◆−モリガナの魔王修行 1 叔父様の元へ−桜月 梓 (2004/5/31 20:49:29) No.30113
 ┣案外、リナと気があいそう(笑)−かお (2004/6/1 10:25:14) No.30117
 ┃┗そうですね(笑)−桜月 梓 (2004/6/1 18:40:22) No.30120
 ┣モリガナの魔王修行 2 魔族について−桜月 梓 (2004/6/1 19:56:20) No.30121
 ┣モリガナの魔王修行 3 叔父を倒した人−桜月 梓 (2004/6/11 17:07:05) No.30192
 ┗モリガナの魔王修行 4 連想したのはあの日の思い出−桜月 梓 (2004/6/14 20:54:12) No.30207


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30113モリガナの魔王修行 1 叔父様の元へ桜月 梓 2004/5/31 20:49:29



梓:あははは・・・目覚めをほっぽって始めちゃいました・・・パラレル(笑)
  これは 突撃アンソロジー小説創るぜ! の中に掲載された、神坂先生著、
  「あしたの大魔王」とスレの混合パラレルですのでご了承ください。
  ・・・モリガナ可愛いなぁ(関係無し。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


















 それはある日の事だった。














 「あー、皆さんにちょっと伝えておきたい事があるのですが」


 いつものように(フィブ・ガーヴを抜く)腹心達が集まり会議をしていた時の事だった。

 報告書を見、まとめながらふと魔王・・・ルビーアイが思い出したように声を上げた。

 ゼラスとダルフィン、そして顔色の悪いグラウシェラーが訝しげな顔をして見上げる。

 ルビーアイは心なしか顔をほころばせながら、3人に告げた。


 「実はですね、もうすぐ、私の姪っ子がこの世界に遊び・・・もとい、修行しに来るんですよ」


 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・魔王様・・・・・・・・・姪っ子がいらしたんですの?」


 初耳にしたルビーアイの言葉に、ダルフィンが微妙な顔つきをしながら首を傾げる。


 「えぇ、私の弟は異世界で同じく魔王をしているんですが、つい先日引退しましてねぇ・・・。
  それでその娘が魔王を継ぐ決心をしたという事で、魔王修行という名目でこの世界に
  来るという事をL様が自らに了承して下さったんですよ」


