741へのコメント

 ありがとうございます。
 
 初めまして、珠波 雅璃愛と申します。

 あら、そうでした……?
 一度、もらった記憶があったのですが……。どこか、勘違いでしょうか……。
 でも、ありがとうございます。
 うれしいですわ。
 
>
> とっても、おもしろかったです。特に、ゼロスが、リナちゃんの首を絞めるところなんてもう・・・・・・・・・・・・・・・・(ごめんなさい、少々暴走しています)

 いや、そこ、ダークで、不安だったんですけれど……。
 そうですか、おもしろいですか?
 嬉しいですわ……。
>
>
>> ついでにつけ加えますと、首を絞められている時のリナさんの様子って……、こんなものでしょうか。
>> やられたことがないので(当然ですけれども)、表現に困りました。
>
> ・・・・・やられたこと・・・・・・・あります・・・・・・。この小説ほど、色気はありませんでしたが・・・・少なくとも、視界が白くなるところまで・・・・・・・・・

 あ……あるん、…ですか。……すごいですね。司会がしろい……すごいですわね。
 けれど、わたくしのあの場面、色気ありました?まあまあ。

>
>> 首絞められているときに、目を開けてられるのかしら、とか……。
>
> 一応あけていられますよ、(で、途中で視界が白くなる、と)。ただ、絞められた場所にもよりますが、たいてい声は、出そうにも出せません。出すより先に、意識が呼吸の確保に向いてしまうし、押さえられるのが、喉ですからねぇ・・・・・・・。と、なんかとっても変なこと書いてますねえ、私。

 えーっと……。リアクションに……。
 ……参考になりますわ。ありがとうございます。

>
>> というわけで、誰かがここまで読んで下さっていることを祈りつつ……。 
>
> とってもとっても素敵でした。

 嬉しいですわ、ありがとうございます。

>
> というわけで、本当に変な感想ですみません。

 いいえ、ありがとうございました。
 そればっかりですわね、わたくし。

>
>                     12/27 珠波 雅璃愛

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5745らしい二人ですねぇ(はぁと)T−HOPE E-mail URL12/8-21:55
記事番号5740へのコメント
 こんばんは、T-HOPEです。
 あぁぁ・・・感想書きたいのに時間がないっ。
 ・・・短いのはそのせいです。
 つーことで、さくさく行きます。
 とにかく、まず言いたいことは・・・リナちゃん強し!(笑)
 いーですねぇ。首絞められたの逆手に取っちゃうなんて、素敵です。
 ・・・で・・・それに呆気にとられつつも、やりたいことやっちゃうゼロス君。
 すっごく二人らしいですねぇ。
 いいなぁ・・・二人とも、それらしくって・・・。
 私が書くと、何故か最近二人とも深刻になりすぎるか行きすぎるかで、らしくないんですよ〜(;;)
 まぁ、それは実力不足ということで何処ぞへ放っぽっといて、えぇ、とっても素敵でした。
 また、こういう二人書いて下さいませ〜(^^)
 それでは。

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5760嬉しいですわ……庵 瑠嬌 12/12-21:29
記事番号5745へのコメント


> こんばんは、T-HOPEです。

 こんばんは、わざわざ、ありがとうございます。


> あぁぁ・・・感想書きたいのに時間がないっ。
> ・・・短いのはそのせいです。

 まあ、時間がないのに、ありがとうございます、嬉しいですわ。
 けれど、あまり無理はなさらないように、お気をつけてくださいませ。

> つーことで、さくさく行きます。

 はい、さくさく読みますわ。

> とにかく、まず言いたいことは・・・リナちゃん強し!(笑)
> いーですねぇ。首絞められたの逆手に取っちゃうなんて、素敵です。
> ・・・で・・・それに呆気にとられつつも、やりたいことやっちゃうゼロス君。
> すっごく二人らしいですねぇ。

 リナさん強くしたら、ゼロスさんはさらにやりたいことやるような、強い性格にしなければならない!といった、思いこみがありますわたくしには。

> いいなぁ・・・二人とも、それらしくって・・・。
> 私が書くと、何故か最近二人とも深刻になりすぎるか行きすぎるかで、らしくないんですよ〜(;;)
> まぁ、それは実力不足ということで何処ぞへ放っぽっといて、えぇ、とっても素敵でした。

