◆−スレイヤーズTRYノベル:十一話:神の永き眠り−オロシ・ハイドラント (2004/2/20 20:01:42) No.29391
 ┣改めて疑問を認識、というところですね。−エモーション (2004/2/20 21:38:30) No.29392
 ┃┗Re:手掛かりは……これから?−オロシ・ハイドラント (2004/2/21 14:57:36) No.29398
 ┣スレイヤーズTRYノベル:十二話:戦慄の刻限−オロシ・ハイドラント (2004/2/21 19:11:38) No.29401
 ┗スレイヤーズTRYノベル:十三話:私が死のうとも−オロシ・ハイドラント (2004/2/22 13:16:33) No.29407
  ┣Re:スレイヤーズTRYノベル:十三話:私が死のうとも−エモーション (2004/2/22 23:17:49) No.29421
  ┃┗Re:スレイヤーズTRYノベル:十三話:私が死のうとも−オロシ・ハイドラント (2004/2/24 13:49:49) No.29428
  ┗スレイヤーズTRYノベル:十四話:彼女は閉ざされた部屋の中で−オロシ・ハイドラント (2004/2/24 16:27:30) No.29432
   ┗Re:スレイヤーズTRYノベル:十四話:彼女は閉ざされた部屋の中で−エモーション (2004/2/25 22:28:15) No.29446
    ┗Re:スレイヤーズTRYノベル:十四話:彼女は閉ざされた部屋の中で−オロシ・ハイドラント (2004/2/26 17:15:12) No.29448


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29391スレイヤーズTRYノベル:十一話:神の永き眠りオロシ・ハイドラント 2004/2/20 20:01:42


 ツリーほとんど落ち掛けのようなので、新しく立てました。
 ちなみに今回はかなりあとがき長いです。
 それでは、どうぞ。
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 11:神の永き眠り


 神殿内部は外部から見た以上に広く感じられた。
 まず比較対象がないし、全体図を見たわけでもないのだがこの神殿、もしや一都市に匹敵する規模を持っているのかも知れない。
 構造はやはり複雑で迷路のようだったが、人間の建築物でも入り組んだものは多数ある。
 だが、この神殿ほど通路や部屋が巨大なものは滅多に存在しないだろう。
 これだけ広いと移動も大変そうに思うかも知れないが、実は神殿のすべての通路には高速で動く床になっている部分があり、そこに乗れば時間も労力も必要ないようになっているのだ。
 また随所に転送装置がおかれているので、こちらも併用するとさらに移動時間を短縮することが出来るようである。
 入り口に入るなり司祭は一人の青年を呼び、あたし達を案内するようにいった。 
 あたし達はその青年に聖堂へと連れてゆかれ、多数の竜族に見守られる中、清めの儀式だと言われ軽く水を浴びせ掛けられた。
 その後、様々な場所を見せられ、それから一つの部屋に通された。
「ここでお待ちください」
 その部屋には、テーブルを囲んでクッションつきの椅子が八つあり、お菓子やお茶がすでに並べられていた。
 恐らくあちこちを見回っている内に、用意したのであろう。
「ところでさ。ラファエル」
 お菓子を食べながら、あたしはラファエルに話し掛けた。
「何でしょう?」
「さっきフィリアのこと司祭夫人とか何とか言ってたけど、フィリアってまさか……」
「ええ、そのすでに結婚しているみたいです」
 ラファエルは即答した。
 ガウリイの驚きも相当なものであったが、あたしのそれとは比べものにならなかった。
 もしそうだとすると、あれは浮気ということになるではないか。
「でもまあ、竜族の結婚なんてそれほど大層なものじゃないですよ。すぐに子供が生まれるわけではないですから、結婚前とそんなに生活が変わるわけではないですし、姓だって今のままですから。まあ地位のある人の娘と結婚した男の地位が上がるということはありますけど……」
 地位目当ての結婚? ……そういえば、
「そういえば、フィリアってこの神殿にとって意味のある人間なわけ?」
「ええ、大司教の子で、神殿の竜族の最長老でもある総大司教の孫です。それから火竜王の第一巫女でもあります」
「へえ、そんなに偉いんだ。フィリアって」
「まあ巫女には助祭や司祭といった階位は与えられません――巫女というのは役職であると同時に地位でもありますから――が、神殿全体でもかなり高い位置にあるはずです」
 それから待たされること数十分。
 部屋の扉が開いた。
 先ほどの青年が再び現われ、今度は神殿の奥の方に位置する部屋まであたし達を運んだ。
 その部屋にはすでに三人の人間がいた。
 赤い絨毯が敷かれた部屋で、ものが少なく寂しさを感じさせる。
 奥には黒い扉があった。
 正面にあるテーブルの向こうにしわだらけの老人が一人、その左右に金髪の壮年男と黒髪の青年が、それぞれ口を固く閉ざしてあたし達を見つめていた。
 どちらも美形と充分に言える。
 恐らく、老人はフィリアの祖父、壮年の男はフィリアの父、青年はフィリアの結婚相手に違いない。
「お久しぶりです。最長老様」
 嵐の如き無言の波動が襲って来たのだが、それを打ち砕いたのはやけに馴れ馴れしいラファエルの言葉であった。
「おおっラファエルか。久しぶりじゃの」
 まるで魔法が解けたかのように、老人の表情は柔和なものと変わった。
「お元気でしたか」
「元気だとも。わしはまだ五千年は生きるわ」
 一体この老人はいくつほどの歳なのであろうか。
 無限に近い年月を生きる竜族は、自由自在な姿を取ることが出来るものだが、この老人は非常に動作が鈍いように思える。
 身体が痺れたように震えている。
 これが老人の姿のせいだというのならば、こんな不便な姿を取る意味が分からない。
 これが本当の年齢のせいならば、彼は千歳や二千歳では済まされないであろう。 ドラゴンズ・ピークの長であるミルガズィアさんはこの老人より遥かに若いはずだ。
「ところでお嬢さんのことですが……」
 ラファエルの使ったお嬢さんという言葉は、恐らくフィリアを指すものなのだろう。
「フィリアは私が救い出します!」
「ミュヘン!」
 左右から鞭のような声が連続して響いた。
「絶対に何とかします!」
「お前如きに何が出来るか!」
 ミュヘンという男は、自力でフィリアを救おうと考えているらしいが、それを止めようとしている壮年男が間違いなく正しい。
 フィリアを誘拐した相手はあのヴァルガーヴとエイデンバングルなのだ。
「あれを渡す振りをして、誘拐犯を一気に……」
「ふざけるな! 下手すればフィリアの命が危ないではないか」
「いい加減にするのじゃ二人とも!」
 老人の声は、睨み合う二人の熱を消し去った。
「すまんな、ラファエル。……ところでそちらの皆方よ。わしはザルフバザードといって黄金竜一族の最長老で、神殿長の座に就く総大司教、フィリアの祖父でもある者じゃ。こっちにおるのが息子のヨハネスハルトで大司教、フィリアの父。それからあれはミュヘン・ギ・シュトラウスといってフィリアの配偶者、つまりは結婚しとる相手になる」
「リナ・インバースさんとガウリイ・ガブリエフさんです」
 ラファエルがすかさず紹介し始めた。
「インバースさんの方は、竜もまたいで通ると言われるくらい世で恐れられている魔道士で、ガブリエフさんの方は超一流と名高い剣士です」
「ほう。それは頼もしいの。じゃが本当に期待して良いのかな?」
 老人の表情がやや険しくなったように思えた。
「それは……」
「まあ良い。そんなことが本当に可能とは思っておらんからな。まあ余計なことはしてくれるなよ」
「何なのよ!」
 最長老のあまりの態度に、あたしは声を張り上げていた。
「そんな諦め気分で良いっていうの!? あんたらの神様でしょ」
 いくら偉い人とはいえ、こんな人間――人間じゃないけど――に敬語を使ってやる必要などない。
 これには、別にクビにされたって構わないという、言ってることとはどことなく矛盾してるような考えがあるせいでもあるが。
「失礼ですよ。インバースさん!」 
「いや良い。……とにかく無理なのじゃよ。火竜王様の病を治す術は、最長老であるわしの知るどの書物にも書かれておらん」
「でも……」
 確かに神様の病気を治すということは、容易に可能なことではなさそうだ。
 それどころか、果たして人間風情に成しえることであるのかどうか自体疑わしい。
 断る権利のなさげな状態だったのでよく考えずに引き受けたが、もしや一生完遂出来ずに終わるかも知れない。
「と、とにかく患者さんを見せてよ。どんな病気か知らないと治すことも出来ないじゃないのよ」
「良かろう。特別に拝謁の許可を与える。ついて来るが良い」
 立ち上がった最長老は、そのまま背後にあった扉の奥へ入っていった。
 それに続き、フィリアの父である大司教と司祭ミュヘンが続いた。
 あたし達もその後を追う。


