-すき・ゼロリナ小説-一姫 都(7/19-12:56)No.3468
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3468すき・ゼロリナ小説一姫 都 7/19-12:56

こんにちわーーーーーっっ、一姫都でーーーーすっっ(はぁと)
これは以前某・ゼロリナページ(笑)に掲載させていただいていたものの再掲示でしゅ。
とりあえずゼロリナだけ(はぁと)
いちばんのおすすめは「すき・4」っっっ、これはあのお二人の会話が(ゼロスとリナぢゃないのよんっっ)好評でしたーーーーーっっ(はぁと)
ゼロリナぢゃない方も、4は楽しんでいただけると思いますーーーーーっっっ
でわでわ………



                 すき


            わたしがすきなのはあなた
            
             わたしはあなたがすき


            わたしはあなたの何処がすき?
           
            わたしはどうしてあなたがすき?




 その日、あたしの気分は最悪だった。
 とにかくむかむかしていて、誰かれかまわず当たり散らしていた。
 そして、珍しくゼロスと言い合いになった。
 今になって思えばこれは本当に珍しい事よね。あたしとゼロスが言い合いになるなんて。
 ケンカの理由はほんのささいな事。
 けれど小さな小さな言い合いが、やがて大きなケンカになった。
「なんですってぇぇつっ、じゃああたしが間違ってるっていうのっっ!?」
「そうです。だいたいリナさんは……」
どちらが正しいともいえないくだらない言い争い。
どうして、そんなことになってしまったのだろうか……。
ああ、そうか。
今になってみれば、答えは簡単に打ち出せるものだった。
あの時は、二人ともいらいらしてたんだわ。
だから、だれかとケンカする事でそれを発散させたかったのよ……。
そうすれば、少しは気分がすっきりするのではないかと思ったのだ。
まあ…、二人が二人普通の状態じゃなかったって事は確かね。
頭に血が上って、冷静に物事を考える事が出来なかった…。
だから、大好きなあなたにそんな酷い事をいってしまえたのだ。
「ああ、もうっっっ!!!!
だいたいなんなの、その長い髪はっっっ、男のくせにおかしいんじゃないのっっ」
「なっっ!?」
言われ怪訝な顔付きをするゼロス。
そしてやや強い口調で呟く。
「なんでそんな所に話が飛ぶんですか……、それにですねぇ…」
続けようとするゼロスの言葉を、あたしの言葉が制した。
「もういいっっ!!
だいっきらいよっっ、ゼロスなんてっっ!!」
そしてあたしは、宿を飛び出し雨の街へと走り出した。

…そして、今に至る。
ここは宿の隣のレストラン。
あのあと街をしばらく歩きまわり、宿とは反対側の通路を通りここにやってきた。
少し遅い昼食を取りながら、あたしはさっきの事を思い返す。
……なんで、あんな事いっちゃったんだろう………。
後悔してるのが、自分でもよくわかった。
『だいっきらいよっっ、ゼロスなんてっっ!!』
……はあぁぁぁぁっっっ。
重いため息をつき、ふと考えてみる。
…そういえば、なんで気分悪かったんだっけあたし……。
どうしていらいらしてたの……?
ああ、そうか。
昨日の夜あの光景を見たからだわ……
 
 
          続く



さあ、リナが見た光景とはっっ!?
そしてこれからの展開はっっっ!???
それは作者にも解らなぁぁいいいっっっっ(おいおい・殴)
…でもまあ、最後の方はべたべたの甘甘にする……予定(は未定・笑)
たぶん、あと3回か4回で完結できるかとおもいましゅーっっっ

それでは
           1998/4/13/ *一姫 都*





                 すき2


              わたしはあなたがすき

             わたしがすきなのはあなた


             きらいはすきのうらがえし
 
             きらいとすきはよくにてる
 
    

     
 その夜は星空が綺麗だった。
 あまりにも美しかったため、あたしは一人宿をぬけだし外へと繰り出した。
 出ると、外はなんだか暖かかった。ああ、春だなあ…そう思いつつ、
 星に目を向けながら歩き始める。
 夜の路地はとても静かだった。
 けれど、それがかえって、この夜を一層美しいものにしていると、わたしは思った。
 そしてふと、夜の似合うあいつを思い出した。
 こんないい夜なら、あいつもさそってくればよかったわね………。
 この夜を二人で過ごせていたならば、どんなに良かっただろう…
 と、あたしは今更ながらに思い、深くため息をついた。
 ちょうど、その時だった。
「綺麗な髪ねぇ…、おにいさん」
 甘ったるい声が耳にからみつく。
それは先の路地の方から聞こえてくる。
………なんだろう?
「そうですか?」
それはよく聞き慣れた声だった。
低く、とても耳に残る、印象的な声。
まさかとは思った…、けれど、どう考えてもそれはあいつの声だった。
そう、ゼロスの。
「うん、きっれぇいっ……、なぁんか、闇の色ってか・ん・じっっ、ふふふふふ」
見ると、月明かりの下でゼロスと女の人が話している。
……なに、あの女…。
その人は金色の髪をもった美人で、肌が透けるように白かった。
それは月の光を浴びてより一層きわだっているようだった。
……きれい。
そう思った。
でも………、なんでそんな人がゼロスが一緒にいるの……?
魔族……かなぁ?
「闇の色…ですか?」
「うん、そぉんなか・ん・じ、ふふふふふふふふふ」
……どうでもいいけど、なんかむかつく。
その人はそう言い、ゼロスの髪に手をあてる。
「なっっっ…」
危うく声を出しそうになり、慌てて口を手で押さえるあたし。
なっっ、何やってのよあんたぁぁぁっっっっ
ゼロスに触るなぁぁぁっっっ
そしてその手は、滑るように頬を通り抜け唇の所で止まる。
「…なぁんか、……血の色みたいねぇ……唇」
やっっ
やめてよぉっっ、口なんかさわるなぁぁぁぁっっっ!!!!
しかし、ゼロスはその手を払いのけようとせず、静かに呟く。
「血の色…」
「そう、血の色。
まあ、いろっぽくっていいんじゃない?」
どくんっっ……
心の中で何かがざわめく。
ふいに胸裏が熱くなり、心を締め付ける。
……何…これ
自分でも、この気持ちがなんなのか解らなかった。
けど、もうこれ以上ここにはいたくなかった。見たくなかった。
ゼロスとあの人が居るところを………
だから、あたしは逃げるようにして走った。
あの二人が目に入ってこない場所まで、走り続けた。
はあははあはあ…………
気が付くと、そこは宿だった。
どうやってここまできたのかは覚えていない………
ただ、夢中で走っていた。
本当に、どうやってここ…、宿のあたしの部屋まできたのかしら…
くすくすくすくすくす………
おかしくって、笑みか込み上げてきた。
自分のした事なのに、わかんないなんて…ね。
 
