◆−スレイヤーズTRYノベル:前回までのあらすじ−ハイドラント (2004/5/27 18:59:47) No.30082
 ┣スレイヤーズTRYノベル:二十九話:罪に汚れた血−ハイドラント (2004/5/27 19:35:02) No.30083
 ┣スレイヤーズTRYノベル:三十話:牢獄井戸−ハイドラント (2004/5/28 19:59:03) No.30086
 ┃┗Re:スレイヤーズTRYノベル:三十話:牢獄井戸−エモーション (2004/5/28 22:29:12) No.30089
 ┃ ┗Re:ようやく開始です−ハイドラント (2004/5/29 21:35:13) No.30091
 ┣スレイヤーズTRYノベル:三十一話:五つの力の集う場所−ハイドラント (2004/6/11 23:16:47) No.30193
 ┃┗敵対行為に取られても仕方ないような……。−エモーション (2004/6/12 21:33:19) No.30196
 ┃ ┗Re:敵対行為に取られても仕方ないような……。−ハイドラント (2004/6/14 20:24:22) No.30206
 ┗スレイヤーズTRYノベル:三十二話:終末の闇−ハイドラント (2004/6/14 22:37:13) No.30210
  ┗Re:スレイヤーズTRYノベル:三十二話:終末の闇−エモーション (2004/6/16 22:43:52) No.30220
   ┗Re:スレイヤーズTRYノベル:三十二話:終末の闇−ハイドラント (2004/6/20 14:07:40) No.30237


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30082スレイヤーズTRYノベル:前回までのあらすじハイドラント 2004/5/27 18:59:47


 第一期:担当者ラファエル
 物語は、わたくしとインバースさんが出会ったところから始まります。
 わたくしは彼女に仕事の依頼をしましたが、断られてしまいました。
 そこでわたくしは言いました。
 わたくしとの決闘に負けたら依頼を引き受けてもらうと。そして勝てたなら依頼料を全額支払って立ち去ると。
 彼女も乗り気になったため、わたくし達は決闘することになりました。
 結果はわたくしの勝ち。
 多分、彼女は疲れていたんでしょう。だから体調万全のわたくしに負けた。それだけのことです。
 さてそれから、わたくしと、インバースさん、それにインバースさんに連れであるガウリイ・ガブリエフさんは、芸術都市ムッサボリーナに向かいました。
 実はわたくしは依頼の代理人でしかなく、本当の依頼人はこの街に滞在しているのです。
 わたくし達は無事に真の依頼人である黄金竜の巫女フィリア・ウル・コプトさんに出会うことが出来ました。
 コプトさんは語りました。
 この世界で最も強い力を持つ四人の神の内の一人である火竜王ヴラバザードが、原因不明の病に掛かり、眠り続けていることを。
 実はインバースさんへの依頼は他でもない、火竜王の病を治療することです。
 こうしてわたくし達一向は火竜王の神殿に向かうことになりましたが、その日の夜、インバースさんがヴァルガーヴという男に襲われましたらしいです。
 この日、この街のシンボルである巨大な樹木に封印されていた怪物が復活したのですが、これもヴァルガーヴの仕業だそうです。
 わたくし達は協力してこの怪物を倒しましたが、街に出た被害は多大。
 ヴァルガーヴ……本当に許せない男です。
 翌朝、わたくし達はムッサボリーナを発ちました。第一期のお話はここまでです。


 第二期:担当者フィリア
 ムッサボリーナを発った私達は、国境を越えて北のアウスベリー王国に入国しました。
 アウスベリー大平原は自然が豊富で素敵なところだったんですが、その平原の真ん中で路銀が尽きてしまい、働かなければならない状況に追い込まれました。
 私はリナさんと一緒にある食堂で仕事をしていたんですが、大変なことに、よく来るお客さんの一人に恋をしてしまいました。
 私は彼に想いを告げ、晴れて恋仲になったのですが、彼は実は盗賊の手先でして、私は見事に罠にはまったというわけです。盗賊達に取り囲まれ、抵抗する間もなく誘拐されてしまいました。
 リナさんが助けに来てくれたのですが、実は盗賊達の標的は私だけではなく、私とリナさんだったのです。エイデンバングルという謎の人物が現われ、リナさんを 捕えようとしました。
 絶体絶命のピンチです。
 でもそこに助けが入りました。
 セフィクスという方らしく、女性なのに大きな剣を持っていました。
 彼女はエイデンバングルと良い勝負をしましたが、倒すことは出来ませんでした。エイデンバングルが私を連れて逃げたからです。
 こうして私は誘拐されることになりましたが、リナさんが助かっただけでも良かったと思います。
 セフィクスという方には感謝しなければなりません。


 第三期:担当者ミュヘン
 第三期のあらすじはこの僕――愛するフィリアと引き離され、単身地竜王様の神殿に向かうことになったミュヘンがやらせてもらうよ。
 何でお前がそんなこと知ってるんだ、って突っ込みは勘弁してね。
 フィリアが誘拐されてしまった後、リナちゃん達は、その時は僕もいた火竜王の神殿に到着した。
 その後、最長老様に会って、それからご病気になられた火竜王様を拝謁しにいったんだけど、病を治す方法が見つからず、途方にくれてしまった。
 そしてリナちゃんは自分にこの依頼が来たこと自体がおかしいと思うようになってしまった。
 それで話は変わるんだけど、フィリアをさらった謎の男エイデンバングルは、その身柄と引き換えに、神殿の秘宝――五つすべて集めると異界の魔王ダーク・スター(闇を撒く者)デュグラディグドゥを呼び寄せられるダーク・スターの武器ボーディガーを要求して来た。
 リナちゃん達は僕達とともにエイデンバングルを何とか撃退することになったんだけど、エイデンバングルという男は卑怯でね、フィリアを解放する前にボーディガーを奪って、その上、リナちゃんの命まで要求して来る。
 僕達にリナちゃんを殺せ、と言うんだよ。
 で正直に言うと、僕はリナちゃんを殺し掛けてしまった。
 ラファエル君が僕の魔法を防いでくれなかったら、僕は人殺しの罪を負っていたところだよ。
 で、その後どうなったかというと、パルス・タウンでもリナちゃんを助けたセフィクスという人がいきなり現われて、隠し持っていたダーク・スターの武器ネザードを使って、エイデンバングルをやっつけてくれた。
 フィリアも無事だったし、これで大団円さ。
 依頼料を巡ってのトラブルはあったけど、それはさておき、その夜リナちゃんはフィリアに会いにいった。 
 そこでフィリアはリナちゃんにある事件のことを教えることになった。
 火竜王様のご病気とほぼ同時期に起こった老巫女アデイル様の密室殺人事件さ。
 いや密室自殺事件かも知れないけどさ。
 それについては、本編の十四話「彼女は閉ざされた部屋の中に」の後半部分を読んだ方が良い。
 ここで説明するのは難しいからね。
 そして翌朝、地竜王祭がおこなわれ、僕は地竜王様の神殿にいくことになったんだけど、その後リナちゃん達も新たなる旅に出ることになった。
 それは今回倒されたエイデンバングルの仲間ヴァルガーヴを倒すための旅さ。
 リナちゃん達にはボーディガーが渡されることになったんだけど、これはヴァルガーヴは五つあるダーク・スターの武器を集めて、世界を滅ぼそうとしているので、持っていると神殿が襲われてしまうかも知れないから、という理由で渡された。
 まあ何にせよ、リナちゃん達には役立つ武器だよね。
 さて旅に出たリナちゃん達が向かうのは、古の都ローズ・シティ。
 そこは大昔、北国の大賢者マーヴェン・ローズとその連れレイ・マグナスとバース・ブラウンが訪れた街で、ローズ・シティのローズは、マーヴェン・ローズのローズなんだよ。
 でもそこにいく途中、変な連中が襲って来た。
 無数の白ずくめと、仮面を被ったシャーマンのような男。
 リナちゃん達は彼らに囚われ、彼らの言う神の御使い(暫定)の生贄に捧げられそうになった。
 でもラファエル君がもの凄い呪文を使って連中を屈服させ、すべては解決した。
 実は彼らの言う神の御使い(暫定)というのも、単なる珍獣だったみたい。


 第四期:担当者ゼロス
 どうやら、四期は僕が担当することになってみたいですね、よろしくお願いします。
 というわけで、早速始めることにしましょう。
 前期に引き続き、ローズ・シティを目指しての旅を続けていたリナさん達ですが、そこへいきなりヴァルガーヴが襲い掛かって来ました。
 ヴァルガーヴは第一期の時に、僕の手によってひどい怪我を負わされていたのですが、ここへ来てついに復活したみたいです。
 リナさんはヴァルガーヴに襲われ、窮地に陥ったわけですが、僕がうまいタイミングで現われ、ヴァルガーヴは僕との直接対決を恐れたようで逃げ、その場はどうにかなりました。
 リナさんは助けに来るのが遅いと、僕を咎めましたが、これは仕方ありませんでした。
 僕だって忙しいんです。
 僕達魔族は神族によって完全に包囲され、この窮地を逃れるためには、神族の王だった赤の竜神スィーフィードの手によって七つに分けられ、人の心に封印された魔王シャブラニグドゥ様の欠片を早急に探さねばならない状態だったのです。
 ところで話は変わりますが、ヴァルガーヴは僕に、リナさん宛てのメッセージを一つ残していきました。
 ローズ・シティの「最も古き場所」に来い、というメッセージです。
 僕はリナさんとの別れ際に、そのメッセージを伝えました。
 さてローズ・シティに辿り着いたリナさん達ですが、すでに「最も古き場所」へいくことは全員一致で決まっていたみたいです。
 「最も古き場所」へいくまでには、色々と時間が掛かりましたが、どうにか見つけ出し、入ることが出来ました。
 「最も古き場所」とは、地下遺跡のような場所でした。
 ここは千百年前、この街を創ることとなった人間達が発見し、封印した場所らしいです。
 実はすでに滅びた古代竜という竜族の遺跡で、一番奥にはダーク・スターの武器の一つ、ラグド・メゼギスが今も安置されていました。
 実はそのラグド・メゼギスの場所へいく途中の通路は、黄金竜による封印によって閉ざされており、何とヴァルガーヴはそれをリナさんの旅の仲間であるフィリアさんに開けさせようと企んでいたのでした。
 つまりヴァルガーヴはリナさん達を罠に掛けたわけです。
 ヴァルガーヴは、リナさん達に襲い掛かりました。
 でもリナさん達から見れば、圧倒的な力を持つヴァルガーヴも数の力には敵いませんでした。
 セフィクスさんという方が現われて参戦し、形勢は逆転しました。
 ですが、これでは終わりませんでした。
 実はヴァルガーヴは今まで、力を隠していたのです。
 ヴァルガーヴが真の力を解放して、再び襲い掛かり、リナさんが気を失ったところで、四期は終わっています。
 ちなみにその時、僕は何をしていたかって?
 ああ、それは秘密です。


