◆−名も無き破壊魔術師−京極師棄 (2005/3/7 21:12:29) No.31232
 ┣お久しぶりです あるいは 初めましてかしら?−十叶夕海  (2005/3/8 18:50:39) No.31233
 ┃┗お久しぶりです。ソンでもってこの名前では初めまして−京極師棄 (2005/3/8 20:14:46) No.31234
 ┃ ┗そうですねぇ(しみじみ)−十叶夕海  (2005/3/8 23:17:46) No.31236
 ┣サイラーグの姫巫女−京極師棄 (2005/3/9 18:01:16) No.31238
 ┗セイルーンの王女−京極師棄 (2005/3/19 18:36:40) No.31281


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31232名も無き破壊魔術師京極師棄 E-mail 2005/3/7 21:12:29


名も無き破壊魔導士

京:さてさて、初めましての方が殆どなので始めましてと言います。
チャットでお会いした方も数人居られると思いますが、初めましてどうも京極師棄です。
已然・・・おっと違った。以前は別の名前で投稿してましたが再び投稿させて頂きます。
とはいえ更新遅いので忘れられることが多いと思います。
・・・・・・まずその前に読んでくださる方が居られるかどうか・・・・・・
ま、まあ取り敢えず。これはスレイヤーズが終わった後のリナの子供が旅立つと言う設定で書いてます。
暇つぶしに少しでもお楽しみいただけたら光栄です。
それではどうぞ・・・・・・
########################################

さて、これからどうしようかというのを考えつつ俺はひたすら逃げまくっていた。
いや、別に賞金首になったとか役人に追っかけられてるとかではない。まあそんなことになったらなったで確実に母さんに殺されるし叔母さんにしれよう物なら何処に隠れてようとも見つかってお仕置きが待ってるだろう。
しかし、ヒッジョーーにマズイ状況下にあることはこの上ない。なぜなら・・・・・・
「どこにいきやがった!出てきやがれ!」
「野郎、絶対逃がさねえ」
「あっちだ!さっきあっちにいってたぞ!」
藪に飛び込んで隠れつつ覗いた先にいるのは見ただけで分かるであろう悪役顔の連中。
言わずも知れた盗賊さん達である。
なぜこのような事態に陥ったか。・・・・・・まあ話せば速い。この頃街に行く途中の道路で盗賊さん達が横行するせいでだいぶ迷惑を被っていると言うことであった。んでもって旅の途中の僕がこの盗賊さん達を倒してくれと頼まれ、今このような状況に陥っているのである。
「しかし、問答無用で竜破斬はやばかったかも、あの一発で山の形が変わったし・・・あればかりはやりすぎだな。うんうん」
そんなことを反省しながら俺は少し場所を動き、

じゃら・・・

「あっ!金貨が!」
「いたぞ!あそこだ!追え追え!!」
「くっ、っとひるんだふりして火炎球!」
集団で追いかけようとしてきた鼻先に火炎球をぶち込む。しかもこれはアレンジ版、爆発した火の玉はもうもうとした土煙を上げつつ姿を隠す。その間に俺は街道めがけて一直線に走り出す。後ろで何かわめいているが気にした事じゃないし気にする玉じゃない。
「ま、待て、この野郎」
何かを言って目の前から出てきた奴の頭を飛んで土台代わりにして踏みつぶし、再び飛び上がり俺は木々の中に消えていった。