 いや、わたくしは、深刻になりきれないんですの。
 わたくしも、T-HOPEさんくらい、真剣きわまりない二人を書きたいんですけれど……。

> また、こういう二人書いて下さいませ〜(^^)
 
 えっと、鋭意努力いたします、ありがとうございます……。

> それでは。

 ご苦労様でした。
 なにか大変なようですが、がんばって下さいませ。

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5762ひなたぼっこ庵 瑠嬌 12/12-21:45
記事番号5646へのコメント

 よくもまあ、こんな駄作をぽんぽん書けるものだと言わないで下さい。 
 わたくし、これを書いているとき、楽しかったですわ――くだらないなりに。
 最近とみに調子に乗りつつある庵ですが、感想をいただければ光栄でございます。
 では――どうぞ。

ΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦΦ

 ひなたぼっこ


 小高い丘の上に立つ、大きな木。
 緑の葉を茂らせ、小さな白い花を付けた、一本の木。
 春の風に、枝を揺らせながら、その木はぽつん……と立っている。
 そこでは――、ただ、風だけが、穏やかに吹き抜けていたのだった。
 ――と。
 木のもとに、一人の少女がゆっくり歩いてきた。
 根本で、木を見上げ、軽い驚愕と感嘆の声をもらす。
「近くで見ると、ほんと、おっきいわね――……」
 栗色の髪を、風になびかせ、少女はまっすぐな視線を、木に向けていた。
 ………………。
「ほんと、似てるわ……」 
 少女が思いだしていたのは、故郷の木であった。
 彼女の故郷は、遙か北のゼフィーリア。春の訪れは、かなり遅い。
 だからこそ、少女の生家の近くにあった、その木に花が息づくのを、彼女は楽しみにしていたのだ。
 そんな、少女の優しい記憶の中にある木に、この大樹はよく似ている。
「ふふ……。あったかい」
 少女は、木の幹に手を当て、耳をぎゅっと押しつけて、瞳を閉じた。
 まるで、この木の鼓動を聴きとろうとしているかのように――……。
 

「いませんねぇ……」
 リナを探していたゼロスは、あごに手を当てた。
「宿屋にもいないようですし、ガウリイさんはどこかに出掛けてますし……。
 荷物はちゃんと宿屋にありますから、別にもうこの街を発ったようでもなさそうですし……。
 昨夜、この街の近くで爆音が起こって、山半分がえぐれましたから、間違いなくリナさんはここ付近にいるはずなんですが――……。
 けれど、ここにもいないとなると、……残るは」
 すっと漆黒の瞳が細く開かれる。
「あそこ……ぐらいですかね」
 街から少し離れた丘の、一本だけで立っている木。
「行ってみましょうか……」
 彼は、音もなく姿を消すと、精神世界面を渡った。


 そよぐ風。
 それに合わせて、柔らかい栗色の髪も、優しく揺れる。
 大きな木の根本、彼女は木漏れ日の中で、幸せそうに眠っていた。
「ひなたぼっこでもしている内に、寝ちゃったんでしょうかねぇ……。無邪気な顔しちゃって……」
 あまりにも気持ちよさそうな少女の寝顔に、ゼロスはくすくす笑った。
「本当に、可愛らしい方です」
 抑えきれない笑みを、楽しそうにもらしながら、思わずぽろりと言葉がこぼれる。
「負の感情のプロセス抜きで、食べてしまいたくなりますよ……」
 はっと、自分のつぶやいた言葉に、ますますおかしくなる。
 寝顔だけで、ここまで自分を誘惑させるとは、たいした魅力ではないか。
「こんな無防備なのが、いけないんですよね」
 これ以後の行動を正当化させるかのようにつぶやいて、彼はリナの耳元でささやいた。
「リナさん」
 すぅ……すぅ……すぅ……
 熟睡している。
 寝息で答える彼女に、ゼロスは微苦笑すると、さらにささやいた。
「まったく……。起きないと、キスしちゃいますよ?」
 ……すぅ……すぅ……すぅ……
 それでも目覚めぬ少女に、彼は密やかに、笑った。
 柔らかな髪に、触れる。
 リナの白い額にかかる髪をかき上げ、そこに優しく口づける。
「……んぅ……?」 
 額の感触に少女の眠りはやや浅くなったようである。
 寝返りをうって、彼に背を向ける。
「おやおや……つれない真似を」
 ゼロスは再度リナの額に口づけると、流れるように、そこからす……とこめかみ、頬、そして、唇へと移動させ――。
 ………………………。
 ――少女の目が覚めた。


