◆−白魔術都市狂想曲 81−フィーナ (2010/1/6 22:04:20) No.34998
 ┣白魔術都市狂想曲 82−フィーナ (2010/1/10 18:48:56) No.35000
 ┣白魔術都市狂想曲 83−フィーナ (2010/1/11 17:45:17) No.35002
 ┃┣Re:白魔術都市狂想曲 83−kou (2010/1/12 21:33:55) No.35004
 ┃┃┗Re:白魔術都市狂想曲 83−フィーナ (2010/1/12 23:19:56) No.35008
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 83−セス (2010/1/12 22:15:31) No.35007
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 83−フィーナ (2010/1/12 23:33:00) No.35009
 ┣白魔術都市狂想曲 84−フィーナ (2010/1/20 21:26:14) No.35013
 ┣白魔術都市狂想曲 85−フィーナ (2010/1/23 18:26:44) No.35017
 ┣白魔術都市狂想曲 86−フィーナ (2010/1/29 20:50:29) No.35024
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 86−kou (2010/1/30 11:02:54) No.35025
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 86−フィーナ (2010/2/1 20:20:38) No.35027
 ┣白魔術都市狂想曲 87−フィーナ (2010/2/2 16:28:01) No.35028
 ┣白魔術都市狂想曲 88−フィーナ (2010/2/11 19:36:16) No.35033
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 88−kou (2010/2/11 20:50:51) No.35034
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 88−フィーナ (2010/2/13 21:51:48) No.35035
 ┣白魔術都市狂想曲 89−フィーナ (2010/2/18 21:36:26) No.35045
 ┣白魔術都市狂想曲 90−フィーナ (2010/2/23 21:16:16) No.35051
 ┣白魔術都市狂想曲 91−フィーナ (2010/2/27 16:15:19) No.35055
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 91−セス (2010/3/9 22:36:01) No.35061
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 ┣白魔術都市狂想曲 92−フィーナ (2010/3/17 17:55:14) No.35067
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 92−kou (2010/3/19 09:58:24) No.35068
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 92−フィーナ (2010/3/25 16:31:46) No.35069
 ┣白魔術都市狂想曲 93−フィーナ (2010/3/29 18:59:26) No.35070
 ┣白魔術都市狂想曲 94−フィーナ (2010/4/3 16:57:49) No.35076
 ┣白魔術都市狂想曲 95−フィーナ (2010/4/7 18:43:36) No.35081
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 95−kou (2010/4/15 19:56:11) No.35082
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 95−フィーナ (2010/4/16 15:44:07) No.35083
 ┣白魔術都市狂想曲 96−フィーナ (2010/4/16 17:33:43) No.35084
 ┣白魔術都市狂想曲 97−フィーナ (2010/4/21 19:39:40) No.35090
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 97−セス (2010/4/21 23:18:58) No.35091
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 97−フィーナ (2010/4/24 17:15:57) No.35092
 ┣白魔術都市狂想曲 98−フィーナ (2010/4/24 18:52:30) No.35093
 ┣白魔術都市狂想曲 99−フィーナ (2010/5/5 16:12:49) No.35103
 ┣白魔術都市狂想曲 100−フィーナ (2010/5/13 18:58:10) No.35106
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 100−kou (2010/5/15 10:22:21) No.35112
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 100−フィーナ (2010/5/16 20:09:44) No.35113
 ┣白魔術都市狂想曲 101−フィーナ (2010/5/21 18:40:33) No.35116
 ┣白魔術都市狂想曲 102−フィーナ (2010/5/24 18:54:20) No.35117
 ┣白魔術都市狂想曲 103−フィーナ (2010/5/26 20:32:20) No.35119
 ┣白魔術都市狂想曲 104−フィーナ (2010/6/1 16:19:14) No.35126
 ┣白魔術都市狂想曲 105−フィーナ (2010/6/3 14:25:26) No.35128
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 105−kou (2010/6/3 16:29:48) No.35129
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 105−フィーナ (2010/6/5 12:00:28) No.35132
 ┣白魔術都市狂想曲 106−フィーナ (2010/6/5 17:01:51) No.35133
 ┣白魔術都市狂想曲 107−フィーナ (2010/6/11 21:34:20) No.35137
 ┣白魔術都市狂想曲 108−フィーナ (2010/6/12 20:35:30) No.35138
 ┃┗Re:白魔術都市狂想曲 108−セス (2010/6/12 21:30:53) No.35140
 ┃ ┗Re:白魔術都市狂想曲 108−フィーナ (2010/6/13 22:20:32) No.35141
 ┣白魔術都市狂想曲 109−フィーナ (2010/6/18 23:16:41) No.35143
 ┗白魔術都市狂想曲 110−フィーナ (2010/6/27 17:00:20) No.35144
  ┗Re:白魔術都市狂想曲 110−kou (2010/7/2 18:02:09) No.35145
   ┗Re:白魔術都市狂想曲 110−フィーナ (2010/7/8 19:46:36) No.35147


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34998白魔術都市狂想曲 81フィーナ 2010/1/6 22:04:20


ディーはこちらに魔力球をはなちながら、鷲づかみにしていたアレンを宙に放り投げた。

とっさに散るあたしたち。

アレンは物のように投げ捨てられながら、辛くも体勢を整え、着地する。

「火竜王がここにくるまデ、少しの間遊んであげるヨ。
気づいているとは思うけド、ここにいるのはこの国の人間たちサ」

ディーは笑みを浮かべながら言う。

「ボクが操っているようなものだけド、反射神経も鍛えられた人間だかラ、倒すのに少々時間がかかるかもネ・・・・・・
もっともこの神官の場合、ボク程度の力の及ばなイ、別の方の力が働いてるけド」

ガウリイが接近し、ディーに刃を振り下ろす。

ディーはそれを、薄い黒い・・・・・・甲羅のような障壁で受け止める!

・・・・・・ツゥドルクじゃない?

ディーが携帯しているはずの、魔族でもある漆黒の杖――ツゥドルクを、なぜ覇王神官がもっていない!?

ディーは続けざま、片方の手から数条の光線を解き放つ!

「おまえ・・・・・・なに企んでるんだ!」

「時を稼いでいるのサ。神殺しのためのネ」

吠えるガウリイに、ディーはふたたび魔力球をはなつ。








「アレンさん・・・いえ、アレン!」

アメリアは、アレンを睨みビシィ! と指差した。

「神に仕える身でありながら、魔族の片棒を担ぎセイルーンに混乱を招こうとすること! それまぎれもなく悪!」

彼女に突っ込んで攻撃を仕掛けてきた兵士を、アメリアは豪快に蹴り倒す。

ごしゃあっ!

「悪の道に走ったあなたを」

さらに突っかかってきた傭兵に足払いをかけ、

「わたしがこの手で」

だがしょっ!

二人がかりで襲いかかってきたやつの武器を払い落とし、

「更正させてみせるわっ!」

どすっ!

どごっ!

片方の首筋に手刀を、もうひとりに跳び膝蹴りをぶちかます!

「そういうわけでリナ!」

すちゃっ、と、構えをとりながらアメリアはアレンたちと対峙する。

アレンは、先ほどの怒りが嘘だったかのような、なにもない無表情。

・・・・・・ヴラが言っていたように、呪いに呑みこまれたのか。

以前のように穏やかな微笑も浮かべず、別人のように表情を消したまま、呪文の詠唱を始めた。

いや、たしか呪いに呑み込まれたら、たいていは膨大な記憶に押しつぶされて発狂するみたいなことを言っていた。

覇王神官の手によって呪いの進行が早まったとしても、手遅れなのかを決め付けるのには早計すぎる。

「兵士たちはこの国の大事な民。それを駒のように操るなどと!
リナ! ここはわたしにまかせて、あなたとゼルガディスさんは覇王神官をっ!」
  ダルフ・ストラッシュ
「 海 王 槍 破 撃 !」

アメリアの返事に答える代わり、ガウリイから距離を置いた覇王神官に、攻撃呪文を叩き込む!

「甘いヨ」

空間を渡り、姿を消したディーに叩き込むように、ゼルも呪文を解き放つ。
  アストラル・ブレイク
「 呪 霊 四 王 縛 !」

ディーは甲羅のような盾でそれをふさぎ、光球を虚空に放り投げる。

かっ!

途中分裂し、雨のように降り注ぐ!

どわっ!?

赤い光線を慌ててかわすあたしたち。

再び空間を渡る覇王神官。

背後をとられないよう移動し、再び呪文を唱える。

ぎぃぃん!
                                     ブラスト・ソード
ゼルのほうに姿を現したディーと、フォローに走ったガウリイの 斬 妖 剣 の火蓋が散った・・・・・・

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35000白魔術都市狂想曲 82フィーナ 2010/1/10 18:48:56
記事番号34998へのコメント


剣と魔力が火花を散らし、双方激しい攻防を繰り広げる。

ガウリイの斬撃がディーの肩を僅かにかすめた。

片手から放たれる魔力球。

ガウリイは距離をとり、それをかわす。

ごぉ・・・ん

屋敷の一角が穴をうがつ。

その近くにいた傭兵が、獣のうめきにも似た声で――吠えた。

るぉ・・・ん

刹那生まれる数条の炎!

「なにっ!?」

それはガウリイに向かって解き放たれた!

一瞬動揺したものの、彼はかわそうともせずスピードを上げ剣を振るう。

ブラスト・ソードの剣先に煽られ、勢いを落とす炎。

「そうそういい忘れたけド」

その様子を楽しそうに眺め、

「キミたちがレッサー・デーモンと呼んでるやつと似た原理デ、この人間たちには因子とは違い低級魔族を憑依させているんだヨ」

「なんですってっ!?」

兵士の一人を、こぶしで殴り飛ばしたアメリアは叫んだ。

「ツゥドルクを媒体にしてネ。
ベースは人間で徐々にその精神と自我を蝕ませていくボクの自慢の玩具サ」

アメリアが殴り飛ばした兵士は、首を不自然な方向に曲げながら立ち上がった。

・・・・・・いや。

その兵士だけでなく、先ほどの呪文で倒れているやつを除いて、ほとんどが起き上がっている。

「セイルーンの結界で多少進行スピードは遅いけどネ。
こちらに具現した通常のやつ(レッサー・デーモン)と違っテ、あんまり甘く見ないほうがいいヨ」

ディーの言葉を裏付けるように、
  エルメキア・ランス
「 烈  閃  槍 !」

ゼルの放った槍が、傭兵に届く直前――

うぉん・・・

突如虚空に出現したものが、光の槍と相殺しあって――

じゅききん・・・!

耳障りな音を立て・・・・・・互いに消滅した。

・・・・・・ってことは、精霊魔術で使える種類は限られてくるわけだ。

「なるほど・・・な」

ゼルは一言つぶやいて呪文を唱え――
 アストラル・ヴァイン
「 魔 皇 霊 斬 」

ブロード・ソードに、魔力を宿し・・・かまえた。

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35002白魔術都市狂想曲 83フィーナ 2010/1/11 17:45:17
記事番号34998へのコメント

アメリアは、寄ってくる傭兵や兵士たちを殴り、あるいは蹴り飛ばしながら、何とか呪文を完成させる。
 ヴィスファランク
「霊 王 結 魔 弾っ!」

彼女のこぶしに、魔力が宿る。
 フリーズ・アロー
「 氷 の 矢 」

飛来してきた氷に、アメリアはこぶしを振るった!

ひゅききん・・・!

まるで雪のように、アメリアに向かって放たれた氷の矢は、白い結晶となって虚空に散っていく。

その名残を待つ間もなく、術を放った『彼』は、アメリアに肉薄した!

彼女に向かって振り下ろされる錫杖に、アメリアは軸足を移動させ足払いをかけようと身をかがめる。

『彼』からしてみれば、突如として彼女の姿を視界から見失ったようにみえただろう。

とん

バランスをくじけそうになりながらも、なんとか体勢を整える『彼』の襟首を掴み、アメリアは持ち上げ――

一本背負い!

テコの要領で、コツをつかめば子供にだって大の大人をも投げ飛ばすことができる。

だんっ!

「・・・・・・かはっ!」

固い床の地面に、思いっきり叩きつけられ苦痛にかすかに顔をしかめる。

受身こそ取れたものの、ダメージは大きかったらしく僅かによろめく。

そんな『彼』にむかい、兵士の刃がわき腹を貫いた!

「・・・・・・っ!」

じくじくと、『彼』の腹から血が流れはじめる。

「・・・・・・姫様」

その兵士からそう呼ばれ、アメリアは、

「あなた・・・・・・まだ人の意識がっ!?」

「姫様に害する『悪』は・・・・・・私が倒し――」

皆まで言う前に、その兵士は激しくかぶりをふりはじめる。

「だいじょうぶっ!?」

駆け寄るアメリアにその兵士は、顔をあげ――

嫌な予感がはしったのか、アメリアは逡巡しながら距離を置いた。

ごぉうっ!

詠唱もなしに放たれた炎に、彼女はこぶしを振るった。

そして、そこから少し離れた場所で、

「そうか・・・・・・こうすればよかったんだ」

『彼』は、腹から流れる血をすくってつぶやく。

「薄汚れた人の血など・・・一滴残らず流れてしまえばいい。
だが・・・・・・その前に、やっておかなければならないことが・・・あったな」

『彼』を取り囲むように、傭兵や兵士たちがそれぞれ武器を構える。

錫杖で牽制しながら『彼』は呪文を唱える。
                                                         エルメキア・ランス
あたしは、他の傭兵連中に絡まれながらも、ショート・ソードに組み込まれたストック・ジュエルに 烈  閃  槍 の呪文をいれ応戦している。

アメリアや『彼』がいる場所とは、かなりはなれているが。

ガウリイはディーと死闘を繰り広げている。

彼と戦いつつも、ディーには余裕の色が伺える。

援護に向かいたいところだが、兵士たち相手にそれもかなわないような状況で少しキツい。

アメリアと対峙している『彼』は、出血が酷い状況で、呪文も途切れがちながら、

・・・・・・呪文の構成と、印の手振りから、どうやらオリジナルの防御呪文のようだが・・・・・・?

背後からの傭兵の一撃をからくもかわし、『彼』の呪文が完成した。
 ヴォルト・シールド
「雷 撃 防 護 壁」

瞬間――

バチバチバリバチィッ!

空気を震わせるような音と、蒼白い稲光がほとばしった!

びくんっ!

『彼』の周囲にいた傭兵や兵士たち。

そしてアメリアは大きくのけぞり倒れた。

いくら低級魔族に憑依されているといっても、こちらの肉体をベースにしている以上。

通常のレッサー・デーモンあたりにもいえることなのだが、

地水火風を使用しても、ある程度有効な精霊魔術というのは、実はいくつか存在する。

「アメリアっ!」

傭兵の一人と応戦していたゼルガディスは、ブロード・ソードを傭兵に振るった。

うをぉん・・・

その傭兵に障壁が浮かび、ゼルの刃と火花を散らす!

じゅぎりり・・・!

ゼルは呪文を唱え・・・・・・って、そーいえばそのテがあったか!
 エルメキア・ランス
「 烈  閃  槍 !」

どうっ!

横から出現した呪文をその身に受けて倒れる傭兵。

障壁で守られているとはいえ、それはゼルの剣を正面から受け止めているだけ。

多方面からの攻撃には対処できないということである。

その傭兵には目もくれず、ゼルはアメリアの元。

彼女の援護に向かった。

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35004Re:白魔術都市狂想曲 83kou 2010/1/12 21:33:55
記事番号35002へのコメント

 お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
>アメリアは、寄ってくる傭兵や兵士たちを殴り、あるいは蹴り飛ばしながら、何とか呪文を完成させる。
 原作とか読んでいても思うんですけれど……激しく動いていて舌を噛まないのでしょうか?
>その名残を待つ間もなく、術を放った『彼』は、アメリアに肉薄した!
 これが、普通の人なら苦もなく一蹴される所でしょう蹴れど、最強平和主義者の父親ゆずりの身体能力をもつアメリアならぎゃくに間合いに飛び込んだと言った所でしょうか
>彼女に向かって振り下ろされる錫杖に、アメリアは軸足を移動させ足払いをかけようと身をかがめる。
>
>『彼』からしてみれば、突如として彼女の姿を視界から見失ったようにみえただろう。
>
>とん
>
>バランスをくじけそうになりながらも、なんとか体勢を整える『彼』の襟首を掴み、アメリアは持ち上げ――
>
>一本背負い!
>
>テコの要領で、コツをつかめば子供にだって大の大人をも投げ飛ばすことができる。
>
>だんっ!
>
>「・・・・・・かはっ!」
>
>固い床の地面に、思いっきり叩きつけられ苦痛にかすかに顔をしかめる。
>
>受身こそ取れたものの、ダメージは大きかったらしく僅かによろめく。
>
>そんな『彼』にむかい、兵士の刃がわき腹を貫いた!
>
>「・・・・・・っ!」
>
>じくじくと、『彼』の腹から血が流れはじめる。
>
>「・・・・・・姫様」
>
>その兵士からそう呼ばれ、アメリアは、
>
>「あなた・・・・・・まだ人の意識がっ!?」
>
>「姫様に害する『悪』は・・・・・・私が倒し――」
>
>皆まで言う前に、その兵士は激しくかぶりをふりはじめる。
 おお、見事な忠誠心
>「だいじょうぶっ!?」
>
>駆け寄るアメリアにその兵士は、顔をあげ――
>
>嫌な予感がはしったのか、アメリアは逡巡しながら距離を置いた。
>
>ごぉうっ!
>
>詠唱もなしに放たれた炎に、彼女はこぶしを振るった。
>
>そして、そこから少し離れた場所で、
>
>「そうか・・・・・・こうすればよかったんだ」
>
>『彼』は、腹から流れる血をすくってつぶやく。
>
>「薄汚れた人の血など・・・一滴残らず流れてしまえばいい。
>だが・・・・・・その前に、やっておかなければならないことが・・・あったな」
 また、死ぬ気か?(アレンの過去の記憶の方々はみんな死んでいると思うので)
 出血死ってけっこう苦しいと思うんですけれど……
 う〜ん。しかし、アレンの死亡フラグが立っている。
 でもそうすると、アレンの彼女がかわいそうだし……。
 どうなるんでしょうか。
 ドキドキわくわくしてまっています。
 以上、kouでした

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35008Re:白魔術都市狂想曲 83フィーナ 2010/1/12 23:19:56
記事番号35004へのコメント


> お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
久しぶりです。
お元気でしたでしょうか?
>>アメリアは、寄ってくる傭兵や兵士たちを殴り、あるいは蹴り飛ばしながら、何とか呪文を完成させる。
> 原作とか読んでいても思うんですけれど……激しく動いていて舌を噛まないのでしょうか?
この辺はテンポよく、途中舌をかみそうになりながらも『何とか』呪文を唱えてます。
>>その名残を待つ間もなく、術を放った『彼』は、アメリアに肉薄した!
> これが、普通の人なら苦もなく一蹴される所でしょう蹴れど、最強平和主義者の父親ゆずりの身体能力をもつアメリアならぎゃくに間合いに飛び込んだと言った所でしょうか
『彼』は氷の矢を放った直後、アメリアに肉薄しました。
体術のレベルでは、当然ながらアメリアが上です。
>>「あなた・・・・・・まだ人の意識がっ!?」
>>「姫様に害する『悪』は・・・・・・私が倒し――」
>>皆まで言う前に、その兵士は激しくかぶりをふりはじめる。
> おお、見事な忠誠心
自我や精神が、徐々に蝕まれています。
シェーラのドゥールゴーファは、自我を破壊して憑依させていましたけど。
>>「薄汚れた人の血など・・・一滴残らず流れてしまえばいい。
>>だが・・・・・・その前に、やっておかなければならないことが・・・あったな」
> また、死ぬ気か?(アレンの過去の記憶の方々はみんな死んでいると思うので)
大体が虐殺や発狂したものですから。自決しようとしても。
> 出血死ってけっこう苦しいと思うんですけれど……
> う〜ん。しかし、アレンの死亡フラグが立っている。
伏線はいろんなところに潜んでいますよ。
今の意識は支配されていますが、この方々はすでになくなっていて、アレンさんはまだ生きている『人』です。
> でもそうすると、アレンの彼女がかわいそうだし……。
やっぱりまだこの人には、受難の日々を送っていただきます。
ゼルはアレンさんの事を護衛対象者と言っていますが、『依頼人』だとは一言もいっていません。
> どうなるんでしょうか。
> ドキドキわくわくしてまっています。
> 以上、kouでした
伏線は意外な場所にありますよー。
あんまり期待しないでまっていてください。

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35007Re:白魔術都市狂想曲 83セス 2010/1/12 22:15:31
記事番号35002へのコメント

こんばんは、フィーナさん。
>アメリアは、寄ってくる傭兵や兵士たちを殴り、あるいは蹴り飛ばしながら、何とか呪文を完成させる。
相変わらずなんつうパワフルな姫様だ・・・

>
>とん
>
>バランスをくじけそうになりながらも、なんとか体勢を整える『彼』の襟首を掴み、アメリアは持ち上げ――
>
>一本背負い!
>
>テコの要領で、コツをつかめば子供にだって大の大人をも投げ飛ばすことができる。
そういや、彼女体術も結構使えるんでしたね。
>ガウリイはディーと死闘を繰り広げている。
>
>彼と戦いつつも、ディーには余裕の色が伺える。
さすがに将軍クラスの高位魔族。
>
>援護に向かいたいところだが、兵士たち相手にそれもかなわないような状況で少しキツい。
>
>アメリアと対峙している『彼』は、出血が酷い状況で、呪文も途切れがちながら、
>
>・・・・・・呪文の構成と、印の手振りから、どうやらオリジナルの防御呪文のようだが・・・・・・?
>
>背後からの傭兵の一撃をからくもかわし、『彼』の呪文が完成した。
> ヴォルト・シールド
>「雷 撃 防 護 壁」
>
>瞬間――
>
>バチバチバリバチィッ!
>
>空気を震わせるような音と、蒼白い稲光がほとばしった!
>
>びくんっ!
>
>『彼』の周囲にいた傭兵や兵士たち。
>
>そしてアメリアは大きくのけぞり倒れた。
>
>いくら低級魔族に憑依されているといっても、こちらの肉体をベースにしている以上。
>
>通常のレッサー・デーモンあたりにもいえることなのだが、
>
>地水火風を使用しても、ある程度有効な精霊魔術というのは、実はいくつか存在する。
>
>「アメリアっ!」
>
>傭兵の一人と応戦していたゼルガディスは、ブロード・ソードを傭兵に振るった。
>
>うをぉん・・・
>
>その傭兵に障壁が浮かび、ゼルの刃と火花を散らす!
>
>じゅぎりり・・・!
>
>ゼルは呪文を唱え・・・・・・って、そーいえばそのテがあったか!
> エルメキア・ランス
>「 烈  閃  槍 !」
>
>どうっ!
>
>横から出現した呪文をその身に受けて倒れる傭兵。
>
>障壁で守られているとはいえ、それはゼルの剣を正面から受け止めているだけ。
>
>多方面からの攻撃には対処できないということである。
>
>その傭兵には目もくれず、ゼルはアメリアの元。
>
>彼女の援護に向かった。
戦闘シーン、原作っぽくスピード感があって読みやすいですね。

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35009Re:白魔術都市狂想曲 83フィーナ 2010/1/12 23:33:00
記事番号35007へのコメント


>こんばんは、フィーナさん。
こんばんは。セスさん。
>>アメリアは、寄ってくる傭兵や兵士たちを殴り、あるいは蹴り飛ばしながら、何とか呪文を完成させる。
>相変わらずなんつうパワフルな姫様だ・・・
やっぱり戦闘は見せ場の一つですから。
>>テコの要領で、コツをつかめば子供にだって大の大人をも投げ飛ばすことができる。
>そういや、彼女体術も結構使えるんでしたね。
リナ以上に暴れています(笑)
一本背負い決められた『彼』は痛そうですが。
>>ガウリイはディーと死闘を繰り広げている。
>>彼と戦いつつも、ディーには余裕の色が伺える。
>さすがに将軍クラスの高位魔族。
リナの援護射撃は、もうすこしあとになりそうです。間に合うのか。
>>・・・・・・呪文の構成と、印の手振りから、どうやらオリジナルの防御呪文のようだが・・・・・・?
>>「雷 撃 防 護 壁」
>>空気を震わせるような音と、蒼白い稲光がほとばしった!
>>びくんっ!
>>『彼』の周囲にいた傭兵や兵士たち。
>>そしてアメリアは大きくのけぞり倒れた。
アーク・ブラスより威力が上の、雷撃を利用した防御呪文です。
オリジナルの呪文を考えるの、楽しいけど難しいです。
>>「アメリアっ!」
>>傭兵の一人と応戦していたゼルガディスは、ブロード・ソードを傭兵に振るった。
>>その傭兵に障壁が浮かび、ゼルの刃と火花を散らす!
>>「 烈  閃  槍 !」
>>どうっ!
>>横から出現した呪文をその身に受けて倒れる傭兵。
>>障壁で守られているとはいえ、それはゼルの剣を正面から受け止めているだけ。
>>多方面からの攻撃には対処できないということである。
>>その傭兵には目もくれず、ゼルはアメリアの元。
>>彼女の援護に向かった。
>戦闘シーン、原作っぽくスピード感があって読みやすいですね。
苦労しますよ、戦闘シーン。
でも大きな見せ場だから手を抜きたく無いです(希望的観測)

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35013白魔術都市狂想曲 84フィーナ 2010/1/20 21:26:14
記事番号34998へのコメント


・・・・・・しっかし、
 エルメキア・ランス
「 烈  閃  槍 !」

あたしに術で倒れる兵士。

いくら憑依されているような状態とはいえ。

・・・・・・いや。

それとも憑依されている状態だからか。

たかが一兵士とは思えぬ力とスピード。

斬撃をなんとかうけながす。
 ブラム・ブレイザー
「青 魔 烈 弾 波!」

こぉう!

