◆−黒い服を着た彼女 (前)−琴見奈々 (2004/6/17 22:31:38) No.30225
 ┣おお!師匠の新作!−紗希 (2004/6/19 21:23:10) No.30236
 ┃┗えええええ゛!!?−琴見奈々 (2004/6/22 21:09:17) No.30260
 ┃ ┗そんなに驚かないで下さい!−紗希 (2004/6/23 22:00:08) No.30273
 ┃  ┗あわあわわわわ−琴見奈々 (2004/6/24 16:57:28) No.30278
 ┣黒い服を着た彼女 (中)−琴見奈々 (2004/6/24 16:29:11) No.30277
 ┗黒い服を着た彼女 (後)−テスト真っ最中・琴見奈々 (2004/7/1 23:10:39) No.30330
  ┗良かったです♪−紗希 (2004/7/3 18:23:05) No.30339
   ┗ありがとうです(‘∪‘)♪♪−テスト真っ最中・琴見奈々 (2004/7/3 23:59:20) No.30345


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30225黒い服を着た彼女 (前)琴見奈々 E-mail 2004/6/17 22:31:38


ケイタイ戻ってきましたー(><)!!
文明の利器を再確認な琴見です。

今回は珍しく原作設定の短編。アメリアも原作調で。そしてリナとはタメです。
でも原作後のお話。
誰にも知らせずに結婚してしまっていたリナを訪ねて、真相を追うアメリアのお話。……みたいな。暗い暗い。
時間軸はちょっと狂ってますけど目を瞑っていただけるとうれしいです;;;;
ゼロリナなのかガウリナなのかアメリナなのか後半ゼルアメなのか…よくわからん……。。(え
カップリングはあんま重視しないので気にしんくていいです。

だいぶこの話の中にうちのキャラ考入ってます。アメちんのリナに対する見方とか。ガウとゼルは出番ないけどちょこーっと触れます。

長くなったら中編、後編になるかも。。























ゼフィーリアの田舎町、森に近いのどかな土地に、その家はあった。
こじんまりとした、だが丁寧なつくりの、かわいい家だ。
ここに、この中に、彼女の生活があるのだ。

これは祝福すべきことだ。







――――――黒い服を着た彼女――――――







アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが、そのことを知ったのは、彼女が19歳になったばかりのことだった。
かつての旅の仲間、ガウリィが久しぶりに城へ顔を出したと思ったら、いきなりとんでもないことを言い出した。

リナが結婚した。

相手はゼフィーリアの人間らしい。子供までいるという。
そんなバカな。
あのリナが結婚??
自分に一言もいわずに。
ガウリィもゼフィーリアまで行った時にリナの実家で聞いて初めて知ったとか。
アメリアは、驚いてはいるが、それ以上の感情が見えないガウリィのことが気になった。旅をしていたころの二人は、アメリアの目には特別な関係に見えていたから。でもそれが、恋人同士のようなそれと同じかというと、ちょっと違う。もっと究極に信頼しあっている仲だった。だから二人が共に旅を続けることをやめたとき、すでに王室の仕事にかかりきりだったアメリアは、少し淋しかった。
それからも、二人はそれぞれ旅をしていたらしい。ガウリィは今でもあちこち歩いてまわっている。彼が最近、シルフィールが初めてまともにした告白を断ったのを、アメリアは知っている。





あれからすぐに、馬車を出して、今。
ガウリィに聞いたリナの家の前にいる。
馬車を出してくれた城の者は、街に待たせてある。
複雑な思い。
アメリアの中で、リナ=インバースは結婚などしてはいけない人だ。いや、リナには結婚してほしくない。してほしくなかった。
そう思ってから、自分はリナのことを聖女だとでも思っていたのかと、自嘲する。
そうじゃなくて、ただリナには結婚の枠にはまり、家庭を持って落ち着いてほしくなかったのだ。リナが誰を好きで、誰と好きあっていようがかまわない。

それこそ自分は何様なのだ。

リナの生き方の中に、自分の力が及ぶところは、どこにもないのに。
リナの結婚を反対する権利なんて自分にはないのに。
だいいち、彼女はすでに結婚してしまっているのに。



暗雲とした気持ちで立ち尽くすアメリアの背中に、

「――アメリア?アメリアじゃない!!」
びくっ。
聞きなれた声。それはあのころと少しも変わっていない。
仕方なく振り返る。明るい声と、明るい笑顔で、
「リナ!!久し………ぶり……」
努めようとしたのに、リナの姿を見て、声を失った。
リナはまったく変わっていなかった。
最後にあったときから―――いいや、初めてあったときから!!
くるくると癖のついた紅茶色の長い髪は、今はゆるく二つにとめてある。大きな深紅の瞳は、今でも輝いて。背はちっとも伸びていない。もうアメリアの方が追い越してしまった。これを言ったら、また昔のように怒るだろうか、胸の方も、おせじにも大きいとはいえない。
もともと童顔なことも手伝って、今は村人の格好でベージュの長いワンピースの上に、それと同じ丈の茶色いエプロンを着ていて、より幼く見える。可愛い。

