◆−「ある小説家」@−よっし〜 (2003/1/27 23:26:26) No.24540


トップに戻る
24540「ある小説家」@よっし〜 E-mail 2003/1/27 23:26:26


「ある小説家」@

彼の名前は「長田 裕一郎」29歳 独身 職業は小説家。

彼は週刊誌などに掲載されている短編小説等を主に手がけている。彼の作品は週刊誌の中ではかなり有名で裕一郎は、今でも4社からの小説の依頼を受けている。

ある夜の事、徹夜で明日が締め切りの小説の原稿を作っていたとき玄関のドアをノックする音がした。裕一郎はおかしいなと思いつつも玄関のドアを開けた。するとそこには、一人の中年の男性が立っていた。すると、その男は
「夜分遅くにすみません、私『週刊 ミステリー』という雑誌のミステリー小説部門を担当しております斎藤といいます。」
と言うと、少しニヤッとしながら名刺を差し出した。
(この斎藤っていう人こんな時間に来たのには多分それなりの理由があるはずだ。それにこの時間じゃここで話すのも迷惑だし家に入ってもらおう。)
「ここで、話すのも周りに迷惑ですからどうぞ入ってください。中でお話は伺います。」
そういうと、裕一郎は斎藤を家へと入れたのだった。
「さて、話を伺いましょうか。どういう用事ですか?」
裕一郎は、斎藤のところにコーヒーを出して腰をおろした。
「あっこれはすみません。実は、小説を書いて頂きたいのです。」
「それは、構いませんがなぜ今の時間にこちらに来たのですか?」
雄一郎はそう言うと、斎藤の顔が少し真剣になった。
「実は、うちの雑誌はあまり売れなくて次の雑誌が売れなかったらもう会社は終わりだと言われまして・・・そこで、あの有名な長田 裕一郎を探してここにたどり着いたわけなのです。でも本当によろしいのですか?小説など作っていただいて。」
「ええ、構いませんよ。確かミステリー小説の担当の方でしたね?では、ミステリー小説を作ったほうがよろしいですね?」
「はい、ありがとうございます。原稿は、大体2週間後位に頂きに参りますのでよろしくお願いします。それでは、失礼します。」
そう言うと斎藤は嬉しそうな顔をして雄一郎の家を出て行った。
「フウ・・・これでまた仕事がひとつ増えたな。さて仕事、仕事」
こうして、雄一郎はまた小説の原稿を仕上げるため机に向かったのだった。

 二週間後の朝、週刊ミステリーの斎藤が訪れた。
「どうも、ありがとうございました。期限もしっかり守られて・・・さすが、噂通りですね。頼まれた原稿は、絶対期限までに仕上げる。」
「いえいえ、それは当然のことですよ。一様ミステリーと言う事だったのでそういう風に書いてみましたよ。いえ、こんなのは初めてですから・・・」
少し笑いながら裕一郎は、原稿を斎藤に渡した。
「どうも、本当にありがとうございました。これで、まだ仕事が続けられます。失礼します」
そう言うと斎藤は走り去っていった。


屋敷の中で連続殺人事件がおきる、1人目は刃物で刺され、2人目は浴槽で
溺れて、3人目は銃で撃たれる。犯人は、屋敷のメイドで殺した3人はかつて自分の親を金銭目的で殺したので復讐したのだという。そして最後は、このメイドは自分の部屋で首をつって自殺して、この事件は幕を閉じる。

 これが、今回裕一郎が書いた小説のストーリーである。
このところ裕一郎はろくに寝ていない。やっと一通りの仕事が終わり、ベッドで寝ることにした。

 この寝ている間、雄一郎は嫌な夢を見てしまった。まったく見ず知らずの人を刺し殺して笑っている自分の姿を見たからだった。裕一郎は、あまりの恐怖に飛び起きてしまった。ベッドのシーツは汗で濡れていて、自分も汗だらけだった。気持ち悪いので、シャワーを浴びて心を落ち着かせた。
(何で、あんな夢を見たのだろう?何か良くない事でも起きるのだろうか?)
シャワーを止めて外を見てみるともう夜の8時ぐらいだった。
(結構寝てたいな・・・13時間ぐらいかな?)
そう思いながら、裕一郎はコーヒーを入れながらテレビを見ていた。この時間だとほとんどバラエティー番組か時代劇などしかない。そして大体9時ぐらいになるとあちこちでニュース番組になってくる。芸能人の結婚や離婚問題、スポーツのニュースなど、正直裕一郎にとってはどうでも良い事なのだ。しかし、裕一郎はあるニュースを見た瞬間手に持っていたコーヒーの入っている
マグカップを落とした。
「では、次のニュースです。今日昼頃アパートから刃物によって数箇所刺されて死亡している男性の遺体が発見されました。男性の名前は・・・・」

「ある小説家」@ 終わり

「ある小説家」Aへ続きます。