◆-{DIARY}vol.0-時計うさぎ(7/22-00:33)No.3517
 ┗{DIARY}vol.1冥王宮にて-時計うさぎ(7/23-10:15)No.3555
  ┗Re:{DIARY}vol.0、1-松原ぼたん(7/23-16:00)No.3562


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3517{DIARY}vol.0時計うさぎ E-mail 7/22-00:33

「DIARY」 獣王軍腹心挨拶(仕置き?)巡り
   著/獣王ゼラス=メタリオム
     語り手/時計うさぎ

 皆々様、こんばんわ・・・時計うさぎです。
 実は、あたし、今獣王宮の書庫の整理を任されていて、テキパキ、片づけていたのですが、只今、あなた様が読んでおられる、「DIARY」と題名付けられている、本を見つけたのです。
 こんなちんけな本が?とお思いにならないでね?
 本当の本は 厚さ10cm以上もある大きな本なのですが・・・その中から、今、あたしが読んでいる 「ゼロス訪問記」 の6章だけ読み上げようと思っております。
 興味深いというか・・・昔から、腹心の皆様方はおかわりになられていないのだなと思いまして。
 冥王様は、魔竜王様とじゃれあっておられますし(いじめていらっしゃるし!?)・・・海王様の変化とか・・・覇王様の異性趣味とか・・・S様の謁見とか・・・。
 6章の収録・・・。
 獣王様も珍しく、こまめに、深深書いておられますし 読み上げようと思います。


群狼の島―獣王執務用仮居城―
 通信部下っ端魔族 時計うさぎ

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3555{DIARY}vol.1冥王宮にて時計うさぎ E-mail 7/23-10:15
記事番号3517へのコメント
 あたしは、獣神官ゼロスを創って一ヶ月、魔族のいろはを教え、獣王宮内で育てたが、そろそろ外では他の腹心達の部下が公で仕事をしているという事で、あたしは、穏やかに育ってしまったゼロスのために「腹心巡りツアー」を計画し 最終的にS様の所まで訪問すべく 計画を立てた。
 まずは・・・やっぱり、生死の輪廻を司る冥王の所に行くのが一番かと、冥王の所に行く事にした。

 冥王宮は闇色で統一されたドーム状の宮殿である。
 宮殿のまわりには 黒薔薇が育ててあったり、悪趣味だが、冥王と遊んだ魔族達が生命の水晶柱に閉じ込められていたりする。
 最初にここは印象がきつかったのか、ゼロスは不思議なものを見るような、恐怖に脅えるような瞳で周りをきょろきょろ見ていた。
「もうちょっと、落ち着きなさい。それでも、あたしの片腕となる神官なの?」
 あたしの叱咤にゼロスは身を縮め遅れ気味だった足取りを、あたしの歩みにあわせて足音揃えて歩き始めた。
 今まで、甘やかしすぎたわけではない。
 魔族のいろはを教える段階でそれなりの実力を見に付けていた。
 今の彼に足りない物は度胸と精神の強さ。
 精神の強さというのは適切ではないかもしれないが、今の彼は、あまりにも臆病なのだ。
 冥王宮の中心部に行くには 緩やかにカーブを描く ドームを横半分に切れば見える 螺旋状の廊下を地道に奥へと通るしかない。
 飛んでしまえば簡単なのだが、いかんせん、相手は「冥王」である。
 迂闊に入れば何が起こるかわからん。
「獣王様一つお尋ねいたしますが、冥王様とはどんな方なのですか?」
「どんな・・・ねぇ。」
 あたしは思わず答えに窮した。
 とにかく、どう言えばいいのか解らないのだ。
 がきの格好してるとか、藍色の髪と瞳してるとかいったって 想像する顔と本人のギャップの違いでゼロスが混乱しても困るからな。
「ま、あえばわかるわ。」
 あたしはそう応えた。
 それからしばらくという時間もたたず中心部の、謁見の間に続く大扉が姿を現した。
 青銅色をした、重々しい扉に似つかわしくない可愛らしい(?)プレートが飾ってある。