俺の名前はテラ、テラ=インバース。まあ言わずも知れたあのインバース家のまあ長男だ。
インバース家、今ではすでにもう何というか・・・・・・関わった奴みんな災難に巻き込まれる家。として有名だ。嫌な有名だが。
特に俺の母さんである伝説のリナ=インバース。・・・・・・母さんに話して貰っただけで言えば、赤法師のレゾであった赤眼の魔王の欠片の一つであるレゾ=シャブラグニグドゥを滅ぼし、その赤法師そっくりのぐれたニセ賢者がサイラーグを破壊したのでそいつを倒し、冥王フィブリゾをサイラーグで滅ぼし、覇王将軍シェーラを滅ぼし、ついには覇王グラウシェラーを半殺しにしたと言う。他にも中級魔族や下級魔族などを挙げていけば限りない。そして、お友達の一人に聞けばもう一つ赤眼の魔王の欠片を滅ぼしたと言うらしいが、それは聞いたことがない。
ともかく、普通ならあり得ないことだが、この人に限って言えばあり得るのだ。そして、その息子であるのが俺だ。現在15歳、世界を見てこいとの一言と共にほっぽり出されて早一年ちょっと。その間に様々な一人も会ってきたし様々な場所に行ってきた。趣味はやはり血は争えないと言うらしい。言わずと知れた盗賊いじめ。今回に限って言えばこれだけしつこくつきまとわれるとは思ってなかったので苦戦しているが普段は火炎球、或いは竜破斬の一撃で始末がつく。
「そんでもって、今回は何でこんなにしつこいんだろう」
前回撒いてからたった半日。再び俺の前に盗賊さん達の集団が現れた。
「うまいこと撒いてくれたな」
珍しくオリジナリティのある台詞を言うリーダーらしき人物。
「だが、逃避行もここまでだ。俺たちから奪ったお宝返しな。そうすりゃ今までのことは目を瞑ってやるぜ」
おんや?ずいぶん聞き分けが良い。
俺が首をかしげると男はへっへっへと笑い、
「実際あんたは強いさ、お宝を奪う手際といい、魔法で辺りを滅茶苦茶にして攪乱するやり方にしたり、俺たちから逃げ回るやり方にしかり。本音を言えば正面から戦うのはこっちの被害が大きくなるだけだ。それならお宝を返して貰い見逃す方がまだましだって訳だ」
ほんの少しばかり頭が良いようだ。実際この手段は母さん直伝の手段である。父さんには止められてきたが・・・・・・
「どうだい?悪い話じゃねえだろ、いくら腕が立つって言ったって実際あんたもこの人数相手に一人でやったら怪我は目に見えてるだろうし、お宝を素直に置いてけばその被害を受けずにすむんだ」
盗賊が俺に話しかけてくる。確かにこいつの言うことは正論だ。普通の魔導士相手にしてみればこの人数相手では分が悪い。
ただし、この場合は普通の魔導士の場合だった等の話だが
「うん?どうだ?そうしないか?」
「り、リーダー。あいつ小声で何か言ってますが・・・・・・」
「うん?」
「・・・・・・我らが前に立ち塞がりし
 全ての愚かなる者に、我と汝とが力もて
 久しく滅びを与えん事を!」
「な、なんだと!」
ようやく俺が唱えている者に気づいたのか一歩退く盗賊さん達。だが、時すでに遅し、
「竜破斬!」
俺の放った一発は近くの村にまで聞こえるほどの大音量と共に大破壊を促したのだった。


「あ〜、さっぱりした」
竜破斬によってプチ倒した盗賊さん達から見事に金品を巻き上げ、簀巻きにして近くにあった川に放り込み、盗賊さん達のお金で俺は現在小さな村の宿屋に一室を借りている。料理は普通。部屋もまずまずだ。料金が少し安いのが救いと言えば救いだ。
「まあ、山の形変えちゃったのは少しやり過ぎかも知れないけど、まあ許容範囲でしょう。母さんは良くやったって言ってたし・・・・」
そんなことを言いながら俺は確かめた金貨を袋に詰めた。
残るは宝石関係だが、これの精製は実は得意ではない。のでこれは母さんに超特急便で送ることにする。
デザインセンスがないと言われる僕が作るよりか、母さんに作ってもらった方がまだましだ。そして、これがご機嫌を取る方法の一つにもなっている状況だ。・・・・・・我ながら情けない。
ひとまず残った品を眺めてみる。
一つは剣、刀身が少し反っている地域の特徴が見られる剣だ。どうやら何かの魔力が込められているようだ。まあもちろん辻斬りさせる魔法とか言うたちの悪いものではない。正体は不明だが切れ味が良くなっているのだろう。
今俺が使っているのはどこぞのお店で買ったショートソードだが遙かに使いやすそうだし切れやすそうだ。ショートソードは明日マジックショップで売り払おう。
二つ目はレリーフ。用途は不明だがひとまず魔法がかけられている。この物を持ったらかかる呪いのような物でないことを確かめたのでひとまず安心だがどんな効果があるかはこれまた不明。
三つ目がこれがまた厄介だ。と言うか俺は何で厄介な代物ばかり持ってきてしまうんだろう。ああ、明日の朝飯が待ち遠しい。
・・・・・・ひとまず現実逃避から帰ってきて目の前の物体に目を向ける。目の前の物体は水晶らしき物体だ。ただ、中に何かの紋章なのか?まあよく分からないがそれが浮いている。魔力増幅器かと疑ったがどうやらそうでもないらしい。
というかこんな紋章は見たことも聞いたこともない。ひとまずサイラーグかセイルーンの魔導士協会にでも行って確認するべきだと思う。どんな物か分からないものは持っているのが怖い。特に魔法反応が大きい物体はさらに怖い。何が起こるか分からない以上余り持っているのは得策とは思えない。
周りを囲っている水晶らしき物体も水晶とはとても思えない。傷一つ無く、試しに思いっきり剣の柄で殴ってみたがかすり傷一つつかない。炸裂陣をぶち込んでも効果はなさそうだ。おそらくかの御方の呪文の類を使えば壊せると思うが壊す気は今のところ無い。
「ひとまずオリハルコンに閉じこめとけばいいな」
そんなことを呟きながら俺は一つの袋を取り出す。
これは現在各都市に店舗を広げているインバース商店の商品の一つ!オリハルコンを糸状にして紡いで作られた小袋。さらに呪い、対魔法や対毒などにも効果を持つと言う優れもの!お値段はなんとたったの金貨100枚!冒険者には絶対欲しい必需品!これさえあれば毒の霧が出ている洞窟でも、恐ろしいまでの呪いのアイテムでも何でも来いと言う所!是非是非お買いあげを・・・・・・
「って・・・・・・誰に宣伝してるんだろ」
つい自分自身にツッコミを入れつつ俺は明かりを消してベットの中に入ったのだった。


