◆−白銀の街−如月 雨季 (2003/11/13 16:00:19) No.28078
 ┣忘れてました(汗)−如月 雨季 (2003/11/13 16:04:25) No.28079
 ┣はじめまして−イヌひこ (2003/11/13 19:04:22) No.28084
 ┃┗Re:はじめまして−如月 雨季 (2003/11/13 19:40:32) No.28085
 ┗白銀の街2−如月 雨季 (2003/11/16 08:54:24) No.28149


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28078白銀の街如月 雨季 2003/11/13 16:00:19


 魔法と科学の共存する世界、その大国の一つでは聖誕祭のための少し変わった趣向が取り入れられていた。この日宮殿で行われる舞踏会の出席者は、参加の条件として仮面をつける。かしこまった雰囲気の建物もイルミネーションで飾られる。

「まあ、アメリア様。素敵なドレスをお召しですのね」
「ありがとうございます。奥様の宝飾もとてもお綺麗・・・レクシーヌのものですの?」
今年で十七歳になるアメリアは、上品な薔薇色のドレスをまとい、腰まで届く紺色の髪を結い上げている。人形のように愛らしい彼女はセイルーン財閥のお嬢様であり、社交界の花であった。
____そんななか、彼女はひとり憂鬱な気分だった。
慣れているとはいえ、くだらない装飾具の褒めあいにも、面倒な社交辞令にもうんざりする。それに加えてアメリア、またはセイルーン財閥に好意を抱いている良家の子息達は鳥肌のたつようなキザな科白で、ダンスを申し込んでくる。もちろん表情は笑顔を保ったままだったが。

「一曲踊っていただけますか?」
(またですか・・・はぁ)
心の中でため息をついて、相手の顔を見上げた。銀色の髪に、仮面で顔の半分は隠しているが、整った造形であることは一目でわかる。だがそれよりもアメリアの感心を惹いたのは、記憶の中に彼と一致するものはいなかったからだ。仮面をつけていても所詮は広くて狭い社交界。注意してみれば誰が誰だかを見分けることは容易だが、今目の前に立っている人物を今まで見たことがない。だがダンスを断る理由も無いので、
「ええ、喜んで」 と言って円舞曲に合わせて踊り始めた。

「お名前を聞いてもよろしいでしょうか?」
「ゼルガディス、だ」
 自分から踊りに誘ったわりには無愛想だが、むしろ新鮮な印象だった。歯の浮くような科白もなく、淡々とステップを踏む彼に好感すら覚える。
緩やかな音楽に乗って二人は軽やかに舞う。誰かとのダンスを心から楽しんだのは本当に久しぶりだ。
 長いようで短かったダンスが終わると、ゼルガディスはすっと仮面を外して一礼した。
「近いうちにまた会うだろう。それでは失礼する」
 謎めいた言葉を残して彼が去った後も、アメリアはしばらくぼんやりとしていた。
 そんな彼女の姿を殺気を込めて見つめる人物がいたことを、アメリアは知る由も無かった。
「ゼルガディス殿、どうでしたか?」
「ああ、会場内に潜り込んでいる奴がいる。目を離さないほうがいい」
「それにしても、ゼルガディス様のダンスが生きているうちに見られるとは、一生忘れられない日になったなぁ、ロディマス」
「うむ、とてもお似合いでしたぞゼルガディス殿」
「・・・ロディマス、ゾルフ、俺達がなぜここにいると思っている?」
 半眼で睨みつけられた二人は、ゼルガディスから視線を外す。
「あーっ! ゼルガディス様!!」
「なんだ、そんな手に引っかかるほど俺は・・・」
「アメリア様が会場を出ますよ! ほら早く追わないと!」
 出入り口に目を向けると、確かにアメリアは会場を出て行くところだった。