<@><@><@><@><@><@><@><@><@><@>


 こんばんはハイドラントです。
 どんどん長くなっていくあらすじです。
 その内、本編一話分より長くなってたりして(失笑)。
 でも長い連載なので、忘れるたびに読み返してもらうのも恐縮ですし、やっぱりこれくらいはいるかなあ、思うわけです。
 

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30083スレイヤーズTRYノベル:二十九話:罪に汚れた血ハイドラント 2004/5/27 19:35:02
記事番号30082へのコメント

 第二章:暁よりも眩きもの


 29:罪に汚れた血


 長い夢を見た。
 内容は全く記憶にないが、懐かしい景色が出ていたような気がする。
「ああ、やっと気がつかれましたか」
 あたしの目覚めは、どこか不安定だが明るい安堵の感情が込められたと思しい声に出迎えられた。
 だが、けして心地の良い目覚めとは言えそうにない。
「大丈夫ですか?」
 頭が痛い。
 それにひどく寒い。
 辺りを氷が取り巻いているのではないかと思えて来るほどだ。
 地面の感触は岩に似ている。
 洞窟か何かの中なのかも知れない。
「……ここは?」
 疑問を発しつつ、眼を見開いた。
 何も見えない。
 闇が広がっている。
 暗くて絶望的に深い闇が。
「さあ? それはちょっと……」
 あたしはその声を聞きながら、思考を起動させる。
 ここへ辿り着くまでの経緯、それを思い出すために。
 最初は頭がうまく回ってくれなかったが、目が闇に馴染むのと同じ、いやそれ以上のスピードで、凍結していた思考は回転速度を速めていく。
 そして真っ暗な記憶の洞窟に曙光が見えたかと思った時、ぱっ、と眩い光が目を横切ったか如く、あたしは瞬間的にすべてを思い出した。
 そういえば、あたしはヴァルガーヴと戦っていたのだった。
 ヴァルガーヴにダーク・スターの武器が封印された場所に誘い出され、そこで襲われた。
 そして気を失った。
 恐らく負けたのだ。
 だが傷はなさそうだ。
 どこも痛まない。
 すると、あたしは単に気を失っただけとなるわけか。
 そういえばボーディガーは? 
 最長老から預かった大切な宝物は? 
 やはり奪われたのだろうか?
 もしそうだとすると、事態は非常にまずい。
 五つの武器の内、四つがヴァルガーヴの手に渡ったことになる。
 残りは一つだ。
 五つの武器が揃えば異界の魔王が呼び出され、神も魔も衰弱し切ったこの世界は、滅び去るしかないだろう。
 最後の一つは、どこかに隠されているのか、封印されているのか、誰かの手に渡っているのか、少なくとも今のあたしには分からないが、絶対に揃わせてはならない。
 ヴァルガーヴは止めなければならない。
 世界のために戦うというのは、陶酔的で英雄主義的に聴こえるかも知れないが、世界が滅びればあたしは死ぬのだ。
 あたしは生きるために戦う。
 いや、もしや戦うために生きているのかも知れない。
 自分を特別好戦的な人間と思ったことはあまりないが、心のどこかで戦いを求めているのは間違いないと思う。
 あたしは戦うために戦っているのかも知れない。
 それにしても、すぐ側にいるのは、あたしに声を掛けたのは、フィリアではないか。
 そういえば、さっきの声もフィリアのものだったような。
 ヴァルガーヴにやられたはずなのに、五体満足で生きている。
 なぜ?
「……生きてたの?」
 意外にもストレートに言葉が出た。
 言葉が出てから後悔した。
 あまりにも失礼なもの言いではないか。
 だが視界にうっすらと浮かぶフィリアは、その言葉を不快とは思わなかったようだ。
 嬉しそうな声で、はいと言った。
「こう見えて、意外と丈夫に出来ていますから」
「でも腕が……」
 そう言いつつ、あたしは血の海でぐったりしていたフィリアの姿を思い出し、身震いしてしまう。
「誰かが癒してくれたみたいです。……多分、ヴァルガーヴが……」
「ヴァルガーヴが?」
 まさか。
 敵の傷を癒すなどということがありえるのか。
 それに古代竜のヴァルガーヴは、黄金竜のフィリアを強く憎んでいるのではないのか。
 いや、憎しみがあったからこそ、彼女を救ったのだろうか。
残酷な光景を――恐らく世界の終わりの始まりとなる光景を――、見せつけてやろうという気持ちがあったからこそ。
 だが、それもおかしい気がする。
 殺そうという意志があったのなら、最後までそれを貫くのが普通だ。
 彼は相当気まぐれな男らしいが、それでもいきなり気が変わるというのは絶対におかしい。
 何か事情があったのだろうか。
 まあヴァルガーヴのことは後で考えれば良い。
「まあ、とにかく生きてて良かったわ」
 あたしは笑顔で言った。