――ドウシテアタシハ、ニゲダシタノ?

わかんない…
 
――ドウシテアタシハ、ニゲダシタノ?

…ただ、あそこにいたくなかった

ゼロスとあの人が居るところを、みたくなかった……。


――ドウシテアタシハ、ニゲダシタノ?

だからっ、ゼロスとあの人が……………


――チガウデショウ?

あたしは………

――アナタハ………オモッタノヨ


アノ二人ハ、オ似合イダッテ…………




* To be Continued *



…なんだろう…この展開は……(汗)
ああああああっっっ、話がいつのまにか一人歩きしてるぅぅぅっっっ!!
…どうしよう……、っていうか、これからどうなるんだろう…(笑)


         1998/4/18 *一姫 都*




             すき3・闇色の髪


            わたしはあなたがすき

           わたしがすきなのはあなた


           すきのきもちはむづかしい

          あなたはすきに出会えたかしら



 宿を出たのは真夜中だった。
静寂に満ちた夜の町を、一人歩き出す。
吸い込まれそうな満点の星空に、僕はあの人を思い出した。
これを見たなら、喜んでもらえたでしょうか……?
その紅く、大きな瞳いっぱいで空を見上げ、あなたはなんて言うのでしょうね。
そんな事を思い浮かべる自分が、なんだかおかしくて、一人笑った。
…何故、あの人の事を思っているんでしょうね……。
この頃気づくと、いつでも彼女に結びつけているように思う。
それがどうしてかは自分でも解らず、なにか変な不快感に襲われる。
…まったく、なんなのでしょうかね……。
そんな事を思っているうちに、目的の場所へたどりついていた。
用もなく、夜を歩いているわけではなかった。
ある人から、呼び出されていたのだ。この場所へ。
 町の、ほぼ中心に位置するこの噴水の前へと。
「あ、きたきた」
 噴水の前で、優雅に手を振るその人。
意外にも、その方は自分より早くここに辿り着いたらしい。
それは、とてもめずらしいことだった。
「今日はお早いんですね」
「そうだね、驚いた?」
確かに、少し驚かされた。
それは、別の意味でも…………
その方は、ふわりと、長く透けるような金の髪をかきあげ、口の端を少し上げる。
顔にかかる月の光が、より一層、肌の白さを目立たせていた。
「たまには、この姿も悪くないね」
言って、そのひとは悪戯げに笑う。
「そうですか、フィブリゾ様」
「そうだよ。
それにね、今日はゼラスの真似をしてみたんだよ。
そっくりだろう?」
言われてみれば…………。
腰のあたりまで掛かる、長く綺麗な金の髪。絹のようにしなやかで、透けるように白い
肌。そのどれを取っても、我が主を思い出させるものであった。
「そうですね」
「だろう?」
僕のその言葉に、満足げに笑って、再び髪をかき上げるフィブリゾ様。
ぴくっ………
少し身体を動かし、何かを感じ取ったかのように黙り込むフィブリゾ様。
そして、僕の後ろの路地に目配せをする。
……後ろの路地に誰かいるのでしょうか…?
気配を感じ取ろうとするが、フィブリゾ様の声に防がれる。
「ねぇ……、おにぃさん」
 ふいに出された声は、とても甘いものだった。
「…どうしたんですか、フィブリゾ様」
 だが、答えは返ってこない。
代わりに囁くような声が、再びそこにこだまする。
からかっているのでしょうか……?
フィブリゾ様にからかわれるのには慣れていた。
生まれてからほぼ毎日といっても良い程、言われ続けてきた。
 すると、フィブリゾ様がふいにこちらへとやってくる。
「綺麗な髪ねぇ、おにぃさん」
酔っているのでしょうか……?
色々考えてはみたものの、やはりよく解らなかった。
だから、しばらく様子をみてみることにした。
……しょうがないですね、少しつきあいますか……。
「そうですか?」
「うん、きっれい…、闇の色って感じ……ふふふふふふふふふ」
「闇の色……、ですか」
まさしく自分に合った例えだと、僕は思った。
闇に生き、闇から創り出された僕には、まさしくぴったりの言葉だった。
「うん、そぉんなか・ん・じ…ふふふふふふふ」
言われ、風が頬を撫でた、その瞬間……。
………おや?
どこからか、負の感情が流れ込むのが感じられた。
人間の、痛く、甘い負の感情。
……なんでしょうね、これは………
けれど、その事を深く考えている時間は無かった。
髪に何かが触れ、はっと、こちらへ戻される。
そして、手は頬をなぞるように滑り落ち、唇の所で止まる。
「なぁんか、血の色みたいね………唇」
「血の色…ですか」
「そう、でもいろっぽくっていいんじゃない?」
 その表現は、とてもフィブリゾ様らしいものだった。
……くすくすくすくす…………。
唇に添えられた指が、小さく震えてるのが伝わった。
見ると、さもおかしそうに、
視線を路地へと向けて、笑うフィブリゾ様。
……また、路地ですか?
さっきから、度々、この方の視線がそこへ注がれていたのは解っていた。
けれど、とくにといって、気になる気配は感じられなかった。
もしかしたら、このおかしな情景を、ゼラス様が盗み見ているのでは…
とも思ったが、どうやら違うらしい。
と…、すると……?
「ははははははははっっ、いやぁ、たのしいたのしい」
お腹を抱え、大げさとも言えるほど、笑いだすフィブリゾ様。
「いやぁ…くくくっっ…なんでもないさ…くくくく」
まるで事切れたように、笑い続けている。
…一体?
「ゼロス、今日はもう帰っていいよ」
「はあ…」
さも満足気な笑みを浮かべ、手を振るフィブリゾ様。
…なんなんでしようね、まったく。
言われたとおり、背を向け、歩き出す。
「あ、そうそう」
声を掛けられ、少しうんざりしたように、ため息をつく。
「今度は、なんですか」
「まあまあ、そんな嫌そうな顔するなって。
リナ・インバースとかいったっけ?」
言われて、僕は少しどきっとした。
「あの人間は、とっても興味深いね」
「…そうですね」
あんな人は、僕も初めて出会いましたよ。
「けれど、だからこそ、
リナさんを僕に護衛させているんでしょう?」
「まあね。
けど、そういう意味ぢゃないんだよ。
別の意味でね、ほら、僕の周りにはちょっといないタイプだからね」
「はあ……」
フィブリゾ様の発言の意図が解らず、少し首を傾げる。
「だから、ちょっと欲しいと思ったんだよ、
リナ・インバース…をね」
……欲しい?
………なっ!?
「おやおや、珍しいねゼロス。
君から負の感情が流れてくるよ。
どうやら、リナ・インバースを気に入っているようだね、君は」
馬鹿にしたような笑みをこちらへ向けるフィブリゾ様。
そんな事は……
言おうとしたが、あと少しのところで声が出なかった。
……僕が…気に入ってる?
……リナさんを?
「まあ、とりあえず、今日は帰るよ」
言葉が終わらぬ内に、虚空へと消えるフィブリゾ様
闇が消えた、その場所を僕はただ、呆然と見つめていた。