「……………………………」
 しばし形容しがたい表情で絶句していた少女は、次の瞬間、魂消るような怒りの絶叫でもって、丘全体を揺るがした。
「ゼ………ゼ、ゼロス―――――ッ!」
 すさまじい大音声に、彼は苦笑して耳を押さえる。
「リナさんリナさん、もう少し声を小さくして下さいよ。鼓膜が破れます」
「そう簡単に破れる鼓膜じゃないでしょっ!ゼロス……ッ!あんたって奴はぁ………っ!」
 怒れる彼女の顔は、耳まで真っ赤である。
「いやですねぇ、僕はちゃんと言いましたよ?起きないとキスしちゃいますって」
「寝てたんだからわかるわけないじゃないのっ!人が、人が、ぐっすり熟睡してる隙に、あんたって奴はっ……!」
 大憤激の少女の抗議に、ゼロスはなにか含んだ様子で、リナに微笑みかけた。
「リナさんが怒っているのは、寝てる隙に勝手に僕がキスしたことなんですね?」
「それだけじゃないわよっっ!」
 リナの言葉も意に介さず、彼はさらににっこりと笑みを深めて、彼女に近寄った。
「な……なによ」
 無意識に後ろの幹に背中を押しつけて、ゼロスと距離をとろうとするリナに、楽しそうに言う。
「いまは起きてますからね、問題はありませんよね?」
「あるに決まってるでしょーが――っ!」
「問答無用です☆」
「っ!ゼロッ、……!?」
 ―――以下、フェイドアウト。

                               *

 一時間後。
「あー、リナ。やっと見つけた、そろそろこの街を出よう」 
 ほがらかにそう声をかけてきたガウリイに、リナはなぜか涙目できっと振り返り、
「男なんか、男なんか……」
 ふるふると拳を震わせながら、
「みんなケダモノに違いないのよ――っ!」
 そんな問題発言をかましながら、走り去っていったという……。
 さて、ゼロスは彼女に一体ナニをしたのだろうか?
 

ΘΘΘΘΘΘΘΘΘΘΘ

 『さて、ゼロスは彼女に一体ナニをしたのだろうか?』
 意味深長に思えますかしら、深読みしていただければ嬉しいのですけれど。
 肝心の場面を抜いたのは、書けなかったからですわ。
 ゼロスさんがどこまで無体をはたらくのか――、適当なところがわからなくて。
 様々な想像をしてくださいませ。
 ――さて。
 リナさんは、ゼロスさんに一体ナニをされたんでしょうね……?

                                    庵 瑠嬌でした――……


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5763Re:ひなたぼっこ桜井 12/12-23:33
記事番号5762へのコメント
> よくもまあ、こんな駄作をぽんぽん書けるものだと言わないで下さい。 
はじめまして、桜井といいます。いつも読ませて頂いてます。
(コメントは始めて書きこみしてるので失礼はないかと心配してますが・・)
駄作だなんてとんでもないです。今回もとても楽しく読ませていただきました♪
〜〜〜ゼロリナゼロリナゼロリナですねぇっ!(?、ちょっと違うかもしれないですけど・・些細な事ですよね!!)あぁ!最後のリナの叫びがぁぁぁ〜〜〜。
スペシャルかわいいですぅ♪
次の作品も期待してますねっ!それでは失礼のないうちにコメント書き逃げしちゃいますー!