そして、その手にはまだ小さな赤ん坊を抱えていた。

リナも子供も、可愛かった。
「アメリア??どうしたのよ、ぼーっとしちゃって」


とたん。

アメリアは、リナの瞳に写る自分が、急に、ひどく成長してしまったような、
急に大人になってしまったようで、
いたたまれなかった。
自分とリナの間を流れる時間が、まったく異なっているのを感じた。

「ガウリィに聞いたんでしょー?
 ごめんね、連絡もとれなくて。まあ、入ってよ」
「……え?…あ、…………ええ…」
リナは変わらずに可愛いまま。
やっぱり結婚はしてほしくなかった。だいたいまだ19じゃない。何でそんな早く結婚しちゃうのよ。




穏やかな午後、アメリアは小さな家で、リナのいれた紅茶を飲みながら、ガウリィが言っていたことを思い出した。
 『リナの様子がおかしかった。びっくりするぐらい変わってないのに、なんか、なにかがおかしんだ。よくわからんかったが』
それが気になる。言葉を選んで切り出す。
「おどろいたわ、全然変わってないんだもの、リナ」
「アメリアは少し大人になったんじゃない?髪だって前より少し伸びてる。すごく綺麗になった」
「そりゃそうよ。あなたが変わらないだけ」
「これでも気にしてるのよ?今でも子供扱いされるし」
「特に胸なんか、ガウリィさんにも言われたんじゃない?」
私はくすくす笑って言ってみる。
「………あんた随分言うようになったじゃない!!フン、あたしの成長期はこれからなのよ!!今にぬかしてやるから!!!」
「あははっ……ははっ!」
変わらないなあ…そう思うと嬉しくて、笑いが止まらなかった。そしてまた怒られる。
でも前は攻撃呪文の一つは返してきていた。それだけ成長したということか。
「ははっ……そういえば、子供いくつ?」
テーブルの横におかれたベビーベッドで大人しく眠っている赤ん坊が目についた。
まだ小さく、丸い手を口元にそえて眠る姿は可愛かった。
つきたてのおもちみたいなふっくら白い肌に栗毛。リナの旦那の顔は知らないけど、この子はリナ似だ。
「まだ一歳になってないわ。六ヶ月」
「ふーん…女の子?名前は?」
飲み終えた紅茶のカップを手でいじる。まだ少し温かかった。
リナのカップに目をやる。まだ手をつけていなかった。
「女の子よ。タージっていうの」
男の子みたいな名前だなあと思った。
「今日旦那さんは?」
「仕事してるわ。そのうち帰ってくるでしょ」
「でもひどいわよ、何にも言ってくれないんだから。
 気付いたら結婚して子供までいるなんて」
「ごめん、ごめん…。式はあげてないし、アメリアは忙しいでしょ?どこにいるかもわからないガウリィやゼルなんかには教えらんないし…」
そういうことを聞きたいんじゃなくて……。
かわされたようで、やりきれない。
「何で結婚なの?旦那さんと旅でもすればいいじゃない」
「旅ねえ……。そういう人じゃないのよ。地元の人だし」
とがめるような口調で言ってしまったアメリアに、リナは苦笑してやんわり答える。
いらついて、アメリアはバンッッ!!と勢いよくテーブルを叩いた。
「だから何で結婚なのよ!まだ19歳よ!?」
その音に、リナは赤ちゃんが起きたか気にかけるでもなく、
「なんでって……赤ちゃんできちゃったし」
あっさり言う。
「できちゃったって……そんな…、じゃあしかたなく結婚したの?本当にその旦那さんが好きなの?」
「まあ、そうね、好きよ」
気の無い返事。
「……………………」
浮かんだ疑惑。ガウリィの言葉が蘇る。
「ねえ、旦那さん、どんな人なの?」
聞いたら、リナは小さく笑って、その顔は今までと違って大人の美しさがあった。
「普通の人よ?顔も中身も。平凡な人。
 でも……昔無茶やってつかれちゃったのかな……一緒にいると安心するの」


感じた違和感。

さっきから自分は、リナが怒るであろうことばかり言っているのに、全く手ごたえがない。

今は何て言ってた?
昔無茶やってつかれた??

何でそんなこと言うのよ。
たった数年前―ううん、数年もたってない。もっと最近―のことを、“昔”だなんて言わないで。
わたしたちの旅を、思い出にしないで。
わたしたちのこと、古い友人みたいに扱わないで!!

リナは変わってしまったの?