僕が…気にいっている?
…………リナさんを……?

何か釈然といないままに、とりあえず僕はその場を離れたのだった。


           * To be Continued *


あらら、謎の人はフィブだったのですかぁぁっっ
ふーむ、なるほどっっ
ちょっち息抜きの回(笑)
って事いでもないんですけど…、書いてて楽しかったでしゅーっっ(はぁと)
ではでは……


               すき4・理


             わたしはあなたがすき

            わたしがすきなのはあなた
 

             すきの種類はたくさんで

            わたしのすきはどのすきかしら               
             


「おかえりなさい、フィブリゾ」
闇へと戻ったフィブリゾを、透き通るような声で出迎えるゼラス。
「まったく。
ゼラスは人使いが荒いよ」
やれやれ…と、ため息をつきながら、側にあったソファーへと腰を落ち着かせる。
どうやら、ここはゼラスの屋敷らしい。
「まあまあ、水晶で見させてもらったけど……
なかなか楽しそうだったわよ」
言いながら、ソファーに座り直し、前の机に置いてあったワイングラスを取る。
「ふん、…まあ、結構楽しめたけどね。
それにしても…、ゼロスにちょっかい出す位、自分でやって欲しいものだね
おねえさまっ」
少し怒ったように言い、横柄に足を組むフィブリゾ。
その態度に、ただただ薄く笑みを浮かべるゼラス。
「でもねぇ…、あの子ってばあなたじゃないと
うまく怒ったりしてくれないのよ……、何故かしらねぇ?」
「きっと、トラウマってやつぢゃないの?
僕、小さい頃からあいついじめてるし」
「ふふふふふ、そうかもしれないわね」
何故か楽しそうに笑い、ワインを口に流し込むゼラス。
「ところで、どうして僕にあんな事させたわけ?」
「どうしてって………
まあ、簡単に言えば、親心ってやつよ、うん」
一人納得したように頷くゼラス。
「はぁ?」
「だからさぁ、あの子の恋を応援しようと思ってぇっ」
「……僕にちょっかい出させて、気付かせようとした…と?」
「そうそう」
嘘だ……、そう思いつつもあえてつっこまずに会話を続けるフィブリ。
「ふうん」
「だってさあ、あの子結構うといのよ、そーゆーこと。
人の恋に関してはプロみたいな子なんだけどねぇ…、自分のってなるとだめなのよねぇ」
「まあ、どうでもいいけどね」
ややあきれたように言い、席を立つフィブリゾ。
「あら、もう帰るの?」
「うん、誰かさんにこき使われたせいで、仕事が終わってないんだ」
皮肉たっぷりに言い、歩きだすフィブリゾ。
「あ、まってっ」
グラスにワインを追加しながら、ゼラスはフィブを呼び止めた。
「なにさ?」
「聞きたいんだけど、フィブがゼロスにからんでた時あったじゃない?
あの時、誰かの負の感情が流れてきて、フィブ笑ってたでしょう?
あれ…誰の感情?」
「ああ、あれか」
思いだし、一人おかしそうに笑いだすフィブリゾ。
「あれさ、リナ・インバースのだよ。
散歩でもしにきたのかな?
ちょうど、後ろの路地の所にいてさぁ、見てたんだよ僕達のこと。
あの光景、もろショックだったみたいだよ。
極上の負の感情出して、走っていっちゃった」
腹を抱えて笑い、その声を響かせながら、歩いていくフィブリゾ。
……うーん、かえってまずかったかも。
「まぁ、いいか、おもしろくなりそうだし……」
少しの期待を抱えながら、ゼラスは再び、水晶玉に目を移した。
そこには悲観にくれる、我が息子の姿があったのだった。

