◆−本当の強さ vol.1−NAOTO (2004/3/18 00:09:54) No.29632
 ┗本当の強さ vol.2−NAOTO (2004/3/18 23:15:25) No.29638
  ┗本当の強さ vol.3−NAOTO (2004/3/20 00:04:47) No.29648
   ┗本当の強さ vol.4−NAOTO (2004/3/20 21:03:27) No.29652
    ┗本当の強さ vol.5(エピローグ)−NAOTO (2004/3/20 21:06:27) No.29653
     ┗おもしろかったです...って、これはまさか!?−ねこめぐ (2004/3/25 14:41:56) No.29696


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29632本当の強さ vol.1NAOTO 2004/3/18 00:09:54


どうも、NAOTOです。調子に乗って、新作を投稿させていただきます。
とりあえず、長編?に挑戦してみました。暇で暇でしょうがないぜぃ!!
と思った方は、試しに読んでみてください。
Hi, this is NAOTO. I'll show you my new novel.
I try to write a long story. If you are free, please read this novel.
Thank you.
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本当の強さ(1)


ここに、1通の手紙がある。差出人は、かの有名な、盗賊殺し、生きとしいけるものの天敵リナ=インバースであった。その手紙を1人の少女―セイルーン王国王女であり、かつてリナと共に旅をしていたアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが読んでいた。

アメリアへ
久しぶりぃ〜!!元気してる?確か、最期に会ったのは2年ぐらい前よね?
あんたのことだから、どうせ何も変わってないと思うけど・・・。
あたしは、相変わらずガウリイと旅をしてるわよ。まぁ、目的は特にないけど・・・。
そうそう、旅先でおもしろいもの見つけたから、あんたにあげる。肝心な部分が破れてて解読できなかったけど・・・。

「ふふふ・・・。リナさんたちも相変わらずですね。どうせ何も変わってないってどういうこと?これでも、少しは大人になったんですからね!!」
アメリアはくすっと微笑みながら、その手紙を読んでいた。彼女がこういう表情をするのは久しぶりだった。この2年間、彼女が心から笑い合える人との出会いはなかったから・・・。
「・・・おもしろいもの?何でしょう?この古ぼけた紙切れかしら?」

―― 強さのみを求めた呪われし肉体を元に戻すためには
   その者が、真の強さというものに気づき、その強さを求めた時・・・。
   呪いを解く鍵は、その者の呪いの媒体になるものを消し去ること
   そして、その呪いを解くには・・・・・・。

「・・・・・・これって・・・?まさか・・・。」
かつて、彼女は4人で旅をしていた。リナ=インバースと自称保護者ガウリイ=ガブリエフ。そして・・・。かつて、赤法師レゾによって、その身を合成獣に変えられた青年、ゼルガディス=グレイワーズ・・・。アメリアはこの青年のことを思い浮かべていた。頬がほのかにピンク色に染まる。
彼は自分の身体を元に戻すため、異国の地に旅立っていたのだった。
アメリアはこの肝心な部分が破れてる紙切れが、この青年の呪いを解く鍵になるのではないか?と考えていた。もちろん、リナもそのことに気づいて、この紙切れをアメリアに託したのであろう。




「おい、知っているか?」
「何を?」
「ほら、どこぞの大国がここ、セイルーンを狙って、戦争をしかけてきているって噂さ!」
「あぁ、知ってるよ・・・。だから今、特別防衛部隊を組織するために、剣術・魔術に長けた者たちを募集してるって話だろう?でも、あれって難しいんだよな?俺は剣士部門で応募したけど、筆記試験で落とされてしまったよ・・・。」
「う〜ん・・・。俺は筆記試験は受かったけど・・・。二次試験の実技試験で落とされた・・・。相手がセイルーン王家直属の近衛兵部隊の人じゃなぁ・・・。勝てるわけないぜ・・・。」
「王家としては、あくまでも和平を望んでいるらしいからなぁ。知識と武術を兼ね備えた奴じゃないと合格しないんだろう?魔道士部門は特定の魔力値がないと試験すら受けさせてもらえないみたいだからなぁ。筆記試験もそうとうマニアックな問題ばかり出るらしいし・・・。一体、どんな奴が合格するのか見てみたいもんだ・」
「あぁ。でも、剣士部門と魔道士部門の両方に応募して、全ての試験をだんとつトップで合格した奴がいるらしいぜ。」
「その噂は俺も聞いたことがある。なんでも、白ずくめの奴だろう?人間じゃなく合成獣って噂もあるどな・・・。」
「まさか!!合成獣が、セイルーンを守るために戦うわけがない!!」
「だよなぁ〜?」
兵士達が、噂をしている話はあながちウソでもなかった。アメリア自身もこのことを知っており非常に心を痛めているのだ。だが、アメリアにも知らされていないことがある。噂に出てる、防衛特殊部隊に応募して、だんとつトップの成績で合格し、特殊部隊の隊長に任命された男がいるということを・・・。その男は人目に出ることを極端に嫌がっているため、その存在は秘密にされている。
第二王女であるアメリア自身にも・・・。


