◆−2005年ぶり以降の連載開始です。−かお (2008/4/15 19:54:10) No.33514
 ┣○パラレル・トラベラーズ○ 〜思惑?〜−かお (2008/4/15 19:55:43) No.33515
 ┣○パラレル・トラベラーズ○ 〜願い?〜−かお (2008/4/15 19:56:25) No.33516
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜残されしものの役目〜−かお (2008/4/15 19:57:07) No.33517
 ┣○パラレル・トラベラーズ○ 〜死霊都市(サイラーグ)〜−かお (2008/4/15 19:57:46) No.33518
 ┣○パラレル・トラベラーズ○ 〜シルフィール=ネルス=ラーダ〜−かお (2008/4/15 19:58:30) No.33519
 ┣○パラレル・トラベラーズ○ 〜サイラーグ神官長・エルク〜−かお (2008/4/15 19:59:03) No.33520
 ┣○パラレル・トラベラーズ○ 〜辺境の村にて〜−かお (2008/4/15 19:59:41) No.33521
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜エリシエル=ヴルムグン〜−かお (2008/4/15 20:00:25) No.33522
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜責任と約束〜−かお (2008/4/15 20:01:06) No.33523
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜思惑〜−かお (2008/4/15 20:01:53) No.33524
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜感覚と真実〜−かお (2008/4/15 20:02:49) No.33525
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜脅威の実験〜−かお (2008/4/15 20:03:28) No.33526
 ┣○パラレル・トラベラーズ○ 〜エリシエル〜−かお (2008/4/15 20:04:09) No.33527
 ┣ ○パラレル・トラベラーズ○〜偽りの中の真実〜−かお (2008/4/15 20:04:48) No.33528
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜行動と結果〜−かお (2008/4/15 20:05:28) No.33529
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜旅の目的?〜−かお (2008/4/18 20:28:31) No.33535
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜運命?必然?偶然?どれ?〜−かお (2008/4/18 20:29:37) No.33536
 ┃┗待ってました〜−とーる (2008/4/19 23:43:27) No.33538
 ┃ ┗だからこそのパラレルですv(笑−かお (2008/4/20 09:53:14) No.33539
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン〜−かお (2008/4/20 10:00:16) No.33540
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜邂逅?〜−かお (2008/4/20 12:12:48) No.33541
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜黒の・・・〜−かお (2008/4/21 17:31:21) No.33543
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜襲撃?攻撃?〜−かお (2008/4/22 18:39:03) No.33544
 ┣○バラレル・トラベラーズ○〜神官ゼロス〜−かお (2008/4/23 23:01:19) No.33545
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜襲撃開始?〜−かお (2008/4/25 22:18:55) No.33546
 ┣○パラレル・トラベラーズ○〜レナとリナと・・・・〜−かお (2008/4/25 22:20:00) No.33547
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜写本〜−かお (2008/4/26 21:33:19) No.33549
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜秘めたる真実〜−かお (2008/4/27 19:54:58) No.33551
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜捕縛、そして・・・〜−かお (2008/4/27 20:01:53) No.33552
 ┃┗Re:○バラレル・トラペラーズ○〜捕縛、そして・・・〜−麻緒 (2008/4/27 20:49:05) No.33553
 ┃ ┗こんばんわですv−かお (2008/4/27 21:09:47) No.33555
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜閉鎖された街〜−かお (2008/4/28 22:24:37) No.33557
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜魅入られた街〜−かお (2008/4/29 09:28:36) No.33559
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜ワイザー=フレイオン〜−かお (2008/4/29 20:41:49) No.33560
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜拠点〜−かお (2008/4/29 20:42:45) No.33561
 ┣○バラレル・トラペラーズ○〜無と有〜−かお (2008/4/30 23:29:24) No.33564
 ┗○バラレル・トラペラーズ○〜それぞれの夜明け〜−かお (2008/4/30 23:30:17) No.33565


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335142005年ぶり以降の連載開始です。かお E-mail 2008/4/15 19:54:10


こんにちわ。はじめましての人ははじめまして。
題名にあるとおり、2005年からぱた、ととまっていた連載の開始です。
といってもHPのほうではちまちまと打ち込みしては随時アップしてたんですけどね。
ある程度たまってからこちらにも、とおもってたら数年が経過してしまったという(こらまて
最近は個人的な理由で精神的にもきついじょうたいですし・・・
・・・・猫が行方不明中…くすん……
それらを考慮して、さらにはめずらしく体調がわるい、というのでお休みもらえたので(いつもはそれでも出勤組み)気分転換をかねての投稿です。
それでは、いっきます。
前回までは、過去ログ、著者別リストをご参考までに。

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33515○パラレル・トラベラーズ○ 〜思惑?〜かお E-mail 2008/4/15 19:55:43
記事番号33514へのコメント


  まえがき:
  さてさて。こんにちわ。はじめましての人もおおいとおもわれます。
  ときどき書きなぐりさんの投稿小説1に出没しているかお、といいます。
  今回のこれは、2005年以後、ぱたっととまってる連載小説さんの続きですv(まて
  2006年以後、ぱたっと止まっているスレイヤーズinNextのほうはいましばらくお待ちください-・
  できればREVOLUTIONが始まるまでにはアレもこれも完結させたい今日この頃…
  何はともあれ、かぁぁぁぁなりひさかたぶりにいくのです。
  あ、前までが判らないひとは、過去ログ、または著者別リストを参考にしてください。
  それでは、いっきますv

  ##############################################
  
         ○パラレル・トラベラーズ○ 〜思惑?〜


  「……これで全員のはずです……」
  捕らえられていた子供たちや人々を全員解放し、こっそりと地下の脱出口からにがしてゆく。
  そんな彼女を傍目でみつつ。
  「でも、ほんとうにいいの?」
  気持ちはわからなくもないが問いかける。
  「あなたも早くにげて。私は……」
  そう問いかける横にいるエイルにと話しかける。
  彼女がもう一つやらなければいけないこと。
  そしてまた。
  独学で自分なりに調べて判った自分のもっている【力】。
  そして…その【力】を使えば一時とはいえ、幽体…つまりは精神体のみ。
  となっている本家の【ルビア】をその身に憑依させることが可能だ。
  ということ。
  彼女がもっている力は多少ではあるが存在そのものの力を多少増幅させること。
  ゆえに、実体化すらもかなわない力のない存在だとて一時ならば存在することができる。
  自らの身に彼女を憑依させることで【ルビア】は器を得て動くことができる。
  とはいえ長い時間はいかないが。
  「ルビアのたましいとともに、かれをとめる…か」
  そんなエイルのつぶやきに。
  「…どうしてそれを……あなたも…視えるの?」
  普通は視えるはずがない。
  彼女はゴーストなどといった存在とは違い、力がないがゆえに肉眼では見えないのだから。
  驚き目を見開くルビアの言葉に。
  「まね。」
  いってかるくウィンク一つ。
  ある程度の波長などがわかれば誰でも視ることは可能なのだが。
  だがしかし……
  「……でも、ほんとうにいいの?あなたたち?」
  そこにいるルビアと、そしてまた、魂のみとなっている【ルビア】との二人にと問いかける。
  彼女たちが望んでいること…それ即ち……
  そんな二人の想いがわかるからこそ。
  二人の意思を確認するためにも問いかける。
  そんなエイルの言葉にそれぞれが悲しく微笑みかえす。
  彼女たちの願いと想いは…ただひとつ。
  それは…『ハルシフォム』を助けること。
  そんな二人の想いをうけ、ふっとかるくため息をつき。
  「…ルビア。あなたのちからをつかえばあることがかのうよ?」
  二人が気づいていないことを指摘する。
  二人の願いは純粋なるもの。
  そしてまた……痛いほどに切実なもの。
  別に自分がかかわるわけではなく、選ぶのは…彼女たち自身。
  そう思いつつも、エイルは目の前のルビアにと問いかけてゆく……


  「ききませんね……」
  そんなっ!?
  リナ達がセイグラムたち魔族と戦っている同時刻。
  こちらもまた、ある人物と対峙しているレナとラウリィの二人。
  確認のために放った呪文。
  だが、目の前の人物に効いた様子はまったくはない。
  しかも…
  「…こいつは……」
  気配でわかる。
  人でありながら、人でない。
  この気配には彼は覚えがある。
  以前一度ほどみたことがあり、それ即ち…
  「あんたも人間をやめてる口か……」
  「…不死の契約を結んでる…というのはどうやら嘘ではないようね…」
  不死の契約。
  それは魔族と契約を交わすことによりかりそめの不死を得る、というもの。
  その契約した魔族以上の力をもってして攻撃するか、もしくは。
  その魔族と契約を交わしたときに使う、魂そのものを隔離する、という意味合いの品。
  一般に『契約の石』と呼ばれている品を壊す、もしくは契約した魔族そのものを滅ぼす。
  それらをしなければたとえどんなに攻撃などをしかけても、
  契約を交わした人間は死ぬことはなく、そのまま生きつづける。
  最も、何ごともに例外というものはつきもので。
  絶対にどんな存在が相手でも相手を滅ぼす術、というのもは存在する。
  その存在自体があまり知られてはいないが……
  そんな二人、レナとラウリィの言葉にかるく微笑み。
  「おや。よくご存知ですね。おそらくあのタリムから聞いたのでしょうが。あれも実験の一つでしてね」
  いけしゃあしゃあと言い放つ。
  真っ白いローブに身を包んだ一人の男性。
  ここ、アトラスシティの魔道士協会の評議長である人物。
  彼女を完全によみがえらせるためにも様々な実験を重ね。
  そして、完全なる状態でかつて死んだ彼女をよみがえらせる。
  それが彼の願いであり最終的な目的。
  そのために色々な魔道をかじり、人造人間(ホムンクルス)をも作り出した。
  実験の一つとして作り出したそれらは、だがしかし。
  やはり彼女を完全によみがえらせるまでにはいたらず……
  それゆえに、意識をもたないただの器のみの人造人間(ホムンクルス)を作り出した。
  あとはその器に彼女の魂を呼び戻し吹き入れることにより、よみがえらせることができる。
  魔族セイグラムとの契約は人間を捉えその生命エネルギーを吹き込むことにより。
  魂を呼び戻すきっかけとなる、そういわれそのとおりに行動している。
  そんな彼の考えや思いは知るはずもなく。
  「そうね。あのタリムって人からきいたわ。
    …あんたが恋人をよみがえらせるために魔族と契約をかわしたって。
    そなんだったら、その魔族に恋人をよみがえらせてくれって頼めばよかったのに。」
  ある程度の力をもっている魔族ならば死人をよみがえらせることも可能。
  そう郷里の姉よりレナは聞いている。
  様々な知識をもつことは、自らの身を守るためでもあり、そしてまた。
  レナの…そして、何よりも一つの体を共有している双子のリナのためにもなるがゆえに。
  そんなレナの言葉に、ふっと笑みをうかべ。
  「いくら純魔族だとてできることと出来ないことがあるのですよ。
    …さあ、おしゃべりはここまでです。あなたたちならばきっと彼女のためになってくれますね」
  目の前にいる少女の噂は聞いたことがある。
  小柄な栗色の髪に紅の瞳の少女。
  盗賊殺し(ロバーズキラー)のリナ=インバース。
  おそらくは名前がもじられてそう伝わったのだろう。
  そう彼自身としては解釈している。
  あるいみそのとおりで、だがしかし事実は異なるのであるが。
  そんな力がある存在ならばきっと彼女をよみがえらせるのに役立つはずだ。
  そんなことを思いつつも間合いをつめるハルシフォム。
  ここは仮にも町外れだとはいえ仮にも町の中。
  こんなところで大技…つまりは巨大な魔術を使えるはずもない。
  自分を傷つけるには黒魔術最高峰の竜破斬(ドラグ・スレイブ)を使うしかない。
  伊達に魔道士協会の評議長を務めていたわけではない。
  その辺りの知識は自分とてもっている。
  それがわかっているからこそ勝利を完全にと確信する。
  「では。お遊びはここまでにして。観念してもらいましょうか?」
  ハルシフォムがいいつつ、すっと一歩足を前に進みだしたその刹那。
  どくっん。
  いいようのない脱力感にと襲われる。
  力が一気に抜けてゆくようなそんな感覚。
  「…なっ……」
  自分でも判る。
  力が急激に少なくなっていき、体力そのものすらも失ってゆくのが。
  それはちょうどリナ達が契約の石を破壊したがゆえに。
  契約を交わしていたハルシフォムに肉体的な変化が見られているのであるが。
  「…馬鹿…なっ……」
  契約の石が壊れた、ということはありえない。
  だがしかし…可能性としてはそれしか思い当たらない。
  仮にもあの魔族が直に身につけているものが壊れる…など普通では考えられないこと。
  だが…この脱力感は……まさか純魔族であるあのセイグラムが滅びる。
  ということは考えられない。
  ならばたどり着く答えはただ一つ。
  「契約…が……」
  そうつぶやく彼の言葉に。
  「…これは……」
  違和感を感じつつも、だがしかし、すぐさま一つのことに思い当たる。
  それ即ち。
  「誰かがあんたの契約の石を壊したみたいね。」
  姿すらをも変えてゆくハルシフォムをみつめつつ、言い放つレナの言葉に。
  「…たぶんあのリナさんたち…かな?」
  魔族と交わした契約を壊す…などという芸当ができるのは。
  今のところリナ達しか思い浮かばないがゆえに思わずつぶやくラウリィ。
  「たぶんね」
  あの『リナ』ならばそれくらいは可能なのかもしれない。
  完全に詳しくきいたわけではないが、彼女たちと出会い彼女たちの話をも聞いている。
  何でも彼女たちは魔族に目をつけられて…そして今日に至っているらしい。
  それゆえに魔族との戦いに嫌が応なしに慣れてしまったらしいが…
  そんなことには慣れたくないし、またそんなハメにもなりたくない。
  だが…レナには判る。
  自分もその運命に関わるざるを得ない…ということが。
  二つの精神と一つの器。
  それに水竜王と赤の竜神の力。
  双子で産まれるはずの姉である【リナ】が誕生しなかったのにも理由がある。
  それは…必然という名の理由。
  それが判っているからこそ……
  そんなことをおもいつつも、ふとある気配にきづき、はっとなる。
  そしてそれはどうやら戸惑いの声を上げているハルシフォムも気づいたらしく彼の後方を振り返る。
  そこには歩いてくる大人の女性らしき人影二つと…小さな人影が一つ。
  「「……あれは……」」
  その姿をみとめ、思わず同時につぶやくレナとラウリィ。
  それは…魔道士協会の地下室にてタリムにみせられたとある人物画の人物。
  そして……
  「「エルちゃん?!」」
  二人同時に思わず叫ぶ。
  レナ達の目にとはいったのは…
  ゆっくりと歩いてくる瓜二つの赤い夕日色の髪をした女性二人と。
  そして……連れさらわれたという…エイルの姿。