 扉の奥には地下への階段があった。
 長い階段を降り切ると、いきなり広い空間に出た。
「ここが「神の間」じゃ」
 最長老は言った。
 そこは最も神聖な場所なのであろう。
 聖堂以上に荘厳な空気が満ちている。
 天井は随分と高い。
 円柱状の空間は広く、静かだ。
 外と違って空気が冷たい。
 床はまるで鏡で出来ているかのように見えたが、それは精一杯磨かれた石なのだと分かった。
 全面の壁も同じ材質で、複雑な細工が施されている。
 あたし達のいる位置は円周の一角。
 中央には床と同じ石で造られた祭壇が見え、そこに巨大な焔(ほのお)が灯されている。  
 否、その焔こそがこの神殿の真の主、黄金竜達が奉る神である火竜王なのだろう。
 あたし達は最長老達に続いて、祭殿へと近付いていった。
 平常時の姿を知らないのだが、それでも火竜王が弱っているということは見て取れた。
 これだけの焔だというのに、まず熱が感じられない。
 むしろ冷たい感じがする。
 反応は全くなかった。
「う〜ん。普通のやり方じゃ無理なのよね」
「ええ、火炎球(ファイアー・ボール)をぶつけるとかじゃだめですよ」
 ……ちぇっ、一回やってみたかったのに。
「そういえば最長老さん?」
「ん、何じゃ?」
「その火竜王…様の病気の原因ってホントに分かんないの? その何か前触れみたいなものとか……」
「……そんなものはないわ」
 手掛かりはなしか。
 どうすれば良いのだろうか。
 異界黙示録の原書になら載っているだろうか。
 いや、まず再び出会える可能性自体限りなく低い。
 人間の国家や神殿などが当てになるとは思えない。
 竜族の知識の中にも解決法が載っていなかったというのに、人間の誰が知りうるというのだ。
「なあ、ちょっと良いか」
 あたしが悩んでいる中、言葉を切り出したのはガウリイであった。
「他にも神様がいるみたいだが、その人達に聞くっていうのは出来ないのか?」
 あっ、そういえばそうだ。
 地竜王と天竜王という二人の神様が、世界にはまだいる。
 たまにはガウリイもまともな発言をするものだ。
「無駄だ」
 だが最長老は、即座にその希望を否定した。
「知っているならば、とっくに教えられとるわ」
 そういえばそうか。
 火竜王が病になれば、神の側の勢力は激減する。
 そんな状況を魔族は放っておこうとするわけがない。
 魔族側も魔王の欠片を見つけない限り攻撃出来る状態にはならないので黙っているだけで、魔王が何体か見つかれば、総攻撃を仕掛けてくるだろう。
 一刻も早く火竜王の病を治すことは、神族全体の存命に繋がるのだ。
 だが天と地の竜王の協力があっても病を治すことが出来ない。
 ならば、どうしろと言うのだ。
 ……おかしい。
 前からそんな気がしていたが、ここに辿り着いて確信に変わった。
 あたしに何が出来るというのだ。
 ラファエルはあたしなら世界が救えると思ったらしいが、その根拠は一体どこにある。
 そうか。
 ラファエルなのだ。
 あたしをここに来させたのは、フィリアでも他の神殿の竜達でもなく、ラファエルなのだ。
 ラファエルはなぜあたしをここへ連れて来たのだろうか。
 あたしにしか出来ない何かがあって、そのことを彼は知っているのだろうか。
 それとも……。
 あたしはラファエルの方を見やった。
 彼は何の表情も浮かべていない。
 そして何も答えない。
 本性は肉の仮面の裏側に隠れて見えない。


 結局、解決案が浮かぶことはなかった。
 あたし達は各自に部屋を宛がわれ、ここに滞在することを許された。
 食事は一日三回で、駱駝の世話もしてくれるそうだ。
 ただし文書庫など一部施設への立ち入りは禁止、聖務の邪魔はしない限りという条件がついていた。
 その日、あたしは夕食を取り、その自分の部屋に戻ったが、最長老の使いの者に呼び出されることとなった。
 ラファエルとガウリイもである。
 昼間とは違う部屋に連れて来られた。
 最長老の私室であるらしい。
 暖炉に火が入っており、部屋の扉を空けた途端に、別世界へ瞬間転移させられたような錯覚を味わった。
 外の空気はまるで氷の刃のようで、あたしの全身を切り刻もうとしていたのだ。
 砂漠の夜は本当に寒い。
「当然、呼ばれた理由は分かっておるじゃろう」
「フィリアのこと?」
 ラファエルより、あたしの言葉が先だった。
「さよう。無駄な説明をせんで良いと、気分も少しは良くなるものじゃ」
「はあ」
「ともかく座れ」
 調度品が多く広い部屋だった。
 硝子材質のテーブルを挟んで、肘掛椅子が各方に二つずつおかれていた。
 テーブルの上には焼き菓子の入ったバスケットが載せられている。
 あたし達が最長老の言葉に従い、余った三つの椅子に座ると、最長老はすぐに話を始めた。
 さっさと終わらせたいという気もあるのだろうか。
 内容は単純だった。
 フィリアが誘拐されたことを伝えに来たのは、真っ黒の人間だったそうだ。
 人形と言い替えても良いかも知れない。
 その人形は門の結界を破り、警報など気にせず、礼拝中に堂々と現われてこのように語ったらしい。
『フィリア・ウル・コプトを預かっている。返して欲しくば神殿の秘宝を渡せ。地竜王祭の前日の夜七時にこちらから出向く』
 人形はその直後、弾け飛んで消え去ったのだという。
「地竜王祭は四日後におこなわれる。つまり約束の日は三日後ということになる」
「で、あたし達はどうするわけ?」
 あたしの席は最長老の真向かいである。
 あたしは最長老の金色の眼を見つめて言った。
「当然、秘宝を渡すわけにはいかん。かといってフィリアを犠牲にするわけにもいかんな」
「端的に言えば、悪党どもをやっけろということですね」
 最長老の横に堂々と座ったラファエルが言った。
 最長老は頷く。
「ただし、フィリアを殺されんようにだ。後、ミュヘンとかいう役立たずも、微力ながら協力するようじゃ。風向きが良くなれば、わしらも加勢して良い」
 どうやら最長老は、誘拐犯を軽視してはいないようだ。
 あのミュヘンとやらとは違って。
「ところで、誘拐犯はどんなやつは知っているんだけど……」
 あたしはヴァルガーヴとエイデンバングルのことを話した。
 大した情報は持っていないので、それほど詳しくは話せなかったが、最長老は興味深げに頷いて、
「やはりミュヘン一人の手に負える相手ではないようじゃな。さて、そなたらへの依頼料はいくらほどが良いかな?」
 しばしの話し合いの結果、この仕事は極めておいしい仕事となった。


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 あとがき


・今日の日記1
 スキー合宿いってきました。
 非常に疲れました。
 スキー本当に疲れまする。
 あれ履いて移動するの本当に苦痛。
 滑るのは気持ち良いんですけどね。
 非常に暇でした。
 ルームメイトが喋らない。
 ほとんど喋らないのではなく、全く喋らない。
 いくら話し掛けても答えない。
 言葉は通じるし(当たり前だ!)、文字は書ける(これも当たり前!)ようですが。
 温泉は気持ち良かったです。
 普通と変わらないという声もありましたが、私は普通の風呂も好きです。
 五回入りました。
 こんなに入ったのは私だけでしょう。


・今日の夢
 この前、夢を見ました。
 篠田真由美原作の建築探偵桜井京介シリーズがドラマ化されるという夢です。
 でもキャストに問題あり。
 京介と美春は良いとして、蒼の役がなぜか小太り。
 本当にわけ分からん夢でした。
 
 
・今日のキャラクタ
>セフィクス
 GURE−TO MASA氏からお借りしたキャラクタです。
 このキャラは氏の作品である記事番号10812から始まる「使命を守りし者」と12931から始まる「新しき世界から」に登場しますが、使用するに当たり性格や設定を変更しています。もしかしたら別人になっているかも知れません。


・最近読んだ本の感想
>獄門島(横溝正史)
 横溝正史の最高傑作という言葉にも納得出来ます。
 今まで読んだ(あるいは観た)横溝作品の中では一番面白かったです。最初の殺人がおこなわれた時は、ややこしくて推理の問題集をやらされていたような感覚になりましたが、ストーリーも充分に面白い作品だと分かって来ました。
 独特のトリックが用いられているのも良いし、あの結末は本当に皮肉で良い。
 文章も慣れて来ると結構読みやすいので、読むべきです(まあ推理小説ファンのほとんどはすでに読んでいると思いますが)。
>鳥類学者のファンタジア(奥泉光)
 これは途轍もない傑作だと思いました。
 ジャンルでいえば、音楽小説あるいは幻想小説という感じだと思います。
 躍動感と幻想味に溢れた文章が、エレクトリックギターの演奏のようで、実に気持ち良く読めました。
 一文一文が長い上に表現が難しいですが、それでも良い文章だと思います。
 そして笑いに満ちている。
 詳しくは言いませんし、言えませんが、とにかく笑えます。
 そして笑いが雰囲気を崩していない。
 本当に凄まじいです。
 あらすじを言えば、ジャズの演奏者がなぜか数十年前のドイツにいって、祖母に会い、特殊な音楽を演奏して来るというよく分からないものなんですが、そのよく分からなさが幻想味をさらに盛り上げています。
 二段組500ページの本を読む気力があるかたは是非どうぞ。
 ……それにしてもこの本が出た2001年って古川日出男の「アラビアの夜の種族」と山田正紀の「宿命城殺人事件」が出た年ですけど、この「鳥類学者のファンタジア」を合わせた三つの作品、かなり共通項があるような(合わせて読むのも良いかと。どれも相当の作品ですし)。
>他にも二階堂黎人「軽井沢マジック」と鏡貴也「やりきれない破滅への序章」を読みました。
 「軽井沢マジック」はトラベルミステリー、ユーモアミステリー風に見えますが、れっきとした本格もので、アリバイ崩し&ミッシングリンクもの。犯人はある意味意外。
 「やりきれない破滅への序章」は武官弁護士エル・ウィンシリーズ。今回は完全に過去編。本というに世界が覆るよう。続きが非常に気になります。
 
 
 今日のあとがきは長かったです。
 多分HPが閉鎖され、日記が書けなくなったせいだと思います。
 それでは、これで失礼致します。
 次回はエイデンバングル登場編かと。

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29392改めて疑問を認識、というところですね。エモーション E-mail 2004/2/20 21:38:30
記事番号29391へのコメント