風が生ぬるい夜だった・・・。その夜に事件は起こった。

「・・・・・・何者・・・・・・?」
アメリアは何者かの気配、いや殺気によって目を覚ましていた。
「あんたには恨みはないが、死んでもらう!!!!!」
男がナイフでアメリアを殺しにかかる。そのナイフは少女の胸を貫通する・・・はずだった。
「ふっ・・・。一体、何の用です?きちんと理由を言いなさい。そうすれば、正義も貴方にむやみに天罰を与えたりはいたしません!!さぁ!!」
そう、普通の少女ならばすでに生き絶えていたのだが、さすがはアメリア、男のナイフを素早くかわし、すでに後ろに回りこんで、男をはがいじめにしている。だが、そのさらに後ろにいきなり気配が生まれる。
「・・・・・・!!」
かわしきれない・・・。その瞬間だった。
「ぎぃやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」
叫んで倒れたのは、殺気の主の方だった。
「え・・・?」
アメリアは何が起こったか、わからなかった。もう一人の刺客がアメリアに襲いかかる。
「死ねぇ〜!!!!!」
しかし、アメリアは難なくこの攻撃をかわし、刺客をノックダウンしていた。

――数分後
「姫さまぁぁぁぁ!!大丈夫ですか!?」
親衛隊がぞろぞろとやって来た。
「私は大丈夫です!!しかし・・・?」
アメリアのピンチを救った者は、すでに姿を消していた。
「まさか・・・。そんなこと、あるわけないですよね?」
「姫様?いかがされました?」
「いえ、なんでもないですよ。」

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29638本当の強さ vol.2NAOTO 2004/3/18 23:15:25
記事番号29632へのコメント

本当の強さ(2)


事件の翌朝――
城内は騒然としていた。第二王女暗殺未遂の噂は、瞬く間に国中に広がっていた。
セイルーンの国全体が、異様な雰囲気になっていたが、それは午前中だけのこと。事件後、すぐにセイルーン第一継承者である、フィリオネル=エル=ディ=セイルーンが事件の経緯を国民に発表し、ひとまず、騒ぎは落ち着いたかのようにみえた・・・。しかし・・・。

「ゼルガディス殿、昨日はありがとうな。娘の命を守ってくれて。」
「そんなことより、フィルさん・・・。」
「あぁ、わかっておる!!刺客の正体じゃな・・・。」
「間違いない・・・。あいつらは・・・。俺と同じ・・・合成獣だ!!」
昨夜、ゼルガディスが倒した刺客たちを調べてわかったことがある。それは、彼らが人間ではない。いや、正確には人間+αの存在であったということである。
「しかも、あいつらにはすでに人間の心はなかった。魔物に心を支配されていた・・・。しかも、1人は殺気・・・いや、感情というものがまるでなかった。」
「暗殺をするにはうってつけ・・・と、言うわけじゃな?」
「あぁ。それと・・・。」
「わかっておる!お主が、ここにいるということはアメリアには内緒にして欲しいってことじゃろ?」
「あぁ、まだ・・・あいつの前に・・・この姿で出て行くわけにはいかないんでね。」
「男の・・・意地ってやつかのぉ?」
「まぁな。それに、今の俺にはあいつを堂々と守っていく資格も強さも・・・。」
「ゼルガディス殿・・・。これだけは言っておく。今のお主はどうやら、強さの意味をはき違えておる。」
「それはどういうことだ!?」
「つまりはな・・・。本当の強さというか、なぜ強くならなければならないという理由がないんじゃ。」
「・・・なに・・・?」
「だからな・・・。いや、よそう。これはお主自身が自分で見つけなければのぉ。それでは、ゼルガディス殿、これからも頼むぞ!!」
「・・・フィルさん!」
ゼルガディスは、一人たたずんでいた。
―― 強くなる理由? 俺はただ・・・力が欲しいだけ。こんな、合成獣としての力じゃなく、本当の強さが欲しいだけ・・・。だから、人間に戻りたいんだ!!




