◆-金色の巫女〜開眼編・1-M(10/17-00:23)No.5380
 ┣Re:金色の巫女〜開眼編・1-あーり(10/18-15:15)No.5403
 ┃┗Re:金色の巫女〜開眼編・1-M(10/19-00:11)No.5410
 ┣Re:金色の巫女〜開眼編・1-ティーゲル(10/18-15:54)No.5404
 ┃┗Re:金色の巫女〜開眼編・1-M(10/19-00:19)No.5411
 ┗Re:金色の巫女〜開眼編・1-M(10/20-00:02)No.5420
  ┗金色の巫女〜開眼編・3-M(10/21-01:17)No.5435
   ┣Re:金色の巫女〜開眼編・3-あーり(10/24-13:59)No.5464
   ┃┗Re:金色の巫女〜開眼編・3-M(10/25-03:01)No.5470
   ┣コメントです-Milk(10/29-07:38)No.5487
   ┃┗Re:コメントです-M(10/30-00:13)No.5493
   ┗金色の巫女〜開眼編・4-M(11/6-18:15)No.5554


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5380金色の巫女〜開眼編・1E-mail URL10/17-00:23

お久しぶり@Mです。
最近、一部の方から「続きはどした!?」と言うツッコミ<ってほど過激じゃないでし>が入るようになりました。
それ自体は自業自得なので構いませんが、忙しいからって後回しにしてると怒られそうなので。
フォローはいります!<おひ(^^;
と言うわけで、すでに書き始めてはいましたが。
「金色の巫女」シリーズ最新版「開眼編」
開幕致します。

-------------------------------------

金色の巫女〜開眼編

 0

 ただ、乾いた風だけが吹いていた。
 マントをなびかせ、眼下を見下ろすものの。その先を思うと心が痛む。
「心配してるのか、リナ」
 あたしの側。恐らく、世界で唯一背中を任せられる人間。
 自称保護者にして、剣の腕は超一流。ただし、頭の中は限りなく限りなくゼロに等しい。脳味噌の代わりにキクラゲの詰まった美形剣士。
 ガウリイが言う。
 あたしの側には、今は彼しかいない。
「そりゃあね。何たって、相手が相手だもの。心配するなって言うのは無理な話じゃない?
 あたしだって、頑張りたいわよ。ただじゃ、やられたくないもの。
 だけど、戻って、避けることは出来ないから……もう」
 眼下にあるのは、ただ。闇がわだかまるばかり。
 今からそこへ行くのだと思うと、吐き気さえしてくる。
 でも、あたしはまだいい。でも、ガウリイはもっと辛い筈なのに。
「心配して、何かあるのか?」
 笑うのだ。ガウリイは。
 なんでもない事の様に、いつもの様に。
 あたしは。
「そりゃ……まあ、いいか」
 あたしは、何度この笑顔に助けられてきたと言うのだろう。
 不思議な話だけど、それまであった恐れも。
 わだかまりさえ、溶けて消えて行く。でも、それを心から安心する事が出来る。
「生きて帰るんだろう?」
「そりゃあね!」
 ガウリイの背中を叩いて、あたしは笑う。
 本当ならば、ガウリイ一人だけでも残っていてくれて良かったのだ。
 けれど、ガウリイはここにいてくれる。
 気持ちだけで、本当は嬉しかった。
 来る必要なんてなかったのに。それでも、ガウリイは来てくれたのだ。
「幾ら、何でも。長いこと離れていたら忘れられちゃうもの。
 きっちり戦って、ばっちり勝って。絶対、笑って帰ってやるわ!」
「そうだな」
 微笑んだガウリイが、あたしの肩を抱く。
 知らず、どうやら震えていたらしい。
「リナさん。皆さんは安全な所に……と、お邪魔だったようですね」
 黒衣の神官。
 魔王を源とし、本来はあたし達「生を望む者」すべての敵となるべきだが。
 現在の彼と言えば、言い方が悪ければ。あたしの配下となっている。
「いいわ、今更。
 その代わりってわけじゃないけど頼みが……って、何よ。その顔」
 なぜか、ムショーにイヤそうな顔をしている。
 とは言え、このゼロス。元来の顔の作りが笑顔の為か、そうは見えないんだけど。
「だって、リナさんのお願いって大抵ロクな事になりませんからねえ。
 いい加減、イヤにもなりますよ」
 本質が魔族のくせに、一人っ子だからなのか根性のない奴である。
 まあ、魔族だから。と言う見方もあるわけだが。
「大丈夫よ。『契約』を守ってもらうだけだから。
 その代わり、あんたは来なくてもいいわ。どっちにしても、あんたに出来る事なんてないでしょうし」
 史実に残る実力を持っている。それを知っている以上、本当ならば来て欲しいのが本音だが。
 ゼロスが魔族である以上、それは出来ない相談でもあるのだ。
「俺からも頼む」
 今のあたし達は、世界よりも大切なものがある。
 だから。
「判りました。ガウリイさんにまで言われてしまっては仕方ありませんね。断る理由もありませんし。
 ところで……本当によろしいんですか?」
 いいって、何が?
 今の状態を言っていると言うなら。それは自分で選んだ事だ。
 後悔する日が、来ないとは言えないけれど。
 だけど、少なくとも『今』は後悔していない。
 勿論、今の状態が有利だとは……思わないけど。
「アメリアさんとゼルガディスさんの事ですよ。
 きっと、後ほど大騒ぎですよ?」
「ああ、その事……。
 いいのよ。これは、あたし達の戦いだもの。
 無関係……とは言わないけど、アメリアやゼルの手に負える問題でもないわ」
 その分野では超一流の実力を誇る、二人。
 白魔術と格闘の使い手。アメリア。
 精霊魔術と剣術の使い手。ゼルガディス。
 でも、それはあくまで人間の分野での話であって。これからの戦いには、何の関係もない上に役にも立たない。
 残酷だけど、それは本当の事だから。
 それに、二人にはやってもらわなくてはならない事もある。ここで、戦いに巻き込まれてもらうわけには行かない。
 そのあたりのフォローも、一応ゼロスには頼んである。
「戻ってきたら、怒られてあげるわ。幾らでもね……。
 ちょっと怖いけど」
 あたしの額に、冷や汗が流れる。
 ガウリイにも、そしてゼロスにも。
 でも、実際問題として。
 もしも二人が、何の制約も持たずに全力で戦いを挑んできたりしたとすれば。
 真面目な話、結構シャレにならない情況にならない可能性は高いが。
「確かに伝えて置きます。『契約』がある限り、僕はリナさんの味方でいますから。どうぞご心配なく。
 リナさんとガウリイさんが、お帰りになる時まで。大切にお預かりします」
 それはそれとして、心配の種がつきないわけではないが。
 しかし、そんな些細にして大問題な事さえも。追求している時間はない。
「じゃあな、ゼロス」
「バイ、ゼロス」
 あたし達は、決して振り向かなかった。だから、ゼロスがどんな顔をしていたのかは知らない。
「ごきげんよう、リナさん。ガウリイさん」
 そして、ゼロスが何を思っていたのかも。
 もしかしたら、あたしのやろうとしている事。やってきた事のすべては、本当はいけない事なのかも知れない。
 踏み込んではいけない領域。出来てはいけない事実。
 けれど。
「とっとと帰ろうな。皆、待ってる」
「……うん」
 一人じゃない。
 ガウリイがいる。
 だから、あたしは踏み出せる。 


 1に続く


---------------------------------------

こう言っては何ですが。
僕はキャラが幸せになってくれないとイヤな人種です。
だから、彼らにも「イヤ」でも幸せになってもらいます。
さあ、覚悟しなさい!<って、誰に言ってるんだ?
絶対に、悲哀とか憎悪なんかで終わらせないんだから!<誰にいってるんだよ・・・