いいや、きっと違う。
そうじゃなくて、






あなたは誰――――――――――――?

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30236おお!師匠の新作!紗希 2004/6/19 21:23:10
記事番号30225へのコメント

こんにちは♪
師匠、待ってました!
感心し、見習うべき教科書の様な師匠の小説!

リナちゃん、何か変わりましたよね…
でも、それこそ自分のイメージなんだけれども、変わらないで欲しい、みたいな?
アメリアそっくり!
何だか、半分子供みたいっすね(苦笑)

>ケイタイ戻ってきましたー(><)!!
>文明の利器を再確認な琴見です。
携帯、戻って良かったですねv
私も1日忘れた時があるのですが、不便でしたからね☆

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30260えええええ゛!!?琴見奈々 E-mail 2004/6/22 21:09:17
記事番号30236へのコメント


>こんにちは♪
こんにちはー(´∪`)vv
レス遅くなっちゃってごめんなさい…;;

>師匠、待ってました!
>感心し、見習うべき教科書の様な師匠の小説!
はわーーーーー!!!?そ……そんなめっそうもございませんです、ハイ。
教科書のようなって言い過ぎですホント!!

>リナちゃん、何か変わりましたよね…
>でも、それこそ自分のイメージなんだけれども、変わらないで欲しい、みたいな?
自分はガウリィとか、他のどんな人と一緒になっても、結婚って形はとらないでほしいなあ……とか勝手に思ってます。
ずっと旅をすることは無いかもしれないけど。でもこの話の人みたいには変わってほしくないです!!

>アメリアそっくり!
>何だか、半分子供みたいっすね(苦笑)
ははは(´ー`)♪♪
アメちんにはきっと、大人になっても自分の思いを人に押し付けようとする(きっと無意識だけど)少しわがままなところがあると思います。でもそこも好き♪♪

>>ケイタイ戻ってきましたー(><)!!
>>文明の利器を再確認な琴見です。
>携帯、戻って良かったですねv
>私も1日忘れた時があるのですが、不便でしたからね☆
もおホンット困りましたー↓↓↓
これからはちゃんと隠します!!

ではであ〜☆★☆

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30273そんなに驚かないで下さい!紗希 2004/6/23 22:00:08
記事番号30260へのコメント

>こんにちはー(´∪`)vv
>レス遅くなっちゃってごめんなさい…;;
こんばんわv
いえ、学業に忙しそうですからね♪

>はわーーーーー!!!?そ……そんなめっそうもございませんです、ハイ。
>教科書のようなって言い過ぎですホント!!
いえいえ、滅相も御座います!!
教科書じゃ物足りないぐらいですから大丈夫ですよ!

>自分はガウリィとか、他のどんな人と一緒になっても、結婚って形はとらないでほしいなあ……とか勝手に思ってます。
>ずっと旅をすることは無いかもしれないけど。でもこの話の人みたいには変わってほしくないです!!
リナはやっぱりリナだろう、との事で一致しましたね♪
女はやっぱり、変わるんでしょうかねぇ?

>ははは(´ー`)♪♪
>アメちんにはきっと、大人になっても自分の思いを人に押し付けようとする(きっと無意識だけど)少しわがままなところがあると思います。でもそこも好き♪♪
アメリアも、そう言った性格が変わらないで欲しいですね。
変わらないなんて、無理かもしれませんが。

>もおホンット困りましたー↓↓↓
>これからはちゃんと隠します!!
隠しますか(^_^)
これで性格が分かりそうですね(失礼)

でわでわv

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30278あわあわわわわ琴見奈々 E-mail 2004/6/24 16:57:28
記事番号30273へのコメント


>>レス遅くなっちゃってごめんなさい…;;
>こんばんわv
>いえ、学業に忙しそうですからね♪
いかに勉強しないですむかに忙しいです。
授業中は寝てばっか。白いノートにびっくりです。

>いえいえ、滅相も御座います!!
>教科書じゃ物足りないぐらいですから大丈夫ですよ!
いやいやいや!!!私なんて街角で配っては捨てられるビラみたいなもんです;;;

>>ずっと旅をすることは無いかもしれないけど。でもこの話の人みたいには変わってほしくないです!!
>リナはやっぱりリナだろう、との事で一致しましたね♪
ですねvv

>女はやっぱり、変わるんでしょうかねぇ?
んー…、でも前編のリナは別人でございますです、ハイ。

>アメリアも、そう言った性格が変わらないで欲しいですね。
>変わらないなんて、無理かもしれませんが
変わらない人だっていますよ。それに良い変化もありますし。悲観ばっかしても楽しくないし。

>>もおホンット困りましたー↓↓↓
>>これからはちゃんと隠します!!
>隠しますか(^_^)
>これで性格が分かりそうですね(失礼)
うーん。。否定はしない。
でもそれで持ってかないなんてできないですよー。

>でわでわv
それでは♪♪

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30277黒い服を着た彼女 (中)琴見奈々 E-mail 2004/6/24 16:29:11
記事番号30225へのコメント

あう……。。結局三部作に。でもちょっと短め。。
このツリーでおさめたいので早くアップできるようにしたいでっす!!