ストック・ジュエルの力を解放する。

青い光の衝撃波に、二人吹っ飛ぶ!

ちちぃっ!?

何人かは、障壁を生み出して無傷である。

低級魔族がディーの手により人に憑依し、見慣れたレッサー・デーモンではなく人のその姿であるのは、人情的にも戦いづらいもんがある。

アメリアにしてみても、躊躇して戦っている様子が伺えた。

その中には顔を合わせたことのある兵士がいるのだろうから。

ディルスでの覇王の暗躍の際でも、あたしたちはそれと似たような招待を受けたことがある。

シェーラのドゥールゴーファと若干違い、こちらは自我と精神を徐々に蝕ませていく。

人としての自我が、まだある以上本気で倒すわけにはいかない。

兵士たちをいっしょくたに吹っ飛ばすというテもあるし、じっさいやったが――

ふっ飛ばしても、すぐさま起き上がってくるのを何度もこの目で見ている以上。

なんとかなるかもしんないが、それには根気が必要になってくる。

・・・・・・だからこうして、ちまちまと小技を繰り出したりしているわけだが・・・・・・

城の兵士相手に手加減しながら戦うってのも、なかなか難しいもんである。


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35017白魔術都市狂想曲 85フィーナ 2010/1/23 18:26:44
記事番号34998へのコメント
ぢぎぃぃんっ・・・!

アメリアに向けて振り下ろされた一撃を、ゼルはブロード・ソードで受け止め弾く。

アメリアは先ほどの術で、まだ身体が満足に動かせないのか、もどかしそうに身をよじる。

「我らの邪魔をするか」

敵意をむき出しに言う『彼』に、ゼルは片眉をピクリと動かす。

「・・・・・・あんたは『誰』だ。あの神官じゃないな」

アレンにいる『彼』は、冷たい笑みを浮かべる。

「この所有者と魂を同じに持つもの。それが我ら。
・・・・・・もっとも、この器が人間である以上我らはこれを壊すがな」

躊躇せず、『彼』は自分の傷を広げる。

血の赤が、地面を朱に染めていく。

「まるで自分が人ではないような言い方だな」

「貴様とて人の手によりその姿に変えられたのだろう?
・・・・・・我らを捕らえた人間は、我らを化け物と呼んでいた」

アレンの何代かまえの魂の所有者は、話から察するに――

人に虐殺されたエルフ。

一昔前、人間がエルフを実験材料として迫害していた時代があった。

あたしたち人間にとっては昔のことになるのだが、人より長寿である彼らにとっては『ほんの少し前』の出来事になる。

アレン――この場合は『初代』にかけられた呪い。

転生先が人間だけとは限らない。

・・・・・・どーりで『彼ら』は人間嫌ってるわけだ。

ディーの手によってアレンの意識をおしのけ、憎しみや怨嗟の『彼ら』は、この場にいるものすべて殺して。

自分自身を手にかけようとしているのも納得のいく話である。

あたしは以前アレンから輪廻の呪いの事も聞いたし、今のアレンの状態が、ディーに呪いに変な干渉かけられたのだとわかっているつもりだが。

呪いのことを知らない他の人間の目から見たら。

・・・・・・はたからみると、『自殺願望の強いやつ』と認識されそうではあるのだが。

それか、思想がなんか魔族っぽい。

あるいは、自己陶酔に浸ってる危ない人。

ぎぃぅんっ・・・!

『彼』の錫杖とゼルの剣が、互いにせめぎあい火花を散らし――

どがっ!

隣接したゼルは、ノーガードとなった『彼』に蹴りを入れた!

顔を歪ませ、たたらをふむ。

風をうならせ、ゼルの剣先が杖を叩き落した。

傷口から血が失われていってるというのに、『彼』はふてぶてしく笑う。

「正義をかざすものは、しょせんは御為(おため)ごかし〔人のためとみせ、自分の利を図ること〕の偽善者よ」

「たしかにな。だが、なにか勘違いしてないか。
おれはアメリアのいう正義の味方でも、権力を振りかざすバカでもない」

「・・・・・・なに?」

「おれは、あんたじゃなくてその神官に用事がある」

「いったはずだぞ。我らはこの人間と魂を同じとするものだと」

「そっちの都合などしったことか」

そっけなくいいつつも、ゼルは『彼』と間合いを取る。
                         依頼人
「あんたをあの町に送迎するよう、 あの町の評議長殿 にあんたの護衛を依頼されている。
おそらくは覇王神官の仕業だろうが――あんたらの意思によって思考を奪われている以上、おれはあんたをどうにかしてやる」

「貴様如きにできるものか」

「どうかな」

うそぶきながら、ゼルは呪文を唱え始める。

呪文の正体を知り、『彼』は嘲笑を浮かべる。
 エルメキア・ランス
「 烈  閃  槍 かっ!? 無駄だ無駄だっ! 
――精神を衰弱させても、我らはこの人間と在るのだぞっ!」

『彼』も呪文を急ぎ唱える。

呪文の詠唱が終わっても、ゼルは動かなかった。

まっているのだ。

そして『彼』の呪文が完成した。
 ファイアー・ボール
「 火  炎  球 !」

正気かこいつっ!?

屋敷でンな術使ったら、自分の身も危険。

・・・・・・そういやこいつ、今正気じゃなかったっけ・・・・・・

術が『彼』の手から離れるやいなや、ゼルは懐から一本のナイフを取り出す。

そして素早く光球に投げ放ち――

ごぐわぁぁん・・・!

屋敷に盛大な火炎が弾け散る。

その勢いたるや、以前あたしが増幅させてやったやつをはるかに上回る。

その威力に、やった当人であるはずの『彼』も目を見開く。

って、このリアクション。

まさか『彼』にとっても予想外?

確かに術の構成も通常のやつだったし、『彼』の魔力は普通の人より少し高く、あたしよりかなり劣る程度のものだった。

「・・・・・・まさか、『火竜王』がここにきているというのかっ!?」

瞬時に異変を突き詰める。

その中にあるのは狼狽。

「火竜王様っ! ここにきてはいけないっ!」

ドアから見えた緋色の髪の主に、『彼』は叫んだ。

そのただならぬ様子に、怪訝そうな表情を浮かべる。
 エルメキア・ランス
「 烈  閃  槍 っ!」

爆煙うずまく中に、ゼルの呪文が突き刺さる!

「どけっ!」

その一撃をかわした『彼』に、ゼルは『それ』をとりだした。

――淡く輝く、首飾り。

地竜王の癒しの力が込められた、マジック・アイテムが。

それが『彼』の首にかけられたとたん――

「あ″ぁぁぁっ・・・!」

『彼』の声が響いた。

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35024白魔術都市狂想曲 86フィーナ 2010/1/29 20:50:29
記事番号34998へのコメント


下級魔族に憑依され、耐魔能力を持っていても、まだ自我が残っている連中というのはかなりいたりする。

人魔を連想させるみたいだが、ディーが施したのは自我と精神を徐々に蝕ませていくもの。

さすがに小技程度では、彼らを倒すことはおろか、動きを止めることもむずかしい。

ただそういった連中は、彼等の中に巣くっている魔と、せめぎあってなんとか意識をつないでいる。

セイルーンの六紡星の結界も働いているのも大きいが、彼らは攻撃をかわす際、ところどころブレのようなものがみえるのだ。

あたしは呪文を唱え終え、兵士たちに術を放つ。
 デモナ・クリスタル
「 霊 氷 陣 !」

地面から生まれた濃い霧が、瞬時に兵士たちを凍結させる。

数人は氷に囲まれても、まるで何事もなかったかのようにすり抜ける。

しかし――

がちっ!

避ける際ブレのようなものをみせた、傭兵たち数名は、そのまま氷に閉ざされ動きを止める。

地水火風の精霊魔術も、相手の憑依の状態。

さきほどブレをみせた連中や、術のレベルで有効なものがあるみたいである。

ディーと攻防しているガウリイに、傭兵は狙いを定めたのか口を広げ――
 エルメキア・ランス
「 烈  閃  槍 !」

ガウリイに向け、炎を吐き出した傭兵に、あたしは唱えた呪文を解き放つ!

敵の数が減るにつれ、ディーと対峙しているガウリイの攻撃は、鋭さを増していった。

なにしろガウリイ。

ディーと応戦しつつも、彼に襲い掛かってくる連中を、いなしながら戦っているのだ。

覇王神官は、虚空につついと、円をなぞる。

刹那の間を置かず、突如出現する数条の黒い光線!

それらが一斉にガウリイに向かった。

「はあっ!」

あるいはかわし、あるいは剣で切り払い。

攻撃をふせぎつつ、ガウリイはディーに突っ込んでゆく!

行方を阻むように、とちゅう一人の傭兵がガウリイに切りかかる。

ざむっ!

ブラスト・ソードで傭兵の剣を、あっさりと切り落とし。

どごっ!

無力化したところに蹴りを入れて昏倒させる。

その勢いにさらにスピードを上げ、ガウリイはブラスト・ソードを振り下ろし――

ぞん・・・っ!

肉を断つ音と共に、ガウリイの視界いっぱいに、その姿は現れた。

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35025Re:白魔術都市狂想曲 86kou 2010/1/30 11:02:54
記事番号35024へのコメント

 おはようございます。フィーナさん
>下級魔族に憑依され、耐魔能力を持っていても、まだ自我が残っている連中というのはかなりいたりする。
>
>人魔を連想させるみたいだが、ディーが施したのは自我と精神を徐々に蝕ませていくもの。
 ようするに、自我がはっきりとしていないと言うことでしょうか?
>さすがに小技程度では、彼らを倒すことはおろか、動きを止めることもむずかしい。
>
>ただそういった連中は、彼等の中に巣くっている魔と、せめぎあってなんとか意識をつないでいる。
>
>セイルーンの六紡星の結界も働いているのも大きいが、彼らは攻撃をかわす際、ところどころブレのようなものがみえるのだ。
>
>あたしは呪文を唱え終え、兵士たちに術を放つ。
> デモナ・クリスタル
>「 霊 氷 陣 !」
>
>地面から生まれた濃い霧が、瞬時に兵士たちを凍結させる。
 金魚で実験した後人間でもやったので解凍後は安心です。リナ=インバース式冷凍捕獲方法(特許出願中)とか、あったりしてどうでしょうか?
>敵の数が減るにつれ、ディーと対峙しているガウリイの攻撃は、鋭さを増していった。
>
>なにしろガウリイ。
>
>ディーと応戦しつつも、彼に襲い掛かってくる連中を、いなしながら戦っているのだ。
 おお、人間離れしていっているな!!
>覇王神官は、虚空につついと、円をなぞる。
>
>刹那の間を置かず、突如出現する数条の黒い光線!
>
>それらが一斉にガウリイに向かった。
>
>「はあっ!」
>
>あるいはかわし、あるいは剣で切り払い。
>
>攻撃をふせぎつつ、ガウリイはディーに突っ込んでゆく!
 本気で、人間離れしているな。
>行方を阻むように、とちゅう一人の傭兵がガウリイに切りかかる。
>
>ざむっ!
>
>ブラスト・ソードで傭兵の剣を、あっさりと切り落とし。
>
>どごっ!
>
>無力化したところに蹴りを入れて昏倒させる。
>
>その勢いにさらにスピードを上げ、ガウリイはブラスト・ソードを振り下ろし――
>
>ぞん・・・っ!
>
>肉を断つ音と共に、ガウリイの視界いっぱいに、その姿は現れた。
 なんでしょうか? う〜ん、いやな予感がする。
 不吉な予感がしますね。がんばれ!! ガウリィ!! それ行けクラゲ頭
 剣の腕は天才だぞ!!

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35027Re:白魔術都市狂想曲 86フィーナ 2010/2/1 20:20:38
記事番号35025へのコメント

> おはようございます。フィーナさん
こんばんはkouさん。
>>人魔を連想させるみたいだが、ディーが施したのは自我と精神を徐々に蝕ませていくもの。
> ようするに、自我がはっきりとしていないと言うことでしょうか?
自我があいまいな感じですね。
うたたねしていて、とつぜん目覚めてまた浅い夢を見るような。
>>地面から生まれた濃い霧が、瞬時に兵士たちを凍結させる。
> 金魚で実験した後人間でもやったので解凍後は安心です。リナ=インバース式冷凍捕獲方法(特許出願中)とか、あったりしてどうでしょうか?
このへんは屋敷の中だから、使えるやつも限られていますから。
>>なにしろガウリイ。
>>ディーと応戦しつつも、彼に襲い掛かってくる連中を、いなしながら戦っているのだ。
> おお、人間離れしていっているな!!
そりゃもちろん。
故郷の姉ちゃんの手ほどきやら、リナの父ちゃんのしごきとか、里帰りしている間鍛えられたからでしょう。
>>攻撃をふせぎつつ、ガウリイはディーに突っ込んでゆく!
> 本気で、人間離れしているな。
>>肉を断つ音と共に、ガウリイの視界いっぱいに、その姿は現れた。
> なんでしょうか? う〜ん、いやな予感がする。
次回はガウリイピンチです。
> 不吉な予感がしますね。がんばれ!! ガウリィ!! それ行けクラゲ頭
> 剣の腕は天才だぞ!!
剣の腕だけですか(笑)
さてさて、ヴラの出番が近づいてきました。
ディー…魔族が、魔王が北に封印されている中、どうやって神殺しを行おうとしているのか。
一回だけしか出てこなかった、ゼロスの発言を思い出してみてください。海神官たちは、『結界の強化』をしているといっていました。

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35028白魔術都市狂想曲 87フィーナ 2010/2/2 16:28:01
記事番号34998へのコメント

ガウリイの剣が貫いたのは、ディーではなかった。

ディーはガウリイの剣が届く寸前、空間を渡り、近くにいた傭兵の一人をつかんで盾代わりにしたのだ。

びくんっ!

ブラスト・ソードに貫かれた傭兵は、大きく震え痙攣を起こした。

ガウリイは剣を抜こうと力を込め――

彼からは見えない場所で、ディーは薄い笑みを浮かべる。

――まさかこいつっ!?

あたしの想像を肯定するかのように、

ディーの手に魔力の光が浮かんだ。

・・・・・・傭兵を背後から掴んでいるのと逆の手で。

傭兵を突き刺している剣を、引き抜こうとしているガウリイに向かって。

刹那――

きゅどどどっ!

つい先ほどまでガウリイがいた場所に、無数の光球が襲い掛かった!

ガウリイから剣を封じ、ディーの盾代わりにされた傭兵の体に、いくつもの穴ができた。

貫通してもなお、その勢いは衰えず光の奔流はガウリイに向かう!

ディーが掴んだ傭兵の体が、ガウリイからはディーの姿を見えなくさせた。

いわば死角になったのだ。

ガウリイに駆け寄ろうとするあたし。

その前に立ちはだかる兵士たちを呪文で撃退し、何とかたどり着く。

「ガウリイ!」

みると彼の左肩に火傷のような跡。

深くはないが、決してほうっておいていいものでもない。

相手は覇王神官。

ケリがつくまで、治療させてくれる悠長な時間を、与えてくれるとは思っていない。

「――ずいぶん派手にやってるみたいじゃねぇか」

ドアの向かい側から、ヴラの声が響いた。

動揺の気配を見せ、ディーは虚空をわたる。
          ブラスト・ソード
ガウリイの手に、 斬 妖 剣 は握られていなかった。

ディーの攻撃の気配を察知し、突き刺さった剣を引き抜くのをやめとっさに回避したのだろう。

傭兵の体に深く突き刺さった剣を、ガウリイが今も引き抜こうとしていたのなら、

・・・・・・回避するのがもう少し遅れていれば・・・・・・

いまごろガウリイもあの傭兵と同じように、全身穴だらけになっていたことだろう。

ゼルが『彼』を沈黙させたのは、そのときだった。

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35033白魔術都市狂想曲 88フィーナ 2010/2/11 19:36:16
記事番号34998へのコメント


ヴラが屋敷の中に足を踏み入れるや否や――

ざざざざざっ!

兵士や傭兵たちが、いっせいに身を引いた。

「なるほどな」

ヴラはすいっ、と、目を細めた。

「因子を植え込まれたやつらと違って、低級魔族が憑依しているわけか」

陽炎が立ち昇った。

ヴラと隔たりを分かつように。

一歩進むごとに、ヴラのいる空間がぐにゃりと歪み始める。

彼が足をつけた場所には、歪み崩れた床だったものが広がる。

ヴラからゆらりと陽炎が立ち昇った。

兵士たちはその場を動かない。

・・・・・・いや。

動けないのだろう。

・・・・・・彼等の中にいる下級魔族が、目の前にいるヴラに対し、本能的に畏怖し、

かなわぬ敵と悟って。

かくいうあたしでさえ、目の前にいるヴラの持つ『力』にすくんだのだ。

まだそれが、かなり抑えていると分かっているのに。

自慢にはならないが、何の因果かあたしは魔族や魔王との因縁がやたら深い。

数多くの高位魔族と対峙し、そのたび感じたプレッシャーやら存在感というのに度々出くわし、慣れていたつもりでいた。

・・・・・・いや、まあ・・・・・・

そんなんに慣れるというのも、問題ありすぎるような気もするが。

「人の精神・・・・・・自我がまだ残っているのか」

かすかに眉をひそめる。

そのとき――

一人が動いた。

ごぅっ!

傭兵の一人が、詠唱もなく数条の炎を生み出したのだ。

デーモンとの憑依が深いやつか!?

「いっとくけど俺は、そんなに気が長くねぇからな」

ヴラに向け放たれた炎。

「いくら魔族に憑依されてるとはいえ、敵意を示したやつ相手に容赦はしねぇ」

彼の周囲にたちこめる陽炎は、ゆらりとひときわ大きく波立つ。

ヴラにあたるはずだった炎は、陽炎に触れるや否や掻き消えて、

「返すぜ」

つぶやくと、赤い・・・・・・

いや――

高温を示す蒼い炎が出現した。

ぼっ!

ヴラに攻撃を仕掛けた傭兵は、その瞬間――

音をたて燃え尽きた。

燃え尽きる。というのは、少し表現が違うだろうか。

・・・・・・なにせその傭兵は・・・・・・

骨さえ残らず、跡形もなくなってしまったのだから。







兵士たちが硬直から、抜け出し始めるより早く。

あたしの呪文が、十人近く残っていた兵士や傭兵たちを片付けたのは、それからしばらくたってからのことである。







はるか昔から、世界を滅ぼそうとする魔族と、世界の存続を望む神々の戦いは熾烈を極めた。

赤の竜神スィーフィードは、魔王の体を七つに断ち、封印することに成功した。

スィーフィードはその戦いで力尽き、四つの分身を残しこの世界から消え、

千年前の降魔戦争において、冥王が率いる魔族たちは、人の心に封じられた魔王の一つを蘇らせ――

カタート山脈を守護する水竜王を滅ぼした。

覇王神官ていどの魔族が、神である火竜王を殺すことなど、可能なのだろうか。

魔王が復活し、戦いを挑むのだったら、まだいくらか神殺しを行える機会はあるはずなのだが。

現在この地に在るのは、水竜王の力によって封じられている北の魔王のみ。

もっともそれとて、魔力の氷によって閉ざされ、思うように力を振るうことはできないみたいだが。

覇王神官が神を『滅ぼす』ことなど、

傷ぐらいならつけることはできるだろうが。

・・・・・・まてよ。

方法によっては、ひょっとしたら・・・・・・

たしかに滅ぼすことはできないかもしれないが、神を『殺す』ことは可能なのではないだろうか。

千年前にしても、シャブラニグドゥは七分の一で、四つの分身の一つである水竜王あいてに少しばかり分が悪かった。

ふつーに正面きって戦っていれば、今とは別の結末を迎えていたのだ。
     クレアバイブル
あたしが 異界黙示録 から得たはなしによると、七つに分けられた魔王が水竜王を滅ぼすため。

カタート山脈を中心に、東西南北に位置する場所に神の力を弱めるよう、

腹心の部下を配し、神封じの結界を・・・・・・

・・・・・・あれ?

いやでも、そうするとヴラがいっていた、力をそがれているような感覚というのは。

ばたん!

扉をぶち破る、けたたましい音に、思考の海から現実へと引き戻される。

奥の部屋へと続く扉が開かれた。

そしてその中にいたのは――

彼女の本来の姿である、黄金の巨体となって、

その黄金の瞳は硬く閉ざされ、ぐったりと横たわっている・・・・・・

・・・・・・リーリア。


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35034Re:白魔術都市狂想曲 88kou 2010/2/11 20:50:51
記事番号35033へのコメント

 お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
>ヴラが屋敷の中に足を踏み入れるや否や――
>
>ざざざざざっ!
>
>兵士や傭兵たちが、いっせいに身を引いた。
 まるで、えっとなんかの伝説にある水を二つに割った魔法使いのように……とでも言うべきでしょうか。
>「なるほどな」
>
>ヴラはすいっ、と、目を細めた。
>
>「因子を植え込まれたやつらと違って、低級魔族が憑依しているわけか」
>
>陽炎が立ち昇った。
>
>ヴラと隔たりを分かつように。
>
>一歩進むごとに、ヴラのいる空間がぐにゃりと歪み始める。
>
>彼が足をつけた場所には、歪み崩れた床だったものが広がる。
 破壊活動のような……
>ヴラからゆらりと陽炎が立ち昇った。
>
>兵士たちはその場を動かない。
>
>・・・・・・いや。
>
>動けないのだろう。
>
>・・・・・・彼等の中にいる下級魔族が、目の前にいるヴラに対し、本能的に畏怖し、
>
>かなわぬ敵と悟って。
>
>かくいうあたしでさえ、目の前にいるヴラの持つ『力』にすくんだのだ。
>
>まだそれが、かなり抑えていると分かっているのに。
>
>自慢にはならないが、何の因果かあたしは魔族や魔王との因縁がやたら深い。
 本当に、自慢にならないな。
 ついでに言うと、姉ちゃんはこれまた神やら魔族やら魔王と因縁が深い(ふだん、ウエートレスなんてやっているけれど)
>数多くの高位魔族と対峙し、そのたび感じたプレッシャーやら存在感というのに度々出くわし、慣れていたつもりでいた。
 なれてどうする!!
>・・・・・・いや、まあ・・・・・・
>
>そんなんに慣れるというのも、問題ありすぎるような気もするが。
 自覚があって良かったです。
>「いっとくけど俺は、そんなに気が長くねぇからな」
>
>ヴラに向け放たれた炎。
>
>「いくら魔族に憑依されてるとはいえ、敵意を示したやつ相手に容赦はしねぇ」
>
>彼の周囲にたちこめる陽炎は、ゆらりとひときわ大きく波立つ。
>
>ヴラにあたるはずだった炎は、陽炎に触れるや否や掻き消えて、
>
>「返すぜ」
>
>つぶやくと、赤い・・・・・・
>
>いや――
>
>高温を示す蒼い炎が出現した。
 お礼は、半分。恨みは倍返しなんて……それじゃ、リナだよ。(リナ それはどういう意味よ!!)
>ぼっ!
>
>ヴラに攻撃を仕掛けた傭兵は、その瞬間――
>
>音をたて燃え尽きた。
>
>燃え尽きる。というのは、少し表現が違うだろうか。
>
>・・・・・・なにせその傭兵は・・・・・・
>
>骨さえ残らず、跡形もなくなってしまったのだから。
 アーメン。……いや、神に殺されて神に祈るのは、ちょっとへんですけれど
>兵士たちが硬直から、抜け出し始めるより早く。
>
>あたしの呪文が、十人近く残っていた兵士や傭兵たちを片付けたのは、それからしばらくたってからのことである。
 見方を変えれば、ヴラとは違う助け方をしたリナ。神でも魔にもどちらかに完璧に属さない人間だからこそ、できることでしょうか
>
>はるか昔から、世界を滅ぼそうとする魔族と、世界の存続を望む神々の戦いは熾烈を極めた。
>
>赤の竜神スィーフィードは、魔王の体を七つに断ち、封印することに成功した。
 そして、金色の魔王はそれを傍観していてたまに、発破をかけていたんでしょうね
>スィーフィードはその戦いで力尽き、四つの分身を残しこの世界から消え、
>
>千年前の降魔戦争において、冥王が率いる魔族たちは、人の心に封じられた魔王の一つを蘇らせ――
>
>カタート山脈を守護する水竜王を滅ぼした。
 以上、スレイヤーズの歴史でした。と、でも言うべきでしょうか。
 ま、考えて見ると冥王って策士家だよな……。大ポカミスやって滅んだけど……。
>覇王神官ていどの魔族が、神である火竜王を殺すことなど、可能なのだろうか。
>
>魔王が復活し、戦いを挑むのだったら、まだいくらか神殺しを行える機会はあるはずなのだが。
 でも、魔王はもうあとせめて自分が死ぬまでは復活しないでほしいでしょうね。リナ的には、……
 あ、でも二度あることは三度あるとも言いますよな。(リナ なんちゅー、不吉な事を!!)
>現在この地に在るのは、水竜王の力によって封じられている北の魔王のみ。
 通称部下S 最近、後書きでも出番が少ないがスレイヤーズせれくと4で表紙にちょこっとでれたのが嬉しいらしい。
>もっともそれとて、魔力の氷によって閉ざされ、思うように力を振るうことはできないみたいだが。
 ついでに、L様の暇つぶし……もとい有閑な時を何とかしていてつかれている。
 以上、kouでした。
 なんだか、大変なことになってきましたね。リーリアはいったいどうなるんでしょうか?