            
           *  To be Continued *


なんて子供思いなゼラス様…(泣)
って…たぶん違うでしゅね(笑)
きっと、退屈しのぎに…って感じでしょうか?(汗)



                すき5・義務


              わたしはあなたがすき

             わたしがすきなのはあなた

            
             自分の気持ちはむずかしい
  
              自分のすきはむずかしい
             



 まるで、捨てられた子供みたいだな…とゼルは思った。
 それほどに、今目の前にいる魔族の心は、いいようのない悲しみで覆われているものだと思ったからだ。
好きな奴に嫌いといわれるのが、そんなにこたえる…か。
いくら力のある魔族でも、こればかりはどうしようないとみた。
しかし……
先程、リナは扉を壊しかねない勢いで開き、全力で駆け出していった。
この魔族に、致命傷とも言える言葉を残して。

――だいっきらいよっっ、ゼロスなんてっっ!!――

まったく…、リナらしいな。
けれど……
ゼルはふと、視線をその魔族へと向ける。
さっきからずっと、石のように動かなくなった。
ただ、リナの出ていった扉を見つめ、静止しているゼロス。
それほどに、ショクな出来事だったということなのか…?
少しばかり心配になり、口を開くゼルガディス。
「どうした、ゼロス」
答えはない。
それどころか、その言葉がまるで耳にはいらなかった様子だった。
聞こえてないのか?
思い、再び声をかけようとする。
「………リナさん、長い髪、嫌いでしたっけ?」
けれどそれは、ゼロスの言葉によって遮られる。
そして、ゼロスの口から意外な言葉が出された事に、少し驚いた。
「……さあな」
なんと答えるものかと、少しばかり迷ったが、俺の知ったことではない。
リナの好みなんて考えたこともなかったな……
その答えに、まだ視線を扉から反らそうともせず、静かに呟くゼロス。
「……嫌われましたかね」
いつもより、感情をむき出しにして話す魔族に、少し驚かされた。
まさか、こいつからこんな言葉が聞けるとは、な。
けれど…………
「…お前さん、馬鹿だな」 
いわれたことに、いささか気分を害したのか、こちらへ向き直すゼロス。
「どういうことですか」
本当に解ってないのか……、こいつ。
リナが自分に惚れていると、気が付いてない…のか?
それは普段のリナの態度を見れば、一目同然だった。
リナはそれを必死で隠そうとしていたようだが、それが返ってその行動をより
解りやすいものにしていた。
こいつは、そういうことだけは、早く気が付くのだと思っていたのに…。
他人の事は、どうでも良いくらいカンがいいくせに、自分の事になるとダメになるのか。
なかなかおもしろい事実を発見し、楽しげに笑うゼル。
「なんなんですか?」
「いやいや。なんでもないさ
それより、早く迎えに行った方がいい」
言われて、静かに笑うゼロス。
「僕が…ですか?」
 ゼロスは、やや不安げに、静かに言った。
「お前以外に誰がいくんだ。
…けどまあ、あいつも今頭に血が上ってるだろうしな。
冷めるまで…そうだな、あと2時間位まった方がいいか」
言って、飲みかけていた紅茶を一気に飲み干し、席を立ち上がるゼルガディス。
そして、少し戸惑っているゼロスに、最後の一押しをする。
「出ていった女を迎えにいくのは男の義務だ。
まあ、なんとか仲直りするんだな」
 そして、ゼロスに背を向け、部屋へと戻っていった。

 
           



               すき6・助言


              わたしはあなたがすき

             わたしがすきなのはあなた

            
              すきを掴むのは難しい
 
              すきを護るのは難しい



 ゼルが去った後も、ゼロスは食堂を動けずにいた。
 …迎えにいけって……、そんなこと言われても………。
戸惑い、これからの行動を考えているゼロスに、ふいに後ろから声が掛かる。
「ゼロスさーんっっ」
頬を赤らめ、すこし苦しそうに息をし、元気に手をふっている少女。
「アメリアさん…」
「はぁはぁ…リナさん、見失っちゃいましたぁ」
ああ…そうか。アメリアさんは、リナさんを追ってたんでしたっけ。
「はぁはぁ…、ゼロスさん、責任もって、迎えにいってくださいね」
「……はあ……」
情けなく答え、重くため息を着くゼロス。
「なんですかぁっ」
「いや…、ゼルガディスさんにも言われました、それ」
「んぢゃ、とっとといってくださいよぅっ」
急かし立てるように、机をどんっっ、と叩くアメリア。
「けど、僕リナさんに嫌われたようですし………」
その言葉を聞き取り、きょとんと目を丸くするアメリア。
「嫌われた?
誰が?」
「いや、だから、僕が」
「なに言ってるんだか」
それをすらりとかわし、あきれたように呟くアメリア。
「え…、あの…」
訳が分からず眉を潜めるゼロス。その様子にますます目を丸くし、聞き直すアメリア。
「…へ?
……解ってないんですか、ゼロスさん」
リナさんの気持ち……、言おうとして、ふと黙り込むアメリア。
ふーん…、そうなのかぁ…。一人しきりに感心したように頷くアメリア。
結構鈍感なのねぇ…ゼロスさん。リナさんの行動って、かなり解りやすいとおもうんだけどなあ……。
「ま、それはいいです。
けど、迎えにいった方がいいですよ、やっぱり
リナさんの性格からして、こっちが折れないと、永遠に仲直りとてくれないでしょうし。
意地っ張りだから、宿に戻ってこないだろうと思うし」
確かに……。
思い、納得したが、やはり迎えに行くのは気が重い作業だった。
「けど………」
 やや引きがちなゼロスに、強引に背中を押し出し、宿から追い出すアメリア。
「もうっ、大丈夫ですよ。女なんてたいてい、追いかけてきて欲しいものなんですからっ」
特に…、好きな人には、ね。アメリアはそう、心の中で付け足しをした。