それではちゃっちゃと行きましょー。















夕方に、リナの旦那さんが帰ってきた。
その人は本当に平凡な人で、でも優しそうで、よく笑って。その雰囲気は、どこかガウリィさんに似ていた。
でも私は、リナのことばかりが気になって、あまり注意してその人を観察しなかった。
そういえば、名前も聞かなかったかもしれない。
夕食の時に、リナはガウリィさんと食事を奪い合っていたころのあの勢いなど見る影もないくらい、少ししか食べなかった。それを言ったら、『前は魔法とか使ってたし、よく運動してたし、体力の消耗が激しかったのよ。今あんな食べ方してたら、ぶくぶくに太っちゃうわ』そう言ったのが、しかたないことだけど、すごく悲しかった。
夜は泊めてもらうことになった。部屋がないので、リナと一緒に寝た。
リナは、以前は悩まされていた寝相の悪さも無くなっていて、私はリナの隣、安心して眠ることはできなかった。








――――――――黒い服を着た彼女――――――――






一夜明けて、アメリアはリナの実家へ行き、彼女の姉、ルナを訪ねた。

「―リナのことで聞きたいことがある?
 ごめんなさいね、これからバイトなの。午後の休憩時間になら平気よ。
 リアランサーっていうレストランで働いているから」

ルナは綺麗で、大人な人だった。
その雰囲気は、昨日のリナに少し似ていた。




具体的な時間は聞かなかったが、世間一般のレストランでいう、午後の休憩時間に、アメリアはそのレストランに向かった。

「あの、すいません。リアランサーってレストラン、この近くにありますか?」
「えーと…それならこの道をこのまま真っ直ぐ行ったところです」
「ありがとうございます」

大通りに面した、ごく普通のレストランだった。
表の札が準備中になっているのを確かめて、アメリアは中へ入った。
「すいませーん、…あ」
店員もさがっているせいか、店内は広く、がらんとしていた。
いくつもあるテーブルの中、窓際で日当たりのいい席に、ルナは一人で座っていた。
「こちらにどうぞ」
にっこり微笑んで、向かいの席を勧められた。
待っていた。自分を。わざわざ。

 この人は、自分が何を聞くためにきたか、わかっているのではないか。
 話したいことがあるのは、この人の方ではないのか。

「ごめんなさいね、制服のままで」
この店でウェイトレスをしているルナは、ピンクが基調のフリルがたくさんついた服で身をつつみ、とてもリナが恐れていたような人には見えない。
「いいえ、お時間とらせてしまってすいません」
そういえば、リナから姉のことを詳しく聞いたことはなかった。
リナは話そうとしなかったし、ただ異常に怯えていたのを覚えている。
「それで、リナのことだったかしら。私に聞きたいことって?」
「はい、単刀直入に聞きます。アレはなんですか?」
リナの姉という人に、緊張しながらも、ためしに飛躍したことを言ってみる。
ルナの目は、アメリアの思惑をすべて見とおしているようだった。
「………見たのね」
やっぱり。
アメリアは黙って続きを待ち、ルナは話はじめる。
「説明しようがないわね。
 あの家は、私から見れば悪趣味なおもちゃ箱よ。
 リナも、あんなものに挨拶させるなんて、なめられたものだわ」
話し方は静かなまま、でも瞳は確かに怒っていた。
アメリアは、瞳が燃える、というのを見た。これで二度目。
一人はリナだった。
「やっぱり!あれはリナじゃないですよね!?なんなんですか?あれは」
「さあ…なんのつもりかしら。でもリナが結婚したっていう相手も、子供も、あの家に生きた人間は一人だっていないわ」
「それは……どういう意味ですか?」
「だいたいの察しはつくんだけど……。恥ずかしい話だけど、あのこったら私に怒られるのがイヤで、姿を見せないのよ」
ここではないどこかを見て、彼女は昔を懐かしむように、小さく笑った。
「リナが……妹さんが、大好きなんですね」
気付いたら、テーブルに身を乗り出して、そんなことを言っていた。
言った次の瞬間には、緊張と恥ずかしさが戻ってきて、
「………ごめんなさい」
顔を真っ赤にして座りなおした。
ルナはそんなアメリアを微笑ましく笑った。
「ありがとう」
「あの!ルナさん、私、リナを探します!それで、絶対ルナさんに会いにいかせます!待っていてください」
一人でも、また前のように旅をしてもいい。
本当は、もうそんな勝手がきく立場ではないけれど。
リナに会いたい。
「絶対、リナを連れてきますから!!今日はありがとうございました!失礼します!」
「え……ちょっと……」
ルナが何か言いかけたのも聞かずに、アメリアは店を出た。