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5781あ、ありがとうございますっ庵 瑠嬌 12/19-19:00
記事番号5763へのコメント

>> よくもまあ、こんな駄作をぽんぽん書けるものだと言わないで下さい。 
>はじめまして、桜井といいます。いつも読ませて頂いてます。
>(コメントは始めて書きこみしてるので失礼はないかと心配してますが・・)

 いつも読んで……!?
 光栄ですわっ、失礼だなんてとんでもありません!
 初めてだろうがなんだろうが、読んでいただけるだけで嬉しいですっ!
 

>駄作だなんてとんでもないです。今回もとても楽しく読ませていただきました♪

 ありがとうございます、今回は完璧突発的に書いたので、少し不安だったのですが、そういって下さるかたがいらっしゃるなんて、ああ嬉しいですわ……。


>〜〜〜ゼロリナゼロリナゼロリナですねぇっ!(?、ちょっと違うかもしれないですけど・・些細な事ですよね!!)あぁ!最後のリナの叫びがぁぁぁ〜〜〜。
>スペシャルかわいいですぅ♪

 あのセリフ……ちょっとばかり、まずいかしらーなんて思いもしたのですけれど……。
 調子に乗った庵に怖いものはありませんわ!


>次の作品も期待してますねっ!それでは失礼のないうちにコメント書き逃げしちゃいますー!

 わざわざありがとうございました、これからも読んでいただければ嬉しいですっ。

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5765“獣”神官ですものね(^^)T−HOPE E-mail URL12/13-11:14
記事番号5762へのコメント
 こんにちは、T-HOPEです。

> よくもまあ、こんな駄作をぽんぽん書けるものだと言わないで下さい。 
> わたくし、これを書いているとき、楽しかったですわ――くだらないなりに。
> 最近とみに調子に乗りつつある庵ですが、感想をいただければ光栄でございます。

 あの・・・これが駄作だと・・・? しくしく・・・ならば、私はいったいどーすればっ?
 と、穴の底深く埋まるのは後にして、感想・・・ですね(笑)
 私も読んでて、楽しかったです〜(^^)

>「ふふ……。あったかい」
> 少女は、木の幹に手を当て、耳をぎゅっと押しつけて、瞳を閉じた。
> まるで、この木の鼓動を聴きとろうとしているかのように――……。

 あぁぁぁ・・・リナちゃん可愛い〜っっっ(・・・暫く壊れてますんで、お待ち下さい(^^;)
 ・・・・・・えぇ、とにかく可愛いです。リナちゃんの無邪気な面が・・・(再び壊れ・・・(^^;)

> 昨夜、この街の近くで爆音が起こって、山半分がえぐれましたから、間違いなくリナさんはここ付近にいるはずなんですが――……。

 異常現象=リナちゃん、ですか?(笑)
 まぁ、確かに、確率高そうですが・・・。

> そよぐ風。
> それに合わせて、柔らかい栗色の髪も、優しく揺れる。
> 大きな木の根本、彼女は木漏れ日の中で、幸せそうに眠っていた。

 あぁぁぁぁ・・・またまた可愛い〜〜〜っっっ。
 リナちゃんって、眠ってる時と起きてる時だと、結構印象違いそうですしねぇ。
 眠ってる時は、きっと無邪気で愛らしくって、とってもとっても可愛いのではないかと・・・(既に修復は不可能(^^;)

>「ひなたぼっこでもしている内に、寝ちゃったんでしょうかねぇ……。無邪気な顔しちゃって……」
> あまりにも気持ちよさそうな少女の寝顔に、ゼロスはくすくす笑った。
>「本当に、可愛らしい方です」
> 抑えきれない笑みを、楽しそうにもらしながら、思わずぽろりと言葉がこぼれる。
>「負の感情のプロセス抜きで、食べてしまいたくなりますよ……」

 確かにっ(と、判ってしまいそうな自分が、ちょっと怖いぞ(^^;)

> はっと、自分のつぶやいた言葉に、ますますおかしくなる。
> 寝顔だけで、ここまで自分を誘惑させるとは、たいした魅力ではないか。

 だって、リナちゃんですものね(^^)