「はぁ〜・・・。昨日、私を助けてくれた人・・・一体、誰なのかしら?あの感じ・・・。ひょっとして・・・。」
事件後、アメリアの部屋には常に近衛兵がついている。城内は非常にピリピリしたムードが漂っている。アメリアも兵たちも限界だった。相手は合成獣である。アメリアはともかく、並みの兵たちでは手に負えない相手であることに間違いはなかった。それでも、アメリアの元を離れないのは、それだけ、アメリアに対しての忠誠心が強いということのあらわれであったのであろう。


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29648本当の強さ vol.3NAOTO 2004/3/20 00:04:47
記事番号29638へのコメント

本当の強さ(3)


「・・・ちっ・・・。暗殺は失敗に終わったか・・・。何かいいアイデアはないのか!?」
「なんでも、セイルーンには凄腕の兵がいるって噂だしな!!どうしたものか・・・。」
「それだったら、俺にいい考えがあるぜ!あの姫さんを一人にすればいいんだろ?」
「ほぅ・・・。で、どうするんだ?」
「簡単だよ・・・。ごにょごにょごにょ・・・・・・・・・・・。」
「なるほど!!よし、それでいってみよう!!」


――― セイルーン第二王女暗殺未遂事件から、数日後。
あれから、アメリアが襲われることはなく、城内は落ち着きを取り戻していた。アメリアは気分転換にと、城を抜け出して散歩をしていた、。

「うわぁぁぁぁ〜、誰か、助けてくれぃ〜!!」
「おっさんよぉ、別に取って食おうってわけじゃないんだ!!おとなしく・・・。」
一人の商人が盗賊に襲われていた。
「そこまでよ!!」
「なんだなんだ!?」
「悪党共!!その汚れた刃を捨てなさい。正義の名の元にこのアメリア=ウィル=テスラ=セイルーンが、貴方達を成敗します!!とぉ!!」
アメリアは飛び立った。スレイヤーズファンなら、この後どうなるかは予想がつくであろう。そう、予想通りアメリアは頭から地面に落っこち、そして地面とキスをする・・・。
だが・・・さすがは超合金娘、すぐに立ち直り
「正義の裁きを受けなさい!!」
だが、思わぬところから声がした。答えたのは襲われていたはずの商人であった。
「はははははは・・・!ひっかかったな、お姫様よ!!」
「え・・・?どういうことです?」
アメリアはすでに、大勢に囲まれていた。
「・・・っく・・・卑怯な・・・。バースト・ロンドォォ〜!!」
アメリアは唱えていた呪文を解き放つ。威力は低いが、火傷をさせることぐらいはできる。
人間だったら・・・。
「そんなもん当たったところで、痛くもかゆくもないなぁ!」
「そんな・・・。あなたたち、一体何者なんです!?私の正義に燃える心を利用するとは、なんて卑怯な!!」
「悪いが、俺達にとって、セイルーンが邪魔なんでね。あんたにはここで死んでもらう!!」
アメリアに次々と襲いかかる。アメリアは次の呪文を唱えているが、間に合わない・・・。
「ダグ・ハウトォォォ〜!!」
アメリアの周りの地面が隆起する。アメリアに襲いかかったやつらを吹き飛ばすだけには十分だった。
「ゼルガディスさん!!!!!」
「感動の再会は後だ!!気をつけろ!!やつら、人間じゃない!!合成獣だ!!」
「ほぅ・・・。我々の正体に気がつくとは・・・。お主・・・さては、噂に聞く、セイルーン防衛特殊部隊の部隊長じゃな!?」
「だったら、なんだ!!」
「そこのお姫様と一緒にお前も殺す!!」
「ほぅ。だが、貴様に俺を倒すことはできないぜ!!」
ゼルガディスがそう言い放つと、合成獣の男はニヤリとした。
「確かにこのままでは、お前には勝てないな。このままではな!!」
合成獣の男の身体が光った。先ほど、ゼルガディスにぶっ飛ばされたはずの合成獣たちの光りはじめ、そしてその光はリーダー格の合成獣の男に集まる。
「ふぅぅ。俺様だけの力じゃ勝てないが、これだけの力を集めれば勝てる!!ゆくぞ!!」
男の一撃をゼルガディスはなんなくかわす・・・はずだった。が・・・。
「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」
ゼルガディスの身体はいとも簡単に吹っ飛ばされた。
「ラ・ティルトォォォ〜!!」
アメリアの術が男をとらえた。完璧に決まっているはずだが・・・。男はケロッとして
「人間ぶぜいの術が俺様に効くはずがないっ!!」
「・・・な・・・。」
「まずはお姫様!!貴様からだぁぁぁぁぁ!!!」
「逃げろぉぉぉ〜!!アメリア!!」
「できません!!もう・・・、二度と離れたくないんです!!」
「何を言ってる!!お前が死んだら・・・セイルーンはどうするんだ!!」
「私は王女である前に、一人の人間です!!人を好きになることだってあるんです!!」
アメリアの瞳は力強くゼルガディスを見つめていた。もう離れたくない!!全てを捨ててでも大事なものがあるんだ!とその瞳は主張していた。
「何をごちゃごちゃ言っている!!安心しろ!!二人仲良くあの世へ送ってやるから心配するな。」

