◆−再会の前に・・・−ミーナ (2008/7/12 04:23:49) No.33595
 ┗再会の前に・・・2−ミーナ (2008/7/17 22:43:30) No.33600
  ┗ゼルアメ…!−大玉A子 (2008/7/20 04:56:37) No.33602
   ┗Re:ゼルアメ…!−ミーナ (2008/7/21 06:37:10) No.33607


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33595再会の前に・・・ミーナ 2008/7/12 04:23:49


書き殴りセイルーン王宮の第二王女執務室。
机の上に広げられた地図と幾枚かの書類を前にアメリアは思案していた。
少し休憩とばかりに扉の方をみると、ちょうどゼルガディスが部屋に入って来たところだった。

「待たせたな」
ゼルガディスはつかつかとアメリアの横にくる。
叙任式はつつがなく終了したが、その後の事務手続きやなにやかやで
あちらこちらに引っ張りまわされていたのだ。

「大丈夫ですか?ここ、皺よってますよ?」
アメリアはゼルガディスを見上げてコンコンと自分の眉間を指で叩いてみせた。
リナを巡る国家的珍事の防止のためとはいえ、志半ばのゼルガディスを巻き込んだことを少し申し訳なく思う。
しかも国に縛られることを嫌う人に自分の護衛のためにセイルーンへの忠誠を誓わせてしまった。
たとえそれがゼルガディスから言い出したことであっても。

「心配ない。面倒な事には慣れている。それよりもこれを見ろ」
「これは? 近隣諸国の盗賊の逮捕件数と森林被害件数の報告書ですか」
「そうだ。これでリナたちの足取りが分かる」
「??」
「いいか。リナのことだ、趣味と実益を兼ねて行く先々で盗賊いびりをやらかしてるはずだ。
 あいつは抜け目ない。盗賊からお宝を奪ったあと警備隊に引き渡して賞金を稼いでるはず」
「なるほど」
「ついでに、攻撃呪文もぶっ放しているから」
「森林被害件数も増えるというわけですね」
「そうだ」

「で、このデータを分析すると」
「リナさん達はルヴィナガルド共和国にいる、と」
「そうだな。ただ、このあたりの被害は2週間前に起こってる。もうすでに別の場所に移動してるだろう」
「でも、ここから先は盗賊退治の跡も森林被害もないですよ?」
「となれば、行くのはこっちだな」
ゼルガディスはそう言って指を地図の上に滑らせる
「海、ですか」
「そうだ。大方この辺の盗賊がいなくなったので海賊いびりに志向を変えたのだろう。
 この海域は商船が多く通ることから海賊の発生件数も多い」

「なるほど。さすがゼルガディスさんですね。思いもつきませんでした」
「こういうのは俺の得意分野だからな」
なんとでもないと言うような態度のゼルガディスをみてアメリアは小さくほほ笑んだ。
この人はいつでもそれが当たり前であるように助けてくれる。
だからアメリアは精一杯の感謝を込めて言葉を紡ぐ。

「頼りにしてます」


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スレイヤーズREVOLUTIONの第1話・2話より、
リナ達と会うまでのゼルアメの行動を妄想してみました。
どこを旅しているか分からない人を探すのって大変だろうなぁと。
ワイザーのおっちゃんの口ぶりではルヴィナガルド共和国内に入ってる証拠ないですしね

第2話のゼルの叙任式・・・ゼルアメ好きの私の妄想ポイント直撃でした〜。
この辺りをもっといじってみたいですねぇ。

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33600再会の前に・・・2ミーナ 2008/7/17 22:43:30
記事番号33595へのコメント

ルヴィナガルド王国から「リナ・インバース」に関する依頼を受けてから既に一週間。
セイルーンの第一王位継承者にして国王代行を務めるフィリオネル・エル・ディ・セイルーンは
王宮内の外れにある客間に向かって歩みを進めていた。
本来ならば自分から出向くことなく謁見の間に呼べばいいのだが、客人と一度腹を割って話をしてみたい
と思っていたところだったので自分の足で出向くことにしたのだ。