 「・・・・・・・えるさまみずから・・・・・・・」


 1滴の冷汗をつぅっと頬に滑らせながらゼラスは小さく小さく呟く。

 何だか裏があるとしか思えない、そうグラウシェラーは心の隅の隅の方で思ってしまった。

 ゼラスの呟きは聞こえなかったのか、はたまた聞こえない振りをしたのか、ルビーアイの言葉は続く。


 「それでですねぇ・・・、この書類がどうしても今日中かかってしまいそうなんですよ。
  なので、誰か、姪っ子にこの世界を案内してあげてくれませんか?」


 突然の事に3人は顔を見合わせる。

 が、やはり快く承諾する所か、皆で顔をしかめてしまった。


 ゼラスの手には何人もの部下たちからの人間界に対する報告書。

 机の周りにはまだ何十枚もある自分の真っ白な紙の束。


 ダルフィンの手には自分の管理する区域についての報告書。

 書いている途中なのかまだまだ空白が多い。


 グラウシェラーの手には失敗してしまった事件の全容の報告書。

 オマケに失った部下についての報告書までどっさりとある。


 誰も彼も手を離せる状態ではなかった。

 それを見たルビーアイも困った顔をして腕を組む。


 「うーん・・・これは困りましたねぇ・・・誰か、いませんか?」


 ふと、ゼラスがぽんっ!と手を打った、


 「ゼロスにやらせましょう。あいつは大丈夫ですから」


 「やってくれますか!ありがたいですね。ではゼラス、獣神官を呼んでくれますか?」


 「はっ!」









 数分もしないうちにゼロスがやってきて、4人の前で方膝をついて頭を下げる。

 それを見たルビーアイは頭を上げるように言った。

 ゼロスが頭をあげると、ルビーアイは確認としてゼロスに聞いた。


 「ゼラスからは聞いているな?」


 「はい。魔王様の姪のお嬢さんを僕が案内すると」


 「やってくれるか?」


 「もちろんです」


 にっこりと笑みを浮かべながらのゼロスの答えを聞くと、ルビーアイは満足そうに頷いた。

 そして後ろを振り向くと、ある1点に向かって手招きをした。

 ふいっ!と虚空が揺れて1人の女の子が現れる。



 腰上まであるつややかな漆黒の髪の両脇には、小さなドクロの髪留め

 しっかりと前を見据える緑の瞳は力強い

 どこかの両家のお嬢様のような、落ち着いた品の良い黒のドレス

 髪留めと同じ形のドクロのブローチと腕についた赤いリボンが良く映えている



 その少女はゆっくりとルビーアイに近づくと、1つ頭を下げた。


 「レイ叔父様、お久しぶりです」


 「えぇ、モリガナも元気そうでなによりですよ」


 ルビーアイはにっこりと笑うと、モリガナ、と呼んだ少女を前へと向かせる。

 少女はグラウシェラー、ダルフィン、ゼラス、ゼロスの順にを目の当たりにすると、

 ルビーアイにしたように、もう1つぺこりと頭を下げた。


 「・・・初めまして。レイ叔父様の姪のモリガナ=アズモビュードです。宜しくお願いします」


 「モリガナ、右からダイナストグラウシェラー、ディープ・シーダルフィン、グレータービースト
  ゼラス=メタリオム、そしてその部下である獣神官ゼロスですよ。
  そして、獣神官は今日1日お前を案内することになりました」


 「宜しくお願いしますね、モリガナさん」


 「こちらこそ」


 にっこりと笑って言うゼロスに、モリガナも微笑を返した。












 モリガナの魔王修行は今始まった。














―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:えーっと・・・続きます(爆)
  「あしたの大魔王」が好きな人は私と同士(ぇ)だと思いますね。
  ではでは。

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30117案外、リナと気があいそう(笑)かお E-mail URL2004/6/1 10:25:14
記事番号30113へのコメント
こんにちわ。桜月さん。
お久しぶりです。かおです。
新作ですね。ふふふふv
明日の大魔王ですかぁ。
あれ、続きかいてほしいですよねぇ。しみじみと・・・・ええ、いや、本当に。
モリガナのあのぶっちゃけたキャラクターが楽しいですしねv
案外、リナと出会ったら意気投合しそうなようなきがします。
ついでにアメリアだと、魔王なんて悪になろうだなんてやめましょう!
とかいって、正義の説得(笑)が始まりそーな予感がv
目覚めともども、楽しみにしておりますねv
それでは、意味不明の感想というかレスですが。
こちらもがんばってくださいね。
それでは、失礼しますのです。
BYかお

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30120そうですね(笑)桜月 梓 2004/6/1 18:40:22
記事番号30117へのコメント



梓:どうもかおさん、お久しぶりです。
  このたびはレスして下さってありがとうございます♪
  かおさんの名前を見た瞬間、嬉しさに叫んでました(ぇ)

  確かに・・・リナやアメリアと気があいそうですよね、モリガナは。
  というか、モリガナの空間転移とか光線を手で払いのけるのを見たら、
  リナは瞬時にルナを思い出すのではないかと思いました(笑)
  さすが魔王の娘ですよね。

  目覚めの方も見てくれているのですか?!
  ・・・が・・・、頑張ります(汗)

  いえいえ、本当にレスありがとうございました!!
  私、というか皆さん応援してますので、かおさんも頑張って下さいねv
  ではでは。


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30121モリガナの魔王修行 2 魔族について桜月 梓 2004/6/1 19:56:20
記事番号30113へのコメント


梓:という事で続きの、2 魔族について、です。
  やはりというか神坂FANの方は「あしたの魔王」知ってる人が多いですねv
  私的に、知らない人はかなりオススメだと思うのですが・・・v