こんばんは。

神殿での会話、出来事で、改めてリナは疑問を認識しなおした感じですね。
仕えている竜族どころか、同族である竜王たちにすら分からない、
火竜王様の病気とその原因……。何故それをリナなら解決出来ると言うことになったのか。
何故ラファエルさんはそう判断したのか。
ラファエルさんはリナをここへ連れてくること。この件に関わらせることが
目的だったのかな、と勝手に妄想してますが、「その目的は?」となると
サッパリ(苦笑)です。
他の者に出来なくて、リナにしか出来ないもの、となるとL様の力絡みしか
思いつかないですが、それは不確定要素多いような気もしますし。
(尚かつ、基本が原作基準の15巻以降のリナではラグナブレード等を
使うのは……多分、無理そう。ただ、リナが何も研究をしていないとも
思えないですし。この辺りはほんとに、神坂先生のみぞ知るという部分ですね)

そして前回のコメントのレスで判明、何かアバウトな竜族の婚姻形態……。
何だか、親子の絆は重視しても、配偶者との間柄などについては、あんまり
重視してない感じですね。
かといって、古代の母系社会における通い婚とも違うようですし。
何やら不思議な、人間には分からないノリなのでしょうか。
ただ、フィリアの配偶者、ミュヘンさんはフィリアに愛情を持っているようですが。
……でも、最長老さまからはあまり良く思われてないようですね、ミュヘンさん。
役立たずとか言われてますし。実は反対だったのかな。フィリアとミュヘンさんの結婚……。

火竜王さまは生命力がじわじわと、吸い取られているような感じなのですね。
この世界の存在には分からない……ということは別の世界か、存在としては
もっと上位のものの仕業だろうなあ。ただ、そうさせたのはこの世界のものだろうと
勝手に予測しました。

フィリア救出の依頼を受けたリナたち。ガウリイの他にラファエルさんや
ミュヘンさんもいるので、フィリア誘拐時よりはマシでしょうけれど、
さて、無事に救出できるのでしょうか。

スキー教室に行かれたのですか。確かにスキー板は何気に重たいですよね。
ルームメイトが喋らない……。一部屋に6〜7人で放り込まれてた経験しかないのですが、
二人部屋だったのですか? それで喋って貰えないのは確かにきついですね。
極端に人見知りする方だったのかもしれないですね。
温泉……いいなあ……。

それでは、次の展開を楽しみに、今日はこの辺で失礼します。
続きをお待ちしています。

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29398Re:手掛かりは……これから?オロシ・ハイドラント 2004/2/21 14:57:36
記事番号29392へのコメント


>こんばんは。
どうもこんばんは。
>
>神殿での会話、出来事で、改めてリナは疑問を認識しなおした感じですね。
>仕えている竜族どころか、同族である竜王たちにすら分からない、
>火竜王様の病気とその原因……。何故それをリナなら解決出来ると言うことになったのか。
>何故ラファエルさんはそう判断したのか。
やっとここまで持っていけました。やっぱりおかしいんです。どう考えても。
>ラファエルさんはリナをここへ連れてくること。この件に関わらせることが
>目的だったのかな、と勝手に妄想してますが、「その目的は?」となると
>サッパリ(苦笑)です。
まあ目的に関しての手掛かりは、これからセコセコと配置していくつもりです。
真相が明かされるのは随分後になりますから。
>他の者に出来なくて、リナにしか出来ないもの、となるとL様の力絡みしか
>思いつかないですが、それは不確定要素多いような気もしますし。
>(尚かつ、基本が原作基準の15巻以降のリナではラグナブレード等を
>使うのは……多分、無理そう。ただ、リナが何も研究をしていないとも
>思えないですし。この辺りはほんとに、神坂先生のみぞ知るという部分ですね)
確かに今のリナじゃL様の力を借りた呪文が使えるかどうかは分かりませんし、それに使えたとしても攻撃呪文だけですからね。
まあラファエルが回復系も使えるんじゃないかと勝手に判断したのかも知れませんが(これが真実だとすると、そういうことをはっきり言わない辺りが謎になる?)
>
>そして前回のコメントのレスで判明、何かアバウトな竜族の婚姻形態……。
>何だか、親子の絆は重視しても、配偶者との間柄などについては、あんまり
>重視してない感じですね。
>かといって、古代の母系社会における通い婚とも違うようですし。
>何やら不思議な、人間には分からないノリなのでしょうか。
配偶者をあまり重視しないのは、はっきり言ってしまえば、繁殖力の弱い種族だからでしょう。
一人の相手に縛られらずに、色んな相手と関係を持って、多くの子孫を残すべきだと誰かが考えたからだと思っています。
>ただ、フィリアの配偶者、ミュヘンさんはフィリアに愛情を持っているようですが。
>……でも、最長老さまからはあまり良く思われてないようですね、ミュヘンさん。
>役立たずとか言われてますし。実は反対だったのかな。フィリアとミュヘンさんの結婚……。
確かに嫌っているのかも。
試練を与えているのかも知れませんけど。
>
>火竜王さまは生命力がじわじわと、吸い取られているような感じなのですね。
>この世界の存在には分からない……ということは別の世界か、存在としては
>もっと上位のものの仕業だろうなあ。ただ、そうさせたのはこの世界のものだろうと
>勝手に予測しました。
ううむ、予測は大体合ってると思います。
>
>フィリア救出の依頼を受けたリナたち。ガウリイの他にラファエルさんや
>ミュヘンさんもいるので、フィリア誘拐時よりはマシでしょうけれど、
>さて、無事に救出できるのでしょうか。
次回とその次はフィリア救出作戦になります。
あんまりややこしい場面じゃないはずなので、結構早く投稿出来るかと。
>
>スキー教室に行かれたのですか。確かにスキー板は何気に重たいですよね。
いきました。
本当に重くて持つのは辛いですし、履くと坂になっている場所は非常に辛いですから大変過ぎます。身体のあちこちが筋肉痛になりました。
>ルームメイトが喋らない……。一部屋に6〜7人で放り込まれてた経験しかないのですが、
>二人部屋だったのですか? それで喋って貰えないのは確かにきついですね。
三人部屋ですが、一人は女子の部屋(異性と友人になれるタイプ)にいっているから、ほとんど二人みたいなものでした。
>極端に人見知りする方だったのかもしれないですね。
一応、コミュニケーションは取れました。紙で(爆)。
>温泉……いいなあ……。
やっぱり疲れ取れて良いです。それ以上に疲れるのが問題でしたが(笑)。
>
>それでは、次の展開を楽しみに、今日はこの辺で失礼します。
>続きをお待ちしています。
それでは、ご感想どうもありがとうございました。

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29401スレイヤーズTRYノベル:十二話:戦慄の刻限オロシ・ハイドラント 2004/2/21 19:11:38
記事番号29391へのコメント

 12:戦慄の刻限


 それから約束の日までは、平和な日々が続いた。
 神殿の中での生活で分かったのだが、この神殿の竜達は火竜王の信徒である以前に、赤の竜神の信徒であり、祈りの大半は赤の竜神に捧げられるものなのだという。
 何でも、いつの日か赤の竜神が復活し、魔族をすべて一掃してくれるのだという。
 もっとも、それを信じている信徒など、ただの一人もいないらしいが。
 一度紹介された写字室を訪れてみた。
 ここは文書庫蔵書の写本を作っている人達が多数いた。
 他の様々な場所も同じなのだが大きな椅子と小さな椅子があり、竜の姿でも人の姿でも作業が出来るようになっていた。
 用紙のサイズも少し大きめで、書物の文字も人でも竜でも読めるくらいに調節されているようだった。
 書物の管理をしている男に聞いて知ってことだが、写本を作る理由は単に書物の理解を深めるためにのみおこなわれ、知識保存のためにおこなわれることはないのだという。
 なぜならこの神殿の文書庫にある書物はすべて、破損や腐食などからほぼ完全に守る魔法が掛けられているからだそうだ。
 その文書庫というのがこの写字室の地下にあり、そこからしか入れないのだという。
 その文書庫についても訊ねてみた。
 聞くところによると文書庫は途轍もなく広く、神殿内部の者でもすべての書物を閲覧することは許されていないそうで、比較的重要度の低い書物は誰にでも手に出来るが、極めて重要な書物は恐ろしい怪物によって守られているとの噂があるらしい。
「もっとも、ただの噂だよ。もっとも奥まで勝手に侵入した者は罰を受けるみたいだけどね」
 文書庫員の男は言って笑った。
「なるほど」
 まあ、規則を破ってまで入ってみる気にはなれない。
 また巨大な中庭も見学しにいった。
 最初に案内された時は連れていってくれなかった場所だ。
 そこは予想以上に巨大で、事実神殿の面積の内、相当な部分がこの中庭になっているのだそうだ。
 外は砂だらけの大地だが、この庭には様々な植物が群生していた。
 妙に野性的な庭で、食虫植物ならぬ食竜植物までもがいた。
 だがそのようなものばかりではなく、野菜や果物もたくさんあった。
 紙の原料になるものもあるらしい。
 作業をしていた竜が言うには、ここでは羊皮紙ではなく、植物性の紙を使っているらしい。
 ここでの収穫は相当なもので、高値で売れるものも多くあるため、五百以上にも及ぶらしい黄金竜すべてを養うことさえ可能だという。
 さすがに広過ぎてすべてを見ることは出来なかったが、要所には作業をしている竜が連れていってくれた。
 大浴場は非常に贅沢で、竜王風呂という湯船は実に広くて深く、泳ぐことも出来そうだった。
 温泉ではないが、気持ち良かった。
 他にも様々な施設があったが、一通り見てしまうと退屈した。
 少なくとも中庭は良いところなのだが、危険らしく自由に歩き回れないので窮屈なのだ。
 竜の子供を見てみたかったが、万が一のことを考えて――どんなことだ?――、部外者は立ち入り禁止になっている。
 同じく退屈してしまったラファエルは、読書ばかりしていたらしい。
 あたしも結構読む方なのだが、彼には遠く及ばない。