客間にいる男の名はゼルガディス・グレイワーズ。
以前フィリオネルの最愛の娘アメリアとともに世界を救った仲間の一人である。
彼は己が体を戻すために結界外の世界で手に入れた知識とセイルーンに伝わる古い白魔法の組み合わせを研究している。
結界外の知識を優先的に手に入れられるのはセイルーンにとっても願ってもないことであったので、セイルーンの白魔法の知識を提供する見返りにこの城に滞在してもらってるのだ。
「リナ・インバースを巡る国家的珍事」を前にして偶然にも彼がこの城に滞在していたのは幸運といえよう。


フィリオネルが客間へ入ると、客人は一瞬驚いたような顔を見せたが、すぐに元の不遜な態度へと戻って行った。
ルヴィナガルド王国からの依頼についてはアメリアより話がいっているはずなので、手短に説明するにとどまり、直ぐに本題を切り出す。
即ち、アメリアの護衛としてルヴィナガルド王国へ同行することを。

すべての話を聞き終えると、ゼルガディスは小さな決意を瞳に宿して、フィリオネルの目をまっすぐに見据えた。
長いこと国王代理をしているがこういうタイプの男は王宮にはそうそういない。
愛娘のためにと選んだ人物は、信頼に足ることは間違いないが、決して安全な男ではないということをフィリオネルは再度確信した。

「一つ条件がある。俺をセイルーンの正式な騎士として認めてくれ」
「それはセイルーンに忠誠をちかうということかね」
「そう取ってもらって構わない」
「きかせてくれ。確かゼルガディス殿はどこかに所属するのを嫌うとアメリアから聞いていたが、どういった心変わりなのだ」
目の前の男は野生の獣だ。
こちらとて知識も経験も魔力もある部下を手に入れられるのは嬉しいが、目の前の男は飼い犬の生活を我慢できるとも思えない。
権力や金銭欲から出た言葉でもないだろう。

「国家的珍事ともなれば、ある程度の権力がなくてはアメリアを守りきれん。
肝心な時に部外者として締め出されるのは避けたいのでな」
さも当然のように紡がれた言葉は普通のものならば信用するだろう。
だが、セイルーンの国王代理として裏の裏の裏までも読むことをしてきたフィリオネルの勘は、それだけではないことを告げていた。

「それだけか」
二人の間に沈黙が訪れる。
ゼルガディスは口を開こうとしては言葉を飲み込むことを何度か繰り返し、
やっとぽつりと言葉を紡ぎだす。

「それに・・・・アメリアはもう以前のような子供ではない。事態が事態とはいえ俺みたいな男が傍にいればいらぬ勘繰りを受けることになる。それだけは避けたい」
「つまり、アメリアのために国に縛られると」
「別にアメリアのためではない。俺がそうしたいからするだけだ」

「ゼルガディス殿、あれの気持ちは知っておろう。今の言葉アメリアに伝えてはもらえんか」
「それはできない。たとえいくら俺が自分の意志で決めたことだといっても、
知ってしまえばあいつは俺に負い目を感じることになる」
「そうまで娘を思ってくれておるのか」
「本当はあんたにも伝えるつもりはなかった。忘れてくれ」
ゼルガディスはこれ以上は何も話さないぞとばかりに視線を床に落とした。
そこにいるのは野生の獣ではなく、ただの恋する愚かな一人の男にすぎなかった。

フィリオネルはそんな男を若いとは思う。
が、愛娘を愛し守ろうとするその姿勢は気に入らないものではない。
よくよく考えれば、婿候補になりうるかもしれない。
赤法師レゾの直系という家柄。優秀な戦闘能力。幅広い知識。
王族という決して綺麗なだけではない世界で生きていけるだけの機知。
そしてなによりアメリアが気に入っているということ。
確かにキメラであることはマイナス要因だが、セイルーン王家には他の民族や種族との婚姻の歴史がある。
いざとなれば、どうとでもなるだろう。
とはいえ、未だお互いの気持ちを確認し合っていな様な状況では周りがとやかく言うことではあるまい。
しばらくは様子を見るというところだろうか。