一度セイルーンに戻って、それからこっそり旅に出よう。
馬車には、口うるさい城の人がいるもの。旅に出たいなんて言い出したら始終見張られちゃう。


馬車の窓から、ぼんやりと通りを眺める。
ここはまだゼフィーリアだ。
まだまだ日は高く、街は人でいっぱい。

ふと、街人の中に、異様な格好の二人組を見つけた。
魔道士よりも呪術師、呪術師よりも魔女。
黒いミニのワンピースに黒いマント。おかしな形の杖を持って、それはハロウィンの魔女みたいな格好だった。
女の白い肌に黒がよく似合っていた。紅茶色した長い髪の向こうで、金の丸いピアスがきらきら光った。

馬車は女とすれ違い、どんどん離れていく。


                      「とめて!!」


「え!?急にどうかしましたか?」
「いいから早くとめなさい!!」
「は、はいッ!!」


「ここで待ってて!」
「アメリア様あ〜!!」




馬車から降りて、女を追いかける。

「リナ!!!」

振り向いたのは二人。

「あ…、アメリア!!?」
「おや、アメリアさん、お久しぶりです」
変わらない、アメリアより背の低いリナ。
その隣には、肩で切りそろえた髪をちょこんと結って、神官服ではない、黒いスーツのようなものを着たゼロスがいた。


その二人を見て、連想したのは――

――――不死の契約











□■□■□■□■□■□■□□■□■□■□■□■□■□□■□■□■□■□■
うーん……ゼロリナとか言いましたが、全然ゼロリナではなかった!!!
後編でもきっとゼロリナ要素は全くないのでは………
てか最初は↑みたいに不死の契約うんぬんで話を進める予定でした。
まあつまり違うんですな!!

次で謎は全部明かされます!!そんなたいした謎はないけど!!

てかルナさんいつまでバイトしてんだー

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30330黒い服を着た彼女 (後)テスト真っ最中・琴見奈々 E-mail 2004/7/1 23:10:39
記事番号30225へのコメント

こんばんはー…思いっきりテスト中の琴見でぃーす……
間が空いてしまいましたが、アメリアの旅もこれで終わりです。そして始まりです。前回短かったせいで今回変な長さに……。
なんとも完成度の低い尻切れとんぼ風味。いろいろつっこみどころがありますが、こたえる自信はありません( ̄Д ̄)





なんでそんなカッコしてんのよ。
なんでゼロスさんと二人でいるのよ。
なんであんなバカげたことしたのよ。
なんで私には何も言ってくれないのよ。
別れてから、一度も城に顔を出してくれないのは、リナだけよ?ゼルガディスさんだって会いに来てくれたのに。
私、あなたの親友じゃなかったの?

魔女みたいな服装。
不自然に変わらない外見。

リナ、
あなたまさか…


―――――――黒い服を着た彼女―――――――




そのおかしな格好も、二人はとてもよく似合っていた。
リナは困ったような顔をしてアメリアを見た。
ゼロスは相変わらずニコニコとしてて、この状況を楽しんでるみたいだった。それがすごく腹立たしくて。

「リナ……??あなた何してるの?
 ねえ、あなた、まさか……魔族に…?なったの?」
言った瞬間、リナははっと目を見開いた。泣きそうなのを、必死でこらえた。
「近いけど、ちょっと…違う。違うよ!?
 あッッ!!ていうかあんた何か勘違いしてるでしょ!!別にゼロスと契約したとか、こいつの部下になった、とかじゃないからね!!こいつとは今、たまったま一緒にいるだけなの!!」
「リナさん、こいつこいつ言わないでくださいよ〜」
ゼロスの情けない声。旅をしていたころはしょちゅう聞いていた。
リナはそれにはとりあわず、真剣にアメリアを見つめている。
「何よ、それ。そんなんじゃ全然わからないわ。
 ………私、昨日行ったのよ?リナが結婚して子供までいるなんていうから!あの家に!あれは何!?ふざけてるの?バカにしておもしろいの?バカみたい!私ひとりでリナは親友だとか思っちゃって!!なんなの?どうしちゃたのよ!!」
涙は見せずに、アメリアはリナを睨みつける。
言い返しそうなものなのに、リナは困った顔をしたまま、黙っていた。
傍観するゼロス。
黒服のふたりと、何か飛躍した良い服着てる人。この面子が街道の往来で修羅場な空気を出すもんだから、道行く人がちらちらと視線を送ってくる。
「話すわ、全部話す。
 …とりあえず、場所変えない?話も長くなるし」