 フィリアは、あたしよりほんの少し前に、同じこの場所で目を覚ましたらしい。
 そこは洞窟の袋小路のような場所を使った牢獄部屋のようだが、フィリアの調べでは内外を隔てる扉には鍵は掛かっていないようだ。
 何とこの部屋はヴァルガーヴのアジトの一画で、フィリアが過去にエイデンバングルにさらわれた時、監禁されていた部屋でもあるのだという。
 つまり鍵を掛けることの出来る部屋なのだ。
 となると、なぜ扉に鍵が掛けられていないのだろうか。
 今の時点では、掛け忘れた、わざと掛けなかったの二つの可能性が考えられるが、どうもどちらの説にも賛成し難い。
 所持品は、ボーディガー以外何も取られていないようだ。
 その中には携帯食糧もあるから、空腹で困るということもない。
 問題は宿において来た書物類を始めとする貴重品だが、生きて帰れれば取りにいくことも出来るだろう。
 あたし達はしばらくはその部屋に留まっていた。
 いきなり歩き出す気にはなれなかったのだ。
 だがこの場所は非常に寒い。
 ここで倒れている間に、風邪をひいてしまっていたようだ。
 頭痛を感じるだけでなく、喉と鼻の調子もおかしい。
 症状はどれも重いものではないし、熱はあまり高くなさそうなので、今のところはほとんど問題にならないが、こんな寒い場所にいては悪化する一方だ。
 あたし達はここを抜け出すことにした。
 まさか出口まで続いているとは思えないが――あたし達は囚われの身のようだから――、ここよりマシな場所はきっとあるはずだ。
 あるに違いない。
 あたしは扉を開けた。
 扉の向こうも闇の世界だ。
 明かりの呪文を唱え、後ろのフィリアを確かめてから暗闇をゆっくりと進んでいく。
 道は一本で、今のところ分岐路はなさそうだ。
 歩いていて、何度かくしゃみが出た。
 本当に寒い。
 どれくらい歩いた頃だろうか。
 突然、黙り込んでいたフィリアが声を出した。
「……ねえ、リナさん。悪って一体何なのでしょうか?」
 いきなりのことの驚いて、あたしは返答に詰まった。
 後ろを振り向き、フィリアの顔を窺ってみる。
 ヒビの入った硝子のように、今にも壊れてしまいそうな弱々しい表情をしていた。
 あたしは歩くペースを落として、フィリアの横に並ぶ。
「千百年前、私は小さな子供でした。さすがに虐殺を直接見てはいませんが、惨劇の跡はしっかりと見ましたし、色んな人から話を聞いていますので、大体どんなものだったのかは分かっているつもりです」
 始めは弱々しい声だったが、どんどん感情が溢れ出し、暴走するように言葉が次々と吐き出されるようになった。
 あたしは何も答えなかったが、代わりに一言一句聞き落とさないようにしっかり耳を傾けた。
「あの大虐殺がおこなわれたのは、火竜王様が巫女の一人にそうせよ、と神託を下したからだそうですが、今でも信じることが出来ません。……火竜王様は、古代竜が世界を脅かす存在だと言ったそうです。古代竜は魔族と同じで、敵だと」
 流れ出る言葉。
 零れ落ちる涙。
 倒れそうになったフィリアを支える。
 濡れた瞳を正面から見据えた。
「……ごめんなさい。実はダーク・スターの五つの武器は、元々すべて古代竜が持っていたものなんです。今までずっと黙っていました。……古代竜のことは黄金竜全体の秘密だったんです。その、過去の傷に触れられたくないからといって……」
 もしや黄金竜が古代竜を虐殺した動機は、古代竜が五つの武器を所有していたからではないだろうか。
 黄金竜はきっと五つの武器を危険視していたのだ。
 だが危険だからと言って、簡単に排除してしまうものだろうか。
 第一、もっと穏便に済ませる方法があったはずだ。
「私達黄金竜は、まず古代竜に会談を要求しました。そして古代竜が油断したところを……。古代竜は地の利があるとはいえ、私達以上に少数の種族だった上に、奇襲で動揺しており、戦う意志の見られなかった者もいたらしいので、ほとんど一方的な戦い、つまり虐殺となったみたいです」
 辛くなっても、フィリアは必至で言葉を吐き出す。
 それを大きな義務として考えているに違いない。
 逃げない、という意志が伝わって来る。
 彼女は強い女性だ。
 あたしが思っていたよりもずっと、遥かに。
「古代竜の住処は全部で五つありました。そのすべての住処に一つずつダーク・スターの武器を保管していたそうです。……私達の目的はそれを奪取することでもありましたので、すべての住処を襲いました。古代竜はそれによって絶滅しました。けれでも私達が持ち帰ったのはボーディガーのみです」
「……他の武器は?」
 沈黙し続けようと考えていたあたしだが、どうしても気になる疑問だったので訊ねた。
「まず二つは古代竜に持ち去られたのか行方不明で、それは恐らくヴァルガーヴが持っていたもの――確かあれはガウリイさんが持っていたものなんでしたよね(*1)――と、セフィクスさんという方が持っていたもの(*2)だと思います。次の一つは古代竜によって今でも封印されています。残りの一つ、つまり先ほどの遺跡で見つけた武器ですが、あれは意図してあそこにおかれていたもののようです。……神殿に武器が二つあると、神殿が襲われた時に一気に二つとも奪われてしまいますから」
「武器の内の一つは、今でも古代竜に封印されてる言ったけど、それだとヴァルガーヴなら手に入れることが出来るんじゃないの?   ヴァルガーヴは古代竜の生き残りなんでしょ?」
「ええ。でもさらにその上から黄金竜の結界が張ってあるので安心です。でも……」
 結界に護られていたラグド・メゼギスはあたし達のせいでヴァルガーヴの手に渡ってしまった。
 それと同じことが起こらないとも限らない。
「それともう一つ訊くけど、古代竜が武器を封印した動機って何かしら?」
「……やはり私達の手に渡って欲しくなかったんでしょうか?」
「ダーク・スターが召還されることを避けるためかも知れないわね。そうなると古代竜には初めから世界を滅ぼす意志は……」
「そ、そうだとすると……」
 あたしは思ったことを言っただけなのだが、この言葉はフィリアにとっては残酷なものだったのかも知れない。
 古代竜が危険な考えを持っていないとすれば、黄金竜は一方的な悪となる。
 何が善で何が悪かということは、そう簡単に決めて良いものではないとは思うが、問題は黄金竜が悪であるかどうかではなく、フィリアが自分の種族を悪と思うかどうかである。
 もしも自分の種族が絶対なる悪だと思ってしまい、それを拭うことが出来なかったら、今度こそ彼女は種族の罪に溺れてしまうかも知れない。
 自分以外の黄金竜達の罪、あるいは黄金竜に命を下した火竜王の罪であり、自分の罪ではない、という風に考えることは生真面目な彼女には出来るか分からないからだ。
 そう考えると、今のは明らかに失言だった。
 あたしはそれ以上何も言えなかった。
 失言を取り繕うことも、薄っぺらい言葉で慰めることも出来なかった。
 再び完全なる沈黙。
 あたし達は黙ったまま歩き続ける。
 右足を出し、左足を出して、また右足を出す。
 そして一歩ごとに呼吸をしている。
 歩いていて一つ浮かんだことがある。
 フィリアは、自分が黄金竜であることから逃れようとしていたのかも知れないということだ。
 黄金竜であることによって生じる罪から逃れようとしていたのかも知れない。
 あの森での逃避行の途中、フィリアが自分は飛べないと言った(*3)。
 幼い頃に飛ぶのに失敗したと言ったが、失敗したのは飛ぶことが出来なければ黄金竜という存在ではなくなるかも知れないと、無意識に思ったからなのかも知れない。
 人間の姿を取っていたのは別の理由からなのだろうが、その理由が全く含まれていないとは限らないだろう。
 彼女は、黄金竜の血から逃れようとしていた。
 虐殺者の血の呪縛から解放されようとしていた。
 もちろんすべて想像に過ぎないし、たとえ真実だとしてもそれは過去の話だ。
 彼女はあたしにすべてを告白し、自らの血に宿る罪に正面から戦いを挑んだのだから。
「そういえば、あの歌ですが……」
 意外にも沈黙を打ち破ったのはあたしではなくフィリアの方だった。
 それも出た声は暗くはなく、むしろ不自然なほど明るい。
「あの歌って?」
「ほら、あの夜歌っていたじゃないですか。ほらアウスベリー王国で……」
 ああ、確かあたしが夜中に目を覚まして、屋上にいった時のことだ(*4)。
「それがどうしたの?」
「あの歌ですが、古代竜の住処で聴いたものなんじゃないかと思うんです。多分、古代竜の誰かが歌っていて……」
 あたしは返答の代わりに、フィリアの目を覗き込んで、一、二秒悩んでから微笑んだ。
 やがて一本道は終わる。
 あたし達は円形の空間に出た。


 注釈


 確かあれはガウリイさんが持っていたものなんでしたよね(*1):四話などを参照のこと。当然、フィリアには伝えてある。

 セフィクスさんという方が持っていたもの(*2):十三話などを参照のこと。

 あの森での逃避行の途中、フィリアが自分は飛べないと言った(*3):十七話参照のこと

 ああ、確かあたしが夜中に目を覚まして、屋上にいった時のことだ(*4):七話参照のこと。


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 この連載の投稿は、かなりお久しぶりとなります。
 スランプというわけではないでしょうが、何か最近、小説いじりをする気が起こらないことが多く、目も痛かったので、こうなってしまいました。
 まあ、それはともかく第二章突入で第五期です。
 今回明かされた情報は、ほとんどアニメにもあったようなものばかりですが、意図的にアニメと違えてある部分があります。
 しっかりと読んでくださっている方で記憶力の良い方ならば、もしかしたらそこから一つの事実を推理出来るのではないかと思われます。
 とか言いつつ、実はまだ大分後に明かされることなので、推理されてしまうと、かえって困ってしまうわけですけども(笑)。
 

 最近の状況

 ・HP
 現在HP再設置に向けて動き始めてます。
 まだHPを作るための登録(再登録になりますね)が完全に終わってない状態ですが、構想は半分以上出来ています。
 少なくとも前回よりは良いものになるはずです。

 ・その他のお話
 ヴァルフィリものの構想がようやくまともな形になり始めて来ました。結構本格的なストーリーかも。でも中編程度で収まるかどうか不安。

 ・読書
 目が痛いけど、それでも痛くない時を狙って読んでます。ペースはかなり遅くなってますが。
 「アベラシオン」(篠田真由美)を読了。古い宮殿で起こる殺人と宮殿に関わる人達の過去にまつわる話。重厚な話でなかなか面白かったですが、ミステリーとしては少し弱いかな。他の賞はともかく本格ミステリ大賞は取れそうにないですね。やっぱり授賞は「暗黒館の殺人」(綾辻行人)か「監獄島」(加賀美雅之)かな?
 福井晴敏「終戦のローレライ」を読中。太平洋戦争終期を舞台にした潜水艦の話。重厚で派手で壮大で熱い。日本男児ならこれを読め、というところでしょうか。同年の作品に「サウンドトラック」(古川日出男)という傑作がありますが、多分それ以上ですな。
 ……分からない書名などがありましたら、検索されるか無視されることをおすすめ致します。

 
 

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30086スレイヤーズTRYノベル:三十話:牢獄井戸ハイドラント 2004/5/28 19:59:03
記事番号30082へのコメント


 ・ニュース
 明らかに文章がおかしい箇所を発見してしまいました
 実害は薄いものの、今回の連載分にも関わって来るものなので、一応報告しておきます。
>よく見てみると、台座の中心部分辺りには赤いボタンのようなものがあり、その数字列は台の中に埋め込まれた四つの独立した回転可能なリング状のものに書かれているらしく、またすべてのリングには現在表示されていない数字も書かれているようで――台座に埋まって見えない部分に――、リングを回転させることによって、数字列を0000から9999までの好きな数字に変えることが出来た。
 という部分です。
 ボタンのことから急に数字の話に変わってます。
 多分、この辺りをいじってる時に間違って間の部分を消してしまったみたいです。
 正確(まだちょっとクエスチョンな部分もあるんですが実は)にはこうです。
>よく見てみると、台座の中心部分辺りには赤いボタンのようなものがあり、その側には数字が四つ並んでいる。
>その数字列は台の中に埋め込まれた四つの独立した回転可能なリング状のものに書かれているらしく、またすべてのリングには現在表示されていない数字も書かれているようで――台座に埋まって見えない部分に――、リングを回転させることによって、数値を0000から9999までの好きな数字に変えることが出来た。
 ちなみに一応、修正依頼は出しておきました。


