◆−求メルモノ失ウモノ(ゼルアメ…でしょう)−蒼 爽耶 (2004/3/18 22:41:27) No.29636
 ┗僕は悲しみの下に笑顔を隠し、君は笑顔の下に悲しみを隠す。−星村さゆる (2004/3/19 23:47:27) No.29647
  ┗遅すぎレス申し訳ありません(平謝り)−蒼 爽耶 (2004/4/7 23:17:29) NEW No.29791


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29636求メルモノ失ウモノ(ゼルアメ…でしょう)蒼 爽耶 URL2004/3/18 22:41:27



久々の投稿―――って投稿の度にこんなこと言ってる気がしないでもないですが。
連載…文章が組み上がってくれません。
もぅ作者ワタクシ自身が話の主旨を忘れてしまいそうです。
書き留めているだけまだマシなのですが。

雑文はこのへんにしておいて。
この話について少し。
・まず、タイトルにある通りゼルアメなつもりです
・弱魔剣士が見たくない!との方はあまりお勧め出来ません
・文構成が捻くれてます。私の性格そのまんまです
これ等にご注意です。
あ、ちなみにシリアス――のようなダークのような。
微妙な境目をいきそうな内容です。
激甘書きのワタクシのシリアスですから、一般的に見れば限りなく可笑しいでしょう。

でわ。本文へ。



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瞼が……重い

『ゼルガディスさん』

誰だ…?

『ゼルガディスさん』

この声は………アメリア…?








◇ 求メルモノ失ウモノ ◇








鉛のように重い瞼をゆっくり押し上げると、痛い程この眼に焼き付いているあの笑顔が
暗闇の中、淡く静かに光を纏っていた。
小さく温かな掌が髪を梳き、"しゃらん"と軽い音をたてる。

その動きは緩やかで

酷く優しくて

肌を介して伝わる熱が

囁かれる声色が

酷く愛しくて

心地良さに顔が緩み、再び眠気が押し寄せてきた。
動くままに目を閉じ、一つ息をついた。
その刹那、

『ゼルガディスさん』

「………ん?」

『貴方の"求メルモノ"とは何ですか?』

「何を唐突に―――」

『貴方の"求メルココロ"は何ですか?』

『貴方の"大切ナモノ"は何ですか?』

温もりは余韻をこの身に残るのみで
向かい合う形に背を伸ばしていた。

『"求メルモノ"の代償が貴方の"大切ナモノ"だとしたら』

『ド チ ラ ヲ エ ラ ブ ?』

バシュゥゥ

鼻につく錆の香。
生温い滑りある液体が

顔を

服を

手を

紅く染め上げる。

身体が懐かしみ、ココロが軋んで悲鳴を上げる。
「アメリアァ!!!」
純白が深紅に。
鮮やかな紅と透き通る肌の色とのコントラスト。
白い肌が紅に映え、残酷にもその美しさをかきたてる。
とめどなく溢れる紅。

『ネェ』

血色を失った変わらぬ、光ある笑顔。
自身の紅に濡れた手が
温もりの消えつつある手が
柔らかな人肌の頬へと伸びる。

『ネェ   ド チ ラ ヲ エ ラ ブ ノ ?』







ばっっっ

「っっ!!!」

ぎし、とベットが軋む。
暗闇の、無の空間などではなく、昨晩とった宿の天井。
自分の肌は青く、岩が所々張り付いている。
合成獣の身体だ…
「ゼルガディスさん?」
頭上から降る、あの声。
気付けばあいつが心配そうにこちらを覗いていた。
「どうしたんですか?」
何も………ない
溢れる紅も。
機械的に発する声も。
紅と言えど、赤みは頬にさす朱のみ。
「部屋を通りかかったら呻き声が聞こえて………
 その…気になって勝手に入っちゃったんですけど…」
悪い夢でも見たんですか、と伸びる腕を払い除け、荒々しく声を張り上げた。
「俺に!…近付くな!!」
触れれば壊れる。
欲すれば失う。
そう夢のアメリアが物語る。
「………関わらないでくれ…」
ぎり、と歯を噛み締める。
と、優しい温もりがふわりと包んだ。
夢と全く同じ感覚で。
だが、流れる言葉は現実そのものだった。
「どんな夢を見たかはわからないですけど…傍に…いますから」
想いを 沸き立つ思いを押し込めて
「………お前は…俺と居てはいけないんだ…」
「何故です?貴方の傍以外に…貴方の隣以外に
 …私の居場所があるとでも…?」
「………お前が……無事にいられると思えない…」