「お前がテラ=インバースか?」
そんな台詞が飛んできたのは翌日の宿屋を決めて食事をしていたときだった。俺は声をかけられたと思われる方を向いた。どこかの傭兵らしき人物が立っている。片眼に眼帯をつけて少し疲れた顔をしている。チームなのか後ろに数人の男女がいる。
「違います」
俺はそう言うと共に食事を再開する。このパターンは余り良かったためしがないからだ。
「そうか・・・・・・」
そう言うと共に男は宿屋を出て行った。
俺は食事を続け・・・・・・ようやく食べ終えた頃に男が再び戻ってきた。そして言う。
「お前がテラ=インバースだな」
「だから違うって」
「嘘をつくな。宿帳を調べたから嘘だとばっちり分かっている」
「・・・・・・」
「もう一度聞く、お前がテラ=インバースだな」
「・・・・・・そうだけど、何か用?」
「預かり物だ。渡しておく」
そう言うと共に男は一つの袋を俺に手渡した。この袋は・・・・・・
「もしかして・・・母さんから?」
「リナ=インバースからの依頼。ちゃんと果たしたぞ」
そう言うと共に男は振り返って無言で出て行った。どこか影を背負った感じを受けた。
ひとまず俺は袋を以て部屋に入った。中身は四つのタリスマンだった。
「?なんだこれ」
そう言いつつ魔力鑑定をするが増幅器としか分からない。ただ袋の中に入っていた一枚の紙に『絶対に付けていること』と書かれていたので早速付けてみる。入れられている石は普通の宝石だ。
「でも、一体何でこんな時に・・・・・・」
そう言いながら俺はひとまず寝る体制に入る。流石に盗賊の追撃は無くなったがデーモンが出てきたりしてこの頃は各地が不穏な雰囲気になっている。
ぴりぴりする気配はやはり普通にしていても神経をすり減らしているのだ。
「あ〜、でもなんか嫌な雰囲気だな・・・・・・何かまた大きな事が起こりそうな感じ・・・・・・」
そう言いつつ俺はベットに横になったのだった。


次の日の街道。
俺は襲われた。
いや、まあそうとしか言いようがない。
ただし相手は生半可な盗賊さん達とは違う。
「ぐおおおおおお!」
れきっとしたレッサーデーモンさんであった。
「・・・はあ」
ため息をつきながら大きな岩に隠れて炎の矢をやり過ごす。
この頃異常発生し始めたレッサーデーモン。まあ並の魔導士や剣士なら倒すのに一苦労するだろう。
何度も言うように並の魔導士なら場の話だ。
「崩霊裂」
ちょっともったいないかな〜と思いつつ容赦なく呪文をたたき込む。
母さんが覚えて無くて後悔したとのことで覚えさせられたこの呪文。実はこれより上位の呪文を目下研究中だ。まあ半分以上めどはたっているのだが・・・・・・
再び別方向から炎の矢を撃ってくるレッサーデーモンさんに向かって崩霊裂をうとうと唱え初め・・・・・・
異様な気配を覚えて呪文を変更する。
そして・・・・・・
ギュヲオオオオオ!
現れた数十体のレッサーデーモン&ブラスデーモンが俺の前に現れた。
崩霊裂をそのまま唱え続けていたなら驚いていたが俺はすでに別の呪文を唱え終えている。
もちろん唱えていた呪文は・・・・・・
「竜破斬!」
赤い光がレッサーデーモンとブラスデーモンを見事に吹き飛ばす。
後に残ったのは少し形が変わった山だけ。
・・・・・・また不名誉な名前が一つ増えるかも・・・・・・

続く

########################################
後書き

京:どうでしたか?
少し短めですがまあゆっくり更新していきたいかな〜と思ってる今日この頃です。
・・・・・・というか前書きで書いたように読んでくださる奇特な方が居られるかどうか・・・・・・
と、ともかく少しの間作品を続かせて頂くかもしれません。
それでは、ひとまずこれにて・・・・・・

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31233お久しぶりです あるいは 初めましてかしら?十叶夕海  2005/3/8 18:50:39
記事番号31232へのコメント


どうも、京極師葉さん。
以前の名前のときに、懇意にして頂いていた 
ユア・ファンティン こと 煌天 由亜 こと 十叶 夕海(とがの ゆあ)です。
三回も名前を変えたせいで分かり難いでしょうが(苦笑)
いろいろあって、あの連載は止めてしまいました。
なくした親友(とも)の面影が・・・・・なんて感じでね。

それは、さておき、この話、きっちり笑かしていただきました。
テラ君は、苦労人?なと言うか、性格のいい(誉め言葉の方で)というか、邪気のないと言うか、そんな感じのお母さんに似ています。
・・・・インバ―ス家、伝説なんですか。
普通のご両親から、何故・・・・と言う感じです。