―― 力が欲しい・・・。アメリアを守る力が・・・。正義かぶれで、ヒロイックオタクで、いつも俺に迷惑かけるけど・・・。ほっときたくなるけど、ほっとけなくて・・・。うっとしくなることもあるけど、いないと寂しくて・・・。そんな、アメリアを守る力が欲しい。強くなれなくてもいい・・・。今、アメリアを助けられるのなら・・・。今、アメリアを守ることができる力があれば・・・それだけで。―――

「死ねぇぇ〜・・・・・・。何だ?か、身体が・・・動かない・・・。」
男の身体に無数のひびが入った。男の身体が崩れ始める・・・。
「ぐわぁぁぁぁぁ〜!!!!!」
男が叫ぶ・・・。
「一体・・・何が起こったのです?」
「説明は後です。ゼルガディスさん、アメリアさん!!早く!!」
突如聞こえた声。しかし、かまっている暇はなかった。

永久と無限をたゆとうし 全ての心の源よ 尽きることなき蒼き炎よ 
我が魂の内に眠りしその力 
無限より来たりて 裁きを今ここに

「ラ・ティルトォォォ〜!!」
ゼルガディスとアメリア、二人の声が見事にはもった。
「ぎゃゃゃああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜!!!!!」
それが、完全体の合成獣のあっけない最期であった。


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29652本当の強さ vol.4NAOTO 2004/3/20 21:03:27
記事番号29648へのコメント

本当の強さ(4)


「で、ゼロス・・・。どういうことなんだ?」
「はい。それは・・・。」
「秘密はなしですよ。」
「・・・わかりました・・・。特別にお教えしましょう。あの合成獣なんですが、しょせん人間をベースにしているので、強大すぎる力に耐え切れなかった・・・。ということです。」
「なるほどな・・・。」
「我々、魔族といたしましても、人間に変に力をつけられると困りますので、ずっと見張ってたのですが・・・。しょせん、目的のない力は滅びるということです。わかりましたか?ゼルガディスさん?」
「・・・っく。ゼロス!!」
「それでは、僕はこのへんで・・・。」
言うだけ言うと、ゼロスは消えていった。
「あの野郎・・・!!」