>「こんな無防備なのが、いけないんですよね」
> これ以後の行動を正当化させるかのようにつぶやいて、彼はリナの耳元でささやいた。

 ・・・でもって、これは、ゼロス君だから・・・?(^^;)

>「リナさん」
> すぅ……すぅ……すぅ……
> 熟睡している。
> 寝息で答える彼女に、ゼロスは微苦笑すると、さらにささやいた。
>「まったく……。起きないと、キスしちゃいますよ?」

 うきゅ〜〜〜"へ(>ヮ<)ノ''

> ……すぅ……すぅ……すぅ……
> それでも目覚めぬ少女に、彼は密やかに、笑った。
> 柔らかな髪に、触れる。
> リナの白い額にかかる髪をかき上げ、そこに優しく口づける。
>「……んぅ……?」 
> 額の感触に少女の眠りはやや浅くなったようである。
> 寝返りをうって、彼に背を向ける。
>「おやおや……つれない真似を」
> ゼロスは再度リナの額に口づけると、流れるように、そこからす……とこめかみ、頬、そして、唇へと移動させ――。

 完璧、寝込み襲ってますねぇ(笑)
 まぁ、ゼロス君ですし・・・(で、片付けるか(^^;)
 甘くてもぉ・・・半分頭イッてますんで・・・(死)

>「……………………………」
> しばし形容しがたい表情で絶句していた少女は、次の瞬間、魂消るような怒りの絶叫でもって、丘全体を揺るがした。
>「ゼ………ゼ、ゼロス―――――ッ!」
> すさまじい大音声に、彼は苦笑して耳を押さえる。
>「リナさんリナさん、もう少し声を小さくして下さいよ。鼓膜が破れます」
>「そう簡単に破れる鼓膜じゃないでしょっ!ゼロス……ッ!あんたって奴はぁ………っ!」

 いやぁ、リナちゃん怒ってますねぇ(当然?(笑)
 にしても・・・「そう簡単に破れる鼓膜じゃない」って、それ以前の問題では・・・(笑)

> 大憤激の少女の抗議に、ゼロスはなにか含んだ様子で、リナに微笑みかけた。
>「リナさんが怒っているのは、寝てる隙に勝手に僕がキスしたことなんですね?」
>「それだけじゃないわよっっ!」
> リナの言葉も意に介さず、彼はさらににっこりと笑みを深めて、彼女に近寄った。
>「な……なによ」
> 無意識に後ろの幹に背中を押しつけて、ゼロスと距離をとろうとするリナに、楽しそうに言う。
>「いまは起きてますからね、問題はありませんよね?」

 そうきますか・・・・・・(爆笑)

>「あるに決まってるでしょーが――っ!」
>「問答無用です☆」
>「っ!ゼロッ、……!?」
> ―――以下、フェイドアウト。

 い、いったい何が・・・・・・?(笑)
 ・・・深くは追求しませんけど・・・(^^;)

> 一時間後。
>「あー、リナ。やっと見つけた、そろそろこの街を出よう」 
> ほがらかにそう声をかけてきたガウリイに、リナはなぜか涙目できっと振り返り、
>「男なんか、男なんか……」
> ふるふると拳を震わせながら、
>「みんなケダモノに違いないのよ――っ!」
> そんな問題発言をかましながら、走り去っていったという……。
> さて、ゼロスは彼女に一体ナニをしたのだろうか?

 ナニしたんでしょうねぇ(笑)
 でも、これだとガウリィ、結構お気の毒? まぁ、それはそれとして・・・(^^;)
 ・・・もっとも、ゼロス君は「魔族」であって、「男」では・・・やることは同じかな?(爆死)

> 『さて、ゼロスは彼女に一体ナニをしたのだろうか?』
> 意味深長に思えますかしら、深読みしていただければ嬉しいのですけれど。
> 肝心の場面を抜いたのは、書けなかったからですわ。
> ゼロスさんがどこまで無体をはたらくのか――、適当なところがわからなくて。
> 様々な想像をしてくださいませ。
> ――さて。
> リナさんは、ゼロスさんに一体ナニをされたんでしょうね……?