  彼女たちの決意に口を挟む気はない。
  決めたのは彼女たち自身。
  意思をもたない肉体のみの人造人間。
  確かこの辺りの人々というか関係者などはそういうのを肉ゴーレム。
  といって普通のそれとはよびわけていたはずであるが。
  だが、そんな人の手により作り出した肉体のみの器に。
  様々な生体エネルギーを注ぎ込んだところで、死人が生き返るはずはない。
  生体エネルギーで多少は動くことはできたとしても、それは当人にはなりえない。
  生体エネルギーを吹き込めば動くことは可能。
  そうハルシフォムはセイグラムから聞いている。
  だからこそ…意思をもたない器の肉体に人間の生体エネルギーを注ぎ込んでいた。
  確かにセイグラムは嘘はついていない。
  基本的に魔族は嘘はつけない。
  真実もいわないが。
  彼――ハルシフォムの誤算は…そのことを知らなかった…ということ。
  だが…それもまた彼自身が選んだこと。

  少女…エイルことエルがそんなことを思っていることは…誰も知る由もない。


                              ――続く……


##############################################

あとがき:
L:・・・で?何でいまさらようやく投稿する気になったわけ?HPのほうでもきちんと明記してないこれを?
薫:気分転換です(どきっぱり
姫:まあ、熱があって体の節々いたいのに猫を探しにいきたい、とわめいている薫さんらしいけど。
薫:というか本気でいきたいんですけど……
L:あんたが、風呂上りとかでもとにかくひたすらに昼も夜もさがしにいってたからでしょ?体調くずしたのは。
  そもそも、いるだろう、とおもわれる場所から呼んでもでてこないみたいだし
薫:それをいわないでくださいぃぃ…。でも、「オーリング」占いではそこが有力ですし。
  何よりも離れた場所にいる第三者の占いでもそれがでましたしっ!
  なので二ヶ月たとうが、あきらめませんっ!
姫:そんなことしてたらこんどは持病まで悪化するわよv
L:というか。すでに悪化してるわよ?こいつは?
薫:・・・・・・・・・・・・・・・・・とにかく。はやく見つけ出すことが今は優先です!
姫:で。ふらふらして家の中あるくのすら危ういからってこれに現実逃避で逃げてる…と。
L:まあ、こいつらしい、といえばこいつらしいけどねぇ。
  そもそもあたしたちが活躍してないし。
薫:でも今の精神状況ではエル様視点とかの小説は無理ですぅぅ(くすん
L&姫:人って軟弱よねぇ〜……
薫:お二方の視点でいわないでください……
  ともあれ、そういうわけで(どういうわけよ!?)の投稿です。
  続きはまたいつになるのか皆目不明です。それではv
L&姫&薫:みなさま、またいつかvv

2008年4月16日(火)某日

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33516○パラレル・トラベラーズ○ 〜願い?〜かお E-mail 2008/4/15 19:56:25
記事番号33514へのコメント

  まえがき&ぼやき:

  とりあえず。そろそろこのアトラス編もクライマックスです。
  そういえば…一応原作に添った(?)平行世界なので。
  原作と同じく死人などがでますので、ご了解ください(おそいってば…汗
  何はともあれ。いくのですっ!

#####################################


      ○パラレル・トラベラーズ○ 〜願い?〜


  あれは……
  歩いてくる人影をみて思わず目を見開く。
  まさか…だがしかし。
  一緒にあるいてきているあの少女。
  あの娘の生体エネルギーは遥かに平均値を超えていた。
  ならば…目覚めても不思議ではないのかもしれない。
  「…お…お……」
  力のはいらない身体を何とかうごかしつつ、そちらにむかって移動する。
  もはやレナ達は眼中にはない。
  彼――ハルシフォムの目には自分のほうにやってきている女性。
  『ルビア達』の姿しかその目にはいっていない。
  一人は確実にわかるが、もう一人は…
  「ルビ…ルビア…ルビアルビア……」
  急激に衰弱してゆく身体をひこずりながらもそちらのほうにとあるいてゆき、
  真っ白いワンピースを纏っている女性をふらつきながらも抱きしめる。

  「…でも…あれは……」
  ハルシフォムは気づいていないのであろうか。
  思わずいいかける言葉がとまってしまう。
  ゆっくりとではあるが、だがしかし、確実に。
  その白いワンピースをまとった女性の身体が溶けている…という事実が嫌でも見て取れる。
  足元に目を移せばその変化は一目瞭然。
  急激に生体エネルギーを別の身体に注ぎ込んだことにより生じる副作用。
  かつて生体エネルギーではなく魔力でそのことを試しているレナだからこそ理解ができる。
  力を注ぎ込むだけではダメなのだ。
  多すぎる力は逆に肉体の衰退とそして崩壊を招く。
  それすらもこの彼はわかっていなかったのだろうか。
  そんなことをレナは思いつつも、だがしかし。
  「エルちゃん。無事だったの?」
  とりあえず彼女たちとともにやってきたエルの姿をみて安堵する。
  そんなレナの言葉に。
  「うん。あのおね〜ちゃんが助けてくれたから」
  嘘でもないが事実でもない、そんなエイルことエルの返事に。
  「…お。おい…レナ…あれ……」
  ふとハルシフォムの様子に気づきラウリィが声をあげる。
  「……あれは……」
  確実にハルシフォムは急激にその肉体を衰えさせている。
  それが意味することは即ち……
  「ルビア……」
  ずるずるとすでに勝手がままならないその体をどうにか移動させ、
  二人のルビアたちのほうにと移動し、白い服のほうの女性を抱きしめる。
  そんなハルシフォムを包み込むようにして、白い服のほうの女性。
  本家のルビアもまた、そんなハルシフォムを抱きしめるものの、
  そのまま、もうひとりの自分。
  すなわち、人造人間のほうの自分に視線をむける。
  すでに、彼女たちが心に決めていた事柄。
  生きて罪を本当ならば償わせたいが、それはかなわない。
  すでにハルシフォムは魔族と契約し。
  その本来の生きるということの意味をうしなっていたのだからして。
  一人で逝かすことはしたくない。
  それは二人とも共通の思い。
  だからこそ……
  いや、本当ならば自分もついていきたいが。
  作られた自分だからこそ、後始末をするのもまた役目。
  そう思い、その役目を本来ならば死んでいるはずの彼女に譲った、というのもまた事実。
  「ルビア……よく戻ってきてくれた……」
  ハルシフォムは彼女の体が溶けかけている、ということに気づいていない。
  彼自身もまた急激にその生気を失っていっている。
  不死の契約が解除というか解かれた状況下においては、
  今までの致命傷が一気に彼の体に押し寄せている状態。
  立ち上がることもままならない。
  そんな彼にあわせて、溶けかけたからだをゆっくりとその場にかがめる。
  そして、そっとそんな彼の体を抱きしめる。
  そんな二人の姿をみながらも、本当ならばこのまま彼を助けたい。
  だけども……彼の望みはおそらく……
  『ルビア』の視線をうけて、ぎゅっと目をつむりながらもその服のしたにと隠していたそれをそっと手渡す。
  「って、おい!あれ……っ!」
  それに気づいたラウリィがおもわず目を見開いて叫ぶと同時。
  「もう。終わりにしましょう。ハルシフォム様。一緒におともいたします」
  地面に座り込んでハルシフォムを抱きかかえている格好になっているルビアの手に握られているのは、
  さきほどもう一人の彼女から手渡されたショート・ソードが一振り。
  ドシュ……
  それは彼女の両手にしっかりと握られ、そのまま変えこんでいるような格好になっていたハルシフォムの心臓辺りをつらぬいてゆく。
  「ハルシフォム様…わたくしも……」
  【ルビア】の体はあるいみ意志力で保っていたようなもの。
  それでなくても今まで無意味に生命エネルギーをその肉体に注ぎ込まれていた。
  ゆえに肉体的においても動くことはままならなかったくらいだったというのに、
  それでも、彼を止めるためにとあえて自ら行動に出ている彼女。
  これ以上、大切な人に罪を犯させたくはない。
  それは誰でもおもうこと。
  かといって彼一人でそのまま旅立たせるのはしのびない。
  いつもそばにいたのに自分を責めるばかりで気づかなかった彼に対してできることは……
  「ルビア…お前に倒されるのならば仕方のないこと…なのだろうね……
    今度はおいてゆかないでく……れ……」
  ずるり、と力が抜けてゆくそんなハルシフォムをそっと抱きしめながらも、
  彼を突き刺したショート・ソードを自らの胸につきたてる。
  「…なっ!?」
  ばっ。
  そのあまりの光景に思わずそばにいたエイルの顔をばっと覆うレナ。
  このような光景は子供にみせるものではない。
  ずるり、とその場に崩れ落ちてゆく二つの人影。
  やがてその体はハルシフォムのほうはだんだんとやせこけていき、骨になったかとおもうと、
  そのまままるで灰のようにと崩れ落ちる。
  そして、もうひとりの女性のほうもまた、その体の輪郭を完全に保つこともなく、
  どろりと溶けるように液体のようになりはてその灰の上にと崩れてゆく。
  「い…いったい……」
  あまりの光景に思わず絶句するしかないレナ。
  レナの中にといるリナのほうもまたレナの視界を通して視ているがゆえに内部で絶句する。
  「…何がいったいどうなったんだ?……あんた、説明してくれるか?」
  その元二人がいたそばにたたずんでいるままの一人の女性。
  さきほど溶け崩れた女性とまったく瓜二つの。
  そんな彼女にと確認をこめて問いかけているラウリィ。
  みればたったままで声をころして泣いているその女性。
  彼女もまた、ハルシフォムに創造られた存在。
  それがたとえ、『ルビア』の代わりとして創造られた、とはいえ。
  それでも彼女にとっても彼は大切な存在には代わりがなかった。
  だから涙が止まらない。
  それが彼にとって一番幸せのことだとしても。
  これで彼はルビア当人とずっと一緒にいられるのだから。
  そう自分自身に言い聞かせても、それでもとまらない想い、というものはある。
  ラウリィが彼女に話しかけるのとほぼ同時。
  「エルッ!!」
  金きり声に近い声が遠くのほうから聞こえてくる。
  みれば、レナたちのほうにかけてくる人影が数名。
  その中の一人が、そこに小さな金色の髪の人影を見つけて声を上げたのだ。
  と気づくのにそうは時間はかからない。
  声の状態からどれだけ心配していたかが感じ取られる。
  それこそが親の愛情の一環である、というのも。
  そういうのにはいつもなら視ているだけであったが、今は異なる。
  自らの身で経験してみる。
  というのも確かに新鮮さを感じ、また得るものもあるような気になってくる。
  そんな【エル】の心情は当然誰にも知られるはずもなく。
  「あ。か〜さんだ。か〜さん!それにと〜さんも!あとおまけもいる」
  がくっ。
  ばっ。
  リナが駆け寄ってきて三歳の幼女―エイル=ガブリエフをがしっと抱きしめると同時。
  にこやかに邪気のない声で『おまけ』と呼ばれ、がくっとなる男性が数名。
  「ね〜さまだぁ!」
  きゃっきゃっきゃ。
  とりあえず戦闘も終わったこともあり、背中に背負っていたエイルをガウリイにと手渡し、
  身軽になっているリナは力強くエイルを抱きしめ。
  そしてまた、ガウリイに抱っこされている状態のマイナといえば、
  エルの姿をみてきゃっきゃと喜びの声をあげている。
  状況をきちんと把握できているのかいないのか。
  そんなマイナの姿からは判断がつきかねない。
  まあ、二歳児の考え…というのはなかなかに想像つきにくいであろうが。
  一瞬、駆け寄ってきたリナたちに驚くものの。
  だけども、すぐさまにそれは当然のこと。
  と思い直すレナ。
  何しろ大切な娘がかどわかされていたのである。
  必死に子供を探さない親など……たぶんいない。
  その、たぶん、というのは自分たちの親のことをおもってのこと。
  それは娘の力を信じているがゆえの信頼、とも呼べるのだが。
  「何かあったのか?」
  ふとみれば、何やら見覚えのある気配の女性がその場に一人。
  確か、この姉ちゃんは……
  そんなことを思いながらもとりあえず、そんな女性の横にいるラウリィにと話しかけるガウリイ。
  第三者がみればこの二人は、兄弟、もしくは血縁者と完全におもうのは必死。
  身長や雰囲気はともかくとして、この二人はよく似ている。
  「どこも怪我はない!?」
  パタパタ。
  てしてし。
  小さな娘の体をパタパタと触りながらも怪我などがないか確認しているリナ。
  一方で何が何だかまったくもって理解ができていないロディマスとゾルフ。
  ゼルガディスにいたっては、ラウリィやレナの顔色。
  そして、そこにある灰らしきものと何やら以前よく見ていた液体のようなもの。
  それらをみて漠然と理解する。
  かつて、よくレゾが実験につかった動物などがそのように成り果てた光景を見たことが多々とある。
  だからこそ、そこにある液体のようなものがかつて何であったのか、漠然とであるが想像がつく。
  それでなくても、タリムやデイミア。
  彼らがすでに魔族によって呪法をかけられていたのだ。
  ならば…そこにあるあれは…人の成れの果て……
  すっと無言で手をつきだし、
  「火炎球(ファイアーボール)」
  ぼしゅ。
  そこにみえている液体にと火系の呪文をいきなり投げる。
  それはせめてものたむけ。
  死した誰かわからない人に対しての。
  「いったい何がどうなったんだ?」
  「ともあれ。エイル殿が無事でほっとしましたぞ」
  自分たちのミスでもし小さな子供に何かあったら。
  それが気がかりであったロディマス。
  首をかしげまくりのゾルフとはうってかわり、ほっとした声をだす。
  そんな会話をしている最中。
  「とりあえず、ここからはなれないか?あんた。きちんと説明してくれるよな?」
  いつ何どき通行人がくるともわからない。
  まあ、こんな現状でうろうろする人もあまりいないであろうが。
  それでも万が一、ということがある。
  今まで警備兵たちがやってこなかったのが不思議なくらい。
  そんなゼルガディスの提案に、
  「たしかに。ゼルのいうとおりね。それにエルもおなかすいてるだろうし」
  うなづきながらも、ひょいっとエルを抱き上げるリナ。
  その小さな体の金色の髪がさらり、とゆれる。
  「たしかに一理あるな」
  いったい全体何がどうなったのか知りたいのは山々。
  だが、それはおそらく話をきくにしても長くなるであろう。
  というのは明白。
  それゆえに、ゼルの提案をうけいれ、彼ら。
  すなわち、リナとガウリイの家族を含め、ゼルガディス達三人。
  そしてレナとラウリィ。
  そして唯一、すべてを知っているであろう、一人の女性を伴い、
  ひとまず彼らはその場を後にしてゆく。