『冥王フィブリゾ様のお部屋(はぁと)』

 木の板の、カラー文字盤が貼り付けてそう書いてある。
 後ろでゼロスのこける音がする。
 はたと、振り向けば 床に這いつくばってぴくぴくしている。
 ここで、こんなに驚いていては困るのだが・・・本人に会った時が怖いな・・・。
 あたしはそう思いながら扉に手を置く。
「っと・・・。注意事項その一。あたしの後ろにいるコト。」
 あたしはそう言いながら、手に力を込める。
 ぎぃっっという重い音とともにゼロスはあたしのマントの後ろに潜る。
「注意事項その二、何があっても悲鳴は上げない事、刃向かわない事・・・あたしが例えばかにされたとしても。
 扉が徐々に開いていく、ゼロスはこくこくとうなづいた。
 扉は既に、あたしの力の干渉家から離れて、ひとりでに反動に任せて開いていく、それと同時に、あたしはいつでも魔力結界がはれる状態にしていく。
 冥王流の挨拶に備えてっ!!!!
 しかし、あたしの供えは空振りだった。 中から何も飛び出してこないのだ。
「いつもなら 魔力球の一つや二つ飛んできてもおかしくないのに。」
 あたしのいぶかしげな呟きに、ゼロスは「魔力球の一つや二つ?」と反芻する。
「んー・・・そうよ?拳大の威力を弱めた・・・ね?
 おかしーわねー・・・ガキは、昼の寝の時間・・・ってなわけじゃないでしょーし・・・。
 将軍、神官もいないワケ?ふぇりるぅーー???ふぃおーーる?」
 あたしは、中にそぅっと入るが、中にいつのもの魔法の明かりはなく あるのは玉座の隣の傘付きランプだけであった。
 その隣には 書類が山積みになっている。
 仕事から逃げ出したようにしか見えないけど、冥王の所の将軍・神官は一筋縄ではいけないような連係プレーをする強豪・・・。
 さすがの冥王だって、たやすく逃げれないでしょうし・・・。
「あのぉ、獣王様ぁ、この人形は何でしょう?」
 ゼロスが無造作に床から拾い上げた物は、紺の髪と、闇の瞳を持つ甲冑を来た少女の人形・・・ディフォルメされてて、可愛いんだが・・・あたしはこの顔に見覚えがあった。
「ちょっと、ゼロス、近くにこの人形に似た少年お人形がないか探して。」
 あたしは、ゼロスから人形を受け取ると、この人形のついなる人形を探す様えいじる。
 あたしの予想があたているならば・・・この人形は、彼女ね・・・彼女がいるって事は。
「獣王様、ありましたよっ!」
 ゼロスが、机の下からもそもそと はいでてくる。
 その手の中には、闇色の髪にくらい瞳を持つ、ボケっとした顔の少年のでぃふぉるめされた人形だった。
 あたしはこれらを持っている様、ゼロスに命じると、右手をその人形に向かって突き出す。
 そして溜まった、魔力を放つ。
 若草色の光は瞬く間に部屋に満ち 魔力の嵐を起こす。
 書類はさながら、紙ふぶきのように 部屋内を駆け巡る。
 嵐は一通り暴れると、人形めがけて突き刺さる。
 ゼロスは、風の強さにびっくりしつつも、人形を放そうとはしなかった・・・懸命な努力である。これから戻る彼女たちのクッションにもなるし。
 
ずぐあぁぁぁぁぁぁっ!!!!!
 
 人形の中から、風と光の本流が流れ出す。
 風に遊ばれる我が髪、おさまったときどうなるかな・・・。

ぼぅあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!

 嵐は爆発を引き起こす・・・正しく言うなら、嵐を吸い込んだ人形が。
 人形は、見る見るうちにもとの姿を取り戻していく、まずは、魔力という不安定な形から。
 だが、問題はこれからだ。
「あのぉ獣王様、まさか、この人形達が、冥王将軍殿達なんじゃぁ。」
「そうよ?」
「あの、僕人形二つ持って・・・いえ、抱えているんですけど。」
「そうね、放さなかったら下敷きね。」
 さらりと応えていくあたしに、ゼロスの顔は青ざめていく。
 物理攻撃じゃ死なない事忘れてるのかしらね?
 ゼロスが慌てふためいて上に投げた時にはすでに実体化し始めていた、冥王将軍達・・・ちなみに上に投げたという事はしかるにこうなる。

ずばがたごとがたごとぉたおぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!
 