ソンナコトハユルセナイ

「…それが運命…定めなら、たとえ貴方に拒絶されようとも
 貴方について行きます」
生きる屍になんて誰もなりたくはないでしょう?
「俺は………」
「今は休んで下さい。きっと疲れてるんですよ」
華奢な背を引き寄せ、きつく抱いた。

拒絶してどれだけ傷つけても

このお姫様が一度吐いた言葉を曲げる筈が無く

傍にいると言うのなら

せめてその身を穢したくないから

闇を 俺を照らす光のままに








規則正しい呼吸が聞こえ始め、身体を布団の中へ滑り込ませた。
怪しまれるから、自分の部屋に戻ろうと思ってたけど、
このヒトがあまりに不安定で、どれだけ自分を押し殺して過ごしているか。
うすうす感づいていたから。
無理に解くのは胸が痛むし、じゃあ逆にこのヒトの頭を腕で包んで。
これがいつもならゼルガディスさんの役なんだな。
なんて少しくだらない優越感に浸ったり。

明日このヒトとどんな顔を向き合わすのか

笑いを噛み殺して誘われるがままに眠気に身を委ねた。




そして また夜が明けていく




□■■■□■■■□■■■□■■■□■■■□■■■□■■■□■■■□■■■□

やまなし 意味なし オチなし
見事三拍子揃いました。
ぢ・ぢつわ某★さんのお話に触発されて書いてみた小話です。
胸がきゅんときたんですよ!きゅんと!!
嗚呼バカなこと言ってないで連載続き考えてみます。
何処まで続けれるかな?
では、また巡り会えたら。

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29647僕は悲しみの下に笑顔を隠し、君は笑顔の下に悲しみを隠す。星村さゆる 2004/3/19 23:47:27
記事番号29636へのコメント

 爽耶さん、こんばんはっv星村です。久し振りのご投稿で、嬉しいです^^
>この話について少し。
>・まず、タイトルにある通りゼルアメなつもりです
>・弱魔剣士が見たくない!との方はあまりお勧め出来ません
>・文構成が捻くれてます。私の性格そのまんまです
 爽耶さんが捻くれ者だったら私は何なんですか・・・(汗)オイラだって立派な捻くれ者です。というワケで「捻くれ同盟」でも結成しますか!(え)
 分かりやすい文章も好きなんですが、メチャクチャ回りくどくて読めば読むほど意味が染み出してくる文も好きなんです。散文とか。色んな構成の文章っおもしろいですよねv
 弱魔剣士、大丈夫です!と言うか、私ゼルってすっごい弱い人だと思うので・・・。
 それでは本文の感想を。 
 「求メルモノ」、「失ウモノ」。ゼルが、必死で求めているもの、それは「元の姿に戻る方法」。そして、失うもの。「愛しい少女」。
 実は、私も考えたことがるテーマなんです。ゼルアメ好きなら一度は考えるんじゃないかな、とも思うんですが。元の姿に戻る代償が、もしアメリアなら。ゼルガディスはどちらを選ぶか、って。
 以前爽耶さんが書かれた話で、アメリアが自分の命と引き換えにゼルを戻す話がありましたよね。もしアメリアなら、迷わずその方法をとるでしょう。でも、ゼルなら?ゼルなら、アメリアを殺してまでその方法をとるでしょうか。
 「自由の代償は責任」って、よく言いますよね。何かを手に入れたいならお金を払うのと一緒で、何かを犠牲にしなければならない。等価交換、というものです。でも、絶対そうなんでしょうか?何かを失わなければ、絶対夢は叶わないのでしょうか?そんなの悲し過ぎます。これって欲張りなんでしょうか。
>「俺に!…近付くな!!」
>触れれば壊れる。
>欲すれば失う。
>そう夢のアメリアが物語る。
>「………関わらないでくれ…」
 ゼル、心の中で泣いてたんですね、きっと。近づくな、なんて、言いたくないはずです。傍にいてほしいはずなんです。
 