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5403Re:金色の巫女〜開眼編・1あーり E-mail 10/18-15:15
記事番号5380へのコメント
Mさんは No.5380「金色の巫女〜開眼編・1」で書きました。
>お久しぶり@Mです。
>最近、一部の方から「続きはどした!?」と言うツッコミ<ってほど過激じゃないでし>が入るようになりました。
>それ自体は自業自得なので構いませんが、忙しいからって後回しにしてると怒られそうなので。
>フォローはいります!<おひ(^^;
>と言うわけで、すでに書き始めてはいましたが。
>「金色の巫女」シリーズ最新版「開眼編」
>開幕致します。
>
>-------------------------------------
>
>金色の巫女〜開眼編
>
> 0
>
> ただ、乾いた風だけが吹いていた。
> マントをなびかせ、眼下を見下ろすものの。その先を思うと心が痛む。
>「心配してるのか、リナ」
> あたしの側。恐らく、世界で唯一背中を任せられる人間。
> 自称保護者にして、剣の腕は超一流。ただし、頭の中は限りなく限りなくゼロに等しい。脳味噌の代わりにキクラゲの詰まった美形剣士。
> ガウリイが言う。
> あたしの側には、今は彼しかいない。
>「そりゃあね。何たって、相手が相手だもの。心配するなって言うのは無理な話じゃない?
> あたしだって、頑張りたいわよ。ただじゃ、やられたくないもの。
> だけど、戻って、避けることは出来ないから……もう」
> 眼下にあるのは、ただ。闇がわだかまるばかり。
> 今からそこへ行くのだと思うと、吐き気さえしてくる。
> でも、あたしはまだいい。でも、ガウリイはもっと辛い筈なのに。
>「心配して、何かあるのか?」
> 笑うのだ。ガウリイは。
> なんでもない事の様に、いつもの様に。
> あたしは。
>「そりゃ……まあ、いいか」
> あたしは、何度この笑顔に助けられてきたと言うのだろう。
> 不思議な話だけど、それまであった恐れも。
> わだかまりさえ、溶けて消えて行く。でも、それを心から安心する事が出来る。
>「生きて帰るんだろう?」
>「そりゃあね!」
> ガウリイの背中を叩いて、あたしは笑う。
> 本当ならば、ガウリイ一人だけでも残っていてくれて良かったのだ。
> けれど、ガウリイはここにいてくれる。
> 気持ちだけで、本当は嬉しかった。
> 来る必要なんてなかったのに。それでも、ガウリイは来てくれたのだ。
>「幾ら、何でも。長いこと離れていたら忘れられちゃうもの。
> きっちり戦って、ばっちり勝って。絶対、笑って帰ってやるわ!」
>「そうだな」
> 微笑んだガウリイが、あたしの肩を抱く。
> 知らず、どうやら震えていたらしい。
>「リナさん。皆さんは安全な所に……と、お邪魔だったようですね」
> 黒衣の神官。
> 魔王を源とし、本来はあたし達「生を望む者」すべての敵となるべきだが。
> 現在の彼と言えば、言い方が悪ければ。あたしの配下となっている。
>「いいわ、今更。
> その代わりってわけじゃないけど頼みが……って、何よ。その顔」
> なぜか、ムショーにイヤそうな顔をしている。
> とは言え、このゼロス。元来の顔の作りが笑顔の為か、そうは見えないんだけど。
>「だって、リナさんのお願いって大抵ロクな事になりませんからねえ。
> いい加減、イヤにもなりますよ」
> 本質が魔族のくせに、一人っ子だからなのか根性のない奴である。
> まあ、魔族だから。と言う見方もあるわけだが。
>「大丈夫よ。『契約』を守ってもらうだけだから。
> その代わり、あんたは来なくてもいいわ。どっちにしても、あんたに出来る事なんてないでしょうし」
> 史実に残る実力を持っている。それを知っている以上、本当ならば来て欲しいのが本音だが。
> ゼロスが魔族である以上、それは出来ない相談でもあるのだ。
>「俺からも頼む」
> 今のあたし達は、世界よりも大切なものがある。
> だから。
>「判りました。ガウリイさんにまで言われてしまっては仕方ありませんね。断る理由もありませんし。
> ところで……本当によろしいんですか?」
> いいって、何が?
> 今の状態を言っていると言うなら。それは自分で選んだ事だ。
> 後悔する日が、来ないとは言えないけれど。
> だけど、少なくとも『今』は後悔していない。
> 勿論、今の状態が有利だとは……思わないけど。
>「アメリアさんとゼルガディスさんの事ですよ。
> きっと、後ほど大騒ぎですよ?」
>「ああ、その事……。
> いいのよ。これは、あたし達の戦いだもの。
> 無関係……とは言わないけど、アメリアやゼルの手に負える問題でもないわ」
> その分野では超一流の実力を誇る、二人。
> 白魔術と格闘の使い手。アメリア。
> 精霊魔術と剣術の使い手。ゼルガディス。
> でも、それはあくまで人間の分野での話であって。これからの戦いには、何の関係もない上に役にも立たない。
> 残酷だけど、それは本当の事だから。
> それに、二人にはやってもらわなくてはならない事もある。ここで、戦いに巻き込まれてもらうわけには行かない。
> そのあたりのフォローも、一応ゼロスには頼んである。
>「戻ってきたら、怒られてあげるわ。幾らでもね……。
> ちょっと怖いけど」
> あたしの額に、冷や汗が流れる。
> ガウリイにも、そしてゼロスにも。
> でも、実際問題として。
> もしも二人が、何の制約も持たずに全力で戦いを挑んできたりしたとすれば。
> 真面目な話、結構シャレにならない情況にならない可能性は高いが。
>「確かに伝えて置きます。『契約』がある限り、僕はリナさんの味方でいますから。どうぞご心配なく。
> リナさんとガウリイさんが、お帰りになる時まで。大切にお預かりします」
> それはそれとして、心配の種がつきないわけではないが。
> しかし、そんな些細にして大問題な事さえも。追求している時間はない。
>「じゃあな、ゼロス」
>「バイ、ゼロス」
> あたし達は、決して振り向かなかった。だから、ゼロスがどんな顔をしていたのかは知らない。
>「ごきげんよう、リナさん。ガウリイさん」
> そして、ゼロスが何を思っていたのかも。
> もしかしたら、あたしのやろうとしている事。やってきた事のすべては、本当はいけない事なのかも知れない。
> 踏み込んではいけない領域。出来てはいけない事実。
> けれど。
>「とっとと帰ろうな。皆、待ってる」
>「……うん」
> 一人じゃない。
> ガウリイがいる。
> だから、あたしは踏み出せる。 
>
>
> 1に続く
>
>
>---------------------------------------
>
>こう言っては何ですが。
>僕はキャラが幸せになってくれないとイヤな人種です。
>だから、彼らにも「イヤ」でも幸せになってもらいます。
>さあ、覚悟しなさい!<って、誰に言ってるんだ?
>絶対に、悲哀とか憎悪なんかで終わらせないんだから!<誰にいってるんだよ・・・
Mさん、初めましてあーりです。
すっごいおもしろかったですー。続きかが早くみたいです。
まだ謎があるし・・・・・
ということで、こっちもがんばって読みます(笑)

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5410Re:金色の巫女〜開眼編・1E-mail 10/19-00:11
記事番号5403へのコメント
あーりさんは No.5403「Re:金色の巫女〜開眼編・1」で書きました。
>Mさん、初めましてあーりです。
はじめまして♪

>すっごいおもしろかったですー。続きかが早くみたいです。
ありがとうございます(深々)

>まだ謎があるし・・・・・
悪い癖ですねえ(^^;

>ということで、こっちもがんばって読みます(笑)
はい、よろしくお願い致します。
もしも、一度プリントアウトしてらっしゃるのであれば。
大変申し訳ないです(三つ指つき)

では、がんばります☆

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5404Re:金色の巫女〜開眼編・1ティーゲル 10/18-15:54
記事番号5380へのコメント
 ども、ティーゲルです。いや、すごいですね〜大長編。先がたのしみなんですが、
一つお聞きしたいことが。開眼編は鳴動編の次なんですか?これを読んでからさが
したもので鳴動編までしかみつかっていないのです。できたらお教えください。
 では次を楽しみにしております。

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5411Re:金色の巫女〜開眼編・1E-mail 10/19-00:19
記事番号5404へのコメント
ティーゲルさんは No.5404「Re:金色の巫女〜開眼編・1」で書きました。
> ども、ティーゲルです。
どおも、Mです。
こんばにゃ!

>いや、すごいですね〜大長編。先がたのしみなんですが、
あはは・・・はは(汗)

>一つお聞きしたいことが。開眼編は鳴動編の次なんですか?これを読んでからさが
>したもので鳴動編までしかみつかっていないのです。できたらお教えください。
> では次を楽しみにしております。
お答えしましょう!<態度でけぇ(^^;
鳴動編の続きです(きっぱり)<おひ(−−;
正確には、鳴動編の続きではあるけれど。間に入るべき物語が抜けています。
で、番外編である「刻の糸〜」が先に出ています。これは、別名「ぜ○すくん奮闘記」(嘘笑)でもあります。
この、「間に入るべき物語」は後に語られます。
本当なら、鳴動編と開眼編。そして完結編で終わるべき物語であり。番外編と傍観編の五部構成にしようともくろんでおりましたが。
もう一つ入りそうな状態でもあります。
人様の迷惑、省みてませんね・・・(汗)
ですので、もし御用とお急ぎでなく。かつ「見てやってもいいぞ!」と言う、海よりもお心の広い方でしたらごらんいただきたいと思います。
なぜ、鳴動編と開眼編に直接接点がないかと言う質問がおありでしたら先に応えましょう。
完全な続きにするより、シリーズ完結オムニバス形式のが読みやすいかなー?と思ったからです(笑)←ほんとう

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5420Re:金色の巫女〜開眼編・1E-mail 10/20-00:02
記事番号5380へのコメント
どおもお、またまた来ました@Mです。
お返事をもらえて、すっごく嬉しかったりする単純もの☆
さあ、行ってみようか!<どこへ?