  くらい。
  私は……自分が今までしてきたことは間違いではなかったはず。
  そう。
  彼女がよみがえるならばこの身はどうなってもかまわなかった。
  ふと意識が浮上してくると、そこは昏い、とても昏い空間。
  ふとそばに気配を感じ、そちらをふりむき、おもわずやさしく笑みを浮かべる。
  そこにみえたのは、自分が生涯唯一愛した最愛の人の姿。
  すっと差し出された手をとり、そのまま昏い空間の中の唯一ある光に向かって突き進んでゆく。

  汝達の願いは純粋。
  その純粋な願いにより、たしかに数多の命を軽んじたことも事実。
  一度すべて無と化し、そしてまた新たな命として誕生させよう。
  その新たな正をどのようにいきるかは、汝達次第――

  リナに抱かれながらも、すっと意識を【彼ら】のほうにとむける。
  そう。
  人は自らの生き方を自らの意思で決めることができるのだから――


                     ――続く……

#########################################

あとがきもどき:

薫:やれやれ。数年ぶり(自覚あり)の打ち込み〜
  そのままほったらかしてましたよ。これ(汗
L:ほおおう。
薫:ぎくっ!と。とりあえず次はこれをさくさくっと頑張って仕上げる予定です。
  たぶんこれやっていってたら漫遊の打ち込みも少しははかどるはず。
  これのほうはエル様でてこられても、ギャグ…ではないですからねぇ。
L:で?いいたいことはそれだけなわけ?
薫:あうあうあう……
  ……否定はしませんです……
L:なら、覚悟はできてるのね♪
(何ともいえない悲鳴がこだまする)
L:さてさて。ちょっと性根を入れなおして、ちょこっと根性を入れなおしてる薫はほっといて。
  ではまた、次回にて♪
  次回は、このたびのアトラス編のそうまとめらしいわよ♪
  それでは、みなさま、ごきげんよう〜♪

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33517○パラレル・トラベラーズ○〜残されしものの役目〜かお E-mail 2008/4/15 19:57:07
記事番号33514へのコメント

  まえがき&ぼやき:


  気分がある程度のってるときに、いっきにいくのです!
  たぶんこのお話はそんなに長くならない予定(あくまで予定)ですしねぇ。
  だから20K前後で区切ってますし。一話も。


  #####################################

  全てがくるったのはいつのことだったろう。
  もはや取り返すことはできない、幸せだった日々――

  「ハルシフォム様!ハルシフォム様!」
  ぱたぱたぱた。
  必要最低限の知識は生れ落ちたときにすでに組み込まれていた。
  「ルビア。どうしたんだい?そんなにあわてて?」
  愛する人の姿を模した人造人間(ホムンクルス)。
  まだ彼女が存命だったときに、実験をするにあたり、ならば…というので、
  二人の子供のような存在にしてはどうだろう。
  という一種の思いつきだった。
  そんなことは、彼女――【ルビア】は知る由もないが。
  いつものように地下の実験室において、すでに魂のない冷凍保存されているルビアの前。
  その前にてどうにかよみがえらせる方法はないか、と思案していたハルシフォム。
  「あ。ハルシフォム様。こんなところにおられたんですか。お客さまです」
  「お客?めずらしいですね?」
  この屋敷にはめったに人はこない。
  魔道士協会評議長、という立場にいてもこの屋敷に近寄ろうするものはまずいない。
  「はい。それが変わっている人なんです。全身真っ赤なローブをきていらして……」

  それが第二の始まり。
  そして…終焉への序曲。

       ○パラレル・トラベラーズ○〜残されしものの役目〜


  「じゃぁ。あなたはやっぱり人造人間(ホムンクルス)なわけね?」
  当人にしてみれば、その事実は否定したいのかもしれない。
  だけども事実を確認しなければ話が進まない。
  「はい。私はハルシフォム様に創造られました。あのかたの大事な人の姿を模して」
  リナたちがとまっていた宿屋。
  無事にエルが見つかった、と宿の人に伝えたところ、
  それはもう大変に自分のことのように喜んでくれた宿屋のおかみ。
  他にもかなり連れがいたようではあるが、それでも客が少ないこの時期。
  しかも見た目、けっこう便りになりそうな男たちならばなおさらに歓迎できる。
  いつ、何どき何がおこるかわからない、そんな不安と恐怖に取り付かれているこの町。
  アトラス・シティ。
  そのアトラス・シティの一角にとある宿屋。
  その宿屋の一階にとある食堂にて話をすべく席に座っているリナ達数名。
  小さな子供たちはといえば、話そっちのけで必死にサービス、といって出されたパフェを口にしているが。
  そんな光景をみればおもわず気が緩む。
  この町ではこのようなほのぼのとした光景すら、ここしばらくは見受けられなかったがゆえ。
  男女の二人連れが二組。
  うち一組は家族らしく小さな子供が二人。
  それ以外はりりしく、それでいてどこか凛とした雰囲気の黒髪の青年。
  おそらく見た目、歳のころは十代後半かそこらであろう。
  そんな彼にしたがっているように見える、魔道士風の男性と、騎士風情の男性。
  一見すれば、どこかのいいところのあととりを護衛する人たち、ともとれなくもない。
  事実は激しく異なるが。
  「じゃあ。アレをやったのは、つまり契約していたヤツだ。というんだな?」
  一応、他にも人目もある。
  この中にもしかしたら、屍肉呪法(ラウグヌトルシャヴナ)の名前を聞いたことがある人物がいるとも限らない。
  だからこそ、言葉を濁して問いかけるゼルガディス。
  きちんとことの顛末を話しにいかなければいけないだろう。
  というのも理解はしている。
  だが、それよりも前にきちんと話し合いをして自分たちが理解する必要性もある。
  逃げたというか見逃した魔族・セイグラムがどのような形ででくるかもわからない。
  リナの知っている歴史どおりにいくならば、後々仕掛けてくるのは明白。
  だが、この世界はリナの知っている歴史とは多少ことなっている世界。
  だからこそ判らない。
  「ええ。すべては、私のオリジナルでもある彼女をハルシフォム様がよみがえらせるために……」
  ルビアから語られた真実。
  それはリナが知っているものとほとんどかわりのない真実。
  といってもハルシフォムにとってルビアがどのような存在であったのか。
  というのはリナは知らなかったが。
  リナが知っていた結果は、彼女がハルシフォムを止めた。
  というその真実。
  一通りのことはこの【ルビア】から説明をうけて、それぞれ納得する彼ら達。
  もっとも、ガウリイにおいてはよく理解していないようではあるが……
  とりあえず、彼女からきいてこのたびの一件における概要は理解できた。
  その大元となった人物も今はいない。
  ともあれ、ルビアから概要を聞きだした後。
  一晩ゆっくり休んだ後、明日の朝一番で魔道士協会に出向いてゆく。
  ということで話はまとまり、今日のところは各自それぞれ体を休めることに――

  「しかし…信じられませんな」
  アトラス・シティの魔道士協会。
  そこで何かがおこっている。
  それゆえに近くの町から派遣されてきている別の協会のおえらいがた。
  この町にとある教会などの神父などもこの場にはいる。
  「しかし。信じられなくても、現実にあのようなことになっていますし……」
  ルビアと共に魔道士教会にでむいているリナ達一行。
  そこでとりあえず、このたびの事件の概要を伝えたところ。
  簡単な査問委員会が執り行われている真っ只中。
  といっても、この町の福評議長二人があのようになり、ましてや評議長そのものが今回の事件の一因だとは。
  それこそ魔道士協会としては信じたくないところ。
  しかも、魔族云々…という言葉にすら疑問を感じる。
  それが一般の人々の反応。
  「しかし。それが真実なのは仕方がなかろうて」
  地下より、その顔だけになったタリムがそんな彼らに対して話しかける。
  命をつないでいる数々のチューブ。
  そして用途不明な数々の装置のようなもの。
  それらすべてをひっくるめて、意見をきくために地下よりこの場に運ばれてきているタリムの顔のはいった容器。
  生きている。
  とはいえない、生かされているだけのタリム。
  だがしかし、誰一人とてその彼の命をとめるようなまね。
  すなわち、命をつないでいるチューブをはずそうとはしない。
  顔だけになっているとはいえ、彼にはまだ意識がある。
  誰も好き好んで人を手にかけたくはない。
  「しかし…タリム殿……」
  そう別の査問委員の一人が彼に話しかけようとしたその直後。
  ぴくっ。
  「リナ!」
  いきなり叫んでリナを抱えて横にとびのくガウリイ。
  一方では少しはなれた場所にいたエイルもまた、マイナを包み込むようにして防御している。
  それと同時。
  ガシャァァッン!!
  部屋の内部に何かが割れる音が響き渡る。
  そしてまた、何かがこぼれるような音も。
  全員が何が起こったのか理解するよりも早く。
  「――まさか、あれですんだ。とはおもっていまい?」
  低く、それでいてのしかかるような声が部屋にと響きわたる。
  ゆらり、とさきほどまでタリムがいたはずのその場よりうかびあがる漆黒の闇。
  「いじになってるみたいだけど……」
  その姿をみてぽつっとつぶやくエル。
  彼女からしてみれば、そんなことはあきれる以外の何物でもない行為。
  ふとみれば、その場にいた他の面々。
  すなわち、魔道士協会のお偉い役目についている人々はといえばいきなりの異形のもの。
  あからさまに人ではないそれを目の当たりにしておもいっきり動揺していたりする。
  中には腰を抜かしていものすらも。
  「……なさけない……」
  思わず本音がこぼれるが、ここはリナ達に…リナか〜さんたちに任せておけばいいし。
  そうおもいつつ、
  「マナ。これからか〜さん達用事があるみたいだから。いいこで見物してようね?」
  「うん!」
  マナがにこやかにうなづいたのをみて、すっと誰にも気づかれないように周囲に結界を張る。
  それは魔族には自分たちの姿がみえなくするような、簡易的なもの。
  あからさまに弱いとおもわれる人間の子供を人質にして何かする。
  ともかぎらない。
  それこそ魔族の恥さらし以外の何者でもないが。
  念には念を。
  それに今ここで【彼ら】に気づかれては面白くない。
  そんなエルとは対照的に、リナのほうはといえば。
  ちらっと娘たちのほうをみてみれば、何かエルが簡易的な結界らしきものを張ったのが見て取れる。
  おそらく防御壁か何かだろう。
  そう即座に判断する。
  この魔族に子供たちの存在に気づかれて、子供たちを盾にとられてはやっかい極まりない。
  それゆえに、
  「ずいぶんなご登場ね。だけどもう契約の石はないし。あんたの元ご主人もいないはずだけど?」
  相手を挑発するかのように動じることなく言い放つリナ。
  「…確かに。我があのハルシフォムとかいう人間の男と交わした契約はすでにない。
    ゆえに、あの男の命令を実行することもないのだが……だが、貴様たちは倒しておかねばな。我の誇りの為にも」
  いいつつも、その手に青白い光の球を出現させる。
  「ゆくぞ!」
  いうなりその球をその手から解き放つ。
  誇り、というのならばこのまま静かに立ち去ることこそ、魔族の誇りの意にかなっている。
  それもわかってないみたいだし。
  その光景をみながら思わず内心あきれるエル。
  どぐわぁぁん!
  当然、その一発はあたしたちの誰にもあたることなく。
  横にある壁にとぶちあたり炸裂する。
  それと同時。
  『うわぁぁ!?』
  ようやく我に戻った魔道士協会に所属しているお偉い人々。
  そしてまた、神父など、といった人々が我にともどり騒ぎ始める。
  ちいっ。
  彼らが邪魔っ!
  できれば結界に閉じ込めてほしいのがリナの本音。
  というか、異空間ともいえる結界を作り出すことなく攻撃してきたこの魔族。
  あまり考えがないやつなんだろうな……
  そうリナの中で結論づける。
  何しろたかが人に復讐するためだけに魔族であることを捨てるような魔族なのだから。

