◆−メイプルツリー −約束ー−NAOTO (2004/3/9 04:01:00) No.29564
 ┗Re:メイプルツリー −約束ー−ゆずる (2004/3/17 01:58:10) No.29625
  ┗感想ありがとうございます。−NAOTO (2004/3/17 17:36:45) No.29628


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29564メイプルツリー −約束ーNAOTO 2004/3/9 04:01:00


はじめまして。NAOTOと申します。
小説と呼べる代物かどうかはわからないですけど、私自身、初の作品です。
初め書いた作品ですので、出来は決してよくないかもしれませんが、
読んで見てください。まだまだ、未熟者ですが、よろしくお願いします。
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メイプルツリー −約束−

セイルーンから少し離れた、小さい丘。ここには1本の楓の木があるだけだが、
セイルーンの全てが見渡せるということで、恋人達はセイルーンの夜景の美しさ
に酔いしれる・・・。いわば、隠れたデートスポットの一つであり、恋人達はその
丘を楓の木にちなんで「メイプル」と呼んでいた・・・。

夜もふけ、酔っ払い達すらも家路につく頃、一人の少女が物憂げな表情でこの丘
に立っていた。彼女にとってこの場所は単なるデートスポットではなく、彼女が
とある青年と再会を約束した丘であるのだ。彼女はこの青年とかつて共に旅をし
死線を共にしていくなかで、信頼し合い、それがいつしか恋へと変わっていった。

今から2年前、魔王ダークスターとの戦いが終わり、青年は自分の身体を元に戻
すための手段を探しに新たに旅立った。少女は王女としての生活に戻った。そして
青年と少女が最後に別れた場所がこの丘の楓の木の下である。

「どうしても・・・行くのですか?」
「あぁ。」
「そうですか・・・。そうですよね?だって・・・ゼルガディスさんは自分の身体を元に
 戻す旅の途中ですもんね?」
少女の大きく、そして透き通った蒼い瞳からは今にも涙が溢れそうだった。
「アメリア・・・。」
青年は愛しい少女の名をつぶやいただけだった。自分の身体を元に戻す旅。それは
出口のない迷路のように、あてのない、そして
いつ戻れるかもわからない旅だった。
「私は・・・。セイルーンに残ります。そして父さんを支えていきます!!」
少女は青年に心配をかけまいと、精一杯強がった。
「すまん・・・。アメリア・・・。」
青年は、そんな少女の精一杯だけど、ウソのつけない強がりにすまないとしか
言えなかった。少女を連れて行くことは簡単だった。しかし、いつ終わるとも
しれない旅に少女を連れて行くことはできなかった。
「せめて・・・。これを私だと思って、一緒に連れて行ってください。」
少女は左腕にはめられたアミュレットー少女が肌身はなさずつけていた
アミュレットを外し、それを青年に渡した。
「アメリア・・・。約束する!俺は必ず、この丘に帰ってくる!例え、命を失うことに
 なっても・・・。必ず・・・。」
青年は少女のこぼれかけた涙をぬぐい、力強く言った。
「私は・・・。ずっと待ってます。ゼルガディスさんが帰ってくるのを待ってます。
 この丘で。」
青年と少女の唇が重なる。少女にとっては初めてのキス。でも、どこか悲しい感じ
のキスだった。
そして、これが青年と少女が交わした約束であり、この日から青年にとっても少女
にとっても、この丘は約束の地となった。