---------------------------------------

金色の巫女〜開眼編・1

 遠くまで、闇が広がっているのが判る。
 どこまで行こうとも、出口のない。ぶつかることもない。
 だけど、誰もなく。なにもない。
 闇。


 沢山の気配。沢山の想いを感じる。感じてはいるのに、誰もいない。
 何もない。


違う。一人じゃない。
 あたしは、確かに一人きりだけど。あたし自身も、見る事さえ出来ないけれど。
 時折、河の流れの様な何かが。あたしを置いて通り過ぎてしまうけれど。
 怖くない。
 寂しくない。


 あたしの側に、遠くに。近くに。
 金色に波打つ光。それが、あたしを寂しさから守ってくれる。
 誰なのか。とても、懐かしい。
 側にいるのが、当然な。
ああ、あたし……。


 まるで、長い長い洞窟を抜けたようだった。
「リナ!」
 それは、ずっと止めていた肺の中に。急に冷たい空気が流し込まれた様な。
 それは、閉じられていた瞼に。光と言う名の矢が刺さった様な。
 錯覚?
 あたしには、判らない。
 何が?
「がう…………りぃ?」
 喉の奥。まるで、しゃくれた老人の様な。
 あたし自身でも、情けなくなるくらいの声。
 乾ききった喉が、水分を求めている。
 唇まで乾き、ばりばりと音をたてた瞼は。今にも閉じようと圧力を加える。
 けれど、あたしは見てしまった。
「リナ!」
 太陽の光。集めたような、暖かくて柔らかな。
 優しい。
 なんとか、上半身だけ起きあがろうとする。けれど、視界は定まらない。
「リナ、リナ! 本当に良かった………………!!」
 金のもしゃもしゃ頭が。揺るぎない力を込めて、あたしの視界を遮る……。
 ええい、うっとうしい!


 げし!


 それまでの乾きも、何もかも忘れたあたしは。
「いつまで抱きついてるのよ、あんたは!!」
 怒鳴りつけたあたしは、異変に気づいた。
 まず、あたしは毛布一枚にくるまれていた。
「何んだって言うのよ……これ……」
 思わず胸を隠し、周囲を見回す。
 室内だと言うのは判る。天井と壁があるから。でも、そこらじゅうに見慣れないものに囲まれている。
「リナママ……」
 はっとすると、更に復活したガウリイに見え隠れし。
「リナママぁぁぁっっっーーーーーー!」
 鮮やかな赤い髪が、ぱたぱたと揺れるのが見えた。
 それが、すごい勢いで近づいてくる!!
 今度はなんだって言うのぉぉぉぉぉぉっ!?


 何とか。ようやく落ち着いたあたしを待っていたのは。
 あたしの見知らぬ、だけど。確かにあたし達のいた世界。知らないものより、知ってるものを探す方が大変な。
 そして、一人の少女。
 まだ、幼いと言っても言い過ぎではないくらいの子供。
 ここは、どうやら。あたしのいた世界の。未来らしく、そして少女は。
 あたし達の子孫だと名乗った。
「あたし、レイナ・インバース・ガブリエフ・北条。
 本当のパパがリナママや、ガウリイパパのしそんで、本当のママがにほんじんだったの」
 幼いのも通りで、レイナはまだ10歳。
 本当の両親は、つい先日亡くなってしまい。現在は一人で暮らしていると言う。
 あたしやガウリイの事は伝説として語り継がれているとかで、レイナもほんの少しは魔法が使えるらしい。だが、時代の変化の為なのか、世界でも魔法を使える存在は。数が限られる様になってしまった。だから、この世界に魔道士と言う職業は存在しない。
 もしかしなくても、あたしって最強?
「それでな」
「ガウリイはいいわ。アンタの説明だと『よくわからん』で終わりそうだし」
「あのな……」
 コケてはいるものの、実際にそうだったのだろう。あえてコメントを出そうとしないところからすると。とりあえず、そっちの方は放っておくことにして。
 あたしは、確信を持って虚空へと呼びかける。
「後はゼロスにでも聴くことにするわ。いるんでしょ?
 でも、出てくる時は服くらい持ってきてね」
 レイナは「え?」と言う顔をしていたし。ガウリイは何も考えていない様な、いつもと変わらないのほほんとした顔をしている。
 よく見ると、顔立ちは似てるのよね。この二人……。
「判っちゃいましたあ?」
 極一瞬の間を置いて現れたのは。
 おかっぱの黒髪で、記憶にはない服装をした魔族。
 神官ゼロス。
「ゼロス!?」
 でも、考えてみたら。こいつの服も顔も本体じゃないんだから、時代に合わせていると言う事なのだろう。
 ……便利な奴。
「契約は守りましたよ」
 記憶と変わらないニコ目で、あたしの前に浮かんでいる。
 ふと感触を覚えると、いつの間にやら。知らない間に服を着ていた。
「久しぶりね」
 知らず、あたしは微笑んでいた。
 何も判らない世界で、不安に成ることはない。大事なものがあるから、それは判るから。
 それでも、知ってる顔があるのは。その相手だと判るのは、妙に嬉しい。
「あれー、ゼロス?」
「お久しぶりです、ガウリイさん」
 ガウリイだしってのもあるけど、非情に。やたらとのんきな会話を交わす、ガウリイとゼロス。
 なんだか、こういう感じも。懐かしささえ覚えるのに……。
「なんで出てくるのよ、ゼロス! 呼ぶまで出てくるなってゆったのにぃー!!」
 はっきり言って。
 幼い子供が持つには、かなり激しい感情である。
 ただ嫌うとかではなくて、そう。憎悪にも似た。けれど、根が優しい子なのか。もしくは、単に忘れてるだけなのか判っているのか。
 魔力を発動させてまでゼロスを排除しようとはしていない。
「仕方ありません。僕は代々、リナさんの家系を守るように言われて来ましたが。今の上司はリナさんですからね。
 レイナさんの命令よりは、リナさんの命令を聴くのが。正しいあり方なんです」
 何か、そーゆう言い方もちょっと……あれだと思うけど……。
 とにかく、レイナの持つゼロスへの感情は。
 かなり物騒だった。


 ゼロスの説明によると。
 契約の証である「子供」の保護を言われて以来。ゼロスは代々の子供を守ってきたらしい。
 当主に子供が生まれると、代々の子供の守護にあたっていた。すると、どういう訳なのか当主は若死にしたと言う。
 それが、何十。何百人も続き、そして現代。
 つい二ヶ月ほど前。
 レイナ達親子は、この時代の乗り物である「車」とか言うもので移動してたと言う。
 かなりスピードが出ていたと言うはなしだが、それはよく判らない。そして、事故が起きた。誰が悪かったのかは判らないけれど、車は炎上して。レイナは弾き飛ばされた。
 レイナは気絶していたので、ゼロスに命じなかった。
 レイナの両親は、死の間際でレイナを託した。
 お役所仕事のゼロスは、レイナの両親を助けなかった。
 だから、レイナはゼロスを憎んだ。


「なんだ、こんな所にいたのか?」
「ガウリイ?」
 屋根の上に、ガウリイが上る。つまり、あたしの隣りに。
 あたしは、一度に沢山の知識を。だから、この世界の事をゼロスに説明されて。少々頭がオーバーヒート気味になっていた。
 ああ、冷たい空気が心地いい……。
「ずいぶんと、変わったんだね。世界は」
「……そうだな」
 流石に、ガウリイの目から見ても変わった様に見えるのだろう。
 あたし達のいた世界には、電気もガスも水道もなかった。
 夜でも、こんなに明るくなかった。
 すでに何千年もの時間は経過して、あたし達の知ってる事なんて無かった。
「ずっと眠っていたって割には、体に異常はないわね」
 微笑んでみる。それが、こわばるのが判る。
 別に、体に異常があるわけじゃない。気持ちの問題。
 永久凍土の様な、人の肉体すら眠りにつく場合。長時間眠っていたのと同じだけの疲れを感じると言う。でも、あたし達は魔力によって眠っていたからなのか。疲れは全く感じていなかった。ただ、とんでもない空腹だけは治まらなかったけど。
「……こんなに、世界が変わるなんてね」
 すべてが。
 あたしの守った筈のすべてのものが、こんなにも知らないものとなるなんて。
 哀しくはない。
 少なくとも、人は生きているそれだけで。それだけで、あたし達は勝った事になるのだから。けれど。
 だけど。
「俺がいるだろ?」
「ガウリイ……」
 隣で座っている。他には、何もしていない。
 あたしと同じものを見ているガウリイは、それだけを言った。
 月と、地上の光に照らされたガウリイの髪が。
 輝いている。
「俺は、ここにいるから」
 優しい声が、泣きたくなる。


 ばきぃっ!!!