しばし、混乱の最中。
セイグラムとの戦いが魔道士協会の一室において繰り広げられてゆく――


  ざわざわざわ。
  正式に、今までこの町でおこっていた不可解な事件。
  それらが全て解決した。
  そう魔道士協会から町中に連絡がゆきとどいたのはつい先日。
  外にたむろしているレッサーデーモン達の行動も最近はだいぶ落ち着いてきたらしい。
  それゆえに、だいぶ以前の賑わいをとりもどしつつこの町。
  当初は道に露店など並んでいなかったが、もう大丈夫。
  という安心もあってか、商魂たくましい人々が店をすぐさまに開いている。
  「しっかし。何かあんたらとかかわってから魔族がらみの一件がおおいのは気のせいか?」
  もう人目を気にすることもないがゆえか、
  空を見上げつつ表街道にてそんなことをリナ達にといってきているゼルガディス。
  だがしかし、そもそもの発端はレゾにある。
  彼の中に封じられていた赤眼の魔王・シャブラニグドゥの影響。
  「気のせいよ」
  こんな別の世界にきてまで魔族絡みの一件にかかわりまくってたまりますか。
  あたしはともかく、子供たちを危険には合わせられないし。
  そんなことを思いながらも、きっぱりとゼルガディスの意見を却下するリナ。
  「それより。ゼルはこれらどうするの?」
  少しばかり顔をしかめているゼルガディスにとといかけているレナ。
  「そういうあんたらはどうする気なんだ?」
  逆に問いかけるゼルガディス。
  ゼルガディスからすれば、レゾの遺言を果たしたい。
  彼がかつて創造ったあのコピーをまず探し出すことが先決。
  昔聞いたことがある、あの研究所にまずいってみるのが近道だろう。
  そう彼はおもっている。
  「え?あたしは、ちょっと白魔術都市・セイルーンのほうにいってみようかな?とかおもってるけど」
  噂でセイルーンのほうでちょっとしたごたごたが起こっている。
  そう魔道士協会内部で耳にした。
  どういった厄介ごとなのかはわからないが。
  そもそも、あのドワーフおうぢには会いたくはないが、いってみる価値はありそうである。
  「あたしたちは、サイラーグにいくつもりよ」
  なぜ。
  とはいわないまでも、きっぱりといいきるリナ。
  なぜサイラーグなのか。
  それは、リナ達の世界と同じような悲劇を起こさないため。
  いまだ、この町の魔道士協会はしばらくごたごたするであろうが、それもしばらくしたら収まるであろう。
  結局のところ、やはりというか案の定。
  というか。
  魔道士協会に直接仕掛けてきたあのセイグラムを滅ぼしたところ、
  デイミアの屋敷の肉塊は腐った肉が溶けるようにそのまま瓦解したらしい。
  高らかに笑い声を残したままで。
  タリムはあのセイグラムの襲撃のときの衝撃でその命をつないでいた装置が壊れ静かにいきを引き取った。
  さすがに、ただの伝説。
  としか捉えていなかった魔族。
  しかも自力で具現化している純魔族。
  その攻撃をうけた後。
  ということもあり、魔道士協会のほうの追求も深くはされてこなかった。
  そして、このたびの一件の唯一の生き証人、とおもわれるルビアの処分もまた、不問に処す。
  ということでおちついた。
  いくら何でも魔族をあいてに一般人がどうこうできるレベルではなかった。
  というのが魔道士協会のお偉いさん方の意見。
  その裏には自分たちが何の役にもたたなかったのをだまっているように。
  との意味合いもある。
  ということを、リナ達は知っている。
  「そうか。ならとりあえずここでお別れだな。何かいろいろあったが、あんたたちも元気でな」
  一緒に行動した期間はごくわずか。
  それでも力を合わせて戦った、ということは真実。
  しかもそれが、とてもかなわないような相手ならばなおさらに。
  連続して魔族がらみの事件に巻き込まれた。
  というのも仲間意識が芽生えるのには十分。
  「あんたもね。ゼル」
  「またいつか」
  そんなゼルに対してそれぞれ手をさしだすリナとレナ。
  「で?おまえはどうするんだ?」
  自分によく似ているラウリィにと問いかけているガウリイ。
  何だか人事のようには思えない。
  おそらく、このレナ、という少女とともにいることでこれから様々なことに巻き込まれてゆくだろう。
  というのが何となくであるがわかるがゆえに。
  「俺はしばらくこの子と一緒に旅をするつもりだけど?」
  もしかしたら、兄の魂を開放させる方法が見つかるかもしれない。
  それに何よりも彼女の境遇も人事とは思えない。
  それゆえにガウリイに答えているラウリィ。
  「そっか。それじゃ、ここでお別れね。…がんばってね。あなたたちも」
  「ええ。リナさんたちも。無事に元の世界にもどれるようにいのってますね」
  アトラス・シティにとはいる表門。
  そこでそれぞれ互いに別れを交わす彼ら達。
  レナとラウリィはセイルーンへ。
  ゼルガディス、ロディマス、ゾルフはレゾの研究所があった、というとある場所へ。
  そしてまた、リナ達親子はサイラーグへ。
  出会いと別れはいつも突然。
  だけど、その出会いが人の絆を強くし成長してゆく。
  それが人、というもの――


               ――続く……


##########################################

あとがきもどき:

薫:さてさて。リナ達とセイグラムとの戦いは当然のことながら魔族との戦いになれてるリナの圧勝v
  もっとも、邪魔になりまくった魔道士協会所属の人々がいますけどね。
  まあ、かなり怪我とかしてたりしたのは彼らは自業自得。
  でしょう。
  普通、しかし魔族がいきなり現れたらパニックになるでしょうねぇ……
  慣れてしまっているリナやガウリイはともかくとして……
  あの戦いにおいて魔道士協会が半壊したことのみはこのあとがきでふれておきますv(こらこら
  何はともあれ、ようやく次回からセイルーン編v
  それでは、また次回にてv
  (エル様がこられないうちに、さくっと次にすすまねばっ!それではっ!)



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33518○パラレル・トラベラーズ○ 〜死霊都市(サイラーグ)〜かお E-mail 2008/4/15 19:57:46
記事番号33514へのコメント

  まえがき&ぼやき:


  こんにちわv今回からサイラーグ編v
  ちなみに、こちらの世界のレナ(リナ)とラウリイ合流は当分先(笑
  まずは初めにシルフィールと、そしてゼルとの合流(?)ですv
  さて…サイラーグは助かるのか!?それとも……?(まて
  何はともあれ、いっきますv

#####################################


      ○パラレル・トラベラーズ○ 〜死霊都市(サイラーグ)〜


  「どうやら、まだ大丈夫みたいね」
  町の門をくぐり思わずほっとつぶやくように言っているリナ。
  今までの時間率からしても次に何かあるのはおそらくサイラーグ。
  自分達の時はあの一件から二、三ヶ月くらいしてあの手配のことを知った。
  アトラス・シティの魔道士協会評議長選びの一件ではまだ何も起こってはいなかった。
  だからこそ……ここでの悲劇を防ぐためにとアトラスからそのまま、
  サイラーグへと目的地を決めていたリナ。
  まあ、あの一件は別にリナには何の落ち度もないんだけど……
  そんなリナのつぶやきをリナの足元でききつつも、そんなことを思っているエイル。
  いうならば、聞き分けのない駄々をこねた子供がしでかしたこと。
  どんな存在においても、力の使い方やコントロール。
  果てはセーブ状況。というのは必要な事柄。
  ま、このあたしでさえ力のセーブを人の器で見誤ったんだからねぇ。
  あのときは、絶対にあいつを許す気がなかったのでそのまま力を使った。
  というのはあるにしろ……
  リナとエルがそんなことを思っているそんな視線の先にくっきりと見えるのは、
  遠めからもはっきりと確認できていた神聖樹フラグーンの存在。
  その木々の生い茂りと町の賑わいをみて、
  滅んでしまった自分達の世界のサイラーグと重ね合わせ、どこか遠くをみているリナ。
  そんなリナの思いがわかるがゆえに、リナの肩をそっと抱き寄せて胸を貸しているガウリイ。
  「ね〜ね〜。エルね〜さま?あれ、おっきなき〜!!」
  一人、それを始めて目にするマイナがフラグーンをみてきゃっきゃとはしゃいでいたりする。
  「あれは、しんせいじゅ、フラグーンっていうんだよ?マナ。」
  そんな妹にと丁寧に説明しているエル。
  おそらくリナ達はあのときのことを思いだしてきちんと説明できないであろう。
  というのが判っているがゆえに、エルが変わりに妹に教えているのであるが。
  「ふぐ〜ん?」
  「ふらぐ〜ん」
  「ふらぐら〜♪」
  「……なんでとおのくわけ?」
  そんな会話をしているエルとマナの後ろでは、
  「……で、どうすんだ?リナ?」
  未だに町並みを無言で見渡しているリナにと問いかけているガウリイの姿。
  「とりあえず。ここにもいるであろうシルフィールの家。……つまりここの神官長の家にいきましょ」
  旅をしてきたコピーレゾをあっさりと受け入れ、そして手配をかける許可を出したのも又、
  自分達の所では……ここサイラーグのエルクであった。
  それが判っているからこそ、逆に自分達が『レゾの偽者』の情報を先に耳に入れることで、
  何としてでもあの悲劇は防ぎたい。
  理不尽に一瞬のうちに跡形もなく吹き飛ばされ殺され、更には冥王(ヘルマスター)の手により仮によみがえり、
  そして冥王(ヘルマスター)フィブリゾの手足にさせられていたサイラーグの人々。
  あまりに一瞬のことで自らの死がわからずに、理解することが出来ずとどまっていたところ、
  冥王(ヘルマスター)フィブリゾに利用された。
  というのが事実なのであるが。
  それはリナは知らない事柄。
  この場でそれを理解しているのは……
  「判った」
  それ以上深く聞くこともなく、あっさりとうなづくガウリイ。
  そんなガウリイの同意の声をうけ、
  「エル。マナ。これからここのシルフィールの家にいくわよ。」
  二人の子供たちをみて言っているリナ。
  「わ〜い。しふぃ〜おね〜ちゃんのとこ〜♪」
  「マナ〜。だから。シルフィールおね〜さんだってば」
  前、おばさん、呼んだときあからさまにシルフィールが動揺したことからも、
  一応『お姉さん』と呼んでいるエルとマナ。
  もっとも、マナについては意味がまったくわかってない。
  というのもあるのであるが……
  ただ、姉がそうよんでいるからまねをしている。
  というのに他ならない。
  未だに、マナはきちんと人の名前を少しでも長かったりするといえたことがない。
  ……未だに、マナ、きちんと『シルフィール』って名前、いえないのよね〜
  そんな二女であるマナをみつつも内心思っているリナ。
  そこがまたかわいいんだけど。
  そう思うのは親の欲目なのか何なのか。
  まあ小さいこの名前の間違いなどは確かに見ていてもほほえましい。
  というのも一般的な事実であるが。
  ゼルガディスなどは幾度も間違われるので訂正するのをあきらめて、
  『ゼルでいい。』とマナにいっている現状があったりするのもまた事実。
  「まあ。マナはまだ小さいからね〜」
  そんなマナをみて苦笑しつついっているリナ。
  そしてまた、
  「それより、リナか〜さん?しるふぃーるおね〜ちゃんのところってどこ?」
  走り回ろうとしているマナの手をつかんでリナにと問いかけているエル。
  知ってはいるけども、『エイル』としてはそのあたりのことは誰にも聞いたことがないがゆえに、
  リナに確認を込めて問いかけているエル。
  「あたしたちの世界と同じだとすると。この町の神官長のところよ。…とりあえず町の人に確認してみましょ?」
「「ぐ〜」」
『・・・・・・・・・・・・・・・』
リナの言葉と同時、マナとエルのおなかが同時になる。
そういえば、そろそろお昼だっけ。
それに、ここに来るまでに盗賊団を三つばかりリナたちと一緒に壊滅もしてるし。
そんなことをふとエルは思ったりするが。
小さい子供は少し動いたりしただけで体力的にもすぐにお腹がすいてしまう。
それゆえに仕方ない反応といえばそれまでなのだが。
そんな子供たち二人を一瞬無言になりつつ眺め、
  「……その前にご飯にしましょ。ガウリイ」
  「だな。しかし、ものの見事に重なったな〜。やっぱり姉妹だからかな?」
  「あんたの子供だからだとおもうけど?」
  「リナ〜。でもエルもマナもリナの子供でもあるんだぜ♪
    何にオレたちの愛の結晶♪オレとリナが愛し合って……」
  「道のどまん中でんな恥ずかしい台詞をさらっというなっ!!」
  先をいおうとしたガウリイの台詞を真っ赤になって止めているリナ。
  この二人は…相変わらずなんだから。
  などとエルが思っているとは露にも思わず、
  未だに真っ赤になってリナはガウリイに何やらいっているのだが。
  そんな両親の対応はなれているというのか何というのか。
  「それより、ごはん〜。マナ、おなかすいた〜」
  あむっ。
  「ああ!マナ!それはマント!ばっちいからかんじゃだめぇぇ!」
  お腹がすきすぎて身に羽織っているマントの裾を手にもち口に運ぼうとしているマナに対し、
  あわててとめているリナの姿。
  「ほらほら。マナ。そぐそこにごはんやさんあるから。おと〜さんもおか〜さんも、あそこでい〜い?」
  町の南の入り口付近にとある大通りに面している食堂。
  そこを指し示しつつ言うエルの言葉に、
  「そね。ほら、ガウリイ。エルだっこして。マナも…ほら」
  ひょい。
  リナの言葉と同時、エルはガウリイに、そしてマナはリナにと抱きかかえられる。
  そしてそのままそれぞれ夫婦して子供を抱っこしてそのまま食堂に向かって歩いてゆく。
  何ともそんなほほえましい光景が大通りの中で見受けられていたりする。
  ぱっと見ただけで子供の容姿などからして夫婦であり親子ずれであることは明白。
  まあ、ずいぶんと若いお母さんね〜。
  などといった声もそんな二人をみて聞こえていたりするのだが。
  それはそれ。
  たしか、ここの世界のここの町の人々って『ラウリィ=ガブリエフ』を知ってるから、
  ガウリイのことはたぶん、兄か親戚か何かだとおもうでしょうね。
  年齢からしても……
  ガウリイに抱きかかえられてエルがそんなことを思っているとは当然リナは知る由もない。