あらら、姫まで登場とわわっっ(汗)総動員ですねぇ…ふーむ。けど、2話かけてやっと
ゼロス君を宿から旅立たせることが出来ましたねぇ…、え?
お前1の時に、あと3・4回で終わるっていってただろうって?
ははははははははははははははははははははは(笑ってごまかしぃぃぃっっ・汗)
いやー…このままだと、ずるずる10位までいっちゃう気がしゅる…(笑)
ではでは……また7でお会いしましょうっっっ(さてっ、次で完結できるか!!???)





                すき7・すき?


              わたしはあなたがすき

             わたしがすきなのはあなた


              すきの気持ちは難しい

            わたしはすきに気付いたかしら?



4杯目の紅茶を流し込みながら、リナは静かにため息をついた。
何やってんだろ…あたし……。
一人でいらいらして、ゼロスに悪態ついて。しまいに髪の事なんかいっちゃってさ。
今考えると、かなり理不尽な事を言っていたと、深く反省せざるおえない。
――長い髪…男のくせにおかしいんぢゃないの!??
……とかって言ってた気がする…。なんであんな事いったんだろ、自分。
……ああ、そうか。
夜、あの女の人が、言ってたからだわ……。
闇色の髪……とかって。
それに、すごっっく腹が立ってて、だからそんなこと言ったんだ、あたし。
その通りなのに…、ね。闇色の髪。夜のよりももっと深い闇の色。
綺麗な色…なのにね。酷いこと言ったな…あたし。
後悔は、今してもしかたがない事だと、重々解っていた。
はぁぁぁぁぁ
けれど、他にやることがない。一人でいるときなんて、とくにそうだ。
物事を深く考えるようになってしまう。けれど…宿に戻るわけにはいかない。
ゼロスに合わせる顔がない。けれど…………
こんなに胸が痛むのは何故だろう……
自分で侵してしまった失敗だけに、後始末も自分でやってしまわねばと、
思うことは思う。けどね…、やっぱし気が重いわけよ…うん。
だってさあ…、もしかしたら嫌われたかも…しれないじゃない?

………ん?

嫌われてたら…、どうだって?
あ…れれ?

あたし…ゼロスに嫌われたくないんだ……
あたし……ゼロスに好きでいて欲しいんだ………

あたし…ゼロスが好き……?

だからこんなに…、ゼロスの事で、怒ってるの?イライラするの?
わかんないよ………

わかんない…………けど、
……………ゼロスに会いたい………

――ゼロスニ、アイタイ………


それだけが、今のあたしに解る最大の事…だった。


* To be Continued *


ああ…やっとリナちゃんが帰ってきたわっっ(笑)やっぱしこの回ぢゃ完結しなかったでしゅねぇぇっっ(汗)次の次…くらいで…できるかな???完結(汗)
8はたぶんゼロス君の回――っっっっ…だと思われましゅーーーっっでわっっ








                 すき8・序曲


              わたしがすきなのはあなた
            
               わたしはあなたがすき


              わたしはあなたの何処がすき?
           
             わたしはどうしてあなたがすき?
 



宿を追い出された僕は、その前の路地で途方に暮れていた。
いつもの事ながら、アメリアさんのパワーには圧倒されますよ……。
しかし…これからどうしたもの、か。
リナさんの居所を突き止めるなんて他愛もない事であったが、
今それをしようという気はおこらなかった。
……だって、なんて言えばいいんです?
会った時の言葉を見つけてからでも、遅くはないでしょう…、リナさんを迎えにいくのは。
思い直し、くるりとマントをひるがえし、横のレストランへと目を向ける。
とりあえず、あそこで考えをまとめる事にしましょうか。
そして、僕は静かに歩き出した。
我知らず、リナさんのいる、そのレストラン…へと………。


      * To be Continued *


あらららららららら(汗)みじかーーーーーーーーーいっっ…でしゅー(笑)
けど、どうやら次回でやぁぁぁっっと、再会でき…そうでしゅね。うんうん。
いやーーー…、けどまさか、こんなに長くなっちゃうとわ…(汗)4話くらいで終わる
と思ってたのになぁ…はうううううう。
ではでは…次回再びお会いできる事を祈りつつ……
   


               すき9・最終章・再会


              わたしがすきなのはあなた
            
               わたしはあなたがすき


              わたしはあなたの何処がすき?
           
             わたしはどうしてあなたがすき?
 