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 「あの・・・」


 「はい?何ですか?」


 カタート山脈・・・というか、その中色々と案内していると、ふいにモリガナがゼロスにと声をかける。

 人の良い笑みを浮かべたまま振り返ったゼロスに、モリガナはその真面目な顔を崩さずに

 ゼロスにと問いかけた。


 「こちらの魔族の方の状況をお聞きしたいのですが・・・。
  異世界だとはいえ、他の魔王の方の統治方を知っておいても損はないと思いますし」


 すでに生徒手帳とシャーペンを手にして、メモを取る準備万端のモリガナ。

 ゼロスはポリポリと頬をかくと了承したのか1つ頷いた。

 そして先ほどのように歩きながらあちこち案内しながら、モリガナに話し始める。





 まず、この世界における創設者。

 「僕等は畏れ多いので“L様”と呼ばせてもらっています」


 その腹心と、その部下の対なるジェネラル・プリ―スト。

 「あなたの対は?」

 「ゼラス様は2人分の力を僕1人としてお創りになったんです」


 魔王と対なる神とその部下である竜王。

 「まぁスィーフィードさんは神魔戦争ですでに滅びて・・・あ、神魔戦争というのはですね」


 神魔戦争と降魔戦争の大雑把な説明。

 「・・・また違った意味でお父様と同じ状況ですね・・・」

 ここ数年に起きた事件とそれに関わった人間の、これまた大雑把な説明。

 「それで、リナさんを“人間とみなすな”っていう命令が出て・・・」

 「・・・そこまで・・・(汗)」


 最後に今の魔族の状況。

 「という事で、今竜王さん達にちょっかいかけられたくないというのが、本心ですね」





 ゼロスの話を聞いてメモしているうちに、モリガナは顔を少しだけしかめていた。


 「・・・レイ叔父様は2度も人間にやられてしまったのですね・・・」


 「いやぁ・・・まぁ・・・厳密に言うとそうなんですが・・・」


 だから話していいのか迷ったんですが、とゼロスはもごもごと口の中で呟く。

 メモをし終えたモリガナは生徒手帳とシャーペンをしまうと、ゼロスを見上げた。


 「良かったらそのリナ=インバースさん達に会って話を聞いてみたいのですが」


 「リナさん達に、ですか?」


 するとゼロスは腕組みをして数分間考え込んでいたが、しばらくするとそれを解いた。

 そして「分かりました」とにっこりとモリガナに笑いかけた。


 「僕も久しぶりなことですし、行きましょう。あ、僕に捕まっててくださいね」


 空間転移。

 モリガナ達にとってはそう呼ぶが、こちらの世界では空間移動と呼ばれる事を、

 さきほどゼロスから聞いたばかりだ。

 しかもそれは並の魔道士達でも出来た試しがないと。

 ゼロスに言われた事にモリガナは素直に頷いて、ゼロスの腕を掴んだ。


 「行きますよ」


 世界こそが違うからか、一瞬だけぐらりと視界が揺らめく感じはいつもと違うように感じられた。

 それに少しだけよろけそうになりなってモリガナは目を閉じた。

 次に目を開けた時に飛び込んできたのは、大きな街の賑わいだった。


 「ここはセイルーンです。どうやらリナさん達、アメリアさんに会いに立ち寄ったみたいですね」


 モリガナはゼロスから離れると、きょろきょろと辺りを見回す。

 もう少し先に大きな白い城が見えた。


















 モリガナの魔王修行はまだ始まったばかり。


















――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:そしてまだ続きます。
  次はリナ達と会う話になりますねー・・・。さてどんな展開が(ぇ)


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30192モリガナの魔王修行 3 叔父を倒した人桜月 梓 2004/6/11 17:07:05
記事番号30113へのコメント


梓:実はこれ、昨日書きあげていたんですよね。
  アップしようと思った時、親に呼ばれて返事したのはいいものの、
  間違えて「閉じる」を押してしまいました(爆)
  いやぁ・・・本当に嘆きました。


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 がきーん!!!きききんきんきききんきんきぃんっ!!!


 「あの」


 「はい?」


 どがしゃぁああん!!!がっきぃん!!ががががが!!!!!


 「いつもこうなんですか?」


 「大抵はそうですね」


 がしょががしょんっ!!がっ・・・・きぃぃいいいいいいいいいん!!!!!!!!!!


 「・・・そうですか・・・」


 「負の感情が溜まって結構良いんですよv」


 そして勝敗はついた。

 負けた悔しさに声が出ないのか、金髪の剣士はテーブルに拳を叩き込み項垂れる。

 逆に、隣にいた栗色の髪をした女魔道士は満面の勝ち誇った笑みを浮かべた。



 びしっ!!