  ざわざわざわ……
  「よいしょ…っと。エルはどうする?」
  食堂の中にとはいり、あいている四人がけのテーブルにとつき腰を下ろすリナ。
  一人で座らすのがあまりに危なっかしいので大衆の食堂などでは大概、
  リナかガウリイがマナをその膝に乗せて席にと座っているのが現状。
  「ひとり〜♪」
  膝の上だと何かくすぐったいし。
  そんなことを思いつつ、とてとてとリナの横の開いている席にと近づいてゆくエル。
  その自分の背と余り変わらない、もしくはそれよりもちょっと大きめの椅子を後ろに下げて、
  その上にぴょこんと飛び乗る。
  深く腰をかけたらテーブルに手が届かないので、とりあえず軽く腰かけテーブルの上に両手をおく。
  こういう場所の机などは大人向けにつくられているので小さな子供にとっては大きい意外の何物でもない。
  「ならオレはこっちだな」
  いってリナに向かい合うようにして座っているガウリイ。
  リナ達が席についてほぼ少しして、
  「いらっしゃいませ。……あら?もしかしてラウリィ様?」
  店の従業員らしき男性が、ガウリイをみて首をかしげて問いかけてくる。
  しかも、どうみても子供連れ。
  もしマナだけであれば、リナの子供であろう。
  というのでガウリイとは結び付けないであろうが、エルもいることから。
  二人の子供であろう。
  というのは明白。
  もっとも、エルも二人からいい場所をもらっているのでかなりの美少女であるのだが。
  まだ少女、といっても三歳なのでものすごくかわいい子供に他ならないのだが……
  「?ラ…誰だ?それ?」
  そんな人物にきょとんとした声をあげるガウリイに対し、
  「こ…このぼけっ!この前まで一緒にいたでしょうが!
    この人がいってるのはラウリィよ!ラウリィ=ガブリエフ!ほら、こっちの光の剣をもってたあの!」
  そんなガウリイの言葉に思わずマナをしっかりと片手で抱きかかえつつも、
  もう片方の手で額に手をあてて思わず叫んでいるリナ。
  「お〜。あいつか〜。…そんな名前だったっけ?」
  「……も、いい。…え。えっと。すいません。こいつクラゲで……」
  「……は…はぁ……」
  そんな二人の何ともほほえましいというか何というかやり取りをみつつ、
  思わず目を点にしていた男性が間の抜けたような声をだす。
  …確かに。
  ラウリィ様はこんなにのほほんとはしてなかったよな?
  などとは思うがそれを口にすることはなく、
  「あ。もしかしてラウリィ様のお兄様、もしくはご親戚のかたですか?
    それにしてはよく似ていらっしゃいますね。見たところ、ご夫婦とお子さんですか?」
  とりあえず気をとりなおして、どうも話が通じそうなリナにと問いかける。
  「…ふ…!?///……え、ええ…まあ」
  夫婦。
  という言葉で真っ赤になりながらこくりとうなづくリナをみて。
  ずいぶんと恥ずかしがりやな女性だな。
  などと思っていたりするのだが、ふと何やら視線を感じ見てみれば、
  ガウリイがそんな男性のみにわかるように殺気を飛ばしていたりする。
  思わずひやっと冷や汗をかきつつも、
  「かわいいお子さんたちですね。何歳ですか?」
  どうにか話題をかえようと、エルとマナをみて問いかける。
  内心冷や汗ものであるのだが。
  未だにガウリイは男性に向かって殺気を飛ばしているがゆえに。
  だがしかし、そんな男性の言葉をうけ、
  「だろ?二人ともオレのリナに似てとてもかわいくてな〜v」
  「あ…あのねっ!…え、えっと…こっちがエイルで今三歳。
    でもって、こっちがマイナで今二歳です。あ…あの?それより?
    今、ラウリィのことを呼びましたよね?彼知ってるんですか?
    私達、この前まで彼らと一緒にいたんですけど。
    あと、それとここの神官長さんの家ってどこかおしえてもらえます?」
  真っ赤になりつつも、ガウリイを制し、問いかけるリナの言葉に、
  「ああ。やっぱり知り合いなんですか。なるほど。神官長様の家ですか?それでしたら……」
  やっぱり親戚か、もしくは兄弟なんだろうな。
  それですまし、リナ達にと神官長の家の道どりを教え始めるその男性。
  そして、一通り説明しおわり、
  「……ゆきかたとしてはこうですけど。あ、長話してしまいましたね。
    えっと…ご注文は?お子様にはお子様ランチもありますが?」
  にっこりいって仕事にもどってゆく。
  「だって。どうする?」
  「あたしそれにする〜」
  「マナも、エルね〜さまとおなじ〜」
  「はいはい。…なら、あたしたちは…っと、これからここまでを五人前づつで」
  「……は!?」
  さらっといったリナの言葉に思わず目を点にしてしまう。
  「…え?えっと…五人前…ですか?」
  「でなくて。ガウリイとあたしで十人前ね。…すくなかったかしら?」
  「リナ。それだけで足りるのか?」
  「そうね〜。なら十人前でv」
  「……はぃ!?」
  そんな二人の会話と注文をうけ、目を丸くするしかない男性従業員。
  ……その反応が当然なのであろうが。
  当のリナとガウリイはそれにすら気づいていない……

  とりあえず、目を丸くしつつも、注文をうけたのは事実であるがゆえに。
  そのままその注文をもって厨房にと引っ込んでゆくその男性従業員。
  そして注文し終わり、
  「…どうやら。家とかも一緒みたいね。……間に合っていますように……」
  もし、すでにあのコピーレゾがこの町に入り込み、
  初めの偽装工作のための慈善活動をしていたりすれば、
  まず自分達の話は聞いてもらえない確立が高くなる。
  それが判っているからこそ多少不安になるリナ。
  まあ、あの魔王との一件からそれほど時間は経過していないので、
  まだあのエリシエルがレゾの噂を耳にする。
  といったことはないので、その心配は皆無なのであるが。
  そんな不安に狩られつつも、とりあえず腹ごしらえをするために、
  運ばれてきた食事に手をつけてゆくリナ達の姿が、食堂の一角において見受けられてゆく……


                    ――続く……――

########################################

あとがきもどき:
  薫:なぜか、ルビア達のシーンを打ち込みする気力がわかず(まて
    こちらを先に打ち込みしていたりする薫です。
    一応、あれ死にものだからな〜。みゅぅ……
    ちなみに。次回でこちらの世界のシルフィール登場です。
    乙女の(?)勘違いモード炸裂させる予定v(まて
    まあ、ぱっと見た目、ラウリィが子供つれて戻ってきた。
    というように見えなくもないからね〜(笑
    ちなみに、こちらの世界のシルフィールは。まだリナとの面識はありません。
    あしからず……
    何はともあれ、ではまた次回にてv

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33519○パラレル・トラベラーズ○ 〜シルフィール=ネルス=ラーダ〜かお E-mail 2008/4/15 19:58:30
記事番号33514へのコメント


  まえがき&ぼやき:

  ようやくシルフィールの登場ですv
  うふふふふv
  このサイラーグの一件は、アニメにも小説にもあまり似てないです。
  そもそも、小説のほうではすでにレゾの手下が幅きかせてましたし。
  アニメのほうはすぐさまに町ごと消滅させられちゃいましたしね(汗
  何はともあれ、ゆくのですv

#####################################


     ○パラレル・トラベラーズ○ 〜シルフィール=ネルス=ラーダ〜


  ざわざわざわ。
  人々の行き来が騒がしい。
  どこをみても神聖樹フラグーンの姿が目に入る。
  すでにもう、見ることができないその景色。
  絶対にこの世界のこの場所はあんな目にあわせたくはない。
  それがリナの想い。
  あれはリナか〜さんのせいじゃないのに。
  そんなリナの想いが判るがゆえに、そうはおもうが、まさか心が読める。
  それを知られるわけにはいかない。
  ゆえに、きゅっとそんなリナの手を小さな手でにぎりしめる。
  死霊都市と呼ばれているのはかつての伝説のせい。
  もっとも、リナ達がいた世界では言葉とおりの『死霊都市』と成り果ててしまったが……
  神聖樹フラグーンが見えてきた。
  ということは、あと少しでサイラーグの中心地。
  この世界でも北のほうって廃墟になってるのかしら?
  そんなことをおもいながらも進んでゆくリナ。
  基本はこの世界も、リナ達がいた世界も起こっていることはほぼ同じ。
  そこに住んでいる人々が多少違いがあるくらい。
  と。
  何やら道のど真ん中でたたずんでいる人影がひとつ。
  「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
  くるっ。
  その姿を遠めにみて、そのままくるっと向きをかえてわざわざ瘴気の森の中に続く道にとはいってゆく。
  「リナ?」
  そんなリナに首をかしげながらも道の先のほうをみて何やら納得したような表情となるガウリイ。
  気配は嫌でもわかる。
  確かに、リナが向きを変えるわけだな。
  などと思わず苦笑していたりするけど。
  「ね〜?か〜さま?あそこにいたのってぱりおじ〜ちゃんじゃないの?」
  「マナ。それをいうなら、パシリ神官、もしくはお役所仕事のお爺さんでは?」
  リナ達がいつもそう呼ぶのでマナもその呼び方で覚えてしまっているのだが。
  もっとも、お役所仕事、という点においてはあたしもかなり同意。
  「あんなナマゴミのことはきにしなくていいの」
  どきっぱり。
  何であいつがあんな場所にいたのかはしらないけど、かかわるとロクなことになんないのは目に見えている。
  それゆえに、係わり合いにならないように別の道を選んでいるリナ。
  まあ、確かに。
  いくら気配を隠していようとも、本体と一部を切り離しててもその本質からして、
  神聖樹フラグーンに多大な影響を与えるからあいつもあそこからうごかないんでしょうけど。
  そんなことをおもいながらも思わず内心苦笑する。
  そんなあたしの思いを知るはずもなくきっぱりと断言しているリナ。
  「それより、すこし森の中をすすむけど。二人とも大丈夫?」
  小さな子供の足で舗装されていない道なき道をゆくのは多少でも不便極まりない。
  もっとも、舗装、といっても石が敷き詰められていたり、きちんと大地が均されているだけだが。
  森にと立ち込めているどんよりとした空気。
  「たしか、これってしょうきをきゅうしゅうしてせいちょうしてからこうなんだよね?」
  手をぎゅっ、とつかんだままそんなことをいっているエル。
  「そうよ。気分がわるくなったらすぐにいうのよ?二人とも?」
  そんなリナに対し、
  「それより、互いに抱いていったほうがはやくないか?」
  いうなり、ひょいっとリナの横にいたあたしを抱き上げるガウリイ。
  そして。
  「リナはマナをな」
  そういわれ。
  「たしかに。それもそうね」
  あまりぐずぐずしてもいられないし。
  まだ、急激に成長している兆しは見えていないので例のコピーは近くにはいないはず。
  もっとも、もし彼がその瘴気を完全に押さえ込むような結界みたいなものを張っていれば別だが。
  たぶん、あいつが近くにいても急激に何ともならないのってその類だろうなぁ。
  冥王フィブリゾのときにはたぶん、気配を隠すなんて面倒なことしなかったんだろうし。
  だからあまりの瘴気の大きさに耐えられずにはぜ割れた。
  それはもう、ことごとく根っこのほうから。
  ガウリイの意見ももっとも。
  確かに子供の足にあわせるよりは互いに抱っこして進んだほうがはるかに早い。
  ましてやこんな瘴気が充満している場所に子供たちを長居はさせたくない。
  ゆえに、ガウリイがあたしを抱きかかえ、そしてまたリナがマナを抱きかかえる。
  それぞれがそれぞれを抱きかかえていれば、たしかに彼らが親子だ。とあるいみ納得する。
  あたしの髪の色は父親ゆずりの金色。
  そしてまた、マナの髪の色は母親ゆずりの栗色。
  もっとも、三歳の【エイル】を抱くよりマナのほうがリナに負担が少なくてすむ。
  というのもあり、ガウリイがあたしを抱き上げたのだが。
  まあ、たしかに疲れないからこのほうがはるかに楽。
  小さな人の子供の肉体、というものは何事においても不便極まりない。
  使える力の容量すらもまた限られるのだからして。
  そもそも、この肉体そのものはリナの中に残っていたあたしの力。
  すなわち、あたしが再生したときの残留していた力を組み込んで創造ったものなので、
  普通の人よりは多少融通が利くはずだけど。
  何しろあのとき、リナに体を返すとかそんなこと思わずに行動したし。
  あたしに攻撃しかけてきたあいつにお仕置きすること。
  それだけをおもってたし。
  もっとも、あのままリナを消滅させても面白くない、というのと。
  人の肉体における限界を超えた。
  というのもあって、そのままリナに体を返したのは数年前のこと。
  ふと昔を思い出す。
  以前ならば、そんな昔、とも思えないけど、今はなぜかそう思える。
  それが、限りある人であるがゆえ、なのだろう。
  さくっ。
  大地を踏みしめるごとに、完全に枯れた雑草などが音を立てる。
  瘴気の森で、普通の植物はあまり育たない。
  それに耐久性のある植物ならばわんさと茂っているものの。
  だがしかし、植物、というものも、けっこうしぶとい。
  生き残るために、自らを改良していき、瘴気の中でも成長できるように進化している。
  それが、生き物に与えている本来の姿。
  環境にあわせ、適応し、そして未来にと命をつなげてゆく。
  さくさくさく。
  瘴気に満ちている森とはいえ、生命は存在している。
  命、というものはたくましい。
  ゆえにこそ視ていてあきない。
  軽く片手で抱っこされつつも、進んでゆくことしはらく。
  やがて森の先がほのかに明るくなってくる。
  時刻はそろそろ昼すぎ。
  「とりあえず、どこかでご飯食べてから教会にいってみましょうか?」
  リナがそんなことを歩きながらいっているけど。
  ふとみれば、マナはといえば、リナの手の中ですーすーとお昼寝タイム。
  そういえば、初めてみるものが楽しくてここしばらくあまりお昼ねしてなかったっけ?マナは?
  そういう自分もしてないけど。
  ……まだ時間かかりそうだし、肉体のみだけでも少し休ませるとしますか……
  うとうと。
  「あらら。エルまでねちゃってるわね」
  そんなリナか〜さんの声が聞こえてくるけど。
  とりあえず、肉体における眠気はどうにもらない。
  意識だけは覚醒していても、肉体が疲れていてはどうにもならない。
  このあたりが、人の体の限界でもある、ということだろう。