 妄想の余地を残して下さったんですね(笑)
 しかし・・・何処まで、なんでしょうねぇ(^^;)
 制限時間、1時間・・・・・・(爆)
 ま、ゼロス君ってば、獣神官ですし・・・ケダモノで当然?(^^;;;
 ともあれ、とっっっても楽しませていただきました〜(^^)

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5782このタイトル、笑いましたわ庵 瑠嬌 12/19-19:18
記事番号5765へのコメント


> こんにちは、T-HOPEです。
 こんにちは。楽しいタイトルですわね。


>
>> よくもまあ、こんな駄作をぽんぽん書けるものだと言わないで下さい。 
>> わたくし、これを書いているとき、楽しかったですわ――くだらないなりに。
>> 最近とみに調子に乗りつつある庵ですが、感想をいただければ光栄でございます。
>
> あの・・・これが駄作だと・・・? しくしく・・・ならば、私はいったいどーすればっ?
> と、穴の底深く埋まるのは後にして、感想・・・ですね(笑)
> 私も読んでて、楽しかったです〜(^^)

 大丈夫ですわ、T-HOPE様は、お話をどしどし書いて下さっていれば完璧ですわっ!
 感想、いつもありがとうございますっ!
 
>
>>「ふふ……。あったかい」
>> 少女は、木の幹に手を当て、耳をぎゅっと押しつけて、瞳を閉じた。
>> まるで、この木の鼓動を聴きとろうとしているかのように――……。
>
> あぁぁぁ・・・リナちゃん可愛い〜っっっ(・・・暫く壊れてますんで、お待ち下さい(^^;)
> ・・・・・・えぇ、とにかく可愛いです。リナちゃんの無邪気な面が・・・(再び壊れ・・・(^^;)

 リナさんはなんていっても、無防備無邪気、プラス、鈍感……なんですのっ。
 どんっどん、壊れて下さいませっ。


>
>> 昨夜、この街の近くで爆音が起こって、山半分がえぐれましたから、間違いなくリナさんはここ付近にいるはずなんですが――……。
>
> 異常現象=リナちゃん、ですか?(笑)
> まぁ、確かに、確率高そうですが・・・。

 そうでしょう?
 だいたい、もともと山を壊せる方なんて、めったにいらっしゃいませんわよっ!

>
>> そよぐ風。
>> それに合わせて、柔らかい栗色の髪も、優しく揺れる。
>> 大きな木の根本、彼女は木漏れ日の中で、幸せそうに眠っていた。
>
> あぁぁぁぁ・・・またまた可愛い〜〜〜っっっ。
> リナちゃんって、眠ってる時と起きてる時だと、結構印象違いそうですしねぇ。
> 眠ってる時は、きっと無邪気で愛らしくって、とってもとっても可愛いのではないかと・・・(既に修復は不可能(^^;)

 修復の必要なしですわっ!
 T-HOPE様のおっしゃるとおり、リナさんは、起きているときも可愛いですけれど、寝ているときも、また可愛い方ですわっ!
 実は今回、リナさんの描写に、もっとも気を使いましたの。


>
>>「ひなたぼっこでもしている内に、寝ちゃったんでしょうかねぇ……。無邪気な顔しちゃって……」
>> あまりにも気持ちよさそうな少女の寝顔に、ゼロスはくすくす笑った。
>>「本当に、可愛らしい方です」
>> 抑えきれない笑みを、楽しそうにもらしながら、思わずぽろりと言葉がこぼれる。
>>「負の感情のプロセス抜きで、食べてしまいたくなりますよ……」
>
> 確かにっ(と、判ってしまいそうな自分が、ちょっと怖いぞ(^^;)

 このセリフを使いたいがために、この話を書いたと行っても過言ではございません。
 可愛いですものねーリナさん。

>
>> はっと、自分のつぶやいた言葉に、ますますおかしくなる。
>> 寝顔だけで、ここまで自分を誘惑させるとは、たいした魅力ではないか。
>
> だって、リナちゃんですものね(^^)

 その一言で、全てが説明されますわ。

>
>>「こんな無防備なのが、いけないんですよね」
>> これ以後の行動を正当化させるかのようにつぶやいて、彼はリナの耳元でささやいた。
>
> ・・・でもって、これは、ゼロス君だから・・・?(^^;) 