「あ゛っ」
 二人の言葉は、見事に重なった。
リナの座っていた位置といえば、それこそ扉の目の前の席で。
そんな所にゼロスが、ふいに扉を開け店へ入ってきたのだから、二人が顔をあわせない
はずが無かった。二人とも、しばらく見つめ合ったまま、動かなかった。
あまりの驚きに、掛ける言葉をも見失ってしまった。
最初に動き出したのは、ゼロスだった。
小さく息を吸い込み、いつもの笑みを浮かべ、リナと同じテーブルの向かいの席に腰掛ける。
そんなゼロスの行動に、ふっと我に返るリナ。
「リナさん、すみませんでした……」
それは、ゼロスの口から自然に出たものだった。
後で、どうしてその言葉を口にしたのか、と問われても答えを出すことは出来ないだろう。それは、彼の口から滑るようにして出た言葉だった。
「…どうして?」
「はい…?」
「ゼロスは…、なんにも悪くないのに…なんで謝るの?」
 少し怒った口調で言うリナに、優しげに答えるゼロス。
「それは、…リナさんが僕に対して怒ってるから………」
その言葉を、リナが遮る。
「あたし…、ゼロスに対して…怒ってなんかないもんっ」
頬を膨らまして、やや強く言うリナ。
「じゃあ、誰に対して怒ってるんですか?」
「それは……」
頭に浮かんできたのは、昨日の夜のあの光景だった。
ゼロスと髪の長い女の人が、二人でなにやら話しをしている光景………。
「…別に誰でもいいじゃないっっ」
――きのう話していた女の人は誰?――
問いつめて見ようかとも思ったが、それでは自分の気持ちを伝えてしまうようなものだと思い、止めることにした。
「はぁ…?」
「もうっっ、…なんでもないってばっ、怒ってないわよっっ別にっっ」
顔を真っ赤にして、力一杯否定するリナ。
「けど…やっぱり、リナさん…僕の事嫌いなんですよね……」
悲しげに、静かに呟かれたその言葉に、リナは目を丸くした。
「へ…?」
それは目の前にいる魔族が、いつになく自分の心をあらかさまに表示している事に対しての驚きだった。
…うんんん???
なんだろー…、ちょっと嬉しかったりする…かもしれない…。
――けど…やっぱり、リナさん…僕の事嫌いなんですよね……――
そんなこと無い…言おうとして、ふと思った。
あたしばっかり、ゼロスに困らせられてるなんて…不公平よね。うん。
こんぐらいしても、罰はあたらないわよ。
「うん。まだ嫌い」
思いっきり冷たく、はっきりと囁かれたその言葉に、ゼロスはゆっくりと顔を上げ、
静かに目を閉じた。
…うんん??
やっぱし、…まずかったかな??
「嫌い…ですか…、それってやっぱり、この髪が…いけないんですか…?」
「え……?」
言われた言葉に、思い当たる節が無いような気がして、リナは問い返した。
「リナさん…、この髪のことで、怒ってましたよね」
言われて、その時の光景が頭をよぎる。…そぉいえば、そんなことを言った気がしないでもない。
――長い髪…男のくせにおかしいんぢゃないの!??
とかって…、うーーーん。けど、あれはなんつーか…、別に特に考えがあって言った訳じゃなくって、ぽろっと口から出た言葉だったんだけど…なぁ。
「やっぱり、そうなんですよね……」
あたしの答えを聞く前に、なにやら一人で納得し、こちらを向くゼロス。
「え…いやー…」
なんと答えていいか解らず、言葉に詰まるリナ。
「……だったら……」
リナが言い終わる前に、立ち上がり、やおら何かを探し出したゼロス。
そして、隣のテーブルに置かれていた、ナイフを手に取る。
「?
ゼロス…なにを…」
ばさっっっっ
「!??」
言うより早く、ゼロスの手は動いた。
右手で、その漆黒の髪を一つにまとめ、それを一気にナイフで切り落とした。
それは、はらりと床へ落ちていき、やがて黒い霧となって消える。
「なに……を?」
掠れた声を絞り出すリナに対して、平然と答えるゼロス。
「髪の毛、きりおとしたんです」
「だからっっ、そぉいう事じゃなくってっっっ」
…なんで、そんな事したのよ…?
ゼロスは、少し首を傾けて答えた。
「…だって、リナさんが嫌だって言ったから……」
「…なっ…………」
馬鹿。
言おうとしたけど、言おうとしたけど、
言おうとしたけど…………声は出なかった。
代わりに出たのは涙だった。
「リナさん……?」
そんなリナを不思議そうに見つめるゼロス。リナは、その涙を拭おうともせず、
静かにゼロスに歩み寄った。
そして、髪を撫でるように包み込み、幾度と無く優しく呟いた。
「……馬鹿」
「はい」
「…ゼロスの馬鹿」
「はい」
言葉に会わせ頷きながら、リナをマントで包み込むゼロス。
そして、リナの顔を覗き込んだ。
「けど……」
「けど?」
「…嫌いなわけ…ないじゃない…」
「はい、わかってます」
その言葉に、勝ち誇ったように笑い、そして、
――リナの口を塞ぐゼロス。



「あらららららーーー……」
水晶に映し出された、その光景を直視しながら、ゼラスは楽しげに声を上げた。
「やーー…うちの息子も、やる時はやるもんねぇ……」
「まったくだね」
「あら、フィブ」
再び現れた、その魔族に対して、ゼラスは何の驚きもせずに声を掛ける。
「帰ったんじゃなかったの?」
「うん。けど、ちょっと用事を思い出してね…。
それにしても…、ゼロスもよくやるよなぁ………」
腰に手を当て、静かにため息をつくフィブリゾ。
そんなフィブリゾに、ふふっと笑いながら、ワインを口に運ぶゼラス。
「いやー…これで当分は退屈しなくって済みそうだわー」
「…悪趣味だねー、お姉さま」
最初から予想していた言葉とはいえ、あまりにこの人らしくって、
ふっと笑みがこぼれる。
「それにしても…さあ」
水晶を再び、まじまじと見つめ、ため息混じりにフィブが呟いた。