  ざわざわざわ。
  鬱蒼とした森を抜けると、そこはちょっとしたレンガ造りの建物が並んでいる町。
  昼時、ということもあり、人々の活気に満ちている。
  子供たちの元気な声も飛び交い、それほどおおきな町ではないにしろ、
  それでも人々の暮らしが平穏である、というのは一目瞭然。
  この平穏な暮らしが、かつては一瞬で掻き消えた。
  あのときは、フィブリゾがその魂を留め置いて、後に利用したりもしたけども。
  今、この世界のこの場においてはそんな兆候はまったくない。
  以前は人々の昼間の元気な暮らしをリナは見る暇もなく呪文ひとつで町が壊滅していた。
  直前にみているのと、それ以前に見ていたのとでは、かなり感覚的にも異なる。
  「えっと……食堂は……」
  そうはいえど、小さな子供連れ。
  どちらかといえばゆっくりできる場所のほうがよい。
  また、早めに宿を取っておいたほうが何かと楽。
  というのもあり、ひとまず宿屋に向かい、
  大概の宿屋で営んでいるその食堂にて昼食をとることに決めているリナ。
  旅人、というのもはあまり珍しくないがゆえに二人に気をとめる人はあまりいない。
  とはいえ、親子連れの旅人、というのは珍しいらしくちらほらと二人を見ている人もいく人か見て取れる。
  やがて、サイラーグの町にとある一件の宿屋にたどり着く。
  ひとまず、今夜の宿をとり、一階にとあるまばらな客がいる食堂のテーブルに腰掛ける。
  「さて。と。ひとまず教会にいって、エルク神官長と会うべきなんだろうけど……」
  あまり教会とかには興味がないがゆえにつながりはほとんどない。
  そもそも、魔道士協会にいたっても、一応ある意味、いろいろと都合がいいから。
  という意味で各町などにいったときにはよるようにしているだけ。
  ましてや、この世界は自分たちの世界ではない。
  簡単にいって、すんなりと会ってくれるかどうかもわからない。
  こういうときに、あのラウリィがいればいいように使い勝手もいいのだが。
  「しんせき、といえばいいとおもうな〜」
  もぐもぐもぐ。
  子供用の椅子がない、というので仕方なくガウリイの膝の上に座りハンバーグをほうばる。
  ちなみに、リナの膝の上にはマナがちょこん、とすわりながら、リナがご飯を食べさせている。
  「まあ。確かに。嘘ではないとはおもうけど」
  血のつながり云々はともかく、とりあえず世界が違えどもその関係者、というのには違いない。
  ましてや、ガウリイの場合はラウリィによく似ていることからまず疑われることもない。
  あたしの言葉に、苦笑しながらも答えてくるリナ。
  「まあ、なるようにしかならないんじ’ゃないのか?」
  そんな多少考え込むようなそぶりのリナに、のほほんといっているガウリイ。
  確かに、考えていても仕方がない、といえばそれまで。
  いつものリナならぶっつけ本番で事を行うが。
  なぜかこちらの世界にきてからは、そのような傾向がすこしばかり収まっている。
  それもあたしたちになるべく負担がかからないようにするため。
  とおもって行動しているようだけど。
  こういうときの、親、というものの心情はとても何かほほえましい。
  かといえば、自分の子供に対して愛情がもてずに殺したりする親もいるのもまた事実。
  人、というのもはとても面白い。
  自然界などでは育たない、と判断すれば育児放棄、ということもしばしばおこるが。
  人は、それとは関係なく、放棄したり、また過剰に愛情を注いだりする。
  「たしかにそうね。とりあえずご飯たべたらいってみましょ」
  まだ、アレが近くに来ている気配らしき兆候はみられてない。
  そんな会話をリナとガウリイ、この二人の夫婦は交わしつつ、
  毎度のことながら食事合戦を繰り広げ、しばし食事光景が見受けられてゆく。


  「あら?」
  左右に広げられている露店市場。
  甘い果実の匂いが道中に充満し、食欲をそそられる。
  そんな道を歩いていると、手前のほうから何やら聞きなれた声が。
  ふと、その声がしたほうを見てみれば、そこには何やら大量に荷物を抱えている女性が一人。
  しなやかな長い黒い髪。
  一見したところ、おとしとやかな女性にみえるが性格的にはかなりよい。
  「もしかして…ラウリィ様…?ではないですわよね?」
  多少驚いたようにあたしたち、というかガウリイに抱かれているままのあたし。
  そしてまた、マナを抱っこしているリナをみてそんなことをいってくる。
  人ごみがけっこうな数なので迷子などにならないように、との二人の配慮。
  その声と、その姿。
  「え、えっと。もしかしてここサイラーグの巫女さん。ですか?あたしはリナ。こっちはガウリイ。
    ちょっとサイラーグの神官長さんにお話があって今から教会にいくところなんですけど」
  リナからすれば、初対面ではない。
  正確にいえば初対面ではあるが、世界が異なる場所においてはそうではない。
  相手に警戒を抱かせないようにと問いかけているリナ。
  確かに服装はどうみても教会関係者、と見て取れる。
  ここでガウリイのやつ、いらないことをいうんじゃないわよ……
  心の中でかなりはらはらしつつも、目の前にいる女性。
  すなわち、シルフィールにと話しかけているリナ。
  「まあ、父に?とりあえずご案内いたしますわ。
    それにそちらの男性のかた、ラウリィ様によく似ていらっしゃいますし。父も喜ぶとおもいますわ」
  いや、そうあっさりとにこやかに対応してもいいもの?
  一瞬リナは突っ込みそうになるが、それをぐっとこらえる。
  ……こんなんだから、あの偽者につけこまれたんだろうなぁ……
  内心そんなことをおもっていたりするリナだけど。
  ここサイラーグの人々は、どちらかというと人をうたがう、ということをしない。
  それゆえに、まああっさりとあんなこになった。
  というのもあるんだけど。
  「そうですか?ならお言葉にあまえさせていただきます」
  「?結局どういうことなんだ?リナ?」
  「あ、あのねぇ!とにかく!このシルフィール…さんについて神官長のところにいく!という話をしてるのよっ!わかった!?」
  いきなり初対面で、呼び捨て…というわけにもいかないだろう。
  それゆえに、あわてて【さん】をつけてガウリイに対して叫んでいるリナ。
  「?ね〜さま?マナ、よくわかんない??」
  きょとん、としながらもリナに抱っこされている状態で、ガウリイに抱っこされているあたしにと聞いてくるマナ。
  「このシルフィールお姉さんのところにいく。ってか〜さんたちははなしてるの。わかるかな〜?」
  「シフィールおね〜さんのところ?」
  「いや、マナ。だからシルフィール……」
  きょと、というマナに説明すると、あんの条、名前を間違っていってくるマナ。
  そんなマナにおもわずリナが突っ込みをいれてるけど。
  さて。
  とりあえず、これからがあの一件の本番…かな?
  楽しくなればいいな〜v


                     ――続く……


##########################################

あとがきもどき:

薫:ううむむ。初期のようにエル様一人称にもどしたほうがいいかな?
  客観的視点さんはなかなかに難しい……
  というわけで(何が?)今回はひさかたぶりにエル様の一人称v
  ある意味、エル様視点だといろんな場所をやっても違和感がない!
  というのが利点なんですよね(こらまて
  さてさて、何はともあれ、次回、サイラーグの教会ですv
  ではまた、次回にて〜〜vv
  (こそっと…今回はエル様、ガウリイに抱っこされているのでこられそうにないから、今のうちに……)

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33520○パラレル・トラベラーズ○ 〜サイラーグ神官長・エルク〜かお E-mail 2008/4/15 19:59:03
記事番号33514へのコメント

  

  まえがき&ぼやき:

  さてさて。ようやくエルクの父親の登場です!
  そういや、彼って原作でははっきりいってあまり出てきてないんですよねぇ。
  エル様降臨、すなわち冥王フィブリゾの最後の巻以外では……
  アニメのほうではきちん、とでてきてましたけどね。
  しかし、あっさりとコピーにだまされたあげくに、冥王フィブリゾに利用された彼ら…
  かなり気の毒すぎる、というより他にないんでしょうけど…
  もう少し、人を見る目があればあのようなことにはならなかっただろうなぁ。
  としみじみおもっていたりします。
  何はともあれ、今回、そのエルクの登場ですv

  #####################################


         ○パラレル・トラベラーズ○ 〜サイラーグ神官長・エルク〜


  「ほう。ラウリィ様のお兄様と同じお名前ですか」
  にこにこにこ。
  実際に生きている彼にとであったことかない。
  リナ達が彼に出会ったのは、すでに生ける屍の操り人形と化していた時。
  「まあ。それではラウリィ様とは親戚にあたるのですね。それでそのようによくにていらっしゃるのですわね」
  とりあえず、自己紹介するのに名前だけ、というわけにはいかず、フルネームで名乗ったリナ。
  さすがに、名前の『ガブリエフ』という言葉はここ、サイラーグではかなり有名。
  しかもそっくりとくればまず親戚か何か、とおもわれるのは間違いない。
  「え。ええ。そのようなものです」
  とりあえず敬語をつかいながらもデスマス口調で答えているリナ。
  何かシルフィールに対して猫かぶるのも不思議な気がするけど。
  だけどここは仕方ないし。
  そんなことをおもっているのがまた面白い。
  「ん〜と。んじゃぁ、これ!」
  「マナ〜。それやったらくずれ…ああっ!」
  ガラガラガラ……
  あたしとマナはといえば大人達は大人達で話がある。
  というので部屋の隅で積み木遊び。
  マナがなぜか途中、円の積み木を塔を作っている最中において、
  おもいっきり全体のバランスを崩して塔が崩れ落ちる。
  「あ〜あ。だからいったのに」
  「?なんでくずれたの?ね〜さま?」
  はうっ。
  説明してもきちんと理解がまだできないとみた。
  崩れた塔をみて、きょとん、と首をかしげているマナ。
  これはこれでたしかに無邪気でかわいいけど。
  そんなあたしたちの姿を横目でみつつ、
  「かわいいお子さんたちですね」
  ふっと笑みを漏らしているシルフィール。
  確かに、傍目からみていれば、ほほえましい光景としか写らない。
  「かなりやんちゃ盛りで目がはなせませんけどね」
  そんなシルフィールに苦笑しながらも答えているリナ。
  「それで?この私に用事、とのことですが、何でしょう?」
  いきなり本題にはいるわけにはいかず、はじめのころはとりとめのない会話をしているリナ達。
  今、この部屋にはガウリイとリナ。
  そして、シルフィールとその父親でもあるエルク。
  そして数名の教会につかえている神官や巫女たちの姿。
  椅子にこしかけ、テーブルに手をおいて、本題を切り出しているエルク。
  見た目、かなりおっとりとしている感じの人間。
  事実、この人間はかなりおっとりしているけど。
  「え。ええ。実は、……」
  いいかけて、ちらっと部屋にいたほかの人に視線を走らせる。
  それでどうやら人にはあまり聞かれたくない話であろう。
  そう判断し、
  「ああ。お前たち。少し人払いしてくれるか?」
  「はい」
  「わかりました」
  エルクの言葉をうけて、うやうやしくお辞儀をして部屋からでてゆく巫女や神官たち。
  部屋に関係者以外がいなくなったのをうけ、しばらく考えたふりをした後。
  「実は。口外無用にお願いしたいのですが。さる人物の名誉にもかかわりますので」
  言葉を選んで説明を始めるリナ。
  まあ、確かに嘘ではない。
  「?さる人物?それは話にもよりますが。わかりました。口外はいたしません。シルフィールもそれでいいね?」
  「はい」
  二人がうなづいたのをうけ、
  「実は。あたしたち、とある一件でさる人物とかかわったんですけど。
    そのときにその人物からお願いされたんです。まあ、依頼、というほどのものでもないんですけど。
    ですが、その人物がいうのにはサイラーグに関係してる、というもので……」
  もったいつけて説明するリナの言葉に、
  「?そのさる人物。とは。いったい?」
  首をかしげながらもシルフィールと顔を見合わせているエルク。
  確かに、これだけだと意味は判らないであろう。
  あたしならばわかるけど。
  「絶対に口外無用におねがいいたしますね?」
  ものすごく念を押していってくるリナの迫力に思わずこくり、とうなづくこの親子。
  その動作をみて、
  「エルク神官長たちもご存知とおもいますけど。……赤法師レゾはご存知ですよね?」
  まさか、そんな高名な名前がでてるくとは夢にもおもっていなく、
  「え。ええ。それはレゾ様。といえば有名ですし」
  現代の賢者であり聖者。
  そういわれている人物。
  一説によれば、かなりの長生きをしていて本当に実在するのか?
  という疑問視すらされている人物。
  もっとも、その彼に助けてもらった、という人々が存在する以上、確実に存在している。
  というのは明白なのだが。
  「実は。その赤法師レゾに関することなんです」
  少しいいにくそうに、それでいて二人の表情を確認しつつ、
  「……実は、その彼の人造人間(ホムンクルス)が何者かに盗まれたらしいんです」
  「「……は?」」
  いきなりといえばいきなりのリナの言葉に思わず間の抜けた声をだしているシルフィールとエルク。
  いきなりそんなことをいわれても、たしかに普通の人間ならばそのような声を出すしかないだろうが。
  「えっと。あの赤法師レゾが様々な魔術などに通じている、というのはご存知ですよね?」
  白・黒・精霊魔術。
  全てにおいて極めている、と一般にいわれている赤法師レゾ。
  一般の人でもそんな噂くらいは知っているがゆえ、サイラーグの神官長を勤めているエルクならばなおさらに。
  「え。ええ。それは定説、というか事実といわれていますし……」
  どう答えていいものか、とりあえずそう答えるエルクに対し、
  「ええ。それで、彼は自身の目を開く方法の確認をかねて、以前自身の人造人間(ホムンクルス)を創造り出したらしいんです。
    ……そのコピーがどうも、彼の弟子でよくない考えをもった人に盗まれてしまったらしく……
    もし、旅先でそのコピー、もしくはその弟子を見かけたら連絡をください。と頼まれたんです」
  嘘も方便。
  とはよくいったもの。
  「いくらコピーとはいえ、外見はやはり赤法師レゾそのものですから。
    悪用しよう、とおもえばいくらでも利用できるわけでして。それを彼は心配していたようなんです。
    何でも、その弟子、というのが以前、サイラーグの伝説に興味をもっていたらしくて。
    それで、念のためにサイラーグの神官長様がたにその旨を伝えておこう。とおもいまして……」
  歯切れも悪そうに、それでいてさも深刻そうに話すそんなリナの様子に。
  それが真実だ。
  そう彼らがおもうのはそう時間はかからない。
  「まあ。そんな……しかし。えっと。リナさん。でしたわよね。いつそんなご高名な方とお知り合いに?」
  その疑問はもっとも。
  そんなシルフィールの言葉に、しばらく考えたそぶりをし、
  「これもやはり口外無用に願いたいんですけど。裏づけは確認していただいてかまいませんけど。
    少しまえ、アトラス・シティでちょっとした騒ぎがあったんです。…そのときに」
  そう説明するリナの台詞に、
  「ああ。なるほど。それでしたら私のほうにも魔道士協会から内密に連絡が届いています」
  さすがに事件が事件であっただけに隠し通すことは不可能。
  だがしかし、それを他の者たちが面白おかしく流言することがないようにとの連絡。
  まさか、そこには魔族、とかそういった類は書かれていないが。
  それでも、屍肉呪法(ラウグヌトルシャヴナ)のような呪法を魔道士協会福評議長がかけられていた。
  というのは紛れもない事実。
  あのとき、魔道士協会の関係者は、ひとまず名のある神官や巫女など。
  そんな彼らにその術らしきものを解く方法はないか。
  と問い合わせていた、という事実もある。
  言葉を濁すリナに、いったいどんな騒ぎが…と深く問いかけようとするシルフィールであるが、
  何となくだが聞かないほうがいいような気がしてその問いかけをのみこむ。
  確かに、いきなり魔族だの何だの、といわれてもはっきりいって信憑性はまるでない。
  それでなくても先日の、いきなりのレッサーデーモンなどの大量発生。
  何かが世の中で起こっている。
  というのは巫女だからこそわかること。
  そのデーモンの大量発生と、無意味な暴走は一時して今は落ち着いたが。
  「とにかく。あたしたちがサイラーグにいく。といいましたら。その旨を伝えておいてほしい。
    とのことだったんで。念のためにお教えしにきた次第なんですが……」
  リナのやつ、ここまでよく口からでまかせいえるよなぁ。
  あるいみ、リナの説明に感心しているガウリイ。
  だが、ここでいらないことをいえば、リナに怒られる。
  というのが判るがゆえに、あえてそのまま黙ってもくもくと出されている食事から、
  ピーマンをいそいそとより分けていたりする。
  「なるほど。わかりました。して。その問題の弟子のお名前はおききしているのですか?」
  「え。ええ。たしか。エリスとか、正確にはたしか、エリシエル=ヴルムグン。といったとおもいます。
    まさか彼も女性であるその彼女がそのようなことをする。とはおもっていなかったらしいですし」
  少し考えるそぶりをして説明するリナの言葉に、しみじみうなづき。
  「判りました。とりあえずその人造人間…というのはさすがに伝達はできかねますが。
    そのエリシエル、という人のみなら各施設などに注意人物、として伝達できるでしょう」
  そういってくるエルクに対し、
  「あ。もし見つけた。という連絡が入りましたら。あたし達に連絡くださいますか?
    しばらく、あたしたちもここ、サイラーグに滞在していますので……」
  ここにきた目的は、あくまでもあのコピーによる悲劇を食い止めること。
  「わかりました」
  おそらく、見つけたら、赤法師レゾ様に連絡する手段を何かもっているんだろう。
  だが、その方法は部外者である自分が聞くことではない。
  そう判断しつつもうなづくエルク。
  「よろしくおねがいします。ほんと、ものすごく心配してましたので……
    何かその彼女って人を操る術に長けている、とかいってましたので……」
  嘘ではない。
  いっていた、というかリナ自身が経験していること。
  「さて。と。…ああ!ガウリイ!あんたまた、ピーマンよけて!
    いつもいってるでしょ!?エルやマナに悪影響及ぼすからきちんと食べないとだめって!」
  ほっと胸をなでおろしつつも、ふと横をみれば、
  ガウリイが野菜炒めからピーマンのみをより分けているのをみておもいっきり叫んでいるリナ。
  「え〜?でもこれ、苦いし……」
  「あんたがそうだから!まねしてエルたちまでが同じことをするのよ!
    栄養あるんだから、父親であるあんたが見本みせなくてどうするのよっ!」
  すばこぉぉんっ!
  リナの懐から取り出した、何ともこぎみよいスリッパの音が部屋中にと響き渡る。
  ……えっと。
  どうしてスリッパなんか懐にいれてるんでしょうか?
  そんなことをシルフィールはおもっていたりするようだけど。
  けっこう、ああいう品はかなり便利。
  おもいっきり重宝する。
  「うう……あ、ならリナが食べれば問題ないじゃないか!うん」
  「そういう問題じゃないぃ!!」
  しばし、そんな二人の夫婦漫才を目をぱちくりさせながらみつめ、
  次の瞬間。
  くすくすと笑い出すシルフィールに。
  笑いをこらえつつも、
  「仲がいいことはよいことです。あ、シルフィール。この人たちにサイラーグの町を案内してさしあげなさい」
  「はい。お父様」
  こんなに小さな子供が二人もいては、いくら小さな町とはいえ迷子とかになっても困るだろう。
  それゆえのエルクの配慮。