「馬鹿なこと言わないでよ! 今更「俺は知らん」とか「忘れた」なんつったら、はり倒すわよ!!」
「はり倒してから言うな!!」
 んまあ、ちょーっと力入れすぎたかもしんないけど。
 男が、そんな細かい事にいちいち気にしてちゃいけないわ!
「あーっ、リナママもガウリイパパもこんな所にいたぁっ!!
 ゼロス! あそこまで連れてって!!」
「はいはい、レイナさん。
 済みませんねえ、リナさん。お邪魔しちゃいまして」
 なんだか、一気ににぎやかになる。
 こんなに夜遅くても、まだ近所はにぎやかだし。通りの人も途切れない。
 家の側を通りかかる人だって、一人。二人くらいはこちらを見上げるけれど、それだけで。
「何やってたの、ゼロス?」
 レイナを抱いて移動して来たゼロスは、確か夕食の後。レイナにこき使われていた筈である。
 我が子孫ながら、頼もしい限りではある。
 もっとも、以前のゼロスを知ってる限りでは。笑いがこみ上げてきて仕方ないんだけど。「いやあ、皿洗いの後に。リナさんとガウリイさんの為にケーキを焼いていました。
 こう見えても、人間の料理もうまくなったんですよ」
 そう言えば、夕食もゼロスが作ったとか。恐ろしい事を聴いた様な気がする。
 あんまり恐ろしかったから。聴かなかったフリしてたんだけど……。
「リナママー!」
 まだ子供だからなのか、レイナは。あたしやガウリイの姿が見えなくなると騒いで仕方がない。だから、静かになりたいあまり屋根の上まで上ってきてしまったわけだが……。
「レイナ……」
「よっぽどリナの事を気に入ってるんだなあ、レイナ」
 一週間ほど前。
 この時代における北極で、氷付けになった遺跡が発掘された。
 様々な遺物と共に、氷付けとなった「人間にしか見えないもの」が発掘された。それが、ガウリイだった。
 「そーゆう世界」では有名だったのか、大騒ぎとなったらしい。まあ、どーゆう世界かは、あたしも知らないけど。問題は、それを発見したのが。全く関係のない人達だったらしくて。本当に大変だったと言うのはゼロス談。
 レイナは、その時にゼロスと共にガウリイの保管場所まで出向き。あろう事か、ガウリイを盗み出してきた。その後、ゼロスは他の遺物について調べに行ってしまったとかで、ガウリイへのフォローはまったくなく。なぜか、本人も疑問に思わなかったらしい。
 少しは疑えよ……。
 とにかく、ガウリイは二日間を平然と過ごしていたと言う。更に、まったく打ち合わせをしないで「あたし」の奪還に来て。なにやら、二転三転と話があった様だが、そのあたりは聴いてもよく判らなかった。
「ゼロス。レイナは、あの事を知っているの?」
 あたしは、悲しささえ。哀れさえ込めてレイナを見つめてゼロスに尋ねる。
 そのゼロスは、首を横に振るだけだった。
「そう」
 安心してしまったのだろう。あたしの膝の上では、レイナが眠っている。
 何も知らず、知らされず眠っている子供。
 あたしは、この子にもう一度残酷な目に会わせる事となる。それを、まだレイナは知らないから。余計に。
 眠るレイナを起こさないようにして、浮遊の術でしたまで降りる。が、ガウリイは二階屋根から地面まで飛び降りた。
 レイナが起きちゃうじゃないのよ……。
「済みませんが、リナさんはレイナさんを寝かしつけていただけますか? 僕が寝かした事を知られてしまいますと、またレイナさんに怒られてしまいますので」
「だったら、俺がレイナの部屋まで案内するよ」
 大丈夫だろうかと本気で思ったが、2階にあると言うレイナの部屋を。二度だけ間違えただけだったから、良しとして置こう……。
「ふうん……」
 これまでの説明があったから、レイナの家も部屋も。普通のものなのだろうと言う事は判る。
「ガウリイ」
 レイナを着替えて、ベッドに寝かしつけて。
 だけど、廊下で何となく立ち去りがたい気がして。
「どうしたんだ、リナ?」
「あの子、幸せになれたのかな?」
 あたしは、レイナを通して別の子供を見ている。
 レイナにはとことん失礼だと判っているけれど、自分を押さえる事が出来ない。
「大丈夫さ……。
 なんでかは、判らないけど。そんな気がする」
 ガウリイの言葉に、ほっとする。
 獣並のカンを持つから、そうなんだろうと信じたいのかも知れない。でも、安心してしまう。
「うん……」
 ガウリイがいてくれて、よかった。
 一人だけだったら、実際問題としてどうなっていたか判らない。ゼロスが裏切る事はないけど、だからって安心出来ないのも判ってる。
 所で、レイナの家は極一般的な家である。周囲と比べて、とりたてて特徴があるわけでもなんでもない。だから、1階で騒ぎがあったりすると。あっさり2階の廊下まで話は筒抜けだったりする。
「なあ、リナ。
 なんだか聴いたことのある声がしないか?」
 そんな馬鹿なとは思うけど、実際。あたしにもガウリイの言いたい事は判る。
 ゼロス以外に、この時代に生きてる人なんてない筈なのに……。
「どうしたの、ゼロス……」
 不審な感じがして、あたしは階段を降りる。
 階段の下。脇に、すぐ玄関があるのだ。
「随分と騒がしいけど……おぉっ!?」
 一瞬。あたしの頭が、現実を拒否した。
 ちょっと待ってよ、なんで……そんな馬鹿な!?
「あれ、二人もいたのか。奇遇だなあ」
 んな訳ないでしょ!
 なんで、あんた達がここにいるのよぉっ!!

 続く


---------------------------------------------

長い間、眠っていた二人。
リナに従うゼロス。そして、少女レイナ。
現れた謎の人物達<ばればれ(^^;>は、一体なにものなのか!?
って事で、続きます<そのまんまや
長いけど、呆れないでくれると嬉しいです♪

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5435金色の巫女〜開眼編・3E-mail 10/21-01:17
記事番号5420へのコメント
どうも、更に来たぞ@Mです。
あああぁっ!塩かけないでぇ〜、石投げちゃいやぁ〜!!
シュガー・パウダーならオッケー!(ぉぃ

と言うわけで、今日になって気付いた事・・・
タイトル名変えてないじゃん(自爆)
ついでに、内容ないじゃん・・・(更爆)
お前、謎しか撒いてないじゃん(水爆)
で、解決はしたんか?(核爆)
自分トコのHPに乗せようとして失敗したじゃん(誘爆)
と言う、数々の困難に向き合う事とあいなりました(墓穴)
あうあうあうあう(><)

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金色の巫女〜開眼編

          2

 女の子の名前は、アメリーナと言った。アメリーナ・テスラ・レダー・セイルーン。
 おかっぱの頭。黒髪で、14、5歳くらいだろうか?
 男の方はゼルガディスと言った。ゼルガディス・スカルレイド・ウィル・グレイワーズ。
 灰色の髪に、土気色の肌といい、目つきの悪さといい。
「私は、かつてセイルーン王国の王女だったアメリア姫と。夫であるゼルガディス様との間に生まれた。長男の子孫なんです」
 あたしの記憶にある、そっくりな少女は。けれど、彼女より幾つか年上の様だった。
「俺は、娘側の子孫。デビル・スレイヤーと詠われるリナとガウリイを迎えに来た。
 伝承が事実であると言うのなら、すでに時間はない」
 同じく記憶にそっくりな男は、彼とは顔色も声もそっくりだった。
「何を言ってるんです! リナ様は私がお迎えするんです。大体、リナ様に向かって無礼じゃないの!」
「えっと……」
 歳とかで、微妙な差があるとは言っても。よく見知った顔二つに、いきなり喧嘩腰になられたら。事情も説明もされない事には、ツッコミを入れる隙さえないと言うわけで。
「そんな時間はない。セイルーン王家には、どうやらそのあたりの伝承は伝わってない様だな」
 あの……説明の一つや二つ欲しい所なんだけど……。
「何ですって!? セイルーン家を侮辱するつもりですか!!」
 アメリーナとか言ったかな。彼女が熱く語れば語るほど、ゼルガディスは、どんどん冷静になって行く。
 うーん、とことんそっくりだな。この二人。
 その証拠に、ゼルガディスの方はやたらとわざとらしい溜息なんてついている。
「なあ、リナ」
 なんなのよ、ガウリイ。この忙しい時に……。
 あたしをつっつくガウリイに、あたしは力が抜ける。
「なんでゼルもアメリアも喧嘩してるんだ?」