短いですが、これで失礼させていただきます。
『生か死か』って、作品、覗いてみてください。
一応、なんか、『現代スレイヤ−ズ』の影響を受けた感じのオリジナルです。



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31234お久しぶりです。ソンでもってこの名前では初めまして京極師棄 E-mail 2005/3/8 20:14:46
記事番号31233へのコメント


>ユア・ファンティン こと 煌天 由亜 こと 十叶 夕海(とがの ゆあ)です。

どもどもユアさんでしたか・・・・・・なかなかお名前が変わったようで・・・・・・

>なくした親友(とも)の面影が・・・・・なんて感じでね。

そうですか・・・

>それは、さておき、この話、きっちり笑かしていただきました。
>テラ君は、苦労人?なと言うか、性格のいい(誉め言葉の方で)というか、邪気のないと言うか、そんな感じのお母さんに似ています。

う〜ん、まあ何というか・・・何というかです。まあ本性でてないんで・・・・・・

>・・・・インバ―ス家、伝説なんですか。
>普通のご両親から、何故・・・・と言う感じです。

よくあることですよ(断言)

>短いですが、これで失礼させていただきます。
>『生か死か』って、作品、覗いてみてください。
>一応、なんか、『現代スレイヤ−ズ』の影響を受けた感じのオリジナルです。

時間が許せば一度は読ませていただきます。
そちらもがんばってください。
ではではです

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31236そうですねぇ(しみじみ)十叶夕海  2005/3/8 23:17:46
記事番号31234へのコメント


>
>>ユア・ファンティン こと 煌天 由亜 こと 十叶 夕海(とがの ゆあ)です。
>
>どもどもユアさんでしたか・・・・・・なかなかお名前が変わったようで・・・・・・

ちょっと、気分転換として。

>
>>なくした親友(とも)の面影が・・・・・なんて感じでね。
>
>そうですか・・・

ケイトくん頂いていたのに、すみません。

>
>>それは、さておき、この話、きっちり笑かしていただきました。
>>テラ君は、苦労人?なと言うか、性格のいい(誉め言葉の方で)というか、邪気のないと言うか、そんな感じのお母さんに似ています。
>
>う〜ん、まあ何というか・・・何というかです。まあ本性でてないんで・・・・・・

まあ、表だけでも、こういうの好きですけど、それが別に本性盛っていたら、さらに好きなんですよ。

>
>>・・・・インバ―ス家、伝説なんですか。
>>普通のご両親から、何故・・・・と言う感じです。
>
>よくあることですよ(断言)
>
・・・・そうですね。(お茶をすすりつつ、遠くを見て)

>>短いですが、これで失礼させていただきます。
>>『生か死か』って、作品、覗いてみてください。
>>一応、なんか、『現代スレイヤ−ズ』の影響を受けた感じのオリジナルです。
>
>時間が許せば一度は読ませていただきます。
>そちらもがんばってください。
>ではではです
>
ありがとうございます。
影響を受けたといっても、はっきりとした形じゃんなくて、言葉に出来ない部分みたいな感じです。
私も、最近『現代スレイヤ−ズ』読み返して、『ああ、影響受けてるんだ。』と自覚した感じですから。
ではなんとなくの返々レスでした。



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31238サイラーグの姫巫女京極師棄 E-mail 2005/3/9 18:01:16
記事番号31232へのコメント


サイラーグの姫巫女

京:さてさて、二話目といかせていただきましょう
  読んでおられる方がおられるかどうかは知りませんが・・・
########################################

俺はサイラーグにたどり着いた。
サイラーグ・・・ようやく復興したこの町は活気が戻り、かつての廃墟を思わせないような面持ちだ。母さん曰く『こんな不幸な町はない。埋めろ住むな捨てろ!』とのことだったが・・・それすら過去のものだ。
今は過去の事を忘れず、新しい人たちをまとめて居るシルフィールさんがこの町の巫女長であり町代表者だ。
ほとんど回復系統の魔法を使いながら竜破斬を使いこなす(曰く乙女のたしなみ・・・らしい)
まあいろいろとツッコミどころが満載だがあえて俺は気にしないことにしてサイラーグに入った。