  とりあえず、嘘ではないが事実でもない。
  とにかくコピーが悪用されている…とある意味真実味を帯びたような話に作り変えエルクに注意を促したリナ。
  確かに、事前に何の連絡もないのと、あったのとでは対応はことなってくる。
  ともあれ、あたし達はシルフィールの案内で、しばしここサイラーグ・シティを見物することに。
  そろそろ彼女達も行動を実行に移すころあい。
  ゼルガディスもまた、自力で調査した後に、こちらのほうにむかってくるのは請け合い。
  少しはまたまたたのしめそう♪


                        ―――続く……


#########################################


あとがきもどき:

L:さてさて。みなさん。おひさしぶりv
  何か薫はどこかの雪山の中で行方不明になってるからおいといてv
  ともあれ、代理のLですv
  ようやくこのシリーズもコビーレゾ編に突入よv
  しかし、このシリーズ、あまりあたしが活躍してないのが問題よねぇ……
  リナたちに気づかれないように精神世界面でいろいろとしようとおもえばできるのに。
  気づかれたりしたらそれこそ記憶を調整すればいいわけでv
  って、当たり前なことをいいましたが。
  次回でようやくエリス登場にいける予定らしいわよv
  しかし…何で作者同様、巾着袋の中で遭難するのかしらねぇ?
  ふふふv
  何はともあれ、それではみなさん、また次回にてvv
  まったね〜〜♪

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33521○パラレル・トラベラーズ○ 〜辺境の村にて〜かお E-mail 2008/4/15 19:59:41
記事番号33514へのコメント



  まえがき&ぼやき:


  さってと。
  今回は前ぶりで、ゼルガディス達をばv
  この一件、彼らもかかわってきますしね(まて
  そういうわけで(どういうわけ?)でとりあえず、いっきます!
  ようやく戦闘シーンに突入のさわりともいえる移動(?)のシーンv


#####################################


  「……ちっ」
  ぱきっ。
  「ゼルガディス殿。やはり誰もいないようです」
  「こちらにもいません」
  判ってはいた。
  いたが…少しでも手がかりが得られるかもしれない。
  そうおもってきてみたが、案の定、そこにいたはずの例のモノはいなくなっており、
  また、関連したいくつかの品々も消えている。
  あまり使い道が広くないのでそのままほうっておかれたはずの、『ルビー』の姿も見当たらない。
  「レゾのことだ。おそらく、何か仕掛けをしているはず……」
  レゾは自分自身の研究に対してはかなり慎重を期していた。
  ゆえに、どこかに防犯装置、もしくは記憶装置みたいなものがかならずあるはず。
  それがどこにあるかはわからないが、それでも。
  それをみつければ、ここにあったはずの、レゾの遺言にあったアレがどこにいったか?
  という疑問が多少は改善されるはず。
  確かに、自分はすでに自由の身ではあろう。
  すでに忌まわしき合成獣の体からは解き放たれて元の肉体にと戻っている。
  それでも…レゾの…曽祖父の最後の言葉を信じたい。
  ましてや、これ以上、彼の名前を貶めたくはない。
  それゆえの行動。
  しばし、すでに無人となりはてた人気のないとある隠し研究施設において、
  施設内部を探索するゼルガディス・ゾルフ・ロディマスの姿が見受けられてゆく――