「あの・・・ゼルガディスさん・・・?」
「アメリア・・・。久しぶりだな。」
「ウソ!!私が、最初に襲われた時、助けてくれたのって、ゼルガディスさんですよね?
 父さんは何も言わなかったけど、私にはわかります!!何で・・・何で黙って言っちゃったのですか?」
「それは・・・アメリア・・・まだ、お前さんに会うわけには・・・」
「どうしてです!?自分が合成獣だからですか?私が王女だからですか?」
「そうだ!!俺はまだ元に戻っていない。人間じゃない体でお前に会うことはできなかった・・・。」
「そんなの・・・関係ないです!!私が・・・私がどれだけ・・・ゼルガディスさんに・・・会いたかったか・・・」
アメリアの瞳から大粒の涙がこぼれはじめた。アメリアはゼルガディスの胸に飛び込み、泣き続けた。ゼルガディスはアメリアの頭を彼女が泣き疲れて眠ってしまうまで、優しくなでていた。
木陰の下でアメリアはすぴすぴと安らかに眠っている。ゼルガディスはそんな彼女を見て、そのまま、旅立とうとした。その時だった。くぃっと、何かに引っ張られた。
「ゼルガディスさん・・・。また、何も言わずにどこかに行っちゃうのですか?」
「あぁ。この体を元に戻さないといけないからな・・・。」
「これを見て下さい。」
アメリアは1枚の紙切れを懐から取り出した。

―― 強さのみを求めた呪われし肉体を元に戻すためには
   その者が、真の強さというものに気づき、その強さを求めた時・・・。
   呪いを解く鍵は、その者の呪いの媒体になるものを消し去ること
   そして、その呪いを解くには・・・・・・。

「これは・・・?」
「リナさんから、送られてきました。肝心なところは破けていてわかりませんけど、でも、
 私にはわかりました。その破れている部分の答えは・・・。」
「答えは?」
突然、アメリアはゼルガディスの頬に手を当てた。
「・・・んな・・・アメリ・・・。」
そして、ゼルガディスの唇に自分の唇を重ねた。突然、ゼルガディスの体が光を放ち始めた。
「か・・・体が・・・熱い・・・。」
ゼルガディスの体に張り付いている岩はぽろぽろと取れていき、青い皮膚は肌色に変化していき、金属質の髪も、黒く柔らかなものへと変化していく・・・。


「で・・・アメリア・・・。答えというのは・・・?」
ゼルガディスは顔を真っ赤にしながら、同じように顔を真っ赤にしたアメリアにたずねた。
「ゼルガディスさんの呪いの媒体って、ブロウデーモンでしょう?ってことは魔族ですよね?」
「まぁ、そういうことになるのかな・・・。」
「だから、呪いを解く鍵は、魔族の苦手としているもの・・・。すなわち愛だと思ったんです。」
「なるほど・・・・・・・・・。ん・・・ってことは・・・?」
ゼルガディスの顔がさらに赤くなる。もはや沸騰寸前である。
「何はともあれ、私のファーストキスを奪ったんですから、正義の名の元に、ゼルガディスさん!
 責任をとっていただきます!!」
「いや・・・あれはお前から・・・。」
「そんなの、関係ないです!!」
「なんてな・・・冗談だ。それに、人間に戻ったら、お前さんに言いたいことがあったし・・・。」
「え・・・?なんですか?」
「だから・・・その・・・つまりは・・・お・お・お・お・俺と・・・。」
「俺と・・・なんですか?」
「俺と・・・一緒にいてくれ・・・ないか?」
「なんだぁ。そんなことですか。別にいいですよ。がっくりしちゃいました。てっきりプロポーズ
 でもしてくれるんだと・・・。」
アメリアは少しむくれていた。そうだった。アメリアはこういうことに関してはすごく鈍かったのだ・・・。てっきり、プロポーズをした気になっていたゼルガディスは気をとり直して・・・。
「だからぁ、そうじゃなくてだな・・・その・・・プロポーズのつもりだったんだが・・・。まぁ、いい。
 アメリア、俺と、け、け、け、け、け、結婚してくれないか?」
「・・・え・・・。ゼルガディスさん・・・。本気で言っているのですか?」
「こんなこと、冗談で言えるわけなかろう。」
ゼルガディスはぶっきらぼうに言い放つ。
「もちろんです!!」
アメリアは大きな瞳を輝かせ、ゼルガディスに抱きつく。そして、二人はもう一度キスをした。

―― 強さのみを求めた呪われし肉体を元に戻すためには
   その者が、真の強さというものに気づき、その強さを求めた時・・・。
   呪いを解く鍵は、その者の呪いの媒体になるものを消し去ること
   そして、その呪いを解くには・・・・・・。

   その呪われし姿を愛してくれるものの愛を受け入れることである。




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29653本当の強さ vol.5(エピローグ)NAOTO 2004/3/20 21:06:27
記事番号29652へのコメント