 約束の日の朝、再び真っ黒な人形が現われ、時間と場所を詳しく指定して来たらしい。
 そういえば、その頃に警報らしき大きな音が鳴った。
 指定時間通りにあたし達は、指定場所である「神の間」に入った。
 ここは限られた者しか入れないらしく、ここにいる竜の数は、少なくはないにせよ、全体から考えるとあまり多いとは言えなかった。
 一般信徒達も通すべきだと最長老に意見したのだが、却下されてしまったようなのだ。
 竜達は全員人の姿を取り、入り口と火竜王の祭壇の間に集まっていた。
 約束の刻限は間もなく訪れる。
 司祭という地位がどうも相応しくないように思えるミュヘン司祭は、真っ白で小柄な槌状のものを抱えていた。
「あの……それ何なの?」
 あたしはミュヘン司祭に尋ねてみた。
「ああ、フィリアのお友達の人だね」
 優しげな口調だ。
 温もりを感じる。
 嫌悪感を抱かせる人物とは程遠い。
「これが秘宝だよ。ボーディガーといって、武器の一種なんだ」
 なるほど、随分予想とは違うものが出て来たが、形は結構整っていて綺麗だし、材質も独特なのでまあ良しとする。
 やけに軽そうに見えるが、小さいだけでなく、白という色が軽量なイメージを与えているからだろう。
 試しに持ってみたが、それほど軽くはなかった。
「何でも千年以上前から伝わっているものらしいよ。その頃は僕も子供だったんでよく知らないけど……」
 驚いたことに、彼はすでに千歳以上らしい。
 あたしの五十倍は生きていることになる。
 フィリアも恐らく同じくらいの歳だろう。
「ところで失礼なこと聞くけど……最長老さんの歳っていくつなの?」
 その問いにミュヘンは、即答した。
「よく知らないけど、二千歳や三千歳じゃ済まないと思うね。五千歳……いやもう一万歳いってるかも知れないなあ。最長老様の兄君であられる先代の最長老様も結構長生きされたらしいけど、最長老様はそれ以上だと聞いているよ」
 うわっ、そんなに生きて一体何をするのだろうか。
「あの方と張り合うことは出来たのは、火竜王様がご病気になられた少し前に亡くなられた元第二巫女のアデイル様くらいだよ。先代と仲の良かった。あれは確か……あっ」
 周りの視線が気になったのだろうか。
 不意に青年竜は口を閉ざした。
 それから厳粛なる沈黙が続き、数分が経って、ようやく誘拐犯は姿を見せた。
 警報が鳴らなかったのは、朝に破られた結界が張り直されていなかったからだろう。
 突如視界に出現した漆黒のローブは、一瞬にして空間を戦慄に満たした。
 エイデンバングルは、衰弱し切った火竜王の身体を踏みつけるような位置に降り立ち眼下のすべての竜達に向けて言葉を放つ。
「くくくっ、薄汚い竜達よ。俺がエイデンバングルだ」
 この空間すべてに対する嘲笑。
 その裏に秘められた絶対的な自信。
 彼は最初から優位に立っている。
「貴様が誘拐犯か!?」
 エイデンバングルに向けて叫んだのは、ミュヘンであった。
「今さら訊くまでもないだろう。それほど、お前は頭が悪いのか?」
「貴様っ!」
 ミュヘンは激昂したが、エイデンバングルの冷徹な視線に射抜かれて、急に脅えが入り込んだ。
 彼の怒りはいき場を失い、ただ屈辱感だけが残ったようだ。
「ふん、雑魚が」
 エイデンバングルがそれを見て嘲笑う。
「ふ、フィリアを返せ……」
 それでもミュヘンは言葉を紡いだ。
 足が震えている。
「お前のその手にある、それを渡してくれるのならばな」
 彼が抱えているボーディガー。
 エイデンバングルの見えない視線は、恐らくそこへ向いているのだろう。
「先にフィリアを返せ!」
 ミュヘンは声を張り上げる。
「断る」
 冷ややかに否定された。
「お前達は、他人を簡単に欺くからな」
 その言葉だけは口調が違った。
 凍るような声。
 誰も言い返さない。
「どうした? 俺は知っているぞ。あのことをな」
 エイデンバングルは笑っている。
 顔は黒布のせいで見えない――本当に人間と同じ顔があるかは疑わしいが――が、大口を空けて笑っているに違いない。
「とにかくだ。早くボーディガーを渡せ」
「それはだめだ」
 ミュヘンは確かに臆病者かも知れないが、それでも気丈な竜には違いない。
「俺は嘘を吐かん」
「信用出来るか!」
 他の竜達は、二人の戦いを見守っている。
 最長老さえも口出しする気配はない。
「渡せと言っている」
 その瞬間、エイデンバングルの眼が彼を射竦めたのだろう。
 それでもミュヘンは、
「……ま、まずフィリアに会わせろ」
 エイデンバングルはしばし沈黙した後、一度頷き、
「ならば、こうすれば良いか」
 両手を掲げ、短く何かを呟いた。
 それから数秒、竜達がそれに気付いたようだ。
 上である。
 エイデンバングルの真上、天井に近い位置。
 フィリア・ウル・コプトはそこにいた。
 顔色はけして良いとは言えない。
 気を失っているのだろうか、動く気配も、落下する気配も全くない。
「俺は一言呟くだけで、この女を殺せる状態にある。助けようとはしないことだな」
 フィリアの無事は分かったが、事態は全く好転していない。
「さあ、ボーディガーを渡せ。早くしないと女を殺す」
 ミュヘンは唇を噛んだ。
 秘宝を渡さずにフィリアを取り返すというのは難しい。
 もし相手の手元にフィリアがいるなら、攻撃を仕掛けた時に解放するということが出来るかも知れないが、この状態ではそれが出来ない。
 ボーディガーを渡し、フィリアを取り返した後に、エイデンバングルを攻撃してボーディガーを取り返すという方法もあるが、相手は盗賊風情ではない。
 こちらが戦力的に優位だとすれば、すぐに逃げられてしまう可能性が高い。
「わ、分かった」
 ミュヘンは一歩ずつエイデンバングルに近付いていく。
 暗闇を歩くが如く、歩幅は狭く、足取りも不安定だ。
 やがて手と手が触れ合うほどの距離に近付いた時、突然強風が襲い掛かった。
 吹き飛ばされるミュヘン。
 そしてボーディガーはエイデンバングルの手に。
「どうやらボーディガーは、偶然にも俺の手元に来てしまったみたいだな」
 不快な笑み。
「ひ、卑怯だぞ」
 吹き飛ばされて倒れていたミュヘンは、起き上がりつつ憤慨して見せた。
「冗談だ。しかし、俺にはもう一つ望む条件がある」
「もう一つの条件だと……」
「リナ・インバースをお前達の手で殺せ」


 <@><@><@><@><@><@><@><@><@><@>


 今回は前編といった感じ。
 次回では話が大きく動きます。

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29407スレイヤーズTRYノベル:十三話:私が死のうともオロシ・ハイドラント 2004/2/22 13:16:33
記事番号29391へのコメント