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35035Re:白魔術都市狂想曲 88フィーナ 2010/2/13 21:51:48
記事番号35034へのコメント


> お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
kouさんこんばんは。
>>兵士や傭兵たちが、いっせいに身を引いた。
> まるで、えっとなんかの伝説にある水を二つに割った魔法使いのように……とでも言うべきでしょうか。
十戒のモーゼあたりでしょうかね。
>>「因子を植え込まれたやつらと違って、低級魔族が憑依しているわけか」
>>陽炎が立ち昇った。
>>ヴラと隔たりを分かつように。
>>一歩進むごとに、ヴラのいる空間がぐにゃりと歪み始める。
>>彼が足をつけた場所には、歪み崩れた床だったものが広がる。
> 破壊活動のような……
ギャグではああですけど、ヴラは基本的な性質は炎ですからね。
>>自慢にはならないが、何の因果かあたしは魔族や魔王との因縁がやたら深い。
> 本当に、自慢にならないな。
> ついでに言うと、姉ちゃんはこれまた神やら魔族やら魔王と因縁が深い(ふだん、ウエートレスなんてやっているけれど)
>>数多くの高位魔族と対峙し、そのたび感じたプレッシャーやら存在感というのに度々出くわし、慣れていたつもりでいた。
> なれてどうする!!
>>・・・・・・いや、まあ・・・・・・
>>そんなんに慣れるというのも、問題ありすぎるような気もするが。
> 自覚があって良かったです。
切り替えなければ生きていけませんからね。あの世界って…
>>高温を示す蒼い炎が出現した。
> お礼は、半分。恨みは倍返しなんて……それじゃ、リナだよ。(リナ それはどういう意味よ!!)
誰だって、攻撃しかけられたら腹たつし、普通怒ります。
> アーメン。……いや、神に殺されて神に祈るのは、ちょっとへんですけれど
リナに憑依されたあの方だって、怒り狂ってフィブリゾ滅ぼしたんだから。
>>あたしの呪文が、十人近く残っていた兵士や傭兵たちを片付けたのは、それからしばらくたってからのことである。
> 見方を変えれば、ヴラとは違う助け方をしたリナ。神でも魔にもどちらかに完璧に属さない人間だからこそ、できることでしょうか
神は魔族と相反する思考をしてますけど。
それでも、決断を下すときは人とは違う見方をしてると思います。
>>赤の竜神スィーフィードは、魔王の体を七つに断ち、封印することに成功した。
> そして、金色の魔王はそれを傍観していてたまに、発破をかけていたんでしょうね
金色の魔王は、それぞれの世界に、基本的には干渉しないと思いますよ。
>>スィーフィードはその戦いで力尽き、四つの分身を残しこの世界から消え、
>>千年前の降魔戦争において、冥王が率いる魔族たちは、人の心に封じられた魔王の一つを蘇らせ――
>>カタート山脈を守護する水竜王を滅ぼした。
> 以上、スレイヤーズの歴史でした。と、でも言うべきでしょうか。
> ま、考えて見ると冥王って策士家だよな……。大ポカミスやって滅んだけど……。
>>覇王神官ていどの魔族が、神である火竜王を殺すことなど、可能なのだろうか。
>>魔王が復活し、戦いを挑むのだったら、まだいくらか神殺しを行える機会はあるはずなのだが。
> でも、魔王はもうあとせめて自分が死ぬまでは復活しないでほしいでしょうね。リナ的には、……
> あ、でも二度あることは三度あるとも言いますよな。(リナ なんちゅー、不吉な事を!!)
>>現在この地に在るのは、水竜王の力によって封じられている北の魔王のみ。
> 通称部下S 最近、後書きでも出番が少ないがスレイヤーズせれくと4で表紙にちょこっとでれたのが嬉しいらしい。
>>もっともそれとて、魔力の氷によって閉ざされ、思うように力を振るうことはできないみたいだが。
> ついでに、L様の暇つぶし……もとい有閑な時を何とかしていてつかれている。
> 以上、kouでした。
> なんだか、大変なことになってきましたね。リーリアはいったいどうなるんでしょうか?
覇王神官は、かなりエグい手段をとっています。悪魔のような魔族です。

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35045白魔術都市狂想曲 89フィーナ 2010/2/18 21:36:26
記事番号34998へのコメント

扉を空けて目の前に開ける、飾り気のない部屋。

「・・・・・・ディーはいないみたいね」
  アストラル・サイド
「 精 神 世 界 面 にもいねぇな」

家具やテーブルの類もなく、ただ外を一望する窓ガラスが一面にあるのみ。

「どうガウリイ。なにかわかる?」

「屋敷に入る前から感じていたんだが、見えない壁かなんかで、押しつぶされそうな感じがする」

「旦那もそう感じるのか。この部屋が一番強いな」

そこから見える空は青くなく、赤と紫をごっちゃに混ぜたようなわけのわからんもんに成り果てている。

「――結界」

「千年前と同じことをやらかすつもりなのかねぇ。やつらは」

あたしがもらしたつぶやきに、答えたのはヴラだった。

「千年前って・・・・・・降魔戦争?」

「ん・・・フィブリゾが健在だったときほどのもんでもないが、俺の力も張り巡らせた神封じの結界でかなりそがれてるからな」

おそらくは、ヴラが屋敷に入った・・・・・・

いや――

それよりかなり前から、張られていたのだろう。

「どういうことだ?」

ゼルの問いに、ヴラはがしがし頭をかいて、おもむろにあたしを指差す。

「んーなんつーか・・・おめぇだろ?
あのフィブリゾが滅ぶきっかけとなった人間ってのは」

「まあね」

「なんなんだ?そのフィ・・・ってやつは?」

げしっ!

「あんたはぁぁっ! フィブリゾよフィブリゾっ!
魔王の腹心の部下の一人で冥王って呼ばれてた、高位魔族よっ! 陰険な根暗魔族で、あんたが囚われのお姫様やらされる羽目になった!」

「いや・・・だってそのときオレ覚えてないんだがつかまってたんだろ? 気がつけば、いつの間にやら終わってたみたいだし」

たしかにそうだけどガウリイ。

・・・・・・あんた、ものには言いようってものが・・・・・・

「神封じの結界は、フィブリゾが滅んで破られた。
・・・・・・だが、効力は代用できるみてぇだな」

「代用?」

「冥王が拠点にしていた滅びの砂漠。
腹心に次ぐ魔族――神官や将軍とかだな」

ヴラは皮肉めいた笑みを浮かべる。

「あいつらは上司の手足となって動く。それが直属の存在でないにしろ。
神官将軍が束になったら、腹心には劣るがかなりのもんだ。冥王がいた地で結界を張っているのは、海神官と海将軍だな」

「なぜそういいきれる?」

「視たからさ」

こともなげにいう。

「それに、結界を張るにはバランスがいる。
ひとつが弱ければいびつな形となり、俺が干渉したらすぐに破れるほどに脆くなる。
覇王将軍は一体滅び、覇王神官はいわずもがな。冥王の部下は千年前に全員滅んで、獣王には獣神官のみ。消去法でいくとそーゆーことさ」

彼女との距離は遠い。

だが、物質的な力を伴う見えない『何か』が、近づくにつれ濃くなっていく。

「それをわかっていて、なぜ動かない」

「動けないのさ。力を振るうにも制約がかかる」

「さっき使ってたわよね。力を」

「あれは引き出された力を返しただけだ。
精霊魔術など、こちらに引き出された時点で、あの炎は俺に属する。
火を利用した精霊魔術は使わんほうがいいぞ。威力は俺がいるから否応なしに増幅されるからな」

マーシュ卿の屋敷で、ヴラの衝撃姿を抹殺する際はなったあれも、
     ファイアー・ボール
先ほどの 火  炎  球 大爆発も。

攻撃呪文の威力を弱めるはずの六紡星のなか、やたら威力が大きくて不思議だったが。

そーいやアレンも火竜王がどーたらいってたし。

なるほど納得。

――などといいつつ思いつつ、あたしたちは一歩一歩あゆみを進める。

屋敷の中に入ったときとは、明らかに質が違う。

そしてそれは――

リーリアを中心に、吹き出していたのだ。

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35051白魔術都市狂想曲 90フィーナ 2010/2/23 21:16:16
記事番号34998へのコメント


緩やかな、生暖かい嫌な風が、頬を伝う。

黄土色の小さなこぶが、リーリアの鮮やかだった金の巨体を覆い隠すようにあった。

「・・・・・・リーリア」

あたしの声にも彼女は何の反応も見せず、ただただ彫刻のように微動だにせず、そこに佇む。

ゆるぉぉぉん

彼女からうめき声が聞こえたようなきがした。

顔を見合わせる。

「・・・・・・いま、なにか」

「きこえたよ・・・な・・・・・・?」

『――オガァサァァン』

今度ははっきりと聞こえた。

「・・・・・・まさか」

かすれた声でいったのは誰だろうか。

リーリアの・・・・・・声ではない。

・・・・・・そう。

たとえれば、それは――

まだ幼い――

『いたいよぉぉ』

――子供の声――

「・・・・・・こども?」

呆然とつぶやくガウリイ。

その視線はリーリアに向けられる。

「えげつねぇことしやがるっ!」

ヴラは吐き捨て、リーリア――

彼女の全身を覆うコブを睨んだ。

・・・・・・嫌悪と怒りをあらわにして。

それの正体に気づき、あたしたちは言葉を失う。

彼女の全身を覆っているものは、決して・・・・・・

決してコブなどという、生易しいものなのではなく――

・・・・・・そのひとつひとつが・・・・・・

原型とは大きくかけ離れているものの、それはまごうことなき――

・・・・・・無数の人間の顔だったのだ。








『イヤダァァァッ!』

『ダスゲテェェッ!』

それを皮切りに、次々と口を動かし叫び始める。

ぼこ・・・!

声と入れ替わるようにして、その顔はリーリアの体内にもぐりこみ、

ぼごっ!

『ジニダグナイヨォォッ!』

新たな顔が表面に浮かぶ!

その光景が、絶え間なくリーリアの中で幾度も繰り返されているのだ。

「一体どれぐらいいるんだっ!? 十や二十じゃすまないぞっ!」

不協和音を奏でる声に負けじと、大声で言うゼルガディス。

『・・・・・・オネェ・・・ヂャ』

別の顔から聞こえてきた声。

その子供の声に、先ほどの戦いから復活したアメリアは叫んだ。

「その声・・・・・・! キールさんっ!?」

「キール!?」

彼はあの時、あたしとリーリアが向かった治療施設。

養成施設の人間たちや、他のところから運び込まれた人たちと、

あたしたちの見ている前で、息を引き取ったはずである。

『ゴワイヨォォ』

ぼこ・・・

キールの声は、顔が沈むと共に、聞こえることはなくなった。

ぼこっ

そして生(は)えてきた別の顔。

絶えず入れ替わる、黄土色の小さな・・・・・・顔。

「・・・・・・因子を植え込まれ、養分となった人間の成れの果てがこれか・・・・・・!」

ゼルの憤りを抑えた声が、重々しく響いた。

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35055白魔術都市狂想曲 91フィーナ 2010/2/27 16:15:19
記事番号34998へのコメント

無数に蠢く顔。

頭から尻尾の先まである人の顔。

彼女の全身をのたうち、声なき声をあげ続け。

ごりゅっ!

肉がそりあがり、やがてそれらは互いを喰らいはじめた。

ごりゅ

ぐちゅごり・・・!

肉や骨を噛み切る音と、それに伴ってあがる異なる人の悲鳴。

・・・・・・喰いあっているのだ。

削げ落ちた肉から、また新たに人の顔が現れ、別の顔を喰らい始める。

『ギャァァアァァッ!』

みもけもよだつ絶叫が、いたるところで聞こえてきた。

ヴラは、彼女の前に降り立つ。

るぉぉ・・・お・・・おん

低く、旋律にも似た咆哮をあげる。

これは――

以前聞いたことのある火竜王の――咆哮。

アメリアは、びくりと身を震わせた。

大きな力の流れを感じ取って。

閉じられていたリーリアのまぶたが、ぴくりと反応し――

「リナ・・・ちゃん?」

焦げ茶色がかった金の目は、ゆっくりとあたしにむけられていた。







「・・・・・・なにをしたんだ」

「なにって、ただリーリアの意識をこちらに浮上させただけだ」

ゼルの問いに、ヴラはそう答えた。

あたしは、互いを喰らいあっている顔たち。

・・・・・・リーリアの体で行われている・・・・・・

互いを喰らいあう顔たちを見た。

食い荒らされたところからは、顔の形をした肉片と。

そこからおびただしいほどの、出血した跡が存在していた。

「リナちゃん・・・お願いがあるの」

「・・・・・・なに」

逡巡したあと、リーリアは目を伏せて、

「私の意識があるうちに・・・私を」

きつく目を閉じて、彼女は言った。

「私を・・・・・・私を殺して」

先ほどのヴラの咆哮で、喰いあっていた顔たちは鳴りを潜めたが。

・・・・・・それも、いつまでもつか。

「あんた・・・・・・自分で何を言ってるのか」

「わかってるわ」

悲しそうに顔を歪ませて、うなずいた。

色褪せた翼をゆっくりと羽ばたかせて、彼女は苦しそうに息を吐き。

「私だって本当は・・・・・・まだ死にたくないわ。
火竜王様の御力のおかげで、あらぶる魂たちを抑えて、こうしてまだいられるけど」

「だったらなおさらのこと!
生きたいんなら、足掻いて生き残んなさいっ!」

あたしの叱咤に、彼女は微笑み、

「・・・・・・リナちゃんなら・・・・・・そういうとおもった」

じゃぐっ!

肉片が盛り上がり、人の顔となってまた互いを喰らい始めた。

おお・・・ぉぉんっ・・・!

沸き起こる激痛に、彼女は咆哮を上げた。

苦しさを紛らわせるためなのか。
      レーザー・ブレス
彼女の 閃 光 の 吐 息 は、天井の床をぶちぬいた!

「ヴラさんっ! あなたの力で何とかならないんですかっ!?」

「一度混ざってしまったものを、再び同じものに戻すことは、容易なことではない」

「可能なのかっ!?」

「合成されたものの要素を、特徴ずつに取り分けていけば、あるいは。
・・・・・・キメラにされたそこの人間にも言えるが」

ヴラは、視線をリーリアに向けた。

喰いあっていた顔は、その数を減じはじめ、

顔が喰いあう度に、彼女を取り巻く空間の密度が濃くなっていった。

「そう簡単に楽になろうと・・・・・・死を選ぶなんて、
・・・・・・あたしは――あたしは許さないわよっ!」

「・・・・・・ごめんね」

疲れを宿したその声には、覚えがあった。

――・・・・・・すまねえ・・・・・・な・・・・・・――

最期に彼が、誰かに向けてはなった言葉。

あたしたちにむけてだったのか。

それとも彼女に向けての言葉だったのか。

――それは定かではないが。

「もう・・・・・・私の意識も、あらぶる魂たちに呑み込まれて」

「リーリア!」

喰いあっていた顔も、残り少なくなり。

「おいみろ! 身体がっ!」

その異変に真っ先に気づいたのは、ガウリイだった。

ガウリイは、声を上げ彼女を指差す。

鮮やかだったその巨体が、徐々に黒く染まり始めたのだ。

川に墨汁を注ぎ、色が変わっていくのと同じように。

「・・・・・・因子か。
喰いあっていた魂たちと結合し始めたな」

ヴラは聞き取れないほど小さな声でつぶやいた。

「生きることを願いつつ、死ぬことを望むか」

・・・・・・ヴラは、

「存在している以上、矛盾は起こる。
植物であれ人であれ、矛盾が生じるのは存在しているからこそ」

言いあらわすには表現できないような、

・・・・・・複雑な顔を浮かべる。

彼は一歩。

リーリアに近づいた。

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35061Re:白魔術都市狂想曲 91セス 2010/3/9 22:36:01
記事番号35055へのコメント

こんばんは、お久しぶりです。

>
>ごりゅっ!
>
>肉がそりあがり、やがてそれらは互いを喰らいはじめた。
>
>ごりゅ
>
>ぐちゅごり・・・!
>
>肉や骨を噛み切る音と、それに伴ってあがる異なる人の悲鳴。
>
>・・・・・・喰いあっているのだ。
>
>削げ落ちた肉から、また新たに人の顔が現れ、別の顔を喰らい始める。
>
>『ギャァァアァァッ!』
>
>みもけもよだつ絶叫が、いたるところで聞こえてきた。
屍肉呪法に似たグロテスクさですね・・・
>「リナちゃん・・・お願いがあるの」
>
>「・・・・・・なに」
>
>逡巡したあと、リーリアは目を伏せて、
>
>「私の意識があるうちに・・・私を」
>
>きつく目を閉じて、彼女は言った。
>
>「私を・・・・・・私を殺して」
>
>先ほどのヴラの咆哮で、喰いあっていた顔たちは鳴りを潜めたが。
>
>・・・・・・それも、いつまでもつか。
>
>「あんた・・・・・・自分で何を言ってるのか」
>
>「わかってるわ」
>
>悲しそうに顔を歪ませて、うなずいた。
>
>色褪せた翼をゆっくりと羽ばたかせて、彼女は苦しそうに息を吐き。
>
>「私だって本当は・・・・・・まだ死にたくないわ。
>火竜王様の御力のおかげで、あらぶる魂たちを抑えて、こうしてまだいられるけど」
>
>「だったらなおさらのこと!
>生きたいんなら、足掻いて生き残んなさいっ!」
でも実際、こんな目にあったらいっそ殺してくれ、て言いたくなりますよね。
>あたしの叱咤に、彼女は微笑み、
>
>「・・・・・・リナちゃんなら・・・・・・そういうとおもった」
>
>じゃぐっ!
>
>肉片が盛り上がり、人の顔となってまた互いを喰らい始めた。
>
>おお・・・ぉぉんっ・・・!
>
>沸き起こる激痛に、彼女は咆哮を上げた。
>
>苦しさを紛らわせるためなのか。
>      レーザー・ブレス
>彼女の 閃 光 の 吐 息 は、天井の床をぶちぬいた!
>
>「ヴラさんっ! あなたの力で何とかならないんですかっ!?」
>
>「一度混ざってしまったものを、再び同じものに戻すことは、容易なことではない」
>
>「可能なのかっ!?」
>
>「合成されたものの要素を、特徴ずつに取り分けていけば、あるいは。
>・・・・・・キメラにされたそこの人間にも言えるが」
>
>ヴラは、視線をリーリアに向けた。
>
>喰いあっていた顔は、その数を減じはじめ、
>
>顔が喰いあう度に、彼女を取り巻く空間の密度が濃くなっていった。
>
>「そう簡単に楽になろうと・・・・・・死を選ぶなんて、
>・・・・・・あたしは――あたしは許さないわよっ!」
>
>「・・・・・・ごめんね」
>
>疲れを宿したその声には、覚えがあった。
>
>――・・・・・・すまねえ・・・・・・な・・・・・・――
>
>最期に彼が、誰かに向けてはなった言葉。
>
>あたしたちにむけてだったのか。
>
>それとも彼女に向けての言葉だったのか。
>
>――それは定かではないが。
>
>「もう・・・・・・私の意識も、あらぶる魂たちに呑み込まれて」
>
>「リーリア!」
>
>喰いあっていた顔も、残り少なくなり。
>
>「おいみろ! 身体がっ!」
>
>その異変に真っ先に気づいたのは、ガウリイだった。
>
>ガウリイは、声を上げ彼女を指差す。
>
>鮮やかだったその巨体が、徐々に黒く染まり始めたのだ。
>
>川に墨汁を注ぎ、色が変わっていくのと同じように。
>
>「・・・・・・因子か。
>喰いあっていた魂たちと結合し始めたな」
>
>ヴラは聞き取れないほど小さな声でつぶやいた。
>
>「生きることを願いつつ、死ぬことを望むか」
>
>・・・・・・ヴラは、
>
>「存在している以上、矛盾は起こる。
>植物であれ人であれ、矛盾が生じるのは存在しているからこそ」
魔族から見れば、それは支離滅裂で醜悪なもの、にしか見えないですよね。

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35065Re:白魔術都市狂想曲 91フィーナ 2010/3/12 19:11:40
記事番号35061へのコメント


>こんばんは、お久しぶりです。
こんばんは。
この回かなりエグいです。
描写的にはホラー。
>>みもけもよだつ絶叫が、いたるところで聞こえてきた。
>屍肉呪法に似たグロテスクさですね・・・
魔の海のキメラをモデルにして、あとある作品の影響も。
>>「リナちゃん・・・お願いがあるの」
>でも実際、こんな目にあったらいっそ殺してくれ、て言いたくなりますよね。
辛いですよ。この拷問みたいな仕打ち。
>>鮮やかだったその巨体が、徐々に黒く染まり始めたのだ。
>>川に墨汁を注ぎ、色が変わっていくのと同じように。
>>「・・・・・・因子か。
>>喰いあっていた魂たちと結合し始めたな」
>>「存在している以上、矛盾は起こる。
>>植物であれ人であれ、矛盾が生じるのは存在しているからこそ」
>魔族から見れば、それは支離滅裂で醜悪なもの、にしか見えないですよね。
ディーからみればそうですね。
覇王神官の役割は、大元は二つ。
これはどちらも実行しています。因子の件と、神をこの地へと……

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35067白魔術都市狂想曲 92フィーナ 2010/3/17 17:55:14
記事番号34998へのコメント


「・・・・・・どうするつもりなんですか?」

アメリアの問いに、ヴラはただこう答えた。

「きまってるだろ」

「リーリアさんの意識はまだあるんですよっ!?」

「意識があるうちに殺してくれっていってるんだ。
それとも、おめぇはリーリアの思いを無駄にするつもりか」

「わたしはそれでも、リーリアさんに生きてて欲しいんです!
まだやりたいことも、楽しいこともあるのに。それにまだ、助かるかもしれないじゃないですか!」

リーリアを庇うように、前に出るアメリア。

「どけ。アメリア」

「どきません」

「魔族の因子を植え込まれた人間たちも、もう喰いつくされてる。
その数は十人やそこらじゃねぇ。そいつらの魂も、魔族の呪縛から解き放ってやらねぇと」

ヴラが視線を向けた先には、リーリア。

そして、リーリアの中で互いを喰らいあいながら、助けを求めるおびただしい人の顔。

「俺がさっきリーリアの意識に呼びかけても、反応したのは僅かな時間だけだった。
・・・・・・残された時間は少ねぇ。そんな状況でどうやって救えるってんだ」

「でも!」

「アメリア・・・ちゃん・・・・・・」

「リーリアさんっ!?」

黒に染まりつつある巨体をかすかに動かし、口を開くリーリア。

「ありが・・・とう。
私のために、ヴラバザード様を相手に、そこまで言ってくれて」

「駄目ですっ! しゃべっちゃ!」

「ううん。お願い。
最後まで言わせて。アメリアちゃん」

尻尾から胴体。

そして翼の部分は黒に染まりきり、リーリア本来の鮮やかな黄金(こがね)の場所は。

長い首から頭までとなっていた。

「里を降りて、人間社会に触れて。
はじめは私たちと違う習慣や文化になじめずにいたし、なじめない部分もあったけど」

じわじわと、侵食するように漆黒が彼女を蝕んでいく。

「人間の友達もできて、アメリアちゃんが結成した親衛隊に入って、リオ君の追っかけをしたり。
かっこいいリオ君が実は女の子で、可愛いリナちゃんだったり。竜たちの峰にいたら、絶対経験できないようなことを知ることができて・・・・・・本当に楽しかった」

「・・・・・・リーリアさん」

言葉に出すこともできずに、アメリアは強くこぶしを握った。

「・・・・・・そんな顔しないで。アメリアちゃん。
女の子は誰だって笑顔が一番可愛いんだから。だから・・・・・・ね?」

諭すように、やさしく笑うリーリア。

「・・・・・・リーリア」

「・・・・・・リナちゃん。
私のことを正面から見てくれて・・・ありがとう。
友達としてでも、私のことを考えてくれて・・・・・・うれしかった」

「ん・・・まあ。
そういう感情もたれて、ちょっと反応に困ったけど」

「リナちゃん・・・・・・正直」

「でも、なんつーか・・・・・・素直に好意を寄せてくれて。
慕ってくれて悪い気はしなかったわ。あたしが男だったら惚れてた可能性もあったかもしんないし」

「・・・・・・ほんと?」

「いっとくけどたとえば! たとえば、もしかしたらのはなしよっ!」

「うれしい」

そのあたりの事情を知らないゼルは、怪訝そうな顔をしている。

リーリアは、ゆっくり目を閉じ、

「・・・・・・あのねリナちゃん」

「・・・・・・なに」

「知ってると思うけど」

目を閉じていたリーリアは、あたしをみつめ泣きたくなるような笑顔を見せた。

漆黒の部分は残すは、リーリアの頭だけとなり。

「大好き・・・・・・だったよ」

しゅん・・・

その言葉と共に、リーリアは完全に黒へと染まった。

・・・・・・そして――

「――この時を待っていたヨ」

から・・・ん

リーリアが持っていた小箱が、地面にこぼれ落ち。

誰かにプレゼントするつもりだったのだろうか。

床に落ちた弾みで小箱から顔を覗かせた、中々洒落たネックレスのルビーが、反射して赤い光を放っていた。


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35068Re:白魔術都市狂想曲 92kou 2010/3/19 09:58:24
記事番号35067へのコメント