店を出している場所は少ない。だが出店が活気を起こしている。
あぶれた人々の勧誘に余念がないその様子を見ながら俺はその道のまっただ中を歩いていた。
俺はそれらの人々を交わし、今や一つの有名場所となったフラグーン跡にやってきた。
かつてサイラーグの象徴とも言えた大木フラグーンは今やそのあったという穴の跡だけ残っている。ほとんどの人は知らないだろうがコレに関与したのも母さんだ。
曰くコレは冥王フィブリゾが悪いとのことだが、そのフィブリゾがそのような行動をしたのはすべて母さんの存在があったからだ。
そして・・・コレは俺が小さいときに教えてもらった秘密。
誰にもいっては居ないが、あのとき・・・本当は術の制御を見事にミスって暴走させた・・・らしい。そのおかげで完全版の正体が分かったといっていたが完全版の詳細を教えてくれはしない。
まあ聞くのは諦めて自分で完成させる事にしてはいるが・・・・・・
「その構成を造るための基がなけりゃ何にもならないっての」
母さんが完全版の構成を造ったのは異界黙示録と呼ばれる一種の伝説級のもの。いや、今や伝説なのだろう。その写本と呼ばれるものですら伝説なのだから・・・。
「ああもうっ!どこに行ったらあるんだってんだよ」
そう小声でいいつつ俺はフラグーンの穴を見続ける。
天気がよく運がよければ底が見えるらしいが今は見ることができない。
周りの家族連れが去っていくのを横目に見つつ俺は柵に身を預ける。
この穴に危険だからとこの柵ができたのが俺の生まれた年と同じ。
15年間・・・この柵はいったい何を見続け、感じたのだろうか・・・・・・
「どうかしましたか?」
その声にぱっと振り向く。そこにいたのは一人の巫女だった。


「お久しぶりですシルフィールさん」
「ええ。お久しぶりですねテラさん。リナさんはお元気ですか?」
小さい頃に一度だけあったことのあるシルフィールさんは昔のような笑顔を見せている。
昔のようにとは言えないが決して衰えていない様に見えるのは今だにこの人が先頭で働いているという点。
表向き再建ができているサイラーグだが、今だ刻まれた傷跡は大きい。
町はずれの大地は直されることなくそのままだ。森の大半は吹き飛んだままだし、フラグーンの内部やその近くの場所には雑草すら生えていない。
それはきっとこれからも生えてくることはないだろう。とこしえに・・・・・・
あの呪文の余波だと思われるのだから・・・
「調子はどうですか?」
「ええ、まあほっぽり出されてから何とかやってますよ」
思い出しつつ話を進める。
十五の誕生日にほっぽり出された経験は今だ記憶に新しい。
まあとりあえず近くの盗賊団を吹き飛ばしてお宝をパクって当面の生活費を手に入れたのはいうまでもないことだ。
「それで?この町に何かご用ですか?」
「ええ、ちょっと謎のマジックアイテムを手に入れてしまって・・・・・・調べようかなと、跡で図書館借りさせていただきます」
「どうぞ、それはご自由に。ところでこの後はどうするんですか?」
シルフィールさんが首をかしげて聞く。
「そうですね〜。ここでもし分かっても分からなくてもセイルーンに向かう予定です」
そういいつつ目の前に出してもらったお茶を初めて一口。う〜ん、何飲んでもでも何食べてもおいしいと思えるがこの紅茶もおいしい。
「そうですか。それはちょうど良い」
そういってシルフィールさんは手を叩き、
「なら私達の護衛を頼みつついってはもらえないでしょうか」
「・・・はい?」
「実はセイルーンに用事ができたのとアメリアさんから一度会いに来て欲しいとのことで・・・・・・」
「しかしシルフィールさんは確か旅慣れしてたような・・・」
母さんと旅をしていたということを思い出して俺は聞き直す。別段俺が居なくてもセイルーンまではちゃんと行けるだろう。
「確かにいくことはできますがやはり護衛の人がついていた方が安全ですし、何より私の攻撃魔法の系統は一つしかレパートリーにありませんし・・・・・・」
思い出した、この人の攻撃魔法は竜破斬。下手に町中や町の近くで使うことはできない。
「それに・・・今回は娘も一緒に行きますので・・・・・・」
「あれ?娘さんって」
「ええ、ルフィアです。あの子恥ずかしがり屋だし・・・」
俺より2歳ほど年下の娘さんがシルフィールさんには居る。だが、恥ずかしがり屋なのかあったことはないし姿をちらっと見た程度だ。
「なるほど、だから知ってる人で護衛がつけばいいと・・・分かりました。同じ方向で別段急ぐ旅じゃないしご一緒します」
「ありがとうございます!ああ、コレで第一歩・・・・・・」
後半何を言ったか聞こえなかったがひとまず喜でもらえたのは確かなようだ。
「出発の予定は2日後なのでそれまでゆっくりしていってください。宿が決まってなければ家でもかまいませんが・・・・・・」
「いえいえ、一応宿の方は決めていて・・・」
少し残念な顔になったシルフィールさんだが、ぱっと顔が変わる。
「なら宿代は払わせていただきます。ゆっくりとしたサイラーグのひとときを」
シルフィールさんの微笑みに頭を下げた。