 これで三夜連続投稿?
 枚数で見れば、冥王の騎士やってた頃みたいなペースかも。
 ……まあ書き溜めしてたせいですが。


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 13:私が死のうとも


 エイデンバングルはそう言った。
 あたしを殺せと……。
 不意にあたしの周りにスペースが出来た。
 竜達が距離を取ったのだ。
「どういうことかの?」
 そこで初めて、最長老が口を開いた。
「文字通りの意味だ。そこにいるリナ・インバースを殺せ。邪魔をするようなら、そこの二人も消しても良い」
 そして沈黙が生まれた。
 重い沈黙だ。
 人の姿をした竜達はあたしを見つめている。
 あるいは睨んでいる。
 敵意はないが、殺そうとする思いがあるのは確実だろう。
 あたしを殺しても、フィリアが解放されるとは限らないと冷静に考える者は意外と少ないのではないだろうか。
「リナ・インバースを殺せ」
 暗示を掛けるかのように発せられる声。
「リナ・インバースを殺せ」
 竜達に殺意が満ちてゆく。
 ガウリイとラファエルの顔を窺い見ると、ラファエルはともかくガウリイの表情はやや曇っている。
 それでも竜族全員を敵に回す決意は感じられたが。
「リナ、俺は最後まで保護者だからな」
 あたしの視線に気付いたのだろうか。
 ガウリイは、そう囁いた。
 ガウリイが剣を抜く。
 妖斬剣を構えた。
 竜達はまだ躊躇っているようだが、いつ攻撃して来るかは分からない。
 長い沈黙の中、あたしは思い切って言葉を発した。
「あんたはそれで良いの?」
 重い雰囲気を切り捨てる一言。
「ヴァルガーヴがあたしを殺したがってんじゃないの? 勝手に殺したら怒るわよ」
 エイデンバングルはあたしを殺さない。
 ヴァルガーヴがあたしを殺したがってるから。
 ガーヴが滅ぼされたのを、ヴァルガーヴはあたしのせいと決めつけている。
 ガーヴの仇討ちを考えているのだ。
「本当にそう思うか?」
 だがエイデンバングルは、あたしの期待した反応を見せはしなかった。
「これはヴァルガーヴの望んでいることだ。そうでなければ、なぜお前如きを殺す必要がある?」
 ……そうか。
 あたしを殺したいと思っているのはヴァルガーヴだけ。
 つまりこれさえもヴァルガーヴの我侭なのだろう。
 だが、なぜ?
「さあ早く殺せ! さもなくば女の命はない」
 その時、微かな動きがあった。
 次の瞬間、視界を光が覆い尽くした。
 空気が一気に沸騰する。
 あたしは何が起こったのかを瞬時に悟った。
 攻撃呪文だ。
 間違いない。
 あたし達は焼き尽くされる。
 この灼熱の光の渦に飲み込まれて……。
 だがすべてが終わってみると、あたし達は無傷で立っていた。
 ラファエルが両手を突き出していた。
 恐らく防御呪文で、攻撃呪文を防いだのだ。
 彼はまだ何かを呟いている。
 あたしは視線をミュヘンの方に向けた。
「…………」
 彼は震えていた。
 多分攻撃呪文を生物に向けて放ったのは、これが初めてなのだろう。
 周囲の視線が実に痛そうだ。
「し、仕方ないじゃないですか?」
 彼は弱気な声で、無言の圧力に立ち向かおうとした。
 だが非難の眼差し達は一向に止む気配はない。
 だが考えて見れば、他の竜達もあたしを攻撃するかどうかで悩んでいたに違いない。
 たまたま最初に攻撃をおこなったのがミュヘンだったに過ぎないのだ。
 彼に非難されるいわれはない。
 少なくとも同じ竜族達には。
「何をしているのだ? その青年を非難する資格など誰にもないはずだ」
 すると竜達は、青年司祭から視線を外した。
「血塗られた手を持つお前達にはな!」
 そのすぐ後に聞こえた声は、今までで最も竜達の心を揺さぶったものと言えたかも知れない。その時の彼らの表情は、表現し難いものであった。
「どうした? 事実を否定するか?」
 一体何のことなのだろう。
「早く殺せ」
 とエイデンバングルが言ったその時であった。
 空間に大きな歪みが生じる。
 ちょうどエイデンバングルの後ろの方に。
 不遜にも火竜王を踏みつけるようにして立つ黒ローブの魔人に向けて、その一撃は放たれた。
 エイデンバングルの身体を一薙ぎする剣。
 黒ローブは空間から消失し、その背後にいた者の姿が見えた。
「……セフィクス」
 黒革を纏った美女は、両手で剣を構えていた。
 黒い小手もはめている。
 フィリア誘拐時にあたしを助けてくれた女性が、今回もまた現われた。
 安堵したその時、セフィクスに向けて横殴りの風が吹きつけた。
 吹き飛ぶセフィクス。
 空中で体勢を立て直したセフィクスの正面に、黒いローブが出現する。
 セフィクスとエイデンバングルは、激しい接近戦を繰り広げた。
 セフィクスは剣を武器に、エイデンバングルは手に入れたばかりのボーディガーを駆使している。
 フィリアはそのままの状態である。
 時折、エイデンバングルが竜やあたし達に睨みを効かしているのは、参戦させぬためであろう。
 フィリアは未だ、人質として機能しているのだ。
 あたし達は動かなかった。
 いや動けなかったのかも知れない。
 竜族達からはまだ解放されていないし、たとえ障害のない状態でも、フィリアを救い出す自信はないし、あの戦いに参戦する自信もない。
 セフィクスとエイデンバングルの戦いは、エイデンバングルが優勢に見える。
 余裕さえ持っているかのようだ。
 あのセフィクスの動きは敏捷だが、エイデンバングルも負けていないし、力の面では勝っている。
 剣よりもリーチのないボーディガーを、連続で突き出していく。
 軽そうに見えて重い武器だが、あの連続攻撃を見ていると本当に軽そうだ。
 嵐のような連続攻撃。
 それでもどうにか凌ぎ切ってセフィクスが攻勢に回った。
 疾風迅雷の勢いで放たれた一撃。
「闇よ」
 しかしその瞬間、エイデンバングルの言葉に反応して、ボーディガーの頭の部分が黒い光を纏い始めた。
 剣と槌がぶつかり合い、そしてセフィクスの剣は折れた。
 立場は一瞬で逆転し、再び猛攻に出られる。
 窮地にあるセフィクスは何かを呟き、そして両手を突き出した。
 エイデンバングルがボーディガーを一閃する。
 暴風が吹き荒れたようだが、槌の力はそれを無効化したようだ。
 エイデンバングルの姿が掻き消える。
 セフィクスは背後を振り向いた。
 一瞬遅れで、エイデンバングルが出現する。
 現在のセフィクスの背後に。
「っ!」
 あたしは息を呑んだ。
 まずい。
 ボーディガーの一撃がセフィクスの背に……。
 だがそれよりも先に、セフィクスが前方へ跳び、そのまま身体を反転させ、右腕を突き出した。
「光よ」
 そう呟くと同時に、黒い小手が光を放った。
 同時に小手から闇が払われ、白一色に染まる。
「なっ!?」
「えぐりしものネザード。これが私の最強武器……」
 一条の光は長く伸び、エイデンバングルの腹部を刺し貫いていた。
「まさか、うぐっ! 馬鹿な……。そんな、はずは……」
 ボーディガーが床に落ちた。
「油断したな。エイデンバングル」
 すでに抵抗を見せる様子はない。
 セフィクスの勝利は確定した。
 エイデンバングルの姿が薄れていく。
「まだだ。……まだヴァルガーヴがいる」
 恐るべき魔人の最後の言葉もむなしく死に絶えたその時、セフィクスはボーディガーを手に取った。
 

 フィリアは救出された。
 エイデンバングルは、結局フィリアを殺そうとはしなかった。
 道連れにしても良いものだが、それが不可能だったのか、無意味と判断したのか、あるいはある理由からそれをおこないたくはなかったのか。
 とにかくフィリアは救出され、竜達の足枷は外れた。
 ボーディガーを手にし、いずこかへ消えようとしてセフィクスは、彼らに取り囲まれていた。
「我らの秘宝を、ボーディガーをどこへ持ってゆくつもりだ?」
 この声は、最長老の息子である大司教ヨハネスハルトのものだ。
 それに対してセフィクスは冷ややかに、
「数に頼るか? 臆病者達よ」
「残念ながら、我らはあまり手段にこだわる種族ではない。返還せぬなら命の保障はないぞ」
 セフィクスは舌打ちしたようだ。
 竜達の壁に遮られあまりよくは見えないのだが、セフィクスはボーディガーを返還したのだと思う。
 その後、セフィクスは謝礼を言われたが無視し、すぐさま立ち去った。
 来る時とは違い、徒歩にて階段の方へと向かっていった。
 一件落着である。
 フィリアは戻って来たし、秘宝であるボーディガーを奪われることもなかった。
 さらにあのエイデンバングルがこの世からいなくなったのだ。
 これはハッピーエンドと言うしかない。
 まだすべてが解決したわけではないが。


 <@><@><@><@><@><@><@><@><@><@>


 あとがき

 
 この辺りはアニメ版7話8話をもろベースに作りました。
 とりあえず一つの終わりといったところです。
 さて次回、実は私の一番書きたかったものを書いた章だったりします。
 何が書かれているのかは、読んで確かめてくださいませ。
 

・今日のキャラクタ


 ヴァルガーヴ
 今作ではわざとアニメと違う風に書いているキャラがいますが、ヴァルガーヴもその内に入るでしょう。
 結構狂人度がパワーアップしてるような気がします。
 思想思考性格性質などはかなり複雑な気がしますが、台詞は本当に書き易い。
 アニメ版:ヴァルガーヴ名台詞選集
「もはやわが力きさまらのおよぶところではない!」(13話)
「まずおれを喰らうか哀れな魔王よ……」(14話)
「誰に祈る? 神か? 魔か?」(26話)
(アニメコミックから抜粋)。
 私的にはこの三つが好きです。


 それでは、ここまで読んでくださった方、本当にどうもありがとうございます。
 これからもよろしくお願いします。

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29421Re:スレイヤーズTRYノベル:十三話:私が死のうともエモーション E-mail 2004/2/22 23:17:49
記事番号29407へのコメント

こんばんは。

アニメでヴァルガーヴが出てきた部分を、代わりにエイデンバングルさんが
主役をはったという感じの回ですね。
力量差があるので仕方がないなと思いつつも、リナはほとんどギャラリーというか、
実況中継に徹してましたし。
また、この後リナはどうするのかなと。実害がなかったとはいえ、
こーゆー真似をされてしまうと、雇用側が契約違反したようなものだから、
依頼契約破棄して神殿出ていっても、不思議はないですし、問題なさそうですから。
出ていったらラファエルさんも文句言いそうですが、「よく考えたら、あたしよりあんたの方が
強くて使える芸も達者なんだから、あんたがやれば?」くらい、今の時点なら
言っても問題なさそうですし。(まず普通はあんな真似されて、完璧に頭にきて
気が立って当たり前と思うし、ラファエルさんはその辺りの感情は考慮できるでしょうから、
宥めることはしても強制的に自分に従わせる真似はしないような気がするので)
……って、でもそれだとゼル&アメと合流出来ないですね……。(^_^;)

実は個人的にアニメオリジナルストーリーの「スレイヤーズTRY」は、
話や設定としては、出来が悪いと思ってます。(キャラは魅力的だったのですが……)
特に「ダークファンタジー系によく出てくる、もっともらしいことを言っているだけで、
実際には神なんて呼ぶような存在じゃねーくらい痛い」な神様観が、どうにも
鼻についたんです。(少なくとも原作読んでいると、神坂先生は神と魔、どちらかに
好意的なウェイトを置いた書き方はしていないので、余計に鼻についたのかもしれないです)
「TRY」の黄金竜たちはそれを思いっきり体現した存在でしたから。
「それはちょっと違うんじゃない? 認識が偏ってない?」とまず思ったんですよね。
また、ヴァルガーヴの世界を憎む理由の根本になっている古代竜と黄金竜の
確執についても、正直、書き方や見方が一方的すぎなので、不満が多かったと
いうのもあります。
古代竜たちが魔族との間に「中立」を成立させたという言葉に、作中誰も魔族相手に
成立させた「中立」がどんなものであったのか、正確に知ろうともせず、推測すらせず、
言われた言葉は全部正しいと丸飲み認識してしまうのが一番の疑問でした。