 お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
>「里を降りて、人間社会に触れて。
>はじめは私たちと違う習慣や文化になじめずにいたし、なじめない部分もあったけど」
 ま、ドラゴンの一般常識と人間の一般序しきって違うでしょうし……、なによりもギャグのセンスがあまりにも違うし……
>じわじわと、侵食するように漆黒が彼女を蝕んでいく。
>
>「人間の友達もできて、アメリアちゃんが結成した親衛隊に入って、リオ君の追っかけをしたり。
>かっこいいリオ君が実は女の子で、可愛いリナちゃんだったり。竜たちの峰にいたら、絶対経験できないようなことを知ることができて・・・・・・本当に楽しかった」
 追っかけとか、レズに目覚めかけるのが楽しいですませていいのかな? と、言うのは野暮ですかね
>「・・・・・・リーリアさん」
>
>言葉に出すこともできずに、アメリアは強くこぶしを握った。
>
>「・・・・・・そんな顔しないで。アメリアちゃん。
>女の子は誰だって笑顔が一番可愛いんだから。だから・・・・・・ね?」
 これ、男の台詞だと思いますが……とはいえ、こういう状況で男が言ったらそれはそれで、お前はホストかと言いたいな……。
>諭すように、やさしく笑うリーリア。
>
>「・・・・・・リーリア」
>
>「・・・・・・リナちゃん。
>私のことを正面から見てくれて・・・ありがとう。
>友達としてでも、私のことを考えてくれて・・・・・・うれしかった」
 ま、たしかにそういう目で見る相手というのは距離を置いたり不気味がッ足りするのが普通だしな
>「ん・・・まあ。
>そういう感情もたれて、ちょっと反応に困ったけど」
>
>「リナちゃん・・・・・・正直」
 正直だなー。リナ。 小言う言う状況ですら、リーリアあきれているぞ
>「でも、なんつーか・・・・・・素直に好意を寄せてくれて。
>慕ってくれて悪い気はしなかったわ。あたしが男だったら惚れてた可能性もあったかもしんないし」
>
>「・・・・・・ほんと?」
>
>「いっとくけどたとえば! たとえば、もしかしたらのはなしよっ!」
>
>「うれしい」
>
>そのあたりの事情を知らないゼルは、怪訝そうな顔をしている。
 はっはっは。後で、聞いてみれば……。……もれなく、リナの拳が付いてきそうだな。
>「――この時を待っていたヨ」
 出たな、諸悪の根源
 しかし、相も変わらず趣味の悪い魔族だ。
 おまえは、カマドウマを足を長くした感じと言われた魔族か!!
 以上、kouでした。

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35069Re:白魔術都市狂想曲 92フィーナ 2010/3/25 16:31:46
記事番号35068へのコメント

> お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
こんにちは。ここ数日風邪引いて寝込んでいます。のどが痛いです。
>>「人間の友達もできて、アメリアちゃんが結成した親衛隊に入って、リオ君の追っかけをしたり。
> 追っかけとか、レズに目覚めかけるのが楽しいですませていいのかな? と、言うのは野暮ですかね
追っかけはとにかく、後半はリナのほうに非があると思います。
>>「――この時を待っていたヨ」
> 出たな、諸悪の根源
> しかし、相も変わらず趣味の悪い魔族だ。
悪趣味は魔族全般に言えるかも。
ゼロスも悪趣味なところがありますし。

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35070白魔術都市狂想曲 93フィーナ 2010/3/29 18:59:26
記事番号34998へのコメント


影から闇が生まれた。

影より暗く、深淵の黒が――

漆黒は鞭のように鋭くしなりをあげ、幾重にも細い糸のようにうねりたゆたう。

ぶわっ・・・!

彼女の影から、すわ蠢く髪が意思を持ったかのような黒い闇は、あたりを侵食し始めた。

ゆらり・・・

束になって襲い掛かってきた黒い何かは、時折その先端をゆらめかせる。

そしてそのたびに短い火花が散るのだ。

どうやらヴラが、ほとんどの触手からあたしたちを、ガードしてくれてるらしい。

触手もどきの大まかが、消滅した形であらわれてはリーリアの影にもぐりこみ。

そしてまた出てくるのだ。

・・・・・・どうやら黒い触手もどき。

あれはどうやらリーリアを媒体にしているらしい。

物理面から実体しているところからあの触手。
 アストラル・サイド
 精 神 世 界 面 と物理面から、同時に仕掛けているようである。

・・・・・・その攻撃のほとんどが、ヴラへと向けられているものの・・・・・・

あたしたちに攻撃は来ないわけではない。

なんとかかわして、呪文を唱え――
  ディスラッシュ
「 烈 閃 牙 条 !」

触手を撃退しているものの、さっきからその繰り返しである。

とんっ

「うわっとと」

足元をすくわれバランスを崩しかける。

みると髪の毛のように細くしなった触手に、足を引っ掛けられたのだ。
  ラ・ティルト
「 崩 霊 裂 っ!」

こう・・・っ!

アメリアの放った蒼い火柱がこちらに迫った触手を吹き飛ばした!

「こいつらキリがないぞ!」

斬撃をくわえつつ、ガウリイは吠える。

津波のように高く波打った触手が、獲物を見つけたかのように次々ガウリイに襲い掛かった!

ヴラがちいさな動作をした途端――

ぼぅっ!

ガウリイに襲いかかろうとした触手の大元が燃え上がった。

行き場をなくしたかのように触手はリーリアへと流れ込み、再び漆黒の槍となってこちらに襲い掛かった。

背中合わせで向かい合う。

「イタチごっこだな。これじゃあ」

「ちがいない」

ガウリイのつぶやきにゼルも同意する。

「しかたねぇ。本体を引きずり出すか」

「本体?」

「ちょいと手荒にいくぞっ!
てめぇら死にたくなかったら防御しとけよっ!?」

ちょいまて!

あんたがいうとシャレになんねぇっ!

「ゼル! アメリア!
一箇所に集まって! それぞれ結界と強化に専念っ!」

指示を出すと同時、あたしとガウリイは二人のもとへと走り出す!

走りながらも呪文を唱え、スライディングして合流する。

入り込むと同時、最初にアメリアの呪文が完成した。

アメリアが防御結界。

ゼルがそれに風をまとわせ。

あたしはさらに防御の層を増幅させた。

・・・・・・これで多少は持ちこたえられるか?

「もつのか!?」

ガウリイの問いに、あたしはこうこたえるしかなかった。

「何もないよりはマシよっ!」

「リナ! 衝撃が来るわっ!」

「防御に専念しろっ!」

遠目からみてもはっきりとわかるほど、ヴラからひときわ強い揺らぎが広がった。

どんっ・・・!

幾重にも張り巡らした結界をものともせず、衝撃があたりを襲った。

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35076白魔術都市狂想曲 94フィーナ 2010/4/3 16:57:49
記事番号34998へのコメント

「・・・・・・っう・・・く」

あたしはかるく頭を振り、あたりをみわたす。

黒く侵食されていたあの部屋は、先ほどの衝撃で跡形もなくなくなっていた。

「ガウリイ・・・・・・埋もれてるけど、だいじょーぶ?」

隣であたしを庇う形で倒れていたガウリイに声をかける。

「なんとかな」

瓦礫の中からくぐもった返事を返すガウリイ。

「ゼルは?」

アメリアに回復呪文を使っていたゼルは、一旦呪文を中断し、こちらに視線を向けた。

擦り傷は目立つが、いまだ跡の残る岩の肌のおかげか、大した怪我はしていないようである。

「おれは無事だ。だがアメリアが全身を強打したみたいだ」

あたしは気絶しているアメリアに視線を移す。

いくら鋼鉄並みに頑丈とはいえ、回復するまで時間がかかるだろう。
       リカバリィ
アメリアに 治  癒 をかけているゼルを横切り、崩れ落ちた壁の向こうへと顔を出す。

そこにあった屋敷の半分が崩れ、突き抜けた天井には空が浮かんでいた。

そして対峙するようにヴラと、半身を抉り取られたディーの姿。

「さて。覇王神官よ。
人間の魂に魔族の因子を植え付け集め、肉体から離れた魂を喰いあわせるってところまではよかったんだが。
・・・・・・俺相手に、てめぇじゃ役者不足だったようだな」

空間を渡ろうと、闇に溶け込もうとするディーに、ヴラから立ち昇る陽炎が、見えない刃のようにディーを切断した。

「シャブラニグドゥあたりなら俺を滅ぼせたかもしれねぇが、てめぇ相手じゃ話になんねぇよ」

「・・・・・・たしかニ、ボク程度の魔族がキミを滅ぼすことは難しいけどネ、かすり傷程度ならつけることはできるヨ」

半身を失って追い詰められているはずなのに、ディーはふてぶてしく笑った。

「ずいぶん強気に出たな。最後のあがきってやつか?」

「ボクが何故この町で行動を大きくしたと思ウ?
・・・・・・それはキミをこの町にとどめさせておくためサ。
ボクたちが大掛かりに動けバ、キミの性格ならにらみを利かせるためにとどまると踏んでネ」

ディーはこちらに視線を向ける。

「リナ=インバース。キミはこの町の地形は勿論知ってるよネ」

「この町自体が巨大な六紡星をかたどっているため、魔力的な結界により、攻撃魔術はその威力をそがれる。
あんたたち魔族も例外ではなく、レッサー・デーモンくらいなら呼び出されたとしても十分な力は発揮できない。
まぁ、もっともあんたたち高位魔族なら、多少力をそがれるけど、それほど支障をきたすことはない・・・・・・でしょ」

「その通りだヨ。
おかげで多少動いてもキミたちに気づかれず動くことができたんダ」

「あちこちで因子を植えつけ、肉体から魂を引き抜いて別の強靭な肉体に魂を定着させて、セイルーンの結界で中和されるのを防いだってわけね」

アルベルト卿の野心に付け込んで、隠れみのにしたのも発見を遅らせた。

あたしの隣にたち、ガウリイは剣を向ける。

「だけどそれもここまでのようね」

ディーは突然声を上げ、狂ったように笑い始めた。

「何か勘違いしてないかイ? いったはずだヨ!
ボクが神に傷をつけることぐらいは可能だっテッ! ――ツゥドルクっ!」

ディーがその名を呼んだ。

刹那――

どくんっ!

黒く染まった彼女の全身から、凝縮された闇が広がった。

ぼん・・・

音をたて、四散する竜の肉体。

広がる闇の圧力に耐え切れず、その巨体は崩壊をはじめ――

「リーリア!」

あたしの声もむなしく、彼女がいた痕跡を残すことなく、そこには僅かな残骸が残るのみ。

・・・・・・そして――

――リーリアの肉体を離れ、広がった闇が――

覇王神官の声にこたえるように、ヴラへと迫り――

るおぉぉぉ・・・おぉぉん・・・・・・

火竜王の苦悶の咆哮が、その場に木霊したのだった。

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35081白魔術都市狂想曲 95フィーナ 2010/4/7 18:43:36
記事番号34998へのコメント

凝縮された闇は、ヴラへと進入を果たそうと、そのばにわだかまる。

ばしゅっ!

反発するかのように、ヴラと、その闇を阻むように激しい火花が交差した。

ディーは会心の笑みを浮かべ、大きく腕を振り上げた。

「ツゥドルク!」

闇はディーの手に集まり、漆黒の杖をかたどる。

「いくらキミでもツゥドルクに吸収させた虫けら並みに多くいる人間たちの魂ト、ボクたち魔族の因子。
呪法によって魂を喰いあわセ、それらに耐えうる苗床――竜の肉体とキミたち竜王の眷属でもある竜族の属性――
ボク以外のほとんどの高位魔族ハ、神封じの結界の代用として各地に配置することデ、一時的でもキミの力を抑えることに成功しタ」

ぼろりと、ツゥドルクが砂のように崩れていく。

「・・・・・・ボク程度では決定打にはならないけどネ。
それでも有効な手段であることは証明できタ。キミの中に入った粗悪な魂たちハ、永い時間をかけていずれキミを滅ぼス――」

言葉は最後まで続かなかった。

ヴラから広がった波動は、物質的な破壊の力となって覇王神官を襲ったのだ。

どんっ!

「・・・・・・っ!」

頭を吹き飛ばされてもがくディー。
         プリースト
「説明どーも 覇王神官 。
――俺はそんなにヤワにみえんのかねぇ。
まぁそれでも多少はきいたが・・・・・・二度目はねぇとおもいな」

ヴラはしなやかな獣を思わせる、獰猛な笑みを浮かべた。

「魂・・・・・・! まだ魂が足りなイ!
ボク自身のちからでもう一度ダ! ここにある人間の魂を使っテ――」

「・・・・・・んっ」

意識を取り戻したアメリアのうめき。

頭がないのでよく分からないが、気配から察するにディーはどうやらアメリアに狙いを定めたようだった。

させるかっ!



――黄昏よりもなお昏き
  紅き闇を統べる王――



ディーは頭がない状態のまま、アメリアと彼女に回復呪文を終えたゼルガディスのほうに踊りかかった。
 ゴズ・ヴ・ロー
「 冥 壊 屍 !」

ゼルガディスのいる大地から影がのび、その影は一直線にディーへと突き進む。

ディーから生まれた光弾とぶつかり、霧散する影。

「おおおぉぉっ!」

ガウリイの一閃をかわし、すかさず魔力球をうちこむディー。

魔力球を紙一重でよけたガウリイに、ディーが先ほど生み出した魔力球がいくつかに分裂し、ガウリイへと襲い掛かった。

「くっ!?」

数十発ちかくに分裂したそれらを、剣で弾き飛ばし、あるいは身をねじって。

それでもそのうちのいくつかが、ガウリイの腕を、足を貫いた。

その場に倒れこむガウリイ。


――我と汝が力持て
  滅びの刃を今ここに――


そしてあたしの呪文が完成した。
 ルビーアイ・ブレード
「 魔  王  剣 !」
ルビーアイ
赤眼の魔王 の力を借り、赤い刃をディーへと振り下ろす!

ディーが生み出した光弾を叩き落し、振り落とされた刃はディーの上半身とを上下に切り離した。

ゆるおぉぉぉん・・・っ!

ディーから発生した衝撃波に吹き飛ばされ、あたしは地面へと叩きつけられた。

あたしの一撃を受けてもまだディーは滅びていない。

ならこれでどうだ!?

ショート・ソードに組み込み、アメリアが放った呪文の一部をチャージしておいたストック・ジュエルを取り出す。

素早くディーへと投げつけ、あたしは『力ある言葉』を口にした。
 ラ・ティルト
「崩 霊 裂 !」

こぅっ!

蒼白い光の柱がディーを包み込む。
  ルビーアイ・ブレード
まさか 魔  王  剣 のあと、詠唱なしにあたしに術を仕掛けられるとは想定していなかったらしく、

あたしの不意打ち同然に放った術は、まともにディーを包み込み――

ぱきぃぃんっ!

術の負荷に耐え切れず、ストック・ジュエルは音を立てて砕け散った。

そして光の柱が消えた後、覇王神官の姿は一瞬だけその姿を保ち・・・・・・

ぶち砕かれた頭と体とが、青黒い液体となって大地へと吸い込まれるように薄れてゆき。

みるみるうちにこの地から消えていく。

それが――

覇王神官ディーの最期だった。

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35082Re:白魔術都市狂想曲 95kou 2010/4/15 19:56:11
記事番号35081へのコメント

 お久しぶりです。フィーナさんkouです
>凝縮された闇は、ヴラへと進入を果たそうと、そのばにわだかまる。
>
>ばしゅっ!
>
>反発するかのように、ヴラと、その闇を阻むように激しい火花が交差した。
>
>ディーは会心の笑みを浮かべ、大きく腕を振り上げた。
>
>「ツゥドルク!」
>
>闇はディーの手に集まり、漆黒の杖をかたどる。
 呼べばくるってなんか、犬みたいだな。
>「いくらキミでもツゥドルクに吸収させた虫けら並みに多くいる人間たちの魂ト、ボクたち魔族の因子。
>呪法によって魂を喰いあわセ、それらに耐えうる苗床――竜の肉体とキミたち竜王の眷属でもある竜族の属性――
>ボク以外のほとんどの高位魔族ハ、神封じの結界の代用として各地に配置することデ、一時的でもキミの力を抑えることに成功しタ」
 たぶん、ほんの一瞬にしか過ぎないんでしょうね。いくら何でも、冥王の開いた穴を埋めるのは無理だったと言ったところでしょうか。
 こう考えると、つくづく迷惑な滅び方をしたんだなぁ。冥王
>ぼろりと、ツゥドルクが砂のように崩れていく。
>
>「・・・・・・ボク程度では決定打にはならないけどネ。
>それでも有効な手段であることは証明できタ。キミの中に入った粗悪な魂たちハ、永い時間をかけていずれキミを滅ぼス――」
 気の長い作戦だな……。おい
>言葉は最後まで続かなかった。
>
>ヴラから広がった波動は、物質的な破壊の力となって覇王神官を襲ったのだ。
>
>どんっ!
>
>「・・・・・・っ!」
>
>頭を吹き飛ばされてもがくディー。
>         プリースト
>「説明どーも 覇王神官 。
>――俺はそんなにヤワにみえんのかねぇ。
>まぁそれでも多少はきいたが・・・・・・二度目はねぇとおもいな」
>
>ヴラはしなやかな獣を思わせる、獰猛な笑みを浮かべた。
>
>「魂・・・・・・! まだ魂が足りなイ!
>ボク自身のちからでもう一度ダ! ここにある人間の魂を使っテ――」
 二度目はないと言われただろうが!! ガウリィだって覚えていられる時間だぞ
>「・・・・・・んっ」
>
>意識を取り戻したアメリアのうめき。
>
>頭がないのでよく分からないが、気配から察するにディーはどうやらアメリアに狙いを定めたようだった。
 頭がないって……んな、ハンスじゃないんだから……(アニメ版参照)
 相手をまだ甘く見ていたようですね。ナーガの服装に感動する所は思いっきり変ですが、腐っても(腐っているのか?)神ですからね。
 そろそろ、最終回になりそうでどきどきしています。
 以上、kouでした。

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35083Re:白魔術都市狂想曲 95フィーナ 2010/4/16 15:44:07
記事番号35082へのコメント


> お久しぶりです。フィーナさんkouです
こんにちは。おひさしぶりです。
>>闇はディーの手に集まり、漆黒の杖をかたどる。
> 呼べばくるってなんか、犬みたいだな。
ツゥドルクはリーリアの中にありましたから。
>>「いくらキミでもツゥドルクに吸収させた虫けら並みに多くいる人間たちの魂ト、ボクたち魔族の因子。
>>呪法によって魂を喰いあわセ、それらに耐えうる苗床――竜の肉体とキミたち竜王の眷属でもある竜族の属性――
>>ボク以外のほとんどの高位魔族ハ、神封じの結界の代用として各地に配置することデ、一時的でもキミの力を抑えることに成功しタ」
> たぶん、ほんの一瞬にしか過ぎないんでしょうね。いくら何でも、冥王の開いた穴を埋めるのは無理だったと言ったところでしょうか。
一時的とはいえ、神々の力をそごうとしたんです。
> こう考えると、つくづく迷惑な滅び方をしたんだなぁ。冥王
>>ぼろりと、ツゥドルクが砂のように崩れていく。
>>「・・・・・・ボク程度では決定打にはならないけどネ。
>>それでも有効な手段であることは証明できタ。キミの中に入った粗悪な魂たちハ、永い時間をかけていずれキミを滅ぼス――」
> 気の長い作戦だな……。おい
精神体である魔族にとって、時間という概念はあまり関係ないと思うので。
>>頭を吹き飛ばされてもがくディー。
>>「説明どーも 覇王神官 。
>>――俺はそんなにヤワにみえんのかねぇ。
>>まぁそれでも多少はきいたが・・・・・・二度目はねぇとおもいな」
>>「魂・・・・・・! まだ魂が足りなイ!
>>ボク自身のちからでもう一度ダ! ここにある人間の魂を使っテ――」
> 二度目はないと言われただろうが!! ガウリィだって覚えていられる時間だぞ
ヴラに畏怖したため、不安と恐怖をごまかすようにいってます。
>>頭がないのでよく分からないが、気配から察するにディーはどうやらアメリアに狙いを定めたようだった。
> 頭がないって……んな、ハンスじゃないんだから……(アニメ版参照)
ヴラに頭を吹き飛ばされました。
> 相手をまだ甘く見ていたようですね。ナーガの服装に感動する所は思いっきり変ですが、腐っても(腐っているのか?)神ですからね。
他にも絶対的な自信とか気品とか、常人には理解できない変なオーラを感じ取ったんでしょう。
> そろそろ、最終回になりそうでどきどきしています。
最終章には違いありませんが、最終回にはまだ遠いです。
ナーガが言っていたあるセリフにご注目。はっていた伏線も表に出てきます。

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35084白魔術都市狂想曲 96フィーナ 2010/4/16 17:33:43
記事番号34998へのコメント


「・・・・・・ふぅ」

ヴラは、どっかと腰を下ろした。

ディーが滅び、だいぶ時間がたったあとの事である。

「とはいえ、こたえるわなぁこれ。
・・・・・・覇王神官ごときと、少し侮ってたな」

いって胸の部分にめをやる。

その中心に、黒いあざのような小さな点が目に付いた。

「それって・・・・・・さっきディーが仕掛けた?」

「ん? まぁな。
やっぱある程度、ハッタリかませねきゃいかんわ。
さっきまで、こちらの様子を視ていたやつもいたからな」

「いいの? 追わなくて」

「別にいいんじゃねぇの」

あっけらかんとした調子で、ヴラはいう。

「視てたやつは覇王神官より、そこそこ力のある魔族みてぇだったし。
あちらさんとしては計画が失敗したってことを流させたほうが、こちらとしては都合がいいからな」

「そう」

「それよか、あんたらのほうは大丈夫か。
俺はタフだからいいが、人間であるおめぇたちにはきついだろ」

「そうでもないわよ」

あたしが視線を向ける先。

瓦礫を押しのけやってくるガウリイ。

かなり離れた場所にはゼルガディスとアメリア。

「ね?」

「なるほど」

よっこらしょと、立ち上がるヴラ。

「なら心配ねぇか」

「リナ。終わったのか?」

「なんとかね」

ガウリイの言葉にうなずくあたし。

「それよりヴラ。あんたそれどうするつもり?」

「これか?」

いって胸を指差すヴラ。

「まぁ。なんとかなるさ」

・・・・・・なんとも楽天的というか、マイペースなやつである。

「・・・・・・そんなわけあるか」

地の底からひびくような、低い声が上がった。

声の主は、瓦礫の中から、ゆらりと立ち上がった。

「・・・・・・そもそもこの地に来た理由が観光で、魔族の動向を探る視察はついでだということだけでも情けないというのに」

何かを押し殺すような、内心湧き起こる怒りを抑えるような声を続ける。

「・・・・・・それだけなら、あの方も時折抜け出してやっていたことだから、百歩譲ってまだよしとするが」

いいんだそれ。

「・・・・・・いうにことかいて、『私』に日ごろたまった愚痴を聞いてもらうためだと?」

へっ? いま『私』って・・・・・・?

「・・・・・・剣士。すまぬが、しばし借りるぞ」

「えっ? けどあんた」

ガウリイは戸惑った様子だったが、おとなしく剣を渡した。

ヴラは、何かに気づいたように、ぽむっと、手を打った。

「その喋り方。まさかラー――」

ぼぐぉっ!