 30:牢獄井戸


 そこは円筒の底面という風な感じをしていた。
 井戸の底と言い替えても良いかも知れない。
 上部に天井はなく、空から弱い光が垂れて、微かに闇を照らしているが、あまりに弱過ぎて照明というほどではない。
 明かりの呪文は消さないで、上を見上げると、遥か彼方の天に微かに白く光る月と、それ以上に小さな星の粒が見えた。
「綺麗ですね」
 正直、それほど綺麗だとは思わなかったのだが、そう言われてみた後では、不思議とそうかも知れないと思えて来た。
 そのまま空を見ていると、壁の部分を階段が取り巻いていることに気付いた。
 ということは、どこかに上に登る道があるということになる。
 あたし達は、空を見るのはいったん止めて、広間を探索することにした。
 暗闇を丹念に明かりで照らし、歩き回る。
 しばらくしてあたし達の目に止まったのは、ローズ・シティの地下で見たものと同じ、奇妙奇天烈な機械であった。
 あの赤いボタンや、ダイヤル錠のダイヤルのような四つのリング状のものに書かれた数字によって成り立っている数字列もついている。
「……こんなところにもありますね」
 一体何の機械なのだろうかと、しばし考えていると、
「もしかしたら、転送装置なのかも知れません」(*1)
「転送装置?」
 ある場所から別の場所へと、人やものを送る装置ということだろうか。
「それなら二つの場所にある理由が説明出来ます。私達もこの装置で運ばれたのかも知れません」
 なるほど。
 確かに妥当な考えなのかも知れない。
「使ってみる?」
 あたしが訊いてみると、フィリアは首を振って、
「止めた方が良いと思います。何か嫌な予感がします」
「同感ね。ヴァルガーヴがあたし達を簡単に逃げられるような状況におくとは考えられないわ」
 もしあれがフィリアの言うように転送装置ならば、ダイヤル錠を解くように、あの数字列の数値を一定のものに合わせた状態で、赤いボタンを押すことによって使用出来るのだと思う。
 だがその一定の数値は、0000から9999までの間でたった一つ。
 一発目で、使用出来る可能性は一万分の一で、もし数値が一定のものになっていない状態でボタンを押してしまった時に、何かのペナルティが発生しないとは限らない。
 そのペナルティがあたし達、あるいは機械自身へ、二度目の挑戦を不可能にするような影響――あたし達の命が奪われるというものもそれには当てはまる――を与えるものだとも充分に考えられるため、迂闊な挑戦は止めた方が良いのだ。
「これは切り札ってことにして、他の出口を探しましょう」
 あたしがそう言うと、当然フィリアも賛成し、広間の探索が再開された。
 今度は階段――やはり階段があった――と、今まで歩いて来たものとは異なる横穴を一つ見つけることが出来た。
 どうやらここには他には何もなさそうだ。
 さてあ階段か横穴、どちらを選ぶか。
 あたしがフィリアに問い掛けると、フィリアはあたしと同じ答えを示した。
 こうしてあたし達は階段をゆっくりと昇り始める。
 昇る順番はあたしが前でフィリアが後ろだ。
 階段は、右手側が壁に面した非常に幅の狭いもので、石を削って造ったものと思われる。
 途中にいくつかの横穴があった。
 だがあたし達はそんなものは無視して、星をちりばめた自由な夜空に向かい、迷わずどんどん上へ進んでいく。
 階段の途中で、ふと一つの考えが浮かんだ。
 火竜王の神殿の閉ざされた文書庫。
 もしもそこに重要な秘密を記した文書が隠されていたとしたら……。
 火竜王の神殿で起こったらしい老巫女アデイルの死亡事件。
 最長老を犯人と仮定してみた場合、その動機は隠された文書を守ることになるのではないか。
 もちろんその文書の内容は古代竜虐殺事件についてのことに違いない。
 その事件を公に知られてしまえば、神殿の印象は大きく悪くなるだろうから、何とかして隠し通さねばならない。
 ゆえに開放しようと主張する者を殺した。
 いや、とあたしはその仮説を否定した。
 それならその書物だけを焼けば良い。
 他の竜達も納得してくれるだろう。
 何も殺人にまで及ぶことはあるまい。
 だとしたら、神殿の竜族にさえ知られてはならぬものが隠されているとか。
 悪事や不正の証拠のなるものとか?
 いや、それはもしかして……
 そう思ったその時、あたしの頭はいきなりもの凄い速さで回り出した。
 空へと高く跳ね上がるように、真相に向かって思考はジャンプを始める。
 真相が手に届きそうになったその瞬間、視界が揺らいだ。
 身体の体勢が崩れる。
 階段につまずいたのだ。
「大丈夫ですか?」
「ええ、大丈夫だわ」
 慌てて地面に手をついたため、身体に傷はつかなかったが、今ので、先ほど掴み掛けた事件の真相は、再び闇に沈んでしまった。
 大切な記憶を失ってしまったことを、あたしは心の中で激しく悔やんだ。


 井戸の出口、地上を目指していたあたし達だが、階段は途中で切れていた。
「どうやら出られないようですね」
 最上部の横の壁にも横穴が空いているが、果たしてこれが出口に繋がるものかどうかは分からない。
「飛ぶしかないわね。良い?」
 フィリアは一拍おいて頷いた。
「浮遊(レビテーション)!」
 明かりをつけたままフィリアの手を取り、宙に浮き上がる。
 少しずつ高度を高めていく。
 だが一定の高度に達した時、あたしの頭は何かにぶつかった。
 だが上を見ても何もない。
 確かに感触はあるのだが。
「どうしたんです?」
「……透明な壁か何かがあるわ」
 フィリアの問いにあたしは答え、ゆっくり高度を落としていく。
 階段に戻るなり、あたしは呪文を唱えて術を放った。
「火炎球(ファイアー・ボール)!」
 狙いは真上である。
 あたし達を閉じ込める障壁を粉砕してやるのだ。
 閃光があたし達の目を焼く。
 派手な爆発音がして、熱気がここまで降りて来た。
 だが灼熱の焔を浴びてなお、壁が壊れた気配はない。
「だめですね」
「こうなりゃ、竜破斬で……」
「止めてください」
 無論、冗談だ。
 そんなことをすればあたし達自身にも危険が及ぶ。
「……覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」
 そこで竜破斬よりは一ランク劣る威力の術を放った。
 だがこれも無駄であった。
 その後も色々試したが、あの障壁を破ることは出来ず、仕方なくあたし達は横穴に入ることにした。
 横穴はあたし達が囚われていた場所と同じく一本道だった。
 心なしか、道が昇りの傾斜になっているように感じる。
 もしや本当に出口に通じているのかも知れない。
 だがよく考えてみると、そんなはずはないと分かる。
 あたし達は身体こそ自由だが、ヴァルガーヴに囚われた状態なのだ。
 この建物自体が牢獄となっているはず。
 それでも光で闇を切り裂いて、どんどん通路を進んでいく。
 この道がどこに通じるのかは分からないが、じっとしているわけにはいかないのだ。
 やがて一つの部屋に出た。
 かがり火に照らされた五角形の部屋。
 そこにヴァルガーヴはいた。
 

 注釈

 一体何の機械なのだろうかと、しばし考えていると、「もしかしたら、転送装置なのかも知れません」(*1):転送装置というと、円形の足場があって、近くにあるボタンなりレバーなりをどうこうすると、その足場に乗っているものだけが転送されるという風なイメージがなぜかあるが、この機械には足場となる場所がない。だがその程度のことでは、この機械が転送装置である可能性を完全に否定することは出来ないだろう。


 あとがき
 
 というわけで、こんばんは、ハイドラントです。
 本来この二話は一つの話でしたが、それだと長過ぎて読むのも大変だろうし、一気に直すのも辛いので、二つに分かれることとなりました。
 さて、次回からはついにこの話の第一の大波とでも言うべき重要なシーンに入ります。
 それでは、今回のあとがきはこれまでということに。

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30089Re:スレイヤーズTRYノベル:三十話:牢獄井戸エモーション E-mail 2004/5/28 22:29:12
記事番号30086へのコメント

こんばんは。

「TRY」ノベル、第五期開始ですね。
目が覚めたら側にいたのはフィリア。
あれだけ凄まじいダメージを受けていたのに、五体満足で無事……。
傷を治したのがヴァルガーヴだとすれば、本当にどんな意図があるのか、謎ですね。
まあ、必ずしもヴァルガーヴが治したとは、限らない訳ですが。
それこそ空間を渡れる方々(ゼロス含む)が、ヴァルガーヴと何らかの交渉をし、
ヴァルガーヴが渋々でもそれを受け入れた結果、かもしれないですし。
(ケガを治したのは、交渉した側にとって、その方が都合良いからですね。その場合)
さらにガウリイとラファエルさんとは、分断されているようですが、
二人はどうしているのでしょうか。そのうち合流できるのでしょうか。

そしてフィリアが語る「黄金竜による古代竜虐殺」……。
微妙に謎がありますね。「本当に火竜王様から、そんな神託を受けていたのか?」とか。
人間よりもずっと、神の存在を理解しやすい竜族相手に「神を騙る」のがいても、
不思議なさそうですから。
ちなみに全然話の本筋と関係なさそうな部分、「何故古代竜がダークスターの武器5つを、
全部、所有していたのか?」が、一番気になってます、私……(^_^;)

ローズ・シティから連れてこられた謎の場所。
出られないまでも自由に動き回れる以上、ヴァルガーヴがいた五角形の部屋へは、
いずれたどりつくわけですが、それはある意味、ここでわざわざ待っていたようなものですね。
何か見せたいものがあったのでしょうか。

また、アデイル様死亡事件も、やはりきっちり絡んでいるようですね。
出たはずの答が、どこかへ消えてしまったリナ。これは悔しいですね(^_^;)
私は「実は現在ある書物、知識の源になっているのは、全部古代竜虐殺の際に
戦利品で奪ってきたものだった」とか妄想してしまいました。
燃やせない理由→燃やすと大打撃でしかない→現在読めるものにも影響が多大
→重要もしくはかなり基礎的な部分の代物→バレると自分たちのアインディティが崩壊
→だから必死で隠す。
……という飛躍しまくった論法での妄想ですが。