 中庭の噴水の淵に腰を下ろして、耳飾りの青い石に触れた。ホログラムのような画面が現れ、必要な語を入力する。魔導学校の大学科に所属するリナが作ってくれたもので、石に触れるだけでセイルーンネットワークにアクセスすることができる。その他いろいろと機能がついており、大変重宝するアイテムだ。
(パスワード入力完了、検索語は『ゼルガディス』っと)
『検索語・ゼルガディス 該当件数1:ゼルガディス・グレイワーズ』
「グレイワーズ? どこかで聞いたことがあるような・・・」
 詳細を見ようと画面に手を伸ばし、ふと動きを止めた。眉をひそめて、画面を閉じて立ち上がる。と、その時
「動くな」
 短い静止の声と共に、首筋に白刃を当てられる。同時に共犯者が数人姿を現した。
「声をだすなよ、おとなしくしていろ」
 従う意思はもちろんないが、相手もプロだ。冷静に逃れる方法を考え始めたとき、
「ライティング!」
 光の玉が自分を抑えていた男の視界を奪った。一瞬の隙を見逃さず、アメリアは白刃を叩き落とし、振り返りざまに肘を相手のあごに入れて飛び退いた。
「そのお嬢さんに手を出すのは止めてもらおう」
 アメリアを助けたのは三人組の男だった。仮面の男と、その部下と思われる二人。黒髪の中年男の手には魔法の光が終結しつつあり、無髪の男の手には斧が握られている。二人の前に立っていた男は仮面を取り、鋭い眼光で敵を睨みつける。ゼルガディスが武器に延ばした瞬間、
「いきなり後から白刃を当てた挙句、集団で一人を襲おうとは何たる愚行!!何たる悪!! このアメリア・ウィル・テスラ・セイルーンが愛と正義の鉄槌を下しますっ!!」 
 ―――その場の空気が凍りついた――――
 一斉に注目を浴びて高い木の上に立ち、びしぃっと指を指しているのは言うまでもなくアメリアだ。ドレス姿でどうやってそんなところへ登ったのか疑問だが、本人は全く意に介さない。
 呆然とする一同を無視し、裾を押さえてアメリアは木から飛び降り・・・。
「ふぎゅっ」
奇妙な効果音を立てて顔面で着地を果たした。が、0.5秒でがばぁっと立ち上がる。常人なら首の骨が折れているはずだ。信じられぬ光景に、ゼルガディスは額を押さえた。
「あー・・・ロディマス、ゾルフ」
 その一言でようやくその場が動いた。ゼルガディスは魔法剣、ロディマスは斧、ゾルフは魔法をそれぞれ行使する。アメリアは得意の体術を使い、『正義の味方きっく』なるものを放つ。一瞬にして敵は全て地面を這った。
「ゼルガディスさん、ですよね? 助けてくれありがとうございました♪」
「仕事だからな、気にするな」
 口調はそっけないが、アメリアの笑顔に照れたように視線を逸らすのを彼の部下たちは見逃さなかった。が、次の瞬間アメリア笑顔はいぶかしむ様な表情にかわり、
「・・・・・!! 危ない!」
 とっさに自分の前に立っていたゼルガディスを突き飛ばした。同時に魔法による強い衝撃を受け、アメリアは意識を手放してその場に倒れた。
 
       続く

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28079忘れてました(汗)如月 雨季 2003/11/13 16:04:25
記事番号28078へのコメント

 白銀の街1です。1をつけるの忘れてました(><)

 書きなぐり初投稿です。駄文で申し訳ないですが、読んでもらえたら小躍りして喜びますww よろしくお願いします。

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28084はじめましてイヌひこ 2003/11/13 19:04:22
記事番号28078へのコメント

こんにちは初めまして、イヌひこといいます。
書き込み久しぶりでかなり緊張してます。
どっか変かもですが、見逃してください…;。

なんか最後までどきどきしながら読んでました。
一番良いなあと思ったのがゼルとアメリアのすごく自然な感じに読めたことです。
文章も簡単ではないのに読み易くて、読むのが苦じゃなくて楽しかったです><。
実は文章読むの苦手なんで…;。
(↑なのに読んだ上に感想まで書いてるんですが;)
あとゼルアメが大好きなんで、ゼルとアメリアの短い会話がすごく嬉しかったです。なんかすごく2人らしく思えて。
うー、続きが楽しみです。
人の連載の続きを催促する身分ではないのですが、
これからもがんばってください!
な、なんか説明くさい感想、すみません…。
では失礼しましたっ。




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28085Re:はじめまして如月 雨季 2003/11/13 19:40:32
記事番号28084へのコメント

 わざわざ感想書いてくれありがとうございました♪ 
 正直感想書いてもらえると思わなかったので、私もすごく緊張してます。
 そして、本当に嬉しいです(感涙)

 文章読みやすいと言ってもらえてほっとしました。無駄に長くてわかりにくいかも・・・と心配していたので。
 続きも気合入れて書きますので、よろしくお願いします(^^ノ)
 
 

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28149白銀の街2如月 雨季 2003/11/16 08:54:24
記事番号28078へのコメント

