-CONGRADUATION-とんとん(4/21-06:36)No.2374
 ┣Re:CONGRADUATION-松原ぼたん(4/21-18:27)No.2384
 ┃┗ありがとうございました☆-とんとん(4/23-06:23)No.2411
 ┣Re:CONGRADUATION-東智華(4/21-23:02)No.2388
 ┃┗ありがとうございましたっ☆-とんとん(4/23-06:27)No.2412
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  ┗Re:Fallaciousーゼロスー、ーリナー-松原ぼたん(4/26-16:18)No.2471


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2374CONGRADUATIONとんとん E-mail 4/21-06:36

シンデレラよりは真面目です(笑)

商人の一行が来た。6歳のリナは大して興味をそそられなかったが、ただ一つ気になったことがあった。
にぎやかだが顔見知りしか住んでいないこの村である。村中で商人たちを激励し歓迎していた。
長老の家にみなが招待された。一人だけ、晩餐会に招かれていない者がいた。
短いスカートをはいてぼろぼろのくつを履いた金髪の女の子だった。
雪の夜だった。雪と間違えるくらい白い肌をして、白い息で手を温めながら外で立っている自分と同年代の少女をリナは中からずっと見ていた。

「おら、さっさと持ってこい」
自分の体重の倍くらいある麦の袋をひきずるようにして歩く少女を蹴ったのはその前方を歩いていた男だった。
「ごめんなさい」
少女は小さく謝ると足を速めた。
リナは側で彼らを見ていた。栗色の髪は後ろで一つに束ねてある。
馬車から街道を通って村の側の倉庫に穀物を運んでいる。
「手伝おうか」
とうとうリナは話し掛けていた。少女はびっくりしたようにこちらを見て立ち止まった。
「・・ううん、いいよ。私の仕事だから」
「でも重たそうだよ」
「これが最後のだから」
「じゃぁ手伝うよ」
「怒られるから」
「早く終るんだから怒られないよ」
しばらく二人は黙り込んだ。そして少女がくすっと笑うと袋の端を握った。
「変な子。そっち持ってくれる?」
「うん」
リナは肯くと袋の片端を持って彼女と共に歩き出した。
「あたしリナ。リナ=インバース」
「私はミイア」
後は二人は黙って歩いた。荷物は二人で持っても重たかった。

「どうしてあんな奴らと一緒にいるの?」
リナはミイアに尋ねた。
漸く仕事が終って、草原に腰掛けている。
今朝から見ていて、他の商人たちのミイアに対する態度はどう見ても不公平だった。
ミイアは沈む夕日を見ながら独り言のように言った。
「私は弱いから」
「?」
ミイアがリナを見て目を細める。
「私は弱かったから、あのひとたちに従うしかなかった・・・」
「いやじゃない?」
「嫌よ」
「何で逃げないの?」
「・・・・・・・」
ミイアは声を詰まらせた。
「無理だよ、子供はそんなこと出来ないよ」
「じゃぁ大きくなったら何するの?」
リナの言葉に自分を泣かせまいとする必死なものを感じてミイアは笑った。
「私旅に出たいの」
「旅?」
「うん。世界を見に行きたいの。色んな人に会いたい」
夕日が完全に沈むと二人は立ち上がってリナの家へと向かった。
彼女は本当は何があったのかは伝えなかった。
ただリナの耳には、『弱かったから、従うしかなかった』という言葉がいつまでも響いていた。

「偉いね、あのこは」
食器を片づけながらルナというリナの姉はついでのように言った。
「人間不信に陥ってもしょうがないような状況にいるのに、あんなに明るくてけなげで・・・」
「人間不信?」
聞きなれない単語にリナは首をかしげる。
「誰も人を信じられなくなること」
肯くとリナはベッドに登った。
「あしたもミイアと遊ぶの」
「そう。仕事の邪魔しないのよ」