さて、待っていたかのようなヴァルガーヴ。
今度は何をするつもりなのでしょう。続きを楽しみにしています。
それでは、今日はこの辺で失礼します。

PS.HP作成、がんばってくださいね。
また、目が痛む時は無理しない方が良いですよ。私はそういうとき、目薬さして寝てます。では。

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30091Re:ようやく開始ですハイドラント 2004/5/29 21:35:13
記事番号30089へのコメント

>こんばんは。
こんばんは。
>
>「TRY」ノベル、第五期開始ですね。
ようやく開始です。元々、開けるつもりはあったんですが、予想以上に開いてしまいました。すみません。
>目が覚めたら側にいたのはフィリア。
>あれだけ凄まじいダメージを受けていたのに、五体満足で無事……。
>傷を治したのがヴァルガーヴだとすれば、本当にどんな意図があるのか、謎ですね。
被害者に包帯巻くような殺人犯人なんて普通はいませんしね(笑)。
>まあ、必ずしもヴァルガーヴが治したとは、限らない訳ですが。
>それこそ空間を渡れる方々(ゼロス含む)が、ヴァルガーヴと何らかの交渉をし、
>ヴァルガーヴが渋々でもそれを受け入れた結果、かもしれないですし。
>(ケガを治したのは、交渉した側にとって、その方が都合良いからですね。その場合)
そうです。ヴァルガーヴやゼロスなどが現在どんな状況状態にあるのかが定かでない現状では、ヴァルガーヴ以外が癒したという可能性もありえます。


とか言いつつ、実は誰が治したかについては次回であっさりと判明したりするのですが。
>さらにガウリイとラファエルさんとは、分断されているようですが、
>二人はどうしているのでしょうか。そのうち合流できるのでしょうか。




>
>そしてフィリアが語る「黄金竜による古代竜虐殺」……。
>微妙に謎がありますね。「本当に火竜王様から、そんな神託を受けていたのか?」とか。
>人間よりもずっと、神の存在を理解しやすい竜族相手に「神を騙る」のがいても、
>不思議なさそうですから。
確かに、そういう騙りも、火竜王本人に「わしゃ、そんなこと言っとらんぞ」と言われない限り、成立しますね。
>ちなみに全然話の本筋と関係なさそうな部分、「何故古代竜がダークスターの武器5つを、
>全部、所有していたのか?」が、一番気になってます、私……(^_^;)
これは古代竜関係のことでは、一番最後の方の補足的な部分で明らかになる謎ですね。
意外といえば意外な理由だと思います。
>
>ローズ・シティから連れてこられた謎の場所。
>出られないまでも自由に動き回れる以上、ヴァルガーヴがいた五角形の部屋へは、
>いずれたどりつくわけですが、それはある意味、ここでわざわざ待っていたようなものですね。
>何か見せたいものがあったのでしょうか。
ここで待っていたというのは確かです。
もし、この状況で「お前ら、なぜここに」とか言わせたらギャグ(それも寒い)になってしまいかねないですし(笑)。
>
>また、アデイル様死亡事件も、やはりきっちり絡んでいるようですね。
ここに来て、ようやく二つを繋いでいそうな糸が見え掛けて来ました。
>出たはずの答が、どこかへ消えてしまったリナ。これは悔しいですね(^_^;)
まあ、その答えが真実とは限りませんが。ちなみにこの答えは、現時点でも大部分を想像で補えば、推測かのうかも知れません。
>私は「実は現在ある書物、知識の源になっているのは、全部古代竜虐殺の際に
>戦利品で奪ってきたものだった」とか妄想してしまいました。
>燃やせない理由→燃やすと大打撃でしかない→現在読めるものにも影響が多大
>→重要もしくはかなり基礎的な部分の代物→バレると自分たちのアインディティが崩壊
>→だから必死で隠す。
>……という飛躍しまくった論法での妄想ですが。
なるほど、そう来ましたか。
確かに黄金竜の住処に文書庫があるのなら、古代竜に住処に本があっても不思議じゃなくむしろ自然であり、焼いたのでなければ、持ち帰ったことになりますからね(どっかに隠されてて結局見つけられなかったという可能性も一応はあるわけですけども)。
>
>さて、待っていたかのようなヴァルガーヴ。
>今度は何をするつもりなのでしょう。続きを楽しみにしています。
>それでは、今日はこの辺で失礼します。
どうもご感想どうもありがとうございました。
>
>PS.HP作成、がんばってくださいね。
>また、目が痛む時は無理しない方が良いですよ。私はそういうとき、目薬さして寝てます。では。
どうもありがとうございます。
目の調子は少しずつ良くなって来てるみたいなので、後は油断して一気に悪くならないように気をつけなければならないだけです。
今度は暑さが敵になって来そうですが(今も身体中から汗流れてますし)


それでは……

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30193スレイヤーズTRYノベル:三十一話:五つの力の集う場所ハイドラント 2004/6/11 23:16:47
記事番号30082へのコメント