(私たちの認識する赤十字精神が優先される「中立」は、今の時代だから
通用する認識です。何より、魔族側がそんなものを認めるわけがないです。
認めたら、魔族側にとってはひたすら不利ですから。
少なくとも、「例えば目の前にちょっと回復呪文を唱えれば助かる奴がいても、
一切相手にするな。完全に中立でいろ。もし誰か一人でもこの中立を破ったら、
まず最初に魔族総出でお前達を滅ぼす」くらい言うんじゃないかと。
私がフィブリゾならまず、「中立」条件にこのくらいは言いますよ。←心底、鬼だ。私)

箱入りのフィリアや素直すぎのアメリア、ガウリイくらいならまだ分かるんですけどね。
リナやゼルまでというのがどーも……。(実はこれについてはヴァルガーヴも
そうなんですが、彼の場合は状況的に無理もないので、納得してます)

何だか長々と本文の感想より、ずっと持ってたアニメ「TRY」の不満を
ぶちまけてしまいましたが、(これでも一応まだ抑えたのですが、本当にすみません)
オリジナル色が強く入っているだけに、ハイドラントさんの「TRY」がどうなるのか、
本当に楽しみにしています。セフィクスさんやラファエルさんの行動が、
どんな理由からのものか、まだまだ謎だらけですし。

それでは、今回は本当に何だか関係のないことをごちゃごちゃ書いてしまいまして、
すみませんでした。続きを楽しみにしています。
では、今日はこの辺で失礼します

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29428Re:スレイヤーズTRYノベル:十三話:私が死のうともオロシ・ハイドラント 2004/2/24 13:49:49
記事番号29421へのコメント


>こんばんは。
こんばんは。
ちょっと身体の調子悪くなってるハイドラントです。
まあ風邪気味なのに気にせず、夕方寒い頃に外出したり、長風呂したり、夜更かししたりする私が悪いんですけど。
>
>アニメでヴァルガーヴが出てきた部分を、代わりにエイデンバングルさんが
>主役をはったという感じの回ですね。
アニメ版では、襲撃の場所が火竜王の神殿である必然性が分からなかったので(本当に分からなかっただけかも知れませんが)、形を変えてみました。
>力量差があるので仕方がないなと思いつつも、リナはほとんどギャラリーというか、
>実況中継に徹してましたし。
書いていて、意外と一人称での実況中継の難しさにに気付きました。
視点人物が見たように書かないといけないから、そこであったことすべてを伝えるわけにはいきませんから。
今回は二人の戦いだから良いけども、これが複数対一、複数対複数になると……。
>また、この後リナはどうするのかなと。実害がなかったとはいえ、
>こーゆー真似をされてしまうと、雇用側が契約違反したようなものだから、
>依頼契約破棄して神殿出ていっても、不思議はないですし、問題なさそうですから。
>出ていったらラファエルさんも文句言いそうですが、「よく考えたら、あたしよりあんたの方が
>強くて使える芸も達者なんだから、あんたがやれば?」くらい、今の時点なら
>言っても問題なさそうですし。(まず普通はあんな真似されて、完璧に頭にきて
>気が立って当たり前と思うし、ラファエルさんはその辺りの感情は考慮できるでしょうから、
>宥めることはしても強制的に自分に従わせる真似はしないような気がするので)
それは充分にありえることですね。たとえそうならなくても、「竜族は油断ならない」と思い続けるでしょうし。
>……って、でもそれだとゼル&アメと合流出来ないですね……。(^_^;)
そうなりますから、やはり出ていくことにはならないのです。

>
>実は個人的にアニメオリジナルストーリーの「スレイヤーズTRY」は、
>話や設定としては、出来が悪いと思ってます。(キャラは魅力的だったのですが……)
>特に「ダークファンタジー系によく出てくる、もっともらしいことを言っているだけで、
>実際には神なんて呼ぶような存在じゃねーくらい痛い」な神様観が、どうにも
>鼻についたんです。(少なくとも原作読んでいると、神坂先生は神と魔、どちらかに
>好意的なウェイトを置いた書き方はしていないので、余計に鼻についたのかもしれないです)
>「TRY」の黄金竜たちはそれを思いっきり体現した存在でしたから。
>「それはちょっと違うんじゃない? 認識が偏ってない?」とまず思ったんですよね。
>また、ヴァルガーヴの世界を憎む理由の根本になっている古代竜と黄金竜の
>確執についても、正直、書き方や見方が一方的すぎなので、不満が多かったと
>いうのもあります。
>古代竜たちが魔族との間に「中立」を成立させたという言葉に、作中誰も魔族相手に
>成立させた「中立」がどんなものであったのか、正確に知ろうともせず、推測すらせず、
>言われた言葉は全部正しいと丸飲み認識してしまうのが一番の疑問でした。
>
>(私たちの認識する赤十字精神が優先される「中立」は、今の時代だから
>通用する認識です。何より、魔族側がそんなものを認めるわけがないです。
>認めたら、魔族側にとってはひたすら不利ですから。
>少なくとも、「例えば目の前にちょっと回復呪文を唱えれば助かる奴がいても、
>一切相手にするな。完全に中立でいろ。もし誰か一人でもこの中立を破ったら、
>まず最初に魔族総出でお前達を滅ぼす」くらい言うんじゃないかと。
>私がフィブリゾならまず、「中立」条件にこのくらいは言いますよ。←心底、鬼だ。私)
>
>箱入りのフィリアや素直すぎのアメリア、ガウリイくらいならまだ分かるんですけどね。
>リナやゼルまでというのがどーも……。(実はこれについてはヴァルガーヴも
>そうなんですが、彼の場合は状況的に無理もないので、納得してます)


確かに異界の神族達は私もどうかと思いました。
まあ良いか、と思うことにしましたけど、そう言われてみると、サスペンスを盛り上げるために創ったキャラクタって気がします。
黄金竜、古代竜、ヴァルガーヴに関してはアニメから正影響を受けているため(変更がされていないわけではないですが)、批判する権利はないんですが、「中立」についてなど、色々と説明不足な点については非常に不満に思いました。


>
>何だか長々と本文の感想より、ずっと持ってたアニメ「TRY」の不満を
>ぶちまけてしまいましたが、(これでも一応まだ抑えたのですが、本当にすみません)
いえ、構いませんよ。自分の方も反省しなきゃならないかも知れないなと思えましたし。
>オリジナル色が強く入っているだけに、ハイドラントさんの「TRY」がどうなるのか、
>本当に楽しみにしています。セフィクスさんやラファエルさんの行動が、
>どんな理由からのものか、まだまだ謎だらけですし。
欠点も考慮に入れた上で、私はTRYが好きなんですが(ストーリーは無印の方が良いと思いますが)、本当に説明が足りないような気がします。
五つの武器やダーク・スターに関してなど特にそうだと思います(気のせいかも知れませんが)。
TRYノベルでは、活字の長所を生かして、曖昧な部分を出来るだけなくそうと思って書きました。
オリジナル部分が大量に入って、破裂ギリギリな状態なので、本当にうまくいっているか本当に疑問なんですが。


>
>それでは、今回は本当に何だか関係のないことをごちゃごちゃ書いてしまいまして、
>すみませんでした。続きを楽しみにしています。
>では、今日はこの辺で失礼します
ご感想どうもありがとうございました。
休養のためしばらくパソ休止しようと思っていますので、数日から十数日投稿ないかも知れませんが(十四話だけは投稿するかも知れませんけど)、お待ち頂けたら幸いです。
納得していただけるものに仕上げる自信は、実はそんなにないのですが、精一杯の努力だけはしてみたいので、良ければ、これからもよろしくお願いします。
それでは……

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29432スレイヤーズTRYノベル:十四話:彼女は閉ざされた部屋の中でオロシ・ハイドラント 2004/2/24 16:27:30
記事番号29407へのコメント


 14:彼女は閉ざされた部屋の中で


 寝台に寝かされていたフィリアは、約一時間後には意識を取り戻した。
 心身ともに異常はないようだ。
 医療室には最低限の人間が集まっていた。
 あたしとガウリイ、最長老と大司教、それに司祭ミュヘンの五人である。
 ちなみにラファエルは疲れたので先に休むと言い出し、この瞬間に立ち会うことを拒否した。
「大丈夫だった?」
 その言葉は、目覚めたフィリアに向けられた最初のものであった。
「……え、ええ」
 弱々しい口調だったが、それは無理もないだろう。
 ずっと拉致監禁されていたのだ。
「フィリアっ!」
 次にミュヘンが声を発した。
 するとフィリアは嬉しそうな表情で、ミュヘンの名を呼び、ミュヘンはフィリアに抱きついた。
 さすが夫婦である。
 フィリアの祖父と父は、黙ってすべてを見つめている。
 その視線は実に暖かい。
 熱い抱擁はかなり長く続いたと思う。
「……あなたが助けてくれたんですか?」
 フィリアの問いにミュヘンは躊躇いつつも、
「いや僕じゃない。僕には何も出来なかったよ」
「そう……。でもミュヘン、無力は悪じゃないですよ」
 甘い香りが漂い始める。
 フィリアが浮気をしていたことを言おうとしたが、雰囲気に抗えずあたしは無言であった。