 と、効果音つきで勝利の栄光を称え、右腕を天に指し伸ばす。

 その手に握られているのは光を反射して銀色に輝く、1つのフォーク。

 先には、ソースの匂いが食欲をさそうこってりと揚げられた一枚のロース肉。


 「よっしゃぁぁあああああ♪ロースさん勝取ったりぃぃいいいい♪」


 女魔道士は声を張り上げると、そのままロース肉を口の中に放り込んだ。

 ゼロスに連れられて、近くのレストランに入ったモリガナが見ていたのは。

 熱い昼食取り合い合戦だった。













 近くのメイドに頼んで卵焼きがメインの定食を頼み、昼食をとるモリガナ。

 もちろんゼロスは周りの負の感情を昼食にして、彼女達を楽しそうに見ている。


 「この人達に叔父様は倒されてしまったのですね」


 卵焼きを飲み込んでから、モリガナがぽつりと呟くとゼロスは何もいえずに苦笑する。



 魔王である叔父・・・ルビーアイ・シャブラニクドゥが、たとえ七分の一でも人間に倒された。

 その人間は討伐に向かった勇者でもない。

 魔道士リナ=インバースと、そのパートナーの剣士ガウリイ=ガブリエフ。

 モリガナはその力量を見てみたいがためにここに来たはず。

 ・・・まぁ、こんな勝負を見せられたら誰だってそう思うかもしれないが。



 ふと、リナ達を見ていたモリガナの澄んだ緑の瞳と、食後のコーヒーを飲んでいた

 リナの純粋な紅の瞳が偶然にもかちりと重なり合った。

 (・・・なるほど・・・瞳が強い・・・)

 ほとんど一瞬の事だったが、リナの瞳を見てモリガナはそう感じた。

 だがリナは、モリガナがそんな事を感じているとは気づかずに、視線を移して―――


 ごぶふぅうううううっ!!!!!!!


 静止したかと思った次の瞬間、コーヒーを思いっきり噴出した。

 もちろん、噴出されたそのコーヒーは顔が止まった方向に飛んでいくわけで。

 ゼロスはずぶ濡れになった。

 その濡れっぷりにはモリガナも卵焼きを食べる手を止めたほどである。


 「ぐげふげふげほごほごふげぇほっ!!!ぜぜぜぜぜっゼロスッ!!!!!!!!」


 「お・・・・・・・・・・・お久しぶりですね・・・・・・リナさん」


 多少口元は引きつっていたものの、ゼロスはハンカチでコーヒーを被った部分を拭きながら、

 力の限り咳き込んで指を差してくるリナに笑って挨拶する。

 しかし等のリナは

 だん!!

 と、テーブルにカップを置くと、ゼロスに詰め寄ってぎろりと睨んだ。

 目の合ったモリガナの事はまるで気づいていない。


 「“お久しぶり”じゃないわよ!!何であんたがこんな所にいるのよ!!」


 「いやぁ・・・」


 ぽりぽりとゼロスが頬をかくと、その行動にもリナは怒り、叫んだ。


 「ルークの恨み果たしてあげるわ!!」


 ルーク。

 その名前にモリガナがぴくりと肩眉を動かす。

 ルーク=シャブラニクドゥ。

 リナ達に最近倒されてしまった、叔父の七分の一として覚醒した人間の男。

 彼がリナ達の仲間であったとゼロスから聞いている。


 「だ、だってルークさんの事は別に僕のせいじゃ」


 「問答無用!!

  四海の闇を統べる王 汝の欠片の縁に従い 我にさらなる力を与えよ!!」


 リナは言葉通り問答無用で、魔力増幅の呪文を唱える。

 店の中だという事や、他の客がいるという事などすっかり頭から飛んだらしい。

 その呪文が聞こえたかなり運が悪かったとしか言えない魔道士や、何か危ないと

 本能で悟った一般人全員は、慌てて店の外に避難している。

 ガウリイはその場に留まっているが、リナの唱えた呪文に顔が青ざめている。












 「――――ドラグ・スレイブーーーーーー!!!!!!!!!!」











 リナの手から放たれる赤い閃光を見て、ゼロスは結界を張らずに思わず避ける。

 だが、ゼロスも忘れていた。

 後ろで昼食を再開していたモリガナがいるという事に。

























 ぺしん。

 ちゅどぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん!!!!!!!!!!


