白銀の街2です。無駄に長く、ストーリーが全く進まない・・・(泣)そしてわけのわからないまま終わります。伏線といえば聞こえはいいですけど実際はなんだかよくわからない駄文・・・。それでも良いと思う心の広い方はお読みください。
 ごめんなさい(><)次はっ!次こそはもっとおもしろくっ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
 母さん、私の大好きだった人。いつも優しく髪を撫でてくれて、強くて明るくて、笑った顔がとても魅力的だった。私を庇って死んでしまった人。
 崩れ落ちる体、白いドレスを染める血、握り締めた手は少しずつ熱を失う。
『アメリアは・・・無事・・・?』
 頭の中は真っ白だった。それでもなんとか頷くと、母さんはにっこりと笑った。
『良かった・・・アメリアが・・・』 
 最後の言葉は途切れ、二度と続きを聞くことは無かった。何度考えても答えは出なかった。私のせいで死を前にして、それなのにどうして私の心配なんかしたのか、笑顔を向けてくれたのか。私さえいなければ、死ぬことなんて無かったのに。どうして私なんかを庇ったのか・・・。

「・・・ゼルガディスさん、無事だったんですね。良かったです」
 起きて最初の科白と笑顔に、彼は何種類もの感情を混ぜたような複雑な顔をして、額に手をやって下を向いた。混乱しているのだろう。
「俺の事より自分の心配をしろ! いや・・・俺の油断で危険な目に遭わせて、すまなかった。その・・・二度とこんなことはするな、いやだから・・・おまえが無事でよかった」
 たどたどしく言う彼の様子がおかしくて、アメリアはクスクス笑ってしまった。再び奇妙な顔をするゼルガディスにアメリアが口を開きかけて・・・。ゼルガディスが横にある小さな簡易ベッドに倒れ、寝息を立て始めた。よく見れば、目の下に隈ができている。
「もしかしてずっと起きていたんでしょうか?」
 その時、病室に一人の男が入ってきた。彼は確か、ゼルガディスの部下だったはずだ。
「ゼルガディス殿は寝てしまわれたか、三日三晩一睡もしていないからな。アメリア殿にはあれから何があったのかをお話しなくてはならんな」
 無髪の男はロディマスと名乗った。彼らはフィリオネルから直接依頼を受け、アメリアの護衛のためパーティ会場に潜り込んでいたのだという。今回の事件の犯人は五人、内一人は魔族で、アメリアに攻撃を放ったのもその魔族。二人は捕らえたが、残りの三人は曲げていた空間を戻して逃げたという。捕らえた二人は雇い主を調査されている。
「アメリア殿が寝ておられた三日間、ゼルガディス殿は一睡もしておられなかった。さすがに疲れられたのだろう。目が覚めたらもう少し詳しいことを聞かれるといい」
 
 だが数時間後、ゼルガディスが目覚めたあとに新たな情報が入った。アメリアを襲って捕まった犯人二人が自殺したとの報告だ。靴底に毒を隠しており、情報が漏れを防ぐ為のプロの最後の手段の一つ。白紙に戻った事件について、アメリアとゼルガディスはモニターを通してフィリオネルと連絡を取った。
「娘よっ!! 魔法を受けて倒れたと聞いて心配しておったぞぉぉぉ!!」
「とーさんっ!! 見ての通り私は無傷で済みました、これも正義の力ですっ!」
「・・・リナお手製の護符があったからだろう」
 彼は冷静に突っ込んだ。リナの護符は攻撃を緩和し、耐え切れなかった分を睡眠という形に変えてアメリアを守ったのだ。断じて正義の力ではない。
「フィルさん、問題はこれからだ。アメリアを狙う人間の手がかりは消えた。次にいつ狙われてもおかしくない」
「うむ、そのことなんじゃがな、アメリアにはしばらく隠れていてもらうしか・・・」
「父さんだめですっ!それでは正義が悪に屈することになりますよ!!それに今は大事な時期ですし、できるだけ社交界へも出席するって決めたばかりです。それが正義を広める為の第一歩だと話し合ったじゃないですかっ!!」
「むう・・・そうじゃったのう・・・。ではこういうのはどうかな?」
 フィリオネルの突拍子も無い計画は実行された。そして報道関係には共通してある言葉が踊ることとなった。
『セイルーン財閥令嬢、婚約の意思を表明』
『アメリア姫婚約!! お相手はレゾ・グレイワーズ氏の直系』
     
           続く