「こいつら……、
ここがレストランだって事、忘れてんじゃないの?」



              わたしがすきなのはあなた
            
               わたしはあなたがすき


              たとえどんなに嫌いになっても

              それでもわたしはあなたがすき



                   END



ふはぁぁぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーーーーーー…終わった……終わりましたよぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅっっ(泣)こんなに長いのは、聖者の行進以来でしゅよぅぅぅぅっっっっっっ、はぅーーーんっっ…ぜいぜいぜい…つ…つかりた…。ラスト…変だったかもしれなぃぃぃぃぃぃぃぃっつ(泣)うーーむむむむむ、何やらスッキリしないおわりかただったなぁ…(汗)………ははははははははははははははは……(汗汗)

**次回予告ぅぅぅぅぅぅぅっっ(笑)
――ゼロリナタイタニックっっっ――
「ゼロスっっ」「リナっっ」
――運命の恋…――
「僕を信じて…、絶対に死なないと約束してくれ」
――誰もそれを…――
「あきらめないわ…ゼロス……」

――引き裂くことは出来ない……――

さぁぁっっ、次回登場なるかぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!!!!????????(大嘘・はぁと)
次回こそは本当に、「洗濯日和・3」です。

ではでは………

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3596洗濯日和3一姫 都  7/24-20:14
記事番号3468へのコメント
へろーーーーーーーでしゅーーーーーーーーっっ、たわわな一姫都でーーーすっっ(笑・ちょっちT・M狂いなのれ…・汗)2とはだいぶ間が空きましたねーーーー(汗)
このお話に至っては、もうコメントはいらない…かな???(汗)
3だけでも十分楽しめるように作ってありますので、初めてみる方でもだいじょぅぶでぇーすっっっ。お暇があれば1・2も読んでいただけると光栄でしゅー。
1はなんと一姫の処女作ですっっ、おおぅっっっ(笑)プリンがお気に入りです。
今回は、まぁ、ヴァルってばっっ甘えん坊ねっっっ(はぁと・死)って感じを目指して失敗したかもっ(笑)
では…本文をお楽しみ下さい………。



                 洗濯日和3



その日は、いかにも夏らしい晴れ晴れとした青空があたりを覆っていた。
遠くで聞こえる蝉の鳴き声に、ヴァルはただ虚ろげに、耳を傾けていた。
表の騒音とは正反対で、家の中とはいえば、扇風機の音が聞き取れるくらいに静かだった。どうやら、いま家にいるのは俺だけらしい…。
しめつくような暑さと、不覚にもかかってしまった風邪のせいで、頭は思うように働かない。それでも、開けっ放しにされた窓のせいでいくらか風が入ってくる。
その心地よい風を受けながら、布団の中で、彼はふと、思った。
 ……なんか…おかしい。
この家が、こんな静寂に満ちるときは、年に数える程しかない。
それほどに、ここはいつも騒音に満ちている。
――言葉、足音、寝息、ヒト・ヒト・ヒト……――
……そうか、ヒトがいないんだ…。
俺の周りには、いつも誰かがいた。
一人になることなんてほとんどなかった。いつでも、誰かが側にいたんだ…。
ふいに、言い表せぬ程の嫌悪感がこみ上げてくる。
――ひとり……ひとり――
遠い日の情景が眼裏に思い描かれる。
――雪・雪・雪…――
あの出来事を正当化するかのように、すべてを覆い尽くした白
――血・血・血…――
その白の下で、最後まで生き続けようと流した鮮やかすぎた赤
そして…

――死―― 

――ソノヒカラオレハ ヒトリニナッタ――


ヴァルっっっ

「ヴァルっっっ」
はっ……
「どうしたの、大丈夫?」
…………
「なんだかうなされてたみたいだけど…、怖い夢でも見た?」
自分を呼ぶ声に、やっと異界から戻ることが出来たような、不思議な感覚に囚われた。
……夢……か?
どうやら自分でも気が付かないうちに眠ってしまっていたらしい。
目の前には、いつ帰ってきたのか、フィリアの姿があった。
手が汗で濡れている。けだるそうに頭を掻きながら、ヴァルが静かに呟いた
「…そうかもしれない」
「えー?
本当に怖い夢見たのー?」
フィリアが優しげにくすくすと笑う。そして思い出したように呟く。
「あ、ジラス達はプリンを買いに行ってるわ」
「…プリン?」
「あなに食べさして上げたいんですって、大好物でしょ?」
……今はなんも食う気になれなんぞ……
けれど、あいつららしいいたわりに、なんだか安心したのが自分でもわかった。
「ほらほら、もう寝なさい。
熱、下がらないわよ」
言って、自分の側から立ち上がろうとするフィリア。
「……まったっ」
自分でも知らないうちに、手が動いていた。
熱のせいで声は虫の音位にしかでなかった。
手首を掴まれ、少し驚くフィリア。
「なあに?」
聞かれ、少し黙り込む。
俺…なんでひきとめたんだろ………、けれど、言葉は滑るように口からこぼれた。
「……もうちょっと、ここにいてよ」
こんなに心細くなったのは、きっと、さっきの夢のせいだった。