無言のまま、歩き、街道をそれたら、そこはゼフィーリアの田舎風景が広がる。
急に人通りは途絶え、代わりに畑の中に農作業をする人影がちらほらと。
その向こうには、草原と、小高い丘。


風は、草のにおいが強かった。
ゼロスは丘の上の大木の太い枝にちょこんと座って文字どおり高みの見物を決め込む。
木の下で、リナは風を受ける。
そして、横に佇むアメリアに目を合わせる。

「そうね、どこから話せばいいかしら。
 ――まあ、あたしが人ではなくなったのは、たしかね」
何の感情も見せずに言う。
時折大人びた顔をするのは、変わっていなかった。
「魔族に……?」
リナの視線を避けて、のどかな田園に目を向ける。隣でリナも同じことをしたのがわかった。
アメリアがぽつりと言った言葉には、反応せず、
「アメリアとゼルと別れてから、そうしないうちにあたしはガウリィと別れたわ」
「……??何の話よ。でも、何で?」
「大した理由は無いわ。でも、このままずっと一緒にいるのもなーって思って。別に愛し合っていたわけじゃないし」
「でも愛より強く信頼しあってたじゃない」
淡々と続く会話。
後ろの木の上で、ゼロスがいつもの顔でにこにこしてる。
「ただ一人になりたかったのよ。あたしは今まで、人に誉められることした覚えはないし。少し、一人で旅がしたふなったのよ。いいでしょ?別に」
別に関係ないでしょ?―言外にそういわれた気がした。
「…………それで?それからどうしたのよ」
だんだん腹が立ってきた。
「それが二年前ね。―二年もしなかったかな。
 それで半年くらい一人で旅をしてたの。半年目に立ち寄った村でね、疫病が流行ってたの。あたしはそれに感染して、何日も高熱に苦しんで死んだわ」
なんで平然とそういうことが言えるかなあ。
なんで私はそういうことを平然と聞いていられるかなあ。
「一人の時も、魔族に狙われたりしてたんだけど、何とかやりすごして。なのに結構あっけなかったなあー…
 って、聞いてる?アメリア」
変化のないアメリアを、怪訝顔で見やる。
視線を受けてアメリアは、
「聞いてるわ。びっくりしてる。
 それで?それでゼロスさんの部下にでもなったわけ?―ああ、さっき違うって言ってたわね。じゃあゼラス=メタリオムとか??」
とげとげしい口調でぶっきらぼうに言い放つ。
怒りはリナに対してと自分に対してと、両方。
魔族に狙われてる状態では、セイルーンに寄って、などできなかっただろう。
「なに怒ってんのよ……。それに違うって」
アメリアが苛立っているので刺激しないよう声量は変えないが、なかなか話が進展しないことにリナも機嫌が悪い。
「あたしは死んで、混沌の海に還った。そこで会ったのよ、金色の王、ロード・オブ・ナイトメアに」
一瞬、ゼロスは顔をしかめた。
「そんで、そいつに気にいられちゃってさあ、直属の部下にされたってわけ。
 だからあたしは魔族でも神族でもないわ」
「!!!!」
これには大きな反応を見せるアメリア。
「なっ……!!そんなことって……あるの?」
「あったのよ。あたしは死んじゃったんだからもう大人しく眠りたかったのに」
「アメリアさん、アメリアさん、」
後ろからゼロスに呼ばれ、二人とも振り返る。
「リナさん今じゃ、僕なんかよりずっと強いんですよ?なんたってあのお方の力をもらっているんですから。ルビーアイ様の完全体とだって互角か、それ以上に渡りあえるはずです」
は??
「ピンとこないけど……まだ私がリナたちに会う前になんとか倒したって聞いたのが、ルビーアイの七分の一だから………とにかくとんでもなく強いのね?」
ついてこれていないアメリア。
リナはやれやれといった感じの動作で、
「あたしは名実ともに魔族を滅ぼしうる者として、目下魔族の敵なのよ。
 でもあたしに手出しできる奴がいなくなっちゃったから―これでも“あのおかた”の部下にあたるし?それで生前のことも考えてこちらの中間管理職のゼロスさんがあたしの監視役してるってわけ」
「まあ、体よく厄介者を押し付けられたわけです」
「なんですってえ!!?」
「冗談ですよ、冗談。僕はリナさんといれてうれしいんですよ?一度死んでしまったあなたがこうしてここにいて。
 それに、リナさんぐらいのものです。あのお方の直属の部下になってまで、呼び捨てをするなんて……」
その割には木の上でふんぞりかえって偉そうにしているゼロスをジト目で見るリナ。
その隙にアメリアは会話に入り込む。
「このことを隠すために結婚したふりしてたの?」
頷くリナ。
「でも、死んでしまったのは本当なんだから、そのまま死んだことにしておけばよかったじゃない」
でも、そしたら自分はただ城の中で感傷に浸っているだけだったかもしれないが。
「だってあたしはこの世界で顔を知られてるし、死んだことになると厄介だったのよ。知ってる人に会っちゃうかもしれないし。それに、こんな状況知られるわけにはいかなかったから」
「それ!!あの家にいた人たちはなんだったの?」
「あー、あれ?あれはただの人形よ。あたしの記憶を入れといて、上手い具合に対応するようにしてあるの」
あっさりと言ってくれる。
アメリアは、あの気にさわる言動も、リナではないのだから、それにあれのおかげで真実が見えたのだから、とおさえこみ、
「だったらあれ、直したほうがいいわよ。“あなた”赤ちゃんのこと全然気にかけてなかったわ。大きな物音で起きちゃわないか、とか」
「そ?ありがと。うーん、子育てなんかあたしの記憶にないし」
「ねえ、どうして教えてくれなかったの?せめて、あたしたちには教えてくれてもよかったじゃない!仲間でしょ!?」
すがりつかんばかりのアメリア。
「……………………………………ごめん。」
ずるい。
何か言い返してくると思っていたのに、こんな一言を、こんな真剣な声で言われては、もう何も言えないではないか。