 31:五つの力の集う場所


「くくく、ようやく来たな」
 あたし達を正面から見据えたヴァルガーヴは笑っていた。
 彼は地面に黒い線によって描かれた五芒星の中心に立っている。
 あたしの顔を見たのが嬉しくて仕方ないような、そんな様子である。
ところで今のヴァルガーヴは人の姿でも、竜の姿でもない。
 顔や上半身は人のものだが、腕や足は蒼い色で獣じみた形状をしており、背には翼が生えているという、ちょうど人と竜の狭間、半竜人とでも言うべき姿だ。
 もしかしたら竜から人に戻り掛けている状態なのかも知れない。
「おいお前ら、ついにタイムリミットだな」
 ヴァルガーヴは正面を見る目をやや右に動かし、先ほどと変わらぬ調子で言う。
 ヴァルガーヴの向いた方向である、部屋の入り口の右手のやや奥の方、ガウリイとラファエルの姿が見られた。
 彼らは入り口側の壁にもたれ掛かって座っており、一見休息を取っているだけに見えたが、二人とも腹部辺りで組んだ両手のつけ根に見慣れぬ金属光沢が見られ、金属の枷のようなものをはめられていることが分かった。
「……リナ!」
 ガウリイは疲れ切った顔をしていたが、弱く叫ぶような声には確かな力がこもっていた。
 ラファエルは無言のままであるが、表情には少しながらも明るみがある。
 今度は、何となく左横を見てみると、そちらにはガウリイ達と同じように拘束されたセフィクスの姿があった。
 彼女は何の表情も浮かべていなかったが、すべてを冷静に受け止めているようなその態度が妙に彼女らしい(*1)気がして、僅かながらも微笑ましさを感じた。
 あたしはヴァルガーヴに向き直った。
 すでにこちらに視線を戻していたヴァルガーヴは、今度はあたしを哀れむような声で呟く。
「セフィクスもこの様で、ゼロスも返り討ちにしたからな。もう誰も護っちゃくれねえぜ。……世界は間違いなく終わりだな」
 ゼロスを返り討ちにしたという言葉には少なからぬ衝撃を受けたが、それでも一応危惧していたことではあるので、平静を失うほどではなかった。
 動揺を紛らわすため、一度深呼吸をした後、無理矢理笑顔を造って言う。
「まだ武器は四つしか揃ってないみたいだけど……」
 さらに、その四つの武器の姿も見えない。
 だが、それを指摘した途端、ヴァルガーヴは勝ち誇った顔を浮かべ、笑い出した。
「甘えな。何も分かっちゃいねえ。武器は揃ってんだよ。俺の考えが正しければな」
 完全に確証があるわけではなさそうな言い方だが、口振りからして、すでに五つの武器がヴァルガーヴの手中にある可能性は高いようだ。
 もしここでダーク・スターが召還されてしまえば、世界は本当に終わってしまう。
「それにしてもおかしなことをしたんじゃないの? あたしとフィリアだけあんな寒い場所に放置したりして……」
 あたしは不安をどうにか拭いたくて、全く関係のないことを言った。
「ゲームがお気に召さなかったようだな。あんたらが無事に逃げ出せれば、世界も壊さずにおいてやってたかも知れねえのにな。まあ出口なんてどこにもねえがよ(*2)」
 ヴァルガーヴは笑い声を絶やさぬまま、答える。
 その言葉が本当なら、傷を癒したのはやはりヴァルガーヴということになるのか?
「こっちはルールを聞いてないわ」
 今度はわざと怒ったような口調で言う。
「確かにそれはまずかったな。だが寝てる方が悪りいぜ」
 ヴァルガーヴはそう答える時も笑い続けていた。
 それにしても、何がゲームなのだ?
 わけが分からない。
 そういえば、火竜王の神殿の時もおかしかった。
 今まで自分の手で殺そうとしていたあたしを、火竜王の神殿の黄金竜達に殺させようとした(*3)。
 こいつは本当に何を考えているのだ?
 完璧に頭がいかれているのではないだろうか。
 あたしは恐る恐る、ヴァルガーヴの目を覗き込んだ。
 そこには間違いなく狂気があり、愉悦がある。
 ヴァルガーヴの本性は、常識や理屈など全く通用しない正真正銘の狂人なのか?
「そろそろ終いだな。すべてを闇に還すぜ」
 ヴァルガーヴは急に笑いを止めた。
 表情が一瞬の内に固まり、氷のように、あるいは刃のように冷たくなる。
 あたしは急いで呪文を唱え始めた。
 こいつを何としてでも倒すために。
 理性は半分吹っ飛んでいた。
「覇王雷撃陣(ダイナスト・ブラス)!」
 力強く言葉を叫ぶと、強烈な稲妻がヴァルガーヴを撃つ。
 しかし彼は、それに対し僅かな痛みさえ感じていないようだった。
 見えない何かに首を掴まれ、あたしはヴァルガーヴの元に引き寄せられる。
「抵抗するだけ無駄だ。所詮お前じゃ俺にゃあ及ばねえよ」
 ヴァルガーヴはあたしに嘲笑を浴びせ掛けた。
 そして視線をあたしから外すと、
「そこの嬢ちゃん。確かフィリアとかいう名前だったな?」
 あたしが掴まれたままの首をどうにか回して後ろを見やると、入り口でおどおどしているフィリアの姿が視界の隅に映った。
 彼女は何も言わない。
 いや、恐怖を感じていて何も言えないのかも知れない。
「あんたが世界を壊すんだ。あんたの言葉がな。覚悟は良いな」
「…………」
 フィリアは答えない。
 ヴァルガーヴは彼女の脅える姿を愉快そうに眺めている。
「黄昏よりも昏きもの……」
 まずい、と思った時、あたしはすでに呪文詠唱を始めていた。
 だが、それに気付いたヴァルガーヴがあたしを投げ飛ばすと、あたしは壁に激突し、体内の息をすべて吐き出してしまった。
 当然、詠唱は中断される。
「舐めた真似するんじゃねえ!」
 ヴァルガーヴが鋭い怒鳴り声を上げた。
 その勢いにあたしは怯む。
 ヴァルガーヴは一声上げたことで冷静さを取り戻したようだ。
「さて、そろそろ時間だな」
 言ってヴァルガーヴは両手を掲げる。
 意味不明の呪文を呟き始めた。
 この瞬間が攻撃のチャンスかと思ったが、冷静になって考えてみると、今のあたしではヴァルガーヴには到底勝てそうもない。
 今のヴァルガーヴは、少なくとも普段のヴァルガーヴよりは強いようなのだ。
 そして、あたしは普段のヴァルガーヴにも勝てなかった。
 ヴァルガーヴが口を閉ざした途端、床が鳴動を始めた。
 視界が揺らぐ。
 激しい音がする。
 いきなり、部屋の高さが上昇したようで、それによって部屋と入り口のちょうど境目にいたフィリアがバランスを崩し、軽い悲鳴を上げた。
 彼女が慌ててこちら側に飛び移った時、入り口のあった場所は、壁が上から舞台の幕のように下りて来て封鎖した。
 空気穴だろうか、壁の一部に穴が開いているが、あまりにも小さ過ぎるため、脱出路にはなりえない。
 他の出入り口はないようだから、あたし達はこれで閉じ込められたことになる。
 どうやら現在この部屋は上昇しているようだ。
 多分、この部屋の少なくとも上の部分は空洞になっており、部屋自体は箱型エレベータのような造りをしているのだろう。
 いや、この建造物が井戸に似ていることを考えると、水汲み用の瓶とでも言った方が良いかも知れない。
 まあ、どちらにせよ上昇する原動力は人力ではなく、魔力のようだが。
「くくく、俺達は力の中心に向かう。中心から五つの武器の力を引き出すんだよ。分かったか。武器はすべて揃ってんだ。古代竜の五つの都のよく分からん装置の上に一つずつおかれてる。……これが俺達、古代竜の編み出した召還法なんだぜ」
 なるほど。
 ヴァルガーヴは、武器をすべて元の場所に戻したのだ。
 古代竜の五つの住処に一つずつ武器を……。
 そうか!
 あたし達にあのラグド・メゼギスなる武器の封印を解かせた(*4)のは、そこから武器を奪うためではなかったのだ。
 ヴァルガーヴには、ラグド・メゼギスがローズ・シティ地下の住処にあるのかどうか分からなかった。
 もしそこに武器があるなら、あるという確証を得ておく必要があるし、ないのなら他の場所から持ち運ぶために邪魔なものを消しておく必要がある。
 だからどちらにせよ、ローズ・シティ地下の結界は解かれなければならなかった。
 だが在処が不確定だったのは、ラグド・メゼギスの方だけでもう一つの武器の方は元の場所にあると確信していたに違いない。
 多分、その場所は黄金竜による封印と同時に、古代竜による封印が成されていること(*5)を知っており、そのことからそう推測したのだろう。
 それぞれ封印が掛けた種族にしか解けないものだとすると、黄金竜と古代竜の封印を解くことが出来る者など、ほとんど存在しないようなものだ。
 なぜなら古代竜にヴァルガーヴ本人以外の生き残りがいたとしても、憎むべき黄金竜と手を組むなど基本的にはありえないことだから。
 やはり残る武器は元の場所にあるのだ。
 真偽はともかくあたし達もそう考えた方が良い。
「五つの武器は元々、俺達の持ちもんだった。だからこそ、こんな方法を編み出せたんだぜ。この方法を使えば、魔法陣的な効果が得られるか何かして、普通に一箇所に集めてやるより、ずっと成功し易しい。まあ、未だ誰もやったことはねえから詳しいことは分からねえがよ」
 思えば、ヴァルガーヴは全く恐怖していないように見える。
 世界が滅びれば自分も道連れとなるのだから、死の恐怖というものを抱くのが当然だと思うのだが、彼は必至でそれを隠しているのだろうか。
 実はたくさん喋っているのは、こちらに情報を与えてやっているのではなく、気を紛らわすためにやっていることだったり、とか?
 あるいは、すでに生き続けようとする意志など、すでに復讐の焔の中で焼け焦げて灰となっているのかも知れない。
 まあ、単に狂っていて、そんなことなど考えられなくなっているという説も考えられるが。
 う〜ん。
 そうやって考えている内にも部屋は上昇を続けているようだ。
 いや、すでに上昇ではなく、別の動きをしているのかも知れない。
 ヴァルガーヴの口振りからすると、目的地はここから少しは離れているようだし、この部屋が上下だけではなく前後左右や斜めに移動出来たところで別に不思議とも思わないから、その可能性は低くない。
 ……思えば、さっき一度部屋が揺れたような。
 長い沈黙が続き、長い時間が過ぎていく。
 ヴァルガーヴはいきなり口を開いた。
「そろそろだ。この「ヘカトンケイルの脳」は目的地に辿り着く。古代竜の五つの都を結んだ正五角形の中心――火竜王の神殿にな」
 火竜王の神殿!? 
 何と、五つの古代竜の住処は、火竜王の神殿を取り囲むように建てられていたのだというのか。
 ヴァルガーヴはそれ以上は何も言わなかったため、再び部屋は静まり返る。
 それにしても、と沈黙の中、あたしは思った。
 独自のダーク・スター召還法を編み出し、そのための装置も造っていたとなると、古代竜はやはり悪の種族で、魔族のように世界を滅ぼす意志を持っていたのということになるのか。
 いや、何か深い考えがあったのかも知れないし、実際に召還はしていないのだから、それだけで決めつけるのは早計というものだろう。
 突然、微かな揺れが感じられた。
 多分、移動するこの部屋にブレーキが掛かったのだ。
「ようやく終点だ。五つの都の中心は、正確に言やあ地図で見ても、火竜王の神殿から少しばかり離れている」
「……ヴァルガーヴ」
 あたしはヴァルガーヴを、強く見据える。
 その時のあたしは不思議なほど余裕を感じていた。
「どうした?」
 冷やかに見下ろすヴァルガーヴ。
 あたしは立ち上がった。
「…………」
 勝てる、勝てない、などということはどうでも良かったのだろう。
 ただ勝てれば助かるし、勝てなければ死ぬ、それだけ。
 一瞬でもそんな風に考えられたからこそ、余裕を持てたに違いない。
 呪文を唱える。
 今なら使えるかも知れない究極の呪文を。
「……悪夢の王の一片よ、天空の戒め解き放たれし」
 自分の声が、冷たく心臓に響いて来る。
 あたしはその時、狩られる側から狩る側に回ったことを意識していた。
「……凍れる黒き虚ろの刃よ」
 ヴァルガーヴは何もして来ない。
 きっと今のあたしが何をして来るか楽しみで仕方がないのだ。
「……我が力、我が身となりて」
 強烈な不可が掛かる。
 だがすべて跳ね除けてやる。
 今ならそれが出来そうだ。
「……ともに滅びの道を歩まん、神々の魂すらも打ち砕き」
 赤眼の魔王シャブラニグドゥも、ダーク・スターも凌ぐ至高の魔王にして、すべての混沌を生み出せしものの力。
 その力の一片を黒き刃と化し、神も魔も打ち砕く究極の必殺技。
 この呪文にもし失敗すれば、あるいは成功してもヴァルガーヴを倒せなければ、ダーク・スターはこの地に降り立つであろう。
 あたしの前には巨大な壁が聳えている。
 それを越えなければならない。
 全身全霊。
 すべての力を引き出して、その険しき壁に挑んだ。
 死んだって構わないのかも知れない。
 ここで敗れて果てても、それはそれで満足して逝くことが出来るのかも知れない。
 そう思えるからこそ、必至でやる。
 全力で壁にぶち当たる。
 絶対にこの壁を壊してやる。
 たとえ、それによってこの身体と心が壊れたとしても。
 ……越えるのだ。
 ……越える……


「……神滅斬(ラグナ・ブレード)!」


<@><@><@><@><@><@><@><@><@><@>

 
 三十二話です。
 色々あって随分と間が開いてしまいました。
 そのくせHP作成はほとんど進行していなかったり。
 でも次回は早いと思います。
 大きな問題点が見つからない限りは、ですが。
 ところでこの話、連載打ち切って、HPに不定期更新という形にして続けることになるかも知れません。
 元々、連載向きの話ではないと思っていましたし。
 
 それでは、これで失礼致します。
 

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30196敵対行為に取られても仕方ないような……。エモーション E-mail 2004/6/12 21:33:19
記事番号30193へのコメント