 魔族さんですし。
 わたくしが書くゼロスさんですし(笑)。 

>
>>「リナさん」
>> すぅ……すぅ……すぅ……
>> 熟睡している。
>> 寝息で答える彼女に、ゼロスは微苦笑すると、さらにささやいた。
>>「まったく……。起きないと、キスしちゃいますよ?」
>
> うきゅ〜〜〜"へ(>ヮ<)ノ''

 どうなさいましたT-HOPEさんっ!
 そういう過剰な反応をしていただけて、本望でございますわっ!
 
>
>> ……すぅ……すぅ……すぅ……
>> それでも目覚めぬ少女に、彼は密やかに、笑った。
>> 柔らかな髪に、触れる。
>> リナの白い額にかかる髪をかき上げ、そこに優しく口づける。
>>「……んぅ……?」 
>> 額の感触に少女の眠りはやや浅くなったようである。
>> 寝返りをうって、彼に背を向ける。
>>「おやおや……つれない真似を」
>> ゼロスは再度リナの額に口づけると、流れるように、そこからす……とこめかみ、頬、そして、唇へと移動させ――。
>
> 完璧、寝込み襲ってますねぇ(笑)
> まぁ、ゼロス君ですし・・・(で、片付けるか(^^;)
> 甘くてもぉ・・・半分頭イッてますんで・・・(死)

 寝ている隙に……ですから、確かに寝込み襲ってますわねえ……。
 まぁ、ゼロスさんですもの。そうです、それで全ては片づきますわ。
 甘甘ゼロリナ、わたくしの大好きなジャンルですの♪
 

>
>>「……………………………」
>> しばし形容しがたい表情で絶句していた少女は、次の瞬間、魂消るような怒りの絶叫でもって、丘全体を揺るがした。
>>「ゼ………ゼ、ゼロス―――――ッ!」
>> すさまじい大音声に、彼は苦笑して耳を押さえる。
>>「リナさんリナさん、もう少し声を小さくして下さいよ。鼓膜が破れます」
>>「そう簡単に破れる鼓膜じゃないでしょっ!ゼロス……ッ!あんたって奴はぁ………っ!」
>
> いやぁ、リナちゃん怒ってますねぇ(当然?(笑)
> にしても・・・「そう簡単に破れる鼓膜じゃない」って、それ以前の問題では・・・(笑)

 怒れるリナさん、余裕で受け流すゼロスさん。
 そういうものでございます。
 けれど……、ツッコミするどいですわねぇ、確かにそれ以前の問題かも知れませんわ……ほほほほほ。



>
>> 大憤激の少女の抗議に、ゼロスはなにか含んだ様子で、リナに微笑みかけた。
>>「リナさんが怒っているのは、寝てる隙に勝手に僕がキスしたことなんですね?」
>>「それだけじゃないわよっっ!」
>> リナの言葉も意に介さず、彼はさらににっこりと笑みを深めて、彼女に近寄った。
>>「な……なによ」
>> 無意識に後ろの幹に背中を押しつけて、ゼロスと距離をとろうとするリナに、楽しそうに言う。
>>「いまは起きてますからね、問題はありませんよね?」
>
> そうきますか・・・・・・(爆笑)

 なんでも理屈つけちゃいますわ。
 おっそろしい男ですわね。
 あ、でも、魔族ですし。
 
>
>>「あるに決まってるでしょーが――っ!」
>>「問答無用です☆」
>>「っ!ゼロッ、……!?」
>> ―――以下、フェイドアウト。
>
> い、いったい何が・・・・・・?(笑)
> ・・・深くは追求しませんけど・・・(^^;)

 いや、実は書けなかったからなんですけれど。
 想像して下さいませ、わたくしには、ちょっと……限界がありますから。
 ……さりげなく健全少女であることを主張してますわねーわたくし。こんなものを書いておいて(笑)。