 時々思うのだが。
 いや、本当に時々。ごくごく万が一ってあたりで。
 ガウリイのボケは真性だと思ってるし、それはガウリイを知ってる人には共通の意見だとも思う。けど。
 わざとじゃないか?
 そんな風に思う時もある。勘違いしたくなる時もある。
「まあまあ。とにかく、お茶でも飲んで落ち着きなさいよね。
 あんた達の気持ちは……いや、全然判らないけど」
 この時代と言うか、世界の常識とか道具の使い方なんて。ほとんど知らないと言うか判らないと言うかなので。なぜか、ゼロスの入れたお茶を。家主不在なのに、あたしが仕切ってる。
 う、うーむ……。
「アメリア、どうしてゼルを嫌ってるの? ゼルだって」
 少なくとも、二人がアメリアやゼルガディスの子孫だって言うなら。かなり薄まっているとは言っても血がつながっている筈なのだ。それなのに、こうもいがみ合うと言う状態が判らない。
 一体、何があったんだろう?
「喧嘩でもしてるのか? よくないぞ、そう言うのは」
 したり顔で言うガウリイを見て、あたしを見て。ちらりと、アメリアはゼルガディスを見る。けれど、ゼルの方と言えば落ち着いたものだった。
 とにかく、落ち着いたと思ったら時間差で騒ぎだそうとした二人。主にアメリアをプチ倒した関係からなのか、今の所はおとなしく座っている。
 勿論、空気はぎすぎすとして。お世辞にも楽しくはないんだけど。
「リナ様。あたしは、初代アメリア姫様から数えて875代目の巫女姫。アメリーナです。
 あこがれていますから、アメリアと呼ばれるのは嬉しいですが……」
 あ、そうか。アメリアの子孫で、これまた写したかクローンの様にそっくりだけど。彼女は彼女。アメリアではないんだっけ。
 でも、ゼルガディスの方は違うんだよね?
「俺も……まあ、642代目くらいのゼルガディスではあるが……。
 俺の方は初代からの口伝で。男子には必ずゼルガディスの名を入れる事になっているからな。そう言う意味では……問題は、ないわけではないだろうが。
 だが、俺達は別にセイルーン王家と喧嘩してるわけじゃない。そもそも、セイルーンが勝手に俺を見る度に牙を向いてくるだけだ」
 口調までそっくしでやんの、二人して……。
 でも、そんなに代替わりしてるのかあ。これは、ゼロスがいなかったら本当に現状認識すら出来なかっただろーなー。
「これだから! ちゃんと文献や資料を残さない家はダメなんです。
 さあ、リナ様。私と共にセイルーン家へお越し下さいませ。
 これからの事については、場所を移してから……」
 強引なまでに、あたしの手を引っ張るアメリア。
 んなトコまで遺伝しないで欲しいものである。
「今は、やめたほーがいんじゃないかなあ?」
 のんびりとした口調ではあるが、少し。困ったような顔で言うガウリイ。
 それはそれとして、あたしも含めた顔見知りの全員が。見知らぬ服を着てると言うのも、考えたら不思議なものである。
「どういう事だ?」
「だって……」
「リナママに触んないで!!」
 叫び声と共に放出された、エルメキア・ランス級の魔力が。ガウリイに届く手前で、あたしの意志により霧散される。
「ほう」
 どのあたりにかは知らないが、ゼルガディスが感心した声を出している。
 魔力を放出したレイナは、すかさず走り寄って来たけれど。ゼロスの結界と、何よりガウリイの腕に押さえられている。
「れ、レイナ・北条!?」
 驚いているのはアメリアである。
「知ってるの? アメリア」
 まあ、この時代で生きてるんだから。不思議はないと言えばないんだろうけど……。
「リナママから離れろ、悪人達ぃ!! お前達なんか嫌いだぁっ。
 ゼロス、やっちゃってよ!!」
 ゼロスは、目であたしに了承を求めているけど、んなのは当然許可なんて出来るわけない。
 あたしは、溜息を一つ。
「事情を聴かせてもらえる?」
          ◇
 遠い、遙かな昔。
 どれくらい昔かと言えば、地形が変わってしまうくらいの昔。知ってる人間も、知っていた種族さえ滅亡して。伝説の向こう側に行ってしまったくらいの。
 あたしとガウリイは、かつて魔王を封印した。制約はあるけれど。
 赤眼の魔王シャブラニグドゥの名前さえ、失せてしまうだけの時間の間。あたし達に命じられる形となったゼロスは、子育てに専念した。
 アメリアとゼルガディスは結婚して、一男一女をもうけたらしいけれど。その後、ゼルが長女を連れてセイルーンを出奔している。まあ、何度か帰った事はあるようだけど。
 アメリアは、セイルーン王家を継がなかったらしい。それが、王室解体の原因となったのかも知れないと言うのは判った。
 そして、ゼルガディスは長女を連れて出ていってしまった事も手伝って。二つに分断された家では確執が起きたらしい。まあ、それだけが原因と言うわけでもないんだろうけど。
 アメリア側が文献や書面として。
 ゼルガディス側が口伝と言う形で。
 それぞれ、伝承と言う形を取って残して行った事も、気にくわないとは言うけれど。そんなのが、ただの言い訳なのは。本当は、お互い判っているんだろうなあ。
 ちなみに、ゼロスはこの事実を知っていたらしいけれど。手も足も口も出さなかった様である。
 まあ、口を出したからと言って。ゼロスじゃ事態をややこしくするだけで、解決なんて無理だろうし。その上。
「子供の事以外は、何も言われませんでしたし。何より、やることが多すぎて手一杯でしたからね」
 お役所仕事だし……。
 でも、どっちの家の歴史にも。ちょくちょく顔を出してるそうじゃない。そのあたりはどうなってるわけ?
「リナさん達の子供を狙って、どちらの家の方々もよく襲って来られましてねえ。
 気が付いたら、こんな小さな島国に来てしまったのも。ひとえに、リナさんやガウリイさんの子供を守る為ですしね」
 世界地図や歴史を見た限り。今の世界は情報社会。元々大国だった関係なのか、表で裏で有名だったりして、まあ。ゼロスの言う事だから話半分くらいまで聴くのでちょうど良いくらいだけど。
 まあ、隠し事をしても嘘は言わないし、あたしがゼロスの上司である以上。ゼロスがあたしを裏切る事はないし。
「どーしてなんだ?」
 一人のんきなガウリイ。
「初代ゼルガディスは、旅に出ていずれ来る危機に備える為に魔道士や技術者。傭兵を鍛え上げるギルドを作った。そして、世界に残った魔族や魔法に関する保存につとめ。有能な力ある者を集めた。
 あのリナとガウリイの血を受け継ぐ者を。俺の親達が放っておくと思うか?
 ゼロス。黒衣の悪魔と言うおまけまでついてるしな……」
「やあ、僕はおまけ扱いなんですねえ」
 これまた、のんきな声で言うゼロス。
 何を落ち着いてるんだか知らないけど、確かに。怒鳴ったって疲れるだけだし、レイナは実際に怒鳴って疲れてるし。念のためにスリーピングで眠らせて、ガウリイがだっこしている。
 あたしも寝たいくらいだけど……。
「あたし達セイルーン家は、『ゼルガディス』と違ってすべての人間お救うと言う意味で寄付を集い、人々の救済を代々行って参りました」
 正直な所を言ってしまえば。
 あたしとしては、どちらの言い分もわからなくはない。けど、有能な力ある者を集めると言った、犯罪まがいの方法には言いたいことも。無いことはないが。
 今は言わないで置こう……。
「一応、僕の方も子供の安全が第一と代々の親達に言われて来ましたからねえ。
 なかなか、周囲に被害を出さずに……と言うのは。難しいものです」
 どうやら、長い歴史と言う時間の中にあって。色々と事情と言うものはあった様である。
「『ゼルガディス』は、それは集団を無差別に破壊してでも。リナ様やガウリイ様の血縁の方々を入手しようと。陰鬱なまでに躍起になってましたから」
 アメリアが見てるのは、どうやら目の前にあるゼルガディスではなく。歴史に名を連ねた『ゼルガディス』達と言った感じがある。
 しっかし、こんなギスギスしたものを。目の前で見せ続けられる身にもなって欲しいものである。
 心労で倒れたりなんかしたら、絶対に文句の一つでも言ってやろう!
「仕方あるまい。別に、俺達だって無意味にやってるわけでもなかったしな……。
 自分たちで引き起こした争いと言うわけでもない。結局、二人の血が魔族を呼び、そして。狙われるだけなんだからな……」
 そうか。結局、今の時間にある誰も本当の事は知らない。だから、何か知ってるかも知れない、何か起きるかも知れないと言う存在。つまり、あたし達の子供を巡って争っていたのだろう。
 あわよくば、あたしが目覚める事を狙って……。
「それは! ……そうかも知れませんけどぉ」
 不満そうな声を上げたアメリア。
 どうやら、アメリアにも何か覚えのある事があるらしい。