次の日ミイアは鞭打たれて死んでいた。
夜のうちにやる仕事が終らなかったらしい。
村人は商人たちを非難したが罰することは出来なかった。彼らは村の人間じゃない。
商人達は後ろめたそうに逃げていった。
ミイアの亡骸は村から少し離れた大木の根元に埋められた。
リナはそこに立っていた。
ずっと立っていた。
・・・あたしは強くなろう
絶対に誰にも負けずに
あたしは死なない
何があっても明るく生きよう
絶対に諦めないで笑っていよう

涙は流れなかった。商人達が憎かった。掌を握って目を閉じた。

あたしは人を信じよう
人を好きになろう
あたしは強くなろう、
裏切られても悲しくないくらい
あたしは旅に出よう
世界を見にゆこう
色んな人に会いにゆこう・・・・

「リナ?」
ガウリイの声にあたしは振り向いた。
「その木がどうしたんだ?」
あたしたちは今あたしの故郷にいる。ミルガズィアさんが教えてくれた。人間と魔族がぶつかること。その前に故郷にでも行くがいい、そう言ってくれた。
「・・・ごめん」
あたしは呟いた。
あんたが見たがってた『世界』を壊すのはあたしかも知れない。
「さ、次はあんたの故郷とやらに行きましょーか、ガウリイ」
彼の肩を叩き、あたしは走り出した。
えんど。
「い、いいのかなぁ」「し、知りません(汗)」

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2384Re:CONGRADUATION松原ぼたん E-mail 4/21-18:27
記事番号2374へのコメント
 面白かったです。

> 長老の家にみなが招待された。一人だけ、晩餐会に招かれていない者がいた。
 なんで?
> 今朝から見ていて、他の商人たちのミイアに対する態度はどう見ても不公平だった。
 たしかに。
>「私は弱かったから、あのひとたちに従うしかなかった・・・」
 確かにそう言うところは弱いといえなくもないかもしれませんね。
> 次の日ミイアは鞭打たれて死んでいた。
 ひえっ。
> あたしは人を信じよう
> 人を好きになろう
> あたしは強くなろう、
> 裏切られても悲しくないくらい
> あたしは旅に出よう
> 世界を見にゆこう
> 色んな人に会いにゆこう・・・・
 それこそ人間不信になってもおかしくないのに・・・・すごいですね。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。

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2411ありがとうございました☆とんとん E-mail 4/23-06:23
記事番号2384へのコメント
ありがとうございましたっ
何かややこしい話でしたよね(^^;;;

>> 長老の家にみなが招待された。一人だけ、晩餐会に招かれていない者がいた。
> なんで?
彼女は奴隷の扱いをうけてました。書き足りませんでしたね(汗)

何か勝手にリナの過去なんかかいちゃっていいのかぁっ!?と思ったんですが・・・リナの強さにはやはり秘密がなくては、と思って(をい)

ではまた。


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2388Re:CONGRADUATION東智華 4/21-23:02
記事番号2374へのコメント
すごい感動しました。
・・・でもリナも商人の家の娘。
何か切なかったです。
後それとちょっと気になることが。
>「い、いいのかなぁ」「し、知りません(汗)」
この上の一文は誰と誰の会話なのでしょうか。
このうちの一人は作者の方だろうなんだけれど、後もう一つは・・・??

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2412ありがとうございましたっ☆とんとん E-mail 4/23-06:27
記事番号2388へのコメント
ありがとうございましたっ。

>すごい感動しました。
うれしいですぅ・・・(^^;;;
絶対、あんなもの書いてえーんかいな、って突っ込みが来ると思っていたので(汗)

>・・・でもリナも商人の家の娘。
>何か切なかったです。
・・・それ考えてませんでした(核爆)
そう考えるとまんざら意味のない話でもないですね(更に核爆)

>後それとちょっと気になることが。
>>「い、いいのかなぁ」「し、知りません(汗)」
>この上の一文は誰と誰の会話なのでしょうか。
>このうちの一人は作者の方だろうなんだけれど、後もう一つは・・・??