「お姉さんには、家族には、会いにいきなさいよね」
溜息とともに言ったら、
「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理ッッッ!!!!!」
その名を出しただけで、青い顔して何歩も後ズサル。
「リナ!?」
アメリアは子供をたしなめるような口調で。
「お姉さんにあんな人形が通用するだなんて思ってないでしょう!?
 ご家族の方も、可哀想だわ…。バレバレなのに子供まで作られて!
 私、お姉さんと約束したの、絶対リナを見つけて連れてくるって!!それがこんな近くにいたなんて!!」
そこにいるのはどうしてそこまで?ってぐらい気弱な彼女。お姉さんの話題になるとこうなるリナは見ていられないぐらいだったから、みんな触れないようにしてたんだ。
「できるわけないじゃない……………言えるわけないじゃない………
 あたし、…あたし、姉ちゃんよりも強くなっちゃったんだよ……?姉ちゃんでさえ、もうあたしを倒せないんだ……」
「リナ…………」
抱きすくめたその体に、昔の温もりはなかった。
「でもいかなきゃダメ!!力の差がなんだっていうの!?今でもこんなに恐がってるのよ?本人前にしたら、泣き叫ぶに決まってるわ!!」
「いや、それ、もっと行きたくない」
励ましたつもりだったのに。




馬車においてきた人たちのことを思い出して、大事になったら困るので、一度話しをつけておかないと。
あの様子だから、私をおいてどこかに行ってしまいそう。ううん、絶対!!空間を渡られたらもう追いつけない。
「また消えたら、セイルーンの全権力を持って、あの子持ちのリナ=インバースはルビー・アイより上の魔王の部下になってるって、宣伝してやるから!!」
そう言って馬車に向かった私。
いきなりこんな話ってある??
信じられない。
でも変わらないリナがいて。

ああ―――、ガウリィさん、きっとリナのこと気にしてたんだなあ。
あんな平然としてたけど、あの人が何も感じないはずないのよね。
結局みんな旅をしていたんだ。
リナもガウリィさんも、ゼロスさんも――――――ゼルガディスさんも。
私はずっと城の中。
仕事が嫌なわけじゃない。大切な、市民のために意義のあることだもの。
きっともう、そう遠くないうちに、私は王族の誰かと結婚するだろう。父さんは無理矢理結婚させたりしないけど、私にいつまでも相手がいなかったら心配して見合い相手を紹介するに違いない。
銀髪の、どこにいるかもわからないあの人を脳裏に、溜息がでる。

重い足取りで歩いていたアメリアの背中に、
「アメリアさんっ」
明るいゼロスの声。
「うわあッってゼロスさん?どうしたんですか?リナは?」
「向こうで大人しく待ってますよ」
ついてきたようだが、ここにゼロスがいるならリナがどこかに行く心配もない。
「私に何か用ですか?」
穏やかだが真剣な顔になるゼロス。
「いえ、あんまり心配そうに見えたので……。
 これからリナさんは、あなた方とは違う時間を生きるんです。ご両親やお姉さん、アメリアさんに旅の仲間、そういったかたたちの死にも直面しなければなりません」
「……………………何が言いたいんですか?」
低い声。
「僕がリナさんを幸せにしますよ」


瞬間、蓄積していた想いが爆発したのを感じた。
バカにされた気がした。
生まれて初めて、人間の時間をはがゆく感じた。

そうだ!この人リナのこと……!!