 何があったのか聴きたいような、聴かない方が精神的にはいいような……。
「第一、そこのゼロスが情報を撹乱してくれたおかげで。何度も煮え湯を飲まされたのは俺だけじゃない。お前達だってそうだろうが!」
「うっ……」
 そんな事までしてたのか……。
 ちらりをゼロスを見てみるけど、にこにことしているだけで。全く心中を計る事は出来ない。
「で、ですが……」
 ゼロスとゼルガディスを見比べて、なぜか苦悩状態に陥るアメリア。
「ですね……」
 どうしてか、涙を流しながら一人で勝手に納得してる。
 なぜか、すごくあたしとしては納得したくない様な。納得したい様な。
「リナ。俺の伝承では、お前が目覚めれば世界は崩壊すると言われている。
 魔族の中ではリナの復活を知ってる者もあるらしく、世界のあちこちで騒ぎになっている。無論、それほど大事ではないがな……」
「それで?」
「いいんですか、リナ様。放って置いて?
 魔族の中にはリナ様を殺して、魔族を復活させようとしてる者もあるみたいです。もしかしたら、もう近所まで来ていて。手段を選ばないかも知れません」
 本当の事は、あたししか知らない。
 真実は誰も知らない。ガウリイも側にはいたけれど、なにぶんにもガウリイだから絶対に覚えていないだろうし。アメリアやゼルガディス。ゼロスだって直接見ていたわけじゃない。
 それどころか、詳しい話すら知らない。
 現代にあると言う。あたし達のいた時代から比べれば魔族なんて呼べないくらいチンケな奴に至っては。見当違いもはなはだしい。
「大丈夫よ。家の周りにはゼロスが結界を張ってるし。
 何より、あたしは目覚めたばかりで何も知らないし。すぐに動けない。
 ま、雑魚はあんた達に任せるわ」
 多少は元気になったとは言え、組織化までしてるのならばデーモンくらいどうとでもなるだろう。
「何よ、ゼル」
 不満そうな顔で、今度はゼルガディスがあたしを見る。
 ガウリイは、静かな顔でレイナを見ている。
「気にくわんな……」
「はっきりと言ってくれるじゃない。でも、あたしはウソなんかついてないわよ。
 それに、そいつらの目的は判ってる。あたしを討つ為の準備に追われて、三日くらいはかかるはず。時間は、あるわ。
 あいつらにとっては。あたしは全然見当違いの所にいたんだし。科学って奴は、移動に時間がかかるわ」
「それは、そうかも知れませんけどぉ……」 
 アメリアも不服そうな顔をしている。
 しかし、実際問題として。この世界の知識が皆無に近いあたしに。そうそう期待する方が間違いだと言うものである。
「何も知らない割には、色々とご存じですよね?」
「ゼロスから聴いたのよ、アメリア。幾ら何でも、なーんにも知らないでいられるわけじゃないし……。
 それにしても、本当に何もかも。あたしのいた頃と変わってるわよねえ。
 でも、だからこそ時間はあるわ。それなら、こっちもそれなりの準備をしておかなきゃ。あんた達だって、黙って見てるつもりはないんでしょ?」
 ゼルが、苦笑した。
「勿論です!
 リナ様を目覚めさせる為にレイナ=北条を殺害しようとは、すなわち悪!
 そんな事は、この愛と真実と正義とご近所の平和の為。
 このあたしが、絶対に許さなぁぁぁぁぁい!!」
 テンション高いぞ、アメリア。
「と言うわけで、今夜は世話になるからな。リナ。
 合成獣でいれば、外でも大丈夫だ」
 うーん……。
 そう言われても、大丈夫かなあ?
「何て事を言うんですか! リナ様のお宅に上がり込むなんて。
 一体、何を考えてるんですか!?」
「悪いが、俺はセイルーンと違って定住しないものでな」
 平たく言っちゃえば、つまりは宿なしって事?
「まあ、そう言う事だな」
 ゼルの作った組織とやらに、泊まれないわけ?
「裏組織だしな。ちゃんとした系統の様なものはないし、それに。奴らが『俺』を知ってるかどうかも怪しいものだ。一人で行動する方が、身動きも取りやすいしな」
 ちゃんと管理しろよ……。
 それはそれとして、ゼルが人間に戻れなかったたのか。それとも、別に事情があるのか。
 アメリアとゼルガディスの子供達と言うのは、ずいぶんと合成獣化をコントロール出来る様になったらしい。当然、中には合成獣になりっぱなしと言う子もいる様だが。当主になれるのは、ある程度コントロールが出来なくてはならないと言う条件があるそうな。
 でも、それならアメリアもそうなのかな?
「セイルーン家の場合は、ずいぶんとその辺りに関しては偏ってまして。
 全然受け付けなくて普通の人間か。完全な巫女って人も多いんです。
 流石に、全く合成獣の人が出ないって訳でもありませんが。そう言う人は医学を目指す人が圧倒的に多い事は確かです」
 ふーん、やっぱり。あれかしら?
「どれだ?」
「ガウリイはいいから!!
 つまり、それまであった長い歴史の為に。
 長男で巫女の家系であるアメリアの方では、魔力や剣士としての能力を持つ者は少ないけれど。逆に、ゼルガディスの家系では巫女が生まれにくい。だから、ゼルガディスは女の子であるにも関わらず、自分の旅に長女を連れて行ったんだわ」
 実際に、そうだって確認したわけじゃないけれど。可能性としてはないわけじゃないだろうし。
「なるほど。流石はリナ様!」
「ま、それはそれとして……。
 俺はこのあたりで、勝手に休ませてもらう」
「だから、リナ様に失礼ですってば!!」
 いや、あたしとしては基本的に構わないと思うんだけど。
「ゼルガディス、レイナが何て言うか判らないぞ。
 何と行っても、この家の家主ってレイナなんだし。お前さん達、レイナには随分と嫌われてるみたいだしなあ……」
 なかなか、うがった意見のガウリイである。
 珍しい事もあるもんね、アンタがまともな意見を言うなんて。
「そうです、第一リナ様に無礼です!」
 いや、それはいーんだってば……。
 けどさ。実際問題として、ゼルには行くところがないわけじゃない?
 アメリアはどこに泊まるの?
「あたしは、本来ならば大使館に泊まるべきなんでしょうけど……。
 今、ちょっと騒ぎが起きているので。ホテルにでも行くつもりです」
「だったら、ゼルも一緒に行きなさいよ。
 あんた、別にお金持ってないわけじゃないんでしょ?」
「それは……まあ」
 あたしのナイスでグッドなアイディアに、待ったをかけたのはアメリアだった。
「えっ!? ダメですよ。そう……ダメダメ。
 絶対にいけませんよ!!」
 まあ、気持ちも判らなくはないんだけど。
 とりあえず、何で?
「ちょっと待て。俺だって納得できないぞ」
 これまた待ったをかけたのは、ゼルガディスだった。
「俺が泊まり込む最大の理由は、リナやガウリイの護衛の為だ。
 幾ら伝承でゼロスがリナの配下になってる事が判っていても、魔族は所詮魔族。いつ裏切るかもわからん奴に、世界の命運を握る存在とを同じ屋根の下に置いておくわけにも行くなどと。危険率の高い事は容認するわけにはいかないな。
 第一、リナ達の敵はそれだけじゃない。その手下や、邪教崇拝の連中だっている。
 それらすべてに、対応なんて出来るのか?」
 まあ……。
 真実と事実と現実と。おまけにゼロスの実力を知らない二人の言い分も、わからなくはないと言うか。全然判るんだけど。
 ここで誤解を解いた所で、事態は変わらないだろうしなあ……。
 あ、アメリアが何か考え込んでる。
「判りました」
 そう言えば、今のゼルガディスって普通の人間みたいにもなれるのよね?
 あたし、今のと同じゼルガディスしか見たことないから興味あるなあ。
「私が泊まりますので、あなたがホテルに行ってください。
 リナ様の護衛は、この私がやります」
 いや、やりますって言われても……ねえ。
「戦えるのか? お前」
 だから、ね。二人とも……。
「あなたに『お前』呼ばわりされる覚えはありません。が、まあいいでしょう。
 セイルーンには、王家の頃より伝えられた数々の必殺技があります。何を隠そう、この私。アメリーナ・セイルーンは白魔法の使い手です!
 伝説の勇者とされるリナ=インバース様とガウリイ=ガブリエフ様をお守りする……。
 これ以上の適任者が、他のどこにいると言うのです!?」
 だから、どこにいるって言われても……。
「第一、さっきからずいぶんと偉そうな事を言ってますが。あなたはどうなんです?
 リナ様をお守りするとか言って、合成獣化するしか能力がない。なんて言いませんよねえ?」
 ちょっと、アメリア。そんな挑発するような言い方……。
「俺はいつでも長髪だけど?」
 ガウリイはいいから!!
「俺も剣と魔術を多少。それと知識はあるが……。
 試してみるか?」
 あーもー、何とかしてよ。この二人っ!!
「ディル・ブラント」
 思わず放った魔術が、二人を飛ばしたのは。
 言うまでもない。