「叙任式の準備は手配しておこう。できるだけ早く話を進める。それまではこのセイルーンにてしばし休息されよ」
「恩にきる」

フィリオネルは行きよりも幾分軽い足取りで客間を後にした。
とりあえずはアメリアにゼルガディス殿を護衛に付ける旨を伝えよう。
きっと愛娘は「父さん、大好き!!」の言葉とともに抱きついてくれるだろう。
あれの抱擁を受けるのは今はまだ自分一人で良い。



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スレイヤーズR 第2話のゼルの叙任式より妄想です。
フィルさんがなんでゼルに護衛を頼んだか?
ゼルアメラーとしては気になりますよね〜。
偶然滞在していたのか?アメリアの様子を見に頻繁にセイルーンに滞在していたのか?
わざわざ探し出したのか?手紙のやり取りくらいはしてたのか??
・・・悩んで偶然滞在説で書いてみました。

皆さんはどれだと思いましたか?
ぜひ聞かせていただきたいなぁなんて思います。
あっ。ついでに感想いただけたらもっと嬉しいです。

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33602ゼルアメ…!大玉A子 2008/7/20 04:56:37
記事番号33600へのコメント

おはようございます、初めまして。大玉A子と申します。

新アニメの、思いがけないほどのゼルアメ要素に躍りあがって喜ぶ日々です。
ゼルガディスが正式な立場を望む理由……いろいろに想像しましたが、こちらもなるほど!でした。
とても面白かったです。
そして、ゼルガディスとフィリオネル氏のやりとりがいいですね。
フィリオネル氏の発言が、国王代行の立場からになったり、父親の立場からになったりと振れるところが、
人間らしい温かみがあってよかったです。
だから、ゼルガディスもつい本音を漏らしてしまったのかな?
ゼルガディスが男っこのぽくてかっこいいし、前の場面のアメリアは可愛くて凛々しいし、
読んでいてとても幸せでした。
ありがとうございました。

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33607Re:ゼルアメ…!ミーナ 2008/7/21 06:37:10
記事番号33602へのコメント

大玉A子様

感想ありがとうございます。
新アニメのゼルアメ要素本当にワクワクしますよね。
今のところ1話毎にゼルアメポイントが1つはあるので、
リモコン片手に巻き戻ししたりしながら私も探してます(笑)


>ゼルガディスが正式な立場を望む理由を……いろいろに想像しましたが、こちらもなるほど!でした。

私の中のゼルのイメージは自分の意思でなければ、正式な立場を請われたても、「面倒くさい」「関係ない」「俺は降りる」でいなくなってしまうような奴なので(--;)どうしても理由付けしてみたかったんですよ。
なるほど!と思ってもらえたのはうれしいです。

>フィリオネル氏の発言が、国王代行の立場からになったり、父親の立場からになったりと振れるところが、人間らしい温かみがあってよかったです。
>だから、ゼルガディスもつい本音を漏らしてしまったのかな?

ゼルもきっとどこかに本音をいうところがほしかったんだと私は思ってます。
アメリアに言えないのにフィルさんにいっちゃうとこが、ゼルにらしいというか。。。
なんかゼルってアメリアに告白する前にフィルさんに許可貰っちゃうような順番が違うだろ!っていう行動をとりそうなイメージがありまして(笑)

>ゼルガディスが男っこのぽくてかっこいいし、前の場面のアメリアは可愛くて凛々しいし、読んでいてとても幸せでした。
>ありがとうございました。

こちらこそ最後まで読んでいただき、またうれしい感想を聞かせていただきありがとうございました。