みなまで言うよりも早く、ヴラは華麗なまでに空をまった。

見事なフォームでスイングした、ブラスト・ソードが陽光を浴びてキラリとひかった。

どさりと地面に落下したヴラ。

「てめぇいきなりなにするんだ!」

「・・・・・・やかましいわヘッポコ竜王」

躊躇することなく、剣のきっさきをヴラにむける。

ざく

「あいたっ!」

「・・・・・・ただでさえ魔族は巻き返しを図ろうとしているところを、仮にも竜王がおのぼり気分で観光に来てどうする」

ざくざく

「いでででっ! ブラスト・ソード食い込んでるくいこんでるってっ!
そんなこといわれたって・・・いででっ! だいたいてめぇ死んだんじゃねぇのかよっ!?」

「・・・・・・覇王神官が余計な干渉をしたせいで、偶然にしろ一時的に私が出て来たに過ぎん」

無表情のまま、ヴラをざっくざっくと刺しまくる。

「いでででっ! まじで痛っ!
メンゴメンゴっ! ラーディめんごっ!」

軽いノリのヴラに、

「・・・・・・誠意が感じられん」

「だからごめんって・・・いだだだっ!」

もはやどつき漫才にしかみえなくもないその光景に、あたしは完全に引いていた。

その様子を、あたしの隣でボケーと、眺めていたガウリイは、

「・・・・・・リナが二人いる」

ぼそりとそう呟いた。

・・・・・・どーゆー意味じゃい。

あたしは、有無を言わせず、ガウリイを張り倒したのだった。

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35090白魔術都市狂想曲 97フィーナ 2010/4/21 19:39:40
記事番号34998へのコメント


「・・・・・・にしても、なんで怒ってるんだ?」

くびをこきこきしながらいうヴラ。

「観光しに来ただけで怒るわけねぇだろ。
有無を言わせずいきなりどつくなんて、てめぇの性格からしたら怒ってるのが道理だろうが」

「・・・・・・こんな街中で、力を何度も使うな。
竜族やエルフならいざしらず、おさえていたとしても火竜王であるあなたが力を振るう。
それ自体が意味を持ち、この地に影響を与える。それがいい意味でも、悪い意味でも両方の意味を」

「知ってはいるが、この地に魔族の影があった以上、捨て置くわけにはいかなかっただろう」

不貞腐れたように胡坐をかくヴラ。

「・・・・・・一回や二回程度なら、まだなんとか許容できるが。
私は『何度も』使うなといったんだ。アホ竜王」

「アホいうな」

「・・・・・・それに」

「それに?」

「・・・・・・知っているものには会いたくなかった。それが答えだ」

「それって俺かよっ!?」

「・・・・・・他に誰がいる」

「はぁっ!? それってどういうこった」

「・・・・・・言う必要はない。
いったところでどうにもならない。私はすでに死んでいるのだから」

ブラスト・ソードの剣を、鞘に収めて言う。

「てめぇの意識がこの地に出てきたことか? 覇王神官の干渉に出てた怒りや嘆きを抱える所有者たちを、ランゴートの力があるそれで、やつらを押しのけでてきたからか?」

ヴラの問いを、沈黙で返す。

「どうなんだ」

「・・・・・・夢の中でまどろんでいたなかを、不意に覚醒されたようなものだ。
死者はむやみに語るものではない。たった一言が災いにつながり、破滅を呼ぶ」

淡々と答える。

「・・・・・・なにより、今の魂の所有者は、私ではない」

表情が変わらないのでなんともいえないが。

・・・・・・哀しそうに見えるのは、あたしの気のせいだろうか。

「・・・・・・言われなき迫害を受け、傷ついた代々の所有者たちの気持ちはわからないわけではない。
・・・・・・しかし、だからといって、今ここにある魂の存在を脅かすことは、けっして許されるものではない・・・・・・それに」

「それに?」

「・・・・・・罪深いが、こうして世を見てしまったら、この人間ではなく『私が』生きたいと望んでしまう。
それこそ、覇王神官のときのように、非業の死を遂げ、死んでいったものたちが恨みを晴らすため肉体を乗っ取り、復讐の矛を向けたように。
・・・・・・私も彼らと同じように、この人間の意思関係なく、同じように乗っ取ろうとするかもしれない」

「ラーディ・・・・・・おめぇ」

「・・・・・・我がことながら、自分が怖い。このような考えをするなんて」

その中に、自嘲の色が混じった。

「それは、命持つ者であれば、生きようとする本能。
たとえ死しても、肉体を乗っ取ってでも生き続けたいと願うのは当然の理だ。だからおめぇが恥じる必要は何もねぇぞ」

「・・・・・・しゃべりすぎたな。
だがそういうわけにはいかない。私は再び眠る。この人間のためにも」

「相変わらず愛情深い女だ」

呆れた様子で言うヴラ。

「だれが・・・・・・女ですか」

それまでの口調や雰囲気が変わり、見知った相手に戻った。

ただし、その表情はまったくの無。

つい最近までは、表情を動かせずとも、眉をちいさく動かせたりしていたのに、その微細な変化さえも奪っていった。

彼を蝕む呪いは、確実に広がっている。

遠くから、ゼルガディスとアメリアが、こちらに駆け寄ってくる。

アレンは、深々と頭を下げ、鞘に収めたブラスト・ソードをガウリイへと――

「動くなっ!」

大音量の声が響いた。

わらわらと、あつまってくる城の兵士や警備兵たち。

かつてあった屋敷を取り囲むように、そこには多くの人間。

廃墟となった屋敷を、何事かとみに来た野次馬。

「アメリア姫もいるぞ!」

警備兵の一人が、アメリアの姿を見つけて叫んだ。

多くの人の前に姿をさらすのを嫌うゼルガディスが、白いフードを目深にかぶるのを視界の端に捕らえ、

「アメリア姫! この者は!?」

「心配要りません! わたしの仲間です」

ゼルをみる一人の兵士の、怪訝そうな声にアメリアはきっぱりといった。

隊長格と思しき、中年の兵士がアメリアの前に片膝をつく。

「アメリア様。ご無事で?」

「みなのものには心配をかけた。わたしは平気です」

凛とした声で言う彼女。

・・・・・・こーしてみると、一国のお姫様なんだけどなー。

「こうして無事にいられたのも、あなたたちの活躍があったからに他ならないわ」

「もったいないお言葉にございます」

感極まった様子で、頭を地面に擦り付けて言うその兵士。

「それはそうと、これはなんの騒ぎ?」

「はっ! これはわが国が誇る、優秀な諜報部隊が新しく編成されて掴んだ情報なのですが」

声を落とし、大勢いる人に聞こえないよう小声でアメリアに耳打ちする。

・・・・・・諜報部隊の編成?

セイルーンほどの大国なら、あってもおかしくないが。

情報収集や、国外対策のための情報操作を生業とする、国が抱える隠密機関。

ほとんどは、秘密裏に行動し一般にはしられていない。

その諜報部隊が掴んだ情報が、なぜいま?

「かのホーエンハイム卿が擁していた、養成施設の人間たちの能力が優れていたため、王宮の管理下についたことはアメリア様もご存知ですよね」

アメリアは軽くうなずき、続きを促す。

確かに彼ら養成施設の人間の、能力は目を見張るものがあった。

たんなる戦闘能力だけなら、あたしやガウリイたちには及ばないものの、その情報収集能力の一端は、カイルをはじめ目にしてきた。

そうした連中を王宮は重宝し、手元に置こうとするのは、ある意味当然である。

「この地に、スィーフィードの分身。赤き竜王がおられると」

いってその視線を、ヴラへと向けた。

うち何人かが、ヴラに手を合わせたりしているのが目に付いた。

・・・・・・ヴラは、見る間に不機嫌そうに眉をひそめた。

「失礼ですが、火竜王さま・・・・・・ですね?」

兵士の一人が、恐る恐るといった様子で尋ねる。

確信を持った口調で。

他のものも、固唾をのんで見守る。

「そうだ」

隠し立てはできそうになく、ヴラもそれが分かっているのだろう。

完全に開き直った様子で言うヴラ。

ただし口調はぶっきらぼう。

あたりが歓声に包まれる。

「やはりそうでしたか!」

興奮したように叫ぶ兵士。

「でしたら・・・・・・でしたら、どうか我等が城においでください!
みながこころいくまで、歓迎の宴を用意いたしますっ!」

「ことわる」

沸き起こっていた歓声は、その一言で水をさしたかのように静まり返った。

――ヴラが発した、拒絶の言葉で。

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35091Re:白魔術都市狂想曲 97セス 2010/4/21 23:18:58
記事番号35090へのコメント

こんばんは、お久しぶりです。
>
>「・・・・・・にしても、なんで怒ってるんだ?」
>
>くびをこきこきしながらいうヴラ。
まったく悪びれた様子が無い・・・(笑
>>
>「・・・・・・知っているものには会いたくなかった。それが答えだ」
>
>「それって俺かよっ!?」
>
>「・・・・・・他に誰がいる」
気持ちは分からんでもないような・・・
>
>「アメリア様。ご無事で?」
>
>「みなのものには心配をかけた。わたしは平気です」
>
>凛とした声で言う彼女。
>
>・・・・・・こーしてみると、一国のお姫様なんだけどなー。
あ、そーいえばそーだった(をい)
普段は正義かぶれの合金娘という印象が目立つけど(笑
>

>
>「失礼ですが、火竜王さま・・・・・・ですね?」
>
>兵士の一人が、恐る恐るといった様子で尋ねる。
>
>確信を持った口調で。
>
>他のものも、固唾をのんで見守る。
>
>「そうだ」
>
>隠し立てはできそうになく、ヴラもそれが分かっているのだろう。
>
>完全に開き直った様子で言うヴラ。
>
>ただし口調はぶっきらぼう。
>
>あたりが歓声に包まれる。
>
>「やはりそうでしたか!」
>
>興奮したように叫ぶ兵士。
>
>「でしたら・・・・・・でしたら、どうか我等が城においでください!
>みながこころいくまで、歓迎の宴を用意いたしますっ!」
>
>「ことわる」
>
>沸き起こっていた歓声は、その一言で水をさしたかのように静まり返った。
>
>――ヴラが発した、拒絶の言葉で。
>
人間が思い描く、ご都合主義的な『神』の役を押し付けられるのはまっぴらごめんってところでしょうか・・・?

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35092Re:白魔術都市狂想曲 97フィーナ 2010/4/24 17:15:57
記事番号35091へのコメント


>こんばんは、お久しぶりです。
こんにちは。セスさん。
最近パソコンに触れれる機会が少なくなりました。
>>くびをこきこきしながらいうヴラ。
>まったく悪びれた様子が無い・・・(笑
座右の銘はのどもと過ぎれば熱さを忘れる…ですからねー…ヴラは
>>「・・・・・・知っているものには会いたくなかった。それが答えだ」
>>「それって俺かよっ!?」
>>「・・・・・・他に誰がいる」
>気持ちは分からんでもないような・・・
パワハラうけたり、愚痴聞かされたり、もとから気だるげな口調と雰囲気のラーディです。
>>「アメリア様。ご無事で?」
>>「みなのものには心配をかけた。わたしは平気です」
>>凛とした声で言う彼女。
>>・・・・・・こーしてみると、一国のお姫様なんだけどなー。
>あ、そーいえばそーだった(をい)
>普段は正義かぶれの合金娘という印象が目立つけど(笑
彼女の早とちりや思い込みにはご用心。
熱血最強の暴走正義オタクですから。
>>「でしたら・・・・・・でしたら、どうか我等が城においでください!
>>みながこころいくまで、歓迎の宴を用意いたしますっ!」
>>「ことわる」
>>沸き起こっていた歓声は、その一言で水をさしたかのように静まり返った。
>>――ヴラが発した、拒絶の言葉で。
>人間が思い描く、ご都合主義的な『神』の役を押し付けられるのはまっぴらごめんってところでしょうか・・・?
そうですね。
ですが王宮にはまだ、アメリアも知らないような情報を掴んでいます。
たとえ真実には程遠くても、王宮は『事実』をどのようにして曲解してどう動くか。

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35093白魔術都市狂想曲 98フィーナ 2010/4/24 18:52:30
記事番号34998へのコメント


「・・・・・・それは・・・・・・なぜですか?」

「よーく考えてみろ。
ここにいるやつらとて、俺が本物の火竜王だとみたわけでもないだろ?」

口元に笑みを浮かべながら、斜にかまえた言い方をするヴラ。

「ひょっとしたら、それは先走った嘘の噂かも知れんし、大勢がそうだといってるから、そうなんだと同調している人間も中にはいるんだろうが」

その視線を受け、図星だったのか数人が視線を逸らす。

「たしかに・・・・・・」

「なあ」

「それに、竜王もそうだが、魔族なんて本当にいるわけないだろ・・・・・・?」

「いやいや。
魔族ってーと、オレ一回みたことあんだけど、レッサー・デーモンとかだろう?」

ひそひそと、小声で囁きあうギャラリーたち。

魔族を直接見たことない人間も多くいる。

みたとしてもレッサー・デーモンくらいというのはざらである。

やがて、興味をなくしたかのように、多くのやじうまはひとりふたりと、その数を減じていく。

やがて残ったのは、兵士たちと興味があるらしい数人の野次馬・・・・・・

そして、一見したなら暇をもてあましているらしい、ごく普通のいでたちをしているような連中。

むろんかたぎの連中ではない。

民間人を装ってはいるが、注意深く観察してみれば、隙など感じられない。

その正体はいろいろ推測できる。

たとえば――さきほど兵士がいってた、王宮の管理下についた諜報員・・・とかである。

「・・・・・・てめぇらは帰らなかったのか。
きらいじゃねぇぜ。そーゆーの」

どことなく、楽しげに言うヴラ。

「まだ仕事が残されていますので」

一人の兵士がそういうと、数人の兵士がアレンを取り押さえた。

「王族を手にかけようとした罪で捕らえよ、と、王宮からおおせつかっています」

・・・・・・なっ!?

あたしはもちろんのこと、言われた当人も絶句した。

「ちょっと・・・・・・まってください。
・・・・・・何の根拠があってそんなこと・・・・・・」

「証拠は、その手に持っている剣と、アメリア姫が倒されていること。
状況証拠としては十分だ。たとえ未遂といえども、王族殺しは大罪。貴様もこの国の民なら知っていよう」

冷たく言い放つ兵士。

彼がやったことだと疑ってもいない。

「そう思われても・・・・・・仕方ありませんね」

そういったのは――アメリア。

「・・・・・・アメリア様」

「わたしを手にかけようとしたこと、忘れたとは言わせないわ」

アレンはうなだれる。

「たしかに・・・・・・覚えています。
憎しみに駆られ、あなたを手にかけようとしたこと」

「どのような言葉を述べても、事実は事実!」

「アメリア。例え事実でも真実とは限らないでしょうが」

「あまいわよリナ! あなたらしくないじゃない!」

アメリアは、ずびしぃっ! と、こちらを指差す。

「あなたもよくいってるじゃないのっ! 『悪人に人権はないっ!』って!
時々関係ないものまで、景気づけだといって、無分別に呪文で吹っ飛ばすあなたが・・・・・・
そんな・・・・・・そんな人道的なことをいうはずがないわっ!」

・・・・・・をいこら。

「人のことを何だと思ってんのよあんたはっ!」

「リナのことを、ほかにどういえばいいのよっ!」

かみつくあたしに、すかさず反論するアメリア。

・・・・・・どーゆー目であたしをみてんだこいつは。

アメリアのセリフに、兵士数人と野次馬が、あたしに怯えた視線を向けてたりするが・・・・・・

意見を述べるようちらりと、ガウリイとゼルを見ると、

・・・・・・ふたりしてうなずいてんじゃない・・・・・・

「それはとにかく!」

いろいろ問題山積みの空気を、その一言で切り捨てまくったアメリア。

「言い訳などせず、神妙にお縄につきなさい! アレンっ!」

バックに炎。

熱く語るアメリアに、アレンは静かに、

「・・・・・・けじめは・・・・・・つけなければなりませんね」

そうつぶやいた。

「ガウリイさん・・・・・・これはお返しします」

鞘に収めたブラスト・ソードをガウリイに渡すアレン。

数人の兵士たちが、乱暴にアレンを連行していく。

「とっとと歩け! この悪人が!」

一人の兵士が、剣の柄でアレンの頭部を強打した。

「表情の一つもかえやしねぇっ!」

「この化け物めっ!」

化け物という言葉に、フードのしたからゼルが不愉快そうにするのを、あたしは見逃さなかった。

アレンは、ゼルガディスに軽く会釈をした。

まるで、だいじょうぶといわんばかりに。

そして、あたしのところまできて、

「・・・・・・あのことは、『絶対に』いわないでくださいね」

小声ながらもつよい口調で、きっぱりといった。

そしてヴラに、その場に残った兵士はこういったのだった。

「あなたが本当の火竜王か否かは、このさいどうでもいいのです。
我々が知りたいのは、治療を受けていた人々が、容態を急変させた理由。そして、その人々を救えるかどうか」

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35103白魔術都市狂想曲 99フィーナ 2010/5/5 16:12:49
記事番号34998へのコメント


「・・・・・・はっ。
残念ながら、そいつらの状態はそちらさんがよく分かってんだろ」

ヴラは、髪をかきあげながら言った。

「神殿からの報告では、手遅れのものが大半だと聞いている。
しかし、諜報員からの報告で、信じがたいことだが・・・・・・あなたさまは火竜王だという情報が上がっている」

「ふーん・・・・・・で?」

興味なさげな様子のヴラ。

「神なら我らの願いを聞き届けるのが使命ではないのかっ!?」

「――甘ったれたことぬかしてんじゃねぇぞ」

飄々としていた口調から一変。

険のある、威圧されるような雰囲気。

その雰囲気に、呑み込まれる兵士たち。

「てめぇら人間が、俺たちを信仰するのも、願いを吐き出すのも止めやしねぇよ。
精神的にも、拠り所というのは必要だからな。だが魔の存在を信じず否定し、神の存在だけを肯定するってのは気に食わねぇ」

「な・・・・・・なぜ?」

「長きに渡る、神と魔の戦い。
時の流れに埋もれし、多くの歴史や伝承。
戦争の傷跡や、繰り返される破滅と再生の営み。
我ら汝らが神と呼ぶ存在。されど、我ら人の歴史に干渉することあたわず」

伝わってくるプレッシャーに、多くの兵士がひざをつく。

あたしも、気力で何とかその場にとどまってるが。

他の皆も、あたしと同じように、気を抜いたら地面に倒れこみそうになるのをこらえている。

「我等が言葉には言霊と呼ばれし力が宿る。
さきにいた人の民、僅かにもれし我が言葉によって去ったのもそのため。
力そのもの、水面に広がる波紋の如く。善悪問わずに影響を及ぼす。これ普遍の事実にして真実」

額に流れる汗を、ぬぐう気力も、もはや起こらない。

唐突に、プレッシャーが消失した。

「・・・・・・と、まぁ。
ちっとやりすぎたような気もするが」

その場にうずくまる一同に、ヴラはいつもの口調で言った。

「俺らが滅多なことでは干渉しないのをいいことに、魔族ってのは人の世に入り込み、不安や恐怖、憎悪を煽る。
つまりはそういうことで・・・・・・俺のいいたいこと、なんとなくでも理解できたか?」

「わ・・・・・・わかった」

「んー・・・・・・知識にしても同じことがいえんだが。
知識として『知っている』のと、『理解している』のは意味が違うからな」

「魔道においてもいえることね」

「そういうこった」

あたしのセリフに、ヴラは満足そうにうなずいた。







「さってと。そんじゃあ」

「どうするつもりよ」

「んあ? ああはいったが、元をただせば俺にも無関係じゃないからな。
さすがに力を使うことはせんが、魔に囚われた多くの魂を、次の世の世界に送ってやらねぇとな」

「・・・・・・元の肉体にはもう戻せないのね」

あたしのことばに、ヴラは苦笑を浮かべるだけだった。

「とはいうものの、いったいどうするんだ?」

いったのはガウリイだった。

「あんたの中にあるんだろ? その魂たち」

「ああ。魔の因子と共にな」

「じゃあそのまま放っておけば、浄化されるのか?」

いぶかしそうに、眉をひそめて言うゼルガディス。

「いいや。覇王神官も言ってたが、簡単には取り出せない。
リーリアの竜の属性と肉体を媒体にしていたからな。俺だけじゃあ、まず無理だろう」

「ならわたしたちに任せてくださいっ!」

そういったのはアメリア。

「なにか策でもあるの?」

れーせーにツッコムあたし。

「ここは白魔術の研究が発達している大都市です。
ヴラさんがディーにかけられた呪いとやらも、何とかなりますって!」

「・・・・・・そーかなー。
どう考えても、そんなに簡単にはいかないと思うんだけど」

竜王には及ばないものの、覇王神官の二つ名は伊達ではない。

いくらこの国が、白魔術の研究が進んでいるからといって、ディーがこの地を選び、策を練っていた以上。

人間が現在もつ魔道技術で、どうにかできるとは思えない。

「甘いわよリナ!」

元気いっぱい、こちらをずびしっ! と、指差すアメリア。

・・・・・・人を指差すんじゃない。

「正義と勇気と愛さえあれば、おのずと道は開けるわ!」

「・・・・・・アメリア。
盛り上がってるところ水をさすようで悪いが」

静かに口を挟むゼルガディス。

「具体的にはどうやって?」

「・・・・・・どうって」

勢いを落とすアメリアの声。

「呪いの割り出し、術の構成パターン。
覇王神官とよばれる高位魔族の呪法だぞ」

「・・・・・・それは」

「よしんば割り出し、構成パターンを掴んだとしてもだ。
はたして、それが通用するかは、甚だ疑問だと思うんだが」

なかなか辛辣なことを言う。

だがあたしも、彼の意見に賛成である。

「ヴラ。一応聞くけど、そういう解呪の方法って知らない?」

「そういうのは、知識を司るラグラディアの専門だ。
スィーフィードまでとはいかないが、俺たち四竜王にわけられたとき、多くの知識をスィーフィードから継いだのが水竜王ラグラディア」

「ならせめて、その魂たちが解放されるまで、ここにいてくれませんか?
その魂の多くは、わたしたちセイルーンの民たち。すべてを見届ける義務が、わたしにはあるんです」

王族として。

そして、この国を愛するものとして。

アメリアの真摯な問いかけ。

「王宮にはいかねぇ。アメリアはそういうガラじゃねぇが、必ず利用しようとする輩は出てくる。
ここの地は、ラグラディアが統治していた大陸だ。それとおなじように、俺にも、統治している場所がある」

「そう・・・・・・ですよね」

「・・・・・・だがな。
見届けようとするその心意気やよし!」

ばっと顔を上げるアメリア。

ヴラは、すべてを包み込むような慈悲と慈愛の表情を浮かべた。

すがりつきたくなるような、無償の愛。

そう表現したほうが近い。そんな笑みを。

『――姿は現さずとも、我の存在を認め、感じ取りしもの
   我が声に心鎮め、すべてを許し、赤の竜神を祀りし祭壇の前に立て』

言葉を発し終わり、ヴラの姿が希薄になっていく。

いや。

姿だけではなく、気配さえも。

「――どのような結末を迎えようと、すべてを見届けよ・・・・・・」

その声を最後に、ヴラバザードはあたしたちの前から姿を消した。

――この地に、僅かな残滓を漂わせて・・・・・・

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35106白魔術都市狂想曲 100フィーナ 2010/5/13 18:58:10
記事番号34998へのコメント


「・・・・・・ですから、アメリア姫のご友人だからといっても、王宮からの命で、その人物へ取り次ぐことは許されていません」

そういったのは、城の兵士だった。

ヴラが目の前で消え、神の存在にいまだ半信半疑のままだった兵士たちに、一人の平凡な男が近づいた。

特徴らしい特徴もそれほどないその男は、隊長格の兵士に二・三耳打ちして去っていった。

あまりに自然すぎて、特に誰も気にとめようともしなかったのだが。

あたしはふと、そのたちふるまいに引っかかるものを感じた。

隙のない、たとえるなら猫のような。

常に周囲に気配を張り巡らせ、あたりの気配と同調し、自らの気配を隠しているかのように。

視線をめぐらせると、すでに人ごみの中に紛れ込んだのか、その姿を見失っていた。

その男の素性にあたしは思い当たった。

養成施設の人間。

ただしいまは、王宮お抱えの諜報員であるが。

あたりにも仲間の諜報員がいるはずなのだが、一般の人々と気配を同調させているため、すべて見分けるのは不可能である。

王宮へと足を運び、ある人物への面会を頼んでみたのだが。

・・・・・・結果は冒頭の通りだったりする。

「面会するってのも、だめなわけ?」

いちおう念を押してみる。

アメリアやフィルさんではなく、『王宮から』っていうのがミソ。

こういう呼び方をするってことは、個人レベルではなく、複数以上の思惑が交差しているからに他ならない。

これ以上ここで騒いでも、下手したらやぶへびにしかならないだろう。

「王宮から誰にもあわせるなと命令が下っております。
・・・・・・申し訳ございませんが、今日のところはお引き取りください」






ゼルガディスがいる宿へ赴き、そこに至る経緯を話し終わった後。

「・・・・・・気に入らないな」

そうつぶやいた。

「何が気に入らないんだ?」

「王宮が、ここ最近不穏な動きを見せている」

ガウリイの問いに、彼はそう答えた。

「仕入れた情報によると、王宮内で過激派と呼ばれる貴族や文官の多くが、口裏を合わせるように各治療施設や神殿に回っているそうだ」

「アメリアはそのこと知ってると思う?」

「少なくとも、はなしぐらいはきいてると思うぜ。
この情報が出回ってる時点で、王宮の情報網から耳に入っていても不思議ではなかろう」

どうにもきな臭い。

「普通ならお家騒動あたりだとは思うが、それとはどうも違うらしい」

二つ以上の勢力が、対立し覇権を競い合うのは、セイルーンやソラリアでもおおくみてきた。

「お家騒動なら、兵士たちも関わっている以上知っているはずなのだが、知っているのは一部の人間。
穏健派や中立を保っている連中も、そういった動きがあるのは知っているみたいだが、今のところ様子を見ている段階なのか動く様子がない」