 ド派手な音とともに落ちてきた、冥王将軍フェリルと神官フィオル・・・そして逃げるまもなく2人に潰された、ゼロス・・・反射神経がイマイチねー・・。
「きゅうぅぅぅっ・・・。」
「あたたたた・・・。」
「ますたぁぁ・・・。」
 三人三様の悲鳴を上げて、折り重なって倒れているのは 愉快な事この上ない・・・とんだ滑稽劇である。
「お久しぶりね、ところで、あなたたちの主上はどこに?」
 にっこり微笑むあたしに対して、とほほ・・・とうな垂れるフェリル。
「マスターはどこかへ遊びに出かけてしまわれました。」
 その時、神官フィオルは、下の敷物など合っただろうかという目で、下にある黒いもの(ゼロス)をまじまじと見詰めていた。
「所で獣王様、マイ・マスターになんおご用でしょう?」
 ぴしぃっとフェリルが立っているだけに、痛いのか、ゼロスがくるしげにうめく。
 フィオルはこれが生き物(魔族)だという事を認識し、しづしづ降りる。
 降りるなら、相棒にも言えばいいものを。
「あのね、あたしの今日の目的はね?あなたが今踏みつけてる下の、魔族を紹介しに来たのよ?」
 下?といった顔で、フェリルは 下を向き黒いもの(ゼロス)がいることに気付いて「きゃっ。」悲鳴を上げて跳ねる。
 はねるなよ・・・。
「ゼロスいい加減出てらっしゃい。」
 あたしはそう命令すると、フェリルの下からゼロスの姿が掻き消えて、あたしの後ろに出現する。
「紹介するわ? 獣神官ゼロス、あたしのたった一人の部下よ?」
「獣神官ゼロスと申します。以後おみしりおきを。」
 ゼロスがぺこりと頭を下げる。
 フェリルとフィオルもそれに習う。
「私は冥将軍フェリル。彼は神官フィオル我らが、冥王フィブリゾ様を守護する物です。」
「僕はー・・・獣王様の片腕として、将軍の文まで勤める物です。」
 ゼロスは自分の言葉が何を示すかなど知りうるはずもなく、にっこりと微笑む。
 将軍の分も働く=将軍としての能力も付加されているという事である。 彼は知らないんだろーけどね?
 もちろん、先輩(先に作られた)冥王将軍、神官はぴくりと体を強張らせた。
 冥将軍フェリルは、あたしに目で訴えかける「なぜ一人にしたのか。」と・・・それはもちろん・・・面倒だった・・・じゃなくて。
「片腕として働くのは一人でいいからよ。」
 あたしはにっこり微笑んだ。
「わかりました・・・それで、マスターなんですが。」
 フェリルの言葉にあたしは繋げるように言った。
「魔竜王ガーヴのとこに行ったと思いますっていうんでしょ?」
 あたしの問いに、「はい。」と応える、冥将軍フェリル。
「修羅場かしら・・?魔竜王砦・・・ちょっと行くのいやかしら?でも、彼にあわさなかったら、あとあとうるさいだろうし。
「ふぅ・・・ゼロス、移動するわよ。」
 ばさりと、マントをはためかせて、あたしは踵を返す。あたしは魔竜王砦の方を向く。脳裏によぎるは、赤茶けた、魔竜王が住まう砦の風景。
 あたしはとたとたと、駆け寄ってきたゼロスの額に指を、指先からイメージを送る。
「そこへひとりでいらっしゃい。」
 あたしはそういうと、くるりと後ろを向き、
「フェリル、フィオル、お邪魔したわね。 書類ばらまいて悪かったわね、じゃぁ、又近いうちに。」
 あたしはそういうと、、空間を渡る。
 微かに聞える、ゼロスの声。
「獣王様!」
 慌ててとんだゼロスと共に、あたしは、一路魔竜王砦に向かうのであった。

 魔竜王砦の惨劇に続く。

ここまで読んでくださいましてありがとうございました。
 DIARYはまだまだ続きます、全腹心巡りいたしますので、そちらの方もUPしたら、読んでみてくださいね♪
 では、これにて。
 

 




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3562Re:{DIARY}vol.0、1松原ぼたん E-mail URL7/23-16:00
記事番号3555へのコメント
 面白かったです。

> 本当の本は 厚さ10cm以上もある大きな本なのですが・・・その中から、今、あたしが読んでいる 「ゼロス訪問記」 の6章だけ読み上げようと思っております。
 面白い設定ですねー、なんとなく。
> 通信部下っ端魔族 時計うさぎ
 通信部の下っ端魔族が日記なんか公開したらまずくない?
> まずは・・・やっぱり、生死の輪廻を司る冥王の所に行くのが一番かと、冥王の所に行く事にした。
 最初にそれはきつくない?
> 迂闊に入れば何が起こるかわからん。
 うーん、確かに。
>『冥王フィブリゾ様のお部屋(はぁと)』
 あきははははは。
>「いつもなら 魔力球の一つや二つ飛んできてもおかしくないのに。」
 返って怖いぞ、それ。
> ド派手な音とともに落ちてきた、冥王将軍フェリルと神官フィオル・・・そして逃げるまもなく2人に潰された、ゼロス・・・反射神経がイマイチねー・・。
 お気の毒。
> はねるなよ・・・。
 これはいたい。
> 魔竜王砦の惨劇に続く。
 楽しみにしてます。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。