こんばんは。

ひたすら不可解な行動だらけのヴァルガーヴ。
しようとしていることは、既に魔族の目的と同じなので、実はゼロスは目的を知って、
返り討ちにされたフリして撤退しただけなんじゃあ……? とか思いました。
それにしても、火竜王の神殿を中心にした、古代竜の都市に5つの武器を配置することで
できる召喚……。それは知ったら、火竜王関係は危機感を感じて当然のような。
一体、何考えてそんなある意味はた迷惑な、そして敵対行為に取られても仕方ないような
召喚法を編み出したんでしょう、古代竜……。いや、どこにでもマッドな方はいますから、
もしかしたらなーんにも考えずに、思いついたことをやってみただけ、という典型的な
一点集中型天才の阿呆がいて、気づいた周囲が必死で止めたけれど、もう武器を
動かせなくなってたので封じた、という顛末かもしれませんが。(それはそれで、
馬鹿馬鹿しいから余計に嫌な顛末……)

意を決して、本来、魔力許容量の限界を軽く超えるラグナ・ブレードの呪文を唱えるリナ。
通常なら、けして発動するはずのないこの呪文。リナは発動させることが出来るのでしょうか。

さて、おそらくキリのいいところで、になるのでしょうけれど、続きはHPの方へ
掲載になる予定……かもしれない、のですか。
こちらに最後まで載らないのは、残念ですが、この辺りは個人の考えですし……。
何にせよ、HPが出来ましたら、お邪魔させていただきますね。
それでは、続きを楽しみにしつつ、今日はこの辺で失礼します。

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30206Re:敵対行為に取られても仕方ないような……。ハイドラント 2004/6/14 20:24:22
記事番号30196へのコメント


>こんばんは。
こんばんは。
>
>ひたすら不可解な行動だらけのヴァルガーヴ。
>しようとしていることは、既に魔族の目的と同じなので、実はゼロスは目的を知って、
>返り討ちにされたフリして撤退しただけなんじゃあ……? とか思いました。
ああ、確かにそういう可能性もありますね。
よそ者に滅ぼされるのは嫌だという風なことを言ったのは、アニメ版の魔族(ゼロス)で、原作ではそんなことは言ってなかったと思いますから(まあ原作には異世界からの侵略みたいなエピソードが単になかったからでしょうが、設定というのは作中で述べられない限り、本当の意味での公式とはならないと思いますから)
>それにしても、火竜王の神殿を中心にした、古代竜の都市に5つの武器を配置することで
>できる召喚……。それは知ったら、火竜王関係は危機感を感じて当然のような。
>一体、何考えてそんなある意味はた迷惑な、そして敵対行為に取られても仕方ないような
>召喚法を編み出したんでしょう、古代竜……。いや、どこにでもマッドな方はいますから、
>もしかしたらなーんにも考えずに、思いついたことをやってみただけ、という典型的な
>一点集中型天才の阿呆がいて、気づいた周囲が必死で止めたけれど、もう武器を
>動かせなくなってたので封じた、という顛末かもしれませんが。(それはそれで、
>馬鹿馬鹿しいから余計に嫌な顛末……)
実はこれには深いわけがあったりなかったり……
>
>意を決して、本来、魔力許容量の限界を軽く超えるラグナ・ブレードの呪文を唱えるリナ。
>通常なら、けして発動するはずのないこの呪文。リナは発動させることが出来るのでしょうか。
普通なら、絶対無理ですからね。
正直、発動させるかどうか迷いました(笑)。
>
>さて、おそらくキリのいいところで、になるのでしょうけれど、続きはHPの方へ
>掲載になる予定……かもしれない、のですか。
>こちらに最後まで載らないのは、残念ですが、この辺りは個人の考えですし……。
>何にせよ、HPが出来ましたら、お邪魔させていただきますね。
ちょうど次回で一つの区切りとなりますから、ここでの連載はそこで終わらせるつもりですが、HP作成が長引けば、それだけ連載も長続きすることになると思います。
>それでは、続きを楽しみにしつつ、今日はこの辺で失礼します。
それでは、どうもご感想ありがとうございました。

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30210スレイヤーズTRYノベル:三十二話:終末の闇ハイドラント 2004/6/14 22:37:13
記事番号30082へのコメント


 32:終末の闇


 呪文は、成功した。
 あたしの両手には虚ろの刃――神滅斬がある。
 その刃に、全身の力が徐々に吸い取られていくのが分かる。
 あたしは駆け出した。
 命が燃え尽きる前に、ヴァルガーヴの方へと。
 ヴァルガーヴが笑った。
 あたしは剣を振り上げ、降り降ろす。
 剣とヴァルガーヴの腕がぶつかり合った。
 絶叫するヴァルガーヴ。
 あたしは全力を込めて、ヴァルガーヴの腕を断ち切った。
 右腕が床に落ちる。
 激しい叫びは続いた。
 あたしは二度目の攻撃を加える。
 だがヴァルガーヴも黙ってはいなかった。
 その左手から漆黒の球が生み出される。
 あたしは瞬間的に反応してそれを引き裂くが、しかし、その時、視界が揺らいだ。
 宙に浮かび、落下していく。
 ヴァルガーヴが素早く足を払ったのだ。
 あたしが転倒して痛みにうめき、黒き剣は消え去った。
 ヴァルガーヴは苦痛を堪えて立っている。
 その顔には余裕が戻りつつある。
 それに対し、あたしは動けない。
 無理矢理放った術のせいで力を使い果たした。
 ……これは敗北だ。
 あたしは負けた。
 ヴァルガーヴは死んでいない。
 あたしの視力はほとんど失われ掛けている。
 視界はどんどん曇り、闇に包まれていく。
 また口も動かない。
 耳は聴こえるが、それだけでは何も出来ないから、あたしはもはや役立たずと化したことになる。
「……さて、余興はいい加減終わりだな。セフィクス、お前はずっと黙ってたが、最後に何か言うことはないか?」
 セフィクス? 
 そうだ、ここには彼女もいたのだ。
 あたしを二度も救ってくれた彼女もここに囚われているのだ。
「……もういい加減にしろ。ヴァレリアス(*1)。お前は利用されているだけだ」
 刃のような冷たさを持った声だが、どこか悲しげに感じられた。
 そして震え、脅えているようにも思える。
 今の彼女は一体どのような表情をしているのだろうか。
 それにヴァレリアスというのは何なのだろう。
 ヴァルガーヴに対しての呼び名であることには間違いないだろうが。
「利用されてる? とっくに死んだエイデンバングル(*2)にか? そいつは違う。俺は俺の意志で動いてる。……もっとも、あいつが自分のご主人サマをこの世界に呼び寄せるために俺を利用しようとしていたのは事実だろうがな(*3)!」
 ご主人様を呼び寄せる?
 ご主人様とはダーク・スターのことだろう。
 ダーク・スターは異世界の魔王。
 なら、エイデンバングルはまさか……異世界の魔族?
「だが、ヴァレリアス!」
 セフィクスが叫んだ。
「黙れ。姉貴面すんじゃねえ。お前に俺を止める権利などが本当にあると思っているのか?」
 ヴァルガーヴの荒息混じりだが冷酷な声。
 セフィクスの返答が気になったが、それはいつまで経っても現れなかった。
「まさか忘れたわけじゃあねえだろうな。あの時のことを……」
「それは……」
 セフィクスは動揺している。
 さっきから脅え、震えていたのは、何か引け目となるものがあったからなのか。
「どうした? 千百年とどれだけ前になるか? その時にお前が何をしたか。覚えているか?」
 あたしははっとなった。
 千百年?
 どういうことだ。
 まさか……セフィクスも。
 そうだ。
 思えばフィリアがエイデンバングルに連れ去られそうになったあの時、セフィクスはフィリアを殺そうとした(*4)。
 火竜王の神殿にてエイデンバングルを倒した時も、人質を顧みた様子もなかったし、黄金竜達への態度も冷やかで、その上ボーディガーを持ち逃げしようとしていた時も躊躇った様子がなかった(*5)。
 彼女もまた古代竜の生き残りだったのか。
 だがその罪とは? 
 彼女が犯した罪とは一体?
 千百年前――古代竜の虐殺とも何か結びついているのだろうか?
 黄金竜に何かの情報を売ったとか?
「だからといって、こんなことを許せるはずが……」
「どうせてめえには分からねえよ。俺はお前とは違うんだ。他人に何が分かる!」
 ヴァルガーヴの声。
 そこには微かながらも、間違いなく憎悪の感情が入り混じっていた。
 セフィクスは何も言わない。
 いや何も言えないのだろう。
 静かになった。
「さて嬢ちゃんよ。随分と待たせたみてえだな。……今から俺は呪文を唱える。あんたは俺の傍に来い。そして呪文を唱え終えたら言うんだ。ただ『出でよ』とな。分かったか」
「……お断りします」
 フィリアはか細い声で言った。
「あん? もう一度言ってみな」
「……嫌です。私は言いたくありません!」
「お前が黙っているなら、リナ・インバースをいたぶり殺す」
 フィリアは黙り込んだ。
 必至で悩んでいるのだろうか。
 あたしは動かない口で、フィリアに伝えようとした。
 あたしのことなど気にしなくても良い、と。
 だが言葉を紡ぐことは出来なかった。
「別に言わなくても良いんだぜ。リナ・インバースは赤の他人だ。同じ種族ですらない。それにダーク・スターが召還されれば、どうせ死ぬ。見捨てたって誰も咎めはしねえよ」
 あたしは依然努力している。
 しかし、やはり無理だった。
 ああ、あんな無茶をするのではなかった。
「まあ三十秒くらいは考えさせてやるよ。三十秒経ったらリナ・インバースを殺す。二十九、二十八……」
 二十七、二十六……
 時は無情にも削られていく。
 カウントダウンの残酷な声。
 二十、十九……
 フィリアはどんな表情をし、何を思っているのだろうか。
 何も見えない。
 何も分からない。
 十六、十五……
 あたしだって脅えている。
 あの呪文を唱えていた時とは打って変わって。
 ヴァルガーヴが先ほど言った通り、たとえここでヴァルガーヴに殺されなかった としても、召還されたダーク・スターに殺される運命なのだ。
 だが、だからといって恐怖を感じないわけはない。
 一秒でも長く生きていたい。
 死の恐怖が一気に全身から吹き出して来て、生の意志の奔流にあたしは飲まれた。
 十、九……
 生きることへの貪欲なまでの執着心。
 あたしはそんなものに取り憑かれているあたし自身を哀れに思ったが、思うだけで何も出来なかった。
 八、七……
 ああ、タイムリミットは刻一刻と迫っている。
 あたしはとにかく何かを考えようとした。
 だが、もはや何も考えられはせず、
 六、五……
 時間だけが、
 四、三……
 過ぎていく。
 ニ……
 一……
 そして……
「分かりました」
 フィリアは悲痛に満ちた声で言った。
 時が止まった。
 あたしの死へ向かう時間が。
 そして再び動き出した。
 今度は、世界の終わりへと向かって。
 ヴァルガーヴが呪文を唱え始め、やがて終えた。
 フィリアがはっきりとした声で言う。
「……出でよ」
 その時、あたしは見えない目で光を感じた。
 眩いまでの光を。
 それが消えると、今度は禍々しい気配が生まれた。
 滅びの、予感。
 ヴァルガーヴが今までにないほどの大声で、笑った。
「さて、これで終わりだな」
 邪悪な力が徐々に沸き上がって来る。
 身体全体に不快感が走り、それは呼吸するたびに強まっていく。
 これは闇だ。
 邪気と瘴気を大いに含んだ終末の闇。
 いつの間にか、意識は薄れ始め、地面に倒れていることさえ感知し難くなって来た。
 それから、どれだけの時間が経ったのかは分からない。
「俺を喰らう気か? 哀れな同志よ」
 そんな声が聴こえたと思った直後、強烈なエネルギーの奔流があたしを襲い、あたしは今度こそ死を覚悟した。