いよいよもって気に入らない。

アメリアなら、その手の話が上がったら、問答無用で問いただし、見つけ出して正義の怒りをぶつけるはずなのだが。

王宮内での駆け引きは、決して一筋縄ではいかない。

以前あたしがアドバイザーとして、集会に顔を出したときでさえ、互いの足元をすくおうとする貴族も多くいたのだ。

そういった鼻っ柱の強くプライドの高い連中を、あれこれ引っ掻き回すのは愉快ではあるが。

足の引っ張り合いや、化かしあいに正面切って挑もうとするほど、あたしは物好きではない。

物好きではないが、蚊帳の外で何も分からず終わってましたv

・・・・・・っていうのは、正直面白くはないわけで。

難儀な性格とはいうなかれ。

なにかと難しい年頃なのである。

「ちょっとまって。
神殿関係ってことは、もしかして火竜王をめぐって?」

宗教関係なら、確かにこの地に来た竜王を、神殿や王宮がほうっておくわけがない。

「その線は高い。だが、神を人が縛れると思うか?
王宮も馬鹿ではない。一部ならそう思うバカもいるだろうが、大勢の人間が動いている以上、ある程度の分別は弁えている連中はいるはずだ」

・・・・・・ふむ。

「なら、分別のありそうなやつに心当たりがあるから、ちょっとあたってみるわ。
ゼルガディスには、王宮の動きともう一つ、神殿への聞き込みで調べておいて欲しいことがあるんだけど」

「いいだろう。乗りかかった船だ」

静かにうなずくゼルガディス。

あたしがこれからコンタクトを取ろうとしている人物。

彼ならば、王宮内の事情にも、それなりに顔がきいてるだろうし。

「その心当たりってのは誰だ?」

首をかしげながら尋ねるガウリイに、あたしはこう答えた。

「――マーシュ卿よ」

・・・・・・その名前に、ガウリイが目に見えて怯えたのは、いうまでもない。

やっぱ苦手意識が芽生えたか。ガウリイ。

・・・・・・気持ちは分からんでもないが。

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35112Re:白魔術都市狂想曲 100kou 2010/5/15 10:22:21
記事番号35106へのコメント

お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
>王宮へと足を運び、ある人物への面会を頼んでみたのだが。
 ある人物……アレンでしょうか? アレン。大変だな。ひょっとして、なんか呪いのアイテムでも持っているんじゃないんでしょうか?
>「普通ならお家騒動あたりだとは思うが、それとはどうも違うらしい」
 そりゃ、現在の王位継承者は全員フィルさんの血族だもんな。
 ……そういや、あの人どこで何しているんだろ? ひょっとして、まだ鳥に運ばれ……いや、さすがに地面にたっているだろう。いくら、あれでも……
>二つ以上の勢力が、対立し覇権を競い合うのは、セイルーンやソラリアでもおおくみてきた。
>
>「お家騒動なら、兵士たちも関わっている以上知っているはずなのだが、知っているのは一部の人間。
>穏健派や中立を保っている連中も、そういった動きがあるのは知っているみたいだが、今のところ様子を見ている段階なのか動く様子がない」
>
>いよいよもって気に入らない。
>
>アメリアなら、その手の話が上がったら、問答無用で問いただし、見つけ出して正義の怒りをぶつけるはずなのだが。
>
>王宮内での駆け引きは、決して一筋縄ではいかない。
>
>以前あたしがアドバイザーとして、集会に顔を出したときでさえ、互いの足元をすくおうとする貴族も多くいたのだ。
>
>そういった鼻っ柱の強くプライドの高い連中を、あれこれ引っ掻き回すのは愉快ではあるが。
>
>足の引っ張り合いや、化かしあいに正面切って挑もうとするほど、あたしは物好きではない。
>
>物好きではないが、蚊帳の外で何も分からず終わってましたv
>
>・・・・・・っていうのは、正直面白くはないわけで。
 たしかに、ここまでいって後はなんもしない。と、言うとなんだそりゃ。と、怒鳴られますよね。
 しかし、ついに白魔術都市100話目ですか。最初、読み始めたときは100話あたりで終わるかな。と、思っていましたが、まだまだ続きそうです。
 楽しみにしています。
 以上、kouでした。

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35113Re:白魔術都市狂想曲 100フィーナ 2010/5/16 20:09:44
記事番号35112へのコメント


> お久しぶりです。フィーナさん。kouです。
kouさんこんばんは。おひさしぶりです。
>>王宮へと足を運び、ある人物への面会を頼んでみたのだが。
> ある人物……アレンでしょうか? アレン。大変だな。ひょっとして、なんか呪いのアイテムでも持っているんじゃないんでしょうか?
ある人物=アレン
正解です。この人の苦労は耐えませんね。
王宮や神殿のおえらいさんの動きは、次第に明らかになりますよ。王族と王宮との、切り離すことのできない不透明な部分が出てきます。
>>「普通ならお家騒動あたりだとは思うが、それとはどうも違うらしい」
> そりゃ、現在の王位継承者は全員フィルさんの血族だもんな。
血族だからといっても、周囲の人間は擁立させようとするやからは多くいます。
まだエルドラン国王の代行であるフィルさんなら、国のことも考えていますからともかく。
アメリアはまだ若く、元老院や王宮の狡猾な連中にとっては、様々な情報を持っている姉のグレイシアよりも都合よく動かしやすいでしょう。
> ……そういや、あの人どこで何しているんだろ? ひょっとして、まだ鳥に運ばれ……いや、さすがに地面にたっているだろう。いくら、あれでも……
あの人は一応、運ばれた鳥の巣から脱出し、くすねた鳥の卵を食べてます。
>>足の引っ張り合いや、化かしあいに正面切って挑もうとするほど、あたしは物好きではない。
>>物好きではないが、蚊帳の外で何も分からず終わってましたv
>>・・・・・・っていうのは、正直面白くはないわけで。
> たしかに、ここまでいって後はなんもしない。と、言うとなんだそりゃ。と、怒鳴られますよね。
> しかし、ついに白魔術都市100話目ですか。最初、読み始めたときは100話あたりで終わるかな。と、思っていましたが、まだまだ続きそうです。
まだあと少し続きます。正直この話は、魔族より厄介です。
ディーはまだ、世界を破滅に導くためには竜王が邪魔。だから力をそごうと動いていました。
ある意味シンプルなんですよね。ただ人間は色々複雑に思惑とか利益とかありますから。
アレンはそれも知りつつ、彼らしい行動をとります……もっとも、追い詰められてからになりますが。

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35116白魔術都市狂想曲 101フィーナ 2010/5/21 18:40:33
記事番号34998へのコメント

施設に赴き、神官たちからマーシュ卿との面会を頼んだ。

だが彼らは渋い顔をして、面会できる時間は短いことを告げた。

なんでも、それより少し前に彼を含む人々が苦しみ出し、容態を急変させたのだ。

それは、ちょうどディーが、リーリアを媒体に幾多の魂を食い合わせ、ヴラに力を送り込んだ時と一致する。

まだ呪法が浅かった状態であるにもかかわらず、彼は昏睡状態に陥ったという。

さてはディーのやつ、呪法の成功率を高めるため、何らかの策を練っていたな。

でなければ、均衡をかたどっているこの町で、これほど大掛かりな呪法をヴラやリーリアたちに気取られず実行できるわけがない。

セイルーンの町の結界は六紡星。

ゆがみを正常な働きに戻す。

破邪をかたどるのは五紡星。

逆にゆがみを生み出すのは・・・・・・逆五紡星。

以前リーリアと一緒に、キールたちの治療をしている施設で、息絶えた彼らから出た力の流れが、五つに分散されたと彼女は言っていた。

これはあたしの推測でしかないのだが、ディーは因子のほかに、人間の魂を呪法を持続させる目的のために使っていたのではないか。

覇王神官が滅びを迎えた以上、その詳細は分からない。

理解しようとも思わないが。

どうあったって、あたしたち人間と、彼ら魔族が相容れるときは来ないのだから。







彼がいる部屋までいき、ドアをノックしようとしたとき話し声が聞こえてきた。

「――ではやはり、王宮の狙いはそれか」

声の主はマーシュ卿だった。

彼のほかに、どうやら先客が来ているようだ。

マーシュ卿の気配は中から感じ取れるのに、部屋にいるもう一人の気配は掴みにくい。

「どうする? 何だったらもう少し探ろうか?」

「いや。深追いはしないほうがいい。
アメリア姫が、王宮に踊らされて執行書にサインをおさなければいいがな」

何の前触れもなく、でてきたアメリアの名前と王宮。

「王族の了承が出なければ、王宮は動かない。
・・・・・・だがおそらく、報告書に書かれているのは事実だろう。嘘ではないが、間違った認識へ導くような」

「やっぱりあんたも、それに従うのか?
爵位も取り戻せて、多くの事業に手をつけれるようになったんだろ」

「もともと、もってたはずの貴族の権限だ。
ホスト以外でも、すすめられて文芸にも興味がでてきたから、今まで書いてきた話を本にしてみたいんだがな」

「けどそれって、途中まで見させてもらったけどさー。
マーシュの惚気っつーか、ほとんど愛欲の日々をつづったやつじゃねーか。しかもほとんど日替わりだし」

「いいじゃないか。お前のことも書いてるから」

・・・・・・っていうことは、中にいるのは愛人の一人ってことかいっ!?

マーシュ卿って・・・・・・根っからの男色家でやんの。

「俺は一人に操を立てられるほど誠実な人間でもないし、だいたい俺ができた人間にみえるか?」

「みえねーなー。どーみてもロクでなしとしか」

ゲラゲラ笑いながら言う男は、ふと笑いを止めた。

目は会っていないはずなのに、視線があったような感覚がした。

「んじゃ、そろそろ戻るわ」

「もうそんな時間か。
面会時間に制限があるというのも面倒だな」

「今度は退院したときに、たまにはこっちに顔出せ。
情報仕入れたらまた伝えに来る。今度は盗み聞きする奴がいないのを見計らってな」

・・・・・・どうやら気づかれてたみたいである。

カイルといいこの男といい、なんだって腕のいいやつらが多いんだろ?







退室する際も、その男は隙がなく、改めてかなりの使い手だとうかがわせた。

「・・・・・・盗み聞きとは趣味がいいとはいえないな」

「まあ・・・・・・ちょっとね」

あたしは言葉を濁した。

彼は、あたしのほかにガウリイがいることに気づき、手招きした。

「そんな遠くにいないで、もう少しこっちにきたらどうだ?」

「遠慮します!」

頑として、近寄ろうとはしないガウリイ。

「ガウリイはずいぶんと俺から距離をとってるな」

「近づいたら、あんたになにされるかわかったもんじゃない!」

流し目を送りつつ嘯(うそぶ)く彼に、ガウリイは震え上がりながらそういった。

「・・・・・・そう警戒されたら、期待にこたえたくなるな」

「こたえんでいいっ! 応えんでっ!」

あながち、冗談とはいえない口調に、ガウリイは怯えた。

マーシュ卿の視線から逃れようと、あたしの後ろに回りこみ、身をちぢこませる。

「だいじょーぶ? ガウリイ」

「・・・・・・大丈夫とはいえないかも」

ぼそぼそと、彼には聞こえない程度の小声で言うガウリイ。

「そんなに怯えるんならついてこなけりゃよかったのに」

「頼むから早く話を終わらせてくれっ!」

呆れた様子で言うあたしに、ガウリイはあたしにしがみつきながらそういったのだった。

・・・・・・ガウリイ。気持ちは分からんでもないが。

いい大人が小さな子供みたいに、あたしみたいな美少女にしがみついてるこの状況。

あたしを抱え込むかのようにそういっても、傍から見たら情けないもんがあるぞ・・・・・・

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35117白魔術都市狂想曲 102フィーナ 2010/5/24 18:54:20
記事番号34998へのコメント

「具合はどう?」

「全快というには遠いが、動く分には支障がないといったところだ。
・・・・・・もっとも、激しくは動けんがな。ところで、ここへきたっていうことは見舞いにでも来てくれたのかな?」

「ま。それもあるんだけど、貴族であるあんたに聞きたいことがあんのよ。
カイル以外でも優秀な諜報員を、何人か抱きこんでるみたいだし・・・・・・ね?」

意味ありげな視線を向けてやると、彼は小さく嘆息した。

「・・・・・・食えない女だ」

「そりゃどーも」

多くの思惑や抗争が水面下で行われることが多い王宮では、少しでも多くの情報を握っていたほうが、何かと優位に渡り合える。

彼が経営しているホストにも、カイルのように裏社会に通じた人間というのがいるように。

むろん全員が全員そうではないが、何事にも物事は表と裏というものがある。

やってくる客にしても、中には上流階級の人間がいる。

そういった連中から、一見世間話にしかみえないような会話をし、流通していない情報を交換したりと意外に用途は広い。

よく貴族はパーティを開くことが多いが、実はあれも情報公開の場として用いられる。

その貴族のステータスや、互いのプライドや見栄を満たす場ともいえるが。

「知りたいのはアレンの行方か。それとも王宮の動きか?」

「話が早くて助かるわ。両方よ」

「アレンは王族を手にかけようとした罪人として、王宮の奥深くにある地下牢に捕らえられた。表向きはな」

「・・・・・・表向き?」

ガウリイは首をかしげながらつぶやいた。

「どういうことだ?」

「つまりよ、ガウリイ。
王宮からしてみると、一般にはまだ知られたくないことがあるのよ。それこそ『上』のほうにもいえないような何か。
あ。いちおー言っておくけど、上っていうのは方向じゃなくて、王宮のお偉いさん――
つまりは、フィルさんやアメリアのような王族のことね・・・・・・そこまではわかった?」

「あ? ああ・・・・・・一応」

こくこくうなずくガウリイ。

・・・・・・『一応』って・・・・・・まあいいや。

「それでね。うまいこと民衆にそれらしい事言ってだまくらかして、神殿とか同僚とかを黙らせて。
とりあえず知られたくない要因であるアレンを、大義名分抱え揚げて、王宮は捕まえておこうって思ってるわけよ」

「なんなんだ? そのまだ知られたくないことってのは?」

「それについては・・・・・・マーシュ卿。
あなた以外に呪法のかかりが遅い人が何人かいるけど、あなただけ異様に早く回復に向かった。他の人はまだ目覚めてもいないわ」

「俺が飛びぬけて異常だというのか?」

あたしはそれを、鼻で笑った。

「別に今日は、化かしあいをするために来たわけじゃないわ。
原因と結果。あんたは掴んでるんでしょ? ここ以外の場所でも多くの人が感知しているんだから」

「それを言わなければならない義理はないだろう? そちらがどう捉えているのかは知らないが、そちらが考えていることが事実だといっておいたほうがいいのではないか」

歪曲した言い方に、あたしはこういった。

「事実かどうかは、この際関係ない。
・・・・・・あたしが今聞きたいのは、確認よ」

えもしれない緊張と、探ろうとする視線。

短い駆け引きの、一瞬の攻防。

「・・・・・・まったく。とんだ食わせ者だ」

眉間のしわを寄せて、マーシュ卿は苦々しく言った。

「魔道士なんかやめて、詐欺師になったらどうだ。
前にお前がホストになったとき、こちらの売り上げが大幅に上がったからな」

・・・・・・詐欺師をすすめるってのも、どうかとおもうぞ・・・・・・

「おあいにくさま。あたしはそこまで腐ってはいないわ。
だいたい、悪党に転職するぐらいなら、悪人からお宝を巻き上げたほうがましよ」

「お前さんのどこが悪人じゃないって・・・・・・なんでもない」

あたしの怒気が混ざった視線に気づいたのか、ガウリイは慌てて言葉を飲み込む。

「・・・・・・今回ばかりは、フレデリカの浪費癖に感謝しなければな」

彼は懐から、見覚えのあるマジック・アイテムを取り出した。

呪文を吸収し、その効果は『力ある言葉』によって解き放たれるまで、その中にとどまり効果を持続させるマジック・アイテム。

――ストック・ジュエル。

マジック・アイテムを扱うある商人と、魔道士協会が連携して、研究・開発したマジック・アイテムである。
                                         エルメキア・ランス
単品としては勿論、ショート・ソードなどの武器のくぼみにはめ込んで  烈  閃  槍 といった精神系統の精霊魔術を使えば、魔族に有効な魔法剣にはやがわりするという優れものである。

・・・・・・といっても、あまりに強力な魔術だと、威力に耐え切れず砕け散ってしまうので、調整は必要なのだが。

かくいうあたしも持っていたのだが、ディーとの戦いで負荷がかかりすぎ、目の前で砕けてしまったのだ。

「それって」

「前にも言っただろう。妹のフレデリカは、珍しいものを買い集めているって。おかげで火の車だったがな」

彼は、ストック・ジュエルに視線を落とす。

「これもそのうちのひとつ。俺は魔道については詳しくないがな。
お守り代わりにちょうどいい大きさで、それほどかさばらなかったから懐の中に突っ込んで今の今まで忘れていた」

彼の中にあるそれは、淡く輝いてはおらず、何の力も込められていないように見えた。

「ここの魔法医や神官たちの声を遠くに感じながら、聞いたことのないような不思議な旋律が聞こえてきた」

・・・・・・それは、ちょうどあたしたちが、彼を治療施設に移したとき。

「声の主には覚えがあった。聞きなれない詩かと思ったんだが、淡い光と共に、暖かい何かがこれに宿るのを感じた」

あのとき、彼はあたしが持っていたストック・ジュエルと、新しく開発されたもう一つのマジック・アイテム。

それと、この施設の三箇所に力を分散させた。

・・・・・・マーシュ卿が持っていたストック・ジュエルと合わせると、分散された力は四つということになる。

・・・・・・地竜王ランゴートの、癒しの力を込めた呪文を。

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35119白魔術都市狂想曲 103フィーナ 2010/5/26 20:32:20
記事番号34998へのコメント


「あんた・・・・・・そのこと誰かに言った?」

「さあな」

とぼけた口調で言うマーシュ卿。

「もしいったとしても、関係ないだろう」

「関係ない?」

「一部の上層部は、すでにそのことを知っている。
俺以外のところにも、こぞって他の神官たちにききに来たからな」

一部の上層部という言葉が出てきたということは、王宮の中で秘匿されている可能性が高い。

もうすこしつつければいいが、彼も貴族の端くれだけあって、口は軽くないだろう。

「そのことっていうのは、王宮にとって利になるようなことなのかしらね?」

「想像に任せよう」

誘導尋問に引っかかってくれるようなタイプでもないし。

「それで、あんたはどうするつもりよ」

「進展があるまでは中立を保つとだけ言っておこうか」

「・・・・・・中立?」

それは、今のところその件に関して、他のやつらより情報を多く持っている分、こちらが有利だから動く必要がない。

・・・・・・と、いったところだろうか。

そのあとのあたしの質問は、彼にのらりくらりとかわされて、大した情報を聞き出せなかった。

どうやら、なにかを狙ってるのは確かなようだが。

力ずくで聞き出すという手段もあるのだが、病室でンなことやったら面倒くさいめにあうのは目に見えている。

面会時間が過ぎ、集合予定の宿屋へと足を運ぶ。

ゼルガディスから聞き込みの結果を聞いて、アメリアがもしそのことを王宮から知らされていないのなら、早急に手を打つ必要がある。

もし王宮が国益を優先し、王族にたてついたことを隠れ蓑にし、甘い汁を吸おうとしているのなら。

そしてアメリアが、知らされずにいたとしたら。

考えを打ち消すようにかぶりを振る。

日が翳り、夕闇の影が、セイルーンの町並みを赤く染めた。







あたしの懸念は、杞憂に終わらなかった。

「そのこと・・・・・・アメリアは知って?」

「知らされていないだろうな」

ゼルガディスは、白いフードを脱ぎ捨てていった。

人の割合が増えたとはいえ、彼の体は、それでもやはり岩の部分がところどころ混じっており、本人はいまだに人前で素顔をさらすのを嫌っている。

今のところ顕著に変化があるのは肉体だが、人の割合が増えたということは、ロック・ゴーレムとブロウ・デーモンの要素が薄まったということにほかならない。

ゴーレムとしての頑丈な体だけでなく、ブロウ・デーモンと合成され得た魔力も、減退し始めているということである。

赤法師レゾによって、合成された肉体。そして魔力。

長年蝕んでいた呪縛から解放され始め、彼がどう思っているのか、あたしは知らない。

忌み嫌っていたものだとしても、その肉体で救われたこともあっただろうし、喪失感も少なからずあるだろう。

だけど、それを口に出すのははばかられた。

・・・・・・あまりに、無粋なことのような気がしたから。

「あの神官が神の力を使えることを知った以上、王宮は手放そうとしないだろう。
まだ未知の魔術ゆえ、生かさずころさずの状態で、王宮と言う籠の中で飼いならそうとしている――文字通り、籠の鳥というやつだ」

あたしが彼に頼んだのは、神殿近くの聞き込みと、王宮への探りを入れることだった。

・・・・・・マーシュ卿から話を聞いて、ある程度想定していたこととはいえ・・・・・・

ヴラバザードの出現に、浮き足立った者の中に、数日前何度か力の流れを感知していたものがいた。

ヴラのものとは違えども、ヴラのものより規模が小さく、似ている波長に思い立ち、王宮から秘密裏に諜報員を派遣して調査した結果。

彼らは知ったのだ。

――神の力を使える人間がいることに。

話し終わった後、ゼルガディスは軽く息を吐いた。

「王宮は、どうあっても甘い汁を吸いたがるものらしいな」

裏の世界から足を洗ったとはいえ、彼の頭の回転の速さと判断力は頼りになる。

「なあ。そんなことしなくても、正直に聞けばいいんじゃないか?
・・・・・・あの兄ちゃん、それほど頭が固いって訳じゃないんだからさ」

「無理よ。王宮にも頭でっかちで、体裁を気にするやつって多いから」

「それよりも、情報を聞きだした後、人知れず幽閉するなりしたほうが、王宮には傷がつかん。
・・・・・・実際兵士たちも、あの神官を罪人として捕らえるように、命令を受けていたみたいだからな」

「難しいのは、アレンがアメリアを手にかけようとしたって言ったことね。
既成事実を認めたようなもんよ。それさえなければ、あることないこと捏造してでも連行しようとしてたんでしょ?」

「あんたのいうとおりだ」

人一人に罪をかぶせることなど、セイルーンほどの大国なら、何の造作もないことだろう。

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35126白魔術都市狂想曲 104フィーナ 2010/6/1 16:19:14
記事番号34998へのコメント

「・・・・・・それで、あんたのほうでわかったことは?」

「彼は今、役所の牢屋ではなく、王宮の地下牢に入れられてるってはなしよ」

ゼルはそのセリフに、片眉をわずかにはねさせた。

普通罪を犯したものは、役所などにある牢屋に連行されるものだが。

傍目からみたら王族殺しの現行犯として、地下牢に連行された可能性がある。

あたしは、セイルーン・シティの魔道士協会によって得た情報も話した。

「それとこれは余談なんだけど、それに何らかの関与があると見て、彼の弟を引き渡すよう、カルマートの魔道士協会に言ってるみたい」

「協会はなんていってる」

「確たる証拠がないうえ、弟のほうは治療中のため容態が悪化する恐れがあるから引き渡せないって」

「・・・・・・なあ。
そんなまどろっこしいことしないで、領主に直接言ったらどうなんだ?」

ガウリイのセリフに答えたのはゼルだった。

「・・・・・・これがただの引き渡しだったならな」

領主に状況を知らせ、領主から魔道士協会に要請を入れるというのが引き渡しの際よく行われるシステムである。

「数年前まではこのセイルーンにいたが、理由あってのことなのか現在はカルマートの魔道士協会に所属している。
王宮は弟に、トレードとしての価値があるとみてそういってるんだろう」