次の日一日中図書館にいてものを調べた。サイラーグの文献を調べては見たもののこんな紋章の事は全く持って載ってなかった。
セイルーンの文献の中から見つかることを祈るだけだ。
俺はそれに関係ありそうなほんの最後の一冊を閉じてテーブルに横になった。
時刻はだいたい二時。なかなかの夜更かしだ。というか明日旅立つのに考えずまたやってしまった。集中すると時を忘れるのは俺の悪い癖だ。
ひとまず今日の昼間に借りた本を全部読んで見たが手がかりナシ。収穫もナシだ。
「まあ、後半から諦めに近かったけど・・・・・・」
そういいつつ俺はあくびを一つ。
「そろそろ寝ようかな・・・・・・」
そういって明かりを消し・・・・・・・・・なんだこの違和感は。
剣を取って廊下側の壁に背を付ける。そっちには人の気配がないことを確認しての行動だ。
肌に粘り着くような視線、そしてコレは、
「殺気・・・だな」
神経をとぎすます。同時に相手が俺ならどういう手段を使ってくるかも考える。
こういう場合には・・・・
俺は呪文を唱え始める。そして突如それは起こった。
窓が開きその先の手が赤い球を持っていることを確認して、
「火炎球」
「氷結弾!」
相互干渉を起こし両方の物体が軽い音と共に消える。
相手が動揺するのが気配で分かった。窓から外に首を出し・・・
「うどわああ」
あわてて中に戻り飛んできた炎の矢を回避する。う〜ん、二人以上か・・・予想はしていたけど、
「俺って何かやったかな?」
もしかして数日前に吹き飛ばした盗賊団の生き残りか、あるいはついこの間殴りかかってきやがった母さんに挑戦して負けた剣士の仲間か、あるいは問答無用で吹き飛ばしたあのパーティーの一人か、あるいはこの間川に沈めた連中の一味か・・・・
「心当たりがありすぎて分からない」
ああ、コレが追われるものの悲しいサガか・・・・・・
ひとまず現実逃避をしてその後に打開策を考える。
1・吹き飛ばす
2・叩きのめす
3・お帰りいただく
「やっぱりここは3だな。さ〜て、どうやってお帰りいただこう・・・・・・やっぱりあれかな?」
そういって呪文を唱えて窓から顔を出す。
再び炎の矢が飛んでくるが、
「風魔砲裂弾!」
広範囲にわたって爆発的に風がはじける。同時に炎の矢が元のところに帰って行く。
だが、その前に相手が吹き飛んだのが分かった。
炎の矢は目標を見失い、そのまま空の彼方に飛んでいった・・・・・・


あの後相手がどうなったか確認しにいったが姿も形もなかった。逃げたのだろう。
街道を行きつつ俺は考える。
夜でうまく頭が動いてなかったが、よく考えてみればあそこまで統一がとれているということはどこかの組織にあたる者達だろう。
火炎球を使ってきたということは騒ぎが大きくなっても気にしないということだ。
それが意味することは・・・今はまだ分からない。
だがとりあえず分かったことといえばそこらの盗賊ではできないということだけだ。
先を行く旅衣装でシルフィールさんと旅衣装だが白いフードを目深にかぶったルフィアさんを見つつ後悔する。
この依頼を受けなければよかったと、もしかしたら巻き込んでしまうかも知れないと。
そっと自分の装備を確かめる。赤い宝珠をつけたショルダーガードと自分の紋章(小さいときに決めた)を刻んだブレスアーマー。もらったローブ(実家においてある)と同じ色の深い青色のマント。腕に仕込んであるのはガントレットに見立てたワイヤー射出機。そして腰には謎の魔法剣(前のは売った)。
そして母さんと同じ栗色の髪からのぞく赤いバンダナ。
俺の目は装備から目を離しシルフィールさんとルフィアさんの方を映す。だが目が見ているのは違う。
どこまでも広がる蒼穹。そしてその先に掛かる黒い暗雲。
それがセイルーンに掛からないことを祈りつつ俺は歩いていく。
向かうは聖王都セイルーン。
そこに何があるか俺は分からない


########################################
後書き

京:さてさて、更新がある程度あるのは春休みだからです。だんだん遅くなっていきます
  そういうことは誇っちゃいけないだろうけど誇れます(誇るな)
  今回も少し短めです。こんな感じで物語は続きます。(予定です)
  これからもよろしくです!
  ・・・・・・読んでくれている人がいれば・・・・・・
  それでは、ひとまずコレにて・・・・・・

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31281セイルーンの王女京極師棄 E-mail 2005/3/19 18:36:40
記事番号31232へのコメント

セイルーンの王女

京:さてさて、結構続くな〜と思う今日この頃です。
  読んでおられる方がおられるだろうか・・・・・・
########################################