 「危ないですよ、こんな所でそんな呪文を使ったら」


 「へ?」

 「ん?」

 「おや」








 モリガナに直撃したと思ったドラグ・スレイブは、いきなり軌道を変えて

 上に飛んでいき、店の天井から広く晴れ渡る青空を覗かせた。




















 モリガナの魔王修行はまだまだ始まったばかり。









――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


梓:やっと書けましたよ!!モリガナのあれ。
  すごいですねー、リナが恐れるあの人だって素手でやらないと思います(笑)
  後でもう1つのあれを出してみたいと思います。
  ではでは。

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30207モリガナの魔王修行 4 連想したのはあの日の思い出桜月 梓 2004/6/14 20:54:12
記事番号30113へのコメント


梓:・・・「目覚め」の続きが思いつきません・・・(汗)
  やっぱり主人公がガウリイは難しかったか。
  あそこまで書いたんだから書かなければと思いつつもこっちを更新・・・。
  っていうかまだこれも終わらないし(汗)



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


















 小さい頃は憧れたものだ。











 肩の上に切りそろえられた紫の髪は、つややかでサラサラで綺麗で。



 浮かべる微笑はきらきらと輝いていて。



 冷静沈着で落ち着いた物腰は何事にも余裕を感じられる。









 ドラグ・スレイブを軽々と受け止め。



 プラズマ・ドラゴンを包丁一本で軽々倒し。



 お仕置きと称して5歳の子供をレッサーデーモンの群の中に放り込み。



 ゼロスくらいの相手なら笑ってど突き倒せるように思え。



 時たま見せる黒いオーラが滲み出る黒笑顔など背筋を凍りつかせる。









 幼心に今尚健在のトラウマを刻んだ。






























 晴れ渡る青空は、清清しく澄んでいる。

 まぁ、それを見ているのが半壊した食堂の中からではなく

 爽やかな風がそよぐ丘ならば最高だったのだろうが。


 「何事ですかっ?!」


 あまり役に立たなくなったぼろぼろのドアを踏んで、少女が飛び込んでくる。


 「いやぁ・・・さすがでモリガナさんです」


 「卵焼きを死守するために跳ね除けちゃったんですけど・・・ど、どうしましょう(汗)」


 何故か楽しそうに拍手をするゼロス。

 おろおろと食堂の真上を見る黒いドレスの少女。


 「ドラグ・スレイブを手で撥ね退けるなんてまさか出来るはず無いわよ人間技じゃないわよっていうか姉ちゃんだって出来るとは思えないわだって姉ちゃんは軽々と受け止めるか払いのけてたけど剣使ってたもんあの子は姉ちゃんのような性格なの?っていうか姉ちゃんのような人間なの?どうしようどうしようあたしのせいじゃないけど姉ちゃんが押し置きにきたらどうしようそれだけは嫌ぁああああ勘弁して姉ちゃんごめんなさいだからお仕置きだけはお仕置きだけは嫌ぁぁああああたしがやったんじゃないのあたしは何も(呪文は使ったけど)悪くないのよだってルークの恨みをはたさないとゴキブリが生きててもあんまし役にたたないしそれに」


 「おい、リナ大丈夫か?」


 意味不明な言葉をぶつぶつと呟きながら床に突っ伏して嘆きまくるリナ。

 そのリナを慰めるガウリイ。

 飛び込んできた少女―――アメリアは驚きのために大きな瞳をもっと大きく見開いた。











 とりあえず食堂はゼロスが修復し、モリガナを含めた5人はアメリアの案内で城へと移動した。

 5人がいるのは応接室である。

 ようやく立ち直ったリナは少しだけ青ざめた顔でモリガナを見る。

 その視線を受け、モリガナは飲んでいた紅茶をテーブルに置くと立ち上がり、

 ドレスのすそをつまんで持ち上げると、リナ達にぺこりと一礼した。


 「どうも初めまして。モリガナ=アズモビュードです」


 その動作にアメリアがしゅたっ!と元気良く右腕を上げてにっこりと笑う。


 「私はアメリア=ウィル=テスラ=セイルーン、この国の第二王女やってます!」


 次にリナが顔色を良くしないまま小さめな声で言う。


 「・・・あたしは天才美少女魔道士リナ=インバースよ・・・」


 しかし決り文句はしっかりと言うリナ。

 そして最後にガウリイがにこにこと笑いながら言った。


 「俺はリナのパートナーのガウリイ=ガブリエフだ!宜しくな」


 「あ、僕は最初に挨拶しましたんで大丈夫ですよね」


 ゼロスがそう聞くとモリガナは頷いて、リナ達3人の方に向かってもう一度頭を下げた。


 「宜しくお願いします」















 モリガナの魔王修行はさらに続く。











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梓:終われよって感じですけどね(苦笑)
  まだ続きます。
  ってか話進んでないです・・・スランプ陥ったかも(汗)