私と、うちなる声との会話です(爆死)
どうしても突っ込んどかないと後が恐くて・・・。
あとは全然ギャグなかったから、気持ちを柔らかくするために・・・(笑)
ではまた。

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2461Fallaciousーゼロスーとんとん E-mail 4/26-02:21
記事番号2374へのコメント
同僚に肩を叩かれてゼロスはきづいた。
自分がずっとあの少女を追っていたこと。
いつも呪府の魔力を感じ、会うことは出来なくとも側から見ていたこと。
無意識のうちに歩み寄っていく。知らぬ間に溺れていた。
だんだん求めるようになる。離れられなくなる。

冗談でいいと思っていた。手の届く場所にいるうちに好きなだけ側に居ようと。離れてしまえば何でも無くなることを知っていたから冗談でいいと思っていた。
汚れない彼女にそっとキスするのも、手を取り導くのも。本気になり得ないから自分もあの少女も平気だった。
茶番。本当の気持ちを隠し、喜劇を演じ続けるフリ。
そうだ、あれは冗談だったはず。

それからゼロスは強くなった。前よりもずっと。
そして前よりもずっと残酷になった。命令とあれば容赦なく人を殺し、時にはそれ以上もやってのけた。
冷酷になった。残虐になった。
邪魔をする者はいたぶって消した。役に立たない部下も消した。

覇王将軍シェーラが彼女に殺されたと聞いたときも、何も感銘を受けなかった。

第二次降魔戦争が始まり、その中心に彼女がいると知ったときも、黙って上司の表情を仰いだだけだった。

獣王が滅ぼされたと知ったときでさえ、彼は反応しなかった。

魔族の大軍に挟まれた彼女の首が落ちたと聞いたとき。漸く彼はきづいた。自分がずっと泣いていたことに。



うわぁっ短いっけどまぁいいか(^^;;
ここの方々のゼロリナの真似もののようになっちゃいましたね、ごめんなさい。
一応オリジナルなんですよぉぉ・・・

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2462Fallaciousーリナーとんとん E-mail 4/26-02:23
記事番号2374へのコメント
ゼロスよりもっと短いです(汗)


「出身はカタート。これでもれっきとした魔族よ」
シェーラがそう言った瞬間、リナの脳裏にはあの男の姿が浮かんでいた。
魔族。
もうその言葉を聞くことなどないと思っていたのに。もう会うことなどないと思っていたのに。

「もう二度と会わないことを祈って」

あいつと二人でそう言って別れた。
本当はもう一つ言う事があったけど言葉に出来なかった。
そうだね、もう会わないならそれでいい。あたしは思い出だけを持っていよう。貴方はきっとすぐにあたしなど忘れてしまうから。
彼らの長い一生のうちほんの少しを共にしただけ。そんな人間に何の執着があろう。
リナは努力した。
だけど会いたいと願う。何だっていい。あの人はあたしをからかっていたけど、あたしの心は強く揺さ振られたことを伝えてしまいたい。

自分の中の何かが、魔族に関わるように仕向ける。
どんな試練でも受けてたとう。
もう一度彼に会えるのなら。
いつしかそう思っていた。

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2471Re:Fallaciousーゼロスー、ーリナー松原ぼたん E-mail 4/26-16:18
記事番号2462へのコメント
 面白かったです。

>無意識のうちに歩み寄っていく。知らぬ間に溺れていた。
 恋愛感情ですねぇ(笑)。
>茶番。本当の気持ちを隠し、喜劇を演じ続けるフリ。
 そう思いこんでたのですか。
>魔族の大軍に挟まれた彼女の首が落ちたと聞いたとき。漸く彼はきづいた。自分がずっと泣いていたことに。
 切ないです。
>「もう二度と会わないことを祈って」
 この台詞ってファンの首も絞めてますよね(笑)。
> だけど会いたいと願う。何だっていい。あの人はあたしをからかっていたけど、あたしの心は強く揺さ振られたことを伝えてしまいたい。
 互いに種族の差のせいで・・・・。
> もう一度彼に会えるのなら。
 そのためにああいう事になったわけですか。

 本当に面白かったです。
 ではまた、ご縁がありましたなら。