>
>> 一時間後。
>>「あー、リナ。やっと見つけた、そろそろこの街を出よう」 
>> ほがらかにそう声をかけてきたガウリイに、リナはなぜか涙目できっと振り返り、
>>「男なんか、男なんか……」
>> ふるふると拳を震わせながら、
>>「みんなケダモノに違いないのよ――っ!」
>> そんな問題発言をかましながら、走り去っていったという……。
>> さて、ゼロスは彼女に一体ナニをしたのだろうか?
>
> ナニしたんでしょうねぇ(笑)
> でも、これだとガウリィ、結構お気の毒? まぁ、それはそれとして・・・(^^;)
> ・・・もっとも、ゼロス君は「魔族」であって、「男」では・・・やることは同じかな?(爆死)

 そうですわよ。
 だって、T-HOPEさんのお話では、お子さんまでできてしまったではありませんか。
 けれど、どこまでゼロスさんがしたのかは……想像にお任せします。


>
>> 『さて、ゼロスは彼女に一体ナニをしたのだろうか?』
>> 意味深長に思えますかしら、深読みしていただければ嬉しいのですけれど。
>> 肝心の場面を抜いたのは、書けなかったからですわ。
>> ゼロスさんがどこまで無体をはたらくのか――、適当なところがわからなくて。
>> 様々な想像をしてくださいませ。
>> ――さて。
>> リナさんは、ゼロスさんに一体ナニをされたんでしょうね……?
>
> 妄想の余地を残して下さったんですね(笑)
> しかし・・・何処まで、なんでしょうねぇ(^^;)
> 制限時間、1時間・・・・・・(爆)
> ま、ゼロス君ってば、獣神官ですし・・・ケダモノで当然?(^^;;;
> ともあれ、とっっっても楽しませていただきました〜(^^)

 一時間で、どの程度出来るんでしょうね……?
 これを、次の日、なんかにしてしまったら、もう、おしまいですわね。
 まあ恐ろしい。

 ありがとうございました。
 T-HOPEさんも、頑張って下さいませっ。
 卒論大変だと聞きますけれどっ。




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5776Re:ひなたぼっこ みさと 12/17-08:20
記事番号5762へのコメント

 お久しぶりでございますぅ。パソコンがあきましたのでお邪魔させていただきま
  
 したら、庵様の新作がたくさん(はぁと) う、嬉しい。

 庵様の書かれるゼロス君積極的で良いですわー。これからもこの調子でどんどこ

 とリナちゃんにせまってほしいです。今回はいけるとこまでいっちゃったんで

 しょうか?深読みさせていただいちゃいました(笑)

 これからも庵様の書かれるゼロxリナ楽しみにしてますので、どうか頑張って下

 さいませ(はぁと) 

 

 
   

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5783嬉しいお言葉ですわ!庵 瑠嬌 12/19-19:23
記事番号5776へのコメント
>
> お久しぶりでございますぅ。パソコンがあきましたのでお邪魔させていただきま
>  
> したら、庵様の新作がたくさん(はぁと) う、嬉しい。

 本当にお久しぶりですわね。
 パソコン、いつもどなたかがお使いになっていらっしゃるんですか。
 けれど……、あの、庵『様』はやめて下さいませ、そんな上等な話書いておりませんし……、そんなえらい人間ではございませんからわたくし。
 恐縮してしまいますわ。

>
> 庵様の書かれるゼロス君積極的で良いですわー。これからもこの調子でどんどこ
>
> とリナちゃんにせまってほしいです。今回はいけるとこまでいっちゃったんで
>
> しょうか?深読みさせていただいちゃいました(笑)

 今回のコンセプトは、『深読みして下さいませ』ですから。
 いくらでも、深読み可、ですわ。
 ただし、制限時間は一時間ですわよ?

>
> これからも庵様の書かれるゼロxリナ楽しみにしてますので、どうか頑張って下
>
> さいませ(はぁと) 
>
 みさとさん……、あなたはなんて甘いお方。
 そうやってわたくしを調子に乗らせて、つけあがらせて……、どうなってもよろしいんですの? 

 さて、本当にありがとうございました。
 わたくし、読んでいる間、ずっと舞い上がったり赤くなったり、実に忙しかったですわ(笑)。