――死――

 ほとんど見覚えの無い、見たことのあるはずのない光景…。
 しかし、何故かそれは彼の心を闇に沈ませた。
 ひとりは…嫌だ……。
 そんな彼の気持ちを察してか、フィリアは静かにその場所へ座り直す。
 ふう…っと、小さくため息をついてから、優しく微笑む。              
「しょうがないわねぇ…」
言いながら、くすくすと笑うフィリア。
…ヴァルが私を頼るなんて久しぶりね……
「なんだよ」
「え?
いやー…ヴァルもまだまだ甘えん坊だなぁ…っておもって」
その言葉に、顔を赤面させ、やや強い口調で反論するヴァル。
「うっせえっっ」
それでもまだ、フィリアは笑うことを止めない。
「だーーーっっ、もういいっっ、お前は洗濯でもなんでもしにいけっっ」
「まあまあ、遠慮しないでヴァルっ…ぷぷぷっっっ」

蝉の声もやや小さくなり、路地を取り囲む人の流れも少なくなった頃、
その家には、やっといつも通りの活気が戻っていた……
 

               END


はーーーーいっ、いかがだったでしょうっっっ?????
3は、ただただヴァルに徹した回だったよーーな…(汗)一応「家族でほのぼのーーーーー」
みたいのがこのお話のうりだったよーな…(汗)それが、今回はジラスもクラボスも、かけら位しか出てきてないしぃ……(汗)………ま、いっか(はぁと)
ヴァルとフィリアさえ書ければ、なんでもいいやっっ(はぁと・殴)
4…は、どんなになるでしょうねぇ…???
一応、このお話では結婚式まで行きたいと考えてるんですが……(汗)
それでわ……また4でお会い出来ることを祈りつつ………。

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3605Re:洗濯日和3松原ぼたん E-mail URL7/25-15:37
記事番号3596へのコメント
 面白かったです。

>表の騒音とは正反対で、家の中とはいえば、扇風機の音が聞き取れるくらいに静かだった。どうやら、いま家にいるのは俺だけらしい…。
 扇風機・・・・あるの?
>「なんだかうなされてたみたいだけど…、怖い夢でも見た?」
 ねてたんですか?
>「あなに食べさして上げたいんですって、大好物でしょ?」
 大好物・・・・ヴァル、可愛い。
>こんなに心細くなったのは、きっと、さっきの夢のせいだった。
 心細くもなりますよねー。
>いやー…ヴァルもまだまだ甘えん坊だなぁ…っておもって」
 そこで言ったらヴァル照れますよ、間違いなく。
>一応、このお話では結婚式まで行きたいと考えてるんですが……(汗)
 それは楽しみ。

 本当におもしろかったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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3622Re:洗濯日和3熊野さくら 7/27-00:01
記事番号3596へのコメント
>へろーーーーーーーでしゅーーーーーーーーっっ、たわわな一姫都でーーーすっっ(笑・ちょっちT・M狂いなのれ…・汗)2とはだいぶ間が空きましたねーーーー(汗)
ないすちゅーみーちゅーーーーーっっ、熊野ですぅぅぅっっ(笑)

>1はなんと一姫の処女作ですっっ、おおぅっっっ(笑)プリンがお気に入りです。
>今回は、まぁ、ヴァルってばっっ甘えん坊ねっっっ(はぁと・死)って感じを目指して失敗したかもっ(笑)
>では…本文をお楽しみ下さい………。
きゃぁぁぁぁっっっ!!壊れるぅぅぅぅ・・・・(^^;;

>「あ、ジラス達はプリンを買いに行ってるわ」
>「…プリン?」
>「あなに食べさして上げたいんですって、大好物でしょ?」
はぅぅ・・・プリン・・・(はあと)

>俺…なんでひきとめたんだろ………、けれど、言葉は滑るように口からこぼれた。
>「……もうちょっと、ここにいてよ」
そんな事言われた日にゃぁ・・・ああ壊れる・・・(^^;;;

>いやー…ヴァルもまだまだ甘えん坊だなぁ…っておもって」
>その言葉に、顔を赤面させ、やや強い口調で反論するヴァル。
>「うっせえっっ」
>それでもまだ、フィリアは笑うことを止めない。
>「だーーーっっ、もういいっっ、お前は洗濯でもなんでもしにいけっっ」
>「まあまあ、遠慮しないでヴァルっ…ぷぷぷっっっ」
ぷぷぷ・・・甘えん坊ヴァル・・・いいわぁ・・・(^^)

>一応、このお話では結婚式まで行きたいと考えてるんですが……(汗)
ををうっっ結婚式っ!!行っちゃってくださいっ
ああ、でも新婚ラブラブもみてみたいぃぃぃっっ!!

>それでわ……また4でお会い出来ることを祈りつつ………。
はいっ毎晩祈ってます・・・。
どうしよう・・・プリンを見るたび壊れそう・・・(笑)あうう・・・ぷりん・・・
すいません、頭がショートしてます・・・ ろくな感想書いてない・・・見捨てないでぇぇ・・・(^^;;
おもしろかったです。次も期待してます!!

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3663ヴァルフィリィィィィィ!にあ E-mail 7/29-15:00
記事番号3596へのコメント
こんにちは、一姫さん。
とうとう、洗濯日和3がアップされましたねぇぇぇ!!

 この日がくるのを心待ちにしておりました。
 今回は二人っきりなんですね。ふふふ。(何を期待している?)

>一応、このお話では結婚式まで行きたいと考えてるんですが……(汗)
>それでわ……また4でお会い出来ることを祈りつつ………。

 ええええ、結婚式でも、初夜でもハネムーンでもいっちゃってください!
 4も楽しみにしています。