「リナ!!リナ!!」
一度馬車に戻ってから、大急ぎで元の場所に戻る。
後ろからゼロスが、必要も無いのに細かい芸か、肩で息をしながらついてくる。気持ち悪い。―そこまで考えて、ちょっと怒りすぎかな、と思う。
あんまり急いで帰ってきたから、リナはあきれて、
「なぁによー、そんなに急がなくても、どっか行ったりしないわよ」
アメリアはそれも無視して、
「私!私も一緒に旅に行くわ!!私もついてく!!」
「は!?ちょっ…アメリア!あんたいきなり何言い出すのよ!!」
「私、きっと、これが旅に出る最後のチャンスになると思う。私、リナと旅がしたい!あなた、ホントはこれからのことが不安なんでしょう?私がいたらリナ、辛くなるかもしれない。でも私、リナといたい!私がリナを幸せにしたい!!」
「………ゼロス、アメリアに何か言った!?」
「心配しなくていいですよーって言っただけですよ。そんな恐い顔しないでくださいよ〜…」
ゼロスはあたふたして、また傍観に入る。
リナはあきれて、まあ何言ったのかだいたいわかるけど…と独りごちた。
「アメリア、聞いて」
諭すように言う。
「あたし、ゼロスのこと、いいように利用してるのよ?あたしはこれからどれだけ生きるかわからないわ。生きるって言い方は変だけど。
 その中で、あんたの死やガウリィの死を超えていかなきゃいけない。キメラのゼルだって、長生きはしてもやがて死ぬわ」
それに彼は人間の体の戻りたいのだし、とつけたした。
「その時に、ゼロスがいれば少しは癒されるでしょ?だから彼をキープしているの」
ゼロスはそれには反応しなかった。
「でも……」
「アメリア、あんた最後の旅になるって言ったわね?最後、ゼルはどうするのよ」
「!!!」
目を見開く。それは涙目。
「それは……これから考えるわ」
アメリアの立場も、なにもかも、リナには見透かされていた。
「それに…………別に、愛し合っているわけじゃないし」
リナの言葉を使ってやる。確かに愛し合ってはいないのだ。この気持ちを告げたこともなければ、あの人からそんな気配は微塵も感じられない。さて、どうでるか。
ささいな駆け引き。
「本当に、そう思ってるの?
 愛し合っていなきゃ、旅は出来ないの?あたしは随分長い間ガウリィと旅をしてたけど?」
負けた。
この人には敵わない。
「それでも、」
リナは一方的に続けた。
「それでも一緒に来てくれるなら…嬉しいけどさ。あたしのわがままだけど」
「リナ!!」
言葉と同時に、アメリアはリナの冷たい体に飛びついた。

「お城のかたに、いきなり旅に出るって言うだけ言ってスリーピングなんて、正義がすることじゃありませんね」
ゼロスが言うのが聞こえた。その顔は、ニコニコと笑っていた。



「これから行く予定はできましたか?」
「え?ゼル探すんじゃないの?」
「だからそれは、……まあ、これから!!行き先は決まってるわよ?」
「へー、どこよ」


「お姉さんのバイト先!!!」

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30339良かったです♪紗希 2004/7/3 18:23:05
記事番号30330へのコメント

>こんばんはー…思いっきりテスト中の琴見でぃーす……
こんばんわ〜。
大丈夫ですよ、私も結構やってましたし。
気にする事無いですよ、1夜漬けでなんとかなるものでもないですから!(失礼)


こんな事実になるとは、思いも寄りませんでした。
でも、何故か珍しく、今回はアメリア側に物事が考えてしまうんですよね〜、はっはっはι
誰も悪いわけではないのですが。

テスト期間なのに、よく書き上げました、師匠。
見習いたいものですv

ではv

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30345ありがとうです(‘∪‘)♪♪テスト真っ最中・琴見奈々 E-mail 2004/7/3 23:59:20
記事番号30339へのコメント


>>こんばんはー…思いっきりテスト中の琴見でぃーす……
>こんばんわ〜。
>大丈夫ですよ、私も結構やってましたし。
>気にする事無いですよ、1夜漬けでなんとかなるものでもないですから!(失礼)
テスト今日終わりました↑↓↑
うちのガッコは完全週休二日なので(楽々な生活)土曜登校はつらかったです……
そして数学が今回も全く自信なく……!!自分内追試決定。

>こんな事実になるとは、思いも寄りませんでした。
それならちょっと嬉しいかもですvv

>でも、何故か珍しく、今回はアメリア側に物事が考えてしまうんですよね〜、はっはっはι
>誰も悪いわけではないのですが。
むしょうにアメリア視点の話が書きたくなりまして。友達的なアメリナで。

>テスト期間なのに、よく書き上げました、師匠。
だからそんな大層なもんじゃないですよ;;;

>見習いたいものですv
沙希さんの方がすっごくステキなもの書いてるじゃないですか♪♪ここで私を見習ったらあかんです。混ぜるな危険!!

>ではv
いつもレスどうもです★★