 あたしはフィリアにすべてを語った。
 すべてを知ったフィリアは、最長老達に向けて謝罪した。
 だが誰もフィリアを責める権利などない。
 無事だったと喜ぶばかりだ。
 だが最長老に依頼料を請求した時に、あたしの機嫌は急激に悪化した。
 すべてあの女――セフィクスのことだ――がやったことなのだから、報酬を払う必要などないと言われたのだ。
 ミュヘンに殺され掛けた記憶も蘇り、あたしの怒りは臨界点を突破した。
 ラファエルとフィリアが最長老を説得してくれたため、どうにか元の報酬の半額を手にすることが出来たが、これで怒りが収まるはずなどない。
 怒りの焔を灯したまま、あたし達は大人数で豪勢な食事をした。
 料理は極上はあたしの怒りを宥めてくれた。
 これで完全に収まったわけではないが、これ以上怒ったままでいても仕方ないと判断したので、平静を取り繕った。
 食事が終わって一同解散の後、しばらく休んで、あたしはフィリアの部屋を訪問した。
 部屋への道順は、案内図で知ることが出来た。
 すでに深夜近い時刻であったが、フィリアはまだ起きていた。
 ノックをすると、即返事が返って来た。
 当然のことながら、フィリアの部屋はあたし達の部屋より上等なものであった
 落ち着いた雰囲気でそれほど高級には見えなかったが。
「何なんですか? こんなに遅くに……」
 フィリアはそう言ったが、笑みを浮かべており、迷惑そうにはしていなかった。
「ちょっと訊きたいことがあるのよ。良い?」
「訊きたいこと……ですか?」
 あたしには気になったことがいくつかある。
 別に彼女じゃなくても良いこともあるが、やはり黄金竜では一番親しい彼女にすべてを訊いておきたい。
 フィリアはすぐに頷いた。
 まず尋ねたのは、ボーディガーのことだ。
「あれは武器らしいけど、一体何なの?」
 もう予想はついているが、それでも確かめておきたいと思う。
「……私が生まれた頃に、この神殿が手に入れたものです。……詳しいことは最長老様に聞いた方が、よろしいかと」
 妙に強い口調でフィリアは言った。
 もしかしたら知っているのかも知れないが、そうだとしても教えないと言いたげな態度である。
 やはりこれは最長老に訊くべきか。
「ところで、ミュヘンって司祭と結婚してんのよね?」
「え、ええ」
「彼から訊いたんだけど、アデイルさんとかいう人が、火竜王が病気になる少しに亡くなったとか……」
 フィリアはそうだと頷いた。
「それがどうしたんです?」
「火竜王が病気になったことと、全く関係ないとも言えなくもないと思わない?」
 するとフィリアは当惑したような表情を見せた。
「確かにそう言われればそうかも知れませんが……」
「最長老さんは、全くそのことに触れてなかったわ」
 最長老は何かを隠しているようだった。
 それが火竜王の病と関係があるのかは分からないが。
「…………」
「ところで、そのアデイルさんってどうして亡くなったの?」
「それが……」
 フィリアは口篭った。
 沈黙は重い。
 めでたい夜には不釣合いだ。
「……アデイル様は自殺したらしいんです。自殺だという確固たる証拠はありませんが」
 フィリアは語った。
 あの時のミュヘンとは正反対とも思えるような様子で。
 内容は以下である。
 ある日の午前、自室で老巫女アデイルが死んでいた。
 秘宝の間に安置されていたはずのボーディガーに額を叩き割られて。
 彼女の死体は、秘宝の間から消えたボーディガーを捜索していた警備の竜達が神殿中を探し回った挙句に発見したらしい――なかなか起きて来ないから不自然に思ったのだという――。
 死亡推定時刻は前の日の夜。
「当時の警備はかなり緩かったので、秘宝の間は意外と簡単に入ることが出来たんです。入り口の扉にもダイヤル錠が掛けられていますが、解錠のための十二桁のナンバーを知っている者は大勢います。問題なのは自室の方ですが……内側から鍵が掛かっていたんです」
「それってまさか密室? でも針とか糸や、封錠(ロック)なんかを使えば……」
 針や糸を使った密室トリックは常識中の常識、初歩中の初歩だし、最初に扉を破っておいて封錠(ロック)の呪文を使い、鍵が掛かっていると見せ掛けてもう一度破らせるという、封錠が扉の強度を上げられないことを利用した詐術も存在する。
「いえ、それは出来ません。まず扉には糸を通す隙間なんてありませんし、それに特殊な素材を使った扉で、簡単な呪文なんて跳ね返されてしまいます。ついでに言えば、専用の道具を使った鍵の開け閉めだって不可能です」
「う〜ん。そうなると分からなくなるわね」
 探偵小説に出て来る密室トリックなど、ほとんどが実現不可能なものだし、やはりこれは自殺なのだろうか。
 いや待てよ。
 黄金竜の中には空間を越える術を使える者もいるのではないか。
 そのことを口にしてみると、フィリアは確かにそうだと言った。
 そうなるとこれは不可能犯罪ではなくなる。
 殺人の可能性も否定出来ない。
 頭を叩き割るなんて方法で自殺するのは、可能だとしても不自然だからだ。
 しかし殺人と断定出来る証拠も存在しないため、やはり自殺説が有力視された。
「でも、動機が問題なんです」
 自殺したのだとしたら、なぜ自殺したかが最大の問題になるのだという。
 アデイルはある主張をしていた。
 それは文書庫――あの文書庫!――の神殿内外すべての者への開放なのだという。
 火竜王がそうするように告げたのだと彼女は言ったのだ。
 しかし、最長老はそれに反対した。
 最長老一派の中にはアデイルの神託が虚偽のものではないかという意見まで出て来、挙句には最長老までその意見を支持した――周りに煽られて支持せざるをえなくなったのかも知れないが――。
「この状況で自殺するのは不自然です。アデイル様は大変真面目で責任感の強いお方でしたから、文書庫開放という役目を放り出して自殺するなんてことは……」
「ところで気になったんだけど、火竜王自身に訊いて確かめれば良かったんじゃない? 神託が本当か嘘か」
「それが……火竜王様のご尊顔を拝すことが出来るのは特定の日に限られているのです。それは規則でそう決められているだけでなく、火竜王様の張られる結界で物理的に入れない状況になっているからです。それでも非常時の場合に限り、連絡を取ることは出来るようになっているので、連絡を取ろうという考えもありましたけど、結局実行はされず……」
 なるほど。
「で、アデイルさんは死んだの?」
「はい。さらにその後の特別な日に、火竜王様がご病気となっていたことが判明したため、文書庫開放は中止になりました」
 以上のことから考えると、自殺でないとしたら、まず怪しいのは最長老とその一派の者である
 簡単なことだ。
 何らかの理由で文書庫を開放して欲しくなかった最長老かその一派の者は、ついにアデイルを自殺に見せ掛けて殺すことに決めた。
 最長老ほどの竜なら、空間を渡るなどして密室から脱出することも可能だろうし、一派にもそれくらい出来る竜がいたって不思議ではない。
 口に出してみると、フィリアは曖昧ながらも頷いた。
 だが、この推理にはあまりにも大き過ぎる穴がある。
 アデイルが死んでも、火竜王が言葉を話せる状態でいれば意味がないのである。
 アデイルの受けた神託が真実だとしても、虚偽だとしてもだ。
 アデイルが死に、火竜王は病に掛かって長い眠りについてため、文書庫開放は中止された。
 しかし火竜王が病に掛かること――あるいは掛かっていること――を知っていなければおかしいのだ。
 どうやらフィリアもそれには気付いているようだ。
 知っていた、となると……実際に「神の間」に入った?
 火竜王がアデイルの死より先に起こっていないと成り立たない推測だが、その辺ははっきりしていないように思えるので、一応成り立つと思う。
「リナさんの考えていることは分かります。でも火竜王様がたとえご病気になられても結界が消えることはありません。火竜王様がその特定の日に解除しないか、誰かが無理矢理破らない限りは。無理矢理破ることは出来なくもないですが、そうすると警報が鳴りますので、絶対誰かに気付かれます。私達の知るすべての結界に共通することですが、空間を渡る術でも通り抜けられません。実は火竜王様のご病気が発覚した日も、解かれずに結界が張られていたんですが、これは全員合意で破ることにしたんです。……また連絡を取って調べることも不可能です。連絡を取った場合も、神殿中に発覚するようになっています」
 まさか最長老が火竜王を病に掛けることなど出来ないだろうし、そうなるとやはり最長老は犯人ではないのだろうか。
 待てよ。
 文書庫開放に反対すること事態、火竜王が病に掛かることを知っていなければ出来ないのではないだろうか。
 そうなると、やはり何らかの理由で知っていたのか。
 いや後で謝ることはいくらでも出来るから、するだけしてみただけなのかも知れない。
 ああ、ややこしい。
 頭が痛くなって来た。
「このことは、心に仕舞っておいた方が良いかも知れません。誰かを下手に疑ったりするのは良いことではありませんし」
「そうね」
 最長老が犯人であるか否かは別としても、彼がこのアデイルの事件のことを、あたし達に隠そうとしていたのは確かである。
 もしやこれが火竜王の病と関係があるのかも知れないというのに……。
 この話はこれで止めにすることにした。
「後、もう一つだけ訊きたいことがあるんだけど……」
「何ですか?」
 これはフィリア自身に関することである。
 些細なことかも知れないが、実は結構気になってることだ。
「あの盗賊達に捕まった時、何で逃げなかったかっていうことよ。エイデンバングルとかいうボロ雑巾野郎がいたならともかく、竜族のあんたなら、あんなやつら蹴散らすなんて簡単でしょ?」
「でも、暴力はあまり好きではありませんし、第一愛する方のお身内を傷つけるのは……」
「あんたねえ。もしも逃げてたら、こんな事態にはなんなかったのよ。それに愛する人って何なのよ。あの子がまだ好きだっていうの? 浮気じゃない」
「ご迷惑をお掛けしたことについては謝ります。ですが浮気というのは違います。リナさんは勘違いをしています」
「じゃあ何なのよ?」
 別にあたしが怒るようなことではないのだが、なぜか口調がきつくなっている。
 しかし、それでもフィリアは平然と、
「本気です」
「余計悪い!」
「だから、それが勘違いなんです」
「…………」
「竜族は人間と違って、結婚したからといって結婚相手の独占物になるということはないんです。一夫多妻、一妻多夫が当たり前の世の中なんです。巫女だから純潔を守れということもありませんし」
 ……言ってる意味は分かるが、納得は出来ん。
 まあ、人間の倫理観が通用するとは思えないので仕方ないが。
「あっ、そろそろあたし寝るわ」
 しばしの沈黙の後、あたしは別れの挨拶を切り出した。
「変なこと訊きまくったりしてごめん。じゃあ、また明日ね」
 一つだけ訊けなかったこと――血塗られた手とは一体?――があるが、今はこれで充分だ。
「はい。お休みなさい」
 あたしは部屋に戻ると、読み掛けの本を少し読み、やがて眠りに就いた。