本当の強さ(5) −エピローグ―


あの事件からすでに、数ヶ月が経っていた。セイルーンに刺客を送り込んできた、セイルーンと敵対が噂されていた国は、合成獣の暴走により滅びてしまったらしい。セイルーンに再び平和が戻った。しかし、今日は国中がなにやら慌しい様子である。そして、1枚の新聞記事の切れ端が風に舞った。そこにはこう書かれていた。

セイルーン第二王女 アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン 結婚

そう、この国がなぜ、今日、こんなに慌しいのかというと、この国の第二王女アメリア=ウィル=テスラ=セイルーンの結婚式であるからである。


コンコン
「入るわよ?アメリア。」
「はい。どうぞぉ〜。」
ドアをノックする音。ドアの奥には純白のウエディングドレスを身にまとったアメリアがいた。
「やっほ〜!!アメリア、久しぶりぃ〜、元気してた!?あら、綺麗じゃない!!」
「リナさん。お久しぶりです。あれ、ガウリイさんは?」
「あぁ、ガウリイね?ゼルんとこに行ってるわよ。」
「ふ〜ん。で、その子は・・・まさか?」
リナの後ろに隠れている小さな人影がポツリ。
「あぁ、私の子供第1号よ。ほら、あいさつしなさい。」
「うん。お母さん。ところで、この人誰?」
「コラッ!きちんとあいさつしなさい!こういうところはお父さんによく似ているんだから。
 この人はね。お母さんとお父さんの大切な親友よ。」
「ふ〜ん。お母さんよりムネ大きいね。」
「あんたねぇ〜!!」
「まぁまぁ、落ち着いて下さい、リナさん。ところで、子供第1号ってことは・・・?」
「まぁね〜。二人目がお腹の中にいんのよ。」
「ふ〜ん。上手くやってるんですね。」
アメリアはいたずらに微笑んでいる。リナも顔を赤くしながら、
「まぁね〜。じゃあ、アメリア。結婚式、期待しているわよ!」
「任せてください!!」




それから数年後
「お父様、俺、強くなりたいんだ!!」
「ほぅ、なんで強くなりたいんだ?」
「そんなの、決まってるじゃないですか!!正義を世に広めるためです!!」
「そうか・・・。お前なら、本当の意味で強くなれるかもな・・・。」
「はいぃ!!」
「そのためには、きちんと稽古にはげむんだぞ!」
「はい!お父様!!」
「ふふふ・・・。」
「おっ、アメリアか?ったく、あいつは・・・。正義を広めたいんだと。まるで、どっかの誰かさん
 だな。」
「そうですね。あなた。でも、あの子なら大丈夫ですよ。」
「当たり前だ。なんせ、俺達の子供なんだからな。」
「はい。あなたも本ばっか読んでないで、たまには私と正義を広めませんか?」
「ふっ・・・。蛙の子は蛙だな・・・。」
「何か、言いました?」
「いや、なんでもないさ。」




後にこの子供はセイルーンの王となる。そして、セイルーン史上、最高の王と呼ばれる日が来ることをこの時、誰が想像したのだろうか?ちなみに、この王は一人の女性と巡り合い、結婚する。
最初は家臣達も猛反対していたのだが、その女性の母親の名前を知ると、おびえ・・・もとい喜んで結婚を承諾したと言われている。


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以上です。ここまで、読んでくれた方(いるのか?)ど〜も、ありがとうございました。長編に初挑戦してみましたが・・・。う〜ん・・・。まだまだ、修行不足のようです。

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29696おもしろかったです...って、これはまさか!?ねこめぐ E-mail 2004/3/25 14:41:56
記事番号29653へのコメント

 どーも、はじめまして。ずっと読み逃げしてて、ごめんなさい。
 楽しませていただきました。ゼルアメっすね〜、ゼルとゼロス、どっちかでも出ている小説好きなんです〜生ゴミだし、おちゃめだし。
>最初は家臣達も猛反対していたのだが、その女性の母親の名前を知ると、おびえ・・・もとい喜んで結婚を承諾したと言われている
お、おびえ?ま、まさか、L様?
L:ちゃうわー!!
 ぼけました、ぼけてみました。もちろん(?)、リナですよね〜?リナの娘もいいですね、どんな人とでも結婚できるから。(ある理由で。)でも、それも可哀相ですね。
ホントに楽しませていただきました。ありがとうございました。
それだは、さよなら....