>「どんな夢を見たかはわからないですけど…傍に…いますから」
>想いを 沸き立つ思いを押し込めて
>「………お前は…俺と居てはいけないんだ…」
>「何故です?貴方の傍以外に…貴方の隣以外に
> …私の居場所があるとでも…?」
>「………お前が……無事にいられると思えない…」
 
>「…それが運命…定めなら、たとえ貴方に拒絶されようとも
> 貴方について行きます」
>生きる屍になんて誰もなりたくはないでしょう?
>「俺は………」
>「今は休んで下さい。きっと疲れてるんですよ」
>華奢な背を引き寄せ、きつく抱いた。
 このくだりが好きなんです。傷つけることを恐れるあまり、遠ざけようとする魔剣士。ゼルって、自分を信じてないんですね。自分を信じてあげられないって、すごく悲しいことです。
「俺はアメリアを殺すかもしれない」それは、直接自分の手で殺すという意味ではなく、荒れ果てた道に巻き込んで、負わなくてもいい傷を負って、笑顔を翳らせて、それは「温かく元気なアメリア」を殺すことと同じだ、と思ってるんでしょうね。そして、実際に死ぬかも知れない。守りきれなくて、死なせるかも知れない。どうして俺の為に、お前が傷つかなくちゃならないんだ。
 だけど、本当は傍にいてほしい、と望む自分に、そして笑って傍にいてくれるアメリアに安堵している自分に、罪悪感を覚えているのかも知れません。素直に「一緒にいたい」って言えないんですね。欲しければ欲しがるほど遠ざけて。大切であれば大切であるほど罵って。不器用に生きて、自分を苦しめ、その苦しみを罪滅ぼしにして。
 けれどアメリアは、「貴方について行きます」と言う。
 アメリアは傷つくことを恐れない。それは、ゼルガディスが好きだから。
 簡単に書きましたけど、これって本当の気持ちじゃないと、まず無理ですよね。一欠片でも偽りの思いがあれば、所詮ニセモノの決意ですから簡単に砕け散ってしまいます。最初でも書きましたが、ゼルって弱い人ですよね。ホントに、弱くて臆病で。だからこそ、アメリアが必要なのでしょう。
 でも、ゼルがずっと独りだったら、こんな風に悩むこともなかったんですよね。姫がいるから、ゼルは「独りでは生きていけない弱さ」を知ったんです。ゼルはそれを悪いことのように思ってるんでしょうけど、本来なら当たり前のことだと思います。自分は弱いんだ、ということを見せつけらて、戸惑って。
>拒絶してどれだけ傷つけても
>
>このお姫様が一度吐いた言葉を曲げる筈が無く
>
>傍にいると言うのなら
>
>せめてその身を穢したくないから
>
>闇を 俺を照らす光のままに
 
