◆−アナタノオト。(ゼロリナ)−みい (2008/11/16 04:47:03) No.33817


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33817アナタノオト。(ゼロリナ)みい URL2008/11/16 04:47:03


どうも、みいです。
唐突ですが某マクロスなフロンティアでキラッ☆な彼女が歌う
「アナタノオト」がゼロリナソングじゃねとか妄想が広がりました。
ランカちゃん可愛いよランカちゃん。
そんなわけで、ゼロリナ注意です!


 * * * * *


 すっと腕を引かれて、気が付いたらこいつの腕の中にいた。
 夜明け前の空気がざわめく薄闇の中、目を塞がれたわけでもないのにどこよりも濃密な闇の中にいる感覚。
 静かな、何の音もない、まるで空気みたいな温度の、
「ねえ、ゼロス」
「何ですか?」
「どうしてあんたの胸からは、」
 そこまで言って口をつぐむ。
 どくん。
 どくん、どくん、どくん、音が、響いてきたから。
「音」
「リナさんがお望みとあらば、このくらい」
 雑作もないことですと能面の笑顔をもっと深くして。
「ああ、何でしたら」
 とん、と錫杖を鳴らすとそこを中心にしてぶわ、と風が広がっていく。
「女性は花が好きと決まっているようですが、あなたも多分にもれないんでしょう?」
 目覚め前の花たちが、強引に起こされてふらりと面を見せる。
「雰囲気作りは大切と言いますし」
 花の下で朝露を待つ草葉に、小さな雨を降らせて、まるであたしの目のように葉をぬらす。
 そしてぽつり、ゼロスのブーツに雫が落ちた。
「リナさん……?」
「何であんたの胸から聞えてくる音はこんなに切ないのよ」
「切ない、ですか……?」
 生きてる音。やさしさからその音をまねした音。
 どくん、どくん、どくん、ずっと続く、生きてる音のまがいもの。
「あたしの音とあんたの音は違うわ」
「そうでしょうね、音の作り方や伝わり方が違いますから」
「日の光の下で風に揺られる花と、足元で咲くこの花たちは違うわ」
「無理やり開花させましたからね」
「雨を受けたのとも、朝露とも、この草の濡れ方は違うわ」
「広範囲に低い位置から、少量の水を降らせただけですから」
「そう。
 全部まがいもの。」
 似ているけれど、絶対的に違う。
「あんたは、生きとし生けるものではないから、」
「だから、泣いてらっしゃるんですか。
 あなたと僕は違うから。」
 最後の一言でもう一筋、頬が冷たくなった。
「そんなの、わかりきっていたことでしょう?」
「でも、」
「そう、僕達は違うのに、こんなにも惹かれあってしまっている。
 不思議ですね?」
「ふしぎ、ね」
「でも、今、こうしてここにいる。
 あなたからは聞えてきますよ。本物が」
「そう?」
「生きてるって主張する優しいけれどしたたかな音が。
 あなたの記憶からは、風に揺られる本物の花や、雨に濡れる草のイメージが」
 限りなく似ているけれど、目の前に広がる光景とはどこか違う。
 超えられない壁。
 埋められない溝。
「違うのにね。」
「それでも、あなたが一生を終えるまで僕はお供し続けたいと思っていますよ」
「あたしが死んだら?」
「ずっと、待っています。
 あの御方のきまぐれを、ね」
 その言葉にほんの少しだけ笑って。
「本当ね? 絶対よ?」
「ええ、僕は嘘をつきません」
「……うん」
 響く、ずっと続いていく音。
 あたしの本物と、ゼロスの偽物。
 どくん、どくん、どくん、近くて遠い音。
 あたしがそっと目を閉じると、音は近づいて、――
 一度目を開いて見つめ合って、今度はきゅっと硬く瞳を閉じた。



 * * * * *

ということで、「アナタノオト」一番がベースになってます。
意味不明でごめんなさい。
原曲はとても素敵な曲なので、是非聞いてみて下さい。
URL、ちゃんと貼れてなかったら是非ググってみて下さいませ。

ではでは、みいでした。