続く

---------------------------------------------

謎:「まあ、大方の予想通りですね。」
おや、そこへ行くのは「謎のすっとこ神官」じゃない。なにしてんのー?
謎:「人の正体バラして、楽しいですか・・・?(−−」
ジト目で見られたって怖くないもーん♪<るんた×2♪
謎:「・・・・・踊ってる間に、書いたらどうです?」
ぐさっ!(><)
ちょ、ちょーーーーーーーっと今のは来たかもぉ・・・
謎:「これの続きとか」
ぐさぐさっ!
謎:「某中世ものとか」
ぐさぐさぐさっ!
謎:「某現代版とか」
ぐさぐさぐさぐさっ!
謎:「ついでに会誌原稿とか」
ついでにするなぁぁぁぁぁっ!!
げしっ!
「謎の某すっとこ神官」のくせに、えらく態度でかいじゃないかぁぁぁぁぁぁっ!!
謎:「・・・・・い、痛いじゃないですか!
  この僕をはたき落とすなんて、なに常識を無視してるんですか!!」
常識なら、貴様に言われる覚えはないぞ(きっぱし)
魔族のくせに、人間の下僕だし
謎:「それは・・・あなたがそう作ったからじゃないですか」<でも、ちょっと弱気
魔族のくせに保父さんしてるし、主夫だし
謎:「だから・・・」
魔族のくせに、低級にやられるし
謎:「うっ・・・」<汗
泣いてるぞ、某おかーさん。草場の影で(ぼそ)
謎:「勝手に殺さないでください(−−#」
と言うわけで、この謎の漫才の中に秘密があります。
どんな秘密かと言えば・・・
謎:「それは秘密です☆」
って、それでシメかい・・・・・・(^^#
謎:「あのー・・・笑顔が、怖いんですけどぉ・・・」<更汗


と、更なる謎を残して去る(笑)

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5464Re:金色の巫女〜開眼編・3あーり E-mail 10/24-13:59
記事番号5435へのコメント
うむぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
少し、ややこしくなってきた。
あーでも、Mさんおもしろかったです。
わくわくします。
でも、なんか大変なことになりそう。(^^;
次回もきっと読みます。それでわ。

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5470Re:金色の巫女〜開眼編・3E-mail 10/25-03:01
記事番号5464へのコメント
あーりさんは No.5464「Re:金色の巫女〜開眼編・3」で書きました。

こばにゃ、Mでし

>うむぅ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
>少し、ややこしくなってきた。

おっと・・・(汗)
疑問符をばらまきまくったかぁっ!?<今更(笑)

>あーでも、Mさんおもしろかったです。
>わくわくします。
>でも、なんか大変なことになりそう。(^^;
>次回もきっと読みます。それでわ。

ありがとうございます。
あんまし、ひどいことにはしないつもりです。
ね、ゼル?(笑)
ゼル:「なぜ、俺!?」

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5487コメントですMilk E-mail URL10/29-07:38
記事番号5435へのコメント
ここでは、はじめましてMさん。Milkといいます。

レス遅れて申し訳ありませんっ!
前回の鳴動編も、「刻の糸の・・」の方も全部読ませていた
だいています。
こんな、長い構成のお話がかけるなんてすごい。

リナちゃんとガウ君も、ちゃんとお互いのことを想ってる、って、
伝わってくるし。
ガウリイ、リナといっしょに氷の中で封印されてしまった。と、いう
わけなんですね。
う〜ん、でも、何で封印されたんだろう? 魔王を倒すのと引き換えに
──謎です。

どんなに長編でも、最後まで絶対読みたいです!
がんばってくださいね。

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5493Re:コメントですE-mail 10/30-00:13
記事番号5487へのコメント
Milkさんは No.5487「コメントです」で書きました。
> ここでは、はじめましてMさん。Milkといいます。
こばにゃ。
しょっちゅう、お茶を飲ませていただくために伺わせていただいております(笑

>
> レス遅れて申し訳ありませんっ!
> 前回の鳴動編も、「刻の糸の・・」の方も全部読ませていた
>だいています。
うわあ、読んでくださったんですね。
ありがとうございます♪
僕も、Milkさんのは読んだ事ある・・・・・・と、おもう(汗<なぜ?
しかし、感想・・・・・最近、めっきり書くことも減りましたねえ。
何しろ、端からたまるし。それでも「原稿先にやって(はあと)」って言われちゃいますもので・・てへ(大汗

> こんな、長い構成のお話がかけるなんてすごい。
・・・・・・・・・・・・・・・えっとぉ(汗
なにも考えてないのは、ないしょー<ぉぃっ!

>
> リナちゃんとガウ君も、ちゃんとお互いのことを想ってる、って、
>伝わってくるし。
> ガウリイ、リナといっしょに氷の中で封印されてしまった。と、いう
>わけなんですね。
はい、そうです。
二人は、一緒だから「封印される」事ができたんです(なじょ

> う〜ん、でも、何で封印されたんだろう? 魔王を倒すのと引き換えに
> ──謎です。
それは・・・・・・・・明らかに・・・・・・・・・・。
なったら、うれしいかもしんない・・・・・・・・・・。

>
> どんなに長編でも、最後まで絶対読みたいです!
> がんばってくださいね。
はい、がんばります。
体が持つ限りは!
そうだよね、アメリア!
アメリア:「そうです!書き続ける事は正義・・・・・・・・・・・です!!(多分)」

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5554金色の巫女〜開眼編・4E-mail 11/6-18:15
記事番号5435へのコメント
しばらくぶり@Mです。
最近、木枯らしは吹くし。風邪は引く(って、今年何回ひいたっけ?)し。
データは破損していたし、再セットアップしたし。
と言うわけで、この話以外のものを進めていました。
ここに書き込むの、本当に久しぶりかもぉ(ぉ
と言うわけで、続きです☆


---------------------------------------------



金色の巫女〜開眼編


          3


 結局、二人とも泊まる事になった。
 もちろん、レイナの事も含めてフォローするのは。なぜかと言うか、当然と言うか。
 あたしの役目だったりするワケだけど……ふう。
「済みません、リナ様……。
 あたし、そんなつもりじゃなかったんですけど」
「いーわよぉ。あたしは、別に気にしてないからさ」
 まあ、なぜか全部のフォローとか後かたづけとかはあたしに回って来る事になるんだけどさ……とほほ。
 あたしとアメリアは、二階のレイナの両親の部屋。
 ガウリイとゼルは、一階の畳とか言うものの部屋で寝る事になった。
「リナ、レイナを寝かしたから布団をくれるか?」
「判ったわ、ガウリイ。
 アメリア、ゼルに渡してくれる?」
「はい……」
 なんだかんだ言いつつも、今夜の所は騒ぎを起こさないで欲しいものである。
「怪我は無かったの? アメリア」
 さっきのディル・ブラントで、ゼルは合成獣化していたから大丈夫だったみたいだけど。
 普通の人間が耐えられるもんじゃない。
「鍛え方が違いますから。
 でも……よくご無事でしたね。お部屋」
 幾らあたしが威力を押さえたとは言っても、室内であれだけの魔法を使えば。普通はしれなりに大穴があいたりするものだが、驚いた事に汚れ一つついてはいない。
 まあ、きっとゼロスが結界でも張っていたんだろうけど。
「あのゼロスさんがですか……ですか?
 そんな事、本当に出来るんですか?」
 かつて。あたしは、ゼロスと同じ階級にありながらも。実力は天と地ほども差のある魔族や。中級魔族の張った結界と言うものを見てきたから、大して驚きはしない。
「初めてだった? あーゆーのは」
 あたしは、鏡台の前で髪を梳く。
 鏡に映ったアメリアは、枕さんを抱っこして。何やら悩んでいるらしい。
 まあ、せいぜい悩んでいただきたいものである。
「と言うよりは。下級魔族にもならない魔族ならまだしも、ちゃんとした魔族そのものを見たのも初めてなくらいで……」
 ちゃんとした魔族って言い方も何だかと思うけど、実際にそれ以上は的確な言葉が見つからないので。あたしとしては何も言わない。
「ゼロスさんの記録はあるんですが。父さ……父は、こういう事には反対派の人なので。私が魔法や伝承に興味があるのも、喜ばない人ですから……」
 だから、あまり伝承の事を記された本のある書庫への出入りもさせてもらえなかったと言う事らしい。
 まあ、あたしのいた頃でも。
 伝説級の戦いなんて、そうゴロゴロしているものではなかった。
 ましてや、魔道士が廃れるくらいの平和な時代。どこの親が好き好んで、我が子を訳のわからん道に走らせたいと願うか……。
 判らなくはない。判らなくはないのだが……。
 実際に、あたし自身が「伝説の人」なんてものになると。
 ちょっぴし腹が立つ。
「あたしの一族の人も、中には「伝説はあくまで伝説」とか言って。リナ様の存在そのものが危ぶまれていたのも事実なんです。そう言う意味では、ゼルガディス家の人が正しいのかも知れません」
「正しいって、何かあったの?」
「いえ。直接あたしがって訳じゃないんですけど……。
 あたしに魔術を教えてくれた人が、かつてのゼルガディスさんと対峙をした時に言われたそうなんです。
『平和な時代。表舞台を、ただ安穏と暮らしてきたお前達に何が出来る』
 そう言われたと、聴いています。
 記録では、天変地異の起きた時に。ゼルガディスさんはずいぶんと活躍されたそうです。けど、あたしの家のセイルーン王家は。ほとんどお役に立てなくて……。
 それが、悔しくて。
 でも、そんな事が悔しいからって。あの人にあたるのは間違った……正義じゃないですよね」