 注釈

ヴァレリアス(*1):九話に「……レリアス」とセフィクスが呟いたシーンがあったが、あれはヴァレリアスと言っていたのかも知れない。

エイデンバングル(*2):まさか忘れた読者はいないだろうが、ヴァルガーヴの仲間で、あたしに何度かちょっかいを出して来た真っ黒な男である。


……もっとも、あいつが自分のご主人サマをこの世界に呼び寄せるために俺を利用しようとしていたのは事実だろうがな(*3):ということは、ダーク・スターは自分の世界を壊すだけではもの足りなくなっているということになるだろうが、それにしたっていきなり異世界につれて来られたら怒るだろう。特に、まだ自分の世界を壊し足りない状態で呼び出されたりしたら。結局その前にやられてしまったので出来なくなってしまったが、エイデンバングルは、召還が可能な状態になったら、召還をおこなう前にダーク・スターに連絡して了解を取るつもりだったのだろう。ちなみに「まだだ。……まだヴァルガーヴがいる」というエイデンバングルの台詞(十三話を参照のこと)は、このことと矛盾するように思えるかも知れないが、あれは滅びる間際に言った台詞だ。そんな時まで細かいことを気にするやつはあまりいないだろう。


思えばフィリアがエイデンバングルに連れ去られそうになったあの時、セフィクスはフィリアを殺そうとした(*4):九話を参照のこと。

火竜王の神殿にてエイデンバングルを倒した時も、人質を顧みた様子もなかったし、黄金竜達への態度も冷やかで、その上ボーディガーを持ち逃げしようとしていた時も躊躇った様子がなかった(*5):十三話を参照のこと。


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 というわけで五期完結です。
 意識を失って終わり、というのは四期の終わり方と同じパターンで、しかも他に二回も使われていますが、このことはどうかご容赦願います。プロットの関係上、こうせざるをえませんでしたから。
 それにしても、今期は短いのに随分と苦労したなあ。やっぱりそれだけ重要な回だったからですかねえ。
 一章が終わったのは前期ですけど、物語の重要な転換点となるのはむしろ今期ですから。
 さて次回、第六期はゼルガディス編になります。
 ゼルやアメリアが、「薔薇の名前」でのウィリアム修道士とアドソ、「聖アウスラ修道院の惨劇」での二階堂兄妹、「鉄鼠の檻」での京極堂と愉快な仲間達のように(?)、密室殺人と文書庫の謎に挑みます。
 ちなみにこの六期、HP公開になるかも知れません。まあHPが未完成なので、まだ分からないことではありますが。
 それでは、これで失礼致します。

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30220Re:スレイヤーズTRYノベル:三十二話:終末の闇エモーション E-mail 2004/6/16 22:43:52
記事番号30210へのコメント

こんばんは。

第五期終了、お疲れさまです。

体力・精神力の消耗は相当なものですが、ラグナ・ブレードの呪文を発動させたリナ。
この経験が今後のリナの魔道の力等に、プラスに働くと良いのですが。
それ以前に、第六期……はゼルガディス編と言うことですので、それ以降で
どんな状態になっているのか、が問題ですが。

セフィクスさんとヴァルガーヴは同種族……だったのですか?
ヴァルガーヴの様子から見ると、助けて貰った(?)&育てて貰った
恩のある相手であると同時に、黄金竜と同様に、憎しみの対象でもあるようですね。
でも憎み切れてない、というより「そんな人だったなんてー!! 酷い酷い!
信じてたのにぃ(じたばた)」な感じと言いますか、単純に憎みたいのに、
憎めないから、余計に腹が立つ、という感じに見えました。
古代竜が襲撃を受けた原因に、彼女は何か関わっていたのでしょうか。

カウントダウンの中、必死で生きることを望むリナ。例え身体が動いても、
リナは「命乞い」じみた言動はしなかったと思いますが、この辺りは
「生命あるもの」としての、当然の心理がでていますね。
また、「最後まで諦めない」リナの意思の原動力でもあると思います。
誰でも途中までは同じでしょうけれど、カウント3あたりになると、
もう諦めてしまう人もいるでしょうから。

さて、とりあえずは、ここで打ち止めなのですね。
続きがHPの方になるのか、こちらになるのか未定ということですが、
第六期のゼルガディス編、楽しみにしています。
それでは、この辺で失礼します。

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30237Re:スレイヤーズTRYノベル:三十二話:終末の闇ハイドラント 2004/6/20 14:07:40
記事番号30220へのコメント


>こんばんは。
こんばんは。少々返事が遅れてしまいましたすみません。
>
>第五期終了、お疲れさまです。
どうも、ありがとうございます。本当にようやくといった感じです。
>
>体力・精神力の消耗は相当なものですが、ラグナ・ブレードの呪文を発動させたリナ。
>この経験が今後のリナの魔道の力等に、プラスに働くと良いのですが。
魔力などについてはともかく、精神面ではプラスとなっているかと。意地と根性で無理矢理発動させたわけですから。
>それ以前に、第六期……はゼルガディス編と言うことですので、それ以降で
>どんな状態になっているのか、が問題ですが。
いわゆる絶体絶命の危機に見舞われたところでいったん終わりですからね。
>
>セフィクスさんとヴァルガーヴは同種族……だったのですか?
ええ、実はそうでした。一応、それ以外にも秘密はあるのですが。
>ヴァルガーヴの様子から見ると、助けて貰った(?)&育てて貰った
>恩のある相手であると同時に、黄金竜と同様に、憎しみの対象でもあるようですね。
>でも憎み切れてない、というより「そんな人だったなんてー!! 酷い酷い!
>信じてたのにぃ(じたばた)」な感じと言いますか、単純に憎みたいのに、
>憎めないから、余計に腹が立つ、という感じに見えました。
二人の関係は実は結構特異なものなので、微妙に異なるのですが、大体そんな感じです。
>古代竜が襲撃を受けた原因に、彼女は何か関わっていたのでしょうか。
セフィクスの罪に関しては、いずれ何の脈絡もなく明かされます。(本作は推理小説ではないですが)推理小説で言えば、いくつかの手掛かりから導き出される真相ではなく、真相を導き出すための手掛かりに当たるものですから。
>
>カウントダウンの中、必死で生きることを望むリナ。例え身体が動いても、
>リナは「命乞い」じみた言動はしなかったと思いますが、この辺りは
>「生命あるもの」としての、当然の心理がでていますね。
ですね。「生命あるもの」でも平気で命乞いするものはいますが(そしてほとんどの場合はそのまま殺される)。
>また、「最後まで諦めない」リナの意思の原動力でもあると思います。
>誰でも途中までは同じでしょうけれど、カウント3あたりになると、
>もう諦めてしまう人もいるでしょうから。
確かに原作の一巻で、リナが最後まで諦めない人間だということが示されていますしね。魔王戦前のところで。
>
>さて、とりあえずは、ここで打ち止めなのですね。
>続きがHPの方になるのか、こちらになるのか未定ということですが、
>第六期のゼルガディス編、楽しみにしています。
>それでは、この辺で失礼します。

軽い気持ちで書き始めた短編が、予想以上に苦戦してしまい、そちらに取り掛かることが多くなってHPやこちらの作業が遅れているのですが、それでも出来る限り早い内に、ここかHPの方に続きを載せたいと思っております。
それでは、ご感想どうもありがとうございました。