聖王都セイルーン。
そこは地理的に六芒星が稼動し、黒魔術の効果が落ち回復魔法などの効果が上がる場所。
恐ろしく強い平和主義の王様フィルさんや、同じく正義主義の第二王位継承者アメリアさん。とどめに放浪癖のある第一王位継承者ナーガさま。
いや、しゃれにならないぞ本当に。魔族を素手で叩きのめすとか、作り出した変な形のゴーレムは暴れ出すやら・・・・・・ともかくまともじゃないことは確かである。
まあアメリアさんのある魔法からさらに発展させた魔法を思いついたのは確かだが・・・。
ともかくひとまずの注意は襲ってきた連中だ。
「まあ、ようやく見えてきましたね」
シルフィールさんが言うのを僕は静かに頷いて答えた。
あれから襲撃はない。何度か宿を抜け出して盗賊いぢめをしてきたがその間に襲われることもなかった。
案外サイラーグの襲撃は何かの間違いだったのかもと思い直してもいた。だが・・・
俺の足が自然と止まる。肌に粘り着くような寒気。
「?」
ルフィアさんとシルフィールさんも俺の様子に足を止める。
俺が見ているのは街道横の森の中。呪文を唱え・・・・・・思ったより早くやってきた!
飛び出した黒い影がナイフを投げてくる。俺はそれをあっさりと避け、身体が硬直した。影縛りだ!
だが焦らずに俺は唱えていた呪文を相手に向かって投げつける。
「火炎球!」
同時に光が一瞬俺の影を消し、俺は離脱する。
襲ってきたのは一人だが、気配はまだいくつかある!
呪文を唱え・・・狙ってきたのはシルフィールさん!?
「くっ、氷の矢!」
何本かの氷の矢が襲ってきた黒いやつを凍り付けにする。同時に俺に向かって一人の黒服が襲いかかってきた。俺は剣を抜き相手の剣を止める。同時に身体を回転させその勢いで相手の頸椎を叩き切る。
「火炎球」
聞こえた声は近くだった。ねらいは驚いて固まっているルフィアさん。
「くっ!」
一か八かで急いでその軌道上に飛び込みやけくそで剣を横に振るう。・・・と火炎球が元の場所に打ち返された。相手が驚きの気配と共に火炎球で倒れたのが見えた。だがこの剣意外に伝説のあのブラストソードや光の剣と同じぐらいの事ができるのでは?と思ってしまうほど器用なことができた。
だが、敵の気配はまだいくつも存在している。コレのままじゃあれを使うしか・・・・・・
「そこまでです!悪に染まる者達よ!」
突如近くの木の上から声が聞こえる。このパターンは・・・もしや!
「悪に染まり、人の命を狙い。挙げ句の果てに私の友達の命まで願うなんて言語道断!この私アメリア=テスラ=ウィル=セイルーンが許しません!」
出てきてしまった。俺は頭痛がする頭を押さえた。刺客は何が起こったか理解できないのかおろおろしている。
「とうっ!」
そのかけ声と共にアメリアさんは木から飛び降りて空中で一回中一回ひねりを決めて・・・・・・

ぐぎっ!

いやな音がした。
前方一回宙一回ひねり転でも決めようとしてミスったのかアメリアさんは本来なら手から落ちるこの技を見事に首から落ちていた。いや、案外前方のムーンサルト(前方二回宙一回ひねり)を決めようとしたのかも知れない。ともかくあたりが静まりかえる。シルフィールさんの顔が震えているのが分かる。
そして普通にぴょこっとアメリアさんは跳ね起きて首を治し刺客に向かって指を指す。
「私が正義の鉄槌を与えて見せます!」
「っていうかすでにいないけど・・・・・・」
見れば援軍の到着とでも思ったのか逃げていく刺客達。いや、たぶん変人がいると思って逃げたんだろう・・・・たぶん。流石に恥ずかしかったのかアメリアさんはそのままのポーズで一瞬止まり、
「やはり正義は最後に勝つのです!」
そのままのポーズで言い切るアメリアさんに俺は頭を抱えた。久々で忘れていたがそうだ、こういう人だったんだ。
シルフィールさんがアメリアさんの前に出て一つ頭を下げ、
「久しぶりです。アメリアさん」
普通に挨拶をした。ルフィアさんがどこか怖そうにアメリアさんを見ていたのは言うまでもないことだ。


宮殿にシルフィールさんとルフィアさんを送り届けて久しぶりにちゃんと会いたいというフィルさんとアメリアさんからどうにか逃げ出して俺は宿屋を取った。
そして今は『浮遊』の魔法で町の外に出ている。表向きは盗賊いぢめだが、本当のねらいは・・・・・・
「出てこいよ!いるのは分かってるぜ!」
その言葉をどこに向かってという目標無く言う。
影のように張り付いて俺についてきてる奴らの気配が止まったのが分かった。
5・・・・・・いや6人か?ともかく気配がつかみにくい。
そして場所に至っては皆目見当がつかない。
いや、皆目ではない・・・何となくではあるが分かることは分かる。だがそこに自信がない。
ともかくどこから襲いかかられても良いように呪文を唱え・・・その殺気が突如強まった途端に俺は真後ろに飛んだ。
目の前を青い光が通り過ぎた。青魔烈弾波だ。だが俺は慌てず呪文を唱え終え、
「炸弾陣!」
俺を中心に円状に真上に吹き上げられた大地が三つの気配を消し飛ばした。だが、それが収まった途端一人が斬りかかってきた。
上段の一撃を避ける、同時に蹴り飛ばしてきた足を取り、