 朝から、とてもいい天気だった。
「やっぱさあ、あれよね。
 ゼロスが「人が食べても死なない、まともな料理」を作れる様になるなんて。世の中、びっくりする様な事ってあるもんよね」
 言って、あたしはマーマレードトーストを一口。
「まったくまったく」
 てっきり忘れてるかと思ったけれど、よっぽどイヤだったらしい。ガウリイのコメント。
 うん……今、あれを食べろって言われたら。あたしはまず、裸足で逃げ出すぞ。
「にしても、時代が変わっても、味が変わらないのはラッキーだったわ。
 これで、時代で人の味覚も変わっていたら。泣くに泣けないもんね」
 サーモンと鴨のサンドイッチを一口。二口。紅茶を一杯。
「ほんとほんと」
「ゼロスさんの作る料理って、一体……」
 流石に、アメリアは持参した固形食品を食べている。
 そんなに気にする事はないとは思うけど、まあ。気持ちはよーく判る。
「ブラス・デーモンや、レッサー・デーモンを材料にした食い物など、まともな人間の味覚が耐えられるか!」
 幾つも代替わりを果たしている筈なのに、やたらと実感のこもったゼルのセリフ。
 口伝で伝承を受け継いでいたとか言っていたけど、実際には記憶の継承なのかも知れない。
 ゼルは、レゾから受け継いだ知識もあるし。何より勉強家だったから。そう言う事も出来たのかも知れない。
「デーモンって……食べられるんですか?」
 真面目な顔で聴くアメリア。
 思わず吹き出す、あたしとガウリイとゼル……。
 デーモンを知らないレイナと、元から魔族なゼロスは平気な顔をしているが。レイナが事実を知ったときが、ちょっぴし怖い……かも。
「結構いけますよ。ただ、最近はいきの良いデーモンが手に入らないので。御馳走してさしあげられないのが残念でなりません」
 お願い……やめて、ぷりーず……。
 うう、吐き気までしてきた。
「大丈夫か、リナ?」
 そう言うガウリイも、かなり青い顔をしている。
「と、とにかくアメリア。命が惜しかったらやめておけ」
 幾ら憎き『ゼルガディス』でも、あたし達二人の様子を見て。ちょっとばかし瞳の奥が怯えるアメリア。
「そ………………それはそれとしまして、リナ様。
 これからの御予定ですが……」
「ああ、それなら決めてあるわよ」
 話題さえ変わってくれるのなら、食欲なんて幾らでも戻ってくるもの!
 少しだけ後引くけど……。
 口直しに、フルーツジュースを一口。二口。
「本当ですか!?」
「本当だって……ガウリイ!! それは、あたしのだって言ってるでしょうが!!」
 言って、あたしはガウリイの口に今にも運ばれようとしている白身魚のマリネを取り戻そうとする。
「そうだな……。
 昨夜は何事も無かったとは言え、これからもずっとないわけではあるまい。
 どう動くつもりなんだ、リナ?」
 ぐびぐびとジュースを飲み干し、ツナと卵のサラダをぱくつく。
「そんなの決まってるじゃない。
 まずは……」
 あたしに集まる、ゼルとアメリアの視線。
 ガウリイとレイナは、まだ好き勝手に食べているし。ゼロスは忙しく給仕に走り回っている。
 知らず、室内は静かになり。厳粛な雰囲気さえも訪れたようだった。
「買い物よ!」

 ちゅどーーーーーーーん!

 なぜか響く、自爆の音。なんで?
「な、何を考えているんですか。リナ様!」
 何って……何?
「いつ敵が襲ってくるかも判らないのに、買い物だと?
 少し緊張感が足りないんじゃないのか?」
 そうかなあ?
 ゼルやアメリアが構えすぎだと思うけどなあ、あたし。
「言っておくけど、あんた達。あたし達がどれだけ眠っていたと思ってるのよ。
 全然未開の土地に、いきなり放り出されるわ。地理も不案内だし、何かあった時の退路さえ確保出来ないんだよ? 逃げ道を確保しようとして。何の文句があるってのよ」
 まだ、この家から出た記憶はない。ある程度は地図とかゼロスやレイナから教えてもらったとは言っても。聴くと見るとでは大違いだろう。
「ホントーにそれだけですか?」
 アメリアの目が、わずかに半眼となる。
「ホントーよ!」
 きっぱしと言う、あたし。
 まあ、アメリアの危惧もあながち間違いではないんだけど。あえてそれを知らせてやろうなんて親切な考えは、アリの触覚ほども持ち合わせてはいない。
「怪しい」
 ぽつりとつぶやくゼルガディス。
「だったら言うけど、ゼル!
 あたしだって女なんだから。男には頼みにくい買い物とかだってあるでしょーが。
 それとも、あんたが行ってくれるとでも言うわけ?」
 言われたゼルガディスは、少し考えて。
「……ある程度は、仕方あるまい」
 おひ。
 何を考えたんだ? そんなに顔をまっ赤にして……。
「でも、それならあたしが……」
「アメリアの申し出は嬉しいわ。とてもありがたいと思ってる。
 でも、アメリアが近所に住んでるなら。それも考えたんだけど、この国の出身てわけでもないみたいだし、そんなに詳しいわけでもないでしょ?
 それに。そんなに言うなら、ガウリイもレイナもゼロスも連れていくわよ!
 留守番しててもいいけど、あんた達も一緒に行く?」
 ゼルとアメリアが、二人してレイナを見て。お互いを顔を見合わせて。
 もう一度レイナを見て、二人して肩を落とした。
 どーゆう意味だ、そりは。
「判りました、お供します」
 涙さえ浮かべるアメリア。
 あのなあ……。
「ま、仕方あるまい」
 お……おまいら……。
 あたし達をなんだと思ってるんだか……。
「まあ、リナ様達だけでお出かけされても困りますし」
 おい。
「その間、この家で留守を任されてもな」
「ちょっと……。
 何を考えてるのよ、あんた達……」
「何って……?」
「何をだ?」
 ガウリイみたいな、返事をする二人。
 ああ、もう!
「まるで。あたしが何か、問題でも起こすような言いぐさじゃないのよ!」
「起こさないのか?」
「ガウリイは黙ってて!
 第一、あたしは自分から喧嘩を売った覚えなんてないわよ。売られた事なら山ほどあるけどね!」
「まあ……」
「確かに……」
「ですね」
 何をみょーに納得してるんだろう。ガウリイまで。
「盗賊いぢめは入らないんですか?」
 これは、それまで沈黙を守っていたゼロス。
 ちゃっかり、クリームを乗せたクラッカーを食べている。
 あんたの甘いもの好きも……相変わらずよね。
「あのねえ。
 悪人に人権はないし、人権のないものに喧嘩なて上等なモンは売らないわよ。
 そんなこと、あたしの中に流れる商売人の血が許すわけないでしょーが!!」
「リナママ。ジンケンってなーに?」
 トーストをかじっていたレイナ。
 朝からゼルやアメリアの顔を見て、怒るかとも思っていたんだけど。意外におとなしくしていた。朝食の間も、どちらかと言えばにこにこしてる。
「ゼロスみたいなモンにはないものよ。
 それと、可哀相だと思ってあげられない人の事を言うの」
「あの、それって……なんだか」
 ちょっぴり寂しそうな顔をするゼロス。
「なるほど! よーく判ったわ。リナママ」
 みょーに納得したレイナの向こうで、更にいじけるゼロス。
「で、ゼロス。どこに案内してくれるのよ?
 言って置くけど、様変わりしたカタートとかってのはイヤよ!」
 どうでも良いけど……さ。
 いつまでも魔族がいぢけるんじゃないわよ!



続く


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レイナ(以下:レ):「こんにちはー!」
・・・あれ? レイナ?
どうしたの、君?
レ:「リナママから、行くようにって言われたのー」
・・・はあ、そうですか。
で、何か御用?
レ:「ゼロスいないのー?」
んー、いい質問だね☆
前回の欄外で、散々遊んだから。今頃精神世界ですねてると思うぞ♪
レ:「なーんだ。
  ゼロスで、まぞくをプチ倒せなかったウサをはらそうと思ったのにな」
・・・・・・・・ねえ、どこでそーゆう言葉習ったの?
プチ倒すとか、憂さを晴らすとか。
レ:「リナママが言ってたの」
・・・・・・・・レイナ、お茶とクッキーなんていかが?
レ:「わーい、いただきまーす♪」

人間、生まれより育ちだよな。
いや、この場合生まれも育ちも起因してるけど。

レ:「何かいった?」
(ぶんぶんぶん)いいえ、何にも!(汗)