直接要請できないのは、多分どこかで後ろめたいって心理も働いてるからではないだろうか。

狂言回しにしか見えないが、お偉いさんというのは自分のところにいらぬお鉢が回ってくるのを、あまり快くは思っていないのだ。

・・・・・・まあ。

これはお偉いさんに限らず、自分よければすべてよしと考えてる連中にも言えることだが。

「セイルーンにしても、他国であるカルマートとの関係に亀裂を走らせたくないのが本音だろう」

「・・・・・・ふーん。
それでリナ。これからどうするつもりなんだ?」

「アレンとは知らない仲じゃないしね。城に向かうわ」







やっぱりなにかおかしい。

執務室で様々な書類に目を通しながら、わたしは考えていた。

傍らには書類を受け取るため、多くの文官たちがいる。

一通り目を通し、サインを次々と押しながら。

古くから国王に仕えている機関の人たちが、わたしのもとを訪れたのが先刻のこと。

父さんは多くの人たちと議論を重ね、ヴラさんのことを中心に話し合っている。

もちろん、ヴラさんのこと以外にも、やらなければならないこともこなしながら。

正義を愛するわたしたちが、悪の権化たる魔族の幹部。

冥王フィブリゾを滅ぼしたことは、時々実感がわかなくなるときもあった。

わたしたちは、事の顛末をリナから聞いて、滅びを迎えたことを知っている。

父さんは信じてくれたけど、魔族の存在を知らない人も多くいる。

なかには、魔族の存在なんて嘘っぱち。

眉唾物の話として受け止める人もいる。

少し前に起きたデーモン大量発生事件。

わたしは陣頭指揮を取り、兵士たちに魔族に対抗できる概要をレクチャーしたことがあった。

それは図らずも、ディルスで戦力を拡大しようとしていた魔竜王配下の竜将軍。

ラーシャートがリナに、魔族のことについてのレクチャーを兵士たちにさせるようにしていたことと重なった。

手が止まっていることに気がつき、わたしは再びハンコを押し始める。

火竜王様がいることは、いつの間にか多くの人たちが知るところとなった。

ただし混乱を避けるため、そのことを知っている人たちには硬く口止めをしている。

問題は現在拘束されているアレンのことについて、なぜか機関が動いているということ。

彼を捕まえるように言ったのはわたしだけれど、役所ではなく王宮の地下牢に入れられたのは意外だった。

罪を犯した国の民に、裁きを言い渡せるのはわたしたち王族だけではない。

最終的な決定権があるのは確かだけど、よほどの大罪でなければ。

機関のひとつ、古株とも呼べる元老院からは処刑の決定権と方法。

そして、その日時をゆだねてくれるように要請されて、言い知れぬ漠然としたものを感じた。

多くの貴族や文官も、それに賛同している。

いちおー保留という形で、彼らに返事は返した。

わたしが一度、面会しに向かったところ。

見張りの兵士たちはわたしの身を案じてくれたのだろう。

わたしに危害を加えようとした以上、もし万が一のことがあればと、ずいぶん心配されてしまった。

結局面会はできずに終わったのだけど。

兵士たちの心配もわからなくはない。

だけどわたしは、他人から聞いた話ではなく、直接本人と向かい合って真偽を確かめたい。

他人にとおって出た話しは、解釈の違いなどから歪んで伝わることがある。

伝言ゲームがちょうどいい例だろうか。

わたしのまえにあった、文字通り山のように積まれていた書類も、何とか人の顔が見える高さまで減じた。

小休憩に行くことを、文官の一人に伝え、わたしは大きく伸びをした。

本宮からの通路を歩いていると、警備兵となにやらいいあっている声が聞こえてきた。

その姿を認め、わたしは声を上げた。

「リナ!?」

わたしの姿を認め、彼女はこちらに手を振った。

「やっほーアメリア! ちょうどよかったわっ!」

大勢の兵士に取り囲まれてるにもかかわらず、リナは相変わらず傍若無人な様子でいった。

「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、まずはこの人たち引き取ってくんない?」

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35128白魔術都市狂想曲 105フィーナ 2010/6/3 14:25:26
記事番号34998へのコメント


じんめりと、しけった臭いが鼻につく。

それは夜というだけでなく、現在あたしたちがいる場所にも原因であろう。

薄暗く、じんめりしている場所といえば、大体相場が決まっている。

狭い螺旋階段を下りるあたしたち。

かたわらにはアメリアと数人の兵士の気配。

目隠しをされている分、どーにも足元がおぼつかない。

階段があるから気をつけろといってくれるのはいいが、思ったより長い距離に、いいかげんうんざりしてくる。

・・・・・・と、こういってるとあたしが連行されてるみたいだが、実際は少し違う。

いくらアメリアと顔なじみといっても、城にある地下牢の場所を特定されれば、そこから進入口とか探ることはできる。

場所が王宮の地下牢となれば、厳重な警備がつくのは、ある意味当然の処置ではある。

「もういいぞ」

兵士の一人の言葉に、あたしは目隠しを外す。

あたりは暗く、燭台にともされた炎の明かりが、頼りなく光を生み出している。

いくつもの光が、陰影を刻む。

「ずいぶん厳重ね」

いったのは、あたしではなくアメリアだった。

「いつもなら、こんなに厳重にする必要もないはずなのに」

「はぁ・・・・・・なにぶん、わたしにもよくわからないもので。
おそらく、アメリア様に危害を加えようとしたからではないでしょうか」

自信なさそうに答える兵士。

あたしたちは再び歩みを始める。

石造りの階段を降り続けて、どれだけ経っただろうか。

扉の前で、見張りの兵士が一人。

あたしたちと一緒に来た兵士が見張りの兵士に敬礼をする。

アメリアに向かい、敬礼を取る兵士。

「牢にいるものに面会を求める」

室内にいた見張りの兵士は、いった兵士に敬礼を返した。

その名前を聞いた見張りの兵士は、一瞬怪訝そうな表情を見せた。

「・・・・・・また?」

「またとは、なにか」

アメリアの誰何(すいか)の言葉に、彼は敬礼をしたまま、

「いえ・・・・・・しばらく前にも、面会を求める方がいらっしゃったので」

あたしとアメリアは、顔を見合わせた。

「その者とは誰か」

再度の問いに、その兵士はこういった。

「国の機関に勤める方たちです」

「・・・・・・たち?」

眉をひそめるアメリア。

簡単な手続きを終え、兵士は扉を開き、さらに連なる地下の階段が姿を現した。

これまた降り続け、しばらく進むと、先ほどと似たような扉がみえ、

やはりそこにいた兵士と、敬礼を交し合い。

さきほどよりもじめついた、地下特有のにおいの濃度が強まった。

通路の左右には、定番の鉄格子と明かりを灯された燭台。

中には多くの人間の息遣いが聞こえてくる。

汗じみたような、なんともいえないにおいが充満している中、通路を歩き続けることかなり。

地下牢の一番奥深く、ほかとは隔離されるような場所。

こしらえたかのようなつくりの牢。ひときわ大きな牢の中。

それは明らかに、魔道を扱うものなら一目でそうだと分かる。

魔道を扱うもの専用のために作られた牢だと言っても過言ではない。

そこにはアレンがいた。







王宮の一室。

囲うようにある机。

向かい合うように数人の人間が座っていた。

あてがわれているそこは、部屋の作りは防音となっており、外からは中の様子を聞くことができない。

つまりは密談には最適な場所といえる。

部屋の外には厳重な警備を敷かせてある。

王宮で部屋の手配も厳重な警備の手配も、かなりの地位のあるものでしか、できないことである。

「アルベルトの失脚は、我らにとって有益な結果を残したな」

「馬鹿な男よ。野心におぼれ、いらぬ欲を出すからだ」

さざめきあう声たち。

「向上心もいいが、行き過ぎたものは身を滅ぼす。反面教師とはこのことを言うのだ」

「まああの男には分不相応なものよ。
残したものには、我等が有益につかおうぞ。国の発展のために」

「必要な衣食住と、そこにある存在意義を与え」

「王宮に仕えるという至高の教えを」

「しかし、一部の養成施設の人間ははねっかえてはいるが、それはどうする」

「なに。それも個性の一つ。
もとよりあるていどの反発は織り込み済みよ。そうそう簡単に変われぬからな」

「施設育ちゆえ、互いを親兄弟と同然に育ってきた。
・・・・・・それらの絆を、アルベルトのようにむげにはせんよ」

貫禄のある一人が厳かに口を開いた。

「我らは決して驕(おご)らず、国の行く末を見つめ」

「善を成すために犠牲はつきもの。我らは時に、必要悪となろう」

「・・・・・・時にこの件。まだ殿下らの御耳にはいってはおらぬな」

「その点ならぬかりなく。アメリア姫との対談では、少し不審がられたと思うが、そうそう動かれることはなかろうて」

「・・・・・・やはり執行権を移されることはかなわなかったか」

重々しく、一人が言葉を発する。

「まあもとより期待はさほどしていなかったがな」

「仮にも王族の端くれ。よい政治を取り計られると思うよ。
アメリア様が、将来王位に就かれる事を楽しみに待つとするか」

「罪人を捕らえるよう命じられたあの方が、よもや罪を撤回することはありえまい」

「王族が放った言葉こそ意味をなし、我らは国益と国の平穏を望むもの」

「王に連なるものが正義を詠えば、我らはそれに応えるのがつとめ」

「王に、国に忠誠を誓うのが我ら」

「罪には罰を」

「国の発展と平和を」

「我等が祖国、セイルーンにスィーフィードと竜王様のご加護を」

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35129Re:白魔術都市狂想曲 105kou 2010/6/3 16:29:48
記事番号35128へのコメント

 お久しぶりです。フィーナさん。
>「はぁ・・・・・・なにぶん、わたしにもよくわからないもので。
>おそらく、アメリア様に危害を加えようとしたからではないでしょうか」
>自信なさそうに答える兵士。
 そんなことしたら、ナー○と関わった事件でナーガを吹っ飛ばしたりした人は、どうなるんだよ!! とくに、リナ!!
 数回は殺しかけていたぞ。(生きていたけれど……) 
>
>王宮の一室。
>
>囲うようにある机。
>
>向かい合うように数人の人間が座っていた。
>
>あてがわれているそこは、部屋の作りは防音となっており、外からは中の様子を聞くことができない。
>
>つまりは密談には最適な場所といえる。
 悪巧みとか? 賄賂とか?
>部屋の外には厳重な警備を敷かせてある。
>
>王宮で部屋の手配も厳重な警備の手配も、かなりの地位のあるものでしか、できないことである。
>
>「アルベルトの失脚は、我らにとって有益な結果を残したな」
>
>「馬鹿な男よ。野心におぼれ、いらぬ欲を出すからだ」
 ハゲタカか!! おまえらは!!
>さざめきあう声たち。
>
>「向上心もいいが、行き過ぎたものは身を滅ぼす。反面教師とはこのことを言うのだ」
>
>「まああの男には分不相応なものよ。
>残したものには、我等が有益につかおうぞ。国の発展のために」
>
>「必要な衣食住と、そこにある存在意義を与え」
>
>「王宮に仕えるという至高の教えを」
 そりゃ!! 洗脳だ!! 至高の教えなんて言っているあたりが裏があることの表明のようなものだぞ!!
>「しかし、一部の養成施設の人間ははねっかえてはいるが、それはどうする」
>
>「なに。それも個性の一つ。
>もとよりあるていどの反発は織り込み済みよ。そうそう簡単に変われぬからな」
>
>「施設育ちゆえ、互いを親兄弟と同然に育ってきた。
>・・・・・・それらの絆を、アルベルトのようにむげにはせんよ」
>
>貫禄のある一人が厳かに口を開いた。
>
>「我らは決して驕(おご)らず、国の行く末を見つめ」
 じゅーぶん驕っていると思ふ
>「善を成すために犠牲はつきもの。我らは時に、必要悪となろう」
 そういうやつほど、外道な事をするんだ
>「・・・・・・時にこの件。まだ殿下らの御耳にはいってはおらぬな」
 隠しごとをしているのが国のためか?
>「その点ならぬかりなく。アメリア姫との対談では、少し不審がられたと思うが、そうそう動かれることはなかろうて」
>
>「・・・・・・やはり執行権を移されることはかなわなかったか」
>
>重々しく、一人が言葉を発する。
>
>「まあもとより期待はさほどしていなかったがな」
>
>「仮にも王族の端くれ。よい政治を取り計られると思うよ。
>アメリア様が、将来王位に就かれる事を楽しみに待つとするか」
 …………あの〜? なーじゃなかったグレイシア姫は?
 いや、そりゃ現在行方不明だけどさ。
>「罪人を捕らえるよう命じられたあの方が、よもや罪を撤回することはありえまい」
 そんなことを言うと、どっかの高笑い女の台詞だと、セイルーンではお母さんは娘に呪術を教える家風になるぞ!!
 いいのか? それで?
 と、突っ込んでいたりしましたが、なにやら裏が出てきたりしています。
 はたして、どうなるんでしょうか?

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35132Re:白魔術都市狂想曲 105フィーナ 2010/6/5 12:00:28
記事番号35129へのコメント


> お久しぶりです。フィーナさん。
こんにちは。おひさしぶりです
>>「はぁ・・・・・・なにぶん、わたしにもよくわからないもので。
>>おそらく、アメリア様に危害を加えようとしたからではないでしょうか」
>>自信なさそうに答える兵士。
> そんなことしたら、ナー○と関わった事件でナーガを吹っ飛ばしたりした人は、どうなるんだよ!! とくに、リナ!!
それはもう国の諜報員がごまかしてますよ。
他国に弱みを握られることのないように、ナーガという魔道士のしたことだといって、グレイシアではないといったような。
>>あてがわれているそこは、部屋の作りは防音となっており、外からは中の様子を聞くことができない。
>>つまりは密談には最適な場所といえる。
> 悪巧みとか? 賄賂とか?
国の暗部といったほうがいいかもしれません。
かなり大きな組織ですが、表立っては出てきません。秘密裏に動き、国の利益を生み出す。
>>「アルベルトの失脚は、我らにとって有益な結果を残したな」
>>「馬鹿な男よ。野心におぼれ、いらぬ欲を出すからだ」
> ハゲタカか!! おまえらは!!
>>「必要な衣食住と、そこにある存在意義を与え」
>>「王宮に仕えるという至高の教えを」
> そりゃ!! 洗脳だ!! 至高の教えなんて言っているあたりが裏があることの表明のようなものだぞ!!
洗脳といっても、かなり時間がかかりますよ。
彼らは情報収集とか場合によっては腕も立つので、隠密活動には向いてるでしょう。
とはいえ、施設の人間はそこしか居場所がないし、どこへ行けばいいのか分からないので。
>>貫禄のある一人が厳かに口を開いた。
>>「我らは決して驕(おご)らず、国の行く末を見つめ」
> じゅーぶん驕っていると思ふ
彼らは、国のことを思って動いているのは確かです。国の利益のためといってもいいかもしれません。
>>「善を成すために犠牲はつきもの。我らは時に、必要悪となろう」
> そういうやつほど、外道な事をするんだ
手段はとにかく、国への忠誠心は本物です。
>>「・・・・・・時にこの件。まだ殿下らの御耳にはいってはおらぬな」
> 隠しごとをしているのが国のためか?
少なくても、国にとっての利益になるのは確かです。
>>「仮にも王族の端くれ。よい政治を取り計られると思うよ。
>>アメリア様が、将来王位に就かれる事を楽しみに待つとするか」
> …………あの〜? なーじゃなかったグレイシア姫は?
> いや、そりゃ現在行方不明だけどさ。
例えグレイシアが王位に就こうとしても、過去の所業をかんがえてみれば、失脚できる要素はたくさんあります。
他国に弱みを握らせないようにしても、彼女への攻撃材料は事欠かないですし。貴族の中には、王族と婚姻関係を結ぶことができたら王位継承権が、自分の子供に継承できるから。
>>「罪人を捕らえるよう命じられたあの方が、よもや罪を撤回することはありえまい」
> そんなことを言うと、どっかの高笑い女の台詞だと、セイルーンではお母さんは娘に呪術を教える家風になるぞ!!
前作である蒼の記憶でも書きましたが、ジュエルズ・アミュレットの生成もそうですが、セイルーンの六紡星の結界も細かく分類すると呪術になります。
聖王都動乱で、六紡星の区間にしたのはセイルーン初代国王の側近だった、とある白魔道士だとあります。
となれば、呪術の基礎知識を教えるのは、セイルーンにとってそれほど不自然ではないと思います。白魔術の研究が最先端を行く国ですから。

> と、突っ込んでいたりしましたが、なにやら裏が出てきたりしています。
> はたして、どうなるんでしょうか?
王宮での水面下での駆け引きは、さすがに書くことはできません。国レベルの駆け引きを書けといわれても難題でさすがに無理です。
リナの視点でなら推察という感じで出すことはできるので、王宮、貴族、様々な登場人物の思惑にあんまり期待しないでまっていてください。

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35133白魔術都市狂想曲 106フィーナ 2010/6/5 17:01:51
記事番号34998へのコメント


その牢は彼一人だけでなく、数人の魔道士もいた。

堅固な守りにある牢に近づくと、数人がこちらに気づいたらしく、怯えたような表情を浮かべた。

魔道士たちは、怯えた表情をあたしたちでなく、見張りをしていた兵士たちに向けている。

「アメリア姫! こんなところにおられてなにかあったら危険です!」

「ですが、わたしはたしかめなければならないことがあるのです!」

「しかし・・・・・・!」

牢の近くにいた兵士数人と、アメリアがなにやら話し合うことしばし、

一人の見張りをしていた兵士は、渋々といったようすで、カギ束を取り出した。

がちゃりと開かれる音。

牢の中にいた魔道士たちは、一歩またいっぽと、後ろへと退がっていく。

「おい」

「でろ!」

二人がかりで、兵士たちは乱暴な手つきでアレンを押し出した。

ゆっくりと、感情のない顔で振り仰ぐ。

刃物でも切られたのか、いくつもの傷跡。

顔のいたるところには青あざ。

おそらく尋問と称し、暴行を受けたのだろうというのは想像がつく。

「・・・・・・これは?」

押し殺した声で尋ねるアメリア。

「アメリア姫に危害を加えようとしたことは認めてるんですが」

「動機については何もいわず、痛めつけても化け物のように無表情で対処に困ってたんですよ」

「人間じゃなくて、人間のふりをした化け物なんじゃないかって」

「そう。たしか魔族とか」

沈黙を続けるアメリアに、兵士たちは気まずさをごまかすように言葉をつなげる。

「きけば魔族ってのは、我々と同じ姿を取れるとか」

「魔族は悪なんですから、我々人間が正義を振りかざさないでなんとするんですか」

「・・・・・・魔族がわたしたち人間にとって天敵であることも、悪だということもたしかです」

アメリアは静かに言い始めた。

「あなたたちが表情を変えない人に不安になることも、分からなくはありません。
だからといって、確かめもせずに一方的に暴行を加えることは、わたしが信じる正義とは思わない」

「で・・・・・・ですがアメリア姫。
さしでがましいとおもいますが、この者があなたに危害を加えようとしたことは事実」

「その事実がある以上、我々にとって許しがたい悪人なのです」

「はいそこまで」

あたしは彼らを制した。

「でもリナ」

「兵士さんたちとあんたの言い分は、どちらも筋が通ってるし分からないでもないわ」

あたしは彼らを目でさす。

「それが仕事ならね」

「・・・・・・どういうこと?」

「国のお偉いさんが、何回も面会にきたって言ってたわよね」

「そ・・・・・・そうだが」

ひとりがこたえる。

「なんていってたの」

「わ・・・・・・我々は、知らなくてもいいことだと」

「その会話の内容は知らないのね」

つまりは、どうあっても悪人という立ち位置のまま、裁きにかけたいということである。

「アメリア」

「なに?」

彼らに聞こえないよう耳打ちする。

「ちょっと人払いできるかしら」







罪人と直接対話するなんて危険だという彼らを、アメリアはあたしというボディガードがいるといって強引に人払いを済ませ。

少し離れた場所。

あたしたちの会話が聞こえない距離まで兵士たちを待機させ、あたしとアメリア、それにアレンの三人はいた。

「話しするのにその状態じゃきついでしょ」

治療呪文を使おうと手を伸ばす。

ばし・・・!

彼は拒絶するかのように振り払った。

「・・・・・・あ」

反射的に出てしまったのだろう。

「・・・・・・すみません」

謝罪の言葉を口に出す。

「俺なんかのせいで、あなたやアメリア様まで――」
        リカバリィ
「手を出して。 治 癒 かけるから」

いいかける言葉をさえぎり、いうあたし。

「目に見えない場所も、どうせアザができてるんでしょ」

動く際にも不自然な歩き方をしていた。

おそらくあばらも何本かもっていかれてるんだろう。

「・・・・・・いえ」

かぶりをふるアレン。

「俺はこのままでもいいです」

「やせ我慢してんじゃないわよ」

「俺が犯したことは、彼らが言ってるように、決して許されることではありません。
アメリア様だけでない。もし止めてくれなかったら・・・・・・俺はあなたたちをも手にかけようとしてたんですよ」

しぼりだすように、いうアレン。

罪悪感と、自己嫌悪に近い色をかすかに滲ませて。

「あたしが、あんたなんかにみずみず殺されるようなやつだと思うの?」

「・・・・・・思いません。
思いませんが、万が一ということもあります」

おどけたようにいうあたしに、彼はどこまでも真面目な声で答えた。

「その点ならご心配なく」

胸を張って、あたしはこういってやった。

「何度だって、きっちり返り討ちにしてあげるから」

「・・・・・・・・・・・・」

なぜか、あきれたように沈黙する。

・・・・・・アメリア・・・・・・

おまいも、人の事をかわいそ−なものでもみるかのようにするんじゃない。

まるであたしが、見境なく暴れまくる人種みたいではないか!

「・・・・・・リナが言うと、すっごい説得力」

「やかましい」

ぼそりといったアメリアに、思わず憮然とするあたし。

大人しくなったアレンは、自分で治せるからといって、治療呪文を唱え始めた。

・・・・・・ひょっとして、真に受けたんだろーか。

ちょっとした冗談のつもりだったのだが。

・・・・・・半分くらいは。

などといいつつおもいつつ、まつことしばし。

アレンの傷は少しずつ消えていった。

詠唱の声だけが響いて、どれほどたっただろうか。

「――王宮に知られてるわよ」

あたしはきりだした。

詠唱の声がやむ。

「・・・・・・しってます。
機関の人や、王宮関係の方たちに聞かれました」

「あんたと面会しに来た?」

「ええ」

落ち着いた声で語るアレン。

「ずいぶん落ち着いてるわね。知られるのはいやだったんでしょ」

「それはあちらのことです」

「何を知られるのがイヤなの?」

アメリアの問いに、アレンは考え込むように黙った。

「火竜王がこの地に来られた以上、こちらは隠していても、もうあまり意味を成さないでしょう」

知られたくないのは、呪いの事であって、このことではないということか。

たしかに、一般からみれば、呪いの事は勿論だが、ふつーは信じられんとおもうことではあるが。

「研究が進めば、隠す意味もなくなる。
それが少しだけ早まった。それだけのことです」

「あたしからいう?」

「・・・・・・いえ。
自分のことですから、俺が言います」

「そう」

「・・・・・・アメリア様」

「なに?」

「たぶん信じられないでしょうから、信じて欲しいとは申し上げません」

そう前置きをいって、ぽつりぽつりとアレンは話し始めた。

呪いの事には触れないよう、断片的に。

彼が神の力を使えるということ。

そして、そのことを王宮が掴んでいるということ。

機関や王宮関係者が、面会しに来てたのは、その知識。

神の力についての知識を求めてのことだと。

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35137白魔術都市狂想曲 107フィーナ 2010/6/11 21:34:20
記事番号34998へのコメント


「・・・・・・にわかには信じられないわね。
あなたが神の力を使えるなんて。何故今になってそんなことをわたしに?」

「先ほども申し上げたとおり、火竜王がこの地に来られ、力を・・・・・・力といっても、末端にも満たないようなものですが――
それを感じ取ったものは多くいます。現に、王宮の一部のかたがたは、諜報員を派遣し火竜王の存在をしり、黙認しています」

「施設で、いくつか火竜王様とよく似た、規模の小さい力があったけど、それもあなたが?」

「施設に漂う瘴気を浄化するため、マジック・アイテムの中にいくつか力を分断しました」

あまり効果はなかったみたいですが。と、自嘲気味につぶやく。

「ま。あんたの気持ちもわからなくもないわ。
けど、その相手が覇王神官っていう高位魔族だった以上、比較しようにもできないわよ」

相手はまかりなしにも覇王神官。

能力面だけで見ても、戦闘力や魔力は、あたしたち人間よりはるかに強大である。

あたしたちがディーを倒すことができたのは、様々な要因が挙げられるが、ひとえにヴラがディーを消耗させていてくれたのが大きい。

たとえ神の力を使えたとしても、人である以上、おのずと限界がある。

神の力も、そもそも決して万能ではないのだ。

「二つ目の理由は、弟を・・・・・・身内を王宮に引き渡さないためです。
・・・・・・ていのいい人質として、利用されないための」

アメリアは、ただ片眉をぴくりとはねさせただけ。

・・・・・・ただその表情は、怒ってるというより・・・・・・

「俺は過去、ある人物に弟を盾に取られ、挙句の果てに危害を加えられそうになりました。
親戚のいる国までつれていき、その国の住人として籍を入れてしまえば、さすがに国際問題として手出しできなくなるだろうという・・・・・・俺が今も尊敬している知人の助言に従い今までは事なきを得ていましたが」

「一国の中枢を占める、いわば幹部とも呼べる人間たちにとっては、これ以上ないくらいのカードよね。
いくら治安がよく平和的な国だからといっても、どこぞの国の侵略やらモンスターたちに対する自衛として軍はあるんだし」

ただでさえ、このセイルーンという国は――大国なのだ。

赤の竜神スィーフィードを信仰し、白魔術の研究の最先端を行く国として知られている。

だが国が大きく発展していくと、どこかしら歪みが生じる。

平和と中立をうたっていたとしても、国同士の国外対策はもちろんやってるだろうし。

極端なはなしだが、街のほうを見てみれば、裏路地などは表に出てこない非合法な店も立ち並んでいるところもある。

そしてなにより。

スィーフィードを信仰しており、白魔術の研究がさかんと言うことはである。

もし神の力を解析し、セイルーンが第一に他国よりも早く神の力を使えたら。

もしくは、その力を他国に漏らさず、独占することができたのなら?