 
     ○パラレル・トラベラーズ○ 〜辺境の村にて〜


  「しかし。シルフィール。あなたまでこなくても……」
  とりあえず、『さん』づけをしばらくしたものの。
  リナのほうが年上、ということもあり、『呼び捨てにしてください』そういわれ、
  本来の呼び方というか慣れている呼び方にしているリナ。
  「いいえ。わたくしには見届ける義務がありますわ」
  はうっ。
  もしシルフィールが真実をしったらそれこそややこしくなりそうなんだけど……
  そもそも、以前、シルフィールをかばって大怪我したことがあるリナである。
  今回は相手の出方がある程度読めるのでそのようなことにはならない、とリナ自身もおもってはいるが、
  相手はある意味、わがままをいいまくる子供のようなもの。
  何をしてくるかはわからない。
  とりあえず、サイラーグに滞在すること数日。
  エルク神官長の連絡網に『赤法師レゾが村に尋ねてきた』という報告があったのがこの前のこと。
  その報告があった村にとりあえず向かっていこうとしたリナ達家族にと同行を申し出たシルフィール。
  断ったのに持ち前の彼女の行動力で無理やりについてきていたりする今の現状。
  赤法師レゾが現れた。
  というのはサイラーグ・シティよりは少し離れた場所。
  小さな集落があつまってできている村で、名前はさほど世間的には知られていない。
  だが、小さな村であるがゆえに、すぐさま伝説ともなっている聖者の出現の噂はひろまる。
  この辺りでは教会の運営に必要な特殊な薬草などが生えることもあり、
  近隣の大きな町などの教会関係者が駐在している、ということもある。
  ゆえに、その報告がサイラーグのほうに届くのもそうは時間はかからない。
  「でも。シルフィールはコピーとかみておどろくんじゃないの?」
  確か、彼女は実戦経験はないはずである。
  しかも、ここにくるまでの途中、やはりというか何というか。
  あんの条、彼女が放った攻撃魔法はかなりしょぼいもの。
  ここのシルフィールってドラスレつかえるんだろうか?
  ふとそんな疑問をリナは抱くがまさかそんなことをきくわけにはいかない。
  それゆえにそのことについては確認していない。
  「ここにくるまで、かきゅうもどきさんみてきぜつしてたし。シルフィールおね〜ちゃん」
  そんなリナに続いてとりあえず突っ込みをいれてみる。
  何しろ、このシルフィール。
  かってについてきたはいいものの、道中、ふらっと出会った野良デーモン。
  しかもたかがレッサーデーモンごときをみて気絶したりしているし。
  おそらく、見た目がかなりグロテスクと感じる場合は問答無用で攻撃を仕掛けるだろうけど。
  「そ。それは。あんなもの、サイラーグではみたことがありませんでしたし」
  まあ、たしかに。
  たかが下級風情。
  しかも、自力で具現化できないような下っ端にはあの地に出現することはまず不可能。
  何しろ神聖樹フラグーンの糧は瘴気。
  すなわち、魔族本来が持っている気でもある。
  神聖樹フラグーンにとっては魔族はあるいみごちそう。
  もっとも、その食事の制御ができない…という難点はあるにしろ。
  つまりは、下級の下っ端風情があのあたりに近づいただけでその気を吸い取られ、
  その結果、依り代を得て実体化しているしたっぱ魔族風情はその力を失い精神世界面へと戻ることになる。
  中にはそのまま全て吸い取られて消滅するような情けないやからもいるようではあるが……
  「だから。シルフィールはサイラーグでまっていたほうがよかったのに」
  そんなので、魔族二匹と合成されているコピーと対面したらまたまた気絶しかねない。
  それだと完全に足手まとい以外の何者でもない。
  だからといって、そのコピーに魔族が合成されている、などと話しても信じてもらえないのは明白。
  「お。リナ。あれじゃないのか?」
  彼女……否、エリスの性格からして長く同じ場所にとどまっている。
  とは思えない。
  ましてや、ゼルガディスがいっていたが、たしかあのコピーはまだ不完全だとか何とか。
  ゆえに、多少の定期的な魔術干渉か何かが必要らしい。
  もっとも、魔族を合成された時点でその問題は解消されているのだが、
  その事実をゼルガディス達は知らない。
  リナがとりあえずむかっているのは、その報告があった、という村より少し山間に位置している場所。
  定期的な魔術的干渉をほどこすのに、山の中、というほど人目がつかない場所はない。
  運がよければ盗賊いじめ…もとい、退治もできて資金も得られるし、一石二鳥。
  そんなことをリナはおもっていたりする。
  そんなリナにとガウリイがふと街道の先に小さな村らしきものの姿をみとめ声を上げる。
  「まあ、ここまできたのは仕方ないとしても。
    それじゃあ、シルフィールにはこの子たちのことお願いしてもいいかしら?」
  まさか小さな子供をつれてそんな危険分子とおもわれる存在の近くにいこうとは到底リナはおもわない。
  それでなくても、この間の魔王達などの戦いでこの子たちはかなり巻き込まれて大変な目にあったのに。
  そんなことをおもいながらも、シルフィールに話しかけているリナ。
  「え?でも……」
  「リナか〜さん?わたし、マナとおるすばんできるよ?」
  というか人がいないほうが何かと楽。
  「だめ!万が一、ということもあるからね。また相手に誘拐されてもこまるしね」
  「また。って……」
  必死にあたしにいってくるリナの台詞に、唖然としながらもつぶやいているシルフィール。
  まあ、たしかに、あたしはわざと幾度か相手に捕まったのは事実だけど……
  「とにかく!エルとマナはシルフィールとお留守番。いいわね?」
  小さな村なので教会があればそちらに。
  なければ宿。
  もしくは宿代わりの場所で安全な場所。
  そこにシルフィールと二人を預けて、ひとまず情報収集してみないと。
  レゾのコピーに関しては、たしかに瘴気を持っているので魔族とあまり雰囲気というか気はかわらない。
  だが、下手な下級魔族を合成しているわけではないので、その気配を隠すことなどは朝飯前。
  そのことは、リナもよく以前一度戦っているのでわかっている。
  こっそりと、数日サイラーグに滞在している間に、祝福の剣(ブレスブレード)を実はこっそりとってきていたりする。
  祝福の剣(ブレスブレード)は神聖樹フラグーンの分身。
  ゆえに、剣のみでも瘴気を吸収し、瓦解させる効果がある。
  「とにかく。シルフィールはこの子たちをお願い。
  相手がどうでてくるかわからない以上、下手をしたらこの子たちを人質に…ということもありえるし」
  エリスならばそれくらいしかねない。
  わざと、初心者の賞金稼ぎのフリをして近づいてきたような彼女ならば策士に長けているはず。
  それゆえに、シルフィールに頼んでいるリナ。
  あたしとしては、マナと二人のほうが気楽なんだけど……
  そんなあたしの思いは何のその。
  「…わかりました」
  そこまでいわれて断るわけにはいかない。
  たしかに、あのレゾのコピーを盗むような人物。
  何をしでかしてくるかわからない、というリナさんの危惧もわからなくもないですし。
  それにわたくしとしましても、こんな小さな子供たちに危険が及ぶのは避けたいですし。
  リナの説明に、少し考えたのちに、こくり、とうなづくシルフィール。
  そんな会話をしていると、やがてみえてくる村の出入り口。
  村はとても小さいらしく、村の周囲は気休め程度の木の柵で覆われている程度。
  それても、その木柵の中にはいくつかの家々が存在しており、
  小さいながらも教会らしき建物も垣間見える。
  小さい、といってもこの村ではいちばん大きな建物だが。
  「とにかく。いってみましょ」
  一度、戦ったことがあるので精神世界探査(アストラル・タンサ)は可能。
  ゆえに、定期的にそれを試してサイラーグに向かっていないか確認しているリナ。
  シルフィールはそんなリナをみて、おそらくレゾから相手の品か何かを預かっているんでしょうね。
  そう解釈していたりする。
  滅多に旅人などが尋ねてくるはずもない、というのに、今はこの村はかなりにぎわっている。
  どうやら近隣の村などからも人々があ詰まってきているらしく親子連れ、と見えるリナ達もあまりめだたない。
  とりあえず、
  「あ。あの。すいません。噂をきいてきたのですけど……その、本当なんでしょうか?」
  何の噂か、というのは一切いわない。
  しかも、何が本当なのか。
  というのも。
  それは相手の出方をみるための、いわばリナの取引。
  「あら。あなたたちも聖者様のことをきいていらしたんですか?
    ええ。本当らしいですわよ。何でもお弟子さんと一緒に近くに見えられているらしくて。
    いつも昼時になればこの村に立ち寄ってくださっているらしいんですよ。
    私も家族のことで聖者様にぜひともお話をきいてほしくて……」
  そんなリナの質問に、にこやかに答えてくるその女性。
  リナは聖者、と一言もいっていない。
  ましてやこの世界で聖者、と今呼ばれているのは赤法師レゾくらいのもの。
  間違いないわね。
  内心そう確信しつつ、
  「そうですか。ありがとうございます。あの、宿とかありますかね?」
  「そちらの人は巫女さんのようですし。教会にとめていただいてはどうでしょう?
    あなたの格好も魔道士さんのようですし。
    何でも教会では今、聖者様を接待するのに人を募集されてるようですしね」
  その女性の話からすると、昼時になりこの村にやってくる赤法師レゾとその弟子。
  その噂をききつけて近隣の村などから人があつまってきている。
  とうぜん、やっかみや倒して名を上げよう、とするようなごろつきも。
  それらを対処するために、一応臨時で人を雇っているらしい。
  それはかなりの好都合。
  その一員になれば嫌でもその弟子と赤法師レゾとに出会うことになる。
  問題は……この村でいきなり戦闘、ということになれば村に来ている人々をも巻き込み、
  かつてのサイラーグと同じ結果をたどりかねない。
  という不安要素があるのみ。
  まあ、まだ自分たちの噂をとにかく広げて仲間を募り、
  それから行動に移そう…としているエルシエルにとっては、こんな場所で仕掛けてくるはずもないけど。
  まあ、目撃者全てを消せばその必要性もない。
  というのもあるけど。
  今の彼女は仇を討つためならば、他人はどうなってもかまわない。
  その思いのみにとらわれていたりするし。
  人、というのもは本当にいろんな意味で視ていてあきない。
  自分自身が人になってみてからなおさらにそれを肌で感じる。
  「それで?リナ?どうするんだ?」
  女性に話を聞き終わったリナにきょとん、としながらも問いかけているガウリイ。
  まあ、聞かなくてもわかるとおもうけど。
  「とりあえず。教会にいってみましょ。うまくしたら寝床も確保できるし」
  人々がいまだに通ってきている、ということはまだ人々を操っていたり…とはしていない。
  以前、あのときシルフィールやゼルガディスから聞いたサイラーグの様子と、この村の様子。
  それはあきらかに格段に違う。
  まだ、彼らは猫をかぷりながら行動をしている。
  そう確信しつつもウィンクひとつ。
  「まあ。たしかに。リナさんのいわれるとおり。教会にいくのが無難ですわね」
  ウィンクしてくるリナの言葉に同意を示すシルフィール。
  サイラーグの巫女頭として、教会に出向かなければいけない彼女にとっても一石二鳥。
  「?けっきょく、マナたちどこいくの?」
  「んとね。このむらのきょ〜かいだって」
  よくわかっていないマナにと説明する。
  そんな会話をかわしつつも、とりあえずあたし達一行は村の中にと入ってゆく。
  小さな村だ、というのにかなりの人だかり。
  人目でも噂をきいて、現代の聖者を見よう、という人間や。
  はたまた、医者などに見離されたり、高額な薬が買えないがゆえに病気が治らない。
  そんな人々がこの小さな村にあつまりひしめきあっている。
  すこし、山のほうに気配をむければ、そちらのほうには多少のオーガやトロル。
  狼人間、ついでに中級よりも下っ端魔族。
  そんな気配が見て取れる。
  しかも、それらは冥王フィブリゾの配下だし……
  もう、当の赤法師レゾがいないんだから呼び戻してもいいでしょうにねぇ。
  近くにアレの気配もしてるけど……ま、別にいっか。
  わざわざリナに説明して不思議がられるよりは何もいわないほうが賢明。
  そのまま、あたし達は赤法師レゾが昼間にやってくる、と噂されている村にある教会にとむかってゆく。
  ……たぶん、まちがいなくあたしやマナは、シルフィールと留守番になるんだろうなぁ。
  ………暇……


              ――続く……



######################################### 

あとがきもどき:

薫:本来ならば、今回でエリスの登場…といきたかったんですけどね。
  どうも(いらない?)エル様の心情とかいろいろいれてたら容量が長くなりそうなので。
  次回に繰越v
  まあ、エリスと接触したら、とんとん拍子に話はすすみますしねぇ(笑
  エリスさん……助かるパターンとそうでないバターン。
  二つ考えてるけどどっちにしよう(汗
  何はともあれ、それではまた、次回にてvv

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33522○パラレル・トラベラーズ○〜エリシエル=ヴルムグン〜かお E-mail 2008/4/15 20:00:25
記事番号33514へのコメント

  

  まえがき&ぼやき:

  ようやくエリスさんの回。
  といっても、エル様…もとい、エイルの視点で今回もいくのですv
  このあたりは、本編のサイラーグの妖魔とはかぁぁぁなり異なっていますのでご了解を。
  さて、一番気の毒なのは…だ〜れだ(笑

#####################################

  「……ちっ」
  厄介。
  といえは厄介。
  なぜレゾがあれに魔族を二匹も合成したのか、それは今の自分にはわからない。
  腹いせなのか、それとも何か考えがあったのか。
  とにかくそのことによって確実にアレは意識というか自我らしきものを得たらしい。
  というのは残された記録にて把握できた。
  問題は、その後の記録。
  アレを動かすのには大量の生体エネルギーが必要。
  そのようにあの体を創造りなおしたらしい。
  自分の目は開かないのにあっさりと開いたソレへのあてつけなのか。
  はたまた、内部にいたあの赤き悪魔の仕業なのか。
  それは彼…ゼルガディスにもわからない。
  今、言えることは。
  アレを持ち出したとおもわれるエリシエルを早くみつけなければ被害は格段に増える。
  ということ――


       ○パラレル・トラベラーズ○〜エリシエル=ヴルムグン〜


  ざわっ。
  いつ目的の者が来るのか。
  それは周囲の状況から判断したら一目瞭然。
  人々がざわめきだしたので、彼らがきた、というのを理解し、
  「とりあえず。シルフィール。二人をよろしくね」
  少し離れた場所からあのエリスであるかどうかを確認すべく教会の裏口からでてゆくリナ。
  ガウリイは男手が必要。
  というのもあり力仕事に借り出されている。
  エリスがどこまで自分たちのことを知っているか不明だけど、
  あの手配書はいったい何を目安に作ったのか、ということすらリナは知らない。
  唯一、確実にいえるのは、おもいっきり悪逆非道のように書かれていた。
  というその事実のみ。
  ざわざわと、村の出入り口付近に人だかりが出来ている。
  村の中からもそちらにむけてかけてゆく人々の姿が多数見受けられる。
  おそらく、普通に見るのでは確認は不可能。
  ならば、風の結界をアレンジして他人に姿がなるべく見えないような形の術を唱え、
  ふわり、と上空にと浮かび上がる。
  上空からならばまずさえぎるものがない限り人物の確認くらいは可能。
  かといってあまり近づきすぎても相手に警戒されるのは明白。
  もし、あたしが知っているあのコピーならば自我があるはずだし……
  そんなことをおもいながらも、注意深く人が集まっている中心付近にと移動してゆくリナ。
  ざわめくひとだかり。
  その中心付近に場違いな黒いフードに黒い服らしきものを着ている一人の女性。
  その女性を取り囲むようにして村人たちがひしめきあっている。
  顔は見えないけど、おそらく間違いないであろう。
  かつてシルフィールから聞いた弟子の容姿にすっぽりと当てはまる。
  みたところ、問題のコピーのほうは一緒にはきていないらしい。
  何よりも、もしあの性格のままだとすればこの村の人たちに被害が出かねない。
  一番いいのは、彼女が帰るときにこっそりと後をつけていき本拠をつきとめ、そこに出向くか。
  はたまた、どこか人気のない場所に呼び出すか…だけど。
  呼び出しに素直に応じる、とは思えないし。
  一番いいのは、アレから魔族を分離させる方法がわかれば手っ取りはやいんだけど……
  様々な可能性を思い巡らせながらも上空でそんなことを考えているリナ。
  エリシエルのほうはといえば、自分が探している人物の一人であるリナがまさか上空で。
  しかも、自分を見ている、などとは夢にもおもっていない。
  しばらく様子をみつつも、そっとその場から離れるリナ。
  一番いいのは術をつかい、目印をつけることであるが、レゾの弟子だった。
  というのを考慮してそれは実行に移してはいない。
  人々がレゾの弟子だ、という触れ込みのエリシエルの元にいっているがゆえに、
  ここ、教会内部にははっきりいって人はまばら。
  シルフィールはここの教会の責任者と何やら話しがあるとかで話をしている。
  その間、あたしとマナはといえば教会の礼拝堂の中にて二人で遊んでいたりする。
  小さな子供からすれば、これくらいの教会の礼拝堂でもかなりの広さ。
  しかも椅子などがかなりあるのでかくれんぼなどには最適。
  この教会から出ないように。
  と念を押されているのでとりあえずそのあたりの約束はまもっているあたし達。
  しばし、妹と二人して遊んでいると、人がこの時間帯、くるはずもないのに誰かが教会の礼拝堂に入ってくる。
  ふと礼拝堂の出入り口のほうをみてみると、何やら見慣れた神官姿がひとつ。
  「?なんでおじ〜ちゃんがここにいるの?」
  その姿をみて礼拝堂の教壇にて遊んでいたマナが同じく遊んでいたあたしにと聞いてくる。
  そ〜いや、あいつ、サイラーグにいく途中にいたっけ……
  「おおかた、例のいっけんのちょぅさだとはおもうけどね」
  というか事実そうだとしか思えないけど。
  さすがにSが復活した直後に滅ぼされた。
  というのはいくらどんなに鈍い存在でも気づくはず。
  だけども、まだこちらのことを気づかれては面白くない。
  だからこそ。
  「おじちゃ〜ん。何かおきゃくさんがみえたよ〜?」
  奥の部屋にといるシルフィールと話しているこの教会の責任者にと扉のほうにいきつつ叫ぶ。
  そんなあたしの声に気がついたのか、
  「うん?おや。これはこれは……」
  ふと教会の出入り口付近にいるソレをみてそんなことをいっているこの教会の責任者というか神父。
  まあ、確かに。
  見た目はどうみてもどこにでもあるありふれたような神官服なので同業、と認識するのはわかるけど。
  人というものはどうして同業などとか思い込んだだけであまり警戒心を抱かないものなのか。
  逆に警戒しまくる人間もいたりするのでよくまあ、『十人十色』とはとある場所の格言で考えたもの。
  とりあえずあたし達はあたし達でそのまま入れ違いになるように奥の部屋にとひっこんでおく。
  何やら二人が話している声がきこえてくるけど気にしない。
  「あ。シルフィールお姉さん。もうお話おわったの?」
  肝心なことはつっこんで彼女も聞いていないのは判ってはいるけどきいてみる。
  もっとも、子供に素直にいうともおもえないけど。
  「え。ええ。ですが話しをきいてもよくわからなかったですけどね」
  そんなこちらの質問に苦笑まじりに一応答えてくるこのシルフィール。
  このあたりは、律儀、といえば律儀。
  「?なにがわからなかったの?」
  そんな彼女の言葉をきき、きょとん、と首をかしげているマナ。
  「いえ。別にたいしたことではありませんわ。ただちょっと、ここにきている人というのをきいていただけで。
    マイナちゃんたちが気にすることではありませんわ」
  いって、くしゃりとマナの頭をなでるシルフィール。
  「?ここにきてる?」
  「えっと