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 書きたいものは書きました。もう満足です!
 ……いやいや、嘘です。まだまだ始まったばかりじゃないですか(もしかしてそう思うのは私だけ?)。
 一度で良いからスレイヤーズで密室やりたかったんです。
 本物の密室ではありませんが、結構らしいものにはなったんじゃないかと。
 ただどこかにおかしな点がないか非常に心配でたまりません。
 最初に書いた時(三ヶ月以上前)から何度も何度も見直して来ましたが、それでもまだ不安です。
 でもいつまでもそうやっていても仕方がないので、勇気を振り絞って投稿することにしました。
 もし変なところあったらすみません。本当にすみません。あまりみっともいいことではないですが、後から訂正させて頂きます(訂正不能なほどの間違いがあったら……どうしよう?)。
 

 ちなみに身体の調子があんまり良くないので、これ以後、しばらく投稿は控えるかと思いますので。
 それでは、これで失礼致します。

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29446Re:スレイヤーズTRYノベル:十四話:彼女は閉ざされた部屋の中でエモーション E-mail 2004/2/25 22:28:15
記事番号29432へのコメント

こんばんは。

リナには悪いですが依頼料半額は、まあ、妥当かな、と思いました(^_^;)
何事もなく、でもセフィクスさんが出てきた結果のフィリア救出だったのなら、
せいぜい良くても、手付け金代わりの1割支払いが妥当だったでしょうから。
今回の場合は「依頼を遂行していない」とはいえ「雇用側が不当にリナを
犠牲にしようとした(ついでに攻撃した)」ことで「慰謝料」が生じるとして、
「慰謝料として全額報酬-依頼遂行失敗=半額」と、ラファエルさんがその辺り、
三方一両損じゃないですが、双方が妥協できるように交渉したのかなと想像しました。
でもそれすらしようと思わない最長老様ってば、誠意なさすぎ……。

竜族の結婚(?)観……やはりよく分からないですね(^_^;)
それなら別に「結婚」という形式をとる必要性がまったくないのでは? と思いました。
そうもいかない何かがあるのでしょうか。竜族的に。

さて、今回に新たに出現した謎。
密室トリックは、空間移動できる者がいるのでは、あまり考える必要がなさそうですが、
一応の妄想憶測としては、アデイル様本人が、自室の鍵をかけた可能性もありかなと。
襲われたものの、凶器となったボーディガーを、犯人から奪い返して自室に逃げ込み鍵を掛け、
そのまま力つきて死亡、という具合に。
ただ、その場合、アデイル様が明らかに他殺で亡くなる方が困る人にとって、
都合よすぎなんですよね。
また、火竜王様の病気との関連。
確かに……事が起きるタイミングが良すぎですよね。
最長老様が文書庫が開放されるのを嫌がっているのは、単に「知識」を
一部の者だけの専有物にしたいのか、それとも文書庫が開放されて、他の者に読まれると
自分たちにとって、極めて都合の悪い書物があるか、のどちらかでしょう。
おそらく後者だろうと思いますが。
好き勝手に憶測すると、アデイル様殺害の犯人と、火竜王様を病気にした者(推定)は別人。
前者をX、後者をYとして、Yが火竜王様を「病気」にして、その事実を
Xに知らせた、または教えた。Xはだからアデイル様の殺害に踏み切った、
と言う感じでしょうか。
XがYに火竜王様を病気にする依頼をしたかどうかは不明ですが、多分、
それはしていないだろうと。
揉めている様子を見て、YがXを、体よく唆した感じだろうと思ってます。
Xが神殿部外者、という可能性もありですが、そうなるとアデイル様を狙う理由が
分からないので、まず可能性は低いかなと。
……まあ、何とかこんな感じに、推測(憶測)してみました。

身体の調子が悪いのですか。無理をせず、養生してください。
インフルエンザの流行はピークを過ぎたようですが、まだまだ油断はできないですし。
ただの風邪でもこじらせると大変ですので。
それでは、快復を祈りつつ、続きをお待ちしています。
お身体、ご自愛下さいませ。

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29448Re:スレイヤーズTRYノベル:十四話:彼女は閉ざされた部屋の中でオロシ・ハイドラント 2004/2/26 17:15:12
記事番号29446へのコメント


>こんばんは
どうもこんばんは。
レス返しくらいはしておこうと思って来ました。
>
>リナには悪いですが依頼料半額は、まあ、妥当かな、と思いました(^_^;)
>何事もなく、でもセフィクスさんが出てきた結果のフィリア救出だったのなら、
>せいぜい良くても、手付け金代わりの1割支払いが妥当だったでしょうから。
>今回の場合は「依頼を遂行していない」とはいえ「雇用側が不当にリナを
>犠牲にしようとした(ついでに攻撃した)」ことで「慰謝料」が生じるとして、
>「慰謝料として全額報酬-依頼遂行失敗=半額」と、ラファエルさんがその辺り、
>三方一両損じゃないですが、双方が妥協できるように交渉したのかなと想像しました。
ええ、そんな感じです。
>でもそれすらしようと思わない最長老様ってば、誠意なさすぎ……。
私も書きながら思いました。
絶対に人間見下してるなあ、とも。
これもアニメの影響かな。
良い竜だっているんですけども……。
>
>竜族の結婚(?)観……やはりよく分からないですね(^_^;)
>それなら別に「結婚」という形式をとる必要性がまったくないのでは? と思いました。
>そうもいかない何かがあるのでしょうか。竜族的に。
昔は人間と同じような結婚観を持っていたけど、戦争なり何なりで数が減少して、今の制度になっていったけど、「結婚」そのものは廃止されなかった……と推測してみました(自分の書いた話の「謎」になっている部分を自分で推測してみるのも変な話ですが、実は自分で推測しながら書いているところとか結構あったりします)。
あくまで現時点での推測ですので、これが真実とは限りませんが(多分、真実は永久に明かされないかと)。
>
>さて、今回に新たに出現した謎。
>密室トリックは、空間移動できる者がいるのでは、あまり考える必要がなさそうですが、
>一応の妄想憶測としては、アデイル様本人が、自室の鍵をかけた可能性もありかなと。
>襲われたものの、凶器となったボーディガーを、犯人から奪い返して自室に逃げ込み鍵を掛け、
>そのまま力つきて死亡、という具合に。
>ただ、その場合、アデイル様が明らかに他殺で亡くなる方が困る人にとって、
>都合よすぎなんですよね。
確かに偶然の作用がありますけど、現在のデータから考えると、充分に可能性はありますね。
>また、火竜王様の病気との関連。
>確かに……事が起きるタイミングが良すぎですよね。
この二つの関連性については結構意外なものになったかも知れません。もしかしたらアンフェアと言われるものになっているかも知れませんが。
>最長老様が文書庫が開放されるのを嫌がっているのは、単に「知識」を
>一部の者だけの専有物にしたいのか、それとも文書庫が開放されて、他の者に読まれると
>自分たちにとって、極めて都合の悪い書物があるか、のどちらかでしょう。
>おそらく後者だろうと思いますが。
これはノーコメントということで(笑)。
>好き勝手に憶測すると、アデイル様殺害の犯人と、火竜王様を病気にした者(推定)は別人。
>前者をX、後者をYとして、Yが火竜王様を「病気」にして、その事実を
>Xに知らせた、または教えた。Xはだからアデイル様の殺害に踏み切った、
>と言う感じでしょうか。
>XがYに火竜王様を病気にする依頼をしたかどうかは不明ですが、多分、
>それはしていないだろうと。
>揉めている様子を見て、YがXを、体よく唆した感じだろうと思ってます。
>Xが神殿部外者、という可能性もありですが、そうなるとアデイル様を狙う理由が
>分からないので、まず可能性は低いかなと。
>……まあ、何とかこんな感じに、推測(憶測)してみました。
XY共犯説は充分にありえる可能性だと思います。
XとYに誰を当てはめるかが結構問題になって来るでしょうけど。
それにしても、本当に色々考えて頂き、何度も推敲した甲斐があったかなあと思いました。
でもこの事件、実は正統派本格推理小説のような展開はしなかったりします。ならどういうのだ、とは具体的には言えませんが。
それにしても、こういう場面を書くことの難しさが分かったような気がします。
「これは分かり難いかな」とかしばしば思い、思考力、構文力のなさを実感し、大いに苦しみました。
この苦しみが私の思考力や構文力に良い影響を与えていると良いんですが……
>
>身体の調子が悪いのですか。無理をせず、養生してください。
>インフルエンザの流行はピークを過ぎたようですが、まだまだ油断はできないですし。
>ただの風邪でもこじらせると大変ですので。
>それでは、快復を祈りつつ、続きをお待ちしています。
>お身体、ご自愛下さいませ。
症状としては寒気がします。そんなに大した症状ではないんですが、なかなか治ってくれないのが厄介だったり。


ご感想&親切なお言葉、どうもありがとうございました。