 そんなこと言わないで〜〜〜〜っっっ!!!!(涙)
 姫が穢れるわけないじゃないかっっ!!君はどこまで自分を馬鹿にすれば気が済むんだ・・・。それに、ゼルは闇じゃないですよ。光、とは言い難いですが;真っ暗なんかじゃありません!!
 ゼルに寄り添って眠る姫が、可愛くていじらしくてしかたありません><そっと頭を抱いて、目を閉じるアメリア。なんかもう・・・このシーン大好きですっ!アメリアも哀しいんだな、って思いました。自分のことでゼルガディスを苦しめているのが。ゼルガディスの不安を消してあげられないのが。ゼルガディスが穏やかに笑ってくれないのが・・・。
 お互いを想い合うからこそ、生まれるズレもあるんですよね。「一緒にいたい」って願いは同じなのに。
>そして また夜が明けていく
 でも、最後の姫の行動と、この文↑で救われたような気がします。夜は明けるけど、また夜は来る。悲しみを繰り返し、傷つけあい。そして、涙の後には日が昇り。だけど、二人で生きてほしい。ずっと、一緒に。
>やまなし 意味なし オチなし
>見事三拍子揃いました。
 んなことありません(きっぱり)私が断言しましてよ。
>ぢ・ぢつわ某★さんのお話に触発されて書いてみた小話です。
>胸がきゅんときたんですよ!きゅんと!!
 そうですか・・・誰なんでしょうね、その幸せな人は・・・。
 きっとその人は床に這い蹲って「んな滅相もないっっ!!うわわわ、そんないえそれは感受性の豊かな貴方の心に乾杯☆」とかなんとか言ってることでしょう。絶対嬉しがって浮かれてフタの開いたマンホールに落ちて明日当たり沖縄で発見されると思います。
>嗚呼バカなこと言ってないで連載続き考えてみます。
>何処まで続けれるかな?
>では、また巡り会えたら。
 私も連載いい加減完結させなきゃなぁ(涙)
 爽耶さん、書いてくださってありがとうございました><連載も待ってますっ!

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29791遅すぎレス申し訳ありません(平謝り)蒼 爽耶 URL2004/4/7 23:17:29
記事番号29647へのコメント

激遅すぎレス申し訳ありません;ゆ・許しt

でわ、レス致します

捻くれ同盟結成済(ぺたん)
分かりにくい―――というかワタシの文章能力が皆無なだけですから(爆)それにどちらかというと、語り口調が好きですので。ほわんとした姫口調とか書き易いですねー。
魔剣士は強い部分と弱い部分の差が極端だと思うんです。
悲惨な過去を持つ彼は頑なに心を閉ざし 破れた殻の中には脆く儚い氷
嗚呼、魔剣士…とんでもない扱いしてるけど好きダ…

ゼルアメ者としては一度はやってみたいネタ―――というか授業中に(待て)トントン進んでいった話なのです。他の方の素晴らしいゼルアメ文を読み漁っているためか、魔剣士と姫の心情が自分の身のことのように伝わってきます。自分で書いててどーなんだですけど;お互いがお互いを想い合い、大切に大切に置こうとする。私にとってのシリアスゼルアメイメージがこれなんです。おかげサマでダーク系にしか仕上がらな(以下略)

えと、この時点ではお二人の関係はかなり深いところまでいってることを前提に進めてるのです。

時折、発作的に姫を遠ざけようとする魔剣士
冷たい言葉の投げかけにも魔剣士の優しさを…自分の身を按じてくれている優しさが、姫にはわかっているから
ちくん、と痛む胸を無視して、この人の傍に居よう

今回は弱魔剣士なので姫を強めに。押されてばっかじゃワンパターンですからね。

私の存在が彼を苦しめているのはわかっている
それでも傍に居たいんです
傷ついた貴方を癒したい

想うオトコも強いですが、やはり色恋沙汰に関してはオトメに勝るものはいません。(※余談 ぢつは私がそんな性格の人だったり。お話ししましたっけ?今の関係を崩したくないから黙ってただ傍に居る…ってこんな私でも年頃の考えは持ってますから 笑)

癒して 癒されて ぶつかり合って 

また 同じ朝は来る。

経験は人を育てる、といいますし。お二人にはもっと成長していってほしいですね。年少者が偉そうな口叩いてますが;心だけはもぅ親気分ですvv


ネタ提供して下さった貴方に感謝して。
これにて閉幕。でわ、また会える日まで。