王宮の中には、以前アルフレッドのような、独裁者めいたことを吹き込まれた男のようなにんげんがいてもおかしくない。

いや。王宮の中には、裏で王位継承者をいいように操り、暗躍するものがいてもおかしくないのだ。

それがどういう結末をたどるのか、少し頭をひねれば分かることである。

すなわち――破滅。

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35138白魔術都市狂想曲 108フィーナ 2010/6/12 20:35:30
記事番号34998へのコメント


「アメリア様にこのことを打ち明けたのは、自分を卑下していっているわけではありません。
個人としての立場で対抗しようとしても、王宮という巨大な力に対して、あまりに無力だということがわかっているからです」

「あなたがわたしにそれを打ち明けたのは、弟を守るため?」

「弟だけでなく、俺とかかわりを持っている身近な人たちに、いらぬ嫌疑をかけられたくないんです。
・・・・・・アメリア様のお耳に、王宮から俺のことは伝えられていなかった。神の力を使えるということが」

「わたしは、それを知っていたとしても、あなたが犯した罪を許すことはしない。
あなたを利用しようとする人たちの思惑も、身近な人を人質に取ろうとすることなんて行き過ぎたマネを――
王宮だって、証拠がない以上そんな愚考を強行するはずはないわ」

「・・・・・・だからこそ王宮は、あんたの耳に入れないように隠してたんでしょ」

そういったのは、ほかならぬあたしだった。

「リナ・・・・・・それでも、罪を犯したら裁きを下すのは、わたしたち王族の使命でもあるのよ。
公正な裁きを下すために、関係者には査問会を開いて、事実確認もとることもあるし」

「ふつーに生活を送っている人から見れば、査問ってけっこー精神的にもキツいものがあるとおもうんだけど」

王族殺しというたいそーなものなら、決定権は王族が握っている。

王宮内であれこれ画策している連中にとってみても、大義名分で容疑者の関係者を堂々とるためには、どうしても王族の許可がいるだろうし。

それに嫌疑をかけられた人たちが、いくら証拠がないといって否認してみたとしても・・・・・・

疑わしいとして王族の許可が出たら、例え無実であったとしても、王宮に顔を出さなくてはならないだろう。

重圧に耐え切れず逃亡しようとしたら、指名手配されることにもなりかねない。

査問ってーのは、やたら疲れるもんである。

ネチネチ同じよーな内容のことを質疑応答して、意見が食い違っていたりしたのを違う角度でつつくとゆー・・・・・・

おそろしいのは、昨日言ったはずの内容をもう一度聞かれ、不備なところがあったら数人がかりで、査問の方々から質問されまくることである。

それが数日にも、下手したら一月以上かかるかもしれないというのだから、並の神経ならたまったもんじゃないだろう。

そして・・・・・・まあ、そこまで悪質なことはないとは思うが、そういった弱った連中を王宮の人間が近づいて・・・・・・

容疑のかかっている人間。

つまりアレンの心証を悪くさせるようなことを証言するかわり、査問会を早めに切り上げてやると交換条件を出したとしたら。

あっというまに、アレンは罪人から大罪人へと早がわりとゆーわけである。

・・・・・・いくら王宮でも、そこまでやらないとは・・・・・・思いたくはないが。

「時間がたてば経つほど、周囲が不利になっていく気がします」

「わかりました。そこまでいうなら処刑の日程を早めます」

アメリアは切り出した。

「ですがそれは、あなたが神の力を使い、今この地におられる火竜王様にかけられた、魔族の呪いを解いた後とします」

「火竜王・・・・・・まだおられたんですか」

どことなく、げんなりした様子で言うアレン。

「あの方なら、殺したって簡単には死なないと思うんですがね」

それは激しく同感である。

「多くの神官や巫女たちが挑んでいますが・・・・・・あなたが本当に神の力が使えるのなら、頑張って解いてほしいんです。
神の力を使えるというのが本当なのか確かめるのも含んでますが、あなたの今まで行ってきた、神官としての実績を評価しているんですよ」

「――やります」

アレンは静かに、しかしはっきりとした口調で言った。

「頑張る頑張らないというよりも、もとからやろうと思っていましたが。
巫女頭を務めていらっしゃるアメリア様に、そこまでいわれては、神官冥利に尽きますよ」

「勝算はあるの? 今のあんたはいわゆる四面楚歌。
あんたの同僚たちも王宮に睨まれるのがイヤで、あんたを避けてるかもしれないのに」

辛口のあたしの言葉に、

「それでも・・・・・・このまま何もせずに、ただ待つのはイヤなんです。
身近な人たちに、いらぬ嫌疑をかけられているかもしれない。王宮の中では、王宮という籠の中に追い込もうとしている人も多くいる」

「すくなくとも・・・・・・あなたが火竜王様を魔族の呪いから解放することができたなら・・・・・・
監視がつくでしょうけど、思惑通りに事を動かそうとしている人たちからみれば・・・・・・
あなたは王宮という檻の中にいても、食べ物に困ることもなく、不自由なく暮らすことはできるわ。しばらくは窮屈な思いはするでしょうけどね」

アメリアのなかなかドライな発言に、彼は、遠い目をして虚空を見つめる。

「たしかに、衣食住には困らないでしょうが、それは自由ではありません。
監視がついて始終見張られ、外に出ることも許されず、動きを制限束縛され・・・・・・」

「それはさすがに飛躍しすぎじゃ?」

アメリアの問いには答えず、自分の腕を掴むアレン。

「・・・・・・彼等の時代なら、そう珍しくはありませんでしたよ」

「なにかいった?」

「いいえ」

小声すぎて聞き取れなかったのだろう。聞き返したアメリアにそう返す。

「それに俺は・・・・・・図々しいとは思いますが。
普通に友人たちとバカ話をしたり、後輩の育成に力を注いだり、趣味の古書本巡りや、弟の様子を見に顔出したりしたいんです」

「・・・・・・本気でそれ図々しいわね」

「リナさんにそういわれたくありませんが」

「そこまでいうなら、失敗の可能性は低いの?」

「低いというより、失敗したら火竜王・・・・・・無事でなくなる可能性のほうが高いですね」

あたしにいわれ、とんでもない発言を抜かすアレン。

「ちょっ!? それどーゆー意味よ!」

「・・・・・・えっとですね。
神の力、竜王の力といっても、人が使えるものには限度がありまして」

「それはわかってる」

「それに対して火竜王は、スィーフィードの分身とも呼べる強大な存在です」

「・・・・・・あー。
普段が普段だから、すっかり忘れてたけど、ヴラってああみえても一応はカミサマだったっけ」

いまさらのように思い出すあたし。

正直ヴラを神だと呼ぶのに、釈然としないものがあるのだ。

一般常識を兼ね備えた、あたしみたいな天才美少女魔道士(ジト目でみないよーに)がである。

理解に苦しむ格好をした、ヒモパン女のことを尊敬――

・・・・・・いや心酔しているよーなやつを、神として認めるのは、人として・・・・・・

生きとし生けるものとして、間違っているとしか思えないのだ!

「・・・・・・なにか別のところと葛藤しているような気がしますが。
人と魔族。人と神。魔力においても精神力においても、人には限りがあります」

「まさか怖気づいてるわけじゃないわよね」

アメリアのセリフに頭(かぶり)を振る。

「人が呪文を発動させるには、普段使える魔法のほか、儀式や道具。時間を必要とするものがあります。
それでもやはり、人である以上神にかけられたものを治療するには、それ以上の存在の力を借りたものが必要です」

「そんなものまで使えるの!?」

驚きを隠せないアメリアに、やはりアレンは気乗りしない様子で。

「使えないに決まってるでしょう」

あっさり否定され、勢いでがっくりとする彼女。

「俺がやろうとしているのは、火竜王を中心に、スィーフィードの力を導こうとする方法なんですから」

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35140Re:白魔術都市狂想曲 108セス 2010/6/12 21:30:53
記事番号35138へのコメント

こんばんは、お久しぶりです、フィーナさん。
>査問ってーのは、やたら疲れるもんである。
>
>ネチネチ同じよーな内容のことを質疑応答して、意見が食い違っていたりしたのを違う角度でつつくとゆー・・・・・・
>
>おそろしいのは、昨日言ったはずの内容をもう一度聞かれ、不備なところがあったら数人がかりで、査問の方々から質問されまくることである。
嫁いびりの姑のごとき(をい)ねちっこさですね・・・

>
>つまりアレンの心証を悪くさせるようなことを証言するかわり、査問会を早めに切り上げてやると交換条件を出したとしたら。
>
>あっというまに、アレンは罪人から大罪人へと早がわりとゆーわけである。
>
>・・・・・・いくら王宮でも、そこまでやらないとは・・・・・・思いたくはないが。
100%やらない、と断言できないところが・・・
>
>「火竜王・・・・・・まだおられたんですか」
>
>どことなく、げんなりした様子で言うアレン。
>
>「あの方なら、殺したって簡単には死なないと思うんですがね」
>
>それは激しく同感である。
えらい言われよう・・・(笑


>「・・・・・・あー。
>普段が普段だから、すっかり忘れてたけど、ヴラってああみえても一応はカミサマだったっけ」
>
>いまさらのように思い出すあたし。
>
>正直ヴラを神だと呼ぶのに、釈然としないものがあるのだ。
>
>一般常識を兼ね備えた、あたしみたいな天才美少女魔道士(ジト目でみないよーに)がである。
・・・みないよーにと言われても、自然とジト目になってしまう・・・

覇王神官ディーが滅んで、事件解決、悪が滅んで気分爽快ってわけにはいかないですね・・・

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35141Re:白魔術都市狂想曲 108フィーナ 2010/6/13 22:20:32
記事番号35140へのコメント


>こんばんは、お久しぶりです、フィーナさん。
こんばんはセスさん。おひさしぶりです。
>>おそろしいのは、昨日言ったはずの内容をもう一度聞かれ、不備なところがあったら数人がかりで、査問の方々から質問されまくることである。
>嫁いびりの姑のごとき(をい)ねちっこさですね・・・
さらにいうと、姑が数人いるような・・・
>>つまりアレンの心証を悪くさせるようなことを証言するかわり、査問会を早めに切り上げてやると交換条件を出したとしたら。
>>あっというまに、アレンは罪人から大罪人へと早がわりとゆーわけである。
>>・・・・・・いくら王宮でも、そこまでやらないとは・・・・・・思いたくはないが。
>100%やらない、と断言できないところが・・・
水面下での駆け引き、表には出てきませんが、そういうことを画策している輩がいそうです。
>>「火竜王・・・・・・まだおられたんですか」
>>どことなく、げんなりした様子で言うアレン。
>>「あの方なら、殺したって簡単には死なないと思うんですがね」
>>それは激しく同感である。
>えらい言われよう・・・(笑
後先考えずに動くなとも思っているみたいです。アレンではなく初代が。
>>正直ヴラを神だと呼ぶのに、釈然としないものがあるのだ。
>>一般常識を兼ね備えた、あたしみたいな天才美少女魔道士(ジト目でみないよーに)がである。
>・・・みないよーにと言われても、自然とジト目になってしまう・・・
みなさん自然とジト目になってしまうよーで・・・
>覇王神官ディーが滅んで、事件解決、悪が滅んで気分爽快ってわけにはいかないですね・・・
魔族の暗躍も、人間にとっては迷惑なものでしたが、この辺は人間の利権や思惑がうきぼりになってます。
権力争い、セイルーンでもあります・・・画策している人たちにも、国のために行っているという意識で動いている人もいますし。
いい意味では信念を貫くってことでしょうが、そういうひととかって、本当に悪いこととは思っていないからこそ、厄介なんですよね。

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35143白魔術都市狂想曲 109フィーナ 2010/6/18 23:16:41
記事番号34998へのコメント

赤の竜神スィーフィード・・・

それは、はるか昔。

気の遠くなるほど長い年月の中。

赤眼の魔王シャブラニグドゥと世界の存続をかけ、覇権を競った神。

結果は魔王の魂を七つに分断し、人の心の中に封印することに成功するも、自らは力尽きる寸前。

魔王復活の脅威を危惧し四体の分身――

竜王と呼ばれる存在を配置し、混沌の海に還ったといわれている。

「・・・・・・うまくいくかどうかは、正直分かりません。
火竜王自身の力が本来ならば、覇王神官あたりの魔族に攻撃されたとしても、せいぜいがかすり傷程度」

「アメリア。あんたのほうで、何か情報掴んでる?」

「ディーはセイルーンを中心に、他の町や村でも人の魂に魔族の因子をうえつけ、集めて食い合わせていたって報告にあるわ」

・・・・・・やっぱりか。

仮にも竜王を滅ぼそうとしていたぐらいである。

ディーは傭兵など、資質の高い人間を中心に、人間の魂に因子を植えつけるためツゥドルクを憑依させていた。

セイルーンだけでは、良質な魂を集められるとは考えにくい。

ディーは以前関わったある事件。

レイスン・シティと呼ばれる町で相対したとき、ディーは明らかに何者かの指示で、あたしたちの前から姿を消した。

魔族たちは知ったのだ。

スィーフィードが分身の一つ。

火竜王ヴラバザードがこの地に降り立ったことを。

そしてディーは、ヴラに悟られないよう慎重に、様々な町や村で暗躍していたのだろう。

だがいくら人の魂を、因子で汚して食い合わせたとしても、覇王神官程度の力では、竜王に及ばないのは目に見えている。

多くの魂を食い合わせ、よしんばそれでうまくいったとしても、ヴラに致命傷を与えることは難しい。

本来ならば。

だが魔族たちは、配下の腹心。

神官・将軍と呼ばれる高位魔族たちを、冥王が納めていた滅びの砂漠に配置し、一時的に神封じの結界の代用を果たした。

一時的にヴラの力はそがれ、付け入る隙が生まれた。

だが神を滅ぼすには、まだ十分ではない。

そこでディーは降魔戦争の際、北の魔王が魔竜王ガーヴの竜の属性を媒体に、水竜王に自らの力を叩き込んで滅ぼしたのをヒントにした。

黄金竜であるリーリアをみつけだし、ツゥドルクの中に宿らせた魂たちを、リーリアに注いで喰らい合わせたのだ。

たとえるなら、水と油を混ぜるのに、石鹸水を用いるようなものである。

「ヴラを中心にして、竜王の力を束ねスィーフィードの力を導く。
それで、喰らい合わされた魂たちが元に戻るってことは・・・・・・」

「・・・・・・なんともいえませんね」

あたしの質問に、彼は歯切れ悪くそういった。

「なんともいえない・・・・・・とは?」

「魔の因子を植えつけられた時点で、純粋な人の魂に戻ることは難しいということです」

アメリアの問いに、答えていくアレン。

「火竜王様の御力だけでは、とらわれた魂たちは救えないの?」

「喰らい合わされた魂たちは、元の肉体に戻ることもできず。
魔の因子があるが故・・・・・・このままでは火竜王の紅蓮の炎で焼かれ続け――
輪廻の中に入ることさえ許されず、解放されることもかなわずに、火竜王の中で――火竜王共に未来永劫、苦しみ続けるでしょう」

「だからこそ・・・・・・スィーフィードの力を導こうとしてるのね。
神や魔。強大な存在に対抗するには、それと同等かそれ以上の存在の力を借りるしかないもの」
                クレアバイブル
それは、かつてあたしが  異界黙示録  で聞いたものと同等のものである。

「成功する可能性は・・・・・・正直なんともいえないんです。
失敗してしまえば、火竜王の中にある魂たちを、解放できず殺してしまうかもしれない」

「・・・・・・アレン。
あなたはそういった悼む心を持っているのに、どうしてわたしをてにかけようとしたの?
あなたがわたしを手にかけようとしたのは事実だと認めているのに、どうしてこの期に及んで理由を言わないの?」

「・・・・・・理由を言っても言わなくても、罪を犯した以上。
罪が軽減されるわけでもないですし、言い訳にしか聞こえませんから言わないんです」

「死刑などの極刑でも、言うつもりはないの?」

「ええ。事実は事実ですから」

念を押して尋ねるアメリアに、アレンはそう答えた。

己の死すら覚悟した返答に、アメリアは沈黙する。

しばらくたってから、彼女はおもむろに口を開いた。

「・・・・・・耳に入ってきた情報だけど、あなた以外でも国に対し謀反を起こそうとしている人たちが、あなたの身近にいるっていう噂があるんだけど、それは本当?」

「ありえません!」

ばっと顔を上げ、反射的に声を荒らげ否定するアレン。

表情が消えうせた顔の中にも、僅かに怒りと悔しさの色が見え隠れする。

「もしそれが本当なら、王宮の監視の下、個々に査問会を開くという動きを見せている文官や貴族たちがいるわ」

「・・・・・・許可は出したの?」

あたしの問いに、アメリアは首を横に振る。

「まさか。でも承諾なしに行おうとしているのは確かよ。
あなたの友人や同僚たちが抗議しに来て、すぐにでも呼び出そうとしているみたいだし。
・・・・・・査問を開く絶好の機会。呼び出すために都合のいい口実ができたって、あのひとたち内心では喜んでるんじゃない?」

その口ぶりから、どーやら彼女も王宮の思惑に気づいているよーである。

・・・・・・まあ。

気づくも何も、こうやってわざわざ地下牢まで顔を出し、笑いながらアレンをいたぶる兵士たちを遠ざけて。

神の力うんぬんというはなしをきいた以上、気づかないほうがどうかしてるとおもうのだが・・・・・・

王宮の一部の人間が、アメリアやフィルさんたち王族に内密に隠蔽していたということを踏まえると。

神の力を他国に漏らさず独占しようとしていたか。

はたまた、戦争地域の多い場所で神の力を使い、争いの無力化を図っていたとか、おおまかにいうとそんなところだろう。

なかには、なにも知らされず踊らされてる連中もいるとは思うが、そう簡単に尻尾はつかませてくれないだろう。

狡猾な連中ほど、表舞台にはあまり登場しないものだと相場が決まっている。

王宮関係者なら、なおさらだろう。

一国の中枢に潜む、大国の暗部。

どこの国でも、それは変わることはないのだ。

白魔術都市。

聖王都とよばれるこの国でさえ、国が発展し大きくなるにつれ、どこかしら歪みというのは生じるものなのだ。

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35144白魔術都市狂想曲 110フィーナ 2010/6/27 17:00:20
記事番号34998へのコメント


「・・・・・・アメリア。処刑の執行を無効にすることは?」

「リナさん。いいんですよ。
処刑の無効は、俺は望んではいませんから。ただ無関係な人たちが、いらぬ陰謀に巻き込まれるのがいやなだけです」

「身近な人間に危害が加えられるのがイヤだからって、あんた自身がどうなってもいいっての!?
あたしは、あんたが自分のことを過小評価してんのが気に食わないのよ!」

「・・・・・・別に過小評価はしていませんよ。どうあっても、俺が罪を犯したことは事実なんです」

「王宮の思惑が何であれ、処刑は取り消さないわ」

沈黙を破って、アメリアは重々しく言った。

「罪を犯したものをさばかなければ、国が乱れ廃れることにもなるもの」

仲間としてではなく、国を守る王族としての顔で彼女は言った。

「特例として許してしまえば、示しにもならない。
それに彼も、それを望んではいないわ。アレン――もう一度尋ねるわよ。
あなたの友人や同僚たち。身近な人たちが、国に謀反を起こそうとしているという話は事実無根なのね?」

「はい。アメリア様。
ですから、彼等の拘束を解いていただけませんか」

「・・・・・・裁判に対し抗議をして、捕らえられてる人たちを解放しに行きます」

アメリアは、離れていた兵士たちに声をかける。

「査問会の順延など、色々手続きとかがあります。何人か、わたしのあとについてきてください」

『はっ!』

数人の兵士たちが、アメリアに敬礼をし、彼女に続いていく。

「アメリア姫! この方は?」

兵士の一人が、あたしを目でさす。

「リナ。最後に別れの挨拶でも、済ませておいたほうがいいわ。
これから慌ただしくなって、顔を合わす機会もなくなるだろうから」

あたしにそういって、アメリアは兵士に、

「要件を済ませたら、行きと同じように丁重に送迎してください。
リナを怒らせたり、刺激なんかしたら命の保障はできませんので、くれぐれも言動には気をつけてくださいね!」

よけーなお世話である。

「は・・・・・・はいっ!?」

アメリア・・・・・・どーみても、脅してるようにしか聞こえないぞ。

兵士のあたしをみる目は、あきらかに恐怖に引きつっていた。






「あんた・・・・・・バカでしょ。
うまくかわすなり、できたでしょーに」

「そうでもないですよ。俺はあなたやオリヴァーのように、うまく立ち回れるほど器用ではないですし」

器用貧乏って、こーゆーやつをさすんだろーな。

写本や論文の写しなど、そつなくこなすくせに、肝心なところを外してしまうよーなやつ。

なまじ小器用なやつほど、苦労するってのも、うなずけるはなしである。

「リナさん。ありがとうございます」

「なにがよ」

「呪いの事・・・・・・言わないでいてくれて」

「・・・・・・やっぱあんたバカ。
あんたの中に在る、ディーによって引き出された魂たちのことで、あんたが罪をかぶる必要なんかないじゃない」

「それでも・・・・・・彼らは俺でもあるんです。人によって虐殺されたエルフ。仲間の裏切りで命を落とした傭兵。
覇王神官によって引き出された歴代の所有者たちの負の感情は、俺が持っていてもおかしくないものでもあるんです」

「それであんた自身が、心を痛める必要なんてどこにもないじゃないの。
生きている以上、気づかぬうちに誰かを傷つけたり、傷つけられるのはどこにでもあることよ」

「それでも! それでも俺は――彼らを。
彼等の思いさえも捨て去ることも、忘れることも許されないんですよ?」

永劫に続く呪いは、呪縛となって解放されることもかなわず、次の所有者へと受け継がれる。

「北の魔王。レイ=マグナス=シャブラニグドゥは、初代に呪いをかけました。
身近な者を目の前で失ったら、呪いが発動するようにしたのは、彼も目の前で彼女を――人間に殺されたからでしょうね」

・・・・・・刹那。

それは、脳裏をよぎった。

彼の目の前で毒を浴び、目に見えて弱っていく彼女と。

彼女を奪われたことで、深い憎悪と妄執に囚われた男の事。

・・・・・・ルークとミリーナ。

「もう・・・・・・千年以上も、魂の所有者たちは囚われています。
だからせめて火竜王のなかで喰いあっている魂たちには、肉体に戻れずとも、無事に輪廻の中に入っていただきたいんです」

アレンは、顔をうつむかせた。

「俺は、マーシュがシーゲルに・・・・・・身近な人に危害を加えようとしていたこと。
昔のように憎んではいませんが、嫌いなことには違いありません。もう、あんな思いをするのはごめんです」

「きいていい?」

あたしはいった。

「今回の処刑。同僚や友人たちを助けるためでもあるの?」

「神の力を使えることを王宮は掴んでいます。
もし俺が断れば、王宮のなかには、手段を問わず巻き込もうとする人もいるでしょう」

「たとえ、自分のみを犠牲にしても?」

「ええ」

彼の中に在る狂気は、以前感じたものより強く根付いていた。

「俺はもう、ソフィアのときのようにどのような形であれ、目の前で失うのは――」

不自然に言葉を切るアレン。

「・・・・・・ソフィアって・・・・・・誰でしたっけ?」

「・・・・・・アレン?」

彼は、瞠目して、頭を抱え崩れ落ちる。

――慟哭が、響いた。

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35145Re:白魔術都市狂想曲 110kou 2010/7/2 18:02:09
記事番号35144へのコメント

 お久しぶりです。フィーナさん。kouです
>「要件を済ませたら、行きと同じように丁重に送迎してください。
>リナを怒らせたり、刺激なんかしたら命の保障はできませんので、くれぐれも言動には気をつけてくださいね!」
>
>よけーなお世話である。
 ただし、事実無根ではないところが、痛いでしょう。(リナ:余計なお世話よ)
>「は・・・・・・はいっ!?」
>
>アメリア・・・・・・どーみても、脅してるようにしか聞こえないぞ。
 当人は忠告のつもりなんでしょうけれどね。実際に、リナを怒らせて後悔する事になったのは、星の数ほど居るだろう。おもに、盗賊だけど……。
>兵士のあたしをみる目は、あきらかに恐怖に引きつっていた。
>不自然に言葉を切るアレン。
>
>「・・・・・・ソフィアって・・・・・・誰でしたっけ?」
>
>「・・・・・・アレン?」
>
>彼は、瞠目して、頭を抱え崩れ落ちる。
>
>――慟哭が、響いた。
 なんか、大変なことが起きているような気がします。
 一体どうなるんでしょう? 予測できません

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35147Re:白魔術都市狂想曲 110フィーナ 2010/7/8 19:46:36
記事番号35145へのコメント


> お久しぶりです。フィーナさん。kouです
kouさんこんばんは。レスが遅くなってしまいました。
>>「要件を済ませたら、行きと同じように丁重に送迎してください。
>>リナを怒らせたり、刺激なんかしたら命の保障はできませんので、くれぐれも言動には気をつけてくださいね!」
>>よけーなお世話である。
> ただし、事実無根ではないところが、痛いでしょう。(リナ:余計なお世話よ)
日ごろどう思われているかが伺えますね。
>>アメリア・・・・・・どーみても、脅してるようにしか聞こえないぞ。
> 当人は忠告のつもりなんでしょうけれどね。実際に、リナを怒らせて後悔する事になったのは、星の数ほど居るだろう。おもに、盗賊だけど……。
あと依頼人とか、頼まなければよかったと、後悔してそうな人が多いと思います。
>>彼は、瞠目して、頭を抱え崩れ落ちる。
>>――慟哭が、響いた。
> なんか、大変なことが起きているような気がします。
> 一体どうなるんでしょう? 予測できません
人はなにかしら抗っています。勉強とか部活とか、追試とか補習とか残業とか。
明日の献立を考える前に、今日の献立を考えるのが先。未来のことを考えるのもいいが、今のことも考えろ…そんな感じです。