それから、2年後の冬。凍りつくような寒さの中、少女・・・いや、2年前と比べて
成長し、女性となったアメリアはこの丘に一人立っていたのだ。

「はぁ〜。あれからもう2年かぁ・・・。ゼルガディスさん、元に戻れたのかなぁ?」
アメリアはそうつぶやき、今はどこにいるのかさえわからない
青年に思いを馳せる。
その時だった。がさがさがさと楓の木が突如揺れ始めた。そこには1つの人影が
あった。忘れようにも忘れられない、そして決して見間違うことのない姿がそこに
あった。
「ゼ・・・ル・・・ガディス・・・さん?」
アメリアの大きな瞳が、さらに大きく見開かれた。
「久しぶりだな。アメリア・・・。」
なつかしいけど聞きなれた声。そしてなによりも聞きたかった声だった。
「ゼルガディスさ〜ん!!!!!」
アメリアは夢中で駆け出していた。そして、その影に思わず抱きついた。
「こら・・・。アメリア!!」
青年の顔が真っ赤になった。そう赤紫ではなく、真っ赤に・・・。
彼はかつての合成獣ではなく、一人の人間になっていたのだった。
「ゼルガディスさん!!会いたかったですぅ〜!!・・・?」
少女・・・いや女性の目からは、大粒の涙が溢れた。
「約束どおり・・・。俺は帰ってきた。お前の元に!」
ゼルガディスはアメリアを抱きしめ、彼女の涙を拭いながら言った。
「はい。おかえりなさい・・・。ゼルガディスさん。」
そして、アメリアとゼルガディスは今まで会えなかった時間を取り戻すかの
ようにお互いのことを語り合った。アメリアは王宮での生活のこと。ゼルガディス
に会えなかくて寂しい思いをしていたことを話し、ゼルガディスはどういう旅を
してきたのかということを・・・。
この瞬間、二人は初めてお互いがどんなに大切な存在なのかがわかった。
この瞬間だけ・・・。そして、月がその姿を消し、日が昇り始める頃
オレンジ色の光が二人を照らし始めた頃だった。
「すまない・・・。アメリア・・・。俺はもう旅立たないといけない。」
ゼルガディスの身体がどんどん、透けていく。
「はい・・・。わかってます・・・。」
アメリアは最初にゼルガディスに抱きついた時に、すでに気づいていた。
「アメリア・・・。お前さん、最初から気づいていたのか・・・?」

アメリアは巫女であるがゆえに、ゼルガディスの正体に気づいていた。彼がすでに
この世に生のあるものでないことに・・・。
そう、彼は旅の途中、一人の少女を守ろうとして、命を絶ってしまったのある。彼らしくない最期だった。目の前にいる女性との出会いが、彼を変えていたのである。その女性の会いたいという強い想いと青年の約束を守りたいという強い想いが彼をこの丘に呼び寄せたのであった。

「ゼルガディスさん・・・。私・・・。ずっと、あなたに会いたかった。会って言いたかったことがあるんです。あなたに会えてよかった。あなたを愛してるって・・・。」
大きな蒼い瞳からは、涙が止まらない。
「アメリア・・・。俺もずっと言いたかったことがあるんだ。お前さんを愛してる。」
青年の身体は、もはやこの世から消え去りそうなくらい透き通っていた。
「ゼルガディスさん・・・。私、その言葉をずっと待ってました・・・。もっと早く、
 その言葉が聞きたかった。もっと一緒にいたかった・・・。」
アメリアはゼルガディスに抱きつくが、
もう彼の身体透き通っていて素通りしてしまう。
「アメリア・・・。今度は俺が待ってるから・・・。ずっと待ってるから・・・。約束・・・だ」
光が青年を照らし、青年は旅立った。からんからんと、1つのアミュレットが落ちた。アメリアがかつて青年に渡し、青年が旅の間中にずっと持っていたものだった。
「ゼルガディスさん・・・。私、必ず会いに行きますから・・・。私のするべき事を全て
 終えてから・・・。何年かかるか、わかりませんけど・・・必ず・・・。」




それから50年後・・・。
あの丘「メイプル」に1つの伝説が加わった。ここで再会を約束すれば、また会えるという
伝説が。そして、楓の木の下には1つの墓標が立てられていた。

ゼルガディス=クレイワーズ
アメリア=ウィル=テスラ=セイルーン
ここに眠る



「ゼルガディスさん!!約束通り、会いに来ました!もう2度と離れませんよ!!」
「アメリア・・・。」
2人は仲良く手をつないだまま、歩いている。この手が離れることは永遠にないだろう。
そう・・・。永遠に・・・。

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29625Re:メイプルツリー −約束ーゆずる 2004/3/17 01:58:10
記事番号29564へのコメント

どもはじめまして
遅レス失礼します
初の小説とのことですが、とても良かったと思いました
アメリアがゼルガディスに影響を与えたゆえの最期というところはとくに好きです
離れていても向こうの世界でも愛は不滅ですね(笑
そして二人なら本当に伝説になれそうなあたり、一つの結末として楽しかったです
それではまた、頑張ってください
素敵なお話楽しみにしてます(^ー^

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29628感想ありがとうございます。NAOTO 2004/3/17 17:36:45
記事番号29625へのコメント

ど〜も、感想ありがとうございますm(_ _)m
読んでくれている方がいらっしゃって、非常に感激しております。
また、こりずに次回作を考えて、というか作成中ですので、
そちらの方もよかったら、読んでやって下さい。
近日、発表しますので・・・。