バギッ

「悪いな!骨一本もらった!」
骨が折れたいやな音が立った途端相手が苦しんだ。膝関節を挟んで上と下で違う方向に力をかけてやったのだ。コレならある程度の力さえあればできる。他の気配がたじろぎ場所が少しだけ分かる。
その片方に俺は剣を抜いて斬りかかった。
「くっ、火炎球」
相手が投げ飛ばして来た火炎球を剣で叩ききる。
この剣、今だ正体不明だが火炎球をはじき飛ばしたり叩ききったりという芸当をするほどの剣だ。
切られた火炎球のカタワレがもう一つの気配に直撃する。
目の前の一人は何が起こったか理解できなかったようだ。
その直後、俺の剣が横から相手の首を切り飛ばしていた。


骨を折ったはずの相手はいつの間にか自決していた。
ひとまず森に燃え移りそうになっていた炎を氷結弾で消し止め、俺は宿屋に戻ることにした。
暗い夜道を歩いていく。歩いていく、歩いていく・・・・・・
何も起こらない。まあ早々ぽこぽこ起こられても困ると言えば困るのだが・・・・・・
だが、俺は妙な気配を感じて立ち止まった。
目の前の闇が・・・凝縮している?コレは?
「あれ?魔血玉の気配をたどってみればこんな所にでちゃいましたね〜。ゼフィーリアあたりにでると思ったんですけど・・・・・・」
黒い闇・・・いや闇に見えた黒い神官服を着て黒いおかっぱのにこにこ顔の男が目の前に突如として現れた。
もちろん人間ではない。俺は即座に戦闘態勢を取る。
「おやおや、リナさんではありませんね。困りましたね〜」
「高位の魔族だな、母さんに何か用か!」
実際母さんは魔族に途轍もなく恨まれても仕方ないようなことをしている。目をつけられていると言えばいいのだろうか?ともかくゼフィーリアにいるうちは大丈夫だろうがそれでも魔族の嫌がらせは時々ある。
「?母さん?えっ?リナさんがお母さんって事は・・・・・・リナさんの子供さん?」
「そうだ!テラ。テラ=・・・・・・=インバースだ。お前の名前は!?」
「はは〜、やっぱりですか。ということは魔血玉の気配がするわけですね。おっと僕の名前を教えてませんでしたか、僕の名前は・・・・・・う〜ん、やっぱり秘密です」
秘密といわれて俺が転ける。うん?秘密と言う怪しい神官の魔族?
「もしかして・・・・・・獣神官ゼロス・・・なのか?」
「おや、お知りでしたか」
「いや、子供の時から『後ろ姿がゴキブリ似』とか『パシリ魔族』とか聞いてたから・・・・・・・」
「リナさん・・・何を教えてるんですか」
地面に座り込んでうじうじとのの字を書き始めるその姿に俺は戸惑いの色を隠せない。
母さんは言った。ガイリアシティを火の海に沈めた張本人だと聞いているし、笑いながら人の首を切り飛ばすとも聞いた。そして、その実力は降魔対戦の時に大きく発揮している。たった一人の魔族が竜族の大量虐殺を行ったといわれる。その張本人が彼ゼロスであるというのだ。
敵意があるわけではない。だが警戒は解けない。
「まあいいですか。それで?テラさんは何をやっておられるんですか?」
にっこりほほえんでくるゼロスに俺は警戒の色をありありと浮かべた視線を与え、
「・・・母さんの友達なら知ってるだろ?夜やる事なら一つしかないじゃないか。盗賊いぢめだよ」
「ははははは、にしては取ったものがないようですね」
痛いところをつかれた。俺は一つちっと言い、
「うるさいな。表向きは盗賊いぢめだっていうんだ」
「つまり本当は違うと」
「・・・・・・やかましい」
にこにこしたまま言ってくるゼロス。食えないやつだ。
「分かってるんだろ?」
「怪しい人々に追われてると?やはりリナさんの血筋ですね〜」
「やかましいわ!本人の前でそれを言ってみろ!ドラスレが飛んでくるぞ!!」
言った途端ぶるぶると震える。思い出してしまったのだ。あの恐怖を・・・・・・
「あっ、なかなか美味な・・・・・・」
「食うな!」
魔族の食事は人間の負の感情・・・そう習ってきた。おそらく食ったのだろう。俺の恐怖という負の感情を、
「何者だ!」
突如、暗闇から声が聞こえた。
円月刀に革の服。頭は少しハゲかけ・・・・・・俗に言う盗賊さんだ。
「あらあら・・・・・・」
「だから言ったろ・・・・・・」
そういって目の前のやつとの間を一瞬で詰めて殴り倒す。
「盗賊いぢめだって!」
何となくゼロスが引いた・・・気がした。

「爆裂陣!」
その日の夜に攻撃呪文の花が開いたのは言うまでもない。


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後書き
京:どもども、ゼロスさんの登場です。うまくできなかったのが悔やまれますが・・・・・・
  それでは次回もほんの少しばかり、雀の涙一滴ぐらい楽しみにしていてください。
  それでは今回はこの辺で失礼します